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  • 特表-紙及びパルプの泡制御剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】紙及びパルプの泡制御剤
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/04 20060101AFI20231213BHJP
   D21H 21/12 20060101ALI20231213BHJP
   D21C 3/28 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B01D19/04 B
B01D19/04 A
D21H21/12
D21C3/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524406
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021055934
(87)【国際公開番号】W WO2022093607
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/105,385
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シュエ
(72)【発明者】
【氏名】モーテン、ハシーブ
【テーマコード(参考)】
4D011
4L055
【Fターム(参考)】
4D011CA01
4D011CB01
4D011CB02
4D011CC01
4L055AG34
4L055AG86
4L055AH35
(57)【要約】
薬剤が少なくとも分岐アルコールを含む、泡制御薬剤、並びに泡制御薬剤を使用して紙及びパルプ生成のための泡を制御する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙及びパルプ生成に好適な泡制御薬剤であって、以下の構造を有する分岐アルコールを含み、
【化1】

式中、xが、2~8の整数であり、Rが、1~8個の炭素原子を有するアルキル基である、泡制御薬剤。
【請求項2】
分岐アルコール濃度が、前記泡制御薬剤の重量で0.01~100重量%の範囲である、請求項1に記載の泡制御薬剤。
【請求項3】
前記分岐アルコールが、ゲルベアルコールである、請求項1に記載の泡制御薬剤。
【請求項4】
前記薬剤が、2-アルキル置換アルコールである、請求項1に記載の泡制御薬剤。
【請求項5】
泡制御薬剤の使用による、紙及びパルプ生成のための泡を制御する方法であって、前記薬剤が、以下の構造を有する少なくとも分岐アルコールを含み、
【化2】

式中、xが、2~8の整数であり、Rが、1~8個の炭素原子を有するアルキル基である、方法。
【請求項6】
少なくとも1つの他の泡制御薬剤又は疎水性材料が添加される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
シリコーンも添加される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、紙又はパルプ生成に使用される、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、泡制御薬剤、並びに紙及びパルプ生成のための泡を制御する方法に関し、薬剤は、少なくとも分岐アルコールを含む。
【0002】
序論
紙及びパルプ産業において、シリコーンベースの泡制御薬剤は、泡制御市場の約3分の1を占める。泡制御薬剤は、脂肪酸から黒液中に発生した泡を制御するために、パルプ加工の洗浄工程中に主に使用される。シリコーンは、それらの低い表面張力及び独特の化学的性質のために、この用途に特に好適である。シロキサン主鎖は、分解に対して抵抗性であり、これらの苛性系におけるより長い持続性につながるが、シリコーンベースの泡制御薬剤は、堆積の懸念を有し、より低いノックダウン性能を提供する。
【0003】
これらの全ての理由などにより、泡制御薬剤、並びにパルプ及び紙のための泡を制御する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
実施形態は、泡制御薬剤、並びに紙及びパルプ生成のための泡を制御する方法に関し、薬剤は、少なくとも分岐アルコールを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
様々な実施形態が、以下の「発明を実施するための形態」及び添付の図面に開示される。
図1】ポンプ試験構成要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、紙及びパルプ生成のための泡制御薬剤に関する。本開示は、予想外に、分岐アルコールが優れた泡制御性能を有することがどのように示されたかを詳述する。分岐アルコールは、2-アルキル-1-アルカノール(ゲルベアルコールとしても知られている)、好ましくは2-エチルヘキサノール(2-ethylhexanol、2-EH)及び2-プロピルヘプタノール(2-propylheptanol、2-PH)であり得る。これらのアルコールは、対応するアルデヒドのアルドール縮合を介して、又は一級直鎖アルコールのゲルベ反応から合成することができる。他の生成方法も利用することができる。
【0007】
本発明において、C9~C12β-分岐アルコール(C9~C12ゲルベアルコール)は、紙及びパルプの黒液の泡を低減するのに驚くほど効果的であることが見出された。分岐アルコールに対する別の利点は、それらの非常に良好な生分解性である。
【0008】
現在開示されている消泡薬剤の一般構造は、以下の通りであり、
