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特表2023-553034電極組立体、バッテリーセル、バッテリーパック、および自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】電極組立体、バッテリーセル、バッテリーパック、および自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20231213BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20231213BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534274
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 KR2022005064
(87)【国際公開番号】W WO2022216092
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0045993
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビョング
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ドゥク ヒュン
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028CC12
5H028HH00
5H028HH05
5H028HH08
5H029AJ06
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ14
5H029CJ07
5H029HJ00
5H029HJ04
5H029HJ12
5H029HJ14
(57)【要約】
本発明は、第1の電極、分離膜および第2の電極が積層されて巻き取られた電極組立体であって、前記第1の電極および第2の電極のうち少なくとも一つは、集電体および前記集電体上に設けられた電極活物質層を含み、前記第1の電極は、前記電極活物質層であって、前記電極組立体の巻取り中心部に最も近い縁部に設けられ、前記分離膜の少なくとも一部に固定される固定部を含む電極組立体を提供する。また、本発明は、前記電極組立体;前記電極組立体を収納する一側に開放部を有する電池缶;前記電池缶の底部に形成された貫通孔を通じてリベットされた電極端子;前記電極端子と前記貫通孔の外径との間に設けられたガスケット;および前記電池缶の開放部を封止する密封体を含むバッテリーセルを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、分離膜および第2の電極が積層されて巻き取られた電極組立体であって、
前記第1の電極および前記第2の電極のうち少なくとも一つは、集電体および前記集電体上に設けられた電極活物質層を含み、
前記第1の電極は、前記電極活物質層であって、前記電極組立体の巻取中心部に最も近い縁部に設けられ、前記分離膜の少なくとも一部に固定される固定部を含む電極組立体。
【請求項2】
前記電極組立体の巻取軸の一端部側に設けられた前記集電体の縁部は、前記電極活物質層が設けられていない無地部を含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記分離膜は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた第1の分離膜および前記第1の電極の前記第1の分離膜と対向する面の反対側に設けられた第2の分離膜を含み、
前記第1の分離膜および前記第2の分離膜の少なくとも一つは、前記固定部と固定されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記固定部は、前記電極組立体の非巻き取り状態において、前記第2の電極と重ならない、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記固定部の幅は、12mm以下である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記固定部を除く部分では、前記第1の電極、前記分離膜、および前記第2の電極が固定されていない、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第1の電極は陰極であり、前記第2の電極は陽極である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記固定部は、ラミネートテープである、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記ラミネートテープの熱分解温度は、180℃以上である、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記ラミネートテープの常温の接着力は、20gf/100mmから40gf/100mmである、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項11】
前記ラミネートテープは、40℃以上で接着力を有する、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項12】
前記ラミネートテープの接着力の変化率が下記式1を満たす、請求項8に記載の電極組立体。
[式1]
0.8≦[X2/X1]×100(%)≦1.2
前記式1において、X1は23℃にて20分放置した時のラミネートテープの接着力であり、X2は23℃にて20分放置した後65℃にて20分保管した時のラミネートテープの接着力である。
【請求項13】
前記固定部は、前記電極組立体の巻取軸方向に互いに対向する縁部側に設けられた2つの点、および前記2つの点の間に設けられた1つの点で前記分離膜の少なくとも一部に固定される、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項14】
前記固定部は、前記電極組立体の巻取軸方向の長さの40%以上が前記分離膜に固定されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の電極組立体;前記電極組立体を収納する一側に開放部を有する電池缶;前記電池缶の底部に形成された貫通孔を通じてリベットされた電極端子;前記電極端子と前記貫通孔の外径との間に設けられたガスケット;および前記電池缶の開放部を封止する密封体;を含むバッテリーセル。
【請求項16】
前記第1の電極は、前記電池缶と電気的に接続され、前記第2の電極は、前記電極端子と電気的に接続され、前記密封体は、前記電池缶から絶縁可能である、請求項15に記載のバッテリーセル。
【請求項17】
請求項15に記載のバッテリーセルを少なくとも1つ含む、バッテリーパック。
【請求項18】
請求項17に記載のバッテリーパックを少なくとも1つ含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月8日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0045993号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体、バッテリーセル、バッテリーパック、および自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適用容易性が高く、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に応用されている。
【0004】
このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減らすことができるという一次的な利点だけでなく、エネルギーの使用による副産物が全く発生しないという利点も有するため、環境にやさしく、またエネルギー効率性の向上のための新しいエネルギー源として注目されている。
【0005】
現在広く使用されている二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セルの動作電圧は、約2.5V~4.5Vである。したがって、これより高い出力電圧が求められる場合、複数のバッテリーセルを直列に連結してバッテリーパックを構成することもある。また、バッテリーパックに要求される充放電容量に応じて複数のバッテリーセルを並列接続してバッテリーパックを構成することもできる。従って、前記バッテリーパックに含まれるバッテリーセルの数および電気的な連結形態は、要求される出力電圧および/または充放電容量に応じて様々に設定されることができる。
【0006】
一方、二次電池セルの種類として、円筒形、角形、ポーチ型のバッテリーセルが知られている。前記バッテリーセルは円筒形のバッテリーセルであってもよい。前記バッテリーセルは、陽極と陰極との間に絶縁体の分離膜を介し、これを巻き取ってゼリーロール状の電極組立体を形成し、これを電解質とともに電池缶の内部に挿入して電池を構成する。そして、陽極および陰極のそれぞれの無地部には、ストリップ状の電極タブが連結されることがあり、電極タブは、電極組立体と外部に露出される電極端子との間を電気的に接続する。ちなみに、陽極の電極端子は、電池缶の開放口を封止する密封体のキャッププレートであり、陰極の電極端子は、電池缶である。
【0007】
