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特表2023-5529562部型縮合硬化性シリコーン組成物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】2部型縮合硬化性シリコーン組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 85/00 20060101AFI20231213BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20231213BHJP
   C08G 77/42 20060101ALI20231213BHJP
   C08G 79/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C08L85/00
C08K5/5415
C08G77/42
C08G79/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524605
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021059447
(87)【国際公開番号】W WO2022108896
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/114,731
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100227008
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 沙央里
(72)【発明者】
【氏名】グッベルス、フレデリック
【テーマコード(参考)】
4J002
4J030
4J246
【Fターム(参考)】
4J002CP201
4J002DE027
4J002EX046
4J002EX076
4J002FB297
4J002FD010
4J002FD017
4J002FD020
4J002FD090
4J002FD110
4J002FD146
4J002FD200
4J002FD310
4J002GB00
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GP00
4J002GQ00
4J002GQ02
4J030CA01
4J030CB03
4J030CC21
4J030CD11
4J030CE02
4J030CG01
4J030CG20
4J246AA03
4J246AB02
4J246AB11
4J246BA020
4J246BA02X
4J246BB020
4J246BB021
4J246BB02X
4J246BB050
4J246BB053
4J246BB05X
4J246CA120
4J246CA12E
4J246CA12U
4J246CA12X
4J246CA240
4J246CA24X
4J246FA132
4J246FA342
4J246FC143
4J246GA04
4J246GB02
4J246GC17
4J246HA06
4J246HA20
4J246HA22
4J246HA32
4J246HA53
4J246HA56
4J246HA61
(57)【要約】
触媒としての新たなチタン系反応生成物の組み込みのために、標準的なチタン触媒と比較した場合に、水の存在下での改善された安定性及び加速された硬化プロセスの両方を有する組成物を提供することができる、2部型縮合硬化性シリコーン組成物及びその用途。チタン系反応生成物は、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、第1の成分と第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
ステップ(ii)の反応生成物を回収するステップと、を含むプロセスから得られるか又は得ることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物であって、
第1の部であって、
(a)チタン系反応生成物であって、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、前記第1の成分と前記第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
(iii)ステップ(ii)の前記反応生成物を回収するステップと、を含むプロセスから得られるか又は得ることが可能な、チタン系反応生成物、からなるか又はそれを含む、第1の部と、
第2の部であって、
(b)1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物、からなるか又はそれを含む、第2の部と、を含み、
前記第1の部若しくは前記第2の部のいずれか、又は前記第1及び第2の部が、
(c)水、水和された補強用無機充填剤、水和された非補強用無機充填剤、又はこれらの混合物を含む、水の供給源を含有する、2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
構成成分(a)の調製方法における前記第1の成分が、Ti(OR)、Ti(OR)、Ti(OR) 、又は2個のアルコキシ(OR)基が存在し、キレートがチタン原子に2回結合している、キレート化アルコキシチタン分子であり、
式中、Rが、1~20個の炭素を有する直鎖状又は分岐状アルキル基であり、各Rが、同じ又は異なり得、各場合において、最大10個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基から選択される、請求項1に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
構成成分(a)の調製方法における前記第2の成分が、ジアルキルシラノール末端ポリジメチルシロキサンである、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記第2の成分が、25℃で70~20,000mPa.sの粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
構成成分(a)の調製方法が、第3の成分を利用し、1分子当たり1個の末端シラノール基を有するポリジアルキルシロキサンが、ステップ(i)で導入される、請求項1~4のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
構成成分(b)が、1分子当たり少なくとも2個の加水分解性基、代替的に少なくとも3個の加水分解性基を有するシラン、又は式
3-n’ n’Si-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR 2-Z)-Si-R n’3-n’ (7)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり、
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり、n’は、0、1、2又は3であり、yは、0、1又は2、好ましくは2であり、zは、オルガノポリシロキサンポリマーが25℃で50~150,000mPa・sの粘度を有するような整数である)の、1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基若しくは加水分解性基を有する、前記オルガノポリシロキサンポリマーから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
構成成分(c)が水である、請求項1~6のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
構成成分(c)が水である場合、それが、加水分解性基のモル含量に対して0.3:1~1:1のモル比で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
前記組成物の前記第1及び/又は第2の部が、無水充填剤、接着促進剤、レオロジー添加剤、フラックス剤、酸受容体、熱伝導性又は導電性添加剤、塩、染料、香料、防腐剤、可塑剤、活性成分、着色剤、標識剤、防錆剤、抗菌化合物、洗剤、水相安定剤、pH調整剤、顔料、着色剤、UV吸収剤、日焼け止め剤、染料、芳香剤又は香料、酸化防止剤、防汚剤、酸化剤、還元剤、噴射剤ガス、分散助剤、無機塩、抗菌剤、抗真菌剤、漂白剤、金属イオン封鎖剤、酵素、希釈剤、及びこれらの混合物から選択される1個以上の添加剤を含み得る、請求項1~8のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
構成成分(c)が水である場合、水が、前記組成物の前記第1の部又は前記第の2部のうちの一方、又は他方、又は両方に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物を調製するためのプロセスであって、
チタン系反応生成物からなるか又はそれを含む第1の部を提供することであって、以下のステップ:
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、前記第1の成分と前記第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
(iii)ステップ(ii)の前記反応生成物を回収するステップと、に従って、前記チタン系反応生成物を調製することによる、第1の部を提供することと、
第2の部を提供することであって、前記第2の部が、
(b)1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物、からなるか又はそれを含む、第2の部を提供することと、を含み、
前記第1の部若しくは前記第2の部のいずれか、又は前記第1及び第2の部が、
(c)水、水和された補強用無機充填剤、水和された非補強用無機充填剤、又はこれらの混合物を含む、水の供給源を含有する、プロセス。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の反応生成物である、硬化材料。
【請求項13】
請求項10に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物によって、請求項11に記載の硬化材料を作製し、次いで、前記第1の部と前記第2の部とを一緒に混合して硬化させる、方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物の、建築、自動車、電子機器、光学、ソーラー、織物用、不織布、紙コーティング、パーソナルケア、ヘルスケア、セルフシーリングタイヤ、及び分散液に使用するための、シーラント、接着剤、封入剤、ポッタント、コーティング、感圧接着剤、硬化物品における、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、触媒としての新たなチタン系反応生成物の組み込みのために、標準的なチタン触媒と比較した場合に、水の存在下での改善された安定性及び加速された硬化プロセスの両方を有する組成物を提供することができる、2部型縮合硬化性シリコーン組成物及びそれらの用途に関する。
【0002】
当業者には、アルコキシチタン化合物、すなわちアルキルチタネートが、1成分型湿気硬化性シリコーン組成物に好適な触媒であることが周知である(参考文献:Noll,W.Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.399,and Michael A.Brook,silicon in organic,organometallic and polymer chemistry,John Wiley & sons,Inc.(2000),p.285)。チタネート触媒は、スキン又は拡散硬化された1部型縮合硬化性シリコーンエラストマーの配合への使用について、広く記載されている。これらの配合物は、典型的には、15mmよりも薄い層に適用される1部型パッケージで入手可能である。15mmよりも厚い層は材料の深部において未硬化材料を生じることが知られており、これは、非常に深い部分では水分の拡散が非常に遅いためである。スキン又は拡散硬化(例えば、湿気/縮合)は、シーラント/封入材が基材表面上に塗布された後、組成物/空気界面での硬化スキンの形成によって起こる。表面スキンの生成の後、硬化速度は、シーラント/封入材と空気との界面からの塗布されたシリコーン組成物の層の内部(又はコア)への水分の拡散速度、並びに、材料の内部(又はコア)から外部(又は表面)への縮合反応副生成物/排出物の拡散、及び外部/表面から内部/コアへの時間の経過による硬化スキンの漸進的増粘によって変動する。
【0003】
例えば、シリコーンシーラント層のバルクで縮合硬化を活性化するように設計された多成分型組成物は、最近までチタン系触媒を使用していなかった。したがって、スズ又は亜鉛系触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート、スズオクトエート、及び/又は亜鉛オクトエートなどの他の触媒が一般に使用されていた(Noll,W.;Chemistry and Technology of Silicones,Academic Press Inc.,New York,1968,p.397)。使用前に2つ以上の部に保存されるシリコーン組成物において、1つの部は、充填剤を含有しており、この充填剤は、典型的には、生成物のバルクでの縮合硬化を活性化させるために必要な水分を含有する。前述の拡散硬化1部型系とは異なり、2部型縮合硬化系は、一緒に混合すると、深さが15mmより深い部分においてであってもバルク硬化を可能にする。この場合、組成物は、(混合後に)材料バルク全体にわたって硬化する。スキンが形成される場合、それは適用後の最初の数分のみである。その後すぐに、生成物は全体が固形となる。
