(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】RHOキナーゼ阻害剤としてのジヒドロフロピリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 491/048 20060101AFI20231212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231212BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231212BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231212BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20231212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231212BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20231212BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20231212BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C07D491/048 CSP
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P37/06
A61P11/06
A61P11/00
A61P9/12
A61K45/00
A61K9/72
A61K9/12
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/107
A61K31/506
C07D519/00 301
A61K31/551
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536035
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021085375
(87)【国際公開番号】W WO2022128848
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221578
【氏名又は名称】林 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】ランカーティ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】アッチェッタ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】カペッリ,アンナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】パーラ,ダニエーレ
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】パスクア,アデーレ エリーザ
(72)【発明者】
【氏名】カパドニス,プラシャント ビムラオ
(72)【発明者】
【氏名】シュギヨーム,アルノー ジャン フランソワ オーギュスト
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,デイビッド エドワード
【テーマコード(参考)】
4C050
4C072
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB07
4C050CC16
4C050EE01
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH02
4C050HH04
4C072MM08
4C072UU01
4C076AA12
4C076AA13
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA56
4C076AA93
4C076BB01
4C076CC15
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA34
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA56
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA421
4C084ZA422
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZC412
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA34
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA42
4C086ZA59
4C086ZB08
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、ジヒドロフロピリジン誘導体である、Rhoキナーゼを阻害する式(I)の化合物、このような化合物の製造方法、それらを含む医薬組成物およびその治療的使用に関する。特に、本発明の化合物は、ROCK酵素メカニズムに関連する多くの障害、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)および肺動脈性高血圧(PAH)を含む肺疾患の処置に有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
〔式中、
X
1、X
2、X
3およびX
4は全てCHであるか、またはX
1、X
2、X
3およびX
4の一つはNであり、その他はCHであり;
pは0であるか、または1~4の整数であり;
存在するとき、各Rは、各々の場合において独立して、(C
1-C
6)アルキルならびにF、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲンから独立して選択され;ここで好ましくは、RはF、Clまたはメチルであり;
R
1はピリミジニルであり;
Lは-C(O)NH-または-NHC(O)-であり;
nは、各々の場合において独立して、0であるか、または1、2または3から選択される整数;
R
2およびR
3は、各々の場合において独立して、
-H、
ハロゲン、
-OH、
-(CH
2)
mNR
4R
5、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アルコキシ、
(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ハロアルコキシ、
(C
1-C
6)ハロアルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
10)シクロアルキル、
アリール、ヘテロアリールおよび(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル、
から成る群から選択され、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの各々は、
ハロゲン、
-OH、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アルコキシ、
(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ハロアルコキシ、
-(CH
2)
mNR
4R
5、
-O-(CH
2)
mNR
4R
5、
-NR
8-(CH
2)
mNR
4R
5、
R
4R
5N(CH
2)
m-(C
1-C
6)ハロアルコキシ、
アルカノイル、
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、
アリール-(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-O-、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-NR
8、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2NH-、
(C
3-C
8)シクロアルキル-(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
8)シクロアルキル-(CH
2)
m-O-
から成る群から選択される1以上の基で場合により独立して置換されていてよく、
前記アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルは、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン、-OH、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、-(CH
2)
mNR
4R
5、-C(O)-(CH
2)
mNR
4R
5、-ヘテロシクロアルキル-C(O)-から独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよく、最後のヘテロシクロアルキルは、(C
1-C
6)アルキルから独立して選択される1以上の基で場合により置換されていてよく;
mは、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数であり;
R
4、R
5およびR
8は、同一であるかまたは異なり、
-H、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アミノアルキル、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル、
から成る群から選択され、最後のヘテロシクロアルキルは、(C
1-C
8)アルキルから独立して選択される1以上の基で場合により置換されていてよく;
R
6およびR
7は独立して、-H、(C
1-C
6)アルキルから成る群から選択される〕
の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体または任意の割合でのそれらの混合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
X
1、X
3およびX
4が全てCH基であり、X
2がCH基または窒素原子であり;
R
1が2-アミノピリミジン-4-イルであり;
全ての他の可変基が請求項1で定義されるとおりである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X
1、X
2、X
3およびX
4が全てCH基あり;
pが0であるか、または1~4の整数であり;
存在するとき、各Rが、各々の場合において、F、Cl、BrおよびIから独立して選択されるハロゲンであり;
R
1が-NH
2で置換されたピリミジニルであり;
Lが-C(O)NH-であり;
nは、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数であり;
存在するとき、R
3がHであり、
R
2が
ヘテロアリールであり、
これは、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アルコキシ、
(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
-(CH
2)
mNR
4R
5、
-O-(CH
2)
mNR
4R
5、
-NR
8-(CH
2)
mNR
4R
5、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-O-、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-NR
8-、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2NH-;
から成る群から独立して選択される1以上の基で場合により置換されていてよく、前記ヘテロシクロアルキルの各々は、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン;(C
1-C
6)アルキル、-(CH
2)
mNR
4R
5、-C(O)-(CH
2)
mNR
4R
5から独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよく;
mが、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数;
R
4、R
5およびR
8が、同一であるかまたは異なり、
-H、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
から成る群から選択され、
全ての他の可変基が請求項1で定義されるとおりである、
請求項1に記載の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体または任意の割合でのそれらの混合物および/またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
R
2が
(C
1-C
6)アルコキシ、
-(CH
2)
mNR
4R
5、
-O-(CH
2)
mNR
4R
5、
-NR
8-(CH
2)
mNR
4R
5、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-O-、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-NR
8-、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2NH-、
から選択される1つのW基で置換されたピリジニルであり;
前記ヘテロシクロアルキルの各々は、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン、好ましくはF;(C
1-C
6)アルキル、-(CH
2)
mNR
4R
5、-C(O)-(CH
2)
mNR
4R
5から独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよい、
請求項3に記載の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物
および/またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
Wが、メトキシ、(ジメチルアミノ)エトキシ、ピペラジニル、2-メチルピペラジン-1-イル(4-(メチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ、(ジメチルアミノ)プロパノイル、ピペリジン-4-イルオキシから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
X
1、X
2、X
3およびX
4が全てCHであるか、またはX
2がNであり、その他がCHであり;
pが0または1であり;
存在するとき、各RがFであり;
R
1が2-アミノピリミジン-4-イルであり;
Lが-C(O)NH-であり;
nが0であり;
R
3が存在せず、R
2が
ピリジニルであるヘテロアリールから成る群から選択され、これは
F、Cl、Br、Iから選択されるハロゲン、
メチルである(C
1-C
6)アルキル、
メトキシである(C
1-C
6)アルコキシ、
(メチルアミノ)メチルである-(CH
2)
mNR
4R
5、
2-(ジメチルアミノ)エトキシ、(メチルアミノ)エトキシである-O-(CH
2)
mNR
4R
5;
(((ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)、((ジメチルアミノ)エチル)アミノ、(メチルアミノ)エチル)アミノ)である-NR
8-(CH
2)
mNR
4R
5;
ピペリジン-4-イル、メチル、(ジメチルアミノ)プロパノイルおよび1-メチルピペリジン-4-カルボニルから選択される1以上の基で場合により置換されていてよいピペラジン-1-イル、1以上のメチルで場合により置換されていてよい1,4-ジアゼパン-1-イル、1以上のメチルで場合により置換されていてよい2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルである(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル、
1以上のメチルで場合により置換されていてよい(ピペラジン-1-イル)メチル)である(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m、
ピペリジン-4-イルオキシ、Fで場合により置換されていてよいピロリジン-3-イル)メトキシ、メチルで場合により置換されていてよい(モルホリン-2-イル)メトキシ、メチルで場合により置換されていてよい(アゼチジン-2-イル)メトキシ、メチルアミノで場合により置換されていてよいテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ、少なくとも1つのメチルで場合により置換されていてよい(ピペラジン-2-イル)メトキシである(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-O-
から独立して選択される1以上の基で置換され、
R
6およびR
7が-Hである、
請求項1に記載の式(I)の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
次から選択される、請求項1に記載の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物:
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-メトキシピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(4-(1-メチルピペリジン-4-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(4-(3-(ジメチルアミノ)プロパノイル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((2R,5S)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
N-(5-((1R,4R)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)ピリジン-2-イル)-3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド;
(R)-3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(2-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((2-(メチルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
N-(5-(1,4-ジアゼパン-1-イル)ピリジン-2-イル)-3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(2-(メチルアミノ)エトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((1R,4R)-5-メチル-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((2-(ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((1S,4S)-5-メチル-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
