(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(54)【発明の名称】核燃料と放射性廃棄物の高密度地下貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
G21F 5/10 20060101AFI20231212BHJP
G21F 9/34 20060101ALI20231212BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20231212BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20231212BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20231212BHJP
G21F 1/08 20060101ALI20231212BHJP
【FI】
G21F5/10 N
G21F9/34 C
G21F9/36 501F
G21C19/32 110
G21F3/00 L
G21F1/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540590
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021059494
(87)【国際公開番号】W WO2022115273
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520481747
【氏名又は名称】ホルテック インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】シン、クリシュナ ピー.
(57)【要約】
地下の受動換気式核廃棄物貯蔵システムは、熱を発生する放射性廃棄物を含む核廃棄物キャニスタを保持するキャビティをそれぞれが含むキャビティエンクロージャコンテナのアレイを含む。各コンテナは、コンテナから離間した別個の垂直冷却空気供給シェルにそれぞれ流体的に直接結合された少なくとも1対の空気入口を備える。周囲の空気と流体連通している供給シェルは、コンテナキャビティを加熱するキャニスタから放出される熱によって駆動される自然対流サーモサイフォン効果によりコンテナに流れる換気空気を引き込むように動作する。容器は、複数の平行な列となって間隔をあけて直列に配置される。各列内のコンテナは、他の列のコンテナから流体的に隔離される。換気システムが作動すると、各列内のコンテナは、その列の他のコンテナから流体的にさらに隔離される。コンテナは放射性廃棄物の統合中間貯蔵設備の一部とすることができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下受動換気式核廃棄物貯蔵システムであって、
水平長手方向軸と、
地下のコンクリートのベースパッドと、
前記ベースパッド上で前記長手方向軸上に位置する垂直に細長い第1のキャビティエンクロージャコンテナであって、前記キャビティエンクロージャコンテナは、垂直中心線軸を画定し、第1の空気入口、第2の空気入口、空気出口、及び内部キャビティを備え、
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナのキャビティは、熱を放出する放射性核廃棄物を収容する核廃棄物キャニスタを保持するように構成されている、第1のキャビティエンクロージャコンテナと、
周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能な、垂直に細長い第1の冷却空気供給シェルであって、前記第1の冷却空気供給シェルは第1の流路を介して前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第1の空気入口に流体的に直接流体的に結合されている、第1の冷却空気供給シェルと、
周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能な、垂直に細長い第2の冷却空気供給シェルであって、前記第2の冷却空気供給シェルは第2の流路を介して前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第2の空気入口に直接流体的に結合されている、第2の冷却空気供給シェルと、
を備えることを特徴とする地下受動換気式核廃棄物貯蔵システム。
【請求項2】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されていないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは、横方向の支えとしての役割を果たす複数の水平方向に延びる交差支持部材により、前記第1の冷却空気供給シェル及び前記第2の冷却空気供給シェルに構造的に結合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の冷却空気供給シェル及び前記第2の冷却空気供給シェルは、横方向の支えとしての役割を果たす複数の水平方向に延びる交差支持部材により、互いに構造的に結合されていることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナ及び前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルは、共通の支持プレートに固定して取り付けられ、自立し輸送可能なモジュールユニットを形成し、前記共通の支持プレートは、前記コンクリートのベースパッド上に固定するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の流路及び前記第2の流路はそれぞれ、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記キャビティの下部を前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルのそれぞれの下部と流体的に結合する、水平に延びる直線配管のセクションを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の流路及び前記第2の流路は、前記長手方向軸に対して鋭角に向けられていることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナ及び第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記第1の空気入口及び前記第2の空気入口は、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナ及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの内部キャビティ内に冷却空気を接線方向に導入するよう構成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルは離間され、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第1の側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の側とは反対の前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第2の側に離間されて配置された第3及び第4の冷却空気供給シェルをさらに備え、前記第3及び第4の冷却空気供給シェルは、それぞれ第3及び第4の流路により前記第1のキャビティエンクロージャコンテナに直接流体的に結合されていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第3及び前記第4の冷却空気供給シェルは、それぞれ第5及び第6の流路により第2のキャビティエンクロージャコンテナに直接流体的に結合されていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第2のキャビティエンクロージャコンテナは、前記長手方向軸上に配置され、前記第1、前記第2、前記第3、及び前記第4の冷却空気供給シェルは、前記長手方向軸上に配置されていないことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1及び前記第3の冷却空気供給シェルは、前記長手方向軸の第1の側に配置され、前記第2及び前記第4の冷却空気供給シェルは、前記長手方向軸の第1の側とは反対の、前記長手方向軸の第2の側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルはそれぞれ、前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルの高さの大部分にわたって垂直に延びる格子状に配置された複数の直角に交差する放射線減衰板を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
上面を画定するコンクリート上部パッドを備え、前記上部パッドは前記ベースパッドと平行に離間され、前記上部パッドと前記ベースパッドととの間に人工盛土が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは、前記上部パッドに埋め込まれた上部と、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記内部キャビティを覆う取り外し可能な上蓋とを備えていることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記空気出口は、前記上蓋と前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記内部キャビティとの間に広がる空気流出口経路により形成されていることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記上蓋は、前記上部パッドに形成された上向きに開いた凹部に部分的に配置されていることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは、前記ベースパッドから前記上部パッドへと上方に延びる高さを持つ本体を備え、前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルはそれぞれ、前記ベースパッドから前記上部パッドの上面まで上方に延びる高さを持つことを特徴とする請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルはそれぞれ、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの本体と少なくとも同一の高さとなっていることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルはそれぞれ、前記上部パッドの上面に配置された穴のあいた吸気ハウジングを含むことを特徴とする請求項19又は請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェル及び前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは円筒形であり、前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルはそれぞれ、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの外径より小さい外径を有することを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
周囲冷却空気が前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェルに垂直下方に引き込まれ、それぞれ前記第1及び前記第2の流路を水平に前記第1のキャビティエンクロージャコンテナへと流れ、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記キャビティ内を垂直に上昇し、前記第1及び第2のキャビティエンクロージャコンテナ内の前記空気出口から側方に流れて周囲大気に戻るよう構成された冷却空気流経路が画定されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
