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特表2023-552982腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池
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  • 特表-腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池 図1
  • 特表-腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/571 20210101AFI20231213BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/145 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H01M50/571
H01M50/119
H01M50/124
H01M50/531
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/566
H01M50/145
H01M50/121
H01M50/562
H01M10/04 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533603
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 KR2022003053
(87)【国際公開番号】W WO2022191509
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0030319
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハク キュン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H011BB03
5H011CC06
5H011DD13
5H011DD22
5H011KK01
5H011KK06
5H028AA07
5H028CC12
5H028EE06
5H028HH05
5H043AA07
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA12
5H043DA03
5H043DA14
5H043DA15
5H043EA39
5H043GA31
5H043HA11E
5H043HA40E
5H043KA22E
5H043KA26E
5H043KA29E
5H043LA00E
5H043LA02E
5H043LA45E
(57)【要約】
本明細書は腐食防止層の製造方法に関するもので、
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体、前記電極組立体を収容して金属メッキ層を含む電池缶、および前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板を含む円筒型二次電池の腐食防止層の製造方法において、
(A)前記電池缶の外部の底面を溶接する際に、前記接続リード板と前記電池缶が溶融して形成された溶接部において、前記金属メッキ層が損傷した部位に腐食防止層用樹脂を塗布する段階;および
(B)前記腐食防止層用樹脂を紫外線によって硬化して腐食防止層を形成する段階
を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、1以上の液状物質を含み、
前記1以上の液状物質は紫外線硬化性であり、1cP以上5000cP以下の粘度を有するものである。
腐食防止層の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体、前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶、および電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板を含む円筒型二次電池の腐食防止層の製造方法であって、
(A)前記電池缶の外部の底面を溶接する際に、前記接続リード板と前記電池缶が溶融して形成される溶接部で前記金属メッキ層が損傷した部位に腐食防止層用樹脂を塗布する段階;および
(B)前記腐食防止層用樹脂を紫外線によって硬化して腐食防止層を形成する段階;
を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、1以上の液状物質を含み、
前記1以上の液状物質は、紫外線硬化性であり、1cP以上5000cP以下の粘度を有するものである、
腐食防止層の製造方法。
【請求項2】
前記腐食防止層用樹脂は、発光物質をさらに含み、
(C)紫外線で前記電池缶上に腐食防止層用樹脂の塗布状態を確認する段階をさらに含む、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項3】
前記腐食防止層用樹脂は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項4】
前記(B)段階の硬化時間が5秒以上30秒以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項5】
