(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】CD70をターゲティングする細胞ベースの治療剤
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20231212BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20231212BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20231212BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231212BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20231212BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231212BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231212BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20231212BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20231212BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231212BHJP
A61K 35/545 20150101ALN20231212BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/0783
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/725
A61K35/17
A61P35/00
A61K35/545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536021
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021085976
(87)【国際公開番号】W WO2022129216
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510214573
【氏名又は名称】ユニフェルシテイト アントウェルペン
【氏名又は名称原語表記】Universiteit Antwerpen
【住所又は居所原語表記】Prinsstraat 13,Antwerpen,BELGIUM
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン エインデ,アストリート
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,エフェリーン
(72)【発明者】
【氏名】パウウェルス,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプス,ユリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA03
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB34
4C087BB64
4C087CA12
4C087NA05
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞であって、CARがCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含むものである、NK細胞ならびに操作されたNK細胞を含む組成物、操作されたNK細胞を産生する方法および新生物疾患の処置のためなど操作されたNK細胞の治療適用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞であって、CARがCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含むものである、NK細胞。
【請求項2】
CARがさらにCD27の膜内ドメインを含むおよび/またはCD27の細胞内ドメインの全てまたは一部を欠く、好ましくはCD27の細胞内ドメイン全てを欠く、請求項1のNK細胞。
【請求項3】
CARの細胞内部分が少なくとも1個のCD3ζまたはFcRγ細胞内活性化ドメインなどの細胞内活性化ドメインおよび所望によりおよび好ましくは少なくとも1個のCD28、4-1BB、DAP10、OX40および/またはICOS細胞内共刺激ドメインなどの細胞内共刺激ドメインを含む、請求項1または2のNK細胞。
【請求項4】
CARがCD3ζ細胞内活性化ドメインおよび/または4-1BB細胞内共刺激ドメインを含む、請求項3のNK細胞。
【請求項5】
CARがCD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび4-1BB細胞内共刺激ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる、請求項1~4の何れかのNK細胞。
【請求項6】
CARが配列番号1と少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも90%同一、より好ましくは少なくとも95%同一、特に好ましくは100%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる、請求項1~5の何れかのNK細胞。
【請求項7】
NK細胞が対象の臍帯血または末梢血からなど対象から単離されており、所望によりインビトロで培養されている;またはNK細胞がインビトロで造血幹細胞または誘導多能性幹(iPS)細胞から分化されている;または好ましくはNK細胞がクローンNK細胞株からである、例えば、特に好ましくはNK-92細胞である、請求項1~6の何れかのNK細胞。
【請求項8】
NK細胞が1以上の免疫刺激性サイトカイン、例えば1以上の免疫刺激性インターロイキン(IL)、好ましくはIL-15、IL-12および/またはIL-21、より好ましくはIL-15および/またはIL-21、特に好ましくはヒトIL-15をさらに発現するよう操作されている、請求項1~7の何れかのNK細胞。
【請求項9】
CARおよび任意的な1以上の免疫刺激性サイトカインの発現が各々独立して構成的または誘導型である、請求項1~8の何れかのNK細胞。
【請求項10】
NK細胞の出発集団に発現可能形式で請求項1~9の何れかのCARをコードする核酸をおよび所望により発現可能形式で1以上の免疫刺激性サイトカインをコードする核酸を、所望によりエレクトロポレーションによるなどで、導入し;そして所望により該1以上の核酸を含み、CARおよび所望により1以上の免疫刺激性サイトカインを発現できるNK細胞の選択および/または拡張を含む、請求項1~9の何れかのNK細胞を産生する方法。
【請求項11】
請求項1~9の何れかのNK細胞および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項12】
治療に使用するための請求項1~9の何れかのNK細胞または請求項11の医薬組成物。
【請求項13】
新生物疾患、特に癌を処置する方法に使用するための請求項1~9の何れかのNK細胞または請求項11の医薬組成物。
【請求項14】
新生物疾患がCD70陽性癌性細胞を含む、例えばCD70陽性癌性細胞および/またはCD70陽性癌関連線維芽細胞(CAF)を10%以上、例えばCD70陽性CAFを10%以上含み、例えば、新生物疾患がCD70陽性癌性細胞を10%未満およびCD70陽性CAFを10%以上含む、請求項13の使用のためのNK細胞または医薬組成物。
【請求項15】
新生物疾患がCD70陽性CAFを含む結腸直腸癌である、請求項12または13の使用のためのNK細胞または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、医薬分野に広く適用可能であり、より具体的には新生物疾患を処置する方法に有用な免疫細胞ベースの治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
腫瘍壊死因子(TNF)関連分子であり、CD27リガンド(CD27L)とも称されるCD70(分化抗原群70)タンパク質は、通常の状況下であれば活性化TおよびB細胞ならびに成熟樹状細胞で一過性にだけ発現される。しかしながら、ある種の固形および血液悪性腫瘍の悪性細胞でCD70の構成的発現が記載されている。その受容体、CD27を介する悪性細胞上のCD70発現は、とりわけT細胞アポトーシス誘導、T細胞疲弊および抑制性制御T細胞(Treg)の増量により、免疫系の回避を促進し得る。CD70が、健常リンパ球での短い一過性CD70発現と対照的に、TおよびB細胞リンパ腫などの高度活性化リンパ球で発現されていることから、抗CD70抗体はCD70陽性悪性腫瘍の可能性のある治療として提案されている。
【0003】
さらに最近、本発明者らは癌関連線維芽細胞(CAF)上のCD70の発現を特徴づけた(Jacobs et al. Oncoimmunology. 2018, vol. 7(7), e1440167)。CAFは腫瘍微小環境(TME)の優勢成分であり、腫瘍の増殖性および侵襲性行動ならびに免疫回避に役割を有することが提唱されている。著者らは、結腸直腸癌(CRC)検体のステージ(T1~T4)に伴いCD70陽性CAF数が増え(ここでの
図2参照)、CD70発現がCRC患者の全生存および無進行生存の顕著な負の予測因子として作用すると報告した。
【0004】
WO2016/093878は抗CD70キメラ抗原受容体(CAR)に関する。WO2019/213610は、免疫チェックポイント遮断を備えたCARを発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞に関する。
【発明の概要】
【0005】
概要
本発明は、少なくとも一部、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞を使用する、癌関連線維芽細胞(CAF)などのCD70陽性癌細胞および/またはCD70陽性腫瘍微小環境細胞への標的化の実行可能性および治療有用性に焦点を絞った、本発明者らの革新的洞察および実験的評価に基づく。
【0006】
ある態様において、本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞であって、CARがCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含むものである、NK細胞を提供する。
【0007】
さらなる態様は、操作されたNK細胞および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0008】
他の態様は、発現可能な形式でCARをコードする核酸をNK細胞の出発集団に導入することを含む、操作されたNK細胞を産生する方法を提供する。所望によりおよび有利に、その後該核酸を含み、CARの発現が可能となるNK細胞を選択および/または増やすことができる。
【0009】
ある態様は、治療に使用するための操作されたNK細胞または医薬組成物を提供する。さらなる態様は、新生物疾患を処置する方法に使用するための操作されたNK細胞または医薬組成物を提供する。関連態様は、処置を必要とする対象、特に新生物疾患を有する対象を処置する方法であって、対象に治療有効量の操作されたNK細胞または医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明は、故に、CAFなどの癌性および/または腫瘍微小環境(TME)細胞を含み得るCD70陽性細胞を効率的に除去する能力を有する、CD70に対する抗原特異性を有する特別に設計されたキメラ抗原受容体(CAR)を用いる改善された免疫細胞ベースの治療剤に関する。腫瘍がCD70陽性癌性細胞を含んでいてもいなくても、CD70陽性TME細胞の根絶は、特にCD70陽性CAFなどの後者の細胞は、腫瘍微小環境の免疫抑制性特徴に大きな役割を果たしている可能性があり、その根絶は、故に、腫瘍を、患者自身の免疫系または他の(免疫)治療剤の作用によるなどの排除により感受性とし得るため、相当な治療利益があり得る。
【0011】
本発明のこれらのおよびさらなる態様および好ましい実施態様を次のセクションおよび添付する特許請求の範囲に記載する。添付する特許請求の範囲の主たる事項は、これにより、本明細書に具体的に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のある実施態様による免疫細胞ベースの薬剤により誘発される治療効果の根底にあるまたは寄与すると考えらえる分子機構を説明する。キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー細胞であって(1)、ここで、CARがCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含み(2)、CD70分子に特異的に結合し(3)、癌関連線維芽細胞(CAF)(4)(上部パネル)または腫瘍における癌性細胞(5)(下部パネル)の表面に露出され、それによりこれらCD70陽性細胞および腫瘍の排除を駆動または促進する。
【0013】
【
図2】Jacobs et al. (上掲)により報告された、正常(N)、腺腫(A)、上皮内癌(Tis)およびT1~T4結腸直腸癌(CRC)検体における線維芽細胞上のCD70発現を定量する(%CD70陽性線維芽細胞として示す、y軸)グラフを再現したものであり、-(<1%)、+(1~10%)、++(11~50%)、+++(>50%のCAFがCD70発現)と等級付けする。
【0014】
【
図3】(A、B)CAR mRNA非存在下(MOCK)、IL-15サイトカインカセットを伴うCAR mRNA(CD27-CAR)およびIL-15サイトカインカセットを伴わないCAR mRNA(CD27-CAR w/o IL-15)でエレクトロポレーション24時間後のNK-92細胞上のCD27発現の代表的ヒストグラムのオーバーレイを示す。エレクトロポレーションプロトコールのさらなる最適化および改善により、ヒストグラムは、CARの発現増加を示して、より右寄りとなる(B)。
【0015】
【
図4】CD70ターゲティングCAR-NK-92細胞の特徴づけを示す。(A~B)CAR mRNA非存在下(MOCK)、IL-15サイトカインカセットを伴わない(CD27-CAR)およびIL-15サイトカインカセットを伴う(IL-15を伴うCD27-CAR)CAR mRNAでエレクトロポレーション24時間後のNK-92細胞上のCD27発現のパーセンテージオーバートーン(A)およびデルタ平均蛍光強度(△MFI)(B)を示すグラフを示す。(C)MOCK、CD27-CARおよびIL-15を伴うCD27-CARでエレクトロポレーション後のNK-92細胞の上清に産生されるIL-15濃度。点線はアッセイの検出限界を示す。実験を少なくともトリプリケートで実施した。エラーバーは標準偏差を示す。*P≦0.05、△MFI=特異的CD27 mAb染色 -アイソタイプ対照。
【0016】
【
図5】CD70
+標的細胞株に対するCD70ターゲティングCAR-NK-92sのインビトロ細胞毒性能を示す。CAR mRNA非存在下(MOCK)、IL-15サイトカインカセットを伴わない(CD27-CAR)およびIL-15サイトカインカセットを伴う(IL-15を伴うCD27-CAR)CAR mRNAでエレクトロポレーションしたNK-92細胞と、エレクトロポレーション24時間後、種々のCD70
+標的細胞株(Raji、PANC-1、LIM2099およびRLT-PSC)の、共培養4時間後の細胞死パーセンテージを示すグラフを示す。標的細胞死のパーセンテージは、フローサイトメトリーでAnnexin V
+および/または7-AAD
+細胞として同定する。実験を少なくともトリプリケートで実施した。エラーバーは標準偏差を示す。*P≦0.05。
【0017】
【
図6】CAR特異的死滅を示す、CARの抗原認識ドメインの遮断を示す。CD70
+Raji標的細胞株単独(Rajiベースライン)またはCAR mRNA非存在下(MOCK)、IL-15サイトカインカセットを伴わない(CD27-CAR)およびIL-15サイトカインカセットを伴う(IL-15を伴うCD27-CAR)CAR mRNAでエレクトロポレーションしたNK-92細胞と、エレクトロポレーション24時間後、共培養4時間後の生存可能細胞のパーセンテージを示すグラフを示す。エフェクター細胞を、種々の濃度(10μg/mL、50μg/mLまたは100μg/mL)の中和抗CD27モノクローナル抗体またはIgG1アイソタイプ対照と共培養中一夜インキュベートした。生存可能標的細胞のパーセンテージはフローサイトメトリーでAnnexin V
-および7-AAD
-細胞として同定する。実験を少なくともトリプリケートで実施した。エラーバーは標準偏差を示す。*P≦0.05。
【0018】
【
図7】CD70ターゲティングCAR-NK-92sのIL-15またはIL-21での刺激は細胞毒性能を改善することを示す。グラフは、種々のCD70
+標的細胞株(Raji、PANC-1、LIM2099およびRLT-PSC)の、CAR mRNA非存在下(MOCK)、IL-15サイトカインカセットを伴わない(CD27-CAR)およびIL-15サイトカインカセットを伴う(IL-15を伴うCD27-CAR)CAR mRNAでエレクトロポレーションしたNK-92細胞と、エレクトロポレーション24時間後、共培養4時間後の生存可能細胞のパーセンテージを示す。CD27-CAR NK-92細胞を、エフェクター用量50(ED50)の外因性IL-12、IL-15およびIL-21サイトカインで一夜刺激した。生存可能標的細胞のパーセンテージはフローサイトメトリーでAnnexin V
-および7-AAD
-細胞として同定する。ベースライン条件は、エフェクター細胞非存在下のCD70
+標的細胞の生存能を示す。実験を少なくともトリプリケートで実施した。エラーバーは標準偏差を示す。*P≦0.05。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施態様の記載
ここで使用する単数表現は、文脈から明らかに他の解釈が必要でない限り、単数および複数対象を含む。
【0020】
ここで使用する用語「含む」、「含み」および「含んで」は、「包含する」、「包含して」または「含有する」、「含有して」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、付加的な、非記載メンバー、要素または方法工程を除外しない。本用語はまた「からなる」および「本質的にからなる」を含み、これらは特許用語で十分に確立された意味を有する。
【0021】
終点による数値範囲の記載は、各範囲内に組み込まれる全数値および分数ならびに記載する終点を含む。これは、数値範囲が表現「~」または表現「...と...の間」または他の表現により導入されるかにかかわらず、適用される。
【0022】
パラメータ、量、期間などのような測定可能な値をいうとき、ここで使用される用語「約」または「おおよそ」は、特定した値のおよびそこからの変動、例えば、特定した値のおよびそこからの±10%以下、好ましくは±5%以下、より好ましくは±1%以下、なおさらに好ましくは±0.1%以下の変動を、そのような変動が開示する本発明の実施に適切である限り、包含することを意味する。修飾語句「約」または「おおよそ」が言及される値はそれ自体また具体的にかつ好ましくは開示されると理解すべきである。
【0023】
一群のメンバーの1以上のメンバーまたは少なくとも1個のメンバーなどの、用語「1以上」または「少なくとも1個」はそれ自体明確であり、さらなる例示の手段として、本用語は、とりわけ該メンバーの何れか一つまたは、例えば、該メンバーの任意の≧3、≧4、≧5、≧6または≧7など、該メンバーの何れか2以上および該メンバー全てまでを包含する。他の例において、「1以上」または「少なくとも1個」は1、2、3、4、5、6、7またはそれ以上を意味し得る。
【0024】
ここでの発明の背景の記載は、本発明の状況の説明を含む。これは、記載する資料のいずれも、本願の請求項のいずれかの優先日当時、何れかの国で、公開された、知られていたまたは技術常識の一部であることを認めると解釈してはならない。
【0025】
本明細書をとおして、種々の刊行物、特許および特許公報が、特定できる引用符によって言及されている。本明細書に引用する全文献は、引用により全体として本明細書に組み込む。特に、ここで具体的に言及するそのような文献の教示またはセクションを、引用により組み込む。
【0026】
他に断らない限り、技術的および科学的用語を含む、本発明の開示に使用される全用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解される意味を有する。さらなるガイダンスの手段によって、用語定義は、本発明の教示の良好な認識のために包含される。具体的用語が本発明の特定の態様または本発明の特定の実施態様と関連して定義されるとき、そのような含意または意味は、他に断らない限り、本明細書をとおして、すなわち本発明の他の態様または実施態様の他の状況においても適用されることが意図される。
【0027】
次の文章で、種々の本発明の態様または実施態様をより詳細に定義する。そのように定義された各態様または実施態様を、反することが明らかに示されない限り、任意の他の態様または実施態様と組み合わせ売る。特に、好ましいまたは有利として示される何れかの特性を、好ましいまたは有利として示される任意の1以上の他の特性と組み合わせ得る。
【0028】
本明細書をとおして「1つの実施態様」、「ある実施態様」の言及は、該実施態様に関連して記載される特定の特性、構造または特徴が、本発明の少なくとも1個の実施態様に包含されることを意味する。故に、本明細書の種々の場所で見られる用語「1つの実施態様において」または「ある実施態様において」は、必ずしも全て同じ実施態様を言及しないが、その可能性もある。さらに、特定の特性、構造または特徴を、当業者には明らかなとおり、1以上の実施態様において、任意の適当な方法で組み合わせ得る。さらに、ここに記載するある実施態様は、他の実施態様に含まれる一部の特性を含み、他は含まないが、種々の実施態様の特性の組み合わせは本発明の範囲内であることを意図し、当業者には理解されるとおり、異なる実施態様を形成する。例えば、添付する特許請求の範囲において、請求する実施態様のいずれも、任意の組み合わせで使用し得る。
