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特表2023-552970超伝導電力伝送線路の冷却のためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】超伝導電力伝送線路の冷却のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 19/00 20060101AFI20231213BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20231213BHJP
   H01B 12/00 20060101ALI20231213BHJP
   H01F 6/04 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
F25B19/00 Z
F28D1/047 A
H01B12/00
H01F6/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528346
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021058927
(87)【国際公開番号】W WO2022108819
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/115,226
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523163185
【氏名又は名称】ヴェイル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アッシュワース,スティーブン ポール
(72)【発明者】
【氏名】モリコーニ,フランコ
(72)【発明者】
【氏名】ハイデル,ティモシー デイビッド
【テーマコード(参考)】
3L103
5G321
【Fターム(参考)】
3L103AA35
3L103BB19
3L103CC18
3L103DD05
5G321CB01
(57)【要約】
冷却システムは、大気圧よりも高い圧力の冷却剤を伝送する冷却剤伝送器を含む。冷却システムは、大気圧の蒸発容器も含む。蒸発容器は、ある量の冷却剤を冷却剤の沸点で収容することができる。冷却システムは、冷却剤伝送器及び蒸発容器に流体結合された減圧器も含む。減圧器は、オリフィスを含み得る。冷却システムは、冷却剤伝送器内の冷却剤から蒸発容器内に収容された冷却剤へ熱が伝達されるように構成されている。流出流導管が冷却剤伝送器及び減圧器を流体結合することができる。流出流導管は、冷却剤の一部を冷却剤伝送器から蒸発容器へ方向転換させるように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧よりも高い圧力の冷却剤を伝送するように構成された冷却剤伝送器と、
ある量の前記冷却剤を前記冷却剤の沸点で収容するように構成された、大気圧の蒸発容器と、
前記冷却剤伝送器及び前記蒸発容器に流体結合された減圧器と、を備え、
前記冷却剤伝送器内の前記冷却剤から前記蒸発容器内に収容された前記冷却剤へ熱が伝達されるように構成されている、
冷却システム。
【請求項2】
前記冷却剤伝送器及び前記減圧器に流体結合された流出流導管を更に備え、
前記流出流導管は、前記冷却剤の一部を前記冷却剤伝送器から前記蒸発容器へ方向転換させるように構成されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記蒸発容器内に配置されたレベルセンサを更に備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記レベルセンサは、前記減圧器に物理的に結合されたボールフロート式レベルセンサである、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記減圧器は、スロットルを含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記減圧器は、オリフィスを含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記冷却剤伝送器に流体結合されると共に前記蒸発容器と物理的に接触している熱交換器を更に備え、
前記熱交換器は、前記冷却剤伝送器からの冷却剤を再び前記冷却剤伝送器へ循環させて、前記熱交換器内の前記冷却剤から前記蒸発容器内の前記沸騰している冷却剤へ熱が伝達できるように構成されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記冷却剤は、液体窒素、液体水素、液化天然ガス、又はそれらの組み合わせのうち1つを含む、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記蒸発容器は、前記冷却剤伝送器内に少なくとも部分的に配置された熱交換器である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷却剤伝送器は、第1の部分と第2の部分を含み、
前記第1の部分と前記第2の部分は、熱交換器を介して流体結合されている、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記熱交換器は、沸騰している冷却剤中に少なくとも部分的に浸っている、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記熱交換器は、らせん管熱交換器を含む、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記蒸発容器の外側の周囲に配置されたTIJを更に備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記冷却剤伝送器と接触している電力伝送線路を更に備える、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項15】
大気圧よりも高い圧力のサブクール液体を伝送するように構成された冷却剤伝送器であって、前記サブクール液体は熱交換界面の第1の側に露呈される、冷却剤伝送器と、
前記サブクール液体の一部を前記冷却剤伝送器から蒸発容器へ方向転換させるように構成された流出流導管と、
前記流出流導管と前記蒸発容器との間の流体界面における圧力調節器であって、前記流出流導管と前記蒸発容器との間の圧力差を維持するように構成された圧力調節器と、を備え、
前記蒸発容器は、ある量の沸騰液体を前記冷却剤伝送器よりも低い圧力で収容するように構成され、
前記沸騰液体は、前記熱交換界面の第2の側に露呈され、前記サブクール液体から熱を吸収するように構成されている、
冷却システム。
【請求項16】
前記サブクール液体及び前記沸騰液体は、冷却剤を含む、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記冷却剤は、液体窒素、液体水素、又は液化天然ガスのうち少なくとも1つを含む、請求項16に記載の冷却システム。
【請求項18】
前記圧力調節器は、スロットルを含む、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項19】
前記圧力調節器は、オリフィスを含む、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項20】
前記熱交換界面の前記第1の側は、シェルアンドチューブ熱交換器のシェル側であり、
前記熱交換界面の前記第2の側は、前記シェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側である、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項21】
前記冷却剤伝送器は、らせん管熱交換器によって流体結合された第1の部分と第2の部分を含む、請求項15に記載の冷却システム。
【請求項22】
サブクール液体を冷却する方法であって、
大気圧よりも高い圧力のサブクール液体のある量を導管に流すことと、
前記サブクール液体の一部を蒸発容器内へ方向転換することであって、前記蒸発容器は前記導管よりも圧力が低いので前記サブクール液体の前記一部は沸騰液体になることと、
前記沸騰液体を熱伝達界面に露呈しながら、前記導管内のサブクール液体の残りの量を前記熱伝達界面に露呈することと、
前記サブクール液体から前記沸騰液体へ熱を伝達して前記サブクール液体の前記温度を低下させることと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記サブクール液体及び前記沸騰液体は、冷却剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記冷却剤は、液体窒素、液体水素、液化天然ガス、又はそれらの組み合わせのうち1つを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
[0001] 本出願は、2020年11月18日に出願された「Systems and Methods for Cooling of Superconducting Power Transmission Lines」と題する米国仮特許出願第63/115,226号の優先権と利益を主張する。その開示は援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本開示は電力伝送の分野に関し、より具体的には電力伝送線路の冷却に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 電力は、典型的には、その発生点から消費者負荷へ、電力網(「グリッド」)を使用して移動される。電力網は、発電機、変圧器、開閉装置、伝送線路及び分配線路、並びに制御装置及び保護装置などの構成要素を含む。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本明細書に記載されている実施形態は、冷却システム及び冷却方法に関し、電力伝送線路及び電力伝送システムの冷却において実施することができる。一態様において、本明細書に記載されている冷却システムは、大気圧よりも高い圧力の冷却剤を伝送する冷却剤伝送器を含むことができる。冷却システムは更に、ある量の冷却剤を冷却剤の沸点で収容するように構成された大気圧の蒸発容器を含む。冷却システムは更に、冷却剤伝送器と蒸発容器とに流体結合された減圧器を含む。冷却システムは、冷却剤伝送器内の冷却剤から蒸発容器に収容された冷却剤へ熱が伝達されるように構成されている。いくつかの実施形態では、流出流導管が冷却剤伝送器と減圧器を流体結合し、流出流導管は冷却剤の一部を冷却剤伝送器から蒸発容器へ方向転換させることができる。いくつかの実施形態において、減圧器はオリフィスを含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器はバルブを含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器はスロットルを含み得る。いくつかの実施形態において、蒸発容器にレベルセンサを配置することができる。いくつかの実施形態において、冷却剤は液体窒素を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005] 一実施形態に従った例示的な冷却システムのブロック図である。
図2】[0006] 一実施形態に従った、スロットル、レベルセンサ、及び熱交換器を含む冷却システムを示す。
図3】[0007] 一実施形態に従った、レベルセンサ、断熱ジャケット、及び熱交換器を含む冷却システムを示す。
図4】[0008] 一実施形態に従った、オリフィス、断熱ジャケット、及び熱交換器を含む冷却システムを示す。
図5A】[0009] 一実施形態に従った、スプレー機構を備える冷却システムを示す。
図5B】[0009] 一実施形態に従った、スプレー機構を備える冷却システムを示す。
図6】[0010] 一実施形態に従った、蒸発容器として熱交換器を備える冷却システムを示す。
図7】[0011] 一実施形態に従った、逆流蒸発容器を備える冷却システムを示す。
図8】[0012] 一実施形態に従った、逆流蒸発容器とヘッダチューブを備える冷却システムを示す。
図9A】[0013] 一実施形態に従った、蒸発チューブを備える冷却システムを示す。
図9B】[0013] 一実施形態に従った、図9Aの蒸発チューブの詳細を示す。
図10】[0014] 一実施形態に従った、オリフィスと熱交換器を備える冷却システムを示す。
図11】[0015] 一実施形態に従った、サブクール液体を冷却する方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0016] 本明細書に記載されている実施形態は、冷却システム及び冷却方法に関する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている冷却システム及び冷却方法は、超伝導ケーブルを備える電力伝送システムの冷却において実施することができる。電力伝送システムで採用されている超伝導ケーブルは、超伝導性を維持しながら、従来のワイヤに比べて最大で10倍の電流で動作することができる。電流が大きいと、電圧を下げること及び送電線用地を縮小することが可能となる。また、既知のシステムとは対照的に、エネルギ損失を低減しつつ、狭い送電線用地を通して高速で電力伝送システムを介してエネルギを伝達することができる。更に、超伝導体を備える電力伝送システムに能動冷却機構を組み込むことによって、本開示の電力伝送線路は、既知のシステムとは対照的に、サグ及びクリープが低減し、及び/又は経時的に一貫したサグ及びクリープを示し(例えば架空(overhead)電力伝送の場合)、一般に、より一貫した性能を示すことができる(架空と地中の双方の電力伝送において)。例えば本開示の電力伝送線路は、電力伝送線路の温度が能動的に制御されるので、経時的に変動しないか又は大きく変動しないサグ及びクリープを示し得る。
【0007】
[0017] 既知の電力伝送システムは、連続的な電気導体を使用して発電所を消費者負荷と相互接続する。火力(例えば蒸気駆動)発電設備、原子力発電設備、水力発電設備、天然ガス発電設備、太陽光発電設備、及び風力発電設備などの発電所は、典型的には15kVから25kVの範囲のAC電圧で電気エネルギを発生させる。エネルギを長距離にわたって輸送するために、関連する電圧は、発電所において、例えば昇圧変圧器を介して増大される。超高圧(EHV)電力伝送線路は、230kV以上の電圧で、地理的に離れた変電所にエネルギを輸送することができる。中間変電所では、電圧は降圧変圧器を介して高電圧(HV)レベルまで低減され得、エネルギは、220から110kVの範囲の電圧で動作する電力伝送線路を介してHV変電所に輸送される。負荷により近いHV変電所では、電圧は更に69kVまで低減され、副伝送線路がHV変電所を多くの分配所に接続する。分配変電所では、電圧は35kVから12kVの範囲の値まで低減され、その後、柱上又はパッドマウント降圧変圧器を介して、4160/480/240/120Vで負荷に分配される。伝送及び分配に使用される正確な電圧は、異なる地域及び異なる国でわずかに変化する。