ところで、このような構造を有する従来のバッテリーセルによると、陽極無地部および/または陰極無地部と結合されるストリップ状の電極タブに電流が集中するため、抵抗が大きく、熱が多く発生し、集電効率がよくないという問題があった。
【0008】
18650または21700のフォームファクタを有する小型の円筒形バッテリーセルは、抵抗と発熱が大きな問題にはならない。しかし、円筒形バッテリーセルを電気自動車に適用するためにフォームファクタを増加させる場合、急速充電の過程で電極タブの周りに多くの熱が発生し、円筒形バッテリーセルが発火するという問題が発生する可能性がある。
【0009】
このような問題を解決するために、ゼリーロールタイプの電極組立体の上端および下端にそれぞれ陽極無地部および陰極無地部が位置するように設計し、このような無地部に集電プレートを溶接して集電効率が改善された構造を有するバッテリーセル(いわゆるタブ-レス(Tab-less)バッテリーセル)が提示された。
【0010】
図1から図4は、タブ-レスバッテリーセルの製造工程を示す図である。図1は電極板の構造を示し、図2は電極板の巻き取り工程を示し、図3は無地部の折り曲げ面に集電プレートが溶接される工程を示す。図4は、タブ-レスバッテリーセルを長手方向Yに切った断面図である。
【0011】
第1の電極は陰極であり、第2の電極は陽極であってよく、前記陰極は陰極板、前記陽極は陽極板を含んでもよい。
【0012】
図1から図4を参照すると、陽極板10と陰極板11とは、シート状の集電体20に活物質21がコーティングされた構造を有し、巻取方向Xに沿って一側の長辺側に無地部22を含む。
【0013】
電極組立体Aは、陽極板10と陰極板11を、図2に示すように、2枚の分離膜12とともに順次に積層させた後、一方向Xに巻き取って作製する。このとき、陽極板10と陰極板11の無地部は、逆方向に配置される。
【0014】
巻き取り工程の後、陽極板10の無地部10aと陰極板11の無地部11aとは、コア側へと折り曲げられる。その後には、無地部10a、11aに集電プレート30、31をそれぞれ溶接して結合させる。
【0015】
陽極無地部10aと陰極無地部11aには、別途の電極タブが結合されておらず、集電プレート30、31が外部の電極端子と接続され、電流パスが電極組立体Aの巻取軸の方向(矢印参照)に沿って大きな断面積で形成されるため、バッテリーセルの抵抗を下げることができるという長所がある。抵抗は、電流が流れる通路の断面積に反比例するからである。
【0016】
しかし、円筒形バッテリーセルのフォームファクタが増加し、急速充電時の充電電流の大きさが大きくなると、タブ-レスバッテリーセルでも発熱の問題が再び発生する。
【0017】
具体的には、従来のタブ-レスバッテリーセル40は、図4に示すように、電池缶41と密封体42を含む。密封体42は、キャッププレート42a、密封ガスケット42b、および連結プレート42cを含む。密封ガスケット42bは、キャッププレート42aの縁を包み込み、クリンピング部43によって固定される。また、電極組立体Aは、上下流動を防止するために、ビーディング部44によって電池缶41の内に固定される。
【0018】
通常、陽極端子は、密封体42のキャッププレート42aであり、陰極端子は電池缶41である。したがって、陽極板10の無地部10aに結合された集電プレート30は、ストリップ状のリード45を介してキャッププレート42aに取り付けられた連結プレート42cに電気的に連結される。また、陰極板11の無地部11aに結合された集電プレート31は、電池缶41の底部に電気的に連結される。インシュレーター46は、集電プレート30をカバーし、極性の異なる電池缶41と陽極板10の無地部10aとが互いに接触して短絡を起こすことを防止する。
【0019】
集電プレート30が連結プレート42cに連結されるときには、ストリップ状のリード45が使用される。リード45は、集電プレート30に別途取り付けるか、集電プレート30と一体に作製される。ところで、リード45は厚みの薄いストリップ状であるため、断面積が小さく、急速充電の電流が流れる場合に熱が多く発生する。また、リード45から発生した過剰な熱は、電極組立体A側に伝達され、分離膜12を収縮させることにより、熱暴走の主な原因である内部短絡を起こす恐れがある。
【0020】
さらに、従来のタブ-レスバッテリーセル40を直列および/または並列に連結するためには、密封体42のキャッププレート42aと電池缶41の底面にバスバーの部品を連結する必要があるため、空間効率性に劣る。電気自動車に搭載されるバッテリーパックは、数百個のバッテリーセル40を含む。したがって、電気的な配線の非効率性は、電気自動車の組み立て過程、そしてバッテリーパックのメンテナンスの時にもかなりの煩雑さを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の技術的課題は、電極組立体の電極は、分離膜に固定される固定部を備えることで、電極組立体のコア領域に陰極タブが結合された構造を有することなく、高温による分離膜の収縮現象を防止することにある。
【0022】
本発明の他の技術的課題は、上述した従来技術の背景下で創設されたものであり、バッテリーセルの電極端子の構造を改善して電池缶内の空間効率性を向上させることにより、バッテリーセルの内部抵抗を下げ、エネルギー密度を増加させることにある。
【0023】
本発明の他の技術的課題は、バッテリーセルの電極端子の構造を改善して電流パスの断面積を拡大することによって、急速充電の時に生じる内部発熱の問題を改善することを目的とする。
【0024】
本発明のまた他の技術的課題は、バッテリーセルの直列および/または並列接続のための電気配線の作業をバッテリーセルの一側で行うことができる改良された構造のバッテリーセルを提供することにある。
【0025】
本発明のまた他の技術的課題は、改善された構造を有するバッテリーセルを用いて製造されたバッテリーパックとそれを含む自動車を提供することにある。
【0026】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述の課題に限定されず、言及されていない他の課題は、以下に記載される発明の説明から当業者には明確に理解されるのであろう。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の一実施形態は、第1の電極、分離膜および第2の電極が積層されて巻き取られた電極組立体であって、前記第1の電極および第2の電極の少なくとも一つは、集電体および前記集電体上に設けられた電極活物質層を含み、前記第1の電極は、前記電極活物質層であって、前記電極組立体の巻取中心部に最も近い縁部に設けられ、前記分離膜の少なくとも一部に固定される固定部を含む、電極組立体を提供する。
【0028】
本発明の他の一実施形態は、前述の実施形態による電極組立体;前記電極組立体を収納する一側に開放部を有する電池缶;前記電池缶の底部に形成された貫通孔を通じてリベットされた電極端子;前記電極端子と前記貫通孔の外径との間に設けられたガスケット;および前記電池缶の開放部を封止する密封体を含むバッテリーセルを提供する。
【0029】
本発明のまた他の一実施形態は、上述の実施形態によるバッテリーセルを含むバッテリーパックを提供する。
【0030】
本発明のまた他の一実施形態は、上述の実施形態によるバッテリーパックを含む自動車を提供する。
【発明の効果】
【0031】
バッテリーセルは、電極組立体の外径が小さい場合、内部の熱が外部に逃げる際に無理はないが、高容量高出力を必要とするバッテリーセルは、電極組立体の外径が大きくなることで、熱がコアから外側の方向へと逃げる速度が遅くなる。
【0032】
このようにコアから熱がうまく抜け出せない場合、熱放出の速度の低下によりコア部分で高温による分離膜の収縮が起こり、それによって、分離膜が陽極と陰極との間で正常な機能を果たすことができない状況が発生する可能性がある。
【0033】
円筒型バッテリーセルの場合、コア部分に陰極タブが結合される場合もあり、この場合、コアから分離膜が熱ダメージを受けて収縮が発生しても、陰極タブが物理的に分離膜を固定させる機能をすることができる。
【0034】
しかし、このように分離膜の収縮を物理的に妨害することができる陰極タブが適用されていない電極組立体の場合、分離膜の収縮に伴う問題の発生に脆弱であり得る。
【0035】
本発明の一側面によると、電極組立体の電極に分離膜と固定される固定部を備えることにより、電極組立体のコア領域に陰極タブが結合された構造を有することなく、高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0036】
本発明の他の側面によると、前記のような高温安全性の問題を解決することにより、バッテリーセルのサイズを大きくすることができ、これはバッテリーセルの電極端子の構造を改善し、電池缶内の空間効率性を高め、内部抵抗を下げ、エネルギー密度を高めることによって具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本明細書に添付した以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに解りやすくする役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限られて解釈されてはならない。
【0038】
図1】従来のタブ-レスバッテリーセルに用いられる電極板の構造を示す平面図である。
