IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

特表2023-552913非水素化ポリマーセグメントを含む官能化水素化インターポリマー
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】非水素化ポリマーセグメントを含む官能化水素化インターポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/02 20060101AFI20231212BHJP
   C08F 8/42 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
C08G81/02
C08F8/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539090
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021065556
(87)【国際公開番号】W WO2022147159
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,592
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ユエン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】コシス,ローラ エス.
(72)【発明者】
【氏名】サラマント,ウォルター エー.
(72)【発明者】
【氏名】マジストレッリー,ジェフリー エム.
【テーマコード(参考)】
4J031
4J100
【Fターム(参考)】
4J031AA29
4J031AB02
4J031AC01
4J031AD01
4J031AE03
4J031AE04
4J031AE15
4J031AF20
4J100AB02P
4J100AS02Q
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA48
4J100DA49
4J100DA51
4J100FA08
4J100FA19
4J100HA61
4J100HC77
4J100HE05
4J100HE08
4J100JA29
(57)【要約】
【解決手段】 官能化高分子は、水素化インターポリマー部分と、非水素化ポリマー部分と、これらの部分に共有結合して連結している官能性カップリング剤のラジカルとを含む。カップリング剤の官能基は、シリカとの相互作用性を示す。インターポリマーは、ビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含むことができ、共役ジエンマーの少なくとも一部、典型的には少なくとも50モル%が水素化されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化インターポリマー部分と、非水素化ポリマー部分と、前記部分の各々に共有結合した官能基とを含み、前記官能基がシリカとの相互作用性を示す、官能化高分子。
【請求項2】
前記官能基が、エポキシ基及びシロキシ基の両方を含む化合物のラジカルである、請求項1に記載の官能化高分子。
【請求項3】
前記化合物が2-(3,4-エポキシ-シクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランであり、前記アルコキシ基が任意にメトキシ部分である、請求項2に記載の官能化高分子。
【請求項4】
前記インターポリマーがビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化高分子。
【請求項5】
前記インターポリマー中の前記共役ジエンマーの少なくとも80モル%が水素化されている、請求項4に記載の官能化高分子。
【請求項6】
前記インターポリマー中の前記共役ジエンマーの少なくとも90モル%が水素化されている、請求項5に記載の官能化高分子。
【請求項7】
前記インターポリマーが10~45モル%のスチレンマーを含む、請求項4に記載の官能化高分子。
【請求項8】
前記共役ジエンマーの大部分が1,2-ビニル配置で組み込まれている、請求項4に記載の官能化高分子。
【請求項9】
前記非水素化ポリマー部分が共役ジエンマーからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化高分子。
【請求項10】
前記高分子が複数の非水素化ポリマー部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化高分子。
【請求項11】
前記非水素化ポリマー部分が、5~50kg/molの数平均分子量を有する共役ジエンホモポリマーから得られた、請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化高分子。
【請求項12】
前記共役ジエンホモポリマーが10~20kg/molの数平均分子量を有する、請求項11に記載の官能化高分子。
【請求項13】
前記共役ジエンホモポリマーが、30~40kg/molの数平均分子量を有する、請求項11に記載の官能化高分子。
【請求項14】
請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化高分子と、ポリブタジエンを任意に含む少なくとも1種のバルクゴムと、任意にシリカとを含む、組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも1種のポリブタジエンを含み、そのマーの少なくとも90%がシス配置である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
水素化インターポリマー部分と非水素化ポリマー部分とを含む官能化高分子を提供する方法であって、
a)
1)ビニル芳香族マーと、
2)共役ジエンマーと、
3)共役ジエンマーの水素化物と、
4)カルバニオンに対して反応性であり、シリカと相互作用できる官能基を含む、末端官能基と、を含む末端官能化インターポリマーを提供するステップと、
b)共役ジエンマーを含むカルバニオン性ポリマーに、前記インターポリマーを導入するか、又は前記カルバニオン性ポリマーを前記インターポリマーに導入するステップであって、前記カルバニオン性ポリマーが任意に、5~50kg/molの数平均分子量を有する、ステップと、
c)前記カルバニオン性ポリマーを前記末端官能基と反応させて、前記官能化高分子を提供するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記インターポリマーが、ビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含む末端官能化ポリマーを水素化条件にさらして、前記共役ジエンマーの少なくとも50モル%を水素化することによって提供される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記共役ジエンマーの少なくとも80モル%が水素化されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インターポリマーが10~45モル%のスチレンマーを含むこと、及び前記共役ジエンマーの大部分が1,2-ビニル配置で組み込まれることのうちの少なくとも1つが真である、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記インターポリマー1当量当たり、0.5~10当量の前記カルバニオン性ポリマーが反応する、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際出願は、2020年12月31日に出願された米国特許仮出願第63/132,592号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
