(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】低周波RF発生器および関連する静電チャック
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20231213BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 M
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534597
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021058357
(87)【国際公開番号】W WO2022125231
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マラクタノフ・アレクセイ・エム.
(72)【発明者】
【氏名】コザケヴィッチ・フェリックス・レイブ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ビング
(72)【発明者】
【氏名】ボウミック・ラナディープ
(72)【発明者】
【氏名】ホランド・ジョン・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】マチュシュキン・アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084AA08
2G084BB07
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2G084CC05
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2G084HH52
5F004AA16
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB29
(57)【要約】
【解決手段】低周波RF発生器を有するシステムが説明される。低周波RFは、10キロヘルツ(kHz)~330kHzの動作周波数範囲を有する。低周波RF発生器は、RF信号を生成する。システムは、RF信号を受信するために低周波RF発生器に結合されたインピーダンス整合回路をさらに含む。インピーダンス整合回路は、RF信号のインピーダンスを修正し、修正されたRF信号を出力する。システムは、修正されたRF信号を受信するためにRF発生器に結合されたプラズマチャンバを含む。プラズマチャンバは、誘電体層およびベース金属層を有するチャックを含む。誘電体層は、ベース金属層の上部に位置する。誘電体層は、底面を有し、ベース金属層は、上面を有する。ベース金属層は、多孔質プラグを有し、誘電体層の底面は、多孔質プラグと接触する部分を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10キロヘルツ(kHz)~330kHzの動作周波数範囲を有する第1の無線周波数(RF)発生器であって、前記第1のRF発生器は、第1のRF信号を生成するように構成された第1のRF発生器と、
前記第1のRF信号を受信するために前記第1のRF発生器に結合され、前記第1のRF信号のインピーダンスを修正して第1の修正されたRF信号を出力する第1のインピーダンス整合回路と、
前記第1の修正されたRF信号を受信するように構成されたプラズマチャンバであって、前記プラズマチャンバは、誘電体層およびベース金属層を有するチャックを含み、前記誘電体層は、前記ベース金属層の上部に位置し、前記誘電体層は、底面を有し、前記ベース金属層は、多孔質プラグを有し、前記誘電体層の前記底面は、前記多孔質プラグと接触する部分を有するプラズマチャンバと
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記プラズマチャンバは、前記チャックを囲むエッジリングを含み、前記システムは、
10kHz~330kHzの動作周波数範囲を有する第2のRF発生器であって、前記第2のRF発生器は、第2のRF信号を生成するように構成される第2のRF発生器と、
前記第2のRF信号を受信するために前記第2のRF発生器に結合され、前記第2のRF信号のインピーダンスを修正して第2の修正されたRF信号を出力する第2のインピーダンス整合回路と
をさらに備え、
前記エッジリングは、前記第2のインピーダンス回路に結合され、前記第2の修正されたRF信号を受信する、
システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、
前記第1および第2のRF発生器に結合されたホストコンピュータであって、前記ホストコンピュータは、
前記第2の修正されたRF信号の周波数が前記第1の修正されたRF信号の周波数から所定の範囲内になるまで前記第2のRF発生器を制御し、
前記第2の修正されたRF信号の位相が前記第1の修正されたRF信号の位相から予め設定された範囲内になるまで前記第2のRF発生器を制御し、
電圧設定点を達成するように前記第2のRF発生器を制御する
ように構成されるホストコンピュータ
をさらに備える、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
前記所定の範囲は、前記第1および第2の修正されたRF信号の前記動作周波数が同じであるときに達成される、システム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、
前記予め設定された範囲は、前記第1および第2の修正されたRF信号の前記位相が同じであるときに達成される、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
第2のRF信号を生成するように構成された第2のRF発生器と、
前記第1および第2のRF発生器に結合されたホストコンピュータであって、前記ホストコンピュータは、
前記第1のRF発生器が第3のRF発生器に置き換わったという指示を受信し、前記第3のRF発生器は、前記第1のRF発生器よりも高い動作周波数を有し、
前記第1のRF信号の周波数を有する電圧信号を受信し、
前記電圧信号を第2の数のビンとは異なる第1の数のビンに分割し、前記第2の数のビンは、前記第3のRF発生器が使用されるときに生成される
ように構成されるホストコンピュータと
をさらに備える、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記誘電体層は、多孔質プラグを除外し、前記第1のRF発生器は、90kHz~110kHzの動作周波数範囲を有する、システム。
【請求項8】
上部電極と、
前記上部電極に面するチャックであって、前記チャックは、
底面を有する誘電体層、および
ベース金属層であって、前記誘電体層は、前記ベース金属層の上部に位置し、前記ベース金属層は、多孔質プラグを有し、前記誘電体層の前記底面は、前記多孔質プラグと接触する部分を有するベース金属層
を含むチャックと
を備え、
前記チャックは、第1のRF伝送ラインに結合され、10キロヘルツ(kHz)~330kHzの範囲にある周波数を有する第1の修正されたRF信号を受信するように構成される、
プラズマチャンバ。
【請求項9】
請求項8に記載のプラズマチャンバであって、
前記第1のRF伝送ラインは、第1のインピーダンス整合回路を介して第1のRF発生器に結合され、前記第1のRF発生器は、10kHz~330kHzの範囲にある動作周波数を有する、プラズマチャンバ。
【請求項10】
請求項9に記載のプラズマチャンバであって、
前記チャックを囲むエッジ電極
をさらに備え、
前記エッジ電極は、第2のRF伝送ラインに結合され、10kHz~330kHzの範囲にある周波数を有する第2の修正されたRF信号を受信するように構成される、
プラズマチャンバ。
【請求項11】
請求項10に記載のプラズマチャンバであって、
前記第2のRF伝送ラインは、第2のインピーダンス整合回路を介して第2のRF発生器に結合され、前記第2のRF発生器は、10kHz~330kHzの範囲にある動作周波数を有する、プラズマチャンバ。
【請求項12】
請求項11に記載のプラズマチャンバであって、
前記第1の修正されたRF信号の位相は、前記第2の修正されたRF信号の位相から予め設定された範囲内にある、プラズマチャンバ。
【請求項13】
請求項11に記載のプラズマチャンバであって、
前記第1の修正されたRF信号の周波数は、前記第2の修正されたRF信号の周波数から所定の範囲内にある、プラズマチャンバ。
【請求項14】
請求項8に記載のプラズマチャンバであって、
前記誘電体層は、多孔質プラグを除外し、前記第1のRF伝送ラインは、第1のインピーダンス整合回路を介して第1のRF発生器に結合され、前記第1のRF発生器は、90kHz~110kHzの動作周波数範囲を有する、プラズマチャンバ。
【請求項15】
第1の無線周波数(RF)信号を生成することであって、前記第1のRF信号は、10キロヘルツ(kHz)~330kHzの動作周波数範囲を有する第1のRF発生器によって生成されることと、
前記第1のRF信号のインピーダンスを修正し、修正されたRF信号を出力することと、
チャックの下側電極によって、前記チャックのベース金属層および前記チャックの誘電体層の一部を介して前記第1の修正されたRF信号を受信することと
を含み、
前記誘電体層は、前記ベース金属層の上部に位置し、
前記誘電体層は、底面を有し、
前記ベース金属層は、多孔質プラグを有し、前記誘電体層の前記底面は、前記多孔質プラグと接触する部分を有する、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記誘電体層は、多孔質プラグを除外し、前記第1のRF発生器は、90kHz~110kHzの動作周波数範囲を有する、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
第2のRF発生器によって、第2のRF信号を生成することであって、前記第2のRF発生器は、10kHz~330kHzの動作周波数範囲を有することと、
前記第2のRF信号を受信し、前記第2のRF信号のインピーダンスを修正して第2の修正されたRF信号を出力することと、
エッジリングによって、前記第2の修正されたRF信号を受信することであって、前記エッジリングは、チャック囲むことと
をさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記第1の修正されたRF信号の周波数から所定の範囲内の周波数を有するように前記第2の修正されたRF信号を制御することと、
位相が前記第1の修正されたRF信号の位相から予め設定された範囲内になることを達成するように前記第2の修正されたRF信号を制御することと、
電圧設定点を達成するように前記第2のRF発生器を制御することと
をさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記所定の範囲は、前記第1および第2のRF修正されたRF信号の前記周波数が同じであるときに達成される、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、
前記予め設定された範囲は、前記第1および第2の修正されたRF信号の前記位相が同じであるときに達成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、低周波無線周波数(RF)発生器および関連する静電チャックを使用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマツールでは、複数の無線周波数(RF)発生器が使用される。第1のRF発生器は、整合器に結合される。また、第2のRF発生器も整合器に結合される。整合器の出力は、プラズマチャンバに結合される。基板は、プラズマチャンバ内に載置される。
【0003】
RF発生器はRF信号を生成し、RF信号は、整合器を介してプラズマチャンバに供給され、基板を処理する。しかし、RF信号を生成するには、大量の電力がRF発生器によって消費される。加えて、RF発生器は、基板をエッチングするためのエッチング速度の達成を促進しない。また、プラズマチャンバの一部の構成要素は経時的に劣化し、基板の処理中に問題を引き起こす。
【0004】
本開示で説明される実施形態は、このような状況で生じるものである。
【0005】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、低周波無線周波数(RF)発生器および関連する静電チャックを使用するためのシステム、装置、方法、およびコンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、様々な方法、例えば、プロセス、装置、システム、デバイス、またはコンピュータ可読媒体上の方法で実装することができることを理解されたい。いくつかの実施形態について、以下で説明する。
【0007】
一実施形態では、低周波RF発生器を有するシステムが説明される。低周波RFは、10キロヘルツ(kHz)~330kHzの動作周波数範囲を有する。低周波RF発生器は、RF信号を生成する。システムは、RF信号を受信するために低周波RF発生器に結合されたインピーダンス整合回路をさらに含む。インピーダンス整合回路は、RF信号のインピーダンスを修正し、修正されたRF信号を出力する。システムは、修正されたRF信号を受信するためにRF発生器に結合されたプラズマチャンバを含む。プラズマチャンバは、誘電体層およびベース金属層を有するチャックを含む。誘電体層は、ベース金属層の上部に位置する。誘電体層は、底面を有し、ベース金属層は、上面を有する。ベース金属層は、多孔質プラグを有し、誘電体層の底面は、多孔質プラグと接触する部分を有する。