【0029】
本発明のある代表的実施態様を説明する実験セクションで裏付けられるとおり、本発明者らは、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞を使用する癌関連線維芽細胞(CAF)などのCD70陽性癌細胞および/またはCD70陽性腫瘍微小環境細胞のターゲティングの実行可能性および治療有用性を証明した。CD70陽性癌細胞および/またはCAFの効率的根絶は、増殖性疾患の処置の価値ある治療手段を提供する。
【0030】
本発明は、故に、概要セクションに示す態様を含み、特にCARを発現するよう操作されたNK細胞であって、ここで、CARはCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含む、NK細胞;ならびにそのように操作されたNK細胞を含む医薬組成物、操作されたNK細胞を産生する方法および、特に癌などの新生物疾患の処置のために操作されたNK細胞または医薬組成物を用いる、治療用途および方法に関する。
【0031】
用語「キメラ抗原受容体」あるいは「CAR」は、免疫エフェクター細胞により発現されたとき、細胞に標的細胞表面上の標的抗原に対する特異性および細胞内シグナル伝達を付与する、組み換えポリペプチドまたは一連のポリペプチドをいう。ある実施態様において、CARは、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび刺激分子および/または共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(ここでは「細胞内シグナル伝達ドメイン」または「細胞内活性化ドメイン」とも称する)を含む。用語「シグナル伝達ドメイン」は、第二メッセンジャーの産生によりまたはそのようなメッセンジャーに応答することによるエフェクターとして機能することにより、規定されたシグナル伝達経路を介する細胞活性を制御するために、細胞内で情報伝達することにより作用する、タンパク質の機能的部分をいう。典型的に、CARは、例えば抗原結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインが同じポリペプチド鎖内に含まれるように、キメラ融合タンパク質を含み得る。別の実施態様において、CARは、例えば抗原結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインが、CARを形成するためにヘテロ二量体化するよう作られている、別のポリペプチド鎖に提供され得るように、互いに隣接していない一連のポリペプチドにより形成され得る。実例として、抗原結合ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインは、各々、二量体化分子の存在により、該ドメインを含むポリペプチドを互いに結合できる、二量体化スイッチを備えて提供され得る。
【0032】
用語CARは、ここで意図されるような受容体を意味するために適切な、便利なおよび十分確立された態様を構成するが、それとは別にこの用語を使用せずに、このような受容体を、例えば、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分および細胞内活性化ドメインを含むポリペプチドまたは一連のポリペプチドということができ、ここで、細胞外ドメインの標的細胞表面上のCD70への結合は、細胞内活性化ドメインを介して細胞内シグナルを誘発、誘導または引き起こす。
【0033】
別のCAR構築物は、典型的に連続した複数世代に属するとして特徴づけられ得る。第一世代において、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体複合体(CD3ζ)または免疫グロブリンFc受容体のγサブユニット(FcRγ)と関連したゼータ鎖を含むまたはそれから本質的になる。第二世代CARの細胞質シグナル伝達ドメインは、さらに、細胞内共刺激ドメイン、すなわち、CD28、4-1BB(CD137)、DAP10、ICOSまたはOX40(CD134)などの少なくとも1個の共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含み、第三世代CARは、2以上のこのような共刺激エンドドメインの組み合わせを含む。
【0034】
ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分、膜貫通ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分、膜貫通ドメインならびに共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分、膜貫通ドメインならびに1以上の共刺激分子由来の2個の機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分、膜貫通ドメインならびに1以上の共刺激分子由来の少なくとも2個の機能的シグナル伝達ドメインおよび刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。
【0035】
ある実施態様において、CARの細胞内部分は少なくとも1個の細胞内活性化ドメインを含む。ある実施態様において、少なくとも1個の細胞内活性化ドメインはCD3ζ活性化ドメイン、FcRγ活性化ドメインおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある好ましい実施態様において、CARは、CARの細胞内活性化ドメインがCD3ζ細胞内活性化ドメインを含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるように、CD3ζ細胞内活性化ドメインを含む。ある実施態様において、CARの細胞内部分は少なくとも1個の細胞内共刺激ドメインを含む。ある実施態様において、少なくとも1個の細胞内共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、DAP10共刺激ドメイン、OX40共刺激ドメイン、ICOS共刺激ドメインおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある好ましい実施態様において、CARは4-1BB細胞内共刺激ドメインおよび所望により1以上の付加的共刺激ドメインを含む。ある好ましい実施態様において、CARは4-1BB細胞内共刺激ドメインを含み、他の共刺激ドメインを含まない。
【0036】
記載するとおり、CARはCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含む。分化抗原群27(CD27)分子または略してCD27もしくはCD27抗原は、CD27L受容体または腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー7(TNFRSF7タンパク質)としても知られ、29kDa1回膜貫通I型膜糖タンパク質である。ヒトCD27前駆体は、米国国立生物工学情報センター(NCBI)ジェンバンク(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)Gene ID no. 939の下、注釈を付されている。ヒト野生型CD27アミノ酸配列は、ここで下に再現するNP_001233.2配列である、ジェンバンクアクセッション番号NP_001233.2またはSwissprot/Uniprot(http://www.uniprot.org/)アクセッション番号P26842-1の下に注釈を付されているものであり得る(エントリーバージョン195、2020年10月7日、配列バージョン2、2009年11月24日)(上記データベースエントリーにおいて注釈を付されているCD27分子のシグナルまたはリーダー配列、N末端細胞外ドメイン、膜貫通または膜内ドメインおよびC末端細胞内ドメインを、連続してかつそれぞれ、標準、太字および斜体で示す)。
【化1】
【0037】
ここで意図されるCD27は、特にヒトCD27に関する。CD27タンパク質に関連して、ここで使用する修飾語句「ヒト」は、特にCD27タンパク質のアミノ酸配列をいう。例えば、ヒトで見られるCD27タンパク質としてのアミノ酸配列を有するCD27タンパク質を、技術的手段、例えば、組み換え発現、無細胞翻訳または非生物学的ペプチド合成によっても得ることができる。CD27タンパク質などのある天然タンパク質のアミノ酸配列が、種内の正常な遺伝的多様性(アレル変異、多型)および/または転写後または翻訳後修飾の差異により、同じ種の異なる個体間または個体内で異なり得ることを、当業者は理解する。天然タンパク質のあらゆるこのようなバリアントまたはアイソフォームは、タンパク質の言及または指定により包含される。
【0038】
ジェンバンクアクセッション番号NP_001233.2下に注釈を付されているヒトCD27タンパク質の細胞外ドメインを下に再現する。
ATPAPKSCPERHYWAQGKLCCQMCEPGTFLVKDCDQHRKAAQCDPCIPGVSFSPDHHTRPHCESCRHCNSGLLVRNCTITANAECACRNGWQCRDKECTECDPLPNPSLTARSSQALSPHPQPTHLPYVSEMLEARTAGHMQTLADFRQLPARTLSTHWPPQRSLCSSDFIR(配列番号3)
【0039】
ある実施態様において、CD27の細胞外ドメインは、配列番号3と少なくとも80%同一、例えば配列番号3と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号3と少なくとも90%同一、例えば配列番号3と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号3と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、CD27の細胞外ドメインは、配列番号3に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0040】
アミノ酸配列に関する用語「配列同一性」は、N末端からC末端に読んだアミノ酸配列の間の、%として表す、全体的配列同一性(すなわち、比較で引用されるアミノ酸配列の完全または全アミノ酸配列を含む)の程度をいう;そして核酸配列に関しては、5’末端から3’末端に読んだ核酸配列間の、%として表す、全体的配列同一性(すなわち、比較で引用されるアミノ酸配列の完全または全核酸配列を含む)の程度をいう(所望により、相補的配列を比較で使用してよい)。配列同一性は、それ自体既知の配列アラインメントの実施および配列同一性決定のための適当なアルゴリズムを使用して、実施し得る。例であるが、非限定的アルゴリズムは、例えば公開されたデフォルト設定または他の適当な設定(例えば、BLASTNアルゴリズムについて:ギャップ開始ペナルティ=5、ギャップ延長ペナルティ=2、ミスマッチペナルティ=-2、マッチリワード=1、ギャップx_ドロップオフ=50、期待値=10.0、ワードサイズ=28;またはBLASTPアルゴリズムについて:マトリクス=Blosum62(Henikoff et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci., 89:10915-10919)、ギャップ開始ペナルティ=11、ギャップ延長ペナルティ=1、期待値=10.0、ワードサイズ=3など)を使用する、Altschul et al. 1990 (J Mol Biol 215: 403-10)により最初に記載されたBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)に基づくもの、例えば、Tatusova and Madden 1999 (FEMS Microbiol Lett 174: 247-250)により記載された「Blast 2 sequences」アルゴリズムを含む。
【0041】
特定のアミノ酸配列とクエリアミノ酸配列の間のパーセント同一性を決定するための例示的手順は、適当なアルゴリズムパラメータを使用する、Blast 2 sequences(Bl2seq)アルゴリズム、ウェブ・アプリケーションとして入手可能(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastp&PAGE_TYPE=BlastSearch&BLAST_SPEC=blast2seq&LINK_LOC=blasttab)またはNCBIウェブサイト(https://ftp.ncbi.nlm.nih.gov/blast/executables/blast+/LATEST/)の独立型実行可能プログラム(BLAST version 2.11.0+)を使用する、各々、N末端からC末端に読む2アミノ酸配列のアラインを必然的に含む。適当なアルゴリズムパラメータの例は:マトリクス=Blosum62、ギャップ開始ペナルティ=11、ギャップ延長ペナルティ=1、期待値=10.0、ワードサイズ=3)を含む。2個の比較した配列が同一性を共有するならば、アウトプットは、アラインされた配列の同一性の領域を提示する。2個の比較した配列が同一性を共有しないならば、アウトプットはアラインされた配列を提示しない。アラインされたら、マッチ数は、両配列に同一アミノ酸残基が存在する位置数の計数により決定される。パーセント同一性は、マッチ数をクエリ配列長で除し、続いて得られた値に100を乗ずることにより決定される。パーセント同一性値は、最も近い1/10で四捨五入してもよいが、必ずしもそうではない。例えば、78.11、78.12、78.13および78.14を78.1に切り下げてよく、一方78.15、78.16、78.17、78.18および78.19を78.2に切り上げてよい。Bl2seqによりアウトプットされるアラインメントの各セグメントについての詳細画像は、すでに便利に同一性パーセンテージを含むことはさらに留意すべきである。
【0042】
アミノ酸配列がある他のアミノ酸配列と異なる、変化しているまたは相違するとき - 例えば、前者のアミノ酸配列が後者のアミノ酸配列とある程度またはパーセンテージの配列同一性を示すといえるときまたは前者のアミノ酸配列が後者のアミノ酸配列とある数のアミノ酸が異なるといえるとき - このような配列多様性は、1以上のアミノ酸付加(例えば、一アミノ酸または2以上の隣接アミノ酸のストレッチがアミノ酸配列の一か所にまたはアミノ酸配列の2か所以上に各々独立して付加され得る)、欠失(例えば、一アミノ酸または2以上の隣接アミノ酸のストレッチがアミノ酸配列の一か所またはアミノ酸配列の2か所以上で各々独立して欠失され得る)および/または置換(例えば、一アミノ酸または2以上の隣接アミノ酸のストレッチがアミノ酸配列の一か所またはアミノ酸配列の2か所以上で各々独立して1アミノ酸または2以上の隣接アミノ酸のストレッチで置換され得る)により構成され得る。
【0043】
好ましくは、1以上のアミノ酸置換、特に1以上の一アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸の類似の特徴を有する他のものへの置換である。保存的アミノ酸置換は、次の群内の置換を含む:バリン、アラニンおよびグリシン;ロイシン、バリンおよびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システインおよびスレオニン;リシンおよびアルギニン;およびフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸はアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性中性アミノ酸はグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。正荷電(すなわち、塩基性)アミノ酸はアルギニン、リシンおよびヒスチジンを含む。負荷電(すなわち、酸性)アミノ酸はアスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。上記極性、塩基性または酸性群のあるメンバーの、同じ群の他のメンバーによる任意の置換は、保存的置換と考えられ得る。対照的に、非保存的置換は、あるアミノ酸の類似しない特徴を有する他のものへの置換である。
【0044】
本明細書は、例えば、CD27の細胞外ドメインまたは細胞内活性化ドメインなどのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であり得るある分子を述べる。用語「タンパク質」は、一般に1以上のポリペプチド鎖を含む高分子を包含する。用語「ポリペプチド」は、一般にペプチド結合により連結されたアミノ酸残基の直線状ポリマー鎖を包含する。「ペプチド結合」、「ペプチド連結」または「アミド結合」は、あるアミノ酸のカルボキシル基が他のアミノ酸のアミノ基と反応し、それにより水分子が遊離されるとき、2アミノ酸間で形成される共有結合である。特にタンパク質が単一ポリペプチド鎖からのみなり得るとき、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は相互交換可能に使用され得て、このようなタンパク質をいう。これら用語は、ポリペプチド鎖の何らかの最小長により限定されない。50以下(≦50)のアミノ酸、例えば≦45、≦40、≦35、≦30、≦25、≦20、≦15、≦10または≦5アミノ酸から本質的になるまたはそれからなるポリペプチド鎖は、一般に「ペプチド」と称される。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの文脈において、「配列」は、配列内で互いに隣接する残基が、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの一次構造で隣接する、アミノ末端からカルボキシル末端方向での鎖におけるアミノ酸の順番である。本用語は、天然、組み換え、半合成または合成により産生されたタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを包含し得る。故に、例えば、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは天然に存在するかまたは単離することができ、例えば、細胞または組織により天然または内因性に酸性または発現され、所望によりそこから単離される;またはタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、組み換えであってよく、すなわち、組み換えDNA技術により産生されおよび/または、部分的にまたは全体に、化学的にまたは生化学的に合成され得る。限定しないが、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、適当な宿主または宿主細胞発現系により組み換えにより産生され、所望によりそこから単離されるか(例えば、適当な細菌、酵母、真菌、植物または動物宿主または宿主細胞発現系)または無細胞翻訳または無細胞転写および翻訳により組み換えにより産生されるかまたは非生物学的ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質合成により産生され得る。本用語はまた、限定しないが、グルコシル化、脂質化、アセチル化、アミド化、リン酸化、スルホン化、メチル化、ペグ化(典型的にN末端または1以上のLys残基の側鎖へのポリエチレングリコールの共有的結合)、ユビキチン化、スモ化、システイン化、グルタチオン化、メチオニンスルホキシドまたはメチオニンスルホンへのメチオニンの酸化、シグナルペプチド除去、N末端Met除去、酵素前駆体またはホルモン前駆体の活性形態への変換などの、ポリペプチド鎖の1以上の同時発現または発現後型修飾を担持する、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドも包含する。このような同時発現または発現後型修飾は、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを発現する宿主細胞によりインビボで導入され得る(同時翻訳または翻訳後タンパク質修飾機構は宿主細胞に天然であり得るおよび/または宿主細胞1以上の(付加的)同時翻訳または翻訳後タンパク質修飾官能性を含むよう遺伝子操作されていてよい)または単離タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの化学的(例えば、ペグ化)および/または生化学的(例えば、酵素)修飾によりインビトロで導入され得る。
【0045】