タイヤ構成要素(例えば、トレッド、サイドウォールなど)などのゴム製品は、多くの場合、例えば粒子状カーボンブラック及びシリカなどの1種以上の強化材料を含むエラストマー組成物から作られ、例えば、The Vanderbilt Rubber Handbook,13th ed.(1990),pp.603-04を参照されたい。タイヤ構成要素などの加硫物の製造に使用される最も一般的に使用される合成エラストマー材料の一部には、多くの場合触媒を使用するプロセスによって製造される高シスポリブタジエン(polybutadiene、BR)と、多くの場合アニオン開始剤を使用するプロセスによって製造される実質的にランダムなスチレン/ブタジエンインターポリマー(styrene/butadiene interpolymer、SBR)とが含まれる。
【0003】
良好なトラクション及び耐摩耗性はタイヤトレッドの主たる考慮事項であるが、自動車の燃料効率を考慮すると、タイヤ動作中のヒステリシス及び熱蓄積の減少と相関する転がり抵抗を最小限に抑えることが求められている。これらの考慮事項はかなりの程度競合しており、多少相反してしている:良好な路面トラクションを提供するように設計された組成物から作られたトレッドは、通常、転がり抵抗の増大を示し、その逆もまた同様である。
【0004】
充填剤、ポリマー、及び添加剤は、典型的には、所望の特性の許容可能な妥協点又はバランスが得られるように選択される。強化充填剤がエラストマー材料全体に十分に分散されることを確保することは、加工性を向上させると共に、物理的特性を改善するように作用する。充填剤粒子の分散は、エラストマーとの相互作用を増加させること、及び/又は互いの相互作用を減少させることによって改善することができる。このタイプの取り組みの例としては、選択的反応性促進剤の存在下での高温混合、配合材料の表面酸化、及び表面グラフト化が挙げられる。
【0005】
最後の架橋部位から末端までのポリマー鎖の部分は、高分子ネットワークに結合していないため、効率的な弾性回復プロセスに関与することができない。その結果、ポリマー(及びそのようなポリマーが組み込まれた加硫物)のこの部分に伝達されるエネルギーは熱として失われる。これらの末端が強化粒子状充填剤に結合されるか、又は他の方法で強化粒子状充填剤と十分に相互作用することを確保することは、例えば、ヒステリシスの低減など、多くの加硫物の物理的特性にとって重要である。
【0006】
ポリマーを、典型的にはその末端で化学的に修飾することは、充填剤とポリマーとの相互作用性を増加させる最も効果的な方法の1つである。末端化学修飾は、多くの場合、リビングポリマーを官能性停止剤と反応させることによって行われ、例えば、米国特許第3,109,871号、同第4,647,625号、同第4,677,153号、第5,109,907号、同第6,977,281号など、並びにこれらの中で引用された参考文献及びこれらの特許を引用するその後の刊行物を参照されたい。アニオンで開始されたポリマーで実行できる重合後の末端官能化は、多くの場合、配位触媒ポリマーでは実行できず、程度は低いがその逆もまた同様である。
【0007】
ゴム組成物中の成分としての水素化ポリマーへの関心は高まり続けている。これらには、水素化BR(H-BR)及び水素化SBR(H-SBR)が含まれる。後者は、典型的には、特に水素化度が約90%を超える場合、他の点では同等のSBRと比較して改善された引張特性を示す。(ただし、架橋反応(加硫)に関与するためにはある程度の残留不飽和が残っている必要があるため、水素化度は100%になり得ない。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、H-SBRの使用にはいくつかの制限があることが明らかになった。水素化度が約90%を超えると、潜在的な架橋部位がほとんど残っていないため、H-SBRは、それとブレンドされることがあるいわゆるバルクゴム(例えば、SBR、BR、NRなど)とは異なる硬化速度を示すことがある。水素化はポリマーの溶解度パラメータにも影響を及ぼし、これは、所与のゴム組成物中の他の不飽和ポリマーとの非混和性につながることがある。
【0009】
依然として望ましいものは、1種以上のバルクゴムとブレンドした場合に、満足な混和性及び許容可能な同等の硬化速度を示すH-SBRである。好ましくは、そのH-SBRを含有する組成物は、そのH-SBRを含有しない他の点では同等の組成物から製造された加硫物と比較して、同等又はより優れた引張特性を加硫物に与えることができる。
【0010】
本明細書では、水素化インターポリマー部分と、非水素化ポリマー部分と、上記部分の各々に共有結合した官能性カップリング剤のラジカルと、を含む官能化高分子が提供される。カップリング剤の結合から得られた官能基はシリカとの相互作用性を示す。
【0011】
インターポリマーは、有利には、ビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含むことができ、共役ジエンマーの少なくとも一部が水素化されており、即ち、Hがその二重結合の一部に付加できる条件に、ポリマーがさらされた結果、そのようなマーの組み込みから得られた残留不飽和の一部が失われている。インターポリマーに組み込まれた共役ジエンマーの総数と比較して、水素化された、即ち、もはやエチレン性不飽和を含まない共役ジエンマーは、典型的には少なくとも50モル%、好ましくはそれより著しく高く、例えば、少なくとも約80モル%を構成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、インターポリマーは、10~45モル%のビニル芳香族マーを含むことができる。これら及び他の実施形態では、インターポリマーは、その共役ジエンマーのかなりのパーセンテージ、例えば少なくとも30モル%が1,2-ビニル配置で組み込まれていてもよい。
【0013】
高分子の非水素化ポリマー部分は共役ジエンマーを含み、いくつかの実施形態では、そのようなマーからなる。非水素化ポリマー部分が共役ジエンマーからなる実施形態では、その部分は最大約50kg/mol、多くの場合10~40kg/molの数平均分子量(M)を有し得る。
【0014】
両方のポリマー部分に共有結合したラジカルは、カップリング剤の残基であってもよく、カップリング剤は、カルバニオンに対して反応性である官能基を含み、シリカと相互作用することができる官能基を含み、水素化条件にさらされた場合に反応も分解もしない。いくつかの実施形態では、官能性カップリング剤は、エポキシ基及びシロキシ基を含むことができる。
【0015】
また、前述の官能化高分子を提供する方法も提供される。ビニル芳香族マーと、共役ジエンマーと、組み込まれたカップリング剤から得られた末端官能基と、を含むインターポリマーは、その共役ジエンマーの一部、好ましくは少なくとも半分が水素化される条件にさらされる。インターポリマーは、共役ジエンマーを含むカルバニオン性ポリマーに導入されるか、又はそれに導入されており、カルバニオン性ポリマーは、インターポリマーにのみ予め共有結合していたカップリング剤のラジカルと反応する。インターポリマー1当量当たり0.5~10当量の第2のタイプのポリマーを使用することができる。その結果、両方のポリマーから得られた部分を含む高分子が得られる。
