(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】ホスホロジチオエートオリゴヌクレオチドの新規合成
(51)【国際特許分類】
C07H 19/06 20060101AFI20231213BHJP
C07H 19/16 20060101ALI20231213BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20231213BHJP
【FI】
C07H19/06
C07H19/16
C12N15/10 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534604
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2021084316
(87)【国際公開番号】W WO2022122613
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ボールマーク マーティン
(72)【発明者】
【氏名】セーゲルメブル トレホン ウォルター フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】スラドイェビッチ フィリッポ
(72)【発明者】
【氏名】テデバーク ウルフ
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD03
4C057LL10
4C057LL40
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、定義される式(I)の化合物の使用を提供する。式(I)の化合物を使用する様々な合成方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、式(I):
(式中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物の使用。
【請求項2】
リボースnの前記2’位の前記修飾が、ロックド核酸(LNA)修飾、拘束エチル(cET)修飾、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾、2’-O-メチル及び2’-フルオロ修飾からなる群より選択され、好ましくはLNA修飾である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
少なくとも1つのホスホロジチオエート及び少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
少なくとも1つのホスホロジチオエート、少なくとも1つのホスホロチオエート、及び/又は少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための方法であって、
a)式(I):
(式(I)中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物を、
式(II):
(式(II)中、B(n-1)は、天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボース(n-1)は、その環の2’位において修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい)
の化合物と、カップリング剤の存在下で、カップリングさせて、式(III):
の化合物を得る工程
を含む、方法。
【請求項6】
b)リン原子に結合した水素において、前記式(III)の化合物のチオアルキル化を実施して、式(IVa):
(式中、R
1はシアノアルキルであり、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程、又は
c)前記式(III)の化合物とキサンタンヒドリドとの反応を実施して、式(IVb):
(式中、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
d)前記式(IVa)又は(IVb)の化合物を切断及び脱保護して、式(V):
(式中、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記式(IVa)の化合物を脱保護して、式(VIa):
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、前記式(VIa)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程、又は
前記式(IVb)の化合物を脱保護して、式(VIb):
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、前記式(VIb)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程、又は
前記式(III)の化合物を脱保護して、式:
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、前記式(VIc)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
e)前記式(III)の化合物の全体的な硫化を実施し、続いて、切断及び脱保護の工程を実施して式(V):
の化合物を得る工程
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記カップリング剤が、ピリジンと組み合わせたジアルキルクロロホスフェート、好ましくはジエチルクロロホスフェートである、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(式中、PG’はアミノ保護基であり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択される、ホスホノチオエートモノエステル。
【請求項12】
(式中、PG’はアミノ保護基であり、M
+は一価カチオンであり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択される、ホスホノチオエートモノエステル塩。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
治療剤としての合成オリゴヌクレオチドの使用によって、最近の数十年にわたって、RNase Hを活性化するギャップマー、スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、microRNA阻害剤、siRNA又はアプタマーを含む多様なメカニズムによって作用する分子の開発をもたらす顕著な進歩が確認されている(S.T.Crooke,Antisense drug technology:principles,strategies,and applications,2nd ed.ed.,Boca Raton,FL:CRC Press,2008(非特許文献1))。しかしながら、オリゴヌクレオチドは、生体系における核酸分解に対して本質的に不安定である。さらに、それらは非常に好ましくない薬物動態学的挙動を示す。
