(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法および肉代替食品製品
(51)【国際特許分類】
C12N 15/70 20060101AFI20231213BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20231213BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231213BHJP
C12N 15/29 20060101ALI20231213BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20231213BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231213BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231213BHJP
C12N 15/81 20060101ALI20231213BHJP
A23J 1/18 20060101ALI20231213BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20231213BHJP
C07K 14/195 20060101ALN20231213BHJP
C07K 14/415 20060101ALN20231213BHJP
C07K 14/805 20060101ALN20231213BHJP
【FI】
C12N15/70 Z
C12P21/02 C ZNA
C12N15/12
C12N15/29
C12N15/31
C12N1/19
C12N1/21
C12N15/81 Z
A23J1/18
A23J3/00 502
C07K14/195
C07K14/415
C07K14/805
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534334
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2021083972
(87)【国際公開番号】W WO2022117729
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523207434
【氏名又は名称】プランイート フーズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ウォン タック セング
(72)【発明者】
【氏名】ティー カング ラン
(72)【発明者】
【氏名】ラングワルナー マーギット
(72)【発明者】
【氏名】ナルラニ マドハヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ラングワルナー クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA02
4B064CA06
4B064CA19
4B064CC03
4B064CC06
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4B065AB01
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4B065CA24
4B065CA41
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA11
4H045CA30
4H045CA40
4H045EA01
4H045FA74
4H045GA01
(57)【要約】
本発明は、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法および無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法に関する。さらに、本発明は、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する。本発明はまた、組換えグロビンポリペプチド生成のためのベクターおよびシステム、ならびに、組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法:
- ササゲ属(Vigna)植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリア(Vitreoscilla stercoraria)の細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【請求項2】
前記1種または複数種の核酸配列が、ササゲ属植物、好ましくは、ビグナ・アムバケンシス(Vigna ambacensis)、ビグナ・アンギベンシス(Vigna angivensis)、ビグナ・フィリカウリス(Vigna filicaulis)、ビグナ・フリーシオルム(Vigna friesiorum)、ビグナ・ガゼンシス(Vigna gazensis)、サラワクマメ(Vigna hosei)、ナガバハマササゲ(Vigna luteola)、ビグナ・メンブラナセア(Vigna membranacea)、ビグナ・モナンサ(Vigna monantha)、ビグナ・ラセモサ(Vigna racemosa)、バンバラマメ(Vigna subterranea)、およびササゲ(Vigna unguiculata)からなる群より選択されるササゲ属植物、より好ましくは、バンバラマメに由来するレグヘモグロビンをコードする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1種または複数種の核酸配列が、ルピナス、好ましくは、シロバナハウチワマメ(Lupinus albus)、アオバナハウチワマメ(Lupinus angustifolius)、ルピナス・ミクランサス(Lupinus micranthus)、キバナハウチワマメ(Lupinus luteus)、ルピナス・ヒスパニカス(Lupinus hispanicus)、ルピナス・コセンティニィ(Lupinus cosentinii)、ルピナス・ジギタツス(Lupinus digitatus)、ルピナス・プリンセイ(Lupinus princei)、ルピナス・ピロサス(Lupinus pilosus)、ルピナス・パレスティナス(Lupinus palaestinus)、ルピナス・アトランチカス(Lupinus atlanticus)、ルピナス・ムタビリス(Lupinus mutabilis)、ルピナス・テキセンシス(Lupinus texensis)、およびルピナス・ヌートカテンシス(Lupinus nootkatensis)からなる群より選択されるルピナス、より好ましくはキバナハウチワマメに由来するレグヘモグロビンをコードする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記1種または複数種の核酸配列が、ウシ由来のミオグロビン、好ましくは、ボス・タウルス(Bos taurus)、オーロックス(Bos primigenius)、バンテン(Bos javanicus)、ガウル(Bos gaurus)、ガヤル(Bos frontalis)、ヤク(Bos grunniens)、ノヤク(Bos mutus)、およびコープレイ(Bos sauveli)、より好ましくはボス・タウルス由来のミオグロビンをコードする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記1種または複数種の核酸配列が、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンをコードし、好ましくは、前記1種または複数種の核酸配列が、ビトレオシラ・ステルコラリアの、ビトレオシラ属(Vitreoscilla)の種HG1の、またはビトレオシラ属の種C1株の細菌性ヘモグロビンをコードする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記宿主細胞が、細菌宿主細胞、好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からなる群より選択される細菌宿主細胞である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記宿主細胞が、酵母宿主細胞、好ましくは、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、またはハンゼヌラ属(Hansenula)の酵母宿主細胞、より好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である酵母宿主細胞である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記1種または複数種の核酸配列が、細菌または酵母において機能的なプロモーターまたはタンデムプロモーターの調節下にあり、
好ましくは、該プロモーターが、細菌プロモーターであり、より好ましくは、該細菌プロモーターが、araBADプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、phoAプロモーター、pLプロモーター、pRプロモーター、rhaBADプロモーター、Sp6プロモーター、T3プロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、T7lacプロモーター、tacプロモーター、tetプロモーター、trcプロモーター、およびtrpプロモーターからなる群より選択され、さらにより好ましくは、T7lacプロモーターである、または
好ましくは、該プロモーターが、酵母プロモーターであり、より好ましくは、該酵母プロモーターが、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GALLプロモーター、GALSプロモーター、CTR1プロモーター、CTR3プロモーター、CUP1プロモーター、CYC1プロモーター、MET25プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF2)のプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)のプロモーター、ヘキソーストランスポーター(HXT7)のプロモーター、ピルビン酸キナーゼ1(PYK1)のプロモーター、およびトリオースリン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のプロモーターからなる群より選択され、さらにより好ましくは、GAL1プロモーターである、
前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記グロビンポリペプチドをコードする前記1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:46、およびこれらの断片からなる群より選択される配列を含むかまたは該配列からなる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
以下の工程を含む、無細胞翻訳系を用いてグロビンポリペプチドを生成する方法:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて該1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 該無細胞翻訳システムから該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【請求項11】
前記無細胞翻訳システムが細菌無細胞システムまたは酵母無細胞システムである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 任意で、1種または複数種の卵アルブミン、
- 任意で、1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質
を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品。
【請求項13】
前記1種または複数種のグロビンタンパク質が、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:38に記載される配列もしくはこれらの断片を含むかまたは該配列もしくはこれらの断片からなる、請求項12記載の食品製品。
【請求項14】
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、ならびに
- 1種または複数種のタグタンパク質、好ましくは、ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジンタグ、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス(Acidianus)糸状ウイルス(AFV)由来のAFV
1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭(Fasciola hepatica)抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)E2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、およびSUMOからなる群より選択される1種または複数種のタグタンパク質、より好ましくは、タグタンパク質ポリヒスチジンタグおよび/またはバチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメインをコードする、核酸配列
を含む、ベクター。
【請求項15】
- 細菌細胞または酵母細胞または無細胞翻訳システム、ならびに
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列
を含む、組換えグロビンポリペプチド生成のためのシステム。
【請求項16】
組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞であって、以下:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、ならびに
- 該グロビンポリペプチドの生合成に関与する少なくとも1種のポリペプチドをコードする核酸配列
を含む、細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法および無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法に関し、該グロビンポリペプチドは、ササゲ属(Vigna)植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリア(Vitreoscilla stercoraria)の細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。さらに、本発明は、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する。本発明はまた、組換えグロビンポリペプチド生成のためのベクターおよびシステム、ならびに、組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
大腸菌(E. coli)を使用してヒトヘモグロビンを生成する方法が開発されたが、この方法でのヘモグロビンの生成は、大腸菌生成物からのエンドトキシンの除去が、非常にコストがかかるので、長期間にわたって非効率的であることが証明されている。ヘムタンパク質を生成するために酵母株も使用されたが、そのような生成システムでは同時に大量のアポタンパク質とヘムの両方が不足するので、そのようなヘムタンパク質の生成は困難であることが証明されている。
【0003】
しかし、Martinezらは、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)によるヒトヘモグロビン生成を記載している。
【0004】
さらに、US2009/0098607A1(特許文献1)は、機能的な組換えヒトヘモグロビンの生成方法を記載している。
【0005】
したがって、これらの参考文献から分かるように、宿主細胞または無細胞翻訳システムを用いて組換えによりポリペプチドを生成する方法またはシステムが、ヒトヘモグロビンについて今までに確立されているが、植物からそれぞれのグロビンを生成するための優れた代替法が、特にレグヘモグロビンについて欠けている。食品製品、特に肉代替食品製品において、それぞれのタンパク質の使用を提供することにも同じことが当てはまる。
【0006】
しかし、現在では、多くの人々が食事中の肉の量を制限することを選択しているので、そのような製品に対する必要性が高まっている。特に、人々は食事中の動物性脂肪の量を低減させようとしている。動物性脂肪は飽和脂肪の主要な供給源であり、これは、血中コレステロールを上げる。
【0007】
食事中の肉を制限したいという欲求にもかかわらず、人々は、バーガーなどの伝統的に肉ベースであった製品をそれでもなお食べたいと思う。ノンミートバーガーは、例えば、野菜、ナッツ、乳製品、キノコ、穀物、またはテクスチャード植物性タンパク質から作られることが公知である。
【0008】
ノンミートバーガーおよび他の肉代替物中の脂肪は、多汁性、食感、およびフレーバーを含めて、様々な官能特性においてきわめて重要な役割を果たす。肉代替製品の脂肪量が低い場合、調理済み製品が多汁性、食感、およびフレーバーに関してあまり望ましくない傾向がある。これに反して、肉代替製品の脂肪量が最適である場合、これは、多汁性、食感、およびフレーバーの点から、より望ましい。
【0009】
したがって、そのような肉代替製品中で成分として働くことができる物質を生成する方法が必要であり、本発明の発明者らは、特に向上した、肉様の香り、外観、フレーバー、口当たり、および食味をもたらす方法および製品によって、この必要性に応じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【0011】
