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特表2023-552965合成ガスからアルデヒドを生成する統合プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】合成ガスからアルデヒドを生成する統合プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/00 20060101AFI20231213BHJP
   C07C 47/02 20060101ALI20231213BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20231213BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20231213BHJP
   B01J 31/24 20060101ALI20231213BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231213BHJP
【FI】
C07C45/00
C07C47/02
B01J29/70 M
B01J29/85 M
B01J31/24 M
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528081
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021059595
(87)【国際公開番号】W WO2022119708
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/119,740
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】デウィルデ、ジョセフ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】リンバッハ、カーク ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】チャクラバーティ、リータム
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA06
4G169BA05A
4G169BA07A
4G169BB06A
4G169BC17A
4G169BC51A
4G169CB07
4G169CB46
4G169CB51
4G169CB52
4G169CB63
4G169CB75
4G169CC23
4G169DA04
4G169DA05
4G169ZA14A
4G169ZA41A
4H006AA02
4H006AC44
4H006BD70
4H006BE41
4H039CA62
(57)【要約】
合成ガスからアルデヒドを調製するプロセスは、水素ガス及び一酸化炭素を含む炭素含有ガスを含む第1の供給物流を第1の反応器の反応ゾーンに導入することと、第1の触媒の存在下で当該反応ゾーンにおいて当該第1の供給物流を、C2~C4炭化水素を含む第1の生成物流に変換することであって、当該第1の生成物流が二酸化炭素を更に含む、ことと、当該第1の生成物流から水及びC4以上の炭化水素を除去して第2の供給物流を形成することと、第2の反応器において第2の触媒の存在下で当該第2の供給物流を、プロピオンアルデヒドを含む第2の生成物流に変換することと、を含む。プロピオンアルデヒドは、更に、酸化的エステル化によってメチルメタクリレートに変換することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
水素ガス及び一酸化炭素を含む炭素含有ガスを含む第1の供給物流を第1の反応器の反応ゾーンに導入することと、
第1の触媒の存在下で前記反応ゾーンにおいて前記第1の供給物流を、C~C炭化水素を含む第1の生成物流に変換することであって、前記第1の生成物流が二酸化炭素を更に含む、ことと、
前記第1の生成物流から水及びにC以上の炭化水素を除去して第2の供給物流を形成することと、
第2の反応器において第2の触媒の存在下で前記第2の供給物流を、プロピオンアルデヒドを含む第2の生成物流に変換することと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記第2の反応器を出た前記第1の生成物流からの前記二酸化炭素が、前記第1の供給物流に再循環される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