冷却空気流が、送風機又はファンの助けを借りないで自然対流サーモサイフォン効果により引き起こされることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1及び前記第2の冷却空気供給シェル及び前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは、ステンレス鋼により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
地下受動換気式核廃棄物貯蔵システムであって、
水平長手方向軸と、
地下のコンクリートのベースパッドと、
前記ベースパッド上で前記長手方向軸に位置する垂直に細長い第1のキャビティエンクロージャコンテナと、
前記ベースパッド上で前記長手方向軸に位置する垂直に細長い第2のキャビティエンクロージャコンテナであって、前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは前記第1のキャビティエンクロージャコンテナから離間されている、第2のキャビティエンクロージャコンテナと、
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの各々の内部キャビティ内に配置された核廃棄物キャニスタであって、前記キャニスタは熱を放出する、核廃棄物キャニスタと、
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナと前記第2のキャビティエンクロージャコンテナとの間の長手方向軸に配置された垂直に細長い冷却空気供給シェルであって、前記冷却空気供給シェルは、周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能である、冷却空気供給シェルと、
を備え、
前記冷却空気供給シェルは、第1の流路を介して前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記第1の空気入口に直接流体的に結合され、
前記冷却空気供給シェルは、第2の流路を介して前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記第1の空気入口に直接流体的に結合され、
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナはそれぞれ、垂直中心線軸を画定し、第1の空気入口、第2の空気入口、空気出口、及び内部キャビティを備え、
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されず、前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されないことを特徴とする地下受動換気式核廃棄物貯蔵システム。
【請求項27】
前記冷却空気供給シェルは、前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナ以外のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されないことを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の流路は、前記第1の供給シェルと前記第1のキャビティエンクロージャコンテナとの間に直線の見通し線が存在しないよう構成され、前記第2の流路は、前記第2の供給シェルと前記第2のキャビティエンクロージャコンテナとの間に直線の見通し線が存在しないよう構成されていることを特徴とする請求項26又は請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記第1及び前記第2の空気入口は、前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記内部キャビティ内に接線方向に前記冷却空気を導入するよう構成されていることを特徴とする請求項26乃至請求項28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1及び前記第2の流路はそれぞれ、前記長手方向軸に対して横方向に向けられた第1のセクションと、前記長手方向軸に対して平行に向けられた第2のセクションとを備えることを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
溶接留め継手が、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間に形成されていることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの前記第2の空気入口は、第3の流路を介して前記長手方向軸に沿って配置された第2の冷却空気供給シェルに直接流体的に結合され、前記第2の冷却空気供給シェルは、周囲大気と流体連通し周囲空気を引き込むように動作可能であることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記第2の空気入口は、第4の流路を介して前記長手方向軸に沿って配置された第3の冷却空気供給シェルに直接流体的に結合され、前記第3の冷却空気供給シェルは、周囲大気と流体連通し周囲空気を引き込むように動作可能であることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
上面を画定するコンクリート上部パッドをさらに備え、前記上部パッドは、前記ベースパッドと離間させて平行に配置され、人工盛土が前記上部パッドと前記ベースパッドとの間に配置されていることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは、前記上部パッドに埋め込まれ、前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナを覆う取り外し可能上蓋を備えていることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記空気出口は、前記上蓋と前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナとの間に広がる空気流出口経路により形成されていることを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記上蓋の各々は、前記上部パッドに形成された上向きに開いた凹部に部分的に配置されていることを特徴とする請求項35又は請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの各々は、前記ベースパッドから前記上部パッドに上方に延びる高さを有する円筒形の本体シェルを備え、前記第1の冷却空気供給シェルは、前記ベースパッドから前記上部パッドの前記上面まで上方に延びる高さを有することを特徴とする請求項34乃至請求項37のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記冷却空気供給シェルの高さは、前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの前記本体シェルの高さより大きいことを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記冷却空気供給シェルは、前記上部パッドの前記上面の上に配置された穴のあいた吸気ハウジングを含むことを特徴とする請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記冷却空気供給シェル及び前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは、円筒形であり、前記冷却空気供給シェルは、前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの外径より小さい外径を有することを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項42】
冷却空気流経路が画定され、前記冷却空気流経路に周囲冷却空気が前記第1の冷却空気供給シェル内に引き込まれ、前記第1の流路及び前記第2の流路を通ってそれぞれ前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナをながれ、前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの各々の前記空気出口から大気に放出されることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項43】
前記空気流経路の空気の流れ方向は、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナと前記第2のキャビティエンクロージャコンテナとの間で、前記第1の冷却空気供給シェルを介して冷却空気が相互に流れることを防止するよう構成されていることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
冷却空気流が、送風機やファンの助けを借りないで自然対流サーモサイフォン効果により引き起こされることを特徴とする請求項42又は請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記冷却空気供給シェル及び前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは、ステンレス鋼により形成されていることを特徴とする請求項26乃至請求項44のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
核廃棄物の統合中間貯蔵設備であって、
複数の細長いキャビティエンクロージャコンテナであって、それぞれが地下のベースパッド上に建てられ、そこからコンクリートの上部パッドまで垂直上方に延びるキャビティエンクロージャコンテナと、
前記ベースパッドと前記上部パッドとの間に配置された人工盛土と、
複数の垂直に細長い冷却空気供給シェルであって、それぞれが長手方向軸上に列となって配置され、1つの冷却空気供給シェルが、前記冷却空気供給シェルの両側のペアとなった前記キャビティエンクロージャコンテナの間に介在し、直接流体的に結合され、前記冷却空気供給シェルのそれぞれが周囲大気と流体連通している、冷却空気供給シェルと、
を備え、
前記1つの冷却空気供給シェルは、周囲の空気を引き込み、前記空気をキャビティエンクロージャコンテナの各ペアに直接分配するように動作可能であり、
前記キャビティエンクロージャコンテナは、長手方向に平行に延びる複数のキャビティエンクロージャコンテナの直線状の列からなるアレイ状に配置され、各列が長手方向軸を画定し、前記キャビティエンクロージャコンテナのそれぞれは長手方向軸上に配置され、
各列の前記キャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれの列のキャビティエンクロージャコンテナからも流体的に隔離されていることを特徴とする設備。
【請求項47】
冷却空気供給シェルの各々は、他のいずれの列のキャビティエンクロージャコンテナにも流体的に結合されていないことを特徴とする請求項46に記載の設備。
【請求項48】
冷却空気供給シェルの各々は、そのそれぞれの列の前記冷却空気供給シェルの両側のキャビティエンクロージャコンテナのそれぞれのペアにのみ流体的に結合されていることを特徴とする請求項47に記載の設備。
【請求項49】
前記冷却空気供給シェル及び前記キャビティエンクロージャコンテナは、円筒形であり、前記冷却空気供給シェルは、前記キャビティエンクロージャコンテナの外径より小さい外径を有することを特徴とする請求項46乃至請求項48のいずれか1項に記載の設備。
【請求項50】
