IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

特表2023-553059二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池
<>
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図1
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図2
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図3
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図4
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図5
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図6
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図7
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図8
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図9
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図10
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図11
  • 特表-二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/178 20210101AFI20231213BHJP
   H01M 50/191 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20231213BHJP
【FI】
H01M50/178
H01M50/191
H01M50/193
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534410
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2022014296
(87)【国際公開番号】W WO2023054993
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0131223
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギョン-ス・カン
(72)【発明者】
【氏名】ミ-ナ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ギ-ムン・ギル
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011FF04
5H011HH01
5H011HH08
(57)【要約】
本発明は、電池の密封性を維持しながら安全性を向上させることができる、消火薬剤を含む二次電池用リードフィルム、及びこれを備える二次電池に関する。本発明に係る二次電池用リードフィルムは、消火薬剤を含んでいる。本発明によれば、発熱量の多い電極リードと隣接するリードフィルムに消火薬剤が含まれているので、電池の温度上昇に応じて消火薬剤を迅速に作用させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火薬剤を含む、二次電池用リードフィルム。
【請求項2】
前記二次電池用リードフィルムは、内部空間を含み、
前記内部空間に消火薬剤を含ませる、請求項1に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項3】
前記内部空間は、前記二次電池用リードフィルム内で閉鎖されている、請求項2に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項4】
前記二次電池用リードフィルムの内方に凹むように形成された凹部を有しており、
前記凹部は、消火薬剤を備える、請求項1に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項5】
前記凹部は、前記二次電池用リードフィルムの表面に向かって開放されている、請求項4に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項6】
前記消火薬剤を含む部分を除き、前記二次電池用リードフィルムの長手方向、幅方向及び厚さ方向の連続性が維持されている、請求項1に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項7】
前記消火薬剤は、固体、液体または気体の形態である、請求項1に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項8】
前記消火薬剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、蛋白泡、フッ化蛋白泡、アルコール泡、水性膜泡、合成界面活性剤泡、尿素、ハロゲン化合物、リン酸化合物、ホスファゼン化合物、ケイ酸塩、アンモニウム塩、エチルメチルイミダゾール、フルオロエーテル類、フルオロケトン類、フルオロカーボン類、またはこれらのうちの2つ以上を含む、請求項1に記載の二次電池用リードフィルム。
【請求項9】
電極リード付きの電極組立体と、
前記電極組立体を収容するケースと、
前記ケースに電極組立体を密封するために形成されるシール部と、
前記電極リードの外面の一部を取り囲み、前記電極リードと前記ケースのシール部との間に介在するリードフィルムと、
を備え、
前記リードフィルムは、消火薬剤を含む、二次電池。
【請求項10】
前記リードフィルムは内部空間を含み、
前記内部空間に消火薬剤を含ませる、請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記内部空間は、前記リードフィルム内で閉鎖されている、請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記内部空間は、前記リードフィルムの縁部と前記電極リードの縁部から間隔を置いて配置されている、請求項10または11に記載の二次電池。
【請求項13】
前記リードフィルム上に、前記リードフィルムの内方に凹むように形成された凹部を有しており、
前記凹部は、消火薬剤を備える、請求項9に記載の二次電池。
【請求項14】