【0008】
[0018] 米国では、EHV電力伝送線路は230kVから800kVの公称電圧を有し、HV電力伝送線路は115kVから230kVの公称電圧を有する。69kVから115kVの電圧の場合、線路はサブ伝送レベルにあると考えられ、60kV未満では分配レベルにあると考えられる。これらの指定を区分する電圧値は、ある程度任意であり、管轄権を有する当局及び/又は場所に応じて変化し得る。既知のEHV電力伝送線路が400~500マイルまでエネルギを輸送することができるのに対し、HV電力伝送線路は200マイルまでエネルギを輸送することができ、サブ伝送線路はエネルギを50~60マイル輸送することができる。高電圧DC(HVDC)電力伝送線路は、長距離にわたって又は水中でエネルギを伝送するために使用される。HVDCシステムにおいては、発電機によって発生されたAC電圧が整流され、エネルギがDCケーブルを介して受電所に伝送され、そこでインバータを使用してDC電圧を変換してACに戻す。
【0009】
[0019] 超伝導材料は、臨界温度未満に冷却された場合、ゼロ又はゼロに近い電気抵抗率を有する。現在、ワイヤ又はテープとして利用可能な超伝導材料は、約-150℃(123K)未満の臨界温度を有する。一部の地中ケーブルに含まれる超伝導材料は、-196℃(77K)未満の温度の液体窒素(LN)を流すことで冷却され、断熱ジャケット(「TIJ」)で囲まれている。複数の超伝導ワイヤを接続した場合、超伝導ケーブルは抵抗のため非常に小さいエネルギ損失を有する。超伝導ケーブルは、AC電流を流す場合に超伝導体においてある程度のエネルギ損失を生成し(「交流損失」)、変化する磁場に起因したある程度のエネルギ損失を生成し(「磁気損失」)、TIJを介してある程度の熱の漏れを有する。DC電流を流す超伝導ケーブルでは、損失はもっと小さく、TIJを介した熱の漏れによって決定付けられる。エネルギ損失によって発生し、冷却された領域へ漏れていく熱を、冷却剤によって除去することで、超伝導体をその動作温度範囲内に維持することができる。
【0010】
[0020] 既知の超伝導伝送の展開では、冷却剤は典型的に、例えば68Kの温度及び20バールの圧力のサブクール液体としてケーブル内に入る。エネルギ損失はTIJ内で熱を発生させ、この熱は冷却剤を流すことによって除去され得る。従って、この熱エネルギのために、冷却剤がケーブルに沿って流れるにつれてその温度は上昇する。温度上昇は、熱エネルギ(W/m)、冷却剤の流量(kg/s)、ケーブルの長さ(m)、及び冷却剤の比熱容量(J/kg・K)に依存する。流れる冷却剤は最大許容温度を有する。この最大許容温度によって、展開される超伝導ケーブルの長さが制限されている。
【0011】
[0021] 本明細書で用いられる場合、「サブクール液体」は、所与の圧力において沸点より低い温度の液体を指す。例えば大気圧(すなわち760mmHg)では、窒素の沸点は約77.4Kである。このため、大気圧及び70Kの温度では窒素はサブクール液体である。20バール絶対圧では、窒素の沸点は約115Kである。このため、20バールの絶対圧及び77.4Kの温度(大気圧での沸点)では窒素はサブクール液体である。
【0012】
[0022] 一例として、1kg/sのLNが68Kでケーブル内に流入し得る場合。このサブクールLNは、貯蔵部から(又はケーブル内の以前の使用から)のLNを冷却することによって生成される。5W/mの熱を除去する場合、LNは400mごとに1Kずつ温まる。75Kの上限温度が許容可能である場合(例えば、LNで2J/gK、又は液化天然ガスで1J/gKの熱容量を仮定する)、ケーブル部分の長さは2.8kmに限定される。このポイントでLNを68Kに再冷却しなければならない。一度ケーブル内に入ったらLNは沸騰しないことに留意するべきである。場合によっては、冷却は潜熱を利用し、比熱は利用しないことがある。LNは大気圧下では77.4Kで沸騰するので、大気圧に開放されている蒸発器を用いて約77.4Kに冷却することは比較的簡単である。1kg/sのLNを77.4K未満に冷却するための機器は重要である。再冷却のための機器(上記の例では2.8kmごとに配置される)は、LNを電力線に入れる前の初期冷却用の機器と同様の複雑さを有する。これを達成するには、ポンプを用いてLNの沸騰プールの低減圧力を維持するか、又は機械的冷蔵を用いればよい。
【0013】
[0023] 上記の方法は双方とも大きな欠点を有する。第1に、多くの可動部品が存在し、電力網の運用においては各部品の信頼性が重要である。これは必然的に複数の冗長回路を伴うことが多い。また、冷却機器の資本コスト、敷地(約50m以上が望ましい場合がある)、及び敷地に対するアクセス権も欠点である。更に、運用コストが高い可能性がある。冷蔵システムは大量の電力(約100kW以上)を消費する。冷却に必要な電力は、伝送される電力と共に増大する。通常、電力供給が不足している場合に電力伝送は最大であり、エネルギは非常に高価である。また、複雑なシステムには定期保守が必要であり、これも運用コストを増大させる可能性がある。
【0014】
[0024] 伝送線路は、多くの場合、長距離にわたって電気を輸送するために用いられる。高電圧高電力伝送線路は、数百キロメートル長に及び、複数の遠隔エリアを通過し得る。数キロメートルごとに再冷却所を配置することは、概して実用的でなく経済的でもない。冷却システムを動作させるために伝送電力を容易に利用できない可能性があることを考慮すると、適切な電源が存在しない恐れがある。伝送電力の電圧は高すぎるか又はDCである場合がある。また、保守のためのアクセスが難しいこと、複数の直列ユニットのために全体的なシステムの信頼性が低いこと、敷地及び陸地面積が問題となること、資本支出が高いことがある。
【0015】
[0025] 上述した冷却システムの短所は、実証システムによって克服されているものの、超伝導電力ケーブルを電力網に広く展開することを妨げる大きな障害となっている。従って、これらの問題を克服する冷却システムを有することが望ましい。
【0016】
[0026] 本明細書に記載されているいくつかの実施形態によれば、冷却剤は、大気圧よりも高い圧力に保たれながら、冷却剤のおおよその大気圧沸点(すなわち、大気圧における冷却剤のおおよその沸点)で伝送線路の地中又は架空のケーブルに入ることができる。言い換えると、冷却剤はサブクール液体とすることができる。本明細書に記載されている実施形態は、冷却剤の一部を、高圧フローシステムを避けて大気に通気している蒸発容器に入れることによる再冷却を含む。大気圧の冷却剤は蒸発容器内に蓄積し、沸騰し、冷却剤の大気圧沸点に近い温度を維持する。例えば、LNは大気圧(海面近く)では約77.4Kで沸騰する。次いで、サブクール高圧冷却剤からの熱は、熱交換器又は熱交換界面を介して、沸騰している冷却剤へ伝達され得る。この熱伝達は、伝導及び/又は強制対流機構によって行うことができる。
【0017】
[0027] このようなシステムの利点によって、冷蔵ユニットを用いない冷却及び資本コストの削減が可能となる。いくつかの実施形態において、冷却システムは外部電力入力なしで動作させることができる。いくつかの実施形態では、システムを高電圧で配置し、誘電絶縁体によって支持塔から離して支持することができる。いくつかの実施形態において、冷却システムは、高電圧電力伝導体から誘導的に獲得されたか又は外部電源から再冷却所(station)に供給された局所外部電力を使用することができる。一例として、外部電源は局所太陽光発電又は熱電エネルギ発生装置を含み得る。いくつかの実施形態では、冷却システムに制御電力を無線で供給することができる。冷蔵を用いたシステムに関する複雑さが軽減すると、より多くのユニットを電力伝送線路に沿って配置することが可能となる。本明細書に記載されている実施形態は、2020年11月18日に出願された「Suspended Superconducting Transmission Lines」と題する米国仮特許出願第63/115,140号(「140号出願」)に記載されたシステムと併用することができる。これは援用により全体が本願に含まれる。本明細書において機能的要素は別個に列挙されているが、2つ以上の機能を組み合わせて1つの要素にすることが有利である場合がある。例えば、いくつかの実施形態において冷却システムは、冷却剤を沸騰させるため大気圧に通気されたTIJ及び領域を含み得る。
【0018】
[0028] いくつかの実施形態において、LNは約77.4K及び1気圧を超える圧力でケーブルに入る。従ってLNはサブクールであり、沸騰していない。いくつかの実施形態では、ケーブルに入るLNを、ポンプ又は業界標準の気化器のいずれかによって加圧することができる。流入及び流出の圧力が液体の流量を決定するか、又はポンプからの流量が流入圧力を決定する。流入LNを約77.4Kに冷却することは、大気に通気している別個の沸騰LN浴に浸された熱交換器にLNを通過させることによって達成される。いくつかの実施形態では、必要な圧力、流量、及び温度でLNを提供するためのシステムを「調節ユニット」と称する。
【0019】
[0029] 流れているサブクールLNは、ケーブルに沿って進むにつれて温まる。許容される温度上昇は通常、既存の最新技術(7K)よりも小さく(2K)、サブクールの状態が維持される。結果として、ある程度の距離(典型的には200m~1km)を経た後、サブクールLNは、典型的に79Kから77Kへの再冷却が望まれる。
【0020】
[0030] いくつかの実施形態において、高圧のサブクールであるが「温かい」流れている残りのLNは、沸騰しているLNによって冷却された熱交換器を通過する。いくつかの実施形態において、蒸発容器内へ流入するLNの量は、LN中に熱交換器を沈めるには充分であるが、あふれるほどではない液体レベルを維持するように制御できる。「温かい」LN流からの熱は、強制対流熱伝達によって熱交換器へ伝達される。熱交換器の形態及び表面は、当技術分野において周知のように最適化され得る。次いで熱は、沸騰熱伝達によって沸騰しているLNへ伝達される。沸騰しているLNに露呈される熱交換器の形態及び表面は、当技術分野において周知のように沸騰熱伝達のため最適化され得る。
【0021】
[0031] いくつかの実施形態において、熱交換器の低温側は、大気圧力下でLNの沸騰温度未満の温度になり得ない。結果として、流れるLNの温度、従って超伝導体の動作温度は通常、大気圧でのLNの沸点よりも高い。これは、過去に実施されている冷却スキームとは対照的である。このため、所与の電力線長に対して、より多くの再冷却所が望ましい場合がある。しかしながら、効果的な再冷却所間隔と許容可能な入口圧力によって、単一のLN供給ポイントを用いた100km長を超える電力線を構築することができる。
【0022】
[0032] 各再冷却所において、流れるLNの一部を流れから除去して、残りを冷却する。この結果、質量流量はケーブルに沿って低減する。
【0023】
[0033] 図1は、一実施形態に従った冷却システム100の構成要素を示すブロック図である。冷却システム100は、冷却剤伝送器110、蒸発容器130、及び減圧器140を含む。実線は流体結合を示し、点線は任意選択的な流体結合を示す。更に具体的には、流体は冷却剤伝送器110と減圧器140との間を直接流れ、また、蒸発容器130と減圧器140との間を直接流れることができる。いくつかの実施形態では、流体は蒸発容器130と冷却剤伝送器110との間を直接流れることができる。いくつかの実施形態では、蒸発容器130と冷却剤伝送器110との間の界面に流体結合は存在しない(すなわち、媒介物としての減圧器140がなければ界面に流体結合は存在しない)。言い換えると、蒸発容器130は減圧器140を介して冷却剤伝送器110に流体結合されるが、冷却剤伝送器110と蒸発容器130との間の界面に直接流体結合は存在しない。このような状況の一例は、冷却剤伝送器がシェルアンドチューブ熱交換器を含み、流体がチューブ側で蒸発容器130を介して流れつつ、シェル側で冷却剤伝送器110を介して流れる場合である。冷却剤伝送器110は減圧器140に直接流体結合され、蒸発容器130は冷却剤伝送器110に直接流体結合されている。冷却剤は、冷却システム100及びその構成要素を介して流れる。いくつかの実施形態において冷却剤は、LN、液体ヘリウム、液体ネオン、液体空気、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0024】
[0034] 使用時、冷却剤は、大気圧よりも高い圧力で冷却剤伝送器110を介して冷却システム100内を流れる。冷却剤伝送器110において、冷却剤はサブクール状態であり沸騰していないが、大気圧での冷却剤の沸点(本明細書では「大気圧沸点」とも称する)よりも温かい。冷却剤の一部は冷却剤伝送器110から方向転換され、減圧器140を介して蒸発容器130に入る。蒸発容器130では、冷却剤は大気圧又はほぼ大気圧に露呈され、冷却剤の大気圧沸点又はほぼ大気圧沸点の温度を維持しながら沸騰する。次いで熱は、蒸発容器130内の沸騰している冷却剤から冷却剤伝送器110内のサブクール液体冷却剤へ伝達する。冷却剤伝送器110内のサブクール液体冷却剤は、冷却剤の大気圧沸点又はほぼ大気圧沸点まで冷却される。
【0025】
[0035] いくつかの実施形態では、複数の冷却システム100を電力伝送線路の長さに沿って規則的な又は不規則の間隔で配置することができる。いくつかの実施形態において、この間隔は、約200m以上、約300m以上、約400m以上、約500m以上、約600m以上、約700m以上、約800m以上、約900m以上、約1km以上、約1.5km以上、約2km以上、約2.5km以上、約3km以上、約3.5km以上、約4km以上、又は約4.5km以上とすることができる。いくつかの実施形態において、この間隔は、約5km以下、約4.5km以下、約4km以下、約3.5km以下、約3km以下、約2.5km以下、約2km以下、約1.5km以下、約1km以下、約900m以下、約800m以下、約700m以下、約600m以下、約500m以下、約400m以下、又は約300m以下とすることができる。上記の冷却システム100の配置間隔の組み合わせも可能であり(例えば、約200m以上且つ約5km以下、又は約500m以上且つ約1km以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、間隔は、約200m、約300m、約400m、約500m、約600m、約700m、約800m、約900m、約1km、約1.5km、約2km、約2.5km、約3km、約3.5km、約4km、約4.5km、又は約5kmとすることができる。
【0026】