冷却空気供給シェルの各々は、そのキャビティエンクロージャコンテナのそれぞれのペアに、そのそれぞれのキャビティエンクロージャコンテナの前記冷却空気供給シェルの下部と前記キャビティとの下部との間を結合する別々の第1及び第2の流路により、流体的に結合されていることを特徴とする請求項49に記載の設備。
【請求項51】
前記流路は、各冷却空気供給シェルとそのそれぞれのキャビティエンクロージャコンテナのペアとの間に直線の見通し線が存在しないよう構成されていることを特徴とする請求項50に記載の設備。
【請求項52】
各キャビティエンクロージャコンテナは、第1の空気入口及び第2の空気入口を含み、前記第1及び前記第2の空気入口は、前記キャビティエンクロージャコンテナの内部キャビティ内に接線方向に冷却空気を導入するよう構成されていることを特徴とする請求項50又は請求項51に記載の設備。
【請求項53】
各キャビティエンクロージャコンテナの前記第1の空気入口は、前記キャビティエンクロージャコンテナの第1の側で、第1の前記冷却空気供給シェルに前記第1の流路を介して直接流体的に結合され、各キャビティエンクロージャコンテナの前記第2の空気入口は、前記キャビティエンクロージャコンテナの第2の側で、第2の前記冷却空気供給シェルに前記第2の流路を介して直接流体的に結合されていることを特徴とする請求項52に記載の設備。
【請求項54】
前記冷却空気供給シェル及び前記第1及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは円筒形にステンレス鋼で形成されていることを特徴とする請求項26乃至請求項53のいずれか1項に記載の設備。
【請求項55】
統合中間貯蔵設備の地下受動換気式核廃棄物貯蔵装置であって、
前記装置は、
地下のベースパッドにより支持され、そこからコンクリートの上部パッドまで垂直上方に延びる垂直に細長いキャビティエンクロージャコンテナと、
前記ベースパッドと前記上部パッドとの間に配置された人工盛土と
前記キャビティエンクロージャコンテナの内部キャビティに配置された核廃棄物キャニスタであって、前記キャニスタは、崩壊熱を放出し、前記キャビティエンクロージャコンテナと前記キャニスタとの間に形成された環状空間内の空気を加熱する、核廃棄物キャニスタと、
前記キャビティエンクロージャコンテナの側方に配置された垂直に細長い中空の冷却空気供給シェルであって、前記冷却空気供給シェルは、周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能である冷却空気供給シェルと、
を備え、
前記冷却空気供給シェルは、第1の流路を介して前記キャビティエンクロージャコンテナの第1の空気入口によってキャビティの下部に直接流体的に結合され、
前記冷却空気取り入れシェルはさらに、第2の流路を介して前記キャビティエンクロージャコンテナの第2空気入口によってキャビティの下部に直接流体的に結合され、
前記第1の流路及び前記第2の流路は、前記冷却空気供給シェルの下部に流体的に結合され、
冷却空気流路が画定され、それにより、周囲の冷却空気が前記冷却空気供給シェル内に引き込まれ、前記第1の流路及び前記第2の流路を通って前記キャビティエンクロージャコンテナのキャビティの下部に流れ、前記環状空間を上向きに流れ、前記キャニスタによって加熱され、前記キャビティエンクロージャコンテナの上部にある空気出口から出て大気に放出されることを特徴とする装置。
【請求項56】
前記キャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれキャビティエンクロージャコンテナにも冷却空気供給シェルにも直接流体的に結合されていないことを特徴とする請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記冷却空気供給シェル及び前記キャビティエンクロージャコンテナは、円筒形にステンレス鋼で形成され、前記冷却空気供給シェルは、前記キャビティエンクロージャコンテナの外径より小さい外径を有することを特徴とする請求項55又は請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記第1の流路は、前記冷却空気供給シェルと前記キャビティエンクロージャコンテナとの間に直線の見通し線が存在しないよう構成されていることを特徴とする請求項55乃至請求項57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
前記第1及び前記第2の空気入口は、前記キャビティエンクロージャコンテナの前記キャビティ内に接線方向に冷却空気を導入するよう構成されていることを特徴とする請求項55乃至請求項58のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項60】
前記第1及び前記第2の流路の各々は、前記冷却空気供給シェルと前記キャビティエンクロージャコンテナとの間に延びる長手方向軸に対して横方向に向けられた第1のセクションと、前記長手方向軸に平行に向けられた第2のセクションとを備えることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
溶接留め継手が前記第1のセクションと、前記第2のセクションとの間に形成されていることを特徴とする請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記キャビティエンクロージャコンテナは、前記ベースパッドから前記上部パッドに上方に延びる高さを有し、前記冷却空気供給シェルは、前記ベースパッドから前記上部パッドの上面に上方に延びる高さを有することを特徴とする請求項57に記載のシステム。
【請求項63】
前記冷却空気供給シェルの前記高さは、前記キャビティエンクロージャコンテナの高さより大きいことを特徴とする請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記冷却空気供給シェルは、前記上部パッドの前記上面の上に突き出ている、穴のあいた冷却空気取り入れシェルを含むことを特徴とする請求項55に記載のシステム。
【請求項65】
前記キャビティエンクロージャコンテナのキャビティを覆う取り外し可能な上蓋と、前記キャビティエンクロージャコンテナの前記上蓋と前記キャビティとの間に延びる空気流出口通路とをさらに具備することを特徴とする請求項55乃至請求項64のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2020年11月25日に出願された米国仮特許出願第63/118,350号及び2020年12月10日に出願された米国仮特許出願第63/123,706号に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、使用済み核燃料及び放射性廃棄物の貯蔵システムに関し、さらに詳細には、廃棄物の統合中間貯蔵に適したようなシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
使い古しの又は使用済み核燃料及び放射性廃棄物は現在、連邦政府が中央の永久保管場所を提供するまで、稼働中の原子力発電所及びいくつかの廃止された原子力発電所の「敷地内」に暫定的に保管されている。例えば、使用済み核燃料(SNF)は炉心から取り出された後、原子炉燃料プールに保管され、そこで崩壊熱を発生し続ける。燃料は、プール内で一定期間冷却した後、核廃棄物キャニスタに移送することができ、このキャニスタは、封じ込めと放射線遮蔽をおこなうために、一般にコンクリート、鋼鉄、鉄などで作られた乾式貯蔵モジュールやキャスクのような、厚壁の外側の容器内に置かれる。キャスクは発電プラントの敷地内に保管される。
【0004】
統合中間貯蔵(CIS)を使用するという概念は、多数の個々の発電所サイトから収集された使用済み核燃料及びその他の高レベル放射性核廃棄物のための地理的に分散されたオフサイト貯蔵設備を提供することを目的としており、これにより広範囲に分散した廃棄物の備蓄を強化することができる。廃棄物は、ニュージャージー州カムデンのHoltec International Inc.から入手可能な多目的キャニスタ(MPC)のような密封された核廃棄物キャニスタに保管される。キャニスタは一般に、細長い円筒形のステンレス鋼シェル、ベースプレート、及びシェルに気密シール溶接された蓋を備え、キャニスタ内に配置された貯蔵燃料集合体を閉じ込める境界を形成する。キャニスタの内部に配置された燃料バスケットは、それぞれが核燃料集合体を保持する複数の開いた角柱状セルを画定する直線状のハニカム構造を有する。燃料集合体は、原子炉から取り出した後もかなりの崩壊熱を放出し続けるウラン燃料ペレットを含む複数の核燃料棒又は「被覆材」で構成されている。
【0005】
核廃棄物キャニスタは、最初は一定期間発電所からCIS設備に輸送され、最終的には政府から利用可能になった場合には恒久的な核廃棄物保管庫に移送することが最終目標となる。このようないわゆる独立使用済燃料貯蔵設備(ISFSI)は、原子炉関連のクラスC廃棄物を超える固体及びその他の関連放射性物質を含む使用済み核燃料の中間貯蔵のために設計された設備である。各ISFSI設備は通常、使用済み核燃料及び/又は放射性廃棄物を含む多数の廃棄物キャニスタの在庫を維持する。
【0006】
一部のISFSIは、核廃棄物を地面/基準面の下に保管し、周囲の自然冷却空気によって換気される複数の保管モジュールで構成されている。しかしながら、そのような既存の地下核廃棄物貯蔵システムは、あらゆる状況において、現在のISFSIのニーズをすべて満たすわけではない。例えば、モジュールは、各モジュール内の放射性廃棄物の最適な冷却に必要な換気用空気を特定のモジュールから取ることがある方法で、利用可能な周囲冷却空気の供給源に、及び/又は相互に、流体的に結合する場合がある。
【0007】
このような地下換気式核廃棄物貯蔵システムの改良が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本願は、一態様において、燃料を地面/基準面の下に貯蔵するために設計された自然換気され受動的冷却される放射性核廃棄物貯蔵システムを提供する。
このシステムは、保管場所の最終的に整地された表土及び/又は人工盛土の下に位置する地下コンクリートベースパッド上に直立位置に配置できるCEC(キャビティエンクロージャコンテナ)のような複数のモジュールで構成される。したがって、地下CECの全高さの大部分が、潜在的に意図的な又は非意図的な発射体の衝撃から保護するために、地表よりも低い位置になるよう配置されることが好ましい。一実施形態では、アレイ内のCECは、間隔をあけて一列の直線パターンで配置され、それによって共通の長手方向軸に沿って水平に延びる核廃棄物貯蔵列を形成することができる。CECの複数の平行な直線列を、ISFSI設備を形成することができるCIS設備内に提供することができる。
【0009】
一実施形態では、各CECは、単一の円筒形の使用済み核燃料(SNF)キャニスタを保持するために構成された内部キャビティの断面積を直径で定義する。キャニスタは、燃料集合体又は他の廃棄物の構造的完全性を保全するために放散する必要のあるかなりの量の熱を放出し続ける、本明細書で前述したSNF集合体及び/又は他の高レベル放射性廃棄物を保持する。特定の考慮すべき他の実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる共同所有の米国特許第9,852,822号に開示されているように、単一のCEC内で複数のキャニスタを上下に垂直に積み重ねることができる。この場合、CECは、単一のキャニスタをCEC内の上部と下部の両方の位置で単一の高さに保持できるように、断面積を直径で設定する。
【0010】
CEC及び内部のキャニスタは、非限定的な好ましい実施形態において、ファン又は送風機の助けを借りない受動的な周囲空気換気システムを使用してCECを通して冷却空気を循環させて、冷却される。キャニスタから放出される熱により、環状部内の空気がキャニスタによって加熱されると、流体的に対流性の自然熱サイフォン効果が生じ、CECとキャニスタとの間の環状部のCECキャビティを通して周囲の空気が引き込まれる。他の可能な実施形態では、必要に応じてファン/送風機を設けることができるが、CISサイトへの電力が遮断された場合、CEC及びそこに収容されている放射性核燃料及び/又は他の廃棄物を適切に冷却する能力が妨げられる可能性があるため、あまり好ましくない。