(S)-3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((3-フルオロピロリジン-3-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((4-(メチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
(R)-3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((1-メチルアゼチジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
(最初に溶出するエナンチオマー)
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((1,4-ジメチルピペラジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
(二番目に溶出するエナンチオマー)
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((1,4-ジメチルピペラジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド;
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((メチルアミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1以上の薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物で含む医薬組成物。
【請求項9】
吸入粉末、噴射剤含有定量エアロゾルまたは噴射剤不含吸入製剤から選択される、吸入により投与するのに適切なものである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
単回もしくは複数回用量乾燥粉末吸入器、定量吸入器またはソフトミストネブライザーであり得る、請求項9に記載の医薬組成物を含むデバイス。
【請求項11】
ゲルカプセル、カプセル、カプレット、顆粒、ロゼンジおよびバルク粉末または水性および非水性溶液剤、エマルジョン、懸濁液、シロップまたはエリキシル製剤から選択される経口経路による投与に適切なものである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物または請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項13】
移植片対宿主病(GVHD)を含む免疫系障および喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)から成る群から選択される肺疾患の予防および/または処置における、請求項12に記載の化合物または医薬組成物。
【請求項14】
喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)の予防および/または処置において吸入投与経路により使用するための、請求項13に記載の化合物または医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物と、有機ニトレートおよびNO供与体;吸入式NO;可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤;プロスタサイクリンアナログPGI2およびプロスタサイクリン受容体アゴニスト;環状グアノシンモノホスフェート(cGMP)および/または環状アデノシンモノホスフェート(cAMP)分解阻害化合物;ヒト好中球エラスターゼ阻害剤;シグナル伝達カスケード阻害化合物;血圧を低下させるための活性物質;中性エンドペプチダーゼ阻害剤;浸透剤;ENaCブロッカー;コルチコステロイドを含む抗炎症剤およびケモカイン受容体アンタゴニスト;抗ヒスタミン薬物;鎮咳薬物;抗生物質およびDNアーゼ薬物物質および選択的開裂剤;Smad2およびSmad3のALK5および/またはALK4リン酸化を阻害する薬剤;トリプトファンヒドロキシラーゼ1(TPH1)阻害剤およびマルチキナーゼ阻害剤、β2-アゴニスト、コルチコステロイド、抗コリンまたは抗ムスカリン剤、マイトージェン活性タンパク質キナーゼ(P38 MAPキナーゼ)阻害剤、核因子κBキナーゼサブユニットβ(IKK2)阻害剤、ロイコトリエンモジュレーター、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、粘液調節剤、粘液溶解剤、去痰剤/粘液流動モジュレーター、ペプチド粘液溶解剤、JAK阻害剤、SYK阻害剤、PI3Kδ阻害剤またはPI3Kγから成る群から選択される1以上の活性成分またはそれらの組合せとの、組合せ剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Rhoキナーゼを阻害する新規化合物(以降、ROCK阻害剤と称する);このような化合物の製造方法、これらを含む医薬組成物およびその治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、Rho-associated coiled-coil forming protein kinase (ROCK)のROCK-Iおよび/またはROCK-IIアイソフォームの活性または機能の阻害剤である。
【0003】
Rho-associated coiled-coil forming protein kinase (ROCK)は、セリン-スレオニンキナーゼのAGC (PKA/PKG/PKC)ファミリーに属する。ROCKの2つのヒトアイソフォームが記載されており、ROCK-I (p160 ROCK、またはROKβ、またはROCK 1とも称される)およびROCK-II (ROKαまたはROCK 2)は、N末端Ser/Thrキナーゼドメインを含む約160 kDaのタンパク質、コイルドコイル構造、プレクストリン相同ドメインおよびC末端のシステインに富む領域がある(Riento, K.; Ridley, A. J. Rocks: multifunctional kinases in cell behaviour. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2003, 4, 446-456)。
【0004】
ROCK-IIおよびROCK-Iの両方は、心臓、膵臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および脳を含む多くのヒトおよび齧歯類組織で発現する(上記のRientoおよびRidley, 2003)。肺高血圧を有する患者において、ROCK活性は、対照と比較して肺組織および循環している好中球の両方において顕著に高い(Duong-Quy S, Bei Y, Liu Z, Dinh-Xuan AT. Role of Rho-kinase and its inhibitors in pulmonary hypertension. Pharmacol Ther. 2013;137(3):352-64)。好中球ROCK活性と肺高血圧の重篤度および期間との間に顕著な相関が確立された(Duong-Quy et al., 2013)。
【0005】
現在では、ROCKが、喘息、COPD、気管支拡張症およびARDS/ALIを含むいくつかの急性および慢性肺疾患に関連する病理に寄与する多くの経路に関与していることを示す実質的な証拠が存在する。ROCKの生物学的効果を考えると、選択的阻害剤は、平滑筋過敏性、気管支収縮、気道炎症および気道リモデリング、神経調節、および呼吸器ウイルス感染による増悪など、呼吸器疾患における多くの病理学的メカニズムを処置する可能性を有する(Fernandes LB, Henry PJ, Goldie RG. Rho kinase as a therapeutic target in the treatment of asthma and chronic obstructive pulmonary disease. Ther Adv Respir Dis. 2007 Oct;1(1):25-33)。実際に、Rhoキナーゼ阻害剤Y-27632は気管支拡張を引き起こし、肺好酸球の輸送と気道過敏反応性を低減する(Gosens, R; Schaafsma, D.; Nelemans, S. A.; Halayko, A. J. Rhokinase as a drug target for treatment of airway hyperresponsiveness in asthma. Mini-Rev. Med. Chem. 2006, 6, 339-34)。肺ROCK活性化は、特発性肺線維症(IPF)を有するヒトおよびこの疾患の動物モデルで証明されている。ROCK阻害剤は、これらのモデルにおいて線維化を予防し得て、さらに重要なことは、すでに確立された線維化の退縮を誘発し得て、これは、ROCK阻害剤が肺線維症の進行を阻止する強力な薬理学的薬剤となる可能性があることを示す(Jiang, C.; Huang, H.; Liu, J.; Wang, Y.; Lu, Z.; Xu, Z. Fasudil, a rho-kinase inhibitor, attenuates bleomycin-induced pulmonary fibrosis in mice. Int. J. Mol. Sci. 2012, 13, 8293-8307)。
【0006】
多様な化合物が、Rhoキナーゼ阻害剤として文献に記載されている。例えば、フェニルアミノピリミジン化合物誘導体を開示する国際公開第2004/039796号;インダゾール化合物誘導体を開示する国際公開第2006/009889号;ニコチンアミド化合物誘導体を開示する国際公開第2010/032875号;ピラゾール誘導体を開示する国際公開第2009/079008号;ピリミジン誘導体を開示する国際公開第2014/118133号、および本発明と出願人が同一である、二環式ジヒドロピリミジンを開示する国際公開第2018/115383号およびチロシンアミド化合物誘導体およびそのアナログ国際公開第2018/138293号、国際公開第2019/048479号、国際公開第2019/121223号、国際公開第2019/121233号、国際公開第2019/121406号、国際公開第2019/238628号、国際公開第2020/016129号を参照。
【0007】
開示された化合物は、本発明の化合物と実質な構造の差異を示す。
【0008】
多くの治療領域において新規かつ薬理学的に改善されたROCK阻害剤が開発される可能性が存在する。
【0009】
ROCK酵素により媒介される病理学的応答の数の観点から、多くの障害の処置に有用であり得るそのような酵素の阻害剤に対する継続的な必要性が存在する。本発明は、少なくとも一般的な中心骨格について当分野で開示された構造と異なる新規化合物に関する。実際に、本発明は2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン部分、特に2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン、特に好ましくは、N-(3-(((2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)フェニル)ホルムアミドおよび3-(((2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド誘導体により特徴付けられる化合物に関し、これらは治療的に望ましい特徴を有し、移植片対宿主病(GVHD)を含む免疫系障害などの他の分野を排除しない呼吸器疾患の分野において、および喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)および肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)を含むいくつかの肺疾患について特に有望である、Rho-associated coiled-coil forming protein kinase (ROCK)のROCK-IおよびROCK-IIアイソフォーム阻害剤である。本発明の化合物は、薬物動態特性に一致するいずれかの経路による投与のために製造され得る。本発明の化合物はROCK-IおよびROCK-IIアイソフォーム阻害剤として活性であり、これらは強力であり、有利には、選択性および好ましい投与経路を示す他のインビトロ特性などの他の改善された特性を有する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、Rhoキナーゼ(ROCK)阻害剤として作用する式(I)
【化1】
〔式中、可変基X
1、X
2、X
3およびX
4、p、R、R
1、L、n、R
2およびR
3、R
6およびR
7は発明の詳細な説明で定義されるとおりである〕
の化合物群またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0011】
ある態様において、本発明とは、医薬として使用するための、式(I)の化合物をいう。ある態様において、本発明は、医薬の製造のための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、ROCK酵素メカニズムに関連する、すなわちROCK酵素異常活性によって特徴付けられるいずれかの疾患を処置するための医薬の製造のための、本発明の化合物の使用を提供し、および/または活性の阻害が望ましいものであり、他のキナーゼを上回るROCK酵素アイソフォームの選択的阻害によるものである。
【0013】
別の態様において、本発明は、上記ROCK酵素メカニズムに関連するいずれかの疾患を予防および/または処置する方法であって、処置を必要とする患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
特定の態様において、本発明の化合物は単独で他の活性成分と組み合わせて使用され、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)および肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)を含む肺疾患の予防および/または処置のために投与され得る。
【0015】
発明の詳細な説明
定義
用語「薬学的に許容される塩」とは、式(I)の化合物の誘導体をいい、ここで親化合物は、遊離の酸または塩基性基のいずれかが、存在するならば、薬学的に許容されることが従来意図される任意の塩基または酸を用いて対応する付加塩に変換することにより適切に修飾されている。
【0016】
したがって、前記塩の適切な例は、アミノ基などの塩基性残基の無機酸または有機酸付加塩、およびカルボキシル基などの酸残基の無機塩基または有機塩基付加塩を含み得る。
【0017】
本発明の塩を製造するために適切に使用され得る無機塩基のカチオンは、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属のイオンを含む。塩基として機能する主化合物を無機酸または有機酸と反応させ、塩を形成することにより得られた塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸およびクエン酸の塩を含む。
【0018】
多くの有機化合物は、それらの反応が実施されるまたはそれらが沈殿するまたは結晶化される溶媒と錯体を形成し得る。これらの錯体は、本発明のさらなる目的である「溶媒和物」として知られる。式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の多形および結晶形態は、本発明のさらなる目的である。
【0019】
用語「ハロゲン」または「ハロゲン原子」はフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子を含み;置換基としてのフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを意味する。
【0020】
用語「(C1-C6)アルキル」とは、炭素原子数が1~6の範囲である、直鎖または分岐鎖のアルキル基をいう。特定のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、3-メチルブチルなどである。
【0021】
表現「(C1-C6)ハロアルキル」とは、1以上の水素原子が互いに同一であり得るかまたは異なり得る1以上のハロゲン原子で置換された、上記で定義される「(C1-C6)アルキル」基をいう。その例は、ハロゲン化された、多ハロゲン化された、または全ての水素原子がハロゲン原子により置換された全体がハロゲン化されたアルキル基、例えば、トリフルオロメチルまたはジフルオロメチル基を含む。
【0022】
同様に、用語「(C1-C6)ヒドロキシアルキル」および「(C1-C6)アミノアルキル」とは、1以上の水素原子が1以上のヒドロキシ(OH)またはアミノ基でそれぞれ置換された、上記で定義される「(C1-C6)アルキル」基をいい、その例はヒドロキシメチルおよびアミノメチルなどである。
【0023】
アミノアルキルの定義は、1以上のアミノ基(-NR10R9)で置換されたアルキル基(すなわち、「(C1-C6)アルキル」基)を包含する。アミノアルキルの例は、R10R9N-(C1-C6)アルキルなどのモノアミノアルキル基である。置換基R10およびR9は、発明の詳細な説明においてR4およびR5として定義される。
【0024】
したがって、アミノアルコキシルのような派生した表現は、エーテル架橋を介してアルキル側からの分子の残りの部分に結合したアミノアルキル、例えば線形表記の-O-(CH2)mNR4R5を示す
【0025】
用語「(C3-C10)シクロアルキル」、これと同様の「(C3-C8)シクロアルキル」または「(C3-C6)シクロアルキル」とは、示された数の環炭素原子を含む飽和環式炭化水素をいう。その例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル、およびアダマンタン-イルなどの多環式環系を含む。
【0026】
表現「アリール」とは、少なくとも1つの環が芳香族である、6~20個、好ましくは6~15個の環原子を有する単環式、二環式または三環式炭素環系をいう。
【0027】
表現「ヘテロアリール」とは、5~20個、好ましくは5~15個の環原子を有し、少なくとも1つの環が芳香族であり、少なくとも1つの環原子がヘテロ原子(例えば、N、SまたはO)である、環式、二環式または三環式環系をいう。
【0028】
アリールまたはヘテロアリール単環式環系の例は、フェニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニル基などを含む。
【0029】
アリールまたはヘテロアリール二環式環系の例は、ナフタレニル、ビフェニレニル、プリニル、プテリジニル、ピラゾロピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾール-イル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、インデニル、ジヒドロ-インデニル、ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾチアゾール-2-イル、ジヒドロベンゾジオキセピニル、ベンゾオキサジニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル、4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[4,5-c]ピリジン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール-2-イル、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,7-ナフチリジン、4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-イル基などを含む。
【0030】
アリールまたはヘテロアリール三環式環系の例は、フルオレニル基、および前記ヘテロアリール二環式環系のベンゾ縮合誘導体を含む。
【0031】
