(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】機械システムを作動させる方法及び機械システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231213BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20231213BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20231213BHJP
G05B 19/409 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/0481
G05B19/418 Z
G05B19/409 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533947
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2021078090
(87)【国際公開番号】W WO2022117250
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521407957
【氏名又は名称】ユナイテッド グラインディング グループ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】UNITED GRINDING GROUP AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ プルス
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ディエルガルト
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス コーンレイン
【テーマコード(参考)】
3C100
3C269
5E555
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100BB13
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5E555FA00
(57)【要約】
発明は、複数の機械(2)を備える機械システム(1)を作動させる方法に関する。前記機械(2)は、特に、数値制御(NC)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システムを有する工作機械装置であり、機械システム(1)のコンピューティングシステム(3)に接続される。機械システム(1)はさらに、機械(2)の情報を提示するヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)と、及び少なくとも1つの操作者検出ユニット(6;7)と、を備える。前記操作者検出ユニット(6;7)は、機械(2)の付近にいる且つ/又は歩いて機械(2)を通り過ぎている機械操作者(4)を検出し、また操作者行動データ(5)を収集する。操作者検出ユニット(6;7)は、収集された操作者行動データ(5)をコンピューティングシステム(3)に送り、コンピュータシステムは、操作者行動データ(5)に基づいて機械操作者(4)に提示すべき情報を選択し、また、その情報を提示するようヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)のうちの少なくとも1つを選択する。最後に、それに対応したヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)は、選択された情報を提示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機械(2)、特に、数値制御(NC)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システムを有する工作機械装置を備える機械システム(1)を作動させる方法であり、前記機械(2)は、前記機械システム(1)のコンピューティングシステム(3)に接続され、前記機械システム(1)は、前記機械(2)の情報を提示するヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)と、及び少なくとも1つの操作者検出ユニット(6;7)と、を備える、方法であって、
前記操作者検出ユニット(6;7)は、前記機械(2)の付近にいる且つ/又は前記機械(2)を歩いて通り過ぎている機械操作者(4)を検出し、また操作者行動データ(5)を収集し、
前記操作者検出ユニット(6;7)は、収集された前記操作者行動データ(5)を前記コンピューティングシステム(3)に送り、
前記コンピューティングシステム(3)は、前記操作者行動データ(5)に基づいて前記機械操作者(4)に提示すべき情報を選択し、且つ前記情報を提示するよう前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)のうちの少なくとも1つを選択し、また