【0011】
非限定的な好ましい実施形態では、各CECは少なくとも2つの空気入口を含む。一実施形態では、2つの空気入口が設けられる。空気入口は、横方向及び水平方向に延びる流路を介して、少なくとも1つの直接冷却空気源に直接流体的に接続されている(つまり、冷却空気源とCECへの空気入口の間の流路によって画定される空気流経路にはCECが介在しない)。さらに、各CECは、流路を介して他のCEC(すなわち、シェル間)に直接的に流体的結合はなされていない。このことで、有利なことに、その結果、他のCECよりも多くの熱を放出する放射性廃棄物を含むCECがシステム内で利用可能な換気空気を不均衡に大量に取り込み、他のCECよりも多くの量の利用可能な換気空気を引き込んで、他のCECが部分的に十分な冷却空気が不足する可能性を生じさせるような、気圧の不均衡をもたらす可能性のある、隣接するCEC間の流体空気流の相互作用が最小限に抑えられる。
【0012】
いくつかの実施形態における冷却空気源は、1つ以上の垂直に細長い管状/中空の周囲冷却空気供給シェルであってもよい。空気供給器シェルは、CECよりも小さい外径を有することができ、これにより、CECを可能な限り密に配置して、CECの各列内のCIS設備で利用可能な核廃棄物貯蔵スペースを無駄にしないようにすることができる。空気供給シェルはそれぞれ上部で周囲大気と流体連通しており、CEC内の核廃棄物キャニスタから放出される熱によって生じる自然対流サーモサイフォン効果により冷却空気を下方からシェル内に引き込むように動作することが可能である。空気は流路を通ってCECに流入し、キャニスタ内の放射性廃棄物によって加熱され、その後、空気出口を画定するために地上に配置することができるCECの上部を通って大気中に排出される。
【0013】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、CECのペアとなった空気入口はそれぞれ、流路を介して単一の離散的な個々の冷却空気供給シェルに直接流体的に結合することができる。本明細書に開示される他の実施形態では、CECは、流路を介してペアとなった空気供給シェルに流体的に直接接続される。本明細書に開示されるさらに別の実施形態では、核廃棄物キャニスタ壁を熱伝導により極めて高レベルの熱を依然として放出する核廃棄物について、各CECが2つのペア(すなわち4つ)の冷却空気供給シェルに流体的に結合される高空気流量システムが提供される。これらの実施形態のすべてにおいて、CECの各空気入口は、状況によっては、必要な量/流量の冷却空気を受け取ることができなくなる可能性のある、過去のいくつかのアプローチのような共有分岐又はヘッダ型の流路構成ではなく、個々の専用の単一の流路を介して空気供給シェルに流体的に直接結合される。
【0014】
CEC及び冷却空気フィーダシェルの前述の3つの可能な冷却空気供給配置のいずれにおいても、各CECに少なくとも2つの別個の空気入口を設け、1つ以上の供給シェルに流体的に直接結合することにより、CECのキャニスタ内に保管されているSNF集合体及び/又はその他の高レベル核廃棄物の構造的完全性を保全するために、各CECを必要な程度にまで適切に冷却する、自然換気の能力が都合よく改善される。1つ又は2つの冷却空気供給シェルから各CECに流れる周囲冷却空気は、一部の従来のシステムで採用されているような、上流に介在するCECを最初に通過しないため、内部空間又はキャビティを自然換気し、SNFキャニスタを冷却するためにCECに直接供給される周囲冷却空気の流量は、低下しない。これにより、直列に流体的に相互接続された多数のCECの端に位置する垂直方向のCEC又は貯蔵シェルが適切な量の冷却空気を受け取れない可能性がある、従来の換気システムのような状況が防止される。これは、CECの上流側が、換気システムに流れる利用可能な冷却空気量に不均衡を生じさせる可能性があるという事実によるものである。代わりに、本開示に従って各CECを少なくとも1つの冷却空気供給シェルに直接結合することによって、サーモサイフォンによる流体の流れ効果を介して各CEC内のキャニスタを適切に冷却するために必要な冷却空気の量が、各CEC内の放射性廃棄物によって発生する崩壊熱のレベルに関係なく確保される。したがって、崩壊熱のレベルが異なることによるCEC間の気圧の不均衡が生じることも回避される。
【0015】
平行な複数の直線列をなすCECが設けられる、本開示による受動的な周囲空気換気システムを備えたCIS設備のような核廃棄物貯蔵システムでは、1つの列にあるCECが他の隣接する列のCEC又は冷却空気供給シェルに直接的又は間接的に(つまり、介在するCEC又は流路を介して)流体的に結合されることはない。本明細書で前述したように、圧力と流量の不均衡の可能性が生じ、それによって、一部のCECと他のCECとの不均衡な冷却が引き起こされるような、隣接する列にあるCEC間での流体相互作用の生じることが防止される。さらに、流体的に相互接続されていない平行な複数の列をなすCECの使用では、既存の埋設されたCECへの新しい流体結合を作成するために、既存の列をなすCECを部分的に掘り出す必要がないため、既存のCIS設備の拡張を都合よく簡素化することができることに留意すべきである。
【0016】
本開示によるCECの集合アレイは、所望の適切な数のCECを含み得るCISシステムに適した独立使用済燃料貯蔵設備(ISFSI)設備の一部を形成することができる。CECは、現在認定されているすべての多目的キャニスタ(MPC)と完全に互換性があるように設計された地下垂直換気モジュール(VVM)乾式使用済み燃料貯蔵システムである、HI-STORM UMAX(Holtec International Storage Module Underground Maximum Safety)などのCISシステムの一部とすることができる。各HI-STORM UMAX垂直換気モジュールは、ISFSIのグレードの上面より下にすべて位置する円筒キャビティ内に垂直構成のMPCを保管する。VVMは、地上のオーバーパックに似ており、それぞれが本開示による取り外し可能な上部閉鎖蓋を含むCECで構成される。
【0017】
現在のCECで使用可能な核廃棄物キャニスタは、使い古しの又は使用済み核燃料(SNF)及び/又は非燃料放射性廃棄物の両方を含む可能性があり、ニュージャージー州カムデンのHoltec Internationalから入手可能なステンレス鋼多目的キャニスタ(MPC)とすることができる。他のキャニスタを使用することも可能である。
【0018】
現在の地下核廃棄物貯蔵システムは、大惨事が発生した際に、敷地境界の放射線量レベルを無視できる程度に低く抑え、安全性を提供することを目的としている。地下システムとして、このシステムは周囲の土壌/人工盛土又は路床を利用して、放射線遮蔽、物理的保護、及び安定した保管設置のための低重心を提供する。
【0019】
一態様によれば、地下受動換気式核廃棄物貯蔵システムは、水平長手方向軸と、地下のコンクリートのベースパッドと、前記ベースパッド及び前記長手方向軸上に位置する垂直に細長い第1のキャビティエンクロージャコンテナであって、前記キャビティエンクロージャコンテナは、垂直中心線軸を画定し、第1の空気入口、第2の空気入口、空気出口、及び内部キャビティを備え、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナのキャビティは、熱を放出する放射性核廃棄物を収容する核廃棄物キャニスタを保持するように構成されている、第1のキャビティエンクロージャコンテナと、周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能な、垂直に細長い第1の冷却空気供給シェルであって、前記第1の冷却空気供給シェルは第1の流路を介して前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第1の空気入口に流体的に直接流体的に結合される、第1の冷却空気供給シェルと、周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能な、垂直に細長い第2の冷却空気供給シェルであって、前記第2の冷却空気供給シェルは第2の流路を介して前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第2の空気入口に直接流体的に結合される、第2の冷却空気供給シェルと、を備える。一つの形態では、第1のキャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されない。
【0020】
別の態様によれば、地下受動換気式核廃棄物貯蔵システムは、水平長手方向軸と、地下のコンクリートのベースパッドと、前記ベースパッド及び前記長手方向軸上に位置する垂直に細長い第1のキャビティエンクロージャコンテナと、前記ベースパッド及び前記長手方向軸上に位置する垂直に細長い第2のキャビティエンクロージャコンテナであって、前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは前記第1のキャビティエンクロージャコンテナから間隔を隔てて配置され、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナ及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは、それぞれ垂直中心線軸を画定し、第1の空気入口、第2の空気入口、空気出口、及び内部キャビティを備える、第2のキャビティエンクロージャコンテナと、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナ及び前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの各々の内部キャビティに配置された核廃棄物キャニスタであって、前記キャニスタは熱を放出する、核廃棄物キャニスタと、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナと前記第2キャビティエンクロージャコンテナとの間の長手方向軸上に配置された垂直に細長い冷却空気供給シェルであって、前記冷却空気供給シェルは、周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能であり、前記冷却空気供給シェルは、第1の流路を介して前記第1のキャビティエンクロージャコンテナの第1の空気入口に直接流体的に結合され、前記冷却空気供給シェルは、第2の流路を介して前記第2のキャビティエンクロージャコンテナの第1の空気入口に直接流体的に結合される、冷却空気供給シェルと、を備え、前記第1のキャビティエンクロージャコンテナは他のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されず、前記第2のキャビティエンクロージャコンテナは他のいずれのキャビティエンクロージャコンテナとも直接流体的に結合されない。
【0021】
別の態様によれば、核廃棄物の統合中間貯蔵設備は、複数の細長いキャビティエンクロージャコンテナであって、それぞれが地下のベースパッド上に建てられ、そこからコンクリートの上部パッドまで垂直上方に延びるキャビティエンクロージャコンテナと、前記ベースパッドと前記上部パッドとの間に配置された人工盛土と、を備え、前記キャビティエンクロージャコンテナは、長手方向に平行に延びる複数のキャビティエンクロージャコンテナの直線状の列からなるアレイ状に配置され、各列が長手方向軸を画定し、キャビティエンクロージャコンテナのそれぞれは長手方向軸上に配置され、前記核廃棄物の統合中間貯蔵設備はさらに、複数の垂直に細長い冷却空気供給シェルであって、それぞれが長手方向軸上に列となって配置され、1つの冷却空気供給シェルが、前記冷却空気供給シェルの両側のペアとなったキャビティエンクロージャコンテナの間に介在し、直接流体的に結合され、前記冷却空気供給シェルのそれぞれが周囲大気と流体連通し、前記1つの冷却空気供給シェルは、周囲の空気を引き込み、前記空気をキャビティエンクロージャコンテナの各ペアに直接分配するように動作可能である、冷却空気供給シェルを備え、各列の前記キャビティエンクロージャコンテナは、他のいずれの列のキャビティエンクロージャコンテナからも流体的に隔離されている。