用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸と類似の方法で機能する限り、天然に存在するアミノ酸、天然でコードされるアミノ酸、天然でコードされないアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、アミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣体を含み、全て、構造によりD-およびL-立体異性体形態が可能であるならば、そのような立体異性体である。アミノ酸は、ここでは、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されるその名称、一般に知られる三文字記号または一文字記号により記載する。「天然でコードされるアミノ酸」は、20の一般的アミノ酸またはピロリシン、ピロリン-カルボキシ-リシンまたはセレノシステインの一つであるアミノ酸をいう。20の一般的アミノ酸は、アラニン(AまたはAla)、システイン(CまたはCys)、アスパラギン酸(DまたはAsp)、グルタミン酸(EまたはGlu)、フェニルアラニン(FまたはPhe)、グリシン(GまたはGly)、ヒスチジン(HまたはHis)、イソロイシン(IまたはIle)、リシン(KまたはLys)、ロイシン(LまたはLeu)、メチオニン(MまたはMet)、アスパラギン(NまたはAsn)、プロリン(PまたはPro)、グルタミン(QまたはGln)、アルギニン(RまたはArg)、セリン(SまたはSer)、スレオニン(TまたはThr)、バリン(VまたはVal)、トリプトファン(WまたはTrp)およびチロシン(YまたはTyr)である。「天然でコードされないアミノ酸」は、20の一般的アミノ酸またはピロリシン、ピロリン-カルボキシ-リシンまたはセレノシステインの一つではないアミノ酸をいう。本用語は、限定しないが、N-アセチルグルコサミニル-L-セリン、N-アセチルグルコサミニル-L-スレオニンおよびO-ホスホチロシンにより例示される、限定しないが、天然でコードされるアミノ酸の修飾(例えば翻訳後修飾)により生ずるが、それ自体翻訳複合体により成長中のポリペプチド鎖に天然に組み込まれない、アミノ酸を含む。天然でコードされない、非天然または修飾アミノ酸のさらなる例は、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、ベータ-アラニン、ベータ-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、ピペリジン酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモセリン、ホモシステイン、ヒドロキシリシン、アロヒドロキシリシン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシンまたはオルニチンを含む。1以上の個々の原子が異なる原子、同じ原子の同位体または異なる官能基に置き換えられているアミノ酸アナログもまた含まれる。Ellman et al. Methods Enzymol. 1991, vol. 202, 301-36に記載される非天然アミノ酸およびアミノ酸アナログも含まれる。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドへの非天然アミノ酸の取り込みは、いくつかの種々の方法において有利であり得る。例えば、D-アミノ酸含有タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、L-アミノ酸含有カウンターパートと比較して、インビトロまたはインビボで安定性増加を示す。より具体的に、D-アミノ酸含有タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは内因性ペプチダーゼおよびプロテアーゼにより抵抗性であり、それによりインビボでの分子のバイオアベイラビリティの改善および寿命延長が提供され得る。
【0046】
ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外ドメインのCD70結合部分またはフラグメントを含み得る。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの「フラグメント」または「部分」なる用語は、一般に完全長タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのN末端および/またはC末端が欠失または切断された形態を包含する。本用語は、限定しないが、完全長タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの切断形態の発現またはインビボまたはインビトロでの完全長タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの物理的、化学的または酵素的タンパク質分解などのあらゆる機構により生ずるフラグメントを包含する。限定しないが、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのフラグメントは、完全長タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの隣接アミノ酸配列の少なくとも約50%(アミノ酸の数で)、例えば、少なくとも約60%または少なくとも約70%または少なくとも約80%または少なくとも約90%または少なくとも約91%または少なくとも約92%または少なくとも約93%または少なくとも約94%または少なくとも約95%または少なくとも約96%または少なくとも約97%または少なくとも約98%または少なくとも約99%を意味し得る。例えば、配列番号3に示す実例の172アミノ酸長CD27細胞外ドメインのフラグメントまたは部分は、配列番号3の少なくとも約90または少なくとも約100または少なくとも約110または少なくとも約120または少なくとも約130または少なくとも約140または少なくとも約150または少なくとも約160または少なくとも約170連続アミノ酸の配列を含み得る。
【0047】
本来、CD27は、細胞上に発現されるCD70分子の同族受容体である。従って、ここに教示されるCARに含まれるCD27の細胞外ドメインは、生理学的におよび治療的に関連する設定で、細胞表面上のCD70タンパク質と特異的に結合する内在的能力を有する。本明細書をとおして使用する用語「特異的に結合」は、薬剤が1以上の所望の分子または検体に、無作為または無関係である他の分子を実質的に排除して、所望により構造的に関連する他の分子を実質的に排除して、結合することを意味する。言いかえれば、タンパク質および/または高分子の複合体混合物中の標的分子を優先的に認識するとき、薬剤は標的分子に特異的に結合すると言える。
【0048】
CARがCD27の細胞外ドメインのCD70結合部分またはフラグメントを含むとき、このようなCD27部分がCD70タンパク質に結合する能力は、CD27細胞外ドメインのCD70結合部分を含むCAR発現細胞が、完全長CD27細胞外ドメインを含むその他は同一のCARを発現する細胞により達成される治療効果と有意に類似するまたは同等である治療効果を示すように、CD70に結合する完全長CD27細胞外ドメインの能力と有意に類似するまたは同等である。
【0049】
典型的に、標的結合タンパク質(例えばCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合フラグメント)は、同族標的タンパク質(例えばCD70)に1×10-5~1×10-12モル/リットル(M)以下および好ましくは1×10-7~1×10-12M以下およびより好ましくは1×10-8~1×10-12M以下およびさらにより好ましくは1×10-9~1×10-12M以下、例えば1×10-9~1×10-10Mまたは1×10-10~1×10-11Mの解離定数(KD)で結合し得て、ここで、KD=[TBP][TG]/[TBP-TG]であり、TBPは標的結合タンパク質であり、TPは標的タンパク質であり、TBP-TGはこれら2個の複合体である。10-4Mを超えるKD値は、典型的に非特異的結合の指標として考えられる。故に、ある実施態様において、CD27細胞外ドメインのCD70結合部分は、10-4M以下、好ましくは10-5M以下、より好ましくは10-6M以下、さらにより好ましくは10-7M以下、なおさらに好ましくは10-8M以下、例えば10-9M以下、10-10M以下または10-11M以下のKDでCD70に結合し得る。ある実施態様において、CD27細胞外ドメインのCD70結合部分は、その他は実質的に同一の条件下の完全長CD27細胞外ドメインのCD70への結合を典型的に表すKDより最大で2桁高い、好ましくは最大で1桁高い、より好ましくは同じ桁または1桁以上低いKDでCD70と結合し得る。標的結合タンパク質の標的への特異的結合は、例えば、スキャッチャードプロット分析および/または放射免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)およびサンドイッチ競合アッセイおよびそれ自体当分野で知られるそれらの種々のバリアントなどの競合的結合アッセイを含む、それ自体知られる任意の適当な方法で決定し得る。
【0050】
ある実施態様において、本発明の治療状況におけるCD27細胞外ドメインのある部分またはフラグメントの適合性は、実施例に説明するようなインビトロ細胞死実験により評価し得る。例えば、その他は実質的に同一の条件下、CD70陽性細胞死において、CD27細胞外ドメインのある部分を含むCARを発現するNK細胞が、完全長CD27細胞外ドメインを含むその他は同一のCARを発現するNK細胞の10%の効率を示すとき、CD27細胞外ドメインの該部分は、ここで意図されるCD70結合と考えられ得る。好ましくは、CD27細胞外ドメインのCD70結合部分を含むCARを発現するNK細胞の死滅効率は、完全長CD27細胞外ドメインを含むCARを発現するNK細胞の死滅効率の少なくとも20%、例えば少なくとも30%または少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、例えば少なくとも60%または少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%であり得るかまたは実質的に同等または高い可能性がある。
【0051】
ある実施態様において、CARは、CD27の膜内ドメインをさらに含み得る。ジェンバンクアクセッション番号NP_001233.2の下に注釈を付されたヒトCD27タンパク質の膜内または膜貫通ドメインを下に再現する。
ILVIFSGMFLVFTLAGALFLH(配列番号4)
【0052】
ある実施態様において、CD27の膜内ドメインは、配列番号4と少なくとも80%同一、例えば配列番号4と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号4と少なくとも90%同一、例えば配列番号4と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号4と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、CD27の膜内ドメインは、配列番号4に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0053】
ジェンバンクアクセッション番号NP_001233.2下に注釈を付されたヒトCD27タンパク質の細胞外および膜内ドメインからなるポリペプチドは下に再現するとおりである。
ATPAPKSCPERHYWAQGKLCCQMCEPGTFLVKDCDQHRKAAQCDPCIPGVSFSPDHHTRPHCESCRHCNSGLLVRNCTITANAECACRNGWQCRDKECTECDPLPNPSLTARSSQALSPHPQPTHLPYVSEMLEARTAGHMQTLADFRQLPARTLSTHWPPQRSLCSSDFIRILVIFSGMFLVFTLAGALFLH(配列番号10)
【0054】
ある実施態様において、CD27の細胞外および膜内ドメインは、配列番号10と少なくとも80%同一、例えば配列番号10と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号10と少なくとも90%同一、例えば配列番号10と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号10と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、CD27の細胞外および膜内ドメインは、配列番号10に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0055】
ある他の実施態様において、CARは、CD27以外の膜貫通タンパク質、好ましくは1回膜貫通I型膜貫通タンパク質由来の膜内ドメインを含み得る。例としておよび限定しないが、当分野における多くのCAR構築物は、CD8α膜貫通ドメインを、所望によりCD8αヒンジドメインと共に使用し、これはまた本CAR分子に採用され得る。さらに他の実施態様において、CARは、例えば、高疎水性およびアルファ-ヘリクス一次構造などの、このタイプの膜貫通ドメインへの適用が知られる生物物理学的基準に基づき走査された、天然に存在しないまたは合成膜内ドメインを含み得る。
【0056】
ある実施態様において、CARは、CD27の細胞内ドメインの全てまたは一部を欠く。ジェンバンクアクセッション番号NP_001233.2下に注釈を付されたヒトCD27タンパク質の細胞内または細胞質ドメインを下に再現する。
QRRKYRSNKGESPVEPAEPCHYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP(配列番号5)
【0057】
好ましい実施態様において、CARはCD27の細胞内ドメイン全てを欠く、すなわち、CARは、配列番号5に示すアミノ酸配列の全てを欠くなど、CD27の細胞内ドメイン全体を欠く。他の実施態様において、CARは、完全長CD27細胞内ドメインの少なくとも1、例えば少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30または少なくとも40の隣接または非隣接アミノ酸を欠く修飾CD27細胞内ドメインを含み得る。具体的実施態様において、CD27細胞内ドメインは、該ドメインによる正常CD27シグナル伝達が不可能となるようになど修飾され得る。このような修飾は、CD27細胞内ドメインの1以上のアミノ酸の欠失および/または置換などの任意のアミノ酸配列変更を含み得る。
【0058】
故に、ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外および膜内ドメインおよび細胞内活性化ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。他の実施態様において、CARは、CD27の細胞外および膜内ドメイン、細胞内活性化ドメインおよび細胞内共刺激ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。さらなる実施態様において、CARは、CD27の細胞外および膜内ドメイン、細胞内活性化ドメインおよび正確に2個など2以上の細胞内共刺激ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび細胞内共刺激ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。ある実施態様において、CARは、CD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび正確に2個など2以上の細胞内共刺激ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。特に好ましい実施態様において、CARは、CD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび4-1BB細胞内共刺激ドメインを含む、それから本質的になるまたはそれからなる。
【0059】
ヒトCD3ζ細胞内活性化ドメインのある特定の例を下に再現する。
RVKFSRSADAPAYKQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号6)
【0060】
ある実施態様において、CD3ζ細胞内活性化ドメインは、配列番号6と少なくとも80%同一、例えば配列番号6と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号6と少なくとも90%同一、例えば配列番号6と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号6と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、CD3ζ細胞内活性化ドメインは、配列番号6に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0061】
ヒト4-1BB細胞内共刺激ドメインのある特定の例を下に再現する。
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号7)
【0062】
ある実施態様において、4-1BB細胞内共刺激ドメインは、配列番号7と少なくとも80%同一、例えば配列番号7と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号7と少なくとも90%同一、例えば配列番号7と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号7と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、4-1BB細胞内共刺激ドメインは、配列番号7に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0063】
ある特に好ましい実施態様において、CARは、下記配列番号1に示すアミノ酸を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるものであり、ここで、CD27の細胞外および膜内ドメインは標準文字、4-1BB細胞内共刺激ドメインは斜体およびCD3ζ細胞内活性化ドメインは下線を引く。
【化2】
【0064】
ある実施態様において、CARは、配列番号1と少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも85%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、さらにより好ましくは少なくとも95%同一、例えば特に好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0065】
ある実施態様において、CARは、(i)CD27の細胞外および膜内ドメイン、(ii)4-1BB細胞内共刺激ドメインおよび(iii)CD3ζ細胞内活性化ドメインを含む、本質的にそれからなるまたはそれからなり、ここで、該ドメイン(i)~(iii)は、各々独立して、配列番号1の(i)アミノ酸位置1~193、(ii)アミノ酸位置194~235および(iii)236~348と、少なくとも80%同一性、好ましくは少なくとも85%同一性、より好ましくは少なくとも90%同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%同一性、例えば特に好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%または100%同一性を示す。
【0066】
ここに記載するCAR分子が膜貫通タンパク質であり、タンパク質の細胞膜局在化を達成するために、発現時、適当なシグナルまたはリーダー配列を含めることが典型的に必要であることを当業者は認識する。このようなシグナル配列は、典型的に短(3~60アミノ酸長)N末端配置ペプチド鎖であり、所望によりおよび有利に、成熟タンパク質を産生するなどのために、タンパク質が輸送された後、シグナルペプチダーゼにより切断または処理され除かれる。シグナル配列は当分野で広く知られ、ここに教示されるCARの発現に適用され得る。ある実施態様において、シグナル配列は、CD27以外のタンパク質に由来し得る。ある好ましい実施態様において、シグナル配列は、CD27に由来し得る。ジェンバンクアクセッション番号NP_001233.2の下に注釈を付されたヒトCD27タンパク質の天然シグナル配列を下に再現する。
MARPHPWWLCVLGTLVGLS(配列番号8)
【0067】
ある実施態様において、CAR分子に含まれるシグナル配列は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。ある実施態様において、このようなシグナル配列は、上に個別化したCAR分子の何れかのN末端に融合し得る。
【0068】
故に、例示として、ある特に好ましい実施態様において、CARの前駆体形態は、下の配列番号9に示すアミノ酸を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるものであり、ここで、シグナル配列は太字、CD27の細胞外および膜内ドメインは標準文字、4-1BB細胞内共刺激ドメインは斜体およびCD3ζ細胞内活性化ドメインは下線を引く。
【化3】
【0069】
本発明の態様はまた本明細書に記載するCAR分子の何れかに関する。本発明のさらなる態様は、ここに記載するCAR分子をコードする核酸に関する。「コードする」は、核酸配列またはその一部が、問題の生物の遺伝コードにより、特定のアミノ酸配列、例えば、1以上の所望のタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列または鋳型-転写産物(例えば、RNAまたはRNAアナログ)関係で他の核酸配列に対応することを意味する。
【0070】
ここで使用する用語「核酸」は、典型的に本質的にヌクレオシド単位からなるあらゆる長さのポリマー(好ましくは直鎖ポリマー)をいう。ヌクレオシド単位は、一般にヘテロ環式塩基および糖基を含む。ヘテロ環式塩基は、とりわけ、天然に存在する核酸に広く存在するアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)などのプリンおよびピリミジン塩基、他の天然に存在する塩基(例えば、キサンチン、イノシン、ヒポキサンチン)、ならびに化学的にまたは生化学的に修飾された(例えば、メチル化)、非天然または誘導体化塩基を含む。修飾核酸塩基の例は、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンおよびN-2、N-6およびO-6置換プリンを含むが、これらに限定されない。特に、5-メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を増加することが示されている。糖基は、とりわけペントース(ペントフラノース)基、例えば、好ましくは天然に存在する核酸に一般的なリボースおよび/または2-デオキシリボースまたはアラビノース、2-デオキシアラビノース、トレオースまたはヘキソース糖基、ならびに修飾または置換糖基(例えば、限定しないが、2’-O-アルキル化、例えば、2’-O-メチル化または2’-O-エチル化糖、例えばリボース;2’-O-アルキルオキシアルキル化、例えば、2’-O-メトキシエチル化糖、例えばリボース;または2’-O,4’-C-アルキレン結合、例えば、2’-O,4’-C-メチレン結合または2’-O,4’-C-エチレン結合糖、例えばリボース;2’-フルオロ-アラビノースなど)を含み得る。ヌクレオシド単位は、とりわけ天然に存在する核酸に一般的なホスホジエステル結合およびさらに修飾ホスフェート-またはホスホネートベースの結合、例えばホスホロチオエート、アルキルホスホロチオエート、例えばメチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、例えばメチルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、例えばアルキルホスホトリエステル、ホスロアミデート、ホスホロピペラジデート、ホスホロモルホリデート、架橋ホスロアミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート;およびさらにシロキサン、カーボネート、スルファメート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、例えば3’-N-カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、3’-チオアセタールおよびスルホンヌクレオシド間結合を含む、多数の既知ヌクレオシド間結合の何れかにより互いに結合され得る。好ましくは、ヌクレオシド間結合は、修飾ホスフェートベースの結合、例えばより好ましくはホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート結合またはそれらの組み合わせを含むホスフェートベースの結合であり得る。用語「核酸」はまたポリマーを含む任意の他の核酸塩基、例えば、限定しないが、ペプチド核酸(PNA)、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノホスホロジアミデート主鎖核酸(PMO)、シクロヘキセン核酸(CeNA)、トリシクロ-DNA(tcDNA)およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを有する主鎖セクションを有する核酸を含む、核酸模倣体も包含する(例えば、Kurreck 2003 (Eur J Biochem 270: 1628-1644)参照)。ここで使用する「アルキル」は、特に低級炭化水素部分、例えば、C1-C4直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和炭化水素、例えばメチル、エチル、エテニル、プロピル、1-プロペニル、2-プロペニルおよびイソプロピルを包含する。