図2】従来のタブ-レスバッテリーセルに含まれる電極組立体の巻き取り工程を示す図である。
図3図2の電極組立体における無地部の折り曲げ面に集電プレートが溶接される工程を示す図である。
図4】従来のタブ-レスバッテリーセルを長手方向Yに切断した断面図である。
図5】本発明の実施形態による電極組立体の非巻き取り状態を示す図である。
図6図5による電極組立体を示す正面図である。
図7図5による電極組立体を示す平面図である。
図8】本発明の実施形態による電極端子のリベット構成を示す断面図である。
図9図8の点線の丸で示す部分の拡大断面図である。
図10】本発明の一実施形態によるバッテリーセルを長手方向Yに沿って切断した断面図である。
図11】本発明の好ましい実施形態による電極板の構造を例示的に示す平面図である。
図12】本発明の実施形態による電極板の無地部の分節構造を第1の電極板および第2の電極板に適用した電極組立体を長手方向Yに沿って切断した断面図である。
図13】本発明の一実施形態によって無地部が折り曲げられた電極組立体を長手方向Yに沿って切断した断面図である。
図14】本発明の一実施形態によるバッテリーセルを含むバッテリーパックの概略構成を示す図である。
図15】本発明の実施形態によるバッテリーパックを含む自動車の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立って、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語または単語は、通常の意味または辞書的な意味に限定して解釈されるべきではなく、発明者はその発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に即して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されなければならない。
【0040】
従って、本明細書に記載された実施形態および図面に示される構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらを置き換えることができる様々な均等物と変形例があり得ることを理解すべきである。
【0041】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0042】
また、本明細書に記載の「…部」は、少なくとも1つの機能や動作などを処理する単位を意味する。なお、明細書の全体において「AからB」とは、A以上B以下を意味するものであり、AとBの両方を含む数値範囲を意味する。以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0043】
また、本発明を理解しやすくするために、添付の図面は、実際の寸法で示されているのではなく、いくつかの構成要素の寸法が誇張して示されることがある。また、相違する実施形態において、同一の構成要素には同一の参照番号を付与することができる。
【0044】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0045】
本発明の一実施形態は、第1の電極2、分離膜4、5および第2の電極3が積層されて巻き取られた電極組立体であって、前記第1の電極2および第2の電極3のうち少なくとも1つは、集電体91および前記集電体上に設けられた電極活物質層92を含み、前記第1の電極は、前記電極活物質層92に設けられ、前記電極組立体の巻き取り中心部に最も近い縁部6に設けられ、前記分離膜4、5の少なくとも一部に固定される固定部7を含む電極組立体を提供する。
【0046】
前記電極活物質層92は、電極の集電体91上にコーティングされて設けられてもよい。
【0047】
一例によると、前記第1の電極2は、第2の電極3よりも大きく設けられてもよく、第1の電極活物質層は、第2の電極活物質層よりも大きく設けられてもよい。
【0048】
前記固定部7は、前記電極活物質層92に設けられ、前記電極組立体の巻取中心部に最も近い縁部6に設けられてもよい。
【0049】
前記固定部7が前記電極活物質層を備えていない無地部に設けられる場合、前記無地部を作るために価格競争力が低下する可能性がある。前記固定部7は、前記電極活物質層92に設けられるため、価格競争力があり、高温による分離膜の収縮現象を防止することができて有利である。
【0050】
前記巻き取り中心部とは、積層された電極と分離膜とを巻き取り始める位置を意味し、前記電極組立体のコア領域に設けられてもよい。
【0051】
前記巻取中心部に最も近い縁部6は、前記電極の巻取軸方向に設けられる2つの縁部のうち、前記巻取中心部0側に設けられる部分を意味する。
【0052】
前記分離膜4は、第1の電極2と第2の電極3との間に設けられ、前記固定部7に少なくとも一部が固定されてもよい。前記固定部7に前記分離膜4が固定されることにより、陰極タブが結合された構造を有しない電極組立体でも、高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0053】
また、高温安全性の問題を解決することで、バッテリーセルのサイズを増加させることができ、これはバッテリーセルの電極端子の構造を改善して電池缶内の空間効率性を高め、内部抵抗を下げ、エネルギー密度を高めることによって具現されることができる。
【0054】
図5は、本発明の実施形態による電極組立体の非巻き取り状態1を示す図である。
【0055】
図5を参照すると、本発明の実施形態による電極組立体であって、第1の電極2、分離膜4、5および第2の電極3が積層され、非巻き取り状態1であるもので、前記分離膜4、5は、第1の分離膜4および第2の分離膜5を含んでもよい。好ましくは、前記第1の電極2が前記第2の電極3よりも大きく、前記分離膜4、5は、第1の電極2および第2の電極3よりも大きくなければならない。ここでサイズが大きいとは、巻取軸に対して垂直な電極組立体の長手方向により長く設けられることができることを意味する。
【0056】
前記固定部7は、第1の電極の活物質層に設けられ、前記電極組立体の巻取中心部に最も近い縁部6に設けられ、分離膜4、5の少なくとも一部に固定される。
【0057】
図6および図7は、それぞれ図5による電極組立体を示す正面図と平面図である。
【0058】
図6および図7を参照すると、本発明の実施形態による電極組立体の非巻き取り状態1の一例を図示したもので、前記固定部7は、前記第1の電極2において前記電極組立体の巻取中心部に最も近い活物質層の縁部6に設けられ、前記固定部7は、前記分離膜4、5の一部に分離されないように固定される。
【0059】
一実施形態によると、前記電極組立体は、前記活物質層を備えない無地部(第1の電極無地部8、第2の電極無地部9)を含み、前記電極組立体の巻取軸の一端部側に設けられた前記集電体の縁部に前記無地部8、9が備えられてもよい。
【0060】
前記無地部8、9は、前記第1の電極2および第2の電極3において、前記電極組立体の巻取軸の一端部側に設けられてもよい。一例によると、前記無地部8、9は、電極組立体の両側端部から延びて露出されてもよい。好ましくは、第1の電極の無地部8と前記第2の電極の無地部9は、前記電極組立体の両側端部にそれぞれ反対方向に設けられてもよい(図7参照)。
【0061】
前記無地部8、9が電極組立体の両端から延びて露出して集電プレート78、79と電気的に接続されることで、内部抵抗を下げてエネルギー密度を増加させることができ、電極組立体にタブやリードが結合された構造を有さなくても、高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0062】
前記電極活物質層92は、前記無地部8、9を除いた領域に設けられてもよい。一例によると、前記電極活物質層92は、前記集電体の縁部において無地部が設けられた縁部を除いた領域に設けられてもよい。また、前記電極活物質層92は、電極組立体の両側端部から延びたり、露出されたりすることができず、第1の電極活物質層と第2の電極活物質層は、分離膜4を介して互いに重なることがない。
【0063】
一実施形態によると、前記分離膜4、5は、前記第1の電極2と前記第2の電極3との間に設けられた第1の分離膜4および前記第1の電極の前記第1の分離膜と対向する面の反対面に設けられた第2の分離膜5を含み、前記第1の分離膜4および前記第2の分離膜5の少なくとも一つは、前記固定部7に固定される。
【0064】
一例によると、前記第1の分離膜4は、第1の電極2と第2の電極3との間に設けられ、前記固定部7に固定されてもよく、前記第2の分離膜5は、前記第1の電極2との前記第1の分離膜4と対向する面の反対面に設けられ、前記固定部7に固定されてもよい。
【0065】
前記固定部7は、前記第1の電極2の一側に設けられ、前記第1の分離膜4に固定されるか、前記第1の電極2の他側に設けられ、前記第2の分離膜5に固定されてもよい。好ましくは、前記第1の電極2の一側および他側にも設けられ、前記第1の分離膜4および第2の分離膜5に固定されてもよい。
【0066】
電極組立体の電極において分離膜4、5に固定される固定部7を設けることにより、高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0067】
また、前記第1の電極2の一側および/または他側に設けられた前記固定部7が第1の分離膜2および第2の分離膜3に固定されることにより、バッテリーセルのサイズを増加させることができ、このようなバッテリーセルでも高温による分離膜の収縮現象を効果的に防止することができる。