【0008】
一実施形態では、プラズマチャンバが説明される。プラズマチャンバは、上部電極を含む。プラズマチャンバは、上部電極に面する静電チャックをさらに含む。チャックは、底面を有する誘電体層を含む。チャックはまた、上面を有するベース金属層を含む。誘電体層は、ベース金属層の上部に位置し、ベース金属層は、多孔質プラグを有する。誘電体層の底面は、多孔質プラグと接触する部分を有する。チャックは、RF伝送ラインに結合され、10kHz~330kHzの範囲にある周波数を有する修正されたRF信号を受信することができる。
【0009】
一実施形態では、方法が説明される。方法は、RF信号を生成することを含む。RF信号は、10kHz~330kHzの動作周波数範囲を有するRF発生器によって生成される。方法は、RF信号のインピーダンスを修正し、修正されたRF信号を出力することをさらに含む。方法は、下側電極によって、修正されたRF信号を受信することを含む。修正されたRF信号は、チャックのベース金属層およびチャックの誘電体層の一部を介して受信される。誘電体層は、ベース金属層の上部に位置し、底面を有する。ベース金属層は、多孔質プラグを有する。誘電体層の底面は、多孔質プラグと接触する部分を有する。
【0010】
本明細書に記載の低周波RF発生器のいくつかの利点には、高周波RF発生器によって生成される電圧と比較して、より高い量の電圧を生成することが挙げられる。低周波RF発生器および高周波RF発生器に供給される電力の量が同じである場合、低周波RF発生器は、より高い量の電圧を出力する。また、低周波RF発生器は、プラズマを生成するためにプラズマチャンバに供給されるRF信号を生成する。プラズマのイオンは、高周波RF発生器を使用して生成されたプラズマイオンと比較して、より大きな垂直方向性を有する。垂直方向のプラズマイオンは、基板のエッチング速度などの処理速度の増加を促進する。
【0011】
本明細書に記載のチャックの追加の利点には、チャックの誘電体層が多孔質プラグを排除することが挙げられる。多孔質プラグは経時的に劣化し、プラズマのアーク放電および冷却剤ガスの発火の可能性を増大させる可能性がある。誘電体層から多孔質プラグを除去することによって、アーク放電および冷却剤ガスの発火の可能性が低減される。
【0012】
本明細書に記載のシステムおよび方法のさらなる利点には、プラズマチャンバに送給される電力の量の増加が挙げられる。低周波RF発生器が高周波RF発生器の代わりに使用される場合、異なる数のビンが使用され、低周波RF発生器の動作サイクル中に周波数別の高周波RF発生器を制御する。異なる数のビンを使用することによって、送給される電力が増加する。
【0013】
他の態様は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって、最もよく理解することができる。
【0015】
【
図1A】
図1Aは、低周波無線周波数(RF)発生器を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0016】
【
図1B】
図1Bは、
図1Bは、メガヘルツ(MH)z RF発生器と共に使用される低周波無線周波数(RF)発生器を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0017】
【
図2A】
図2Aは、
図1AのRF発生器と共に使用されるチャックを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0018】
【
図2B】
図2Bは、チャックの誘電体層内における多孔質プラグの使用を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0019】
【
図3】
図3は、
図2Aのチャック内で使用される多孔質プラグの一実施形態の上面図である。
【0020】
【
図4A】
図4Aは、低周波RF発生器および別の低周波RF発生器の動作を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0021】
【
図4B】
図4Bは、
図4Aのシステムによって実行される方法の一実施形態を例示するフローチャートである。
【0022】
【
図5】
図5は、高周波RF発生器によって生成されるRF信号のサイクル中、より高周波のRF発生器によって生成されるRF信号の周波数を調整するための方法を例示するシステムの一実施形態の図である。
【0023】
【
図6】
図6は、電圧信号を例示するグラフの一実施形態を示す図である。
【0024】
【
図7】
図7は、
図1AのRF発生器についてのビニングを例示するシステムの一実施形態の図である。
【0025】
【
図8】
図8は、
図7のシステムのセンサによって生成される電圧信号を例示するグラフの一実施形態を示す図である。
【0026】
【
図9】
図9は、高周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性が、低周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性と比較して小さいことを例示する基板の一実施形態の図である。
【0027】
【
図10】
図10は、低周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性が、高周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性と比較して大きいことを例示する基板の一実施形態の図である。
【0028】
【
図11】
図11は、同じ量の電力が低周波RF発生器と高周波RF発生器の両方に印加される場合、低周波RF発生器によって生成される電圧が高周波RF発生器によって生成される電圧よりも高いことを例示するグラフの一実施形態を示す図である。
【0029】
【
図12A】
図12Aは、基板の表面全体のイオンエネルギー分布を例示するグラフの一実施形態を示す図である。
【0030】
【
図12B】
図12Bは、基板の表面全体の別のイオンエネルギー分布を例示するグラフの一実施形態を示す図である。
【0031】
【
図12C】
図12Cは、基板の表面全体のさらに別のイオンエネルギー分布を例示するグラフの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の実施形態は、低周波無線周波数(RF)発生器および関連する静電チャックを使用するためのシステムおよび方法を説明する。本実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実践することができることが明らかであろう。他の例では、本実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知の動作は詳細に説明されていない。
【0033】
図1Aは、低周波RF発生器102を例示するシステム100の一実施形態の図である。システム100は、RF発生器102と、インピーダンス整合回路(IMC)104と、容量結合(CCP)プラズマチャンバの一例であるプラズマチャンバ106とを含む。一例として、RF発生器102は、10キロヘルツ(kHz)~330kHzの範囲の動作周波数を有する低周波RF発生器である。例示すると、RF発生器102は、100kHzの動作周波数を有する。さらに例示すると、RF発生器102は、90kHz~110kHzの範囲の周波数で動作する。別のさらなる例示として、RF発生器102は、90kHz~110kHzの範囲の周波数で動作するように調整される。別の例示として、RF発生器102は、110kHzの動作周波数を有する。
【0034】
インピーダンス整合回路の例には、本明細書で使用される場合、インダクタ、抵抗器、コンデンサなどの回路構成要素のネットワークが挙げられる。例示すると、インピーダンス整合回路は、1つまたは複数の直列回路と、1つまたは複数の並列回路とを有する。各直列回路は、互いに直列に結合された1つまたは複数のインダクタおよび1つまたは複数のコンデンサを含む。同様に、各並列回路は、互いに直列に結合された1つまたは複数のインダクタおよび1つまたは複数のコンデンサを含み、1つまたは複数のインダクタおよび1つまたは複数のコンデンサのうちの1つは、接地電位に結合される。1つまたは複数の並列回路の各々は、1つまたは複数の直列回路の対応する1つに結合される。インピーダンス整合回路、整合器、およびインピーダンス整合ネットワークという用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0035】
プラズマチャンバ106は、チャックなどの基板支持体108と、上側電極110とを含む。一例として、上側電極110は、アルミニウム、またはアルミニウムもしくはケイ素の合金から製作される。上側電極110は、本明細書では上部電極と呼ばれることもある。プラズマチャンバ106の一例は、容量結合プラズマ(CCP)チャンバである。チャックは、静電チャックであってもよい。静電チャックは、直流(DC)電圧を受けると、静電チャックの静電電極と基板Sとの間に吸引力を生成する。半導体ウエハなどの基板Sは、基板支持体108の上面に載置される。基板支持体108は、上側電極110の下に位置し、基板支持体108と上側電極110との間にギャップを形成する。
【0036】
RF発生器102の出力114は、RFケーブル114を介してインピーダンス整合回路104の入力118に結合され、インピーダンス整合回路104の出力120は、RF伝送ライン112を介して基板支持体108の下側電極に結合される。一例として、システムの構成要素の出力は、本明細書で説明される場合、構成要素の出力ポートであり、構成要素の入力は、構成要素の入力ポートである。例示すると、出力114は、RF発生器102の出力ポートであり、入力118は、インピーダンス整合回路104の入力ポートである。上側電極110は、ゼロ電位または基準電位などの接地電位に結合される。
【0037】
RF伝送ラインの一例には、RFロッド、RFシリンダ、および静電チャックの組み合わせが挙げられる。絶縁体材料が、RFロッドとRFトンネルの壁との間に載置される。RFトンネルは絶縁体材料を囲み、絶縁体材料はRFロッドを囲む。また、RFシリンダは、RFストラップを介してRFロッドに結合される。RFプラズマシースが、プラズマがプラズマチャンバ106内で生成されると静電チャックを囲む。一実施形態では、静電チャックは、RF伝送ラインの一部ではない。
【0038】
RF発生器102は、RF信号122を生成し、出力114においてRF信号122を供給する。RF信号122は、RFケーブル116を介して入力118に転送される。インピーダンス整合回路104は、出力120に結合された負荷のインピーダンスを入力118に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、RF信号122のインピーダンスを修正して修正されたRF信号124を出力する。出力120に結合された負荷の一例には、RF伝送ライン112およびプラズマチャンバ106が挙げられる。入力118に結合されたソースの一例には、RFケーブル116およびRF発生器102が挙げられる。修正されたRF信号124は、出力120からRF伝送ライン112を介して基板支持体108の下側電極に転送される。RF信号122および修正されたRF信号124の各々の周波数は、RF発生器102の動作周波数と同じであることに留意されたい。
【0039】
酸素含有ガス、またはフッ素含有ガス、または水素含有ガス、またはそれらの組み合わせなどの1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ106内のギャップに供給され、修正されたRF信号124が基板支持体108の下側電極に供給されると、プラズマがプラズマチャンバ106内に発生するか維持される。プラズマは、基板Sを処理するために使用される。例えば、1つまたは複数の材料が基板Sの上面に堆積される。別の例として、基板Sがエッチングされる。さらに別の例として、基板Sが洗浄される。
【0040】
図1Bは、RF発生器102とRF発生器152の使用を例示するシステム150の一実施形態の図である。システム150は、RF発生器152と、IMC154とを含む。
【0041】
RF発生器152は、60MHzの動作周波数を有する。例えば、RF発生器152は、54MHz~63MHzで動作するように調整することができる。RF発生器152は、RFケーブル158を介してIMC154の入力160に結合される出力156を有する。IMC154は、RF伝送ライン164を介して上側電極110に結合される出力162を有する。
【0042】
RF発生器156は、RF信号166を生成し、RF信号166は、出力156およびRFケーブル158を介してIMC154の入力160に供給される。IMC154は、出力162に結合された負荷のインピーダンスを入力160に結合されたソースのインピーダンスと整合させる。出力162に結合された負荷の一例は、RF伝送ライン164とプラズマチャンバ106の組み合わせである。入力160に結合されたソースの一例は、RF発生器152とRFケーブル158の組み合わせである。インピーダンス整合は、RF信号166のインピーダンスを修正し、出力162において修正されたRF信号168を供給するために実施される。修正されたRF信号168は、出力162およびRF伝送ライン164を介して上側電極110に供給される。修正されたRF信号168および124に加えて、1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ106に供給されると、プラズマがプラズマチャンバ106内に発生するか維持される。プラズマは、プラズマチャンバ106内に載置された基板Sを処理する。
