(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】絶縁抵抗測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20231213BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20231213BHJP
【FI】
G01R27/02 R
G01R31/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534231
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2022017562
(87)【国際公開番号】W WO2023085777
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0155752
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ウー
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジャン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ヨウン
【テーマコード(参考)】
2G014
2G028
【Fターム(参考)】
2G014AA17
2G014AB61
2G028BE04
2G028CG03
(57)【要約】
本発明は、バッテリパックの正極と接地との間に設けられたポジティブ絶縁抵抗と、前記接地と前記バッテリパックの負極との間に設けられたネガティブ絶縁抵抗と、を測定するための絶縁抵抗測定装置であって、前記バッテリパックの正極と接地との間に直列に接続された第1及び第2の抵抗と、前記接地と前記バッテリパックの負極との間に直列に接続された第3及び第4の抵抗と、前記第3及び第4の抵抗の間に接続された出力端子と、前記第1及び第2の抵抗の間の接点と前記バッテリパックの負極との間に接続されたスイッチと、を備える絶縁抵抗測定装置を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックの正極と接地との間に設けられたポジティブ絶縁抵抗と、前記接地と前記バッテリパックの負極との間に設けられたネガティブ絶縁抵抗と、を測定するための絶縁抵抗測定装置であって、
前記バッテリパックの正極と接地との間に直列に接続された第1の抵抗及び第2の抵抗と、
前記接地と前記バッテリパックの負極との間に直列に接続された第3の抵抗及び第4の抵抗と、
前記第3の抵抗及び前記第4の抵抗の間に接続された出力端子と、
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の間の接点と前記バッテリパックの負極との間に接続されたスイッチと、
を備える、絶縁抵抗測定装置。
【請求項2】
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗は前記ポジティブ絶縁抵抗と並列に接続され、前記第3の抵抗及び前記第4の抵抗は前記ネガティブ絶縁抵抗と並列に接続された、請求項1に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項3】
前記スイッチがオフ状態であるときに、前記出力端子から前記ポジティブ絶縁抵抗とネガティブ絶縁抵抗との間の第1の電圧の分配電圧が出力され、
前記スイッチがオン状態であるときに、前記出力端子から前記ポジティブ絶縁抵抗とネガティブ絶縁抵抗との間の第2の電圧の分配電圧が出力され、
前記ポジティブ絶縁抵抗及び前記ネガティブ絶縁抵抗は、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を用いて算出される、請求項1または請求項2に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項4】
前記第1の電圧は、下記の(数1)式により算出され、
【数1】
…(1)
式中、V
x1は第1の電圧であり、V
pack1はスイッチがオフ状態であるときのバッテリパック電圧であり、R
iso+及びR
iso-はそれぞれポジティブ絶縁抵抗の抵抗値及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値であり、R
11+R
12=R
P、R
13+R
14=R
nである、
請求項3に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項5】
前記第2の電圧は、下記の(数2)式により算出され、
【数2】
…(2)
式中、V
x2は第2の電圧であり、V
pack2はスイッチがオンとなったときのバッテリパック電圧であり、R
iso+及びR
iso-はそれぞれポジティブ絶縁抵抗の抵抗値及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値であり、R
11=R
p×(1-p)、R
12=R
p×p、R
11+R