前記凹部は、前記電極リードへの方向に凹むように形成されている、請求項13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記凹部は、前記シール部への方向に向かって開放されている、請求項14に記載の二次電池。
【請求項16】
前記凹部は、前記シール部への方向に凹むように形成されている、請求項13に記載の二次電池。
【請求項17】
前記凹部は、前記電極リードへの方向に向かって開放されている、請求項16に記載の二次電池。
【請求項18】
前記凹部は、前記リードフィルムの縁部と前記電極リードの縁部から間隔を置いて配置されている、請求項13に記載の二次電池。
【請求項19】
前記リードフィルムは、前記シール部に対応する第1部と、前記シール部に対応しない第2部と、を備え、
前記消火薬剤は、前記第1部に含まれている、請求項9に記載の二次電池。
【請求項20】
前記第1部は、前記電極リードに対応する第3部と、前記電極リードに対応しない第4部と、を備え、
前記消火薬剤は、前記第3部に含まれている、請求項19に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池に関する。本出願は、2021年10月1日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0131223号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコン、タブレットPCなどのモバイルIT機器は現代生活に密接に関連しており、IT産業市場の成長に伴い、核心部品である二次電池に対する需要も急増している。前記二次電池は、充放電により繰り返し使用でき、鉛、ニッケル、カドミウムなどの有害物質を使用しない環境にやさしい電池技術であり、軽量かつ小容量で多量のエネルギーを貯蔵できる高エネルギー密度を有する利点を有し、将来の新成長動力産業の核心を成している。特に、リチウム二次電池は、人類の生活に密接に関わるモバイルITの電源として最も広く用いられており、近年、電気自動車の動力源及び新再生エネルギーの電力貯蔵装置として活用度を継続的に広げている。
【0003】
一般に、二次電池は、正極、負極、これらを分離する分離膜(Separator)、前記分離膜を通じてリチウムイオンを伝えるための電解液(Electrolyte)、これらを収容するケース、及びケースの外部への電流経路として機能する電極リードを備える。通常、リードフィルムは、このような電極リードに結着されて電極リードに短絡(ショート)が発生するのを防止しながらも、電極リードおよびケースを密封する役割を果たす。
【0004】
このような二次電池の場合、二次電池の内部の短絡、過充電、過放電、温度制御等の種々の原因により、電池の発火が生じ得る。このとき、二次電池の内部温度が急激に上昇し、隣接セルに熱が伝わる熱伝播(Thermal Propagation:熱暴走現象)が発生して火災がさらに拡大する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、電池の過熱時の火災被害を最小限に抑えることができる二次電池用リードフィルム及びこれを備える二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明に係る二次電池用リードフィルムは、消火薬剤を含んでいてもよい。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記二次電池用リードフィルムは内部空間を含み、前記内部空間に消火薬剤を含ませてもよい。
【0008】
前記内部空間は、前記二次電池用リードフィルム内で閉鎖されていてもよい。
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記二次電池用リードフィルムの内方に凹むように形成された凹部(陥没部)を有しており、前記凹部は、消火薬剤を備えていてもよい。
【0010】
前記凹部は、前記二次電池用リードフィルムの表面に向かって開放されていてもよい。
【0011】
前記凹部は、長方形の形状を有していてもよい。
【0012】
本発明において、前記消火薬剤を含む部分を除き、前記二次電池用リードフィルムの長手方向、幅方向及び厚さ方向の連続性が維持されてもよい。
【0013】
前記消火薬剤は、固体、液体または気体の形態であってもよい。
【0014】
前記消火薬剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、蛋白泡、フッ化蛋白泡、アルコール泡、水性膜泡、合成界面活性剤泡、尿素、ハロゲン化合物、リン酸化合物、ホスファゼン化合物、ケイ酸塩、アンモニウム塩、エチルメチルイミダゾール、フルオロエーテル類、フルオロケトン類、フルオロカーボン類、またはこれらのうちの2つ以上を含んでもよい。
【0015】
本発明に係る二次電池は、電極リード付きの電極組立体と、前記電極組立体を収容するケースと、前記ケースに電極組立体を密封するために形成されるシール部と、前記電極リードの外面の一部を取り囲み、前記電極リードと前記ケースのシール部との間に介在するリードフィルムと、を備え、前記リードフィルムは、消火薬剤を含んでもよい。
【0016】
本発明に係る二次電池の一構成において、前記リードフィルムは内部空間を含み、前記内部空間に消火薬剤を含ませてもよい。
【0017】
前記内部空間は、前記リードフィルム内で閉鎖されていてもよい。
【0018】
前記内部空間は、前記リードフィルムの縁部と前記電極リードの縁部から間隔を置いて配置されていることが好ましい。
【0019】
本発明に係る二次電池の他の構成において、前記リードフィルム上に、前記リードフィルムの内方に凹むように形成された凹部を有しており、前記凹部は、消火薬剤を備えていてもよい。
【0020】
前記凹部は、前記電極リード方向に凹むように形成されていてもよく、前記凹部は、前記シール部方向に向かって開放されていてもよい。
【0021】
前記凹部は、前記シール部方向に凹むように形成されていてもよく、前記凹部は、前記電極リード方向に向かって開放されていてもよい。
【0022】
前記凹部は、前記リードフィルムの縁部と前記電極リードの縁部から間隔を置いて配置されていることが好ましい。
【0023】
前記凹部は、長方形の形状を有していてもよい。
【0024】
本発明に係る二次電池のさらに他の構成において、前記リードフィルムは、前記シール部に対応する第1部と、前記シール部に対応しない第2部と、を備え、前記消火薬剤は、前記第1部に含まれていてもよい。
【0025】
前記第1部は、前記電極リードに対応する第3部と、前記電極リードに対応しない第4部と、を備え、前記消火薬剤は、前記第3部に含まれてもよい。
【0026】
前記二次電池は、パウチ型の二次電池であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る二次電池用リードフィルムは、消火薬剤を含むため、電池の安全性を向上させることができる。