【0043】
図2Aは、
図1Aの低周波RF発生器102と共に使用されるチャック202を例示するシステム200の一実施形態の図である。システム200は、RF発生器102と、インピーダンス整合回路104と、基板支持体108(
図1A)の一例であるチャック202とを含む。システム200は、高電圧(HV)DC電力(PWR)供給部225をさらに含む。
【0044】
図2Bは、チャック250の誘電体層256内における多孔質プラグ266の使用を例示するシステム268の一実施形態の図である。一例として、多孔質プラグは、本明細書で使用される場合、誘電体材料または絶縁体から作製される。システム268は、高周波RF発生器254と、整合器252と、チャック250とを含む。高周波RF発生器254は、整合器252に結合され、整合器252は、RF伝送ライン270を介してチャック250のベースプレート262に結合される。高周波RF発生器254は、低周波RF発生器102(
図2A)の動作周波数よりも高い動作周波数を有する。例えば、高周波RF発生器254は、400kHzまたは2メガヘルツ(MHz)または27MHzまたは60MHzの動作周波数を有する。システム268は、HV DC電力供給部をさらに含む。一例として、400kHzのRF発生器の動作周波数は、330kHz~440kHzの範囲である。例示すると、400kHzのRF発生器の動作周波数は、330kHzである。
【0045】
チャック250は、複数の多孔質プラグPL1~PL8が埋め込まれたベースプレート262を有する。多孔質プラグPL1~PL8は、チャック250の上面
図250に示されている。多孔質プラグPL3のうちの1つは、多孔質プラグ215として示されている。
【0046】
図2Aに戻って参照すると、チャック202は、ベースプレート204と、誘電体層206とを含む。ベースプレート204は、アルミニウムまたはアルミニウムの合金などの導電性金属から製作される。誘電体層206は、セラミックなどの誘電体材料または絶縁体材料から製作される。ベースプレート204は、本明細書ではベース金属層または下側電極と呼ばれることもある。
【0047】
誘電体層206は、ベースプレート204の上部においてベースプレート204と接触して位置する。例えば、ベースプレート204の上面208は、誘電体層206の底面210に取り付けられる。誘電体層206は、以下でさらに説明するように、多孔質プラグを除外する。例えば、多孔質プラグ266(
図2B)などの多孔質プラグは、誘電体層206内には埋め込まれていない。多孔質プラグ266は、セラミック層などのより厚い誘電体層256(
図2B)内に埋め込まれる。多孔質プラグ266により、誘電体層206の厚さT1と比較して、誘電体層256の厚さT2が増加する。例示すると、誘電体層206は、0.7ミリメートル(mm)~0.9mmの範囲の厚さT1を有する。厚さT1は、誘電体層206の底面210から、基板Sが載置される上面212までの誘電体層206の高さである。厚さT1は、整合器252(
図2B)を介して高周波RF発生器254(
図2B)に結合されるチャック250(
図2B)の誘電体層256の厚さT2(
図2B)よりも小さい。一例として、厚さT2は、0.9mmよりも大きい。例示すると、厚さT2は、1mm~1.25mmの範囲である。
【0048】
加えて、厚さT1が薄いと電圧降下が減少し、チャック202に送給される電力の量が増加する。例えば、低周波RF発生器102は、高周波RF発生器254によって生成される電圧の量と比較して、高い量の電圧を生成する。さらにこの例では、チャック250がIMC104(
図1A)を介して低周波RF発生器102に結合されると、誘電体層256の高さ全体にわたって電圧降下が増加する。反対に、この例では、チャック202がIMC104を介して低周波RF発生器102に結合されると、電圧降下は誘電体層206の高さが低いために減少する。また、この例では、この低い高さは誘電体層206の高さよりも低い。さらに、この例では、高さが低いため、誘電体層206は誘電体層256と比較して薄くなる。電圧降下が低いため、チャック202を介して基板Sに送給される電力の量が増加する。
【0049】
多孔質プラグPL1~PL8は、誘電体層206の底面210から誘電体層206内に埋め込まれている場合、経時的に劣化するため、後述するプラズマのアーク放電および冷却剤ガスの発火の可能性を増大させる。チャック202と共に低周波RF発生器102を使用することによって、そのような多孔質プラグPL1~PL8は誘電体層206内に必要ではなくなる。したがって、誘電体層206内におけるアーク放電の可能性は、ゼロなどの最小限にまで低減される。
【0050】
誘電体層206は、厚さT1を有する側面222を有し、側面222は、底面210から上面212に延びる。一実施形態では、側面222は、形状が環状である。一例として、上面212は、側面222に垂直または実質的に垂直であり、側面222は、底面210に垂直または実質的に垂直である。例示すると、第1の表面は、第1の表面と第2の表面との間の角度が85°~95°の範囲である場合、第2の表面に実質的に垂直であるとみなされる。
【0051】
上面212は、底面210が位置する方向とは反対の方向に位置し、表面212および210は、側面222によって互いに分離される。各表面212および210は、形状が直線であり、水平面内に延び、側面222は、形状が環状である。
【0052】
ベースプレート204は、複数の多孔質プラグPP1、PP2、PP3、PP4、PP5、PP6、およびPP7を含む。多孔質プラグPP4の一例は、多孔質プラグ214である。一例として、各多孔質プラグPP1~PP7を形成するために、セラミックスラリーがプラグ領域に注入され、プラグ領域は、ベースプレート204内に形成されたチャネル218の空間である。セラミックスラリーは、ベースプレート226の上面208の上から注入することができる。セラミックスラリーは、開始剤、または触媒、または有機モノマー、またはそれらの組み合わせと共に注入される。セラミックスラリーは、セラミック粒子、水、および分散剤を含む。さらにセラミックスラリーは、発泡剤を使用して発泡体を発生させるように作製される。十分な発泡の後、有機モノマーはポリマーを形成する。次に、発泡体内のガスがポリマーを押し付け、得られる多孔質プラグPP1、またはPP2、またはPP3、またはPP4、またはPP5、またはPP6、またはPP7の複数の細孔を形成する。その後、発泡セラミックを焼結または「焼成」することで、多孔質プラグの細孔マトリックスが残される。細孔マトリックスは、多孔質プラグの本体全体にわたって一体的に分布している。
【0053】
例を続けると、チャネルは狭い領域221を有し、その後には広い領域223が続き、さらにその後には狭い領域231が続いている。例えば、狭い領域231は、広い領域223に隣接し、広い領域223の上部にある。広い領域223は、狭い領域221の上部にあり、狭い領域221に隣接する。各狭い領域221および231は、広い領域223の直径よりも小さい直径を有する。多孔質プラグPP1、またはPP2、またはPP3、またはPP4、またはPP5、またはPP6、またはPP7は、ヘリウムなどの冷却剤ガスが通って流れることを可能にするが、流れている間の冷却剤ガスの平均自由行程を制限する多数の開口部、「セル」、または細孔を有する。狭いチャネル231は、誘電体層206内に形成され、誘電体層206の底面210から上面212に延びる。例示すると、冷却剤ガスを移送するチャネル(チャネル218など)の狭い領域(狭い領域231など)が、埋め込み型HV電極294を囲んでいる。
【0054】
多孔質プラグPP1~PP7は、ベースプレート226の上面
図219に示されている。各多孔質プラグPP1~PP7は、ベースプレート204の上面208からベースプレート204内に埋め込まれる。例えば、穴を上面208に開けることで多孔質プラグ214が載置される容積を形成し、ベースプレート204内に多孔質プラグ214を埋め込む。ベースプレート204の多孔質プラグPP1~PP7は、誘電体層206の底面210と相接している(例えば、底面210と接触している、または底面210に隣接している、または底面210の隣にある)。例えば、誘電体層206の多孔質プラグPP1~PP7の上側面は、底面210と接触して隣接している。例示すると、多孔質プラグ214の上側面216は、誘電体層206の底面210と物理的に接触している。さらに例示すると、底面210の一部217は、多孔質プラグ214の上側面216と物理的に接触している。同様に、底面210の追加の部分は、ベースプレート204内に埋め込まれた他の多孔質プラグPP1、PP2、およびPP4~PP7の上側面と物理的に接触している。
【0055】
多孔質プラグPP1~PP7は、ベースプレート204の中心229と比較して、ベースプレート204の周縁または円周などの縁部227の近くに位置する。一例として、多孔質プラグPP1~PP7は、ベースプレート204の中心229に対して放射状に位置する。多孔質プラグPP1~PP7のうちの任意の2つの隣接するプラグは、ベースプレート226の上面208の一部によって分離される。例えば、多孔質プラグPP1~PP7は、上面208に沿って断続的に位置する。
【0056】
チャック202は、基板Sをクランプする埋め込み型HV電極294を含む。埋め込み型HV電極294は、本明細書では静電電極と呼ばれることもある。静電電極は、本明細書ではクランプ電極と呼ばれることもある。静電電極294は、DC HV電力供給部225に結合される。例えば、DC HV電力供給部225が電力を静電電極294に供給すると、静電電極294は、基板Sが処理されている間に基板Sをチャック202にクランプする吸引力を生成する。
【0057】
図2Aに示すように、ベースプレート204は、上側面224と、底側面226とを有する。一例として、上側面224は、底側面226の直径と比較して小さい直径を有する。また、一例として、上側面224および底側面226の各々は、形状が環状である。上側面224は、底側面226の上部に位置し、ベースプレート204の上面208に垂直または実質的に垂直である。ベースプレート204の中間面228は、上側面224を底側面226と接続する。一例として、中間面228は、上側面224と底側面226との間で水平方向に延びる。上面208は、底面220からの中間面228の高さと比較して、ベースプレート204の底面220からより大きい高さを有する。底側面226は、ベースプレート204の底面220に垂直または実質的に垂直である。
【0058】
チャック202は、ベースプレート204の底面220から誘電体層206の上面212に延びるチャネル218などの複数のチャネルを含む。例えば、チャネルは、ベースプレート204の底面220から上面208に延び、かつ誘電体層206の底面210から誘電体層206の上面212にさらに延びる。チャック202内のチャネルの一例には、貫通孔が挙げられる。一例として、チャック202内には20~40個のチャネルが存在する。
【0059】
ヘリウム(He)などの冷却剤ガスは、チャネルを介して基板Sの底面に供給され、チャック202と基板Sとの間の熱伝導率を変化させる。例えば、チャネルを介して供給される冷却剤ガスの量は、基板Sを冷却するか、または基板Sの冷却を低減するように制御される。別の例として、ヘリウムは、基板Sの底面全体に分布されると、基板Sの底面に印加される修正されたRF信号124の電力を均一に分布させる。ベースプレート204の多孔質プラグは、冷却剤ガスによって占められる開口容積の量を減少させ、冷却剤ガスがプラズマによって発火される可能性を低減し、かつプラズマのアーク放電の可能性を低減する。例えば、多孔質プラグ214が使用されない場合、各チャネルとベートプレート204の上面208との間により大きな量の空間が存在し、それによりアーク放電が発生し、冷却剤ガスの発火の可能性が増大する。
【0060】
誘電体層206は、静電電極294を含む。例えば、静電電極294は、誘電体層222内に埋め込まれる。静電電極294は、誘電体層206の底面210よりも誘電体層206の上面212の近くに位置する。一例として、静電電極294と上面212との間の誘電体層206の部分P1の厚さT11は、静電電極294と誘電体層206の底面210との間の誘電体層206の別の部分P2の厚さT12よりも小さい。厚さT11とT12の和は、誘電体層206の厚さT1に等しい。静電電極294は、アルミニウムまたはアルミニウムの合金などの導電性金属から製作される。
【0061】
RF伝送ライン112は、ベースプレート204に結合される。修正されたRF信号124は、RF伝送ライン112を介してベースプレート204に転送される。修正されたRF信号124は、部分P2を有する誘電体層206に達する。部分P2は、ベースプレート204と静電電極294との間の誘電体として作用する。また、誘電体層206の部分P1は、静電電極294と基板Sとの間の誘電体として作用する。
【0062】
部分P2によって修正されたRF信号124に提供される容量性リアクタンスX1は、1と2の積、π、f1、および部分P2の静電容量C1の比に等しく、f1は、RF発生器102の動作周波数であり、静電容量C1は、ベースプレート204の上面208と静電電極294との間の静電容量である。静電容量C1は、部分P2の誘電率εoと、上面208と静電電極294との間で重複する面積A1の比の積に等しい。
【0063】
容量性リアクタンスX1は、整合器252(
図2B)を介して高周波RF発生器254に結合されるチャック250の誘電体層256(
