(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】増幅された多重吸収分光
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
G01N21/27 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534304
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 CA2021051680
(87)【国際公開番号】W WO2022115941
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523207249
【氏名又は名称】12535505 カナダ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリストパ,デイビッド アラン
(72)【発明者】
【氏名】パカク,ジョン ステファン
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB10
2G059BB12
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE06
2G059EE12
2G059JJ13
2G059LL01
2G059MM01
(57)【要約】
試料材料の光学的に薄い試料は、ビーム源からのプローブ電磁放射を複数の異なる光線経路に沿って伝播させ、光線が試料材料と相互作用して光線の変更を引き起こす複数の異なる位置において試料上で各光線経路が交差するように各光線を導くことによって分析される。複数の検出空間領域のそれぞれにおいて受光された光線は、別々に測定され、測定値が分析されて、各相互作用位置における試料材料の少なくとも1つの特性に関する情報を提供する。相互作用位置を識別して各相互作用位置における標的材料の存在に関する情報を提供するように、プローブビーム源の位置から検出面上の検出空間領域までのプローブ放射の経路を追跡するための分析が実行される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的材料の存在について光学的に薄い試料を分析するための方法であって、
前記標的材料を潜在的に含有する前記光学的に薄い試料を配置することであって、
前記試料が、それぞれが未知の試料材料、既知の試料材料を含むか、又は試料を含まない複数の試料位置を含む、配置することと、
ビーム内の光線が複数の異なる光線経路に沿って誘導されるように、ビーム源からのプローブ電磁放射のビームを伝播させることと、
各光線経路が複数の異なる交差位置において前記試料上で複数回交差するように、光学素子を使用して各光線を導くことと、
複数の相互作用位置のそれぞれにおいて、前記光線を前記試料材料と相互作用させて、前記光線の変更を引き起こすことと、
試料位置を交差させた後に、各光線経路を、検出面が複数の検出空間領域に分割される前記検出面と交差するように導くことと、
各検出空間領域において受光した前記光線を別々に測定することであって、前記測定が、各相互作用位置における前記光線経路に沿った前記試料材料の相互作用に関する情報を含む、測定することと、
各相互作用位置における試料材料の少なくとも1つの特性に関する情報を提供するために測定値を分析することと
を含み、
前記相互作用位置を識別して各相互作用位置における前記標的材料の存在に関する情報を提供するように、プローブビーム源の位置から前記検出面上の前記検出空間領域までのプローブ放射の経路を追跡するための分析が実行される、方法。
【請求項2】
前記分析が、検出器表面上の点で測定された振幅を、識別された前記相互作用位置における振幅に関連付ける逆問題を解く、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記逆問題が、試料点振幅を、検出器点振幅と決定されるべき係数との線形結合としてモデル化することによって解かれ、係数の第1の試行セットが生成され、かつ反復的に変化して、光線追跡シミュレーションと測定された検出器点振幅との間の差を最小にする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記逆問題が、試料領域と検出器出力との間の関係をモデル化するように訓練されたニューラルネットワークによって解かれる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記逆問題が、試料領域のセット及び検出器領域のセットを定義し、逆変換を提供するために解くことができる線形方程式のセットをもたらす前記それぞれの領域内に入る全ての光線を一緒にビン化することによって解かれる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ビームがコリメートされていない、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ビームが、検出位置において前記試料の拡大を提供するために収束又は発散する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記相互作用のうちの少なくとも1つの後に、前記ビームが集束される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記試料位置のうちの少なくとも1つが、検出位置のそれぞれのものとは異なる形状を有する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記試料位置のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの曲線によって画定される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記試料位置のうちの少なくとも1つが、ユーザ選択によって定義される、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記光線追跡が、各試料位置を横切る異なる光線のシーケンスを生成するために使用される、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
試料位置における光線束又は横切る回数が、前記試料位置の特性にしたがって動的に調整することができる、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの光線が、試料位置の擬似ランダムシーケンスを横切る、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
任意の2つのシーケンス内に少なくとも1つの異なる位置が存在するように、複数のビームが試料位置の異なるシーケンスを横切る、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
光学レイアウトが、試料位置交差の異なるシーケンスを提供するように動的に変化する、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記動的光学レイアウトが空間エンコーダを提供する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つのビーム源が、空間変調器をさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記光線が、複数の異なる入射角において前記試料位置の少なくとも1つと交差するように光学部品によって誘導される、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記試料位置のうちの少なくとも1つが不連続である、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記試料位置のうちの少なくとも1つが、複数の異なるスポットを含む、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
光学素子の表面から反射された検出器上のレーザビームの位置が閾値内の所望の位置に対応するように、前記光学素子が動的に位置合わせされる、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
可変増幅を提供するために、光線が試料位置を横切る回数が変更される、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記光学素子が、複数の異なる構成を有する、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
光学素子の各構成が、対応する光線経路のセットを有する、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記光線追跡が、光線追跡モデルによって実行され、前記プローブビームが、前記プローブ放射ビームの特性を統計的に反映する光線のセットとしてモデル化され、各光線が、放射源出力ポート上に原点位置を有し、各光線が、光学系を通って前記検出器表面との交差部まで伝播され、試料材料又は光学素子との各交差点が記憶される、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記光線追跡が、マクスウェルの式によってエネルギーの流れをモデル化することによって実行され、ある位置における各光線の方向が、その位置におけるポインティングベクトルの方向に対応する、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
試料材料が反射面上に配置され、複数の反射面が前記試料材料の平面の上方に配置されることで、前記試料材料に入射して前記試料材料と複数回相互作用するプローブ放射の少なくとも1つのビームを反射する、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記試料材料が透明基材上に配置され、複数の反射面が、前記試料材料の平面の上下に配置され、前記試料材料に入射して前記試料材料と複数回相互作用するプローブ放射の少なくとも1つのビームを反射する、請求項1~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