未反応の水素及び一酸化炭素を前記第1の供給物流に再循環することを更に含む、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第2の生成物流が、ブチルアルデヒドを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1の生成物流から水及びC炭化水素を除去する工程が、前記第1の生成物流からC炭化水素を除去することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の生成物流から前記プロピオンアルデヒドを除去することを更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第2の生成物流からあらゆるパラフィンを除去することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロピオンアルデヒドを酸化的エステル化によってメチルメタクリレートに変換することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記反応ゾーンが、少なくとも20バールの圧力で稼働する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
混合金属酸化物触媒成分が、ZrOを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
混合金属酸化物触媒成分が、ZrO及びGaを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
微多孔質触媒成分が、8-MR細孔開口部を有するモレキュラーシーブである、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
微多孔質触媒成分が、菱沸石(CHA)骨格を有するモレキュラーシーブである、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記微多孔質触媒成分が、SAPO-34である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
~C炭化水素が、C~Cオレフィンから本質的になる、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、様々な炭素含有流を、C~C炭化水素を介してアルデヒドに効率的に変換するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業用途について、炭化水素は、プラスチック、燃料、及び様々な下流化学物質を生成するために使用されるか、又はそれらを生成するために使用される出発物質である。C~C炭化水素は、例えば、アルデヒド及び更なる生成物、例えばメチルメタクリレート(MMA)の調製等の下流用途において特に有用である。MMAは、(メタ)アクリルポリマー及びコポリマーを生成するための高価値の化学中間体である。
【0003】
石油クラッキング及び様々な合成プロセスを含む、低級炭化水素を生成するための様々なプロセスが開発されている。一酸化炭素と水素ガスとの組み合わせであるシンガスと呼ばれている合成ガスは、バイオマス、廃棄物、又は従来の燃料のガス化から得ることができる柔軟な中間体を表す。
【0004】
シンガスを低級炭化水素に変換するための合成プロセスは公知である。フィッシャー・トロプシュプロセスは、シンガスを長鎖パラフィンと共にオレフィンの混合物に変換するために使用されている。フィッシャー・トロプシュプロセスからは広い生成物分布が生じ、低級オレフィンの選択率は、典型的には、比較的限定されている。低級オレフィンへの選択率を高めるために、国際公開第2019/089206号に開示されているプロセス等のフィッシャー・トロプシュプロセスの変形が開発されている。
【0005】
しかしながら、エチレン/二酸化炭素及びエタン/二酸化炭素を含む、典型的なシンガスにおけるオレフィンプラントへの分離を妨げる少なくとも2つの共沸混合物が存在する。Nagahama et al.,Journal of Chemical Engineering of Japan,7,5,1974,pp.323-328を参照。オレフィンから二酸化炭素を分離するのは、コストのかかるプロセスである。抽出蒸留は、これらの共沸混合物の一方又は他方を分解するのを支援することができるが、両方の共沸混合物が存在すると、シンガスにおけるCOのアミン洗浄等の非蒸留分離のオレフィン操作への使用が促進される。
【0006】
これらのプロセスの一部は、COをプロセスに共供給して、生成物流中のCOから供給物流中の総COを減じることによって求められる正味CO選択率(これは、負の値になる場合もある)を低下させることを含む。しかしながら、このアプローチは、典型的には、所望のC~C炭化水素の生産性を低下させる。
【0007】