【0068】
一実施形態によると、前記固定部7は、前記電極組立体の非巻き取り状態1で前記第2の電極3と重ならない。
【0069】
前記電極組立体の非巻き取り状態1は、第1の電極2、分離膜4および第2の電極3が積層された状態であり、前記第1の電極2は、前記第2の電極3より大きく備えられてもよい。前記第1の電極2が前記第2の電極3より大きく設けられることは、巻取軸の垂直な電極組立体の長手方向Yへと、前記第1の電極2が前記第2の電極3より長く設けられることを意味する。このとき、分離膜4は、前記第1の電極2および前記第2の電極3より長く設けなければならない。
【0070】
前記固定部7は、前記電極組立体の巻取中心部に最も近い縁部6に設けられてもよく、図6を参照すると、前記電極組立体の積層された状態で固定部7は前記第2電極3と重ならないように設けられてもよい。
【0071】
前記固定部7が前記第2の電極3と重ならないことにより、前記電極組立体の充填時にも分離膜の損傷を防止し、電池の寿命の減少を防止することができる。
【0072】
一実施形態によると、前記固定部の幅7Wは、12mm以下、11.5mm以下、11mm以下、10.5mm以下、または10mm以下であってもよい。また、前記固定部の幅7Wは、2mm以上、3mm以上、または4mm以上であってもよい。前記固定部の幅7Wは、前記範囲で分離膜4、5に固定され、高温でも分離膜の収縮を防止することができる。一例によると、前記固定部の幅7Wは、巻芯80の外周面に対して15%~65%であってもよい。前記固定部の幅7Wは、巻芯80の外周面に対して15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、または35%以上であってもよい。前記固定部の幅7Wは、巻芯80の外周面に対して65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下であってもよい。
【0073】
前記巻芯80の外周面は、電池の大きさによって異なるように設定することができ、これにより固定部の幅7Wを前記範囲で分離膜4、5に固定され、高温で分離膜の収縮を防止することができる。
【0074】
前記固定部の幅7Wとは、前記電極組立体の非巻き取り状態1で第2の電極3と重ならない部分の長さを意味する。前記固定部の幅7W以内の範囲で固定部7が分離膜4、5に固定されることができ、これにより高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0075】
一例によると、前記固定部7を除いた部分では、前記第1の電極2、前記分離膜4、5および前記第2の電極3が固定されていなくてもよい(図6参照)。従って、巻き取り時にひだやしわの発生を抑制し、巻き取りを容易にすることができる。
【0076】
前記第1の電極2は陰極であり、前記第2の電極3は陽極であってもよい。
一実施形態によると、前記固定部7は、ラミネートテープであってもよい。前記ラミネートテープは、少なくとも一面にラミネートが可能な接着層を有するテープであってもよく、両面にラミネート可能な接着層を有するテープであってもよい。
【0077】
前記ラミネートとは、高温で接着力を有するものであり、ラミネートテープの接着層に熱を加えて滑らかにして接着力を有することを意味する。
【0078】
前記ラミネートテープは、前記分離膜4、5の少なくとも一部に固定されてもよい。
【0079】
前記固定部7は、分離膜に固定されるものであれば、その大きさ、形状、または種類に制限はなく、例えば両面テープであってもよい。一例によると、前記両面テープは、両面とも接着力を有するものでもよく、前記分離膜の少なくとも一部に接着して固定されてもよい。
【0080】
一実施形態によると、前記ラミネートテープの熱分解温度は、180℃以上、190℃以上、200℃以上、210℃以上、220℃以上、230℃以上、または240℃以上であってもよい。前記ラミネートテープの熱分解温度は、320℃以下、310℃以下、300℃以下、290℃以下、280℃以下、または270℃以下であってもよい。
【0081】
前記ラミネートテープの熱分解温度は、基材の種類によって異なるように設定されることができ、前記範囲を満たすとき、前記ラミネートテープの熱分解温度が分離膜の融点より高く、分離膜が溶融する前までに前記ラミネートテープを分離膜に固定して、分離膜の収縮を防止することができる。
【0082】
一実施形態によると、前記ラミネートテープの常温での接着力は、20gf/100mm~40gf/100mm、23gf/100mm~37gf/100mm、または25gf/100mm~35gf/100mmであってもよい。例えば、前記ラミネートテープの常温での接着力は、20gf/100mm以上、23gf/100mm以上、25gf/100mm以上、27gf/100mm以上、または29gf/100mm以上であってもよい。前記ラミネートテープの常温での接着力は、40gf/100mm以下、37gf/100mm以下、35gf/100mm以下、33gf/100mm以下、または31gf/100mm以下であってもよい。前記範囲を満たす場合、前記ラミネートテープが前記分離膜4、5に固定され、高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0083】
一例によると、前記ラミネートテープは、一定温度以上で接着力を有する。一定温度以上で接着力を有するとは、前記ラミネートテープの接着層に熱を加えて滑らかにし、接着力を有することを意味し、前記接着力は、電極の工程性を考慮して調節されてもよい。このとき、ラミネートテープは、常温の接着力より高い接着力を有してもよく、前記分離膜4、5に固定され、高温でも分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0084】
前記ラミネートテープは、約40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、または65℃以上で接着力を有してもよい。一例によると、前記ラミネートテープは、好ましくは約50℃以上、より好ましくは60℃以上で接着力を有してもよい。前記範囲を満たすと、前記ラミネートテープの接着力が発揮することができ、これは、バッテリーセルの工程において固定部7が分離膜4、5に固定される温度範囲を設定することができるため、有利である。
【0085】
一実施形態によると、前記ラミネートテープの接着力の変化率は、下記式1を満たすことができる。
[式1]
0.8≦[X1/X2]×100(%)≦1.2
前記式1において、X1は23℃にて20分放置した時のラミネートテープの接着力であり、X2は23℃にて20分放置した後65℃にて20分保管した時のラミネートテープの接着力である。
【0086】
前記X1は、23℃にて20分放置した時のラミネートテープの接着力であり、常温でのラミネートテープの接着力であってもよい。前記X2は、23℃にて20分放置した後65℃にて20分保管した時のラミネートテープの接着力であり、ラミネート後のラミネートテープの接着力であってもよい。
【0087】
前記ラミネートは、ラミネートテープの接着層に熱を加えて滑らかにし、接着力を有することをいい、ラミネート工程によって進行することができる。
【0088】
前記範囲内でラミネートテープは、前記ラミネートの前後にも接着力を維持することができ、分離膜4、5に固定されて高温による分離膜の収縮現象を防止することができる。
【0089】
ラミネートテープの接着力の測定方法について、前記X1は、23℃にて20分放置した時のラミネートテープの接着力を意味し、SUS304基板に前記ラミネートテープの接着層を2kgのゴムローラで1回往復して圧着し、23℃にて20分放置した後、前記有色ポリイミドでバックプレートフィルムを180°の角度および300mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer(Stable Micro Systems社)を用いて測定することができる。
【0090】
なお、前記X2は、23℃にて20分放置した後65℃にて20分保管した時のラミネートテープの接着力を意味し、SUS304基板に前記ラミネートテープの接着層を2kgのゴムローラで1回往復して圧着し、23℃にて20分放置し、65℃にて20分保存後、前記有色ポリイミドでバックプレートフィルムを180°の角度および300mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer(Stable Micro Systems社)を用いて測定した。
【0091】
一実施形態によると、前記固定部7は、前記電極組立体の巻取軸方向に互いに対向する縁部側に設けられた2つの点、および前記2つの点の間に設けられた1つの点で、前記分離膜の少なくとも一部と固定される。前記固定部7において前記2つの点および前記1つの点は、前記分離膜4、5に固定されるための最小の部分であり得、分離膜に固定されるものであれば、その大きさおよび形状は制限されない。
【0092】
一例によると、前記2つの点と前記1つの点とを含む3つの点は、前記固定部7内に設けられ、離隔している3つ以上の部分を含むか、離隔せずに面積からなるものであっても、前記分離膜4、5に固定されるものであれば、位置や面積に特に限定されない。
【0093】
一実施形態によると、前記固定部7は、前記電極組立体の巻取軸方向の長さ40%以上、50%以上、または60%以上が前記分離膜に固定されてもよい。この範囲内で、前記固定部7が前記分離膜4、5に分離されず、固定されることができ、高温での分離膜の収縮を防止することができる。