【0022】
別の態様によれば、統合中間貯蔵設備用の地下受動換気式核廃棄物貯蔵装置であって、この装置は、地下のベースパッドにより支持され、そこからコンクリートの上部パッドまで垂直上方に延びる垂直に細長いキャビティエンクロージャコンテナと、前記ベースパッドと前記上部パッドとの間に配置された人工盛土と、前記キャビティエンクロージャコンテナの内部キャビティに配置された核廃棄物キャニスタであって、前記キャニスタは、崩壊熱を放出し、前記キャビティエンクロージャコンテナと前記キャニスタとの間に形成された環状空間内の空気を加熱する、核廃棄物キャニスタと、前記キャビティエンクロージャコンテナの側方に配置された垂直に細長い中空の冷却空気供給シェルであって、前記冷却空気供給シェルは、周囲大気と流体連通し、周囲空気を引き込むように動作可能であり、前記冷却空気供給シェルは、第1の流路を介して前記キャビティエンクロージャコンテナの第1空気入口によってキャビティの下部に直接流体的に結合され、前記冷却空気取り入れシェルはさらに、第2の流路を介して前記キャビティエンクロージャコンテナの第2空気入口によってキャビティの下部に直接流体的に結合され、前記第1の流路及び前記第2の流路は、前記冷却空気供給シェルの下部に流体的に結合される、冷却空気供給シェルと、を備え、冷却空気流路が画定され、それにより、周囲の冷却空気が前記冷却空気供給シェル内に引き込まれ、前記第1の流路及び前記第2の流路を通って前記キャビティエンクロージャコンテナのキャビティの下部に流れ、環状空間を上向きに流れ、前記キャニスタによって加熱され、前記キャビティエンクロージャコンテナの上部にある空気出口から出て大気に放出される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の例示的な実施形態の特徴は、以下の図面を参照して説明される。図面において、同様の要素には同様の符号が付けられている。
【0024】
【
図1】使用済み核燃料及び他の高レベル放射性核廃棄物物質の統合中間貯蔵のための、本開示による核廃棄物貯蔵システムの第1の実施形態を備えるISFSI設備の斜視図である。
【0025】
【0026】
【
図3】
図1及び
図2のISFSI設備の核廃棄物貯蔵列のうちの1つの斜視図である。
【0027】
【
図4】核廃棄物貯蔵システムの第2の実施形態の第1の断面図であり、キャビティエンクロージャコンテナ(CEC)及びその冷却空気供給シェルを示す。
【0028】
【0029】
【
図6】第2の実施形態の複数のCECの配置を示す平面図である。
【0030】
【
図7】第2の実施形態による核廃棄物保管庫の一つの列の斜視図である。
【0031】
【
図8】
図1~
図3の核廃棄物貯蔵システムの第1の実施形態の上面斜視図であり、CECを含むモジュール式核廃棄物貯蔵ユニットの1つを示し、流体的に直接結合された一対の冷却空気供給シェルはすべて共通の支持プレートに取り付けられている。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【
図13】上蓋がCECの所定の位置にある状態の平面図である。
【0037】
【
図14】CECの内部キャビティを示すために上蓋が取り外された状態の平面図である。
【0038】
【
図15】上部吸気ハウジングが一対の冷却空気供給シェルから取り外され、その中の放射線減衰板のアレイが見える状態の平面図である。
【0039】
【0040】
【
図17】地面の下のコンクリートベースパッド、コンクリート上部パッド、及びそれらの間の人工盛土上に設置されたモジュール式核廃棄物貯蔵ユニットを示す断面斜視図である。
【0041】
【0042】
【
図19】
図3の核廃棄物貯蔵列の一部を示す、複数のCEC及び冷却空気供給シェルを示す側断面図である。
【0043】
【
図20】一対のCEC及び冷却空気供給シェルを示す、本開示による核廃棄物貯蔵システムの第3の実施形態の平面図である。
【0044】
すべての図面は概略図であり、必ずしも縮尺どおりではない。ある図で参照番号の表示がなされた部品は、特に異なる部品番号が付けられ明細書中で説明されていない限り、簡潔にするために番号の表示なくても、他の図に示される部品と同じ部品であるとみなされる場合がある。同じ整数であるがアルファベットの接尾辞が異なる複数の数字を含む本明細書における表示は、別段の指示がない限り、同じ整数を共有するすべての数字について一般的な参照番号であると解釈されるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の特徴及び利点は、例示的な(例示)実施形態を参照して本明細書で図示し及び説明する。例示的な実施形態のこの説明は、添付図面と併せて読まれることを意図しており、添付図面は書面による説明全体の一部とみなされるものとする。したがって、本開示は、単独で、又は特徴的事項の他の組み合わせで存在し得るいくつかの可能な非限定的な組み合わせで示される、例示的な実施形態に明示的に限定されるべきではない。
【0046】
本明細書に開示される実施形態の説明において、方向又は向きの言及については単に説明の便宜を目的とするものであり、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。「下」、「上」、「水平」、「垂直」、「上に」、「下に」、「上方」、「下方」、「上面」、「底面」などの相対的な用語、及びその派生語(例えば、「水平方向」、「下方向」、「上方向」など)は、そのとき説明される、又は議論中の図面に示される方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのみであり、装置が特定の方向で構築又は操作されることを必要とするものではない。「取り付けられた」、「固定された」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」などの用語は、特に明記されていない限り、構成要素が直接的又は介在する構成要素を介して間接的に、相互に可動状態で又は固定して取り付けられる関係を示す。
【0047】
全体を通して、本明細書に開示される範囲は、その範囲内にあるそれぞれの値を説明するための短縮形として使用される。範囲内の任意の値を範囲の終点として選択できる。さらに、本明細書で引用した先行特許又は特許出願のすべての引例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における定義と引用文献の定義に矛盾がある場合には、本開示が優先する。
【0048】
図1及び
図2は、本開示による受動的に冷却される地下統合中間貯蔵(CIS)システム100を備えるISFSI施設の平面図を示す。システム100は、放射性核廃棄物を収容している単一の核廃棄物キャニスタ150をそれぞれが保持する地下の垂直換気キャビティエンクロージャコンテナ(CEC)110のアレイと、本開示にしたがい、CECとCECとの間にあってCECに流体的に結合された垂直に細長い冷却空気供給シェル130と、を備える。CEC及び空気供給シェルは、本明細書でさらに説明するように、サーモサイフォン効果により動作して各CECに貯蔵されている核廃棄物燃料を冷却する、動力源を必要としない自然対流換気システムを一体化させた部分を形成するように構成されている。
【0049】
図4及び
図5は、CEC110の実施形態を示し、本開示による核廃棄物貯蔵システムの冷却空気供給シェル110をより詳細に示す。CEC110及び冷却空気供給シェル130は、CISシステムサイトの自然土壌「S」の除去された上面又はグレード「G」の下に位置する、厚く水平に延びる地下底部ベースパッド101上に設置され、これによって支持される。一実施形態では、ベースパッド101は鉄筋コンクリートで作ることができる。しかしながら、他の実施形態では、CEC及び空気供給器シェルを支持するために安定かつ強固な基部が提供されるのであれば、圧縮された砂利などの他の材料を使用することもできる。図示の実施形態に示すようなコンクリートの場合、CEC及び空気供給器シェルは、頑丈なJ字形締結具(ねじ付き又はその他)、又は構造物をコンクリートに固定するためによく使用される、他の適切なタイプのアンカーのような複数のアンカー部材103を介してベースパッドにしっかりと固定することができる。ベースパッド101は、想定される地震事象に耐え、CEC110の安全な支持及び核廃棄物の内容物の封じ込めを維持するのに十分強固な適切な厚さと構造を有することが好ましい。
【0050】
水平及び長手方向に延びるコンクリートの上部パッド102は、ベースパッド101を注いだ後に配置する、後述の人工盛土140の上部に形成される。したがって、上部パッド102は、周囲の自然土壌Sの除去されたグレードGの上に突き出て、盛り上がっている。上部パッドは、下のグレードのベースパッド101から垂直方向に間隔を置いて配置されている。上部パッドは、降雨に起因して周囲の自然土壌SからCEC110へ滞留水が浸入することを防止するために、地表よりも高い上向きの上面102aを画定する。上面102aは、ベースパッド101の上向きの上面101aと実質的に平行である(「実質的に」という用語は、表面101a、102aのレベルの小さな変動と、様々な目的で表面に形成される凹部及び/又は輪郭を考慮したものである)。上部パッド102は、CEC110の外周を超えて少なくとも1つのCEC外径に達することが好ましい。上部パッドの周囲の自然土壌Sは徐々に傾斜した地形となることが、CECからの雨水の排水を容易にするために好ましい。
【0051】
ベースパッド101と上部パッド102との間に形成された、隣接するCEC110と冷却空気供給シェル130との間の開いた水平/横方向空間を含む、垂直ギャップ又は空間は、適切な「人工盛土」104で充填され、CEC110内部の核廃棄物の両側方向への放射線遮蔽を行い、CEC及び冷却空気供給シェル130に対する横方向の十分な構造的サポートとなる。限定されないが、通常の圧縮土盛土の代わりに埋め戻しとして業界でよく使用される自己圧縮セメント質盛土材料である流動性CLSM(制御低強度材料)のような、任意の適切な人工盛土を使用することができる。CISシステムの放射線量遮断能力をさらに高めることが必要な場合は、CEC間及びベースパッドから上部パッドまでのギャップの盛土材として普通のコンクリートを使用することもできる。放射線遮蔽及び、CEC及び空気供給シェルの横方向のサポートを行うことができる他の種類の盛土材料を使用することもできる。
【0052】
引き続き
図4及び
図5を参照すると、各CEC110は、本体の上端112と下端113との間に延びて、垂直中心線軸VC1を画定する垂直に細長い金属シェル本体111を備える。上端112を画定するシェル本体の上部111aは、図示のように上部パッド102の上面102aと底面102bとの間を含むコンクリート上部パッド102に埋め込むことができる。いくつかの実施形態が
図4及び
図5及び
図17~
図19に示されている。CECシェル本体111の上端112は、上部パッドの上面102aを終端とすることができる。いずれの場合も、CEC110の本体111は、限定されない好ましい実施形態では、円形の横断面形状を有する円筒形であってもよい。しかしながら、他の許容可能な実施形態では、他の非多角形及び多角形の本体を使用することもできる。各CEC110のシェル本体111は、円筒形の核廃棄物キャニスタ150を保持するように構成された、端部112と113との間に垂直に延びる内部空洞120を画定する。本明細書で先に述べたように、廃棄物キャニスタ150は、使用済み燃料集合体及び/又は原子炉からの他の高レベル放射性廃棄物を保持する内部空間を画定する。
【0053】