12=R
p、R
13=R
n×(1-n)、R
14=R
n×n、R
13+R
14=R
nである、
請求項4に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項6】
前記ポジティブ絶縁抵抗の抵抗値は、前記(数1)式及び前記(数2)式からの下記の(数3)式、
【数3】
…(3)
により算出される、請求項5に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項7】
前記ネガティブ絶縁抵抗の抵抗値は、前記(数2)式からの下記の(数4)式、
【数4】
…(4)
により算出される、請求項6に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項8】
前記スイッチを制御する制御部と、
前記出力端子の出力電圧を測定し、前記第1の電圧及び前記第2の電圧を算出する電圧測定部と、
前記電圧測定部において測定された電圧が設定範囲以内であるか否かを判断する判断部と、
前記判断部における判断結果に基づいて、前記ポジティブ絶縁抵抗及び前記ネガティブ絶縁抵抗の抵抗値を算出する算出部と、
をさらに備える、請求項7に記載の絶縁抵抗測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパックの絶縁抵抗測定装置に係り、特に、構成部品の点数を減らすことのできる絶縁抵抗測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコン、携帯電話などのような携帯型電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能バッテリに対する研究が活発に行われている。
【0003】
現在、商用化されているバッテリとしてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられるが、そのうちリチウム二次電池は、ニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0004】
一方、二次電池は、単一の二次電池として用いられる場合もあるが、高電圧及び/または大容量の電力貯蔵装置を提供するために、複数の二次電池が直列及び/または並列に接続された状態で用いられる場合が多い。すなわち、電気自動車、エネルギー貯蔵システム及び無停電電源供給装置などの高容量を必要とする環境では、二次電池のバッテリセルを複数接合することによりバッテリモジュールとして用いたり、バッテリモジュールを複数接合してバッテリパックとして用いたりすることができる。
【0005】
かような高電圧・大容量の二次電池を用いる電力貯蔵装置、例えば、バッテリパックを備える電気自動車などは、絶縁状態を保つことが非常に重要である。ここで、絶縁とは、電気自動車などの電気電子装置内において高電圧領域と低電圧領域とを区切ることをいう。もし、バッテリパックの絶縁状態が保たれない場合、漏れ電流(leakage current)が生じて様々な不都合が引き起こされる虞がある。すなわち、漏れ電流に起因してバッテリパックの寿命が短縮される虞があり、バッテリパックが用いられる電気電子装置の誤動作を引き起こす虞がある他、感電などの安全事故が起こる虞がある。
【0006】
このような漏れ電流に起因する不都合の発生を予防すべく、一定レベル以上の絶縁抵抗を保たなければならない。ここで、絶縁抵抗は、高電圧領域と低電圧領域との間に存在する。例えば、高電圧バッテリパックが電気自動車に適用される場合、バッテリパックの正極及び負極と車両のシャシー(Chassis)、すなわち、接地に絶縁抵抗が設けられ、絶縁抵抗の抵抗値を測定して絶縁抵抗の抵抗値が一定のレベル以下に落ち込まないように保たなければならない。このような絶縁抵抗値を測定するために、バッテリパックには絶縁抵抗測定装置が配備されている。絶縁抵抗測定装置は、随時にてまたは周期的に絶縁抵抗を測定してバッテリ管理システム(Battery Management System;BMS)をして絶縁状態を点検できるようにする。
【0007】
絶縁抵抗は、高電圧バッテリパックの正極と接地との間にポジティブ絶縁抵抗が設けられ、負極と接地との間にネガティブ絶縁抵抗が設けられる。このような絶縁抵抗を測定するための従来の絶縁抵抗測定装置は、正極と接地との間にポジティブ絶縁抵抗と並列に接続された電圧分配用の第1及び第2の抵抗が設けられ、負極と接地との間にネガティブ絶縁抵抗と並列に接続された電圧分配用の第3及び第4の抵抗が設けられる。このとき、第1及び第2の抵抗の間から第1の出力信号が出力され、第3及び第4の抵抗の間から第2の出力信号が出力される。また、正極と第1の抵抗との間に第1のスイッチが設けられ、負極と第4の抵抗との間に第2のスイッチが設けられる。なお、接地と第3の抵抗との間に5Vの電圧源が接続される。
【0008】