【0016】
どのように特徴付けられているかに関係なく、高分子は粒子状充填剤、特にシリカと相互作用することができる。粒子状充填剤及び官能化高分子を含む組成物も提供され、そのような組成物を提供及び使用する方法も同様に提供される。
【0017】
組成物は他のエラストマーを含むことができる。有利には、官能化高分子は、ゴム組成物に一般的に使用される特定のバルクゴム、特にBRとの改善された混和性、並びにそれから得られた加硫物における望ましい引張特性を示すことができる。
【0018】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。その説明の理解を助けるため、特定の定義を以下に示し、これらは前後の文章が反対の意図を明示的に示さない限り、全体に適用されることを意図している。
「ポリマー」とは1種以上のモノマーの重合生成物を意味し、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
「マー」又は「マー単位」とは、単一の反応物分子に由来するポリマーの部分を意味する(例えば、エチレンマーは、一般式-CHCH-を有する)。
「コポリマー」は、2つの反応物、典型的にはモノマーに由来するマー単位を含むポリマーを意味し、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマーなどを含む。
「インターポリマー」は、少なくとも2つの反応物、典型的にはモノマーに由来するマー単位を含むポリマーを意味し、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーなどを含む。
「ランダムインターポリマー」とは、本質的に非反復的に組み込まれた各タイプの構成モノマーに由来するマー単位を有し、ブロック、即ち、3つ以上の同じマーのセグメントを実質的に含まないインターポリマーを意味する。
「ガムムーニー粘度」は、任意の充填剤の添加前の、未硬化ポリマーのムーニー粘度である。
「置換された」とは、当該基の意図された目的を妨げないヘテロ原子又は官能基(例えば、ヒドロカルビル基)を含むものを意味する。
「直接結合」とは、原子や基が介在せずに共有結合していることを意味する。
「ポリエン」とは、その最長部分又は鎖に少なくとも2つの二重結合を有する分子を意味し、具体的にはジエン、トリエンなどが含まれる。
「ポリジエン」とは、1つ以上のジエンのマー単位を含むポリマーを意味する。
「微細構造」とは、ポリエンマーがポリマー鎖に組み込まれる方法に関する個々の特性、又はそのような全ての特性の全体を意味し、1,4-含有量、1,2-(ビニル)含有量、シス含有量、及びトランス含有量を含む。
「phr」とは、ゴム100重量部(pbw)当たりのpbwを意味する。
「ラジカル」又は「残基」とは、反応の結果として原子が得られるか失われるかに関係なく、別の分子と反応した後に残る分子の部分を意味する。
「末端」とは、ポリマー鎖の端部を意味する。
「末端部分」とは、末端に位置する基又は官能基を意味し、
「反応性ポリマー」とは、活性末端の存在により、他の分子と容易に反応する少なくとも1つの部位を有するポリマーを意味し、その用語には、とりわけ、カルバニオン性ポリマーが含まれる。
【0019】
本明細書全体を通じて、前後の文章が反対の意図を明示的に示さない限り、パーセンテージの形で示される全ての値は重量パーセンテージ(w/w)である。
【0020】
前後の文章に別段の記載がない限り、成分の量、プロセス条件(例えば、時間及び温度)などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。列挙された数値限定には、使用される有効桁の数に基づく適切な程度の精度が含まれ、例えば、「最大5.0」は、「最大5」よりも低い絶対上限を設定すると解釈できる。
【0021】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、本明細書に完全に記載されている場合と同様に、その全体が参照により組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず高分子のインターポリマー部分について説明し、続いて第2のポリマー部分を説明し、次に高分子を形成するための2つのポリマー部分のカップリングについて説明する。
【0023】
インターポリマーには、ポリエン、特にジエン及びトリエン(例えば、ミルセン)の組み込みから得られた不飽和が含まれる。限定されるものではないが1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、及び1,3-ヘキサジエンなどの、C~C12共役ジエンが好ましい。
【0024】
ポリエンは、複数の方法でポリマー鎖に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、ポリエンの総含有量に基づく数値パーセンテージで示して全体の1,2-(ビニル)微細構造が約10~約80%、又は約25~約65%である、ポリマー鎖が望ましい場合がある。実質的に直鎖のポリマーは、ポリエンの総含有量に基づいて、全体の1,2-微細構造が約50%以下、好ましくは約45%以下、より好ましくは約40%以下、更に好ましくは約35%以下、最も好ましくは約30%以下のものである。特定の最終用途では、1,2-結合の含有量を更に低く、例えば約7%未満、5%未満、2%未満、又は1%未満に保つことが望ましい場合がある。初期のビニル含有量を制御することにより、インターポリマーの非晶質性を維持することができ、それによって高分子を含むゴム化合物から製造される加硫物の性能を低下させることがある結晶化度を低下させる。(ビニル含有量及び他の微細構造の詳細は、例えばプロトンNMRによって決定できる。)
【0025】
ペンダント芳香族基は、ビニル芳香族マー単位、特に、例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、及びビニルナフタレンなどのC~C20ビニル芳香族を組み込むことによって提供することができる。1つ以上のポリエンと共に使用する場合、ペンダント芳香族性を有するマー単位は、ポリマー鎖中のマー単位の総数の最大約60%、約1~約50%、約10~約45%、約20~約35%、又は約25~約30%を構成することができる。
【0026】
インターポリマー中の様々なタイプのマーは、好ましくはランダムに組み込まれ、これは、各タイプのマーがブロックを形成せず、その代わりに実質的に非反復的に組み込まれることを意味する。ランダム微細構造により、例えば、タイヤトレッドの製造に使用されるゴム組成物などのいくつかの最終用途において特定の利益を提供することができる。
【0027】
例示的なインターポリマーとしては、1つ以上のポリエン、及び例えばSBRとも呼ばれるポリ(スチレン-コ-ブタジエン)などの、スチレンから誘導されたマーを有するものが挙げられる。
【0028】
このようなインターポリマー、特にアニオン技術(以下に記載する)に従って製造されたインターポリマーは、概ね、最大約500,000ダルトンのMを有する。特定の実施形態では、Mは、有利には、少なくとも約10,000ダルトンであってもよく、又は約50,000~約250,000ダルトン、又は約75,000~約150,000ダルトンの範囲であってもよい。好ましい範囲は、約75,000~約225,000ダルトン、特に約100,000~約200,000ダルトンである。多くの場合、Mは、失活したサンプルが約2~約150、より一般的には約2.5~約125、更に一般的には約5~約100、最も一般的には約10~約75のガムムーニー粘度(ML/100℃)を示すような値である。