選択された前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)は、選択された前記情報を提示する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記機械(2)は、前記コンピューティングシステム(3)のミドルウェアオペレーティングシステムに統合されている、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)は、前記選択された情報を表示するように構成されたパネル(8;10)、及び/又は、前記選択された情報が再生されるように構成されたスピーカー(9;11)である、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって、前記操作者検出ユニット(6;7)によって前記操作者(4)が検出されない領域に位置する前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)が、スタンバイモードにされる、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、前記操作者検出ユニット(6;7)は、近接センサ(7)、カメラ(6)、無線通信ユニット及び/又は無線周波数識別ユニットを含む、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、前記操作者行動データ(5)は、前記操作者(4)の識別、前記操作者(4)の位置、前記操作者(4)の速度、前記操作者(4)の身体運動方向、前記操作者(4)の現在の業務内容に関する情報、前記操作者(4)の集中度、前記操作者(4)の注目焦点及び/又は前記操作者(4)のバイタルサインを含む、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法であって、前記コンピューティングシステム(3)によって前記操作者行動データ(5)が記憶され、前記操作者行動データ(5)から操作者行動習慣が決定され、前記操作者行動習慣に基づいて、前記操作者(4)に提示すべき情報の選択も実行される、方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法であって、前記機械操作者(4)に提示すべき、前記選択された情報は、前記機械(2)の状態情報、製造工程情報、前記機械(2)で実行しなければならないタスク、前記機械(2)で将来実行しなければならないタスク、及び/又は警報メッセージの中から選択される、方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法であって、前記選択された情報を前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)に提示することに加え、前記コンピューティングシステム(3)は、特に前記選択された情報が緊急且つ/又は重要なタスク及び/又は警報である場合に、前記選択された情報を前記操作者(4)に警告する警告をトリガする、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記警報は、視覚的、音響的、及び/又は触覚的であり、例えば、光信号、警告音又は振動によるものである、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法であって、前記情報を提示するように選択された前記少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)は、前記操作者(4)の付近にある前記機械(2)に又は前記機械(2)の近くに配置された一次ヒューマンマシンインターフェース(8;9)、及び/又は、前記操作者(4)に割り当てられた二次的な携帯型ヒューマンマシンインターフェース(10;11)である、方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法であって、前記情報の提示は、特定の前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)に応じて適合され、前記情報は、前記操作者(4)の識別及び/又は前記操作者(4)の前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)までの距離に基づいて提示される、方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法であって、前記操作者(4)に提示される前記情報が実行すべきタスクである場合、前記操作者(4)は、前記タスクを実行すると共に、前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)を用いて前記タスクの完了を確認し、又は前記ヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)を使用して、前記タスクが完了していない理由を入力する、方法。
【請求項14】
複数の機械(2)、特に、数値制御(NC)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システムを有する工作機械装置と、
前記機械(2)に接続されるコンピューティングシステム(3)と、
前記機械(2)の情報を提示するヒューマンマシンインターフェース(8;9;10;11)と、及び
前記機械(2)の付近にいる且つ/又は歩いて前記機械(2)を通り過ぎている機械操作者(4)を検出し、また操作者行動データ(5)を収集する、少なくとも1つの操作者検出ユニット(6;7)と、
を備える機械システム(1)であって、