しかしながら、上記のような従来の絶縁抵抗測定装置は、二つのスイッチを必要とし、5Vの電圧源を必要とする。また、二つのスイッチがオン/オフになるため、スイッチのスイッチング動作が増えてしまう。したがって、回路が複雑になり、しかも、駆動方式が複雑であるという欠点がある。なお、二つの電圧分配抵抗を介して第1及び第2の出力信号がアナログ-デジタルコンバータの第1及び第2の入力端子に入力されるため、アナログ-デジタルコンバータの入力端子が二つ以上必要である。
【0009】
従来の技術としては、下記に掲げるような文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1771226号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】インタネットブログ(https://m.blog.naver.com/thewoodypark/222037678937)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、スイッチの数を減らすことができ、電圧源が不要になることから、構成及び駆動方式を単純化することのできる絶縁抵抗測定装置を提供する。
【0013】
本発明は、出力端子の数を減らしてアナログ-デジタルコンバータの入力端子の数を減らすことのできる絶縁抵抗測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る絶縁抵抗測定装置は、バッテリパックの正極と接地との間に設けられたポジティブ絶縁抵抗と、前記接地と前記バッテリパックの負極との間に設けられたネガティブ絶縁抵抗と、を測定するための絶縁抵抗測定装置であって、前記バッテリパックの正極と接地との間に直列に接続された第1及び第2の抵抗と、前記接地と前記バッテリパックの負極との間に直列に接続された第3及び第4の抵抗と、前記第3及び第4の抵抗の間に接続された出力端子と、前記第1及び第2の抵抗の間の接点と前記バッテリパックの負極との間に接続されたスイッチと、を備える。
【0015】
前記第1及び第2の抵抗は前記ポジティブ絶縁抵抗と並列に接続され、前記第3及び第4の抵抗は前記ネガティブ絶縁抵抗と並列に接続される。
【0016】
前記スイッチがオフ状態であるときに、前記出力端子から前記ポジティブ絶縁抵抗とネガティブ絶縁抵抗との間の第1の電圧の分配電圧が出力され、前記スイッチがオン状態であるときに、前記出力端子から前記ポジティブ絶縁抵抗とネガティブ絶縁抵抗との間の第2の電圧の分配電圧が出力され、前記絶縁抵抗は第1及び第2の電圧を用いて算出される。
【0017】
前記第1の電圧は、下記の(数1)式により算出される。
【0018】
【0019】
式中、Vx1は第1の電圧であり、Vpack1はスイッチがオフ状態であるときのバッテリパック電圧であり、Riso+及びRiso-はそれぞれポジティブ絶縁抵抗の抵抗値及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値であり、R11+R12=Rp、R13+R14=Rnである。
【0020】
前記第2の電圧は、下記の(数2)式により算出される。
【0021】
【0022】
式中、Vx2は第2の電圧であり、Vpack2はスイッチがオンとなったときのバッテリパック電圧であり、Riso+及びRiso-はそれぞれポジティブ絶縁抵抗の抵抗値及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値であり、R11=Rp×(1-p)、R12=Rp×p、R11+R12=Rp、R13=Rn×(1-n)、R14=Rn×n、R13+R14=Rnである。
【0023】
前記ポジティブ絶縁抵抗の抵抗値は、上記の(数1)式及び(数2)式からの下記の(数3)式により算出される。
【0024】
【0025】
前記ネガティブ絶縁抵抗の抵抗値は、上記の(数2)式からの下記の(数4)式により算出される。
【0026】
【0027】
前記絶縁抵抗測定装置は、前記スイッチを制御する制御部と、前記出力端子の出力電圧を測定し、前記第1及び第2の電圧を算出する電圧測定部と、前記電圧測定部において測定された電圧が設定範囲以内であるか否かを判断する判断部と、前記判断部における判断結果に基づいて、ポジティブ絶縁抵抗及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値を算出する算出部と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明の絶縁抵抗測定装置は、従来に比べてスイッチの数を減らし、電圧源を必要としない。したがって、絶縁抵抗測定装置の構成及び駆動方式を単純化することができる。また、絶縁抵抗測定装置から一つの出力信号が出力され、これは、アナログ-デジタルコンバータに入力される。したがって、アナログ-デジタルコンバータは、絶縁抵抗測定装置の出力信号を入力するために一つの入力端子を必要とする。すなわち、従来に比べて出力端子の数を減らすことができ、それにより、絶縁抵抗測定装置の出力を入力するアナログ-デジタルコンバータの入力端子の数を減らすことができる。要するに、本発明は、絶縁抵抗測定装置の構成及び駆動方式を従来に比べて単純化することができ、絶縁抵抗測定装置から信号を入力される周辺装置の構成を従来に比べて単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置の回路図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る絶縁抵抗測定装置のブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置のスイッチ動作に応じた等価回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置のスイッチ動作に応じた等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0031】