前記電池缶は、鉄を含む、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項6】
前記金属メッキ層は、ニッケルを含む、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項7】
前記腐食防止層の厚さは、1μm超10μm未満である、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項8】
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
請求項1から7のいずれか1項に記載の腐食防止層の製造方法で製造された腐食防止層
を含む円筒型二次電池。
【請求項9】
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
前記電池缶の外部の底面の前記接続リード板と前記電池缶とが溶融して形成される溶接部において、前記電池缶の外部表面が損傷した部位に配置される腐食防止層
を含む円筒型二次電池。
【請求項10】
前記腐食防止層は、腐食防止層用樹脂を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つである、請求項8または9に記載の円筒型二次電池。
【請求項11】
前記腐食防止層用樹脂は、発光物質をさらに含む、請求項10に記載の円筒型二次電池。
【請求項12】
前記電池缶は、鉄を含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【請求項13】
前記金属メッキ層は、ニッケルを含む、請求項8から12いずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【請求項14】
前記腐食防止層の厚さは、1μm超10μm未満である、請求項8から13のいずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月8日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0030319号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池に関し、より詳しくは電池缶の腐食を防止することができる腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の円筒型二次電池は、ゼリーロール電極組立体と外部端子とを繋ぐタブをゼリーロール電極組立体の箔に溶接して連結する構造を有する。このような構造の円筒型二次電池は、電流経路(path)が限定的であり、ゼリーロール電極組立体自体の抵抗が高いという問題があった。
【0004】
これを改善するために、タップの数を増やす方向で抵抗を下げようとする試みがあったが、電流経路を十分に確保したり、所望の水準まで抵抗を下げるには限界がある。この限界を解消するために、電池缶に適用する溶接工程にて抵抗を下げようとする試みがある。
【0005】
しかし、円筒型二次電池の電池缶の外部は、通常、金属メッキ層からなり、電極の溶接工程はレーザ溶接であり、金属メッキ層からなる電池缶の外部から底部の溶接が進行されることがあるため、電池缶の外部を構成する金属メッキ層が損傷する可能性がある。
【0006】
このように金属メッキ層が損傷すると、表面が空気中に露出して、電池缶が腐食する恐れがある。
【0007】
前記問題を解消するために、金属メッキ層に防錆液を塗布した後、洗浄する方法を適用した。しかし、前記方法によっても、防錆液の成分が容易に除去され得るため、電池缶が腐食しやすい。
【0008】
したがって、前記の問題を総合的に解消して電池缶の腐食を効率的に防止するための他の物質または方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記問題を解決するために、本発明の一つの目的は、腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池を提供することにある。
【0010】
ただし、本発明が解決しようとする課題は、上述の課題に制限されず、本明細書で言及されない他の課題は、後述する発明の説明から通常の技術者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明は、下記の側面による腐食防止層の製造方法および二次電池を提供する。
【0012】
本発明の一側面によると、第1の電極、第2の電極、およびこれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体、前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶および前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板を含む円筒型二次電池の腐食防止層の製造方法であって、
(A)前記電池缶の外部の底面を溶接する際に、前記接続リード板と前記電池缶が溶融して形成される溶接部において前記金属メッキ層が損傷した部位に腐食防止層用樹脂を塗布する段階;および
(B)前記腐食防止層用樹脂を紫外線によって硬化して腐食防止層を形成する段階
を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、1以上の液状物質を含み、
