(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】アルミナベースの溶融されたグレイン
(51)【国際特許分類】
C04B 35/119 20060101AFI20231213BHJP
B24D 3/06 20060101ALI20231213BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
C04B35/119
B24D3/06 C
B24D3/00 320A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534222
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2021083832
(87)【国際公開番号】W WO2022122515
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック,ナディア
(72)【発明者】
【氏名】マルラン,サミュエル ノエル パトリス
(72)【発明者】
【氏名】リャン,シュチィォン
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AA03
3C063AB02
3C063AB07
3C063BA02
3C063BB03
3C063BB06
3C063BB19
3C063BC03
3C063BC05
3C063BD01
3C063CC08
3C063FF23
3C063FF30
(57)【要約】
酸化物に基づく重量パーセンテージとして、以下の化学組成を有する溶融されたグレイン:ZrO2+HfO2:2%~13%;ZrO2、HfO2、Y2O3及びAl2O3以外の要素:≦2%;Y2O3+Al2O3:100%までの残部;ここで、0.0065≦Y2O3/(ZrO2+HfO2)≦0.1300である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物に基づく重量パーセンテージとして、以下の化学分析結果を有する溶融されたグレイン:
ZrO
2+HfO
2:≧2%且つ<10%;
ZrO
2、HfO
2、Y
2O
3及びAl
2O
3以外の要素:≦2%;
Y
2O
3+Al
2O
3:100%までの残部;
ここで、0.0065≦Y
2O
3/(ZrO
2+HfO
2)≦0.1300である。
【請求項2】
3%<ZrO
2+HfO
2、及び/又は、
0.0100<Y
2O
3/(ZrO
2+HfO
2)<0.1000、及び/又は、
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの総含有量が、ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとして、30%超且つ95%未満である、及び/又は、
炭素含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、30ppm超且つ0.15%未満である、
請求項1に記載の溶融されたグレイン。
【請求項3】
4%<ZrO
2+HfO
2、及び/又は、
0.0150<Y
2O
3/(ZrO
2+HfO
2)<0.080、及び/又は、
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの総含有量が、ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとして、40%超且つ80%未満である、及び/又は、
炭素含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、30ppm超且つ0.1%未満である、
請求項2に記載の溶融されたグレイン。
【請求項4】
5%<ZrO
2+HfO
2<9%、及び/又は、
0.0170<Y
2O
3/(ZrO
2+HfO
2)、及び/又は、
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの総含有量が、ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとして、50%超且つ70%未満である、及び/又は、
炭素含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、30ppm超且つ0.08%未満である、
請求項3に記載の溶融されたグレイン。
【請求項5】
立方晶ジルコニアを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の溶融されたグレイン。
【請求項6】
ZrO
2、HfO
2、Y
2O
3及びAl
2O
3以外の要素の含量が1.0%未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の溶融されたグレイン。
【請求項7】
ZrO
2、HfO
2、Y
2O
3及びAl
2O
3以外の該要素が不純物である、請求項6に記載の溶融されたグレイン。
【請求項8】
Na
2O<0.3%、SiO
2<0.3%、TiO
2<0.2%、Fe
2O
3<0.3%、MgO<0.2%及びCaO<0.2%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の溶融されたグレイン。