第1の局面では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0012】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0013】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ササゲ属植物、好ましくは、ビグナ・アムバケンシス(Vigna ambacensis)、ビグナ・アンギベンシス(Vigna angivensis)、ビグナ・フィリカウリス(Vigna filicaulis)、ビグナ・フリーシオルム(Vigna friesiorum)、ビグナ・ガゼンシス(Vigna gazensis)、サラワクマメ(Vigna hosei)、ナガバハマササゲ(Vigna luteola)、ビグナ・メンブラナセア(Vigna membranacea)、ビグナ・モナンサ(Vigna monantha)、ビグナ・ラセモサ(Vigna racemosa)、バンバラマメ(Vigna subterranea)、およびササゲ(Vigna unguiculata)からなる群より選択されるササゲ属植物に由来する、より好ましくはバンバラマメに由来するレグヘモグロビンをコードする。
【0014】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法のさらなる一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ルピナス由来の、好ましくは、シロバナハウチワマメ(Lupinus albus)、アオバナハウチワマメ(Lupinus angustifolius)、ルピナス・ミクランサス(Lupinus micranthus)、キバナハウチワマメ(Lupinus luteus)、ルピナス・ヒスパニカス(Lupinus hispanicus)、ルピナス・コセンティニィ(Lupinus cosentinii)、ルピナス・ジギタツス(Lupinus digitatus)、ルピナス・プリンセイ(Lupinus princei)、ルピナス・ピロサス(Lupinus pilosus)、ルピナス・パレスティナス(Lupinus palaestinus)、ルピナス・アトランチカス(Lupinus atlanticus)、ルピナス・ムタビリス(Lupinus mutabilis)、ルピナス・テキセンシス(Lupinus texensis)、およびルピナス・ヌートカテンシス(Lupinus nootkatensis)からなる群より選択されるルピナス、より好ましくはキバナハウチワマメに由来するレグヘモグロビンをコードする。
【0015】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ウシ由来のミオグロビン、好ましくは、ボス・タウルス(Bos taurus)、オーロックス(Bos primigenius)、バンテン(Bos javanicus)、ガウル(Bos gaurus)、ガヤル(Bos frontalis)、ヤク(Bos grunniens)、ノヤク(Bos mutus)、およびコープレイ(Bos sauveli)由来の、より好ましくはボス・タウルス由来のミオグロビンをコードする。
【0016】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法のさらなる一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンをコードし、好ましくは、1種または複数種の核酸配列は、ビトレオシラ・ステルコラリアの、ビトレオシラ属(Vitreoscilla)の種HG1の、またはビトレオシラ属の種C1株の細菌性ヘモグロビンをコードする。
【0017】
また、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、宿主細胞は細菌宿主細胞、好ましくは、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、およびラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からなる群より選択される細菌宿主細胞である。
【0018】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の別の態様では、宿主細胞は酵母宿主細胞、好ましくは、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、トルロプシス属(Torulopsis)、またはハンゼヌラ属(Hansenula)の酵母宿主細胞、より好ましくはサッカロマイセス・セレビシエである酵母宿主細胞である。
【0019】
本発明の組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法にとって、前記グロビンポリペプチドが、前記宿主細胞に対して異種であることも好ましい。
【0020】
さらに、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、前記1種または複数種の核酸配列が、細菌または酵母において機能的なプロモーターの調節下にあることが好ましく、好ましくは、該プロモーターは細菌プロモーターであり、より好ましくは、細菌プロモーターは、araBADプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、phoAプロモーター、pLプロモーター、pRプロモーター、rhaBADプロモーター、Sp6プロモーター、T3プロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、T7lacプロモーター、tacプロモーター、tetプロモーター、trcプロモーター、およびtrpプロモーターからなる群より選択され、さらにより好ましくは、T7lacプロモーターである;または好ましくは、該プロモーターは酵母プロモーターであり、より好ましくは、酵母プロモーターは、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GALLプロモーター、GALSプロモーター、CTR1プロモーター、CTR3プロモーター、CUP1プロモーター、CYC1プロモーター、MET25プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF2)のプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)のプロモーター、ヘキソーストランスポーター(HXT7)のプロモーター、ピルビン酸キナーゼ1(PYK1)のプロモーター、およびトリオースリン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のプロモーターはからなる群より選択され、さらにより好ましくは、GAL1プロモーターである。
【0021】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、グロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、およびSEQ ID NO:46からなる群より選択される配列を含むかまたは該配列からなる。本発明は、これらの言及される配列の断片も含む。
【0022】
さらなる局面では、本発明は、以下の工程を含む、無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0023】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0024】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成するこの方法の一態様では、無細胞翻訳システムは、細菌無細胞システムまたは酵母無細胞システムである。
【0025】
さらなる局面では、本発明は、以下を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 任意で、1種または複数種の卵アルブミン、
- 任意で、1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質。
【0026】
一態様では、本発明は、以下を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 任意で、1種または複数種の卵アルブミン、
- 任意で、1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質。
【0027】
本発明の食品製品の一態様では、1種または複数種のグロビンタンパク質は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、もしくはSEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。本発明の食品製品の一態様では、1種または複数種のグロビンタンパク質は、SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。本発明は、これらの言及される配列の断片も含む。
【0028】
さらなる局面では、本発明は、以下を含むベクターを提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、
- 1種または複数種のタグタンパク質、好ましくは、ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジンタグ、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス(Acidianus)糸状ウイルス(AFV)由来のAFV1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭(Fasciola hepatica)抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)E2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(Nutilization substance A)(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、およびSUMOからなる群より選択される1種または複数種のタグタンパク質、より好ましくは、タグタンパク質ポリヒスチジンタグおよび/またはバチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメインをコードする、核酸配列。
【0029】
一態様では、本発明は、以下を含むベクターを提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、
- 1種または複数種のタグタンパク質、好ましくは、ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジンタグ、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス糸状ウイルス(AFV)由来のAFV1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、およびSUMOからなる群より選択される1種または複数種のタグタンパク質、より好ましくは、タグタンパク質ポリヒスチジンタグおよび/またはバチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメインをコードする、核酸配列。
【0030】
さらなる局面では、本発明は、以下を含む、組換えグロビンポリペプチド生成のためのシステムを提供する:
- 細菌細胞または酵母細胞または無細胞翻訳システム、ならびに
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、ならびにこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列。
【0031】
一態様では、本発明は、以下を含む、組換えグロビンポリペプチド生成のためのシステムを提供する:
- 細菌細胞または酵母細胞または無細胞翻訳システム、ならびに
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列。
【0032】
別の局面では、本発明は、組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞であって、以下を含む細胞を提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、
- 該グロビンポリペプチドの生合成に関与する少なくとも1種のポリペプチドをコードする核酸配列。
【0033】
一態様では、本発明は、組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞であって、以下を含む細胞を提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、
- 該グロビンポリペプチドの生合成に関与する少なくとも1種のポリペプチドをコードする核酸配列。
【0034】
本発明のこれらの局面は、以下の図面、詳細な説明、および非限定例を考慮すれば、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
添付の図面は、本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を構成する態様のさらなる理解のために含まれる。図面は態様を図示し、解説とともに、態様の原理を説明するのに役立つ。他の態様および態様の意図された利点の多くは、詳細な説明を参照することにより、よりよく理解されるようになるので、容易に認識されるであろう。図面の要素は、必ずしも互いに釣り合いが取れているとは限らない。
【
図1】pET24a-HLTev-VsLegHコンストラクトの配列マップを示す。
【
図2】pET24a-HLTev-LlLegHコンストラクトの配列マップを示す。
【
図3】大腸菌C41(DE3)またはBL21(DE3)のいずれかを使用した、VsLegH(SEQ ID NO:2)およびHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)のタンパク質発現を示す。大腸菌C41(DE3)は、VsLegH(SEQ ID NO:2)とHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)の両方の発現のための株として、より良い結果をもたらした。
【
図4】大腸菌C41(DE3)またはBL21(DE3)のいずれかを使用した、HLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)のタンパク質発現を示す。大腸菌C41(DE3)は、HLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)の発現のための株として、より良い結果をもたらした。ALAおよびFe(II)の添加により、LlLegHへのヘム組み込みが向上した。
【
図5】SBおよび2×TY培地におけるHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)の発現の比較を示す。
【
図6】SBおよび2×TY培地におけるHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)の発現の比較を示す。
【
図7】大腸菌C41(DE3)で発現させたHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)の溶出プロファイルを示す。
【
図8】大腸菌BL21(DE3)で発現させたHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)の溶出プロファイルを示す。
【
図9】大腸菌C41(DE3)で発現させたHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)の溶出プロファイルを示す。
【
図10】大腸菌BL21(DE3)で発現させたHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)の溶出プロファイルを示す。
【
図11】大腸菌C41(DE3)で発現させた、精製したHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)を示す。
【
図12】大腸菌C41(DE3)およびBL21(DE3)で発現させた、精製したHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)を示す。
【
図13】大腸菌C41(DE3)およびBL21(DE3)で発現させた、精製したHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)を示す。HLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)は254アミノ酸を有し、27408.02の計算上のM
wおよび5.02の理論的pIを有する。
【
図14】大腸菌C41(DE3)およびBL21(DE3)で発現させた、精製したHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)を示す。HLTev-LlLegHは263アミノ酸を有し、28589.44の計算上のM
wおよび4.99の理論的pIを有する。
【
図15】大腸菌C41(DE3)およびBL21(DE3)で発現させた、精製したHLTev-VsLegH(SEQ ID NO:7)のUV-Visスペクトルを示す。
【
図16】大腸菌C41(DE3)およびBL21(DE3)で発現させた、精製したHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)のUV-Visスペクトルを示す。βおよびαピークはマージしているように見え、これにより、タンパク質空洞における潜在的な基質結合が示される。
【
図17】pET24a-HLTev-VsLegHのプラスミドマップを示す。
【
図18】pET24a-HLTev-LlLegHのプラスミドマップを示す。
【
図19-1】
図19は、pYES2-ACMVsLegHコンストラクトの配列マップを示す。
【
図19-2】
図19は、pYES2-ACMVsLegHコンストラクトの配列マップを示す。
【
図20-1】
図20は、pYES2-ACMLlLegHコンストラクトの配列マップを示す。
【
図20-2】