【0004】
最近まで、チタネート触媒、すなわち、テトラアルキルチタネート(例えば、Ti(OR)、式中、Rは、少なくとも1個の炭素を有するアルキル基である)及びキレート化チタネートは、それぞれ水又はアルコールの存在下で加水分解(例えば、水との反応による官能基中の結合の切断)又はアルコール分解に感受性であることが周知であったので、2部型縮合硬化性組成物を硬化させるための硬化剤中に又は硬化剤として使用されなかった。残念ながら、このタイプのチタン化合物は、急速に反応し、チタンに結合したアルコキシ基に関して対応するアルコールを遊離する。例えば、水分の存在下で、テトラアルキルチタネート触媒は、完全に加水分解して、水酸化チタン(IV)(Ti(OH)4)を形成することができ、これは、シリコーン系組成物中での溶解度が限られている。重要なことに、水酸化チタン(IV)などの水酸化チタンの形成は、縮合硬化性シリコーン組成物を硬化させるための触媒として提供されるチタン系化合物の触媒効率に劇的に悪影響を及ぼす可能性があり、これは、未硬化又はせいぜい部分的にのみ硬化された系をもたらす。スズ(IV)触媒は、例えば、製品の部品のうちの1個に存在する充填剤に含有される水によって同様に影響を受けないことから、この問題は、スズ(IV)触媒では見られず、そのような2部型縮合硬化性組成物が、スズ触媒を必要とするという歴史的理解をもたらす。
【0005】
最近、歴史的な予想に反して、場合によっては、チタン系触媒は、シリコーン系組成物の縮合「バルク硬化」のために設計された多液型、例えば、2部型組成物中の硬化剤において又は硬化剤として利用され得ることが見出された(例えば、国際公開第2016/120270号、国際公開第2018/024858号、及び国際公開第2019/027668号)。これは、スズ硬化縮合系が80℃を超える温度で復元(すなわち、解重合)を受けるため、多くの使用者にとって役立ち、そのため、特に硬化エラストマーが熱に曝露されることになるいくつかの用途、例えば、電子機器用途では、スズ(IV)触媒の使用は望ましくない。しかしながら、これは、重要な利点であるが、チタン系触媒は、当該2部型組成物中の硬化剤において又は硬化剤として使用される場合、スズ(IV)触媒で得られる硬化速度に適合することができない。
【0006】
したがって、スズ(IV)系触媒を使用して硬化されるシリコーン系組成物のゲル化時間に少なくとも適合することができる、チタネート系触媒を使用する好適な2部型シリコーン系組成物を特定する必要がある。
【0007】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物であって、
第1の部であって、
(a)チタン系反応生成物であって、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、第1の成分と第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
(iii)ステップ(ii)の反応生成物を回収するステップと、を含むプロセスから得られるか又は得ることが可能な、チタン系反応生成物、からなるか又はそれを含む、第1の部と、
第2の部であって、
(b)1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物、からなるか又はそれを含む、第2の部と、を含み、
第1の部若しくは第2の部のいずれか、又は第1及び第2の部が、
(c)水、水和された補強用無機充填剤、水和された非補強用無機充填剤、又はこれらの混合物を含む、水の供給源を含有する、2部型縮合硬化性シリコーン組成物が本明細書で提供される。
【0008】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物を調製するプロセスであって、
チタン系反応生成物からなるか又はそれを含む第1の部を提供することであって、以下のステップ:
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、第1の成分と第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
(iii)ステップ(ii)の反応生成物を回収するステップと、に従って、チタン系反応生成物を調製することによる、第1の部を提供することと、
第2の部を提供することであって、当該第2の部が、
(b)1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物、を含むか又はそれからなる、第2の部を提供することと、を含み、
第1の部若しくは第2の部のいずれか、又は第1及び第2の部が、
(c)水、水和された補強用無機充填剤、水和された非補強用無機充填剤、又はこれらの混合物を含む、水の供給源を含有する、プロセスが本明細書で提供される。
【0009】
本明細書で先に記載された組成物の反応生成物である硬化材料も提供される。
【0010】
縮合硬化性シリコーン組成物は、一般に、最低でも3つの成分である、
(i)シリコーンポリマー、典型的には、例えば、構成成分(a)の調製に使用される第2の成分に類似した分子と、(ii)硬化プロセス中にポリマーを架橋して、架橋ネットワークを形成し、硬化したゲル状及び/又はエラストマー材料を創出するように設計された架橋剤分子と、(iii)触媒、例えば、本明細書において成分(i)として定義されるスズ(iv)化合物又はチタネートと、を含む。意図される最終用途に応じて、このような組成物は、存在する場合に硬化材料の特性を調整することができる多種多様な添加剤を含むことができる。
【0011】
構成成分(a)である、本明細書に記載のチタン系反応生成物は、チタン分子の触媒特性を加水分解に対してより安定(水に対して安定)にするように見えるだけでなく、第2の出発成分が、一般に1分子当たり少なくとも2個のシラノール基を有するので、反応生成物は、硬化生成物への反応に利用可能なSi-O-Ti又はシラノール基を有することも理解されたい。したがって、縮合硬化性シリコーン組成物のための硬化剤において又は硬化剤として利用される場合、構成成分(a)を調製するためのプロセスから得られるチタン系反応生成物は、触媒及び少なくとも部分的にシリコーンポリマーの両方として機能し得る。
【0012】
構成成分(a)である、本明細書の組成物のチタン系反応生成物は、第1の成分と第2の成分との反応によって調製される。構成成分(a)を調製するプロセスの第1の成分は、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物、例えば、Ti(OR)、Ti(OR)、Ti(OR) 、又は2個のアルコキシ(OR)基が存在し、キレートがチタン原子に2回結合しているキレート化アルコキシチタン分子であり、式中、Rは、1~20個の炭素、代替的に1~15個の炭素、代替的に1~10個の炭素、代替的に1~6個の炭素を有する直鎖状又は分岐状アルキル基であり、存在する場合、Rは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、2~10個の炭素原子を有するアルキニル基、3~10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、若しくは6~20個の炭素原子を有するフェニル基、又はこれらの混合物などの有機基である。
【0013】
各Rは、任意選択的に、例えば、塩素又はフッ素などの1個以上のハロゲン基で置換された基を含有し得る。Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロヘキシル、フェニル、トリル基、塩素若しくはフッ素で置換されたプロピル基(例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル)、クロロフェニル、ベータ-(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロヘキシル基が挙げられ得るが、これらに限定されない。しかしながら、典型的には、各Rは、同じ又は異なり得、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、代替的にアルキル基、アルケニル基、代替的にアルキル基から選択され、各場合において、1基当たり最大10個の炭素、代替的に最大6個の炭素を有する。
【0014】
上記のように、Rは、1~20個の炭素を有する直鎖状又は分岐状アルキル基であり、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、第三級ブチル及び分岐状第二級アルキル基、例えば、2,4-ジメチル-3-ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。Ti(OR)である場合の第1の成分の好適な例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラn-プロピルチタネート、テトラn-ブチルチタネート、テトラt-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートが挙げられる。第1の成分がTi(OR)である場合、Rは、典型的には、アルキル基であり、例としては、トリメトキシアルキルチタン、トリエトキシアルキルチタン、トリn-プロポキシアルキルチタン、トリn-ブトキシアルキルチタン、トリt-ブトキシアルキルチタン及びトリイソプロポキシアルキルチタネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書の組成物の構成成分(a)を調製するために使用される第1の成分、すなわち、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物は、第1の成分+第2の成分の総重量の0.01重量%~20重量%の量で存在し得る。
【0016】
本明細書の組成物の構成成分(a)を調製するために使用される第2の成分は、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンである。本明細書の組成物の構成成分(a)を調製するために使用される第2の成分は、式(1)
-(R SiO(4-s)/2)- (1)
[式中、各Rは独立して、塩素又はフッ素などの1個以上のハロゲン基で任意選択的に置換された1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基などの有機基であり、sは、0、1又は2である]の複数のシロキサン単位を含むオリゴマー又はポリマーを含んでもよい。一代替例では、sは、2であり、したがって、直鎖状又は分岐状のポリジオルガノシロキサン主鎖は、直鎖状であるが、sが1である基の小さな割合が分岐を可能にするために利用され得る。例えば、Rは、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アルケニル基、例えばビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及び/又はヘキセニル基、シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、並びに芳香族基、例えばフェニル、トリル基を含んでもよい。一代替例では、Rは、アルキル基、アルケニル基及び/又はフェニル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アルケニル基、例えばビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及び/又はヘキセニル基、シクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、並びに芳香族基、例えばフェニル、トリル基を含んでもよい。好ましくは、ポリジオルガノシロキサン鎖は、ポリジアルキルシロキサン鎖、ポリアルキルアルケニルシロキサン鎖又はポリアルキルフェニルシロキサン鎖であるが、これらのいずれか2つ以上のコポリマーも有用であり得る。第2の成分が、ポリジアルキルシロキサン鎖、ポリアルキルアルケニルシロキサン鎖及び/又はポリアルキルフェニルシロキサン鎖を含有する場合、アルキル基は、通常1~6個の炭素を含む。代替的に、アルキル基は、メチル及び/又はエチル基であり、代替的に、アルキル基は、メチル基であり、アルケニル基は、通常、2~6個の炭素を含む。代替的に、アルケニル基は、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル及び/又はヘキセニル基、代替的にビニル、プロペニル及び/又はヘキセニル基であってもよい。一代替例では、ポリジオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン鎖、ポリメチルビニルシロキサン鎖若しくはポリメチルフェニルシロキサン鎖、又はこれらの2つ若しくは全てのコポリマーである。
【0017】
疑念を回避するために、ポリジオルガノシロキサンポリマーは、高分子量の分子(一般に、10,000g/mol以上の数平均分子量を有し、ポリマー様特性を示す多数の-(R SiO(4-s)/2)-単位を含み、1個又はいくつかの単位の付加又は除去が特性に対して無視できる効果を有するから構成される物質を意味する。対照的に、ポリジオルガノシロキサンオリゴマーは、平均分子量が低すぎる規則的な繰り返し構造-(R SiO(4-s)/2)-単位を有する化合物であり、例えば、少数のモノマー単位からなる分子、例えば、ダイマー、トリマー、及びテトラマーは、例えば、それぞれ2つ、3つ、及び4つのモノマーから構成されるオリゴマーである。
【0018】