派生した表現「(C3-C10)ヘテロシクロアルキル」、同様の表現「(C3-C8)ヘテロシクロアルキル」または「(C3-C6)ヘテロシクロアルキル」とは、少なくとも1つの環炭素原子が少なくとも1つのヘテロ原子(例えばN、NH、SまたはO)で置換され、および/または-オキソ(=O)置換基を有し得る、示された炭素数の飽和または一部不飽和モノ、ビまたはトリシクロアルキル基をいう。前記ヘテロシクロアルキル(すなわち、ヘテロ環式ラジカルまたは基)は、環の利用可能な点で、すなわち、置換に利用可能な炭素原子上またはヘテロ原子上で、場合によりさらに置換されていてよい。ヘテロシクロアルキルの例は、オキセタニル、テトラヒドロ-フラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロ-またはテトラヒドロ-ピリジニル、テトラヒドロピラニル、ピラニル、2H-または4H-ピラニル、ジヒドロ-またはテトラヒドロフラニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピロリジン-2-オン-イル、ジヒドロピロリル、5-オキソピロリジン-3-イル、(1R,5S,6r)-3-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール-5-イル、4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-2-イル;4,5,6,7-テトラヒドロチアゾロ[5,4-c]ピリジン-2-イル基などにより表される。
【0032】
用語「アリール(C1-C6)アルキル」とは、構成する炭素原子の数が1~6個の範囲である直鎖または分岐鎖アルキルに結合したアリール、例えば、フェニルメチル(すなわち、ベンジル)、フェニルエチルまたはフェニルプロピルをいう。
【0033】
同様の用語「ヘテロアリール(C1-C6)アルキル」とは、構成する炭素原子の数が1~6個の範囲である直鎖または分岐鎖アルキルに結合したヘテロアリール環、例えば、フラニルメチルをいう。
【0034】
用語「アルカノイル」とは、HC(O)-またはアルキルカルボニル基(例えば、(C1-C6)アルキルC(O)-)をいい、ここで「アルキル」基は、上記で定義される意味を有する。その例は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイルを含む。
【0035】
用語「(C1-C10)アルコキシ」または「(C1-C10)アルコキシル」、同様の用語「(C1-C6)アルコキシ」または「(C1-C6)アルコキシル」などは、酸素架橋を介して分子の残りに結合した、示された炭素数の直鎖または分岐鎖の炭化水素をいう。「(C1-C6)アルキルチオ」とは、硫黄架橋を介して結合した上記炭化水素をいう。
【0036】
派生した表現「(C1-C6)ハロアルコキシ」または「(C1-C6)ハロアルコキシル」とは、酸素架橋を介して結合した上記で定義されたハロアルキルをいう。(C1-C6)ハロアルコキシの例は、トリフルオロメトキシである。
【0037】
同様の派生した表現「(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(C1-C6)アルキル」および「(C3-C6)シクロアルキル-(C1-C6)アルキル」とは、示された炭素数のアルキル基を介して分子の残りと結合した、上記で定義されるヘテロシクロアルキルおよびシクロアルキル基をいい、これは例えば、一次式(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m-または(C3-C6)シクロアルキル-(CH2)m-、例えば、ピペリジン-4-イル-メチル、シクロヘキシルエチルに対応する。
【0038】
派生した表現「(C1-C6)アルコキシ-(C1-C6)アルキル」とは、示された炭素数のアルキル基を介して分子の残りに結合した、上記で定義されるアルコキシ基、例えば、メトキシメチルをいう。
【0039】
同様に、「(C1-C6)ハロアルコキシ(C1-C6)アルキル」とは、示された炭素数のアルキル基を介して分子の残りに結合した、上記で定義される「(C1-C6)ハロアルコキシ」基、例えば、ジフルオロメトキシプロピルをいう。
【0040】
派生した表現「(C3-C8)ヘテロシクロアルキル-(C1-C6)アルコキシル」または「(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(C1-C6)アルコキシル」および「(C3-C8)シクロアルキル-(C1-C6)アルコキシル」または「(C3-C6)シクロアルキル-(C1-C6)アルコキシル」とは、示された炭素数の上記で定義されるアルコキシル基を介して分子の残りに結合した、上記で定義されるヘテロシクロアルキルおよびシクロアルキル基をいい、これらは例えば、一次式(C3-C8)シクロアルキル-(CH2)mO-、(C3-C8)ヘテロシクロアルキル-(CH2)mO-、例えば、ピペラジン-1-イル-エトキシルに対応する。
【0041】
オキソ部分は、他の一般的な表現、例えば(=O)の代替として、(O)で表される。したがって、一般式に関しては、本明細書においてカルボニル基は他の一般的な表現、例えば-CO-、-(CO)-または-C(=O)-の代替として、好ましくは-C(O)-として表される。一般に、括弧が付された基は側部の基であり、鎖に含まれず、一次化学式の曖昧さを回避するのを助けるために有用であると考えられるとき、括弧が使用される;例えば、スルホニル基-SO2-は、例えばスルフィン基-S(O)O-との曖昧さを回避するために、-S(O)2-と表されることもある。
【0042】
同様に、本明細書における-(CHR
3)
n-R
2基は、式(I)および(Ia)に見られる特徴づける基
【化2】
の末端部分の線形表記である。
【0043】
数値的な指標であるとき、記載(値)「pは零である」または「pは0である」は、指数pを有する置換基または基(例えば、(R)p)が存在しない、すなわち、必要なとき、H以外の置換基が存在しないことを意味する。同様に、指数が架橋している二価の基に付いている(例えば、(CH2)n)とき、文「nは、各々の場合において0であり・・・」または「nは0である」は、架橋している基が存在しない、すなわち、結合であることを意味する。
【0044】
塩基性アミノ基または四級アンモニウム基が式(I)の化合物に存在するときは常に、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、トリフルオロアセテート、ホルメート、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレアート、アセテート、シトレート、フマレート、タートレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート、p-トルエンスルホネート、パモエートおよびナフタレンジスルホネートから選択される生理学的に許容されるアニオンが存在し得る。同様に、COOH基などの酸性基の存在下で、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属イオンを含む対応する生理学的カチオン塩もまた、存在し得る。
【0045】
式(I)の化合物は、1以上の立体中心を含むとき、光学立体異性体として存在し得る。
【0046】
本発明の化合物が少なくとも1つの立体中心を有する場合、それらはそれに応じてエナンチオマーとして存在し得る。本発明の化合物が2以上の立体中心を有する場合、それらはそれに応じてジアステレオ異性体として存在し得る。全てのこのような単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物は本発明の範囲内に包含されると理解されるべきである。立体中心を有する炭素についての絶対配置(R)または(S)は、置換基の優先順位に基づき、カーン・インゴールド・プレローグ順位則に基づいて割り当てられる。
【0047】
化合物の化学名の付近に示される「単一の立体異性体」、「単一のジアステレオ異性体」または「単一のエナンチオマー」は、その異性体が単一のジアステレオ異性体またはエナンチオマーとして(例えば、キラルクロマトグラフィーにより)単離されたが、関連する立体中心での絶対配置は決定されなかった/割り当てられなかったことを意味する。
【0048】
アトロプ異性体は、立体的な歪みの障壁が大きく、立体構造異性体の単離が十分に可能となる場合の、単結合の回転の束縛により生じる(Bringmann G et al, Angew. Chemie Int.Ed.44 (34), 5384-5427, 2005.doi:10.1002/anie.200462661)。
【0049】
Okiは、アトロプ異性体を所定の温度で1000秒を超える半減期で相互変換する立体構造異性体として定義した(Oki M, Topics in Stereochemistry 14, 1-82, 1983)。
【0050】
アトロプ異性体は、多くの場合においてそれらは熱的に平衡化され得るが、他の形態のキラリティーでは、異性化が通常、化学的にのみ可能である点において他のキラル化合物と異なる。
【0051】
アトロプ異性体の分離は、選択的結晶化などのキラル分割法により可能である。アトロプ-エナンチオ選択的またはアトロプ選択的合成において、1種のアトロプ異性体が他の異性体の代わりに形成される。アトロプ選択的合成は、コーリー・バクシ・柴田(CBS)触媒のようなキラル補助剤、プロリン由来の不斉触媒を用いることにより、または異性化反応が他の異性体より1種のアトロプ異性体について好ましいときは、熱力学的平衡に基づくアプローチにより実施され得る。
【0052】
式(I)の化合物のラセミ体および個々のアトロプ異性体(対応するエナンチオマーを実質的に含まない)および立体異性体富化したアトロプ異性体混合物は、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
本発明はさらに、式(I)の化合物の対応する重水素化誘導体に関する。本発明の文脈において、重水素化誘導体は、水素原子により占有された少なくとも1つの位置が、水素の天然存在度を上回る量の重水素で占有されていることを意味する。好ましくは、その位置の重水素のパーセントは、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは99%である。
【0054】
式(I)の化合物についての上記および下記の全ての好ましい基または実施態様は、互いに組み合わせられ得て、また、しかるべき変更を加えて適用され得る。
【0055】
上記のとおり、本発明とは、ROCK阻害剤として作用する一般式(I)の化合物、それらの製造方法、それらを単体でまたは1以上の活性成分との組合せで、1以上の薬学的に許容される担体との混合物で含む医薬組成物をいう。
【0056】
第一の態様において、本発明は、式(I)
【化3】
〔式中、
X
1、X
2、X
3およびX
4は全てCHであるか、またはX
1、X
2、X
3およびX
4の一つはNであり、その他はCHであり;
pは0であるか、または1~4の整数であり;
存在するとき、各Rは、各々の場合において独立して、(C
1-C
6)アルキルならびにF、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲンから選択され;ここで好ましくは、RはF、Clまたはメチルであり;
R
1は-(CH
2)
mNH
2から選択される1以上の基で置換されたピリミジニル、好ましくは、ピリミジン-4-イルであり;特に好ましくは、R
1は2-アミノピリミジン-4-イルであり;
Lは-C(O)NH-または-NHC(O)-であり;
nは、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数であり;
R
2およびR
3は、各々の場合において独立して、
-H、
ハロゲン、
-OH、
-(CH
2)
mNR
4R
5、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アルコキシ、
(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ハロアルコキシ、
(C
1-C
6)ハロアルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
10)シクロアルキル、
アリール、ヘテロアリールおよび(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル
から成る群から選択され、前記シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルの各々は、次に、
ハロゲン、
-OH、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アルコキシ、
(C
1-C
6)アルコキシ(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ハロアルコキシ、
-(CH
2)
mNR
4R
5、
-O-(CH
2)
mNR
4R
5、
-NR
8-(CH
2)
mNR
4R
5、
R
4R
5N(CH
2)
m-(C
1-C
6)ハロアルコキシ、
アルカノイル、
アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、
アリール-(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル、好ましくは(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-(C
1-C
6)アルキル、好ましくは(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-、
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-O-;
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-(CH
2)
m-NR
8-
(C
3-C
8)ヘテロシクロアルキル-S(O)
2NH-;
(C
3-C
8)シクロアルキル-(C
1-C
6)アルキル、
(C
3-C
8)シクロアルキル-(CH
2)
m-O-;
から成る群から選択される1以上の基で場合により独立して置換されていてよく、
前記アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルの各々は、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン、好ましくはF、-OH、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
6)ハロアルキル、(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、-(CH
2)
mNR
4R
5、-C(O)-(CH
2)
mNR
4R
5、-ヘテロシクロアルキル-C(O)-から独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよく、最後のヘテロシクロアルキルは、(C
1-C
6)アルキルから独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよく;
mは、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数;
R
4、R
5およびR
8は、同一であるかまたは異なり、
-H、
(C
1-C
6)アルキル、
(C
1-C
6)ハロアルキル、
(C
1-C
6)ヒドロキシアルキル、
(C
1-C
6)アミノアルキル、
(C
3-C
6)ヘテロシクロアルキル
から成る群から選択され、最後のヘテロシクロアルキルは、(C
1-C
8)アルキルから独立して選択される1以上の基で場合により置換されていてよく;
R
6およびR
7は独立して、-H、(C
1-C
6)アルキルから成る群から選択される〕
の化合物群、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物および/またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0057】
好ましい実施態様において、本発明は、
X1、X3およびX4が全てCH基であり、X2がCH基または窒素原子であり;
R1が2-アミノピリミジン-4-イルであり;
全ての他の可変基が上記で定義されるとおりである、
式(I)の化合物に関する。
【0058】
前記化合物の好ましい群は、式(Ia)で表される。
【化4】
【0059】
別の好ましい実施態様において、本発明は、
X1、X2、X3およびX4が全てCHであり;
pが0であるか、または1~4の整数であり;
存在するとき、各Rが、各々の場合において、F、Cl、BrおよびIから独立して選択されるハロゲンであり、ここで好ましくは、RはFであり;
R1が-NH2で置換されたピリミジニルであり;特に好ましくは、R1が2-アミノピリミジン-4-イルであり;
Lが-C(O)NH-であり;
nは、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数であり;
存在するとき、R3がHであり、
R2が
(C1-C6)アルキル、
(C1-C6)ヒドロキシアルキル、
(C1-C6)アルコキシ、
(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、
-(CH2)mNR4R5、
-O-(CH2)mNR4R5、
-NR8-(CH2)mNR4R5、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m-O-、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m-NR8-、
(C3-C8)ヘテロシクロアルキル-S(O)2NH-
から選択される1以上の基で場合により置換されていてよいヘテロアリールであり;
前記ヘテロシクロアルキルの各々は、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン、好ましくはF;(C1-C6)アルキル、-(CH2)mNR4R5、-C(O)-(CH2)mNR4R5から独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよく;
mは、各々の場合において独立して、0または1、2または3から選択される整数であり;
R4、R5およびR8が同一であるかまたは異なり、
-H、
(C1-C6)アルキル、
(C1-C6)ハロアルキル、
(C1-C6)ヒドロキシアルキル、
から成る群から選択され、
全ての他の可変基が上記で定義されるとおりである、
式(I)の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物および/またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0060】
この直前の態様で特に好ましいものは、
R2が、
(C1-C6)アルコキシ、
-(CH2)mNR4R5、
-O-(CH2)mNR4R5、
-NR8-(CH2)mNR4R5、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m-O-、
(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m-NR8-、
(C3-C8)ヘテロシクロアルキル-S(O)2NH-
から選択される1個のW基で置換されたピリジニル、好ましくはピリジン-2-イルであり;
前記ヘテロシクロアルキルの各々は、F、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲン、好ましくはF;(C1-C6)アルキル、-(CH2)mNR4R5、-C(O)-(CH2)mNR4R5から独立して選択される1以上の基で場合によりさらに置換されていてよく;
全ての他の可変基および置換基が上記で定義されるとおりである、
化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物および/またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0061】