[0036] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110は絶縁層(例えばTIJ)を含み得る。いくつかの実施形態において、蒸発容器130は絶縁層を含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器140は絶縁層を含み得る。
【0027】
[0037] 冷却システム100内への(すなわち冷却剤伝送器110を介した)冷却剤の質量流量は、電力伝送線路の一区画(すなわち間隔)において許容される温度上昇、各区画で除去される熱、一区画の長さ、及び冷却剤の比熱容量に依存する。以下の方程式(1)はこの関係を要約している。
【0028】
【数1】
【0029】
ここで、Minは冷却剤の質量流量(kg/s)であり、
Qは各区画で除去される熱の量(W/m)であり、
Lは一区画の長さ(m)であり、
ΔTは一区画において許容される温度上昇(K)であり、
Cは冷却剤の比熱容量(J/kg・K)である。
【0030】
[0038] 冷却剤は蒸発容器130を介して流れることができる。蒸発容器130が大気圧に通気されている場合、蒸発容器130の温度は、冷却剤の局所沸点(例えば海面のLNでは77.4K)に維持される。いくつかの実施形態では、冷却剤の一部を冷却剤伝送器110から流出流導管(図示せず)を介して蒸発容器130へ流すことによって、蒸発容器130内の液体レベルを維持することができる。流出流導管は、冷却剤伝送器110と減圧器140との間の中間流を含み得る。冷却剤伝送器110を介して流れる冷却剤の一部を、(例えば流出流導管及び減圧器140を介して)蒸発容器130へ方向転換させる。
【0031】
[0039] 冷却剤伝送器110を介して流れ、蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の部分は、以下に従って計算することができる。
【0032】
【数2】
【0033】
ここで、fは、冷却剤伝送器110を介して流れ、蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の部分であり、
inは、方程式(1)で計算された冷却剤の質量流量(kg/s)であり、
ΔTは、蒸発容器130内の冷却剤から冷却剤伝送器110内の冷却剤への熱伝達で達成される温度低下であり、
γは沸騰の潜熱(J/kg)であり、
Cは冷却剤の比熱容量(J/kg・K)である。
【0034】
[0040] いくつかの実施形態において、ΔTは、方程式(1)で計算されたΔTと同一であるか又は実質的に同様であり得る。言い換えると、蒸発容器130から冷却剤伝送器110への熱伝達で達成される冷却は、冷却剤伝送器110の一区画において許容される温度上昇を相殺することができる。
【0035】
[0041] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の重量パーセントは、約0.5wt%以上、約1wt%以上、約1.5wt%以上、約2wt%以上、約2.5wt%以上、約3wt%以上、約3.5wt%以上、約4wt%以上、約4.5wt%以上、約5wt%以上、約5.5wt%以上、約6wt%以上、約6.5wt%以上、約7wt%以上、約7.5wt%以上、約8wt%以上、約8.5wt%以上、約9wt%以上、又は約9.5wt%以上とすることができる。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の重量パーセントは、約10wt%以下、約9.5wt%以下、約9wt%以下、約8.5wt%以下、約8wt%以下、約7.5wt%以下、約7wt%以下、約6.5wt%以下、約6wt%以下、約5.5wt%以下、約5wt%以下、約4.5wt%以下、約4wt%以下、約3.5wt%以下、約3wt%以下、約2.5wt%以下、約2wt%以下、約1.5wt%以下、又は約1wt%以下とすることができる。冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の上記の重量パーセント範囲の組み合わせも可能であり(例えば、約0.5wt%以上且つ約10wt%以下、又は約1wt%以上且つ約5wt%以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の重量パーセントは、約0.5wt%、約1wt%、約1.5wt%、約2wt%、約2.5wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%、約4.5wt%、約5wt%、約5.5wt%、約6wt%、約6.5wt%、約7wt%、約7.5wt%、約8wt%、約8.5wt%、約9wt%、約9.5wt%、又は約10wt%とすることができる。
【0036】
[0042] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の速度は、約0.1L/分以上、約0.2L/分以上、約0.3L/分以上、約0.4L/分以上、約0.5L/分以上、約0.6L/分以上、約0.7L/分以上、約0.8L/分以上、約0.9L/分以上、約1L/分以上、約2L/分以上、約3L/分以上、約4L/分以上、約5L/分以上、約6L/分以上、約7L/分以上、約8L/分以上、約9L/分以上、又は約10L/分以上とすることができる。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の速度は、約10L/分以下、約9L/分以下、約8L/分以下、約7L/分以下、約6L/分以下、約5L/分以下、約4L/分以下、約3L/分以下、約2L/分以下、約1L/分以下、約0.9L/分以下、約0.8L/分以下、約0.7L/分以下、約0.6L/分以下、約0.5L/分以下、約0.4L/分以下、約0.3L/分以下、又は約0.2L/分以下とすることができる。冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる上記の冷却剤量の範囲の組み合わせも可能であり(例えば、約0.1L/分以上且つ約10L/分以下、又は約1L/分以上且つ約5L/分以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の速度は、約0.1L/分、約0.2L/分、約0.3L/分、約0.4L/分、約0.5L/分、約0.6L/分、約0.7L/分、約0.8L/分、約0.9L/分、約1L/分、約2L/分、約3L/分、約4L/分、約5L/分、約6L/分、約7L/分、約8L/分、約9L/分、又は約10L/分とすることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130への冷却剤の流量及び/又は冷却剤伝送器110から蒸発容器130へ方向転換させる冷却剤の部分及び/又は液体冷却剤レベルは、蒸発容器130内に配置されたレベルセンサ(図示せず)によって制御することができる。
【0037】
[0043] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110が維持されるゲージ圧は、約1バール以上、約2バール以上、約3バール以上、約4バール以上、約5バール以上、約6バール以上、約7バール以上、約8バール以上、約9バール以上、約10バール以上、約15バール以上、約20バール以上、約25バール以上、約30バール以上、約35バール以上、約40バール以上、又は約45バール以上とすることができる。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110が維持されるゲージ圧は、約50バール以下、約45バール以下、約40バール以下、約35バール以下、約30バール以下、約25バール以下、約20バール以下、約15バール以下、約10バール以下、約9バール以下、約8バール以下、約7バール以下、約6バール以下、約5バール以下、約4バール以下、約3バール以下、又は約2バール以下とすることができる。上記の冷却剤伝送器110のゲージ圧の組み合わせも可能であり(例えば、約1バール以上且つ約50バール以下、又は約10バール以上且つ約30バール以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110が維持されるゲージ圧は、約1バール、約2バール、約3バール、約4バール、約5バール、約6バール、約7バール、約8バール、約9バール、約10バール、約15バール、約20バール、約25バール、約30バール、約35バール、約40バール、約45バール、又は約50バールとすることができる。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器110内の圧力は、ポンプ、ブースターポンプ、コンプレッサ、遠心ポンプ、又はそれらの任意の組み合わせによって維持することができる。
【0038】
[0044] いくつかの実施形態において、冷却システム100は、冷却剤伝送器110内の冷却剤の温度上昇(すなわち上記の方程式(1)のΔT)を、約10K以下、約9K以下、約8K以下、約7K以下、約6K以下、約5K以下、約4K以下、約3K以下、約2K以下、約1K以下、約0.9K以下、約0.8K以下、約0.7K以下、約0.6K以下、約0.5K以下、約0.4K以下、約0.3K以下、約0.2K以下、又は約0.1K以下、これら全ての値とそれらの間の範囲を含む温度に、制限することができる。
【0039】
[0045] いくつかの実施形態において、冷却システム100は、冷却剤の大気圧(すなわち760mmHg)沸点を超える冷却剤伝送器110内の冷却剤の温度を、約10K以下、約9K以下、約8K以下、約7K以下、約6K以下、約5K以下、約4K以下、約3K以下、約2K以下、約1K以下、約0.9K以下、約0.8K以下、約0.7K以下、約0.6K以下、約0.5K以下、約0.4K以下、約0.3K以下、約0.2K以下、又は約0.1K以下、これら全ての値とそれらの間の範囲を含む温度に、制限することができる。
【0040】
[0046] いくつかの実施形態において、蒸発容器130は大気圧に通気させることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130は大気圧又はほぼ大気圧に維持することができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130は冷却剤伝送器110の圧力よりも低い圧力に維持することができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130の圧力は、冷却剤伝送器110の圧力に比べて、約1バール以上、約2バール以上、約3バール以上、約4バール以上、約5バール以上、約6バール以上、約7バール以上、約8バール以上、約9バール以上、約10バール以上、約15バール以上、約20バール以上、約25バール以上、約30バール以上、約35バール以上、約40バール以上、又は約45バール以上、低く維持することができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130の圧力は、冷却剤伝送器110の圧力に比べて、約50バール以下、約45バール以下、約40バール以下、約35バール以下、約30バール以下、約25バール以下、約20バール以下、約15バール以下、約10バール以下、約9バール以下、約8バール以下、約7バール以下、約6バール以下、約5バール以下、約4バール以下、約3バール以下、又は約2バール以下、低く維持することができる。上記の蒸発容器130と冷却剤伝送器110との圧力差の組み合わせも可能であり(例えば、約1バール以上且つ約50バール以下、又は約15バール以上且つ約25バール以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、蒸発容器130の圧力は、冷却剤伝送器110の圧力に比べて、約1バール、約2バール、約3バール、約4バール、約5バール、約6バール、約7バール、約8バール、約9バール、約10バール、約15バール、約20バール、約25バール、約30バール、約35バール、約40バール、約45バール、又は約50バール、低く維持することができる。
【0041】
[0047] いくつかの実施形態において、蒸発容器130は熱交換器(図示せず)を含み得る。例えば蒸発容器130は、シェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側として作用する1つ以上のチューブを含み、冷却剤伝送器110は、蒸発容器130のチューブの外側に沿って延出するシェルとして作用する部分を含むことができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130は熱交換器とすることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130はらせん管熱交換器とすることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130は冷却剤伝送器110の内部に収容することができる。
【0042】
[0048] いくつかの実施形態において、冷却システム100は、蒸発容器130と冷却剤伝送器110との間の界面に熱交換器を含むことができる。冷却剤は、熱交換器の第1の側で冷却剤伝送器110と熱交換器との間を循環し、熱交換器の第2の側で蒸発容器130と熱交換器との間を流れることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器の第1の側はシェル側とすることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器の第1の側はチューブ側とすることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器の第2の側はシェル側とすることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器の第2の側はチューブ側とすることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器はプレートフィン熱交換器とすることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器130は、冷却剤のボイルオフ(boil-off)を防止するためTIJ内に収容することができる。
【0043】