【0029】
インターポリマーは、様々な重合技術のいずれかによって製造することができる。溶液重合は概して、ランダム性、微細構造などの特性に関してより高度な制御を可能にするが、他の技術、例えば乳化重合を使用することもできる。溶液重合はおおよそ20世紀半ばから行われているため、その全般的な態様は当業者に知られている。有用な重合溶媒としては、様々なC~C12環式及び非環式アルカン並びにそれらのアルキル化誘導体、特定の液体芳香族化合物、並びにそれらの混合物が挙げられ、当業者であれば、他の有用な溶媒の選択肢及び組み合わせを認識している。
【0030】
アニオン(リビング)重合には、触媒ではなく開始剤が必要である。例示的な開始剤としては、有機リチウム化合物、特にアルキルリチウム化合物が挙げられる。有機リチウム開始剤の例としては、N-リチオ-ヘキサメチレンイミン;n-ブチルリチウム;トリブチルスズリチウム;例えばジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム、ジプロピルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウムなどのジアルキルアミノリチウム化合物;ジエチルアミノプロピルリチウムなどのジアルキルアミノアルキルリチウム化合物;及びC~C12、好ましくはC~Cアルキル基を伴うトリアルキルスタニルリチウム化合物が挙げられる。
【0031】
多官能性開始剤、即ち、2つ以上のリビング端部を有するポリマーを形成することができる開始剤も使用することができる。多官能性開始剤の例としては、1,4-ジリチオブタン、1,10-ジリチオデカン、1,20-ジリチオエイコサン、1,4-ジリチオベンゼン、1,4-ジリチオナフタレン、1,10-ジリチオアントラセン、1,2-ジリチオ-1,2-ジフェニルエタン、1,3,5-トリリチオ-ペンタン、1,5,15-トリリチオエイコサン、1,3,5-トリリチオシクロヘキサン、1,3,5,8-テトラリチオデカン、1,5,10,20-テトラリチオエイコサン、1,2,4,6-テトラリチオシクロヘキサン、及び4,4’-ジリチオビフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
有機リチウム開始剤に加えて、いわゆる官能化開始剤も有用な場合がある。これらは、ポリマー鎖に組み込まれ、したがって鎖の開始端部に官能基を提供する。このような材料の例としては、リチオ化アリールチオアセタール(例えば、米国特許第7,153,919号を参照)、有機リチウム化合物と、任意にジイソプロペニルベンゼンなどの化合物と予め反応した例えば置換アルジミン、ケチミン、第二級アミンなどのN含有有機化合物との反応生成物(例えば、米国特許第5,153,159号及び同第5,567,815号を参照)が挙げられる。例えばリチオ化HMIなどのN原子含有開始剤を使用すると、ポリマー鎖とカーボンブラック粒子との間の相互作用性を更に高めることができる。例えば、米国特許第8,227,562号、同第8,871,871号、同第9,365,660号、同第10,277,425号、同第10,815,328号なども参照されたい。
【0033】
溶液重合では、調整剤、通常は極性化合物を重合成分に含めることによって、ランダム化及びビニル含有量(即ち、1,2-微細構造)の両方を増加させることができる。開始剤1当量当たり最大90当量以上の調整剤を使用することができ、その量は、例えば、所望のビニル含有量、使用される非ポリエンモノマーのレベル、反応温度、及び使用される特定の調整剤の性質に依存する。調整剤として有用な化合物としては、非結合電子対を有するヘテロ原子(例えば、O又はN)を含む有機化合物が挙げられる。例としては、モノ-及びオリゴ-アルキレングリコールのジアルキルエーテル;クラウンエーテル;テトラメチルエチレンジアミンなどの第3級アミン;THF;THFオリゴマー;2,2-ビス(2’-テトラヒドロフリル)プロパン、ジピペリジルエタン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N’-ジメチルピペラジン、ジアザビシクロオクタン、ジエチルエーテル、トリブチルアミンなどの直鎖状及び環状オリゴマーオキソラニルアルカン(例えば、米国特許第4,429,091号を参照)が挙げられる。
【0034】
当業者は、アニオンで開始される重合において典型的に使用される条件を理解するが、便宜上、代表的な説明を提供する。以下はバッチプロセスに基づいているが、半バッチ、連続、又は他の手法に拡張することができる。
【0035】
モノマーと溶媒とのブレンドを好適な反応容器に入れ、続いて、調整剤(使用する場合)及び開始剤を添加することができ、これらは、多くの場合、溶液又はブレンドの一部として添加され、あるいは、モノマー及び調整剤を開始剤に添加することができる。反応物を加熱(典型的には約150℃以下)して撹拌することができる。
【0036】
開始化合物の導入後、無水無酸素条件下で、所望のポリマーが形成されるのに十分な時間、通常は約0.01時間~約100時間、より一般的には約0.08時間~約48時間、典型的には約0.15時間~約2時間、重合を進行させる。
【0037】
所望の転化度に達した後、熱源(使用する場合)を取り外すことができ、反応容器を重合のみに確保する場合には、反応混合物を官能化のために後重合容器に移すことができる。
【0038】
アニオン技術に従って調製されたインターポリマーは、活性末端(又は、多官能性開始剤が使用される場合には少なくとも2つの活性末端)を有する。少なくとも1つの活性末端を提供しない重合技術を使用する場合、官能化を行うことができるように、ポリマー鎖の少なくとも一部を反応性にする必要がある。
【0039】
活性末端の官能化により、末端部分、好ましくはインターポリマーに直接結合した末端部分が提供され得る。提供される末端部分は、カルバニオンに対して反応性である(又はそれに対して反応性の官能基を含む)必要があり、また、シリカと相互作用することができる(又はシリカと相互作用できる官能基を含む)必要がある。好ましくは、末端部分はまた、それが結合しているインターポリマーが水素化条件にさらされたときに、反応も分解もしない。
【0040】
例示的な材料として末端活性インターポリマーを使用すると、前述の末端部分を提供できる化合物との反応によって官能化を容易に達成することができる。そのような化合物の非限定的な一例は、エポキシ基及びシロキシ基の両方を含む化合物である。いくつかの実施形態では、シロキシ基は、アルキル部分が1~6個のC原子、好ましくは1~3個のC原子を含むトリアルコキシシランであり得る。トリメトキシシランが好ましい。例示的な官能化性化合物は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETMOS)である。
【0041】
所望であれば、官能化インターポリマーを含有するセメントを、適切な活性水素原子含有溶媒中で失活することができる。更に、ポリマーセメント自体に水素化を行わない場合は、加工(乾燥、シート化など)して保管することができる。
【0042】
官能化インターポリマーは、適切な有機液体中で、及び/又はそれに追加の有機液体を加えた状態で、H流の存在下で、水素化触媒、多くの場合Ni(例えば、オクタン酸ニッケル)単独又はAl含有化合物(例えば、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物)との組み合わせに基づくものと混合される。溶媒は、前述の有機液体の1つ以上を含むことができる。触媒がNiとAlとの両方を含む場合、Al/Niモル比は、1:1~5:1、好ましくは2:1~4:1、最も好ましくは3:1±20%(即ち、2.4:1~3.6:1)であり得る。