【請求項9】
炭素含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、80ppm超である、請求項1~8のいずれか1項に記載の溶融されたグレイン。
【請求項10】
TiO
2の含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、0.2%未満である、請求項1~9のいずれか1項に記載の溶融されたグレイン。
【請求項11】
重量パーセンテージとして80%超の、請求項1~10のいずれか1項に記載のグレインを含む、グレインの混合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の溶融されたグレインの混合物を製造する方法であって、
a) 原材料を混合して、供給材料を形成すること、
b) 溶融材料が得られるまで前記供給材料を溶融すること、
c) 前記溶融材料が3分未満で完全に固化されるように該溶融材料を固化させること、
d) 任意的に、特に工程c)によりグレインが得られない場合に、前記固化物を粉砕して、グレインの混合物を得ること、
e) 任意的に、粒径選択を実施すること
の連続工程を含む、前記方法。
【請求項13】
結合剤によって結合され、支持体上に結合又は堆積されたグレインを含む研磨ツールであって、前記グレインの少なくとも一部が請求項1~10のいずれか1項に記載のグレインである、前記研磨ツール。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載のグレインを80%超含む、請求項13に記載の研磨ツール。
【請求項15】
砥石、ベルト、又はディスクの形である、請求項13又は14に記載の研磨ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融されたグレイン(fused grain)、特に、砥粒(abrasive grain)としての用途の為の溶融されたグレイン、に関する。本発明はまた、該グレインの混合物に関し、及びまた、本発明に従うグレインの混合物を含む研磨ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
研磨ツール(Abrasive tool)は一般的に、それらの組成物中に取り込まれるグレインを形成する方法に従って、下記の通りに分類される:遊離研磨剤(噴霧又は懸濁した状態で使用、支持体なし)、研磨布紙(coated abrasive)(布又は紙タイプの支持体に、グレインが数層にわたって配置されている)、及び固定砥粒(bonded abrasive)(丸形砥石(griding wheel)、棒等の形態)。後者の場合、砥粒は、有機質又はガラス質の結合剤(この場合、本質的にケイ酸塩化されている酸化物から構成されている結合剤)と共に圧縮される。これらのグレインは、それら自体が、研磨の際に良好な研磨機械的特性を有し、且つ結合剤との良好な機械的接着(接触面の持続性)をもたらさなければならない。
【0003】
これらの砥粒のうちで、異なる微細構造を有する、溶融鋳造された(fused cast)グレインと焼結されたグレインとは区別される。従って、焼結されたグレイン及び溶融鋳造されたグレインによって引き起こされる問題、並びにそれらの問題を解決する為に採用される技術的解決法は、一般的に異なる。従って、溶融鋳造されたグレインを製造する為に開発される組成物は、同じ特性を有する焼結されたセラミックグレインを製造する為に、先験的に使用可能ではなく、その逆も同様である。
【0004】
砥石又は研磨ベルトの製造において一般的に使用されるアルミナベースの溶融されたグレインは、行き当たる適用タイプ及び研磨状況(regime)に応じて、2つの主要カテゴリー、即ち溶融アルミナ-ジルコニアグレイン及び溶融アルミナグレイン、を組み合わせる。
【0005】
溶融アルミナ-ジルコニアグレインは、米国特許第3,181,939号明細書から既知であり、該特許は、10%~60%のジルコニアを含み、残部がアルミナ及び不純物である、溶融アルミナ-ジルコニアグレインを記載している。米国特許第4,457,767号明細書は、共晶組成物に近い組成を有する溶融アルミナ-ジルコニアグレインであって、ジルコニアの量が40重量%に近く、且つ2%までのイットリウム酸化物を含みうる、該溶融アルミナ-ジルコニアグレインを記載している。
【0006】
溶融アルミナ-ジルコニアグレインと比べて、溶融アルミナグレインは、より優れた有効性(研磨された物質の量に対する、グレインの消耗量)、及び低圧での使用の為又は仕上げ用途の為の、より優れたエネルギー効率、を有する。一般的に、この性能は、それらの特有の微細構造で説明がついており、該微細構造は、破砕をもたらし、従って、溶融アルミナ-ジルコニアグレインの場合よりも低い応力下での、切れ刃の数の維持をもたらす。さらに、溶融アルミナグレインは、溶融アルミナ-ジルコニアグレインより安価である。従って、特定の適用において、アルミナグレインに関して、特には低い物質除去率について、特には仕上げ操作について、コストと性能の妥協点を見付けることが、より良いとみなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アルミナグレインの性能、特には有効性及びエネルギー効率、を向上させることが、引き続き必要とされている。