前記機械システム(1)は、請求項1~13のいずれかに記載の方法にしたがって作動する、機械システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機械を備える機械システムを作動させる方法、及び、複数の機械を備える機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1人の操作者によって、複数の機械を備える機械システムを操作するには、機械システムと操作者との間の相互作用が必要である。
【0003】
一例として、特許文献1は、処理機械の制御コンピュータのグラフィカルユーザインターフェース上に、現在のタスクリストを表示するための方法を開示している。リリースリストに列挙されているタスクリストが呼び出されると、制御コンピュータ上で実行中のタスクのみが表示される。リリースリストには、動的に監視される所定の選択基準に応じてリリースされるタスクのみが列挙される。
【0004】
別の例として、特許文献2は、ユーザから入力されたユーザ認識情報を読み取るためのユーザ情報認識装置を開示している。ユーザ情報を記憶するために、外部記憶装置が使用される。外部記憶装置に記憶されているユーザ情報が読み取られ、ユーザ認識装置から認識されたユーザ認識情報が、外部記憶装置に記憶されているユーザ情報と比較されることによって、ユーザが利用許可を有するか否かを判定する。ユーザが使用権を有すると判定されると、外部記憶装置に記憶されているユーザインタフェース構成情報が検索され、ユーザ毎に指定された工作機械モデルに対応するヒューマンマシンインターフェース機能モジュールが、ユーザインタフェース構成情報に従って構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009002136号明細書
【特許文献2】韓国特許出願第20090059693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、機械と操作者との間の相互作用は、依然として厳格な規則によって支配されている。
【0007】
本発明の目的は、機械システムと操作者との間の改善された相互作用を特徴とする、複数の機械を備える機械システムを作動させる方法を提供することである。本発明の別の目的は、機械システムと操作者との間の改善された相互作用を可能にする、複数の機械を備える機械システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。
【0009】
本発明の一実施態様では、複数の機械を備える機械システムを作動させる方法が提供される。上記機械は、任意の種類の生産機械であってもよく、特に、数値制御(NC)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システムを有する工作機械装置である。
【0010】
機械は、機械システムのコンピューティングシステムに接続される。上記コンピューティングシステムは、セントラルコンピューティングシステム又は分散コンピューティングシステム、例えばクラウドシステムであってもよい。また、コンピューティングシステムは、機械のうちの1つのコンピューティングユニット、又はいくつかの機械のコンピューティングユニットのネットワークであってもよい。コンピューティングシステムは、機械を制御してもよく、エラーメッセージ又は警告などのメッセージを機械から受け取ってもよい。
【0011】
機械システムはさらに、機械の情報を提示するヒューマンマシンインターフェースと、少なくとも1つの操作者検出ユニットと、を備える。上記操作者検出ユニットは、機械の付近にいる且つ/又は歩いて機械を通り過ぎている機械操作者を検出する。操作者検出ユニットは、機械システムの機械に割り当てられてもよいが、機械同士の間に配置されてもよく、又は機械の上方の天井に取り付けられてもよい。
【0012】
操作者検出ユニットは、操作者行動データを収集し、収集された操作者行動データをコンピューティングシステムに送る。コンピューティングシステムは、操作者行動データに基づいて機械操作者に提示すべき情報を選択し、また、その情報を提示するようヒューマンマシンインターフェースのうちの少なくとも1つを選択する。選択された情報は、操作者に関連する機械システムについての任意の情報、例えば、機械システム及び/又は機械システムで実行しなければならないタスクについて操作者に逐次知らせる情報であってもよい。選択は、機械システムが最も効率的に作動されるように、例えば、製造速度が最大化されるように又は製造コストが最小化されるように、操作者行動データに基づく。一例として、選択基準は、操作者までの距離が最短である機械が最初に保守点検されるような、操作者からメンテナンスを必要とする機械までの距離であってもよい。さらに、上記情報を提示するヒューマンマシンインターフェースの選択は、操作者からヒューマンマシンインターフェースまでの距離、操作者に対するヒューマンマシンインターフェースの視認性、又は、情報を提示するヒューマンマシンインターフェースの適切性に基づいてもよく、例えば、スピーカーは、図表を提示するのに適切ではない。この選択に基づいて、選択されたヒューマンマシンインターフェースは、選択された情報を提示する。
【0013】
操作者に提示すべき情報、及びその情報を提示するヒューマンマシンインターフェースは、操作者の行動データに基づいて選択されるので、機械システムと操作者との間に良好な相互作用が存在する。そのため、機械システムは、操作者がより効率的に作動できるように、したがって、機械システムが最も効率的に作動できるように、操作者に提示すべき情報を選択することができる。