図2B)の一部の別の容量性リアクタンスX2よりも小さいことに留意されたい。容量性リアクタンスX2は、高周波RF発生器254とチャック250の誘電体層256との間の整合器252から出力される修正されたRF信号258に提供される。容量性リアクタンスX2は、1と2の積、π、f2、および誘電体層256の部分P3の静電容量C2の比に等しく、f2は、高周波RF発生器254の動作周波数であり、静電容量C2は、チャック250のベースプレート262(
図2B)の上面260とチャック250内に埋め込まれた静電電極264(
図2B)との間の静電容量である。静電容量C2は、部分P3の誘電率εoと、上面260と静電電極264(
図2B)との間で重複する面積A2の比の積に等しい。
【0064】
修正されたRF信号124に提供されるリアクタンスX1は、修正されたRF信号258に提供されるリアクタンスX2よりも小さいことに留意されたい。例えば、C1およびC2の値が同じである場合、リアクタンスX1は、周波数f1が周波数f2よりも小さい場合にリアクタンスX2よりも大きくなる。しかし、面積A1がA2に等しいか実質的に等しいことを考慮すると、ベースプレート204の上面208と静電電極294との間の厚さT12が、ベースプレート262(
図2B)の上面260と静電電極264(
図2B)との間の厚さT22よりも小さいため、C1はC2よりも実質的に大きい。面積A2が面積A2よりも予め設定された割合、例えば10%以下だけ大きいか小さい場合、面積A1およびA2は実質的に等しい。より大きな静電容量C1は、周波数f1の減少を補償する。より大きな静電容量が周波数f1の減少を補償するため、修正されたRF信号124の電力を基板Sの底面に均一に分配するために誘電体層206における多孔質プラグPL1~PL8は必要ない。C1がC2よりも実質的に大きい場合、リアクタンスX1は、リアクタンスX2よりも小さくなる。
【0065】
一実施形態では、ベースプレート204は、
図2Aに示される数以外の任意の他の数の多孔質プラグを含む。例えば、ベースプレート204は、20個または30個の多孔質プラグを含む。
【0066】
図3は、多孔質プラグ214の一実施形態の上面図である。多孔質プラグ214は、チャネル218の直径よりも大きい直径を有する。さらに、多孔質プラグ214は、チャネル218を囲む。一例として、多孔質プラグ214とチャネル218の両方は、環状の断面形状を有する。
【0067】
図4Aは、低周波RF発生器102および別の低周波RF発生器404の動作を例示するシステム400の一実施形態の図である。
図4Bは、
図4Aのシステム400を使用して実行される方法450の一実施形態を例示するフローチャートである。システム400は、ホストコンピュータ408、RF発生器102、RF発生器404、インピーダンス整合回路104、別のインピーダンス整合回路406、電圧センサ412、別の電圧センサ414、およびプラズマチャンバ106を含む。
【0068】
ホストコンピュータ408の例には、タブレット、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、およびスマートフォンが挙げられる。RF発生器404は、RF発生器102と同様の動作周波数を有する。例えば、RF発生器404は、10kHz~330kHzの範囲の動作周波数を有する。例示すると、RF発生器404は、100kHzの動作周波数を有する。別の例示として、RF発生器404は、110kHzの動作周波数を有する。さらに別の例示として、RF発生器102は、100kHzの動作周波数を有し、RF発生器404は、110kHzの動作周波数を有する。さらなる別の例示として、RF発生器404は、90kHz~110kHzの範囲の動作周波数を有する。
【0069】
プラズマチャンバ106は、基板支持体108の上部分を囲むエッジリング402を含む。例えば、エッジリング402は、ベースプレート204(
図2A)の中間面228の上に位置し、誘電体層206(
図2A)の周縁を囲む。エッジリング402は、本明細書ではエッジ電極と呼ばれることもある。基板Sのエッジ領域はエッジリング402の上に位置し、エッジリング402に供給される修正されたRF信号442のRF電力によって処理される。エッジリング402は、導電性材料、例えばケイ素、またはホウ素ドープ単結晶ケイ素、またはアルミナ、または炭化ケイ素、またはアルミナ層の上部における炭化ケイ素層、またはケイ素の合金、またはそれらの組み合わせから作製される。エッジリング402は、形状が環状である。
【0070】
ホストコンピュータ408は、プロセッサ416と、メモリデバイス418とを含む。プロセッサ416は、メモリデバイス418に結合される。一例として、プロセッサは、コントローラ、または特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプログラマブル論理デバイス(PLD)、または中央処理装置(CPU)、またはマイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサであり、これらの用語は、本明細書では互換的に使用される。メモリデバイスの例には、本明細書で使用される場合、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
プロセッサ416は、転送ケーブル420を介してRF発生器102に結合され、別の転送ケーブル422を介してRF発生器404に結合される。転送ケーブルの一例には、本明細書で使用される場合、シリアル方式でデータを転送するケーブル、またはパラレル方式でデータを転送するケーブル、またはユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコルを使用してデータを転送するケーブルが挙げられる。
【0072】
RF発生器404は、RFケーブル424を介してインピーダンス整合回路406の入力426に結合される出力422を有する。インピーダンス整合回路406の出力428は、RF伝送ライン410を介してエッジリング402に結合される。
【0073】
電圧センサ412は、出力428に結合され、電圧センサ414は、出力120に結合される。また、電圧センサ412は、転送ケーブル430を介してプロセッサ416に結合され、電圧センサ414は、別の転送ケーブル432を介してプロセッサ416に結合される。
【0074】
プロセッサ416は、転送ケーブルを介して制御信号434をRF発生器102に送信し、転送ケーブル422を介して別の制御信号436をRF発生器404に送信する。制御信号434は、RF信号122の1つまたは複数のパラメータレベルおよび1つまたは複数の周波数レベルなどのレシピ情報を有する。パラメータの一例は、本明細書で使用される場合、電力または電圧である。同様に、制御信号436は、RF発生器404によって生成されるRF信号440のレシピ情報を有する。
【0075】
RF信号の各パラメータレベルおよびRF信号の各周波数レベルは、RF信号の状態を定義する。例えば、RF信号のパラメータが同期信号438のクロックサイクル中に第1のパラメータレベルから第2のパラメータレベルに遷移すると、RF信号のパラメータは、その状態を第1の状態から第2の状態に変化させる。同期信号438の一例は、周期的に繰り返される複数のクロックサイクルを有するクロック信号である。同期信号438の別の例は、周期的に繰り返される一連のデジタルパルスを有するデジタルパルス信号である。RF信号のパラメータがクロックサイクル中に第2のパラメータレベルから第1のパラメータレベルに戻るように遷移すると、RF信号のパラメータは、その状態を第2の状態から第1の状態に変化させる。別の例として、RF信号の周波数が同期信号438のクロックサイクル中に第1の周波数レベルから第2の周波数レベルに遷移すると、RF信号の周波数は、その状態を第1の状態から第2の状態に変化させる。RF信号の周波数がクロックサイクル中に第2の周波数レベルから第1の周波数レベルに戻るように遷移すると、RF信号の周波数は、その状態を第2の状態から第1の状態に変化させる。
【0076】
一例として、RF信号のパラメータの各レベルは、RF信号のパラメータの1つまたは複数の値を含む。例示すると、パラメータの第1のレベルは、RF信号の1つまたは複数のピークツーピーク振幅または1つまたは複数のゼロツーピーク振幅などの1つまたは複数の値を含み、第1のレベルは、RF信号のパラメータの第2のレベルを除外する。第2のレベルは、RF信号のパラメータの1つまたは複数のピークツーピーク振幅または1つまたは複数のゼロツーピーク振幅などの1つまたは複数の値を含む。さらに例示すると、パラメータの第1のレベルがパラメータの第2のレベルよりも大きい場合、第1のレベルの値の最小値は、第2のレベルの値の最大値よりも大きい。別の例として、RF信号の周波数の各レベルは、RF信号の周波数の1つまたは複数の値を含む。例示すると、RF信号の周波数の第1のレベルは、RF信号の周波数の第2のレベルを除外する。さらに例示すると、周波数の第1のレベルが周波数の第2のレベルよりも大きい場合、第1のレベルの値の最小値は、第2のレベルの値の最大値よりも大きい。さらに別の例として、周波数レベルまたはパラメータレベルなどの変数レベルは、変数レベルの1つまたは複数の値の統計値を表すエンベロープである。例えば、変数レベルは、変数レベルの複数の値の平均値または中央値を含む。
【0077】
制御信号434を受信すると、RF発生器102は、RF発生器102の1つまたは複数のメモリデバイス内に制御信号434のレシピ情報を記憶する。同様に、制御信号436が受信されると、RF発生器404は、RF発生器404の1つまたは複数のメモリデバイス内に制御信号436のレシピ情報を記憶する。
【0078】
プロセッサ416は、同期信号438を生成し、転送ケーブル420を介して同期信号438をRF発生器102に送信する。また、プロセッサ416は、転送ケーブル422を介して同期信号438をRF発生器404に送信する。同期信号438の受信に応答して、RF発生器102は、制御信号434内のレシピ情報に従ってRF信号122を生成する。例えば、RF信号122のパラメータは、第1の状態についての第1の電力レベル、第2の状態についての第2の電力レベル、第1の状態についての第1の周波数レベル、および第2の状態についての第2の周波数レベルを有する。
【0079】
同様に、同期信号438の受信に応答して、RF発生器404は、制御信号436内のレシピ情報に従ってRF信号440を生成する。例えば、RF信号440のパラメータは、第1の状態についての第1の電力レベル、第2の状態についての第2の電力レベル、第1の状態についての第1の周波数レベル、および第2の状態についての第2の周波数レベルを有する。
【0080】
RF信号440は、RFケーブル424を介して入力426に転送される。インピーダンス整合回路428は、出力428に結合された負荷のインピーダンスを入力426に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、RF信号440のインピーダンスを修正して修正されたRF信号442を出力する。出力428に結合された負荷の一例には、RF伝送ライン410およびプラズマチャンバ106が挙げられる。入力426に結合されたソースの一例には、RFケーブル424およびRF発生器404が挙げられる。修正されたRF信号442は、出力428からRF伝送ライン410を介してエッジ電極402に転送される。RF信号440および修正されたRF信号442の各々の周波数は、RF発生器404の動作周波数と同じであることに留意されたい。
【0081】
1つまたは複数のプロセスガスがプラズマチャンバ106内のギャップに供給され、修正されたRF信号124が基板支持体108の下側電極に供給され、修正されたRF信号442がエッジ電極402に供給されると、プラズマがプラズマチャンバ106内に発生するか維持される。基板Sの中央領域は、プラズマの中央部分によって処理され、基板Sのエッジ領域は、プラズマのエッジ部分によって処理される。プラズマのエッジ部分は、プラズマの中央部分を囲む。基板Sの中央領域は、基板支持体108のベースプレート204(
図2A)と上側電極110との間に位置する。
【0082】
方法450の動作451において、修正されたRF信号124が供給されると、電圧センサ414は、RF信号122の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態の間、出力120において修正されたRF信号124の電圧を測定して測定信号444を生成し、転送ケーブル432を介して測定信号444をプロセッサ416に送信する。一例として、測定信号444は、修正されたRF信号124の電圧値を有する電圧信号であり、電圧値は、RF信号122のパラメータの状態の間に測定される。RF信号の変数の一例は、RF信号の周波数またはRF信号のパラメータである。また、方法450の動作451において、修正されたRF信号442が供給されると、電圧センサ412は、RF信号440の変数の各状態の間に出力428において修正されたRF信号442の電圧を測定して測定信号446を生成し、転送ケーブル430を介して測定信号446をプロセッサ416に送信する。一例として、測定信号446は、RF信号440のパラメータの状態の間に測定される電圧値を有する電圧信号である。
【0083】
プロセッサ416は、RF信号122の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態の間に測定信号444を受信し、測定信号444から出力120で測定された電圧を取得する。プロセッサ416は、RF信号122の変数の各状態の間に出力120で測定された電圧から修正されたRF信号124の周波数を決定する。例えば、プロセッサ416は、フーリエ変換を測定信号444に適用して測定信号444の周波数を取得し、RF信号122の変数の第1の状態または第2の状態についての修正されたRF信号124の周波数を決定する。例示として、測定信号444の周波数は、RF信号122の変数の各状態についての修正されたRF信号124の周波数と同じである。