プローブ放射の非コリメートビームの少なくとも一部が、少なくとも1つの試料領域と複数回相互作用する同じ平均入射角で同じ試料領域に複数回入射し、前記相互作用後の前記プローブビームの振幅の空間分布が分析されて、前記試料材料との相互作用の前記空間分布に関する情報を提供する、請求項1~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つのプローブ放射経路に含まれる前記試料領域のセットが、測定された試料パラメータに少なくとも部分的に基づいて変更される、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光学的に薄い試料のための多重分光システムに関する。本明細書に記載の方法は、一般的な光学的に薄い試料及び特に生物学的試料のスペクトル特性を測定するために使用され得る。
【0002】
関連出願
本開示は、以下ではMPIS特許と呼ばれる本発明者らによって2013年1月1日に発行されたMultiple Pass Imaging Spectroscopyという米国特許第8,345,254号明細書に関する。
【0003】
本開示は、以下ではHEMS特許と呼ばれる本発明者らによって2020年3月10日に発行されたHigh Efficiency Multiplexingという米国特許第10,585,044号明細書に関する。
【0004】
本開示は、本発明者らによって2020年7月31日に出願され、以下ではMDS特許と呼ばれ、PCT/CA2021/051057として2021年7月28日に現在出願されているMulti-dimensional Spectroscopyという米国仮特許出願第63/059,298号に関する。
【0005】
上記で引用した特許出願書類のそれぞれの開示は、さらなる詳細について参照され得る。
【背景技術】
【0006】
本発明は、一般的な光学的に薄い試料及び特に生物学的試料のスペクトル測定に関する。細菌及びウイルスなどの生物学的薬剤は、分光法を使用して属、種又は株レベルで検出及び識別され得る。しかしながら、既存の方法は、生物学的薬剤の識別に十分な品質のスペクトルを提供するために、マイクログラム程度の比較的大きな試料サイズを必要とする。試料は、通常、単離物を必要な質量まで培養することによって調製され、典型的には24~72時間かかる。従来の方法は、いくつかの種が存在する試料を取り扱うことができないことによってさらに制限される。これらの欠点は、上記で引用したMPIS特許において部分的に克服されている。MPIS特許は、固定増幅によって空間情報を保存するマルチパス構成を記載している。上記のMPIS構成では、プローブ放射のコリメートされたビームが複数の試料位置に入射し、各ビームの振幅が検出器によって測定される。空間情報は、線形変換を介して復元される。多重経路による光増幅は、単一の細菌又はウイルスのスペクトルを測定することを可能にし、培養ステップの必要性をなくす。空間情報は、同じ試料中の異なる種のスペクトルを分離し、別々に識別することを可能にする。HEMS特許は、スペクトル束を測定するための多重方法を記載しており、スペクトル束の全てが複数の経路に沿って変調され、各経路に沿った束が測定される。全ての磁束が測定され、スペクトル帯域間のシリアル相関が除去されるため、信号対雑音比(SNR)が改善される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を提供し得る。
【0008】
本開示の第1の目的は、隣接する試料位置からの信号間の相関を低減することによって、上述のMPIS構成の信号対雑音比(SNR)をさらに改善することである。
【0009】
本開示の第2の目的は、拡大を含む増幅撮像方法を提供することである。
【0010】
本開示の第3の目的は、可変増幅を有する増幅撮像方法を提供することである。
【0011】
本発明によれば、標的材料の存在について光学的に薄い試料を分析するための方法であって、
標的材料を潜在的に含有する光学的に薄い試料を配置することであって、
試料が、それぞれが未知の試料材料、既知の試料材料を含むか、又は試料を含まない複数の試料位置を含む、配置することと、
ビーム内の光線が複数の異なる光線経路に沿って誘導されるように、ビーム源からのプローブ電磁放射のビームを伝播させることと、
各光線経路が複数の異なる交差位置において試料上で複数回交差するように、光学素子を使用して各光線を導くことと、
複数の相互作用位置のそれぞれにおいて、光線を試料材料と相互作用させて、光線の変更を引き起こすことと、
試料位置を交差させた後に、各光線経路を、検出面が複数の検出空間領域に分割される検出面と交差するように導くことと、
各検出空間領域において受光した光線を別々に測定することであって、測定が、各相互作用位置における光線経路に沿った試料材料の相互作用に関する情報を含む、測定することと、
各相互作用位置における試料材料の少なくとも1つの特性に関する情報を提供するために測定値を分析することと
を含み、
相互作用位置を識別して各相互作用位置における前記標的材料の存在に関する情報を提供するように、プローブビーム源の位置から検出面上の前記検出空間領域までのプローブ放射の経路を追跡するための分析が実行される、方法が提供される。
【0012】
したがって、分析は、検出器表面上の点で測定された振幅を、識別された相互作用位置における振幅変化に関連付ける逆問題を解く。
【0013】
逆問題は、試料点振幅を、検出器点振幅と決定されるべき係数との線形結合としてモデル化することによって解かれることができ、係数の第1の試行セットは、光線追跡シミュレーションによって生成され、光線追跡シミュレーションと測定された検出器点振幅との間の差を最小にするために反復的に変化する。すなわち、この解決策は、試料点振幅変化の線形結合として検出器点振幅のモデリングを使用する。本明細書における「光線」という用語は、共通のポインティングベクトルを有する光子又は光子のパケットを記述するために幾何光学の分野において使用される数学的抽象概念である。本発明は、本発明の主要な概念の説明を簡単にするために幾何光学の用語を使用して説明される。幾何光学近似は、光学部品のサイズが使用される電磁放射の波長よりもはるかに大きいほとんどの実際の場合に有効である。本明細書において指定される定式化は、回折効果を考慮した物理的光学記述を使用するために簡単な方法において変更され得るため、幾何光学記述は限定的ではない。
【0014】
逆問題は、試料領域と検出器出力との間の関係をモデル化するように訓練されたニューラルネットワークによって解かれることができる。
【0015】
逆問題は、試料領域のセット及び検出器領域のセットを定義し、逆変換を提供するために解かれることができる線形方程式のセットをもたらすそれぞれの領域内に入る全ての光線を一緒にビン化することによって解かれることができる。
【0016】
好ましくは、試料位置のうちの少なくとも1つは、検出位置のそれぞれのものとは異なる形状を有する。
【0017】
好ましくは、試料位置のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの曲線によって画定される。
【0018】
好ましくは、試料位置のうちの少なくとも1つは、ユーザ選択によって定義される。
【0019】
一実施形態では、光線追跡は、各試料位置を横切る異なる光線のシーケンスを生成するために使用される。
【0020】
一実施形態では、試料位置における光線束又は横切る回数は、試料位置の特性にしたがって動的に調整することができる。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つの光線は、試料位置の擬似ランダムシーケンスを横切る。
【0022】
一実施形態では、任意の2つのシーケンス内に少なくとも1つの異なる位置が存在するように、複数のビームが試料位置の異なるシーケンスを横切る。
【0023】
一実施形態では、光学レイアウトは、動的に変化して、試料位置交差の異なるシーケンスを提供する。
【0024】
一実施形態では、動的光学レイアウトは、空間エンコーダを提供する。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つのビーム源は、空間変調器をさらに含む。
【0026】
好ましくは、光線は、複数の異なる入射角において試料位置の少なくとも1つと交差するように光学部品によって導かれる。
【0027】
一実施形態では、試料位置のうちの少なくとも1つは、不連続であるか、又は複数の異なるスポットを含む。
【0028】
一実施形態では、光学素子は、光学素子の表面から反射された検出器上のレーザビームの位置が閾値内の所望の位置に対応するように動的に位置合わせされる。
【0029】
一実施形態では、光線が試料位置を横切る回数を変化させて可変増幅を提供する。
【0030】
一実施形態では、光学素子は、光学素子の各構成が対応する光線経路のセットを有する複数の異なる構成を有する。
【0031】
一実施形態では、光線追跡は、光線追跡モデルによって実行され、プローブビームは、プローブ放射ビームの特性を統計的に反映する光線のセットとしてモデル化され、各光線は、放射源出力ポート上に原点位置を有し、各光線は、光学系を通って検出器表面との交差部まで伝播され、試料材料又は光学素子との各交差点が記憶される。
【0032】
一実施形態では、光線追跡は、マクスウェルの式によるエネルギーの流れをモデル化することによって実行され、ある位置における各光線の方向は、その位置におけるポインティングベクトルの方向に対応する。
【0033】
一実施形態では、試料材料は、反射面上に配置され、複数の反射面は、試料材料の平面の上方に配置されて、試料材料に入射し、試料材料と複数回相互作用するプローブ放射の少なくとも1つのビームを反射する。
【0034】
一実施形態では、試料材料は、透明基材上に配置され、試料材料の平面の上下に複数の反射面が配置され、試料材料に入射し、試料材料と複数回相互作用するプローブ放射の少なくとも1つのビームを反射する。
【0035】
一実施形態では、プローブ放射の非コリメートビームの少なくとも一部は、少なくとも1つの試料領域と複数回相互作用する同じ平均入射角で同じ試料領域に複数回入射し、前記相互作用後のプローブビームの振幅の空間分布が分析されて、試料材料との相互作用の空間分布に関する情報を提供する。
【0036】