前記最後の特に好ましい化合物群は、式(Ic)で表される。
【化5】
【0062】
この直前の態様で特に好ましいものは、
Wがメトキシ、(ジメチルアミノ)エトキシ、ピペラジニル、2-メチルピペラジン-1-イル、(4-(メチルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ、(ジメチルアミノ)プロパノイル、ピペリジン-4-イルオキシから選択され;
全ての他の可変基および置換基が上記で定義されるとおりである、
化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物および/またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0063】
したがって、特に好ましい化合物群は、下記のものである。
【表1】
【0064】
さらに好ましい本発明による化合物群は、
X1、X2、X3およびX4が全てCHであるか、またはX2がNであり、その他はCHであり;
pが0または1であり;
存在するとき、各RがFであり;
R1が2-アミノピリミジン-4-イルであり;
Lが-C(O)NH-または-NHC(O)-であり;
nが0であり;
R3が存在せず、R2が
F、Cl、Br、Iから選択されるハロゲン、
メチルである(C1-C6)アルキル、
メトキシである(C1-C6)アルコキシ、
メトキシメチルである(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル、
(メチルアミノ)メチルである-(CH2)mNR4R5、
mが2であり、R4およびR5が独立してHまたはメチルであることを意味する、2-(ジメチルアミノ)エトキシ、(メチルアミノ)エトキシである-O-(CH2)mNR4R5;
mが2であり、R4およびR5が独立してHまたはメチルであり、R8がHまたはメチルであることを意味する、(((ジメチルアミノ)エチル)(メチル)アミノ)、((ジメチルアミノ)エチル)アミノ、(メチルアミノ)エチル)アミノ)である-NR8-(CH2)mNR4R5;
メチル、(ジメチルアミノ)プロパノイルおよび1-メチルピペリジン-4-カルボニルから選択される1以上の基で場合により置換されていてよいピペリジン-4-イル、ピペラジン-1-イル;1以上のメチルで場合により置換されていてよい1,4-ジアゼパン-1-イル;1以上のメチルで場合により置換されていてよい2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イルである、(C3-C8)ヘテロシクロアルキル;
1以上のメチルで場合により置換されていてよい(ピペラジン-1-イル)メチル)である、(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m;
ピペリジン-4-イルオキシ;Fで場合により置換されていてよいピロリジン-3-イル)メトキシ;メチルで場合により置換されていてよい(モルホリン-2-イル)メトキシ;メチルで場合により置換されていてよい(アゼチジン-2-イル)メトキシ;メチルアミノで場合により置換されていてよいテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メトキシ;少なくとも1つのメチルで場合により置換されていてよい(ピペラジン-2-イル)メトキシである、(C3-C6)ヘテロシクロアルキル-(CH2)m-O-
から選択される1以上ので置換されたピリジニル、好ましくはピリジン-2-イルである、ヘテロアリールであり、
R6およびR7が-Hである、
式(I)の化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0065】
本発明はまた、下記のとおり、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を単独でまたは1以上のさらなる活性成分との組合せで、1以上の薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物で含む医薬組成物を提供する。
【0066】
好ましい実施態様によれば、本発明は、下記の表に列挙される化合物、その単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体および任意の割合でのそれらの混合物およびそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【表2-1】
【表2-2】
【0067】
上に列挙された全ての化合物を含む本発明の化合物は、次の一般的な方法および手順を用いて、または当業者にとって容易に利用可能な、わずかに修飾された処理を用いて、容易に入手可能な出発物質から製造され得る。本発明の特定の実施態様は本明細書中に示され得るか、または記載され得て、当業者は、本発明の全ての実施態様または態様は、本明細書に記載の方法を用いて、または他の既知の方法、試薬および出発物質を用いて製造され得ることを認識する。典型的な、または好ましい処理条件(すなわち、反応温度、時間、反応材のモル比、溶媒、圧力など)が与えられるときは、特に断らない限り、他の処理条件もまた、使用され得る。最適な反応条件は使用される特定の反応材または溶媒により変化し得るが、このような条件は、通常の最適化手順により、当業者により容易に決定され得る。
【0068】
下記および次のスキームに示された製造工程は、本発明の化合物の製造に利用可能な合成法の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0069】
いくつかの場合において、化学の一般則(Protective group in organic syntheses, 3rd ed. T. W. Greene, P. G. M. Wuts)に従って、感受性または反応性部分をマスクまたは保護するために、ある工程が必要とされ、一般的に知られる保護基(PG)が使用され得る。カルボン酸の保護を必要とする中間体に適切な保護基(本明細書において、PG1として示す)は、C1-C4エステル(PG1:メチル、イソプロピル、tert-ブチルまたはエチル)、好ましくはメチルであり得る。アミノ基保護を必要とする中間体に適切な保護基(本明細書において、PG2として示す)は、tert-ブチルカルバメート(PG2:tert-ブトキシカルボニルまたはBoc)、ベンジルカルバメート(PG2:ベンジルオキシカルボニルまたはCbz)、エチルカルバメート(PG2:エトキシカルボニル)またはメチルカルバメート(PG2:メトキシカルボニル)などのカルバメートであり得て、好ましくは、PG2はBocである。
【0070】
明確化のためにここに再び示す式(I)の化合物は、上記で列挙される全ての化合物を含み、通常、下記スキームに示された方法により製造され得る。特定の詳細または工程が一般スキームと異なる場合、特定の実施例および/またはさらなるスキームで詳述されている。
【化6】
【0071】
式(I)の化合物は1以上の立体中心を含み得る。エナンチオマー的に純粋な化合物は、エナンチオマー的に純粋な出発物質および中間体を用いて、一般に知られる反応に従って、例えば、下記の反応にって製造され得る。これらの中間体は、商業的に入手可能であり得るか、または当業者により市販の原料から容易に製造され得る。
【0072】
別のアプローチにおいて、エナンチオマー的に純粋な化合物は、キラルクロマトグラフィー精製を用いて、対応するラセミ体から製造され得る。立体化学的に純粋な化合物立体異性体混合物からのキラル分離により、または(式(I)の化合物に2以上の立体中心-すなわち、キラル中心-が存在するときは常に)段階的にジアステレオ異性体のクロマトグラフィー分離、単一の立体異性体へのさらなるキラル分離により得られ得る。
【0073】
【0074】
式(I)の化合物は、商業的に入手可能なであるか、または当業者により容易に得られ得る中間体IIから出発して、スキーム1に従って製造され得る。
【0075】
中間体IIは、1)クロロ化、2)アミノ化、3)還元および4)ブロモ化を含む4連続工程により、中間体IIIに変換され得る。
【0076】
例えば、塩素化工程は、中間体IIをPOCl3またはSOCl2などの適切なクロロ化試薬(無溶媒またはDCMまたはジオキサンなどの有機溶媒の溶液)と還流することにより実施され得る。
【0077】
アミノ化工程は、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)/BINAP触媒系を用いたブッフバルト型パラジウム触媒反応によりベンゾフェノンイミンなどのマスクされたアンモニアを導入し、その後ヒドロキシルアミンを用いてベンゾフェノンイミンを加水分解し、対応するフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミンを得ることにより実施され得る。あるいは、アミノ化工程は、SNAr反応(芳香族求核置換)により4-メトキシベンジルアミンを導入し、続いてトリフルオロ酢酸またはメタンスルホン酸などの強酸で脱保護する手段により実施され得る。2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミンを得るためのフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミンの還元(工程3)は、高H2圧力(例えば、10バール)下、50℃以上の温度で、Pd/C触媒の存在下、フロ[3,2-c]ピリジン-4-アミンのメタノール/酢酸を水素化することにより実施され得る。最後に、中間体IIIは、低温(例えば-10~0℃)で数時間、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどの極性非プロトン性溶媒中、N-ブロモスクシンイミドなどの臭素化試薬と反応させることによる、2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(工程4)の臭素化により得られ得る。
【0078】
中間体IIIおよびカルボニル中間体IVa(またはIVb)は、塩化(トリイソプロポキシ)チタン(IV)またはチタンテトライソプロポキシド(IV)などのルイス酸の存在下、DCMまたはTHFなどの適切な溶媒中で実施され、その後、酢酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸の存在下、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムまたは水素化シアノホウ素ナトリウムなどの還元剤を添加する還元的アミノ化により、結合されて中間体Va(またはVb)を与え得る。
【0079】
中間体Va(またはVb)は、金属/パラジウム触媒クロスカップリング反応、例えばスティルカップリング、鈴木カップリングまたは類似の反応(Strategic application of named reactions in organic synthesis, L. Kurti, B. Czako, Ed. 2005)によるR1基の直接導入により、中間体VIa(またはVIb)へ変換され得る。例えば、R1を導入するために適切なパラジウム触媒クロスカップリングは、それが2-アミノピリミジン-4-イルであるとき、スティルカップリングである。スティルカップリングは、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)またはPdCl2(dppf)2などのPd触媒の存在下、ジオキサンまたはTHFまたはDMFなどの有機溶媒中、銅(I)チオフェン-2-カルボキシレートなどの銅(I)塩の存在下、加熱(90~150℃)下で、中間体Va(またはVb)を対応するR1基の有機スズと反応させることにより、実施され得る。有機スズは一般に、商業的に入手可能であるか、または対応する商業的に入手可能なハロゲン化物から出発して、当業者により容易に製造され得る。商業的に入手可能でない有機スズの製造のための実験手順は、実験のセクションに記載される。R1が2-アミノピリミジン-4-イルであるとき、合成の都合上、スティルカップリング中にアミノ基をマスク/保護することが必要である。前記アミノ基は、1つまたは2つのBocで適切に保護され、合成シーケンス全体として都合のよいとき、除去され得る。
【0080】
中間体VIIaを得るための中間体VIaからのPG1(PG1がメチルまたはイソプロピルであるとき)の除去は、THFおよび/またはメタノールのような有機溶媒と水との混合物中で、一般に室温で1時間から一晩の範囲の時間で、LiOHまたはNaOHなどの無機塩基を用いて加水分解することにより実施され得る。上記の反応条件において、R1がN-ビス-Boc保護2-アミノピリミジン-4-イルであるかどうかに関わらず、1つのBoc基が開裂し得て;その後、トリフルオロ酢酸または濃塩酸などの強酸で処理することにより、完全なBoc除去が実施され得る。
【0081】
中間体VIIbを得るための中間体VIbからのPG2の除去(PG2がBocであるとき)は、酸性での脱保護により実施され得る。例えば、酸性でのBoc開裂は、濃塩酸またはトリフルオロ酢酸を用いて実施され得る。これらの条件を用いて、ビス-Boc保護2-アミノピリミジン-4-イル上のBoc基もまた、開裂され得る。
【0082】
式(I)の化合物を得るための酸中間体VIIaおよびアミノ中間体VIIIa(または酸VIIIbおよびアミンVIIb)との反応は、適切なアミドカップリング反応条件下で実施され得る。例えば、酸中間体VIIaは、TBTU、HATUまたはCOMUなどの活性化試薬の存在下、DIPEAまたはTEAなどの有機塩基を用いて、DCMまたはDMFなどの適切な有機溶媒中、数時間から一晩の範囲の時間、一般に室温付近の温度で反応し得る。アミドカップリングのための別の条件は、カップリング剤としての1-(メチルスルホニル)-1H-ベンゾトリアゾールの存在下、TEAなどの有機塩基を用いて、150℃までの温度で数時間(例えば、4時間)、中間体VIIaとVIIIaを反応させることにより実施され得る。
【0083】
式(I)の化合物がR2またはR3中に一級または二級アミンを含む場合、このアミノ部分を、適切に(一般に、Bocで)保護された中間体VIIIaまたはVIIIbを用いることにより、アミドカップリング工程中マスクする必要がある。Boc保護基は、アミドカップリング後、中間体VIbについての上記方法と同様の方法を用いることにより除去され得る。
【0084】
いくつかの場合において、式(I)の化合物がR2またはR3中に三級アミンを含む場合、このような化合物は、一般に知られる方法を用いて、対応する二級アミンの還元的アミノ化反応またはアミド化による式(I)の化合物(式中、R2またはR3は二級アミンを含む)のさらなる変換により得られ得る。
【0085】
式(I)の化合物は、中間体Vaから中間体VIa(または中間体Vbから中間体VIb)への変換について記載されたとおり、同様の方法でR1基を直接導入することにより、中間体Xから得られ得る。R1が2-アミノピリミジン-4-イルであるとき、合成の都合上、スティルカップリング中にアミノ基をマスク/保護することが必要である。中間体VIIaまたはVIIbについて既に記載したとおり、前記アミノ基は、1つまたは2つのBocで適切に保護され、酸性での開裂により除去され得る。
【0086】
中間体Xは、中間体VIIaおよび中間体VIIIa(または中間体VIIIbおよび中間体VIIb)の反応についての上記条件と同様の条件を用いて、酸中間体IXaとアミノ中間体VIIIa(または酸VIIIbおよびアミンIXb)のアミドカップリングにより得られ得る。中間体IXaおよびIXbは、中間体VIaおよびVIbについて上記で示された条件に従って、PG1およびPG2の脱保護により、中間体Vaおよび中間体Vbからそれぞれ得られ得る。
【0087】
本発明はまた、式VaまたはVbの化合物および式(I)の化合物の製造における中間体としてのその使用に関し、ここでPG1およびPG2は適切な保護基であり、全ての他の可変基は、上記式(I)の化合物について定義されるとおりである。特に、中間体化合物Vaについて、エステル形成によるカルボン酸保護基、PG1は(C1-C4)アルキル基であり、好ましくは、メチル、イソプロピル、tert-ブチルまたはエチルから成る群から選択され、さらにより好ましくは、PG1はメチルである。中間体化合物Vbに適切な保護基、カルバメート形成によるアミノ保護基、PG2は、好ましくは、Boc(tert-ブトキシカルボニル)、Cbz(ベンジルオキシカルボニル)、エチルオキシカルボニルまたはメトキシカルボニルから成る群から選択される。
【0088】
上記方法によれば、本発明はまた、式(I)の化合物の製造における中間体としての、化合物VaまたはVbの使用に関する。
【0089】
本明細書で詳細に記載されるとおり、本発明の化合物はキナーゼ活性、特に、Rhoキナーゼ活性の阻害剤である。
【0090】
ある態様において、本発明は、医薬としての使用のための、好ましくは、肺疾患の予防および/または処置のための、式(I)の化合物を提供する。
【0091】
さらなる態様において、本発明は、免疫系障害を含むROCK酵素メカニズムに関連する障害の処置のための、肺疾患などの障害の処置のための医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0092】
特に、本発明は、移植片対宿主病(GVHD)を含む免疫系障害、ならびに喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)から成る群から選択される肺疾患の予防および/または処置における、式(I)の化合物を提供する。
【0093】
さらに、本発明は、ROCK酵素メカニズムに関連する障害の予防および/または処置のための方法であって、処置を必要とする患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法を提供する。
【0094】
特に本発明は、前記障害が、移植片対宿主病(GVHD)などの免疫系障害、および/または喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)から成る群から選択される呼吸器疾患である、予防および/または処置のための方法を提供する。
【0095】
前記障害の予防のための本発明の化合物の使用が好ましい。
【0096】
前記障害の処置のための本発明の化合物の使用もまた、同様に好ましい。
【0097】
一般には、ROCK阻害剤である化合物は、ROCK酵素メカニズムに関連する多くの障害の処置に有用であり得る。
【0098】
ある実施態様において、本発明の化合物により処置され得る障害は、緑内障、炎症性腸疾患(IBD)、移植片対宿主病(GVHD)を含む免疫系障害、ならびに喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)などの間質性肺疾患および肺動脈性高血圧(PAH)から成る群から選択される肺疾患を含む。
【0099】
別の実施態様において、本発明の化合物により処置され得る障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および特発性肺線維症(IPF)などの間質性肺疾患および肺動脈性高血圧(PAH)から成る群から選択される。
【0100】
さらなる実施態様において、障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される。
【0101】
本発明の処置方法は、処置を必要とする患者に安全かつ有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。本明細書で使用される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩または他の薬学的に活性な物質についての「安全かつ有効量」は、患者の状態を処置するために十分であるが、重篤な副作用を回避にするために十分低用量である化合物の量を意味し、それにも関わらず、それは、当業者により慣習的に決定され得る。式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1回投与され得るか、または様々な用量が所定の期間中に異なる時間間隔で投与される投与レジメンに従って投与され得る。典型的な一日投与量は、選択される特定の投与経路により変化し得る。