直鎖状の場合、各末端基は、1個のシラノール基を含有しなければならない。例えば、ポリジオルガノシロキサンは、ジアルキルシラノール末端、アルキルジシラノール末端又はトリシラノール末端であってもよいが、好ましくはジアルキルシラノール末端である。分岐状の場合、第2の成分は、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール(Si-OH)結合を有していなければならず、そのため、ジアルキルシラノール基、アルキルジシラノール基及び/又はトリシラノール基であるが、典型的にはジアルキルシラノール基である少なくとも2個の末端基を含む。
【0019】
典型的には、本明細書の組成物の構成成分(a)を調製するために使用される第2の成分は、25℃で30~300000mPa.s、代替的に50~100000mPa.s、代替的に25℃で70~75,000mPa.s、代替的に25℃で70~50,000mPa.s、代替的に25℃で70~20,000mPa.s、代替的に25℃で70~10,000mPa.sのオーダーの粘度を有する。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Modular Compact Rheometer(MCR)302 Anton Paar GmbH of Graz,Austriaを使用して、関係する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する25mm直径の回転プレートを使用して測定され得る。
【0020】
シリコーンの数平均分子量(number average molecular weight、Mn)及び重量平均分子量(weight average molecular weight、Mw)は、ポリスチレン校正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography、GPC)によって決定することもできる。この技法は標準的技法であり、Mw(重量平均)、Mn(数平均)及び多分散指数(polydispersity index、PI)[ここで、PI=Mw/Mn]の値が得られる。
【0021】
本出願で提供されるMn値は、GPCによって決定され、使用されるポリジオルガノシロキサンの典型値を表す。GPCによって提供されない場合、Mnはまた、当該ポリジオルガノシロキサンの動的粘度に基づく計算から得ることができる。
【0022】
本明細書の組成物の構成成分(a)を調製するために使用される反応は、任意の好適な温度で行うことができるが、典型的には室温で開始する。温度は、反応及び/又は撹拌中に上昇してもよく、所望であれば、成分を反応中に加熱してもよい。
【0023】
本明細書の組成物の構成成分(a)を調製するために使用される反応は、反応中に生成されるアルコール副生成物の総量の少なくとも50重量%、代替的に少なくとも75重量%、代替的に少なくとも90%を除去する目的で、真空下で起きる。上記は、いくつかの分析技術によって決定することができ、その最も単純なものは、反応生成物からの重量損失の決定である。
【0024】
現在の理解に束縛されるものではないが、第1の成分がTi(OR)である場合の上記の反応の主な反応生成物は、
(RO)Ti((OSiR -OH)4-n (2)
(式中、nは、0、1又は2であり、代替的に0又は1であるが、好ましくは主生成物は、nが0である)、すなわち
Ti((OSiR -OH) (3)
(式中、mは、第2の成分の重合度であり、その粘度を示す(相応する)整数である)の混合物である。
【0025】
同様に、第1の成分が実質的にTi(OR)である場合、aが0又は1である上記の反応の主な反応生成物は、
(RO)Ti((OSiR -OH)3-a (4)
であるが、好ましくは、主生成物は、aが0であり、すなわち
Ti((OSiR -OH) (5)
(式中、mは、第2の成分の重合度であり、第2の成分の粘度を示す(相応する)整数である)であると考えられる。
【0026】
任意選択的に、本明細書の組成物の構成成分(a)の調製において使用される第3の成分が存在してもよい。存在する場合、第3の成分は、直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンであり、第2の成分について記載したようなオリゴマー又はポリマーであってもよい。しかしながら、第3の成分は、第1の成分とSi-O-Ti結合を形成するための上述の反応において使用するために、1分子当たり1個の末端シラノール基のみを有する。第3の成分の他の末端基は、シラノール基を含有しない。シラノール基を含有しない末端基は、上で定義されたR基、代替的にアルキル及びアルケニルR基の混合物、代替的にアルキルR基を含んでもよい。例としては、トリアルキル末端、例えば、トリメチル若しくはトリエチル末端、又はジアルキルアルケニル末端、例えば、ジメチルビニル若しくはジエチルビニル若しくはメチルエチルビニル末端などが挙げられる。
【0027】
典型的には、本明細書の組成物の構成成分(a)の調製に使用される第3の成分はまた、25℃で30~300000mPa.s、代替的に50~100000mPa.s、代替的に25℃で70~75,000mPa.s、代替的に25℃で70~50,000mPa.s、代替的に25℃で70~20,000mPa.s、代替的に25℃で70~10,000mPa.sのオーダーの第2の成分の粘度と類似の粘度を有する。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Modular Compact Rheometer(MCR)302 Anton Paar GmbH of Graz,Austriaを使用して、関係する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する25mm直径の回転プレートを使用して測定され得る。
【0028】
第3の成分は、第1、第2及び第3の成分の重量の組み合わせの最大75重量%の量で存在してもよく、それによって第3の成分が第2の成分の当量比を置き換える。しかしながら、好ましくは、第3の成分は、存在する場合、第1、第2及び第3の成分の50%以下、代替的に25%以下の量で存在する。第3の成分が存在する場合、構造(2)、(3)、(4)又は(5)中の1個以上のシラノール基は、R基、代替的にアルキル基又はアルケニル基、代替的にアルキル基によって置き換えられてもよい。例えば、構造(2)の場合、反応生成物は、以下の構造(2a):
(RO)Ti ((OSiR -R((OSiR -OH)4-n-p (2a)
(式中、nは、0、1又は2、代替的に0又は1であり、pは、0、1又は2、代替的に0又は1であり、n+pは4以下であり、mは先に定義した通りである)に示すものであってもよい。
【0029】
構造(2)、(3)、(4)又は(5)に示されるタイプの触媒が存在する場合、末端シラノール基は、硬化シリコーンネットワークの形成に関与するために潜在的に利用可能であり、完全に配合されたエラストマーにおいてそれらを有用にするので、本明細書の組成物の構成成分(a)の調製において反応物として第3の成分を含まないことが好ましい。これは、本明細書に記載される組成物中の構成成分(a)として使用され得るチタン系反応生成物を作製するためのプロセスにおいて、より多くの量の第3の成分が出発成分として使用される場合に、明らかにより少ないようである。しかしながら、出発材料中の第3の成分のいくらかの存在は、本明細書に記載のプロセスの生成物を使用して硬化されたエラストマーの必要な弾性率を得るのを助けるのに有用であり得る。
【0030】
本明細書の組成物の構成成分(a)の調製に使用されるプロセスにおける出発成分が第1及び第2の成分である場合、シラノール基:チタンのモル比は、2:1以上の任意の好適な比であってもよい。しかしながら、この比は5:1~15:1、代替的に7:1~15:1、代替的に少なくとも8:1~11:1の範囲内であることが好ましい。より低い比は、より粘性の高い反応生成物の存在及びより少ない第1の成分の存在をもたらし、より遅いゲル化時間をもたらすようである。
【0031】
合計のシラノールモル含量を、第1及び第2の成分の100gに対して計算する。第2の成分に対するシラノールモル含量は、第1及び第2の成分の100g中のシラノール含有ポリマーの量(グラム(g)単位)を、第2の成分の数平均分子量で除算し、第2の成分中に存在するシラノール官能基の平均数(典型的には2)を乗じた値に等しい。出発成分中にいくつかのシラノール官能性直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンが存在する場合、各ポリマーのモル含量の合計を決定し、次いで、全ての直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンからの累積合計を足し合わせ、配合物中の全シラノールのモル含量とする。
【0032】
触媒の出発成分のモル量を、以下の計算を使用して決定した:
【0033】
【数1】
【0034】
したがって、単に例として、成分1がテトラn-ブチルチタネート(TnBT)である場合、成分1及び成分2が、10:1の重量比で混合された場合、すなわち、TnBTの分子量が340であると仮定すると、成分1の1重量部ごとに成分2の10重量部が混合された場合、計算は、以下になる。
【0035】
【数2】
【0036】
本明細書の組成物の構成成分(a)の調製において使用されるプロセスの一実施形態では、第1の成分は、第2の成分に添加されるか、又は第3の成分が存在する場合、第1の成分は、第2の成分と第3の成分との混合物に添加される。
【0037】
本明細書の組成物の構成成分(a)の調製に使用される代替的な実施形態では、第2の成分を第1の成分に導入してもよい。この実施形態は、揮発性アルコール(R-OH)が以下の化学反応(6)に従って生成される第1の成分として使用されるタイプのチタネートが、実質的に常にいくらかのアルコール残留物を含有するので、環境からの水分に起因して一般に可燃性であるため、上記よりも不便である。チタン触媒の引火点は、アルコール燃焼性に依存する。
Ti-OR+HO(空気からの水分)→Ti-OH+R-OH
Ti-OR+Si-OH→Ti-O-Si+R-OH (6)
したがって、この方法は、防爆製造プロセスを必要とし、第2の成分は、徐々に計量された方法で第1の成分に導入される。この経路は、少なくとも最初は、第2の成分の含量が徐々に増加するまで、より濃縮された触媒をもたらす可能性が高い。この実施形態はまた、アルコール性副生成物を首尾よく除去することがより困難であり、第2の成分の含量が一般に第1の成分よりも重量及び体積ではるかに多いため、あまり好ましくない。
【0038】
しかしながら、反応生成物は、分離せずに非常に良好に機能するので、組成物の構成成分(a)として特定のチタン種を単離するために複雑な分離技術を使用する必要がないことが分かった。
【0039】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物の構成成分(b)は、1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物である。構成成分(b)は、架橋剤として効果的に機能し、そのため1分子当たり最低2個、好ましくは3個以上の加水分解性基を必要とする。ある場合には、構成成分(b)は、鎖延長剤と考えられ得、すなわち、構成成分(a)のチタン系反応生成物が1個又は2個の化学的に利用可能なシラノール基のみを有する場合には、構成成分(a)のチタン系反応生成物が1分子当たり3個以上の反応性基を有する場合には架橋剤として使用することができ、これは、この場合、典型的には標準であると予想される。したがって、構成成分(b)は、構成成分(a)中のシラノール基に対して反応性であるケイ素結合縮合性基(好ましくはヒドロキシル基及び/又は加水分解性基)を、1分子当たり2個有し得るが、代替的に3個以上有する。
【0040】
一実施形態では、本明細書の組成物の構成成分(b)は、式
3-n’ n’Si-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR -Z)-Si-R n’3-n’ (7)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり、
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり、n’は、0、1、2又は3であり、yは、0、1又は2、好ましくは2であり、zは、当該オルガノポリシロキサンポリマーが25℃で50~150,000mPa・s、代替的に25℃で50~100000mPa.s、代替的に25℃で70~75,000mPa.s、代替的に25℃で70~50,000mPa.s、代替的に25℃で70~20,000mPa.s、代替的に25℃で70~10,000mPa.sの粘度を有するような整数である)の1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基又は加水分解性基を有する、オルガノポリシロキサンポリマーである。したがって、zの値は、そのような粘度を可能にする(と相応する)整数であり、代替的にzは、100~5000の整数である。yは、0、1又は2であるが、実質的にy=2であり、例えば、R SiO(4-y)/2基の少なくとも90%、代替的に95%が、y=2で特徴付けられる。
【0041】
粘度は、任意の好適な手段、例えば、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、関係する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する25mm直径の回転プレートを使用して測定され得る。
【0042】