[0049] 冷却剤は、冷却剤伝送器110から減圧器140を介して蒸発容器130へ流れる。いくつかの実施形態において、冷却剤は冷却剤伝送器110から複数の導管を介して蒸発容器130へ流れることができる。いくつかの実施形態において、冷却剤は冷却剤伝送器110から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の導管を介して蒸発容器130へ流れることができる。いくつかの実施形態において、減圧器140はオリフィスを含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器140は複数のオリフィスを含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器140はスロットルを含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器140はバルブを含み得る。いくつかの実施形態において、減圧器140は複数のバルブを含み得る。
【0044】
[0050] いくつかの実施形態において、減圧器140は、冷却剤伝送器110と蒸発容器130との間の圧力差を、約1バール以上、約2バール以上、約3バール以上、約4バール以上、約5バール以上、約6バール以上、約7バール以上、約8バール以上、約9バール以上、約10バール以上、約15バール以上、約20バール以上、約25バール以上、約30バール以上、約35バール以上、約40バール以上、又は約45バール以上に維持することができる。いくつかの実施形態において、減圧器140は、冷却剤伝送器110と蒸発容器130との間の圧力差を、約50バール以下、約45バール以下、約40バール以下、約35バール以下、約30バール以下、約25バール以下、約20バール以下、約15バール以下、約10バール以下、約9バール以下、約8バール以下、約7バール以下、約6バール以下、約5バール以下、約4バール以下、約3バール以下、又は約2バール以下に維持することができる。減圧器140によって維持される上記の圧力勾配の組み合わせも可能であり(例えば、約1バール以上且つ約50バール以下、又は約10バール以下且つ約30バール以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、減圧器140は、冷却剤伝送器110と蒸発容器130との間の圧力差を、約1バール、約2バール、約3バール、約4バール、約5バール、約6バール、約7バール、約8バール、約9バール、約10バール、約15バール、約20バール、約25バール、約30バール、約35バール、約40バール、約45バール、又は約50バールに維持することができる。
【0045】
[0051] 図2は、一実施形態に従った冷却システム200を示す。冷却システム200は、冷却剤伝送器210、流出流導管220、蒸発容器230、スロットル241、熱交換器250、出口通気口256、及びレベルセンサ260を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器210及び蒸発容器230は、図1を参照して上述した冷却剤伝送器110及び蒸発容器130と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では冷却剤伝送器210及び蒸発容器230のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。また、図2には冷却剤10も示されている。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0046】
[0052] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器210は、冷却剤伝送器210の始端及び冷却剤伝送器210の末端で電力伝送線路に結合することができる。冷却剤10は、液体として冷却剤伝送器210を通って移動する。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器210は、1本のパイプ、複数のパイプ、導管、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器210は絶縁層を含み得る。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器210は地中を通ることができる。
【0047】
[0053] 流出流導管220は、冷却剤10の一部を冷却剤伝送器210から蒸発容器230へ方向転換させる。流出流導管220及びスロットル241は、冷却剤伝送器210を蒸発容器230に流体結合する。いくつかの実施形態では、スロットル241の開口が、流出流導管220を通る冷却剤10の流れを制御することができる。いくつかの実施形態では、レベルセンサ260がスロットル241の開口を制御することができる。言い換えると、蒸発容器230内に存在する冷却剤の量に基づいて、冷却剤伝送器210から方向転換される冷却剤10の量を制御できる。いくつかの実施形態において、流出流導管220は断熱層を含み得る。
【0048】
[0054] 蒸発容器230内の冷却剤10は沸騰し、熱交換器250を介して冷却剤伝送器210から熱を引き抜く。いくつかの実施形態では、蒸発容器230を大気に通気して(すなわち出口通気口256を介して)、大気圧に保つことができる。いくつかの実施形態では、蒸発容器230を大気圧よりも高い圧力に通気することができる。いくつかの実施形態では、蒸発容器230をパイプに通気し、このパイプは蒸気を更に別の熱交換器(図示せず)に輸送し、これは蒸気を通気前の大気温度に温め得る。いくつかの実施形態において、蒸発容器230は、蒸発容器230の外側の周囲に配置された絶縁層を含み得る。いくつかの実施形態では、冷却剤10の一部を、後に使用するため、沸騰後に蒸発容器230から捕獲することができる。
【0049】
[0055] いくつかの実施形態において、蒸発容器230の容積は、約0.001m以上、約0.002m以上、約0.003m以上、約0.004m以上、約0.005m以上、約0.006m以上、約0.007m以上、約0.008m以上、約0.009m以上、約0.01m以上、約0.02m以上、約0.03m以上、約0.04m以上、約0.05m以上、約0.06m以上、約0.07m以上、約0.08m以上、約0.09m以上、約0.1m以上、約0.2m以上、約0.3m以上、約0.4m以上、約0.5m以上、約0.6m以上、約0.7m以上、約0.8m以上、約0.9m、約1m以上、約2m以上、約3m以上、約4m以上、約5m以上、約6m以上、約7m以上、約8m以上、約9m以上、約10m以上、約20m以上、約30m以上、約40m以上、又は約50m以上とすることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器230の容積は、約50m以下、約40m以下、約30m以下、約20m以下、約10m以下、約9m以下、約8m以下、約7m以下、約6m以下、約5m以下、約4m以下、約3m以下、約2m以下、約1m以下、約0.9m以下、約0.8m以下、約0.7m以下、約0.6m以下、約0.5m以下、約0.4m以下、約0.3m以下、約0.2m以下、約0.1m以下、約0.09m以下、約0.08m以下、約0.07m以下、約0.06m以下、約0.05m以下、約0.04m以下、約0.03m以下、約0.02m以下、約0.01m以下、約0.009m以下、約0.008m以下、約0.007m以下、約0.006m以下、約0.005m以下、約0.004m以下、約0.003m以下、約0.002m以下、又は約0.001m以下とすることができる。上記の蒸発容器230の容積の組み合わせも可能であり(例えば、約0.001m以上且つ約50m以下、又は約0.1m以上且つ約50m以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、蒸発容器230の容積は、約0.1m、約0.2m、約0.3m、約0.4m、約0.5m、約0.6m、約0.7m、約0.8m、約0.9m、約1m、約2m、約3m、約4m、約5m、約6m、約7m、約8m、約9m、約10m、約20m、約30m、約40m、又は約50mとすることができる。
【0050】
[0056] スロットル241は、流出流導管220と蒸発容器230との間の界面における流量調節器として作用する。いくつかの実施形態において、スロットル241は、流出流導管220と蒸発容器230との間の界面における圧力調節器又は減圧器として作用することができる。いくつかの実施形態において、スロットル241は、図1を参照して上述した減圧器140と同一の又は実質的に同様の特性を有し得る。いくつかの実施形態において、冷却システム200は、流出流導管220と蒸発容器230との間の界面に1つ又は複数のオリフィスを含み得る。いくつかの実施形態において、スロットル241は1つのバルブを含み得る。いくつかの実施形態において、スロットル241は複数のバルブを含み得る。
【0051】
[0057] 熱交換器250は、冷却剤伝送器210に流体結合された第1の側と、蒸発容器230に流体結合された第2の側と、を有する。いくつかの実施形態において、熱交換器250はシェルアンドチューブ熱交換器を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の側はシェルアンドチューブ熱交換器のシェル側とすることができる。いくつかの実施形態において、第1の側はシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側とすることができる。いくつかの実施形態において、第2の側はシェルアンドチューブ熱交換器のシェル側とすることができる。いくつかの実施形態において、第2の側はシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側とすることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器250は、並流熱交換器、逆流熱交換器、フィン付き管型熱交換器、単一経路熱交換器、2経路熱交換器、U字管熱交換器、コンパクト熱交換器、プレートフィン熱交換器、らせん管熱交換器、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、熱交換器250は強制対流熱伝達のために強化された表面を含み得る。
【0052】
[0058] いくつかの実施形態において、レベルセンサ260は、スロットル241の開口を制御するためスロットル241と連通することができる。いくつかの実施形態において、レベルセンサ260は、光学センサ、容量センサ、導電性センサ、ダイアフラムセンサ、フロートセンサ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0053】
[0059] 図3は、一実施形態に従った冷却システム300を示す。冷却システム300は、冷却剤伝送器310(第1の部分310aと第2の部分310bに分割されている)、流出流導管320、蒸発容器330、圧力調節器340(例えばフロートバルブ)、熱交換器350、出口通気口356、レベルセンサ360、及びTIJ370を含む。
【0054】
[0060] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器310、流出流導管320、蒸発容器330、熱交換器350、及びレベルセンサ360は、図2を参照して上述した冷却剤伝送器210、流出流導管220、蒸発容器230、熱交換器250、及びレベルセンサ260と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。いくつかの実施形態において、圧力調節器340は、図1を参照して上述した減圧器140と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器310、流出流導管320、蒸発容器330、圧力調節器340、熱交換器350、及びレベルセンサ360のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は矢印Lに沿って液体として、矢印Vに沿って蒸気として(出口通気口356を介して)流れる。
【0055】
[0061] 冷却剤10は、出口通気口356を介して大気圧に開放しており、従って、冷却剤伝送器310内の冷却剤10からの熱のために約77.4Kで沸騰する。いくつかの実施形態において、冷却システム300は、架空の超伝導電力伝送線路を支持する柱の上に配置することができる。いくつかの実施形態において、冷却システム300は、地中の超伝導電力伝送線路の動作中に使用するため地下室に配置することができる。
【0056】
[0062] 図示のように、冷却剤伝送器310は第1の部分310aと第2の部分310bに分割されている。第1の部分310aは、冷却剤伝送器310の始端から熱交換器350へ冷却剤10を輸送する。第2の部分310bは、熱交換器350から冷却剤伝送器310の末端へ冷却剤10を輸送する。図示のように、熱交換器350は、蒸発容器330内で沸騰している冷却剤10中に完全に沈んでいる。いくつかの実施形態では、熱交換器350を、蒸発容器330内で沸騰している冷却剤10に部分的に浸すことができる。図示のように、熱交換器350はらせん形を有する。いくつかの実施形態において、熱交換器350は、蒸発容器330内で沸騰している冷却剤10と熱交換器350を通って流れている冷却剤10との間の熱交換を最大化するように形成することができる。
【0057】
[0063] 図示のように、レベルセンサ360は圧力調節器340に物理的に結合されている。いくつかの実施形態において、レベルセンサ360は蒸発容器330の内壁に物理的に結合することができる。
【0058】
[0064] 図示のように、TIJ370は蒸発容器330の外側の周囲に配置されている。いくつかの実施形態において、TIJ370は冷却剤のボイルオフを最小限に抑えるのに役立ち得る。いくつかの実施形態において、TIJ370は、繊維ガラス、ポリウレタン、ダウン断熱材、ポリエステル、繊維、ポリフィル、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、TIJ370は二重壁真空ジャケットを含み、任意選択的に、追加の絶縁材料(例えば繊維ガラス、ポリウレタン、ダウン断熱材、ポリエステル、繊維、ポリフィル、又はそれらの任意の組み合わせ)の1つ以上の層を補足することができる。いくつかの実施形態では、絶縁材料の追加層なしで二重壁真空ジャケットを蒸発容器330の外側の周囲に配置することができる。いくつかの実施形態において、TIJ370の厚さは、約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、約4mm以上、約5mm以上、約6mm以上、約7mm以上、約8mm以上、約9mm以上、約1cm以上、約2cm以上、約3cm以上、約4cm以上、約5cm以上、約6cm以上、約7cm以上、約8cm以上、約9cm以上、約10cm以上、約20cm以上、約30cm以上、約40cm以上、約50cm以上、約60cm以上、約70cm以上、約80cm以上、又は約90cm以上とすることができる。いくつかの実施形態において、TIJ370の厚さは、約1m以下、約90cm以下、約80cm以下、約70cm以下、約60cm以下、約50cm以下、約40cm以下、約30cm以下、約20cm以下、約10cm以下、約9cm以下、約8cm以下、約7cm以下、約6cm以下、約5cm以下、約4cm以下、約3cm以下、約2cm以下、約1cm以下、約9mm以下、約8mm以下、約7mm以下、約6mm以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、又は約2mm以下とすることができる。上記のTIJ370の厚さの組み合わせも可能であり(例えば、約1mm以上且つ約1m以下、又は約1cm以上且つ約20cm以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、TIJ370の厚さは、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約20cm、約30cm、約40cm、約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、又は約1mとすることができる。