【0043】
加圧Hは、約0.1~約10MPa(1~100気圧)、一般的には約0.25~約7.5MPa(2.5~74気圧)、典型的には約0.5~約5MPa(5~50気圧)で導入することができる。
【0044】
水素化の程度は、インターポリマーが上記のものなどの水素化プロセスを受けた後に失われるポリエンマー二重結合のモル%を意味し、H NMRスペクトル法で測定した場合、約50%から100%近くまでの範囲であり得る。少なくとも80%、84%、88%、92%、又は96%の水素化の程度は、インターポリマーを含むゴム化合物から製造される加硫物の特定の機械的特性の観点から望ましい場合がある。
【0045】
水素化により、各ポリマーの主鎖及び側鎖の両方で二重結合の数が減少する。各タイプの不飽和の水素化の程度は、およそ等しくなる傾向がある。
【0046】
必要に応じて、インターポリマーセメント自体が第2のタイプのポリマーとの反応に使用されない場合、水素化官能化インターポリマーを含むセメントを加工(乾燥、シート化など)して保管することができる。
【0047】
第2のタイプのポリマーは末端官能基を有し、したがって、アニオンで開始される重合によって提供され、その全般的な条件は上記に記載されている。
【0048】
第2のタイプのポリマーには、ポリエン、特にジエン及びトリエン(例えば、ミルセン)の組み込みから得られた不飽和が含まれる。限定されるものではないがC~C12共役ジエン、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、及び1,3-ヘキサジエンが好ましい。組み込むことができる他のタイプのマーとしては、モノオレフィンモノマー、例えば上記のビニル芳香族化合物及びα-オレフィン(例えば、エチレン及びプロピレン)から得られたもの、並びに前述の混合物が挙げられる。モノオレフィンマーの量は、概ね20%未満、通常は15%未満、典型的には10%未満、最も典型的には5%未満に保たれる。このポリマーがポリエンのみ、特に共役ジエンマーのみを含む実施形態が好ましく、その中でもホモポリマーが特に好ましい。
【0049】
第2のポリマーは、典型的には、前述の(水素化)インターポリマーの分子量よりも実質的に低い分子量を有するように合成される。第2のポリマーのMは、通常、75,000ダルトン未満、一般には約5000~約50,000ダルトンである。いくつかの実施形態が示すMは、約10,000~約20,000ダルトン、特に約12,000~約15,000ダルトンであり、他の実施形態が示すMは、約30,000~約40,000ダルトンである。
【0050】
第2のポリマーの微細構造は、プロセスに大きな悪影響を与えることなく、幅広く変化することができる。
【0051】
第2のポリマーは、水素化、官能化、又は(意図的に)失活されていないため、末端活性が保持されている。
【0052】
前述の2つのタイプのポリマーが導入されると、後者は前者の末端官能基と反応する。この反応を、約0℃~約150℃、一般には約10℃~約100℃、典型的には約20℃~約80℃の温度で、10~600分間、典型的には30~300分間進行させることができる。触媒作用は要件とされないが、カルバニオン性ポリマー鎖の活性を維持するには、無酸素無水条件を維持することが好ましい。
【0053】
当業者に理解されるように、鎖の量及び2つのタイプのポリマーの比率を使用して、カップリング反応を制御することができる。インターポリマーがアニオン性(例えば、n-BuLi)開始剤を使用して調製され、その鎖の全て又はほぼ全てが官能化されていると想定すると、2つの重合で使用されるLiの比率は、カップリング反応に関与する2つのタイプのポリマーの量を調整することの代用として使用することができる。第2のポリマーと第1のポリマーとの比率は1:2~10:1の範囲であってもよく、1:1~5:1、更には約3:1の比率がより一般的である。
【0054】
このカップリング反応が完了すると、高分子が得られる。したがって、高分子は、水素化インターポリマー部分と、非水素化ポリマー部分と、2つのポリマー部分の間で2つの部分に共有結合した官能基とを含む。この官能基はシリカ充填剤に対して相互作用性を示す。
【0055】
高分子は、典型的には、約250,000~約600,000ダルトン、多くの場合約350,000~約550,000ダルトンのMを有する。
【0056】
高分子全体における共役ジエンマーの大部分は、好ましくは1,2-(即ち、ビニル)配置で組み込まれる。
【0057】
高分子は、限定されないが、天然又は合成ポリイソプレン、並びにポリエン、特定するとジエン、最も特定すると共役ジエンのホモポリマー及びインターポリマーを含む多種多様な他のポリマーを含む加硫可能な組成物中の成分として使用することができる。これは、1,2-ビニル含有量が3%以下でシス-1,4含有量が少なくとも96%であるBRと共に使用する場合に特に有用であることが判明した。(この段落では、全てのパーセンテージはモルであり、そのようなパーセンテージは分光技術によって測定される。)このタイプの1つ以上のポリマーと共に使用する場合、高分子は2:3~3:2、好ましくは3:4~4:3、より好ましくは4:5~5:4、最も好ましくは1:1~9:8の比率で使用することができる。
【0058】
得られたゴム組成物が所望の物理的特性を有する加硫物を提供する能力を妨げない任意の他のポリマーを、適切な量で使用することができる。非限定的な例としては、ブチルゴム、ネオプレン、EPR、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フルオロエラストマー、エチレン/アクリルゴム、EVA、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴムなどが挙げられる。
【0059】
上述したタイプのポリマーは、特に強化充填剤と配合することができる。エラストマー化合物は、典型的には、添加された充填剤の総体積をエラストマーストックの総体積で割った体積分率(多くの場合、約25%)まで充填され、強化充填剤の典型的な(合わせた)量は約30~約100phrの範囲であり、この範囲の上限は主に、そのような充填剤を使用したときに生じる粘度の上昇を加工装置がどれだけ効果的に処理できるかによって決まる。
【0060】
有用な充填剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックを含むがこれらに限定されない様々な形態のカーボンブラックが挙げられる。より具体的には、カーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネスブラック、高耐摩耗性ファーネスブラック、高速押出性ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、中級超耐摩耗性ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工性チャンネルブラック、難加工性チャンネルブラック、伝導性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられ、これらのうちの2種以上の混合物が使用されてもよい。少なくとも20m/g、好ましくは少なくとも約35m/gの表面積(EMSA)を有するカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックの表面積の測定方法については、ASTM D-1765を参照されたい。カーボンブラックはペレット化形態であっても非ペレット化綿状塊であってもよいが、特定のミキサでの使用には、非ペレット化カーボンブラックが好ましい場合がある。