CEC110内に保管される核廃棄物キャニスタ150は、垂直方向に細長い中空円筒形のシェル151と、上部閉鎖プレート152と、底部閉鎖プレート153とを含む。上部閉鎖プレート及び底部閉鎖プレートは、シェル151の上端及び下端に気密シール溶接されて、キャニスタ内に貯蔵される核廃棄物の気密封じ込め境界を形成する。キャニスタ150(すなわち、シェルプレート及び閉鎖プレート)は、好ましい実施形態では、耐食性のためにステンレス鋼で形成することができる。キャニスタ150は、CECシェル本体111の高さH2よりも低い高さH3を有し、キャニスタの上部がコンクリート上部パッド102の底部から下方に垂直に離間されるようになっている(例えば、
図3を参照)。これは、CEC110の上部で外側に向かって横方向の放射線が流れないようにすることと、飛来物(例えば、ミサイルなど)からの衝撃保護を行うことの両方に役立つ。キャニスタ150は、ニュージャージー州カムデンのHoltec Internationalから入手可能な多目的キャニスタ(MPC)を含むがこれに限定されない、任意のタイプの核廃棄物/SNFキャニスタであってもよい。
【0054】
CEC110はさらに、シェル本体111の下端113に気密シール溶接されたベースプレート114を含む。複数の金属製の放射状支持ラグ124がベースプレート114及び/又はCECシェル本体111の内面に、キャビティ120の底部で円周方向に離間して、溶接される。ラグは、適切な金属(例えば、ステンレス鋼又はその他)で形成され、キャニスタ150を、サポートしベースプレートの上に持ち上げるように機能する。これにより、ベースプレート114の上部とキャニスタ150の底部閉鎖プレート153との間に開放空間が形成され、冷却換気空気がキャニスタの下を循環して、キャニスタの中に貯蔵されている核廃棄物によって底部から放出される熱を除去することができる。
【0055】
一実施形態では、支持ラグ124は、ベースプレート114に溶接された水平部分124aと、CECシェル本体111の内面に溶接された一体型の隣接する垂直部分124bとを有する一般的なL字形とすることができる。垂直部分124bはそれぞれ、特に地震事象(例えば、地震)中にキャニスタ150の側面と係合してCEC110のキャビティ120の中心位置にキャニスタ150を保持する、半径方向に延びる下部地震抑制部材を画定する。半径方向に延びる複数の上部地震抑制部材123bが、キャニスタ150の上部を中心位置に保持するために、キャビティ120内のシェル本体111から内側に突き出ている。抑制部材123bは、CECシェル本体111の内面に溶接され、周方向に離間した金属板又はラグによって形成することができる。
【0056】
キャニスタ150がCEC110のキャビティ120内に配置されると、キャニスタの全高さにわたって延びる通気環121がそれらの間に形成される。通気環は、流路160及びキャニスタの上のCECキャビティ120内に形成された空気出口プレナム152を介して、底部の冷却空気供給シェル130と流体連通している。
【0057】
各CEC110のシェル本体111及びベースプレート114は、耐食性をもたせるためにステンレス鋼などの適切な金属で形成することができる。
【0058】
CEC110の上端112は、CECシェル本体111の上部に取り外し可能に取り付けられた取り外し可能な厚い放射線遮蔽蓋115によって囲まれている。蓋は、ステンレス鋼のような鋼で形成された外側シェル115aと、内側コンクリートライニング115bとを含む、金属とコンクリートの複合構造を有することができる。この堅牢な構造は、放射線を遮蔽するだけでなく、発射体による衝撃に対する保護もおこなう。一構成では、蓋115は、円筒状の円形上部116aと、上部の外径D3よりも小さい外径D4を有する隣接する円筒形の円形下部116bとを含む。蓋の上部と下部との間には、環状の段付き肩部116cが形成されている。いくつかの実施形態における直径D3及び/又はD4は、CECシェル本体111の外径D2より大きくてもよい。
【0059】
蓋115の下部116bは、図示されるように、各CEC110の上端112の周りの上部パッド102の上面102aに形成された、対応する上向きに開いた円形凹部117内に挿入可能に配置される(例えば、
図4及び
図5を参照)。凹部117の直径D5は、CECシェル本体111の外径D2よりも大きい。一実施形態では、CEC110の上部111a(すなわち、シェル本体111)は、凹部117と同じ直径D5を有する直径方向に拡大された上部円筒形セクション111bを含むことができ、実際に、
図14及び
図16に示されるこの実施形態では凹部を画定する。蓋は、空気出口118を形成するために、上部パッド102の凹部内で上部パッド102からわずかに持ち上げられ、半開きとし、それにより、蓋とCEC110との間に、CECのキャビティ120から上昇する換気空気を周囲大気に戻すための出口経路を形成する。空気出口118は、放射線が逃げる(すなわち、放射線ストリーミング)ためのキャビティ120から大気への直接的視線をなくすため、回り道となる多角経路を形成するように構成される。出口118は、一実施形態では、この目的のために、
図2に示すように二重L字形の構成とすることができるが、他の回り道となる形状の経路を使用することもできる。
【0060】
いくつかの実施形態では、
図16~
図18に示されるように、CECシェル本体111の上部セクション111bは、平坦な半径方向に突出する環状着座フランジ111cをさらに含むことができる。着座フランジは、コンクリート上部パッド102の上面102aに係合して載置されるように構成されている。
【0061】
各冷却空気供給シェル130は、垂直中心線軸VC2を画定する金属製の垂直に細長い本体131と、シェルの下端134に溶接された底部閉鎖プレート132とを備える管状中空構造である。CEC110の垂直中心線VC2とVC1とは互いに平行である。本体131は、限定されない好ましい実施形態では、円形の横断面形状を有する円筒形とすることができる。しかしながら、他の許容可能な実施形態では、他の非多角形の本体及び多角形の本体を使用することもできる。各フィーダシェルの本体131は、シェル130の下端134と上端135との間に延びる開放垂直空気通路133を画定し、周囲の冷却空気を、シェルを通して下方に引き込む。いくつかの実施形態では、シェル130の上端は、コンクリート上部パッド102の上面102aを終端とすることができる。穴のあいた吸気ハウジング136は、図示のように上部パッド102から垂直上方に突出するシェル130の上端135に結合されている。一実施形態では、ハウジング136は、空気をフィーダシェル130内に側方からに引き込むために、円周方向に360度延在する複数の側方開口部を形成するように穴のあいた円筒状シェルで形成することができる。円形のキャップ137が空気入口ハウジング136の上部を囲んで、雨の浸入を防止する。空気供給器シェル130、底部閉鎖プレート132、吸気ハウジング136、及びキャップ137は、腐食防止のためにステンレス鋼などの金属で形成することができる。他の実施形態では、他の形状のキャップ及び吸気ハウジングを使用されすることもできる。
【0062】
キャニスタ150によって加熱されたCEC110のキャビティ120の上部から出る上昇空気が冷却空気供給シェル130の吸気ハウジング136内に引き戻されるのを最小限に抑えるために、いくつかの実施形態では、各供給シェルは、隣接するCECのシェル本体101から、少なくとも1つの供給シェルの外径D1の距離のような、十分な横方向/水平方向の距離だけ、間隔をあけて配置されることが好ましい。
【0063】
引き続き
図4及び
図5に示すように、冷却空気供給シェル130は、CECシェル本体111の高さH2と少なくとも同一となる高さH1を有する。1つの非限定的な例として、H2及びH1は約227インチ(576.6cm)とすることができる。一実施形態では、シェル130は、CECシェル本体111の高さH2(上部を含む本体の下端113と上端112の間で測定)よりわずかに大きい高さH1(下端134と上端135の間で測定)を有することができる。
【0064】
キャニスタ150は、CECシェル本体111の高さH2よりも低い全高H3(上部及び底部閉鎖プレート152、153を含む)を有し、その結果、空気出口プレナム154がCEC蓋115の底部とキャニスタの上部閉鎖プレート152との間に形成される。上部閉鎖プレート152によって画定されるキャニスタの上部は、人工盛土140の垂直範囲内に収まることのできる高さで、CISシステムのコンクリート上部パッド102の下が終端となる。これは、「スカイシャイン」放射線が周囲環境に流れ出るのを防ぐのに役立つ。
【0065】
図1及び
図2に示すように、一実施形態におけるキャビティエンクロージャコンテナ110及び冷却空気供給シェル130は、CIS設備における空間的設置要件を最小限に抑えるために、密に詰め込まれたアレイに配置することができる。このアレイは、複数の長手方向に延びる平行な直線状の核廃棄物貯蔵列Rを備え、各列Rは、複数のCEC110及び冷却空気供給シェル130を含む。説明の便宜上、
図1及び
図2の配列は5つの列Rのみが示されている。しかし当然のことながら、必要に応じて、より多くの又はより少ないCEC及び空気供給シェルの列を設けることができることがわかる。各列は、それぞれの水平方向に延びる長手方向軸LAを画定する。垂直中心線軸VC1と交差する各CECの幾何学的中心は、CEC110が長手方向軸上に位置するとみなすことができるように、各列のそれぞれの長手方向軸LAと交差する。参照の便宜上、横軸TAは、アレイ内の列Rの間で前後に延びる各列において長手方向軸LAに対して垂直に方向づけられる定義することができる(例えば、
図2を参照)。
【0066】
CEC110の核廃棄物貯蔵列Rは、離間し、互いに平行に、長手方向に延びるアクセス通路AIを形成し、これに限定されないが、CEC110への挿入及びCEC110からの除去のためにキャニスタ150を運び、操作し、上昇/下降させる、キャスククローラその他の装置などの市販の電動車輪付き又はトラック駆動の昇降装置へのアクセスを可能にする。これらの装置はCEC110の列にまたがることができ、車輪又はトラックは列の両側の通路AIを走行する。このような装置は、さらに詳しく説明するまでもなく、当業者にはよく知られている。CEC110の露出の少ない垂直プロファイル(本明細書でさらに説明する)により、これらの装置は、キャニスタの挿入又は取り外しのために、1つの列のCECモジュール上を所望のCECまで移動することができる。
【0067】
図4~
図7は、CEC110及び冷却空気供給シェル130の可能な第1の実施形態及び配置を示す。この実施形態では、各列Rの各CEC110は、水平方向/横方向に延びる流路160によって一対の冷却空気供給シェル130に流体的に直接結合される。供給シェル130のそれぞれは、図示のように長手方向軸LAに沿ってCECの両側にある。見方を変えると、各空気供給シェル130は、一対のCECの間の中央に位置すると考えることができる。したがって、各CECは、CEC110のシェル本体111を通って内部キャビティ120まで延びる開口部を両側に形成する一対の空気入口125を備える。したがって、空気入口125は、CECキャビティ120及び換気環状部121の底部に冷却空気を導入するために、CEC(すなわち、シェル本体111)の下部111d内及びそれを貫通して形成される。好ましいが非限定的な実施形態では、空気入口125はそれぞれ、図示のように各CEC110のキャビティ120内に冷却換気空気を接線方向に導入するように構成及び配置される。この接線方向の冷却空気を導入すること、及びCECの内面の周囲を円周方向に流れてCECキャビティ及び換気を迅速に満たすことには、キャニスタシェル151に空気を半径方向及び垂直に導入するよりも圧力降下が少なくなるという利点がある。
【0068】
流路160は、冷却空気供給シェル130とそれに対するそれぞれのCEC110との間に架かる水平に延びる金属配管のセクションを備える。流路は、各CEC空気入口125をそれぞれの空気供給シェル130に「直接」流体的に結合させ、これは、空気供給シェルからそれぞれのCECに、途中で他のCEC又は空気供給シェルを通過することなく、冷却空気がCECに流れることを意味する。本明細書で先に記載したように、この構成は、各々相違する場合がある各CEC内のキャニスタによって放出される熱のレベルに応じて、各CEC110が受け取る冷却空気の量を都合よく最大化する。したがって、どのCECも、上流のCECによって必要な冷却空気流が不足するようなことはない。CEC及びその核廃棄物内容物は、本明細書で先に説明したように、自然のサーモサイフォン効果により受動的に対流により冷却されるため、各CECの適切な冷却に悪影響を及ぼす可能性がある冷却空気換気システム内の圧力の不均衡は、この冷却装置を配置することによって回避される。各CEC110に2つの空気入口125を設け、各入口に別個の冷却空気源(すなわち、供給シェル130)を設けることにより、各CECがより確実に冷却され、キャビティ内で発生する熱を可能な限り最大限に除去することができる。