前記1以上の液状物質は紫外線硬化性であり、1cP以上5000cP以下の粘度を有するものである、
腐食防止層の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の一側面によると、第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在した分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
上述の腐食防止層の製造方法で製造された腐食防止層
を含む円筒型二次電池を提供する。
【0014】
本発明の一側面によると、第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在した分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
前記電池缶の外部の底面の前記接続リード板と前記電池缶とが溶融して形成される溶接部において、前記電池缶の外部表面が損傷した部位に腐食防止層が配置される腐食防止層
を含む円筒型二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面による腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池は、電池缶上の溶接によって発生する金属メッキ層の損傷部位によって電池缶の腐食を防止し、これにより製品の不良を防止することができる。
【0016】
本発明の一側面による腐食防止層の製造方法は、腐食防止層用樹脂は紫外線によって容易に硬化するため、過程が簡単である。また、腐食防止層用樹脂の塗布後、電池缶の外部に存在する金属メッキ層が空気、水分などの腐食要因にさらされることを防止し、これにより電池缶の腐食を防止し、電池の安全性を向上させることができる。
【0017】
本発明の一側面による腐食防止層の製造方法および円筒型二次電池は、活性化工程(通常、高温高湿の条件(約65℃以上の温度、約90%以上の湿度)で約24時間放置)下で変形しないという利点を提供することができる。
ただし、本発明によって得られる効果は、上述の効果に限定されるものではなく、本明細書で言及されない他の技術的効果は、後述する発明の説明から通常の技術者に明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一具現例を示す概略図である。
図2】本発明の一具現例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は様々な変更を加えることができ、いくつかの実施例または実施例を含むことができるが、特定の実施例または具現例を図面に示し、それに基づいて詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとする意図ではなく、本発明の技術的思想および技術的範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むものと理解されるべきである。
【0020】
本明細書において、第1、第2、A、Bなどの用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名することができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名することができる。
【0021】
本明細書において、「および/または」などの用語は、複数の関連項目の組み合わせまたは複数の関連項目の一部を含む。
【0022】
本明細書において、ある構成要素が単数で表される場合、本明細書に別段の指定がない限り、複数の概念を含んでも良い。
【0023】
本明細書において、「含む」、「有する」などの用語は、本明細書に別段の定めがない限り、本明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、工程、構成要素、部材など、またはそれらの組み合わせが存在自体を意味するものであり、他の特徴、数字などを排除することを意味しない。
【0024】
本明細書において、用語「電池缶」は、開口部、円筒状の側部および底部(または底面)を有することができ、通常、金属または合金の材質で構成されることができる。好ましくは、電池缶は、ニッケルメッキ鉄(ニッケル含有金属メッキ層と鉄を含む電池缶)から構成されても良い。
【0025】
また、前記「電池缶」は、二次電池の電極組立体が収容される物体である。前記電池缶は円筒形であってもよく、その大きさは両端部の円形の直径が30mm~55mm、高さが60mm~120mmであってもよい。例えば、円筒形電池缶の円形直径×高さは、40mm×60mm、40mm×80mm、または40mm×90mm、40mm×120mmであっても良い。
【0026】
本明細書において、用語「二次電池 (Secondary battery)」は、再充電を通じて長時間繰り返して使用が可能な電池を指す。二次電池は、電極活物質によって、ニッケル-カドミウム二次電池、リチウムイオン二次電池などに分類することができる。
【0027】