一実施形態では、少なくとも1つのプローブ放射経路に含まれる試料領域のセットは、測定された試料パラメータに少なくとも部分的に基づいて変更される。
【0037】
したがって、電磁放射と光学的に薄い不均質な試料材料との相互作用を多重化するための光学構成及び方法が提供される。プローブ電磁放射のビームが放射源によって放射され、ビーム内の光線が複数の異なる光線経路に沿って光学素子によって誘導され、各光線経路は、m個の試料位置を含み、mは、2以上の整数である。光学素子は、試料位置の基準座標系において複数の異なる構成を有し得る。すなわち、光学素子の各構成は、対応する光線経路のセットを有する。光線経路は、試料位置と交差し、測定位置において終わる光線経路のセットが、試料位置と測定振幅との間の関係の反転可能なセットを形成するように選択される。異なる光線は、mの異なる値、並びに異なる波長、位相、偏光及び振幅を有し得る。試料位置は、未知の試料材料、既知の試料材料、又は試料を含まなくてもよい。光線経路は、同じ試料位置に複数回入射するように光学素子によって配置されてもよい。各試料位置において、光線は、材料と相互作用し、光線の少なくとも1つの特性(波長、振幅、偏光、又は位相)が変化する。m個の試料位置を交差させた後、光線経路は、検出面と交差する。検出面は、複数の空間領域に分割され、各空間領域と交差する光線束の1つ又は複数の特性(波長、振幅、偏光、又は位相)が測定手段によって測定される。測定値は、各測定領域と交差する光線経路に沿った試料材料の相互作用に関する情報を含む。測定値は、各試料位置における試料材料の少なくとも1つの特性に関する情報を提供するために分析される。
【0038】
本発明の重要な特徴によれば、放射源が提供される。放射源は、1つ又は複数の出力ポートにおいて定義された特性を有するプローブ電磁放射の出力ビームを提供する。出力ビーム特性は、波長のスペクトル分布、並びに各波長に関連付けられた位相、偏光、振幅及び方向の空間分布を含む。電磁放射の各出力ビームの特性は、時間的に変化し得る。放射源は、上述した定義された特性を有する出力ビームを生成するために必要な全ての光学素子を含む。例えば、放射源は、各出力波長の位相を変調する干渉計を含んでもよい。例えば、放射源は、異なる波長を空間的又は時間的に分離する光学素子を含んでもよい。例えば、放射源は、出力ビームの振幅の空間分布を変化させる空間変調器を含んでもよい。放射源は、例えば、ビーム整形光学素子とともにレーザであってもよい。放射源は、例えば、ビーム整形光学素子とともに発光装置であってもよい。放射源は、例えば、ビーム整形光学素子とともに黒体エミッタであってもよい。放射源は、ビームの波長範囲を制限するフィルタを含んでもよい。
【0039】
本発明は、光学素子によるプローブ放射ビーム上の幾何学的変換のシーケンスとして理解されることができ、幾何学的変換は、プローブ放射を試料材料と複数回相互作用するように導く。幾何学的変換は、回転、並進、反転、反射、スケーリング、及びそれらの任意の組合せである。幾何学的変換は、試料相互作用に関する情報を提供するために数学的に逆にされる。例えば、プローブ放射の出力ビームは、均一な強度を有する多色ビームであってもよい。検出面への出力ビームの投影は、均一な強度を有し、紙のブランクシートに類似している。プローブ放射ビームは、試料材料に投影され、試料材料と相互作用して、試料相互作用の画像を複数回生成する。試料材料へのプローブビームの各投影は、異なる画像を生成する。複数の試料相互作用後の検出器表面におけるプローブビーム画像は、全ての試料相互作用の重ね合わせである。例えば、試料相互作用が吸収である場合、各試料点における吸光度は、変換されたプローブビームの対応する点で記録される。
【0040】
試料材料位置及び検出器表面位置における振幅間の関係は、光線追跡モデルを用いて決定することができる。光線は、各光線(又は光線群)が異なる試料位置のセットを通過し、したがって試料位置の固有のセットに関する情報を搬送するように選択される。好ましくは、各光線(又は群又は光線)の試料位置のシーケンスは、以下により詳細に説明するように、試料位置の擬似ランダムシーケンスである。具体的には、プローブビームは、プローブ放射ビームの特性を統計的に反映する光線のセットとしてモデル化される。各光線は、放射源出力ポート上の原点位置、方向、波長、偏光及び位相を有する。偏光ベクトルは、振幅情報を搬送する。各光線は、光学系を通って検出器表面との交差部に伝播される。試料材料又は光学素子との各交差点は記憶される。放射の伝播は、理想的な光学素子の特性に基づいてモデル化され得る。好ましくは、光学素子をモデル化するために使用される特性は、光学材料中の不純物及び幾何学的欠陥(傷、理想的な表面からの変化など)の影響を説明するために測定される。逆問題を解くために4つの手法があり、それは、検出器表面上の点で測定された振幅を試料表面点における振幅に関連付けることである。
【0041】
第1の手法は、試料点振幅を、検出器点振幅と決定されるべき係数との線形結合としてモデル化することである。係数の第1の試行セットが生成され、かつ光線追跡シミュレーションと測定された検出器点振幅との間の差を最小にするために反復的に変更される。
【0042】
第二に、試料領域と検出器出力との間の関係をモデル化するようにニューラルネットワークが訓練され得る。
【0043】
第3の手法は、試料領域のセット及び検出器領域のセットを画定し、それぞれの領域内に入る全ての光線を一緒にビン化することである。これは、逆変換を提供するために解かれることができる線形方程式のセットをもたらす。
【0044】
第4の手法は、第2又は第3の方法を使用して近似解を生成し、次いで、第1の方法によってそのように生成された解を改良することである。
【0045】
本発明の重要な特徴によれば、プローブ放射の方向を変更するように動作可能な複数の方向転換要素が提供される。方向転換要素は、任意に、プローブ放射の空間特性を変更し得る。方向転換要素は、第1の試料位置に入射するプローブ放射を第2の試料位置に向けて導くように動作可能であり、第1及び第2の試料位置は、経路上の試料位置のシーケンスにおける連続した試料位置である。複数の方向転換要素は、アレイとして配置されてもよく、アレイ内の各連続する方向転換要素は、試料位置のシーケンスにおける次の試料位置に放射を導く。方向転換要素は、例えば、単一の反射面であってもよい。方向転換要素は、例えば、一対の反射面であってもよい。反射面は、内部反射面であってもよく、又は外部反射面であってもよい。反射面は、平面であってもよく、又は湾曲していてもよい。方向転換要素は、第1の経路については第1の試料位置から第2の試料位置に、第2の経路については第1の試料位置から第3の試料位置に受光した放射を導くように動的に構成され得る。例えば、方向転換要素は、第1の経路については試料位置nから試料位置n+1に、第2の経路については試料位置nから試料位置n+3に放射を導き得る。方向転換要素は、例えば、ミラーを第1の位置から第2の位置に並進又は回転させることによって再構成され得る。方向転換要素は、例えば、表面の光学特性を反射状態から透過状態に電子的に変更することによって再構成され得る。方向転換要素は、例えば、屈折の変化を引き起こすために電子的に経路に沿って材料の屈折率を変化させることによって再構成され得る。方向転換要素は、例えば、回折要素のピッチを変更することによって再構成され得る。
【0046】
本発明の重要な特徴によれば、試料位置のセットが提供される。各試料位置は、少なくとも測定期間中に試料材料を配置するための装置を含む。試料位置は、プローブ放射を外部反射する表面を含み得る。表面は、平面又は湾曲していてもよい。好ましくは、反射率は90%よりも大きい。より好ましくは、反射率は99%よりも大きい。反射面は、例えば、赤外線プローブ放射に対して99%を超える反射率を有する金ミラーであってもよい。試料位置は、プローブ放射を内部で反射する表面を含み得る。好ましくは、内部反射は、全内部反射であり、プローブ放射からのエバネッセント波は、内部反射面に近接して保持された試料材料と相互作用する。内部反射面は、例えば、Si、Ge、ZnSe、ダイヤモンド、KRS-5、又はATR装置が製造され得る他の材料から構成される結晶の内面であってもよい。試料位置は、プローブ放射に対して透明な表面を含んでもよい。プローブ放射は、試料材料及び透明表面の双方を透過してもよい。透明表面は、例えば、KBr、NaCl、CaF2、BaF2、AgCl、CsI、Si、Ge、ZnSe、又は他の光学窓材料であってもよい。透明表面は、例えば、薄いポリマーフィルム又は薄いガラス板であってもよい。透明表面は、例えば、ガスの流れであってもよい。
【0047】
本発明の重要な特徴によれば、各経路の振幅測定値を受光し、測定値を分析して少なくとも1つの試料位置における試料材料の特性に関する情報を提供するように動作可能な制御装置が提供される。特性は、例えば、吸光度であってもよい。特性は、例えば、散乱であってもよい。特性は、例えば、発光であってもよい。試料材料の特性は、測定された振幅、(既知の特性から)理論的に計算された振幅、又はそれらの任意の組合せを使用して計算されてもよい。
【0048】
上記又は以下の特徴のいずれかと独立して使用することができる本発明の重要な任意の特徴によれば、試料位置のアレイと少なくとも1つの方向転換要素との間の相対運動を生成するように動作可能な並進装置が提供される。例えば、方向転換要素のアレイは、各離散位置が異なる経路を選択する試料位置のアレイに対して離散位置に変位され得る。並進装置は、位置測定装置を含んでもよい。並進装置は、制御装置と連携して制御されてもよい。
【0049】
上記又は以下の特徴のいずれかと独立して使用することができる本発明の重要な任意の特徴によれば、制御装置は、各経路が異なるシーケンスの試料位置を含む1つ又は複数の光学素子を構成することによって少なくとも2つの異なる経路を選択するようさらに動作可能であり得る。例えば、制御装置は、モータに、第1の経路を選択する第1の角度から第2の経路を選択する第2の角度までミラーを回転させる論理信号を生成し得る。
【0050】
上記又は以下の特徴のいずれかと独立して使用することができる本発明の重要な任意の特徴によれば、経路に沿った表面の少なくとも1つの構成パラメータを測定するように動作可能な光学アライメント装置が提供される。光学アライメント装置は、放射源、測定装置、及び制御装置と一体の論理を含み得る。例えば、光学アライメント装置は、レーザビームを前記表面上に導き、基準面上の反射ビームの位置を測定することによって、ミラー表面の法線を決定し得る。測定された法線は、選択された経路の必要な法線と比較され、ミラー構成は、測定された構成と必要な構成との間の差が閾値未満になるまで調整され得る。
