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特表2023-552988アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩との繰り返し単位並びにα-モノオレフィンの繰り返し単位を有する架橋された共重合体
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  • 特表-アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩との繰り返し単位並びにα-モノオレフィンの繰り返し単位を有する架橋された共重合体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩との繰り返し単位並びにα-モノオレフィンの繰り返し単位を有する架橋された共重合体
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/30 20060101AFI20231213BHJP
   C08F 212/34 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C08F8/30
C08F212/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533792
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2021070698
(87)【国際公開番号】W WO2022116364
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】202011391525.4
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513322718
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】TSINGHUA UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】1 Qinghuayuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 万泰
(72)【発明者】
【氏名】黄 延▲ビン▼
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AA02Q
4J100AA04Q
4J100AA06Q
4J100AA07Q
4J100AA15Q
4J100AA21Q
4J100AB15R
4J100AB16R
4J100AK32P
4J100AL62R
4J100CA05
4J100CA23
4J100CA31
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100HA31
4J100HB43
4J100HE05
4J100HE06
4J100HE12
4J100JA03
4J100JA67
(57)【要約】
本開示は、(i)アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩とを有する少なくとも1種の繰り返し単位、(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、を有する共重合体Aに関する。本開示はまた、本発明の接着剤から形成された成分を含む製品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩とを有する少なくとも1種の繰り返し単位、
(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および
(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、
を有する共重合体A。
【請求項2】
前記共重合体A中に、繰り返し単位(i)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、10-80重量%、好ましくは20-80重量%または22-79重量%である、請求項1に記載の共重合体A。
【請求項3】
前記直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンは直鎖状または分岐状のC-C12α-モノオレフィン、好ましくは直鎖状または分岐状のC-Cα-モノオレフィンである、請求項1または2に記載の接着剤。
【請求項4】
前記共重合体A中に、繰り返し単位(ii)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、10-75重量%、好ましくは15-74重量%または20-70重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体A。
【請求項5】
前記少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマー中の炭素-炭素不飽和二重結合は、(メタ)アクリル酸エステル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、およびアルケンまたはシクロアルケン中の炭素-炭素二重結合から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の共重合体A。
【請求項6】
前記共重合体A中に、繰り返し単位(iii)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、0.1-70重量%、好ましくは0.1-30重量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の共重合体A。
【請求項7】
前記共重合体Aは共重合体Bに由来し、当該共重合体Bは
(i′)無水物基を有する少なくとも1種の繰り返し単位、
(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および
(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、
を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の共重合体A。
【請求項8】
前記共重合体Bの無水物基を有する繰り返し単位(i′)は、炭素-炭素不飽和二重結合および無水物基を有する少なくとも1種のモノマーに由来する、請求項7に記載の共重合体A。
【請求項9】
前記炭素-炭素不飽和二重結合および無水物基を有するモノマーは、4-8個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、好ましくは無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物およびメチレンマロン酸無水物から選択され、より好ましくは無水マレイン酸である、請求項8に記載の共重合体A。
【請求項10】
前記共重合体Aは共重合体Bとアンモニアの反応に由来する、請求項1~9のいずれか1項に記載の共重合体A。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の共重合体Aを含む接着剤。
【請求項12】
前記接着剤は固体、好ましくは粉末形態であり;または水性組成物、好ましくは水溶液形態であり、好ましくは前記共重合体Aの含量は、水性組成物の総重量に基づいて、2-40重量%、特に5-30重量%である、請求項11に記載の接着剤。
【請求項13】
前記接着剤は、共重合体Aのアミド基および/またはカルボキシ基と共有結合架橋反応が発生できる有機架橋剤を含まない、請求項11または12に記載の接着剤。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の接着剤から形成される成分を含む製品。
【請求項15】
前記製品は人工ボード、紙、布または塗料である、請求項14に記載の製品。
【請求項16】
前記製品はリグノセルロース材料および前記接着剤から形成される人工ボードである、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
前記接着剤はマトリックス樹脂として用いられ、好ましくは前記接着剤はリグノセルロース材料の間の隙間埋める、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
固形分ベースの接着剤用量は、製品総重量に基づいて、1-45重量%、好ましくは2-35重量%、より好ましくは3-30重量%である、請求項14~17のいずれか1項に記載の製品。