【0071】
ここで意図する核酸は、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたはそれらの混合物を含み得る。修飾ヌクレオシドは、修飾ヘテロ環式塩基、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間結合またはそれらの組み合わせを含み得る。用語「核酸」は、さらに好ましくは、特にhnRNA、プレmRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、増幅産物、オリゴヌクレオチドおよび合成(例えば、化学合成)DNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッドを含む、DNA、RNAおよびDNA/RNAハイブリッド分子を包含する。核酸は、天然に存在する、例えば、天然物に存在するまたは天然物から単離された、組み換え、すなわち、組み換えDNA技術により産生されたおよび/または部分的にまたは全体に、化学的にまたは生化学的に合成されたものであり得る。「核酸」は、二本鎖、部分的二本鎖または一本鎖。一本鎖であるとき、核酸はセンス鎖でもアンチセンス鎖でもよい。さらに、核酸は、環状でも直線状でもよい。
【0072】
ある実施態様において、特に配列番号10に示すものなどのCD27の細胞外および膜内ドメインは、配列番号11
GCTACACCAGCTCCTAAGAGCTGCCCCGAGAGACACTATTGGGCCCAGGGCAAGCTGTGCTGCCAGATGTGTGAACCTGGCACCTTCCTGGTCAAGGACTGCGACCAGCACAGAAAGGCCGCTCAGTGCGATCCTTGTATCCCCGGCGTGTCCTTCTCTCCCGACCACCACACAAGACCTCACTGCGAGAGCTGCAGACACTGCAATTCTGGACTGCTCGTGCGGAACTGCACCATCACAGCCAATGCCGAGTGCGCCTGCAGAAATGGCTGGCAGTGCCGGGACAAAGAATGTACCGAGTGCGACCCTCTGCCTAATCCTAGCCTGACCGCCAGAAGCAGCCAGGCTTTGTCTCCTCATCCTCAGCCTACACATCTGCCCTACGTGTCCGAGATGCTGGAAGCCAGAACAGCCGGCCATATGCAGACCCTGGCCGACTTTAGACAGCTGCCCGCCAGAACACTGAGCACCCATTGGCCTCCACAGAGAAGCCTGTGCAGCAGCGACTTCATCCGGATCCTCGTGATCTTCAGCGGCATGTTCCTGGTGTTCACACTGGCTGGCGCCCTGTTTCTGCAT(配列番号11)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、配列番号11の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、例えば、CD27の細胞外および膜内ドメインが、配列番号11と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、それから本質的になるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0073】
ある実施態様において、特に配列番号6に示すものなどのヒトCD3ζ細胞内活性化ドメインは、配列番号12
CGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACAAGCAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGGACTCAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCTCTTCACATGCAGGCCCTGCCGCCTCGG(配列番号12)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、配列番号12の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、例えば、ヒトCD3ζ細胞内活性化ドメインが配列番号12に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0074】
ある実施態様において、特に配列番号7に示すものなどのヒト4-1BB細胞内共刺激ドメインは、配列番号13
AAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTG(配列番号13)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、配列番号13の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、例えば、ヒト4-1BB細胞内共刺激ドメインが配列番号13に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0075】
ある実施態様において、特に配列番号9に示すものなどのここに教示されるCARの前駆体形態は、配列番号14
ATGGCCAGACCTCATCCTTGGTGGCTGTGTGTGCTGGGCACACTCGTTGGCCTGTCTGCTACACCAGCTCCTAAGAGCTGCCCCGAGAGACACTATTGGGCCCAGGGCAAGCTGTGCTGCCAGATGTGTGAACCTGGCACCTTCCTGGTCAAGGACTGCGACCAGCACAGAAAGGCCGCTCAGTGCGATCCTTGTATCCCCGGCGTGTCCTTCTCTCCCGACCACCACACAAGACCTCACTGCGAGAGCTGCAGACACTGCAATTCTGGACTGCTCGTGCGGAACTGCACCATCACAGCCAATGCCGAGTGCGCCTGCAGAAATGGCTGGCAGTGCCGGGACAAAGAATGTACCGAGTGCGACCCTCTGCCTAATCCTAGCCTGACCGCCAGAAGCAGCCAGGCTTTGTCTCCTCATCCTCAGCCTACACATCTGCCCTACGTGTCCGAGATGCTGGAAGCCAGAACAGCCGGCCATATGCAGACCCTGGCCGACTTTAGACAGCTGCCCGCCAGAACACTGAGCACCCATTGGCCTCCACAGAGAAGCCTGTGCAGCAGCGACTTCATCCGGATCCTCGTGATCTTCAGCGGCATGTTCCTGGTGTTCACACTGGCTGGCGCCCTGTTTCTGCATAAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACAAGCAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGGACTCAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCTCTTCACATGCAGGCCCTGCCGCCTCGG(配列番号14)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、配列番号14の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、例えば、CARが配列番号14に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0076】
核酸に含まれる遺伝情報により駆動される、宿主細胞などの適当な系におけるCARタンパク質の産生のためであるCARをコードする核酸を発現させるために、核酸を、当分野で一般的であるとおり、発現カセットまたはベクターの成分として挿入されるかまた他の方法で作製されたなどの発現可能形式で提供し得る。従って、本発明の態様はまた発現可能形式のここに開示するCAR分子をコードする核酸にも関する。ある実施態様は、CARコード化核酸を含む発現カセットまたは発現ベクターに関する。
【0077】
用語「発現カセット」は、目的の1以上のタンパク質のコード配列が発現のために挿入され得る核酸分子、典型的にDNAを包含し、ここで、該核酸分子は、コード配列に操作可能に連結し、発現を制御する1以上の核酸配列(制御配列)を含み、その非限定的例は、プロモーター配列および転写ターミネーターを含む。「操作可能な結合」は、制御配列および発現させようとする配列が、該発現を可能とするような方法で接続される、結合である。例えば、プロモーターおよび目的のタンパク質のコード配列などの、例えば、配列は、該配列間の結合の性質が(1)フレームシフトの導入をもたらす、(2)プロモーターがコード配列の転写を指示する能力を妨害する、(3)コード配列がプロモーター配列から転写される能力を妨害するものではない限り、操作可能に連結といってよい。故に、「操作可能に連結」は、プロモーターなどの発現制御配列が目的の配列の転写/発現を効率的に制御するように、遺伝構築物に組み込まれ得る。発現に必要な転写および翻訳制御配列または要素の厳密な性質は発現環境毎に異なり得るが、典型的に転写制御配列はプロモーター、所望によりエンハンサーおよび転写ターミネーターを含む。
【0078】
「プロモーター」の言及はその最も広い意味と解釈すべきであり、正確な転写開始および、適用可能であれば、遺伝子発現の正確な空間および/または時間的制御または、例えば、内部または外部(例えば、外因的)刺激に対する、その応答に必要な転写制御配列を含む。より具体的に、「プロモーター」は、RNAポリメラーゼが結合し、転写を開始する、核酸分子、好ましくはDNA分子の領域を表し得る。プロモーターは、好ましくは、しかし必ずしもそうではないが、転写を制御する配列の上流、すなわち、5’に位置する。典型的に、原核生物において、プロモーター領域はプロモーターそれ自体およびRNAに転写されたときタンパク質合成開始のシグナルを伝達する配列(例えば、シャイン・ダルガノ配列)の両方を含む。プロモーター配列はまた、遺伝子クラスターにおける遺伝子の転写レベルを増強するためにタンパク質と結合できるDNAの1以上の領域(すなわちトランス作用因子)である、「エンハンサー領域」も含み得る。エンハンサーは、典型的にコード領域の5’末端であるが、プロモーター配列から離されてよく、例えば、遺伝子のイントロン領域内または遺伝子のコード領域に対して3’であってよい。
【0079】
ある実施態様において、プロモーターは構成的でも誘導型でもよい。構成的プロモーターは、発現が標準培養条件下で一定であるプロモーターと理解される。誘導型プロモーターは、1以上の誘導因子に応答性であるプロモーターである。例えば、誘導型プロモーターは化学的制御(例えば、転写活性がアルコール、テトラサイクリン、ステロイド、金属または他の小分子などの化学的誘導剤の存在または非存在により制御されるプロモーター)または物理的制御(例えば、転写活性が光または高温もしくは低温などの物理的誘導因子の存在または非存在により制御されるプロモーター)であり得る。誘導型プロモーターはまた化学的または物理的因子により直接制御される、1以上の転写因子により間接的に制御もされ得る。プロモーターの非限定的例は、T7、U6、H1、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーターおよびEF1αプロモーターを含む。
【0080】
用語「ターミネーター」または「転写ターミネーター」は、一般に転写停止のシグナルを伝達する転写単位末端の配列要素をいう。例えば、ターミネーターは、通常目的のポリペプチドをコードするコード配列の下流、すなわち、3’に位置する。例えば、組み換え核酸が2以上のコード配列を含むとき、例えば、連続して整列したおよび一体となって多シストロン性転写単位を形成する、転写ターミネーターが、有利に最も下流のコード配列に対して位置する。
【0081】
ここで使用する用語「発現ベクター」または「ベクター」は、核酸フラグメントが挿入され、クローン化、すなわち、増殖され得る、核酸分子、典型的にDNAをいう。故に、ベクターは、典型的に1以上の特有の制限部位を含み、クローン化配列が再生可能であるように、規定した細胞または媒体生物で自律的再現できる。ベクターはまた好ましくは、ベクターを含むレシピエント細胞の選択を可能とする、例えば、抗生物質耐性遺伝子などの選択マーカーも含み得る。ベクターは、適切に、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージ、バクテリオファージ由来ベクター、PAC、BAC、直鎖核酸、例えば、直鎖DNA、トランスポゾン、ウイルスベクターなどを含み得るが、これらに限定されない(例えば、Sambrook et al., 1989; Ausubel 1992参照)。ウイルスベクターは、とりわけレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクター、例えば、HIV、SV40、EBV、HSVまたはBPVに基づくベクターを含み得る。発現ベクターは、一般に所望の発現系、例えば、インビトロ、細胞、臓器および/または生物で導入された核酸またはオープンリーディングフレームの発現を可能にするおよび/または発現に作用するよう構成される。例えば、発現ベクターは有利に適当な制御配列を含み得る。
【0082】
特定のベクターの選択に重要な因子は、とりわけ、ベクターを含むレシピエント細胞の認識が容易であり、ベクターを含まないレシピエント細胞から選別され得るレシピエント細胞の選択;特定のレシピエント細胞で所望のベクターのコピー数;レシピエント細胞においてベクターが染色体に統合されるかまたは染色体外のままであるかの何れが所望であるか;および異なる種のレシピエント細胞間でベクターを「シャトル」できるのが所望であるか否かを含む。
【0083】
発現ベクターは自律的または統合的であり得る。核酸を、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミドまたはウイルス粒子などの発現ベクターの形で細胞に導入得る。組み換え核酸は染色体外に留まり得るかまたは細胞染色体DNAに統合され得る。発現ベクターは、所望の核酸で形質転換された細胞の検出および/または選択を可能にするために、選択条件下で細胞生存能に必要なタンパク質をコードする選択マーカー遺伝子(例えば、ウラシル生合成に必要な酵素であるURA3またはロイシン生合成に必要な酵素であるLEU2またはトリプトファン生合成に必要な酵素であるTRP1)を含み得る。発現ベクターはまた自律的再現配列(ARS)も含み得る。ARSは、セントロメア(CEN)および再現起点(ORI)を含み得る。例えば、ARSは、ARS18またはARS68であり得る。
【0084】
統合的ベクターは、一般に少なくとも第一挿入可能DNAフラグメント、選択可能マーカー遺伝子および第二挿入可能DNAフラグメントの連続して配置された配列を含む。第一および第二挿入可能DNAフラグメントは各々約200(例えば、約250、約300、約350、約400、約450、約500または約1000またはそれ以上)ヌクレオチド長であり、形質転換すべき細胞種のゲノムDNAの一部と相同であるヌクレオチド配列を含む。発現のための目的の核酸を含むヌクレオチド配列を、第一および第二挿入可能DNAフラグメントの間、マーカー遺伝子の前後何れかでこのベクターに挿入する。統合的ベクターは、目的のヌクレオチド配列の細胞ゲノムへの組込みを促進するため、形質転換前に直線化し得る。
【0085】
目的の細胞へのベクターの導入前、ベクターをエシェリヒア・コリ(大腸菌)などの細菌細胞で増殖(例えば、増幅)させ得る。ベクターDNAを、細菌環境からのベクターDNAの精製をもたらす当分野で知られる方法の何れかにより細菌細胞から単離し得る。精製ベクターDNAを、プラスミドDNA調製物に、大腸菌タンパク質が、これらのタンパク質が哺乳動物細胞に毒性であり得るため、存在しないことを確実にするため、フェノール、クロロホルムおよびエーテルで徹底的に抽出する。
【0086】
ある実施態様において、発現可能な形式でCARをコードする核酸は、DNA分子が哺乳動物細胞、特にヒトNK細胞などのヒト細胞などの動物細胞に導入されたとき、CARタンパク質の発現(細胞性翻訳機構によるDNA CARコード配列の対応するCARメッセンジャーRNA分子への転写および後者のタンパク質への翻訳)を駆動するように構成されたDNA分子であり得る。ある実施態様において、発現可能な形式でCARをコードする核酸は、CARタンパク質のコード配列を含む発現カセットまたは発現ベクターであり得る。ある実施態様において、これは、CARタンパク質のDNAコード配列を含むDNA発現カセットまたは発現ベクターが重要であり得る。ある他の実施態様において、発現可能な形式でCARをコードする核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)分子が哺乳動物細胞、特にヒトNK細胞などのヒト細胞などの動物細胞に導入されたとき、CARタンパク質の発現(細胞性翻訳機構によるRNA分子に含まれるコード配列のタンパク質への翻訳)を駆動するように構成されたmRNAなどのRNA分子であり得る。このようなmRNAは、CARコード配列を含む発現カセットまたはベクターからのインビトロ転写などの当分野で利用可能な任意の適当な手段により産生され得る。
【0087】
核酸を動物細胞に導入する種々の周知方法が存在し、そのいずれもここで使用する。最も単純には、核酸を標的細胞に直接注入し得る。他の方法は、レシピエント細胞と核酸含有細菌プロトプラストの融合、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、塩化リチウム、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、カチオン性脂質もしくはリポソームなどの組成物の使用または受容体介在エンドサイトーシス、微粒子銃(「遺伝子銃」方法)、ウイルスベクター(すなわちレンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、レトロウイルスまたはアンチウイルス由来)での感染、エレクトロポレーションなどの方法などを含む。核酸分子の標的細胞への送達に適する他の技術または方法は、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)ポリマーマイクロスフェアからのNA分子の連続的送達または保護(安定化)NA分子の産物を送達するマイクロポンプへの直接注入を含む。他の可能性は、植込み型薬物放出生分解性マイクロスフェアの使用である。また想起されるのは、種々のタイプのリポソーム(免疫リポソーム、ペグ化(免疫)リポソーム)、カチオン性脂質およびポリマー、ナノ粒子またはデンドリマー、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)ポリマーマイクロスフェア、植込み型薬物放出生分解性マイクロスフェアなどへのNAの封入;およびNAとヌクレアーゼ阻害剤アウリントリカルボン酸などの保護剤の共注入である。種々の上記送達モードまたは方法の組み合わせを使用し得ることも明らかである。
【0088】
上記説明およびガイダンスに加えて、目的のタンパク質を「発現するよう操作された細胞」なる用語は、特に、目的のタンパク質をコードする外因的核酸が利用可能な技術的手段により導入または挿入されている細胞などの目的のタンパク質をコードする核酸を含むように人為的に改変または操作された細胞を意味する。
【0089】
既に記載したとおり、本発明は、特にここに記載するCARタンパク質を発現するようなナチュラルキラー(NK)細胞の遺伝子操作を企図する。NK細胞により産生されるCARタンパク質の量であるCARの発現レベルは、典型的に、下限で、発現レベルが、CD70陽性標的細胞上で特に細胞毒性作用(例えば、CD70陽性標的細胞の損傷または死滅)などの作用を誘発するなどNK細胞内で意味のある強度の細胞内シグナル産生と結びついた標的細胞上のCD70に特異性を有する細胞とするのに十分であるとの優先性または必要性、そして、上限で、外因的CARタンパク質の過剰な過発現によるNK細胞の生存能または機能性の減少を回避するとの優先性または必要性により決定され得る、許容される範囲内で変わり得る。このような量的考察は、当業者により適用され得る。
【0090】
