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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】フィルムコンデンサコア
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20231213BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20231213BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20231213BHJP
   H01G 4/228 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H01G4/32 540
H01G4/32 301F
H01G4/32 305B
H01G4/32 530
H01G2/06 500
H01G4/228 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528618
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2021124640
(87)【国際公開番号】W WO2022100377
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202011267506.0
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523175878
【氏名又は名称】シャーメン ファラトロイニック シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】林晉濤
(72)【発明者】
【氏名】蘭韶涵
(72)【発明者】
【氏名】張文剛
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082BC19
5E082GG10
5E082GG11
5E082HH22
(57)【要約】
【課題】本発明は、フィルムコンデンサコア、フィルムコンデンサ及びプリント基板を提出し、そのうち、コア本体と、コア本体の周方向外面に巻き取られた被覆膜と、金メッキ層とを含むフィルムコンデンサコアであって、前記被覆膜はベースフィルムと防水層とを含み、前記ベースフィルムに前記防水層付着されており、前記金メッキ層がコア本体の両端に設けられて電極を形成するすることで、フィルムコンデンサコアの防水被覆プロセスを、コア本体を製造する巻取機械で巻き取って完成でき、そして、フィルムコンデンサコアの生産効率を確保した上で、フィルムコンデンサコアの耐湿性能を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア本体と、前記コア本体の周方向外面に巻き取られた被覆膜と、金メッキ層とを含むフィルムコンデンサコアであって、前記被覆膜はベースフィルムと防水層とを含み、前記ベースフィルムには前記防水層が付着されており、前記金メッキ層がコア本体の両端に設けられて電極を形成することを特徴するフィルムコンデンサコア。
【請求項2】
前記金メッキ層が前記防水層の少なくとも一方側の外周縁を覆うことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項3】
前記防水層は金属防水層であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項4】
前記防水層は金属酸化物防水層であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項5】
前記防水層は前記ベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記ベースフィルムの幅は前記コア本体の幅と一致し、前記防水層の部分的領域は白抜きされ、この部分的余白領域によって電気的隙間が形成されることを特徴とする請求項3に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項6】
前記防水層の部分的余白領域は単一の余白領域であり、且つ当該単一の余白領域はコア本体の前記周方向外面のまわりに伸びることを特徴とする請求項5に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項7】
前記防水層の部分的な余白領域は複数の余白領域であり、前記複数の余白領域は前記防水層の長手方向に沿って均一に分布していることを特徴とする請求項5に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項8】
前前記防水層は、前記ベースフィルムの両側の外面にそれぞれ付着する第1の防水層と第2の防水層とを含み、前記ベースフィルムの幅は前記コア本体の幅と一致し、前記第1の防水層と前記第2の防水層は、いずれも部分的領域が白抜きされて、白抜きで電気的隙間が形成されることを特徴とする請求項3に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項9】