【0061】
カーボンブラックの量は最大約50phrまで可能であり、典型的には5~40phrである。
【0062】
非晶質シリカ(SiO)も充填剤として利用することができる。シリカは、水中での化学反応によって生成し、そこから超微細球状粒子として沈殿するため、概して湿式法水和シリカとして分類される。これらの一次粒子は強く会合して凝集体になり、この凝集体は、より弱く合わさり塊になる。「高分散性シリカ」は、エラストマー性マトリックス中で脱凝集して分散する非常に大きい能力を有する任意のシリカであり、これは薄片顕微鏡法により観察することができる。
【0063】
表面積は、様々なシリカの強化特性の信頼性できる指標であり、ブルナウア・エメット・テラー(Brunauer, Emmet and Teller、「BET」)法(J.Am.Chem.Soc.,vol.60,p.309 et seq.に記載)は、表面積を測定するための認められた方法である。シリカのBET表面積は、概ね450m/g未満、通常は約32~約400m/g、又は約100~約250m/g、又は約150~約220m/gである。
【0064】
シリカ充填剤(使用する場合)のpHは、概ね約5~約7又はそれよりわずかに高く、好ましくは約5.5~約6.8である。
【0065】
シリカを使用する場合、エラストマー中での良好な混合及びエラストマーとの相互作用を確保するために、シランなどのカップリング剤を添加することが多い。概ね、シランの添加量は、エラストマー化合物中に存在するシリカ充填剤の重量に基づいて、約4~20重量%の範囲である。カップリング剤は、α-T-Gの一般式を有することができ、式中、Aはシリカ充填剤の表面上の基(例えば、表面シラノール基)と物理的及び/又は化学的に結合できる官能基を表す。Tは炭化水素基結合を表し、Gは、(例えば、硫黄含有結合を介して)エラストマーと結合できる官能基を表す。このようなカップリング剤としては、オルガノシラン、特に多硫化アルコキシシラン(例えば米国特許第3,873,489号、同第3,978,103号、同第3,997,581号、同第4,002,594号、同第5,580,919号、同第5,583,245号、同第5,663,396号、同第5,684,171号、同第5,684,172号、同第5,696,197号などを参照)、又は上述のG及びA官能基を有するポリオルガノシロキサンが挙げられる。加工助剤を添加すると、使用するシランの量を減らすことができ、例えば、加工助剤として使用される糖の脂肪酸エステルの説明については、米国特許第6,525,118号を参照されたい。加工助剤として有用な追加の充填剤としては、粘土(含水ケイ酸アルミニウム)、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)及びマイカなどの鉱物充填剤、並びに尿素及びNaSOなどの非鉱物充填剤が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なマイカは、主にアルミナ、シリカ及びカリを含むが、他の変種を使用することもできる。追加の充填剤は、最大約40phr、典型的には最大約20phrの量で使用することができる。
【0066】
シリカは一般に、最大約100phrの量で、典型的には約5~約80phrの量で使用される。カーボンブラックも存在する場合、シリカの量を最低1phrまで減らすことができ、シリカの量が減少すると、使用できる加工助剤とシラン(存在する場合)の量が減る。
【0067】
比較的高い界面自由エネルギー、即ち水中の表面自由エネルギー値(γp1)を有する1つ以上の非従来型充填剤を、カーボンブラック及び/又はシリカと共に、又はそれらの代わりに使用することができる。「比較的高い」という用語は、例えば、少なくとも約300、少なくとも約400、少なくとも約500、少なくとも約600、少なくとも約700、少なくとも約750、少なくとも約1000、少なくとも約1500、及び少なくとも約2000mJ/mなどの絶対値で、例えば、水-空気界面の値よりも大きい、好ましくはその値の数倍(例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも4倍)、非晶質シリカのγp1値の少なくとも数倍(例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍)など、様々な方法で定義又は特徴付けることができる。比較的高い界面自由エネルギーを有する天然由来材料の非限定的な例としては、F-アパタイト、針鉄鉱、赤鉄鉱、紅亜鉛鉱、黒銅鉱、ギブサイト、石英、カオリナイト、全ての形態の黄鉄鉱などが挙げられる。特定の合成複合酸化物もまた、このタイプの高い界面自由エネルギーを示すことができる。
【0068】
前述のタイプの材料は、典型的には通、カーボンブラック又は非晶質シリカよりも密度が高く、したがって、特定の質量のカーボンブラック又はシリカを等しい質量の非従来型充填剤で置き換えると、典型的には、所与の化合物中に存在する充填剤全体の体積がはるかに少なくなる。したがって、置き換えは、典型的には、等しい重量ではなく等しい体積で行われる。
【0069】
他の従来のゴム添加剤も添加することができる。例えば、これらには、プロセスオイル、可塑剤、酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤などの劣化防止剤、硬化剤などが含まれる。
【0070】
全ての成分は、バンバリーミキサー又はブラベンダーミキサーなどの標準的な機器で混合することができる。典型的には、混合は、2つ以上の段階で行われる。第1段階(マスターバッチ段階と呼ばれることが多い)中、典型的には、混合は約120~約130℃の温度で開始され、いわゆる降下温度(典型的には約165℃)に達するまで上昇する。
【0071】
配合物がカーボンブラック以外の充填剤を、又はカーボンブラックに加えて充填剤を含む場合、多くの場合、シラン成分を別個に添加するために別個の再粉砕段階が使用される。この段階は、多くの場合、マスターバッチ段階で使用される温度と同様の温度で、しかし多くの場合、それよりわずかに低い温度で行われ、即ち、約90℃から約150℃の投下温度まで昇温する。
【0072】
強化ゴム化合物は、従来、約0.2~約5phrの1種以上の既知の加硫剤、例えば、硫黄又は過酸化物ベースの硬化系などで硬化される。好適な加硫剤の全般的な開示については、興味のある読者は、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chem.Tech.,3d ed.,(Wiley Interscience,New York,1982),vol.20,pp.365-468に提供されているものなどの概要を参照されたい。加硫剤、促進剤などは最終の混合段階で添加される。望ましくない焦げ及び/又は加硫の早期開始の可能性を減らすために、この混合ステップは、多くの場合、より低い温度で行われ、例えば、約60℃~約65℃で開始し、約105℃~約110℃を超えない。
【0073】
続いて、配合された混合物は、シートに加工(例えば、粉砕)されて様々な構成要素のいずれかに成形され、その後加硫され、この加硫は、典型的には、混合段階中に使用される最高温度よりも約5℃~約15℃高い温度、最も一般的には約170℃で行われる。