【0028】
本発明の一態様に係る二次電池用リードフィルムは、発熱量の多い電極リードと隣接するリードフィルムに消火薬剤を含ませて、電池の温度上昇に応じて消火薬剤を迅速に作用させることができる。
【0029】
本発明の他の態様に係る二次電池用リードフィルムは、リードフィルムの開口凹部を有する部分の表面とケースのシール部との間の界面でベンティング(venting、ガス抜き)が発生し、シール部で密封されていた消火薬剤がベンティング(ガス抜き)によって噴出され、消火薬剤を迅速に作用させることができる。
【0030】
本発明のさらに他の態様に係る二次電池用リードフィルムでは、電極リードにおける極めて発熱量の多い部分で消火薬剤の作用が可能であり、電池の過熱時の火災被害を最小限に抑えるのに役立つことができる。
【0031】
本発明に係る二次電池用リードフィルムは、消火薬剤を含む場合であっても電池の密封性を維持することができる。
【0032】
本発明の一態様に係る二次電池用リードフィルムは、リードフィルム内に消火薬剤が含まれているが、従来のリードフィルムと同等の十分な耐圧性を有することができる。これにより、消火薬剤を含む場合であっても電池の密封性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本明細書に添付された以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであって、本発明は、そのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはいけない。
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池用リードフィルムの平面図である。
図2図1のII-II’線断面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る二次電池用リードフィルムの平面図である。
図4図3のIV-IV’線断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る二次電池を示す図である。
図6図5のA-A’軸に沿った断面図である。
図7図5のA-A’軸に沿った他の断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る二次電池を示す図である。
図9図8のB-B’軸に沿った断面図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態に係る二次電池を示す図である。
図11図10のC-C’軸に沿った断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る二次電池における電極リード及びリードフィルム部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲で使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0036】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0037】
本発明の一態様に係る二次電池用リードフィルムは、消火薬剤を含むことを特徴とする。
【0038】
前記消火薬剤は、電池に過熱等が生じた場合に、電池を消火または冷却させる。異常作動により電池が高温から高圧になったときには、リードフィルムから消火薬剤が噴出されながら電池を消火または冷却することができる。
【0039】
前記消火薬剤は、特に制限なく火災鎮圧に用いる消火薬剤の任意の種類であり得る。消火の原理もまた、窒息消火、冷却消火またはこれら2つの原理を併用した消火が全て適用可能である。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記消火薬剤は、固体、液体または気体の形態の各種の物質であってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記消火薬剤は、炭酸塩、炭酸水素塩、蛋白泡、フッ化蛋白泡、アルコール泡、水性膜泡、合成界面活性剤泡、尿素、ハロゲン化合物、リン酸化合物、ホスファゼン化合物、ケイ酸塩、アンモニウム塩、エチルメチルイミダゾール、フルオロエーテル類、フルオロケトン類、フルオロカーボン類、またはこれらのうちの2つ以上を含んでもよい。
【0042】
前記炭酸塩または炭酸水素塩は、酸と反応し、炭酸ガスを発生させて窒息消火が可能である。前記蛋白泡、フッ化蛋白泡、アルコール泡、水性膜泡、合成界面活性剤泡などは、気化熱と酸素吸収機能により消火を図ることができる。前記尿素は、水と熱により炭酸ガスとアンモニアを発生させ、窒息と冷却による消火が可能である。前記アンモニウム塩は、熱によりアンモニアを発生させて冷却による消火が可能である。前記ハロゲン化合物は、蒸発性液化消火物質であってもよい。
【0043】
本発明の他の実施形態において、前記消火薬剤は、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸カリウム水溶液、フッ素系界面活性剤、ケイ酸ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、焼きミョウバン、ハロン1211などを含んでもよい。
【0044】
本発明のさらに他の実施形態において、前記消火薬剤は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)を主成分とし、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸マグネシウムで防湿加工され、白色に着色されている、第1種消火粉末;重炭酸カリウム(KHCO)を主成分とし、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸マグネシウムで防湿加工され、紫色に着色されている、第2種消火粉末;第1リン酸アンモニウム(NHPO)を主成分とし、シリコンオイルで防湿加工され、淡紅色に着色されている、第3種消火粉末;尿素と炭酸カリウムが結合してなる、第4種消火粉末;またはこれらのうちの2つ以上;を含んでいてもよい。
【0045】
本発明のさらに他の実施形態において、前記消火薬剤は、常圧での沸点が120~400℃の高沸点液体消火剤、又は常圧での沸点が70~120℃の低沸点液体消火剤等を含んでいてもよい。
【0046】
前記高沸騰点液体消火剤は、リン酸化合物、P=N結合を有するホスファゼン化合物、エチルメチルイミダゾールなどを含んでいてもよい。
【0047】
前記リン酸化合物は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート等であってもよい。
【0048】