【0008】
本発明の一つの目的は、この必要に、少なくとも部分的に取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従うと、この目的は、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、以下の化学分析結果を有する溶融されたグレインによって達成される:
ZrO2+HfO2:2%~13%;
ZrO2、HfO2、Y2O3及びAl2O3以外の要素:≦2%;
Y2O3+Al2O3:100%までの残部;
ここで、0.1300≧Y2O3/(ZrO2+HfO2)≧0.0065である。
【0010】
発明の詳細な説明の残りの部分からより詳細に分かる通り、本発明者等は、上記の化学組成を用いると、特には本発明に従うZrO2+HfO2の含有量とY2O3/(ZrO2+HfO2)重量比との組み合わせを用いると、有効性及びエネルギー効率の両方が、既知の溶融アルミナグレインのそれらよりも優れていることを発見した。この理論によって限定されるものでないが、本発明者等は、ZrO2+HfO2及びY2O3の存在にもかかわらず、純粋なアルミナの溶融されたグレインの微細構造と驚くべきことに実質的に同一である微細構造によって、この結果を説明する。
【0011】
本発明に従う溶融されたグレインはまた、以下の任意的な特徴の1つ以上を有することができる:
3%<ZrO2+HfO2<11%、好ましくは4%<ZrO2+HfO2<10%、好ましくは5%<ZrO2+HfO2<9%;
0.0100<Y2O3/(ZrO2+HfO2)<0.1000、好ましくは0.0150<Y2O3/(ZrO2+HfO2)<0.0600、好ましくは0.0170<Y2O3/(ZrO2+HfO2)<0.0300;
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの総含有量が、ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとして、30%超且つ95%未満、好ましくは40%超且つ80%未満、好ましくは50%超且つ70%未満、であること;
炭素含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、50ppm超且つ0.15%未満、好ましくは50ppm超且つ0.06%未満、好ましくは50ppm超且つ0.03%未満、であること;
該溶融されたグレインが、立方晶ジルコニアを含むこと;
ZrO2、HfO2、Y2O3及びAl2O3以外の要素の含有量が、1.0%未満であり;好ましくは、ZrO2、HfO2、Y2O3及びAl2O3以外の該要素が、不純物であること;
Na2O<0.3%、及び/又はSiO2<0.3%、及び/又はTiO2<0.2%、及び/又はFe2O3<0.3%、及び/又はMgO<0.2%、及び/又はCaO<0.2%。
【0012】
本発明はまた、重量パーセンテージとして80%超の、本発明に従う溶融されたグレインを含む、グレインの混合物に関する。
【0013】
本発明はまた、本発明に従う溶融されたグレインの混合物を製造する方法であって、
a)原材料(raw material)を混合して、供給材料(feed stock)を形成すること、
b)溶融材料(molten)が得られるまで該供給材料を溶融する(melting)こと、
c)該溶融材料が3分未満で完全に固化されるように該溶融材料を固化させること、
d)任意的、特に、工程c)によりグレインが得られない場合に、該固体塊を粉砕して、グレインの混合物を得ること、
e)任意的に、粒径選択を実施すること
の連続工程を含む、上記の方法に関する。
【0014】
本発明に従うと、該原材料は、工程c)の最後に得られる該固体塊が、本発明に従うグレインの組成に従う組成を有するように、工程a)で選択される。
【0015】
最後に、本発明は、結合剤によって結合され、且つ例えば砥石の形態で結合されているか又は支持体、例えばベルト若しくはディスク、上に堆積されたグレインを含む、研磨ツールに関し、ここで、このツールは、該グレインの少なくとも一部、好ましくは50%超、好ましくは70%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは全て、が本発明に従っているという点で、注目に値する。該研磨ツールは、特に、ツルーイング砥石、精密砥石、刃砥ぎ砥石、切断砥石、本体から機械加工する為の砥石(grinding wheel for machining from the body)、フェトリング砥石若しくは荒削り砥石、調整砥石、携帯型砥石、鋳物用砥石、ドリル砥石、軸付砥石、シリンダー砥石、コーン砥石、ディスク砥石、若しくはセグメント砥石、又は他の任意のタイプの砥石でありうる。
【0016】
全体として、本発明は、研磨の為の、本発明に従うグレインの使用、特に本発明に従う研磨ツールにおける本発明に従うグレインの使用、に関する。
【0017】
本発明に従うグレインは特に、鋼、特にステンレス鋼、の機械加工の為に推奨される。
【0018】
定義
本発明に従うグレインの酸化物の含有量は、対応する化学元素のそれぞれの総含有量に関し、この産業の標準的慣習に従って、最も安定な酸化物の形態で表されている。従って、前述の元素の亜酸化物及び任意的に窒化物、酸化窒化物、カーバイド、オキシカーバイド、カーボナイトライド、又はさらに金属化学種が含まれる。