【0014】
一例において、機械は、コンピューティングシステムのミドルウェアオペレーティングシステムに統合される。このように、機械とコンピューティングシステムとの間の通信は高速であり、コンピューティングシステムから機械を指定することは容易である。
【0015】
一例において、ヒューマンマシンインターフェースは、選択された情報を表示するように適合されたパネルである。パネルは、例えば数単語等の単純な情報、及び、例えばチャート又はグラフ等の複雑な情報の両方を表示してもよい。上記パネルは、操作者がパネルを介してフィードバックを提供できるようなタッチディスプレイであってもよい。付加的又は代替的に、ヒューマンマシンインターフェースは、選択された情報が再生されるように適合されたラウドスピーカーであってもよい。スピーカーを介して情報を再生することは、操作者が情報を受け取っている間、表示装置を見る必要がないという利点を有する。
【0016】
一例では、操作者検出ユニットによって操作者が検出されない領域に位置するヒューマンマシンインターフェースが、スタンバイモードにされる。これにより、エネルギーが節約され、ヒューマンマシンインターフェースの寿命が延びる。
【0017】
一例において、操作者検出ユニットは、近接センサ、カメラ、無線通信ユニット及び/又は無線周波数識別ユニットを備える。近接センサは、操作者の接近を感知するものであり、したがって、好ましくは、操作者の機械への接近が検出されるように、機械に又は機械の近くに配置される。カメラは、機械に又は機械の近くに配置されてもよいが、より中央に、例えば天井に配置されてもよい。特に、広角カメラは、広い領域をカバーすることができる。無線通信ユニットは、操作者によって携帯又は装着される無線通信装置を備えてもよい。操作者の位置は、例えば、無線通信装置と1つ又は複数の無線トランシーバーとの間の信号強度によって決定されてもよい。同様に、無線周波数識別ユニットが、操作者によって携帯又は装着される無線周波数識別タグと、対応する無線周波数識別リーダと、を備えてもよい。特に、機械の付近にいる且つ/又は歩いて機械を通り過ぎている機械操作者を検出するために、操作者検出ユニットのいくつかの部分、例えば、機械の付近に人がいることを感知するための近接センサ、及び上記人を識別するための無線通信デバイスからの入力が使用される。
【0018】
一例において、操作者行動データは、操作者の識別、操作者の位置、操作者の速度、操作者の身体運動方向、操作者の現在の業務内容に関する情報、操作者の集中度、すなわち、操作者の注意制御、操作者の注目焦点、及び/又は操作者のバイタルサインを含む。操作者の識別は、例えば、操作者によって携帯又は装着される無線通信装置又は無線周波数識別タグを識別することによって実行されてもよい。また、操作者は、カメラ画像に基づく画像認識によって識別されてもよい。操作者の位置は、近接センサに対する操作者の近接度に基づいて、無線通信及び/又は無線周波数識別信号の信号強度に基づいて、あるいは操作者を示す画像の分析に基づいて決定されてもよい。操作者の速度は、操作者の位置の時系列及び対応する差分商から決定されてもよい。操作者の身体の動き、操作者の集中度及び/又は操作者の注目焦点の方向は、カメラ画像の分析に基づいて決定されてもよい。操作者の現在の業務内容は、カメラ画像の分析に基づいて、又は操作者が現在作業している機械からのフィードバックを介して決定されてもよい。最後に、操作者のバイタルサインは、例えば、操作者によって装着される活動量計によって決定されてもよい。
【0019】
一例において、操作者行動データは、コンピューティングシステムによって、特に不揮発性メモリに記憶される。操作者行動習慣は、例えば、現象モデル又は人工知能によって、操作者行動データから決定される。現象モデルは、入力としての所定の操作者経路と、経路の特定の部分をカバーするのに必要な適切な時間と、操作者行動データに基づいて機械でタスクを完了するのに必要な時間と、を有してもよい。また、人工知能モデルは、利用可能な操作者行動データを用いて訓練されてもよい。その結果、操作者の行動習慣は、操作者がある機械から次の機械に移動するのに必要な時間、機械で特定のタスクを実行するのに必要な時間、操作者が作業を開始及び停止する時点、並びに/又は、休憩時点及び期間についての情報を含んでもよい。また、操作者に提示すべき情報の選択も、機械システムが最も効率的に作動されるように、決定された操作者の行動習慣に基づいて実行される。選択を行うために、決定された操作者行動習慣に基づいて操作者行動の予測を行ってもよく、また、操作者に提示すべき情報の効果をモデル化してもよい。次いで、操作者に提示すべき情報、及び、機械システムの最も効率的な操作をもたらすようその情報が提示されるヒューマンマシンインターフェースが選択される。一例として、操作者が休憩のために立ち去る前に、操作者が機械を保守点検でき、且つ、操作者が休憩を取っている間に機械が操作を続行できるような保守点検警告を操作者に提示することが、最も効率的である可能性がある。
【0020】
一例において、機械操作者に提示すべき選択される情報は、機械のステータス情報、製造プロセス情報、機械で実行しなければならないタスク、将来機械で実行しなければならないタスク、及び/又は警報メッセージの中から選択される。上記選択は、例えば、情報の重要度、情報の緊急度、及び/又は操作者が所与の時間内に理解できる情報の数に従って行われる。
【0021】