前記ベースフィルムは、第1のベースフィルムと第2のベースフィルムとを含み、前記防水層は、第1の防水層と第2の防水層を含み、前記第1の防水層は、前記第1のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第2の防水層は、前記第2のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第1の防水層と前記第2の防水層は、いずれも部分的領域が白抜きされ、且つ前記第1の防水層の余白領域と前記第2の防水層の余白領域はずれて設けられることを特徴とする請求項3に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項10】
前記第1の防水層の余白領域は前記第1のベースフィルムの第1端に位置し、前記第2の防水層の余白領域は前記第2のベースフィルムの第2端に位置し、前記第1端と前記第2端は、位置が対向することを特徴とする請求項7に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項11】
前記防水層は、前記金メッキ層に近い両端に隙間が設けられており、且つこの隙間の幅は金メッキ層の許容差距離よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項12】
前記ベースフィルムは、第1のベースフィルムと第2のベースフィルムとを含み、前記防水層は、第1の防水層と第2の防水層を含み、前記第1の防水層は、前記第1のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第2の防水層は、前記第2のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第1のベースフィルムと前記第1の防水層とは等幅であり、前記第2のベースフィルムと前記第2の防水層とは等幅であり、前記第1のベースフィルム及び前記第1の防水層の第1端と前記金メッキ層との間には隙間が設けられており、前記第2のベースフィルム及び前記第2の防水層の第2端と前記金メッキ層との間には隙間が設けられており、前記第1のベースフィルム及び前記第1の防水層の第1端は、前記第2のベースフィルム及び前記第2の防水層の第2端と対向していることを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサコア。
【請求項13】
請求項1-12のいずれかに記載のフィルムコンデンサコアを含むフィルムコンデンサ。
【請求項14】
請求項13に記載のフィルムコンデンサを搭載したプリント基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサの技術分野に関し、特にフィルムコンデンサコア、このコアを搭載したフィルムコンデンサ、及びこのフィルムコンデンサを搭載したプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサは電子機器に大量に使用される電子部品の一つであり、直流カット、結合、バイパス、フィルタリング、同調回路、エネルギー変換及び制御回路などの面に広く応用されており、一方、フィルムコンデンサは回路線間EMI (electro - magnetic interference)、交流直流フィルタのPCB基板回路に広く応用されており、ほとんどの電気器具と電気機器は、いずれも室内環境で稼働しており、良好な温度、湿度条件を持っており、しかし、太陽光発電インバータ、充電スタンドなどの屋外設置設備などの新エネルギー技術の発展に伴い、その環境条件は相対的に劣悪で、しかも連続運行時間が長く、PCB基板における電子部品に対してより高い湿熱信頼性の要求を提出した。
【0003】
関連技術では、フィルムコンデンサコアに対して人為的に加工する方式でアルミ箔で追加の被覆を行うことが多く、この方式ではフィルムコンデンサコア生産に多大な人的資源が必要となり、また、フィルムコンデンサコア生産効率が低下し、あるいは、フィルムコンデンサコアを被覆しなく、フィルムコンデンサの封止材の厚みを厚くし、防湿性のより良い封止材を使用することは、フィルムコンデンサの耐湿性能を向上させることにもなるが、最終的に得られたフィルムコンデンサのサイズが大きくなりすぎ、コストが高くなり、競争力がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記技術における技術的課題の1つを少なくともある程度解決することを目的とする。そこで、本発明の目的の一つは、フィルムコンデンサコアの本来の保護膜の代わりに本発明の被覆膜を用いることで、フィルムコンデンサコアの防水被覆プロセスは、コア本体を製造する巻取機械で巻き取って完成でき、さらに、フィルムコンデンサコアの生産効率を確保した上で、フィルムコンデンサコアの耐湿性能を向上させるフィルムコンデンサコアを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面の実施例は、コア本体と、コア本体の周方向外面に巻き取られた被覆膜と、金メッキ層とを含むフィルムコンデンサコアであって、被覆膜はベースフィルムと防水層とを含み、ベースフィルムには防水層が付着されており、前記金メッキ層がコア本体の両端に設けられて電極を形成するフィルムコンデンサコアを提案する。
【0006】