【0019】
本出願の文脈内で、HfO2は、ZrO2から化学的に分離できないとみなされる。従って、ジルコニアを含む製品の化学組成において、「ZrO2」又は「ZrO2+HfO2」は、これら2種の酸化物の総含有量を云う。本発明に従うと、HfO2は、該供給材料に故意に添加されない。それ故に、HfO2は、ごく微量の酸化ハフニウムを示し、この酸化物は常に、ジルコニアの供給源中に一般的に2%未満の含有量で、自然に存在する。
【0020】
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの含有量は、実施例に関して後述されているように、溶融されたグレインを粉砕することによって得られる粉末に対するX線回折によって測定される。
【0021】
語「不純物」は、原材料と共に必然的に導入される、不可避の構成物を意味する。特に、酸化物、窒化物、酸化窒化物、カーバイド、オキシカーバイド、カーボナイトライド、並びにナトリウム及び他のアルカリ金属、鉄、及びバナジウムといった金属化学種の群に属する化合物は、不純物である。例として、Fe2O3又はNa2Oが言及されうる。HfO2は不純物とみなされない。
【0022】
酸化物の「前駆体」は、本発明に従うグレイン又はグレインの混合物の製造中に該酸化物を提供することができる構成物を意味すると理解される。
【0023】
「グレイン」は、全ての寸法が20mm未満である粒子である。
【0024】
「溶融されたグレイン」又はより幅広く「溶融された製品」は、溶融材料を冷却によって固化することにより得られる、固体グレイン(又は製品)を意味すると理解される。
【0025】
「溶融材料」は、若干の固体粒子を、該粒子(them)が塊に構造を与えることができる為には不十分な量で含みうる、供給材料を、加熱することによって液体にされた、該塊である。溶融材料は、その形状を保持する為に、容器内に含まれなければならない。本発明に従う酸化物に基づく溶融された製品は、1900℃超の温度で溶融することによって慣用的に得られる。
【0026】
粉末の「メジアン径」とは、その粒子を、重量が等しい第1の集団と第2の集団とに分けるサイズを意味し、これらの第1及び第2の集団は、該メジアン径以上のサイズ又はそれぞれ該メジアン径未満のサイズを有する粒子だけを含んでいる。粉末のメジアン径は、レーザー粒子径測定装置を用いて作成される粒径分布を用いて、決定されることができる。
【0027】
本明細書において、別段言及されない限り、グレインの全ての組成は、該グレインの酸化物の総重量に対する重量パーセンテージとして、与えられる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、例示目的で提供され、本発明を制限するものでない。
【0029】
溶融されたグレイン
本発明に従う溶融されたグレインの、好ましくは本発明に従うグレインの混合物の、化学組成は好ましくは、以下の任意的な特徴の1つ以上を有する:
ZrO2+HfO2の含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは3%超、好ましくは4%超、好ましくは5%超、且つ好ましくは12%未満、好ましくは11%未満、好ましくは10%未満、好ましくは9%未満、であること。本発明者等が、ZrO2+HfO2の含有量が15%超であるグレインが、本発明に従うグレインのものとは異なる微細構造を有すること、即ち、アルミナグレイン間に位置する共晶相の量が多く、そのことが、該グレインの使用中に該グレインの破砕状況(regime)を改変するのに役立つことを、発見したこと。該好ましいZrO2+HfO2範囲が、該グレインのコストと性能の最も優れた妥協案に相当すること;
HfO2含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、及び/又は0.02%超であること、
重量比Y2O3/(ZrO2+HfO2)が、好ましくは0.0070超、好ましくは0.0080超、好ましくは0.0090超、好ましくは0.0100超、好ましくは0.0110超、好ましくは0.0120超、好ましくは0.0150超、好ましくは0.0170超、好ましくは0.0180超、好ましくは0.0190超、且つ好ましくは0.1200未満、好ましくは0.1000未満、好ましくは0.0800未満、又は0.0600未満、又は0.0500未満、又は0.0400未満、又は0.0300未満、又は0.0250未満、であること;
ZrO2、HfO2、Y2O3及びAl2O3以外の要素の含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは1.8%未満、好ましくは1.5%未満、好ましくは1.2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.8%未満、好ましくは0.5%未満、であること;
ZrO2、HfO2、Y2O3及びAl2O3以外の該要素が、好ましくは不純物であること;
Na2O含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.08%未満、好ましくは0.05%未満、であること;
SiO2含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.08%未満、好ましくは0.05%未満、であること;