【0002】
これらの欠点を改善するために、近年、多種多様な化学修飾が研究されている。ほぼ間違いなく、最も成功した修飾の1つは、非架橋のリン酸酸素原子の1つが硫黄原子に置き換えられた、ホスホロチオエート結合の導入である(F.Eckstein,Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009,10,117-121.(非特許文献2))。このようなホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドは、タンパク質結合の増加、及び核酸分解に対する明らかに高い安定性、したがってそれらの非修飾ホスホジエステル類似体よりも血漿、組織及び細胞における十分に高い半減期を示す。これらの重要な特徴は、第1世代のオリゴヌクレオチド治療薬の開発を可能にすると共に、ロック核酸(LNA)などの後の世代の修飾による更なる改善の扉を開いた。
【0003】
しかしながら、ホスホジエステル結合をホスホロチオエートで置き換えると、リン原子にキラル中心がつくられる。結果として、全ての承認されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチド治療薬は、全て異なる(そしておそらく反対の)物理化学的及び薬理学的特性を潜在的に有する大量のジアステレオ異性体化合物の混合物として使用される。
【0004】
H-ホスホノチオエート(H-phosphonithioates)を使用したホスホロジチオエートのいくつかのオリゴマー合成が報告されており、例えば、Kamaike et al.Tetrahedron 2006,62,11814(非特許文献3);Kamaike et al.Tetrahedron Lett.2004,45,5803(非特許文献4);Kamaike et al.Nucleic Acids Symp Ser.2003,3,93(非特許文献5);Seeberger et al.Tetrahedron 1999,55,5759(非特許文献6);Zain et al.Nucleosides,Nucleotides and Nucleic Acids,1997,16,1661(非特許文献7)、及びGreef et al.Tetrahedron Lett.1996,37,4451(非特許文献8)がある。
【0005】
驚くべきことに、本発明者らは、(ホスホロチオエート結合にP-H部分を含む)H-ホスホチオネートを使用して、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの改善された調製を達成できることを見出した。調製物は、固体支持体上での合成に特によく適しており、標準的なオリゴヌクレオチド合成(例えば、シアノエチル保護アミダイトから)と容易に組み合わせることができる。さらに、不純物、特にホスホロチオエート不純物の形成を低減することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S.T.Crooke,Antisense drug technology:principles,strategies,and applications,2nd ed.ed.,Boca Raton,FL:CRC Press,2008
【非特許文献2】F.Eckstein,Antisense and Nucleic Acid Drug Development 2009,10,117-121.
【非特許文献3】Kamaike et al.Tetrahedron 2006,62,11814
【非特許文献4】Kamaike et al.Tetrahedron Lett.2004,45,5803
【非特許文献5】Kamaike et al.Nucleic Acids Symp Ser.2003,3,93
【非特許文献6】Seeberger et al.Tetrahedron 1999,55,5759
【非特許文献7】Zain et al.Nucleosides,Nucleotides and Nucleic Acids,1997,16,1661
【非特許文献8】Greef et al.Tetrahedron Lett.1996,37,4451
【発明の概要】
【0007】
発明の説明
本発明は、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、式(I):
(式中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物の使用に関する。
【0008】
本発明はまた、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための方法であって、当該方法が、
a)式(I):
(式(I)中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物を、
式(II):
(式(II)中、B(n-1)は、天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボース(n-1)は、その環の2’位において修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい)
の化合物と、カップリング剤の存在下で、カップリングさせて、式(III):
の化合物を得る工程
を含む、方法に関する。
【0009】
本発明はまた、
(式中、PG’はアミノ保護基であり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択されるホスホノチオエートモノエステルに関する。
【0010】
本発明は更に、
(式中、PG’はアミノ保護基であり、M
+は一価カチオンであり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択されるホスホノチオエートモノエステル塩に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、H-ホスホノチオエートがカップリング配列においてどのように使用され得るかを示す。
【
図2】
図2は、各カップリング後の硫化(チオアルキル化)を伴う式(I)の化合物を使用したオリゴマー合成を示す。
【
図3】
図3は、最終硫化を伴う式(I)の化合物を使用したオリゴマー合成を示す。
【
図4】
図4は、固体支持体上のH-ホスホノチオエートのカップリングの特定の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書において、「アルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、1~8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、より具体的には1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。直鎖及び分岐鎖C1-C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体ヘプチル、及び異性体オクチル、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びペンチルである。アルキルの特定の例は、メチル、エチル、及びプロピルである。