【0051】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、試料材料は、反射面上に配置され、複数の反射面は、試料材料の平面の上方に配置されることで、試料材料に入射して試料材料と複数回相互作用するプローブ放射の少なくとも1つのビームを反射する。反射面は、例えば、金属製の第1の表面ミラーであってもよい。反射金属面は、例えば、Ag、Al、Au、Cu、Ni、又はPtであってもよい。
【0052】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、試料材料は、透明基材上に配置され、複数の反射面は、試料材料の平面の上下に配置され、試料材料に入射して試料材料と複数回相互作用するプローブ放射の少なくとも1つのビームを反射する。透明基材は、例えば、ガラス、結晶、ポリマーフィルム又はガス流であってもよい。
【0053】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、試料材料は、内部反射率要素の試料ファセット上に配置され、内部反射率要素のファセットは、試料ファセットに入射するプローブ放射の少なくとも1つのビームを誘導するように配置され、試料ファセットに近接する試料材料と複数回相互作用する。プローブ放射のビームは、例えば、2.5ミクロンから25ミクロンの波長を有する中赤外線放射であってもよい。内部反射率要素は、例えば、Si、Ge、ZnSe及びATMIR5 CsI又はAgClなどの高屈折率材料から構成されてもよい。他の材料が使用されてもよい。
【0054】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、プローブ放射の非コリメートビームの少なくとも一部が、少なくとも1つの試料領域と複数回相互作用する同じ平均入射角で同じ試料領域に複数回入射し、前記相互作用後のプローブビームの振幅の空間分布が分析されて、試料材料との相互作用の空間分布に関する情報を提供する。
【0055】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、プローブ放射のコリメートビームの少なくとも一部は、異なる入射角で同じ試料領域に複数回入射し、前記相互作用後のプローブビームの振幅の空間分布は、試料材料との相互作用の空間分布に関する情報を提供するために分析される。
【0056】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、プローブ放射の非コリメートビームの少なくとも一部が、異なる入射角で同じ試料領域に複数回入射し、前記相互作用後のプローブビームの振幅の空間分布が分析されて、試料材料との相互作用の空間分布に関する情報を提供する。
【0057】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、プローブ放射のM個のビームのシーケンスは、N個の試料領域のセットから選択される試料領域の異なるサブセットに入射する異なる経路をたどり、各相互作用プローブ放射ビームの空間分布振幅は、各試料領域内の試料材料との相互作用の空間分布に関する情報を提供するために分析され、シーケンス内の各経路は、N個未満の試料領域の異なるサブセットに入射し、シーケンス内の少なくとも1つの経路は、各試料領域に入射し、MはN以上である。好ましくは、各経路に含まれる試料領域のセットは、擬似ランダムシーケンスの巡回順列に基づく。いくつかの実施形態では、経路のシーケンス内の少なくとも1つの経路が同じ試料領域に複数回入射する。
【0058】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、複数のプローブ放射ビームがN個の試料領域のセットに同時に入射し、各プローブ放射ビームがN個未満の試料領域の異なるサブセットに入射し、各試料領域が少なくとも1つのプローブ放射ビームの経路に含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプローブ放射ビームが、異なる方向から又は異なる入射角で同じ試料領域に入射する。光学的構成は少なくともN回変更され、各プローブ放射ビームを試料領域の少なくともN個の異なるシーケンスと相互作用させる。少なくともN個の異なる光学構成に対応する空間振幅の少なくともN個の測定のシーケンスが、試料材料との相互作用後に複数の同時プローブ放射ビーム内の各プローブ放射ビームに対して行われ、空間振幅が分析されて試料相互作用の空間分布に関する情報が提供される。
【0059】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、少なくとも1つのプローブ放射経路に含まれる試料領域のセットは、測定された試料パラメータに少なくとも部分的に基づいて変更される。例えば、試料材料との相互作用の空間分布は、プローブ放射経路の第1のセットを使用して近似され、プローブ放射経路の第2のセットは、第1の近似の信号対雑音比を改善するように選択される。例えば、プローブ放射経路の第2のセットは、強く吸収する試料領域における全放射束を増加させ、それによって光子計数統計を改善するように選択されてもよい。例えば、プローブ放射経路の第2のセットは、弱く吸収する試料領域においての全放射束を減少させ、それによって検出手段によって必要とされるダイナミックレンジを減少させて、弱い信号のより大きな増幅を可能にするように選択されてもよい。
【0060】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、少なくとも1つの光線経路に沿って導かれるプローブ放射の振幅は、測定された試料パラメータに少なくとも部分的に基づいて変更される。例えば、第1の光線経路に沿った試料相互作用の後に測定された振幅は、光線経路の第2のセットに沿った試料相互作用の後に測定された振幅とは著しく異なり得る。制御手段は、低い検出器増幅及び広いダイナミックレンジによって光線経路振幅の測定値の第1のセットを行わせる信号を生成し得る。次いで、制御手段は、平均光線経路振幅と閾値を超えて異なる測定光線経路振幅を選択し、選択された経路に沿って測定されたプローブ放射の振幅を平均に近付けるように、プローブ放射源に、選択された光線経路に沿って導かれたプローブ放射の初期振幅を変更させる信号を生成する。選択された経路に沿って測定された振幅は、その後の数値計算においてスケーリングされて、初期振幅の変化を説明し得る。プローブ放射振幅のこのリバランスは、検出器のダイナミックレンジを測定振幅のより小さい範囲にマッピングするように検出器手段の増幅を調整することを可能にし、それによって異なる光線経路間のより小さい振幅差の測定を可能にする。プローブ放射源は、例えば、選択された光線経路に沿って放射を指向させるか、又は指向させないように時間的に動作する一体型空間変調器を含み得る。プローブ放射が光線経路に沿って誘導される時間の割合は、その光線経路に沿ったプローブ放射の平均初期振幅を決定する。別の例では、空間変調器は、電気信号に応答してある位置において透過されるプローブ放射の割合を変調してもよい。
【0061】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、プローブ放射ビームは、試料領域との相互作用の間に少なくとも1回集束される。
【0062】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、プローブ放射の経路は、プローブビームソースの位置から検出面上の位置まで追跡され、追跡された経路内の各試料位置は、検出面におけるプローブ放射の振幅に関連する。すなわち、検出面上の位置における振幅は、プローブ放射経路に含まれる試料領域との相互作用の合計に関連する。このプロセスは、プローブ放射源から検出面までの全ての経路の代表的な試料に対して繰り返される。いくつかの実施形態では、試料材料との相互作用は、試験パラメータを用いて各プローブ放射経路に沿ってモデル化され、試験パラメータは、検出面において測定された振幅と計算された振幅との間の差を最小にするように反復的に変化する。いくつかの実施形態では、試料領域は、複数の試料領域に分割され、検出面は、複数の検出領域に分割され、試料領域は、試料材料との相互作用の空間分布に関する情報を提供するために解かれる線形方程式のセットによって検出領域に関連する。例えば、検出領域は、行列の行として表されてもよく、試料領域は、行列の列として表されてもよい。各プローブ照射経路の(プローブビーム源における)振幅は、検出領域に対応する行のプローブ照射経路と交差する試料領域に対応する各列に加算される。得られた行列方程式は、上記で引用したMPIS特許に記載されているような反転又は上記で引用したHEMS特許に記載されているような最小二乗法によって解かれ得る。いくつかの実施形態では、試料領域は、既知の試料領域における既知の試料相互作用のセットである較正データによってニューラルネットワークを訓練することによって検出表面領域に関連する。
【0063】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、試料材料は、生物学的材料であり、生物学的材料は、真核細胞、原核細胞、ウイルス粒子、細菌、組織、バイオポリマー溶液、又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0064】
先行する又は後続の実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得る重要な実施形態では、試料材料はガスである。
【0065】