本発明の実施例に関わるフィルムコンデンサコアによれば、コア本体と、コア本体の周方向外面に巻き取られた被覆膜と、金メッキ層とを含み、この被覆膜は、ベースフィルムと防水層とを含み、また、ベースフィルムには防水層が付着されており、金メッキ層がコア本体の両端に設けられて電極を形成することで、フィルムコンデンサコアの防水被覆プロセスを、コア本体を製造する巻取機械で巻き取って完成でき、そして、フィルムコンデンサコアの生産効率を確保した上で、フィルムコンデンサコアの耐湿性能を向上させる。
【0007】
また、本発明の上記実施例に基づいて提案したフィルムコンデンサコアは、以下のような付加的な技術的特徴を有していてもよい。
【0008】
好ましくは、前記金メッキ層が前記防水層の少なくとも一方側の外周縁を覆う。
【0009】
好ましくは、前記防水層は金属防水層である。
【0010】
好ましくは、前記防水層は金属酸化物防水層である。
【0011】
好ましくは、前記防水層は前記ベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記ベースフィルムの幅は前記コア本体の幅と一致し、前記防水層の部分的領域は白抜きされ、この部分的余白領域によって電気的隙間が形成される。
【0012】
好ましくは、前記防水層の部分的余白領域は単一の余白領域であり、且つ当該単一の余白領域はコア本体の前記周方向外面のまわりに伸びる。
【0013】
好ましくは、前記防水層の部分的余白領域は複数の余白領域であり、前記複数の余白領域は前記防水層の長手方向に沿って均一に分布している。
【0014】
好ましくは、前記防水層は、前記ベースフィルムの両側の外面にそれぞれ付着する第1の防水層と第2の防水層とを含み、前記ベースフィルムの幅は前記コア本体の幅と一致し、前記第1の防水層と前記第2の防水層は、いずれも部分的領域が白抜きされて、白抜きで電気的隙間が形成される。
【0015】
好ましくは、前記ベースフィルムは、第1のベースフィルムと第2のベースフィルムとを含み、前記防水層は、第1の防水層と第2の防水層を含み、前記第1の防水層は、前記第1のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第2の防水層は、前記第2のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第1の防水層と前記第2の防水層は、いずれも部分的領域が白抜きされ、且つ前記第1の防水層の余白領域と前記第2の防水層の余白領域はずれて設けられる。
【0016】
好ましくは、前記第1の防水層の余白領域は前記第1のベースフィルムの第1端に位置し、前記第2の防水層の余白領域は前記第2のベースフィルムの第2端に位置し、前記第1端と前記第2端は、位置が対向する。
【0017】
好ましくは、前記防水層は、前記金メッキ層に近い両端に隙間が設けられており、且つこの隙間の幅は金メッキ層の許容差距離よりも小さい。
【0018】
好ましくは、前記ベースフィルムは、第1のベースフィルムと第2のベースフィルムとを含み、前記防水層は、第1の防水層と第2の防水層を含み、前記第1の防水層は、前記第1のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第2の防水層は、前記第2のベースフィルムの一方側の外面に付着し、前記第1のベースフィルムと前記第1の防水層とは等幅であり、前記第2のベースフィルムと前記第2の防水層とは等幅であり、前記第1のベースフィルム及び前記第1の防水層の第1端と前記金メッキ層との間には隙間が設けられており、前記第2のベースフィルム及び前記第2の防水層の第2端と前記金メッキ層との間には隙間が設けられており、前記第1のベースフィルム及び前記第1の防水層の第1端は、前記第2のベースフィルム及び前記第2の防水層の第2端と対向している。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の第2の側面の実施例は、上記のフィルムコンデンサコアを含むフィルムコンデンサを提案する。
【0020】
本発明の実施例に関わるフィルムコンデンサによれば、上記のフィルムコンデンサコアを搭載することにより、フィルムコンデンサの生産効率を確保するとともに、フィルムコンデンサの耐湿性能を向上し、高温多湿の環境に適したものとすることができる。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の第3の側面の実施例は、上記のようなフィルムコンデンサを搭載したプリント基板を提案する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例に関わるプリント基板によれば、上記のようなフィルムコンデンサを搭載することにより、プリント基板の生産効率が確保されるとともに、プリント基板の耐湿性能が向上され、高温多湿環境に適する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明の実施例に基づくフィルムコンデンサコアの構造模式図である;
図2図2は本発明の一実施例に基づくフィルムコンデンサコアの断面の構造模式図である;
図3図3は本発明の実施例に基づく防水層の片側に被覆膜が設けられた構造模式図である;
図4図4は本発明の実施例に基づく防水層片側設置方式の模式図である;
図5図5は本発明の他の実施例に基づく防水層片側設置方式の模式図である;