米国特許第10,513,471号に開示されているもの等の他のプロセスは、シンガスをC~C炭化水素に変換する2反応器プロセスにおけるCOの形成を最小限に抑えるために特別な触媒を使用する。
【0008】
米国特許第10,676,419号には、シンガスを酢酸、アクリル酸、及び/又はプロピレンに変換するための2段階触媒プロセスが開示されている。第1段階においてシンガスを第1の触媒と接触させて、C及びCオレフィン並びに/又はC及びCパラフィンを含む第1の生成物流を生成し、次いで、第1の生成物流を酸素ガス第2の触媒と接触させて、アクリル酸及び酢酸を生成する。
【0009】
したがって、アルデヒド及び/又はメチルメタクリレートをシンガスから効率的かつ高収量で生成することができる、プロセス及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一態様は、水素ガス及び一酸化炭素を含む炭素含有ガスを含む第1の供給物流を第1の反応器の反応ゾーンに導入することと、第1の触媒の存在下で当該反応ゾーンにおいて当該第1の供給物流を、C~C炭化水素を含む第1の生成物流に変換することであって、当該第1の生成物流が二酸化炭素を更に含む、ことと、当該第1の生成物流から水及びC以上の炭化水素を除去して第2の供給物流を形成することと、第2の反応器において第2の触媒の存在下で当該第2の供給物流を、プロピオンアルデヒド及び/又はブチルアルデヒドを含む第2の生成物流に変換することと、を含む、プロセスに関する。
【0011】
追加の特徴及び有益性は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、又は以下の「発明を実施するための形態」、及び特許請求の範囲を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0012】
上記の全般的な説明及び下記の詳細な説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みの提供を意図していることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用するとき、「合成ガス」及び「シンガス」は、主に水素、一酸化炭素、及び非常に多くの場合いくらかの二酸化炭素を含む混合物を表すために本明細書で利用されることに留意されたい。
【0014】
次に、シンガスを利用してC~C炭化水素を調製し、更にはアルデヒド及び/又はメチルメタクリレートにする、プロセスの実施形態について詳細に言及する。
【0015】
概して、シンガスから炭化水素へのプロセスにおいて、所望のC~C炭化水素の高い生産性を達成すると同時に、COの正味選択率を低下させることが望ましい。COの正味選択率を低下させる既知の方法は、COを共供給することによるものである。しかしながら、追加のCOを共供給してCOの正味選択率を低下させることによると、これもまた、所望のC~C炭化水素の生産性を低下させる。しかしながら、本発明者らは、C~C炭化水素及びCOを含む生成物流をヒドロホルミル化又はオキソプロセスに直接供してプロピオンアルデヒド等のアルデヒドを生成することによって、COが不活性物質として通過するか、又は水性ガスシフトに関与するかのいずれかで、CO反応物を再生成し得ることを認識した。更に、より完全な炭素利用のために、あらゆる未反応のCO、水素、及びCOをシンガス供給物流に再循環して戻すことができる。
【0016】
例えば、エチレン/CO又はエタン/CO等のCOと共に形成されるあらゆる共沸混合物を分解する必要性を排除することによって、COをシンガス供給物流に再循環して戻した場合に達成することができるより完全な炭素利用に加えて、資本コスト及び稼働コストの大幅な削減を達成することができる。
【0017】
本発明のプロセスでは、水素ガス及び一酸化炭素を含む炭素含有ガスを含む第1の供給物流を第1の反応器の反応ゾーンに導入する。好ましくは、第1の供給物流は、シンガスを含む。シンガスは、水素及び一酸化炭素を含み得、これに、任意選択で、シンガス中に存在する二酸化炭素(存在する場合)の濃度に応じて二酸化炭素を補給し得る。
【0018】
水素は、第1の供給物流の総体積に基づいて、10.0体積%~90.0体積%のH2、例えば、20.0体積%~80.0体積%のH2又は30.0体積%~70.0体積%のH2の量で第1の供給物流中に存在し得る。
【0019】
二酸化炭素は、第1の供給物流の総体積に対して0体積%~20.0体積%のCO2の量で第1の供給物流中に存在し得る。供給物流中に存在するあらゆる二酸化炭素は、シンガス中に存在してもよく、又は第2の生成物流から第1の供給物流に再循環されて戻されてもよい。第1の反応器で生成された二酸化炭素を下流プロセスで使用することができるので、未使用の二酸化炭素、例えば共供給された二酸化炭素を第1の供給物流に添加する必要がない。