本発明の方法及びシステムの実装は、選択されたタスク又はステップを手動、自動、又はそれらの組合せで実行又は完了することを含む。さらに、本発明の方法及びシステムの好ましい実施形態の実際の器具及び機器によれば、いくつかの選択されたステップは、任意のファームウェア又はそれらの組合せの任意のオペレーティングシステム上のハードウェア又はソフトウェアによって実装することができる。例えば、ハードウェアとして、本発明の選択されたステップは、チップ又は回路として実装することができる。ソフトウェアとして、本発明の選択されたステップは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装することができる。いずれの場合でも、本発明の方法及びシステムの選択されたステップは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行されるものとして説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1A】
図1Aは、上記のMPIS特許の従来技術のサンプリング幾何学的形状を示している。
【
図2A】
図2Aは、本発明にかかるサンプリング形状を示している。
【
図3】
図3は、本発明にかかる構成の試料領域内の試料領域を概略的に示している。
【
図4】
図4は、本発明の構成の概略図を示している。
【
図6A】
図6Aは、試料領域を通る複数の経路についてのビーム経路の第1の断面図を示している。
【
図6B】
図6Bは、試料領域を通る複数の経路についてのビーム経路の第2の断面図を示している。
【
図6C】
図6Cは、試料領域を通る複数の経路についてのビーム経路の第3の断面図を示している。
【
図7】
図7は、試料領域のシーケンスのスペクトルを測定するための本発明にかかる装置の平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。当該技術分野において知られている構造又はプロセスの詳細な説明は、本開示の主題を不明瞭にすることを避けるために省略されることがある。さらに、本開示の以下の説明では、本開示の一般的な理解を与えるために以下の説明に見られる様々な具体的な定義が提供され、そのような定義なしで本開示を実装することができることは当業者にとって明らかである。
【0068】
図1Aは、全体として10において示されている、上記で引用したMPIS特許のサンプリング幾何学的形状を示している。試料領域11は、単位球12の中心にある。プローブ放射16のコリメートされたビームは、一定の緯度線13Aを通過し、14において示される一定の入射角θにおいて試料領域11に入射する。xy平面上へのプローブビーム16の投影は、15において示されるようにx軸と角度phi1を成す。プローブビーム16は、
図1Bに最もよく見られるように、ビームの断面積16Aにわたって分布する平行(又はほぼ平行)光線束21からなる。光線束21は、検出器領域に対応するように選択される。
図1Cに示すように、試料領域11は、光線束21と交差し、吸収材料22を有する領域を含む。プローブ放射は、試料領域11において反射又は透過され得る。図示のように、プローブ放射ビーム16は、プローブ放射ビーム17として反射される。16Aにおいて示されるプローブビーム16の断面積と、17Aにおいて示されるプローブビーム17の断面積とは、等しいか又はほぼ等しい。単位球12上では、16A及び17Aは、等しいか又はほぼ等しい立体角を定める。第1の経路では、プローブビーム17は、反射光学素子(図示せず)によって18に示すように方向転換されて、試料領域11の方向にプローブビーム19を形成する。入射角は一定であるため、プローブビーム19は、一定の緯度線13A上にある。図示のように、プローブビーム19は、試料領域11を透過し、20において示される透過ビームは、一定の緯度線13Bに入射する。一定の緯度線13A及び13Bは、z軸に沿ってそれぞれcos(シータ)及び-cos(シータ)だけ変位される。20Aにおいて示されるプローブビーム20の断面積は、16Aにおいて示されるプローブビーム16の断面積と等しいか、又はほぼ等しい。第2の経路では、プローブビーム17は、一定の並進ベクトルによって試料領域11に関連する第2の試料領域11Bに方向転換される。第2の連続する各試料領域は、試料領域11に関連して説明したのと同じタイプの単位球12を有する。
【0069】
図1Dに最もよく見られるように、ビーム経路は、座標Tに沿ってパラメータ化することができる。放射源24は、試料領域11に最初に入射するコリメートビーム16を生成する。25において示されるように、ビーム上の幾何学的変換は、試料領域11によって反射又は透過される。反射の場合、変換は、
図1Aに示すようにビームセグメント17及び18を含み得る。幾何学的変換は、例えば1つ又は複数のミラー又は1つ又は複数の結晶面での全内部反射であり得る光学素子によって実行される。幾何学的変換は、試料領域などの固定基準フレームに対するものであることに留意されたい。プローブビームの基準系において、任意の2つの光線間の変位は不変である。したがって、幾何学的変換のシーケンスを試料領域11に適用することは、同じ結果を生み出す。幾何学的変換25に続いて、プローブビーム19は、2回試料領域11に入射する。試料領域から相互作用ビームを受光し、プローブビームに幾何学的変換を実行し、プローブビームを試料領域に入射させるシーケンスは、複数回繰り返される。N番目の幾何学的変換は、プローブビーム27を試料領域11上に導く26に示されている。相互作用されたビームは、28において光学素子によって変換され、検出器29に入射する。
【0070】
図1Eに最もよく見られるように、検出器29におけるプローブビームは、(
図1Cに示すような)試料位置11における吸収の空間パターンと幾何学的変換のシーケンスとの重ね合わせである。検出器29における23において示されるパターンは、回転動作のみの効果を示す。一般に、検出器29におけるパターンは、回転、ミラー反射、反転、及び並進の影響を含む。上記で引用したMPIS特許では、各検出器領域は、幾何学的変換によって試料サブ領域のセットにマッピングされ、
図1Cに示すように試料平面画像を得るために、行列方程式が幾何学的変換を「巻き戻す」ように解かれる。全吸収は、試料通過回数Nによって乗算され、それにより、弱く吸収する試料材料の信号対雑音比を改善する。反射率の場合、プローブビームは、一定の緯度線13A又は一定の緯度線13Bのいずれか一方と交差しなければならないが、双方ではなく、試料領域11の各試料通過について少なくとも2回交差しなければならない。したがって、試料経路の最大数は、πラジアンを立体角ビーム幅によって割ったものである。透過率の場合、プローブビームは、試料領域11の各試料通過ごとに一度、一定の緯度線13Aと一度、一定の緯度線13Bと交差しなければならない。したがって、試料経路の最大数は、2*πラジアンを立体角ビーム幅によって割ったものである。
【0071】
図2Aは、30において全体的に示される本発明のサンプリング幾何学的形状を示している。試料領域11は、単位球12の中心にある。プローブ放射は、単位球12上の任意の位置から試料領域11に入射し得て、すなわち、それぞれ32T及び32Pにおいてビーム32について示される球面座標角θ及びphiに制限はない。上記のMPIS特許(
図1A)では、シータは固定されており、phiは任意の角度とすることができる。比較のために、
図1Aの固定緯度は、
図2Aにおける13A及び13Bに示されている。16、17、18、19、及び20(
図1A)において示されるコリメートビームは、本発明の範囲内であるが、複雑さを避けるために
図2Aでは複製されていない。
【0072】
図2Aに示すように、プローブ放射ビーム31及び35は、それぞれ異なる入射角31T及び35Tにおいて試料領域11に入射する。プローブ放射ビーム31及び35は、単位球12上の立体角31A及び35Aを定める。一般的なサーベイスキャンに適したいくつかの実施形態では、立体角31A及び35Aは等しい。試料領域11の選択された部分領域からの信号を増強するのに適したいくつかの実施形態では、立体角31A及び35Aは異なっていてもよい。31Bに示すように、プローブ放射ビームは収束してもよく、すなわち、31Bにおけるプローブビーム31の断面積は、31Aにおけるその断面積よりも小さい。
【0073】
プローブビーム31は、試料領域11内の材料と相互作用し、プローブビーム32として透過され、単位球12上の立体角32Aを定める。立体角31Aと立体角32Aは、コリメート光又は単位球の中心点に収束する収束光の特殊な場合にのみ等しい。これらの特殊な場合は、拡大率1に対応する。一般に、立体角31A及び32Aは、異なっていてもよい。本発明のこの重要な特徴は、試料領域の倍率が変えられることを可能にする。光学素子33は、例えば凹面鏡、レンズ、又は結晶ファセットであってもよく、プローブビーム32をプローブビーム34として第2の試料領域11Cに向けて方向転換及び再集束させる。いくつかの実施形態では、試料領域11Cは、非一定の並進ベクトルによって試料領域11に関連付けられ、すなわち、試料領域間の変位は変化し得る。試料領域間の間隔は、上記のHEMS特許において論じられている変調領域と同様の方法で擬似ランダムであってもよい。すなわち、プローブビームは、試料領域の擬似ランダムシーケンスとの相互作用によって変調される。他の実施形態では、試料領域間の間隔は一定である。
【0074】
代替の構成では、プローブビーム32は、プローブビーム37として光学素子33によって光学素子45に導かれ、光学素子45は、プローブビーム37をプローブビーム39として試料領域11に方向転換する。したがって、プローブビームセグメント31、32、37及び39は、試料領域11と二度相互作用する単一のプローブビームを形成する。パターンは、N個の試料経路を与えるために複数回繰り返されてもよい。各試料経路について、プローブビームは、入射立体角及び出射立体角を定める。透過の場合、入射立体角と出射立体角との合計は、単位球4πステラジアンの立体角以下である。これは、入射立体角及び出射立体角の合計が一定の緯度における狭いリングの立体角の2倍である上記のMPISの場合とは対照的である。より大きな立体角が利用可能であるため、より多くの試料通過が可能である。反射の場合、入射立体角と出射立体角の合計は、半球2πステラジアンの立体角以下である。これは、入射立体角と出射立体角の合計が一定の緯度における狭いリングの立体角である上記のMPISの場合とは対照的である。より大きな立体角が利用可能であるため、より多くの試料通過が可能である。
【0075】