図20は、pYES2-ACMLlLegHコンストラクトの配列マップを示す。
【
図21-1】
図21は、pYES2-ACMBtMygコンストラクトの配列マップを示す。
【
図21-2】
図21は、pYES2-ACMBtMygコンストラクトの配列マップを示す。
【
図22】pYES2-ACMVsLegHのプラスミドマップを示す。
【
図23】pYES2-ACMLlLegHのプラスミドマップを示す。
【
図24】pYES2-ACMBtMygのプラスミドマップを示す。
【
図25】プライマーセット(SKIK-VsLegH-F | pYES2-R;SEQ ID NO:13およびSEQ ID NO:19)ならびに(FBA-VsLegH-F | pYES2-R;SEQ ID NO:14およびSEQ ID NO:19)を使用して、それぞれ、VsLegH(SEQ ID NO:2)のN末端にSKIKタグ(SEQ ID NO:12)およびFBAタグ(SEQ ID NO:11)を導入したことを示す。
【
図26】プライマーセット(SKIK-LlLegH-F | pYES2-R;SEQ ID NO:15およびSEQ ID NO:19)ならびに(FBA-LlLegH-F | pYES2-R;SEQ ID NO:16およびSEQ ID NO:19)を使用して、それぞれ、LlLegH(SEQ ID NO:4)のN末端にSKIKタグ(SEQ ID NO:12)およびFBAタグ(SEQ ID NO:11)を導入したことを示す。
【
図27】プライマーセット(SKIK-BtMyg-F | pYES2-R;SEQ ID NO:17およびSEQ ID NO:19)ならびに(FBA-BtMyg-F | pYES2-R;SEQ ID NO:18およびSEQ ID NO:19)を使用して、それぞれ、BtMyg(SEQ ID NO:20)のN末端にSKIKタグ(SEQ ID NO:12)およびFBAタグ(SEQ ID NO:11)を導入したことを示す。
【
図28】pYES2-FBA-VsLegHのプラスミドマップを示す。
【
図29】pYES2-SKIK-VsLegHのプラスミドマップを示す。
【
図30】グロビン発現プラスミドでS.セレビシエ(S. cerevisiae)INVSc1細胞を形質転換したことを示す。
【
図31】グロビン発現プラスミドおよびヘム過剰発現プラスミド(H3またはH3H2H12)でS.セレビシエINVSc1細胞を同時形質転換したことを示す。
【
図32】S.セレビシエINVSc1細胞を使用した、BtMyg(SEQ ID NO:20)およびVsLegH(SEQ ID NO:2)のタンパク質発現を示す。
【
図33】S.セレビシエINVSc1細胞を使用した、FBA-VsLegH(SEQ ID NO:21)およびSKIK-VsLegH(SEQ ID NO:22)のタンパク質発現を示す。
【
図34】ヘム過剰発現プラスミド(H3またはH3H2H12)を持つS.セレビシエINVSc1細胞を使用した、FBA-VsLegH(SEQ ID NO:21)およびSKIK-VsLegH(SEQ ID NO:22)のタンパク質発現を示す。
【
図35】ヘム生合成遺伝子およびFBA-VsLegH(SEQ ID NO:21)またはSKIK-VsLegH(SEQ ID NO:22)を発現するS.セレビシエINVSc1細胞の細胞抽出物を示す。
【
図36】ヘム生合成遺伝子およびFBA-VsLegH(SEQ ID NO:21)またはSKIK-VsLegH(SEQ ID NO:22)を発現するS.セレビシエINVSc1細胞の細胞抽出物のSDS-PAGE分析を示す。
【
図37】ヘム生合成遺伝子およびFBA-VsLegH(SEQ ID NO:21)またはSKIK-VsLegH(SEQ ID NO:22)を発現するS.セレビシエINVSc1細胞の細胞抽出物のUV-Visスペクトルを示す。
【
図38】VsLegH(丸)およびLlLegH(四角)の凝集性の比較を示す。分析は、Aggrescanを使用して行った。
【
図39】VsLegHおよびLlLegH と比較した、LaLegH2、LaLegH1、LlLegH1、およびLalLegHのAggrescan分析を示す。
【
図40】SWISS-MODELを使用して作出された、LaLegH1のタンパク質モデルを示す。
【
図41】SWISS-MODELを使用して作出された、LlLegH1のタンパク質モデルを示す。
【
図42】スーパーブロスベースの自己誘導培地(SB-AIM)および2×TY培地を使用して、IPTGで誘導した、大腸菌におけるLaLegH1の組換えタンパク質発現を示す。
【
図43】スーパーブロスベースの自己誘導培地(SB-AIM)および2×TY培地を使用して、IPTGで誘導した、大腸菌におけるLlLegH1の組換えタンパク質発現を示す。
【
図44】LaLegH1とLlLegH1のタンパク質発現レベル/ヘム組み込みの比較を示す。
【
図45】pTTB2-HLTev-VsLegH(SEQ ID NO:47)のベクターマップを示す。
【
図46】ALA補充ありまたはなしのLBまたは2×TY中の枯草菌TEA株における、HLTev-VsLegHの組換えタンパク質発現を示す。
【
図47】ALA補充ありまたはなしのLBまたは2×TY中の枯草菌TEA株における、HLTev-LlLegHの組換えタンパク質発現を示す。
【
図48】バンバラマメのゲノムに対するBLASTにVsLegHのタンパク質配列を使用した場合に返された結果を示す。
【
図49】Vs001352g0011.1(VsLegH、SEQ ID NO:2)、Vs001352g0009.1(VsLegH9;SEQ ID NO:35)、Vs001352g0010.1(VsLegH10、SEQ ID NO:36)、およびVs108178g0061.1(VsLegH61;SEQ ID NO:37)の配列アラインメントを示す。ヘム結合に関与する2つの残基であるH62およびH93は、言及される4配列すべての間で保存されている。
【
図50】大腸菌におけるVsLegH9およびVsLegH61のタンパク質発現を示す。
【
図51】大腸菌におけるVsLegH10のタンパク質発現を示す。
【
図52】ビトレオシラ・ステルコラリア由来の細菌性ヘモグロビン(SEQ ID NO:38;P04252_vhb)とバンバラマメ由来のレグヘモグロビン(SEQ ID NO:2;VsLegH)の間の配列アラインメントを示す。
【
図53】ビトレオシラ・ステルコラリア由来の細菌性ヘモグロビン(SEQ ID NO:38;P04252_vhb)とグリシン・マックス(Glycine max)由来のレグヘモグロビン(GmLegH)(SEQ ID NO:32)の間の配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
以下の術語および本発明のある特定の好ましい態様の解説は、本発明の原理のさらなる理解のために提供される。しかし、本発明の限定は意図されないこと、ならびに本発明の原理のさらなる変更、修正、および適用も含まれることが理解されるであろう。
【0037】
第1の局面では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0038】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0039】
本明細書および本発明の文脈において使用する場合、用語「グロビンポリペプチド」は、グロビンの任意のタンパク質またはポリペプチドを意味する。グロビンは、ヘム含有球状タンパク質のスーパーファミリーであり、酸素への結合および/または酸素の輸送に関与している。これらのタンパク質は、すべて、一連の8つのアルファヘリックスセグメントである、グロビンフォールドを組み込んでいる。2つの有名なメンバーとして、ミオグロビンおよびヘモグロビンが挙げられる。これらのタンパク質の両方ともヘム補欠分子族を介して酸素に可逆的に結合する。
【0040】
本発明では、用語「ポリペプチド」は、長さが約10アミノ酸以上のペプチドおよびタンパク質を指す。ポリペプチドは、通常、生物に由来するが、それに特に限定されず、例えば、ポリペプチドは、人為的に設計された配列から構成されていてもよい。ポリペプチドはまた、天然由来のポリペプチド、合成ポリペプチド、組換えポリペプチドなどのいずれかであり得る。さらに、上記のポリペプチドの断片も本発明のポリペプチドに含まれる。
【0041】
しかし、本発明の方法のいずれかによって生成されるグロビンポリペプチドまたはタンパク質は、特定のレグヘモグロビンまたはミオグロビン、すなわち、ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせに関する。しかし、本発明の方法のいずれかによって生成されるグロビンポリペプチドまたはタンパク質はまた、細菌性ヘモグロビン、好ましくは、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンであり得る。
【0042】
レグヘモグロビンまたはレゴグロビンとも呼ばれるレグヘモグロビンは、マメ科植物の窒素固定根粒で見出される酸素キャリアおよびヘムタンパク質である。これは、植物と細菌の間の共生的相互作用の一部として、根粒菌と呼ばれる窒素固定細菌が根にコロニーを形成することに応答して、これらの植物によって生成され:根粒菌がコロニーを形成していない根は、レグヘモグロビンを合成しない。レグヘモグロビンは、ヘモグロビンと化学的および構造的に近い類似性を有し、ヘモグロビンのように赤色である。レグヘモグロビンは、感染植物細胞の細胞質中の遊離酸素の濃度を緩衝して根粒の正常機能を確実にすることが示されている。そうは言っても、窒素固定は非常にエネルギー的にコストのかかるプロセスであるので、高酸素濃度を必要とする好気性呼吸が根粒の細胞において必要である。レグヘモグロビンは、ニトロゲナーゼが機能するのを可能にするのに十分なほど低い遊離酸素濃度であるが、好気性呼吸のためには十分に高い全酸素濃度(遊離型およびレグヘモグロビン結合型)を維持する。レグヘモグロビンはおよそ16kDaの質量を有する単量体タンパク質であり、ミオグロビンと構造的に類似している。1つのレグヘモグロビンタンパク質は、鉄に結合したヘムおよび1つのポリペプチド鎖(グロビン)からなる。ミオグロビンおよびヘモグロビンと同様に、ヘムの鉄は、インビボでは鉄の状態で見出され、酸素に結合する部分である。レグヘモグロビンは、ミオグロビンと同様に、酸素解離速度が遅い。ミオグロビンおよびヘモグロビンのように、レグヘモグロビンは一酸化炭素に対して親和性が高い。ヘム基はすべての公知のレグヘモグロビンで同じであるが、グロビンのアミノ酸配列は、細菌株およびマメ科植物種によって、わずかに異なる。1つのマメ科植物内でさえ、レグヘモグロビンの複数のアイソフォームが存在し得る。これらは、酸素親和性が異なることが多く、根粒内の特定の環境における細胞の要求を満たすのに役立つ。
【0043】
ミオグロビンは、脊椎動物全般の骨格筋組織で、およびほとんどすべての哺乳動物で見出される、周知の鉄および酸素結合タンパク質である。ミオグロビンはタンパク質のグロビンスーパーファミリーに属し、他のグロビンと同様に、ループによって結合している8つのアルファヘリックスからなる。ミオグロビンは、154個のアミノ酸およびその中心に鉄を含むポルフィリン環を含む。近位ヒスチジン基(His-93)は鉄に直接付着しており、遠位ヒスチジン基(His-64)は反対面の近くに位置している。遠位イミダゾールは鉄に結合していないが、基質O2と相互作用するのに利用可能である。この相互作用はO2の結合を助長するが、一酸化炭素(CO)の結合は助長せず、一酸化炭素は、それでも、O2よりも約240倍以上強く結合する。O2の結合は、Fe中心で実質的な構造変化を引き起こし、これは、半径が縮小し、N4ポケットの中心に移動する。
【0044】
ビトレオシラ(Vitreoscilla)ヘモグロビン(VHb)は、グラム陰性好気性細菌ビトレオシラで見出されるヘモグロビンの一種である。VHbは、すべての細菌性ヘモグロビンの中で最もよく理解されており、いくつかの機能を果たすと考えられる。その主な役割は、おそらく、低濃度での酸素の結合およびチトクロムoなどの末端呼吸オキシダーゼへの酸素の直接送達である。これは、オキシゲナーゼへの酸素の送達、NOを硝酸に変換することによるNOの解毒、ならびに酸素濃度の感知およびこのシグナルを転写因子に伝えることにも関与する。これは、ペルオキシダーゼ様活性を有し、ヘム分解および鉄遊離の原因である自己酸化由来H2O2を効果的に排除する。
【0045】
ササゲ属は、汎熱帯に分布する、マメ科植物の科、すなわちマメ科(Fabaceae)の顕花植物の属である。したがって、本発明の文脈において使用する場合、用語「ササゲ属植物」は、この属に属する植物である。これは、多くの種類のマメを含めて、いくつかの周知の栽培種を含む。いくつかは、インゲンマメ(Phaseolus)属の以前のメンバーである。ササゲ属は、生化学および花粉構造、ならびに花柱および托葉の細部がインゲンマメと異なる。ササゲ属はまた、一般に、ドリコス(Dolichos)属と混同されるが、これら2つは柱頭構造が異なる。
【0046】
本発明の文脈内で使用する場合、ハウチワマメまたはルーピンとしても一般に公知である、「ルピナス」または「ルピナス植物」は、マメ科植物の科であるマメ科の顕花植物の属に属する植物を意味する。
【0047】
本明細書および本発明の文脈において使用する場合、用語「ウシ」は、ウシ科(bovid)ウシ亜科(subfamily Bovinae)の反芻哺乳動物、例えば、雌ウシ、雄ウシ、またはバッファロー、特にウシ属のもの、これらに関連するもの、またはこれらに似ているものを意味する。生物学的ウシ亜科は、家畜牛、バイソン、アフリカ水牛、水牛、ならびに4角および渦巻き角のアンテロープを含めて、中型から大型の有蹄動物の10属の多様な群を含む。
【0048】
本明細書において使用する場合、用語「組換え」は、非天然に改変または操作された核酸、外来核酸をトランスフェクトされた宿主細胞、または単離DNAの操作および宿主細胞の形質転換によるものを指す。これは、非天然に発現されるポリペプチドを説明するのに使用される。「組換え」は、遺伝子操作技法を使用してインビトロで構築されたDNA分子を特に包含する用語であり、分子、コンストラクト、ベクター、細胞、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドを説明するための形容詞である。用語「組換え」の使用は、天然に存在する分子を特に除外する。
【0049】
「宿主細胞」は、一般に、ベクターを含むように形質転換された任意の細胞(原核または真核)を意味する。本発明によれば、宿主細胞は細菌細胞または酵母細胞である。好ましい細菌宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、またはラクトコッカス・ラクティスが挙げられる。好ましい宿主細胞としては、酵母細胞、特に、サッカロマイセス、ピキア、ハンゼヌラ、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、クリベロマイセス属(Kleiberomices)、ヤロウイア属(Yarrowia)、およびカンジダ属の酵母が挙げられる。好ましい例示的な酵母種としては、S.セレビシエ、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クリベロマイセス・ラクティス(Kleiberomyces lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、およびヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia ripolitica)が挙げられる。特に好ましい酵母宿主細胞はS.セレビシエである。
【0050】
用語「形質転換」または「形質転換すること」は、一般に、挿入の方法に制限されることなく、細胞またはファージ中に遺伝物質を導入する人為的な(すなわち、専門家によって制御された)方法を指す。この点について、多数の方法が当業者に周知である。特に、用語「形質転換体」は、形質転換された、例えば適合された宿主細胞を意味する。
【0051】
本発明で使用する場合、用語「細胞培養」または「(宿主)細胞を培養すること」は、一般に、制御された条件(例えば、温度、pH、栄養素、および老廃物レベル)下で、生きている生物の外部で細胞が培養される技法と見なされる。現在、最も広く使用されている細胞培養の実施法は、培養容器としてマルチウェルマイクロプレートまたはペトリ皿を使用して細胞を培養することである。
【0052】
本発明で使用する場合、用語「回収する」は、生成されたポリペプチドを再び手にすることを可能にする、当業者に周知の任意のプロセスを意味する。