【0084】
加えて、プロセッサ416は、RF信号122の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態について、測定信号444から修正されたRF信号124の位相を決定する。例えば、プロセッサ416は、修正されたRF信号124の位相が、RF信号122の変数の第1の状態または第2の状態についての測定信号444の位相と同じであると決定する。
【0085】
また、プロセッサ416は、RF信号122の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態について、測定信号444から修正されたRF信号124のパラメータの設定点を決定する。例えば、プロセッサ416は、測定信号444から、RF信号122のパラメータの第1の状態または第2の状態の間の修正されたRF信号124のパラメータのパラメータレベルを識別する。修正されたRF信号124のパラメータレベルは、RF信号122のパラメータの各状態についての修正されたRF信号124のパラメータの設定点の一例である。
【0086】
同様に、プロセッサ416は、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態の間に測定信号446を受信し、測定信号446から出力428で測定された電圧を取得する。プロセッサ416は、RF信号440の変数の各状態の間に出力428で測定された電圧から修正されたRF信号442の周波数を決定する。例えば、プロセッサ416は、フーリエ変換を測定信号446に適用して測定信号446の周波数を取得し、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態についての修正されたRF信号442の周波数を決定する。修正されたRF信号442の周波数は、RF信号440の変数の各状態についての測定信号446の周波数と同じである。
【0087】
また、プロセッサ416は、RF信号440の変数の各状態について、測定信号446から修正されたRF信号442の位相を決定する。例えば、プロセッサ416は、修正されたRF信号442の位相が、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態についての測定信号446の位相と同じであると決定する。
【0088】
さらに、プロセッサ416は、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態について、測定信号446から修正されたRF信号442のパラメータの設定点を決定する。例えば、プロセッサ416は、測定信号446から、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態の間の修正されたRF信号442のパラメータのパラメータレベルを識別する。修正されたRF信号442のパラメータレベルは、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態の間の修正されたRF信号442のパラメータの設定点の一例である。
【0089】
図4Bに示される方法450の動作452において、プロセッサ416は、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態についての修正されたRF信号442の決定された周波数が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の決定された周波数から所定の範囲内にあるかどうかを決定する。例えば、プロセッサ416は、修正されたRF信号442の周波数が修正されたRF信号124の周波数から±2パーセント以内であるか±5パーセント以内であるかどうかを決定する。別の例として、プロセッサ416は、修正されたRF信号442の周波数が修正されたRF信号124の周波数に整合するかどうかを決定する。修正されたRF信号442および124の周波数に関連付けられた所定の範囲は、メモリデバイス418に記憶される。
【0090】
RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの状態についての修正されたRF信号442の周波数が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の周波数から所定の範囲内にないと決定すると、プロセッサ416は、RF信号440の変数の状態についてRF信号440の周波数を修正するか、またはRF信号122の変数の状態についてRF信号122の周波数を修正するか、またはRF信号440および122の周波数を修正する。プロセッサ416は、RF信号440の変数の状態についての修正されたRF信号442の周波数が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の周波数から所定の範囲内にあると決定されるまで、RF信号440の変数の状態についてRF信号440の周波数を修正するか、またはRF信号122の変数の状態についてRF信号122の周波数を修正するか、またはRF信号440および122の周波数を修正し続ける。例えば、プロセッサ416は、RF発生器404に送信される制御信号436内のレシピ情報の周波数レベル内の1つまたは複数の値、またはRF発生器102に送信される制御信号434内のレシピ情報の周波数レベル内の1つまたは複数の値、またはそれらの組み合わせを修正する。
【0091】
一方、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの状態についての修正されたRF信号442の周波数が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の周波数から所定の範囲内にあると決定すると、
図4Bに示される方法450の動作454において、プロセッサ416は、RF信号440の変数の状態についての修正されたRF信号442の位相が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の位相から予め設定された範囲内にあるかどうかを決定する。例えば、プロセッサ416は、RF信号440の変数の第1の状態についての修正されたRF信号442の位相と、RF信号122の変数の第1の状態についての修正されたRF信号124の位相との間の位相差が±3パーセント以内であるか±5パーセント以内であるかどうかを決定する。別の例として、プロセッサ416は、RF信号440の変数の第1の状態についての修正されたRF信号442の位相が、RF信号122の変数の第1の状態についての修正されたRF信号124の位相に整合するかどうかを決定する。修正されたRF信号124および442の位相に関連付けられた予め設定された範囲は、メモリデバイス418に記憶される。
【0092】
RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの状態についての修正されたRF信号442の位相が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の位相から予め設定された範囲内にないという決定に応答して、プロセッサ416は、RF信号440の変数の状態の間にRF信号440の位相を修正するか、またはRF信号122の変数の状態の間にRF信号122の位相を修正するか、またはそれらの組み合わせを行う。例えば、プロセッサ416は、RF信号122および440の変数の第1の状態の間にクロック信号などの別の同期信号を生成し、転送ケーブル422を介して他の同期信号をRF発生器404に送信する。もう一方の同期信号は、同期信号438の代わりにRF発生器404に送信され、同期信号438がRF発生器104に送信された時点から予め定義された期間内に送信され、修正されたRF信号442の位相と修正されたRF信号124の位相との間の位相差を低減または除去する。例示すると、予め定義された期間は、位相差と同じである。予め定義された期間の一例は、同期信号438がRF発生器104に送信された時点から、マイクロ秒またはミリ秒などの所定の時間単位数である。
【0093】
この例では、RF発生器102が同期信号438と同期してRF信号122の変数のいくつかの状態を繰り返すRF信号122を生成し、RF発生器404が他の同期信号と同期してRF信号440の変数のいくつかの状態を繰り返すRF信号440を生成するとき、修正されたRF信号124および442は、同じ位相を有する。RF信号122は、同期信号438がRF発生器102によってプロセッサ416から受信されるのと同時にRF信号122が変数のいくつかの状態の繰り返しを開始するとき、同期信号438と同期してRF信号122の変数のいくつかの状態を繰り返すことに留意されたい。RF信号440は、他の同期信号がRF発生器404によってプロセッサ416から受信されるのと同時にRF信号440が変数のいくつかの状態の繰り返しを開始するとき、他の同期信号と同期してRF信号440の変数のいくつかの状態を繰り返すことにさらに留意されたい。別の例として、他の同期信号をRF発生器404に送信する代わりに、プロセッサ416は、RF信号122および440の変数の第1の状態の間にさらに別の同期信号を生成し、転送ケーブル420を介してさらに別の同期信号をRF発生器102に送信して位相差を除去または低減する。プロセッサ416は、修正されたRF信号442の位相がRF信号122の変数の状態の間に修正されたRF信号124の位相に整合するまで、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態の間にRF信号440の位相を修正し続ける。
【0094】
一方、RF信号440の変数の第1の状態または第2の状態などの各状態についての修正されたRF信号442の位相が、RF信号122の変数の状態についての修正されたRF信号124の位相から予め設定された範囲内にあるという決定に応答して、
図4Bに示される方法450の動作454において、プロセッサ416は、測定信号446のパラメータの設定点から、RF発生器404が予め設定された設定点で動作しているかどうかを決定する。例えば、プロセッサ416は、測定信号446内で取得されたパラメータの設定点が、RF発生器404に送信された制御信号436のレシピ情報内のパラメータレベルから予め定義された範囲内にあるかどうかを決定する。例示として、予め定義された範囲は、±5パーセントまたは±3パーセントである。別の例示として、予め定義された範囲は、測定信号446から取得されたパラメータの設定点が制御信号436のレシピ情報内のパラメータレベルに整合するときに達成される。
【0095】
RF発生器422が予め設定された設定点で動作していないと決定すると、プロセッサ416は、パラメータレベルを修正、例えば増減して修正された設定点を提供し、制御信号436のレシピ情報内の修正された設定点をRF発生器404に送信して予め設定された設定点を達成する。プロセッサ416は、RF信号122の変数の第2の状態およびRF信号440の変数の第2の状態などの他の状態について動作451~456を繰り返す。動作452~456を実行することによって、基板Sは、基板Sのエッジ領域および中央領域において均一に処理されることに留意されたい。
【0096】
一実施形態では、動作452~456は、
図4Bに示される順序で実施される。例えば、動作454は動作452の後に実施され、動作456は動作454の後に実施される。
【0097】
RF発生器102および404によって生成されたRF信号122および440が連続波(CW)RF信号である一実施形態では、動作451~456は、同期信号438の各サイクルについて繰り返される。例えば、同期信号438の第1のサイクル中、動作451~456が実施される。動作451~456は、同期信号438の第1のサイクル中に生成された測定信号444および446に基づいて、第1のサイクル中に実施される。別の例として、同期信号438の第2のサイクル中、動作451~456が実施される。動作451~456は、同期信号438の第2のサイクル中に生成された測定信号444および446に基づいて、第2のサイクル中に実施される。同期信号438の第2のサイクルは、同期信号438の第1のサイクルに連続する。
【0098】
CW RF信号は、複数の状態を有さない。例えば、CW RF信号は、単一の状態を有する。例示すると、CW RF信号は、互いに所定の範囲内にある1つまたは複数の変数値を有する単一の変数レベルを有する。別の例示として、RF信号440の第1の周波数レベルは、RF信号440の第2の周波数レベルと同じであり、RF信号440の第1の電力レベルは、RF信号440の第2の電力レベルと同じである。さらに別の例示として、RF信号122の第1の周波数レベルは、RF信号122の第2の周波数レベルと同じであり、RF信号122の第1の電力レベルは、RF信号122の第2の電力レベルと同じである。
【0099】
RF発生器102および404によって生成されたRF信号122および440がCW RF信号である一実施形態では、動作451は、同期信号438の第1のサイクル中に実施され、動作452~456は、同期信号438の第2のサイクル中に実施される。動作452~456は、同期信号438の第1のサイクル中に生成された測定信号444および446に基づいて、同期信号438の第2のサイクル中に実施される。また、同期信号の第3のサイクル中、実施される動作452~456は、同期信号438の第2のサイクル中に生成された測定信号444および446に基づく。