オルガノポリシロキサンポリマーである場合の構成成分(b)の各X基は、同じ又は異なり得、ヒドロキシル基、又は縮合性若しくは加水分解性基であり得る。「加水分解性基」という用語は、室温で水によって加水分解される、ケイ素に結合した任意の基を意味する。加水分解性基Xは、式-OTの基を含み、式中、Tは、メチル、エチル、イソプロピル、オクタデシルなどのアルキル基、アリル、ヘキセニルなどのアルケニル基、アセチル基、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ベータ-フェニルエチルなどの環状基、2-メトキシエチル、2-エトキシイソプロピル、2-ブトキシイソブチル、p-メトキシフェニル、又は
-(CHCHO)CHなどの炭化水素エーテル基である。
【0043】
最も好ましいX基は、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。例示的なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、オクタデシルオキシ、及び2-エチルヘキソキシ、メトキシメトキシ又はエトキシメトキシなどのジアルコキシ基、エトキシフェノキシなどのアルコキシアリールオキシである。最も好ましいアルコキシ基は、メトキシ基あるいはエトキシ基である。d=1の場合、n’は、典型的には0又は1であり、各Xは、アルコキシ基、代替的に1~3個の炭素を有するアルコキシ基、代替的にメトキシ又はエトキシ基である。そのような場合、オルガノポリシロキサンポリマーである場合の構成成分(b)は、以下の構造:
3-n’ n’Si-(Z)-(R SiO(4-y)/2-(SiR -Z)-Si-R n’3-n’
を有するとき、R、R、Z、y及びzは、以前に上で特定されたのと同じであり、n’は、0又は1であり、各Xは、アルコキシ基である。
【0044】
各Rは、アルキル基、代替的に1~10個の炭素原子、代替的に1~6個の炭素原子、代替的に1~4個の炭素原子を有するアルキル基、代替的にメチル又はエチル基、アルケニル基、あるいは2~10個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子を有するアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、及びヘキセニル基、芳香族基、あるいは6~20個の炭素原子を有する芳香族基、3,3,3-トリフルオロプロピル基などの置換脂肪族有機基、アミノアルキル基、ポリアミノアルキル基、及び/又はエポキシアルキル基、から個別に選択される。
【0045】
各Rは、X又はRからなる群から個別に選択されるが、但し、1分子当たり累積で少なくとも2つのX基及び/又はR基は、ヒドロキシル基又は加水分解性基である。いくつかのR基は、ポリマー主鎖からの、シロキサン分岐であり得、その分岐は、先に記載されたような末端基を有し得ることが可能である。最も好ましいRは、メチルである。
【0046】
各Zは、独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。一代替例では、各Zは、独立して、2~6個の炭素原子を有するアルキレン基から選択され、更なる代替例では、各Zは、独立して、2~4個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される。各アルキレン基は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、及び/又はヘキシレン基から個別に選択され得る。
【0047】
加えて、n’は、0、1、2、又は3であり、dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1である。一代替例では、qが1である場合、n’は、1又は2であり、各Xは、OH基又はアルコキシ基である。別の代替例では、dが1である場合、n’は、0又は1であり、各Xは、アルコキシ基である。
【0048】
オルガノポリシロキサンポリマーである場合の構成成分(b)は、式(7)によって表される単一のシロキサンであり得、又はそれは、上記の式によって表されるオルガノポリシロキサンポリマーの混合物であり得る。したがって、オルガノポリシロキサンポリマーである場合の構成成分(b)に関する「シロキサンポリマー混合物」という用語は、任意の個々のオルガノポリシロキサンポリマー又はオルガノポリシロキサンポリマーの混合物を含むことを意味する。
【0049】
重合度(Degree of Polymerization、DP)(すなわち、実質的に上記式におけるz)は、通常、シリコーンの巨大分子若しくはポリマー又はオリゴマー分子中のモノマー単位の数として定義される。合成ポリマーは、異なる重合度を有する巨大分子種、したがって異なる分子量を有する巨大分子種の混合物から本質的になる。異なるタイプの平均ポリマー分子量が存在し、それらは異なる実験で測定することができる。2つの最重要のものは、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)である。シリコーンポリマーのMn及びMwは、ポリスチレン校正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、約10~15%の精度で測定することができる。この技術は標準的であり、Mw、Mn、及び多分散指数(PI)が得られる。重合度(DP)=Mn/Muであり、式中、MnはGPC測定からの数平均分子量であり、Muはモノマー単位の分子量である。PI=Mw/Mnである。DPは、Mwによりポリマーの粘度に関連し、DPが高くなるほど粘度が高くなる。
【0050】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物の構成成分(b)が上記のようなオルガノポリシロキサンポリマーである場合、それは、組成物の1~95重量%、代替的に組成物の35~55重量%、代替的に40~55重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0051】
代替的な実施形態では、構成成分(b)は、
-1分子団当たり少なくとも2個の加水分解性基、あるいは少なくとも3個の加水分解性基を有するシラン、及び/又は
-少なくとも2個のシリル基を有するシリル官能性分子であって、各シリル基が少なくとも1個の加水分解性基を含有する、シリル官能性分子
であり得る。
【0052】
本明細書の開示の目的で、シリル官能性分子は、2個以上のシリル基を含有する、シリル官能性分子であり、各シリル基は、少なくとも1個の加水分解性基を含有する。したがって、ジシリル官能性分子は、各々少なくとも1個の加水分解性基を有する2個のケイ素原子を含み、これらのケイ素原子は、上記以外の有機鎖又はシロキサン鎖によって分離されている。典型的には、ジシリル官能性分子上のシリル基は、末端基であってもよい。スペーサーは、ポリマー鎖であってもよい。
【0053】
シリル基上の加水分解性基としては、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基);ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ(ketoximo)基及びイソブチルケトキシミノ(isobutylketoximino)基);アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、及びプロポキシ基)、並びにアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ基及び1-エチル-2-メチルビニルオキシ基)が挙げられる。場合によっては、加水分解性基はヒドロキシル基を含んでもよい。
【0054】
構成成分(b)がシランである場合、当該シランは、アルコキシ官能性シラン、オキシモシラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン及び/又はエノキシシランを含んでもよい。
【0055】
構成成分(b)がシランであり、シランが1分子当たり3個のケイ素結合加水分解性基のみを有する場合、第4の基は、好適には、非加水分解性のケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は、好適には、フッ素及び塩素などのハロゲンによって任意選択的に置換されたヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基);シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基);アルケニル基(例えば、ビニル基及びアリル基);アリール基(例えば、フェニル基及びトリル基);アラルキル基(例えば、2-フェニルエチル基)並びに前述の有機基中の水素の全部又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られた基が挙げられる。第4のケイ素結合有機基は、メチル基であってもよい。
【0056】
典型的なシランは、式(8)
R”4-rSi(OR(8)
[式中、Rは、上記のとおりであり、rは2、3又は4の値を有する]によって記載することができる。典型的なシランは、R”がメチル、エチル又はビニル又はイソブチルを表すものである。R”は、直鎖状及び分枝状のアルキル、アリル、フェニル、及び置換フェニル、アセトキシ、オキシムから選択される、有機基である。場合によっては、Rはメチル又はエチルを表し、rは3である。
【0057】
構成成分(b)に好適なシランの別のタイプ)は、Si(OR[式中、Rは上記のとおり、代替的にプロピル、エチル又はメチルである]のタイプの分子である。Si(ORの部分縮合体も考えられ得る。
【0058】
更なる実施形態では、構成成分(b)は、各々少なくとも1個で最大3個の加水分解性基を有するシリル基を少なくとも2個有するか、代替的に各シリル基が少なくとも2個の加水分解性基を有する、シリル官能性分子である。
【0059】
構成成分(b)は、ジシリル官能性ポリマー、すなわち、2個のシリル基を含有し、各々が式(4)
(RO)m’(Y3-m’-Si(CH-((NHCHCH-Q(CHn”-Si(ORm’(Y3-m’(4)
[式中、Rは、C1~10アルキル基であり、Yは、1~8個の炭素を含有するアルキル基であり、
Qは、孤立電子対を有するヘテロ原子を含有する化学基、例えば、アミン、N-アルキルアミン又は尿素であり、各xは、1~6の整数であり、tは、0又は1であり、各mは、独立して1、2又は3であり、nは0又は1である]
により記載されるものなどの加水分解性基を少なくとも1個含有する、ポリマーであってもよい。
【0060】
構成成分(b)がジシリル官能性ポリマーである場合、ポリマーは、有機ポリマー主鎖を有してもよい。シリル(例えば、ジシリル)官能性構成成分(b)のポリマー主鎖は、有機であってもよく、すなわち、構成成分(b)は、シリル末端基を有する有機系ポリマー、例えば、シリルポリエーテル、シリルアクリレート及びシリル末端ポリイソブチレンを含んでもよい。シリルポリエーテルの場合、ポリマー鎖はポリオキシアルキレン系単位をベースとする。このようなポリオキシアルキレン単位は、好ましくは、平均式(-Cn’’’2n’’’-O-)[式中、nは2~4の整数であり、yは少なくとも4の整数である]により表される、繰り返しオキシアルキレン単位(-C2n-O-)から構成される、直鎖状の主としてオキシアルキレンのポリマーを構成する。同様に、粘度は、25℃で≦1000mPa.s、代替的に25℃で250~1000mPa.s、代替的に25℃で250~750mPa.sであり、存在する各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの好適な数平均分子量を有する。粘度は、任意の好適な手段、例えば、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、関係する粘度に最も好適な設定及びプレートを使用して、例えば、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する25mm直径の回転プレートを使用して測定され得る。更に、オキシアルキレン単位は、必ずしもポリオキシアルキレンモノマー全体にわたって同一でなく、単位ごとに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレンブロック又はポリマーは、例えば、オキシエチレン単位(-C-O-)、オキシプロピレン単位(-C-O-)、若しくはオキシブチレン単位(-C-O-)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
他のポリオキシアルキレン単位としては、例えば、構造
-[-R-O-(-R-O-)-Pn-CR -Pn-O-(-R-O-)-R]-
[式中、Pnは1,4-フェニレン基であり、各Rは同一であるか又は異なり、2~8個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、各Rは同一であるか又は異なり、エチレン基又はプロピレン基であり、各Rは同一であるか又は異なり、水素原子又はメチル基であり、下付き文字w及びqの各々は3~30の範囲の正の整数である]の単位を挙げることができる。
【0062】
本出願の目的で、「置換」とは炭化水素基中の1個以上の水素原子が別の置換基で置換されていることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素などのハロゲン原子;クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、及びノナフルオロヘキシル基などのハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル基及びカルボキシル基などの酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基などの窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基などの硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