【請求項19】
請求項1~10のいずれか1項によって特定されている共重合体Aの用量は、製品の総重量に基づいて、1-40重量%、好ましくは2-30重量%、より好ましくは3-25重量%である、請求項14~18のいずれか1項に記載の製品。
【請求項20】
請求項11~13のいずれか1項に記載の接着剤の、人工ボード、紙、布または塗料の調製における用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、(i)アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩とを有する少なくとも1種の繰り返し単位、(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、を有する共重合体Aに関する。本開示はまた、共重合体Aを含む接着剤および本発明の接着剤から形成された成分を含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の接着剤、特に人工ボードの生産に用いられる接着剤の中で、ホルムアルデヒドを原料として調製される「3つのアルデヒド接着剤」(尿素-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン-ホルムアルデヒド樹脂)は比較的に大きい割合を占めており、80%を超える。「3つのアルデヒド接着剤」は、調製が簡単で、低価格であるが、このタイプのボードは使用過程において遊離ホルムアルデヒドを長期的に放出することがあり、室内環境を汚染し、住民の身体健康を深刻に脅かす。
【0003】
いくつかの文献中に、「3つのアルデヒド接着剤」タイプの人工ボードのホルムアルデヒド放出量を低減することについて、解決策を提案していた。例えば、中国特許出願公開第107033309号明細書では、原料の比率および各重合段階のpH値を調整し、ホルムアルデヒド捕捉剤を添加するなどの方法によってホルムアルデヒドの放出を低減しようとしている。中国実用新案第203344147号明細書では、ボードの生産中に、活性炭、竹炭、珪藻土などを混入し、ボードに一定のガス吸着能力を付与することを開示している。しかし、上述の方法は根本的に問題を解決しておらず、ボードは使用過程中においてホルムアルデヒドの放出はまだある。
【0004】
大豆タンパク、タンニン、デンプン、ゼラチンなどバイオマス原料をベースに調製した接着剤はホルムアルデヒドの使用に関与しないが、バイオマス原料の劣化速度が速く、ボードが老化しやすいという問題をもたらす。老化防止剤の添加によって劣化をある程度遅らせることはできるが、バイオマス系接着剤は依然としてコストが比較的に高く、および資源面に関する問題を有する。そのため、実用的な使用にも制限される。
【0005】
さらに、例えばポリ塩化ビニル、高分子量ポリエチレン、クロロプレンゴムなど重合体を利用してボードの生産を行うこともできるが、これらの重合体はすべて水溶性を具備せず、水性接着剤を形成することができず、ホットメルトまたは有機溶媒によってのみ重合体を木材原料と混合することができ、高コスト、エネルギー消費および環境に優しくないという欠点は依然と存在する。
【0006】
したがって、安全で環境に優しく、生産コストが低く、塗布プロセスの簡便性および完成品の耐久性などの方面から考慮すると、新しいホルムアルデヒドフリーの接着剤に使用できる共重合体を開発することは特に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願公開第107033309号明細書
【特許文献2】中国実用新案第203344147号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術の実情に鑑み、本発明の発明者は、ホルムアルデヒドの放出がなく、コストが低く、塗布が容易でかつ性能が優れた接着剤に使用できる共重合体を発見するために接着剤分野における共重合体に対して広範囲かつ深い研究を行った。本発明者は、特定の共重合体Aおよび当該特定の共重合体Aを含む接着剤を発見し、前記接着剤は、ホルムアルデヒド放出がないだけでなく、コストが低く、塗布が容易で、かつ優れた性能を有する。
【0009】
本発明は、以上の知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
本発明の目的は共重合体Aを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は共重合体Aを含む接着剤を提供することにあり、前記接着剤は安全で環境に優しく、コストが低く、塗布が容易であり、かつ性能が優れる、という利点を有する。
【0012】
本発明の他の目的は本発明の接着剤によって形成される成分を含む製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を実現するための技術的解決手段は、以下のように要約できる。
【0014】
1.
(i)アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩とを有する少なくとも1種の繰り返し単位、
(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および
(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、
を有する共重合体A。
【0015】
2.前記共重合体A中に、繰り返し単位(i)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、10-80重量%、好ましくは20-80重量%または22-79重量%である、項目1に記載の共重合体A。
【0016】
3.前記直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンは、直鎖状または分岐状のC-C12α-モノオレフィン、好ましくは直鎖状または分岐状のC-Cα-モノオレフィンである、項目1または2に記載の接着剤。
【0017】
4.前記共重合体A中に、繰り返し単位(ii)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、10-75重量%、好ましくは15-74重量%または20-70重量%である、項目1-3のいずれか1項に記載の共重合体A。
【0018】
5.前記少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマー中の炭素-炭素不飽和二重結合は、(メタ)アクリル酸エステル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基およびアルケンまたはシクロアルケン中の炭素-炭素二重結合から選択される、項目1-4のいずれか1項に記載の共重合体A。
【0019】
6.前記共重合体A中に、繰り返し単位(iii)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、0.1-70重量%、好ましくは0.1-30重量%である、項目1-5のいずれか1項に記載の共重合体A。
【0020】
7.前記共重合体Aは共重合体Bに由来し、当該共重合体Bは、
(i′)無水物基を有する少なくとも1種の繰り返し単位、
(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および
(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、
を有する、項目1-6のいずれか1項に記載の共重合体A、
【0021】
8.前記共重合体Bの無水物基を有する繰り返し単位(i′)は、炭素-炭素不飽和二重結合および無水物基を有する少なくとも1種のモノマーに由来する、項目7に記載の共重合体A。
【0022】
9.前記炭素-炭素不飽和二重結合および無水物基を有するモノマーは、4-8個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、好ましくは無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物およびメチレンマロン酸無水物から選択され、より好ましくは無水マレイン酸である、項目8に記載の共重合体A。
【0023】
10.前記共重合体Aは、共重合体Bとアンモニアの反応に由来する、項目1-9のいずれか1項に記載の共重合体A。
【0024】
11.項目1-10のいずれか1項に記載の共重合体Aを含む接着剤。
【0025】
12.前記接着剤は固体、好ましくは粉末形態であり;または水性組成物、好ましくは水溶液形態であり、好ましくは前記共重合体Aの含量は、水性組成物の総重量に基づいて、2-40重量%、特に5-30重量%である、項目11に記載の接着剤。