【0059】
[0065] 図4は、一実施形態に従った冷却システム400を示す。図示のように、冷却システム400は、冷却剤伝送器410(第1の部分410aと第2の部分410bに分割されている)、流出流導管420、蒸発容器430、オリフィス442、熱交換器450、出口通気口456、TIJ470を含み、任意選択的にレベルセンサ(図示せず)も含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器410、流出流導管420、蒸発容器430、熱交換器450、出口通気口456、TIJ470、及び任意選択的なレベルセンサは、図3を参照して上述した冷却剤伝送器310、流出流導管320、蒸発容器330、熱交換器350、出口通気口356、TIJ370、及びレベルセンサ360と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器410、流出流導管420、蒸発容器430、熱交換器450、TIJ470、及びレベルセンサのいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0060】
[0066] 図示のように、オリフィス442は、流出流導管420と蒸発容器430との間の冷却剤410の流れを調節する。また、オリフィス442は圧力調節器としても作用し、流出流導管420と蒸発容器430との間の圧力差を調節する。いくつかの実施形態において、オリフィス442は1つの開口を含み得る。いくつかの実施形態において、オリフィス442は複数の開口を含み得る(例えば格子)。いくつかの実施形態において、オリフィス442は、バルブ又はスロットルのような、流体流に対する他の妨害物/障害物を含み得る。いくつかの実施形態において、オリフィス442は、蒸発容器430内に配置されたバルブ又はレベルセンサなしで冷却システム400に含めることができる。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器410内の圧力は、水頭損失(hydrostatic head loss)のために冷却剤伝送器410の長さに沿って変化し得る。従って、オリフィス442のサイズ及び/又はオリフィス442に含まれる開口の数は、冷却剤伝送器410に沿った位置と共に変動し得る。例えば、オリフィス442が冷却剤伝送器410に沿った第1の位置にある場合、これは第1の直径を有し得る。オリフィス442が冷却剤伝送器410に沿った第2の位置にあり、第2の位置が第1の位置の下流にある場合、オリフィス442は第1の直径よりも大きい第2の直径を有し得る。圧力は第2の位置の方が小さいので、第2の位置のオリフィス442を大きくすることで、同様の流量の冷却剤10がオリフィス442を通って送出される。しかしながら、オリフィス442を通る流量は、オリフィス442を介した圧力差の平方根に比例して変動し得る。従って、様々な圧力において所与の流量を得るためのオリフィス442の直径は、圧力の4乗根と共に変動する。これは弱い依存であり、冷却剤伝送器410に沿ったある圧力範囲にわたって単一のオリフィスサイズが適切な冷却剤10の流れを与えることができる。冷却システム400が用いる冷却の量は、冷却システム400を通る冷却剤の入口圧力及び/又は流量を制御することによって変動させることができる。
【0061】
[0067] 図5Aから図5Bは、一実施形態に従った冷却システム500及びその様々な構成要素を示す。図示のように、冷却システム500は、冷却剤伝送器510(第1の部分510aと第2の部分510bに分割されている)、流出流導管520、蒸発容器530、熱板538、オリフィス542、熱交換器550、熱交換領域554、及びTIJ570を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器510、第1の部分510a、第2の部分510b、流出流導管520、蒸発容器530、オリフィス542、熱交換器550、及びTIJ570は、図4を参照して上述した冷却剤伝送器410、第1の部分410a、第2の部分410b、流出流導管420、蒸発容器430、オリフィス442、熱交換器450、及びTIJ470と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器510、第1の部分510a、第2の部分510b、流出流導管520、蒸発容器530、オリフィス542、熱交換器550、及びTIJ570のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0062】
[0068] 図5Aは冷却システム500の断面を示し、図5Bは冷却剤伝送器510及び蒸発容器530の外観図を示す。図5BはボックスAを示し、これに沿って図5Aが描かれている。いくつかの実施形態において、冷却システム500は、任意選択的に支持構造又は支持柱から離して、架空(OH)電力伝送線路伝導体に吊り下げることができる。いくつかの実施形態において、冷却システム500は、地中電力伝送線路の一部として地下室又は導管内に配置することができる。いくつかの実施形態において、冷却システム500は任意の角度で動作し、横方向に移動し得る。
【0063】
[0069] 冷却剤伝送器510は電力伝送線路から冷却剤を受容する。冷却剤伝送器510は、熱交換領域554への入口に注ぎ込む(又は流体結合されている)。冷却剤伝送器510は流出流導管520に流体結合されている。冷却剤伝送器510からの冷却剤は、流出流導管520を通って流れ、蒸気線Vに沿った蒸気流としてオリフィス542から出る。冷却剤10は、蒸気として熱交換器550に、より具体的には熱交換領域554に接触する。熱交換領域554内の液体冷却剤から熱板538へ、熱が引き抜かれる。熱は次いで、熱板538から、熱板538の外部にあって熱板538と接触している蒸気冷却剤へ引き抜かれる。いくつかの実施形態では、熱交換器550においてもっと多くのコイルを含ませること及び/又は表面積を拡大することにより、更に大きい熱伝達を生成することができる。一度、液体冷却剤が熱交換器550から出たら、大気圧又はほぼ大気圧の冷却剤蒸気への熱伝達によって温度が低下する。言い換えると、冷却剤10が熱板538にスプレーされ、次いで沸騰すること(まとめて「スプレー沸騰」と称する)により、熱交換器550内の液体冷却剤から熱交換器550の外側の蒸気冷却剤へ熱が伝達する。
【0064】
[0070] 図示のように、蒸発容器530は熱板538を含み、各側がTIJ570に囲まれている。いくつかの実施形態において、蒸発容器530は、各側で蒸発容器530を囲む「壁」を全く含まない場合がある。言い換えると、蒸発容器530は単に、冷却剤10がスプレーされ、スプレーされた冷却剤10が次いで沸騰するオープンスペース又は体積(volume)を表す可能性がある。熱板538は、流出流導管520から噴出された蒸気冷却剤と熱交換領域554との接触を最大限にすることができる。いくつかの実施形態において、蒸気冷却剤は熱交換領域554の近くに維持され、熱交換領域554から落ちることなく、熱交換領域554に極めて近接して凝縮、蒸発、及び/又は沸騰することができる。
【0065】
[0071] オリフィス542は、流出流導管520から出る冷却剤10の流れを調節する。いくつかの実施形態において、オリフィス542は、流出流導管520と蒸発容器530との間の圧力差も調節することができる。いくつかの実施形態において、オリフィス542は、熱交換領域554で冷却剤があふれるのを最小限に抑えるように設計できる。言い換えると、オリフィス542は、熱交換領域554に極めて近接している冷却剤10の量に基づいて調節可能であり得る。いくつかの実施形態では、レベルセンサが、蒸発容器530内の冷却剤の量及び/又は熱交換領域554に極めて近接している冷却剤の量を検出することができる。
【0066】
[0072] いくつかの実施形態において、冷却システム500は狭い温度範囲内(例えば約78Kと約79Kとの間)で動作することができ、複数のそのような冷却システム500が伝送線路に沿って短い間隔で配置され得る。いくつかの実施形態では、冷却システム500を通過する冷却剤10が狭い温度範囲内に維持されることで、冷却システム500を通過する冷却剤10の最大温度と最小温度との差を、約5K以下、約4K以下、約3K以下、約2K以下、約1K以下、約0.9K以下、約0.8K以下、約0.7K以下、約0.6K以下、又は約0.5K以下にすることができる。いくつかの実施形態において、オリフィス542を介した冷却剤10のスプレーは連続的又は一定とすることができる。いくつかの実施形態において、オリフィス542は、冷却剤10が熱交換器550の外面に沿って液体として蓄積しないようなサイズに設定することができる。いくつかの実施形態において、オリフィス542は、冷却剤10が冷却システム500の外面に沿って液体として蓄積しないようなサイズに設定することができる。いくつかの実施形態において、冷却システム500は大気に直接通気することができる。
【0067】
[0073] 図6は、一実施形態に従った冷却システム600を示す。図示のように、冷却システム600は、冷却剤伝送器610、蒸発容器630、圧力調節器640、及び出口通気口656を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器610、蒸発容器630、圧力調節器640は、図1を参照して上述した冷却剤伝送器110、蒸発容器130、及び減圧器140と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器610、蒸発容器630、及び圧力調節器640のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図6には冷却剤10も示されている。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0068】
[0074] いくつかの実施形態において、冷却剤10は電力伝送線路から冷却剤伝送器610に入り、液体線Lに沿って冷却剤伝送器610を通って移動する。冷却剤10は蒸発容器630の外側の周囲を通る。図示のように、蒸発容器630はらせん管熱交換器である。冷却剤10は圧力調節器640を通って蒸発容器630に入る。図示のように、蒸発容器630は部分的に冷却剤伝送器610内に配置されている。いくつかの実施形態では、蒸発容器630を全体的に冷却剤伝送器610内に配置することができる。
【0069】
[0075] いくつかの実施形態において、蒸発容器630は出口通気口656を介して大気圧又はほぼ大気圧に通気することができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器630からの熱伝達は、蒸発容器630を取り囲む冷却剤10の強制対流冷却によって行うことができる。図示のように、蒸発容器630はらせん形である。いくつかの実施形態において、蒸発容器630は熱伝達に適した任意の形状を含み得る。
【0070】
[0076] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器610は伝送線路伝導体(図示せず)を直接収容することができる。言い換えると、伝送線路伝導体は冷却剤伝送器610を通って延出し得る。いくつかの実施形態において、冷却システム600は、冷却剤伝送器610内に配置されて冷却剤伝送器610の全長にわたって延出する超伝導ケーブル(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態において、冷却システム600は、冷却剤伝送器610内に配置されて冷却剤伝送器610の全長にわたって延出する構造的張力ケーブル(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態において、伝送線路伝導体、超伝導ケーブル、及び/又は構造的張力ケーブルは、冷却剤伝送器610が取り囲む空間を通って延出し得る。
【0071】
[0077] いくつかの実施形態において、蒸発容器630は、冷却剤伝送器610の長さの一部に沿って延出する熱交換チューブとすることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器630は、冷却剤伝送器610の全長に沿って延出する熱交換チューブとすることができる。いくつかの実施形態では、複数の熱交換チューブを電力伝送線路の長さに沿って配置することができ、定期的な通気のため、任意選択的に電力伝送線路の長さに沿って複数の通気口を備えてもよい。いくつかの実施形態では、複数の熱交換チューブを相互に離隔させることができる。他の実施形態では、複数の熱交換チューブのいくつか又は全てを接合して連続的な一連の熱交換チューブを形成し、電力伝送線路の長さの一部又は全体を覆うことができる。
【0072】
[0078] 図7は、一実施形態に従った冷却システム700を示す。図示のように、冷却システム700は、冷却剤伝送器710、蒸発容器730、オリフィス742、及び出口通気口756を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器710及び蒸発容器730は、図1を参照して上述した冷却剤伝送器110及び蒸発容器130と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。いくつかの実施形態において、オリフィス742は、図4を参照して上述したオリフィス442と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。いくつかの実施形態において、出口通気口756は、図6を参照して上述した出口通気口656と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器710、蒸発容器730、オリフィス742、及び出口通気口756のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0073】