図1は、従来の絶縁抵抗測定装置の回路図である。従来の絶縁抵抗測定装置は、高電圧バッテリパック10の正極HV+と接地との間に設けられたポジティブ絶縁抵抗Riso+と、負極HV-と接地との間に設けられたネガティブ絶縁抵抗Riso-と、を測定するために設けられる。
【0032】
従来の絶縁抵抗測定装置は、
図1に示すように、正極HV+と接地との間にポジティブ絶縁抵抗Riso+と並列に接続された電圧分配用の第1及び第2の抵抗R1、R2が設けられ、負極HV-と接地との間にネガティブ絶縁抵抗Riso-と並列に接続された電圧分配用の第3及び第4の抵抗R3、R4が設けられる。このとき、第1及び第2の抵抗R1、R2の間から第1の出力信号ADC1が出力され、第3及び第4の抵抗R3、R4の間から第2の出力信号ADC2が出力される。すなわち、第1及び第2の抵抗R1、R2の間の分配電圧がアナログ-デジタルコンバータ(Analog-Digital Converter)の第1の入力端子に入力され、第3及び第4の抵抗R3、R4の間の分配電圧がアナログ-デジタルコンバータの第2の入力端子に入力される。また、正極HV+と第1の抵抗R1との間に第1のスイッチSW1が設けられ、負極HV-と第4の抵抗R4との間に第2のスイッチSW2が設けられる。なお、接地と第3の抵抗R3との間に5Vの電圧源が接続される。電圧源は、第3の抵抗R3と接地との間に印加される電圧が正の値になるように第3の抵抗R3と接地との間に接続されて電圧を印加する役割を果たす。
【0033】
このような従来の絶縁抵抗測定装置は、測定周期を定めて第1及び第2のスイッチSW1、SW2がオン(ON)/オフ(OFF)を繰り返す。このとき、周期に応じて、第1及び第2のスイッチSW1、SW2は同時にオンまたはオフにしてもよく、交互にオン/オフにしてもよい。第1のスイッチSW1がオンになると、正極HV+と接地との間のポジティブ電圧(Vpositive)が分配されて(比率:R2/R1+R2)第1の出力信号ADC1が測定され、逆に、第2のスイッチSW2がオンになると、負極HV-と接地との間のネガティブ電圧(Vnegative)が分配されて第2の出力信号ADC2が測定される。
【0034】
しかしながら、上記のような従来の絶縁抵抗測定装置は、二つのスイッチを必要とし、5Vの電圧源を必要とする。また、二つのスイッチがオン/オフになるため、スイッチのスイッチング動作が増えてしまう。したがって、回路が複雑になり、駆動方式が複雑であるという欠点がある。なお、二つの電圧分配抵抗を介して第1及び第2の出力信号がアナログ-デジタルコンバータの第1及び第2の入力端子に入力されるため、アナログ-デジタルコンバータの入力端子が二つ以上必要である。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置の回路図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置のブロック図である。すなわち、
図3は、本発明の絶縁抵抗測定装置とその周辺装置を示すブロック図である。
【0036】
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置は、バッテリパック100の正極HV+と負極HV-との間に設けられたポジティブ絶縁抵抗Riso+及びネガティブ絶縁抵抗Riso-を測定することができる。ポジティブ絶縁抵抗Riso+はバッテリパック100の正極HV+と接地との間に設けられ、ネガティブ絶縁抵抗Riso-はバッテリパック100の負極HV-と接地との間に設けられる。このような絶縁抵抗Riso+、Riso-を測定する本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置は、正極HV+と接地との間に設けられ、ポジティブ絶縁抵抗Riso+と並列に接続された電圧分配用の第1及び第2の抵抗R11、R12と、負極HV-と接地との間に設けられ、ネガティブ絶縁抵抗Riso-と並列に接続された電圧分配用の第3及び第4の抵抗R13、R14と、第1及び第2の抵抗R11、R12の間と負極HV-との間に設けられたスイッチSWと、を備えていてもよい。すなわち、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置は、
図1を用いて説明された従来の技術に比べてスイッチの数を減らし、電圧源を必要としない。
【0037】