本明細書において、用語「円筒型二次電池」は、円柱状またはそれに類似な形態を有する二次電池を指す。円筒型二次電池は、体積当たりのエネルギー密度が高い特性のため、大容量の電子、電気機器に多用されるもので、複数個を組み合わせて電池パックを構成する形態で用いることができる。例えば、円筒型二次電池は、開口部の反対側の底部に貫通挿入されたリベットをカソードとして用い、電池缶自体をアノードとして用いる構造を有することができる。
【0028】
本明細書において、用語「第1の電極」はカソードであり、用語「第2の電極」はアノードであるか、その逆でも良い。
【0029】
本明細書において、用語「カソード」は、カソード集電体とカソード集電体の少なくとも一面に塗布されるカソード活物質を含む。カソード集電体の例としては、アルミニウムまたは合金などが挙げられるが、これらに限定されない。カソード活物質の例としては、リチウム含有遷移金属酸化物などが挙げられるが、これに限定されない。
【0030】
本明細書において、用語「アノード」は、アノード集電体とアノード集電体の少なくとも一面に塗布されるアノード活物質を含む。アノード集電体の例は、銅または合金などであり得るが、これらに限定されない。アノード活物質の例としては炭素材料などが挙げられるが、これに限定されない。
【0031】
本明細書において、用語「分離膜」は、前記カソードおよび前記アノードの間に介在する膜であり、カソードとアノードを分離しながら、回路を遮断するのに求められるイオンの移動を容易にする役割を果たす。分離膜の例としては、ポリオレフィン系膜からなる微多孔性フィルムなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、用語「液状物質」は、常温(約25℃)で液体状態を維持する物質を意味する。
【0033】
本明細書において、用語「紫外線硬化性」は、紫外線によって硬化される性質を意味するもので、例えば、ある物質が「紫外線硬化性」である場合、ある物質が紫外線によって固まって硬化することを称する。
【0034】
本明細書において、用語「金属メッキ層」は、電池缶の外部表面に塗布された層を意味し、これは金属メッキ材料を含む。例えば、ニッケルメッキ層であってもよい。
【0035】
本明細書において、用語「損傷部位」は、溶接工程によって電池缶の外部(金属メッキ層で塗布される場合、金属メッキ層も含む)が損傷する領域を意味する。溶接工程は、通常、電池缶の底部の外部で行われる。しかし、このような溶接工程によって金属メッキ層が損傷することがある。これにより、空気、水分などの腐食環境に容易に晒されて電解液が漏れることがある。
【0036】
他に定義されない限り、技術用語または科学用語を含めて、本明細書で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0037】
以下、本発明による好ましい実施例について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
本発明の一具現例によると、第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準として一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体、前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶、および前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板を含む円筒型二次電池の腐食防止層の製造方法であって、
(A)前記電池缶の外部の底面を溶接する際に、前記接続リード板と前記電池缶が溶融して形成される溶接部において前記金属メッキ層が損傷した部位に腐食防止層用樹脂を塗布する段階;および
(B)前記腐食防止層用樹脂を紫外線によって硬化して腐食防止層を形成する段階
を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、1以上の液状物質を含み、
前記1以上の液状物質は、紫外線硬化性であり、1cP以上5000cP以下の粘度を有するものである、
腐食防止層の製造方法を提供する。
【0039】
例えば、前記腐食防止層用樹脂は、1cP以上、200cP以上、400cP以上、600cP以上、800cP以上、1000cP以上、1200cP以上、1400cP以上、1600cP以上、1800cP以上、2000cP以上、2200cP以上、または2400cP以上の粘度を有しても良い。
【0040】
また、前記腐食防止層用樹脂は、5000cP以下、4800cP以下、4600cP以下、4400cP以下、4200cP以下、4000cP以下、3800cP以下、3600cP以下、3400CP以下、3200CP以下 、3000CP以下、2800CP以下、または2600CP以下の粘度を有しても良い。
【0041】
前記具現例に関連して、図1および/または図2を参照すると、腐食防止層用樹脂4が紫外線7によって硬化して腐食防止層6が形成されることが示されている。
【0042】
前記具現例に関して、図2の(B)を参照すると、上述した腐食防止層用樹脂4を噴射して電池缶1上に塗布し、図2の(C)を参照すると、紫外線7を照射して前記腐食防止層用樹脂4が硬化した形態、すなわち腐食防止層6を形成する過程が示されている。噴射方法は通常の方法による。
【0043】