[0079] 図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って冷却剤伝送器710を通って流れ、冷却剤10の一部はオリフィス742を介して蒸発容器730へ方向転換される。次いで、冷却剤10は蒸気線Vに沿って蒸発容器730を通って流れる。冷却剤伝送器710から蒸発容器730へ熱が伝達する。冷却剤10は、出口通気口756を通って蒸発容器730から出る。図示のように、冷却剤10は、冷却剤伝送器710を通る冷却剤10の流れに対して逆流で蒸発容器730を通って流れる。いくつかの実施形態において、冷却剤10は、冷却剤伝送器710と平行に蒸発容器730を通って流れることができる。いくつかの実施形態において、蒸発容器730は冷却剤伝送器710の周りの環状空間とすることができる。言い換えると、蒸発容器は冷却剤伝送器710を包囲する、すなわち取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、冷却システムを電力伝送線路に固定して、蒸発容器730を電力伝送線路に接触させることができる。
【0074】
[0080] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器710は伝送線路伝導体(図示せず)を直接収容することができる。言い換えると、伝送線伝導体は冷却剤伝送器710を通って延出し得る。いくつかの実施形態において、冷却システム700は、冷却剤伝送器710内に配置されて冷却剤伝送器710の全長にわたって延出する超伝導ケーブル(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態において、冷却システム700は、冷却剤伝送器710内に配置されて冷却剤伝送器710の全長にわたって延出する構造的張力ケーブル(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態において、伝送線伝導体、超伝導ケーブル、及び/又は構造的張力ケーブルは、蒸発容器730が取り囲む空間を通って延出し得る。
【0075】
[0081] 図8は、一実施形態に従った冷却システム800を示す。図示のように、冷却システム800は、冷却剤伝送器810(「ヘッダチューブ」とも称する)、流出流導管820、スプレーチューブ822、蒸発容器830、スロットル841、オリフィス842、出口通気口856、及びレベルセンサ860を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器810、流出流導管820、蒸発容器830、オリフィス842、及び出口通気口856は、図7を参照して上述した冷却剤伝送器710、流出流導管720、蒸発容器730、オリフィス742、及び出口通気口756と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。いくつかの実施形態において、スロットル841及びレベルセンサ860は、図2を参照して上述したスロットル241及びレベルセンサ260と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器810、流出流導管820、蒸発容器830、スロットル841、出口通気口856、及びレベルセンサ860のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0076】
[0082] 図示のように、冷却剤伝送器810を通って流れる冷却剤10の一部は流出流導管820へ方向転換される。流出流導管820から、冷却剤10はスロットル841を通ってスプレーチューブ822に流入する。スロットル841は、冷却剤伝送器810からスプレーチューブ822への冷却剤10の流れを調節する。いくつかの実施形態において、スロットル841は1つ以上のバルブを含み得る。冷却剤10は、液体線Lに沿ってスプレーチューブ822を通って流れる。冷却剤10は、スプレーチューブ822からオリフィス842を介して蒸発容器830へ流入する。冷却剤10は蒸気として蒸発容器830に入る。いくつかの実施形態において、冷却剤10は蒸発容器830内へスプレーされ、次いで冷却剤10は蒸発容器830内で沸騰する。冷却剤伝送器810及びスプレーチューブ822の壁で伝導が生じ、蒸発容器830から冷却剤伝送器810及びスプレーチューブ822へ熱を伝達する。更に、蒸発容器830内の冷却剤10と冷却剤伝送器810及びスプレーチューブ822内の冷却剤10との間で強制対流熱伝達が発生する。図示のように、冷却剤10は、冷却剤伝送器810及びスプレーチューブ822を通る冷却剤10の流れに対して逆流で蒸発容器830を通って流れる。いくつかの実施形態において、冷却剤10は、冷却剤伝送器810及びスプレーチューブ822と平行に蒸発容器830を通って流れることができる。
【0077】
[0083] 過剰な量の冷却剤10がスプレーチューブ822から蒸発容器830へ放出された場合、冷却剤10の一部が液体として蒸発容器830内に蓄積する可能性がある。レベルセンサ860は、蒸発容器830内の液体レベルを検出し、スロットル841と連通することができる。例えば、レベルセンサ860が蒸発容器830内の所望の液体量よりも多い量を検出した場合、スロットル841が開口を調整することで、スプレーチューブ822内へ入る冷却剤10の量を減少させ、結果としてオリフィス842を介して蒸発容器830内へ入る冷却剤10の量を減少させることができる。これとは逆に、蒸発容器830と冷却剤伝送器810及びスプレーチューブ822との間の熱伝達量が所望の量よりも少ない場合(例えば温度センサによって検出される)、スロットル841が開口を調整することで、スプレーチューブ822内へ入る冷却剤10の量を増大させることができる。この結果、蒸発容器830内へ入る冷却剤10の量が増大する。
【0078】
[0084] 図9Aから図9Bは、一実施形態に従った冷却システム900及びその様々な構成要素を示す。図示のように、冷却システム900は、冷却剤伝送器910、蒸発容器930A、930B(まとめて蒸発容器930又は「冷却チューブ」と称する)、スロットル941、オリフィス942A、942B(まとめてオリフィス942と称する)、出口通気口956A、956B(まとめて出口通気口956と称する)、及びレベルセンサ960を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器910、蒸発容器930、スロットル941、オリフィス942、出口通気口956、及びレベルセンサ960は、図8を参照して上述した冷却剤伝送器810、蒸発容器830、スロットル841、オリフィス842、出口通気口856、及びレベルセンサ860と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器910、蒸発容器930、スロットル941、オリフィス942、出口通気口956、及びレベルセンサ960のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0079】
[0085] 図9Aは冷却システム900を示し、図9Bは液体冷却剤がオリフィス942Aを介して蒸発容器930Aへ流入することを示す。図9Bで示されているように、冷却剤10は加圧液体としてオリフィス942Aに入り、液体線Lに沿って流れる。蒸発容器930Aは冷却剤伝送器910よりも低い圧力に維持されているので、冷却剤10は蒸発容器930Aに流入すると膨張して蒸気になる。言い換えると、冷却剤は蒸発容器930内へスプレーされ、より温かい表面と接触して又はより温かい蒸気と混合されて沸騰し、これによって蒸発容器930を冷却する。
【0080】
[0086] 図示のように、蒸発容器930は冷却剤伝送器910内に配置されたチューブである。図示のように、冷却剤10は、冷却剤伝送器910を通る冷却剤10の流れに対して逆流で、また、冷却剤伝送器910の一部を通る冷却剤10の流れに対して垂直に、蒸発容器930の一部を通って流れる。いくつかの実施形態において、冷却剤10は、冷却剤伝送器910を通る冷却剤10の流れと平行に、また、冷却剤伝送器910の一部を通る冷却剤10の流れに対して垂直に、蒸発容器930の一部を通って流れることができる。図示のように、蒸発容器930Aは大気圧又はほぼ大気圧に通気する。図示のように、蒸発容器930Bを通る冷却剤10の流れは、スロットル941及びレベルセンサ960によって制御される。いくつかの実施形態において、冷却システム900は、大気圧又はほぼ大気圧に通気した複数の蒸発容器を含み得る(例えば蒸発容器930A)。いくつかの実施形態において、冷却システム900は、大気圧又はほぼ大気圧に通気した0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の蒸発容器を含み得る。いくつかの実施形態において、冷却システム900は複数の蒸発容器を含むことができ、これらを通る冷却剤の流れはスロットル及びレベルセンサによって制御される(例えば蒸発容器930B)。いくつかの実施形態において、冷却システム900は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の蒸発容器を含むことができ、これらを通る冷却剤の流れはスロットル及びレベルセンサによって制御される。
【0081】
[0087] 図10は、一実施形態に従った冷却システム1000を示す。図示のように、冷却システム1000は、冷却剤伝送器、流出流導管1020、蒸発容器1030、オリフィス1042、熱交換器1050、出口通気口1056、及びTIJ1070を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器1010、流出流導管1020、蒸発容器1030、オリフィス1042、熱交換器1050、出口通気口1056、及びTIJ1070は、図4を参照して上述した冷却剤伝送器410、流出流導管420、蒸発容器430、オリフィス442、熱交換器450、出口通気口456、及びTIJ470と同一であるか又は実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では、冷却剤伝送器1010、流出流導管1020、蒸発容器1030、オリフィス1042、熱交換器1050、及びTIJ1070のいくつかの態様についてはこれ以上詳しく説明しない。図示のように、冷却剤10は液体線Lに沿って液体として、蒸気線Vに沿って蒸気として流れる。
【0082】
[0088] いくつかの実施形態において、熱交換器1050は冷却剤10の流線の一部分(integral part)とすることができる。いくつかの実施形態において、熱交換器1050は、冷却剤10の流路内へ突出した、強制対流熱伝達のために強化された表面を含み得る。いくつかの実施形態において、熱交換器1050の強化表面は、フィン、フィンガ、又は熱伝達を促進するための他の任意の表面特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、強化表面は、圧力バリアに固定されるか又は圧力バリアを通過するベースを含み、これによって蒸発容器1030内の冷却剤10との強い熱的リンクを生成することができる。
【0083】
[0089] 図11は、一実施形態に従った、サブクール液体を冷却する方法1100の図である。方法1100はステップ1102において、大気圧よりも高い圧力のサブクール液体のある量を導管に流すことを含む。方法1100は更に、ステップ1104において、サブクール液体の一部を蒸発容器内へ方向転換することを含む。蒸発容器は導管よりも圧力が低いので、サブクール液体の一部は沸騰液体になる。方法1100は更に、ステップ1106において、沸騰液体を熱伝達界面に露呈しながら、導管内のサブクール液体の残りの量を熱伝達界面に露呈することを含み、ステップ1108において、サブクール液体から沸騰液体へ熱を伝達してサブクール液体の温度を低下させることを含む。
【0084】
[0090] いくつかの実施形態において、ステップ1102で導管に流すサブクール液体は冷却剤を含み得る。いくつかの実施形態において、サブクール液体は、LN、液体ヘリウム、液体ネオン、液体空気、液体水素、液化天然ガス、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、サブクール液体が導管を流れる流量は、約10L/分以上、約20L/分以上、約30L/分以上、約40L/分以上、約50L/分以上、約60L/分以上、約70L/分以上、約80L/分以上、約90L/分以上、約100L/分以上、約200L/分以上、約300L/分以上、約400L/分以上、約500L/分以上、約600L/分以上、約700L/分以上、約800L/分以上、約900L/分以上、約1m/分以上、約2m/分以上、約3m/分以上、約4m/分以上、約5m/分以上、約6m/分以上、7m/分以上、約8m/分以上、又は約9m/分以上とすることができる。いくつかの実施形態において、サブクール液体が導管を流れる流量は、約10m/分以下、約9m/分以下、約8m/分以下、約7m/分以下、約6m/分以下、約5m/分以下、約4m/分以下、約3m/分以下、約2m/分以下、約1m/分以下、約900L/分以下、約800L/分以下、約700L/分以下、600L/分以下、約500L/分以下、約400L/分以下、約300L/分以下、約200L/分以下、約100L/分以下、約90L/分以下、約80L/分以下、約70L/分以下、約60L/分以下、約50L/分以下、約40L/分以下、約30L/分以下、又は約20L/分以下とすることができる。導管を通るサブクール液体の上記の流量範囲の組み合わせも可能であり(例えば、約20L/分以上且つ約10m/分以下、又は約100L/分以上且つ約500L/分以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、導管を通るサブクール液体の流量は、約9L/分、約10L/分、約20L/分、約30L/分、約40L/分、約50L/分、約60L/分、約70L/分、約80L/分、約90L/分、約100L/分、約200L/分、約300L/分、約400L/分、約500L/分、約600L/分、約700L/分、約800L/分、約900L/分、約1m/分、約2m/分、約3m/分、約4m/分、約5m/分、約6m/分、約7m/分、約8m/分、約9m/分、又は約10m/分とすることができる。
【0085】