このような有機系架橋剤の場合、分子構造は、直鎖状、分岐状、環状又は高分子、すなわちアルコキシ官能性末端基を有する有機ポリマー鎖であり得る。
【0064】
任意の好適な加水分解性基が利用され得るが、加水分解性基は、アルコキシ基であり、そのため、末端シリル基は、-RSi(OR、-Si(OR、-R SiOR又は-(RSi-R-SiR (OR3-p[式中、各Rは独立して、一価のヒドロカルビル基、例えば、アルキル基、特に1~8個の炭素原子を有するものを表し(好ましくはメチルであり)、各R及びR基は、独立して最大6個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、最大6個のケイ素原子を有する1個以上のシロキサンスペーサーにより介在され得る二価の炭化水素基であり、pは値0、1又は2である]などの式を有してもよい。典型的には、各末端シリル基は、2個又は3個のアルコキシ基を有する。
【0065】
したがって、構成成分(b)としては、メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane、MTM)及びメチルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、テトラエトキシシラン、部分縮合テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランなどのアルケニルトリアルコキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(isobutyltrimethoxysilane、iBTM)が挙げられる。その他の好適なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ-ブトキシジアセトキシシラン、フェニル-トリプロピオノキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル-トリス-メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシイミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、n-プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン、オキシモシラン、アセトキシシラン、アセトンオキシムシラン、エノキシシラン及びその他の3官能性アルコキシシランなど、並びにこれらの部分加水分解縮合生成物;1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン(あるいは、ヘキサメトキシジシリルヘキサンとしても知られている)、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)アミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)N-アルキルアミン、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)N-アルキルアミン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)尿素、ビス(ジアルコキシアルキルシリルアルキル)尿素、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、
ビス(4-トリエトキシシリルブチル)アミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、
ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、
ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)尿素、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)アミン、ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)アミン、
ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、
ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン、
ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、
ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシメチルシリルブチル)尿素、
ビス(4-ジエトキシメチルシリルブチル)尿素、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)アミン、
ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)アミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)アミン、
ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)アミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)N-メチルアミン、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、
ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)N-メチルアミン、ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)尿素ビス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)尿素、ビス(4-ジメトキシエチルシリルブチル)尿素及び/又は
ビス(4-ジエトキシエチルシリルブチル)尿素;ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)尿素、ビス(トリエトキシシリルプロピル)尿素、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)N-メチルアミン;ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリジアルキルシロキサン、ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリアリールアルキルシロキサン、ジ又はトリアルコキシシリル末端ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート;ポリイソブチレン;ジ又はトリアセトキシシリル末端ポリジアルキル;ポリアリールアルキルシロキサン;ジ又はトリオキシイミノシリル末端ポリジアルキル;ポリアリールアルキルシロキサン;ジ又はトリアセトノキシ末端ポリジアルキル又はポリアリールアルキルが挙げられる。使用される構成成分(b)はまた、上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0066】
構成成分(b)が上記のような1個以上のシラン又はシリル官能性分子である場合、それらは、組成物の1~25重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0067】
好ましくは、構成成分(b)は、チタンを含まない。
【0068】
組成物の構成成分(c)は、水、水和された強化無機充填剤、水和された非強化無機充填剤又はそれらの混合物を含む水の供給源である。
【0069】
充填剤が存在しない場合、水の供給源は、水自体、好ましくは蒸留水であってもよい。代替的に、充填剤入り組成物において、存在する水和された強化無機充填剤及び/又は水和された非強化無機充填剤は、組成物中の水の供給源であってもよい。更なる代替例では、水の供給源は、組成物に導入された水と、水和充填剤に含有される水との混合物であってもよい。疑念を回避するために、本明細書では水を含有する充填剤を水和充填剤と呼び、水を含有しないと考えられる充填剤を無水充填剤と呼ぶものとする。更に、疑念を回避するために、上記のような水分は、水を意味する。
【0070】
充填剤中に存在する水(水分)の量は、ISO 787-2:1981に従って、充填剤を秤量し、充填剤を乾燥させ、差異に注目し、以下の式を使用して計算される含水率(%)を決定することによって決定され得る
含水率(%)=100×(充填剤の元の重量-充填剤の乾燥重量)/充填剤の元の重量。
【0071】
疑念を回避するために、以下について理解されたい:
水分のモル数=水のモル数である。
【0072】
出発充填剤材料100g当たりの水分のモル数は、
(含水率(%)×18)であり、これから組成物中に添加された充填剤中に存在する水分/水の量を、組成物中で使用される充填剤の重量に基づいて決定することができる。
【0073】
組成物の構成成分(c)が水和充填剤からなるか又はそれを含む場合、水和充填剤は、1個以上の補強充填剤若しくは1個以上の非補強充填剤又は両方の組み合わせであってもよい。例えば、水和充填剤は、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、コロイド状シリカ及び/又は沈降シリカなどの1個以上の微粉化補強充填剤を含有してもよい。典型的には、水和補強充填剤の表面積は、ISO 9277:2010に準拠してBET法によって測定して、沈降炭酸カルシウムの場合、少なくとも15m/g、代替的に15~50m/g、代替的に15~25m/gである。水和シリカ補強充填剤は、少なくとも50m/gの典型的な表面積を有する。水和シリカ充填剤は、沈降シリカ及び/又はヒュームドシリカであってもよい。高表面積ヒュームドシリカ及び/又は高表面積沈降シリカの場合、これらは、ISO 9277:2010に準拠したBET法を使用して測定して、75~450m/g、代替的にISO 9277:2010に準拠したBET法を使用して100~400m/gの表面積を有することができる。
【0074】
典型的には、水和充填剤は、選定された充填剤に応じて、組成物の約5~45重量%、代替的に組成物の約5~30重量%、代替的に組成物の約5~25重量%の量で組成物中に存在する。
【0075】
水和補強充填剤は、例えば、1個以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸若しくはステアレートなどの脂肪酸エステルを用いて、又は、オルガノシラン、ポリジオルガノシロキサン若しくはオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン、又は短鎖シロキサンジオールを用いて、疎水性処理を行って水和補強充填剤を疎水性にし、ひいては他の接着剤成分との均質混合物を処理すること、またそれを得ることをより容易にし得る。充填剤の表面処理は、構成成分(a)及び(b)が存在する場合、構成成分(a)及び(b)によって充填剤を容易に湿潤させる。これらの表面改質充填剤は、凝集せず、構成成分(a)及び/又は(b)中に均一に組み込むことができる。これにより、未硬化組成物の室温での機械的特性が改善される。充填剤を、前処理してもよく、又は構成成分(a)及び/若しくは(b)と混合する際にin situで処理してもよい。
【0076】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物は、早期硬化を防止するために、使用前に2部型で保存される。反応生成物(a)は、しばしばA部と呼ばれる一方の部に存在し、構成成分(b)は、しばしばB部と呼ばれる他方の部に存在する。標準的な組成物中のA部組成物は、ポリマー及び触媒を含んでもよいが、前述のように、本明細書のチタン系反応生成物は、ポリマー及び触媒の両方として効果的に機能する。シラノール又は加水分解性末端基を有するポリマーが水の供給源とともにA部中に存在する場合、A部は硬化する。
【0077】
構成成分(a)及び(b)が使用前に別々の部に保持される場合、構成成分(c)は、A部組成物及び/又はB部組成物中に存在してもよい。本発明者らの見解では、水の供給源が、標準的なチタネート触媒とともに存在するかのように、構成成分(a)を有するA部組成物中に含まれ得、チタネートが加水分解され、効果的に触媒的に不活性化されることは、特に驚くべきことである。しかしながら、水は、本明細書の構成成分(a)を不活性化するようには見えず、確かに有意な程度ではなく、A部とB部とが一緒に混合される場合、どの部が構成成分(c)の水の供給源を含有するかに関係なく硬化生成物が生成される。
【0078】
更に、構成成分(a)が加水分解に対して耐性であるように見えるだけでなく、以下の実施例に見られるように、A部及びB部がテトライソプロピルチタネート(tetra isopropyl titanate、TiPT)などの標準的なチタネート触媒よりもはるかに速く一緒に混合される場合に組成物を硬化させるように見える。それだけでなく、以下の実施例における非流動時間及びゲル化時間の結果は、それらの硬化機能が、スズ(IV)触媒を用いて硬化される組成物より速くないとしても、同じくらい速く硬化する組成物をもたらすことを示す。これは、チタン硬化生成物が80℃を超える温度で復元を受けないので、特に有利である。構成成分(c)が水である場合に存在する構成成分(c)の量は、モル単位で、任意の好適な量であってよいが、好ましくは、加水分解性基のモル含量に対して0.3:1~1:1の比である。水は、A部若しくはB部に存在してもよく、又は所望によりA部及びB部に存在してもよい。
【0079】