前記具現例で使用される腐食防止層用樹脂は、電池缶の損傷部位に対する空気や水分の接触のような腐食要因を遮断して腐食を防止する。腐食防止層用樹脂において、紫外線硬化性および低粘度を特徴とする腐食防止層用樹脂を用いる。このような樹脂で形成された腐食防止層は、その厚さを均一に形成されることができ、腐食防止層に生じる気泡を防止することができ、耐熱性、伝熱性などの側面で優れた物性を提供することができる。また、前記腐食防止層用樹脂で形成された腐食防止層は、活性化工程(通常、高温高湿の条件(約65℃以上の温度、約90%以上の湿度)で約24時間放置)により変形しない。
【0044】
腐食防止層用樹脂の塗布方法は、当技術分野において適切な方法で行うことができる。前記噴射は、ノズル5のような装備を介して行うことができ、ノズルに適用される吐出量と吐出圧力は、当技術分野において適切な範囲で選択することができる。前記紫外線7の照射は、UVランプ8のような装備によって行われてもよく、UVランプの光源に適用される光の波長は、当技術分野において適切な範囲で選択することができる。
【0045】
前記具現例による腐食防止層の製造方法は、上述の腐食防止層用樹脂において紫外線硬化性の1以上の液状物質を用いるため、工程の簡便性を提供する。また、1cP以上5000cP以下の低粘度を有する1以上の液状物質を用いるため、腐食防止層用樹脂で形成された腐食防止層は、その厚さが均一に形成され、腐食防止層に生じる気泡を防ぐことができ、耐熱性、伝熱性などの側面から優れた物性を提供することができる。また、前記製造方法で形成された腐食防止層は、金属メッキ層への空気や水分の接触のような腐食要因を遮断して電池缶の腐食を防止する。また、前記具現例による腐食防止層用樹脂で形成された腐食防止層は、後続の活性化工程(通常、高温高湿の条件(約65℃以上の温度、約90%以上の湿度)で約24時間放置)によって、変形しない。
【0046】
特に、従来のインクジェット印刷方法によって形成されたコーティング層が剥がれて腐食が発生する問題を解消することができる。
【0047】
本発明の他の具現例によると、前記腐食防止層用樹脂は、発光物質をさらに含み、
(C)紫外線で前記電池缶上に腐食防止層用樹脂の塗布状態を確認する段階をさらに含む腐食防止層の製造方法を提供する。
【0048】
前記具現例による製造方法は、腐食防止層用樹脂に、発光物質で電池缶の外部表面が損傷した部位に腐食防止層用樹脂の塗布状態を確認し、腐食の防止がより効率的に達成できるようにする。
【0049】
必要に応じて、円筒型二次電池の内部に存在するガスによって圧力が上昇した場合、内部ガスを外部に排出するために、電池缶に開裂弁が設けられても良い。この場合、開裂弁を回避して腐食防止層を形成する段階がさらに含まれても良い。
【0050】
他の具現例において、前記腐食防止層用樹脂は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つを含む、腐食防止層の製造方法を提供する。
【0051】
前記具現例に関して、図2の(B)を参照すると、上述したエポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つを含む腐食防止層用樹脂4を噴射して電池缶1上に塗布し、図2の(C)を参照すると、紫外線7を照射して前記腐食防止層用樹脂4が硬化した形態、すなわち腐食防止層6を形成する過程が示されている。
【0052】
前記具現例による腐食防止層の製造方法は、上述した腐食防止層用樹脂において、紫外線硬化性および低粘度特性を有するエポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つを含むため、腐食防止層の形成時の工程が簡単であり、腐食防止層の厚さを均一に形成することができ、腐食防止層に生じる気泡を防止することができ、耐熱性、伝熱性等の側面で優れた物性を提供することができる。
【0053】
本発明の他の具現例によると、前記(B)段階の硬化時間は、5秒以上30秒以下である腐食防止層の製造方法を提供する。
【0054】
好ましくは、前記硬化時間は5秒以上、10秒以上、または15秒以上であっても良い。
【0055】
好ましくは、前記硬化時間は30秒以下、25秒以下、または20秒以下であっても良い。
【0056】
前記具現例に関して、図2の(B)を参照すると、上述した腐食防止層用樹脂4を噴射して電池缶1上に塗布する。また、図2の(C)を参照すると、紫外線7を5秒以上30秒以下照射して前記腐食防止層用樹脂4を硬化し、腐食防止層6を形成する過程が示されている。
【0057】
前記具現例による腐食防止層の製造方法は、5秒以上30秒以下の短期間の硬化時間のため、工程の迅速性を提供し、前記範囲を満たす二次電池は安全性を確保することができる。
【0058】
他の具現例によると、前記電池缶は鉄を含む、腐食防止層の製造方法を提供する。
【0059】
他の具現例によると、前記金属メッキ層はニッケルを含む、腐食防止層の製造方法を提供する。
【0060】
前記具現例による製造方法は、金属メッキ層(またはニッケルを含む)を設けることによって電池缶の腐食を一次的に防止することができる。ただし、外部から電池缶の底面を溶接する場合、前記金属メッキ層も溶融して電池缶の表面が露出する恐れがある。しかし、前記具現例の場合、金属メッキ層を含む電池缶の溶接後、溶接によって損傷した部位に腐食防止層を配置することにより、電池缶の表面が露出することを防止することができる。
【0061】
本発明の他の具現例によると、前記腐食防止層の厚さは、1μmを超え10μm未満である腐食防止層の製造方法を提供する。