【0026】
13.前記接着剤は、共重合体Aのアミド基および/またはカルボキシ基と共有結合架橋反応が発生できる有機架橋剤を含まない、項目11または12に記載の接着剤。
【0027】
14.項目11-13のいずれか1項に記載の接着剤から形成された成分を含む製品。
【0028】
15.前記製品は、人工ボード、紙、布または塗料である、項目14に記載の製品。
【0029】
16.前記製品はリグノセルロース材料および前記接着剤から形成される人工ボードである、項目15に記載の製品。
【0030】
17.前記接着剤はマトリックス樹脂として用いられ、好ましくは前記接着剤はリグノセルロース材料の間の隙間を埋める、項目16に記載の製品。
【0031】
18.固形分ベースの接着剤の用量は、製品の総重量に基づいて、1-45重量%、好ましくは2-35重量%、より好ましくは3-30重量%である、項目14-17のいずれか1項に記載の製品。
【0032】
19.項目1-10のいずれか1項において定義される共重合体Aの用量は、製品の総重量に基づいて、1-40重量%、好ましくは2-30重量%、より好ましくは3-25重量%である、項目14-18のいずれか1項に記載の製品。
【0033】
20.項目11-13のいずれか1項に記載の接着剤の、人工ボード、紙、布または塗料の調製における用途。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施例3中の異なる重合体の赤外線スペクトルであり、下から上までのそれぞれは、1、架橋されたイソブチレン-無水マレイン酸共重合体の赤外線スペクトル;2、アミック酸に転換された共重合体の赤外線スペクトル;3、ホットプレス後の共重合体の赤外線スペクトル、である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
関連する特徴について本明細書に開示された具体的な値(開示された範囲の終点値を含む)は、互いに組み合わせて新たな範囲を形成することができる。
【0036】
共重合体A
【0037】
本発明の一態様は、
(i)アミド基とカルボキシ基および/またはそのアンモニウム塩とを有する少なくとも1種の繰り返し単位、
(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および
(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、
を有する共重合体Aに関する。
【0038】
本発明によると、共重合体A中の繰り返し単位(i)は、繰り返し単位(ii)および繰り返し単位(iii)と異なる。
【0039】
本発明によると、共重合体Aの繰り返し単位(i)中のカルボキシ基の一部分(例えば1-10重量%)は、そのアンモニウム塩の形態であってよい。
【0040】
当業者は、「に由来する」という表現には、共重合体が特定の繰り返し単位を有するが、当該繰り返し単位は当該繰り返し単位の対応するモノマーによって直接的に形成しない場合も含まれることを理解できる。例えば、カルボキシエチレン繰り返し単位
【化1】
はアクリル酸の重合に由来してもよく、アクリレートを重合して、その後加水分解することによって得てもよい。
【0041】
本発明の一実施形態において、繰り返し単位(i)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、10-80重量%、例えば20-80重量%、22-79重量%、22-78重量%、25-75重量%、30-70重量%または35-65重量%であってよい。
【0042】
本発明によると、前記少なくとも1種の繰り返し単位(ii)は、直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンに由来する。前記直鎖状または分岐状のC-C18α-モノオレフィンは、直鎖状または分岐状のC-C16α-モノオレフィンまたはC-C16α-モノオレフィン、直鎖状または分岐状のC-C14α-モノオレフィンまたはC-C14α-モノオレフィン、直鎖状または分岐状のC-C12α-モノオレフィンまたはC-C12α-モノオレフィン、直鎖状または分岐状のC-C10α-モノオレフィンまたはC-C10α-モノオレフィン、好ましくは直鎖状または分岐状のC-Cα-モノオレフィンまたはC-Cα-モノオレフィン、であってよい。
【0043】
これらの直鎖状または分岐状C-C18α-モノオレフィンの具体的な実例として、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセン、を挙げることができる。
【0044】
前記共重合体A中に、繰り返し単位(ii)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、10-75重量%、15-74重量%、17-73重量%、20-70重量%、25-65重量%または30-60重量%であってよい。
【0045】
本発明によると、前記少なくとも1種の繰り返し単位(iii)は、少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する。本発明の一実施形態によると、前記少なくとも2つ(例えば2-4個)の炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマー中の炭素-炭素不飽和二重結合は、(メタ)アクリル酸エステル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、およびアルケンまたはシクロアルケン中の炭素-炭素二重結合から選択される。
【0046】
前記繰り返し単位(iii)の量は、共重合体Aの繰り返し単位の総量に基づいて、0.1-70重量%、例えば0.1-30重量%、0.2-20重量%、0.2-10重量%または0.5-5重量%であってよい。
【0047】
共重合体A少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位(iii)を有することから、共重合体Aは一般的に架橋されている。
【0048】
本発明によると、共重合体Aは任意に補助繰り返し単位を含むことができる。前記補助繰り返し単位は例えば、以下のモノマーに由来する繰り返し単位から選択することができる。
【0049】
モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸、モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸のC-C10アルキルエステル、モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸のアミド、C-Cアルキル基を有するビニルアルキルエーテル、スチレン、非α-モノオレフィンのC-C22モノオレフィン、C-C12アルキル基、C-C12アルコキシ基およびハロゲンから選択される1つまたは複数の置換基によって置換されたスチレン、C-C20カルボン酸のビニルエステル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシ基含有エチレン性不飽和モノマー、N-ビニルホルムアミド、ビニルイミダゾール、アリルベンゼン、インデン、メチルインデンおよびフラン環含有化合物、
または
前記補助繰り返し単位は、ガソリン、C留分、C留分、C留分、C留分またはコールタール軽質留分の反応材料から生じる炭素-炭素不飽和二重結合含有の少なくとも1種のモノマーに由来する。
【0050】
これらの繰り返し単位(i)のモノマー、繰り返し単位(ii)のモノマー、繰り返し単位(iii)のモノマーおよび補助繰り返し単位のモノマー、および反応材料に関する詳細は、以下の文書で共重合体Bについて詳述する。
【0051】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、前記共重合体Aは共重合体Bに由来し、当該共重合体Bは、
(i′)無水物基を有する少なくとも1種の繰り返し単位、
(ii)直鎖状または分岐状のC-C18α-オレフィンに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、および
(iii)少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する少なくとも1種の繰り返し単位、
を有する。
【0052】
一つの好ましい実施態様において、前記共重合体Aは前記共重合体Bとアンモニアの反応に由来する。