2つの部は、任意の好適な重量比で混合することができる。本組成物において、これは、構成成分(b)として使用される化合物のタイプに依存し得る。構成成分(b)がポリマーである場合、混合されたときのA部:B部の重量比は、典型的には1:1の重量比に向かう傾向があるが、構成成分(b)がシランなどのより小さい化合物である場合、重量比はあまり等しくない。したがって、そのような重量比は、15:1~1:1、代替的に10:1~1:1、代替的に5:1~1:1である傾向があり得る。しかしながら、混合物の重量比は、硬化後に所望の弾性率に達するように変えることができる。
【0080】
前述の組成物は、組成物の意図される最終用途に応じて種々の添加剤を含んでもよい。添加剤は、意図される最終用途に依存し、無水充填剤、接着促進剤、フラックス剤、レオロジー添加剤、酸受容体、導電性及び熱伝導性添加剤、塩、染料、香料、防腐剤、可塑剤、活性成分、着色剤、標識剤、防錆剤、抗菌化合物、洗剤、水相安定剤、pH調節剤、顔料、着色剤、UV吸収剤、日焼け止め剤、染料、芳香剤又は香料、酸化防止剤、防汚剤、酸化剤、還元剤、噴射剤ガス、分散助剤、無機塩、抗菌剤、抗真菌剤、漂白剤、金属イオン封鎖剤、酵素、希釈剤及びこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0081】
無水補強充填剤及び/又は無水増量充填剤としては、例えば、沈降性シリカ及び摩砕シリカ、沈降性カルシウム及び摩砕炭酸カルシウム、処理シリカ、ガラスビーズ、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、石英、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、三水酸化アルミニウム、細断KEVLAR(商標)などの細断繊維、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0082】
接着促進剤
好適な接着促進剤は、式R14 Si(OR15(4-h)[式中、下付き文字hは、1、2、又は3であり、代替的にhは3である]のアルコキシシランを含んでもよい。各R14は独立して一価の有機官能基である。R14は、グリシドキシプロピル基若しくは(エポキシシクロヘキシル)エチル基などのエポキシ官能基、アミノエチルアミノプロピル基若しくはアミノプロピル基などのアミノ官能基、メタクリルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基などのメルカプト官能基、又は不飽和有機基であり得る。各R15は、独立して、少なくとも1個の炭素原子を有する非置換飽和炭化水素基である。R15は、1~4個の炭素原子、代替的に1~2個の炭素原子を有してもよい。R15の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルが挙げられる。存在する場合、接着促進剤は、混合したときに全組成物の重量に基づいて、0.01重量%~2重量%、あるいは0.05重量%~2重量%、あるいは0.1重量%~1重量%の接着促進剤の量で存在する。存在する場合、接着促進剤の加水分解性(アルコキシ基は、上記の比を決定するときに計算に含まれる。
【0083】
好適な接着促進剤の例としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びグリシドキシプロピルトリメトキシシランとアルミニウムキレート又はジルコニウムキレートとの組み合わせが挙げられる。接着促進剤の例は、米国特許第4,087,585号及び同第5,194,649号に見ることができる。好ましくは、生成物ネットワークへの組み込みよりも基材への分子の拡散に有利となるように、接着促進剤の加水分解速度は、架橋剤の加水分解速度よりも遅くする必要がある。
【0084】
好適な界面活性剤としては、シリコーンポリエーテル、エチレンオキサイドポリマー、プロピレンオキサイドポリマー、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのコポリマー、その他のノニオン性界面活性剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。組成物は、組成物の重量に基づいて最大0.05重量%の界面活性剤を含んでもよい。
【0085】
上述の、組成物の2つの部を相互混合して硬化することにより、本明細書で前述した材料を製造する方法もまた、本明細書において提供される。一実施形態における相互混合の後、縮合硬化性材料組成物を、例えば、カーテンコーター、スプレーデバイス、ダイコーター、ディップコーター、押出しコーター、ナイフコーター、及びスクリーンコーターなどの好適なディスペンサを使用して基材上に塗布することができ、材料硬化時にこの基材上にコーティングを提供する。
【0086】
上記の組成物の生成物は、建築用途、例えば、ガラス積層及びガラス用スペーサー、自動車用途、例えばセルフシーリングタイヤ用タイヤシーラント、エレクトロニクス用途、例えば導電性材料、LED用クリスタルクリア材料、ソーラー、エレクトロニクス、及び光学デバイス用ポッタント、ディスプレイ及び光学用途、ソーラー用途、例えばソーラーカプセル材料、パーソナルケア、例えばヘアケア、スキンケア、及びヘルスケア用途に使用するための、シーラント、接着剤、例えば構造用接着剤及び感圧接着剤、封入剤、ポッタント、コーティング、感圧接着剤、硬化物品を配合するために利用され得る。
【0087】
例えば、電子用途の場合、任意の好適な電気部品又は電子部品を、上述した硬化材料で封止する場合があるが、本明細書の硬化材料により、気泡及びクラックの発生を抑制することができ、またこれは、高温条件下であっても電気部品又は電子部品への良好な接合を示すので、本発明の硬化材料を、高温条件下で使用される電力デバイス、特に、モーター制御、輸送用モーター制御、発電システム、又は宇宙輸送システムなどの電力デバイスで有利に使用することができる。そのような生成物は、影響を受けやすい部品への熱サイクルの影響を軽減するためのエレクトニクスのための埋込材として有用である。
【0088】
そのほかの理由は、本発明の硬化材料は、Si-C半導体チップで要求される耐熱性(例えば、180℃以上の耐熱性)に加えて、ある程度の耐寒性を有するからである。電子物品は、電力モジュール、例えば、特に、急激な温度差に耐える能力が必要とされる電力デバイスにおける、電力変換装置、インバーター、ブースター、トラクション制御装置、産業モーター制御装置、配電及び電力輸送システム用の、上述のデバイスのうちの1つ以上であってもよく、このような電力デバイスの耐久性及び信頼性を改善することができる。これは、マイクロエレクトロニクス用途及びマクロエレクトロニクス用途並びにオプトエレクトロニクス用途及び熱伝導性エレクトロニクス用途を含む、光学用途及びエレクトロニクス用途における使用、例えば熱伝導性接着剤の製造のため設計されてもよい。更に、本発明の硬化材料は透明であってもよく、したがって、光ガイド用の封入材、例えば、光ガイド及び少なくとも1つの光素子を含む光電子デバイスを製造するために使用される封入材として使用するのに、場合により好適であり得る。光電子デバイスは、少なくとも1つの光素子及び自立型光ガイド、例えば、光を1つ以上の光素子から発するときに、光を透過するように構成された複合光ガイドを含んでもよい。
【0089】
本明細書の硬化材料は、少なくとも1個の光素子を封入するための光学封入材として機能し得る。光ガイドはまた、少なくとも1つの光素子から発する光の方向を制御するためのレンズ、少なくとも1つの光素子に電気を伝導するための少なくとも1つの電気コネクタ、又は前述の更なる素子のうちの2つ以上若しくは全ての任意の組み合わせを含んでもよい。
【0090】
電気コネクタは、独立して、ワイヤ、タブ付け品、又はリボンであってもよく、Cu、Au、Ag、及びこれらの合金などの高伝導性金属で製造することができる。このような光電子デバイスを使用して、照明器具(発光素子である少なくとも1つの光素子を有するデバイス)を製造することができる。照明器具は、前述の実施形態のいずれか1つの光電子デバイスと、少なくとも1つの光素子に電力を供給するための電源と、を含んでもよい。照明器具はまた、少なくとも1つの光素子から発する光の方向を制御するためのレンズ、少なくとも1つの光素子に電気を伝導するための少なくとも1つの電気コネクタ、を更に含んでもよい。
【0091】
電源は、電気コネクタを介して少なくとも1つの光素子と動作可能に電気的に導通していてもよい。上記の発光デバイスの各々は、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、又は任意の他の光源であってもよい。充填剤がない場合、本明細書に記載の組成物は透明及び/又は光学的に透明であり、そのため、LED及び/又はLCD照明を環境から保護するのに特に好適である。
【0092】
導電性材料、LED、ディスプレイ及び光学用途のための結晶性透明材料、構造用接着剤、PSA接着剤など。
【0093】
接着剤の場合、前述のように材料組成物から調製された硬化シリコーン材料は、電気又は電子部品及び/又は部材などの様々な基材、とりわけ金属基材、例えば金、銀、アルミニウム、銅、及び無電解ニッケル、並びに、ポリマー基材、例えばFR4(ガラス繊維織布とエポキシ樹脂バインダーとから構成される耐火複合材料)、ナイロン、ポリカーボネート、Lucite(ポリメチルメタクリレート、PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、及び、Solvay Chemicals(Houston,Tex.77098 USA)から入手可能なXydar(商標)などの液晶ポリマーに接着することができる。
【実施例
【0094】
全ての粘度測定は、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する25mm直径の回転プレートを使用して行った。特に明記しない限り、全ての粘度は、25℃で測定した。表中の全ての混合物は、重量部で示されている。
【0095】
構成成分(a)の調製に関して、与えられたシラノール(Si-OH)/Tiモル比の値は、上記の方法を使用して計算した。プロセス中に真空を適用した場合、約160mbar(16kPa)の真空を適用した。適切な場合、揮発性化合物が混合物から出るのを助けるために、ミキサーの蓋に5つの小さな穴を開けた。
【0096】
実施例1:
構成成分(a)のチタン系反応生成物を最初に調製した。25℃で2,163mPa・sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンをHauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。次いで、0.497gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。蓋を容器上に置き、成分、容器及び蓋の初期重量を一緒に秤量した。
【0097】
次いで、成分をHauschild DAC 600 FVZ/VAC-P SpeedMixer(商標)中で、大気圧下2350rpmで2分間、次いで、真空下2350rpmで2分間混合し、次いで、混合せずに真空下に6分間放置した。この混合レジームを繰り返した。
【0098】
上記の混合レジームの完了後、SpeedMixer(登録商標)容器、蓋、及び得られた反応生成物を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量損失を決定した。重量損失は=0.429gであると決定された。得られた0.429gの重量損失は、第1の成分と第2の成分との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含量の約100%を占めた。ポリマーの数平均分子量を約22,000と仮定すると、計算されたSi-OH/Tiモル比は、約10.4であった。
【0099】
上記のプロセスを介して生成された反応生成物の粘度は、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、0.3mmの間隙を有する25mm直径回転プレートを1s-1のせん断速度で使用して、47,338mPa.sであると決定された。
【0100】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間保存した後、同じ試験プロトコルを使用して粘度を再測定したところ、48,856mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。次いで、これを以下の(Ex.1a~1c)におけるpat A組成物として使用した。
【0101】
表1に記載のように調製された組成物
混合方法
B部組成物を、以下の表1に示される組成に従って別々に調製し、次いで、A部とB部とを、Hauschild & Co.KG Germany製のSpeedMixer(商標)DAC 150 FVを使用して3500rpmで30秒間、1:1の重量比で一緒に混合し、その後、調製された各試料についての非流動時間を、以下の手順を使用して決定した。示された組成物を使用して比較例を調製し、同じプロセスを使用して混合した。
【0102】
非流動時間
これらの実施例の目的のために、非流動時間は、室温及び50%相対湿度(relative humidity、RH)での手動評価プロセスであった。表1に示した値は、容器を90°(すなわち、垂直に)傾斜させたときに目視検査によって材料が流動を停止する時点であった。
【0103】
【表1】
【0104】
上記の表及び以下において、構成成分(b)1は、トリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサン(粘度約2,000mPa.s)であり、TiPTは、テトライソプロポキシチタンである。
【0105】