【0062】
好ましくは、前記腐食防止層の厚さは、1μm超、2μm超、3μm超、4μm超、または5μm超であっても良い。
【0063】
好ましくは、前記腐食防止層の厚さは、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、または6μm未満であっても良い。
【0064】
前記具現例による厚さの範囲を満たす場合、二次電池のセル寸法範囲に対する最適化を可能にする。
【0065】
本発明の他の具現例によると、前記具現例のいずれかの製造方法に従って製造された腐食防止層を提供する。
【0066】
前記具現例に関して、図1または図2を参照すると、腐食防止層6は、電池缶1に塗布された金属メッキ層2上に位置する溶接部3に提供される腐食防止層用樹脂が紫外線7によって硬化して形成されたものである。
【0067】
前記具現例による腐食防止層は、金属メッキ層への空気や水分の接触のような腐食要因を遮断して電池缶の腐食を防止する。腐食防止層用樹脂は、紫外線硬化性および低粘度の1以上の液状物質を用いるため、これを用いて形成された腐食防止層はその厚みが均一で、気泡の発生がほとんどなく、耐熱性、伝熱性等の側面で優れた物性を有することができる。また、腐食防止層は、活性化工程(通常、高温高湿の条件(約65℃以上の温度、約90%以上の湿度)で約24時間放置)によって変形しない。
【0068】
また、前記腐食防止層は、従来のインクジェット印刷方法によって形成されたコーティング層が剥がれて腐食が発生する問題も解消することができる。
【0069】
本発明の一具現例によると、第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準として一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
上述の腐食防止層の製造方法のいずれかで製造された腐食防止層
を含む円筒型二次電池を提供する。
【0070】
または、本発明の一具現例によると、第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準として一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
前記電池缶の外部の底面の前記接続リード板と前記電池缶とが溶融して形成される溶接部において、前記電池缶の外部表面が損傷した部位に配置される腐食防止層
を含む円筒型二次電池を提供する。
【0071】
前記具現例に関して、図1の(C)または図2の(C)を参照すると、第1の電極、分離膜および第2の電極が順次に積層されて巻き取れた構造を有する電極組立体(図示せず)と電池缶の外部の底面1に塗布された金属メッキ層2上に位置する溶接部3上に位置する腐食防止層6が示されている。
【0072】
前記具現例による二次電池は、金属メッキ層に対する空気または水分の接触のような腐食要因を遮断して電池缶の腐食を防止する腐食防止層を含み、厚みが均一で、気泡の発生がほとんど無く、耐熱性、伝熱性等の側面で優れた物性を有する腐食防止層を含む。また、活性化工程(通常、高温高湿の条件(約65℃以上の温度、約90%以上の湿度)で約24時間放置)によって変形しない腐食防止層を含む。したがって、前記腐食防止層を含む円筒型二次電池は、安定性および/または安全性を有する。また、前記防食層を含む場合、円筒型二次電池の不良率を最小化することができる。
【0073】
必要に応じて、円筒型二次電池の内部に存在するガスによって圧力が上昇する場合、内部ガスを外部に排出するために、電池缶に開裂弁を設けても良い。この場合、開裂弁を回避して腐食防止層を形成しても良い。
【0074】
他の具現例によると、前記腐食防止層は、腐食防止層用樹脂を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つである円筒型二次電池を提供する。
【0075】
前記具現例に関して、図2の(B)を参照すると、上述のエポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つを含む腐食防止層用樹脂4を噴射して電池缶(1)上に塗布されることが示されている。
【0076】
前記具現例による円筒型二次電池は、腐食防止層用樹脂として紫外線硬化性および低粘度特性を有するエポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つを含むため、腐食防止層の形成時の工程が簡単であり、腐食防止層の厚さを均一に形成することができ、腐食防止層に生じる気泡を防止することができ、耐熱性、伝熱性などの側面で優れた物性を提供することができる。
【0077】
他の具現例によると、前記腐食防止層用樹脂は、発光材料をさらに含む、円筒型二次電池を提供する。
【0078】
前記具現例による円筒型二次電池は、腐食防止層用樹脂に発光物質で電池缶の外部表面が損傷した部位に腐食防止層用樹脂の塗布状態を確認して、腐食防止がより効率的に達成されるようにする。
【0079】
他の具現例によると、前記電池缶は、鉄を含む円筒型二次電池を提供する。
【0080】
他の具現例によると、前記金属メッキ層は、ニッケルを含む円筒型二次電池を提供する。
【0081】