【0069】
各CEC110がその中の核廃棄物キャニスタ150によって生成される特定の熱負荷に基づいて必要な量の冷却空気を確実に受け取ることを保証する、前述した理由と同じ理由により、さらに、CEC又は冷却空気供給装置間にはどこにも相互接続する流路が存在しないことに留意する必要がある。したがって、各核廃棄物貯蔵列Rは、他のすべての列から流体的に隔離されている。
【0070】
図から直ちに明らであるとはおそらく言えないが、周囲空気冷却換気システムが動作しているとき(すなわち、本明細書で先に説明したサーモサイフォン効果により、CEC内に配置された核廃棄物キャニスタ150により換気システムを通る活発な空気流が生じるとき)、単一の列R内の各CEC110は、隣接するCEC及び同じ列内の他のすべてのCECから流体的に隔離されることにも留意する必要がある。例えば、
図4に示されるように、周囲の冷却空気は、中央に位置する空気供給シェル130内で下方に引き込まれ、次に、流路160を通って、図示された2つのCEC110のそれぞれに向かって横方向外側に流れる(空気流の方向矢印を参照)。冷たい空気はCECの底部に入り、CECキャビティ120内の空気がキャニスタ150によって加熱されるにつれて垂直上方に流れる(例えば、
図2を参照)。したがって、これらの核廃棄物貯蔵システムの構成要素を通る流れの方向を考慮すると、空気が1つのCEC110から中央に位置する空気供給シェル130を通って逆方向に流れ、他のCECに流入することはあり得ない。したがって、CECは相互に効果的に流体的に隔離される。
【0071】
前述したように、流路160は、適切な直径のステンレス鋼などの金属配管の部分を含んでもよい。好ましいが非限定的な実施形態では、流路には、各冷却空気供給シェル130と、それに流体的に結合されたそれぞれの対のキャビティエンクロージャコンテナ110のいずれかとの間に直線の見通し線がなく、放射線ストリーミングを防ぐように構成される。これは同時に、供給シェル130を介して列R内のいずれのCEC110同士の間にも直線の見通し線がないことも保証する。一構成では、流路160はそれぞれ、長手方向軸LAに対して横方向に向けられた角度付き横断セクション162と、長手方向軸に平行に向けられた隣接する長手方向セクション161とを備えることができる。横断セクションと長手方向セクションとの間に溶接留め継手163が形成されてもよい(例えば、
図6を参照)。流路のこれら2つのセクションの間には、傾斜角が形成される。他の可能な実施形態では、直線の見通し線を防ぐために、直線配管の留め継手セクションの代わりに、湾曲した配管エルボを使用してもよい。
【0072】
各冷却空気供給シェル130は、一対のCEC110に冷却空気を供給するのに必要な直径があればよいので、供給シェルの直径を最小にして、各列のCECを密に配置することができる。これにより、より多くのCEC及び核廃棄物を各列Rに詰め込むのに好都合となる。したがって、好ましいが非限定的な実施形態では、供給シェル130の外径D1は、CEC110の外径D2より小さくてもよい。1つの非限定的な例として、D1は約30インチ(76.2cm)であり、D2は約84インチ(213.4cm)とすることができる。サイズの比較のために、流路60はD1又はD2より小さい直径をとしてもよい。例えば、限定するものではないが、一実施形態では約24インチ(61cm)である。他の実施形態では他の直径サイズが使用されてもよく、本発明を限定するものではない。
【0073】
核廃棄物貯蔵システム及び周囲冷却空気換気システムの動作を要約すると、放射性廃棄物物質(例えば、放射性廃棄物及び/又は原子炉から除去された他の高レベル放射性廃棄物)を収容する核廃棄物キャニスタ150は、CEC110に装填される。次いで、蓋115がCEC上に載置されて、CEC及びその内部空洞を封じ込める。
【0074】
キャニスタがCEC内に配置され、蓋が所定の位置にあると、キャニスタと各CEC110のシェル本体111との間の換気環121内の空気がキャニスタによって加熱される。加熱された空気は上昇し、CECのキャビティ120内のキャニスタの上の空気出口プレナム154に集まり、CECを出て、CECの蓋115を通って形成された空気出口118を通って大気に戻る(
図4、
図5、及び
図18の空気の流れ方向の矢印を参照)。
【0075】
各CEC110のキャビティ120内の空気の上向き対流は、公知のサーモサイフォン効果又は機構を介して周囲空気を冷却空気供給シェル130内に引き込む負圧を生成する。CECは、送気シェルの底部から流路160を通ってその内部キャビティ120及び換気環121の下部に空気を引き込み、換気空気流回路を完成させる。この自然な空気の流れは、動力付きのファンや送風機による支援を受けず、それによって電力消費に関連する運用コストが回避されるが、重要なのは、停電の場合にCECの過熱を防ぎ、核廃棄物の封じ込めを維持するためにCEC110の継続的な冷却を確実に行うことである。
【0076】
図20は、核廃棄物貯蔵システム及び対応する換気システムの代替的な第2の実施形態及び配置を示す。この実施形態では、各CEC110は、本明細書で先に説明したように放射線ストリーミングを防止するために、一対の傾斜/湾曲流路160によって単一の冷却空気供給シェル130のみに流体的に結合される。CECは、CECの内部空洞に接線方向に換気空気を導入するように配置された2つの空気入口125を含む。分岐した換気空気供給は、放射性廃棄物を冷却するための空気の流れを最大化するために、最小の流れ抵抗でCEC内部の核廃棄物キャニスタ150の周囲に冷却空気のカーテンを効果的に作り出す。この代替実施形態は、キャニスタ及びその中の核廃棄物の構造的完全性を保護するために放散しなければならない極めて高レベルの熱エネルギー(熱)を、依然として特定のキャニスタ150が放出している場合に適切となる可能性がある。
図20の流体的に隔離されたCEC110と冷却空気供給シェル130の複数の対は、CIS設備の列Rとして配置することができる。CEC110及び空気供給シェル130は、CECのアレイとすることができる各列Rの長手方向軸LA上に配置される。
【0077】
ある種のCIS設備は、高熱エネルギーを放出する核廃棄物キャニスタについての
図20に示される構成に従って、いくつかの列のCEC110と空気供給シェル130を組み合わせることができ、熱エネルギー放出の少ない核廃棄物キャニスタについての
図4~
図7に示される構成に従って、他のいくつかの列のCEC110と空気供給シェル130を組み合わせることができることに留意すべきである。さらに他の実施形態では、CEC及び空気供給シェルの2つの異なる配置を単一の列R内に混合することができる。したがって、特定の核廃棄物貯蔵ニーズ及びキャニスタ150によって放出される熱エネルギーのレベルに応じて、非常に多くの変形が可能である。
【0078】
図1~
図3及び
図8~
図19は、核廃棄物貯蔵システム及び対応する空気換気システムのさらに別の代替的な第3の実施形態及び配置を示す。これは、核廃棄物キャニスタ150内の放射性廃棄物(例えば、SNF燃料集合体等)を保護するために、周囲冷却空気によって放散しなければならない非常に高いレベルの熱を放出する放射性核廃棄物に適した、サーモサイフォンにより駆動される換気システムを有する、受動受動的に冷却される核廃棄物貯蔵システムの高い空気流量を有する構成である。これらの高熱負荷CECの冷却空気必要量は、図示の専用の別個の対の冷却空気供給シェル130を有する、
図20のCECによって提供される高い空気流量容量さえも超える可能性がある。
【0079】
したがって、この高空気流量容量の第3の実施形態におけるCEC110は、それぞれ、空気流導管160によって2対(すなわち、4つ)の冷却空気供給シェル130に流体的に結合することができる(例えば、
図1~
図3及び
図14を参照)。引き続き
図1~
図3及び前記8~
図19を参照すると、一般的には、図示のように、一対の供給シェル130はCECの一方の側に配置され、残りの対の供給シェルは反対側の、他方の側に配置することができる。CECは4つの空気入口125を含み、それぞれの空気入口125は、流路160によって4つの冷却空気供給シェル130のうちの1つに流体的に結合されている。流路160は、空気流による同じ利点を達成するために、CEC110の内部キャビティ120の下部/底部で接線方向に換気空気を導入するために、本明細書ですでに説明した外気換気システムの先の実施形態と同様に構成及び配置することができる。
【0080】
単一の列R内の各CEC110は、
図1~
図3に見られるように、必ずしも4つの冷却空気供給シェル130に結合される必要はないことに留意されたい。例えば、列Rの一端に位置する1つのCEC110は、その中に保管されているキャニスタ150からのより高い熱放出を放散するために、より高い周囲換気空気流量又は流速(例えば、CFM-立方フィート毎分)を必要とする図示の列における他の残りのCECの熱負荷ほど高い熱負荷を持たない可能性があるため、一対の冷却空気供給シェル130のみに流体的に結合されていることが示されている。したがって、本受動的に冷却される核廃棄物貯蔵及び換気システムは、CECの特定の相違する熱負荷放散ニーズに適応するためにカスタマイズできるよう、構成にかなりの柔軟を持たせることができる。
【0081】
引き続き
図1~
図3及び
図8~
図19を参照すると、この第3の実施形態及び受動的に冷却される核廃棄物貯蔵システムの配置おけるCEC110の構成及び構造の詳細は、2対の冷却空気供給シェル130に対応するための追加の冷却空気入口125を除いて前述の実施形態と同様とすることができる。したがって、簡潔にするために、蓋115を含むCEC構造の説明はここでは繰り返さない。したがって、現在示されている核廃棄物貯蔵システムの第3の実施形態におけるCECの特徴又は部品には、第1及び第2の実施形態の図と同じ番号が付けられている。
【0082】
図1~
図3及び
図8~
図19に示す本発明の高空気流量実施形態では、しかしながら、CEC110及び冷却空気供給シェル130は、容易に輸送可能かつ取り付け可能なモジュール式核廃棄物貯蔵ユニット200として構造的に統合されている(
図8~
図16に最もよく示されている)。モジュラーユニット200は、適切に強度のある適切な金属材料(例えば、ステンレス鋼又はその他)で形成された共通又は共有の支持プレート202を含む、自立型で可搬性の集合体又は構造である。支持プレート202は、水平方向に広がった平らな本体201を有し、この本体201は、ネジ留め具その他の形式の固定/取り付け装置であるアンカー103を介するなどして、地下コンクリートベースパッド101の上面に取り付けて固定するように構成されている。1つのCEC110と、CECの一方の側にある一対の冷却空気供給シェル130は、溶接などによって共通又は共有の支持プレート202に固定し取り付けられる。支持プレート202は、図示の非限定的な一実施形態では、U字型の多角形と非多角形が混合された構成のような、任意の適切な構成を有することができる。
【0083】
CEC110の垂直方向に高いシェル本体111及び一対の冷却空気供給シェル130を構造的に安定させ、単一の自立ユニットとして持ち上げ及び輸送できるように補強することを確実に行うために、複数の水平方向に延びる交差支持部材204(例えば、適切な形状の構造ビーム)が提供され、CECシェル本体と供給シェルとを構造的に堅固に結合する。一実施形態では(
図8~