TiO2含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.13%未満、好ましくは0.12%以下であること;
Fe2O3含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.08%未満、好ましくは0.05%未満、であること;
MgO含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.08%未満、及び/又は0.05%超であること;
CaO含有量が、酸化物に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは0.2%未満、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.08%未満、及び/又は0.05%超であること;
酸化物の含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、98%超、好ましくは99%超、好ましくは99.4%超、好ましくは99.5%超、好ましくは99.6%超、好ましくは99.7%超、であること;
炭素含有量が、該溶融されたグレインの重量に基づく重量パーセンテージとして、30ppm超、好ましくは50ppm超、好ましくは80ppm超、及び/又は、好ましくは0.15%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.08%未満、好ましくは0.06%未満、好ましくは0.05%未満、好ましくは0.04%未満、好ましくは0.03%未満、であること。
【0030】
本発明に従う溶融された粒子の結晶相は好ましくは、以下の任意的な特徴の1つ以上を有する:
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの総含有量が、ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとして、好ましくは30%超、好ましくは40%超、好ましくは50%超、好ましくは55%超、好ましくは60%超、及び/又は好ましくは95%未満、好ましくは90%未満、好ましくは85%未満、好ましくは80%未満、好ましくは75%未満、好ましくは70%未満、であること;
該ジルコニアが、少なくとも部分的に立方形態であること。
【0031】
理論的に説明できないものの、本発明者等は、これらの結晶学的特徴が有利であることを見出した。
【0032】
本発明に従う溶融されたグレインは、アルミナ結晶から実質的に構成された微細構造を有し、該結晶は、ZrO2及びY2O3が位置している境界によって隔てられている。好ましくは、Al2O3、ZrO2及びY2O3以外の要素は、該境界中に実質的に全体的に位置している。
【0033】
好ましくは、アルミナ結晶の平均サイズは、50μm未満、好ましくは40μm未満、好ましくは30μm未満、好ましくは25μm未満、若しくは20μm未満、及び/又は好ましくは3μm超、好ましくは4μm超、である。
【0034】
本発明に従う溶融されたグレインのアルミナ結晶の平均サイズを小さくする為に、本発明に従う方法の工程c)において、溶融材料を完全に固化させるのに必要な時間を短縮することが可能である。
【0035】
グレインの混合物
本発明に従うグレインの混合物は、重量パーセンテージとして、好ましくは85%超、好ましくは90%超、好ましくは95%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、の本発明に従う溶融されたグレインを含む。
【0036】
好ましくは、本発明に従うグレインの混合物は、FEPA規格43-GB-1984、R1993及びFEPA規格42-GB-1984、R1993によって提供される混合物又はグリットの粒径分布に一致する粒径分布を満たす。
【0037】
好ましくは、本発明に従うグレイン混合物は、Ro-Tap(登録商標)ふるい振とう機を用いて測定された場合に、1%未満が、16mmふるい上、好ましくは9.51mmふるい上、に残る重量を有する。
【0038】
本発明に従う溶融されたグレインを製造する方法
本発明に従う溶融されたグレインは、溶融アルミナグレインの製造の為に慣用的である、前述された工程a)~e)に従って製造されうる。パラメーターは例えば、下記の実施例の為に使用された方法の値をとりうる。
【0039】
工程a)において、原材料は、所望の組成を得るように慣用的に計量され、そして次に混合されて、供給材料を形成する。
【0040】
該供給材料中の金属Zr、Hf、Al及びYは、該溶融されたグレイン中に実質的に全部存在する。
【0041】
従って、工程c)の最後に得られる固体塊が、本発明に従うグレインの組成に一致する組成を有するように、該供給材料の該原材料を選択することは、当業者にまったく困難性を与えない。
【0042】
該金属Zr、Hf、Al及びYは好ましくは、酸化物ZrO2、HfO2、Al2O3及びY2O3の形態で該供給材料中に導入される。該金属はまた、これらの酸化物の前駆体の形態で、慣用的に導入されうる。
【0043】
一つの実施態様において、該供給材料は、該供給材料の重量に基づき、0.2%~4%の量の炭素を、好ましくはコークスの形態で含む。
【0044】