構成成分(a)が組成物中の標準ポリマー及び触媒を効果的に置き換えることが分かる。第2の成分から得られる鎖は、水が加水分解してチタン分子を攻撃することを化学的に防止し、その結果、構成成分(a)として追加のポリマーは必要とされず、チタン系反応生成物は、硬化プロセスに完全に関与すると考えられる。更に、構成成分(a)の使用は、比較例と比較して非常に速いゲル化時間を示す実施例1a、1b、1cをもたらすことが注目された。
【0106】
実施例2:
代替的な構成成分(a)チタン系反応生成物を調製した。25℃で2,163mPa・sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンをHauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。次いで、0.592gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。蓋を容器上に置き、成分、容器及び蓋の初期重量を一緒に秤量した。
【0107】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)中で、大気圧下2350rpmで2分間、次いで、真空下2350rpmで2分間混合し、次いで、混合せずに真空下で6分間放置した。次いで、この手順を繰り返した。
【0108】
上記の混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量損失を決定した。重量損失は=0.469gであると決定された。得られた0.469gの重量損失は、再び、チタネート触媒(第1の成分)とポリマー(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含量の約94%を占める。ポリマーの数平均分子量を約22,000と仮定すると、計算されたSi-OH/Tiモル比は、約8.7:1であった。
【0109】
上記のプロセスを介して生成されたチタン系反応生成物の粘度は、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートを1s-1のせん断速度で使用して、211,700mPa.sであると決定された。
【0110】
次いで、反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間保存した後、同じ試験プロトコルを使用して粘度を再測定したところ、208,190mPa.sでかなり一定のままであることが分かった。
【0111】
実施例3:
更なる構成成分(a)チタン系反応生成物を調製した。25℃で70mPa・sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンをHauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。次いで、3.5gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。蓋を容器上に置き、成分、容器及び蓋の初期重量を一緒に秤量した。
【0112】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)中で、真空下2350rpmで10分間混合し、次いで、この混合ステップを更に7回行った。
【0113】
上記の混合レジームの完了後、容器、蓋、及び得られた反応生成物を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量損失を決定した。重量損失は=2.601gであると決定された。得られた2.601gの重量損失は、再び、チタネート触媒(第1の成分)とポリマー(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含量の約88%を占める。ポリマーの平均分子量を約3,168と仮定すると、計算されたSi-OH/Tiモル比は約10.3:1である。
【0114】
上記のプロセスを介して生成された反応生成物の粘度は、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、0.3mmの間隙を有する25mm直径回転プレートを1s-1のせん断速度で用いて、617mPa.sであると決定された。
【0115】
次いで、反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間保存した後、同じ試験プロトコルを使用して粘度を再測定したところ、597mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。
【0116】
実施例3は、より低い粘度のOHポリマーを首尾よく使用することができ、より低い粘度の反応生成物(a)をもたらすことを示しており、これは、容易な分配に有用であり得る。
【0117】
実施例4:
25℃で803mPa・sの平均粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンをHauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。次いで、0.8gのテトライソプロポキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。蓋を容器上に置き、成分、容器及び蓋の初期重量を一緒に秤量した。
【0118】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixe(商標)中で、真空下2350rpmで6分間混合し、次いで、この混合ステップを更に4回繰り返した。
【0119】
上記の混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量損失を決定した。重量損失は=0.575gであると決定された。得られた0.575gの重量損失は、チタネート触媒(第1の成分)とポリマー(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含量の約85%を占める。ポリマーの平均分子量を約14,800と仮定すると、計算されたSi-OH/Tiモル比は、約9.6:1であった。
【0120】
上記のプロセスを介して生成された反応生成物の粘度は、20,237mPa.sであると決定された。粘度は、Anton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、1s-1のせん断速度で0.3mmの間隙を有する直径25mmの回転プレートで測定され得る。
【0121】
次いで、チタン系反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間保存した後、同じ試験プロトコルを使用して粘度を再測定したところ、24,505mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。
【0122】
エージングした反応生成物の粘度が完了した後、水を添加し、Hauschild&Co.KG Germany製のSpeedMixer(商標)DAC 150 FVを使用して3500rpmで30秒間、表2aに示される量で反応生成物に混合した。比較例は、同じ混合プロトコルを使用して生成されたが、示される場合、標準触媒の添加を伴っていた。
【0123】
【表2】
【0124】
上記の表において、は、TiPTの後に水を添加したことを示し、**は、TiPTの前に水を添加したことを示す。
【0125】
表2aは、A部組成物及び即時測定と28日間エージング後の測定との間の粘度の変動、並びにポリマーと触媒との予備反応が、添加された水からの加水分解及び相対湿度50%での28日間のエージングの両方からチタンを保護していることを示している。
【0126】
28日後の粘度変動は、水及び水分で少なくとも部分的に加水分解された標準チタン触媒を使用するいくつかの比較例の活性の損失の指標である。比較例C.4a及びC.4bは、構成成分(a)を作製するための第1の成分と第2の成分との間の反応が、有意な粘度低下をもたらし、活性の低下をもたらし、以下の表2bに示されるようにより長いゲル化時間をもたらすことを示す。
【0127】
次いで、表2aから特定される混合物/反応生成物を、この場合は構成成分(b)1(トリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサン(粘度約2,000mPa.s))であるB部と1:1の重量比で使用した。A部組成物を、並列シリンダーを有する1:1混合単位の一方のシリンダーに導入した。他方のシリンダーにトリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサン(粘度約2,000mPa.s)を充填した。次いで、材料をスタティックミキサーを通して押し出して、硬化させ、ゲル化時間を以下の手順を使用して決定した。
【0128】
ゲル化時間
ゲル化時間は、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”が一致する時間として定義される。G”/G’の値は、時にはtanδと呼ばれ、ゲル化点は、tanδ=G”/G’=1のときであると理解されるべきである。G’及びG”の測定は、上述のAnton Paar GmbH of Graz,Austria製のModular Compact Rheometer(MCR)302を使用して、直径25mmの回転プレートを0.3mmの間隙で使用して行った。
【0129】
tanδが1以下になるとすぐに、硬化材料は、ゲル化したと考えられる。特に明記しない限り、これらの試験は、25℃の温度で行った。
【0130】
未硬化材料を、0.3mmの間隙で分離された2枚のプレートの間のModular Compact Rheometer中に配置する。上部プレートは、典型的には直径25mmであり、過剰な材料は、ティッシュで除去した。回転振動は、10rad/秒の角周波数及び1%のせん断ひずみで実施する。測定は、最初に下降対数ランプで30秒毎に行う。例えば、1500点の後、測定は、17.5分毎に実施する。ゲル化時間は、生成物が混合されたときと、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”が一致するとき、すなわち、tanδがレオメーター上で1以下であるときとの間の時間間隔として定義される。この時間は、試験下の材料が自由に流れるのを止める時間にほぼ等しい。
【0131】
【表3】
【0132】
比較例C.4cは、A部組成物中のシラノール末端ポリジメチルシロキサンの代わりにトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンを使用すると、活性が更に低下することを示すが、C.4dは、混合物に水を添加した場合にチタン触媒が完全に不活性化されることを示しており、実施例4a及び4bと比較してそのようなポリマーの保護効果を示さない。
【0133】
実施例5
表3a(A部)及び3b(B部)に示す組成物を使用して、一連の実施例を調製した。
【0134】
【表4】
【0135】
以下のプロセスを使用して、Ex.5a.のための構成成分(a)反応生成物を作製した。同じプロセスを使用して、Ex.5b~Ex.5fのA部組成物を調製した。
【0136】
25℃で2,163mPa・sの粘度を有する200gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンをHauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。次いで、0.51gのテトラn-ブチルオキシチタンをジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。蓋を容器上に置き、成分、容器及び蓋の初期重量を一緒に秤量した。
【0137】
次いで、成分を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)中中で、大気圧下2350rpmで2分間、次いで、真空下2350rpmで2分間混合し、次いで混合せずに真空下で6分間放置した。次いで、この手順を更に4回繰り返した。
【0138】
上記の混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量損失を決定した。重量損失は=0.41gであると決定された。得られた0.41gの重量損失は、チタネート触媒(第1の成分)とポリマー(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含量の約95.2%を占める。
【0139】
上記のプロセスを介して生成された反応生成物の粘度は、Anton Paar MCR 302レオメーターを用いて、回転25mmプレートプローブを25℃及び1s-1のせん断速度で使用して、54245mPa.sであると決定された。
【0140】
次いで、反応生成物を室温でガラス瓶中に28日間保存した後、同じ試験プロトコルを使用して粘度を再測定したところ、67132mPa.sへのわずかな増加を伴ってかなり一定のままであることが分かった。
【0141】
次いで、B部組成物を表3bに示されるように調製し、次いで、得られたA部組成物を混合し、表3bに示される重量比でB部(この場合、構成成分(b)1である)と使用し、水を示されるように添加した。次いで、材料をスタティックミキサーを通して押し出して、上記のように非流動時間を測定した。
【0142】
【表5】
【0143】
調製された組成物から得られる硬化材料は、TiPT及びテトラn-ブチルチタネート(TnBT)などの標準的なチタン触媒を用いて硬化させた場合、典型的には非流動時間まで24時間の期間にわたって硬化する軟質ゲルを形成したが、本明細書に記載されるような構成成分(a)反応生成物を使用した場合、著しく速く硬化することが分かる。