【0053】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が酵母または細菌より選択され、酵母宿主細胞がメチロトローフ酵母宿主細胞ではない、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0054】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0055】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が細菌宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0056】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が酵母宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0057】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- バンバラマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0058】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- バンバラマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が細菌宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0059】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- バンバラマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が酵母宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0060】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0061】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が細菌宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0062】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が酵母宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0063】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- キバナハウチワマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0064】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- キバナハウチワマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が細菌宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0065】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- キバナハウチワマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が酵母宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0066】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ボス・タウルス由来のミオグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0067】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ボス・タウルス由来のミオグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が細菌宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0068】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ボス・タウルス由来のミオグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換する工程であって、宿主細胞が酵母宿主細胞である、工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0069】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0070】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0071】
配列相同性または配列同一性のパーセンテージは、例えば、本明細書において、BLASTPプログラム、バージョンblastp 2.2.5(2002年11月16日;Altschul, S. F. et al. (1997) Nucl. Acids Res. 25, 3389-3402を参照されたい)を使用して決定することができる。本態様では、相同性のパーセンテージは、好ましくは、ペアワイズ比較において野生型タンパク質スキャフォールドを参照として使用する、プロペプチド配列を含めたポリペプチド配列全体のアライメント(行列:BLOSUM 62;ギャップコスト:11.1;カットオフ値を10-3に設定)に基づく。これは、BLASTPプログラムのアウトプットの結果として示される「陽性」(相同なアミノ酸)の数をアライメントのためのプログラムによって選択されたアミノ酸の総数で割ったパーセンテージとして計算される。さらに、例えば、BLAST(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を適用して、「非重複性タンパク質配列(nr)」データベースに対して検索を行って、例えば、VsLegH、LlLegH、およびBtMygと類似性を有する生物学的配列の検索(配列相同性または配列同一性の決定)を行うことができる。
【0072】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- バンバラマメ由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0073】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- SEQ ID NO:2に記載されるタンパク質配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0074】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- キバナハウチワマメ由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0075】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- SEQ ID NO:4に記載されるタンパク質配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0076】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ボス・タウルス由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0077】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- SEQ ID NO:20に記載されるタンパク質配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0078】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0079】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法に関する:
- SEQ ID NO:38に記載されるタンパク質配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、および
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
【0080】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ササゲ属植物、好ましくは、ビグナ・アムバケンシス、ビグナ・アンギベンシス、ビグナ・フィリカウリス、ビグナ・フリーシオルム、ビグナ・ガゼンシス、サラワクマメ、ナガバハマササゲ、ビグナ・メンブラナセア、ビグナ・モナンサ、ビグナ・ラセモサ、バンバラマメ、およびササゲからなる群より選択されるササゲ属植物に由来する、より好ましくはバンバラマメに由来するレグヘモグロビンをコードする。
【0081】
したがって、本発明のより好ましい一態様では、ササゲ属植物はバンバラマメである。
【0082】
バンバラマメ(その一般名:バンバラナッツ(Bambara nut)、バンバララッカセイ(Bambara groundnut)、バンバラビーン(Bambara-bean)、コンゴグーバー(Congo goober)、アースピー(earth pea)、グラウンドビーン(ground-bean)、またはホッグピーナッツ(hog-peanut)によっても公知である)は、マメ科のメンバーである。本植物は西アフリカ起源である(バンバラ族は、マリ南部、ギニア、ブルキナファソ、およびセネガルに見られる)。バンバラマメは、ピーナッツ(ラッカセイとも呼ばれる)とよく似て、地下でさやを熟させる。
【0083】
本発明の方法の一態様では、ササゲ属植物はリョクトウ(Vigna radiata)ではない。
【0084】
本発明の方法のさらなる一態様では、ササゲ属植物はササゲではない。
【0085】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法のさらなる一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ルピナス由来の、好ましくは、シロバナハウチワマメ、アオバナハウチワマメ、ルピナス・ミクランサス、キバナハウチワマメ、ルピナス・ヒスパニカス、ルピナス・コセンティニィ、ルピナス・ジギタツス、ルピナス・プリンセイ、ルピナス・ピロサス、ルピナス・パレスティナス、ルピナス・アトランチカス、ルピナス・ムタビリス、ルピナス・テキセンシス、およびルピナス・ヌートカテンシスからなる群より選択されるルピナス、より好ましくはキバナハウチワマメに由来するレグヘモグロビンをコードする。
【0086】
キバナハウチワマメは、一年生黄色ルピナス、ヨーロピアン黄色ルピナス、または黄色ルピナスとして公知である。これは、南ヨーロッパの地中海地方原産である。これは、鉱山地帯の穏やかな砂質および火山性土壌に生育する。野生植物として、これは、イベリア半島の西部、モロッコ、チュニジア、およびアルジェリアの沿岸地域にわたって、コルシカ島、サルジニア島、およびシチリア島に、ならびに南イタリアに広がっている。
【0087】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ウシ由来のミオグロビン、好ましくは、ボス・タウルス、オーロックス、バンテン、ガウル、ガヤル、ヤク、ノヤク、およびコープレイ由来の、より好ましくはボス・タウルス由来のミオグロビンをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ボス・タウルス由来のミオグロビンをコードする。
【0088】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、1種または複数種の核酸配列は、細菌性ヘモグロビン、好ましくは、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンをコードし、より好ましくは、1種または複数種の核酸配列は、ビトレオシラ・ステルコラリアの、ビトレオシラ属の種HG1の、またはビトレオシラ属の種C1株の細菌性ヘモグロビンをコードする。
【0089】
また、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、宿主細胞は細菌宿主細胞、好ましくは、大腸菌、枯草菌、およびラクトコッカス・ラクティスからなる群より選択される細菌宿主細胞である。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、宿主細胞は大腸菌である。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、宿主細胞は枯草菌である。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、宿主細胞はラクトコッカス・ラクティスである。
【0090】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の別の態様では、宿主細胞は酵母宿主細胞、好ましくは、サッカロマイセス属、ピキア属、カンジダ属、トルロプシス属、またはハンゼヌラ属の酵母宿主細胞、より好ましくはサッカロマイセス・セレビシエである酵母宿主細胞である。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、宿主細胞はサッカロマイセス・セレビシエである。
【0091】
本発明の組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法にとって、前記グロビンポリペプチドが、前記宿主細胞に対して異種であることも好ましい。
【0092】
さらに、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、前記1種または複数種の核酸配列が、細菌または酵母において機能的なプロモーターまたはタンデムプロモーターの調節下にあることが好ましい。一態様では、前記プロモーターが細菌プロモーターであることがより好ましい。一態様では、細菌プロモーターが、araBADプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、phoAプロモーター、pLプロモーター、pRプロモーター、rhaBADプロモーター、Sp6プロモーター、T3プロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、T7lacプロモーター、tacプロモーター、tetプロモーター、trcプロモーター、およびtrpプロモーターからなる群より選択され、最も好ましくは、T7lacプロモーターであることが、さらにいっそう好ましい。一態様では、前記プロモーターが酵母プロモーターであることが好ましい。一態様では、酵母プロモーターが、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GALLプロモーター、GALSプロモーター、CTR1プロモーター、CTR3プロモーター、CUP1プロモーター、CYC1プロモーター、MET25プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF2)のプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)のプロモーター、ヘキソーストランスポーター(HXT7)のプロモーター、ピルビン酸キナーゼ1(PYK1)のプロモーター、およびトリオースリン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のプロモーターからなる群より選択され、最も好ましくは、GAL1プロモーターであることが、さらにいっそう好ましい。用語「プロモーター」または「プロモーター配列」は、細胞においてRNA転写物への遺伝子の転写を開始し、指示するDNA配列を意味する。
【0093】
組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、グロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45、およびSEQ ID NO:46からなる群より選択される配列を含むかまたは該配列からなる。本発明は、これらの言及される配列の断片も含む。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、グロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、およびSEQ ID NO:5からなる群より選択される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:1に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:3に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:5に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:39に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:40に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:41に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:42に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:43に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:44に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:45に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:46に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:2に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:20に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:23に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:25に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:31に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:32に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:33に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:34に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:35に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:36に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:37に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、SEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードする。
【0094】
さらなる局面では、本発明は、以下の工程を含む、無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0095】