【0100】
一実施形態では、動作451~456がRF発生器102および404に対して繰り返される頻度は、動作451~456が本明細書で説明される高周波RF発生器に対して繰り返される頻度よりも低い。高周波RF発生器は、低周波RF発生器102および404の代わりに使用される。
【0101】
一実施形態では、インピーダンス整合回路406は、高周波RF発生器(図示せず)に結合されていない。高周波RF発生器(図示せず)は、RF発生器254(
図2B)と同様の動作周波数を有する。例えば、高周波RF発生器(図示せず)は、RF発生器102の動作周波数よりも高い動作周波数を有する。例示すると、高周波RF発生器(図示せず)は、400kHz、または2MHz、または27MHz、または60MHzの動作周波数を有する。
【0102】
一実施形態では、本明細書で説明されるRF信号は、同期信号のクロックサイクル中に3つまたは4つの状態などの任意の数の状態を有し、かつ同期信号の各サイクル中に繰り返されるいくつかの状態を有する。例えば、いくつかの状態は、同期信号の第1のサイクル中に発生し、同期信号の第2のサイクル中に繰り返される。同期信号の第2のサイクルは、同期信号の第1のサイクルに連続する。
【0103】
一実施形態では、チャック108とエッジリング402との間に誘電体リングが存在する。例えば、誘電体リングは、チャック108を囲み、エッジリング402は、誘電体リングを囲む。
【0104】
図5は、高周波RF発生器504によって生成されるRF信号508のサイクル中、RF発生器502によって生成されるRF信号506の周波数を調整するための方法を例示するシステム500の一実施形態の図である。システム500は、ホストコンピュータ408、RF発生器502および504、インピーダンス整合回路510、センサ512、ならびにプラズマチャンバ106を含む。
【0105】
RF発生器502の一例は、2MHz、または13.56MHz、または27MHz、または60MHzの動作周波数を有するRF発生器である。RF発生器504の一例は、400kHz、または2MHz、または13.56MHzの動作周波数を有するRF発生器である。
【0106】
RF発生器502の動作周波数は、RF発生器504の動作周波数よりも大きい。例えば、RF発生器504が400kHzの動作周波数を有する場合、RF発生器502は、2MHz、または27MHz、または60MHzの動作周波数を有する。
【0107】
プロセッサ416は、RF発生器502および504に結合される。さらに、各RF発生器502および504は、インピーダンス整合回路510に結合され、インピーダンス整合回路510は、基板支持体108の下側電極に結合される。インピーダンス整合回路510の出力は、電圧センサであるセンサ512に結合される。さらに、RF発生器502の出力は、電力センサ514に結合される。センサ512および電力センサ514は、プロセッサ416に結合される。
【0108】
RF発生器502は、RF信号506を生成するためにプロセッサ416からレシピ情報を受信する。RF信号506を生成するためのレシピ情報は、RF信号506を生成するための変数レベルを有し、RF発生器502内に記憶される。同様に、RF発生器504は、RF信号508を生成するためにプロセッサ416からレシピ情報を受信する。RF信号508を生成するためのレシピ情報は、RF信号508を生成するための変数レベルを有し、RF発生器504内に記憶される。
【0109】
加えて、各RF発生器502および504は、クロック信号などの同期信号を受信する。同期信号の受信に応答して、RF発生器502は、RF信号506を生成するための変数レベルを有するRF信号506を生成する。同様に、同期信号の受信に応答して、RF発生器504は、RF信号508を生成するための変数レベルを有するRF信号508を生成する。
【0110】
インピーダンス整合回路510は、RF信号506および508を受信し、RF信号506および508のインピーダンスを修正して2つの修正されたRF信号を供給し、2つの修正されたRF信号を結合してインピーダンス整合回路510の出力518において修正されたRF信号515を出力する。修正されたRF信号515は、インピーダンス整合回路510の出力518から基板支持体108の下側電極に供給される。
【0111】
1つまたは複数のプロセスガスおよび修正されたRF信号515が基板支持体108の下側電極に供給されると、プラズマがプラズマチャンバ106内に発生するか維持される。また、修正されたRF信号515が基板支持体108の下側電極に供給されると、センサ512は、インピーダンス整合回路510の出力518における電圧を測定し、電圧信号などの測定信号516を生成する。測定信号516は、センサ512からプロセッサ416に送信される。また、電力センサ514は、RF発生器502の出力520において電力を測定して測定信号522を生成し、測定信号522をプロセッサ416に送信する。
【0112】
プロセッサ416は、測定信号516を受信し、測定信号516の各サイクルを所定の数のm個のビンに分割し、mは、正の整数である。例えば、プロセッサ416は、測定信号516の各サイクルを15個のビンまたは20個のビンに分割する。例示すると、測定信号516の各サイクルは、ビン1、ビン2などに分割されてビンmまで続き、mは、正の整数である。
【0113】
さらに、測定信号522から、プロセッサ416は、各ビン1~mについての送給電力の値を取得する。例えば、プロセッサ416は、ビン1について、送給電力の値がDP1であると決定する。同様に、プロセッサ416は、ビン2についてDP2として送給電力の値を決定し、ビンmについてDPmとして送給電力の値を決定する。
【0114】
プロセッサ416は、各ビンについてRF発生器502の動作周波数を調整し、ビンに対する送給電力を増加させる。例えば、プロセッサ416は、ビン1についてRF発生器502の動作周波数を値HF1から値AHF1に調整する。さらに、プロセッサ416は、ビン2についてRF発生器502の動作周波数を値HF2から値AHF2に調整し、ビンmについてRF発生器502の動作周波数を値HFmから値AHFmに調整する。
【0115】
図6は、電圧信号602を例示するグラフ600の一実施形態である。電圧信号602は、測定信号516(
図5)の一例に続く。グラフ600は、電圧信号602の電圧値対時間tをプロットする。電圧値がy軸にプロットされ、時間tがx軸にプロットされる。時間tは、複数の時間間隔または期間に分割される。例えば、時間tは等しい時間間隔に分割され、これは時間t0から時間t1までの第1の時間間隔、時間t1から時間t2までの第2の時間間隔、時間t2から時間t3までの第3の時間間隔などを含み、時間t8から時間t9までの第9の時間間隔まで続く。また、等しい時間間隔は、時間t9から時間t10までの第10の時間間隔、時間t10と時間t11との間の第11の時間間隔などを含み、時間t19と時間t20との間の第20の時間間隔まで続く。電圧信号602の各時間間隔または期間は、等しい。例えば、第 1 の時間間隔は第 2 の時間間隔に等しく、第 2 の時間間隔は第 11 の時間間隔に等しい。
【0116】
電圧信号602は、サイクル1およびサイクル2などの複数のサイクルを有し、これは時間tにわたって繰り返される。各サイクルは、所定の数のビンmに分割される。例えば、電圧信号602のサイクル1は、20個のビンに分割され、電圧信号602のサイクル2は、20個のビンに分割される。例示すると、電圧信号602のビン1は、時間t0から時間t1までの期間の間に発生し、電圧信号602のビン2は、時間t1から時間t2までの期間の間に発生し、以下同様である。また、電圧信号602のビン10は、時間t9から時間t10までの期間の間に発生し、電圧信号602のビン11は、時間t10から時間t11までの期間の間に発生する。電圧信号602のビン20は、時間t19から時間t20までの期間の間に発生する。同様に、電圧信号602のサイクル2は、20個のビンに分割され、20個のビンの各々は、等しい時間間隔である。
【0117】
図7は、低周波RF発生器102についてのビニングを例示するシステム700の一実施形態の図である。システム700は、RF発生器102、RF発生器701、インピーダンス整合回路702、プラズマチャンバ106、センサ512および514、ならびにホストコンピュータ408を含む。RF発生器701は、RF発生器102の動作周波数よりも高い動作周波数を有する。例えば、RF発生器701は、400kHz、または2MHz、または13.56MHz、または27MHz、または60MHzの動作周波数を有する。
【0118】
RF発生器102の出力114は、RFケーブル116を介してインピーダンス整合回路702の入力704に結合される。また、RF発生器701の出力706は、RFケーブル708を介してインピーダンス整合回路702の別の入力710に結合される。インピーダンス整合回路の出力712は、RF伝送ライン112を介して基板支持体108の下側電極に結合される。センサ512は、インピーダンス整合回路702の出力712に結合され、電力センサ514は、RF発生器701の出力706に結合される。プロセッサ416は、転送ケーブル422を介してRF発生器701に結合される。また、プロセッサ416は、RFケーブル714を介してセンサ512に結合される。プロセッサ416は、転送ケーブル716を介して電力センサ514に結合される。
【0119】
プロセッサ416は、転送ケーブル420を介して制御信号434をRF発生器102に送信する。加えて、プロセッサ416は、転送ケーブル422を介して制御信号718をRF発生器701に送信する。制御信号718は、RF発生器701によって生成されるRF信号720の変数の複数の状態についての変数レベルなどのレシピ情報を含む。例えば、制御信号718は、RF信号720のパラメータの第1の状態についてのパラメータレベルおよび周波数レベルと、RF信号720のパラメータの第2の状態についてのパラメータレベルおよび周波数レベルとを含む。制御信号718を受信すると、RF発生器701は、RF発生器701の1つまたは複数のメモリデバイスに制御信号718内で受信したレシピ情報を記憶する。
【0120】
プロセッサ416は、同期信号438をRF発生器102および701に同時に送信する。同期信号438の受信に応答して、RF信号122は、
図4Aを参照して上述したのと同じ方式でRF発生器102によって生成される。また、同期信号438の受信に応答して、RF発生器701は、制御信号718のレシピ情報内で受信された変数レベルを有するRF信号720を生成する。
【0121】
RF信号122は、RFケーブル116を介して入力704に転送され、RF信号720は、RFケーブル708を介してインピーダンス整合回路702の入力710に転送される。入力704は、インピーダンス整合回路702の第1の分岐回路を介して出力712に結合され、入力710は、インピーダンス整合回路702の第2の分岐回路を介して出力712に結合される。
【0122】
RF信号122が第1の分岐回路を介して入力704から転送されると、インピーダンス整合回路702は、インピーダンス整合回路702の出力712に結合された負荷のインピーダンスをインピーダンス整合回路702の入力704に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、RF信号120のインピーダンスを修正して第1の修正されたRF信号を供給する。出力712に結合された負荷の一例には、RF伝送ライン112およびプラズマチャンバ106が挙げられる。入力704に結合されたソースの一例には、RFケーブル116およびRF発生器102が挙げられる。
【0123】
また、RF信号720が第2の分岐回路を介して入力710から転送されると、インピーダンス整合回路702は、出力712に結合された負荷のインピーダンスをインピーダンス整合回路702の入力710に結合されたソースのインピーダンスと整合させ、RF信号720のインピーダンスを修正して第2の修正されたRF信号を供給する。入力710に結合されたソースの一例には、RFケーブル702およびRF発生器701が挙げられる。第1の修正されたRF信号は、出力712において第2の修正されたRF信号と結合され、出力712において修正されたRF信号722を出力する。修正されたRF信号722は、RF伝送ライン112を介してプラズマチャンバ106の下側電極に転送される。1つまたは複数のプロセスガスおよび修正されたRF信号722がプラズマチャンバ106に供給されると、プラズマがプラズマチャンバ106内に生成または発生し、プラズマチャンバ106内で基板Sを処理する。
【0124】
修正されたRF信号722が供給されると、センサ512は、出力712における電圧を測定して測定信号724を出力し、転送ケーブル714を介して測定信号724をプロセッサ416に供給する。測定信号724の一例は、電圧信号である。また、電力センサ514は、出力706における送給電力などの電力を測定して測定信号726を生成し、転送ケーブル716を介して測定信号をプロセッサ416に供給する。出力706における送給電力は、出力706においてRF発生器701によって供給される電力と、出力706においてRF発生器701に向かって反射される電力との間の差である。RF発生器701によって供給される電力は、RF発生器701によって供給されるRF信号720の電力の量である。RF発生器701Aに向かって反射された電力は、プラズマチャンバ106から、RF伝送ライン112、出力712、インピーダンス整合回路702の第2分岐回路、入力710、およびRFケーブル708を介して、RF発生器701の入力706に反射される。