一例において、選択された情報をヒューマンマシンインターフェースで提示することに加えて、コンピューティングシステムは、特に選択された情報が緊急且つ/又は重要なタスク及び/又は警報である場合、選択された情報を操作者に警告する警告をトリガする。上記警告は、操作者の注意を選択された各情報に向けるように適合されている。
【0022】
一例において、警報は、視覚的、音響的、及び/又は触覚的であり、例えば、光信号、警報音、又は振動によるものである。上記光信号は点滅光であってもよく、警告音は、1つ又はいくつかの音符を含む音であってもよい。特に、警告はコード化されてもよく、例えば、光信号の特定の色又は警告音の特定の一連の音符が、異なるレベル又はタイプの警告に対応できるようにコード化されてもよい。触覚アラートは、スマートフォン又はスマートウォッチ等の、操作者によって携帯又は装着されるヒューマンマシンインターフェースによって生成されてもよい。
【0023】
一例において、情報を提示するように選択された少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースは、操作者の付近にある機械に又は機械の近くに配置された一次ヒューマンマシンインターフェースである。上記ヒューマンマシンインターフェースは、各機械に直接取り付けられてもよく、又は機械の前方又は隣接のスタンドに取り付けられてもよい。また、情報を提示するために選択された少なくとも1つのヒューマンマシンインターフェースは、操作者に割り当てられた二次的な携帯型ヒューマンマシンインターフェースであってもよい。上記二次的な携帯型ヒューマンマシンインターフェースは、例えば、パネルとラウドスピーカーの両方を含むスマートフォン、スマートウォッチ、又はヘッドセットであってもよい。特に、ヒューマンマシンインターフェースのうちの1つが一次ヒューマンマシンインターフェースであってもよく、ヒューマンマシンインターフェースのうちの別の1つが二次ヒューマンマシンインターフェースであってもよい。一例として、操作者は、二次ヒューマンマシンインターフェースによって警告されてもよく、警告に関するより多くの情報が一次ヒューマンマシンインターフェース上に提示される。
【0024】
一例において、情報の提示は、情報が提示される特定のヒューマンマシンインターフェース、操作者の身分、及び/又は操作者のヒューマンマシンインターフェースまでの距離に応じて適合化される。例えば、小型ディスプレイ上で又はヘッドセットを介して、特定の機械が保守点検を必要とするという情報が提示されてもよく、一方、大型ディスプレイ上で、保守点検の必要性の詳細も表示されてもよい。別の例として、より困難なタスクを実行するために、経験を積んだ操作者が要求されてもよく、一方、経験の浅い操作者は、より多くの経験を積んだ操作者を呼び出すように要求されるだけでもよい。さらに別の例として、保守点検を必要とする機械から操作者が遠く離れている場合、大型パネルは、操作者が遠くから読み取ることができるように、そのような保守点検の必要性を示すいくつかの大きな文字を表示してもよい。操作者が機械に近づくにつれて、文字が小さくなったりしてもよく、より多くの情報が表示されてもよい。
【0025】
一例では、操作者に提示された情報が実行すべきタスクである場合、操作者は、タスクを実行すると共に、ヒューマンマシンインターフェースを用いてタスクの完了を確認する。ヒューマンマシンインターフェースに基づいて、例えば、パネルに隣接するボタンを押してもよく、パネルのタッチスクリーンを使用してもよく、又はヘッドセットのマイクロフォンを介して音声入力を行ってもよい。代替として、操作者は、ヒューマンマシンインターフェースを使用して、タスクが完了していない理由を入力してもよい。後者の場合、コンピューティングシステムは、例えば異なる操作者のために、タスクを再スケジューリングしてもよい。
【0026】
本発明の別の態様では、複数の機械を備える機械システムが提供される。上記機械は、任意の種類の生産機械であってもよいが、特に、数値制御(NC)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システムを有する工作機械装置である。
【0027】
機械システムはさらにコンピューティングシステムを備え、機械はコンピューティングシステムに接続される。上記接続は、有線及び/又は無線接続であってもよい。
【0028】
機械システムはさらに、機械の情報を提示するヒューマンマシンインターフェースと、機械の付近にいる且つ/若しくは歩いて機械を通り過ぎている機械操作者を検出するため、並びに/又は、操作者行動データを収集するための少なくとも1つの操作者検出ユニットと、を備える。上記ヒューマンマシンインターフェースは、機械に割り当てられた一次ヒューマンマシンインターフェース、及び/又は、操作者に割り当てられた二次ヒューマンマシンインターフェースであってもよい。操作者検出ユニットは、機械システムの機械に割り当てられてもよく、機械相互間に配置されてもよく、及び/又は機械の上方の天井に取り付けられてもよい。機械システムは、上記の説明に従って作動する。したがって、機械システムは、機械システムと操作者との間の良好な相互作用を提供し、操作者の作業の効率化を促進し、機械システムを最も効率的に作動させることを可能にする。
【0029】
また、本発明の好ましい実施形態は、従属請求項と各独立請求項との任意の組み合わせであってもよいことを理解されたい。
【0030】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0031】