一態様では、本発明は、以下の工程を含む、無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0096】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成するこの方法の一態様では、無細胞翻訳システムは、細菌無細胞システムまたは酵母無細胞システムである。
【0097】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0098】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0099】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ウシ由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0100】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0101】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 細菌無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0102】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 細菌無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0103】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ウシ由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 細菌無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0104】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 細菌無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0105】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 酵母無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0106】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 酵母無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0107】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ウシ由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 酵母無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0108】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 酵母無細胞システムである無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0109】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- バンバラマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0110】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- キバナハウチワマメ由来のレグヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0111】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ボス・タウルス由来のミオグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0112】
無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成する方法の一態様では、方法は、以下の工程を含む:
- ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンのタンパク質配列に対して少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、および
- 無細胞翻訳システムからグロビンポリペプチドを回収する工程。
【0113】
本発明の無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成するこの方法の一態様では、ササゲ属植物はリョクトウではない。
【0114】
本発明の無細胞翻訳システムを用いてグロビンポリペプチドを生成するこの方法のさらなる一態様では、ササゲ属植物はササゲではない。
【0115】
さらなる局面では、本発明は、以下を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する:ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質。一態様では、本発明は、以下を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する:ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質。
【0116】
好ましくは、グロビンタンパク質はササゲ属植物由来のレグヘモグロビンである。
【0117】
好ましくは、グロビンタンパク質はルピナス由来のレグヘモグロビンである。
【0118】
好ましくは、さらなる一態様では、グロビンタンパク質はウシ由来のミオグロビンである。
【0119】
好ましくは、グロビンタンパク質はビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンである。
【0120】
食品製品、好ましくは肉代替食品製品のさらなる態様では、これは、以下をさらに含む:
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料。
【0121】
したがって、一態様では、本発明の食品製品、好ましくは肉代替食品製品は、以下を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料。
【0122】
したがって、一態様では、本発明の食品製品、好ましくは肉代替食品製品は、以下を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料。
【0123】
したがって、一態様では、本発明の食品製品、好ましくは肉代替食品製品は、以下を含む:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 任意で、1種または複数種の卵アルブミン、
- 任意で、1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質。
【0124】
好ましい態様では、1種または複数種の繊維は、例えば、トウ(cane)、上記で定義された、ササゲ属の種、またはルピナス属の種、例えば、ビグナ・アムバケンシス、ビグナ・アンギベンシス、ビグナ・フィリカウリス、ビグナ・フリーシオルム、ビグナ・ガゼンシス、サラワクマメ、ナガバハマササゲ、ビグナ・メンブラナセア、ビグナ・モナンサ、ビグナ・ラセモサ、バンバラマメ、もしくはササゲ、または例えば、シロバナハウチワマメ、アオバナハウチワマメ、ルピナス・ミクランサス、キバナハウチワマメ、ルピナス・ヒスパニカス、ルピナス・コセンティニィ、ルピナス・ジギタツス、ルピナス・プリンセイ、ルピナス・ピロサス、ルピナス・パレスティナス、ルピナス・アトランチカス、ルピナス・ムタビリス、ルピナス・テキセンシス、およびルピナス・ヌートカテンシスに由来する繊維であり得る。より好ましい一態様では、1種または複数種の繊維は、植物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来である。より具体的には、1種または複数種の繊維は、アルファルファ、クローバー、マメ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ルピナス、メスキート、イナゴマ、ダイズ、ピーナッツ、またはタマリンド由来であり得る。
【0125】
好ましい態様では、1種または複数種の炭水化物は、例えば、小麦粉、ジャガイモデンプン、またはバンバララッカセイ粉であり得る。より好ましい一態様では、1種または複数種の炭水化物は、植物由来、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来である。より具体的には、1種または複数種の炭水化物は、アルファルファ、クローバー、マメ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ルピナス、メスキート、イナゴマメ、ダイズ、ピーナッツ、またはタマリンド由来であり得る。
【0126】
好ましい態様では、1種または複数種の脂肪は、例えば、シアバターまたはココナッツ油であり得る。より好ましい一態様では、1種または複数種の脂肪は非動物に由来する。
【0127】
好ましい態様では、1種または複数種の微量栄養素は、例えば、ビタミンまたはミネラルであり得る。微量栄養素は、例えば、鉄、亜鉛、および/またはビタミンAであり得る。
【0128】
好ましい一態様では、1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質は、植物由来、さらにより好ましくは、マメ科植物または穀物由来であり得る。より具体的には、1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質は、アルファルファ、クローバー、マメ、エンドウマメ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ルピナス、メスキート、イナゴマメ、ダイズ、ピーナッツ、またはタマリンド由来であり得る。
【0129】
好ましい態様では、1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料は、例えば、塩またはリアクションフレーバーであり得る。好ましい一態様では、1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料および/または調味料は、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料であり得る。
【0130】
好ましい一態様では、本発明は、以下を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、ならびに
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 1種または複数種の卵アルブミン、
- 1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質。
【0131】
好ましい態様では、卵アルブミンは、例えば、オボアルブミンまたはラクトアルブミンであり得る。
【0132】
好ましい態様では、親水コロイドは、例えば、ペクチン(E440)、アラビアゴム(E414)、グアーガム(E412)、寒天(E406)、カラゲーン(E407)、アルギン酸(E400~E404)、およびキサンタン(E415)からなる群より選択され得る。
【0133】
好ましい態様では、マイコプロテインは、糸状菌フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)の発酵に由来する、高タンパク質、高繊維、低脂肪の食品材料であり得る。
【0134】
好ましい態様では、細胞ベースのタンパク質は、細胞ベースのタンパク質発現によって得ることができる、任意のタンパク質であり得る。そのような発現によって、原核または真核細胞を使用して、高レベルの組換えタンパク質生成を生じさせることが可能になる。大腸菌は、そうした方法のための一般的な宿主である。大腸菌細胞ベースの組換えタンパク質発現のための最も普及している方法は、T7発現宿主およびT7プロモーターを含む発現ベクターを使用する。
【0135】
好ましい一態様では、本発明は、以下を含む肉代替食品製品を提供する:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、ならびに
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、ならびに
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 任意で、1種または複数種の卵アルブミン、
- 任意で、1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質。
【0136】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、1種または複数種のグロビンタンパク質は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。本発明は、これらの言及される配列の断片も含む。
【0137】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、バンバラマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも82%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドである。グロビンポリペプチドがバンバラマメのレグヘモグロビンであることが、さらに好ましい。グロビンポリペプチドがSEQ ID NO:2に記載される配列を含むかまたは該配列からなることが、さらにいっそう好ましい。
【0138】
本発明の食品製品の一態様では、ササゲ属植物はリョクトウではない。
【0139】
本発明の食品製品のさらなる一態様では、ササゲ属植物はササゲではない。
【0140】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドは、ルピナス由来のレグヘモグロビンであり、より好ましくは、キバナハウチワマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも59%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドである。グロビンポリペプチドがキバナハウチワマメのレグヘモグロビンであることが、さらに好ましい。グロビンポリペプチドがSEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなることが、さらにいっそう好ましい。
【0141】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドは、ウシ由来のミオグロビンであり、より好ましくは、ボス・タウルスのミオグロビンに対して少なくとも80%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドである。グロビンポリペプチドがボス・タウルスのミオグロビンであることが、さらに好ましい。グロビンポリペプチドがSEQ ID NO:20記載される配列を含むかまたは該配列からなることが、さらにいっそう好ましい。
【0142】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:23に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0143】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:25に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0144】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:31に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0145】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0146】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:33に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0147】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:34に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0148】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:35に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0149】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:36に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0150】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:37に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0151】
本発明の食品製品の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドは、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンである。グロビンポリペプチドがビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであることが、さらに好ましい。グロビンポリペプチドがSEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなることが、さらにいっそう好ましい。