【0102】
本発明はまた、1以上の薬学的に許容される担体または賦形剤との混合物である、式(I)の化合物の医薬組成物、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook, XVII Ed., Mack Pub., N.Y., U.S.A.に記載の医薬組成物を提供する。
【0103】
本発明はまた、様々な投与経路のための、本発明の化合物およびその医薬組成物の使用に関する。
【0104】
本発明の化合物およびその医薬組成物の投与は患者の要求に応じて、例えば、経口、経鼻、非経腸(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内および点滴によるもの)、吸入、直腸、膣、局所、局部、経皮および眼投与により達成され得る。
【0105】
本発明の化合物を投与するために、錠剤、ゲルカプセル剤、カプセル剤、カプレット剤、顆粒剤、ロゼンジ剤およびバルク粉末剤などの固体形態を含む種々の固体経口投与形態が使用され得る。本発明の化合物は、単独でまたは種々の薬学的に許容される担体、希釈剤(例えば、スクロース、マンニトール、ラクトース、デンプン)、および懸濁化剤、可溶化剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、防腐剤、着色剤、風味剤、滑沢剤などを含む既知の賦形剤と組み合わせて使用され得る。徐放カプセル剤、錠剤およびゲル剤もまた、有利である。
【0106】
水溶液および非水溶液剤、エマルジョン剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む種々の液体経口投与形態もまた、本発明の化合物を投与するために使用され得る。このような投与形態もまた、水などの適切な既知の不活性希釈剤および防腐剤、湿潤剤、甘味剤、風味剤などの適切な既知の賦形剤ならびに本発明の化合物を乳化および/または懸濁するための剤を含み得る。本発明の化合物は、注射用組成物として製剤化され得て、例えば、等張無菌溶液の形態で静脈内注射され得る。他の製剤もまた、可能である。
【0107】
本発明の化合物の直腸投与のための坐剤は、化合物をカカオバター、サリチレートおよびポリエチレングリコールなどの適切な賦形剤と混合することにより製造され得る。
【0108】
膣投与のための製剤は、活性成分に加えて、適切な担体などを含むクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤またはスプレー製剤の形態であり得ることもまた、知られている。
【0109】
局所投与のために、医薬組成物は皮膚、眼、耳または鼻への投与に適切なクリーム剤、軟膏剤、塗布剤、ローション、エマルジョン、懸濁剤、ゲル剤、溶液剤、ペースト剤、粉末剤、スプレー剤および液滴剤であり得る。局所投与は経皮パッチなどの方法を介した経皮投与を含み得る。
【0110】
いくつかの好ましい本発明の化合物は、吸入経路投与に適切なプロファイルを示す。
【0111】
吸入送達のために最適化された薬物は、肺に投与されたとき、化合物に所望の期間の薬理学的効果を発揮するために十分な局所濃度を維持し(肺保持)、望まない区画(すなわち、血漿)では意味のない量を維持することを可能にする一定の特性が必要である。肺吸収を少なくするために、限定されないが、膜透過性、溶解速度、塩基性度などの化合物の1つ以上の特徴を最適化する必要がある。この点において、肺保持を達成するためには、透過性が低く、溶解速度が十分に遅く、塩基性基が存在し、リン脂質に富む肺組織への結合を増強するか、またはリソソーム捕捉を可能にする。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、吸入化合物として望ましい上記の特徴の1以上を示す。
【0112】
他の好ましい本発明の化合物は経口投与経路に適切なプロファイルを示す。経口送達のために最適化された薬物は、良好なバイオアベイラビリティ(F%)をもたらすために経口投与された化合物がGI(消化器)管で吸収され、排泄されにくく、したがって薬理学的効果を持続するために適切な時間、血漿中および標的組織中で十分な濃度を維持できるような一定の特性が必要である。経口バイオアベイラビリティを増強させるためには、限定されないが、膜透過性やインビボクリアランスなど、化合物の1つ以上の特徴を最適化する必要がある。この点において、高い経口バイオアベイラビリティを達成するために、膜透過性は高く、化合物は、(最適化されたインビボクリアランス)に対する代謝ホットスポットが減少している。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は、経口化合物について上記の特徴の1つ以上を示す。
【0113】
呼吸管の疾患の処置のために、本発明による化合物は、上記のとおり、吸入により投与され得る。
【0114】
吸入可能な製剤は、吸入粉末、噴射剤含有定量エアロゾルまたは噴射剤不含吸入製剤を含む。
【0115】
乾燥粉末としての投与のために、当分野で知られる単回用量または複数回用量吸入器が利用され得る。その場合、粉末はゼラチン、プラスチックまたは他のカプセル、カートリッジまたはブリスターパックまたはリザーバーに充填され得る。
【0116】
希釈剤または担体は通常、非毒性であり、かつ本発明の化合物に対して不活性であり、例えばラクトースまたは吸入性画分の改善に適切ないずれかの他の添加剤が、粉末化された本発明の化合物に添加され得る。
【0117】
ヒドロフルオロアルカンなどの噴射ガスを含む吸入エアロゾルは、溶液の形態または分散した形態での本発明の化合物を含み得る。噴射剤駆動型製剤はまた、共溶媒、安定化剤および場合により他の賦形剤を含み得る。
【0118】
本発明の化合物を含む噴射剤不含吸入製剤は、水性、アルコール性またはヒドロアルコール性媒体中で溶液または懸濁液の形態で存在し得て、それらは当分野で知られるジェットまたは超音波ネブライザーにより、またはRespimat(登録商標)などのソフトミストネブライザーにより送達され得る。
【0119】
さらに好ましくは、本発明は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および/または特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)の予防および/または処置における;好ましくは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防および/または処置における、吸入投与経路よる使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0120】
さらに好ましくは、本発明は、特に、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特発性肺線維症(IPF)、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)および/または特発性肺線維症(IPF)の予防および/または処置;好ましくは、肺高血圧(PH)および具体的には肺動脈性高血圧(PAH)の予防および/または処置における、経口投与経路による使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0121】
投与経路および処置される疾患に関わらず、本発明の化合物は、単一の活性物質として、または有機ナイトレートおよびNO供与体;吸入式NO;可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(sGC);プロスタサイクリンアナログPGI2およびプロスタサイクリン受容体アゴニスト;環状グアノシンモノホスフェート(cGMP)および/または環状アデノシンモノホスフェート(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5阻害剤、特にPDE5阻害剤;ヒト好中球エラスターゼ阻害剤;シグナル伝達カスケードを阻害する化合物、例えば、チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤;抗血栓剤、例えば、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進物質;血圧降下剤の活性物質、例えば、カルシウムアンタゴニスト、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルドステロンシンターゼ阻害剤、α受容体ブロッカー、β受容体ブロッカー、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト;中性エンドペプチダーゼ阻害剤;浸透剤;ENaCブロッカー;コルチコステロイドおよびケモカイン受容体アンタゴニストを含む抗炎症剤;抗ヒスタミン薬物;鎮咳薬物;マクロライドおよびDNアーゼ薬物物質などの抗生物質および組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNアーゼ)などの選択的開裂剤;Smad2およびSmad3のALK5および/またはALK4リン酸化を阻害する薬剤;トリプトファンヒドロキシラーゼ1(TPH1)阻害剤およびマルチキナーゼ阻害剤、β2-アゴニスト、コルチコステロイド、抗コリンまたは抗ムスカリン剤、マイトージェン-活性タンパク質キナーゼ(P38 MAPキナーゼ)阻害剤、核因子κBキナーゼサブユニットβ(IKK2)阻害剤、ロイコトリエンモジュレーター、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、粘液調節剤、粘液溶解剤、去痰剤/粘液流動モジュレーター、ペプチド粘液溶解剤、JAK阻害剤、SYK阻害剤、PI3KδまたはPI3Kγ阻害剤およびそれらの組合せから選択される他の薬学的活性成分との組合せで(すなわち、一定用量の組合せでまたは別個に製剤された活性成分との組合せで投与される共治療剤として)投与され得る。
【0122】
好ましい実施態様において、本発明の化合物は、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのホスホジエステラーゼV;有機ナイトレートおよびNO供与体(例えば、ナトリウム ニトロプルシド、ニトログリセリン、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、モルシドミンまたはSIN-1および吸入式NO);イロプロスト、トレプロスチニル、エポプロステノールおよびベラプロストなどの合成プロスタサイクリンアナログPGI2;セレキシパグなどのプロスタサイクリン受容体アゴニストおよび国際公開第2012/007539号に記載の化合物;リオシグアトのような可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(sGC)、およびイマチニブ、ソラフェニブおよびニロチニブのようなチロシンキナーゼならびにエンドセリンアンタゴニスト(例えば、マシテンタン、ボセンタン、シタキセンタおよびアンブリセンタン)と組み合わせて投与される。
【0123】
さらなる実施態様において、本発明の化合物は、サルブタモール、サルメテロールおよびビランテロールなどのβ2-アゴニスト、フルチカゾン プロピオネートまたはフロエートなどのコルチコステロイド、フルニソリド、モメタゾン フロエート、ロフレポニドおよびシクレソニド、デキサメタゾン、イプラトロピウム ブロマイド、オキシトロピウム ブロマイド、チオトロピウム ブロマイド、オキシブチニンなどの抗コリンまたは抗ムスカリン剤ならびにこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0124】
さらなる実施態様において、本発明の化合物は、マイトージェン-活性タンパク質キナーゼ(P38 MAPキナーゼ)阻害剤、核因子κBキナーゼサブユニットβ(IKK2)阻害剤、ロイコトリエンモジュレーター、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、粘液調節剤、粘液溶解剤、去痰剤/粘液流動モジュレーター、ペプチド粘液溶解剤、JAK阻害剤、SYK阻害剤、PI3Kδ阻害剤またはPI3Kγ阻害剤との組合せで投与される。
【0125】
本発明はまた、本発明の化合物の医薬組成物を単独で、または1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤との組合せまたは混合物で含むキット、単回用量または複数回用量乾燥粉末吸入器、定量吸入器またはネブライザーであり得るデバイスに関する。
【0126】
本発明の化合物の投与量は、処置される特定の疾患、症状の重篤度、投与経路、投与間隔の頻度、使用される特定の化合物、化合物の効能、毒性プロファイルおよび薬物動態プロファイルを含む多様な因子に依存する。
【0127】
有利に、式(I)の化合物は、0.001~10000mg/日、好ましくは0.1~500mg/日に含まれる用量で投与され得る。
【0128】
式(I)の化合物が吸入経路により投与されるとき、それらは好ましくは、0.001~500mg/日、好ましくは0.1~100mg/日に含まれる用量で与えられる。
【0129】
吸入による投与が適切である本発明の化合物を含む医薬組成物は、吸入粉末(DPI)、噴射剤含有定量エアロゾル(PMDI)または噴射剤不含吸入製剤(例えば、UDV)などの多様な吸入用形態である。
【0130】
本発明はまた、本発明による化合物を含む医薬組成物を含むデバイスに関し、これは単回用量または複数回用量乾燥粉末吸入器、定量吸入器およびネブライザー、特にソフトミストネブライザーであり得る。
【0131】
呼吸管の疾患の処置について、本発明による化合物は吸入により投与され得るが、それらは同様の場合において、好ましくは経口経路により投与され得る。
【0132】
式(I)の化合物を経口経路により投与するとき、それらは1日あたり単回または複数回用量で、好ましくは、0.001mg~100mg/kgヒト体重、しばしば0.01mg~約50mg/kg、例えば、0.1~10mg/kgに含まれる用量で与えられる。
【0133】
経口経路による投与が適切である本発明の化合物を含む医薬組成物は、錠剤、ゲルカプセル剤、カプセル剤、カプレット剤、顆粒、ロゼンジ剤およびバルク粉末剤または水溶液および非水溶液剤、エマルジョン剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル製剤などの多様な固体または液体形態であり得る。
【0134】
次の実施例は、本発明をより詳細に説明するものである。
【0135】
中間体および実施例化合物の製造
一般的な実験の詳細
化合物の化学的名称はChemical Names of the compounds were generated with Structure To Name Enterprise 10.0 Cambridge Softwareまたは最新版で命名した。
【0136】
「クロマトグラフィー」または「フラッシュクロマトグラフィー」による精製とは、50μmの平均サイズおよび公称60Åの多孔度を有する、不規則な粒子を含まない非結合性活性化シリカを含むプレパックポリプロピレンカラムを用いた、Biotage SPl精製系または同等のMPLC系を用いた精製をいう。「NH-シリカ」および「C18-シリカ」が特定されるとき、それらは、アミノプロピル鎖結合シリカおよびオクタデシル炭素鎖(C18)-結合シリカをそれぞれいう。目的の生成物を含むフラクション(TLCおよび/またはLCMS分析により特定される)は、まとめて、真空中で濃縮するか、または凍結乾燥した。
【0137】
PTLC(分取薄層クロマトグラフィー)は、0.5mmのシリカゲル(粒子径60μm)でコートした20×20cmガラスプレート上で実施する。分離後、吸着剤を掻き取ることで目的のバンドを回収し、MeOHなどの強溶媒で溶出する。
【0138】
Isolute(登録商標)SCX-2カートリッジが使用される場合、「Isolute(登録商標)SCX-2カートリッジ」とは、非エンドキャッププロピルスルホン酸官能化シリカ強カチオン交換吸着剤を含むプレパックポリプロピレンカラムをいう。
【0139】
LCMS方法
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0140】
NMR方法
NMRスペクトルは、Bruker Avance 400MHz、5mm QNPプローブH、C、F、P、単一のZ勾配、TopSpin 2.1を作動させる2つのチャンネル機器上で、またはBruker Avance III 400MHz、5mm BBFO Plusプローブ、単一のZ勾配、TopSpin 3.0を作動させる2つのチャンネル機器上で、または400MHzで作動させる5mm 逆検出三重共鳴プローブを有するVarian Unity Inova 400スペクトロメーター上で得た。化学シフトは、テトラメチルシランと比較してppmでδ値として報告される。カップリング定数(J値)はヘルツ(Hz)で与えられ、多重度は、次の略号:s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項、brs=幅広の一重項、nd=未決定、を用いて報告される。
【0141】
SFC方法
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いて化合物を精製する場合、Waters Thar Prep100 分取SFCシステム(P200 CO2ポンプ、2545修飾ポンプ、2998 UV/VIS検出器、積層注入モジュールを備えた2767液体ハンドラー)またはWaters Thar Investigatorセミ分取システム(Waters Fluid Delivery Module、2998 UV/VIS検出器、Waters Fraction Collection Module)を使用した。化合物をカラムおよび特定の条件を用いて精製し、所望の生成物を含むフラクションを減圧遠心分離により濃縮した。
【0142】
塩基性条件下で使用した修飾剤は、ジエチルアミン(0.1% V/V)であった。ギ酸(0.1% V/V)、酢酸(0.1% V/V)などの別の修飾剤は、酸性修飾剤として使用した。
【0143】
MDAP方法
Waters Fractionlynx分取HPLCシステム(2525ポンプ、2996/2998 UV/VIS検出器、2767液体ハンドラー)またはGilson分取HPLCシステム(322ポンプ、155 UV/VIS検出器、GX-281液体ハンドラー)または平衡システムを用いて、逆相HPLCにより化合物を精製した。260 nmの最大吸光度値とESI条件下で観測された標的分子イオンの存在により、収集を開始した。所望の生成物を含むフラクションを凍結乾燥した。カラム、溶媒、勾配および調節剤(酸性または塩基性)を含む使用される条件の具体的な詳細は、いくつかの実施例で提供され、これらは補助的に提供されるものに過ぎない。特定の条件が与えられない場合、それらは当業者により容易に最適化され得る。
【0144】
次の方法において、いくつかの出発物質は、工程名での表示とともに「中間体」または「実施例」番号により特定される。当業者により理解される「同様の」または「類似の」方法の使用について言及するとき、このような方法は、わずかな変更、例えば、反応温度、試薬/溶媒量、反応時間、処理条件またはクロマトグラフィー精製条件の変更を含み得る。
【0145】
示されている場合、実施例化合物の立体化学は、決定された出発物質の立体中心での絶対立体配置は任意の後の反応条件を通して維持されるとの仮定に基づき、割り当てられる。
【0146】
全ての溶媒および市販の試薬は、入手したものを使用した。出発物質の製造が記載されていない場合、これらは市販で入手可能であるか、文献で知られているか、標準的な方法を用いて当業者が容易に入手できるものである。
【0147】
略語