【0094】
前記電極組立体の巻取軸方向の長さは、前記巻取軸方向の縁部の長さであるか、前記電極組立体の巻取軸方向に対向する縁部の間の長さであってもよい。また、前記電極組立体の巻取軸方向の長さの40%以上は、連続した長さ範囲であるか、連続していない長さの範囲であってもよい。
【0095】
本発明の一実施形態は、本発明の実施形態による電極組立体71;前記電極組立体を収納する一側に開放部を有する電池缶51;前記電池缶の底部に形成された貫通孔を通ってリベットされた電極端子50;前記電極端子と前記貫通孔の外径との間に設けられたガスケット54;および前記電池缶の開放部を封止する密封体74を含むバッテリーセル70を提供する。一例として、電池缶の底部にリベットされた電極端子は、リベット構造であってもよい。
【0096】
前記バッテリーセル70は、本発明の実施形態による電極組立体71を含むことにより、高温による分離膜の収縮現象を防止することができ、高温安全性の問題を解決してバッテリーセル70のサイズを増加させることができる。
【0097】
また、前記バッテリーセル70の電極端子の構造を改善することにより、電池缶51内の空間効率性を高め、内部抵抗を下げ、エネルギー密度を増加させることで、バッテリーセル70のサイズの増加を具現することができる。
【0098】
一実施形態によると、前記第1の電極2は、前記電池缶51と電気的に接続され、前記第2の電極3は、前記電極端子50と電気的に接続され、前記密封体74は、前記電池缶51から絶縁可能である。
【0099】
図8は、本発明の一実施形態による電極端子50のリベット構造を示す断面図であり、図9は、点線の丸で示した部分の拡大断面図である。
【0100】
図8および図9を参照すると、実施形態による電極端子50のリベット構造は、一側が開放された円筒形の電池缶51と、電池缶51の底部52に形成された貫通孔53を介してリベットされた電極端子50と、電極端子50と貫通孔53の外径との間に設けられたガスケット54とを含んでもよい。
【0101】
電池缶51は導電性金属材質からなる。一例において、電池缶51はスチール材質からなり得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0102】
電極端子50は導電性金属材質からなる。一例において、電極端子50はアルミニウムからなることができるが、本発明はこれに限定されるのではない。
【0103】
ガスケット54は、絶縁性および弾性のある高分子樹脂からなってもよい。一例において、ガスケット54は、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化エチレンなどからなってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0104】
好ましくは、電極端子50は、貫通孔53に挿入された胴体部50a、電池缶51の底部52の外部面52aを介して露出された胴体部50aの一側の周りから外部面52aに沿って延びた外部フランジ部50bおよび電池缶51の底部52の内部面52bを介して露出された胴体部50aの他側の周りから内部面52bに向かって延びた内部フランジ部50cおよび内部フランジ部50cの内側に設けられた平坦部50dを含んでもよい。
【0105】
好ましくは、平坦部50dと電池缶51の底部52の内部面52bとは、互いに平行であってもよい。ここで、「平行」とは、肉眼で観察したときに実質的に平行であることを意味する。
【0106】
一側面によると、内部フランジ部50cと電池缶51の底部52の内部面52bとの間の角度θは、0°から60°以下であってもよい。角度の大きさは、カシメ工法にて電極端子50が電池缶51の貫通孔53に設置されるとき、カシメ強度によって決定される。一例として、カシメ強度が増加するほど、角度θは0°まで減少することができる。角度が60°を超えると、ガスケット54のシーリング効果が低下する可能性がある。
【0107】
他の側面によると、内部フランジ部50cと平坦部50dとの間にリセス部55が設けられてもよい。リセス部55は、非対称溝の断面構造を有してもよい。一例として、非対称溝は略V字形であってもよい。非対称溝は、平坦部50dの側壁55aと、前記側壁55aの端部と連結された内部フランジ部50cの傾斜面55bとを含んでもよい。前記側壁55aは、電池缶51の底部52の内部面52bと実質的に垂直であってもよい。「垂直」とは、肉眼で観察したときに実質的に垂直な場合を意味する。リセス部55は、カシメ工法にて、電極端子50が電池缶51の貫通孔53に設けられるときに、カシメ治具の形状によって作られたものである。
【0108】
好ましくは、内部フランジ部50cの厚さは、電極端子50の胴体部50aから離れるほど減少してもよい。
【0109】
他の側面によると、ガスケット54は、外部フランジ部50bと電池缶51の底部52の外部面52aとの間に介在した外部ガスケット部54aと、内部フランジ部50cと電池缶51の底部52の内部面52bとの間に介在された内部ガスケット部54bを含んでもよい。
【0110】
外部ガスケット部54aと内部ガスケット部54bとは、厚さが位置によって異なってもよい。好ましくは、内部ガスケット部54bの領域のうち、電池缶51の底部52の内部面52bと連結された貫通孔53の内側エッジ56と内部フランジ部50cとの間に介在された領域の厚さが相対的に小さくてもよい。好ましくは、貫通孔53の内側エッジ56と内部フランジ部50cとの間に介在したガスケット領域に最小厚さの地点が存在してもよい。また、貫通孔53の内側エッジ56は、内部フランジ部50cと向かい合う対向面57を含んでもよい。
【0111】
一方、電池缶51の底部52と垂直を成す貫通孔53の内壁の上端と下端は、電極端子50に向かってテーパ状の表面を形成するように面取り(corner cutting)されている。しかし、貫通孔53の内壁の上端および/または下端は、曲率を持った滑らかな曲面に変形されてもよい。この場合、貫通孔53の内壁の上端および/または下端の付近でガスケット54に加わるストレスをより緩和することができる。
【0112】
好ましくは、内部ガスケット部54bは、電池缶51の底部52の内部面52bと0°から60°の角度を成して内部フランジ部50cより長く延びてもよい。
【0113】
また他の側面において、電池缶51の底部52の内部面52bを基準にして平坦部50dの高さH1が内部ガスケット部54bの端部の高さH2と同じであるか、より大きくてもよい。
【0114】
また、電池缶51の底部52の内部面52bを基準にして平坦部50dの高さH1が内部フランジ部50cの端部の高さH3と同じであるか、より大きくてもよい。
【0115】
高さパラメータであるH1、H2、H3が前記の条件を満たすと、内部フランジ部50cと内部ガスケット部54bとが他の部品と干渉することを防止することができる。
【0116】
また他の側面では、電極端子50の胴体部50aの中心から外部フランジ部50bの縁までの半径R1は、電池缶51の底部52の半径R2を基準として10%から60%であってもよい。
【0117】
R1が小さくなると、電極端子50に電気配線部品(バスバー)を溶接する際に溶接空間が不足する。また、R1が大きくなると、電極端子50を除いた電池缶51の底部52の外部面52aに電気配線部品(バスバー)を溶接する際に溶接空間が減少する。
【0118】
割合R1/R2を10%から60%の間で調節すると、電極端子50および電池缶51の底部52の外部面に対する溶接空間を適切に確保することができる。
【0119】
また、電極端子50の胴体部50aの中心から平坦部50dの縁までの半径R3は、電池缶51の底部52の半径R2を基準として4から30%であってもよい。
【0120】
R3が小さくなると、電極端子50の平坦部50dに集電プレート(図10の79参照)を溶接する際に溶接空間が不足し、電極端子50の溶接面積が減少してコンタクト抵抗が増加する恐れがある。また、R3はR1よりは小さい必要があり、R3が大きくなると内部フランジ部50cの厚さが薄くなって、内部フランジ部50cがガスケット54を圧着する力が弱くなり、ガスケット54のシーリング能力が低下することがある。
【0121】
R3/R2を4%から30%の間で調節すると、電極端子50の平坦部50dと集電プレート(図10の79)の溶接面積を十分に確保することで、溶接工程を容易に進めることができるだけでなく、溶接領域のコンタクト抵抗を低減することができ、ガスケット54のシーリング能力の低下を防止することができる。
【0122】
本発明の一実施形態によると、電極端子50のリベット構造は、上下運動を行うカシメ治具を用いて形成してもよい。まず、電池缶51の底部52に形成された貫通孔53にガスケット54を介在させて電極端子50のプレフォーム(図示せず)を挿入する。プレフォームは、リベットされる前の電極端子を指す。
【0123】
次に、カシメ治具を電池缶51の内側空間に挿入する。カシメ治具は、プレフォームをリベットして電極端子50を形成するために、プレフォームと対向する面に電極端子50の最終形状に対応する溝と突起を有する。
【0124】
次に、カシメ治具を下部に移動させてプレフォームの上部を加圧フォーミングし、プレフォームをリベットされた電極端子50に変形させる。
【0125】