【0053】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、前記共重合体Bの無水物基を有する繰り返し単位(i′)は、炭素-炭素不飽和二重結合および無水物基を有する少なくとも1種のモノマーに由来する。本発明によると、前記炭素-炭素不飽和二重結合および無水物基を有するモノマーは、4-8個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、好ましくは無水マレイン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチレンマロン酸無水物およびその混合物から選択することができ、より好ましくは無水マレイン酸である。
【0054】
共重合体B中に、繰り返し単位(i′)の量は、共重合体Bの繰り返し単位の総量に基づいて、10-80重量%、例えば20-80重量%、22-79重量%、22-78重量%、25-75重量%、30-70重量%または35-65重量%であってよい。
【0055】
共重合体B中の繰り返し単位(ii)は共重合体(A)に対して上述の通りである。前記共重合体B中に、繰り返し単位(ii)の量は、共重合体Bの繰り返し単位の総量に基づいて、10-75重量%、15-74重量%、17-73重量%、20-70重量%、25-65重量%または30-60重量%であってよい。
【0056】
本発明によると、前記少なくとも1種の繰り返し単位(iii)は、少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーに由来する。本発明の一実施形態によると、前記少なくとも2つ(例えば2-4個)の炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマー中の炭素-炭素不飽和二重結合は、(メタ)アクリル酸エステル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、およびアルケンまたはシクロアルケン中の炭素-炭素二重結合から選択される。
【0057】
前記少なくとも2つの炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーは例えば、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールの(メタ)アクリレート、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールのビニルエーテル、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールのアリルエーテル、エチレンオキシドおよび/プロピレンオキシドオリゴマーのジ(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、少なくとも2つのビニル基を有する芳香族化合物、およびC-C22ジエン、から選択することができる。
【0058】
前記少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールは例えば、2-6個、好ましくは2-4個のヒドロキシ基を有することができる。これらのアルコールは、2-6個の炭素原子を有するジオール例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオールおよびヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールなど、から選択することができる。
【0059】
したがって、少なくとも2つのヒドロキシ基を有するアルコールの(メタ)アクリレートは、2-6個の炭素原子を含むジオールのジ(メタ)アクリレートであってよく、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1、2-プロピレングリコールジアクリレート、1、2-プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、例えばブタン-1、4-ジオールジアクリレート、ブタン-1、4-ジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、3-メチルペンタンジオールジアクリレートおよび3-メチルペンタンジオールジメタクリレートから選択できる。
【0060】
エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドオリゴマーのジ(メタ)アクリレートの実例は、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートおよびテトラエチレングリコールジメタクリレートである。
【0061】
少なくとも2つのビニル基を有する芳香族化合物の実例として、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼンおよびジビニルナフタレンなど、を挙げることができる。
【0062】
-C22ジエンは、アルカジエンまたは環状ジエンであってよい。前記C-C22ジエンは、共役または非共役であってよい。前記C-C22ジエンは例えば、共役または非共役のC-C16またはC-C16アルカジエンまたは環状ジエン、共役または非共役のC-C12またはC-C12アルカジエンまたは環状ジエン、共役または非共役のC-CまたはC-Cアルカジエンまたは環状ジエン;および8-20個の炭素原子、好ましくは8-16または8-12個の炭素原子を有する二環式オレフィン、例えばジシクロペンタジエン系モノマー、例えばジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン(例えば2-メチルジシクロペンタジエン、5-メチルジシクロペンタジエン)、エチルジシクロペンタジエン(例えば2-エチルジシクロペンタジエン)および5、5-ジメチルジシクロペンタジエンなど、である。
【0063】
-C22アルカジエンまたは環状ジエンの具体的な実例として、1、3-ブタジエン、1、3-ペンタジエン、イソプレン、1、3-ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、1、3-シクロヘキサジエン、1、4-ペンタジエン、1、4-ヘキサジエン、1、5-ヘキサジエン、1、4-シクロヘキサジエン、1、5-シクロオクタジエンなど、を挙げることができる。
【0064】
少なくとも2つ(例えば2-4個)の炭素-炭素不飽和二重結合を有するモノマーの他の具体的な実例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレートなど、を挙げることができる。
【0065】
前記繰り返し単位(iii)の量は、共重合体Bの繰り返し単位の総量に基づいて、0.1-70重量%、例えば0.1-30重量%、0.2-20重量%、0.2-10重量%または0.5-5重量%であってよい。
【0066】
本発明によると、共重合体Bは任意に補助繰り返し単位を含むことができる。前記補助繰り返し単位は、例えば以下のモノマーに由来する繰り返し単位から選択することができる。
【0067】
モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸、モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸のC-C10アルキルエステル、モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸のアミド、C-Cアルキル基を有するビニルアルキルエーテル、スチレン、非α-モノオレフィンのC-C22モノオレフィン、C-C12アルキル基、C-C12アルコキシ基およびハロゲンから選択される一つまたは複数の置換基によって置換されたスチレン、C-C20カルボン酸のビニルエステル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシ基含有エチレン性不飽和モノマー、N-ビニルホルムアミド、ビニルイミダゾール、アリルベンゼン、インデン、メチルインデンおよびフラン環含有化合物、
または
前記補助繰り返し単位は、ガソリン、C留分、C留分、C留分、C留分またはコールタール軽質留分の反応材料から生じる炭素-炭素不飽和二重結合含有の少なくとも1種のモノマーに由来する。
【0068】
モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸の実例として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびビニル酢酸、好ましくはアクリル酸およびメタクリル酸、を挙げることができる。
【0069】
モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸のC-C10アルキルエステルの実例として、C-C10アルキル基の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、特にメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸N-ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルまたはそれらの混合物、を挙げることができる。
【0070】
モノエチレン性不飽和C-Cモノカルボン酸のアミドの実例として、特に(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
【0071】
-Cアルキル基を有するビニルアルキルエーテルとして、好ましくはC-Cアルキル基を有するビニルアルキルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、n-ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、n-オクチルビニルエーテルおよび2-エチルヘキシルビニルエーテル、を挙げることができる。
【0072】
非α-モノオレフィンのC-C22モノオレフィンは、アルケンおよびシクロアルケン、例えば4-20または5-20個の炭素原子、例えば4-16または5-16個の炭素原子、または4-8または5-8個の炭素原子を有するアルケンまたはシクロアルケン、例えば2-ブテン、2-ペンテン、2-メチル-2-ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンなど;5-20個の炭素原子、好ましくは5-16または8-12個の炭素原子を有するジヒドロビシクロアルケン、特にジヒドロジシクロペンタジエン(例えば2、3-ジヒドロジシクロペンタジエン)、ジヒドロメチルジシクロペンタジエンおよびジヒドロジメチルジシクロペンタジエンなど、であってよい。
【0073】
-C12アルキル基、C-C12アルコキシ基およびハロゲンから選択される一つまたは複数の置換基によって置換されたスチレンについて、アルキル基またはアルコキシ基は好ましくは1-10個の炭素原子、例えば1-4個の炭素原子、を有し;ハロゲン好ましくは塩素および臭素である。具体的な実例として、ビニルトルエン(例えばα-メチルスチレンおよびp-メチルスチレン)、α-ブチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレン、p-メトキシスチレン、クロロスチレンおよびブロモスチレン、を挙げることができる。
【0074】
-C20カルボン酸のビニルエステルの実例として、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、および酢酸ビニル、を挙げることができる。
【0075】
ヒドロキシ基含有エチレン性不飽和モノマーは例えば、C-C10ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、および3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、を含む。
【0076】
フラン環含有化合物の実例として、フラン環がC-C12アルキル基およびC-C12ヒドロキシアルキル基から選択される1つまたは複数(例えば2-4個)の置換基によって置換されたモノマー、例えばフルフリルアルコール、を挙げることができる。前記フラン環はさらにベンゼン環と縮合することができ、例えばメチルベンゾフランである。
【0077】
本発明の一実施形態において、前記炭素-炭素不飽和二重結合含有の少なくとも1種のモノマー、飽和炭化水素、および重合に関与しないその他の不純物を含む反応材料、例えばガソリン、C留分、C留分、C留分、C留分、コールタール軽質留分、は、分離を経ることなく直接使用することができ、よって補助繰り返し単位を得る。これらの反応材料を使用して共重合体Bを形成する時に(例えばフリーラジカル重合によって)、これらの反応材料中の炭素-炭素不飽和二重結合含有のモノマー以外の成分は調製プロセス中の溶媒として使用することができる。これらの留分を反応材料として使用する時に、本発明の接着剤および人工ボードのコストをさらに低減することができる。
【0078】
留分として、エチレン製造のための石油分解または接触分解で生成した副生成物を挙げることができる。それは通常、イソブテン、1-ブテン-1、2-ブテンおよびブタンなどの成分を含む。
【0079】
留分は以下の具体的な組成を有することができる。
【表1】
【0080】
留分は通常、石油分解から由来のC留分である。C留分中に、約45-55%のジオレフィンおよび8-15%のモノオレフィンを含有する。C留分中のその他の成分は、18-25%のアルカン、1%前後のアルキン、10-20%のC、ベンゼンおよびその他の成分を含む。
【0081】
留分は以下の具体的な組成を有することができる。
【表2】
【0082】
およびC留分は主として、エチレン製造のためのスチーム分解プロセスによるおよびナフサ白金改質プロセスから由来し、また、トルエンの不均化またはトランスアルキル化生成物およびコールタールなどから由来する一部分もある。
【0083】
留分中は通常、22-35%のモノオレフィン、例えばスチレン、アリルベンゼン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、を含む。C留分中のその他の成分は、45-55%芳香族炭化水素および約20%のその他の未知の成分を含む。
【0084】
留分は以下の具体的な組成を有することができる。
【表3】
【0085】
留分中は通常、20-30%のモノオレフィン(例えばスチレン、アリルベンゼン、ビニルトルエン、インデン)、8-15%のジエン、を含む。C留分中のその他の成分は、約5%のアルカン、40-50%の芳香族炭化水素および10%前後のその他の未知の成分、を含む。C留分は以下の具体的な組成を有することができる。
【表4】
【0086】
コールタール中の軽質油成分は主として、スチレン、α-メチルスチレン、アルキルベンゼン、ビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、ベンゾフラン、インデン、メチルインデンおよびメチルベンゾフランなどを含み、現在は主としてダーク-ライトのクマロン樹脂の原料として用いられる。コールタール軽質留分は以下の具体的な組成を有することができる。
【表5】
【0087】
共重合体Bを調製する重合は、油溶性フリーラジカル開始剤を使用して行うことができる。前記油溶性フリーラジカル開始剤は例えば、アゾ系開始剤または過酸化物系開始剤を含む。前記アゾ系開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプトニトリル、アゾビス(イソ酪酸)ジメチルなど、を含む;前記過酸化物系開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、ビス(2,4‐ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、過酸化ジ-tert-ブチル、過酸化ラウロイル、過安息香酸tert-ブチル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートおよびジシクロヘキシルペルオキシジカーボネートなど、を含む。前記開始剤の用量はモノマー重量に基づいて、0.05-10重量%、好ましくは0.5-6重量%である。
【0088】
重合反応は溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、芳香族炭化水素、アルカンおよびケトンの混合物、カルボン酸エステル、アルカンおよび芳香族炭化水素など混合物、芳香族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物、またはアルカンおよびカルボン酸エステルの混合物、またはアルカン、芳香族炭化水素およびカルボン酸エステルの混合物、を含むことができる。
【0089】
芳香族炭化水素の実例として、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンなど、を挙げることができる。
【0090】
カルボン酸エステルは、C-Cカルボン酸のC-Cアルキルエステル、フェニルエステルまたはベンジルエステルおよび6-10個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸のC-Cアルキルエステルを含むことができ、具体的な実例として、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、酪酸イソアミル、イソ酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸プロピル、フェニル酢酸ブチル、フェニル酢酸イソアミル、などのエステル系溶媒を挙げることができる。