第1及び第2の抵抗R11、R12は正極HV+と接地との間に設けられ、ポジティブ絶縁抵抗Riso+と並列に接続され得る。このとき、第1の抵抗R11の抵抗値と第2の抵抗R12の抵抗値は、設定された抵抗比を有し得る。ここで、設定された抵抗比は、第1の抵抗R11に印加されるバッテリパック100の電圧を低めて測定するために設定された第1の抵抗R11の抵抗値と第2の抵抗R12の抵抗値との比率であり得る。
【0038】
第3及び第4の抵抗R13、R14は、負極HV-と接地との間に設けられ、ネガティブ絶縁抵抗Riso-と並列に接続され得る。このとき、第3の抵抗R13の抵抗値と第4の抵抗R14の抵抗値は、設定された抵抗比を有し得る。ここで、設定された抵抗比は、第3の抵抗R13に印加されるバッテリパック100の電圧を低めて測定するために設定された第3の抵抗R13の抵抗値と第4の抵抗R14の抵抗値との比率であり得る。また、第3及び第4の抵抗R13、R14の間から出力信号ADCが出力され得る。第3及び第4の抵抗R13、R14の間の出力信号ADC、すなわち、第3及び第4の抵抗R13、R14の分配電圧は、アナログ-デジタルコンバータに入力され得る。すなわち、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置は、一つの出力信号が出力され、これは、アナログ-デジタルコンバータに入力される。したがって、アナログ-デジタルコンバータは、絶縁抵抗測定装置の出力信号を入力するために一つの入力端子を必要とする。すなわち、従来に比べて出力端子の数を減らすことができ、それにより、絶縁抵抗測定装置の出力を入力するアナログ-デジタルコンバータの入力端子の数を減らすことができる。
【0039】
スイッチSWは、第1及び第2の抵抗R11、R12の間と負極HV-との間に設けられる。すなわち、スイッチSWは、第1及び第2の抵抗R11、R12の間のノードと負極HV-との間に設けられる。このようなスイッチSWは、オン(ON)/オフ(OFF)になって出力端子ADCの電圧を調節することができる。すなわち、スイッチSWのオン/オフに応じて、第3及び第4の抵抗R13、R14の間から第1の電圧Vx1の分配電圧及び第2の電圧Vx2の分配電圧が出力される。このように、スイッチSWのオン/オフに応じて、第1の電圧Vx1の分配電圧及び第2の電圧Vx2の分配電圧が出力され、これから第1の電圧Vx1及び第2の電圧Vx2を算出し、ポジティブ絶縁抵抗Riso+とネガティブ絶縁抵抗Riso-の抵抗値を算出することができる。
【0040】
一方、本発明に係る絶縁抵抗測定装置は、
図3に示すように、スイッチSWを制御する制御部210と、第3及び第4の抵抗R13、R14の間からの出力信号の電圧を測定する電圧測定部220と、電圧測定部220において測定された電圧が設定範囲以内であるか否かを判断する判断部230と、判断部230における判断結果に基づいて、ポジティブ絶縁抵抗Riso+及びネガティブ絶縁抵抗Riso-の抵抗値を算出する算出部240と、をさらに備えていてもよい。
【0041】
制御部210は、スイッチSWを制御することができる。すなわち、制御部210は、スイッチSWを制御してスイッチSWをオン/オフにすることができる。制御部210は、周期的にスイッチSWを制御することができ、オン/オフ周期を等しくすることができる。いうまでもなく、制御部210は、間欠的にスイッチSWを制御することもできれば、オン/オフ周期を異ならせることもできる。一方、制御部210は、判断部230における判断結果に基づいて、スイッチSWを制御することができる。
【0042】
電圧測定部220は、第3及び第4の抵抗R13、R14の間からの出力信号の電圧を測定する。すなわち、スイッチSWのオン/オフに応じて、第3及び第4の抵抗R13、R14の間から第1の電圧Vx1の分配電圧及び第2の電圧Vx2の分配電圧が出力されるが、電圧測定部220は、これから第1の電圧Vx1及び第2の電圧Vx2を算出する。すなわち、電圧測定部220は、第1の電圧Vx1の分配電圧及び第2の電圧Vx2の分配電圧を測定し、これから第1の電圧Vx1及び第2の電圧Vx2を算出する。このとき、電圧測定部220は、後述する(数1)式により第1の電圧Vx1を算出し、(数2)式により第2の電圧Vx2を算出する。また、電圧測定部220は、アナログ電圧信号をデジタル電圧信号に変換するアナログ-デジタルコンバータを備えていてもよい。すなわち、電圧測定部220は、アナログ-デジタルコンバータを備え、第3及び第4の抵抗R13、R14の間から出力される第1の電圧Vx1の分配電圧及び第2の電圧Vx2の分配電圧のアナログ電圧信号がデジタル電圧信号に変換された後、電圧を測定することができる。
【0043】
判断部230は、電圧測定部220において測定された第1の電圧Vx1及び第2の電圧Vx2が設定された電圧範囲以内であるか否かを判断することができる。すなわち、判断部230は、第1の電圧Vx1及び第2の電圧Vx2の測定値に基づいて、設定範囲以内であるか否かを判断し、判断結果を制御部210及び算出部240に送信することができる。判断部230は、第1の電圧Vx1の測定値を設定された範囲値と比較し、第1の電圧Vx1の測定値が設定された範囲以内である場合、第1の電圧Vx1が正常であることを判断することができる。これと同様に、判断部230は、第2の電圧Vx2の測定値を設定された範囲値と比較し、第2の電圧Vx2の変化値が設定された範囲以内である場合、第2の電圧Vx2が正常であることを判断することができる。