図6図6は本発明のさらに他の実施例に基づく防水層片側設置方式の模式図である;
図7図7は本発明の実施例に基づく防水層両側設置方式の模式図である;
図8図8は本発明の一実施例に基づく被覆膜構造の模式図である;
図9図9は本発明の他の実施例に基づく被覆膜構造の模式図である;
図10図10は本発明のさらに他の実施例に基づく被覆膜構造の模式図である。
【符号の説明】
【0024】
10: コア本体
20: 被覆膜
21: ベースフィルム
211:第1のベースフィルム
212:第2のベースフィルム
22: 防水層
221:第1の防水層
222:第2の防水層
30: 金メッキ層
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について詳細に説明し、前記実施例の例が図面に示されており、ここで、最初から最後まで同一または同様の符号は、同一または同様の要素、または同一または同様の機能を有する要素を示す。以下、添付の図面を参照して説明した実施例は例示的なものであり、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものと理解されない。
【0026】
関連技術では、フィルムコンデンサコアに対して人為的に加工する方式でアルミ箔で被覆することが多く、この方式ではフィルムコンデンサコアの生産に多大な人的資源が必要となり、また、フィルムコンデンサコアの生産効率が低下し、コアへの被覆を放棄すると、最終的に得られたフィルムコンデンサの耐湿性能が悪く、高温多湿の使用環境に適用することが困難であり、本発明の実施例に関わるフィルムコンデンサコアによれば、コア本体と、コア本体の周方向外面に巻き取られた被覆膜と、金メッキ層とを含み、この被覆膜は、ベースフィルムと防水層とを含み、また、ベースフィルムには防水層が付着されており、金メッキ層がコア本体の両端に設けられて電極を形成することで、フィルムコンデンサコアの防水被覆プロセスを、コア本体を製造する巻取機械で巻き取って完成でき、そして、フィルムコンデンサコアの生産効率を確保した上で、フィルムコンデンサコアの耐湿性能を向上させる。
【0027】
上記の技術案をよりよく理解するために、以下、本発明の例示的な実施例について図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、添付図面には本発明の例示的な実施例が示されているが、本発明はここに記載された実施形態によって限定されることなく様々な形で実施されてもよいことを理解されたい。むしろ、これらの実施例は、本発明のより完全な理解を可能にし、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0028】
上記の技術案をよりよく理解するために、以下、上記の技術案について明細書の図面及び具体的な実施形態を結合してより詳細に説明する。図1は本発明の実施例に基づくフィルムコンデンサコアの構造模式図であり、図1に示すように、このフィルムコンデンサは、コア本体10と、被覆膜20と、金メッキ層30とを含む。
【0029】
このうち、コア本体10の周方向外面には、ベースフィルム21と防水層22とを含む被覆膜20が巻き取られており、ベースフィルム21には防水層22が付着されており、金メッキ層30がコア本体10の両端に設けられて電極を形成する。したがって、当該被覆膜20は、フィルムコンデンサコア本体を製造する巻取機械を介して巻取方式でコア本体10に直接巻き取って形成され、そして、当該巻取作業に余分な費用をかける必要がないとともに、フィルムコンデンサコアの耐湿性能が確保され、高温多湿の作業環境に適している。
【0030】
いくつかの実施例では、金メッキ層30が防水層22の少なくとも一方側の外周縁を覆い、金メッキ層30は防水層22との密着により、金メッキ層30の縁部からコア本体10への水蒸気の浸透が防止され、フィルムコンデンサコアの耐湿性能がよる向上する。
【0031】
なお、防水層22は、金属防水層でも金属酸化物防水層でもよい。防水層22が金属防水層である場合、短絡を防止するために電気的隙間を形成する必要がある。
【0032】
ここで、防水層22が金属防水層である場合、ベースフィルム21に防水層22を付着する方式は多数種類がある。
【0033】
いくつかの実施例では、図2に示すように、防水層22はベースフィルム21の一方側の外面に付着し、ベースフィルム21の幅はコア本体10の幅と一致して被覆膜20の防水効果を確保し、防水層22の部分的領域は白抜きされ、この部分的余白領域によって電気的隙間が形成される。
【0034】
ここで、余白領域の設定方式は多数種類がある。
【0035】
一例として、図3に示すように、防水層22の部分的余白領域は単一の余白領域であり、且つこの単一の余白領域はコア本体10の前記周方向外面のまわりに伸びる。なお、図4に示すように、この単一の余白領域の開設位置は複数種類があって、例えば、この単一の余白領域を防水層22の中部に開設し、またはこの単一の余白領域を防水層22の端部に開設する。
【0036】
なお、図5に示すように、防水層22をベースフィルム21の一方側の外面に付着する過程において、防水層22はコア本体10に近い側に設けられてもよいし、コア本体10から遠い側に設けられてもよいが、本発明の保護を求めるフィルムコンデンサコアはこれに限定されず、また、この単一の余白領域は矩形空間であることが好ましいだけで、矩形空間だけではなく、電気的隙間の形成に影響を与えない空間形状であれば許容される。