【0152】
本発明は、この食品製品とともに、特定の肉様の香り、外観、フレーバー、口当たり、および食味を含む消耗品を提供する。
【0153】
さらなる局面では、本発明は、以下を含むベクターを提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、ならびに
- 1種または複数種のタグタンパク質、好ましくは、ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジンタグ、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス糸状ウイルス(AFV)由来のAFV1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、およびSUMOからなる群より選択される1種または複数種のタグタンパク質、より好ましくは、タグタンパク質ポリヒスチジンタグおよび/またはバチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメインをコードする、核酸配列。
【0154】
一態様では、本発明は、以下を含むベクターを提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、ならびに
- 1種または複数種のタグタンパク質、好ましくは、ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジンタグ、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス糸状ウイルス(AFV)由来のAFV1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、およびSUMOからなる群より選択される1種または複数種のタグタンパク質、より好ましくは、タグタンパク質ポリヒスチジンタグおよび/またはバチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメインをコードする、核酸配列。
【0155】
本発明のベクターの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、バンバラマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも82%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、バンバラマメのレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:2に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0156】
本発明のベクターの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、キバナハウチワマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも59%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、キバナハウチワマメのレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0157】
本発明のベクターの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ウシ由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、ボス・タウルスのミオグロビンに対して少なくとも80%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、ボス・タウルスのミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:20に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0158】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:23に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0159】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:25に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0160】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:31に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0161】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0162】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:33に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0163】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:34に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0164】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:35に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0165】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:36に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0166】
本発明のベクターの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:37に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0167】
本発明のベクターの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、細菌性ヘモグロビンである、好ましくは、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0168】
上述の1種または複数種のタグ/タグタンパク質は、N末端タグとして機能することができ、これらは、それぞれ、グロビンポリペプチドまたはタンパク質のタンパク質発現レベルを増加させるのに、およびタンパク質精製を補助するのにかなり役立つ。
【0169】
本発明の文脈において、および本明細書において使用する場合、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、互換的に使用され得る。
【0170】
さらなる局面では、本発明は、以下を含む、組換えグロビンポリペプチド生成のためのシステムを提供する:
- 細菌細胞または酵母細胞または無細胞翻訳システム、ならびに
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列。
【0171】
さらなる局面では、本発明は、以下を含む、組換えグロビンポリペプチド生成のためのシステムを提供する:
- 細菌細胞または酵母細胞または無細胞翻訳システム、ならびに
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列。
【0172】
本発明のシステムの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、バンバラマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも82%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、バンバラマメのレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:2に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0173】
本発明のシステムの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、キバナハウチワマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも59%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、キバナハウチワマメのレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0174】
本発明のシステムの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ウシ由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、ボス・タウルスのミオグロビンに対して少なくとも80%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、ボス・タウルスのミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:20に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0175】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:23に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0176】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:25に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0177】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:31に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0178】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0179】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:33に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0180】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:34に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0181】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:35に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0182】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:36に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0183】
本発明のシステムの好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:37に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0184】
本発明のシステムの好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0185】
別の局面では、本発明は、組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞であって、以下を含む細胞を提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有する細菌性ヘモグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、ならびに
- 該グロビンポリペプチドの生合成に関与する少なくとも1種のポリペプチドをコードする核酸配列。
【0186】
一態様では、本発明は、組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞であって、以下を含む細胞を提供する:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、ならびに
- 該グロビンポリペプチドの生合成に関与する少なくとも1種のポリペプチドをコードする核酸配列。
【0187】
本発明の細胞の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ササゲ属植物由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、バンバラマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも82%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、(a)バンバラマメのレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、(a)SEQ ID NO:2に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0188】
本発明の細胞の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ルピナス由来のレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、キバナハウチワマメのレグヘモグロビンに対して少なくとも59%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、(a)キバナハウチワマメのレグヘモグロビンであるグロビンポリペプチドことが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、(a) SEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0189】
本発明の細胞の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、ウシ由来のミオグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、ボス・タウルスのミオグロビンに対して少なくとも80%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、(a)ボス・タウルスのミオグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、(a)SEQ ID NO:20に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0190】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:23に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0191】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:25に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0192】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:31に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0193】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:32に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0194】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:33に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0195】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:34に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0196】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:35に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0197】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:36に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0198】
本発明の細胞の好ましい一態様では、グロビンポリペプチドはSEQ ID NO:37に記載される配列を含むかまたは該配列からなる。
【0199】
本発明の細胞の好ましい一態様では、1種または複数種の核酸配列は、細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチド、より好ましくは、ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンに対して少なくとも70%の配列同一性を有するグロビンポリペプチドをコードする。1種または複数種の核酸配列が、(a)ビトレオシラ・ステルコラリアの細菌性ヘモグロビンであるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらに好ましい。1種または複数種の核酸配列が、(a)SEQ ID NO:38に記載される配列を含むかまたは該配列からなるグロビンポリペプチドをコードすることが、さらにいっそう好ましい。