【0144】
実施例6
この実施例は、第2の成分を第1の成分に導入するあまり好ましくない選択肢を使用する構成成分(a)反応生成物の調製を記載する。
【0145】
59.088gのテトラn-ブトキシチタンを、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixerr(商標)のプラスチック容器に添加した。次いで、267.339gのOH末端ポリジメチルシロキサン(25℃で70mPa.sの粘度)を添加し、混合物を真空下、2300rpmで3回2分間混合した。15gの得られた構成成分(a)反応生成物を、15gのトリメトキシシリル末端ポリジメチルシロキサン(25℃で約2,000mPa.sの粘度)と、歯科用ミキサーにおいて3500rpmで30秒間混合した。組成物は、30分の非流動時間で硬化した。
【0146】
実施例7
以下の実施例は、A部組成物の調製において充填剤を含有する上記の2部型組成物を示す。
【0147】
【表6】
【0148】
構成成分(a)を上記の実施例1の方法を使用して前述したように調製し、次いで、それぞれの充填剤を組成物に導入した。
【0149】
Aerosil(商標)R 974は、Evonikから市販されている200m/gの比表面積を有する親水性ヒュームドシリカをベースとする、ジメチルジクロロシランで処理された疎水性ヒュームドシリカである。WINNOFIL(商標)SPMは、Imerysから市販されている超微細被覆沈降炭酸カルシウムである。CAB-O-SIL(商標)LM-150は、Cabot Corporationから市販されている未処理の低表面積親水性ヒュームドシリカである。
【0150】
【表7】
【0151】
これらの組成物は、好適な充填剤の存在下で触媒及びポリマーとして構成成分(a)反応生成物を使用して同様に良好に硬化することが分かる。
【0152】
実施例8
この一連の実施例及び比較例は、B部としてシラン系架橋剤に依存する。
【0153】
反応生成物(a)を、表5aに示す以下の実施例のために調製した。25℃で70mPa・sの粘度を有する3000gのジメチルシラノール末端ポリジメチルシロキサンをNeulinger 5リットルミキサーに導入した。次いで、53gのテトライソプロポキシチタンを添加し、室温で10分間プラネタリアンドディスクを使用して、真空下でOH末端ポリジメチルシロキサン中に混合した。いくらかのゲル化が観察されたので、混合物を100℃に加熱し、真空下で更に4時間混合した。得られた実施例8の反応生成物を冷却し、5リットルのプラスチック製バケツに保存した。それは、25℃で測定して1358mPa.sの粘度を有していた。
【0154】
次いで、調製した実施例8の反応生成物(a)を、5つの実施例Ex.8a~e及び5つの比較例c.8a~eのためのA部組成物に使用した。
【0155】
A部は、Ex.8a~eを101.75重量部、例えば396.88gの実施例8の反応生成物及び0.8重量部、例えば3.12gの水を用いて調製し、これらをHauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)中で2350rpmで30秒間混合し、2つの310mlカートリッジに保存した。
【0156】
C.8a~eのためのA部シリコーン組成物を25℃で70mPa.sの粘度を有する390.05gのOH末端ポリジメチルシロキサン(表5中のシロキサン1)を用いて調製し、3.12gの水と2350rpmで30秒間混合した。次いで、6.83gのテトライソプロポキシチタンを混合物に添加し、2350rpmで30秒間混合した。調製物を2つの310mlカートリッジに保存した。
【0157】
実施例及び比較例は、30gのA部を以下の表に記載されるようなそれぞれの重量のB部と混合して、102.55重量部のA部を表5aのそれぞれの部と混合することによって作製した。Hauschild & Co.KG Germany製のSpeedMixer(商標)DAC 150 FVを使用して、A部とB部とを3500rpmで30秒間混合した。生成物ゲル化時間は、前述したのと同じ方法で決定した。
【0158】
【表8】
【0159】
表5aのアセトキシミックスは、メチルトリアセトキシシランとエチルトリアセトキシシランとの50/50重量比の混合物である。
【0160】
それぞれの実施例及び比較例のゲル化時間を以下の表5b及び5cに示す。
【0161】
【表9】
【0162】
【表10】
【0163】
上記に見られるように、構成成分(a)反応生成物をA部組成物に使用する実施例は、シラン架橋剤を使用する各場合において、はるかに速い硬化生成物、典型的にはゲルを引き起こす。
【0164】
実施例9:部分的にトリメチルシリル末端のOH末端のPDMS
この実施例では、構成成分(a)を第1、第2、及び第3の成分を用いて調製した。12.5モル%のトリシルシリル末端基及び87.5モル%のジメチルシラノール末端基を有する200gのポリジメチルシロキサン(25℃で12,225mPa.sの粘度)及び0.217gのテトライソプロポキシチタンを、HauschildのDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)のプラスチック容器に導入した。蓋を容器上に置き、成分、容器及び蓋の初期重量を一緒に秤量した。混合物を、Hauschild製のDAC 600 FVZ/VAC-P型SpeedMixer(商標)中で、真空下2350rpmで4分間混合し、次いで混合せずに真空下で6分間放置した。この混合手順を2回繰り返した。
【0165】
上記の混合レジームの完了後、得られた反応生成物、容器及び蓋を再秤量して、揮発性アルコールの抽出による重量損失を決定した。重量損失は=0.242gであると決定された。得られた0.41gの重量損失は、チタネート触媒(第1の成分)とポリマー(第2の成分)との間の反応の副生成物として抽出可能なアルコール含量の約100%を占める。
【0166】
上記のプロセスを介して生成された反応生成物の粘度は、Anton Paar MCR 302レオメーターを用いて、回転25mmプレートプローブを25℃及び1s-1のせん断速度で使用して、69,545mPa.sであると決定された。
【0167】
30gの上記で調製した生成物を使用して、3500rpmで30秒間、歯科用ミキサーを使用して、以下の表に記載されている水の部を添加して、実施例8aのA部を作製した。15gの調製物を15gのB部と歯科用ミキサー中で3500rpmで30秒間混合した。前述したのと同じ方法を使用したゲル化時間は、19分であり、これは前述した比較例よりもはるかに速い。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2部型縮合硬化性シリコーン組成物であって、
第1の部であって、
(a)チタン系反応生成物であって、
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、前記第1の成分と前記第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
(iii)ステップ(ii)の前記反応生成物を回収するステップと、を含むプロセスから得られるか又は得ることが可能な、チタン系反応生成物、からなるか又はそれを含む、第1の部と、
第2の部であって、
(b)1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物、からなるか又はそれを含む、第2の部と、を含み、
前記第1の部若しくは前記第2の部のいずれか、又は前記第1及び第2の部が、
(c)水、水和された補強用無機充填剤、水和された非補強用無機充填剤、又はこれらの混合物を含む、水の供給源を含有する、2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
構成成分(a)の調製方法における前記第1の成分が、Ti(OR)、Ti(OR)、Ti(OR) 、又は2個のアルコキシ(OR)基が存在し、キレートがチタン原子に2回結合している、キレート化アルコキシチタン分子であり、
式中、Rが、1~20個の炭素を有する直鎖状又は分岐状アルキル基であり、各Rが、同じ又は異なり得、各場合において、最大10個の炭素を有するアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基から選択される、請求項1に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
構成成分(a)の調製方法における前記第2の成分が、ジアルキルシラノール末端ポリジメチルシロキサンである、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記第2の成分が、25℃で70~20,000mPa.sの粘度を有する、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
構成成分(a)の調製方法が、第3の成分を利用し、1分子当たり1個の末端シラノール基を有するポリジアルキルシロキサンが、ステップ(i)で導入される、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
構成成分(b)が、1分子当たり少なくとも2個の加水分解性基、代替的に少なくとも3個の加水分解性基を有するシラン、又は式
3-n’ n’Si-(Z)-(O)-(R SiO(4-y)/2-(SiR -Z)-Si-R n’3-n’ (7)
(式中、各Xは、独立して、ヒドロキシル基又は加水分解性基であり、各Rは、アルキル、アルケニル、又はアリール基であり、各Rは、X基、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基であり、Zは、二価有機基であり、
dは、0又は1であり、qは、0又は1であり、d+q=1であり、n’は、0、1、2又は3であり、yは、0、1又は2、好ましくは2であり、zは、オルガノポリシロキサンポリマーが25℃で50~150,000mPa・sの粘度を有するような整数である)の、1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基若しくは加水分解性基を有する、前記オルガノポリシロキサンポリマーから選択される、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
構成成分(c)が水である、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
構成成分(c)が水である場合、それが、加水分解性基のモル含量に対して0.3:1~1:1のモル比で存在する、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
前記組成物の前記第1及び/又は第2の部が、無水充填剤、接着促進剤、レオロジー添加剤、フラックス剤、酸受容体、熱伝導性又は導電性添加剤、塩、染料、香料、防腐剤、可塑剤、活性成分、着色剤、標識剤、防錆剤、抗菌化合物、洗剤、水相安定剤、pH調整剤、顔料、着色剤、UV吸収剤、日焼け止め剤、染料、芳香剤又は香料、酸化防止剤、防汚剤、酸化剤、還元剤、噴射剤ガス、分散助剤、無機塩、抗菌剤、抗真菌剤、漂白剤、金属イオン封鎖剤、酵素、希釈剤、及びこれらの混合物から選択される1個以上の添加剤を含み得る、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
構成成分(c)が水である場合、水が、前記組成物の前記第1の部又は前記第の2部のうちの一方、又は他方、又は両方に存在する、請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物を調製するためのプロセスであって、
チタン系反応生成物からなるか又はそれを含む第1の部を提供することであって、以下のステップ:
(i)第1の成分である、2~4個のアルコキシ基を有するアルコキシチタン化合物を、第2の成分である、1分子当たり少なくとも2個の末端シラノール基を有する直鎖状又は分岐状ポリジオルガノシロキサンポリマーと混合するステップと、
(ii)真空下で撹拌することによって、前記第1の成分と前記第2の成分とを一緒に反応させて、反応生成物を形成するステップと、
(iii)ステップ(ii)の前記反応生成物を回収するステップと、に従って、前記チタン系反応生成物を調製することによる、第1の部を提供することと、
第2の部を提供することであって、前記第2の部が、
(b)1分子当たり少なくとも2個、代替的に少なくとも3個のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を有する1個以上のケイ素含有化合物、からなるか又はそれを含む、第2の部を提供することと、を含み、
前記第1の部若しくは前記第2の部のいずれか、又は前記第1及び第2の部が、
(c)水、水和された補強用無機充填剤、水和された非補強用無機充填剤、又はこれらの混合物を含む、水の供給源を含有する、プロセス。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物の反応生成物である、硬化材料。
【請求項13】
請求項10に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物によって、請求項11に記載の硬化材料を作製し、次いで、前記第1の部と前記第2の部とを一緒に混合して硬化させる、方法。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の2部型縮合硬化性シリコーン組成物の、建築、自動車、電子機器、光学、ソーラー、織物用、不織布、紙コーティング、パーソナルケア、ヘルスケア、セルフシーリングタイヤ、及び分散液に使用するための、シーラント、接着剤、封入剤、ポッタント、コーティング、感圧接着剤、硬化物品における、使用。
【国際調査報告】