図2Bは、単位球表面35Aにおけるプローブビーム35の断面図を示している。プローブビームは、ビーム中心43から変位44Aだけ変位した原点42を有する光線からなる。各光線は、プローブビーム断面内の各点のポインティングベクトルにしたがう。試料寸法がプローブ放射の波長よりも大きい実施形態では、光線は、幾何光学法によってモデル化され得る。いくつかの実施形態では、光線は、回折効果を含む物理光学的方法でモデル化され得る。試料寸法がプローブ放射の波長と同様又はそれ未満である実施形態では、光線は、マクスウェルの方程式を解くことによってモデル化され得る。これは、例えば、適切に細かいメッシュ上の線形方程式系を用いて行われ得る。
【0076】
図2Cは、試料領域11との交差部におけるプローブビーム35の断面図を示している。断面積は、収束する光線に起因してより小さくなる。図示のように、光線42は、変位44Aよりも小さい変位44Bだけビーム中心43から変位される。試料材料22は、入射するエネルギー束の一部を吸収する。幾何学的モデルでは、試料材料22と交差する光線は、一定の吸光度を被る。より厳密な物理モデルでは、試料材料22に近接する光線の吸収(吸収断面積)の確率は、偏光及び各吸収分子の中心からの距離によって変化する。
【0077】
図2Dは、本発明の単一チャネル構成の概略図を示している。放射源24は、最初に試料領域11に入射する35に示すように、おそらくは収束するプローブ放射ビームを生成する。38にまとめて示されている光学素子は、透過されたプローブビーム32をセグメント37に方向転換し、セグメント37は、プローブビーム39を形成するために再集束される。プローブビーム39は、2回試料領域11に入射する。試料領域との相互作用後にプローブビームを受光し、ビームを方向転換し、例えば集束ミラーを使用して任意にビームを再成形するプロセスは、最終プローブビーム41がN回目に相互作用するように試料領域に入射するように導かれるまで複数回実行される。相互作用放射は、光学素子28によって収集され、検出器29に導かれる。
【0078】
図2Eは、試料領域との複数の相互作用後の検出器29上の放射パターンの概略図を示している。図示の検出器29は、収束プローブビームによって可能にされる本発明にかかるこの構成の拡大特徴を示すために、
図2Cにおける試料領域11に対してスケーリングされる。放射パターン43は、試料領域11内の吸収材料の分布に関する情報を提供するために分析される。検出器表面上の各点における放射振幅は、いくつかの特別な場合を除く全てにおいて非可換である幾何学的変換のシーケンスによって、試料領域内の相互作用材料の分布に関連する。
【0079】
検出器表面は、検出器領域のセットに細分される。例えば、検出器領域は、固定画素に対応してもよい。例えば、検出器領域は、他の検出器領域とは別個に測定される検出面の一部に対応してもよい。検出装置は、例えば、上記で引用したHEMS特許における構成であってもよい。
【0080】
図3は、試料面積、ビーム領域及び試料領域の間の関係を概略的に示している。2つの試料領域は、一般に50において示される。一般に、
図4に示すように、2つよりも多くの試料領域が存在し得る。放射源24は、エッジ光線45及び46並びに試料光線70を有する放射ビーム47を生成する。試料光線70は、光線70が(幾何光学)点又は(物理光学)点61に近接して存在する試料材料と相互作用する点61において、試料領域54における試料領域11と交差する。光線70は、光線71として反射又は透過され、光線72は、試料材料とのさらなる相互作用が生じ得る点62において入射するように光学素子59によって方向転換される。光線72は、光線73として反射又は透過され、光線74は、試料材料とのさらなる相互作用が生じ得る点63において入射するように光学素子59によって方向転換される。光線74は、光線75として反射又は透過され、光線76は、試料材料とのさらなる相互作用が生じ得る点64において入射するように光学素子59によって方向転換される。光線76は、光線77として反射又は透過され、光線78は、試料材料とのさらなる相互作用が生じ得る点65において入射するように光学素子59によって方向転換される。光線78は、光線79として反射又は透過され、光線80は、試料材料とのさらなる相互作用が生じ得る点66において入射するように光学素子59によって方向転換される。光線80は、検出器29に入射する光線82として光学素子59によって方向転換される光線81として反射又は透過される。したがって、光線70Rは、光線セグメント70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、及び82からなる。記号Tは、本開示の範囲内でまとめて光線70Rの全てのセグメントを表す。光線70Rは、点61、62、63、64、65、及び66において試料材料と相互作用し、したがって、全相互作用は、単一の点の相互作用の平均6倍である。吸収のために、吸光度は、この例では6倍に増幅される。いくつかの実施形態では、増幅率は、6よりも大きい。上記で引用したMPIS特許では、試料領域は、検出器領域によって暗黙的に画定される。本発明では、試料相互作用点は、任意のユーザ選択試料領域に割り当てられ得る。検出器領域による試料領域の選択は、本発明では特別な場合である。
【0081】
11及び11Cに示すように、ビーム47は、複数の試料領域と交差して相互作用する。ビーム領域と呼ばれる試料領域11C上のビーム47の例示的な投影は、48及び49において示されている。一般に、試料領域上に2つよりも多くのビーム投影が存在し得る。ビーム投影は、試料材料がビーム47と二度相互作用し得る共通領域51を含む。一般に、ビーム47は、試料材料と2回よりも多く相互作用し得る。MPIS特許(
図1)では、試料領域の実質的に全てに投影する単一のビームがある。本発明では、試料領域の一部に個別に投影するが、試料領域の実質的に全てにまとめて投影する複数のビームが存在し得る。一般に、ビームは、ビームと試料領域との各交差部について、試料領域内の別個のビーム領域と相互作用する。各交差部において、ビーム領域は、試料領域の全部又は一部を含み得る。
【0082】
各試料領域は、ユーザ定義の試料領域のセットに細分される。試料領域は、例えば、光学系の空間分解能によって定義されるサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、試料領域は、正格子上の試料領域に細分される。これは、試料領域52が光学系の空間分解能に対応し、規則的な格子53上に配置されている
図3に示されている。54に示すように、試料領域は、空間分解能よりも大きくてもよい。試料領域未満の任意の試料領域が許容される。例えば、第1の試料領域は、試料領域の99%を占めることができ、第2の試料領域は、試料領域の1%を占めることができる。この例における第1の試料領域は、基材材料とすることができ、第2の試料領域は、試料材料とすることができる。試料領域54は、試料領域11内の規則的な格子55Bまで論理的に延在する試料領域11C内の規則的な格子55A上に配置される。すなわち、試料領域のセットは、試料領域にまたがる。他の実施形態では、試料領域は、不規則な形状の試料領域56によって示されるように不規則な形状であってもよい。不規則な形状の試料領域は、57において示されるように試料材料22の形状によって画定され得る。試料領域は、不連続であってもよく、58A及び58Bにおいて示されるように2つ以上の非接続領域からなる。58A及び58Bに示されるような不連続試料領域は、例えば、試料材料の輪郭に続く空間境界を有するタイプの試料材料によって占有される領域に対応し得る。試料材料は、例えば、細胞又は同一の非接続細胞の群であってもよい。ユーザ定義の試料領域は、3つの利点を有する。第一に、ユーザ定義の試料領域は、規則的な格子によって画定された領域よりも大きな放射束と相互作用し得て、より大きな放射束は、信号対雑音の改善をもたらす。第二に、ユーザ定義の試料領域境界は、スペクトル干渉を最小にするように選択され得て、それによって測定の特異性を改善する。第三に、ユーザ選択試料領域の数は、規則的な格子内の試料領域の数よりも少なくてもよい。これは、逆問題(以下の式1に関連して説明するように、検出器振幅を試料領域相互作用に関連付ける)及び逆問題を解くために必要な計算リソースの複雑さを低減する。
【0083】
検出器29の各検出器領域において測定される振幅は、放射源からその検出器領域に伝播する光線と交差する各試料点における材料特性の関数である。正式には、
Ai(λ)=ΣAk(λ)∫∫F(uj,vj,λ)Gk(uj,vj,λ)duj dvj (1)
ここで、Ai(λ)は、波長λについてのi番目の検出器領域における振幅であり、Ak(λ)は、各波長についての放射源における各光線の振幅であり、uj及びvjは、j番目の試料領域の空間座標である。F(uj,vj,λ)は、空間及び波長の関数としての試料吸光度を表し、Gk(uj,vj,λ)は、各波長の各光線に関連する放射振幅の空間分布である。Gk(uj,vj,λ)は、例えば、ミラーなどの既知の(好ましくは空間的に不変の特性を有する)試料材料からの応答を測定することによって、較正ステップにおいて直接測定することができる。Gk(uj,vj,λ)はまた、幾何光学光線追跡から物理光学まで、完全なマクスウェル方程式モデルまで、様々な高度化でモデル化され得る。
【0084】
本発明の最終目的は、F(uj,vj,λ)を決定することである。3つの主な手法がとられることができる。第一に、式1は、行列式として近似されることができ、F(uj,vj,λ)は、線形方程式系を解くことによって決定しることができる。第二に、F(uj,vj,λ)は、ニューラルネットワークアルゴリズムを用いて決定することができる。第三に、F(uj,vj,λ)は、反復アルゴリズムを用いて決定することができ、そのモデルについて得られたAi(λ)の試料材料(そして、対応するF(uj,vj,λ)がモデル化される)の近似空間分布が計算され、F(uj,vj,λ)を反復的に調整することによって、モデルとAi(λ)の測定値との二乗差が最小化される。この第2の手法は、開始近似が最終解に近い場合に最もよく機能する。開始近似は、例えば、行列方程式又はニューラルネットワークアルゴリズムの解によって提供され得る。
【0085】
Gk(uj,vj,λ)が試料領域又は試料領域の少なくとも一領域にわたってほぼ一定である場合、式1は、行列式
d=Ms (2)