前記低沸点液体消火剤は、フルオロエーテル類、フルオロケトン類、フルオロカーボン類等を含んでいてもよい。
【0049】
前記フルオロカーボン類としては、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロメチルデカリン、パーフルオロデカリンなどが挙げられる。
【0050】
本発明の一実施形態に係る二次電池用リードフィルムは、発熱量の多い電極リードと隣接するリードフィルムに消火薬剤を含有させることにより、電池の温度上昇に応じて消火薬剤を迅速に作用させることができる。本発明に係る二次電池用リードフィルムを含む二次電池では、発火が発生しても消火薬剤を迅速に排出することで速やかに鎮火を行うので、二次電池内部の温度が急激に上がると同時に隣のセルに熱が伝わる熱暴走現象を防止することができ、より大きな火災につながることを遮断することができる。
【0051】
二次電池用リードフィルムは、電極リードとケースを密封する役割を果たすので、機械的剛性を十分に確保する必要がある。
【0052】
本発明の一実施形態に係る二次電池用リードフィルムは、リードフィルム内に消火薬剤を含んでいるが、従来のリードフィルムと同等の十分な耐圧性を有することができる。これにより、消火薬剤を含む場合であっても電池の密封性を維持することができる。
【0053】
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池用リードフィルムの平面図である。図2は、図1のII-II’線に沿った断面図である。
【0054】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る二次電池用リードフィルム1aは、内部空間2を備えていてもよく、前記内部空間2に消火薬剤3aを含んでいてもよい。
【0055】
リードフィルム1aは、幅W1と厚さH1に比べて長さL1が長い長方形シート部材であってもよく、図2は、図1のリードフィルム1aの長手方向に沿った断面に該当する。ここで、前記リードフィルムの厚さは、リードフィルムの両表面間の距離の最大値を意味する。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記内部空間2は、図2に示すように、前記リードフィルム1a内で閉鎖されている構造を有してもよい。リードフィルム1a内で前記内部空間2が閉鎖されている場合、消火薬剤3aはリードフィルム1a内に埋め込まれた形態となっている。すなわち、消火薬剤3aを含む部分を除き、リードフィルム1aの連続性が維持される。リードフィルム1aの長手方向に沿って、リードフィルム1a-消火薬剤3a-リードフィルム1aの順に配置される。また、リードフィルム1aの厚さ方向に沿って、リードフィルム1a-消火薬剤3a-リードフィルム1aの順に配置される。さらに、リードフィルム1aの幅方向に沿って、リードフィルム1a-消火薬剤3a-リードフィルム1aの順に配置される。前記消火薬剤3aを含む部分を除き、前記リードフィルム1aの長手方向、幅方向及び厚さ方向の連続性が維持される。
【0057】
したがって、消火薬剤3aが電解液に露出することなく、リードフィルム1aの前面や裏面に電極リードと十分に接触できる面積を確保するので、電池の気密性及び耐久性を容易に確保することができる。内部空間2がリードフィルム1a内で閉鎖されている場合、電池の異常作動などによりリードフィルム1aが溶けたときに、消火薬剤3aがリードフィルム1aから噴出され得る。
【0058】
本発明の一実施形態において、前記内部空間2は、図1及び図2に示すように、長さL2がリードフィルム1aの長さL1より短く、厚さH2がリードフィルム1aの厚さH1より小さく、幅W2がリードフィルム1aの幅W1より小さいので、平面形状及び断面形状が長方形であってもよいが、消火薬剤3aを含む形状であれば特に限定されない。
【0059】
例えば、二次電池用リードフィルム1aの厚さH1を0.2mmとし、前記内部空間2の厚さH2を0.15mmとしてもよい。また、前記内部空間2は、二次電池用リードフィルム1aの長手方向に沿う縁部から2mmの間隔Pを置いて配置されてもよい。したがって、前記内部空間2に消火薬剤3aが含まれていても、リードフィルム1aの密封性を維持することができる。また、リードフィルム1aは、内部に消火薬剤3aを含んでいても、その長手方向に沿ってリードフィルム1aの厚さH1が一定である。リードフィルム1aの内側に内部空間2を設けて消火薬剤3aを埋設した結果、厚さH1を一定に保つことができる。リードフィルム1aの厚さに変化がないため、既存のシーリング工程をそのまま利用することができ、二次電池の製造工程におけるリードフィルム1aの改善による工程の変更を不要とし、工程の管理に有効である。
【0060】
図3は、本発明の他の実施形態に係る二次電池用リードフィルムの平面図である。図4は、図3のIV-IV’線に沿った断面図である。
【0061】
図3及び図4を参照すると、本発明の他の実施形態に係る二次電池用リードフィルム1bは、前記リードフィルム1bの内方に凹むように形成された凹部4を有していてもよく、前記凹部4は、消火薬剤3bを備えていてもよい。
【0062】
リードフィルム1bは、図1及び図2を参照して説明したリードフィルム1aと同様に、幅W1と厚さH1に比べて長さL1が長い長方形シート部材であり得、図4は、図3のリードフィルム1bの長手方向に沿った断面に該当する。
【0063】
本発明の一実施形態において、前記凹部4は、図3及び図4に示すように、リードフィルム1bの表面に向かって開放されていてもよい。消火薬剤3aを含む部分を除き、リードフィルム1bの連続性が維持される。リードフィルム1bの長手方向に沿って、リードフィルム1b-消火薬剤3b-リードフィルム1bの順に配置される。また、リードフィルム1bの厚さ方向に沿って、リードフィルム1b-消火薬剤3bの順に配置される。さらに、リードフィルム1bの幅方向に沿って、リードフィルム1b-消火薬剤3b-リードフィルム1bの順に配置される。
【0064】
本発明の一実施形態において、前記凹部4は、図3及び図4に示すように、長さL2がリードフィルム1bの長さL1より短く、厚さH2がリードフィルム1bの厚さH1より小さく、幅W2がリードフィルム1bの幅W1より小さいので、平面形状及び断面形状が長方形であってもよいが、消火薬剤3bを含み得る形状であれば特に限定されない。
【0065】
例えば、二次電池用リードフィルム1bの厚さH1を0.2mmとし、前記凹部4の厚さH2を0.15mmとしてもよい。また、前記凹部4は、二次電池用リードフィルム1bの長手方向に沿う縁部から2mmの間隔Pを置いて配置されてもよい。リードフィルム1bが電極リードと接触する面積は、凹部4を含まない場合に比べて凹部4の面積分だけ減少するが、上述したように凹部4の大きさと位置を調整することで、密封性を既存の密封性と同等に維持することができる。
【0066】