一つの実施態様において、特に、該供給材料中に存在する該原材料が、低含有量の不純物を有する場合、該供給材料は、酸化物ZrO2、HfO2、Al2O3、Y2O3、及び/又はこれらの酸化物の前駆体からなる。
【0045】
該グレイン中の「他の要素」の、2%未満の含有量は、本発明の有利な技術的効果を抑制しないとみなされる。
【0046】
「他の要素」は、好ましくは不純物である。
【0047】
工程b)において、電気アーク炉、好ましくは黒鉛電極を用いるエルー型の電気アーク炉、が好ましくは使用されるが、任意の既知の炉、例えば誘導炉又はプラズマ炉、が、該供給材料を溶融することをそれらが可能にすることを条件として、想定されうる。
【0048】
該原材料は好ましくは、(該供給材料中の炭素の存在によって、及び/又は溶融材料の浴に電極が浸されているという事実によって得られる)還元媒体(reducing medium)中で、好ましくは大気圧下で、溶融される。
【0049】
好ましくは、209kWを超える電力に対して、原材料1kg当たり1.9kWhを超える注入前溶融エネルギーを有する、70リットルの容量を有する槽を備えている、電気アーク炉、又は同等の条件下で使用される、異なる容量を有する電気アーク炉が、使用される。当業者は、このような同等の条件を決定する仕方を知っている。
【0050】
工程c)において、冷却は、迅速でなければならず、即ち、該溶融材料が3分未満で完全に固化される。例えば、これは、米国特許第3993119号明細書に記載されているように、鋳型に注ぐことによって、又は急冷することによって、起こりうる。
【0051】
好ましくは、該溶融材料は、2分未満、好ましくは1分未満、好ましくは40秒未満、好ましくは30秒未満、で完全に固化される。
【0052】
工程c)が、グレインの混合物を直接的に得ることを可能にしない場合、又はこれらのグレインが、目的とする用途の適した粒径を有していない場合、粉砕(工程d)が、慣用的な技術に従って、実施されうる。
【0053】
工程e)において、先行する段階が、目的とする用途に適した粒径を有するグレインの混合物を得ることを可能にしない場合、例えばふるい分け又はサイクロニングによる粒径選択が実施されうる。
【0054】
研磨ツール
本発明に従う研磨ツールを製造する方法は、周知である。
【0055】
該研磨ツールは、特に、本発明に従うグレインを、結合剤を用いて、例えば圧縮することにより、特には砥石の形態で塊にすることによって形成され得、又は本発明に従うグレインを、結合剤を用いて、支持体、例えばベルト若しくはディスク、に接着させることによって形成されうる。
【0056】
該結合剤は、無機物、特にガラス(例えば、酸化物からなる、1以上のシリケートから実質的になる、結合剤が使用されることができる)、又は有機物であることができる。
【0057】
有機結合剤は、著しく適している。該結合剤は、特に、熱硬化性樹脂でありうる。該結合剤は好ましくは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール-フルフラール樹脂、アニリン-ホルムアルデヒド樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール-アルデヒド樹脂、レゾルシノール-アルデヒド樹脂、尿素-アルデヒド樹脂、又はメラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及びその混合物からなる群から選択される。
【0058】
該結合剤はまた、有機充填剤又は無機充填剤、例えば、水和された無機充填剤(例えば、アルミニウム三水和物若しくはベーマイト)又は水和されていない無機充填剤(例えば酸化モリブデン)、氷晶石、ハロゲン、ホタル石、硫化鉄、硫化亜鉛、マグネシア、炭化ケイ素、塩化ケイ素、塩化カリウム、二塩化マンガン、フッ化ホウ素酸カリウム若しくはフッ化ホウ素酸亜鉛、フルオロアルミン酸カリウム、酸化カルシウム、硫酸カリウム、塩化ビニリデンと塩化ビニルとのコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、繊維、硫化物、塩化物、スルフェート、フッ化物、及びそれらの混合物を、組み入れうる。該結合剤はまた、補強線維、例えばガラス繊維も含みうる。
【0059】
好ましくは、該結合剤は、混合物の2体積%~60体積%、好ましくは20体積%~40体積%、に相当する。
【0060】
実施例
以下の非限定的な例は、本発明を例示する目的の為に与えられる。
【0061】
測定プロトコル
以下の測定プロトコルは、溶融されたグレインの混合物のある種の特性を決定する為に使用された。該特性(They)の決定によって、該グレインが研磨の為に使用される場合に、それらの真の挙動を非常に上手くシミュレーションすることが可能になる。
【0062】
該グレインの混合物の研磨性能を評価する為に、各実施例のグレインを1グラム含む、直径12.7cmの砥石が、作製された。
【0063】
続いて、304ステンレス鋼で作られた20.5cm×7.6cm×6.0cmの寸法を有するプレートの表面が、これらの砥石を用いて、機械加工され、ここで、該砥石は、一定の切込み深さ40μm及び砥石の回転速度3600rpmを維持しつつ、一定の速度で前後に動かされた。機械加工中に該砥石によって作り出された総エネルギーEtotが、記録された。
【0064】