【0009】
【化1】

式中、xが、2~8の整数であり、Rが、1~8個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0010】
泡制御薬剤はまた、C9~C12の2-アルキル置換アルコールを含むものとして記載されてもよい。アルコールは、主に1つの異性体(>95重量%)であり得るか、又はアルデヒドの混合物のアルドール縮合によって発生し得るか、若しくはゲルベ反応を介してアルコールの混合物から発生し得る、アルコールの混合物であり得る。
【0011】
2-エチルヘキサノール及び2-プロピルヘプタノールを含むC8~C32ゲルベアルコール、並びにブチルアルデヒド及びバレルアルデヒドのアルドール縮合から発生したC8、C9、及びC10アルコールの混合物が、いくつかの実施形態において好ましい。
【0012】
配合された泡制御薬剤中のゲルベアルコールの濃度は、消泡薬剤又は脱泡薬剤として使用されるとき、0.01%~100%の範囲であり、好ましくは25%~100%の範囲である。ゲルベアルコールは、固体又は液体の形態であり得、液体が好ましい。固体である場合、材料は、溶媒中に溶解又は分散され得る。上記泡制御薬剤は、水溶液又は有機溶媒ベースの溶液であり得る。紙及びパルプ生成のための上記泡制御薬剤の使用量は、0.01%~5%で変動し、好ましくは0.1%~1%(50~100ppm)の範囲である。
【0013】
他の泡制御薬剤(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシドで構成されたコポリマー、ランダム又はブロック)、又はワックス、油、若しくはシリカなどの他の疎水性材料も、分岐ゲルベアルコール(複数可)とともに添加され得る。シリコーンは、2-アルキルアルコールと併せて使用することができる。界面活性剤、特にアルコールのアルコキシレートも使用することができる。泡制御薬剤としての分岐アルコールの使用は、水系又は油系であり得る。
【0014】
現在開示されている新しい泡制御薬剤は、固体又は液体の形態にあり得る。固体である場合、材料は、泡制御薬剤として使用する前に溶媒中に溶解又は分散され得る。現在開示されている薬剤は、全ての一般的に使用される廃水処理プロセスの存在下で働くと考えられている。
【0015】
化学薬剤は、消泡剤配合物又は脱泡剤配合物の両方で使用することができる。消泡剤配合物は、泡の形成を回避する気泡のガス-液体界面におけるポリグリコール、エステル、シリコーン、溶媒、水、及び他の化学物質の混合物によって得られる。ブロックコポリマー系の他の両親媒性化学物質も同様に使用することができる。脱泡配合物では、上記の生成物に加えて、植物油、鉱油、ワックス、及び他の油性薬剤を使用することができる。
【0016】
泡制御薬剤に含有される任意の界面活性剤又は乳化剤は、原料上の泡制御薬剤の適合性を改善する、又は分岐アルコールの組成物でエマルジョンを形成するのに好適であるように選択される。任意の界面活性剤又は乳化剤は、分岐アルコールの組成物の0.1~30重量%の範囲の量を有する。
【0017】
任意の界面活性剤又は乳化剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であってもよい。好適なアニオン性界面活性剤又は乳化剤の例は、アルカリ金属、アンモニウム、及びアミン石鹸であり、そのような石鹸の脂肪酸部分は、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を含有する。石鹸はまた、「インサイチュ」で形成することもでき、言い換えれば、脂肪酸を油相に添加し、アルカリ性材料を水相に添加してもよい。
【0018】
好適なアニオン性界面活性剤又は乳化剤の他の例は、アルキル-アリールスルホン酸のアルカリ金属塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、硫酸化又はスルホン化油、例えば硫酸化ヒマシ油、スルホン化獣脂、及び短鎖石油スルホン酸のアルカリ塩である。
【0019】
好適なカチオン性界面活性剤又は乳化剤は、オレイルアミドアセテート、セチルアミンアセテート、乳酸ジドデシルアミン、アミノエチル-アミノエチルステアラミドのアセテート、ジラウロイルトリエチレンテトラミンジアセテート、1-アミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリンアセテートなどの長鎖一級、二級、又は三級アミンの塩;並びに臭化セチルピリジニウム、ヘキサデシルエチルモルホリニウムクロリド、及びジエチルジドデシルアンモニウムクロリドなどの四級塩である。
【0020】
好適な非イオン性界面活性剤又は乳化剤の例は、オレイルアルコールと10個のエチレンオキシド単位との反応生成物などの、高級脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、イソオクチルフェノールと12個のエチレンオキシド単位との反応生成物などの、アルキルフェノールとエチレンオキシドとの縮合生成物、高級脂肪酸アミドと5個以上のエチレンオキシド単位との縮合生成物、モノパルミチン酸テトラエチレングリコール、モノラウリン酸ヘキサエチレングリコール、モノステアリン酸ノナエチレングリコール、ジオレイン酸ノナエチレングリコール、モノアラキジン酸トリデカエチレングリコール、モノベヘン酸トリコサエチレングリコール、ジベヘン酸トリコサエチレングリコールなどの長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、トリステアリン酸ソルビタンなどの多価アルコール部分高級脂肪酸エステル、多価アルコール部分高級脂肪酸エステルのエチレンオキシド縮合生成物、及び10分子のエチレンオキシドと反応したモノパルミチン酸グリセロール、12分子のエチレンオキシドと反応したモノオレイン酸ペンタエリスリトール、10~15分子のエチレンオキシドと反応したモノステアリン酸ソルビタン、10~15分子のエチレンオキシドと反応したモノパルミチン酸マンニタンなどの、それらの分子内無水物(マンニタンと呼ばれるマンニトール無水物、ソルビタンと呼ばれるソルビトール無水物)、モノステアリン酸メトキシポリエチレングリコール550(550はポリグリコールエーテルの平均分子量を意味する)などの、1つのヒドロキシル基が高級脂肪酸でエステル化され、他のヒドロキシル基が低分子アルコールでエーテル化されている長鎖ポリグリコールである。