本発明の一実施形態において、前記二次電池用リードフィルム1a、1bは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、またはこれらのうちの2つ以上を含んでもよく、その他に、二次電池用リードフィルムとして、従来広く用いられている物質を含んでもよい。このような素材のリードフィルム1a、1bは、密封性に優れて電池の気密性を維持し、内部電解液の漏液をも防止することができる。
【0067】
本発明の一実施形態に係る二次電池用リードフィルムを電極リードとケースとの間に介在させて二次電池を製造することができる。
【0068】
本発明の一実施形態に係る二次電池は、電極リード付きの電極組立体と、前記電極組立体を収容するケースと、前記ケースで電極組立体を密封するシール部と、前記電極リードの外面の一部を取り囲み、前記電極リードと前記ケースのシール部との間に介在するリードフィルムとを備え、前記リードフィルムは、消火薬剤を含んでいることを特徴とする。
【0069】
図5は、本発明の一実施形態に係る二次電池を示す図である。図6は、図5のA-A’軸に沿った断面図である。
【0070】
図5及び図6を参照すると、本発明の一実施形態に係る二次電池10は、電極リード11付きの電極組立体12、及びケース13を備える。
【0071】
前記電極リード11は、外部に露出して外部機器に接続される一種の端子であり、導電性材質が使用されてもよい。電極リード11は、正極電極リードと、負極電極リードとを含んでいてもよい。正極電極リードと負極電極リードとは、電池の長手方向(X方向)に対して反対方向に配置されていてもよいし、または、正極電極リードと負極電極リードとは、電池の長手方向に対して同じ方向に配置されていてもよい。
【0072】
前記電極組立体12は、正極板、負極板及び分離膜を含む。電極組立体12は、分離膜が介在した状態で正極板と負極板とが順次積層されていてもよい。
【0073】
正極板は、導電性に優れた金属薄板、例えば、アルミニウム(Al)ホイル(foil)からなる正極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた正極活物質層とを含んで形成されてもよい。また、正極板は、一側端に金属材質、例えば、アルミニウム(Al)材質からなる正極リードを含んでいてもよい。正極リードは、正極板の一側端から延びて突出していてもよいし、正極板の一側端に溶接されていてもよいし、導電性接着剤を用いて接合されていてもよい。
【0074】
負極板は、導電性金属薄板、例えば、銅(Cu)ホイルからなる負極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた負極活物質層とを含んで形成されてもよい。また、負極板は、一側端に金属材質、例えば、ニッケル(Ni)材質からなる負極リードを含んでいてもよい。負極リードは、負極板の一側端から延びて突出していてもよいし、負極板の一側端に溶接されていてもよいし、導電性接着剤を用いて接合されていてもよい。
【0075】
分離膜は、正極板と負極板との間に配置されて正極板と負極板とを互いに電気的に絶縁していてもよく、正極板と負極板との間をリチウムイオン等が通過できるように多孔性膜状に形成されていてもよい。このような分離膜は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはこれらの複合フィルムを用いた多孔性膜を含んでもよい。
【0076】
分離膜の表面に無機物コーティング層を設けてもよい。無機コーティング層は、無機物粒子がバインダーにより互いに結合して粒子間のインタースティシャル・ボリューム(interstitial volume)により形成された気孔構造を有することができる。
【0077】
電極組立体12としては、長尺シート状の正極と負極とを分離膜を介在した状態で巻き取った構造を有するジェリーロール型(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取った多数の正極と負極とを分離膜を介在した状態で順次積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定の単位の正極と負極とを分離膜を介在した状態で積層したバイセル(Bi-cell)またはフルセル(Full cell)を巻き取った構造のスタック/フォールディング型(積層/折り畳み型)電極組立体などが挙げられる。
【0078】
前記ケース13は、電極組立体12を収容する役割を果たす。
【0079】
前記ケース13は、電極組立体12を収容する収容部13aと、電極組立体12を密封するシール部13bとを備えていてもよい。前記シール部13bは、前記収容部13aの外周面に沿って融着されて電極組立体12を密封してもよい。前記融着は、熱融着、超音波による融着等があるが、シール部13bが融着するものであれば特に限定されない。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記ケース13は、外部の衝撃からの保護のための外層、水分を遮断する金属バリア層、及びケースをシールするシーラント層の多層フィルム状に設けられていてもよい。
【0081】
前記外層は、ポリ(エチレンテレフタレート)(Poly(ethylene terephthalate);PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン、その他のポリエステル系のフィルムを含んでいてもよく、単層または多層で構成されてもよい。
【0082】
前記金属バリア層は、アルミニウム、銅などを含んでいてもよい。
【0083】
前記シーラント層は、シーラント樹脂を含んでいてもよく、単層または多層で構成されてもよい。
【0084】
前記シーラント樹脂は、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン(PPa)、ランダムポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、またはこれらのうちの2つ以上を含んでいてもよい。前記エチレンプロピレン共重合体は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-プロピレンブロック共重合体などを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の一実施形態において、前記ケース13は、パウチ型であってもよい。
【0086】
本発明の一実施形態において、前記ケース13がパウチ型である場合、上部パウチと下部パウチを含んでいてもよい。前記ケース13が上部パウチと下部パウチを含む場合、上部パウチと下部パウチとが外周面において融着されることにより、電池を密封する構造を有することができる。
【0087】