以下では、本発明の好ましい実施形態が、単なる例として、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3a】ヒューマンマシンインターフェースのある実施形態を示す。
【
図3b】ヒューマンマシンインターフェースの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、複数の機械2を備える機械システム1を示す。機械2は、任意の種類の生産機械であってもよいが、特に、数値制御(NC)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システムを有する工作機械装置である。
【0034】
機械2は、機械システム1のコンピューティングシステム3に接続される。接続は、有線でも無線でもよく、分かり易さのために、本明細書では示されていない。一例として、機械2は、コンピューティングシステム3のミドルウェアオペレーティングシステムに統合されてもよい。
【0035】
また
図1には、例えば、機械における保守点検、メンテナンス又は修理タスクを実行する操作者4と、操作者行動データ5を表す、操作者4が通った経路と、が示されている。操作者の位置のほかにも、操作者行動データ5は、操作者の識別、操作者の速度、操作者の身体運動方向、操作者の現在の業務内容に関する情報、操作者の集中度、すなわち、操作者の注意制御、操作者の注目焦点、及び/又は操作者のバイタルサインを含んでもよい。
【0036】
図2は、機械2の概略正面図を示す。機械2はカメラ6及び近接センサ7を備え、これらは両方とも、操作者行動データ5を収集するために使用される。
【0037】
さらなる操作者検出ユニットとして、無線通信ユニット又は無線周波数識別ユニットを挙げることができるが、分かり易さのために、本明細書では示さない。
【0038】
機械2はさらにパネル8及びスピーカー9を備え、これらは一次ヒューマンマシンインターフェースである。パネル8を介して、操作者4に情報が表示されてもよい。パネル8がタッチスクリーンである場合、操作者4は、例えば完了したタスク又は完了できなかったタスクに関する情報を、パネル8を介して入力してもよい。スピーカー9を介して、操作者4に音響情報が再生されてもよく、且つ/又は、操作者4に重要な情報、警報又はエラーメッセージが警告されてもよい。
【0039】
図3a及び3bは、操作者(4)に割り当てられた二次的な携帯型ヒューマンマシンインターフェースの2つの例を示す。
図3aはスマートフォン10を示し、
図3bはヘッドセット11を示す。スマートフォン10を介して、操作者に情報が表示されてもよく、操作者4は、特定の情報に対する応答を入力してもよい。ヘッドセット11のスピーカー12を介して、操作者4に情報が再生されてもよく、操作者4は、マイクロフォン13を介して応答してもよい。二次的な携帯型ヒューマンマシンインターフェースの他の例として、スマートグラス及びスマートウォッチが挙げられる。
【0040】
一例では、カメラ6、近接センサ7及び他の操作者検出ユニットは、操作者行動データ5を収集し、コンピューティングシステム3に送る。コンピューティングシステム3は、操作者行動データ5を収集して記憶し、操作者行動データ5に基づいて操作者行動習慣を決定する。このような操作者行動習慣は、操作者4がある機械2から次の機械2に移動するのに必要な時間、操作者4が機械2同士の間を辿る経路、操作者4が各機械2で過ごす時間、及び機械2で完了すべき特定のタスクがある場合に操作者4が必要とする余分な時間、並びに/又は、操作者4が取る休憩時点及び期間などを含んでもよい。
【0041】
操作者行動習慣に、したがって操作者行動データ5に基づいて、コンピューティングシステム3は、操作者4に提示すべき情報、及びその情報を提示するヒューマンマシンインターフェースを選択する。例えば、コンピューティングシステム3は、機械2のうちの1つから、あと15分以内にメンテナンス作業を実行しなければならないという警告を受け取る。この例では、操作者4がたまたまその機械2の付近にいる。コンピューティングシステム3は、操作者の行動習慣に基づいて、操作者4があと1時間は機械2に戻らないと判定する。したがって、コンピューティングシステム3は、タスクを機械2で実行しなければならないことを、スピーカー9を介して操作者4に警告し、必要な保守作業に関する詳細をパネル8に表示する。操作者4は、メンテナンス作業が完了したときに、パネル8上のボタンを押してこれを確認する。
【0042】
本発明は、図面及び上記の説明で詳細に図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、例証的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。
【0043】
開示された実施形態に対する他の変形は、当業者によって、特許請求されている発明を実施する際に、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、理解し且つ達成することができる。特許請求の範囲において、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0044】
<参照符号一覧>
1 機械システム
2 機械
3 コンピューティングシステム
4 操作者
5 操作者行動データ
6 カメラ
7 近接センサ
8 パネル
9 スピーカー
10 スマートフォン
11 ヘッドセット
12 スピーカー
13 マイク
【国際調査報告】