修飾語句「単離」は、ここで意図するNK細胞と関連して明確に記載されている必要はないが、本発明が体外でのNK細胞の操作に関連するため、そのように操作されたNK細胞のインビトロまたはエクスビボおよびその後の治療用途を含むのが便利であり得る。特定の成分を参照する用語「単離」は、一般に、そのような成分がその天然環境の1以上の他の成分から離されて存在する - 例えば、離されているまたは離されて調製および/または維持されている - ことを意味する。より具体的に、細胞または細胞集団に関連してここで使用する用語「単離」は、このような細胞または細胞集団が動物またはヒト身体の一部ではない、例えば、細胞はインビトロまたはエクスビボで培養、選別または保管され得ることを意味する。
【0091】
天然NK細胞は、表現型および機能両者の点でリンパ球の明白な集団である。NK細胞は、大顆粒状リンパ球形態を有し、特徴的NK細胞表面受容体を発現し、T細胞受容体(TCR)再配列およびT細胞、B細胞、単球および/またはマクロファージ細胞表面マーカー両者を欠く。細胞は、標的細胞をアポトーシスにより死滅させる、小細胞質顆粒のタンパク質(パーフォリンおよびグランザイム)により死滅する。NK細胞は、MHCクラスI分子、MHCクラスI様分子およびMHCと無関係の分子と結合する多数の阻害性および活性化受容体を介して、潜在的「標的」細胞と健常細胞を区別する機構を有する。阻害性NK細胞受容体は、HLA-E(CD94/NKG2A);HLA-C(グループ1または2)、KIR2DL;KIR3DL(HLA-B Bw4)およびHLA-A3またはA4+ペプチドを含む。活性化NK細胞受容体は、HLA-E(CD94/NKG2C);KIR2DS(HLA-C)およびKIR3DS(HLA-Bw4)を含む。他の受容体は、NK細胞受容体タンパク質-1およびIgGFc部分に対する低親和性受容体(FcyRIII;CD16)を含む。「活性化」および「阻害性」表面受容体は、天然NK細胞の細胞毒性活性を制御する。
【0092】
NK細胞は、CD3発現の非存在と共に、ヒトにおいてCD16、CD56およびCD8などの特異的表面マーカーにより検出され得る。
【0093】
ある実施態様において、NK細胞はヒト対象などの対象から単離され得る。ある実施態様において、NK細胞は対象の臍帯血または末梢血から単離され得る。ある実施態様において、NK細胞は造血幹細胞または誘導多能性幹(iPS)細胞からインビトロで分化され得る。ある実施態様において、NK細胞はヒト末梢血単核細胞(PBMC)、非刺激白血球除去産物(PBSC)、ヒト胚幹細胞(hESC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、骨髄または臍帯血に由来し得る。このような源からNK細胞を単離するまたは導く方法は当分野で周知である。具体的実施態様において、NK細胞は臍帯血(CB)、末梢血(PB)、骨髄または幹細胞から単離され得る。具体的実施態様において、NK細胞は貯蔵CBから単離され得る。CBは、2、3、4、5、6、7、8、10、20またはそれ以上の単位から貯蔵され得る。
【0094】
ある実施態様において、NK細胞の出発集団は、フィコール密度勾配遠心分離を使用する単核細胞の単離により得られ得る。細胞培養は、CD3、CD14を発現するあらゆる細胞および/またはCD19細胞を枯渇させてよくおよびCD56+/CD3細胞(NK細胞)のパーセンテージの決定のために特徴づけしてよい。
【0095】
ある実施態様において、NK細胞は、投与される対象に対して自己でも同種でもよい。ある好ましい実施態様において、NK細胞は、NK細胞が移植片対宿主病を促進することなく同種設定で適用できるため、投与される対象に対して同種であり得る。ある実施態様において、NK細胞は、投与される対象についてハプロタイプマッチであり得る。
【0096】
ある実施態様において、NK細胞は、クローンNK細胞株であり得る。NK細胞株は、典型的に当分野で知られるNKリンパ腫/白血病由来である。NK細胞株の非限定的例は、YTS、NK92(NK-92)、NK3.3、NKLおよびNK101細胞株を含む。ある好ましい実施態様において、NK細胞はNK-92細胞である。NK-92細胞はよく特徴付けられており、しばしば前臨床的および臨床的設定で使用される。
【0097】
一次NK細胞は患者から単離でき、健常ドナーから単離できまたは公的細胞コレクションから購入できる。例としておよび限定しないが、血液から単離した一次ヒトCD56+NK細胞は、カタログ番号PCS-800-019の下、American Type Culture Collection (ATCC), 10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110, USAから入手可能であり、NK細胞株、特にNK-92細胞株は、カタログ番号CRL-2407およびCRL-2408の下ATCCから入手可能であり(後者はCRL-2407に由来し、インターロイキン-2非依存的である)ならびにカタログ番号# ACC 488の下German Collection of Microorganisms and Cell Cultures GmbH (DSMZ)から入手可能である。
【0098】
ある実施態様において、NK細胞をインビトロで培養し得る。NK細胞の培養、増殖および拡張およびエクスビボを含むインビトロでのその性質の修飾は、よく特徴付けられている。限定しないが、実施例部分は、適当な1以上の血清(例えば、ウシ胎児血清および/またはウマ血清)、抗生物質混合物、L-グルタミンおよびインターロイキン2(IL-2)を添加した標準α-MEM培地でのNK細胞の培養を示す。IL-2、12、15、18および/または21を含むサイトカインインターロイキンの使用、自己アクセサリー非NK細胞の共培養または増殖不活性化フィーダー細胞の付加などのNK細胞を培養するさらなる方法は、例えばGranzin et al. (Front Immunol. 2017, 8:458)に記載される。
【0099】
ある実施態様において、ここに意図するは、1以上の免疫刺激性サイトカイン、好ましくは1以上の免疫刺激性インターロイキン(IL)、特に1以上のヒトサイトカインまたはインターロイキンをさらに発現するよう操作され得る。適当なインターロイキンの例は、IL-15、IL-12および/またはIL-21、特にヒトIL-15、IL-12および/またはIL-21を含む。好ましくは、免疫刺激性インターロイキンはIL-15またはIL-21または両方である。好ましくは、免疫刺激性インターロイキンはヒトIL-15またはヒトIL-21または両方である。特に好ましくは、免疫刺激性インターロイキンはヒトIL-15である。ある実施態様において、CARおよび任意的な1以上の免疫刺激性サイトカインの発現は各々独立して構成的または誘導型である。
【0100】
ガイダンスの手段としておよび限定しないが、ヒトインターロイキン-15アイソフォーム1プレプロタンパク質およびヒトインターロイキン-15アイソフォーム2プレプロタンパク質は、それぞれジェンバンクアクセッション番号NP_000576.1およびNP_751915.1下に注釈を付されている。
【0101】
ヒトIL-15アイソフォーム1プレタンパク質の一つの具体例を下に再現する。
MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号15)。
【0102】
ある実施態様において、IL-15は、配列番号15と少なくとも80%同一、例えば配列番号15と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号15と少なくとも90%同一、例えば配列番号15と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号15と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、IL-15は、配列番号15に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0103】
ある実施態様において、特に配列番号15に示すものなどのヒトIL-15は、配列番号16
ATGAGAATCAGCAAGCCCCACCTGAGATCCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTTCTGACAGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGTTTTTCTGCCGGCCTGCCTAAGACCGAGGCCAACTGGGTTAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACACTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCTAGCTGTAAAGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAAGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAAAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAATGTGACCGAGTCCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAATATCAAAGAGTTCCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGC(配列番号16)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、配列番号16の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、例えば、ヒトIL-15が配列番号16に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0104】
ガイダンスの手段としておよび限定しないが、ヒトインターロイキン-21アイソフォーム1前駆体およびヒトIL-21アイソフォーム2前駆体は、ジェンバンクアクセッション番号NP_068575.1およびNP_001193935.1の下に注釈を付さrている。
【0105】
ヒトIL-21アイソフォーム1前駆体(NP_068575.1)のある具体例を下に再現する。
MRSSPGNMERIVICLMVIFLGTLVHKSSSQGQDRHMIRMRQLIDIVDQLKNYVNDLVPEFLPAPEDVETNCEWSAFSCFQKAQLKSANTGNNERIINVSIKKLKRKPPSTNAGRRQKHRLTCPSCDSYEKKPPKEFLERFKSLLQKMIHQHLSSRTHGSEDS(配列番号23)。
【0106】
ヒトIL-21アイソフォーム2前駆体(NP_001193935.1)のある具体例を下に再現する。
MRSSPGNMERIVICLMVIFLGTLVHKSSSQGQDRHMIRMRQLIDIVDQLKNYVNDLVPEFLPAPEDVETNCEWSAFSCFQKAQLKSANTGNNERIINVSIKKLKRKPPSTNAGRRQKHRLTCPSCDSYEKKPPKEFLERFKSLLQKVSTLSFI(配列番号24)。
【0107】
ある実施態様において、IL-21は、配列番号23または24、好ましくは配列番号23と少なくとも80%同一;例えば配列番号23または24、好ましくは配列番号23と少なくとも85%同一;好ましくは配列番号23または24、好ましくは配列番号23と少なくとも90%同一;例えば配列番号23または24、好ましくは配列番号23と少なくとも95%同一;より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号23または24、好ましくは配列番号23と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、IL-21は、配列番号23または24に示すアミノ酸配列、好ましくは配列番号23を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0108】
ある実施態様において、特に配列番号23または24に示すものなどのヒトIL-21は、それぞれアクセッション番号NM_021803.4またはNM_001207006.2下にジェンバンクに注釈を付されているまたは配列番号25
ATGAGATCCAGTCCTGGCAACATGGAGAGGATTGTCATCTGTCTGATGGTCATCTTCTTGGGGACACTGGTCCACAAATCAAGCTCCCAAGGTCAAGATCGCCACATGATTAGAATGCGTCAACTTATAGATATTGTTGATCAGCTGAAAAATTATGTGAATGACTTGGTCCCTGAATTTCTGCCAGCTCCAGAAGATGTAGAGACAAACTGTGAGTGGTCAGCTTTTTCCTGCTTTCAGAAGGCCCAACTAAAGTCAGCAAATACAGGAAACAATGAAAGGATAATCAATGTATCAATTAAAAAGCTGAAGAGGAAACCACCTTCCACAAATGCAGGGAGAAGACAGAAACACAGACTAACATGCCCTTCATGTGATTCTTATGAGAAAAAACCACCCAAAGAATTCCTAGAAAGATTCAAATCACTTCTCCAAAAGATGATTCATCAGCATCTGTCCTCTAGAACACACGGAAGTGAAGATTCC(配列番号25)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、NM_021803.4、NM_001207006.2または配列番号25の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、ここで、ヒトIL-21は、NM_021803.4、NM_001207006.2または配列番号25と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0109】
ガイダンスの手段としておよび限定しないが、ヒトインターロイキン-12サブユニットアルファ(IL-12A)前駆体は、ジェンバンクアクセッション番号NP_000873.2(アイソフォーム1)、NP_001341511.1(アイソフォーム2)、NP_001341512.1(アイソフォーム3)およびNP_001384921.1(アイソフォーム4)の下に注釈を付されている。ガイダンスの手段としておよび限定しないが、ヒトインターロイキン-12サブユニットベータ(IL-12B)前駆体は、ジェンバンクアクセッション番号NP_002178の下に注釈を付されている。まとめて、IL-12A(p35)およびIL-12B(p40)は、p70と称されるヘテロ二量体活性サイトカインを形成する。
【0110】
ヒトIL-12A、すなわちアイソフォーム1前駆体(NP_000873.2)のある具体例を下に再現する。
MWPPGSASQPPPSPAAATGLHPAARPVSLQCRLSMCPARSLLLVATLVLLDHLSLARNLPVATPDPGMFPCLHHSQNLLRAVSNMLQKARQTLEFYPCTSEEIDHEDITKDKTSTVEACLPLELTKNESCLNSRETSFITNGSCLASRKTSFMMALCLSSIYEDLKMYQVEFKTMNAKLLMDPKRQIFLDQNMLAVIDELMQALNFNSETVPQKSSLEEPDFYKTKIKLCILLHAFRIRAVTIDRVMSYLNAS(配列番号26)。
【0111】
CARと共発現されるヒトIL-12Aサブユニットのある具体例を下に再現する。
MCPARSLLLVATLVLLDHLSLARNLPVATPDPGMFPCLHHSQNLLRAVSNMLQKARQTLEFYPCTSEEIDHEDITKDKTSTVEACLPLELTKNESCLNSRETSFITNGSCLASRKTSFMMALCLSSIYEDLKMYQVEFKTMNAKLLMDPKRQIFLDQNMLAVIDELMQALNFNSETVPQKSSLEEPDFYKTKIKLCILLHAFRIRAVTIDRVMSYLNAS(配列番号27)。
【0112】
ヒトIL-12B前駆体(NP_002178.2)のある具体例を下に再現する。
MCHQQLVISWFSLVFLASPLVAIWELKKDVYVVELDWYPDAPGEMVVLTCDTPEEDGITWTLDQSSEVLGSGKTLTIQVKEFGDAGQYTCHKGGEVLSHSLLLLHKKEDGIWSTDILKDQKEPKNKTFLRCEAKNYSGRFTCWWLTTISTDLTFSVKSSRGSSDPQGVTCGAATLSAERVRGDNK眼YSVECQEDSACPAAEESLPIEVMVDAVHKLKYENYTSSFFIRDIIKPDPPKNLQLKPLKNSRQVEVSWEYPDTWSTPHSYFSLTFCVQVQGKSKREKKDRVFTDKTSATVICRKNASISVRAQDRYYSSSWSEWASVPCS(配列番号28)。
【0113】
ある実施態様において、IL-12AおよびIL-12Bは、配列番号26~28と少なくとも80%同一、例えば配列番号26~28と少なくとも85%同一、好ましくは配列番号26~28と少なくとも90%同一、例えば配列番号26~28と少なくとも95%同一、より好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または配列番号26~28と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる各ポリペプチドをいう。特に好ましい実施態様において、IL-12Aは、配列番号26または27に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。特に好ましい実施態様において、IL-12Bは、配列番号28に示すアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0114】
ある実施態様において、ヒトIL-12A前駆体は、アクセッション番号NM_000882.3(アイソフォーム1)、NM_001354582.2(アイソフォーム2)、NM_001354583.2(アイソフォーム3)、NM_001397992.1(アイソフォーム4)下にジェンバンクに注釈を付されているまたは配列番号29:
ATGTGTCCAGCGCGCAGCCTCCTCCTTGTGGCTACCCTGGTCCTCCTGGACCACCTCAGTTTGGCCAGAAACCTCCCCGTGGCCACTCCAGACCCAGGAATGTTCCCATGCCTTCACCACTCCCAAAACCTGCTGAGGGCCGTCAGCAACATGCTCCAGAAGGCCAGACAAACTCTAGAATTTTACCCTTGCACTTCTGAAGAGATTGATCATGAAGATATCACAAAAGATAAAACCAGCACAGTGGAGGCCTGTTTACCATTGGAATTAACCAAGAATGAGAGTTGCCTAAATTCCAGAGAGACCTCTTTCATAACTAATGGGAGTTGCCTGGCCTCCAGAAAGACCTCTTTTATGATGGCCCTGTGCCTTAGTAGTATTTATGAAGACTTGAAGATGTACCAGGTGGAGTTCAAGACCATGAATGCAAAGCTTCTGATGGATCCTAAGAGGCAGATCTTTCTAGATCAAAACATGCTGGCAGTTATTGATGAGCTGATGCAGGCCCTGAATTTCAACAGTGAGACTGTGCCACAAAAATCCTCCCTTGAAGAACCGGATTTTTATAAAACTAAAATCAAGCTCTGCATACTTCTTCATGCTTTCAGAATTCGGGCAGTGACTATTGATAGAGTGATGAGCTATCTGAATGCTTCC(配列番号29)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、NM_000882.3、NM_001354582.2、NM_001354583.2、NM_001397992.1または配列番号29の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、ここで、ヒトIL-12AがNM_000882.3、NM_001354582.2、NM_001354583.2、NM_001397992.1または配列番号29と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0115】
ある実施態様において、ヒトIL-12B前駆体はアクセッション番号NM_002187.2の下ジェンバンクに注釈を付されているまたは配列番号30:
ATGTGTCACCAGCAGTTGGTCATCTCTTGGTTTTCCCTGGTTTTTCTGGCATCTCCCCTCGTGGCCATATGGGAACTGAAGAAAGATGTTTATGTCGTAGAATTGGATTGGTATCCGGATGCCCCTGGAGAAATGGTGGTCCTCACCTGTGACACCCCTGAAGAAGATGGTATCACCTGGACCTTGGACCAGAGCAGTGAGGTCTTAGGCTCTGGCAAAACCCTGACCATCCAAGTCAAAGAGTTTGGAGATGCTGGCCAGTACACCTGTCACAAAGGAGGCGAGGTTCTAAGCCATTCGCTCCTGCTGCTTCACAAAAAGGAAGATGGAATTTGGTCCACTGATATTTTAAAGGACCAGAAAGAACCCAAAAATAAGACCTTTCTAAGATGCGAGGCCAAGAATTATTCTGGACGTTTCACCTGCTGGTGGCTGACGACAATCAGTACTGATTTGACATTCAGTGTCAAAAGCAGCAGAGGCTCTTCTGACCCCCAAGGGGTGACGTGCGGAGCTGCTACACTCTCTGCAGAGAGAGTCAGAGGGGACAACAAGGAGTATGAGTACTCAGTGGAGTGCCAGGAGGACAGTGCCTGCCCAGCTGCTGAGGAGAGTCTGCCCATTGAGGTCATGGTGGATGCCGTTCACAAGCTCAAGTATGAAAACTACACCAGCAGCTTCTTCATCAGGGACATCATCAAACCTGACCCACCCAAGAACTTGCAGCTGAAGCCATTAAAGAATTCTCGGCAGGTGGAGGTCAGCTGGGAGTACCCTGACACCTGGAGTACTCCACATTCCTACTTCTCCCTGACATTCTGCGTTCAGGTCCAGGGCAAGAGCAAGAGAGAAAAGAAAGATAGAGTCTTCACGGACAAGACCTCAGCCACGGTCATCTGCCGCAAAAATGCCAGCATTAGCGTGCGGGCCCAGGACCGCTACTATAGCTCATCTTGGAGCGAATGGGCATCTGTGCCCTGCAGT(配列番号30)