ACN(アセトニトリル)、BINAP(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン)、COMU((1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロホスフェート)、DCM(ジクロロメタン)、DIPEAまたはDIEA(N-エチルジイソプロピルアミン)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、dppf(1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン))、EtOH(エタノール)、EtOAc(酢酸エチル)、FA(ギ酸)、HATU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシド ヘキサフルオロホスフェート、N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウム ヘキサフルオロホスフェート N-オキシド)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、LCMS(液体クロマトグラフィー-質量分析)、MDAP(質量分析自動生成)、MeOH(メタノール)、Me-THF (2-メチルテトラヒドロフラン)、MTBE(メチル tert-ブチルエーテル)、NMP(N-メチルピロリドン)、NMR(核磁気共鳴)、Rt(保持時間)、RT(室温)、SCX(強カチオン交換)、STAB(ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド)、TBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウム テトラフルオロボレート)、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)。
【0148】
中間体および実施例化合物の製造
中間体1J
工程A
【化8】
4-クロロフロ[3,2-c]ピリジン(中間体1A)
フロ[3,2-c]ピリジン-4-オール(70.4g、0.52mol)の混合物の三塩化リン(430mL)溶液を還流温度で1時間加熱した。三塩化リンを留去し、残渣を氷/水に注ぎ、水性飽和NaHCO
3でpH約6に中和した。水相をDCMで2回抽出し、その後有機層を飽和水性NaClで洗浄し、濃縮乾固させた。粗製物をEtOAc-ヘキサンで溶出するカラムシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(72.8g)を得た。
LCMS(方法10):Rt=2.71分、m/z 153.9[M+H]
+
【0149】
工程B
【化9】
フロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(中間体1B)
中間体1A(72.8g、0.47mol)の乾燥トルエン(730mL)溶液をアルゴンで20分間パージし、その後ラセミのBINAP(17.72g、0.028mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(8.69g、0.0095mol)およびカリウム tert-ブトキシド(74.50g、0.66mol)を添加した。ベンゾフェノンイミン(95.5mL、0.57mol)の添加後混合物を90℃で1.5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、THFで希釈し、珪藻土のパッドでろ過し、THFおよびジエチルエーテルで洗浄した。合わせたろ液を蒸発させ、残渣をMeOH(260mL)に取り込み、先にNaOH(56.91g、1.42mol)を用いて氷浴中で中和させた。ヒドロキシルアミン塩酸塩(98.87g、1.42mol)のMeOH(1200mL)溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、濃縮乾固させた。粗製物をヘキサン中10~100%のEtOAcで溶出するシリカクロマトグラフィーにより精製し、固体を得て、これを磨砕によりさらに精製し、MTBEとDCMの混合物中でろ過した。DCM中0~10%のMeOHで溶出するシリカクロマトグラフィーによる次の精製により、純粋な表題化合物(45.1g)を得た。
LCMS(方法11):Rt=0.83分、m/z 135.0[M+H]
+
【0150】
工程C
【化10】
2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(中間体1C)
中間体1B(44.1g、0.33mol)をMeOH(530mL)および酢酸(56.4mL)中に溶解し、その後10% Pd/C(50%湿潤、17.74g)を添加し、反応混合物をアルゴンでパージし、その後10バールの圧力のH
2で、50℃で激しく撹拌しながら水素化した。20時間後、完全な変換を達成するために、さらに0.5当量の10% Pd/C(50%湿潤)とさらに3時間の水素化が必要であった。反応混合物をろ過し、MeOHで洗浄した。合わせたろ液を蒸発させ、残渣をEtOAc(500mL)および水(500mL)に分配した。水層をさらなるEtOAc(300mL)で洗浄し、固体NaHCO
3で中和し、NaClで飽和させた。水性混合物をDCM(8×300mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和水性NaCl(800mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、表題化合物(24.57g)を得た。
LCMS(方法12):Rt=0.81分、m/z 137.1[M+H]
+
【0151】
工程D
【化11】
7-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(中間体1D)
中間体1C(24.57g、0.180mol)をACN(1230mL)に溶解し、その後、暗所で、-10℃で、N-ブロモスクシンイミド(35.33g、0.198mol)のACN(490mL)溶液を、3時間かけて滴下添加した。反応物を水性飽和NaHCO
3(500mL)、水(500mL)、EtOAc(1000mL)および5% 水性NaCl(500mL)でクエンチした。得られた有機相および水相を分離し、水層をさらにEtOAc(1000mL)で洗浄した。合わせた有機層を5% 水性NaCl(7×2000mL)で洗浄し、濃縮乾固させた。残りの固体をEtOAc(500mL)および水(200mL)の混合物で処理し、超音波槽に数分間置き、10% 水性KHSO
4(300mL)で酸性化した。析出した固体をろ過により収集した。二層のろ液を分配し、有機層を10% 水性KHSO
4で2回(各200mL)洗浄した。合わせた水層をEtOAc(3×500mL)で洗浄し、先に収集した固体と混合した。得られた水性混合物をNaHCO
3を用いてpH7に中和し、EtOAc(3×1000mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和水性NaCl(500mL)で洗浄し、無水MgSO
4で乾燥させ、濃縮し、表題化合物(27.1g)を得た。
LCMS(方法13):Rt=1.69分、m/z 215.0/217.0[M+H]
+
【0152】
工程E
【化12】
メチル 3-(((7-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-ベンゾエート(中間体1E)
中間体1D(15.6g、0.074mol)およびメチル 3-ホルミルベンゾエート(18.1g、0.11mol)をモレキュラー・シーブを含む無水DCM(470mL)に溶解し、不活性雰囲気下で保持した。10分後、クロロ(トリイソプロポキシ)チタン(IV)(35.4mL、0.148mol)を滴下添加し、得られた混合物を室温で2.5時間撹拌した。水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(31.4g、0.148mol)を添加し、酢酸(8.5mL、0.148mol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をメタノールでクエンチし、溶媒を蒸発させた。残渣をEtOAcおよび水性飽和NaHCO
3溶液に溶解した。15分間撹拌後、混合物を薄い珪藻土のパッドでろ過し、EtOAcで洗浄した。合わせたろ液を収集し、有機相-水相を分離した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、蒸発させた。粗製物をヘキサン中20%~40% EtOAcで溶出するシリカクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(19.3g)を得た。
LCMS(方法9):Rt=0.85分、m/z 362.9/364.9[M+H]
+
【0153】
工程F
【化13】
tert-ブチル (4-ブロモピリミジン-2-イル)(tert-ブトキシカルボニル)カルバメート(中間体1F)
4-ブロモピリミジン-2-アミン(0.5g、2.87mmol)、二炭酸ジ-tert-ブチル(0.63g、2.87mmol)、炭酸カリウム(0.79g、5.75mmol)および触媒量のDMAPのジオキサン(4mL)溶液を環境温度で18時間撹拌した。二炭酸ジ-tert-ブチル(0.94g、4.3mmol)および炭酸カリウム(1.58g、11.5mmol)を添加し、反応混合物を40℃で4時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和水性NaClで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣シクロヘキサン中0~40%のEtOAcで溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、関連するフラクションを合わせ、濃縮し、表題生成物(416mg)を得た。
LCMS(方法8):Rt=3.69分、m/z 396.0/398.0[M+Na]
+
【0154】
工程G
【化14】
tert-ブチル (tert-ブトキシカルボニル)(4-(トリメチルスタンニル)ピリミジン-2-イル)-カルバメート(中間体1G)
脱気した中間体1F(310mg、0.828mmol)、ヘキサメチル二スズ(0.19mL、0.911mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(48mg、0.042mmol)の混合物のTHF(4mL)溶液を80℃で6時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和水性NaClで洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。溶液を真空中で濃縮し、残渣シクロヘキサン中0~50%のEtOAcで溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、関連するフラクションを合わせ、濃縮し、所望の生成物(240mg)を得た。
LCMS(方法3):Rt=3.30分、m/z 458.3-460.3[M+H]
+
【0155】
工程H
【化15】
メチル 3-(((7-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3-ジ-ヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンゾエート(中間体1H)
脱気した中間体1E(1g、2.75mmol)、中間体1G(1.39g、3.03mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(160mg、0.138mmol)およびチオフェン-2-カルボン酸銅(I)(53mg、0.275mmol)の混合物のジオキサン(15mL)溶液を、マイクロ波照射下、130℃で1.5時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し珪藻土のパッドでろ過した。溶液を真空中で濃縮し、残渣をシクロヘキサン中0~100% 酢酸エチルで溶出するシリカゲルカートリッジ上のクロマトグラフィーにより精製し、表題生成物(929mg)を得た。
LCMS(方法3):Rt=3.21分、m/z 578.5[M+H]
+
【0156】
工程I
【化16】
3-(((7-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)安息香酸(中間体1I)
中間体1H(929mg、1.62mmol)、水酸化リチウム一水和物(0.075g、1.78mmol)の混合物のTHF(3mL)、メタノール(3mL)および水(6mL)を環境温度で18時間撹拌した。さらなる水酸化リチウム一水和物(0.15g、3.56mmol)を添加し、反応混合物をさらに5時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。水性1M HClを用いて水層のpHをpH約6~7に調整した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で蒸発させ、表題生成物(750mg)を得た。
LCMS(方法3):Rt=1.49分、m/z 464.3[M+H]
+
【0157】
工程J
【化17】
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)安息香酸(中間体1J)
中間体1I(2g、4.32mmol)の混合物のTFA(10mL)およびジクロロメタン(40mL)溶液を環境温度で2時間撹拌した。反応混合物をMeOHで希釈し、MeOHで溶出し、その後2M メタノール性アンモニアで溶出するSCX-2カートリッジにより精製した。アンモニア溶液を真空中で濃縮し、表題生成物(1.5g)を得た。
LCMS(方法4):Rt=2.15分、m/z 364.0[M+H]
+
【0158】
実施例51
【化18】
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-メトキシピリジン-2-イル)ベンズアミド(実施例51)
2-メチルテトラヒドロフラン(4mL)に溶解した中間体1J(94mg、0.259mmol)および1-(メチルスルホニル)-1H-ベンゾトリアゾール(204mg、1.03mmol)の溶液にトリエチルアミン(0.22mL)および2-アミノ-5-メトキシピリジン(64mg、0.517mmol)を添加し、反応混合物にアルゴンを流した。反応物をマイクロ波照射下、150℃で3時間加熱した。さらなるトリエチルアミン(0.11mL)および1-(メチルスルホニル)-1H-ベンゾトリアゾール(105mg、0.570mmol)を添加し、反応物を150℃でさらに4時間加熱した。反応物をマイクロ波照射下、175℃でさらに2時間撹拌した。メタノールで溶出し、その後2N メタノール性アンモニアで溶出するSCX-2カラムを用いて反応混合物を精製した。関連するフラクションを合わせ、真空中で濃縮した。得られた残渣をDCMに溶解し、酢酸エチル中0~100% DCMで溶出し、その後酢酸エチル中20% メタノールで溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。関連するフラクションを合わせ、真空中で濃縮した。得られた残渣を1:1 アセトニトリル:水に溶解し、凍結乾燥させた。得られた固体をMDAP(Sunfire C18 19×150mm、10μm、5~60% アセトニトリル/H
2O(0.1% FA)、20mL/分、室温)により精製し、所望の生成物(12.7mg)を得た。
LCMS(方法4):Rt=2.61分、m/z 470.0(M+H)
+
1H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ10.62(brs、1H)、8.69(brs、1H)、8.16(d、J=5.2Hz、1H)、8.12(s、1H)、8.10(d、J=6.7Hz、1H)、8.01(s、1H)、7.89(s、J=7.8Hz、1H)、7.55(d、J=7.5Hz、1H)、7.49(dd、J=3.2、9.0Hz、1H)、7.44(t、J=7.7Hz、1H)、7.19(t、J=6.1Hz、1H)、7.07(d、J=5.3、1H)、6.43(brs、2H)、4.70-4.79(m、4H)、3.85(s、3H)、3.06(t、J=8.8Hz、2H)。
【0159】
実施例52~53
次の実施例化合物は、例えば、実施例51で用いたものと同様の方法を用いて、中間体1Jおよび所定のアミンから製造した。保護されたアミノ部分を含むアミノヘテロ環を使用するそれらの実施例については、中間体1Jの製造のための工程Jに記載のものと同様の反応条件を用いたアミドカップリング後、Boc基を除去した。
【表18】
【0160】
実施例65
【化19】
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-(4-(1-メチルピペリジン-4-カルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド(実施例65)
トリエチルアミン(0.048mL、0.344mmol)をDMF(1mL)に溶解し、1-メチルピペリジン-4-カルボン酸(16mg、0.115mmol)を添加した。得られた混合物を氷浴に5分間静置し、その後、実施例53の化合物(60mg、0.115mmol)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。その後HATU(65mg、0.172mmol)を添加し、得られた混合物を室温で5日間撹拌した。混合物をIsolute SCX-2カートリッジに充填し、その後DCMおよびMeOHで洗浄し、2N メタノール性アンモニアで溶出した。蒸発させて残渣を得て、これをMDAP(Xbridge フェニル 19×150mm、10μm 20~80% MeOH/水性10mM NH
4CO
3、20ml/分、室温)により精製し、所望の生成物(45mg)を得た。
LCMS(方法4):Rt=2.1分、m/z 649.5[M+H]
+
1H NMR(400MHz、DMSO) δ 10.54(s、1H)、8.69(s、1H)、8.16(d、J=5.3Hz、1H)、8.11(d、J=2.9Hz、1H)、8.04(d、J=9.0Hz、1H)、8.00(s、1H)、7.89(d、J=7.9Hz、1H)、7.54(d、J=7.4Hz、1H)、7.50(dd、J=3.0、9.2Hz、1H)、7.46-7.41(m、1H)、7.21-7.16(m、1H)、7.07(d、J=5.3Hz、1H)、6.42(s、2H)、4.79-4.70(m、4H)、3.65(dd、J=3.8、9.3Hz、4H)、3.17(d、J=19.1Hz、4H)、3.05(t、J=8.9Hz、2H)、2.81-2.75(m、2H)、2.63-2.54(m、1H)、2.16(s、3H)、1.96-1.88(m、2H)、1.64-1.57(m、4H)。
【0161】
実施例66
実施例65と同様の方法で、実施例53の化合物および3-(ジメチルアミノ)プロピオン酸から、下記の実施例化合物を製造した。
【表19】
【0162】
中間体67A
【化20】
tert-ブチル (2S,5R)-2,5-ジメチル-4-(6-ニトロピリジン-3-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(中間体67A)
5-フルオロ-2-ニトロピリジン(150mg、1.06mmol)およびtert-ブチル (2S,5R)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシレート(226mg、1.06mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液にDIPEA(0.28mL、1.58mmol)を添加した。反応混合物を80℃で2時間加熱し、撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を得て、これをシクロヘキサン中0~50% EtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(254mg)を得た。
LCMS(方法2):Rt=1.46分
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 8.22(d、J=3.0Hz、1H)、8.16(d、J=9.3Hz、1H)、7.44(dd、J=3.0、9.3Hz、1H)、4.30-4.19(m、2H)、3.73-3.66(m、2H)、3.45-3.38(m、2H)、1.44-1.38(m、9H)、1.15(d、J=6.5Hz、3H)、1.10(d、J=6.5Hz、3H)。