[0091] いくつかの実施形態において、サブクール液体が維持されるゲージ圧は、約1バール以上、約2バール以上、約3バール以上、約4バール以上、約5バール以上、約6バール以上、約7バール以上、約8バール以上、約9バール以上、約10バール以上、約15バール以上、約20バール以上、約25バール以上、約30バール以上、約35バール以上、約40バール以上、又は約45バール以上とすることができる。いくつかの実施形態において、サブクール液体が維持されるゲージ圧は、約50バール以下、約45バール以下、約40バール以下、約35バール以下、約30バール以下、約25バール以下、約20バール以下、約15バール以下、約10バール以下、約9バール以下、約8バール以下、約7バール以下、約6バール以下、約5バール以下、約4バール以下、約3バール以下、又は約2バール以下とすることができる。上記のサブクール液体のゲージ圧の組み合わせも可能であり(例えば、約1バール以上且つ約50バール以下、又は約10バール以上且つ約30バール以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、サブクール液体110が維持されるゲージ圧は、約1バール、約2バール、約3バール、約4バール、約5バール、約6バール、約7バール、約8バール、約9バール、約10バール、約15バール、約20バール、約25バール、約30バール、約35バール、約40バール、約45バール、又は約50バールとすることができる。いくつかの実施形態において、サブクール液体の圧力は、ポンプ、ブースターポンプ、コンプレッサ、遠心ポンプ、又はそれらの任意の組み合わせによって維持することができる。
【0086】
[0092] いくつかの実施形態において、ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の重量パーセントは、約0.5wt%以上、約1wt%以上、約1.5wt%以上、約2wt%以上、約2.5wt%以上、約3wt%以上、約3.5wt%以上、約4wt%以上、約4.5wt%以上、約5wt%以上、約5.5wt%以上、約6wt%以上、約6.5wt%以上、約7wt%以上、約7.5wt%以上、約8wt%以上、約8.5wt%以上、約9wt%以上、又は約9.5wt%以上とすることができる。いくつかの実施形態において、ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の重量パーセントは、約10wt%以下、約9.5wt%以下、約9wt%以下、約8.5wt%以下、約8wt%以下、約7.5wt%以下、約7wt%以下、約6.5wt%以下、約6wt%以下、約5.5wt%以下、約5wt%以下、約4.5wt%以下、約4wt%以下、約3.5wt%以下、約3wt%以下、約2.5wt%以下、約2wt%以下、約1.5wt%以下、又は約1wt%以下とすることができる。ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の上記の重量パーセント範囲の組み合わせも可能であり(例えば、約0.5wt%以上且つ約10wt%以下、又は約1wt%以上且つ約5wt%以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の重量パーセントは、約0.5wt%、約1wt%、約1.5wt%、約2wt%、約2.5wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%、約4.5wt%、約5wt%、約5.5wt%、約6wt%、約6.5wt%、約7wt%、約7.5wt%、約8wt%、約8.5wt%、約9wt%、約9.5wt%、又は約10wt%とすることができる。
【0087】
[0093] いくつかの実施形態において、ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の速度は、約0.1L/分以上、約0.2L/分以上、約0.3L/分以上、約0.4L/分以上、約0.5L/分以上、約0.6L/分以上、約0.7L/分以上、約0.8L/分以上、約0.9L/分以上、約1L/分以上、約2L/分以上、約3L/分以上、約4L/分以上、約5L/分以上、約6L/分以上、約7L/分以上、約8L/分以上、約9L/分以上、約10L/分以上、約20L/分以上、約30L/分以上、約40L/分以上、約50L/分以上、約60L/分以上、約70L/分以上、約80L/分以上、約90L/分以上、約100L/分以上、約200L/分以上、約300L/分以上、約400L/分以上、約500L/分以上、約600L/分以上、約700L/分以上、約800L/分以上、又は約900L/分以上とすることができる。いくつかの実施形態において、ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の速度は、約1,000L/分以下、約900L/分以下、約800L/分以下、約700L/分以下、約600L/分以下、約500L/分以下、約400L/分以下、約300L/分以下、約200L/分以下、約100L/分以下、約90L/分以下、約80L/分以下、約70L/分以下、約60L/分以下、約50L/分以下、約40L/分以下、約30L/分以下、約20L/分以下、約10L/分以下、約9L/分以下、約8L/分以下、約7L/分以下、約6L/分以下、約5L/分以下、約4L/分以下、約3L/分以下、約2L/分以下、約1L/分以下、約0.9L/分以下、約0.8L/分以下、約0.7L/分以下、約0.6L/分以下、約0.5L/分以下、約0.4L/分以下、約0.3L/分以下、約0.2L/分以下、又は約0.1L/分以下とすることができる。ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させる上記のサブクール液体量範囲の組み合わせも可能であり(例えば、約0.1L/分以上且つ約1,000L/分以下、又は約10L/分以上且つ約50L/分以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、ステップ1104で蒸発容器へ方向転換させるサブクール液体の速度は、約0.1L/分、約0.2L/分、約0.3L/分、約0.4L/分、約0.5L/分、約0.6L/分、約0.7L/分、約0.8L/分、約0.9L/分、約1L/分、約2L/分、約3L/分、約4L/分、約5L/分、約6L/分、約7L/分、約8L/分、約9L/分、約10L/分、約20L/分、約30L/分、約40L/分、約50L/分、約60L/分、約70L/分、約80L/分、約90L/分、約100L/分、約200L/分、約300L/分、約400L/分、約500L/分、約600L/分、約700L/分、約800L/分、約900L/分、又は約1,000L/分とすることができる。
【0088】
[0094] サブクール液体は蒸発容器内で沸騰液体になる。いくつかの実施形態において、蒸発容器は大気圧又はほぼ大気圧に通気することができる。いくつかの実施形態において、蒸気は、大気圧又はほぼ大気圧で蒸発容器から出て、(例えば後に使用するため)捕獲すること、及び/又は(例えば、蒸気を通気前の大気温度に温める別の熱交換器に)輸送することができる。
【0089】
[0095] いくつかの実施形態において、ステップ1106は、熱交換器の第1の側に残りのサブクール液体を通過させつつ、熱交換器の第1の側とは反対の第2の側に沸騰液体を通過させることを含み得る。いくつかの実施形態において、ステップ1108では強制対流熱伝達が生じ得る。いくつかの実施形態において、ステップ1108では伝導性熱伝達が生じ得る。いくつかの実施形態では、サブクール液体及び沸騰液体の流れを介して強制対流熱伝達が生じ得る。いくつかの実施形態では、熱交換器又は熱交換界面の壁を介して伝導性熱伝達が生じ得る。
【0090】
[0096] いくつかの実施形態において、ステップ1108における沸騰液体からサブクール液体への熱伝達は、サブクール液体の温度を、約0.1K以上、約0.2K以上、約0.3K以上、約0.4K以上、約0.5K以上、約0.6K以上、約0.7K以上、約0.8K以上、約0.9K以上、約1K以上、約2K以上、約3K以上、約4K以上、約5K以上、約6K以上、約7K以上、約8K以上、又は約9K以上、低下させることができる。いくつかの実施形態において、ステップ1108における沸騰液体からサブクール液体への熱伝達は、サブクール液体の温度を、約10K以下、約9K以下、約8K以下、約7K以下、約6K以下、約5K以下、約4K以下、約3K以下、約2K以下、約1K以下、約0.9K以下、約0.8K以下、約0.7K以下、約0.6K以下、約0.5K以下、約0.4K以下、約0.3K以下、又は約0.2K以下、低下させることができる。上記のサブクール液体温度低下の組み合わせも可能であり(例えば、約0.1K以上且つ約10K以下、又は約1K以上且つ約5K以下)、組み合わせは、全ての値及びそれらの値の間の範囲を含む。いくつかの実施形態において、ステップ1108における沸騰液体からサブクール液体への熱伝達は、サブクール液体の温度を、約0.1K、約0.2K、約0.3K、約0.4K、約0.5K、約0.6K、約0.7K、約0.8K、約0.9K、約1K、約2K、約3K、約4K、約5K、約6K、約7K、約8K、又は約9K、低下させることができる。
【0091】
[0097] いくつかの実施形態において、冷却システムは、大気圧よりも高い圧力の冷却剤を伝送する冷却剤伝送器を含む。冷却システムは更に、ある量の冷却剤を冷却剤の沸点で収容する蒸発容器と、界面における圧力調節器又は減圧器と、を含む。界面は、冷却剤伝送器及び蒸発容器に流体結合されている。蒸発容器内に収容された冷却剤は、冷却剤伝送器内の冷却剤から熱を吸収する。
【0092】
[0098] いくつかの実施形態において、冷却システムは更に、冷却剤伝送器及び圧力調節器又は減圧器に流体結合された流出流導管を含み得る。流出流導管は、冷却剤の一部を冷却剤伝送器から蒸発容器へ方向転換することができる。
【0093】
[0099] いくつかの実施形態では、蒸発容器内にレベルセンサを配置することができる。いくつかの実施形態において、レベルセンサは、圧力調節器又は減圧器に物理的に結合されたボールフロート式レベルセンサとすることができる。
【0094】
[0100] いくつかの実施形態において、圧力調節器はスロットル及び/又はオリフィスを含み得る。
【0095】
[0101] いくつかの実施形態において、冷却システムは熱交換器を含み得る。熱交換器は、冷却剤伝送器に流体結合され、蒸発容器と物理的に接触することができる。熱交換器は、冷却剤伝送器からの冷却剤を再び冷却剤伝送器へ循環させて、熱交換器内の冷却剤から蒸発容器内の沸騰している冷却剤へ熱が伝達できるように構成されている。
【0096】
[0102] いくつかの実施形態において、冷却剤は、液体窒素、液体水素、液化天然ガス、別の寒剤(例えば低温流体)又は冷却剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0097】
[0103] いくつかの実施形態において、蒸発容器は、冷却剤伝送器内に少なくとも部分的に配置された熱交換器である。
【0098】
[0104] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器は第1の部分と第2の部分を含むことができ、第1の部分と第2の部分は熱交換器を介して流体結合されている。いくつかの実施形態において、熱交換器は沸騰している冷却剤に少なくとも部分的に浸すことができる。いくつかの実施形態において、熱交換器はらせん管熱交換器を含み得る。
【0099】
[0105] いくつかの実施形態において、冷却システムは、大気圧よりも高い圧力のサブクール液体を伝送する冷却剤伝送器を含む。サブクール液体は熱交換界面の第1の側に露呈される。冷却システムは更に、サブクール液体の一部を冷却剤伝送器から蒸発容器へ方向転換させる流出流導管を含む。冷却システムは更に、流出流導管と蒸発容器との間の流体界面における圧力調節器を含む。圧力調節器は、流出流導管と蒸発容器との間の圧力差を維持する。蒸発容器は、ある量の沸騰液体を冷却剤伝送器よりも低い圧力で収容するように構成されている。沸騰液体は、熱交換界面の第2の側に露呈され、サブクール液体から熱を吸収するように構成されている。
【0100】
[0106] いくつかの実施形態において、サブクール液体及び沸騰液体は冷却剤を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤は、液体窒素、液体水素、液化天然ガス、別の寒剤(例えば低温流体)又は冷却剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0101】
[0107] いくつかの実施形態において、圧力調節器はスロットルを含み得る。いくつかの実施形態において、圧力調節器はオリフィスを含み得る。
【0102】
[0108] いくつかの実施形態において、熱交換界面の第1の側はシェルアンドチューブ熱交換器のシェル側であり、熱交換界面の第2の側はシェルアンドチューブ熱交換器のチューブ側であり得る。
【0103】
[0109] いくつかの実施形態において、冷却剤伝送器は、らせん管熱交換器によって流体結合された第1の部分と第2の部分を含み得る。
【0104】
[0110] いくつかの実施形態において、サブクール液体を冷却する方法は、大気圧よりも高い圧力のサブクール液体のある量を導管に流すことを含み得る。方法は更に、サブクール液体の一部を蒸発容器内へ方向転換することを含む。蒸発容器は導管よりも圧力が低いので、サブクール液体の一部は沸騰液体になる。また、方法は、沸騰液体を熱伝達界面に露呈しながら、導管内のサブクール液体の残りの量を熱伝達界面に露呈することと、サブクール液体から沸騰液体へ熱を伝達してサブクール液体の温度を低下させることと、を含む。
【0105】
[0111] いくつかの実施形態において、サブクール液体及び沸騰液体は冷却剤を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤は、液体窒素、液体水素、液化天然ガス、別の寒剤(例えば低温流体)又は冷却剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0106】
[0112] いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている冷却システムは、超伝導電力線におけるサブクール寒剤冷却剤の流れのために構成することができる。いくつかの実施形態において、サブクール寒剤の一部を抽出し、大気圧下で蒸発させることができる。いくつかの実施形態において、サブクール寒剤の一部の蒸発の潜熱は、残りのサブクール寒剤を、残りのサブクール寒剤の沸騰温度よりも高い低温に冷却することができる。
【0107】
[0113] いくつかの実施形態では、サブクール寒剤冷却剤を伝送線路から取り除いて熱交換器へ送出することができる。いくつかの実施形態において、熱交換器は、抽出して大気圧下で蒸発させるサブクール寒剤冷却剤の一部の溶液槽に浸すことができる。
【0108】
[0114] いくつかの実施形態では、サブクール寒剤冷却剤の一部のレベルをレベルセンサ及びバルブによって制御することができる。いくつかの実施形態において、サブクール寒剤冷却剤の一部は、溶液槽を所望のレベル又は温度に維持するため、規定の流れ障害物(flow impedance)を通って流れることができる。