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、所望により、ここで、NM_002187.2または配列番号30における任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、ここで、ヒトIL-12BがNM_002187.2または配列番号30と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0116】
ある実施態様において、CARおよび免疫刺激性サイトカイン、例えばIL-15、IL-12および/またはIL-21、例えば特にIL-15および/またはIL-21、例えばさらにより具体的にIL-15は2個の別のオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされ得る。ある実施態様において、2個の別のORFは同じポリヌクレオチドまたは2個の別のポリヌクレオチドに含まれ得る。ある実施態様において、2個の別のORFは単一転写単位または2個の別の転写単位に含まれ得る。ある実施態様において、2個の別のORFは単一mRNA分子または2個の別のmRNA分子に含まれ得る。
【0117】
ある実施態様において、CARおよび免疫刺激性サイトカイン、例えばIL-15、IL-12および/またはIL-21、例えば特にIL-15および/またはIL-21、例えばさらにより具体的にIL-15は、CARとサイトカインアミノ酸配列の間に配置されたリボソームスキッピングまたは自発的タンパク質分解に感受性のペプチド配列と共に、単一ORFにより含まれ得る。例として、2A自己切断ペプチドをコードする配列を、CARをコードする配列とサイトカインをコードする配列の間に挿入し得る。2Aペプチドの例は、T2A(EGRGSLLTCGDVEENPGP、配列番号17)、P2A(ATNFSLLKQAGDVEENPGP、配列番号18)、E2A(QCTNYALLKLAGDVESNPGP、配列番号19)およびF2A(VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP、配列番号20)を含む。任意的なGSGトリペプチドを、効率を上げるためにN末端に導入してよい。従って、ある実施態様において、CARおよびサイトカインは、その間に挿入された2Aペプチドを含むポリペプチドをコードする配列と同じORF内でコードされる。
【0118】
従って、例示として、ある特に好ましい実施態様において、CAR-P2A-IL15前駆体は下の配列番号21に示すアミノ酸を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるものであり、ここで、シグナル配列は太字、CD27の細胞外および膜内ドメインは標準文字、4-1BB細胞内共刺激ドメインは斜体、CD3ζ細胞内活性化ドメインは下線を引き、GSG-P2A自己切断ペプチドは太字斜体およびIL-15は下線を引かれた太字である。
【化4】
【0119】
ある実施態様において、CAR-P2A-IL15前駆体は、配列番号21と少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも85%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、さらにより好ましくは少なくとも95%同一、例えば特に好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0120】
ある実施態様において、特に配列番号21に示すものなどのここに教示するCAR-P2A-IL15前駆体形態は、配列番号22または31
【化5】
【化6】
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、ここで、CAR-P2A-IL15コード配列のATG開始およびTAA停止コドンは太字、SpeI制限部位は下線を引き、GCCACCコザック配列は斜体およびXhoI制限部位は二重下線を引き、IL-15カセットに隣接するEcoRI制限部位は太字斜体であり(明らかに、他の制限部位は、実験の便宜上、含まれていても含まれていなくてもよい)、所望により、ここで、配列番号22または31の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、ここで、CAR-P2A-IL15前駆体が配列番号22または31と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0121】
さらも、例示として、ある特に好ましい実施態様において、CAR-P2A-IL21前駆体は下の配列番号32に示すアミノ酸を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるものであり、ここで、シグナル配列は太字、CD27の細胞外および膜内ドメインは標準文字、4-1BB細胞内共刺激ドメインは斜体、CD3ζ細胞内活性化ドメインは下線を引き、GSG-P2A自己切断ペプチドは太字斜体およびIL-21は下線を引かれた太字である。
【化7】
【0122】
ある実施態様において、CAR-P2A-IL21前駆体は、配列番号32と少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも85%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、さらにより好ましくは少なくとも95%同一、例えば特に好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0123】
ある実施態様において、特に配列番号32に示すものなどのここに教示するCAR-P2A-IL21前駆体形態は、配列番号33
【化8】
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、ここで、CAR-P2A-IL21コード配列のATG開始およびTAA停止コドンは太字、SpeI制限部位は下線を引き、GCCACCコザック配列は斜体およびXhoI制限部位は二重下線を引き、IL-21カセットに隣接するEcoRI制限部位は太字斜体であり(明らかに、他の制限部位は、実験の便宜上、含まれていても含まれていなくてもよい)、所望により、ここで、配列番号33の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、ここで、CAR-P2A-IL21前駆体が配列番号33と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0124】
さらに、例示として、ある特に好ましい実施態様において、CAR-P2A-IL12前駆体は下の配列番号34に示すアミノ酸を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなるものであり、ここで、シグナル配列は太字、CD27の細胞外および膜内ドメインは標準文字、4-1BB細胞内共刺激ドメインは斜体、CD3ζ細胞内活性化ドメインは下線を引き、GSG-P2A自己切断ペプチドは太字斜体およびIL-12Aおよび12B(この順番でかつGSG-P2Aペプチドにより分離される)は下線を引かれた太字である。
【化9】
【0125】
ある実施態様において、CAR-P2A-IL12前駆体は、配列番号34と少なくとも80%同一、好ましくは少なくとも85%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、さらにより好ましくは少なくとも95%同一、例えば特に好ましくは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる。
【0126】
ある実施態様において、特に配列番号34に示すものなどのここに教示するCAR-P2A-IL12前駆体形態は、配列番号35
【化10】
【化11】
に示す核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされ得て、ここで、CAR-P2A-IL12A-P2A-IL12Bコード配列のATG開始およびTAA停止コドンは太字、SpeI制限部位は下線を引き、GCCACCコザック配列は斜体およびXhoI制限部位は二重下線を引き、IL-12カセットに隣接するEcoRI制限部位は太字斜体であり(明らかに、他の制限部位は、実験の便宜上、含まれていても含まれていなくてもよい)、所望により、ここで、配列番号35の任意のコドンは、各々独立して同じアミノ酸をコードする他のコドンに置き換えられてよく、好ましくはここで、核酸配列は、当分野で知られるコドン最適化原理に従い、ヒト細胞におけるなどの所望の種の細胞における発現についてそれによりコドン最適化され、ここで、CAR-P2A-IL21前駆体が配列番号35と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%同一の核酸配列を含む、本質的にそれからなるまたはそれからなる核酸によりコードされるようなものである。
【0127】
さらなる本発明の態様は、発現可能形式でここに定義したCARをコードする核酸および所望により発現可能形式で1以上の免疫刺激性サイトカインをコードする核酸をNK細胞の出発集団に導入することを含む、ここに教示するNK細胞を産生する方法を提供する。
【0128】
ある実施態様において、細胞に導入された核酸は、上記のとおり所望により単一ORF内でCARおよび所望によりサイトカインをコードするmRNAが細胞の転写機構を使用して転写され得る、DNA発現カセットまたはベクターであり得る。他の実施態様において、細胞に導入された核酸は、細胞のタンパク質翻訳機構により翻訳され得る、上記のとおり所望により単一ORF内でCARおよび所望によりサイトカインをコードするmRNAであり得る。ある好ましい実施態様において、mRNAなどの核酸を、NK細胞の出発集団にエレクトロポレーションにより導入し得る。
【0129】
所望によりしかし必ずしもそうではないが、方法はさらに該1以上の核酸を含み、CARおよび所望により1以上の免疫刺激性サイトカインを発現できるNK細胞の選択および/または拡張を含み得る。トランスフェクトまたは形質導入細胞を選択する方法は当分野で日常的であり、ブラストサイジン、ジェネテシン、ハイグロマイシンB、ピューロマイシンまたはゼオシンに対する耐性を付与する遺伝子などの確立された陽性選択マーカーを使用し得る。
【0130】
ある特に好ましい実施態様において、方法は、NK細胞の、DNA構築物またはmRNA分子、好ましくはmRNA分子でのなどの一過性トランスフェクションを含み得る。ある実施態様において、一過性トランスフェクションは、トランスフェクト細胞のあらゆる選択を必要としない可能性がある。ある実施態様において、方法は、安定なトランスフェクトされたNK細胞を含み得て、その場合操作された細胞の選択が望ましい。
【0131】
さらなる態様は、ここに教示する操作されたNK細胞および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0132】
ここに使用する用語「薬学的に許容される」は技術と一致し、医薬組成物の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに有害ではないことを意味する。
【0133】
ここで使用する「担体」または「添加物」は、任意かつ全ての溶媒、希釈剤、緩衝液s(例えば、中性緩衝化食塩水またはリン酸緩衝化食塩水)、可溶化剤、コロイド、分散媒体、媒体、充填剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アミノ酸(例えば、グリシン)、タンパク質、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、芳香剤、濃化剤、デポー効果を達成するための薬剤、コーティング、抗真菌剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、張性制御剤、吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当分野で周知である。このような物質は非毒性であり、細胞の活性を妨害してはならない。
【0134】
担体または添加物または他の物質の厳密な性質は投与経路による。例えば、組成物は、パイロジェンフリーであり、適当なpH、等張性および安定性を有する非経腸的に許容される水溶液の形態であり得る。医薬製剤における一般的原理について、読者はCell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy, by G. Morstyn & W. Sheridan eds., Cambridge University Press, 1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy, E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000を参照する。
【0135】
液体医薬組成物は、一般に水または薬学的に許容される水溶液などの液体担体を含み得る。例えば、生理学的食塩水溶液、組織または細胞培養媒体、デキストロースまたは他の糖類溶液またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれ得る。
【0136】
組成物は1以上の細胞保護分子、細胞再生分子、増殖因子、抗アポトーシス因子または細胞における遺伝子発現を制御する因子を含み得る。このような物質は、細胞をその環境に非依存的とし得る。
【0137】
このような医薬組成物は、細胞の生存能を確実とするさらなる成分を含み得る。例えば、組成物は、所望のpH、より一般にはほぼ中性のpHを達成するための適当な緩衝液系(例えば、リン酸または炭酸緩衝液系)を含み得て、浸透ストレスを防止するために細胞の等張条件を確実にする十分な塩を含み得る。例えば、これらの目的で適当な溶液は、当分野で既知の、リン酸緩衝化食塩水(PBS)、塩化ナトリウム溶液、リンゲル注射液または乳酸リンゲル液注射液であり得る。さらに、組成物は、細胞の生存能を高め得る、担体タンパク質、例えば、アルブミン(例えば、ウシまたはヒトアルブミン)を含み得る。
【0138】
さらに好適に薬学的に許容される担体または添加剤は当業者に周知であり、例えばコラーゲンまたはゼラチンなどのタンパク質、炭水化物、例えばデンプン、多糖、糖(デキストロース、グルコースおよびスクロース)、ナトリウムまたはカルシウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルファ化デンプン、ペクチン寒天、カラゲナン、クレイ、親水性ゴム(アカシアゴム、グアーゴム、アラビアゴムおよびキサンタンゴム)、アルギン酸、アルギネート、ヒアルロン酸、ポリグリコール酸およびポリ乳酸、デキストラン、ペクチン、合成ポリマー、例えば水可溶性アクリル酸ポリマーまたはポリビニルピロリドン、プロテオグリカン、リン酸カルシウムなどから選択され得る。
【0139】
ある実施態様において、上に定義する医薬細胞調製物を、液体組成物の形で投与し得る。ある実施態様において、細胞またはそれを含む医薬組成物を、全身に、局所に、ある臓器内に、臓器機能不全または病変部位にまたは組織病変部位に投与し得る。
【0140】
好ましくは、医薬組成物は、治療有効量の所望の細胞を含み得る。用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医により探索されている、組織、系、動物またはヒトにおける生物学的または医薬応答を誘発できる、特に処置される疾患または状態の局所または全身症状または特性の1以上を予防または軽減できる量をいう。適切な治療有効量は、所望の細胞の性質、疾患状態および重症度ならびに対象の年齢、体格および状態を考慮して、有資格医により決定され得る。
【0141】
また提供されるのは、本発明の細胞と1以上の上記付加的成分および1以上の上記医薬添加物の混合により該医薬組成物を産生する方法である。
【0142】
ここに教示される細胞またはここに定義する医薬組成物を、対象に、例えば、注射により、例えば全身になど投与するための外科的装置またはデバイスを含む、そして、さらにここに教示される細胞またはここに定義する医薬組成物を含む、配置またはキット・オブ・パーツも開示される。
【0143】
ある実施態様において、上に定義する医薬組成物を、液体組成物の形態で投与し得る。
【0144】
投与すべき細胞の量は、処置する対象毎に変わる。ある実施態様において、投与すべき細胞の量は102~1010または102~109または103~1010または103~109または104~1010または104~109、例えば104~108または105~107であり、例えば、約1×105、約5×105、約1×106、約5×106、約1×107、約5×107、約1×108、約5×108、約1×109、約5×109または約1×1010細胞をヒト対象に投与し得る。例えば、このような投与は、好適に、1日以上にわたり(例えば、1日、2日、3日、4日または5日またはそれ以上にわたり)投与される、1回以上に分けてよい(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回またはそれ以上に分けてよい)。しかしながら、治療有効用量の厳密な決定は、体格、年齢、組織損傷を含む各患者の個々の因子に基づき、この開示および当分野の知識から当業者により容易に確認され得る。好適にではあるが、限定ではなく、投与すべき組成物において、細胞は約104/ml~約109/ml、好ましくは約105/ml~約108/ml、さらにより好ましくは約1×106/ml~約1×108/mlの濃度で存在し得る。
【0145】
さらなる態様は、治療に使用するための、ここに教示される操作されたNK細胞または医薬組成物を提供する。特に適用されるのは、新生物疾患を処置する方法に使用するためのここに教示される操作されたNK細胞または医薬組成物である。特に適用されるのは、癌を処置する方法に使用するためのここに教示される操作されたNK細胞または医薬組成物である。
【0146】
「治療」または「処置」の言及は、治癒的および予防的両者の処置を広く包含し、本用語は特に疾患または障害などの病態の1以上の症状または測定可能なマーカーの軽減または測定可能な低減をいい得る。本用語は、一次処置ならびにネオアジュバント処置、アジュバント処置および補助療法を包含する。測定可能な低減は、測定可能なマーカーまたは症状の統計学的に有意な減少を含む。一般に、本用語は、治癒的処置および疾患の症状減少および/または進行遅延を意図する処置両方を包含する。本用語は、既に発症した病態の治療的処置ならびに予防的または防止的手段の両方を包含し、ここで、目的は、病態の発生の機会の予防または低減である。ある実施態様において、本用語は治療的処置に関し得る。ある他の実施態様において、本用語は予防的処置に関し得る。寛解期中の慢性病態の処置もまた、治療的処置を構成すると見なされ得る。本用語は本発明の構成で適当である限り、エクスビボまたはインビボ処置を含み得る。
【0147】
用語「対象」、「個体」または「患者」は、本明細書をとおして相互交換可能に使用され、典型的におよび好ましくはヒトを意味するが、非ヒト動物、好ましくは温血動物、さらにより好ましくは非ヒト哺乳動物も包含し得る。両方の性別および全年齢分類を含むヒト対象が特に好ましい。他の実施態様において、対象は、疾患モデルとしての実験動物または代用動物である。本用語は、特定の年齢または性別を意味しない。故に、男性であれ、女性であれ、成人および新生児対象ならびに胎児がカバーされることが意図される。用語対象はさらにトランスジェニック非ヒト種を含むことが意図される。
【0148】
ここで使用する用語「処置を必要とする対象」または類似のものは、ここに記載する疾患を有すると診断されたまたは有する対象および/または該疾患を予防すべき対象をいう。
【0149】
用語「新生物疾患」は、一般に良性(周囲正常組織に浸潤しない、転移を形成しない)、前悪性(前癌性)または悪性(隣接組織に浸潤および転移を産生できる)であれ、新生物細胞成長および増殖により特徴づけられるあらゆる疾患または障害をいう。用語新生物疾患は、一般に全ての形質転換細胞および組織ならびに全ての癌性細胞および組織を含む。新生物疾患または障害は、異常細胞増殖、良性腫瘍、前悪性または前癌性病変、悪性腫瘍および癌を含むが、これらに限定されない。新生物疾患または障害の例は、前立腺、結腸、腹部、骨、乳房、消化系、肝臓、膵臓、腹膜、内分泌腺(副腎、副甲状腺、下垂体、精巣、卵巣、胸腺、甲状腺)、眼、頭頚部、神経(中枢および末梢)、リンパ系、骨盤内、皮膚、軟組織、脾臓、胸郭または尿生殖路におけるなどあらゆる組織または臓器に位置する良性、前悪性または悪性新生物である。
【0150】
ここで使用する用語「腫瘍」または「腫瘍組織」は、過剰な細胞分裂に起因する組織の異常塊をいう。腫瘍または腫瘍組織は、異常な増殖性質を有し、有用な身体上の機能がない新生物細胞である腫瘍細胞を含む。腫瘍、腫瘍組織および腫瘍細胞は良性、前悪性または悪性であってよくまたは癌化の可能性が何らない病変を示し得る。腫瘍または腫瘍組織はまた腫瘍関連非腫瘍細胞、例えば、腫瘍または腫瘍組織に供給される血管を形成する血管細胞も含み得る。非腫瘍細胞は、腫瘍細胞により再成および進展が誘導、例えば、腫瘍または腫瘍組織における血管形成の誘導がされ得る。
【0151】
ここで使用する用語「癌」は、制御が解除されたまたは制御されていない細胞増殖により特徴づけられる悪性新生物をいう。用語「癌」は、一次悪性細胞または腫瘍(例えば、細胞が対象の体の元の悪性腫瘍または腫瘍の部位以外の場所に遊走していないもの)および二次悪性細胞または腫瘍(例えば、元の腫瘍の部位と異なる二次的部位への悪性細胞または腫瘍細胞の転移、遊走に起因するもの)を含む。用語「転移性」または「転移」は、一般に癌のある一つの臓器または組織から他の非隣接臓器または組織への拡散をいう。他の非隣接臓器または組織における新生物疾患の出現は転移と称する。
【0152】