カシメ治具によりプレフォームが加圧される間、外部フランジ部50bと電池缶51の底部52の外部面52aとの間に介在した外部ガスケット部54aが弾性的に圧縮されることで、その厚さが減少する。また、貫通孔53の内側エッジ56とプレフォームとの間に介在した内部ガスケット部54bの部位が内部フランジ部50cによって弾性的に圧縮されて他の領域より厚さがさらに減少する。特に、内部ガスケット部54bの厚さが集中的に減少する領域は、図9の点線の丸で示された部分である。これにより、リベットされた電極端子50と電池缶51との間のシーリング性および密閉性が著しく向上する。
【0126】
好ましくは、ガスケット54は、プレフォームがリベットされる過程で物理的に損傷することなく、所望のシーリング強度を確保できるように十分圧縮されることが好ましい。
【0127】
一例において、ガスケット54がポリブチレンテレフタレートからなる場合、ガスケット54は、それが最小の厚さに圧縮される地点で圧縮率が50%以上であることが好ましい。圧縮率は、圧縮前の厚さに対する圧縮前後の厚さの変化の割合である。
【0128】
他の例において、ガスケット54がポリフルオロエチレンからなる場合、ガスケット54は、それが最小の厚さに圧縮される地点で圧縮率が60%以上であることが好ましい。
【0129】
また他の例において、ガスケット54がポリプロピレンからなる場合、ガスケット54は、それが最小の厚さに圧縮される地点で圧縮率が60%以上であることが好ましい。
【0130】
好ましくは、カシメ治具の上下移動を少なくとも2回以上実施してプレフォーム上部の加圧フォーミングを段階的に進行することができる。すなわち、プレフォームを段階的に加圧フォーミングして複数回にわたって変形することができる。このとき、カシメ治具にかかる圧力を段階的に増加させることができる。このようにすると、プレフォームに加わる応力を複数回に分散させることで、カシメ工程が進行される間にガスケット54が損傷するのを防止することができる。特に、貫通孔53の内側エッジ56とプレフォームとの間に介在した内部ガスケット部54bの部位が内部フランジ部50cによって集中的に圧縮されるとき、ガスケットの損傷が最小化される。
【0131】
カシメ治具を用いたプレフォームの加圧フォーミングが完了した後、カシメ治具を電池缶51から分離すると、図9に示すように、本発明の実施形態による電極端子50のリベット構造が得られる。
【0132】
上述の実施形態によると、カシメ治具は、電池缶51の内部で上下運動を介してプレフォームの上部を加圧フォーミングする。場合によって、プレフォームの加圧フォーミングのために従来技術で使用されるロータリー(rotary)回転治具が使用されてもよい。
【0133】
ただし、ロータリー回転治具は、電池缶51の中心軸を基準にして所定角度傾斜した状態で回転運動をする。したがって、回転半径の大きいロータリー回転治具は、電池缶51の内壁と干渉を起こすことがある。また、電池缶51の深さが大きい場合、ロータリー回転治具の長さもそれだけ長くなる。この場合、ロータリー回転治具の端部の回転半径が大きくなって、プレフォームの加圧フォーミングがきちんと行われない場合がある。従って、カシメ治具を用いた加圧フォーミングが、ロータリー回転治具を用いた方式より効果的である。
【0134】
上述した本発明の実施形態による電極端子50のリベット構成は、バッテリーセルに適用可能である。
【0135】
一例において、前記バッテリーセルは、電池缶51を含んでもよい。前記電池缶は円筒形であってもよい。その大きさは、両端の円形の直径が30mm~55mm、高さが60mm~120mmであってもよい。好ましくは、円筒形電池缶の円形直径×高さは、46mm×60mm、46mm×80mm、46mm×90mm、または46mm×120mmであってもよい。
【0136】
好ましくは、円筒形バッテリーセルは、例えば、フォームファクタの比(円筒形バッテリーセルの直径を高さで割った値、すなわち高さ(H)対直径(Φ)の比で定義される)が約0.4より大きい円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0137】
ここで、フォームファクタとは、円筒形バッテリーセルの直径および高さを示す値を意味する。本発明の一実施形態による円筒形バッテリーセルは、例えば、46110セル、48750セル、48110セル、48800セル、46800セル、46900セルであってもよい。フォームファクタを表す数値において、前の2つの数字はセルの直径を表し、その次の2つの数字はセルの高さを表し、最後の数字の0はセルの断面が円形であることを示す。
【0138】
本発明の一実施形態によるバッテリーセルは、略円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さは約110mmであり、フォームファクタの比は0.418の円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0139】
他の実施形態によるバッテリーセルは、略円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さは約75mmであり、フォームファクタの比は0.640の円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0140】
また他の実施形態によるバッテリーセルは、略円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さは約110mmであり、フォームファクタの比は0.418である円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0141】
また他の実施形態によるバッテリーセルは、略円柱状のセルであって、その直径が約48mmであり、その高さは約80mmであり、フォームファクタの比は0.600の円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0142】
また他の実施形態によるバッテリーセルは、略円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さは約80mmであり、フォームファクタの比は0.575の円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0143】
また他の実施形態によるバッテリーセルは、略円柱状のセルであって、その直径が約46mmであり、その高さは約90mmであり、フォームファクタの比は0.511の円筒形バッテリーセルであってもよい。
【0144】
従来には、フォームファクタの比が約0.4以下のバッテリーセルが用いられていた。すなわち、従来には、例えば18650セル、21700セルなどが用いられていた。18650セルの場合、その直径が約18mmであり、その高さは約65mmであり、フォームファクタの比は0.277である。21700セルの場合、その直径が約21mmであり、その高さは約70mmであり、フォームファクタの比は0.300である。
【0145】
図10は、本発明の一実施形態によるバッテリーセル70を長手方向Yに沿って切断した断面図である。
【0146】
図10を参照すると、実施形態によるバッテリーセル70は、シート状の第1の電極板と第2の電極板とが分離膜が介在した状態で巻き取られ、両側端部から延びて露出した前記第1の電極板の無地部72と、前記第2の電極板の無地部73とを含む電極組立体71を含む。
【0147】
実施形態において、第1の電極板は陰極板であり、第2の電極板は陽極板であってもよい。もちろん、その逆の場合も可能である。
【0148】
電極組立体71の巻き取り方法は、図2を参照して説明した従来技術によるタブ-レスバッテリーセルの製造の際に使用される電極組立体の巻き取り方法と実質的に同じである。
【0149】
電極組立体71を図示する際には、分離膜の外側に露出して延びた無地部72、73のみを詳細に示しており、第1の電極板、第2の電極板および分離膜の巻き取り構造についての図示は省略している。
【0150】
バッテリーセル70はまた、電極組立体71を収納し、第1の電極板の無地部72と電気的に接続された電池缶51を含む。
【0151】
好ましくは、電池缶51の一側(下部)は開放されている。また、電池缶51の底部52は、電極端子50がカシメ工程を通じて貫通孔53にリベットされた構造を有する。
【0152】
バッテリーセル70はまた、電極端子50と貫通孔53の外径との間に設けられたガスケット54を含んでもよい。
【0153】
バッテリーセル70はまた、電池缶51から絶縁可能に電池缶51の開放端部を封止する密封体74を含んでもよい。好ましくは、密封体74は、極性の無いキャッププレート74aおよびキャッププレート74aの縁と電池缶51の開放端部との間に介在した密封ガスケット74bを含んでもよい。
【0154】
キャッププレート74aは、アルミニウム、スチール、ニッケルなどの導電性金属材質からなってもよい。また、密封ガスケット74bは、絶縁性および弾性のあるポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化エチレンなどからなってもよい。しかし、本発明がキャッププレート74aと密封ガスケット74bの素材によって限定されるものではない。
【0155】
キャッププレート74aは、電池缶51の内部の圧力が閾値を超えたときに破裂するベントノッチ77を含んでもよい。ベントノッチ77は、キャッププレート74aの両面に形成されてもよい。ベントノッチ77は、キャッププレート74aの表面に連続的または不連続な円形パターン、直線パターン、または他のパターンを形成することができる。