【0074】
前述のことから明らかなように、特徴、範囲、数値限定及び実施形態に関する全般的な選好事項は、干渉しない又は不適合でない限り、実現可能な範囲で、他のそのような全般的に好ましい特徴、範囲、及び数値限定と組み合わせることができると想定される。そのような組み合わせのいくつかを想定するのを支援するために、以下の連番実施形態を提供する。
【0075】
プロセスの実施形態
P1.水素化インターポリマー部分と非水素化ポリマー部分と、を含む官能化高分子を提供するプロセスであって、
a)ビニル芳香族マーと、共役ジエンマーと、共役ジエンマーの水素化物と、カルバニオンに対して反応性であり、シリカと相互作用できる官能基を含む末端官能基と、を含む末端官能化インターポリマーを提供するステップと、
b)共役ジエンマーを含むカルバニオン性ポリマーに上記インターポリマーを導入するか、又はカルバニオン性ポリマーを上記インターポリマーに導入するステップと、
c)上記カルバニオン性ポリマーを上記末端官能基と反応させて、上記官能化高分子を提供するステップと、を含む、プロセス。
P2.上記インターポリマーが、ビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含む末端官能化ポリマーを水素化条件にさらして、上記共役ジエンマーの少なくとも50モル%を水素化することによって提供される、P1に記載のプロセス。
P3.上記末端官能化ポリマーが、ビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含むカルバニオン性インターポリマーを、ポリマー鎖をカップリングすることができる化合物と反応させることによって提供され、上記化合物が、シリカ相互作用性官能基を含み、水素化条件にさらされたときに非反応性であり、分解し難い、P2に記載のプロセス。
P4.上記化合物がエポキシ基とシロキシ基とを含む、P3に記載のプロセス。
P5.上記化合物が2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランである、P4に記載のプロセス。
P6.上記化合物のアルコキシ部分がメトキシ部分である、P5に記載のプロセス。
P7.上記インターポリマー中の上記共役ジエンマーの少なくとも80モル%が水素化されている、P1に記載のプロセス。
P8.上記インターポリマー中の上記共役ジエンマーの少なくとも90モル%が水素化されている、P7に記載のプロセス。
P9.上記インターポリマーが10~45モル%のスチレンマーを含む、P1~P8のいずれか一項に記載のプロセス。
P10.上記共役ジエンマーの大部分が1,2-ビニル配置で組み込まれる、P1~P9のいずれか一項に記載のプロセス。
P11.上記カルバニオン性ポリマーが共役ジエンマーからなる、P1~P10のいずれか一項に記載のプロセス。
P12.上記インターポリマー1当量当たり、0.5~10当量の上記カルバニオン性ポリマーが反応する、P1~P11のいずれか一項に記載のプロセス。
P13.上記カルバニオン性ポリマーが5~50kg/molの数平均分子量を有する、P1~P12のいずれか一項に記載のプロセス。
P14.上記カルバニオン性ポリマーが10~20kg/molの数平均分子量を有する、P13に記載のプロセス。
P15.上記カルバニオン性ポリマーが30~40kg/molの数平均分子量を有する、P13に記載のプロセス。
【0076】
高分子の実施形態
M1.水素化インターポリマー部分と、非水素化ポリマー部分と、上記部分の各々に共有結合した官能基とを含み、上記官能基がシリカとの相互作用性を示す、官能化高分子。
M2.上記官能基が、エポキシ基とシロキシ基とを含む化合物のラジカルである、M1に記載の官能化高分子。
M3.上記化合物が2-(3,4-エポキシ-シクロヘキシル)エチルイトリアルコキシシランである、M1に記載の官能化高分子。
M4.上記化合物のアルコキシ部分がメトキシ部分である、M1に記載の官能化高分子。
M5.上記インターポリマーがビニル芳香族マー及び共役ジエンマーを含む、M1~M4のいずれか一項に記載の官能化高分子。
M6.上記インターポリマーがビニル芳香族マー及び共役ジエンマーからなる、M5に記載の官能化高分子。
M7.上記インターポリマー中の上記共役ジエンマーの少なくとも80モル%が水素化されている、M5又はM6に記載の官能化高分子。
M8.上記インターポリマー中の上記共役ジエンマーの少なくとも90モル%が水素化されている、M7に記載の官能化高分子。
M9.上記インターポリマーが10~45モル%のスチレンを含む、M5~M8のいずれか一項に記載の官能化高分子。
M10.上記共役ジエンマーの大部分が1,2-ビニル配置で組み込まれている、M5~M9のいずれか一項に記載の官能化高分子。
M11.上記非水素化ポリマー部分が共役ジエンマーを含む、M1~M10のいずれか一項に記載の官能化高分子。
M12.上記非水素化ポリマー部分が共役ジエンマーからなる、M11に記載の官能化高分子。
M13.上記高分子が複数の非水素化ポリマー部分を含む、M1~M12のいずれか一項に記載の官能化高分子。
M14.上記非水素化ポリマー部分が、5~50kg/molの数平均分子量を有する共役ジエンホモポリマーから得られた、M1~M12のいずれか一項に記載の官能化高分子。
M15.上記共役ジエンホモポリマーが10~20kg/mol又は30~40kg/molの数平均分子量を有する、M14に記載の官能化高分子。
【0077】
ゴム化合物の実施形態
R1.M1~M15のいずれか一項に記載の官能化高分子と、少なくとも1種のバルクゴムと、を含む組成物。
R2.上記少なくとも1種のバルクゴムがポリブタジエンを含む、R1に記載の組成物。
R3.上記少なくとも1種のバルクゴムがポリブタジエンである、R2に記載の組成物。
R4.上記ポリブタジエンは、そのマーの少なくとも90%がシス配置である、R2又はR3に記載の組成物。
R5.シリカを含む粒子状充填剤を更に含む、R1~R4のいずれか一項に記載の組成物。
R6.熱活性化架橋剤、及びそのような組成物から得られた加硫物を更に含む、R1~R5のいずれか一項に記載の組成物。
【0078】
以下の非限定的且つ例示的な実施例は、本発明の実施において有用であり得る詳細な条件及び材料を提供する。これらの実施例では、コスト、入手可能性、取り扱い能力、そして最も重要なことに、内部比較及び以前に報告されたポリマーとの比較を行う能力を含む様々な要因により、例示的なポリエンとして1,3-ブタジエンを、例示的なビニル芳香族化合物としてスチレンを使用する。当業者であれば、これらの実施例を様々なホモポリマー及びインターポリマーに拡張することができる。
【実施例
【0079】
以下の実施例では、n-ブチルリチウム(n-BuLi)溶液は2.5M(実施例9では1.6M)、2,2-ビス(2'-テトラヒドロフリル)プロパン(BTHFP)溶液は1.6Mであり、両方ともヘキサン溶液である。
【0080】
実施例1:官能化SBR
撹拌器を備えた約19L(5ガロン)のNパージした反応器に、3.99kgのヘキサン、1.98kgのスチレン溶液(ヘキサン中30.3%(w/w))、及び5.41kgの1,3-ブタジエン溶液(ヘキサン中20.6%(w/w))を加えた。その後、反応器に5.72mLのn-BuLi溶液を入れ、続いて2.23mLのBTHFP溶液を入れた後、反応器ジャケットを50℃に加熱した。
【0081】
バッチ温度は約39分後に約80℃でピークに達した。
【0082】