癌の例は、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病またはリンパ系悪性腫瘍を含むが、これらに限定されない。このような癌のさらなる具体例は、扁平上皮細胞癌(例えば、上皮性扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌および大細胞肺癌を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、消化器癌を含む胃の癌または胃癌、膵臓癌、神経膠腫、神経膠芽腫、頸部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎臓の癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌ならびにCNS癌、黒色腫、頭頸部癌、骨癌、骨髄癌、十二指腸癌、食道癌、甲状腺癌または血液癌を含むが、これらに限定されない。
【0153】
癌または悪性腫瘍の他の非限定的例は、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌腫、成人(一次)肝細胞癌、成人(一次)肝臓癌、成人急性リンパ球性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン疾患、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人一次肝臓癌、成人軟組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門癌、星状細胞腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、腎盂および尿道の癌、中枢神経系(一次)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫、頸部癌、小児(一次)肝細胞癌、小児(一次)肝臓癌、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、神経膠芽腫、小児小脳星状細胞腫、小児脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン疾患、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部および視路神経膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体および小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児一次肝臓癌、小児横紋筋肉腫、小児軟組織肉腫、小児視路および視床下部神経膠腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵臓島細胞癌、子宮内膜癌、上衣腫、上皮性癌、食道癌、ユーイング肉腫および関連腫瘍、膵外分泌癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、女性乳癌、胆嚢癌、胃癌、消化器カルチノイド腫瘍、消化器腫瘍、胚細胞腫瘍、妊娠性栄養芽細胞腫瘍、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞癌、ホジキン疾患、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭癌、腸癌、眼内黒色腫、島細胞癌、島細胞膵臓癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、口唇および口腔癌、肝臓癌、肺癌、リンパ増殖性障害、マクログロブリン血症、男性乳癌、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽腫、黒色腫、中皮腫、転移潜在的一次扁平上皮頸部癌、転移一次扁平上皮頸部癌、転移扁平上皮頸部癌、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄性白血病、骨髄増殖性障害、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌、潜在的一次転移扁平上皮頸部癌、口腔咽頭癌、骨/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣上皮性癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性潜在的腫瘍、膵臓癌、パラプロテイン血症、紫斑病、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、一次中枢神経系リンパ腫、一次肝臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎臓細胞癌、腎盂および尿道癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮頸部癌、胃癌、小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂および尿道の移行細胞癌、移行性腎盂および尿道癌、栄養芽細胞腫瘍、尿道および腎盂細胞癌、尿道癌、子宮癌、子宮肉腫、膣癌、視路および視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症またはウィルムス腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0154】
ある実施態様において、癌は血液学的悪性腫瘍である。ある実施態様において、癌はバーキットリンパ腫である。ある実施態様において、癌は固形悪性腫瘍(固形腫瘍)である。ある実施態様において、癌は結腸直腸癌または膵臓癌である。ある実施態様において、癌が血液学的悪性腫瘍であるとき、NK細胞は、必須ではないが、1以上の免疫刺激性サイトカインをさらに発現するよう操作してよい。ある実施態様において、癌が固形腫瘍であるとき、NK細胞は、必須ではないが、好ましくは1以上の免疫刺激性サイトカイン、例えば1以上の免疫刺激性インターロイキン、例えばIL-15および/またはIL-21、例えば特に好ましくは少なくともIL-15またはIL-15のみをさらに発現するよう操作される。本発明者らは、NK細胞における免疫刺激性インターロイキンとCARの同時発現が、NK細胞が癌細胞およびCAFなどの腫瘍環境の細胞を含む固形腫瘍の細胞を標的とする能力を大きく改善することを示した。
【0155】
ある実施態様において、癌などの新生物疾患は、CD70陽性癌性細胞を含む。ここに記載する腫瘍細胞または腫瘍微小環境の細胞などの細胞は、本明細書文脈において、1以上のマーカー、例えば1以上の遺伝子、ポリペプチドまたはタンパク質、例えばCD70の「発現を含む」または逆に「発現しない」ということができまたは1以上のマーカー、例えば1以上の遺伝子、ポリペプチドまたはタンパク質、例えばCD70について「陽性」(+)または逆に「陰性」(-)として記載され得る。
【0156】
このような用語は、細胞表現型を特徴づけるとき、当業者による決まり文句であり、よく理解されている。付加的ガイダンスの手段として、細胞があるマーカー、例えばある遺伝子、ポリペプチドまたはタンパク質、例えばCD70について陽性であるまたは発現するまたは発現を含むというとき、当業者は、細胞内または上のマーカーの検出または定量が可能な測定をするとき、該マーカー明確なシグナルの存在または証拠を結論とする。好適には、マーカーの明確なシグナルの存在または証拠は、ある細胞で得た測定結果と、陰性対照(例えば、マーカーを発現しないことが知られる細胞)および/または陽性対照(例えば、マーカーを発現することが知られる細胞)で実施した同じ測定の結果の比較に基づき、結論づける。マーカーの定量的評価が可能である測定方法であるならば、陽性細胞は、陰性対照細胞により産生されるマーカーについてのシグナルまたは陰性対照細胞集団により産生されるマーカーについての平均シグナルより少なくとも1.5倍高いマーカーについてのシグナルを産生し、例えば、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍高いまたはさらに高い。さらに、陽性細胞は、陰性対照細胞集団により産生されるマーカーについての平均シグナルより3.0標準偏差以上、例えば、3.5標準偏差以上、4.0標準偏差以上、4.5標準偏差以上または5.0標準偏差以上高いマーカーについてのシグナルを産生し得る。
【0157】
あらゆる既存の、利用可能なまたは慣用の分離、検出および/または定量方法を使用して、対象からの生物学的サンプルにおけるCD70陽性細胞の存在または非存在(例えば、読出しは存在対非存在;または検出可能量対検出不可能量である)および/または品質(例えば、読出しは絶対または相対品質である)を測定できる。例として、標準免疫学的アッセイ方法を用いることができ、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、マスサイトメトリー、蛍光標識細胞分取(FACS)、蛍光顕微鏡、微少流体系を使用する蛍光ベースの細胞選別、親和性クロマトグラフィーなどの免疫親和性吸着ベースの技術、磁気粒子分離、微少流体系を使用する磁気活性化細胞選別またはビーズベースの細胞選別、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)およびELISPOTベースの技術、放射免疫アッセイ(RIA)、ウェスタンブロットなどを含むが、これらに限定されない。このような技術に適する抗CD70抗体は、多様な業者から市販されている。
【0158】
本明細書をとおして使用する用語「サンプル」または「生物学的サンプル」は、対象から得た(単離、除去)あらゆる生物学的検体を含む。サンプルは、臓器組織(例えば、一次または転移腫瘍組織)、全血、血漿、血清、全血細胞、赤血球、白血球(例えば、末梢血単核細胞)、唾液、尿、便(糞便)、涙、汗、皮脂、乳頭吸引液、乳管内洗浄、腫瘍滲出液、滑膜液、脳脊髄液、リンパ、細針吸引、羊水、何らかのその他体液、滲出液または分泌液、細胞ライセート、細胞分泌産物、炎症液、精液および膣分泌物を含み得るが、これらに限定されない。好ましくは、サンプルは、対象からのサンプルの供給/除去/単離を可能とする、採血(‘液体生検’)、採尿、採便、組織(例えば、腫瘍組織)生検または細針吸引などの非侵襲性または最低限侵襲性の方法により得られ得る。ここで使用する用語「組織」は、臓器の細胞だけでなく、血液および上記の他の体液も含む、人体の全タイプの細胞を包含する。組織は健常でも病理学的変更の影響を受けていても、例えば、腫瘍組織でもよい。組織は生存対象からで有り得てまたは死体組織であり得る。特に有用なサンプルは、腫瘍細胞および/または腫瘍微小環境細胞を含むことが知られるまたは含むことが期待または予測されるまたはおそらく含むことが知られるまたはおそらく含むことが期待または予測されるものである。
【0159】
任意の適当な重量または体積のサンプルを、分析用に対象から採り得る。限定しないが、液体サンプルは、1mL~20mL、例えば、5mL、7.5mL、10mL、15mLまたは20mLの体積を有し得る。固体サンプルは1g~20g、例えば、5g、7.5g、10g、15gまたは20gの重量を有し得る。
【0160】
ある実施態様において、癌などの新生物疾患は、CD70陽性癌性細胞を10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%含み、CD70陽性癌性細胞のパーセンテージは、新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全癌性細胞との比を表す。ある実施態様において、癌などの新生物疾患はCD70陽性癌性細胞を10%以下、例えば8%以下、6%以下、4%以下、2%以下または最低0%含み、CD70陽性癌性細胞のパーセンテージは、新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全癌性細胞との比を表す。癌関連線維芽細胞(CAF)などのCD70陽性腫瘍微小環境(TME)細胞を標的とする能力により、本発明の実施態様による操作されたNK細胞はまた癌性細胞におけるCD70発現レベルが比較的低い癌にも治療上有効であり得る。
【0161】
ある実施態様において、癌などの新生物疾患はCD70陽性癌関連線維芽細胞(CAF)を含む。用語「癌関連線維芽細胞」、「CAF」、「腫瘍関連線維芽細胞」、「発癌性関連線維芽細胞」または「活性化線維芽細胞」は、細胞外マトリクスのリモデリング開始またはサイトカイン分泌により、腫瘍原性特性を促進することが報告されている腫瘍微小環境内の細胞型である。CAFは、正常線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、線維細胞または間葉性幹細胞に由来することが報告されている。現在の知識では、CAFは、血管形成を刺激するよう血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)などの増殖因子および他のケモカインを分泌することにより腫瘍増殖を支持し、それにより腫瘍増殖を刺激し得る。
【0162】
ある実施態様において、癌などの新生物疾患はCD70陽性CAFを10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%含み、CD70陽性CAFのパーセンテージは、新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全CAFとの比を表す。
【0163】
ある実施態様において、癌などの新生物疾患はCD70陽性癌性細胞およびCD70陽性癌関連線維芽細胞(CAF)を含む。
【0164】
ある実施態様において、癌などの新生物疾患は、CD70陽性癌性細胞を10%未満、例えば8%以下、6%以下、4%以下、2%以下または最低0%(CD70陽性癌性細胞のパーセンテージは、新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全癌性細胞との比を表す);およびCD70陽性CAFを10%以上、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%(CD70陽性CAFのパーセンテージは、新生物疾患病変のCD70陽性CAF代表的サンプルにおける全CAFとの比を表す)含む。
【0165】
ある実施態様において、新生物疾患は結腸直腸癌(CC)、より具体的にある実施態様において、CD70陽性CAFを含む結腸直腸癌である。本発明者らは、CCをしばしば少ない数のCD70陽性癌性細胞を有する(例えば、10%未満または5%未満)が、同時に比較的多い割合のCD70陽性CAFを有するとして特徴づけている。さらに、CD70陽性CAFの%は、CCのステージが進行すると増加すると考えられる。故に、好ましくは、CCはステージT1、より好ましくはステージT2、さらにより好ましくはステージT3、最も好ましくはステージT4である。
【0166】
ある実施態様において、結腸直腸癌はCD70陽性CAFを10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%含み、CD70陽性CAFのパーセンテージは、結腸直腸癌病変の代表的サンプルにおける全CAFとの比を表す。
【0167】
ある実施態様において、ここに教示される操作されたNK細胞を唯一の薬剤(活性医薬成分)としてまたは組み合わせが許容されない有害効果を引き起こさないとき1以上の他の薬剤と組み合わせて投与し得る。例えば、NK細胞を、例えば手術、放射線療法、化学療法、生物学的療法またはそれらの組み合わせなどの既知の1以上の抗癌治療と組み合わせ得る。ここで使用する用語「化学療法」は、広くおよび一般に化学物質または組成物を使用する処置を包含すると理解される。化学療法剤は、典型的に細胞毒性または細胞増殖抑制効果を示す。ある実施態様において、化学療法剤はアルキル化剤、細胞毒性化合物、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、テルペノイド、トポイソメラーゼ阻害剤またはそれらの組み合わせであり得る。ここで使用する用語「生物学的療法」は、広くおよび一般にウイルスまたは細胞などの生体分子または生物学的製剤などの生物学由来物質または組成物を使用する処置を包含すると理解される。ある実施態様において、生体分子は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸または小分子(例えば一次代謝物、二次代謝物または天然産物)またはそれらの組み合わせであり得る。適当な生体分子の例は、インターロイキン、サイトカイン、抗サイトカイン、腫瘍壊死因子(TNF)、サイトカイン受容体、ワクチン、インターフェロン、酵素、治療抗体、抗体フラグメント、抗体様タンパク質足場またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適当な生体分子の例は、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、カツマキソマブ、セツキシマブ、ダラツムマブ、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、ジヌツキシマブ、エロツズマブ、ゲムツズマブ オゾガマイシン、90Y-イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インターフェロンA、イピリムマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、タソネルミン、131I-トシツモマブ、トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエタンシンおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適当な腫瘍溶解性ウイルスの例は、タリモジンラヘルパレプベクを含むが、これに限定されない。抗癌治療のさらなるカテゴリーは、とりわけ、一般にに生物学的療法内に入ると考えられるホルモン療法(内分泌療法)、免疫療法および幹細胞療法を含む。適当なホルモン療法は、タモキシフェン;アロマターゼ阻害剤、例えばアナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールおよびそれらの組み合わせ;黄体形成ホルモンブロッカー、例えばゴセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリンおよびそれらの組み合わせ;抗アンドロゲン、例えばビカルタミド、シプロテロンアセテート、フルタミドおよびそれらの組み合わせ;性腺刺激ホルモン放出ホルモンブロッカー、例えばデガレリクス;プロゲステロン処置、例えばメドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールおよびそれらの組み合わせ;およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。用語「免疫療法」は、広く対象の免疫系を調節するあらゆる処置を包含する。特に、本用語は、免疫応答、例えば液性免疫応答、細胞介在免疫応答または両方を調節するあらゆる処置を含む。免疫療法は、免疫細胞、例えばT細胞および/または樹状細胞が患者に移入される細胞ベースの免疫療法を含む。本用語はまた対象の免疫系を調節する物質または組成物、例えば化学的化合物および/または生体分子(例えば、抗体、抗原、インターロイキン、サイトカインまたはそれらの組み合わせ)の投与も含む。癌免疫療法の例は、腫瘍細胞により発現されるタンパク質に対するモノクローナル抗体、例えばFc改変モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害剤、予防的または治療的癌ワクチン、養子細胞療法およびそれらの組み合わせを用いる処置を含むが、これらに限定されない。阻害するために標的とする免疫チェックポイントの例は、PD-1(PD-1阻害剤の例はペムブロリズマブ、ニボルマブおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)、CTLA-4(CTLA-4阻害剤の例はイピリムマブ、トレメリムマブおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)、PD-L1(PD-L1阻害剤の例は、アテゾリズマブを含むが、これに限定されない)、LAG3、B7-H3(CD276)、B7-H4、TIM-3、BTLA、A2aR、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIRs)、IDOおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。治療的抗癌ワクチン接種のための他のアプローチは、樹状細胞ワクチンを含む。本用語は、広く免疫反応が所望される抗原が負荷された樹状細胞を含むワクチンを包含する。養子細胞療法(ACT)は、細胞、最も一般に免疫由来細胞、例えば特に細胞毒性T細胞(CTL)を、免疫学的機能性および特徴の新規宿主への伝達を目的とした、同じ患者または新規レシピエント宿主への移入といい得る。可能であれば、自己細胞の使用により、レシピエントの組織拒絶および移植片対宿主病問題の最小化が促進される。種々の戦略は、例えば、T細胞受容体(TCR)の特異性の、例えば、選択ペプチド特異性を備えた新規TCR αおよびβ鎖の導入による改変による遺伝子修飾T細胞の使用であり得る。あるいは、キメラ抗原受容体(CAR)を、選択標的、例えば悪性細胞に特異的な免疫応答性細胞、例えばT細胞を産生でき、多種多様な受容体キメラ構築物が記載されている。癌における幹細胞療法は、一般に放射線療法および/または化学療法により破壊した骨髄幹細胞を置き換えることを目的とし、自己、同系または同種幹細胞移植を含むが、これらに限定されない。幹細胞、特に造血幹細胞は、典型的に骨髄、末梢血または臍帯血液から得る。抗癌剤の投与経路、用量および処置レジメンの詳細は、例えば“Cancer Clinical Pharmacology” (2005) ed. By Jan H. M. Schellens, Howard L. McLeod and David R. Newell, Oxford University Pressに記載されるとおり、同分野で知られる。任意の組み合わせ治療の活性成分を混合してよくまたは物理的に分離してもよく、かつ同時にまたは任意の順序で逐次的に投与してよい。
【0168】
本発明はまた下記記述に示す態様および実施態様も提供する:
記述1. キメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう操作されたナチュラルキラー(NK)細胞であって、CARがCD27の細胞外ドメインまたはそのCD70結合部分を含むものである、NK細胞。