これらの界面活性剤のうちの2つ以上の組み合わせを使用してもよく、例えば、カチオン性のものを非イオン性のものとブレンドしてもよく、アニオン性のものを非イオン性のものとブレンドしてもよい。
【0021】
泡制御薬剤は、1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。添加剤の例としては、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、ブチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、エチレンオキシド/ブチレンオキシドブロックコポリマー、ワックス、又はシリコーンベースの物質が挙げられる。界面活性剤がパルプ生成工程で発泡を引き起こす他のパルプ及び紙用途については、C32までの高級2-アルキル置換アルコールを使用することができる。
【実施例
【0022】
本開示の泡制御薬剤などの有効性を試験するための実験は、以下のように行うことができる。
【0023】
材料
【0024】
【表1】
【0025】
試験した実施例及び比較例を以下の表2に示す(上の表1に列挙した原材料を特徴とする)。シリコーン消泡剤をプロピレングリコールと混合し、次いで容積式マイクロピペットを使用して再循環流に直接注入した。シリコーンエマルジョンを水で希釈し、容積式マイクロピペットを使用して再循環流に直接注入した。プロピルヘプタノールの効果を試験するために、それを、シリコーン/プロピレングリコール混合物と同時に再循環流中に第2のマイクロピペットで直接注入した。
【0026】
【表2】
【0027】
試験方法
泡制御性能を試験するために、ポンプ試験を利用した。ポンプ試験は、3つの構成要素で構成されている:底部にバルブを有する2Lの透明なジャケット付きガラスオープントップガラスカラム。温度を維持するためにジャケットを通してシリコーン流体を再循環させるセルヒーター。発泡媒体を再循環させるために、カラムの底部弁に取り付けられた入口、及びオープンガラスカラムの上部に入る出口を有する遠心ポンプ。図1は、ポンプ試験構成要素の図である。
【0028】
上述の構成要素でポンプ試験を行うために、800mLの発泡媒体(高発泡、低発泡、又は広葉樹黒液)を、1Lの三角フラスコ中で、撹拌ホットプレート上で95℃まで加熱した。フラスコの上部を小さなキャップで緩く覆って、蒸発を最小限にした。加熱後、発泡媒体を、110Cに予熱しておいた2Lのガラスカラムに注意深く注いだ。次いで、消泡剤をマイクロピペットに充填する。再循環ポンプを作動させ、泡がカラム中で1700mLに達するまで泡を監視し、次いで消泡剤を再循環流に直接注入する。泡が最大1700mLのレベルに戻るまで、又は10分が経過するまでのいずれか早い方で、泡の量を監視する。
【0029】
結果
以下の表3に示されるように、高発泡黒液中の0.5%(5000ppm)2-PHは、シリコーン系泡制御薬剤3104と比較して、泡ノックダウンにおいて顕著な改善を有する。この2-PHアルコールは、良好な持続性性能を提示する。また、表3に示されるように、低発泡黒液中の0.125%(1250ppm)2-PHは、ノックダウン性能及びベンチマーク3104と同様の持続性性能に関してより良好な性能を有する。表3に示されるように、2-EHアルコール比較例も評価され、それらは2-PHアルコールほど効果的ではない。
【0030】
【表3-1】
【0031】
【表3-2】
【0032】
表4に示すように、シリコーン3073と2-PH混合物との混合物及びACP1400と2-PHとの混合物は、いくらか驚くべきことに、改善された相乗的性能を示した。したがって、2-PHの存在は、純粋なシリコーン泡制御薬剤よりもノックダウン性能及び持続性性能の両方を改善する。
【0033】
【表4-1】
【0034】
【表4-2】
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡制御薬剤の使用による、紙及びパルプ生成のための泡を制御する方法であって、前記薬剤が、以下の構造を有する少なくとも分岐アルコールを含み、
【化1】

式中、xが、2~8の整数であり、Rが、1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、前記分岐アルコールが、8~12個の炭素原子を有する、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの他の泡制御薬剤又は疎水性材料が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコーンも添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、紙又はパルプ生成に使用される、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】