【0163】
中間体68A~77A
中間体67Aと同様の方法で、5-フルオロ-2-ニトロピリジンおよび示されたアミンから下記の中間体を製造した。
【表20-1】
【表20-2】
【0164】
中間体67B
【化21】
tert-ブチル (2S,5R)-4-(6-アミノピリジン-3-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体67B)
中間体67A(250mg、0.743mmol)の酢酸エチル(8mL)およびメタノール(2mL)溶液をアルゴンでパージし、10% Pd/C(24mg、0.223mmol)を添加した。水素ガス(風船)雰囲気下、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を珪藻土のパッドでろ過し、濃縮し、所望の生成物(217mg)を得た。
LCMS(方法3):Rt=2.28分、m/z 307.0[M+H]
+
【0165】
中間体68B~77B
中間体67Bと同様の方法で、示された中間体から下記の中間体を製造した。
【表21-1】
【表21-2】
【0166】
中間体67C
【化22】
tert-ブチル (2S,5R)-4-(6-(3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]-ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド)ピリジン-3-イル)-2,5-ジメチルピペラジン-1-カルボキシレート(中間体67C)
中間体1J(100mg、0.275mmol)をDMF(2mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.12mL、0.826mmol)を添加した。得られた混合物を氷浴に5分間静置し、その後HATU(157mg、0.413mmol)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌した。その後中間体67B(84mg、0.275mmol)を添加し、得られた混合物を室温で20時間撹拌した。混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機相を水性飽和NaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮し、所望の生成物(160mg)を得た。
LCMS(方法2):Rt=1.49分、m/z 652.2[M+H]
+
【0167】
中間体68C~73C
中間体67Cと同様の方法で、示された中間体から中間体68C~73Cを製造した。
【表22-1】
【表22-2】
【0168】
実施例67
【化23】
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((2R,5S)-2,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド(実施例67)
中間体67C(160mg、0.221mmol)のDCM(10mL)溶液を0℃に冷却し、TFA(0.42mL、5.52mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、真空中で濃縮し、MDAPにより残渣を二回(一回目の精製:Xbridge フェニル 19×150mm、10μm 20~80% MeOH/H
2O(10mM NH
4CO
3)、20ml/分、室温;二回目の精製:Luna フェニル-ヘキシル 21.2×150mm、10μm 5~60% MeOH/H
2O(0.1% FA)、20ml/分、室温)を精製した。関連するフラクションを蒸発させ、所望の生成物を得た(50mg)。
LCMS(方法4):Rt=2.13分、m/z 552.6[M+H]
+
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 10.64(s、1H)、8.69-8.69(m、1H)、8.16(d、J=5.3Hz、1H)、8.14-8.09(m、2H)、8.01(s、1H)、7.91-7.87(m、1H)、7.61(q、J=3.8Hz、1H)、7.56(d、J=7.8Hz、1H)、7.44(t、J=7.7Hz、1H)、7.19(t、J=6.1Hz、1H)、7.07(d、J=5.3Hz、1H)、6.44-6.41(m、2H)、4.78-4.70(m、4H)、3.09-3.01(m、6H)、1.02(d、J=6.1Hz、3H)、0.88-0.85(m、3H)。
【0169】
実施例68~73
示された中間体から出発して、実施例67と同様の方法で、実施例68~73の化合物を製造した。
【表23-1】
【表23-2】
【表23-3】
【0170】
実施例74
【化24】
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((1R,4R)-5-メチル-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド(実施例74)
中間体67Cの合成で使用したものと同様の方法であるが、HATUの代わりにTBTUをカップリング剤として用いて、中間体1Jおよび中間体74Bから実施例74の化合物を製造した。
LCMS(方法4):Rt=1.98分、m/z 550.4[M+H]
+
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 10.38(s、1H)、8.69(s、1H)、8.19(s、1H)、8.16(d、J=5.3Hz、1H)、8.00(s、1H)、7.94(d、J=9.0Hz、1H)、7.88(d、J=7.7Hz、1H)、7.77(d、J=2.9Hz、1H)、7.53(d、J=7.9Hz、1H)、7.43(t、J=7.7Hz、1H)、7.18(t、J=6.0Hz、1H)、7.11(dd、J=3.1、9.0Hz、1H)、7.07(d、J=5.3Hz、1H)、6.43(s、2H)、4.79-4.70(m、4H)、4.38(s、1H)、3.19(d、J=9.4Hz、3H)、3.06(t、J=8.8Hz、2H)、2.81(dd、J=1.9、9.6Hz、1H)、2.56(s、1H)、2.29(s、3H)、1.91(d、J=8.7Hz、1H)、1.80(d、J=9.7Hz、1H)。
【0171】
実施例75~78
中間体67Cと同様の方法で、中間体1Jおよび示されたアミン中間体から実施例75~78の化合物を製造した。
【表24-1】
【表24-2】
【0172】
中間体79A
【化25】
tert-ブチル (S)-3-フルオロ-3-(((6-ニトロピリジン-3-イル)オキシ)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体79A)
5-フルオロ-2-ニトロピリジン(70mg、0.49mmol)をDMF(0.9ml)に溶解し、tert-ブチル-(R)-3-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(107mg、0.49mmol)およびCs
2CO
3(241mg、0.74mmol)を添加した。反応混合物を80℃で一晩加熱し、その後、冷水(3ml)およびDCM(1ml)中でクエンチした。有機相を分離し、水相をDCMで抽出した。合わせた有機層を水性飽和NaClで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、蒸発させ、所望の生成物(127mg)を得て、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
LCMS(方法10):Rt=3.5分、m/z 286.0[(M+H)-イソブテン]
+
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 8.42-8.32(m、2H)、7.78(dd、J=9.0Hz、3.0Hz、1H)、4.58(d、J=20.6Hz、2H)、3.69-3.46(m、3H)、3.39(t、J=8.7Hz、1H)、2.32-2.04(m、2H)、1.42(s、9H)。
【0173】
中間体80A、81A-1および82A
中間体79Aと同様の方法で、5-フルオロ-2-ニトロピリジンおよび示されたアミンから下記の中間体を製造した。
【表25】
【0174】
中間体81A
【化26】
(R)-5-((1-メチルアゼチジン-2-イル)メトキシ)-2-ニトロピリジン(中間体81A)
中間体81A-1(752mg、2.43mmol)をDCM(7.5ml、1)に溶解し、その後TFA(1.49ml、19.5mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を蒸発させ、残渣をMeOH(11.0ml)に溶解し、ホルムアルデヒド(0.25mL w/w 37%水溶液、3.65mmol)および酢酸(0.73g、12.2mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、その後Na(CN)BH
3(0.18g、2.92mmol)を分割して添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、一晩撹拌した。完全な変換を達成するために、追加で同量のホルムアルデヒドおよびNa(CN)BH
3が必要であった。反応混合物を水性飽和NaHCO
3溶液(100ml)に注ぎ、DCM(2×50ml)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、蒸発乾固させた。粗製物をDCM中10% MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物(230mg)を得た。
LCMS(方法10):Rt=1.3分、m/z 224.0[M+H]
+
【0175】
中間体79B~80B
中間体67Bと同様の方法で、示された出発物質から下記の中間体を製造した。
【表26】
【0176】
中間体79C
【化27】
tert-ブチル (S)-3-(((6-(3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド)ピリジン-3-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロピロリジン-1-カルボキシレート(中間体79C)
中間体1J(80.0mg、0.20mmol)をDMF(1.0ml)中で懸濁し、トリエチルアミン(84μl、0.60mmol)を添加した。混合物を5分間撹拌し、0℃に冷却し、HATU(107mg、0.28mmol、1.4当量)を分割して添加した。反応混合物を5℃で20分間熟成させ、中間体79B(93mg、0.30mmol)を添加し、室温まで昇温させ、一晩撹拌した。反応物を水性飽和NaHCO
3(3ml)およびDCM(3ml)中でクエンチし、層を分離し、水相をDCMで抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、蒸発させた。残渣をDCM中0~5% MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。DCM:MeOH 9:1の定組成溶出によるPTLC(分取薄層クロマトグラフィー)上でのさらなる精製により、表題化合物(88.5mg)を得た。
LC-MS(方法12):Rt=4.9分、m/z 657.3[M+H]
+
【0177】
中間体80C
中間体79Cと同様の方法で、示された出発物質から中間体80Cの化合物を製造した。
【表27】
【0178】
実施例79
【化28】
(S)-3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((3-フルオロピロリジン-3-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)ベンズアミド(実施例79)
中間体79C(88.0mg、0.13mmol)を水(1.06ml)および37%w/w 濃HCl水溶液)(0.33ml)中で懸濁し、室温で2日間撹拌した。不溶性物質をろ過により除去した後、ろ液を濃アンモニア水溶液(30%w/w)で中和し、形成された沈殿をろ過により回収し、水で洗浄し、DCM:MeOH 4:1での定組成溶出によるPTLCで精製し、表題化合物(38mg)を得た。
LCMS(方法14):Rt=1.56分、m/z 557.0[M+H]+
1H NMR(300MHz、DMSO)δ 10.66(s、1H)、8.68(s、1H)、8.24-8.04(m、3H)、7.98(d、J=13.3Hz、1H)、7.88(d、J=7.7Hz、1H)、7.54(dd、J=8.9、3.3Hz、2H)、7.43(t、J=7.7Hz、1H)、7.19(t、J=6.1Hz、1H)、7.06(d、J=5.3Hz、1H)、6.42(s、2H)、4.83-4.61(m、5H)、4.50-4.25(m、2H)、3.30-2.95(m、9H)、2.07(ddq、J=30.9、14.3、8.4、7.4Hz、3H)。
【0179】
実施例80
実施例79と同様の方法で、示された出発物質から実施例80の化合物を製造した。
【表28】
【0180】
実施例81
中間体79Cと同様の方法で、示された出発物質から実施例81の化合物を製造した。
【表29】
【0181】
実施例82および実施例83
中間体79Cと同様の方法で、中間体1Jおよび中間体82Bから実施例82/実施例83の化合物をラセミ混合物として製造し、その後、キラルSFC法(YMCセルロース-C 20×250mm、5μm 55/45 MeOH(0.1% DEA)/CO
2、100ml/分、120bar、40C、DAD 260nm)を用いて、2つのエナンチオマーに分離した。
【表30-1】
【表30-2】
【0182】
中間体84A
【化29】
3-(((7-(2-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)安息香酸(中間体84A)
中間体1H(1.9g、3.29mmol)、水酸化リチウム一水和物(414mg、9.87mmol)、THF(36mL)、メタノール(12mL)および水(12mL)を20℃で3日間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、THFを除去し、水溶液をHClで中和した。得られた沈殿をろ過し、乾燥させ、中間体84Aと中間体1Iの混合物を得て、水(+0.1% NH
4OH))中0~100% MeCN(+0.1%NH
4OH)で溶出する逆相カラムクロマトグラフィーによりC18シリカで分離し、所望の生成物(476mg)を得た
LCMS(方法2):Rt=1.10分、m/z 564.3[M+H]
+
【0183】
中間体84B
【化30】
tert-ブチル ((6-アミノピリジン-3-イル)メチル)(メチル)カルバメート(中間体84B)
5-(メチルアミノメチル)ピリジン-2-アミン(145mg、1.06mmol)のTHF(2mL)溶液に二炭酸ジ-tert-ブチル(0.24mL、1.06mmol)を添加し、得られた溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、粗生成物をDCM中0~10% MeOHで溶出するシリカクロマトグラフィーカートリッジにより精製した。関連するフラクションを蒸発させたのち、純粋な生成物(117mg)。
LCMS(方法2):Rt=1.13分、m/z 238.3[M+H]
+
【0184】
中間体84C
【化31】
tert-ブチル (tert-ブトキシカルボニル)(4-(4-((3-((5-(((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)-アミノ)メチル)ピリジン-2-イル)カルバモイル)ベンジル)アミノ)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-7-イル)ピリミジン-2-イル)カルバメート(中間体84C)
0℃で、中間体84A(150mg、0.266mmol)および中間体84B(69mg、0.293mmol)のピリジン(7mL)溶液にオキシ塩化リン(V)(0.055mL、0.586mmol)を添加し、反応混合物を2時間撹拌した。水をゆっくりと加えて反応混合物をクエンチし、真空中で蒸発させた。粗生成物をDCM中0~100% EtOAcで溶出するシリカカートリッジ上のクロマトグラフィーにより精製した。関連するフラクションを蒸発させ、所望の生成物(42mg)を得た。
LCMS(方法1):Rt=1.76分、m/z 783.5[M+H]
+
【0185】
実施例84
【化32】
3-(((7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-(5-((メチルアミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ベンズアミド(実施例84)
中間体84C(84mg、0.107mmol)のDCM(3mL)溶液にTFA(0.33mL、4.29mmol)を添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、粗生成物をSCX-2カートリッジに充填し、これをメタノールで洗浄し、2N アンモニア-メタノール溶液を用いて化合物を溶離した。溶離剤を濃縮し、所望の生成物(42mg)を得た。
LCMS(方法6):Rt=1.91分、m/z 483.2[M+H]
+
1H NMR(400MHz、DMSO)δ 10.68(s、1H)、8.68-8.67(m、1H)、8.30(d、J=1.8Hz、1H)、8.16-8.10(m、2H)、8.01(s、1H)、7.89(d、J=7.7Hz、1H)、7.79-7.74(m、1H)、7.55(d、J=7.6Hz、1H)、7.43(t、J=7.7Hz、1H)、7.17(t、J=6.0Hz、1H)、7.06(d、J=5.3Hz、1H)、6.41(s、2H)、4.78-4.68(m、4H)、3.63(s、2H)、3.08-3.00(m、2H)、2.26(s、3H)。
【0186】
実施例A(比較)
スキーム
【化33】
工程A
【化34】
3-(((7-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)安息香酸(中間体AA)
中間体1E(100mg、0.27mmol)、水酸化リチウム一水和物(0.035g、0.83mmol)のTHF(1mL)、MeOH(1mL)および水(2mL)溶液を環境温度で1.5時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。水層のpHを水性1M HClで約pH2~3に調整した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させ、表題生成物(89mg)を得た。
LCMS(方法1):Rt=0.81分、m/z 348.9/350.9[M+H]
+
【0187】
工程B
【化35】
3-(((7-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)-N-メチルベンズアミド(中間体AB)
中間体AA(40mg、0.12mmol)、メチルアミン塩酸塩(23mg、0.35mmol)、TBTU(150mg、0.46mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.12mL、0.69mmol)の混合物のDCM(4mL)溶液を環境温度で18時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、DCMで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で蒸発させた。残渣をメタノールで希釈しメタノールで溶出し、その後2M メタノール性アンモニアで溶出してSCX-2カートリッジを通過させた。関連するフラクションを合わせ、濃縮乾固させ、表題生成物(29mg)を得た。