に単純化されてもよく、ここで、sは、試料部分領域振幅のベクトルであり、dは、検出器振幅のベクトルであり、Mは、各検出器部分領域において受光された振幅に対する各試料部分領域の寄与を記述する係数の行列である。例えば、検出器サブ領域に到達する各光線について、その光線の振幅は、光線が通過した各試料サブ領域を表す列に追加される。行列方程式は、反転(s=M-1d)又は最小二乗法によって解かれ得る。
【0086】
図4は、複数のプローブビームを有する本発明にかかる構成の概略図を示している。91において示されている列には、B1からBmとラベル付けされたm個の放射源があり、mは、1よりも大きく試料領域の数N未満の整数である。各放射源は、92において示されるように制御部90と通信する。各放射源は、93において示されるように3次元放射経路Tiのセットに関連付けられ、インデックスiは、放射源を示し、太字のテキストは、Tiが行列であることを示し、放射ビーム内の各放射経路は行であり、各列は放射経路に沿った座標を表す。試料領域との相互作用の数、したがって各行列Tiに含まれる座標の数は変化する。93において示されるように、Ni試料領域相互作用があり、ここで、iは、放射源のインデックスである。光線経路は、異なる方向から同じ試料領域を複数回横切ってもよい。各経路は、1からNiまで番号付けされた異なる試料領域のセットを含む。各試料領域は、少なくとも1つの光線経路に含まれる。第2の経路に含まれない第1の経路内に少なくとも1つの試料領域があるという条件で、異なる光線経路は、同じ試料領域を含み得る。経路は、それぞれ、異なる数の試料領域を含み得る。各経路に含まれる試料領域の合計が試料領域の数に等しい特別な場合、各試料領域における振幅が保存されるのではなく試料材料との相互作用によって変更されることを除いて、構成は、上記で引用したHEMS特許における構成と類似している。より一般的な場合、全ての光線経路に含まれる試料領域の合計は、試料領域の数Nよりも大きい。
【0087】
原理的には、ビーム内の光線経路の数は、光子の数に近似するが、実際には、より少ない数の光線経路が数値シミュレーションに使用され得る。例えば、数値シミュレーションのための光線経路の数は、10,000から1,000,000の範囲内であり得る。制御部90は、各ビームの形状、振幅、及びスペクトルコンテンツを変更するようにビーム源に対して動作可能である。例えば、出力ビームは、試料領域への入射角を補償するように成形されてもよい。この場合、シリンドリカルレンズ又はミラーは、試料領域上の投影が円形になるようにビームを楕円断面に成形してもよい。例えば、ビーム振幅は、時間的に変調されてもよい。時間変調は、例えば、位相変調が波長を符号化するために使用される干渉計を用いて実行されてもよい。時間変調は、波長の時間的シーケンスを含んでもよい。これらの場合、時間変調は、ビーム断面にわたって均一に適用される。プローブビームは、プローブビーム源と一体であるか、又はプローブビーム源の直後の空間変調器によって空間的に変調されてもよい。いくつかの実施形態では、空間パターンは、試料位置においてスケーリングされた空間的に変調されたプローブビームを生成するために、1未満の係数によって集束光学系によって拡大される。この特徴は、例えば、較正のために試料領域を選択的に照明するために使用され得る。
【0088】
95において示されるように、放射源Biは、第1のセットの試料領域Si1に入射する光線Tiのセットによって表される放射を導く。放射は、試料領域Si1と相互作用し、
図2Dの96において示され、また38にも示されるように光学素子Ei1によって収集される。光学素子Ei1は、97において示されるように、第2のセットの試料領域Si2に入射する放射を導く。試料領域に入射し、次いで光学素子に入射する放射のシーケンスが合計Ni回繰り返される。経路1、2、及びmのそれぞれに対する試料相互作用N1、N2、及びNmの数は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、各経路に沿った試料領域は、
図7に最もよく示されているように擬似ランダムシーケンスにしたがって選択される。
図7では、擬似ランダムシーケンス{1,1,0,1,0,0,1}が示されており、「1」の順序位置の試料領域は、第1の光線経路に含まれ、「0」の順序位置の試料領域は、第2の光線経路に含まれる。この例では、N1=4及びN2=3である。98において示されるように、試料領域Sijは、上記で引用したMDS特許に詳細に記載されているように、試料領域における外部音響及び電磁場を制御する制御部90と任意に通信し得る。簡潔には、制御部90は、外部場を試料領域に課す信号を送信し、試料領域は、試料分子構成の周期的な歪み、したがってスペクトル変化を引き起こす。本開示の特徴と組み合わせてMDS特許の構成を含む実施形態では、MDS特許の構成は、測定することができるスペクトル特徴の数を増加させ、本開示の特徴は、それらのスペクトル特徴の信号対雑音比を強化する。組み合わせた構成は、例えば、SARS-CoV2などのウイルスの多次元スペクトルを測定するために使用され得て、本開示は、測定の感度を改善し、MDS特許に記載された構成は、ウイルス識別の特異性を改善する。
【0089】
99において示されるように、制御部90は、任意に光学素子Eijと通信し、前記光学素子の構成を変更するように動作可能であり、インデックスiは、放射源を指定し、インデックスjは、前記光学素子が放射を受ける試料領域のセットを指定する。いくつかの実施形態では、光学素子は、一定の構成を有する。例えば、光学素子は、内部反射結晶の表面であってもよい。いくつかの実施形態では、光学素子は、制御部90によって複数の構成から選択された構成を有する。例えば、ミラーは、第1の位置から第2の位置に移動され得て、第1の位置は、放射を試料領域の第1のセットに導き、第2の位置は、放射を試料位置の第2のセットに導く。いくつかの実施形態では、光学素子は、一定の構成を有し、試料領域又は試料領域のセットに対して第1の位置から第2の位置に並進又は回転される。試料領域の第1のセットが第1の位置において選択され、試料領域の第2のセットが第2の位置において選択される。光学素子は、放射の特性を変化させるように動作するミラー、レンズ、格子又は他のものの任意の組合せであり、特性は、方向、位相、偏光、又は振幅から選択される。
【0090】
89において示されるように、制御部90と通信する1からmまで番号付けされたm個の検出器がある。いくつかの実施形態では、検出器は、放射振幅を電気信号に変換する複数のトランスデューサを有する物理アレイである。いくつかの実施形態では、検出器は、単一の検出器が複数の位置に移動する仮想アレイである。いくつかの実施形態では、検出器は、単一のトランスデューサである。
【0091】
図5Aは、全体として110において示される本発明の多重構成の概略図を示している。この構成は、座標フレーム120によって与えられるx方向に行115に沿って等間隔に配置された11個の試料領域を含む。試料領域は、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130及び131において示されている。
図5Bにおいて一般に140において示されるように、ミラーの2つの層が、試料115のラインの両側において136において示されるz軸に関して対称的に配置される。
図5Aの114及び116において示される第1の層のミラーは、2つの構成を有する。114Tにおいて示される第1の構成では、ミラー114は、制御部90と通信するアクチュエータ(図示せず)によってビーム134の経路外に回転され、放射ビームが試料ライン115からミラー113に、又はその逆に通過することを可能にする。同様に、ミラー116は、制御部90と通信するアクチュエータ(図示せず)によって構成116Tに回転され得て、放射ビーム135が試料ライン115からミラー117に、又はその逆に通過することを可能にする。第1の構成は、118において示されるように、
図5Aにおいて破線によって示されている。
図5Bの114R及び116Rに示される第2の構成では、ミラー114及び116は、入射放射を試料ライン115に向けて反射するように回転される。ミラー113、114R、116R及び117は、z軸に対して同じ角度で配向されている。
【0092】
図5Aに示されるように、第1の入射放射ビーム111は、試料領域121に入射し、タイプ116Rのミラーに反射され、次の試料位置122に戻される。放射ビーム111の入射角は、ライン114又は116に沿ったミラーからの反射が一方の試料位置を進行させ、ライン113又は117に沿ったミラーからの反射が2つの試料位置を進行させるように選択される。この方式は、137において示されるように、ライン113と114との間又はライン116と117との間の反射による反射ごとに3つ以上の試料位置を進めるように容易に拡張される。必要なのは、ミラー114R及び116Rが両側で反射性であることだけである。したがって、この方式によって、放射ビーム111は、連続して試料領域121、122、124、126、127、130に入射する。試料領域のパターンは、第1の符号シーケンス11010110010である。放射ビーム111は、132において検出器によって測定される。第2の放射ビーム112は、試料領域123、125、128、129、131に入射し、133において検出器によって測定される。第2のビーム112の試料領域のパターンは、符号シーケンス00101001101である。
図5Aに示す例では、
図4に与えられるスキームでは、N1=6、N2=5、及びN=11である。透過位置と反射位置との間でライン114及び116に沿ってミラーを移動させることによって、装置は、符号シーケンスの巡回順列を生成するように構成することができる。1つの符号シーケンスの巡回順列及び関連する振幅測定値は、準アダマールの場合として容易に認識され、各試料領域の吸光度は、符号シーケンスの行列の反転によって得られる。ビーム111及び112が測定される場合、各試料領域の吸光度は、上記で引用したHEMS特許に詳細に記載されているように得られる。具体的には、与えられた例では、ミラーの11個の巡回順列があり、2つの検出器のそれぞれが11回の測定を行って長さ22のデータベクトルyを生成する。HEMS特許に記載されているZ行列は、試料位置ごとに1つずつ、11列を有し、22擬似ランダムシーケンスの巡回置換ごとに11行(ビーム111)、各巡回置換の補数ごとに11行(ビーム112)を有する。HEMS特許における式3から、吸光度ベクトルbは、b=(Z
TZ)
-1Z