【0091】
アルカンおよびケトンの混合物中のケトンは、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトンから選択することができ、前記アルカンは、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンおよびイソオクタンなどから選択することができる。アルカンおよびケトンの混合物中において、ケトンは通常5-65体積%を占める。
【0092】
重合反応は、不活性ガス例えば窒素の存在下で行うことができる。重合反応の温度は通常55-120℃、好ましくは60-100℃であり;重合反応の時間は通常は1-12時間、好ましくは2-8時間である。重合反応の後に、得られた共重合体Bを分離、乾燥することができる。
【0093】
一つの好ましい実施態様において、前記重合反応は沈殿重合により行われる。前記沈殿重合はモノマーを溶解できるが、得られた共重合体Bを溶解できない溶媒を選択することにより行うことができる。沈殿重合により、粉末形態の共重合体Bを直接得ることができる。
【0094】
本発明によると、ガソリン、C留分、C留分、C留分、C留分およびコールタール軽質留分を反応材料として用いれば、反応終了後に、反応していないアルカンまたは芳香族炭化水素混合物は簡単な蒸留だけで分離することができ、よって種々の付加価値の高い溶媒および工業原料が得られる。
【0095】
本発明によると、前記共重合体Bをアンモニアと反応させることによって共重合体Aを得ることができる(以下の文書でされに詳述する)。
【0096】
接着剤
【0097】
本発明の一態様は、本発明の共重合体Aを含む接着剤に関する。
【0098】
本発明の接着剤において、共重合体Aに加えて、必要に応じて、本発明の接着剤はまた少なくとも1種の添加剤を含むことができる。前記添加剤は以下の一種または複数種であってよい:脱酸素剤、乳化剤、染料、顔料、マイグレーション防止助剤、紫外線吸収剤、殺生物剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤および酸化防止剤。
【0099】
一実施形態によれば、本発明の接着剤は、共重合体Aのアミド基および/またはカルボキシ基と共有結合架橋反応が発生できる有機架橋剤、例えばポリオール、ポリアミン、ポリアルカノールアミンまたはこれらの混合物、を含まない。
【0100】
本発明によると、前記接着剤は固体、好ましくは粉末形態;または水性組成物、好ましくは水溶液形態、であり得る。
【0101】
本発明の接着剤中に、共重合体Aの量は、接着剤の総量に基づいて(接着剤が液状、例えば水性組成物または水溶液、である場合は、固形分に基づいて)、30-100重量%、例えば50-100重量%、60-100重量%、70-100重量%、80-100重量%、または50-98重量%、または60-90重量%であってよい。
【0102】
前記接着剤が水性組成物、好ましくは水溶液の形態である場合、接着剤の固形分は、2-40重量%、または5-30重量%、または8-25重量%であってよい。
【0103】
接着剤の調製方法
【0104】
本発明の一態様は、本発明の接着剤を調製する方法に関し、この方法は共重合体Bを反応媒体(例えば水)の存在または非存在下でアンモニアと反応させることを含む。
【0105】
共重合体Bをアンモニアと反応させて、すなわちアンモノリシスによって、共重合体Aを形成することができる。前記反応は通常、共重合体Bを100℃未満、好ましくは15-70℃の温度下で、例えば室温下で、水性媒体中に、アンモニアと撹拌下で反応させることを含む。反応時間は通常0.1-10時間、好ましくは0.5-6時間である。
【0106】
反応後、得られた反応混合物は通常水性組成物、好ましくは水溶液形態である。得られた水性組成物、好ましくは水溶液は接着剤として直接使用することができる。また、反応混合物を上述の少なくとも1種の添加剤と混合した後に接着剤として使用することもできる。
【0107】
好ましくは共重合体Bは、アンモニアと反応させる前は粉末の形態である。好ましくは前記粉末形態の共重合体Bは沈殿重合によって調製することができる。粉末形態の共重合体Bはまた、共重合体B(例えば塊状)を粉末形態に粉砕することによって得ることもできる。前記粉末形態の共重合体Bの平均粒径は0.01-10μm、好ましくは0.05-8μm、より好ましくは0.1-5μmであってよい。前記粉末形態の共重合体Aの平均粒径は0.01-10μm、好ましくは0.05-8μm、より好ましくは0.1-5μmであってよい。
【0108】
固体形態の共重合体Bとアンモニアとの反応時間は通常2-300分間、例えば5-120分間である。
【0109】
具体的な応用においては、固体形態の共重合体Aを水に溶解し、任意に上述の少なくとも1種の添加剤と混合した後に塗布することができる。
【0110】
共重合体Bの無水物基の転化率は通常90%を超え、好ましくは95%を超え、より好ましくは98%を超え、例えば100%である。
【0111】
共重合体Bとアンモニアとの反応において、カルボキシ基はまた、アンモニアとアンモニウム塩を形成することができる。
【0112】
本発明の接着剤から形成された成分を含む製品
【0113】
本発明の一態様は、本発明の接着剤から形成された成分を含む製品に関する。
【0114】
本発明によると、前記製品は人工ボード、紙、布または塗料であってよい。
【0115】
本発明の製品において、固形分ベースの接着剤の用量は、製品の総重量に基づいて、1-45重量%、好ましくは2-40重量%、より好ましくは3-35重量%または4-30重量%、例えば5-25重量%、6-25重量%、7-25重量%、8-19重量%であってよい。
【0116】
本発明の製品において、共重合体Aの用量は、製品の総重量に基づいて、1-40重量%、好ましくは2-30重量%、より好ましくは3-25重量%または4-20重量%、例えば5-20重量%、6-20重量%または7-18重量%であってよい。
【0117】
一実施形態において、前記製品はリグノセルロース材料と本発明の接着剤とから形成された人工ボードである。本発明の人工ボードは、広義に理解されるべきであり、すなわち、任意のリグノセルロース材料と本発明の接着剤とから形成されたボードである。本発明の人工ボードは木材のみから形成されたものに限定されず、竹および藁など後述する材料から形成されたボードを含むこともできる。本発明の人工ボードは種々のタイプの人工ボードであってよい。一の実施形態において、前記人工ボードはパーティクルボード、合板、繊維ボード、密度ボード、藁ボードおよびフィンガージョイントボードを含むが、これらに限定されない。
【0118】
リグノセルロース材料は種々のリグノセルロース材料、例えば木材、竹、バガス、藁(例えば麦藁)、亜麻残渣、ナッツ殻、穀物殻など、およびこれらの混合物に由来してよい。木材は種々の軟木および/または堅木を含む。
【0119】
リグノセルロース材料は、おがくず、細片、木材チップ、ストリップ、フレーク、繊維、シート、木粉、削り屑、顆粒および類似する材料形態およびこれらの材料の組み合わせの形態、例えばストリップおよびおがくずの組み合わせ、であってよい。
【0120】
リグノセルロース材料は、種々の従来技術によって加工を行うことができる。大きな木材をラウンドウッドチッパーで木材チップに加工することができる。大きな木片および残材を細片に切断することもできる。また、大きな木材をリングチッパーでチップにすることもできる。通常は、チップにする前に大きな木材の皮をむく。
【0121】
リグノセルロース材料のサイズは通常重要ではない。異なるタイプの人工ボードに対して異なるサイズを使用することができる。例えばリグノセルロース材料のサイズは1-30メッシュであってよく、好ましくは2-15メッシュである。シート類のリグノセルロース材料について、シートの厚さは例えば0.5mm-5cmであってよく、好ましくは1mm-3cmである。
【0122】
本発明の人工ボードにおいて、前記接着剤はマトリックス樹脂として用いられ、好ましくは前記接着剤はリグノセルロース材料の間の隙間を埋める。
【0123】
本発明の別の態様は本発明の製品を調製する方法に関し、前記方法は本発明の接着剤を使用することを含む。
【0124】
本発明によると、人工ボードは以下の方法によって調製することができ、前記方法はリグノセルロース材料と本発明の接着剤との混合物を、105-300℃の温度下および0.4-10MPaの圧力下でプレスすることを含み、好ましくは2-60分間プレスし、より好ましくは3-30分間プレスし、例えば5-30分間プレスする。