【0200】
本発明は、以下の項目をさらに特徴とする。
【0201】
項目:
1.以下の工程を含む、組換えによりグロビンポリペプチドを生成する方法:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を含む発現ベクターで、酵母または細菌より選択される宿主細胞を形質転換する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列の発現に有効な条件下で、該宿主細胞を培養する工程、
- 該1種または複数種の核酸配列を発現させる工程、ならびに
- 得られた培養物から該グロビンポリペプチドを回収する工程。
2.前記1種または複数種の核酸配列が、ササゲ属植物、好ましくは、ビグナ・アムバケンシス、ビグナ・アンギベンシス、ビグナ・フィリカウリス、ビグナ・フリーシオルム、ビグナ・ガゼンシス、サラワクマメ、ナガバハマササゲ、ビグナ・メンブラナセア、ビグナ・モナンサ、ビグナ・ラセモサ、バンバラマメ、およびササゲからなる群より選択されるササゲ属植物、より好ましくは、バンバラマメに由来するレグヘモグロビンをコードする、項目1の方法。
3.前記1種または複数種の核酸配列が、ルピナス、好ましくは、シロバナハウチワマメ、アオバナハウチワマメ、ルピナス・ミクランサス、キバナハウチワマメ、ルピナス・ヒスパニカス、ルピナス・コセンティニィ、ルピナス・ジギタツス、ルピナス・プリンセイ、ルピナス・ピロサス、ルピナス・パレスティナス、ルピナス・アトランチカス、ルピナス・ムタビリス、ルピナス・テキセンシス、およびルピナス・ヌートカテンシスからなる群より選択されるルピナス、より好ましくはキバナハウチワマメに由来するレグヘモグロビンをコードする、項目1または2の方法。
4.前記1種または複数種の核酸配列が、ウシ由来のミオグロビン、好ましくは、ボス・タウルス、オーロックス、バンテン、ガウル、ガヤル、ヤク、ノヤク、およびコープレイ、より好ましくはボス・タウルス由来のミオグロビンをコードする、前記項目のいずれか1つの方法。
5.前記宿主細胞が、細菌宿主細胞、好ましくは、大腸菌、枯草菌、およびラクトコッカス・ラクティスからなる群より選択される細菌宿主細胞である、前記項目のいずれか1つの方法。
6.前記宿主細胞が、酵母宿主細胞、好ましくは、サッカロマイセス属、ピキア属、カンジダ属、トルロプシス属、またはハンゼヌラ属の酵母宿主細胞、より好ましくはサッカロマイセス・セレビシエである酵母宿主細胞である、前記項目のいずれか1つの方法。
7.前記グロビンポリペプチドが、前記宿主細胞に対して異種である、前記項目のいずれか1つの方法。
8.前記1種または複数種の核酸配列が、細菌または酵母において機能的なプロモーターの調節下にあり、
好ましくは、該プロモーターが、細菌プロモーターであり、より好ましくは、該細菌プロモーターが、araBADプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、phoAプロモーター、pLプロモーター、pRプロモーター、rhaBADプロモーター、Sp6プロモーター、T3プロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、T7lacプロモーター、tacプロモーター、tetプロモーター、trcプロモーター、およびtrpプロモーターからなる群より選択され、さらにより好ましくは、T7lacプロモーターである、または
好ましくは、該プロモーターが、酵母プロモーターであり、より好ましくは、該酵母プロモーターが、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、GALLプロモーター、GALSプロモーター、CTR1プロモーター、CTR3プロモーター、CUP1プロモーター、CYC1プロモーター、MET25プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF2)のプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)のプロモーター、ヘキソーストランスポーター(HXT7)のプロモーター、ピルビン酸キナーゼ1(PYK1)のプロモーター、およびトリオースリン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のプロモーターからなる群より選択され、さらにより好ましくは、GAL1プロモーターである、
前記項目のいずれか1つの方法。
9.前記グロビンポリペプチドをコードする前記1種または複数種の核酸配列が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、およびSEQ ID NO:5からなる群より選択される配列を含むかまたは該配列からなる、前記項目のいずれか1つの方法。
10.以下の工程を含む、無細胞翻訳系を用いてグロビンポリペプチドを生成する方法:
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする1種または複数種の核酸配列を提供する工程、
- 無細胞翻訳システムを用いて該1種または複数種の核酸配列を翻訳する工程、ならびに
- 該無細胞翻訳システムから該グロビンポリペプチドを回収する工程。
11.前記無細胞翻訳システムが細菌無細胞システムまたは酵母無細胞システムである、項目10の方法。
12.- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される1種または複数種のグロビンタンパク質、
- 1種または複数種の繊維、好ましくは、植物由来の1種または複数種の繊維、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の繊維、
- 1種または複数種の炭水化物、好ましくは、植物由来の1種または複数種の炭水化物、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種の炭水化物、
- 1種または複数種の脂肪、好ましくは、非動物由来の1種または複数種の脂肪、ならびに
- 1種または複数種の微量栄養素、
- 1種または複数種のグロビンタンパク質以外の1種または複数種の他のタンパク質、好ましくは、植物由来の1種または複数種のタンパク質、より好ましくは、マメ科植物または穀物由来の1種または複数種のタンパク質、
- 1種または複数種のフレーバー、酵母抽出物、植物性タンパク質加水分解物、ハーブ、および/または調味料、好ましくは、植物性フレーバーおよび/または植物性調味料、
- 任意で、1種または複数種の卵アルブミン、
- 任意で、1種または複数種の親水コロイド、
- 任意で、1種または複数種のマイコプロテイン、ならびに
- 任意で、1種または複数種の細胞ベースのタンパク質
を含む、食品製品、好ましくは肉代替食品製品。
13.前記1種または複数種のグロビンタンパク質が、SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:4に記載される配列を含むかまたは該配列からなる、項目12の食品製品。
14.- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、
- タグタンパク質、好ましくは、ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジンタグ、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス糸状ウイルス(AFV)由来のAFV1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、およびSUMOからなる群より選択されるタグタンパク質、より好ましくは、タグタンパク質ポリヒスチジンタグおよび/またはバチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメインをコードする、核酸配列
を含む、ベクター。
15.- 細菌細胞または酵母細胞または無細胞翻訳システム、ならびに
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列
を含む、組換えグロビンポリペプチド生成のためのシステム。
16.組換え発現ベクターまたは1種もしくは複数種の組換え核酸分子を含む細胞であって、以下:
- 転写活性化因子をコードする核酸配列、
- ササゲ属植物由来のレグヘモグロビン、ルピナス由来のレグヘモグロビン、ウシ由来のミオグロビン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるグロビンポリペプチドをコードする、1種または複数種の核酸配列、
- 該グロビンポリペプチドの生合成に関与する少なくとも1種のポリペプチドをコードする核酸配列
を含む、細胞。
【0202】
本明細書において使用する場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈において別段明示されない限り、複数形の言及を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「試薬」への言及は、そのような異なる試薬の1つまたは複数を含み、「方法」への言及は、本明細書に記載される方法のために改変され得るか、または該方法に置き換えられ得る、当業者に公知の同等の工程および方法への言及を含む。
【0203】
別段指示がない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、一連の要素のすべてを指すことを理解されたい。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様の多くの均等物を認識するか、または慣例にすぎない実験を使用して確かめることができる。そのような均等物は、本発明に包含されることが意図される。
【0204】
用語「および/または」は、本明細書において使用される場合はいつでも、「および」、「または」、および「該用語によって接続されるすべてまたは任意の他の組み合わせ」の意味を含む。
【0205】
用語「未満」または同様に「より多い」は、その具体的な数を含まない。
【0206】
例えば、「20未満」は、示される数未満を意味する。同様に、「より多い」または「より大きい」は、示される数より多いかまたは大きいことを意味し、例えば、「80%より多い」は、80%という示される数より多いかまたは大きいことを意味する。
【0207】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈上別段必要でない限り、単語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を包含することを含意するが、他のいかなる整数もしくは工程または整数もしくは工程の群も除外することを含意しないと理解されるであろう。本明細書において使用する場合、用語「含む(comprising)」は、用語「含む(containing)」もしくは「含む(including)」で、または時には、本明細書において使用する場合、用語「有する」で置き換えることができる。本明細書において使用する場合、「からなる」は、明記されていない任意の要素、工程、または成分を除外する。
【0208】
用語「含む」は、「含むが、限定されない」を意味する。「含む」と「含むが、限定されない」は互換的に使用される。
【0209】
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、材料、試薬、および物質などに限定されず、したがって、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0210】
本明細書の文章全体を通して引用されるすべての刊行物(すべての特許、特許出願、科学刊行物、指示書などを含める)は、上記または下記を問わず、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書中のいかなるものも、本発明が、先行発明によってそのような開示に先行する権利がないことを認めると解釈されるべきではない。参照により組み入れられる材料が本明細書と矛盾するかまたは一致しない限り、本明細書は、任意のそのような材料に優先する。
【0211】
本明細書で引用されるすべての文献および特許文献の内容は、その全体が参照により組み入れられる。
【0212】
本発明およびその利点のより良い理解は、例示目的のためのみに提供される以下の実施例から得られるであろう。実施例は、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。
【実施例】
【0213】
I.細菌生成システム
実施例1:VsLegHおよびLlLegHをコードする遺伝子の分子クローニング
それぞれ
図1および2に示すように、BamHIおよびEcoRI部位を使用して、VsLegH(SEQ ID NO:1)およびLlLegH(SEQ ID NO:2)をコードする遺伝子をpET24a-HLTevベクターにクローニングした。HLTev-VsLegHおよびHLTev-LlLegHの DNA配列およびタンパク質配列をSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、およびSEQ ID NO:4に提供した。pET24a-HLTev-VsLegHおよびpET24a-HLTev-VsLegHの完全なプラスミドマップを
図17および18に示す。
【0214】
以下の3つの目的にかなうようにHLTevタグを使用した:(a)タンパク質収量を向上させること、(b)下流の処理(すなわち、タンパク質精製)を補助すること、および(c)タンパク質の安定性を高めること。ビオチン-カルボキシキャリアタンパク質(BCCP)、カルモジュリン、キチン結合ドメイン(CBD)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、HaloTag、マルトース結合タンパク質(MBP)、ポリヒスチジン、SBPタグ、StrepタグII、Twin-Strepタグ、アシディアヌス糸状ウイルス(AFV)由来のAFV1~99、凝集抵抗性タンパク質(SlyD)、AmpC型βラクタマーゼ(Bla)、ジスルフィドイソメラーゼI(DsbA)、伸長因子Ts(Tsf)、肝蛭抗原(Fh8)、バチルス・ステアロサーモフィルスE2p由来のリポイルドメイン、N利用物質A(NusA)、ペプチジル-プロリルシストランスイソメラーゼB(PpiB)、チオレドキシン(Trx)、またはSUMOのような他のタンパク質タグは、単独で、または組み合わせて使用される場合、おそらく同様の利益をもたらすと考えられる。タンパク質消化によって、タグを除去することができる。タンパク質発現のために、T7lacプロモーターを使用した。araBAD、lac、lacUV5、phoA、pL、pR、rhaBAD、Sp6、T3、T5、T7、T7lac、tac、tet、trc、trpのような他の細菌プロモーターも、単独で、または組み合わせて適用することができる。本明細書では、T7lacを使用した。
【0215】
実施例2:小規模タンパク質発現
大腸菌C41(DE3)またはBL21(DE3)のいずれかをプラスミドで新たに形質転換した。一晩培養物(50μg/mLのカナマイシンが補充された5mLの2×TY培地;培地組成は、2×TY培地について、1Lあたり、16gトリプトン、10g酵母抽出物、5g NaClであった)を単一コロニーから調製した。50μg/mLのカナマイシンが補充された50mLの2×TY培地に一晩培養物を接種して、0.1の開始OD
600にした。37℃および200rpmのインキュベーター振盪機中で培養物をインキュベートした。OD
600値を測定することによって、細菌の増殖をモニターした。OD
600が0.5~0.6に達したら、1mM IPTGを添加してタンパク質発現を誘導し、温度を30℃に下げた。24時間後に細胞を回収した。HLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)の発現のために、0.5mM ALAおよび5μM FeCl
2を発現培地に補充した。
図3および4に示すように、細胞ペレットの赤みがかった色によってタンパク質発現を確認した。細胞ペレットを-80℃で保存した。
【0216】
実施例3:大規模タンパク質発現
大腸菌C41(DE3)をプラスミドで新たに形質転換した。チューブ培養物(50μg/mLのカナマイシンが補充された1mLの2×TY培地;培地組成は、2×TY培地について、1Lあたり、16gトリプトン、10g酵母抽出物、5g NaClであった)を単一コロニーから調製し、37℃、200rpmで6時間インキュベートした。50μg/mLのカナマイシンが補充された50mLの新鮮な2×TY培地を含む250mLのエルレンマイヤーフラスコに500μLのチューブ培養物を接種し、30℃、200rpmで一晩インキュベートした。50μg/mLのカナマイシンが補充された400mLのSB(1LあたりのSB培地の培地組成:35gトリプトン、20g酵母抽出物、5gNaCl)を含む1リットルのエルレンマイヤーフラスコに2mLの一晩培養物を接種した。37℃および200rpmのインキュベーター振盪機中で培養物をインキュベートした。OD
600値を測定することによって、細菌の増殖をモニターした。OD
600が0.5~0.6に達したら、1mM IPTGを添加してタンパク質発現を誘導し、温度を30℃に下げた。24時間後に細胞を回収した。HLTev-LlLegH(SEQ ID NO:9)の発現のために、0.5mM ALAおよび5μM FeCl
2を発現培地に補充した。
図5および6に示すように、細胞ペレットの赤みがかった色によってタンパク質発現を確認した。細胞ペレットを-80℃で保存した。SBの使用によって、ヘムが組み込まれたVsLegHおよびLlLegHの収量が有意に向上した。
【0217】
実施例4:タンパク質抽出
10μg/mLのリゾチーム、10μg/mLのDNase、および10μg/mLのRNaseが補充された20mLの緩衝液A(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)に50mLの培養物からの細胞ペレットを再懸濁した。5分間のパルス超音波処理(音波;オン時間15秒、オフ時間45秒、振幅70%)によって、細胞を破壊した。超音波処理後、8500rpmおよび4℃で15分間の遠心分離によって、細胞残屑を除去した。
【0218】
実施例5:タンパク質精製