前記シール部13bは、ケース13の周縁部において4面シールまたは3面シールされてもよい。3面シール構造とは、上部パウチと下部パウチとが1枚のパウチシートでフォーミングされた後、上部パウチ及び下部パウチ間の境界面を折り曲げて上部パウチ及び下部パウチに形成された前記電極組立体収容部13aが積み重なるようにした状態で、折曲部を除いた残りの3面の周縁部をシールした構造のことを意味する。図5は、上部パウチを覆う前の下部パウチの収容部13aを示す図であるといえる。
【0088】
前記電極リード11は、一部が前記ケース13の外部に露出するようにケース13内に収容されてもよい。電極リード11は、電極組立体12に含まれる電極タブ(図示せず)と電気的に接続され、シール部13bを経由してケース13の外方に突出している。リードフィルム14aは、ケース13と電極リード11との電気的な接触を防止して絶縁の役割を果たす。図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る二次電池10は、リードフィルム14aを備える。前記リードフィルム14aは、内部に消火薬剤を含む。
【0089】
図5を参照すると、前記リードフィルム14aは、前記電極リード11の外面の一部を取り囲み、前記電極リード11とケース13との間に介在する。例えば、リードフィルム14aは、電極リード11が突出している部分において、電極リード11とケース13のシール部13bとの間に介在してもよい。これにより、リードフィルム14aは、密封時に電極リード11で短絡(ショート)が生じることを防止することができ、且つ、シール部13bと電極リード11の密封性を向上させることができる。
【0090】
図7は、図5のA-A’軸に沿った他の断面図である。図7では、前記リードフィルム14aが電極リード11の両面に設けられることを示しているが、リードフィルム14aは、電極リード11の少なくとも一面に位置してもよい。例えば、図6に示すように、電極リード11の一面には本発明に係るリードフィルム14aが設けられ、電極リード11の他面には他のリードフィルム14a’が設けられてもよい。リードフィルム14aは電極リード11の上に位置し、他のリードフィルム14a’またはリードフィルム14aはは電極リード11の下に位置してもよい。このとき、前記リードフィルム14aと他のリードフィルム14a’との間、或いは、2つのリードフィルム14aの間に電極リード11を位置させた状態で、電極リード11をシール部13bとともに密封することで、電極リード11の周囲にあるリードフィルム同士を相互に接続することができる。これにより、リードフィルム14a、14a’は、電極リード11の側面が外部に露出するのを防止することができ、且つ、シール部13bと電極リード11との密封性を向上させることができる。
【0091】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム14aの長さL1は、電極リード11の幅LWよりも長くてもよい。ここで、前記リードフィルムの長さとは、電極リード11の突出方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)におけるリードフィルムの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。言い換えると、電極リード11の幅方向(Y軸方向)におけるリードフィルムの長さを指す。このようにリードフィルム14aの長さL1を電極リード11の幅LWよりも長くすることにより、リードフィルム14aが電極リード11の側面から更に延伸して電極リード11の側面が外部に露出することを防止し、シール部13bと電極リード11との密封性を向上させることができる。
【0092】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム14aの幅W1は、前記シール部13bの幅SWより大きく、かつ、電極リード11の長さLLより小さくてもよい。ここで、前記リードフィルム14aの幅とは、電極リード11の突出方向におけるリードフィルム14aの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。言い換えると、電極リード11の幅方向と直交する方向におけるリードフィルムの長さを指す。シール部13bの幅とは、電極リード11の突出方向におけるシール部13bの一端と他端との間の距離の最大値を意味する。電極リード11の長さとは、電極リード11の突出方向における電極リード11の一端と他端との間の距離の最大値を意味する。
【0093】
前記リードフィルム14aの幅W1を前記シール部13bの幅SWよりも大きくすることにより、リードフィルム14aはケース13の外側に突出していてもよく、ケース13の外側に突出した、電極リード11の部分をさらに保護することにより、密封性を向上させることができる。リードフィルム14aの幅W1が電極リード11の長さLLよりも小さい場合には、電極リード11のうち、リードフィルム14aで覆われていない部分を電気的接続に用いることができる。
【0094】
本発明の他の実施形態において、前記リードフィルム14の全幅は、シール部13bの幅より小さく、かつ、電極リード11の長さより小さくてもよい。この場合、リードフィルム14aはケース13の外側に突出しないことがある。
【0095】
本発明の一実施形態において、前記リードフィルム14aの全面積がシール部13bに対応し得る。
【0096】
本発明の他の実施形態において、前記リードフィルム14aの一部の領域のみがシール部13bに対応し得る。
【0097】
図6を参照すると、前記リードフィルム14aは、内部空間15を備えてもよく、前記内部空間15に消火薬剤16が含まれてもよい。
【0098】
図6では、内部空間15を有するリードフィルム14aが電極リード11の一面に位置することを示しているが、図7に示すように、内部空間15を有するリードフィルム14aは、電極リード11の両面に位置してもよい。本発明の一実施形態において、前記内部空間15は、前記リードフィルム14a内で閉鎖されている構造を有してもよい。この構造は、図1及び図2を参照して説明されている。前記内部空間15がリードフィルム14a内で閉鎖されている場合、消火薬剤16が電解液に露出しないことがあり、電池の気密性及び耐久性を容易に確保することができる。また、前記内部空間15の位置を自由に選択することができる。
【0099】
内部空間15がリードフィルム14a内で閉鎖されている場合、電池の異常作動などによりリードフィルム14aが溶けたときに、消火薬剤16がリードフィルム14から噴出され得る。
【0100】
本発明の一実施形態において、前記内部空間15は、図6及び図7に示すように長方形状を有してもよいが、消火薬剤16を含み得る形状であれば特に限定されない。
【0101】