【0125】
プレスに用いられるリグノセルロース材料と本発明の接着剤との混合物はリグノセルロース材料と本発明の接着剤とを混合することによって調製することができる。接着剤が固体である場合、接着剤をまず水に溶解した後にリグノセルロース材料と混合することができる。
【0126】
プレスする前に、好ましくはリグノセルロース材料と接着剤との混合物中の一部の水分を除去し、例えばリグノセルロース材料と接着剤との混合物の含水率を30重量%未満、好ましくは25重量%未満、例えば22重量%未満、または18重量%未満に減らす。前記混合物の含水率は通常5重量%より高いまたは8重量%より高い。前記水分の除去は加熱によって行うことができ、例えば加熱温度は50-90℃であってよく、好ましくは60-80℃である。
【0127】
一つの好ましい実施態様において、前記プレスは120-220℃の温度下および/または1-6MPaの圧力下で行われる。
【0128】
共重合体Aがそのアンモニウム塩形態のカルボキシ基を有する場合、カルボキシ基のアンモニウム塩はプレスの条件下で再びカルボキシ基に分解する。
【0129】
接着剤の用途
【0130】
最後に、本発明はまた本発明の接着剤の、人工ボード、紙、布または塗料の調製おける用途に関する。
【0131】
本発明の共重合体Aを含む接着剤は、安全で、環境に優しく、ホルムアルデヒドなど有毒で有害な物質の放出がなく、塗布が簡単でかつコストが低く、同時に本発明の接着剤の性能が優れており、特別に人工ボード、紙、布または塗料の製造、特にリグノセルロースベースの人工ボードの製造、に適しており、そして本発明の接着剤を用いて製造した製品は優れた機械的特性および耐水性を有する。
【実施例
【0132】
以下、本発明の技術的解決策を本発明の具体的な実施例と併せてさらに説明するが、これらは本発明の保護範囲を限定するものとして理解されるべきではない。以下に記載する実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明に記載された実施例に基づいて、当業者が創造的な作業なしに提案した他の実施例は、本発明の保護範囲に属するものとする。特に断らない限り、実施例中の%は重量%であり、実施例中の部は質量部である。
【0133】
実施例1:エチレン共重合体体系
【0134】
質量部に基づき、5.8部のエチレン、19.6部の無水マレイン酸、0.3部の架橋剤ジビニルベンゼン、300部のベンゼンおよび0.5部のアゾビスイソブチロニトリルをオートクレーブ内で混合し、溶解し、70Cに昇温し、6時間反応した。生成物を遠心分離で分離し、ベンゼンで洗浄し、乾燥して、得られた粉末状生成物は架橋されたエチレン-無水マレイン酸共重合体であり、そのうち無水マレイン酸単位の質量分率は約78%であった。
【0135】
10部の当該エチレン-無水マレイン酸共重合体、5部の37%アンモニア水、85部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度10%のエチレン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と均一に混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は8部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃下で乾燥し、水分を含水率15%まで除去した。
【0136】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレスの温度は170℃であり、圧力は0.4MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さ3mmのパーティクルボードを得た。
【0137】
実施例2:(N-ブテン共重合体体系)
【0138】
質量部に基づき、11.2部のn-ブテン、19.6部の無水マレイン酸、0.4部の架橋剤エチレングリコールジメタクリレート、300部の酢酸イソアミルおよび0.7部のアゾビスイソブチロニトリルをオートクレーブ内で混合し、溶解し、70Cに昇温し、6時間反応した。生成物を遠心分離で分離し、洗浄し、乾燥して、得られた粉末状生成物は架橋されたn-ブテン-無水マレイン酸共重合体であり、そのうち無水マレイン酸単位の質量分率は約64%であった。
【0139】
10部の当該n-ブテン-無水マレイン酸共重合体、5部の37%アンモニア水、85部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度10%のn-ブテン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と均一に混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は8部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃下で乾燥し、水分を含水率10%まで除去した。
【0140】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は160℃であり、圧力は0.8MPaであり、ホットプレス時間は12分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0141】
実施例3:(イソブチレン共重合体体系)
【0142】
質量部に基づき、11.2部のイソブチレン、19.6部の無水マレイン酸、0.4部の架橋剤エチレングリコールジメタクリレート、300部の酢酸イソアミルおよび0.6部のアゾビスイソブチロニトリルをオートクレーブ内で混合し、溶解し、70Cに昇温し、6時間反応した。生成物を遠心分離で分離し、洗浄し、乾燥して、得られた粉末状生成物は架橋されたイソブチレン-無水マレイン酸共重合体であり、そのうち無水マレイン酸単位の質量分率は約64%であった。
【0143】
10部の当該イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、5部の37%アンモニア水、85部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度10%のイソブチレン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と均一に混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は8部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率15%まで除去した。
【0144】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は170℃であり、圧力は0.4MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0145】
図1の下から上までのそれぞれは、1:架橋されたイソブチレン-無水マレイン酸共重合体の赤外線スペクトル、2:アミック酸に転換された共重合体の赤外線スペクトル、3:ホットプレス後の共重合体の赤外線スペクトルであり、そのうち、
曲線1:1858cm-1、1778cm-1の処は無水物上の2つのカルボニルのC=O伸縮振動ピークであり、
曲線2:1661cm-1の処はアミドのC=O伸縮振動ピークであり、1557cm-1の処はカルボン酸塩のC=O振動ピークであり、元の無水物基の特徴的なピークは基本的に消失し、
曲線3:1778cm-1、1715cm-1の処は環状イミドの特徴的なピークである。
【0146】
実施例4:(1-ペンテン共重合体体系)
【0147】
質量部に基づき、14部の1-ペンテン、19.6部の無水マレイン酸、0.3部の架橋剤ジビニルベンゼン、300部の酢酸イソアミルおよび0.7部のアゾビスイソブチロニトリルを、混合し、溶解し、系内を窒素で20分間ベントした後、70℃で6時間反応した。生成物を遠心分離し、洗浄し、乾燥し、白色粉末形態の架橋された1-ペンテン-無水マレイン酸共重合体を得、共重合体中の無水マレイン酸モノマー単位の質量分率は58%であった。
【0148】
20部の当該1-ペンテン-無水マレイン酸共重合体、10部の37%アンモニア水、70部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度20%の1-ペンテン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)を混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は12部であり、均一に混合し、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率20%まで除去した。