更に約40分後、3.31mLのECETMOSを反応器に加えてカルバニオン性ポリマー鎖を官能化した。約30分後、1.31mLのイソプロパノールを加えて重合を停止させた。
【0083】
停止後約10分でポリマーセメントのサンプルを収集し、残りのセメントを保管容器に移した。収集した官能化SBR中間体の特性を以下の表2に要約する。
【0084】
実施例2:水素化
雰囲気下で約44L(11.7ガロン)の撹拌反応器に、実施例1からの官能化ポリマー(ヘキサン中)11.43kg、続いてヘキサン5.315kgを導入し、10.0%(w/w)溶液を得た。反応器を138kPa(20psi)のHで3回パージした後、反応器ジャケットを50℃に加熱した。
【0085】
パージした乾燥ボトルに400mLのヘキサン及び21.97mLの1.03Mトリエチルアルミニウムを加え、続いて3.99mLのオクタン酸ニッケル溶液(ヘキサン中10.1%(w/w))を加えて、水素化触媒系(Al/Ni=3.3:1)を得た。
【0086】
触媒系を反応器に入れ、次に反応器を直ちにHで517kPa(75psi)に加圧した。
【0087】
約90分後、Hを反応器から放出し、ポリマーセメントを保管容器に移した。ほぼ等しい量のこのポリマーセメントを、予め集めた750mLのNパージしたガラスボトルに移した。
【0088】
ブタジエンマーの水素化のパーセンテージを(NMRにより)測定したところ、92%であった。
【0089】
実施例3:低分子量BR
撹拌器を備えた7.6L(2ガロン)のNパージした反応器に、1.23kgのヘキサン及び3.255kgの1,3-ブタジエン溶液(ヘキサン中20.9%(w/w))を加えた。反応器に13.61mLのn-BuLi溶液、続いて0.53mLのBTHFP溶液を入れた。
【0090】
反応器ジャケットを57℃に加熱し、バッチ温度は38分後に約82℃でピークに達した。合計約60分の反応時間の後、反応混合物を室温まで冷却した。
【0091】
実施例4~8:カップリング
実施例2及び実施例3のポリマー生成物を、以下の表に示す様々な比率でカップリングした。(比率は、実施例2からの0.00125mM/gポリマーセメント及び実施例3からの0.0075mM/gポリマーセメントのLiの量に基づいて決定された。)
【0092】
【表1】
【0093】
ボトルを50℃の水浴に置き、約90分間撹拌した。次に、サンプルをイソプロパノールとブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)との混合物中で塊化した。塊化したポリマーサンプルを120℃でドラム乾燥させた。
【0094】
前述の実施例からのポリマーの特性を以下の表に示す。ポリマーサンプルの分子量値(全てkg/mol)を、THFを溶媒として使用して、一連のポリスチレン標準で校較正し、GPCにより測定した。ポリマーサンプルのスチレン及び1,2-結合(ビニル)含有量をNMRスペクトル法で測定し、ガラス転移温度(T)値をDSCで測定した。
【0095】
【表2】
【0096】
実施例9:低分子量BR
撹拌器を備えた3.8L(1ガロン)のNパージした反応器に、0.806kgのヘキサン及び1.071kgの1,3-ブタジエン溶液(ヘキサン中24.1%(w/w))を加えた。反応器に26.58mLのn-BuLi溶液、続いて5.32mLのBTHFP溶液を入れた。
【0097】
反応器ジャケットを57℃に加熱し、反応を30分間進行させた。
【0098】
実施例10:カップリング
実施例2からのポリマーセメント500mLに、実施例9の生成物12mLを加えた。これにより、実施例2からの0.00125mM/gポリマーセメント及び実施例9からの0.01875mM/gポリマーセメントの各々におけるLiの量に基づいて2:1の当量比(実施例2~実施例9)が得られた。
【0099】
ボトルを50℃の水浴に置き、約90分間撹拌した。次に、サンプルをイソプロパノールとBHTとの混合物中で塊化した。塊化したポリマーサンプルを120℃でドラム乾燥させた。
【0100】
カップリング反応の生成物の特性を以下の表に示し、各単位は上記のとおりであり、特性は上記のように測定された。
【0101】
【表3】
【0102】
実施例11~13:ゴム化合物及び加硫物
ワックス、酸化防止剤、促進剤、硬化剤などを含む未充填ゴム組成物配合物を使用して、含まれるポリマーの性質と量のみが異なる3種のゴム化合物を調製した(実施例11は比較例である)。
実施例11、50pbwの高シスBR及び50pbwの実施例2のポリマー
実施例12、45pbwの高シスBR及び55pbwの実施例10のポリマー
実施例13、45pbwの高シスBR、49.5pbwの実施例2のポリマー及び5.5pbwの実施例10のポリマー
【0103】
各配合は、マスターバッチ及び最終混合段階を含み、各化合物を標準的な硬化時間及び温度の組み合わせにさらした。
【0104】
得られた加硫物の破断応力及び靱性を室温(RT、約22℃)及び100℃の両方で評価し、結果を以下の表に要約した。
【0105】
【表4】
【0106】
上記のことから、実施例10のタイプのポリマーを添加剤として(例えば、5phrで)使用すると、引張特性が向上するが、官能化H-SBRの直接代替物としてそれを使用すると、本質的に同等の特性が得られることが分かる。
【0107】
実施例11及び実施例12の加硫物について、-120℃~-100℃の範囲にわたる温度に対してtan6をプロットした。約-80℃~-100℃の範囲で2種の加硫物のピークを比較すると、実施例12の加硫物のピークが両方とも減少し、約+3℃変動していることが示され、この両方は、高シスBRとH-SBRとの間の混和性が、後者がグラフト化BRセグメントを含む場合に改善されたことを示す。
【0108】
改善された混和性は透過型電子顕微鏡によって確認され、画像は、実施例12の加硫物が実施例11の加硫物よりも離散が少ないドメインを有すること、また、全体的にポリマー混合が良好であることを示した。

【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化インターポリマー部分と、非水素化ポリマー部分と、前記部分の各々に共有結合した官能基とを含み、前記官能基がシリカとの相互作用性を示す、官能化高分子。
【請求項2】
前記官能基が、エポキシ基及びシロキシ基の両方を含む化合物のラジカルである、請求項1に記載の官能化高分子。
【請求項3】
前記化合物が2-(3,4-エポキシ-シクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランである、請求項2に記載の官能化高分子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の官能化高分子と、ポリブタジエンを任意に含む少なくとも1種のバルクゴムと、任意にシリカとを含む、組成物。
【請求項5】
水素化インターポリマー部分と非水素化ポリマー部分とを含む官能化高分子を提供する方法であって、
a)
1)ビニル芳香族マーと、
2)共役ジエンマーと、
3)共役ジエンマーの水素化物と、
4)カルバニオンに対して反応性であり、シリカと相互作用できる官能基を含む、末端官能基と、を含む末端官能化インターポリマーを提供するステップと、b)共役ジエンマーを含むカルバニオン性ポリマーに、前記インターポリマーを導入するか、又は前記カルバニオン性ポリマーを前記インターポリマーに導入するステップであって、前記カルバニオン性ポリマーが任意に、5~50kg/molの数平均分子量を有する、ステップと、c)前記カルバニオン性ポリマーを前記末端官能基と反応させて、前記官能化高分子を提供するステップと、を含む、方法。

【国際調査報告】