図16に様々に示されているように)、各モジュール式核廃棄物貯蔵ユニット200内のCEC110は、一対の冷却空気供給シェル130のそれぞれに構造的に結合され、垂直方向に離間した複数の交差支持部材204によって、横方向に補強がなされている。非限定的な図示の実施形態では、CECの下部111d、中間部分111e、及び上部111aのそれぞれを2つの供給シェル130のそれぞれと結ぶ3つの交差支持部材が示されている。より多くの又はより少ない交差支持部材204を使用してもよい。一対の冷却空気供給シェル130も同様に、CEC110を冷却空気供給シェル130と結ぶ交差支持部材と同じタイプであっても異なっていてもよいが、垂直方向に離間した交差支持部材204によって構造的に互いに結ばれ、横方向に支えられている。1つの非限定的な実施形態では、Wビームが交差支持構造部材204として使用することができるが、他の適切なタイプ/形状の構造部材を使用してもよい。
【0084】
モジュール式核廃棄物貯蔵ユニット200は、製造設備内の仕事場の都合よく制御された条件下でユニットを製造し、その後、設置場所(例えば、統合中間貯蔵設備)に輸送する。CEC110及び一対の冷却空気供給シェル130は、いわば共通の支持プレート201上にパレット化されているので、設置場所では流路160との配管接続のみを行うだけで設置できる。これにより、モジュール式核廃棄物貯蔵ユニットの迅速な設置と展開が可能になる。
【0085】
モジュール式核廃棄物貯蔵ユニット200を、CIS現場又は設備のようなところに、
図3に示す方法で設置するために、設置プロセス又は方法は、コンクリートベースパッド101を注入し、養生し硬化したときにパッド上に第1の貯蔵ユニット200を位置決めして取り付けることを含む。次に、第2の貯蔵ユニット200が、列Rに沿って長手方向に間隔をあけて、第1の貯蔵ユニットに隣接するベースパッド上に位置決めされて取り付けられる。ここで、第1の貯蔵ユニットに対して配管接続を行うことができる。次いで、4つの冷却空気供給器シェル130のそれぞれが、別個の流路160によって第1の貯蔵ユニットのCEC110に流体的に直接結合される。CECと供給シェル160との間の配管接続は、溶接であってもよいし、好ましくは、溶接接続よりも好都合に行うことができるボルト締め配管フランジタイプ接続であってもよい。換気システムの動作中、流路160内を流れる空気はせいぜい外気程度のわずかな負圧(準大気圧)であるため、フランジ型接続はこれらの使用条件に適している。次に、さらなる第3、第4、・・・の核廃棄物貯蔵ユニット200を追加し、同様の方法で設置することができる。すべてのユニットがベースパッド101に取り付けられ、それぞれの冷却空気供給シェル130に流体的に結合されると、流動性人工盛土140をベースパッドの上、及びCIS設備のCEC及び供給シェルの周囲に設置して、
図17~
図19に示すように、横方向の支持及び放射線の減衰/遮断のために、この装置の間の空隙を充填することができる(明確にするために、
図3には人工盛土が示されていないことに留意されたい)。
【0086】
次に、コンクリート上部パッド102を人工盛土の上に形成することができる。これで、モジュール式核廃棄物貯蔵ユニット200は、各キャビティ120内に核廃棄物キャニスタ150を受け入れる準備が整ったことになる。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,852,822号に開示されるいくつかの実施形態では、一対のキャニスタ150が各CEC110内に垂直に積み重ねられ、記載された方法でその中で支えることができる。CEC110は、単一のキャニスタ150を保持するか垂直に積み重ねられた2つのキャニスタ150を保持するかにかかわらず、単一の高さで単一のキャニスタのみを保持するのに十分な断面積を有する(すなわち、キャニスタを並べて配置しない)ことに留意する必要がある。
【0087】
好ましくは、非限定的な実施形態において、複数のモジュール式核廃棄物貯蔵ユニット200の前述のCEC110は、好ましくは貯蔵列Rの長手方向軸LA上に配置される(すなわち、垂直中心線軸VC1は長手方向軸LAと交差する)ことに留意すべきである。これは、
図4~
図7及び
図20に示した核廃棄物貯蔵システム100の前述の2つの実施形態と同様である。
図1~
図3に示す本実施形態では、第1の対の供給シェルの第1及び第2の冷却空気供給シェル130は、長手方向軸LAに対して垂直にかつその両側に横方向に離間して配置することができる。第1及び第2の供給シェルは、第1のCEC110の第1の側に配置されている。第2の対の供給シェルの第3及び第4の冷却空気供給シェルも同様に横方向に離間して配置され、第1のCEC110の第1の側の反対側の第2の側に配置することができる。
【0088】
第1、第2、第3及び第4の冷却空気供給シェル130は、
図3(
図8~
図19の様々な部分も参照)に示すように、別個の金属製流れ流導管160によって第1のCECに流体的に直接結合されることが好ましい。したがって、CECや冷却空気シェルが介在することはない。流路160は、本明細書で前述したように、配管の一部によって形成することができる。
【0089】
この第3の実施形態では、流路160はそれぞれ、第1のCEC110のキャビティ120の下部を冷却空気供給シェル130のそれぞれの下部と流体的に結合する、水平に延びる直線配管の部分を備えることができる。直線配管の各部分の流路160は、長手方向軸LAに対して角度A1だけ鋭角に傾斜した水平中心線軸Hcを画定する(例えば、
図14を参照)。長手方向軸に対して冷却空気供給シェル130をこの角度を付けて配置することは、最初のCEC110と、異なる支持プレート201に取り付けられた次の隣接するCECとの間に直線の視線がないことを確実にするのには十分である。特定の実施形態では、角度A1は約10度から20度の間とすることができる。
【0090】
図14にも示されているように、図示のCEC110の両側の冷却空気供給シェル130の各対は、長手方向軸LAの両側にある。各供給シェルの幾何学的な垂直中心線VC2は、核廃棄物貯蔵列Rの長手方向軸LAに対して鋭角A2の方向にある水平基準線R1上に位置する。角度A2は約30度(+/-5度)であってもよい。長手方向軸LAに対してそれぞれ角度A1及びA2だけ角度を持たせて流路160及び冷却空気供給シェル130を配置することが、各列のCEC110と供給シェルとの間の間隔をより狭くにすることに好都合となることに留意すべきである。これにより、より多くのCECを各行Rに密に詰め込むことができる。
【0091】
図15~
図19を参照する。いくつかの実施形態における各冷却空気供給シェル130は、垂直方向に細長い放射線減衰板171のアレイ170を含むことができる。プレート171は平坦であってもよく、図示のように構造的に互いに結合され(例えば、溶接により、クリップ/ブラケットなどを介して、等)、直交する格子状に配置される。プレート171は、冷却空気供給シェル130の垂直空気通路133内に配置され、それらの間に垂直に延びる格子開口部を形成し、換気空気がこのシェルを通して下方に引き込まれる。減衰板171は、冷却空気供給シェルのH1の大部分にわたって垂直に延びることができる。一実施形態では、減衰板は、シェルの上端135から下端134に向かって下方に垂直に延在し、シェル130からCEC110への換気空気流を妨げないように、流路160の上部のすぐ上の近接した点が終端となる。一実施形態では、減衰板171は鋼で形成することができる。ただし、ホウ素含有材料や金属を含む他の適切な材料も使用できる。減衰板171は、核廃棄物貯蔵システムを取り囲む周囲環境への放射線の流れを防止するのに好都合となる。
【0092】
動作中、
図1~
図3及び
図8~
図19に示す本発明の高空気流量容量実施形態の周囲冷却空気換気システムは、先に説明した実施形態と同様に機能し、全体的に同様の経路をたどる。空気入口125はそれぞれ、図示のように各CEC110のキャビティ120内に冷却換気空気を接線方向に導入するように構成され配置されている。周囲の換気空気は、各冷却空気供給シェル130内の減衰板171の間を通って下方に引き込まれ、その後、流路160を通ってCEC110に向かって水平/横方向に流れ、本明細書で前述した対流自然サーモサイフォン効果により各CEC内のキャニスタ150を冷却する。
【0093】
図1~
図3及び
図8~
図19の本実施形態では、代替の空気出口220が示されており、これでは、本明細書の
図1~
図4に記載の先の実施形態における前述の蓋115のように、蓋の周囲と、CEC110の上部111a及び上部パッド102との間ではなく、蓋215を直接貫通して形成されている。本実施形態では、空気出口220は、蓋の上面に取り付けられた空気放出ハウジング216で終わる、曲がりくねった角の多い通路を内部に形成する(例えば、
図18及び空気流の方向矢印を参照)。この内部空気出口220の通路に対応するために、蓋215は、本明細書で前述した蓋115とはわずかに異なるような構成となっている。
【0094】
本発明の蓋215の空気排出ハウジング216は、図示のように蓋215の上面から垂直上方に突出する貫通した円筒形金属シェルを備える。一実施形態では、ハウジング216は、横方向外側に排出して空気を周囲環境に戻すために、周囲360度に沿って延びる複数の横方向開口部を備える。円形のキャップ217が空気排出ハウジング216の上部を囲んで、雨の浸入を防止する。空気排出ハウジング216及びキャップ217は、腐食防止のためにステンレス鋼などの金属で形成することができる。他の実施形態では、他の形状のキャップ及び吸気ハウジングを使用することもできる。
【0095】
本発明の蓋215は、
図4~
図7における前述の蓋115と同様の、金属及びコンクリートの複合構造及び形状を有することができ、ステンレス鋼などの鋼で形成された外部シェル215aと内部のコンクリートライニング215bとを含む。この堅牢な構造は、放射線を遮蔽するだけでなく、発射体の衝撃に対する保護も行う。一構成では、蓋215は、円形の上部218aと、前述の蓋115と同様に上部の外径より小さい外径を有する隣接する円形の下部218bとを含む。本発明の蓋215は、各CEC110の上端112の周りで上部パッド102の上面102aに形成された上向きに開いた凹部117を、CECの直径方向に拡大された上部円筒形セクション111bによって、効果的に密閉する。
【0096】
冷却動作では、発熱キャニスタ150とCEC110のシェル本体111との間の通気環121内で上向きに上昇する空気は、蓋215の底部に流れる(例えば、
図18及び空気流の方向矢印を参照)。次に、空気は半径方向外側に流れ、空気出口220内のより小さい直径となっている蓋の下部218bの周囲で上向きに曲がる。次に、空気は半径方向内向きに流れ、90度方向転換し上向きにハウジング216に向かう。加熱された空気は、ハウジング216から穴を通って横方向の半径方向に排出され、周囲大気に戻される。冷却サイクルは、核廃棄物キャニスタ150が内部の核廃棄物によって生成された熱を放出し続ける限り、サーモサイフォンにより動作を継続する。
【0097】
前述の説明及び図面は本開示の例示的な実施形態を表しているが、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲及び均等物の範囲から逸脱することなく、様々な追加、修正、及び置換を行うことができることが理解されるであろう。特に、本発明が、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の形状、構造、配置、比率、サイズで、また他の要素、材料、及び構成要素を用いて実施できることは、当業者には明らかであろう。さらに、本明細書に記載された方法/プロセスの多くの変形を、本開示の範囲内で行うことができる。当業者はさらに、ここに記載されている原理から逸脱することなく、特に特定の環境及び運転条件に適合し、動作する構造、配置、比率、サイズ、材料、及び構成要素の多くの変更を加えた実施形態を用いることができることを理解するであろう。したがって、現在開示されている実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。添付の特許請求の範囲は、等価物の範囲及び範囲から逸脱することなく当業者が行うことができる本開示の他の変形及び実施形態を含むように広く解釈されるべきである。
【国際調査報告】