Tyによって与えられる。上記は、各試料領域の試料が均質である場合に機能する。不均質な場合、試料領域は、Q個の試料領域に分割され、放射は、光源から検出器まで追跡され、式1は、前述のように試料領域の吸光度について解かれる。
【0093】
図6A、
図6B及び
図6Cは、試料領域142上の異なる入射角を有するビーム経路の断面図を示している。
図6A、
図6B及び
図6Cに示されるビーム経路は、141の座標系によって示されるように、y-z平面を通る断面である。入射放射ビームは、図に垂直なx方向の成分を有する方向ベクトルを有する。
【0094】
図6Aでは、反射面が142、143A、143B、144、145A、145B及び146において示されている。試料材料は、試料領域142に配置される。放射は、経路152及び153又はそれらの部分に沿って反射面の間を順に進む。x軸に沿った無限数の経路が可能であるため、例示的な例のみを示す。与えられた例における連続するステップごとに、x方向の座標が増加することに留意されたい。例えば、放射は、試料領域142に入射し、経路152に沿って反射面144に反射されてもよい。反射面144において、放射は、反射面143Bに反射され、次いで反射面144に反射される。反射面144からの放射は、試料領域142に反射される。試料領域142では、放射が経路153に反射され、反射面145Aに入射する。反射面145Aは、放射を試料領域142に反射し、そこで反射面143Aに反射される。反射面143Aは、放射が経路153に沿って反射面146に反射される試料領域142に放射を反射する。反射面146において、放射は、反射面145Bによって反射されて反射面146に戻る。放射は、最終的に反射面146から試料領域142に反射される。
【0095】
図6Bでは、反射面が142、147A、147B、及び148において示されている。x軸に沿った無限数の経路が可能であるため、例示的な例のみを示す。試料領域142に入射した放射は、経路154上で反射面148に反射される。放射は、反射面148から反射面147Bに反射され、反射面148に戻り、そこから試料領域142に反射される。試料領域142から反射された放射は、反射面147Aに反射され、反射面147Aから試料領域142に戻る。
【0096】
図6Cでは、反射面が142、149A、149B、150、151A、151B、及び152において示されている。
図6Aと同様に、x軸に沿った無限数の経路が可能であり、例示的な経路の説明は、
図6Aに与えられた例と同様である。
図6Aの説明では、反射面143A、143B、145A、145B、144及び146をそれぞれ反射面149A、149B、151A、151B、150及び152に置き換える。経路152及び153をそれぞれ経路155及び156に置き換える。
【0097】
各図について、放射ビームは、例えば
図5Aに示すように、x軸に沿って異なる変位で試料領域142に入射する。
図6A、
図6B、及び
図6Cのパターンは、ビームが異なる入射角で同じ試料領域に複数回入射するように組み合わせられてもよい。例えば、放射ビームは、
図6Aのパターンにしたがって、x軸に沿った試料領域のシーケンスに入射してもよい。
図6Aのシーケンスの最後に、光学素子は、逆の順序で同じシーケンスの試料領域に入射する
図6Bのパターンにしたがって反対方向にx軸を横断するように放射ビームを反射する。
図6Bのシーケンスの最後に、光学素子は、同じシーケンスの試料領域に入射する
図6Cのパターンにしたがって反対方向にx軸を横切るように放射ビームを反射する。この例示的な例では、各試料領域での試料相互作用は、3倍増加する。本明細書の概念は、示されているものとは異なる入射角で反射要素の対を追加することによって容易に拡張される。
【0098】
図7は、160において一般的に示されている試料領域のシーケンスのスペクトルを測定するための構成の平面図を示している。試料領域163の順序付けられたシーケンスは、反射面161上で164において示されるように図の左から右に移動する可動プラットフォーム162上に担持される。いくつかの実施形態(図示せず)では、可動プラットフォーム162は、反射面161と一体である。垂直に変位した反射面は、
図5B又は
図6A、
図6B及び
図6Cに示されるように、反射面161の両側に配置される。試料領域163は、試料材料163Sを含む。試料材料163Sは、例えば、細胞、細菌、ウイルス、生物学的流体、バイオポリマー又はそれらの任意の組合せを含有する生物学的試料であり得る。第1のプローブ放射ビーム166が光源165から放射される。第1のプローブビーム166は、任意に、光源165と一体の変調器165Mによって変調されてもよい。プローブビーム166は、検出器173によって受光及び分析される前に、反射面167、168、169、170、171及び172によって順次反射される。第2のプローブ放射ビーム175が光源174から放射される。第2のプローブビーム175は、任意に、光源174と一体の変調器174Mによって変調されてもよい。プローブビーム175は、検出器181によって受光及び分析される前に、反射面176、177、178、179及び180によって順次反射される。放射ビーム166が反射面161を横切るたびに、プローブ放射ビーム166は、前記試料領域が反射面161に重なる場合に試料領域と相互作用して試料領域によって反射されるか、又は反射面161によって反射される。放射ビーム175が反射面161を横切るたびに、プローブ放射ビーム175は、前記試料領域が反射面161に重なる場合に試料領域と相互作用して試料領域によって反射されるか、又は反射面161によって反射される。どちらの場合も、試料相互作用及び表面反射のパターンは、1(試料相互作用)及び0(表面反射)の符号シーケンスを形成する。反射面167、168、169、170、171及び172は、可動プラットフォーム162を1つの試料領域の長さだけ並進させることにより、第1の符号シーケンスの巡回置換を与えるように配置される。反射面176、177、178、179及び180は、可動プラットフォーム162を一方の試料領域の長さだけ並進させることにより、第2の符号シーケンスの巡回置換が与えられるように配置される。第2の符号化シーケンスは、第1の符号化シーケンスの補数である。図示の例では、符号シーケンスは、長さ7を有する。他の、好ましくはより長い擬似ランダム符号シーケンスが使用されてもよい。この構成における最小符号シーケンス長は3である。
【0099】
図7の構成は、符号シーケンスを変更するために制御部90によって再構成されてもよい。各反射面は、光学素子172について詳細に示されるように再配向されてもよい。光学素子172は、2つの反射面172A及び172Bを有し、制御部90と通信するアクチュエータ(図示せず)によって軸172Xを中心に回転される。反射面172Aと反射面172Bとの間の角度は固定されている。制御部90と通信する較正ビーム源182は、反射面172Bに入射する較正ビーム183を生成する。反射した較正ビーム184は、制御部90と通信する位置敏感型検出器185によって測定される。反射面172Bの角度変位は、較正ビーム184の角度変位が符号構成に必要な反射面172Aの角度変位に対応するまで、制御部90によって調整される。反射面172Aの角度変位は、反射面172Bの測定された角度変位に一定の角度だけ関係する。図示のように、反射面172A及び172Bは平行であるが、本方法は、任意の既知の一定の角度で機能する。いくつかの実施形態では、反射面は、同じ面であってもよい。較正ビーム源182は、例えば、レーザであってもよい。反射面172Aの角度較正は、例えば振動によって引き起こされる位置ずれを補償するために動的に調整されてもよい。あるいは、反射面172Aは、所望の構成に合わせて位置合わせされ、次いで所定の位置にロックされてもよい。
【0100】
各試料領域のスペクトルを測定するために、符号シーケンス内の可動プラットフォームの各位置についてスペクトルが測定される。すなわち、スペクトルは、双方の検出器において測定され、プラットフォームは、1つの試料領域の長さだけ前進する。このプロセスは、各検出器における測定の数が符号シーケンスの長さに等しくなるまで繰り返される。そのように測定されたスペクトルは、各試料領域のスペクトルの組合せである。各試料領域のスペクトルは、上記で引用したHEMS特許に記載されている方法によって取得される。同じ一般的な方法は、試料領域内の試料領域に変更を加えて適用されることができる。一般に、光線経路又は近接する光線経路の群に沿って閉じたセットを形成する異なる試料領域からの試料領域の群が存在する。変更は、各検出器領域に割り当てられた試料領域が光線追跡によって選択されることである。
【0101】
本発明の構成は、異なる試料位置からの吸収を合計することによって測定された光振幅のダイナミックレンジを減少させるが、いくつかの光線経路は、低吸収試料領域のみを含んでもよい。この場合、検出手段における振幅のダイナミックレンジを制限するために空間変調器を用いてそのような低吸収光線経路に沿ったプローブ放射振幅を低減することが有利であり得る。あるいは、強く吸収する試料材料を含む試料領域と交差する光線経路に沿ってプローブ放射振幅を増加させることが有利であり得る。制御部90は、適切な制御信号を変調器165M及び174Mに送信することによって、各光線経路に沿ったプローブ放射の初期振幅を調整し得る。
【0102】
各試料領域スペクトルの信号対雑音比は、測定された光線経路振幅のビット分解能、又は同等に測定可能な最小振幅差に部分的に依存する。動作中、
図7の構成は、全ての可能な測定された光線経路振幅を含む検出器増幅率を使用して、試料領域のスペクトルを最初に測定し得る。制御部90は、測定光線経路振幅の第1のセットを分析し、平均光線経路振幅と閾値を超えて異なる測定振幅を有する光線経路を選択する。制御部90は、変調器165M及び174Mに信号を生成して送信し、変調器165M及び174Mに、選択された光線経路に沿ったプローブ放射の初期振幅を調整させ、調整は、選択された光線経路について測定された振幅が全ての光線経路について測定された平均振幅に近付くようなものである。次に、制御部90は、検出器173及び181のダイナミックレンジを光線経路振幅の(ここではより小さい)予想範囲にマッピングする。次に、制御部90は、改善された信号対雑音比を有する試料領域スペクトルの第2のセットを生成する測定値の第2のセットを作成させる。
【国際調査報告】