【0149】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は180℃であり、圧力は1MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0150】
実施例5:(1-デセン共重合体体系)
【0151】
質量部に基づき、28部の1-デセン、19.6部の無水マレイン酸、0.3部の架橋剤ジビニルベンゼン、300部の酢酸イソアミルおよび0.7部のアゾビスイソブチロニトリルを、混合し、溶解し、系内を窒素で20分間ベントした後、70℃で6時間反応した。生成物を遠心分離し、洗浄し、乾燥し、白色粉末形態の架橋1-デセン-無水マレイン酸共重合体を得、共重合体中の無水マレイン酸モノマー単位の質量分率は41%であった。
【0152】
20部の当該1-デセン-無水マレイン酸共重合体、10部の37%アンモニア水、70部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度20%の1-デセン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は12部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率10%まで除去した。
【0153】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は160℃であり、圧力は1MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0154】
実施例6:(1-テトラデセン共重合体体系)
【0155】
質量部に基づき、39.2部の1-テトラデセン、19.6部の無水マレイン酸、0.4部の架橋剤エチレングリコールジメタクリレート、300部の酢酸イソアミルおよび0.7部のアゾビスイソブチロニトリルを、混合し、溶解し、系内を窒素で20分間ベントした後、70℃で6時間反応した。生成物を遠心分離し、洗浄し、乾燥し、白色粉末形態の架橋された1-テトラデセン-無水マレイン酸共重合体を得、共重合体中の無水マレイン酸モノマー単位の質量分率は33%であった。
【0156】
20部の当該1-テトラデセン-無水マレイン酸共重合体、10部の37%アンモニア水、70部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度20%の1-テトラデセン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は12部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率20%まで除去した。
【0157】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は170℃であり、圧力は0.5MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0158】
実施例7:(1-オクタデセン共重合体体系)
【0159】
質量部に基づき、50.4部の1-オクタデセン、19.6部の無水マレイン酸、0.3部の架橋剤ジビニルベンゼン、300部の酢酸イソアミルおよび0.7部のアゾビスイソブチロニトリルを、混合し、溶解し、系内を窒素で20分間ベントした後、70℃で6時間反応した。生成物遠心分離し、洗浄し、乾燥し、白色粉末形態の架橋された1-オクタデセン-無水マレイン酸共重合体を得、共重合体中の無水マレイン酸モノマー単位の質量分率は28%であった。
【0160】
20部の当該1-オクタデセン-無水マレイン酸共重合体、10部の37%アンモニア水、70部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度20%の1-オクタデセン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は12部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率15%まで除去した。
【0161】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は160℃であり、圧力は1MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0162】
実施例8:(混合α-オレフィン共重合体体系)
【0163】
質量部に基づき、4.7部の1-ペンテン、9.3部の1-デセンおよび14.9部の1-ヘキサデセン、0.3部の架橋剤ジビニルベンゼン、19.6部の無水マレイン酸、300部の酢酸イソアミルおよび0.7部のアゾビスイソブチロニトリルを、混合し、溶解し、系内を窒素で20分間ベントした後、70℃で6時間反応した。生成物を遠心分離し、洗浄し、乾燥し、白色粉末形態の混合オレフィン-無水マレイン酸共重合体を得、共重合体中の無水マレイン酸モノマー単位の質量分率は43%であった。
【0164】
20部の当該混合オレフィン-無水マレイン酸共重合体、10部の37%アンモニア水、70部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度20%の混合オレフィン-マレアミック酸共重合体懸濁液を得た(共重合体中のアンモノリシスされた無水マレイン酸モノマー単位のモル分率は99%であった)。当該懸濁液をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は12部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率20%まで除去した。
【0165】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は180℃であり、圧力は1MPaであり、ホットプレス時間は15分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0166】
比較例1
【0167】
質量部に基づき、10部のイソブチレン、17.5部の無水マレイン酸、100部の酢酸イソアミルおよび0.3部のBPOを、混合し、溶解し、系内を窒素で20分間ベントした後、70℃で8時間反応した。生成物を遠心分離し、石油エーテルで三回洗浄し、乾燥し、白色粉末形態のイソブチレン-無水マレイン酸共重合体を得、共重合体中の無水マレイン酸モノマー単位の質量分率は63%であった。
【0168】
10部のイソブチレン-無水マレイン酸共重合体および10部の37%アンモニア水、80部の水を室温で4時間撹拌し、質量濃度10%の粘性液体を得た。当該粘性液体をポプラの木の削り屑(含水率5%、5-10メッシュ)と混合し、100部の削り屑に対して当該共重合体の用量は20部であり、均一に混合して、プレミックスを得た。プレミックスを70℃で乾燥し、水分を含水率10%まで除去した。
【0169】
上述のプレミックスを25cm×25cm×2.5cmのプレス型中に配置し、ホットプレス温度は170℃であり、圧力は0.4MPaであり、ホットプレス時間は12分間であり、厚さが3mmのパーティクルボードを得た。
【0170】
性能試験
【0171】
GB/T4897-2015に従い、実施例1-8および比較例1で得たパーティクルボードについて、内部接着強度、24h吸水厚さ膨張率および耐湿性能(沸騰水で煮た後の内部接着強度)を試験し、結果を下記表6にリストする。
【0172】
【表6】
【0173】
実施例1-8中のパーティクルボードの各項目の性能はすべて国家規格中に湿潤状態下で使用される家具タイプのパーティクルボードに対する要求性能より良好であり、同時に比較例1のパーティクルボードの性能より良好であった。
【0174】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の接着剤中の重合体上のアミド基とカルボキシ基とはプレス条件下で脱水してイミド基を生成することができ、カルボキシ基も脱水して無水物基を生成することができ、得られた無水物基はリグノセルロース材料上のヒドロキシ基と反応してエステルを形成することができ、これは得られた人工ボードの機械的特性および耐水性を向上させることに役立つ、と考えられる。
【0175】
上記は本発明の好ましい実施形態に過ぎない。当業者にとっては、本発明の原理の範囲内でなされたいくつかの改良および変更も、本発明の保護範囲とみなされるべきであることを指摘する。
図1
【国際調査報告】