【0044】
一方、制御部210は、判断部230における判断の結果、第1の電圧Vx1が正常であると判断される場合にスイッチSWをオフにし、第2の電圧Vx2が正常であると判断される場合にスイッチSWをオンにすることができる。このことから、制御部210は、絶縁抵抗の測定のためにスイッチSWのオンまたはオフ状態を変更する周期を設定することなく、第1の電圧Vx1と第2の電圧Vx2の収束有無に応じてフレキシブルに変更することにより、絶縁抵抗の測定を行うのにかかる時間を短縮することができる。
【0045】
算出部240は、判断部230において第1の電圧Vx1が正常であると判断された時点の第1の電圧Vx1、第2の電圧Vx2が正常であると判断された時点の第2の電圧Vx2及び算出時点のバッテリパック100の電圧を用いて、ポジティブ絶縁抵抗Riso+及びネガティブ絶縁抵抗Riso-の抵抗値を算出することができる。このとき、算出部240は、後述する(数1)式及び(数2)式による第1及び第2の電圧及び(数3)式及び(数4)式を用いて、ポジティブ絶縁抵抗Riso+及びネガティブ絶縁抵抗Riso-の抵抗値を算出することができる。一方、バッテリパック100の電圧は、バッテリパックを管理するバッテリ管理システム(Battery Management System;BMS)から受信することができる。
【0046】
上述したように、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗測定装置は、
図1を用いて説明された従来の技術に比べて、スイッチの数を減らし、電圧源を必要としない。また、本発明は、一つの出力信号が出力され、これはアナログ-デジタルコンバータに入力される。したがって、アナログ-デジタルコンバータは、絶縁抵抗測定装置の出力信号を入力するために一つの入力端子を必要とする。すなわち、従来に比べて出力端子の数を減らすことができ、それにより、絶縁抵抗測定装置の出力を入力するアナログ-デジタルコンバータの入力端子の数を減らすことができる。
【0047】
図4及び
図5は、スイッチのオン/オフに応じた絶縁抵抗測定装置の等価回路図であって、
図4は、スイッチがオフになったときの等価回路図であり、
図5は、スイッチがオンになったときの等価回路図である。
【0048】
図4に示すように、スイッチがオフになったとき、ポジティブ絶縁抵抗Riso+とネガティブ絶縁抵抗Riso-との間から出力される第1の電圧V
x1は、下記の(数1)式(1)により求められる。
【0049】
【0050】
式中、Vx1は第1の電圧であり、Vpack1はスイッチがオフになったときのバッテリパック電圧であり、Riso+及びRiso-はそれぞれポジティブ絶縁抵抗の抵抗値及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値であり、Rp、Rnは下記のようにして求められる。
【0051】
R11+R12=Rp、R13+R14=Rn
【0052】
また、
図5に示すように、スイッチがオンになったとき、ポジティブ絶縁抵抗Riso+とネガティブ絶縁抵抗Riso-との間から出力される第2の電圧V
x2は、下記の(数2)式により求められる。
【0053】
【0054】
式中、Vx2は第2の電圧であり、Vpack2はスイッチがオンになったときのバッテリパック電圧であり、Riso+及びRiso-はそれぞれポジティブ絶縁抵抗の抵抗値及びネガティブ絶縁抵抗の抵抗値であり、Rp、Rnは、下記のようにして求められる。
【0055】
R11=Rp×(1-p)、R12=Rp×p、R11+R12=Rp
R13=Rn×(1-n)、R14=Rn×n、R13+R14=Rn
【0056】
上記の(数1)式及び(数2)式により、ポジティブ絶縁抵抗Riso+の抵抗値とネガティブ絶縁抵抗Riso-の抵抗値は(数3)式及び(数4式)によりそれぞれ求められる。すなわち、(数3)式は、(数1)式及び(数2)式を連立してポジティブ絶縁抵抗Riso+の抵抗値を算出する式であり、(数4)式は、(数2)式を用いてネガティブ絶縁抵抗Riso-の抵抗値を算出する式である。
【0057】
【0058】
【0059】
前述したような本発明の技術的思想は、上記の実施形態に基づいて具体的に記述されたが、上記の実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【0060】
本発明に用いられた図面の符号は、下記の通りである。
【符号の説明】
【0061】
100:バッテリパック
R11、R12、R13、R14:第1の抵抗から第4の抵抗
SW:スイッチ
Vx1、Vx2:第1及び第2の電圧
210:制御部
220:電圧測定部
230:判断部
240:算出部
【国際調査報告】