AKTA Pureシステム(Cytiva)を使用してタンパク質精製を行った。5mL HisTrap(商標)HPカラム(Cytiva)を5カラム容量(CV)の緩衝液B(50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、250mMイミダゾール、pH8.0)で洗浄し、5CVの緩衝液Aで平衡化した。0.45μmシリンジフィルターを使用してタンパク質抽出物を濾過し、これを、試料ポンプを使用して、平衡化したカラムに負荷した。試料を負荷した後、カラムを5CVの緩衝液Aで洗浄した。100%(v/v)緩衝液Bを逆流で使用して、タンパク質を溶出し、これを、フラクションコレクターを使用して、画分(1mL/画分)に収集した。
図7~10に溶出プロファイルを示した。精製したLegHは赤みがかった色であった(
図11および12)。
【0219】
実施例6:SDS-PAGE
NuPAGE(商標)4~12%、Bis-Tris、1mm、12ウェルミニタンパク質ゲル(Thermo Fisher Scientific)でタンパク質画分を分析して、サイズ、純度、および完全性を確認した。NuPAGE(商標)MES SDSランニングバッファー(Thermo Fisher Scientific)を使用して、200Vの定電圧で40分間ゲルを泳動した。可視化のために、InstantBlue(商標)(Expedeon)を使用してゲルを染色した(
図13および14)。
【0220】
実施例7:タンパク質定量化
精製したHLTev-VsLegHおよびHLTev-LlLegHを水で希釈し、Pierce(商標)クマシープラス(ブラッドフォード)アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を使用して定量化した。タンパク質較正標準としてウシ血清アルブミン(2.5μg/mL~25μg/mL)を使用した。手短に言えば、96ウェルマイクロプレート中で、100μLのブラッドフォード試薬を100μLの希釈タンパク質試料に添加した。30秒間振盪した後、プレートを室温で10分間インキュベートした。次いで、Multiskan(商標)FCマイクロプレート光度計(Thermo Fisher Scientific)を使用して、595nmで吸光度を測定した。以下に示す表1にタンパク質収量を示した。
【0221】
(表1)HisTrap(商標)HPカラム(Cytiva)を使用して精製した後のタンパク質収量
【0222】
実施例8:UV-Vis測定
タンパク質試料を緩衝液Bで希釈した。UV-3100PC UV-Vis分光光度計(VWR)を使用して、800nm~300nmの波長スキャンを行った。すべてのタンパク質試料は、典型的なヘムスペクトルを示した(
図15および16)。
【0223】
II.酵母生成システム
実施例1:VsLegH、LlLegH、およびBtMygをコードする遺伝子の分子クローニング
VsLegH、LlLegH、およびBtMygをコードする遺伝子(SEQ ID NO:1、3、および5)をサッカロマイセス・セレビシエにおけるタンパク質発現ためにコドン最適化し、
図19~21に示すように、HindIIIおよびXbaI部位を使用してpYES2ベクターにクローニングした。pYES2-ACMVsLegH、pYES2-ACMLlLegH、およびpYES2-ACMBtMygの完全なプラスミドマップを
図22~24に提供した。タンパク質発現のためにGAL1プロモーターを使用した。しかし、GAL1、GAL10、GALL、GALS、CTR1、CTR3、CUP1、CYC1、MET25、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPD)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF1)のプロモーター、転写伸長因子EF-1α(TEF2)のプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1)のプロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI1)のプロモーター、ヘキソーストランスポーター(HXT7)のプロモーター、ピルビン酸キナーゼ1(PYK1)のプロモーター、トリオースリン酸デヒドロゲナーゼ(TDH3)のプロモーターのような他の酵母プロモーターを使用することもできる。
【0224】
実施例2:VsLegH、LlLegH、およびBtMygのN末端修飾
S.セレビシエにおけるタンパク質発現を向上させるために、SEQ ID NO:13~19に示すプライマー(
図25~27も参照されたい)および改変Q5部位特異的変異誘発プロトコールを使用して、FBAタグまたはSKIKタグ(SEQ ID NO:11およびSEQ ID NO:12にタンパク質配列を示す)をタンパク質のN末端に導入した。pYES-FBA-VsLegHおよびpYES-SKIK-VsLegHの完全なプラスミドマップを
図28~29に提供する。
【0225】
実施例3:S.セレビシエINVSc1のプラスミド形質転換
S.セレビシエINVSc1細胞をYPD寒天プレート(培地組成は1Lあたり、10g酵母抽出物、20gペプトン、20g D-グルコースであった)上に画線した。単一コロニーを使用して、YPD培地中で一晩培養物を調製した。1μgプラスミドDNAを使用して、Frozen-EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を使用してS.セレビシエINVSc1細胞を形質転換した。形質転換した細胞をSC-U Glu寒天プレートにプレーティングした(1Lあたりの培地組成:6.9gアミノ酸不含酵母ニトロゲンベース(Formedium)、0.77g CSM、シングルドロップアウトUra(Formedium)、20g D-グルコース。
図30)。
【0226】
S.セレビシエにおけるヘム生成を向上させるために、したがって、ヘムが組み込まれたグロビン(VsLegH, LlLegH、またはBtMyg)の生成の向上のために、Frozen-EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を使用して、グロビン発現プラスミド(例えば、pYES2-SKIK-VsLegHまたはpYES2-FBA-VsLegH;0.5μg)およびヘム過剰発現プラスミド(0.5μg;H3またはH3H2H12)でS.セレビシエINVSc1細胞を同時形質転換した。形質転換した細胞をSC-U-H Glu寒天プレート上にプレーティングした(培地組成は、1Lあたり、6.9gアミノ酸不含酵母ニトロゲンベース(Formedium)、0.77g CSM、ダブルドロップアウトUra-His(Formedium)、20g D-グルコースであった;
図31)。プラスミドH3およびH3H2H12は、Jens B. Nielsen教授(Chalmers University of Technology, Sweden)から贈与された。
【0227】
実施例4:小規模タンパク質発現
グロビン発現pYES2プラスミドを持つS.セレビシエINVSc1細胞の単一コロニーを5mLのSC-U Glu培地(培地組成は、1Lあたり、6.9gアミノ酸不含酵母ニトロゲンベース(Formedium)、0.77g CSM、シングルドロップアウトUra(Formedium)、20g D-グルコースであった)に接種することによって、一晩培養物を調製した。30℃および200rpmで培養物をインキュベートした。一晩培養物のOD
600値を測定して、50mLの誘導培地(SC-U Gal;培地組成は、1Lあたり、6.9gアミノ酸不含酵母ニトロゲンベース(Formedium)、0.77g CSM、シングルドロップアウトUra(Formedium)、20gガラクトースであった)中で0.4のOD
600値を得るために必要とされる一晩培養物の量を決定した。必要とされる一晩培養物の量を4℃で、1500gで5分間の遠心分離によってペレット化した。細胞ペレットを1~2mLの誘導培地(SC-U Gal)に再懸濁し、50mlの誘導培地(SC-U Gal)に接種した。30℃および200rpmで培養物をインキュベートした。24時間後、細胞を回収し、-80℃で保存した(
図32~34)。
【0228】
ヘム過剰発現プラスミド(H3またはH3H2H12)を持つS.セレビシエINVSc1細胞におけるグロビン発現のために、一晩培養物を調製するための培地および誘導培地をそれぞれSC-U-H GluおよびSC-U-H Galに変えた(SC-U-H Galの培地組成:1Lあたり、6.9gアミノ酸不含酵母ニトロゲンベース(Formedium)、0.77g CSM、ダブルドロップアウトUra-His(Formedium)、20gガラクトース)。
【0229】
実施例5:タンパク質抽出
S.セレビシエINVSc1細胞からのタンパク質抽出のために、Y-PER(商標)酵母タンパク質抽出試薬(Thermo Fisher Scientific)を使用した。タンパク質分解性切断を回避するために、Pierceプロテアーゼ阻害剤ミニタブレット(A32955;Thermo Fisher Scientific)のタブレットを15mLのY-PERに添加した。50mLの発現物からの細胞ペレットをプロテアーゼ阻害剤が補充された3.5mLのY-PERに再懸濁した。室温で20分間、混合物を撹拌した。細胞残屑を14000gで10分間の遠心分離によってペレット化した。続いて、細胞抽出物(
図35)をSDS-PAGEおよびUV-Vis測定に使用した。
【0230】
実施例6:SDS-PAGE
NuPAGE(商標)4~12%、Bis-Tris、1mm、12ウェルミニタンパク質ゲル(Thermo Fisher Scientific)でタンパク質画分を分析して、サイズおよび完全性を確認した。NuPAGE(商標)MES SDSランニングバッファー(Thermo Fisher Scientific)を使用して、200Vの定電圧で40分間ゲルを泳動した。可視化のために、InstantBlue(商標)(Expedeon)を使用してゲルを染色した(
図36)。
【0231】
実施例7:UV-Vis測定
UV-3100PC UV-Vis分光光度計(VWR)を使用して、800nm~300nmの波長スキャンを行った。すべてのタンパク質試料は、典型的なヘムスペクトルを示した(
図37)。
【0232】
実施例8:さらなるLegH遺伝子の検討
VsLegH(バンバラマメから最初に単離された)およびLlLegH(キバナハウチワマメ由来)に加えて、本発明の発明者らは、さらなるLegH遺伝子を試験した。本発明の発明者らは、大腸菌において機能的に十分に発現するLegHを特定すること、高いヘム組み込み、したがって、より強い赤みがかった色を示すLegHを特定すること、およびより安定な、したがって、大規模LegH生成のためのバイオプロセス開発をより容易にするLegHを特定することを主に目的とした。
【0233】
本発明者らがVsLegHおよびLlLegHを処理した場合、LlLegHは以下の2つの局面でVsLegHと異なることを認めた:1)両方の遺伝子は大腸菌で十分に発現しているが、LlLegHはVsLegHと比較してヘム組み込みが少ないこと、2)LlLegHはタンパク質凝集をする傾向があること。この観察は、
図38に示すAggrescan分析で確証された。
【0234】
さらなるLegHを検索するために、本発明者らは、クエリ配列としてLlLegHのタンパク質配列を使用して、タンパク質BLASTを行った。類似タンパク質配列のリスト(本明細書では示さない)から、本発明者らは、さらなる配列解析のために以下の4配列を選んだ:
1)レグヘモグロビン-2[アオバナハウチワマメ](NCBI GenBankアクセション:XP_019460384.1)(以下でLaLegH2として表示される;SEQ ID NO:24)。
2)レグヘモグロビン-1[アオバナハウチワマメ](NCBI GenBankアクセション:XP_019433600.1)(以下でLaLegH1として表示される;SEQ ID NO:23)。
3)ヘモグロビンI,leg[キバナハウチワマメ](NCBI GenBankアクセション:0607193A)(LlLegH1として表示される;SEQ ID NO:25)。
4)推定タンパク質Lalb_Chr10g0098701[シロバナハウチワマメ](NCBI GenBankアクセション:KAE9605566.1)(以下でLalLegHとして表示される;SEQ ID NO:26)。
【0235】
LaLegH1(SEQ ID NO:23)、LaLegH2(SEQ ID NO:24)、LlLegH1(SEQ ID NO:25)、およびLalLegH(SEQ ID NO:26)の4配列のAggrescan分析(
図39を参照されたい)の後、本発明者らは、LaLegH1(SEQ ID NO:23)およびLlLegH1(SEQ ID NO:25)に焦点を合わせることに決めた。なぜならば、これらは凝集性が低いからである。Aggrescanは、タンパク質配列中の凝集傾向のあるセグメントを予測するためのウェブベースのソフトウェアである。凝集性は、タンパク質配列の凝集する傾向と定義される。SWISS-MODELを使用して行ったタンパク質モデル(
図40および41を参照されたい)に基づくと、LaLegH1(SEQ ID NO:23)およびLlLegH1(SEQ ID NO:25)は、予測されるヘム結合部位を有するヘムタンパク質である。
【0236】
LaLegH1およびLlLegH1をコードする遺伝子(SEQ ID NO:27および28)を大腸菌発現のためにコドン最適化し、pET24a-HLTevベクターにクローニングした。タンパク質がもたらす赤みがかった色で判断すると、これらは両方ともヘムタンパク質であることが確認された(
図42および43を参照されたい)。LaLegH1と比較して、LlLegH1は、より良く発現したか、またはヘム組み込みがより良かったかのいずれかであった。その赤みがかった色は、LaLegH1のものと比較して、より強い(
図44を参照されたい)。
【0237】
実施例9:LegHのためのさらなる発現システム
本明細書に記載される大腸菌およびサッカロマイセス・セレビシエに加えて、本発明者らは、他の細菌発現システム、特に、枯草菌TEA株を試験した。HLTev-VsLegHおよびHLTev-LlLegH(SEQ ID NO:29および30)をコードする遺伝子をpTTB2ベクターにクローニングした(
図45を参照されたい)。大腸菌における発現は、枯草菌TEA株における発現よりも高かった(
図46および47を参照されたい)。
【0238】
実施例10:バンバラマメのさらなる検討
大抵の種のゲノムにおいて、本発明者らは、レグヘモグロビンの複数の相同体を認めた。例えば、ダイズ(グリシン・マックス)を調べた場合、以下の少なくとも4つの相同体が存在する:
レグヘモグロビンC1(NCBI GenBankアクセション:NP_001345001.1;SEQ ID NO:31);レグヘモグロビンC2(NCBI GenBankアクセション:NP_001235248.2;SEQ ID NO:32);レグヘモグロビンC3(NCBI GenBankアクセション:NP_001235423.1;SEQ ID NO:33);およびレグヘモグロビンA(NCBI GenBankアクセション:NP_001235928.1;SEQ ID NO:34)。
【0239】
そのため、本発明の発明者らは、バンバラマメのゲノムをさらに検討した。本発明者らは、バンバラマメ(V. subterranea)のゲノムに対するBLASTにVsLegHのタンパク質配列を使用し、以下の4配列を特定した(
図48を参照されたい):
Vs001352g0011.1(本発明によればVsLegH;SEQ ID NO:2)、Vs001352g0009.1(VsLegH9として表示される;SEQ ID NO:35)、Vs001352g0010.1(VsLegH10として表示される;SEQ ID NO:36)、およびVs108178g0061.1(VsLegH61として表示される;SEQ ID NO:37)。
【0240】
配列アラインメント:4配列の配列アラインメント(
図49を参照されたい)によって、Vs001352g0009.1(SEQ ID NO:35)およびVs108178g0061.1(SEQ ID NO:37)はVs001352g0011.1(本発明によればVsLegH)(SEQ ID NO:2)の「切断」バージョンであることが示された。一方で、Vs001352g0010.1(SEQ ID NO:36)は、Vs001352g0011.1(SEQ ID NO:2)の「伸長」バージョンと考えることができる。興味深いことに、ヘム結合に関与するH62およびH93は、4配列すべての間で保存されている。これらは、レグヘモグロビンの相同体である可能性がある。
【0241】
タンパク質発現:大腸菌におけるタンパク質発現によって、VsLegH9(Vs001352g0009.1;SEQ ID NO:35)、VsLegH61(Vs108178g0061.1;SEQ ID NO:37)、およびVsLegH10(Vs001352g0010.1;SEQ ID NO:36)がヘムタンパク質であることが示された(
図50および51を参照されたい)。VsLegH(Vs001352g0011.1;SEQ ID NO:2)は、該実施例の最高の発現/ヘム組み込みをもたらした。
【0242】
実施例11:細菌性ヘモグロビン
植物ベースのヘモグロビン(例えば、本明細書に記載されるVsLegHおよびLlLegH)は、細菌宿主で、例えば大腸菌で、本発明に従って組換えにより発現させることができる。しかし、本発明の発明者らは、細菌性ヘモグロビンを本発明で使用することができ、細菌性ヘモグロビンは、肉代用物として働くことができることも見出した。ビトレオシラ属の種(例えば、ビトレオシラ・ステルコラリア、ビトレオシラ属の種HG1、ビトレオシラ属の種C1株)由来の細菌性ヘモグロビンが好ましい。ビトレオシラ・ステルコラリア由来の細菌性ヘモグロビンのタンパク質配列は、本明細書においてSEQ ID NO:38として示される。
【0243】
同様のタンパク質長を有するにもかかわらず、Clustal Omegaで行った配列アラインメントに基づくと、ビトレオシラ・ステルコラリア由来の細菌性ヘモグロビンは、バンバラマメ(バンバララッカセイ、25.44%の同一性。
図52を参照されたい)由来の、またはグリシン・マックス(ダイズ、34.78%の同一性。
図53を参照されたい)由来のレグヘモグロビンに対して非常に低い配列同一性を示す。
【0244】
【配列表】
【国際調査報告】