【0037】
別の例として、図6に示すように、防水層22の部分的余白領域は複数の余白領域であり、複数の余白領域は防水層22の長手方向に沿って均一に分布している。
【0038】
いくつかの実施例では、図7に示すように、防水層22は、第1の防水層221と第2の防水層222とを含み、第1の防水層221と第2の防水層222とは、それぞれベースフィルム21の両側の外面に付着し、ベースフィルム21の幅はコア本体10の幅と一致し、第1の防水層221と第2の防水層222は、いずれも部分的領域が白抜きされ、白抜きで電気的隙間が形成される。
【0039】
もちろん、上記防水層22がベースフィルム21の一方側の外面に付着するという記述から分かるように、防水層22は片側でベースフィルム21に付着する方式は複数種類があり得る。したがって、防水層22の両側をベースフィルム21に付着する組み合わせ方も複数種類があってもよい。例えば、図7に示すように、両側の余白領域はいずれもベースフィルム21の中部に位置し、あるいは、そのうちの一方側は、余白領域が第1の防水層221の中部に位置し、他方側は、余白領域が第2の防水層222の端部に位置していてもよい。あるいは、そのうちの一方側は、余白領域が第1の防水層221の中部に位置し、他方側は、複数の矩形の余白領域が均一に分布している。防水層22の両側をベースフィルム21に付着することで、被覆膜20を巻き取った後のフィルムコンデンサコアの耐湿性能をさらに向上できることは理解できる。
【0040】
いくつかの実施例では、図8に示すように、本発明の実施例より提案したフィルムコンデンサコアの耐湿性をさらに向上させるために、ベースフィルム21は、第1のベースフィルム211と第2のベースフィルム212とを含み、防水層22は、第1の防水層221と第2の防水層222とを含み、第1の防水層221は、第1のベースフィルム211の一方側の外面に付着し、第2の防水層222は、前記第2のベースフィルム212の一方側の外面に付着し、第1の防水層221と第2の防水層222は、いずれも部分的領域が白抜きされ、且つ第1の防水層の余白領域と第2の防水層の余白領域はずれて設けられており、第1の防水層の余白領域と第2の防水層の余白領域をずらして設置することにより、第1の防水層と第2の防水層とが相補的な関係をなし、ひいてはコア本体10内部に電気イオンが浸透しにくくなり、耐湿性能がより向上されることが理解できる。
【0041】
なお、耐湿性能を向上するために、第1のベースフィルム211、第2のベースフィルム222、第1の防水層221、および第2の防水層222の組み合わせは複数種類があってもよい。
【0042】
一例として、図8に示すように、第1の防水層221の余白領域は第1のベースフィルム211の一端に位置し、第2の防水層222の余白領域は第2のベースフィルム212の他端に位置し、第1端と第二端は位置が対向し、余白領域をずらして第1の防水層221と第2の防水層222とが相補的な関係をなす。
【0043】
別の例として、図8に示すように、第1の防水層221の余白領域は第1のベースフィルム211の一方側に位置し、第2の防水層222の余白領域は第2のベースフィルム212における第1のベースフィルム側に対しての他方側に位置し、2つの余白領域をずらして第1の防水層221と第2の防水層222とが相補的な関係をなす。
【0044】
さらに別の例として、図8に示すように、第1の防水層221の余白領域は第1のベースフィルム211の中部に位置し、第2の防水層222の複数の余白領域は第2のベースフィルム212上に均一に分布しており、そのうち、第1の防水層221の余白領域と第2の防水層222の余白領域はずれて、第1の防水層221と第2の防水層222とが相補的な関係をなす。
【0045】
いくつかの実施形態では、図9に示すように、防水層22は、金メッキ層に近い両端に隙間が設けられており、且つこの隙間の幅は金メッキ層の許容差距離よりも小さい、すなわち金メッキ層は一定の許容差距離を有しており、防水層20の端部は、コア本体10の端部と必ずしも面一である必要はない。
【0046】
いくつかの実施形態では、図10に示すように、ベースフィルム21は、第1のベースフィルム211と第2のベースフィルム212とを含み、防水層22は、第1の防水層221と第2の防水層222とを含み、第1の防水層221は、第1のベースフィルム211の一方側の外面に付着し、第2の防水層222は、前記第2のベースフィルム212の一方側の外面に付着し、第1のベースフィルム211及び第1の防水層221の第1端と金メッキ層との間には隙間が設けられており、この隙間を介して電気的隙間が形成され、第2のベースフィルム212及び第2の防水層222の第2端と金メッキ層との間には隙間が設けられており、この隙間を介して電気的隙間が形成され、第1のベースフィルム211及び第1の防水層221の第1端と第2のベースフィルム212及び第2の防水層222の第2端は位置が対向して、第1のベースフィルム211及び第1の防水層221の防水構造は、第2のベースフィルム212及び第2の防水層222の防水構造と相補的な関係をなす。
【0047】