該砥石が完全に摩耗された後、機械加工された鋼の重量(即ち、研削作業によって除去される鋼の重量)である「Ma」、及び消費された砥石の重量である「Mm」、並びに研削作業によって除去される鋼の体積である「Va」が、測定された。
【0065】
有効性を評価する為に、機械加工された鋼の重量を該機械加工中に消費されたグレインの重量によって割った比Sが、慣用的に算出される(S=Ma/Mm)。
【0066】
エネルギー効率を評価する為に、単位体積の鋼を除去するのに必要とされるエネルギーに等しい、機械加工の比エネルギーであるEsが、慣用的に算出される(Es=Etot/Va)。
【0067】
ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとしての、「安定化されたジルコニア」と呼ばれる、正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの総量は、Retschによって販売されているRS 100ミル中で乾式粉砕された試料に対するX線回折によって決定され、ここで、該RS 100ミルは、80mmに等しい内径及び40mmに等しい内のり高さを有する炭化タングステンボウル並びに45mmに等しい直径及び35mmに等しい高さを有する炭化タングステンペブルを備えている。
【0068】
20gの、425μm~500μmのサイズを有する本発明に従うグレインは、ふるい分けによって、工程e)において最初に選択される。次に、これらのグレインは、該ミル中で30秒間、粉砕され、ここで、選択される速度は14000rpmに等しい。粉砕後、回収された粉末は、40μmのふるいを通してふるい分けされ、そして、ふるい下のみが、X線回折測定の為に使用される。
【0069】
回折図は、Bruker製のD8 Endeavor装置を用いて、5°~100°の2θ角度範囲にわたって、0.01°のステップ及び0.34秒/ステップのカウント時間を用いて、取得される。前部レンズは、0.3°の一次スリット及び2.5°のソーラースリットを有する。試料自体は、自動ナイフを用いて、15rpmに等しい速度で回転させられる。後部レンズは、2.5°のソーラースリット、0.0125mmのニッケルフィルター、及び4°に等しい開口部を有する1D検出器を有する。
【0070】
その後、回折パターンは、EVAソフトウェア及びICDD2016データベースを用いて定性的に解析される。
【0071】
単一の(正方晶又は立方晶の)安定化された相が、想定される。
【0072】
存在する相が検出されたら、回折図は、Malvern Panalytical社からのHighScore Plusソフトウェアによって、「擬似フォークト分割幅」(pseudo Voigt split width)関数を用いて解析され、単斜晶ジルコニア相の(-111)面及び(111)面の面積、並びに安定化されたジルコニア相の(111)面のピークの面積が、測定される。
【0073】
即ち:
AM(-111):およそ2θ=28.2°に位置する、単斜晶ジルコニア相の(-111)面のピークの面積、
AM(111):およそ2θ=31.3°に位置する、単斜晶ジルコニア相の(111)面のピークの面積、
AS(111):およそ2θ=30.2°に位置する、(正方晶型及び/又は立方晶型の)安定化されたジルコニア相の、(111)面のピークの面積、
dM:5.8g/cm3に等しいとされる、単斜晶ジルコニアの密度、
dS:6.1g/cm3に等しいとされる、安定化されたジルコニアの密度。
【0074】
ジルコニアの結晶相の総重量に基づくパーセンテージとしての、正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの重量に基づく量は、下記に等しい:
【0075】
【0076】
炭素含有量を除いて、該溶融されたグレインの化学分析は、Y2O3及び0.5%を超えない含有量の要素に対して、誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)技術を用いて測定される。他の要素の含有量を決定する為に、分析される予定の製品のビーズが、該製品を溶融することによって製造され、そして次に、化学分析がX線蛍光を用いて実施される。
【0077】
該溶融されたグレインの炭素含有量は、LECOによって販売されているCS744モデル炭素-硫黄分析器を用いて測定される。
【0078】
粉末のメジアン径は、Horibaによって販売されているLA950V2モデルレーザー粒子径測定装置を用いて、慣用的に測定される。
【0079】
該実施例の溶融されたグレインのアルミナ結晶の平均サイズは、「平均線形切片」法によって測定される。このタイプの方法は、ASTM規格E1382に記載されている。この規格に従って、分析ラインが、該溶融されたグレインの画像上にプロットされ、そして次に、各分析ラインに沿って、該分析ラインと交差する、2つの連続した結晶を分離している2つの境界の間の、「切片」と呼ばれる長さlが、測定される。
【0080】
続いて、該切片「l」の平均長「l’」が決定される。
【0081】
該実施例のグレインの混合物について、該切片は、500μm~600μmのサイズを有する溶融されたグレインの、走査型電子顕微鏡によって得られた画像上で測定され、該断面は、鏡面品質が得られるまで予め磨かれていた。該画像を撮影する為に使用される倍率は、1つの画像上で、該画像の縁によって切れていない130~160個のアルミナ結晶が見えるように選択される。ゲイン(gains)の混合物1つにつき5個の画像が、互いに異なるグレインに対して、それぞれ作成された。画像1つ当たり、少なくとも100個の切片が測定される。