前記具現例による円筒型二次電池は、金属メッキ層(またはニッケルを含む)を設けることによって、鉄を含む電池缶の腐食を一次的に防止することができる。ただし、外部から電池缶の底面を溶接する場合、前記金属メッキ層も溶融して電池缶の表面が露出することがある。しかし、前記具現例の場合、金属メッキ層を含む電池缶の溶接後、溶接によって損傷した部位に腐食防止層を配置することにより、電池缶の表面が露出することを防止することができる。
【0082】
他の具現例によると、前記腐食防止層の厚さは、1μmを超え10μm未満である円筒型二次電池を提供する。
【0083】
好ましくは、前記腐食防止層の厚さは、1μm超、2μm超、3μm超、4μm超、または5μm超であっても良い。
【0084】
好ましくは、前記腐食防止層の厚さは、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、または6μm未満であっても良い。
【0085】
前記具現例による厚さの範囲を満たす場合、二次電池のセル寸法範囲に対する最適化を可能にする。
【0086】
以上、本発明の好ましい具現例について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で種々変形して実施することが可能であり、これも本発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0087】
1 ・・・電池缶
2 ・・・金属メッキ層
3 ・・・溶接部
4 ・・・腐食防止層用樹脂
5 ・・・ノズル
6 ・・・腐食防止層
7 ・・・紫外線
8 ・・・UVランプ
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体、前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶、および電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板を含む円筒型二次電池の腐食防止層の製造方法であって、
(A)前記電池缶の外部の底面を溶接する際に、前記接続リード板と前記電池缶が溶融して形成される溶接部で前記金属メッキ層が損傷した部位に腐食防止層用樹脂を塗布する段階;および
(B)前記腐食防止層用樹脂を紫外線によって硬化して腐食防止層を形成する段階;
を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、1以上の液状物質を含み、
前記1以上の液状物質は、紫外線硬化性であり、1cP以上5000cP以下の粘度を有するものである、
腐食防止層の製造方法。
【請求項2】
前記腐食防止層用樹脂は、発光物質をさらに含み、
(C)紫外線で前記電池缶上に腐食防止層用樹脂の塗布状態を確認する段階をさらに含む、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項3】
前記腐食防止層用樹脂は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項4】
前記(B)段階の硬化時間が5秒以上30秒以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項5】
前記電池缶は、鉄を含む、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項6】
前記金属メッキ層は、ニッケルを含む、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項7】
前記腐食防止層の厚さは、1μm超10μm未満である、請求項1に記載の腐食防止層の製造方法。
【請求項8】
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
前記電池缶の外部の底面の前記接続リード板と前記電池缶とが溶融して形成される溶接部上に配置される腐食防止層
を含む円筒型二次電池。
【請求項9】
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に介在された分離膜が巻取軸を基準に一方向に巻き取られた構造を有するゼリーロールタイプの電極組立体;
前記電極組立体を収容し、金属メッキ層を含む電池缶;
前記電池缶と電極組立体とを接合する接続リード板;および
前記電池缶の外部の底面の前記接続リード板と前記電池缶とが溶融して形成される溶接部において、前記電池缶の外部表面が損傷した部位に配置される腐食防止層
を含む円筒型二次電池。
【請求項10】
前記腐食防止層は、腐食防止層用樹脂を含み、
前記腐食防止層用樹脂は、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系およびウレタンアクリル系樹脂の中から選択される少なくとも1つである、請求項8または9に記載の円筒型二次電池。
【請求項11】
前記腐食防止層用樹脂は、発光物質をさらに含む、請求項10に記載の円筒型二次電池。
【請求項12】
前記電池缶は、鉄を含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【請求項13】
前記金属メッキ層は、ニッケルを含む、請求項8から12いずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【請求項14】
前記腐食防止層の厚さは、1μm超10μm未満である、請求項8から13のいずれか一項に記載の円筒型二次電池。
【国際調査報告】