【0169】
記述2. CARがさらにCD27の膜内ドメインを含む、記述1のNK細胞。
【0170】
記述3. CARがCD27の細胞内ドメインの全てまたは一部を欠く、記述1または2のNK細胞。
【0171】
記述4. CARがCD27の細胞内ドメイン全てを欠く、記述1~3の何れかのNK細胞。
【0172】
記述5. CARの細胞内部分が少なくとも1個の細胞内活性化ドメインを含む、記述1~4の何れかのNK細胞。
【0173】
記述6. 少なくとも1個の細胞内活性化ドメインがCD3ζ活性化ドメイン、FcRγ活性化ドメインおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、記述5のNK細胞。
【0174】
記述7. CARの細胞内部分が少なくとも1個の細胞内共刺激ドメインを含む、記述1~6の何れかのNK細胞。
【0175】
記述8. 少なくとも1個の細胞内共刺激ドメインがCD28共刺激ドメイン、4-1BB共刺激ドメイン、DAP10共刺激ドメイン、OX40共刺激ドメイン、ICOS共刺激ドメインおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、記述7のNK細胞。
【0176】
記述9. CARがCD3ζ細胞内活性化ドメインを含む、記述5~8の何れかのNK細胞。
【0177】
記述10. CARが4-1BB細胞内共刺激ドメインを含む、記述5~9の何れかのNK細胞。
【0178】
記述11. CARが:
CD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび4-1BB細胞内共刺激ドメインを含む;
CD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび4-1BB細胞内共刺激ドメインから本質的になる;または
CD27の細胞外および膜内ドメイン、CD3ζ細胞内活性化ドメインおよび4-1BB細胞内共刺激ドメインからなる、
記述1~10の何れかのNK細胞。
【0179】
記述12. CARが:
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも80%同一を含む;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも80%同一から本質的になる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも80%同一からなる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも85%同一を含む;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも85%同一から本質的になる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも85%同一からなる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも90%同一を含む;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも90%同一から本質的になる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも90%同一からなる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも95%同一を含む;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも95%同一から本質的になる;
アミノ酸配列配列番号1と少なくとも95%同一からなる;
配列番号1と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む;
配列番号1と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列から本質的になる;
配列番号1と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列からなる;
配列番号1に示すアミノ酸配列を含む;
配列番号1に示すアミノ酸配列から本質的になる;または
配列番号1に示すアミノ酸配列からなる、
記述1~11の何れかのNK細胞。
【0180】
記述13. NK細胞が対象から単離されている、記述1~12の何れかのNK細胞。
【0181】
記述14. NK細胞が対象の臍帯血または末梢血から単離されている、記述1~13の何れかのNK細胞。
【0182】
記述15. NK細胞が所望によりインビトロで培養されている、記述13または14のNK細胞。
【0183】
記述16. NK細胞がインビトロで造血幹細胞または誘導多能性幹(iPS)細胞から分化されている、記述1~13の何れかのNK細胞。
【0184】
記述17. NK細胞がクローンNK細胞株からである、記述1~13の何れかのNK細胞。
【0185】
記述18. NK細胞がNK-92細胞である、記述1~13の何れかのNK細胞。
【0186】
記述19. NK細胞が1以上の免疫刺激性サイトカインをさらに発現するよう操作されている、記述1~18の何れかのNK細胞。
【0187】
記述20. 1以上の免疫刺激性サイトカインが1以上の免疫刺激性インターロイキン(IL)である、記述19のNK細胞。
【0188】
記述21. 免疫刺激性インターロイキンがIL-15、IL-12および/またはIL-21、好ましくはヒトIL-15、IL-12および/またはIL-21、より好ましくはIL-15および/またはIL-21、さらにより好ましくはヒトIL-15および/またはIL-21、なおさらに好ましくはIL-15、特に好ましくはヒトIL-15である、記述20のNK細胞。
【0189】
記述22. CARおよび任意的な1以上の免疫刺激性サイトカインの発現が各々独立して構成的または誘導型である、記述1~21の何れかのNK細胞。
【0190】
記述23. NK細胞の出発集団に発現可能形式で記述1~22の何れかのCARをコードする核酸をおよび所望により発現可能形式で1以上の免疫刺激性サイトカインをコードする核酸を導入することを含む、記述1~22の何れかのNK細胞を産生する方法。
【0191】
記述24. 1以上の核酸がエレクトロポレーションによりNK細胞の出発集団に導入される、記述23の方法。
【0192】
記述25. 1以上の核酸がmRNAである、記述23または24の方法。
【0193】
記述26. さらに該1以上の核酸を含み、CARおよび所望により1以上の免疫刺激性サイトカインを発現できるNK細胞の選択および/または拡張することを含む、記述23~25の何れかの方法。
【0194】
記述27. 記述1~22の何れかのNK細胞および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【0195】
記述28. 治療に使用するための記述1~22の何れかのNK細胞または記述27の医薬組成物。
【0196】
記述29. 新生物疾患を処置する方法に使用するための記述1~22の何れかのNK細胞または記述27の医薬組成物。
【0197】
記述30. 癌を処置する方法に使用するための記述1~22の何れかのNK細胞または記述27の医薬組成物。
【0198】
記述31. 対象に治療有効量の記述1~22の何れかのNK細胞または記述27の医薬組成物を投与することを含む、処置を必要とする対象を処置する方法。
【0199】
記述32. 対象に治療有効量の記述1~22の何れかのNK細胞または記述27の医薬組成物を投与することを含む、新生物疾患を有する対象を処置する方法。
【0200】
記述33. 対象に治療有効量の記述1~22の何れかのNK細胞または記述27の医薬組成物を投与することを含む、癌を有する対象を処置する方法。
【0201】
記述34. 癌などの新生物疾患がCD70陽性癌性細胞を含む、記述29または30の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述32または33の方法。
【0202】
記述35. 癌などの新生物疾患がCD70陽性癌性細胞を10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%含み、CD70陽性癌性細胞のパーセンテージが新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全癌性細胞との比を表す、記述34の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述34の方法。
【0203】
記述36. 癌などの新生物疾患がCD70陽性癌性細胞を10%未満、例えば8%以下、6%以下、4%以下、2%以下または最低0%含み、CD70陽性癌性細胞のパーセンテージが新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全癌性細胞との比を表す、記述34の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述34の方法。
【0204】
記述37. 癌などの新生物疾患がCD70陽性癌関連線維芽細胞(CAF)を含む、記述29、30または34~36の何れかの使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述32~36の何れかの方法。
【0205】
記述38. 癌などの新生物疾患がCD70陽性CAFを10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%含み、CD70陽性CAFのパーセンテージが新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全CAFとの比を表す、記述37の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述37の方法。
【0206】
記述39. 癌などの新生物疾患がCD70陽性癌性細胞およびCD70陽性癌関連線維芽細胞(CAF)を含む、記述29または30の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述32または33の方法。
【0207】
記述40. 新生物疾患が:
CD70陽性癌性細胞を10%未満、例えば8%以下、6%以下、4%以下、2%以下または最低0%(CD70陽性癌性細胞のパーセンテージが新生物疾患病変の代表的サンプルにおける全癌性細胞との比を表す);およびCD70陽性CAFを10%以上、例えば20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%(CD70陽性CAFのパーセンテージが新生物疾患病変CD70陽性CAFの代表的サンプルにおける全CAFとの比を表す)、
記述39の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述39の方法。
【0208】
記述41. 新生物疾患が結腸直腸癌である、記述29、30または34~40の何れかの使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述32~40の何れかの方法。
【0209】
記述42. 結腸直腸癌がCD70陽性CAFを含む、記述41の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述41の方法。
【0210】
記述43. 結腸直腸癌がCD70陽性CAFを10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または最大100%含み、CD70陽性CAFのパーセンテージが結腸直腸癌病変の代表的サンプルにおける全CAFとの比を表す、記述42の使用のためのNK細胞または医薬組成物または記述42の方法。
【0211】
本発明をその具体的実施態様と関連して記載しているが、多くの改変、修飾および変動が上記に照らして当業者に明らかであることは自明である。従って、添付する請求項の精神および範囲に従う限り、次のとおり全てのこのような改変、修飾および変動が包含されることが意図される。
【0212】
ここに開示される本発明の態様および実施態様は、さらに次の非限定的実施例により支持される。
【実施例】
【0213】
細胞株:
NK-92細胞株(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures GmbH (DSMZ, Leibniz Institute, Inhoffenstr. 7B, D-38124 Braunschweig, Germany, # ACC 488)から購入)を、12.5%ウシ胎児血清(FBS、Life Technologies, #10270106)、12.5%ウマ血清(Life Technologies; #16050122)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S、Life Technologies; #15140122)、2mM L-グルタミン(Life Technologies; #25030024)および150U/mL 組み換えインターロイキン-2(IL-2、ImmunoTools, #11340028)添加α-最小必須培地(α-MEM、Life Technologies, #32561037)で培養した。細胞を懸濁増殖し、加湿インキュベーター中、37℃で5%CO2+95%空気中で指数関数的増殖を維持した。
【0214】
種々のCD70+標的細胞株を使用した:バーキットリンパ腫細胞株(Raji)、結腸直腸癌細胞株(LIM2099)、膵管癌細胞株(PANC-1)および膵臓癌関連線維芽細胞(CAF)細胞株(RLT-PSC)。
【0215】
Raji細胞株(DSMZ, # ACC319から購入)およびLIM2099細胞株(Sigma-Aldrich, # CBA-0164から購入)を、10%FBS、1%P/Sおよび2mM L-グルタミン添加ロズウェルパーク記念研究所(RPMI、Life Technologies, #52400025)培地で培養した。PANC-1細胞株をATCC(# CRL-1469)から購入し、10%FBS、1%P/Sおよび2mM L-グルタミン添加ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Life Technologies, #10938025)で培養した。RLT-PSC細胞株(Prof. M. Loehr and R. Jesenofsky, University of Heidelberg, Mannheim, Germanyから恵与)を10%FBS、1%P/Sおよび2mM L-グルタミン添加DMEM-F12(Life Technologies, #11320074)で培養した。細胞を単層として増殖させ、加湿インキュベーター中、37℃で5%CO2+95%空気中で指数関数的増殖に維持した。
【0216】
CD70指向CAR mRNAの産生:
(1)CD27受容体の細胞外および膜貫通部分、(2)41BB共刺激ドメイン、(3)CD3ζ細胞内T細胞活性化ドメインおよび(4)IL-15サイトカインカセットを伴うCD27-CAR構築物(配列番号21に示し、かつ配列番号31によりコードされる)を、Creative Biolabs(Shirley, NY, USA)のCellRapeuticsTM Chimeric Antigen Receptor Technologyプラットフォームを使用して、開発した。IL-15を伴うおよび伴わない構築物を産生するために、IL-15サイトカインカセットをEcoRI制限酵素(Life Technologies, #ER0271)で切断した。
【0217】
CD27-CAR構築物含有プラスミド(IL-15サイトカインカセットを伴うまたは伴わない)をエシェリヒア・コリ細菌で増幅させ、NucleoBond Xtra Midi Plus EFキット(Macherey Nagel; #740422.50)で精製し、適合性PmeI制限酵素(Life Technologies; #ER1342)を使用して、直線化した。CD27-CARメッセンジャーRNA(mRNA)を、mMESSAGE mMACHINETM T7 Transcription Kit(Life Technologies, #AM1344)を使用して、1μg 直線化CD27-CAR DNAから出発して産生し、-80℃でさらに使用するまで保管した。
【0218】
CD70指向CAR-NK-92細胞の開発:
エレクトロポレーション効率を最適化するために、NK-92細胞を150U/mL IL-2で24時間刺激し、その後エレクトロポレーションし、エレクトロポレーション直前OptiMEMTM培地(Life Technologies, #11058021)で洗浄および再懸濁した。条件あたり5~20×106 NK-92細胞を、次の設定:300V、12msおよびキュベット4の定時プロトコールを適用するGenePulser (Bio-Rad, Hercules, CA, USA)を使用して20μg CAR mRNAで200μL OptiMEM培地中でエレクトロポレーションした。mRNA非存在下エレクトロポレーションしたNK-92細胞(MOCK)を陰性対照として使用した。エレクトロポレーション後、細胞を回復培地としてIL-2不含α-MEM培地に再懸濁した。
【0219】
CD70指向CAR-NK-92細胞の検証:
CD27-CAR発現(CAR構築物の細胞外部分、CD27の発現)を、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter, Brea, CA, USA)で、エレクトロポレーション24時間後モノクローナルPEコンジュゲート抗ヒトCD27抗体(Cell Signaling Technology, Danvers, CA, USA;クローン0323; #55584S)および対応するIgG1アイソタイプ対照(Cell Signaling Technology;クローンMOPC-21; #63630)を使用して決定した。7-AAD(BioLegend, #420403)蛍光挿入生存能色素染色を、生存細胞上のCD27発現の分析に使用した。MOCKエレクトロポレーションしたNK-92細胞を陰性対照サンプルとして使用した。結果を
図3および4に示す。
【0220】
IL-15サイトカインの産生および培養上清への分泌の検証を、マルチプレックス電気化学発光(Meso Scale Discovery Inc., Rockville, USA, #K151URK-1)を使用して実施した。
【0221】
CD70指向CAR-NK-92細胞のインビトロ細胞毒性能:
CD70指向CAR-NK-92細胞のインビトロ殺傷能力を、種々のエフェクター条件(MOCK、CD27-CARおよびIL-15サイトカインカセットを伴うCD27-CAR、エレクトロポレーション24時間後)を、種々のCD70
+標的細胞株:バーキットリンパ腫細胞株(Raji)、結腸直腸癌および膵臓癌細胞株(それぞれLIM2099およびPANC-1)および膵臓CAF細胞株(RLT-PSC)と、5:1エフェクター:標的比で、4時間、滅菌FACSチューブ中共培養することにより評価した。4時間の共培養後、標的細胞株の細胞死をCytoFLEXフローサイトメーターで、生存能挿入蛍光色素7-AADおよびアポトーシス細胞死マーカーAnnexin V(BD Bioscience, #51-65875X)で染色することにより測定した。エフェクターと標的細胞を区別するために、後者を緑色蛍光色素PKH67(Sigma-Aldrich, #MIDI67-KT)で一過性に染色した。結果を
図5に示す。
【0222】
観察されたCD70-CAR-NK-92細胞による死滅がCAR特異的であるかを分析するために、細胞外抗原認識ドメイン、CD27を、CD70
+Raji細胞株との共培養中ブロックした。種々のエフェクター条件(MOCK、CD27-CARおよびIL-15サイトカインカセットを伴うCD27-CAR)を、エレクトロポレーション6時間後、一夜、3つの異なる濃度(10μg/mL、50μg/mLおよび100μg/mL)のモノクローナル中和抗CD27抗体(R&D Systems; #MAB382)および対応するIgG1アイソタイプ対照(R&D Systems; #MAB002)とインキュベートした。これらのエフェクター細胞を、Raji細胞株と、 エレクトロポレーション24時間後、4時間、5:1エフェクター:標的比で滅菌FACSチューブで共培養した。中和抗体およびアイソタイプとインキュベートしたRaji細胞を対照条件として使用した。標的細胞死の量の検出を先に説明したとおり、実施した。結果を
図6に示す。
【0223】
CD70指向CAR-NK-92細胞およびさらなるサイトカインのインビトロ細胞毒性能:
CD70指向CAR-NK-92細胞の細胞毒性能改善におけるIL-12、IL-15およびIL-21サイトカインの能力を決定した。IL-15サイトカインカセットを伴わないCD27-CARを、エレクトロポレーション6時間後、一夜、組み換えIL-12(R&D Systems、#219-IL-005、0.05ng/mL)、組み換えIL-15(R&D Systems, #247-ILB-005、2.60ng/mL)および組み換えIL-21(R&D Systems, #8879-ILB-010、8ng/mL)サイトカインのエフェクター用量50(ED50;R&D Systemsに提供)とインキュベートして、NK-92細胞によりCARと共発現されたときの各サイトカインの効果を模倣またはエミュレートした。3エフェクター条件(MOCK、CD27-CARおよびIL-15サイトカインカセットを伴うCD27-CAR)および刺激CD27-CAR-92細胞を、エレクトロポレーション24時間後、種々のCD70
+標的細胞株(Raji、LIM2099、PANC-1およびRLT-PSC)と5:1エフェクター:標的比で、4時間、滅菌FACSチューブで一緒に共培養した。標的細胞死の量の検出を、先に説明したとおり、実施した。結果を
図7に示す。
【0224】
統計分析:
Prism 9.1.2ソフトウェア(GraphPad)をデータ比較、データグラフ表示および統計的計算のために使用した。クラスカル・ウォリス検定を、2を超える群間の平均比較のために使用した。マン・ホイットニーU検定を2群間の平均比較のために使用した。全統計解析を、最小で3つの独立した実験で実施した。p値≦0.05を統計的有意と判断した。
【配列表】
【国際調査報告】