【0125】
測定信号724が受信されると、プロセッサ416は、測定信号724の各サイクルを複数のビン、例えばビン1a、2a、~naに分割し、nは、正の整数である。例えば、RF発生器102が、RF発生器504およびRF発生器502(
図5)などの高周波RF発生器の代わりに、またはそれと置き換えてシステム700内で使用される場合、プロセッサ416は、低い動作周波数を有するRF発生器102がシステム700内に結合されるという指示をユーザから受信する。高周波発生器がシステム700で使用される場合、高周波RF発生器は、RFケーブル116を介して入力704に結合される。指示は、プロセッサ416に結合されたマウス、またはキーボード、またはスタイラス、またはキーパッドなどの入力デバイスを介して受信される。指示は、RF発生器102の動作周波数を含む。プロセッサ416は、指示を受信し、RF発生器102の動作周波数が現在入力704から切り離されている高周波RF発生器の動作周波数よりも低いと決定する。
【0126】
システム700に結合されたRF発生器102の動作周波数が、システム700のインピーダンス整合回路702の入力704に以前に結合された高周波RF発生器の動作周波数よりも低いと決定した後、測定信号724を受信すると、プロセッサ416は、測定信号724の各サイクルを
図5の測定信号516の各サイクルについての所定の数のビンとは異なる数のビンに分割する。例示すると、プロセッサ416は、測定信号724の各サイクルを、測定信号516の各サイクルを分割する所定の数のビンよりも多い数のビン、例えば50個のビンまたは60個のビンに分割する。これは、低周波RF発生器102が高周波RF発生器504(
図5)または502(
図5)の代わりに使用される場合、プラズマチャンバ106内のプラズマのインピーダンスがそれほど速く変化しないためである。別の例示として、プロセッサ416は、測定信号724の各サイクルを、測定信号516の各サイクルのビンの数よりも少ない数のビン、例えば5つのビンが10個のビンに分割する。
【0127】
ビンは、複数のビンに分割された測定信号が生成される時間間隔を表すことに留意されたい。時間間隔は、測定信号のサイクル中に発生する期間である。例えば、ビン1aは、測定信号724がセンサ512によって生成される第1の時間間隔を表し、ビン2aは、測定信号724がセンサ512によって生成される第2の時間間隔を表す。ビン2aについての第2の時間間隔は、ビン1aについての第1の時間間隔に連続する。第1および第2の時間間隔は、測定信号の各サイクル中に発生する。
【0128】
プロセッサ416は、測定信号726から、測定信号726の各ビンについての送給電力を決定する。例えば、プロセッサ416は、測定信号726のビン1aの第1の時間間隔の間、出力706における送給電力の量がDP1aであると決定する。例示すると、プロセッサ416は、測定信号726のサイクル内のビン1aの第1の時間間隔の間に生成された測定信号726の電力の値の平均値または中央値などの統計値を生成する。統計値は、量DP1aである。同様に、プロセッサ416は、測定信号726のビン2aの第2の時間間隔の間、出力706における送給電力の量がDP2aであり、測定信号726のビンnaのn番目の時間間隔の間、出力における送給電力の量がDPnaであると決定する。この例示では、測定信号726の各サイクルは、n個のビンまたはn個の時間間隔に分割される。
【0129】
プロセッサ416は、ビン1aについて、RF信号720の周波数を値HF1aから値AHF1aに調整することによって、ビン1aに対する送給電力が値DP1aからIDP1aなどの増加値に増加すると決定する。例えば、ビン1aについての時間間隔の間、プロセッサ416は、RF発生器701に送信される制御信号718のレシピ情報内の周波数レベルの統計値などの値をHF1aからAHF1aに変更する。ビン1aについての調整された周波数値AHF1aを有する制御信号718がRF発生器701によって受信された後、同期信号438の次のサイクル中、RF発生器701は、ビン1aについての調整された周波数値AHF1aを有するRF信号720を生成する。また、RF信号720が調整された周波数値AHF1aを有するビン1aについての期間の間、電力センサ514は、IDP1aなどの送給電力の増加値を測定し、転送ケーブル716を介して増加値をプロセッサ416に送信する。プロセッサ416は、ビン1aについて、周波数値をHF1aからAHF1aに調整することによって、電力センサ514によって測定された送給電力が値DP1aからIDP1aに増加すると決定する。そのように決定すると、プロセッサ416は、ビン1aについてのRF信号720の周波数値をHF1aではなくAHF1aに維持する。RF信号の周波数は、RF信号の周波数を増減させることによって調整されることに留意されたい。一方、ビン1aについて、周波数をHF1aからAHF1aに調整することによって、電力センサ514によって測定された送給電力が値DP1aからDDP1aに減少すると決定すると、プロセッサ416は、ビン1aについてHF1aにRF信号720の周波数値を維持する。
【0130】
同様の方式で、プロセッサ416は、測定信号724の残りのビン2a~naの各々について、それぞれの周波数値HF2a~HFnaをそれぞれの周波数値AHF2a~AHFnaに調整することにより、それぞれの送給電力値DP2a~DPnaが増加するか減少するかを決定する。例えば、プロセッサ416は、ビンnaについて、RF信号720の周波数値HFnaをAHFnaに調整することにより、送給電力値がDPnaから増加送給電力値IDPnaに増加するか、または送給電力値がDPnaから減少送給電力値DDPnaに減少するかを決定する。ビンnaについてのRF信号720の周波数値をHFnaからAHFnaに調整することにより送給電力DPnaが増加すると決定すると、プロセッサ416は、ビンnaについての周波数レベルの統計値などの調整された周波数値AHFnaを有するRF信号720を生成するようにRF発生器701を制御する。一方、ビンnaについてのRF信号720の周波数値をHFnaからAHFnaに調整することにより送給電力DPnaが減少すると決定すると、プロセッサ416は、周波数値HFnaを有するRF信号720を生成し続けるようにRF発生器701を制御する。
【0131】
一実施形態では、測定信号724のビンの時間間隔は、RF信号720の変数の各状態と一致する。例えば、ビン1aの時間間隔の間、RF信号720の変数は、第1の状態を有し、ビン2aの時間間隔の間、RF信号720の変数は、第2の状態を有し、以下同様である。例示すると、ビンnaについての時間間隔の間、RF信号720の変数は、n番目の状態を有する。RF信号720の変数は、ビンの時間間隔の終わりにある状態から別の状態に遷移する。例えば、RF信号720の変数は、ビン1aについての時間間隔の終わりに第1の状態から第2の状態に遷移し、ビン2aについての時間間隔の終わりに第2の状態から第3の状態に遷移し、測定信号724のビン(n-1)aについての時間間隔の終わりに(n-1)番目の状態からn番目の状態に遷移する。
【0132】
図8は、
図7のセンサ512によって生成される電圧信号802を例示するグラフ800の一実施形態である。グラフ800は、インピーダンス整合回路702(
図7)の出力712におけるセンサ512によって測定された電圧対時間tをプロットする。センサ512によって測定された電圧はy軸にプロットされ、時間tはx軸にプロットされる。電圧信号802は、センサ512によって出力される。電圧信号802は、サイクル1、サイクル2などの複数のサイクルを有する。電圧信号802の各サイクルは、時間tにわたって繰り返される。
【0133】
プロセッサ416(
図7)は、転送ケーブル714(
図7)を介してセンサ512から電圧信号802を受信し、電圧信号802の各サイクルを所定の数のビンに分割する。例えば、プロセッサ416は、電圧信号802のサイクル1をビン1aからビン60aまでの60個のビンに分割する。ビン1aは、時間t0から時間t1まで続く。同様に、ビン2aは、時間t1から時間t2まで続く。ビン30aは、時間t29から時間t30まで続き、ビン60aは、時間t59から時間t60まで続く。
【0134】
グラフ800のx軸上の各時間セグメントは、等しい。例えば、時間t0とt1との間の時間セグメントは、時間t1とt2との間の時間セグメントに等しい。したがって、ビン1aは、ビン2aが続く時間間隔に等しい時間間隔にわたって続く。
【0135】
低周波RF発生器102(
図7)についてプロセッサ416によって生成される所定の数のビンは、RF発生器504(
図5)またはRF発生器502(
図5)などの高周波RF発生器についてプロセッサ416によって生成される予め設定された数のビンと比較して異なることに留意されたい。例えば、RF発生器504またはRF発生器502がRF発生器102の代わりにRFケーブル116を介してインピーダンス整合回路702(
図7)の入力704に結合される場合、プロセッサ416は、センサ512から受信した電圧信号の各サイクルを予め設定された数のビンに分割する。RF発生器102が入力704に結合されると、所定の数のビンが使用される。
【0136】
一実施形態では、プロセッサ416は、電圧信号802の各サイクルを
図8に示されるものとは異なる数のビンに分割する。例えば、プロセッサ416は、電圧信号802を60個超の数のビン、または60個未満の数のビンに分割する。
【0137】
図9は、高周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性が、低周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性と比較して小さいことを例示する基板900の一実施形態の図である。基板900は、基板層902と、1つまたは複数の基板スタック層904と、マスク層906とを含む。基板層902の一例は、ケイ素層である。1つまたは複数の基板スタック層904の一例には、基板層902の上部に重ねられた窒化アルミニウム(AlN)の層、AlN層の上部に重ねられたバッファ層、およびバッファ層の上部に重ねられた窒化ガリウム(GaN)が挙げられる。バッファ層は、誘電体層であってもよい。1つまたは複数の基板スタック層904の別の例には、基板層902の上部に重ねられたパッド、パッドの上部に重ねられたバリアおよびシード層、バリアおよびシード層の上部に重ねられたフォトレジスト層が挙げられる。フォトレジスト層は、マスク層906を適用することによってパターニングされ、フィーチャを形成してフィーチャ内に銅層を重ねる。フィーチャのうちの1つが、フィーチャ908として示されている。
【0138】
RF発生器504またはRF発生器502がRF発生器102の代わりにRFケーブル116を介してインピーダンス整合回路702(
図7)の入力704に結合される場合、プラズマチャンバ106内に形成されるプラズマイオンの垂直方向性910は小さくなる。したがって、フィーチャをエッチングするエッチング速度が減少する。また、垂直方向性910を有するプラズマイオンは、1つまたは複数の基板層904の側壁をエッチングする。
【0139】
図10は、低周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性910が、高周波RF発生器を使用することによって生成されるプラズマのイオンの垂直方向性1004と比較して大きいことを例示する基板1000の一実施形態の図である。基板1000は、基板1000において1つまたは複数の層904がプラズマイオンによってエッチングされないか、またはエッチングが少ないことを除いて、基板900(
図9)と同じタイプの層902、904、および906を有する。例えば、フィーチャ1002などのフィーチャが、1つまたは複数の基板スタック層904に形成される。フィーチャは、フィーチャが基板900内でエッチングされる速度よりも速い速度でエッチングされる。これは、プラズマイオンの垂直方向性1004によるものである。
【0140】
低周波RF発生器102が高周波RF発生器504または502の代わりにRFケーブル116を介してインピーダンス整合回路702(
図7)の入力704に結合される場合、プラズマチャンバ106内に形成されるプラズマイオンの垂直方向性910は、垂直方向性1004まで増加する。したがって、フィーチャをエッチングするエッチング速度が増加する。また、垂直方向性1004を有するプラズマイオンは、1つまたは複数の基板層904の側壁をエッチングしない。
【0141】
垂直方向性1004の増加により、基板900の1つまたは複数の基板層904の側壁のエッチングの量と比較して、基板1000の1つまたは複数の基板層904の側壁のエッチングは少ないか、またはエッチングされない。また、基板900のフィーチャをエッチングする場合と比較して、基板1000のフィーチャをエッチングする場合のエッチング速度は増加する。
【0142】
また、基板900の1つまたは複数の基板層904の限界寸法(CD)の制御量と比較して、基板1000の1つまたは複数の基板層904のCDの制御量が増加する。例えば、フィーチャ1002の幅は、基板1000の1つまたは複数の基板層904内により狭くかつより均一なフィーチャを形成するために、フィーチャ908の幅よりも小さい。フィーチャ1002は、フィーチャ908よりも狭い。
【0143】