【0156】
電池缶51は、密封体74を固定するために、電池缶51の内側に延長および折り曲げられて密封ガスケット74bとともにキャッププレート74aの縁を包んで固定するクリンピング部75を含んでもよい。
【0157】
電池缶51はまた、開放端部に隣接した領域に電池缶51の内側に圧入されたビーディング部76を含んでもよい。ビーディング部76は、密封体74がクリンピング部75によって固定されるとき、密封体74の縁、特に密封ガスケット74bの外周表面を支持する。
【0158】
バッテリーセル70はまた、第1の電極板の無地部72と溶接される第1の集電プレート78をさらに含んでもよい。第1の集電プレート78は、アルミニウム、スチール、ニッケルなどの導電性金属材質からなる。好ましくは、第1の集電プレート78は、第1の電極板の無地部72と接触しない縁の少なくとも一部78aがビーディング部76と密封ガスケット74bとの間に介在されてクリンピング部75によって固定されてもよい。選択的に、第1の集電プレート78の端部の少なくとも一部78aは、クリンピング部75と隣接したビーディング部76の内周面76aに溶接によって固定されてもよい。
【0159】
バッテリーセル70はまた、第2の電極板の無地部73と溶接される第2の集電プレート79を含んでもよい。好ましくは、第2の集電プレート79の少なくとも一部、例えば中央部79aは、電極端子50の平坦部50dと溶接されてもよい。
【0160】
好ましくは、第2の集電プレート79が溶接されるとき、溶接具は、電極組立体71のコアに存在する巻芯80を通して挿入され、第2の集電プレート79の溶接地点まで到達してもよい。また、第2の集電プレート79が電極端子50の平坦部50dに溶接されるとき、電極端子50が第2の集電プレート79の溶接領域を支持するため、溶接領域に強い圧力を認可して溶接の品質を向上させることができる。また、電極端子50の平坦部50dは、面積が広いため、溶接領域も広く確保することができる。これにより、溶接領域の接触抵抗を下げることにより、バッテリーセル70の内部抵抗を下げることができる。リベットされた電極端子50と第2の集電プレート79との面対面の溶接構造は、ハイシーレート(c-rate)電流を用いた急速充電に非常に有用である。電流が流れる方向の断面において単位面積当たりの電流密度を下げることができるため、電流パスで発生する発熱量を従来より低くすることができるためである。
【0161】
電極端子50の平坦部50dと第2の集電プレート79との溶接の時には、レーザ溶接、超音波溶接、スポット溶接、抵抗溶接のいずれかを用いてもよい。平坦部50dの面積は、溶接方式によって異なるように調節することができ、溶接強度と溶接工程の容易性のために2mm以上であることが好ましい。
【0162】
一例において、平坦部50dと第2の集電プレート79とがレーザで溶接され、円形パターンの形態で連続的または不連続なラインに溶接される場合、平坦部50dの直径は4mm以上であることが好ましい。平坦部50dの直径が当該条件を満たす場合、溶接強度の確保が可能であり、レーザ溶接具を電極組立体71の巻芯80に挿入して溶接工程を進行することに困難はない。
【0163】
他の例において、平坦部50dと第2の集電プレート79とが超音波で溶接され、円形のパターンで溶接される場合、平坦部50dの直径は2mm以上であることが好ましい。平坦部50dの直径が当該条件を満たす場合、溶接強度の確保が可能であり、超音波溶接具を電極組立体71の巻芯80に挿入して溶接工程を進行するのに困難がない。
【0164】
バッテリーセル70はまた、絶縁キャップ80'をさらに含んでもよい。絶縁キャップ80'は、第2の集電プレート79と電池缶51の底部52の内部面52aとの間、電池缶51の側壁の内周面51aと電極組立体71との間に介在されてもよい。好ましくは、絶縁キャップ80'は、電極端子50の平坦部50dを第2の集電プレート79側に露出させる溶接孔80aを含み、第2の集電プレート79の表面と電極組立体71の一側(上部)の縁をカバーしてもよい。
【0165】
好ましくは、第1の電極板および/または第2の電極板の無地部72、73は、電極組立体71の外周側からコア側に折り曲げられることで、電極組立体71の上部および下部に折り曲げ面を形成してもよい。また、第1の集電プレート78は、第1の電極板の無地部72が折り曲げられて形成された折り曲げ面に溶接され、第2の集電プレート79は、第2の電極板の無地部73が折り曲げられて形成された折り曲げ面に溶接されてもよい。
【0166】
無地部72、73が折り曲げられるときに生じる応力を緩和するために、第1の電極板および/または第2の電極板は、従来の電極板(図4参照)とは異なる改善された構造を有してもよい。
【0167】
図11は、本発明の好ましい実施形態による電極板90の構造を例示的に示す平面図である。
【0168】
図11を参照すると、電極板90は、導電性材料のホイルからなるシート状の集電体91と、集電体91の少なくとも一面に形成された活物質層92と、集電体91の長辺の端部に、活物質がコーティングされていない無地部93とを含む。
【0169】
好ましくは、無地部93は、ノッチ加工された複数の分節片93aを含んでもよい。複数の分節片93aは複数のグループを成し、各グループに属した分節片93aは、高さ(Y方向の長さ)および/または幅(X方向の長さ)および/または離隔ピッチが同じであってもよい。各グループに属した分節片93aの数は、図示されたものより増加或いは減少してもよい。分節片93aは台形であってもよく、四角形、平行四辺形、半円形、または半楕円形に変形されてもよい。
【0170】
好ましくは、分節片93aの高さは、コア側から外周側に行くほど段階的に増加してもよい。また、コア側に隣接したコア側無地部93'は、分割片93aを含まなくてもよく、コア側の無地部93'の高さは、他の無地部の領域より小さくてもよい。
【0171】
選択的に、電極板90は、活物質層92と無地部93との間の境界を覆う絶縁コーティング層94を含んでもよい。絶縁コーティング層94は、絶縁性のある高分子樹脂を含み、無機物フィラーを選択的にさらに含んでもよい。絶縁コーティング層94は、活物質層92の端部が分離膜を介して対向している反対極性の活物質層と接触することを防止し、分節片93aの折り曲げを構造的に支持する役割をする。このために、電極板90が電極組立体に巻き取られたとき、絶縁コーティング層94は、少なくとも一部が分離膜から外部に露出されることが好ましい。
【0172】
図12は、本発明の実施形態による電極板90の無地部の分節構造を第1の電極板および第2の電極板に適用した電極組立体100を長手方向Yに沿って切断した断面図である。
【0173】
図12を参照すると、電極組立体100は、図2により説明した巻き取り工法で製造することができる。説明の便宜上、分離膜の外へと延びた無地部72、73の突出構造を詳細に図示し、第1の電極板、第2の電極板および分離膜の巻き取り構造に関する図示は省略している。下部に突出した無地部72は、第1の電極板から延びたものであり、上部に突出した無地部73は、第2の電極板から延びたものである。
【0174】
無地部72、73の高さが変化するパターンは概略的に図示した。すなわち、断面が切られる位置に応じて無地部72、73の高さは不規則に変化することがある。一例として、台形の分節片93aのサイドの部分が切られると、断面での無地部の高さは分節片93aの高さより低くなる。従って、電極組立体100の断面を示した図に示された無地部72、73の高さは、各巻き取りパターンに含まれた無地部の高さの平均に対応すると理解すべきである。
【0175】
無地部72、73は、図13に示したように、電極組立体100の外周側からコア側に折り曲げられてもよい。図12において、折り曲げられる部分101は、点線のボックスで示されている。無地部72、73が折り曲げられるとき、半径方向に隣接している分節片が複数回重なり合って電極組立体100の上部と下部に折曲面102が形成される。このとき、コア側の無地部(図11の93')は、高さが低いため折り曲げられず、最も内側から折り曲げられる分節片の高さhは、分節片の構造がないコア側の無地部93'によって形成された巻き取り領域の半径方向の長さrと同じであるか、より小さい。したがって、電極組立体100のコアにある巻芯80が折り曲げられた分節片によって閉鎖されない。巻芯80が閉鎖されないと、電解質注液の工程に困難がなく、電解液注液の効率が向上する。また、巻芯80を介して溶接具を挿入して電極端子50と第2の集電プレート79との溶接を容易に行うことができる。
【0176】
本発明の実施形態によるバッテリーセル70は、密封体74のキャッププレート74aが極性を持たない。その代わりに、第1の集電プレート78が電池缶51の側壁に連結されているため、電池缶51の底部52の外部面52aが電極端子50とは反対の極性を有する。したがって、複数のセルを直列および/または並列に接続したい場合、電池缶51の底部52の外部面52aと電極端子50を用いてバッテリーセル70の上部でバスバー接続などの配線を行うことができる。これにより、同一空間に搭載できるセルの数を増やしてエネルギー密度を向上させることができる。
【0177】
本発明において、陽極板にコーティングされる陽極活物質と陰極板にコーティングされる陰極活物質は、当業界で公知の活物質であれば制限なく使用することができる。
【0178】