例えば、リードフィルム14aの厚さH1を0.2mmとし、前記内部空間15の厚さH2を0.15mmとしてもよい。また、前記内部空間15は、リードフィルム14aの長手方向に沿う縁部から間隔Pを置いて配置されてもよい。例えば、間隔Pは2mmであってもよい。また、前記内部空間15が電極リード11の上に位置する場合、前記内部空間15は、電極リード11の長手方向に沿う縁部から間隔P’を置いて配置されてもよい。例えば、間隔P’は2mmであってもよい。
【0102】
このような内部空間15の位置を調整することにより、リードフィルム14aの耐久性及び気密性を制御することができる。二次電池用リードフィルムは、電極リードとケースとを密封する役割を果たすので、機械的剛性を十分に確保する必要がある。リードフィルム14aは、リードフィルム14a内に消火薬剤16を含んでいるが、内部空間15の位置を前記のように調整するなどの方法により、従来のリードフィルムと同様に十分な耐圧性を有することができる。これにより、消火薬剤を含む場合であっても電池の密封性を維持することができる。
【0103】
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係る二次電池を示す図である。
【0104】
本発明のさらに他の実施形態に係る二次電池10は、電極リード11付きの電極組立体12、ケース13、及びリードフィルム14bを備える。前記電極リード11、電極組立体12、及びケース13については、前述した内容を参照する。
【0105】
図8を参照すると、前記リードフィルム14bは、前記電極リード11の外面の一部を取り囲み、前記電極リード11とケース13との間に介在している。例えば、リードフィルム14bは、電極リード11が突出している部分において、電極リード11とケース13のシール部13bとの間に介在してもよい。
【0106】
図9は、図8のB-B’軸に沿った断面図である。
【0107】
図9を参照すると、前記リードフィルム14bは、前記リードフィルム14bの内方に凹むように形成された凹部17aを有していてもよく、前記凹部17aは、消火薬剤16を備えていてもよい。
【0108】
図9を参照すると、前記凹部17aは、電極リード11の上方に位置するリードフィルム14bの位置よりも下方に位置する電極リード11に向かう方向(-Z軸方向)に凹むように形成されていてもよい。
【0109】
本発明の一実施形態において、前記凹部17aは、リードフィルム14bからシール部13bに向かう方向(Z軸方向)に開放されていてもよい。すなわち、リードフィルム14bの表面に向かって開放されていてもよい。
【0110】
一般に、電極リードを取り囲むリードフィルムとケースとの間の界面の接着力が弱い。これにより、電池の異常作動などが発生した際に、リードフィルムとケースとの間の界面でベント(venting、ベンティング)が発生する。
【0111】
前記凹部17aがシール部13b方向に向かって開放されるように形成された場合、凹部17aが開放された部分のリードフィルム14bの表面とケース13のシール部13bとの間の界面でベントが発生し、このベントにより、シール部13bにより密封されていた消火薬剤16が噴出され、消火薬剤が迅速に作用することができる。
【0112】
図9は、凹部17aが形成されたリードフィルム14bが電極リード11の一面に位置していることを示し、電極リード11の他面には他のリードフィルム14b’が設けられていることを示すが、凹部17aが形成されたリードフィルム14bが電極リード11の両面に位置していてもよい。
【0113】
図10は、本発明の他の実施形態に係る二次電池を示す図である。本発明の他の実施形態に係る二次電池10は、電極リード11付きの電極組立体12、ケース13、及びリードフィルム14cを備える。前記電極リード11、電極組立体12、及びケース13については、前述した内容を参照する。
【0114】
図10を参照すると、前記リードフィルム14cは、前記電極リード11の外面の一部を取り囲み、前記電極リード11とケース13との間に介在している。例えば、リードフィルム14cは、電極リード11が突出している部分において、電極リード11とケース13のシール部13bとの間に介在していてもよい。
【0115】
図11は、図10のB-B’軸に沿った断面図である。
【0116】
図11を参照すると、前記リードフィルム14cは、前記リードフィルム14cの内方(Z軸方向)に凹むように形成された凹部17bを有していてもよく、前記凹部17bは、消火薬剤16を備えていてもよい。
【0117】
図11を参照すると、前記凹部17bは、リードフィルム14cからシール部13bに向かう方向に凹むように形成されていてもよい。
【0118】
本発明の一実施形態において、前記凹部17bは、リードフィルム14cから電極リード11に向かう方向(-Z軸方向)に開放されていてもよい。
【0119】
一般に、熱暴走が発生すると、電極リード部分の発熱量が極めて大きくなる。また、電極リードとリードフィルムとの間の界面の接着力が弱い。これにより、電池の異常作動などが発生した際に、電極リードとリードフィルムとの界面でベントが発生する。すなわち、電極リードとリードフィルムとが互いに剥離する。これにより、電池の異常作動などが発生した際に、電極リードとリードフィルムとの界面でベントが発生する。
【0120】
前記凹部17bが電極リード11方向に向かって開放されるように形成された場合、電極リード11とリードフィルム14cとの間の界面でベントが発生し、このベントにより、電極リード11により密封されていた消火薬剤16が噴出され、消火薬剤が迅速に作用することができる。さらに、前記凹部17bが電極リード11に向かっているので、電極リードにおける極めて発熱量の多い部分で消火薬剤の作用が可能であり、電池の過熱時の火災被害を最小限に抑えるのに役立つことができる。
【0121】
図11は、凹部17bが形成されたリードフィルム14cが電極リード11の一面に位置していることを示し、電極リード11の他面には他のリードフィルム14c’が設けられることを示しているが、凹部17bが形成されたリードフィルム14cが電極リード11の両面に位置していてもよい。
【0122】
本発明の一実施形態において、前記凹部17a、17bは、図8図11に示すように長方形の形状を有してもよいが、消火薬剤16を含み得る形状であれば特に限定されない。
【0123】
例えば、リードフィルム14b、14cの厚さH1を0.2mmとし、前記凹部17a、17bの厚さH2を0.15mmとしてもよい。また、前記凹部17a、17bは、リードフィルム14b、14cの長手方向に沿う縁部から2mmの間隔Pを置いて配置されてもよい。また、前記凹部17a、17bが電極リード11の上に位置する場合、前記凹部17a、17bは、電極リード11の長手方向に沿う縁部から2mmの間隔P’を置いて配置されてもよい。
【0124】