垂直方向性910と比較して垂直方向に集束する垂直方向性1004がより大きいため、基板1000の1つまたは複数の基板層904の選択性は、基板900の1つまたは複数の基板層904の選択性と比較して増加する。例えば、基板900の1つまたは複数の基板層904と基板900のマスク層906のエッチング速度の比と比較して、基板1000の1つまたは複数の基板層904と基板1000のマスク層906のエッチング速度の比は増加する。
【0144】
図9および
図10はエッチング速度に関して説明されているが、いくつかの実施形態では、低周波RF発生器102が高周波RF発生器に置き換わると、基板Sの堆積速度、スパッタリング速度、または洗浄速度などの処理速度が増加することに留意されたい。
【0145】
図11は、同じ量の電力が低周波RF発生器と高周波RF発生器の両方に印加される場合、低周波RF発生器によって生成される電圧が高周波RF発生器によって生成される電圧よりも高いことを例示するグラフ1100の一実施形態である。グラフ1100は、電圧信号1102および別の電圧信号1104対電力をプロットする。電圧信号1102は、インピーダンス整合回路104(
図1A)の出力120(
図1A)で測定された電圧を有する。電圧信号1104は、整合器252(
図2B)の出力で測定された電圧を有する。電圧信号1102は、RF発生器102がRFケーブル116(
図1A)を介してインピーダンス整合回路104(
図1A)の入力118に結合されるときに生成され、電圧信号1104は、高周波RF発生器、例えばRF発生器504(
図5)、またはRF発生器502(
図5)、またはRF発生器254(
図2B)、またはRF発生器701(
図7)が整合器252に結合されるときに生成される。
図11に示される400kHzは、高周波RF発生器の一例であることに留意されたい。
【0146】
同じ量の電力P2が低周波RF発生器102と高周波RF発生器102の両方に供給されるとき、電圧V2が整合器252の出力で生成され、電圧V2は、出力120で生成される電圧V1よりも大きいことにさらに留意されたい。一例として、電圧V2は、電圧V1の2倍~3倍である。別の例として、電圧V2は、電圧V1の2倍である。さらに別の例として、電圧V2は、電圧V1の3倍である。電圧V1は、電圧信号1104上の点であり、電圧V2は、電圧信号1102上の点である。また、出力120において同じ量の電圧V1を生成する場合、低周波RF発生器102に供給される電力の量P1は、高周波RF発生器に供給される電力の量P2よりも少ないことに留意されたい。
【0147】
したがって、エッチング速度、または堆積速度、またはスパッタリング速度などの同じプロセス結果を達成するために、高周波RF発生器に供給される電力の量と比較して、より低い量の電力がRF発生器102に供給される。より低い量の電力を供給することによって、高周波RF発生器と比較して等しい量の電圧がRF発生器102によって生成されることで同じプロセス結果が達成される。
【0148】
図12Aは、基板S(
図1A)の上面全体のイオンエネルギーおよび角度分布を例示するグラフ1200の一実施形態である。グラフ1200は、y軸に電子ボルト(eV)単位でイオンエネルギーをプロットし、x軸に基板Sの上面にわたって水平に広がる角度シータ(θ)をプロットする。イオンエネルギーは、400kHzのRF発生器が整合器252(
図2B)を介して基板支持体108(
図1A)に結合されるときにプラズマチャンバ106(
図1A)内で生成されたプラズマのものである。
【0149】
図12Bは、基板S(
図1A)の上面全体の別のイオンエネルギーおよび角度分布を例示するグラフ1202の一実施形態である。グラフ1202は、y軸にイオンエネルギーをプロットし、x軸に基板Sの上面にわたって水平に広がる角度θをプロットする。グラフ1202に示されるイオンエネルギーは、RF発生器102がIMC104を介して基板支持体108(
図1A)に結合されるときにプラズマチャンバ106(
図1A)内で生成されたプラズマのものである。
【0150】
基板Sの上面全体におけるイオン角度分布は、グラフ1200に示されるものと比較してグラフ1202では狭い。例えば、グラフ1202に示されるイオン角度分布は、基板Sの上面において-10度~10度の範囲である。比較すると、グラフ1200に示されるイオン角度分布は、基板Sの上面において-10度超の角度~10度超の角度の範囲である。低周波RF発生器102はイオン角度分布を狭くし、これによりエッチング速度または堆積速度などの基板Sの処理速度が増加する。RF発生器102は、グラフ1202を生成するために100kHzの周波数で動作することに留意されたい。
【0151】
図12Cは、基板S(
図1A)の上面におけるさらに別のイオンエネルギーおよび角度分布を例示するグラフ1204の一実施形態である。グラフ1204は、y軸にイオンエネルギーをプロットし、x軸に基板Sの上面にわたって水平に広がる角度θをプロットする。グラフ1204に示されるイオンエネルギーは、RF発生器102がIMC104を介して基板支持体108(
図1A)に結合されるときにプラズマチャンバ106(
図1A)内で生成されたプラズマのものである。示すように、基板Sの上面全体におけるイオン角度分布は、グラフ1200に示されるものと比較してグラフ1204では狭い。例えば、グラフ1204におけるイオンエネルギーの大部分は、基板Sの上面で-4度~4度の範囲内に集中している。RF発生器102は、グラフ1204を生成するために50kHzの周波数で動作することに留意されたい。
【0152】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家庭用電化製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む様々なコンピュータシステム構成で実践することができる。実施形態は、ネットワークを介してリンクされたリモート処理ハードウェアユニットによってタスクが実施される分散コンピューティング環境でも実践することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上述の例の一部であり得るシステムの一部である。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理機器を含む。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と一体化される。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされる。そのようなプロセスとしては、プロセスガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、システムに結合または連動するツールおよび他の移送ツールに対するウエハの搬入と搬出、および/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0154】
広義には、様々な実施形態において、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASICとして定義されたチップ、PLD、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに実施するためのパラメータ、係数、変数などを定義する。プログラム命令は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0155】
コントローラは、いくつかの実施形態では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であり、またはそのようなコンピュータに結合され、またはそれらの組み合わせである。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあり、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部である。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始する。
【0156】
いくつかの実施形態では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供する。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含む。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含み、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、データの形式で命令を受信し、データは、1つまたは複数の動作中に実施される処理ステップの各々のパラメータ、係数、および/または変数を指定する。パラメータ、係数、および/または変数は、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラがインターフェースまたは制御するように構成されるツールのタイプに固有であることを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことによって分散される。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられる。
【0157】
様々な実施形態において、方法が適用される例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用される任意の他の半導体処理システムを含むが、これらに限定されない。
【0158】
いくつかの実施形態では、上述の動作は、いくつかのタイプのプラズマチャンバ、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタを含むプラズマチャンバ、トランス結合プラズマチャンバ、導体ツール、誘電体ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを含むプラズマチャンバなどに適用されることにさらに留意されたい。例えば、1つまたは複数のRF発生器が、ICPリアクタ内のインダクタに結合される。インダクタの形状の例には、ソレノイド、ドーム型コイル、フラット型コイルなどが挙げられる。
【0159】
上記のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、ホストコンピュータは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信する。
【0160】
上記の実施形態を念頭に置いて、実施形態のいくつかは、コンピュータシステムに記憶されたデータを伴う様々なコンピュータ実装動作を用いることを理解されたい。これらの動作は、物理量を物理的に操作する動作である。実施形態の一部を形成する本明細書に記載の動作のいずれも、有用な機械動作である。
【0161】
実施形態のいくつかはまた、これらの動作を実施するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ用に特別に構築されている。専用コンピュータとして定義されるとき、コンピュータは、その専用の目的のために動作可能でありつつ、専用の目的の一部ではない他の処理、プログラム実行、またはルーチンを実施する。
【0162】
いくつかの実施形態では、動作は、コンピュータメモリ、キャッシュに記憶されるかコンピュータネットワークを介して取得される1つまたは複数のコンピュータプログラムによって、選択的にアクティブ化または構成されるコンピュータによって処理され得る。コンピュータネットワークを介してデータが取得される場合、そのデータは、コンピュータネットワーク上の他のコンピュータ(例えば、計算資源のクラウド)によって処理されてもよい。
【0163】
1つまたは複数の実施形態は、非一時的コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとして製作することもできる。非一時的コンピュータ可読媒体は、データを記憶する任意のデータストレージハードウェアユニット(例えば、メモリデバイスなど)であり、データはその後コンピュータシステムによって読み取られる。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、CDレコーダブル(CD-R)、CDリライタブル(CD-RW)、磁気テープ、ならびに他の光学および非光学データストレージハードウェアユニットを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散方式で記憶および実行されるように、ネットワーク結合コンピュータシステム上に分散されたコンピュータ可読有形媒体を含む。
【0164】
上記の方法動作は特定の順序で説明されたが、様々な実施形態において、各動作の間に他のハウスキーピング動作が実施されるか、または各方法動作がわずかに異なる時間に発生するように調整されるか、または各方法動作を様々な間隔で発生可能にするシステムに分散されるか、または上述の順序とは異なる順序で実施されることを理解されたい。
【0165】
一実施形態では、本開示で説明される様々な実施形態で説明される範囲から逸脱することなく、上述の任意の実施形態の1つまたは複数の特徴が同じく上述の任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わされることにさらに留意されたい。
【0166】
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されているが、一定の変更および修正を添付の特許請求の範囲の範囲内で実践できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではない。
【国際調査報告】