本発明の実施例より提案したフィルムコンデンサコアの耐湿性能の向上効果をよりよく説明するために、本発明の実施例に関わるフィルムコンデンサコアを搭載したフィルムコンデンサと、被覆膜を被覆していない通常のフィルムコンデンサに対して同条件で試験を行った。ここで、湿熱条件85℃、85%RHで275VACの交流電圧を1000時間印加し続ける試験結果を以下の表に示す。
【表1】
【0048】
以上のように、本発明の実施例に関わるフィルムコンデンサコアによれば、コア本体と、コア本体の周方向外面に巻き取られた被覆膜と、金メッキ層とを含み、この被覆膜は、ベースフィルムと防水層とを含み、また、ベースフィルムには防水層が付着されており、金メッキ層がコア本体の両端に設けられて電極を形成することで、フィルムコンデンサコアの防水被覆プロセスを、コア本体を製造する巻取機械で巻き取って完成でき、そして、フィルムコンデンサコアの生産効率を確保した上で、フィルムコンデンサコアの耐湿性能を向上させる。
【0049】
上記実施形態を実現するために、本発明の実施例は、上記フィルムコンデンサコアを含むフィルムコンデンサを提案した。
【0050】
本発明の実施例に関わるフィルムコンデンサによれば、上記のフィルムコンデンサコアを搭載することにより、フィルムコンデンサの生産効率を確保するとともに、フィルムコンデンサの耐湿性能を向上し、高温多湿の環境に適したものとすることができる。
【0051】
上記実施例を実現するために、本発明の実施例は、上記のようなフィルムコンデンサを搭載したプリント基板を提案する。
【0052】
本発明の実施例に関わるプリント基板によれば、上記のようなフィルムコンデンサを搭載することにより、プリント基板の生産効率が確保されるとともに、プリント基板の耐湿性能が向上し、高温多湿環境に適する。
【0053】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」など指示された方位または位置関係は、図に基づく方位または位置関係であり、本発明の説明と説明の簡略化のためだけで、指している装置または要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成され動作しなければならないことを指示や暗示するものではなく、本発明を限定するものとは理解できない。
【0054】
さらに、「第一」、「第二」という用語は説明の目的のためだけに使用され、相対的重要性を示したり暗示したりして、あるいは指示された技術的特徴の数を暗黙的に示しているとは理解できない。これにより、「第一」、「第二」と限定された特徴は、明示的または暗黙的にその特徴を一つまたは複数含むことができる。本発明の説明において、「複数」の意味は、特に特定の限定がない限り、2つ以上である。
【0055】
本発明において、「装着」、「繋がり」、「接続」、「固定」という用語は、特に明示的な規定および限定がない限り、広義の理解を要する。例えば、固定的な接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体化されていてもよい。機械的に接続してもよいし、電気的に接続してもよいし、直接接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよいし、2つの素子内部の連通または2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者には、本発明における上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況に基づいて理解できる。
【0056】
本発明において、特に明示的な規定および限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1および第2の特徴が直接接触している場合を含んでもよく、第1および第2の特徴が直接接触しているのではなく、それらの間の別の特徴を介して接触している場合も含む。また、第1の特徴が第2の特徴の「の上」、「上方」、「上」にあるということは、第1の特徴が第2の特徴の真上と斜め上にあるか、または第1の特徴のレベルが第2の特徴より高いことだけを示している。第1の特徴は、第2の特徴「の下」、「下方」、「下」にあり、第1の特徴が第2の特徴の直下と斜め下にあるか、または第1の特徴のレベルの高さが第2の特徴より小さいことのみを示している。
【0057】
本明細書の記述において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」などという用語を参照して説明することは、実施例または例に関連して説明した具体的な特徴、構造、材料、または特徴が本発明の少なくとも一実施例または例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な表現は、同じ実施例または例を対象としなければならないと理解すべきではない。さらに、記述した特定の特徴、構造、材料、または特徴を、任意の1つまたは複数の実施形態または例で適切な形で組み合わせてもよい。さらに、当業者は、本明細書に記載された異なる実施例または例を接合し、組み合わせることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は例示的であり、本発明に対する制限と理解できず、当業者は本発明の範囲内で上記実施例を変更、修正、置換、および変形することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】