【0020】
第1の供給物流は、0~1.50、例えば、0.05~1.50、0.25~1.50、又は0.50~1.50のCO2/CO体積比を有し得る。好ましくは、炭素をC2~C4炭化水素に変換するのに十分なCO2が存在するように、CO2/COの比は十分に高い。
【0021】
第1の触媒は、シンガスをC2~C4炭化水素に変換するための任意の公知の触媒を含んでいてよい。例えば、第1の触媒は、混合金属酸化物触媒、又は混合金属酸化物触媒と例えばゼオライト成分等の微多孔質触媒成分とを含む二官能性若しくはハイブリッド触媒を含み得る。
【0022】
混合金属酸化物触媒成分は、バルク触媒であっても担持触媒であってもよく、共沈、含浸等の任意の好適な方法によって作製され得る。混合金属酸化物触媒は、例えば、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、及びそれらの組み合わせを含み得る。混合金属酸化物成分混合物中の任意の金属は、様々な酸化状態で存在し得ることが理解されるべきである。特定の酸化物(例えば、Ga2O3)の指定は、所与の金属の追加の又は異なる酸化物の存在を必ずしも排除するものではないことも理解されるべきである。
【0023】
ハイブリッド触媒系は、第1の供給物流を酸素化炭化水素に変換する混合金属酸化物触媒成分と、酸素化物を炭化水素に変換する微多孔質触媒成分(例えば、ゼオライト成分等)と、を含む。微多孔質触媒成分は、8-MR細孔アクセスを有し、以下の骨格型CHA、AEI、AFX、ERI、LTA、UFI、RTH、RHO、LEV、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される骨格型を有するモレキュラーシーブから選択してよく、当該骨格型は、International Zeolite Associationの命名規則に対応する。アルミノシリケート及びシリコアルミノホスフェート骨格の両方を使用し得ることが理解されるべきである。好ましくは、モレキュラーシーブは、菱沸石(CHA)骨格型を有する。例えば、モレキュラーシーブは、菱沸石(CHA)骨格型を有するSAPO-34シリコアルミノホスフェートであり得る。
【0024】
これらの例としては、SAPO-34及びSSZ-13から選択されるCHAの実施形態、並びにSAPO-18などのAEIの実施形態を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されない。上記の骨格型のうちのいずれかを有する微多孔質触媒成分の組み合わせもまた、用いられ得る。微多孔質触媒成分は、所望の生成物に応じて異なる員環細孔開口部を有し得ることが理解されるべきである。例えば、所望の生成物に応じて、8-MR~12-MR細孔開口部を有する微多孔質触媒成分が使用され得る。しかしながら、C2~C4炭化水素を生成するためには、好ましくは、8-MR細孔開口部を有する微多孔質触媒成分が使用される。
【0025】
ハイブリッド触媒の混合金属酸化物触媒成分及び微多孔質触媒成分は、例えば、振盪、撹拌、又はその他のかき混ぜ等の物理的混合等の任意の好適な手段によって一緒に混合してよい。あるいは、混合金属酸化物触媒成分及び微多孔質触媒成分は、単一の配合触媒として存在してもよい。混合金属酸化物触媒成分及び微多孔質触媒成分は、反応ゾーンに、典型的には触媒床中にハイブリッド触媒として、0.1:1~10:1、例えば0.5:1~9:1の範囲の重量/重量(wt/wt)比(混合金属酸化物触媒成分:微多孔質触媒成分)で存在し得る。
【0026】
混合金属酸化物触媒成分は、混合金属酸化物触媒成分を従来の還元性ガスに曝露することによって、第1の供給物流に曝露される前に反応器内で還元されてもよい。あるいは、混合金属酸化物触媒成分は、H2及びCO等の供給物流中の還元性ガスに曝露された際に反応器内で還元されてもよい。
【0027】
次に、第1の反応器の反応ゾーン内の反応条件について説明する。C2~C4炭化水素を含む第1の生成物流を形成するのに十分な反応条件下で、第1の反応器の反応ゾーンにおいて、第1の供給物流を第1の触媒と接触させる。第1の生成物流は、高級炭化水素、すなわち、C5以上の炭化水素を更に含み得る。好ましくは、第1の生成物流は、主にC2~C4炭化水素、例えばC2~C4オレフィンを含む。より好ましくは、第1の生成物流中の炭化水素は、C2~C4オレフィンから本質的になる。本明細書で使用するとき、「C2~C4オレフィンから本質的になる」とは、第1の生成物流が、第1の生成物流中の炭化水素の総体積に基づいて少なくとも70体積%のC2~C4オレフィンを含むことを意味する。反応条件は、反応ゾーン内で、例えば300℃~500℃、例えば、380℃~450℃、380℃~440℃、380℃~430℃、380℃~420℃、380℃~410℃、380℃~400℃、又は380℃~390℃の範囲の温度を含む。