一例において、陽極活物質は一般式A[A]O2+z(AはLi、NaおよびKのうち少なくとも1つ以上の元素を含む;MはNi、Co、Mn、Ca、Mg、Al、Ti、Si、Fe、Mo、V、Zr、Zn、Cu、Al、Mo、Sc、Zr、Ru、およびCrから選択された少なくとも1つ以上の元素を含む;x≧0、1≦x+y≦2、-0.1≦z≦2;x、y、zおよびMに含まれた成分の化学量論的係数は、化合物が電気的中性を維持するように選択される)で表されるアルカリ金属化合物を含んでもよい。
【0179】
他の例において、陽極活物質は、米国特許第6、677、082号明細書、米国特許第6、680、143号明細書などに開示されたアルカリ金属化合物xLiM.(1-x)Li(Mは平均酸化状態3を有する少なくとも1つ以上の元素を含む;Mは平均酸化状態4を有する少なくとも1つ以上の元素を含む;0≦x≦1)であってもよい。
【0180】
また他の例において、陽極活物質は、一般化学式Li Fe1-x 1-y 4-z(MはTi、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、MgおよびAlから選択される少なくとも1つ以上の元素を含む;Mは、Ti、Si、Mn、Co、Fe、V、Cr、Mo、Ni、Nd、Al、Mg、Al、As、Sb、Si、Ge、VおよびSから選択される少なくとも1つ以上の元素を含む;Mは、Fを選択的に含むハロゲン族元素を含む;0<a≦2、0≦x≦1、0≦y<1、0≦z<1;a、x、y、z、M、MおよびMに含まれた成分の化学量論的係数は、化合物が電気的中性を維持するように選択される)、またはLi(PO[MはTi、Si、Mn、Fe、Co、V、Cr、Mo、Ni、Al、MgおよびAlから選択された少なくとも1つの元素を含む]で表されるリチウム金属ホスフェートであってもよい。
【0181】
好ましくは、陽極活物質は、一次粒子および/または一次粒子が凝集した二次粒子を含んでもよい。
【0182】
一例において、陰極活物質は、炭素材、リチウム金属またはリチウム金属化合物、ケイ素またはケイ素化合物、錫または錫化合物などを使用してもよい。電位が2V未満のTiO、SnOのような金属酸化物も陰極活物質として使用可能である。炭素材としては、低結晶炭素、高結晶性炭素などのいずれも用いられてもよい。
【0183】
分離膜は、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムを単独で、或いはこれらを積層して使用してもよい。他の例として、分離膜は、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用してもよい。
【0184】
分離膜の少なくとも一側の表面は、無機物粒子のコーティング層を含んでもよい。
【0185】
また、分離膜自体が無機物粒子のコーティング層からなることも可能である。コーティング層を構成する粒子は、隣接する粒子の間に間隙容量(interstitial volume)が存在するようにバインダーと結合された構造を有してもよい。
【0186】
無機物粒子は、誘電率が5以上の無機物からなってもよい。非制限的な例として、前記無機物粒子は、Pb(Zr、Ti)O(PZT)、Pb1-xLaZr1-yTi(PLZT)、PB(MgNb2/3)O-PbTiO(PMN-PT)、BaTiO、hafnia(HfO)、SrTiO、TiO、Al、ZrO、SnO、CeO、MgO、CaO、ZnOおよびYからなる群から選択される少なくとも1つ以上の物質を含んでもよい。
【0187】
電解質は、Aのような構造を有する塩であってもよい。ここで、Aは、Li、Na、Kなどのアルカリ金属カチオンまたはそれらの組み合わせからなるイオンを含む。そしてBは、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、AlO 、AlCl 、PF 、SbF 、AsF 、BF 、BC 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCNおよび(CFCFSOからなる群から選択されたいずれか1つ以上のアニオンを含む。
【0188】
電解質はまた有機溶媒に溶解して使用してもよい。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、エチレンカーボネート(ethylenecarbonate、EC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジプロピルカーボネート(dipropyl carbonate、DPC)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)、ジエトキシエタン(diethoxyethane)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate、ETM)、ガンマブチロラクトン(γbutyrolactone)またはそれらの混合物が使用されてもよい。
【0189】
本発明のまた他の実施形態は、上述のバッテリーセルを少なくとも1つ含むバッテリーパックを提供する。
【0190】
上述の実施形態による円筒形バッテリーセルは、バッテリーパックを製造するために使用されてもよい。
【0191】
図14は、本発明の実施形態によるバッテリーパックの構成を概略的に示した図である。
【0192】
図14を参照すると、本発明の実施形態によるバッテリーパック200は、円筒形バッテリーセル201が電気的に接続された集合体およびそれを収容するパックハウジング202を含む。円筒形バッテリーセル201は、上述した実施形態によるバッテリーセルである。図示の便宜上、円筒形バッテリーセル201の電気的な接続のためのバスバー、冷却ユニット、外部端子などの部品の図示は省略している。
【0193】
本発明のまた他の実施形態は、上述のバッテリーパックを少なくとも1つ含む自動車を提供する。
【0194】
バッテリーパック200は、自動車に搭載されてもよい。自動車は、一例として、電気自動車、ハイブリッド自動車、またはプラグインハイブリッド自動車であってもよい。自動車は四輪自動車または二輪自動車を含む。
【0195】
図15は、図14のバッテリーパック200を含む自動車を説明するための図である。
【0196】
図15を参照すると、本発明の一実施形態による自動車Vは、本発明の一実施形態によるバッテリーパック200を含む。自動車Vは、本発明の一実施形態によるバッテリーパック200から電力が供給されて動作する。
【0197】
以上、本発明が、限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明がこれに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正および変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0198】
0 ・・・巻取中心部
1 ・・・電極組立体の非巻き取り状態
2 ・・・第1の電極
3 ・・・第2の電極
4 ・・・第1の分離膜
5 ・・・第2の分離膜
6 ・・・電極組立体の巻取中心部に最も近い縁部
7 ・・・固定部
7W ・・・固定部の幅
8 ・・・第1の電極無地部
9 ・・・第2の電極無地部
10 ・・・陽極板
10a ・・・陽極板の無地部
11 ・・・陰極板
11a ・・・陰極板の無地部
12 ・・・分離膜
20 ・・・集電体
21 ・・・活物質
22 ・・・無地部
30、31 ・・・集電プレート
40 ・・・タブ-レスバッテリーセル
41 ・・・電池缶
42 ・・・密封体
42a ・・・キャッププレート
42b ・・・密封ガスケット
42c ・・・連結プレート
43 ・・・クリンピング部
44 ・・・ビーディング部
45 ・・・リード
46 ・・・インシュレーター
50 ・・・電極端子
50a ・・・胴体部
50b ・・・外部フランジ部
50c ・・・内部フランジ部
50d ・・・平坦部
51 ・・・一側が開放された円筒形の電池缶
51a ・・・電池缶側壁の内周面
52 ・・・底部
52a ・・・外部面
52b ・・・内部面
53 ・・・貫通孔
54 ・・・ガスケット
54a ・・・外部ガスケット部
54b ・・・内部ガスケット部
55 ・・・リセス部
55a ・・・平坦部の側壁
55b ・・・内部フランジ部の傾斜面
56 ・・・内側エッジ(貫通孔の内側エッジ)
57 ・・・対向面(内部フランジ部と向かい合う対向面)
70 ・・・バッテリーセル
71 ・・・電極組立体
72 ・・・第1の電極板の無地部
73 ・・・第2の電極板の無地部
74 ・・・密封体
74a ・・・キャッププレート
74b ・・・密封ガスケット
75 ・・・クリンピング部
76 ・・・ビーディング部
76a ・・・ビーディング部の内周面
77 ・・・ベントノッチ
78 ・・・第1の集電プレート
78a ・・・第1の集電プレートの縁
79 ・・・第2の集電プレート
79a ・・・中央部
80 ・・・巻芯
80' ・・・絶縁キャップ
80a ・・・溶接孔
90 ・・・電極板
91 ・・・集電体
92 ・・・活物質層
93 ・・・無地部
93' ・・・コア側無地部
93a ・・・分節片
94 ・・・絶縁コーティング層
100 ・・・電極組立体
101 ・・・折り曲げられる部分
102 ・・・折曲面
200 ・・・バッテリーパック
201 ・・・円筒形バッテリーセル
202 ・・・パックハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】