【0082】
溶融されたグレインの混合物のアルミナ結晶の平均サイズ「d」は、該5個の画像の全てにおいて測定された切片lの平均l'に等しい。
【0083】
製造プロトコル
該実施例の製品は、以下の原材料から調製された:
不純物Na2O、CaO、Fe2O3、MgO、TiO2、SiO2を含み、且つ80μmに等しいメジアン径を有する、99.6重量%超の純度を有するアルミナ粉末;
不純物Al2O3、CaO、Y2O3、MgO、TiO2、SiO2を含み、且つ1.5μmに等しいメジアン径を有する、99.4重量%超の純度を有するジルコニア粉末;
3~6μmのメジアン径を有する、99.999重量%超の純度を有する、酸化イットリウム粉末。
【0084】
該グレインは、本発明に従って、以下の慣用的な製造方法に従って調製された:
a)原材料を混合して、供給材料を形成すること;
b)黒鉛電極を備えたエルー型の単相電気アーク炉において、0.8mの直径を有する炉槽、95Vの電圧、2200Aの電流、及び1.9kWh/投入kgで供給される比電気エネルギーを用いて、該供給材料を溶融すること、
c)薄い金属板の間で鋳造する為の装置、例えば、米国特許第3993119号明細書に示されている装置、を用いて、該溶融材料を急激に冷却して、固体塊を構成する完全に固体のシートを得ること、
d)工程c)で冷却された該固体塊を粉砕して、グレインの混合物を得ること、
e)Ro-Tap(登録商標)ふるい振とう機を用いてふるい分けして、500~600μmのサイズを有するグレインを選択すること。
【0085】
下記の表1は、溶融されたグレインの様々な混合物についての化学組成及び立方晶ジルコニアの比、並びにまた、これらの混合物を用いて得られる結果を提供する。
【0086】
比Sの向上率(%)は、以下の式によって算出される:
100×(考察される実施例の製品の比S-参考例1の製品の比S)/参考例1の製品の比S
【0087】
大きな正の値の、比Sの向上率(%)が、望ましい。本発明者等は、比Sの5%超の向上を、有意であるとみなす。
【0088】
好ましくは、比Sは、10%超、好ましくは15%超、好ましくは20%超、好ましくは25%超、好ましくは30%超、好ましくは35%超、向上される。
【0089】
比エネルギーEsの低減率(%)は、以下の式によって算出される:
100×(参考例1の製品のEs-考察される実施例の製品のEs)/参考例1の製品のEs
【0090】
大きな正の値の、試験中の比エネルギーEsの低減率(%)が、望ましい。本発明者等は、比エネルギーEsの5%超の低減を、有意であるとみなす。好ましくは、比エネルギーは、10%超、好ましくは15%超、低減される。
【0091】
正方晶ジルコニア及び立方晶ジルコニアの量は、ジルコニアの結晶相の総重量に基づく重量パーセンテージとして提供される。
【0092】
本発明外の参考例1は、Saint-Gobain Ceramic MaterialsによってMA88K-弱の名称下で販売されている、溶融されたグレインの混合物である。
【0093】
【0094】
実施例2~8のグレインについて、アルミナ結晶の平均サイズは、5μm~25μmである。
【0095】
本発明者等は、ZrO2含有量が2%未満の場合、研磨性能を向上させることが可能にならないことを発見した。
【0096】
本発明者等はまた、13%超のZrO2含有量が、該溶融されたグレインの微細構造の変更の原因となり、該微細構造が、コランダムグレインから主に構成され、且つグレイン境界線にジルコニアを有する微細構造から、かなりの量のアルミナ-ジルコニア共晶相を含む微細構造に変わることも、発見した。
【0097】
比較例1と実施例2との比較は、Y2O3/(ZrO2+HfO2)重量比の重要性を示している:このような比が0.0065に等しい場合、比Sは20%向上され、該比エネルギーは5%低減されている。
【0098】
比較例1及び本発明外の実施例8の比較は、0.14に等しいY2O3/(ZrO2+HfO2)重量比が、該比を17%向上させるが、該比エネルギーを7%増加させることを示す。
【0099】
比較例1と実施例3、4、5、6及び7との比較は、それぞれ0.0125、0.0209、0.0232、0.0248、及び0.0433に等しいY2O3/(ZrO2+HfO2)重量比の重要性を示す:比Sは、それぞれ、25%、42%、41%、31%、及び24%、向上され、且つ該比エネルギーは、それぞれ、8%、16%、18%、14%、及び9%、低減されている。
【0100】
実施例4及び5は、それら全ての中で、好ましい実施例である。
【0101】
ここで明らかになる通り、本発明は、主にアルミナからなり、従って、溶融アルミナ-ジルコニアグレインより低コストであり、且つ既知のアルミナグレインのものより優れた有効性及びエネルギー効率を有する、溶融されたグレインの混合物を提供する。
【0102】
当然のことながら、本発明は、例示的且つ非限定的な実施例を用いることによって提供される、記載される該実施態様に限定されない。
【0103】
特に、本発明に従う溶融されたグレインは、特定の形状又は寸法に限定されない。
【国際調査報告】