【0028】
反応条件はまた、例えば、少なくとも20バール(20,000キロパスカル(kPa))、例えば少なくとも25バール(25,000kPa)、少なくとも30バール(30,000kPa)、少なくとも35バール(35,00kPa)、少なくとも40バール(40,000kPa)、少なくとも45バール(45,000kPa)、少なくとも50バール(50,000kPa)、少なくとも55バール(55,000kPa)、少なくとも60バール(60,000kPa)、少なくとも65バール(65,000kPa)、又は少なくとも70バール(70,000kPa)の反応ゾーン内の圧力を含む。
【0029】
反応条件はまた、例えば、少なくとも2500hr-1、例えば少なくとも3000hr-1、例えば少なくとも3600hr-1、例えば少なくとも4200hr-1、例えば少なくとも4800hr-1、例えば少なくとも5400hr-1、例えば少なくとも6000hr-1、例えば少なくとも6600hr-1、又は例えば少なくとも7200hr-1の反応ゾーン101内のガス毎時空間速度を含む。
【0030】
第1の生成物流は、C2~C4炭化水素を含み、二酸化炭素を更に含む。第1の生成物流中に存在する二酸化炭素は、生成物流から除去されない。第1の生成物流はまた、未反応の一酸化炭素及び水素、並びにC2~C4パラフィンを含有し得る。
【0031】
水は、第1の生成物流から除去される。更に、C4以上の炭化水素も第1の生成物流から除去されて、第2の供給物流が形成され、これが第2の反応器に供給される。所望のアルデヒドに応じて、C3炭化水素をC4以上の炭化水素と共に除去してもよい。あるいは、C3炭化水素を、第2の反応器におけるヒドロホルミル化又はオキソプロセスでブチルアルデヒドに変換するために、第2の供給物流の一部としてオーバーヘッド流に送ってもよい。ブチルアルデヒドは、n-ブタノール又は2-エチルヘキサノールを作製するために使用することができる。このプロセスのための触媒としては、(オルガノ)ホスフィン、ホスファイト、又は第VIII族及び第VIIIB族の金属を含む二座配位子錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
第2の供給物流は、C2炭化水素及び任意選択でC3炭化水素に加えて、二酸化炭素並びに未反応の水素及び一酸化炭素を含む。第2の供給物流は、第2の反応器において第2の触媒の存在下で第2の生成物流に変換される。第2の供給物流は、第2の反応器内でヒドロホルミル化反応又はオキソプロセスに供されて、第2の供給物流中に存在する炭化水素からアルデヒドが形成される。C3炭化水素がより高級な炭化水素と共に第1の生成物流から除去された場合、第2の反応器の主な生成物はプロピオンアルデヒドとなる。C3炭化水素が第1の生成物流から除去されなかった場合、第2の反応器の生成物は主に、プロピオンアルデヒド及びブチルアルデヒドの混合物を含む。第2の供給物流中に存在する二酸化炭素は、不活性物質として第2の反応器を通過するか、又は水性ガスシフトに関与するかのいずれかで、一酸化炭素を形成する。
【0033】
第2の生成物流は、生成されたアルデヒドを含んでおり、パラフィンも含み得る。第2の生成物流は、二酸化炭素並びに任意の未反応の水素及び一酸化炭素を更に含む。アルデヒド生成物は、第2の生成物流から分離することができ、追加の分離によって、残りの二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素からあらゆるパラフィンを除去することができる。好ましくは、二酸化炭素、一酸化炭素、及び水素は、第1の反応器に再循環され、第1の反応器に入る第1の供給物流と組み合わされる。
【0034】
第2の生成物流からのプロピオンアルデヒドを更に反応させて、任意の公知の方法を使用する酸化的エステル化反応によってメチルメタクリレートを形成することができる。例えば、ホルムアルデヒドの存在下でプロピオンアルデヒドをメタクロレインに変換することができる。その後、メタクロレインをメチルメタクリレートに変換することができる。
【0035】
特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で記載される実施形態に様々な修正及び変更を加え得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載される様々な実施形態のそのような修正及び変更を網羅することが意図され、但し、そのような修正及び変更は添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入る。
【国際調査報告】