【0109】
[0115] いくつかの実施形態では、流れているサブクール寒剤冷却剤に熱交換器を浸し、サブクール寒剤冷却剤の流入によって熱交換器を冷却することができる。いくつかの実施形態において、流入した寒剤冷却剤は熱交換器内で大気圧下で沸騰し、熱交換器の周囲を流れているサブクール寒剤冷却剤を冷却することができる。
【0110】
[0116] いくつかの実施形態では、熱交換器に流入する寒剤冷却剤の体積をレベルセンサ又はバルブによって制御することができる。
【0111】
[0117] いくつかの実施形態において、流入する寒剤冷却剤は、熱交換器の寒剤液体冷却剤を所望のレベル又は温度に維持するため、規定の流れ障害物を通って流れることができる。
【0112】
[0118] いくつかの実施形態において、流れているサブクール寒剤冷却剤は、大気圧又はほぼ大気圧で沸騰している抽出された寒剤冷却剤のスプレーにより冷却された熱交換器を通過することができる。
【0113】
[0119] いくつかの実施形態において、抽出された寒剤冷却剤は、溶液槽を所望の寒剤液体冷却剤レベル又は温度に維持するため、規定の流れ障害物を通って流れることができる。
【0114】
[0120] いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている冷却システムは、サブクール寒剤冷却剤の一部を抽出し、サブクール寒剤冷却剤の一部を制御された圧力下で蒸発させるように構成できる。いくつかの実施形態では、寒剤冷却剤の一部の蒸発の潜熱を用いて、残りの寒剤冷却剤を、制御された圧力での寒剤の沸騰温度よりも高い温度に冷却することができる。いくつかの実施形態において、制御された圧力は、局所大気圧よりも低い圧力、局所大気圧に等しい圧力、又は局所大気圧よりも高い圧力とすることができる。いくつかの実施形態では、蒸発した寒剤冷却剤を大気圧に通気することができる。
【0115】
[0121] いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている冷却システムは、サブクール寒剤冷却剤の一部を抽出し、サブクール寒剤冷却剤の一部を制御された圧力下で蒸発させるように構成できる。いくつかの実施形態では、蒸発の潜熱を用いて、残りの寒剤冷却剤を、制御された圧力での寒剤の沸騰温度よりも高い温度に冷却することができる。いくつかの実施形態において、制御された圧力は、局所大気圧よりも低い圧力、局所大気圧に等しい圧力、又は局所大気圧よりも高い圧力とすることができる。いくつかの実施形態では、蒸発した寒剤冷却剤を更に使用するため捕獲することができる。
【0116】
[0122] 前述の概念及び本明細書内で議論される付加的概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないことを前提とする)は、本明細書に開示される主題の一部であると想定される。参照により組み込まれる任意の開示においても現れ得る、本明細書中で明示的に使用される用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を与えられるべきである。
【0117】
[0123] 図面は主に説明を目的とするものであって、本明細書に記載される主題の範囲を限定することは意図されない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、場合によっては、本明細書に開示される主題の様々な態様が、異なる特徴の理解を容易にするために、図面中で誇張又は拡大されて示され得る。図面中、同じ参照符号は概して同じ特徴(例えば機能が類似した及び/又は構造が類似した要素)を指す。
【0118】
[0124] 本願の全体(表紙、発明の名称、見出し、背景、概要、図面の簡単な説明、詳細な説明、実施形態、要約、図、付録などを含む)は、例示として、実施形態が実用され得る様々な実施形態を示す。本願の利点及び特徴は、実施形態の代表的な例に過ぎず、網羅的及び/又は排他的なものではない。むしろ、それらは、実施形態の理解を助け実施形態を教示するために提示されており、全ての実施形態を代表するものではない。よって、本開示のある態様については本明細書では述べられていない。革新の特定の部分について代替的な実施形態が提示されていない可能性があること、又は更なる説明されていない代替的な実施形態が一部について利用可能であり得ることは、そのような代替的な実施形態を本開示の範囲から除外するものと見なされるべきではない。それらの説明されていない実施形態の多くは、同じ革新の原理を組み込み、他のものは均等であることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態が利用されてもよく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく、機能的、論理的、動作的、組織的、構造的、及び/又は位相幾何学的な修正が行われ得ることが理解されるべきである。よって、全ての例及び/又は実施形態は、本開示の全体を通して非限定的であると見なされる。
【0119】
[0125] また、本明細書において述べられている実施形態に関して、スペース及び繰り返しを削減する目的で説明されていない場合を除いて、本明細書で説明されていない実施形態に関して推論すべきではない。例えば、任意のプログラムコンポーネント(コンポーネントコレクション)、他のコンポーネント、並びに/又は図面及び/もしくは全体を通じて説明される任意の現在の特徴セットの任意の組み合わせの論理的及び/又は位相幾何学的な構造は、固定された動作順序及び/又は配置に限定されるものではなく、むしろ、任意の開示された順序は例示的であり、順序にかかわらず、全ての均等物が本開示によって想定されることが理解されるべきである。
【0120】
[0126] 「決定すること」という用語は多種多様な作用を包含し、したがって、「決定すること」は、計算すること、算出すること、処理すること、導出すること、調査すること、ルックアップすること(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造をルックアップすること)、確認することなどを含み得る。また、「決定すること」は、受け取ること(例えば情報を受信すること)、アクセスすること(例えばメモリ内のデータにアクセスすること)なども含み得る。また、「決定すること」は、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなども含み得る。
【0121】
[0127] 「~に基づいて」という句は、明示的に別途特定されない限り、「~のみに基づいて」を意味しない。換言すれば、「~に基づいて」という句は、「~のみに基づいて」及び「少なくとも~に基づいて」の両方を表す。
【0122】
[0128] 様々な概念が1つ以上の方法として具現化され得、そのうちの少なくとも一例が提供されている。方法の一部として実施される行為は任意の適当な手法で順序付けされ得る。したがって、実施形態は、例示されたものとは異なる順序で行為が実施されるように構築されてもよく、これは、いくつかの行為を、たとえ例示された実施形態においては連続した行為として示されていても、同時に実施することを含み得る。よって、これらの特徴のうちいくつかは、単一の実施形態に同時には存在し得ないという点で、互いに矛盾する場合がある。同様に、いくつかの特徴は、革新のある態様には適用でき、他の態様には適用できない。
【0123】
[0129] また、本開示は、現在説明されていない他の革新を含み得る。出願人は、そのような革新を具現化し、その追加出願、継続出願、部分継続出願、分割出願、及び/又は同様のものを提出する権利を含め、そのような革新に関する全ての権利を保有する。よって、本開示の利点、実施形態、例、機能的特徴、論理的、動作的、組織的、構造的、位相幾何学的、及び/又は他の態様は、実施形態によって定義される本開示に対する限定又は実施形態の均等物に対する限定と考えられるべきではないことが理解されるべきである。個人ユーザ及び/又は企業ユーザ、データベース構成及び/又は関係モデル、データタイプ、データ伝送及び/又はネットワークフレームワーク、構文構造等の特定の要求及び/又は特徴に応じて、本明細書に開示されている技術の様々な実施形態を、本明細書に記載されている充分な柔軟性とカスタマイズを可能とするやり方で実施することができる。
【0124】
[0130] 本明細書において定義及び使用される全ての定義は、辞書的定義、参照により組み込まれた文献における定義、及び/又は定義される用語の通常の意味を支配するものとして理解されるべきである。
【0125】
[0131] 本明細書において用いられるとき、特定の実施形態においては、「約」又は「およそ」という用語は、数値の前にある場合、その値プラス又はマイナス10%の範囲を示す。ある範囲の値が提示される場合には、文脈が別途明確に規定しない限り、その範囲の上限と下限との間に介在する、下限の単位の10分の1に至るまでの各値、及びその定められた範囲にある任意の他の定められた値又は介在する値は、本開示に包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限がそのより小さな範囲に独立的に含まれ得ることも、本開示に包含され、定められた範囲において特に除外された任意の限度に従属する。定められた範囲が限度のうち一方又は両方を含む場合には、それらの含まれる限度のうちいずれか又は両方を除く範囲も本開示に含まれる。
【0126】
[0132] 本明細書及び実施形態で使用される不定冠詞「a」及び「an」は、そうでない旨の明示のない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
【0127】
[0133] 本明細書及び実施形態で使用される「及び/又は」という句は、それによって結合された要素、すなわち場合によっては接続的に存在し、場合によっては非接続的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味するものと理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素も同様に、すなわちそれによって結合された要素のうちの「1つ以上」と理解されるべきである。「及び/又は」の節によって具体的に特定される要素以外に、それらの具体的に特定される要素と関連するか又は関連しないかを問わず、他の要素が任意選択的に存在する場合がある。したがって、非制限的な一例として、「備える(comprising)」などのオープンエンドの文言と関連して用いられる場合、「A及び/又はB」というときには、一実施形態ではAのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)を、別の実施形態ではBのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)を、更に別の実施形態ではA及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)を指す可能性がある、といった具合である。
【0128】
[0134] 本明細書及び実施形態で用いられるとき、「又は」は、上記で定義した「及び/又は」と同じ意味を有するものとして理解されるべきである。例えば、列挙されている項目を分けるとき、「又は」又は「及び/又は」は、包括的なものとして、すなわち、いくつかの又は列挙された要素のうち少なくとも1つであるが1つより多くも、及び任意選択的には更に列挙されていない項目も含むものとして解釈されるべきである。「~のうち1つのみ」もしくは「~のうちただ1つのみ」、又は実施形態において用いられる場合、「~からなる(consisting of)」など、そうではないと明示されている用語のみが、いくつかの又は列挙された要素のうちただ1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書において用いられる「又は」という用語は、前に「いずれか」、「~のうち1つ」、「~のうち1つのみ」、又は「~のうちただ1つ」のような排他性の用語がある場合、排他的な代替案(すなわち「一方又は他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、実施形態において用いられる場合、特許法の分野において用いられる通常の意味を有するべきである。
【0129】
[0135] 本明細書及び実施形態で用いられるとき、1つ以上の要素の列挙を参照する「少なくとも1つ」という句は、その要素の列挙の中の要素のうち任意の1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしもその要素の列挙の中に具体的に列挙された1つ1つの要素のうち少なくとも1つを含むわけではなく、その要素の列挙の中の要素の任意の組み合わせを排除しないものとして理解されるべきである。この定義は、具体的に特定される要素と関連するか又は関連しないかを問わず、「少なくとも1つ」という句が指す要素の列挙において具体的に特定される要素以外に要素が任意選択的に存在し得ることを可能にする。したがって、非制限的な一例として、「A及びBのうち少なくとも1つ」(又は同様に「A又はBのうち少なくとも1つ」、又は同様に「A及び/又はBのうち少なくとも1つ」)は、一実施形態においては、Bは存在せず(及び任意選択的にはB以外の要素を含み)、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのAを指す可能性があり、別の実施形態においては、Aは存在せず(及び任意選択的にはA以外の要素を含み)、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのBを指す可能性があり、更に別の実施形態においては、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのAと、少なくとも1つの、任意選択的には1つよりも多くのBとを指す(及び任意選択的には他の要素を含む)可能性がある、といった具合である。
【0130】
[0136] 実施形態において、及び上述の明細書において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「~で構成される(composed of)」などの全ての移行句は、オープンエンドのもの、すなわち含むが限定されないことを意味するものとして理解されるべきである。合衆国特許審査便覧セクション2111.03に記載されているように、「~からなる(consisting of)」及び「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズ又はセミクローズの移行句とされる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
【国際調査報告】