このような凹部17a、17bの位置を調整することにより、リードフィルム14b、14cの耐久性及び気密性を制御することができる。二次電池用リードフィルムは、電極リードとケースとを密封する役割を果たすので、機械的剛性を十分に確保する必要がある。リードフィルム14b,14cは、消火薬剤16をリードフィルム14b,14c内に含めているが、凹部17a,17bの位置を調整することで従来のリードフィルムと同様の十分な耐圧性を有することができる。これにより、消火薬剤を含む場合であっても電池の密封性を維持することができる。
【0125】
リードフィルム14a,14b,14cは、内部に消火薬剤16を含んでいても、その長手方向に沿ってリードフィルム14a,14b,14cの厚さH1が一定である。前記内部空間15や凹部17a、17bが位置するところでは、リードフィルム14a、14b、14cの厚さ方向における一部が除去されている。このような場合であっても十分な機械的剛性を有しているか否かを確認する必要がある。前記のような厚さ(H1、H2)および間隔(P、P’)の条件下で内圧シミュレーション実験を行った。
【0126】
パウチ型のケース内部でガスが発生し、ケース内の電極リードの方向に内圧0.1MPaが作用すると仮定して、構造物全体(電極リード、リードフィルム及びケース)の変形量を解析した。このとき、ケースの底端は固定されていた。消火薬剤を含まない比較例では、シール部の幅方向内側末端から電極リード方向への最大変位が0.05063mmにシミュレートされ、本発明では、最大変位が0.05766mmにシミュレートされた。シミュレートの結果から、どうしても消火薬剤を含めると最大変位は大きくなるが、0.1MPa圧力下でも変形量の差はごく僅かであり、無視できるほどの水準であることが分かる。したがって、本発明は従来のリードフィルムと同様に十分な耐圧性を有することが確認された。
【0127】
上記のように内圧が作用する際にリードフィルムの方が受ける最大応力についてもシミュレーション実験を行った。消火薬剤を含まない比較例では、最大応力が0.01603MPaにシミュレートされ、本発明では、最大応力が0.01611MPaにシミュレートされ、最大応力は塑性変形に至らないレベルであり、有意差がないことが分かった。
【0128】
このように、リードフィルム内に消火薬剤が含まれている場合でも、本発明で提案する構成とする場合には、電池の密封性を維持できるだけでなく、消火薬剤の作用による安全装置の実現という顕著な効果を有することが確認された。
【0129】
図12は、本発明の一実施形態に係る二次電池における電極リード及びリードフィルム部分を拡大して示す図である。
【0130】
図12を参照すると、リードフィルム14は、シール部13bに対応する第1部100と、前記シール部13bに対応しない第2部200とを備えていてもよい。
【0131】
図12を参照すると、前記第1部100に消火薬剤が含まれてもよい。第1部100に消火薬剤が含まれる場合、電池の正常作動時には消火薬剤が電解液に露出されず、電池の異常作動時には、シール部13bとリードフィルム14との間の界面でベントされるとともに、消火薬剤がリードフィルム14から噴出されることがある。特に、リードフィルム14が凹部17を有する場合、電池の正常作動時に消火薬剤を電解液に露出させないために、第1部100に凹部17を形成してもよい。
【0132】
本発明の他の実施形態において、前記第2部200に消火薬剤が含まれ得る。第2部200に消火薬剤が含まれる場合、電池の正常作動時には消火薬剤が電解液に露出されず、電池の異常作動時には、リードフィルム14が溶けて消火薬剤がリードフィルム14から噴出され得る。特に、リードフィルム14が内部空間を有する場合、シール部13bによって消火薬剤が密封されていなくても電解液に露出しないため、第2部200に消火薬剤を含めてもよい。
【0133】
図12を参照すると、リードフィルム14は、シール部13bに対応する第1部100と、前記シール部13bに対応しない第2部200とを備えていてもよく、前記第1部100は、前記電極リード11に対応する第3部300と、前記電極リード11に対応しない第4部400とを備えていてもよい。
【0134】
本発明の他の実施形態において、リードフィルム14が、シール部13bに対応する第1部100と、前記シール部13bに対応しない部位である第2部200とを備えていてもよく、前記第2部200は、前記電極リード11に対応する部位である第5部500と、前記電極リード11に対応しない部位である第6部600とを備えていてもよい。
【0135】
本発明の一実施形態において、前記第3部300に消火薬剤が含まれてもよい。第3部300に消火薬剤が含まれる場合、電極リード11の発熱量の多い部分に消火薬剤が位置し、電池の温度上昇に応じて消火薬剤を迅速に機能させるのに役立つことができる。
【0136】
本発明の他の実施形態において、前記第4部400に消火薬剤が含まれてもよい。第4部400に消火薬剤が含まれる場合、リードフィルム14とシール部13bとの間に剥離が生じる際に消火薬剤を迅速に機能させるのに役立つことができる。
【0137】
本発明のさらに他の実施形態において、前記第5部500または第6部600に消火薬剤が含まれてもよい。
【0138】
本発明の一実施形態において、前記二次電池は、円筒型二次電池、角型二次電池、またはパウチ型二次電池であってもよい。中でも、前記二次電池がパウチ型二次電池であってもよい。パウチ型二次電池は、容積率を高め易いものの、パウチそれ自体がセルを保持し難いという欠点がある。セルの温度が暴走する際に、過電流保護素子(PTC:Positive Temperature Coefficient)付きや電流遮断装置(CID:Current Interrupt Device)付きの円筒型電池とは異なり、パウチ型二次電池はこれに対する熱的安定性がない。本発明によれば、リードフィルムを改善することにより、パウチ型二次電池においても安全装置が設けられるという利点がある。
【0139】
以上、本発明が限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明の技術的な思想はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の技術的な思想と特許請求の範囲の均等な範囲内において様々な修正及び変形を加えて実施することが可能であるということはいうまでもない。
【符号の説明】
【0140】
1a、1b リードフィルム
2 内部空間
3a.3b 消火薬剤
4 凹部
10 二次電池
11 電極リード
12 電極組立体
13 ケース
13a 収容部
13b シール部
14、14a、14b、14c リードフィルム
15 内部空間
16 消火薬剤
17、17a、17b 凹部
100 第1部
200 第2部
300 第3部
400 第4部
500 第5部
600 第6部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】