LCMS(方法1):Rt=0.73分、m/z 362.0/364.0[M+H]
+
【0188】
工程C
【化36】
N-メチル-3-(((7-(ピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-イル)アミノ)メチル)ベンズアミド(実施例A)
脱気した中間体AB(100mg、0.28mmol)、4-(トリブチルスタンニル)ピリミジン(110mg、0.304mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)(16mg、0.014mmol)および銅(I)チオフェン-2-カルボキシレート(5.3mg、0.028mmol)の混合物のジオキサン(3mL)溶液を、マイクロ波照射下、150℃で1時間撹拌した。反応混合物をMeOHで希釈し、MeOHで溶出し、その後2M メタノール性アンモニアで溶出してSCX-2カートリッジを通過させた。溶液を真空中で濃縮し、残渣EtOAc中0~10% MeOHで溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。関連するフラクションを合わせ、濃縮した。残渣をMDAP(Luna フェニル-ヘキシル MeOH 酸性 5~60、Luna フェニル-ヘキシル 21.2×150mm、10μm 5~60% MeOH/H
2O(0.1% FA)、20mL/分、室温)により精製し、生成物(21mg)を得た。
LCMS(方法4):Rt=2.18分、m/z 362.2[M+H]
+
1H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ 9.08(d、J=1.1Hz、1H)、8.80(s、1H)、8.69(d、J=5.5Hz、1H)、8.46-8.37(m、1H)、7.90(dd、J=1.4、5.5Hz、1H)、7.83(s、1H)、7.70-7.67(m、1H)、7.50-7.47(m、1H)、7.42-7.33(m、2H)、4.81(t、J=9.0Hz、2H)、4.72(d、J=6.0Hz、2H)、3.09(t、J=9.0Hz、2H)、2.78(d、J=4.6Hz、3H)。
【0189】
実施例B
スキーム
【化37】
工程A
【化38】
2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-7-アミン(中間体BA)
工程Cの中間体1Bをフロ[2,3-c]ピリジン-7-アミンに置き換えて、中間体1Cについて記載されたものと同様の方法で、中間体BAを製造した。
LCMS(方法10):Rt=0.75分、m/z 137.1[M+H]
+
【0190】
工程B
【化39】
4-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-7-アミン(中間体BB)
工程Cの中間体1Cを中間体BAに置き換えて、中間体1Dと同様に中間体BBを製造した。
LCMS(方法12):Rt=1.72分、m/z 214.8および216.8[M+H]
+
【0191】
工程C
【化40】
メチル 3-(((4-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-7-イル)アミノ)メチル)-ベンゾエート(中間体BC)
DCM(15mL)に溶解した中間体BB(500mg、2.33mmol)、メチル 3-ホルミルベンゾエート(573mg、3.49mmol)およびクロロトリイソプロポキシチタン(IV)(1212mg、4.65mmol)を、モレキュラー・シーブとともに室温で18時間撹拌した。この溶液に酢酸(0.27mL)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1478mg、6.98mmol)を添加し、反応物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を1N NaOH(120mL)でクエンチし、珪藻土のパッドでろ過し、DCMで洗浄した。有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた残渣をシクロヘキサン中0~75%の酢酸エチルで溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。関連するフラクションを合わせ、真空中で濃縮し、所望の生成物(718mg)を得た。
LCMS(方法3):Rt=2.90分、m/z 363.2/365.2[M+H]
+
【0192】
工程D
【化41】
3-(((4-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-7-イル)アミノ)メチル)安息香酸(中間体BD)
MeOH(3mL)、THF(3mL)および水(6mL)に溶解した中間体BC(720mg、1.98mmol)および水酸化リチウム一水和物(250mg、5.95mmol)の溶液を室温で6時間撹拌した。有機相を蒸発させ、1M HClを用いて、水相をpH2~3に酸性化した。得られた混合物を水で希釈し、Me-THFで抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を水(8mL)、THF(7mL)およびMeOH(3mL)に溶解した。さらなる水酸化リチウム一水和物(125g、2.98mmol)を添加し、反応物を室温でさらに3時間撹拌した。有機相を蒸発させ、1M HClを用いて、水相をpH2~3に酸性化した。得られた混合物を水で希釈し、Me-THFで抽出した。有機層を(Na
2SO
4)させ、真空中で濃縮し、所望の生成物(697mg)を得た。
LCMS(方法2):Rt=0.92分、m/z 349.2/351.2[M+H]
+
【0193】
工程E
【化42】
3-(((4-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-7-イル)アミノ)メチル)-N-メチルベンズアミド(中間体BE)
DCM(5mL)に溶解した中間体BD(250mg、0.716mmol)およびTBTU(300mg、0.931mmol)の溶液にDIPEA(075mL)およびメチルアミン塩酸塩(150mg、2.15mmol)を添加し、反応混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた残渣をMeOHに溶解し、MeOHで溶出し、その後メタノール性アンモニア(2M)で溶出するSCXカラムを通過させた。関連するフラクションを合わせ、真空中で濃縮し、所望の生成物を得た。
LCMS(方法2):Rt=1.32分、m/z 362.3/364.2[M+H]
+
【0194】
工程F
【化43】
tert-ブチル (tert-ブトキシカルボニル)(4-(7-((3-(メチルカルバモイル)ベンジル)アミノ)-2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-4-イル)ピリミジン-2-イル)カルバメート(中間体BF)
ジオキサン(3mL)に溶解した中間体BE(122mg、0.338mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(20mg、0.0169mmol)、銅(I)チオフェン-2-カルボキシレート(6.4mg、0.0338mmol)の脱気した溶液に中間体1G(170mg、0.371mmol)を添加し、マイクロ波照射下、反応物を130℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、珪藻土のパッドでろ過した。溶液を水および塩水で洗浄し、有機相を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮した。得られた粗製物をDCM、メタノールに溶解し、DCM中0~5% メタノールで溶出するフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製した。残渣を真空中で濃縮し、DCMに溶解し、DCM中0~5% メタノールで溶出するフラッシュシリカクロマトグラフィーを用いて精製した。両方の生成物から関連するフラクションを合わせ、真空中で濃縮し、生成物(79mg)を得た。
LCMS(方法1):Rt=1.45分、m/z 577.1[M+H]
+
【0195】
工程G
【化44】
3-(((4-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2,3-ジヒドロフロ[2,3-c]ピリジン-7-イル)アミノ)メチル)-N-メチルベンズアミド(実施例B)
DCM(4mL)に溶解した中間体BF(79mg、0.137mmol)にTFA(1mL)を添加し、反応物を室温で18時間撹拌した。反応混合物を、メタノールで、その後2M メタノール性アンモニアで溶出しながらSCX-2カラムを通過させた。関連するフラクションを合わせ、真空中で濃縮し、残渣をMDAP(Luna フェニル-ヘキシル 21.2×150mm、10μm 5~60% MeOH/H
2O(0.1% FA)、20mL/分、室温)により精製し、所望の生成物(33.8mg)を得た。
LCMS(方法4):Rt=3.21分、m/z 377.0[M+H]
+
1H NMR(400MHz、d
6-DMSO)δ 8.40(m、1H)、8.16-8.20(m、2H)、7.81(s、1H)、7.65(d、J=7.7Hz、1H)、7.46(d、J=7.9Hz、1H)、7.37(t、J=7.8Hz、1H)、7.10(t、J=6.4Hz、1H)、6.92(d、J=5.3Hz、1H)、6.48(brs、2H)、4.61-4.68(m、4H)、3.68(t、J=8.8Hz、2H)、2.78(d、J=4.6Hz、3H)。
【0196】
実施例C
スキーム
【化45】
工程A
【化46】
N-ベンジル-7-ブロモ-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(中間体CA)
メチル 3-ホルミルベンゾエートをベンズアルデヒドに置き換えて、中間体BCと同様に中間体CAを製造した。
LCMS(方法2):Rt=1.57分、303.0-305.0 m/z[M+H]
+
【0197】
工程B
【化47】
tert-ブチル (4-(4-(ベンジルアミノ)-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-7-イル)ピリミジン-2-イル)(tert-ブトキシカルボニル)カルバメート(中間体CB)
中間体BEを中間体CAに置き換えて、中間体BFと同様に中間体CBを製造した。
LCMS(方法2):Rt=1.73分、m/z 520.4[M+H]
+
【0198】
工程C
【化48】
7-(2-アミノピリミジン-4-イル)-N-ベンジル-2,3-ジヒドロフロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン
工程Gの中間体BFを中間体CBに置き換えて、実施例Bと同様に実施例Cの化合物を製造した。
LCMS(方法4):Rt=2.5分、m/z 320[M+H]
+
1H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ 8.68(s、1H)、8.16(d、J=5.3Hz、1H)、7.36-7.28(m、4H)、7.25-7.20(m、1H)、7.13(t、J=5.5Hz、1H)、7.07(d、J=5.0Hz、1H)、6.41(s、2H)、4.75(t、J=9.0Hz、2H)、4.66(d、J=6.0Hz、2H)、3.04(t、J=8.9Hz、2H)。
【0199】
本発明の化合物の薬理学的活性。
インビトロ阻害活性アッセイ記録ROCK1およびROCK2
Rhoキナーゼ活性を阻害するための本発明の化合物の有効性は、ADP-Gloキット(Promega)を用いて、40mM Tris pH7.5、20mM MgCl2 0.1mg/mL BSA、50μM DTTおよび2.5μM ペプチド基質(ミエリン塩基性タンパク質)を含む10μLアッセイ溶液中で決定され得る。DMSOの最終濃度がアッセイ溶液中1%となるように、化合物をDMSOに溶解した。全ての反応/インキュベートは25℃で実施した。化合物(2μl)とRhoキナーゼ1または2(4μl)を混合し、30分間インキュベートした。アッセイ溶液中のATPの最終濃度が200μMとなるようにATP(4μl)を添加することにより、反応を開始した。1時間インキュベートした後、10μlのADP-Glo試薬を添加し、さらに1時間インキュベートした後、20μlのキナーゼ検出緩衝液を添加し、混合物をさらに45分間インキュベートした。発光シグナルをルミノメーターで測定した。対照は、化合物を含まないアッセイウェルで構成され、酵素を添加しないアッセイウェルを用いてバックグラウンドを決定した。化合物を用量-応答形式で試験し、各々の化合物濃度でのキナーゼ活性の阻害を計算した。IC50(酵素活性の50%を阻害するのに必要な化合物の濃度)を決定するために、勾配を変化させ、最大値を100%、最小値を0%に固定したシグモイドフィットを用いて、%阻害とLog10化合物濃度のプロットにデータを当てはめた。Ki値を決定するために、チェン・プルソフ式(Ki=IC50/(1+[S]/Km)を用いた。
【0200】
本発明による化合物は、両アイソフォームに対して500nM未満のKi値を示した。
【0201】
個々の化合物についての結果を下記の表に示し、活性の範囲として表した。
【0202】
PKAのインビトロ阻害活性アッセイ記録
PKA活性を阻害するための本発明の化合物の有効性は、ADP-Gloキット(Promega)を用いて、40mM Tris pH7.5、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、50μM DTTおよび260μM ペプチド基質(kemptide)を含む10μLアッセイ溶液中で決定され得る。DMSOの最終濃度がアッセイ溶液中1%となるように、化合物をDMSOに溶解した。全ての反応/インキュベートは25℃で実施した。化合物およびPKA酵素(6μl)を混合し、30分間インキュベートした。アッセイ溶液中のATPの最終濃度が10μMとなるようにATP(4μl)を添加することにより、反応を開始した。30分間インキュベートした後、10μlのADP-Glo試薬を添加し、さらに1時間インキュベートした後、20μlのキナーゼ検出緩衝液を添加し、混合物をさらに45分間インキュベートした。発光シグナルをルミノメーターで測定した。対照は、化合物を含まないアッセイウェルで構成され、酵素を添加しないアッセイウェルを用いてバックグラウンドを決定した。化合物を用量-応答形式で試験し、各々の化合物濃度でのキナーゼ活性の阻害を計算した。IC50(酵素活性の50%を阻害するのに必要な化合物の濃度)を決定するために、勾配を変化させ、最大値を100%、最小値を0%に固定したシグモイドフィットを用いて、%阻害とLog10化合物濃度のプロットにデータを当てはめた。Ki値を決定するために、チェン・プルソフ式(Ki=IC50/(1+[S]/Km)を用いた。
【0203】
PKAに対するインビトロ阻害活性は、ROCK-2に対する選択性の比として報告した。選択性の比PKA/ROCK2は、PKAに対するKi値をROCK2に対するKi値で除して計算し、報告した。
【表31】
【0204】
本発明による化合物は、少なくともROCK2に対して30nM以下、さらに好ましくは3nM以下;さらに好ましくは両アイソフォームに対して30nM以下、さらに好ましくは3nM以下のKi値を示した。本発明による化合物は、比較実施例AおよびBの化合物より効果的であった。
【0205】
さらに、好ましい本発明による化合物は、PKAに対して顕著な選択性を示す。本発明による化合物はPKAに対するROCK2選択性について少なくとも5倍、好ましくは10倍以上選択的である。全体的に、本発明の化合物は比較実施例Cの化合物より選択的である。
【0206】
表中、下記の分類基準に従い、ROCK2アイソフォームへの阻害活性(Ki)についての選択性で、化合物を分類した。
***:比≧10
**:5≦比<10
*:比<5
【0207】
気管支痙攣試験
動物
雄性CD Sprague Dawleyラット(220~250g)をCharles River Laboratories Italy(Calco、Lecco)から購入した。使用前に、標準的なラット用の餌および軟性水道水を自由に摂取させながら、動物を局所飼育条件(室温:20~24℃;相対湿度:40~70%)に順応させた。全ての手順は、動物研究のための倫理ガイドライン(D. L.vo116/92)に従い、動物手術室で実施した。
【0208】
髄腔内投与のために、麻酔剤の組み合わせ(ゾレチル20mg/kg+キシラジン5mg/kg、腹腔内投与)でラットに麻酔した。喉頭鏡を口腔内に前進させ、気管を可視化し、特注の小径カニューレを気管に直接挿入し、分岐部から1~2mm上に位置させた。
【0209】
プロトコル
投与後1時間の試験化合物の残存阻害活性を評価するために、ラットを外科的に処置した。体温は加温ブランケットにより37℃で一定に保持した。
【0210】
気管に挿管し、定容量人工呼吸器(rodent ventilator mod. 7025, Ugo Basile, コメーリオ, ヴァレーゼ, イタリア)を用いて、80ストローク/分の頻度および10ml/kgの一回換気量で人工的に肺を換気した。自発呼吸を避けるため、動物にパンクロニウム ブロマイド(2mg/kg)を静脈内(i.v.)注射した。
【0211】
カルバコール(cch)80μg/kgを静脈内注射することにより、気管支収縮を誘発した。対照試験において、この用量を繰り返し注射することにより、再現性のある短時間(1~2分間)継続する気管支痙攣を引き起こした。、一回換気量の減少として定量された気管支収縮は、KonzettおよびRoessler(1)に記載の方法に従って評価した。全身血圧および気道抵抗における変化は、デジタル圧力トランスデューサーでモニタリングした。
【0212】
人工呼吸と血圧の安定後、3回の安定かつ再現性のある基底応答が得られるまで、3分ごとにcchを動物に静脈内(i.v.)注射した。試行が10回を超えることはなかった。試験化合物の効果は、時間を合わせたビヒクル投与動物(対照)におけるcch誘発気管支収縮の阻害率で表した。
【0213】
試験化合物をdH2Oおよび1% Tween-80または0.001% HClに溶解し、標的濃度までさらに希釈した。試験化合物を125μlの体積で局所的に気管へ流し込んだ。
【0214】
全てのデータを平均±標準誤差平均として表す。気管支痙攣試験の%阻害は、薬物処置した動物とビークル処置した対照動物を比較して計算した。GraphPad Prismソフトウェアを用いてデータ解析を実施した。
【0215】
(1) Konzett H and Roessler R (1940). Versuchanornungzu untersuchungen an der bronchialmuskulatur. Arch. Exp. Path. Pharmak.; 195: 71-74.
【0216】
【0217】
上のデータから、本発明による化合物は、ROCK1およびROCK2の阻害活性ならびにPKAに対する顕著な選択性に加えて、好ましく、かつ開発および吸入経路による投与に特に適切な改善されたさらなる特性を示しうることが明らかである。特に、少なくともそれらは効果的な気管支拡張剤であると考えられ、上記で報告される気管支痙攣のインビボ試験において抗気管支拡張活性を示した。実際に、試験された化合物は測定可能な抗気管支拡張活性を示し、特に好ましい化合物は、10(μg/Kg)の用量で、50%を超えるCCH気管支収縮の阻害を示し、いくつかの化合物は80%を超える疎外を示し、より効果的な化合物は、3(μg/Kg)の用量レベルで、40%を超えるCCH気管支収縮の阻害を示し、さらに効果的な化合物は70%を超える阻害を示した。
【0218】
上記は、嵩高い部分Wにより特徴付けられる本発明の化合物によりもたらされる気管支収縮の阻害を少なくともアッセイにおいて内部比較物質として使用された、気管支拡張剤として顕著に低い活性を示す化合物51と比較するとき、特に明らかである。したがって、少なくとも、化合物52~53および65~84は、吸入経路による気管支拡張剤としての開発が好ましい。
【国際調査報告】