【0013】
「シクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、3~8個の炭素原子を有するシクロアルキル環、特に3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル、より詳細にはシクロプロピル及びシクロブチルである。「シクロアルキル」の具体的な例は、シクロプロピルである。
【0014】
「アルコキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、式アルキル-O-の基を意味し、ここで、「アルキル」という用語、前に付与した意味、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec.ブトキシ及びtert.ブトキシを意味する。具体的な「アルコキシ」は、メトキシ及びエトキシである。メトキシエトキシは、「アルコキシアルコキシ」の具体的な例である。
【0015】
「オキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-O-基を意味する。
【0016】
「アルケニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、オレフィン結合と、8個まで、好ましくは6個まで、特に好ましくは4個までの炭素原子とを含む直鎖又は分岐炭化水素残基を意味する。アルケニル基の例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル及びイソブテニルである。
【0017】
「アルキニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、三重結合と、8個まで、特に2個の炭素原子とを含む直鎖又は分岐炭化水素残基を意味する。
【0018】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、単独で又は組み合わせて、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味し、特に、フッ素、塩素、又は臭素、より具体的にはフッ素を意味する。「ハロ」という用語は、別の基と組み合わせて、少なくとも1つのハロゲン、特に、1~5個のハロゲン、特に、1~4個のハロゲン、すなわち、1個、2個、3個又は4個のハロゲンで置換された、当該基の置換を意味する。
【0019】
「ハロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、特に1~5個のハロゲンで置換された、特に1~3個のハロゲンで置換されたアルキル基を表す。ハロアルキルの例としては、モノフルオロ-、ジフルオロ-又はトリフルオロ-メチル、-エチル又は-プロピル、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、フルオロメチル又はトリフルオロメチルが挙げられる。フルオロメチル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルは、具体的な「ハロアルキル」である。
【0020】
「ハロシクロアルキル」という用語は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、特に1~5個のハロゲンで置換された、特に1~3個のハロゲンで置換された、上に規定したシクロアルキル基を表す。「ハロシクロアルキル」の具体的な例は、ハロシクロプロピル、特にフルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル及びトリフルオロシクロプロピルである。
【0021】
「ヒドロキシル」及び「ヒドロキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-OH基を意味する。
【0022】
「チオヒドロキシル」及び「チオヒドロキシ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-SH基を意味する。
【0023】
「カルボニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-C(O)-基を意味する。
【0024】
「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-COOH基を意味する。
【0025】
「アミノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、第一級アミノ基(-NH2)、第二級アミノ基(-NH-)、又は第三級アミノ基(-N-)を意味する。
【0026】
「アルキルアミノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、1つ又は2つの上に規定したアルキル基で置換された、上に規定したアミノ基を意味する。
【0027】
「スルホニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-SO2基を意味する。
【0028】
「スルフィニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-SO-基を意味する。
【0029】
「スルファニル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-S-基を意味する。
【0030】
「シアノ」という用語は、単独で又は組み合わせて、-CN基を意味する。
【0031】
「アジド」という用語は、単独で又は組み合わせて、-N3基を意味する。
【0032】
「ニトロ」という用語は、単独で又は組み合わせて、NO2基を意味する。
【0033】
「ホルミル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-C(O)H基を意味する。
【0034】
「カルバモイル」という用語は、単独で又は組み合わせて、-C(O)NH2基を意味する。
【0035】
「カバミド」という用語は、単独で又は組み合わせて、-NH-C(O)-NH2基を意味する。
【0036】
「アリール」という用語は、単独で又は組み合わせて、任意選択的に、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、及びホルミルから独立して選択される1から3個の置換基で置換された、6から10個の炭素環原子を含む、一価芳香族炭素環式単環又は二環式環系を示す。アリールの例としては、フェニル及びナフチル、特にフェニルが挙げられる。
【0037】
「ヘテロアリール」という用語は、単独で又は組み合わせて、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル及びホルミルから独立して選択される1~3個の置換基で場合により置換された炭素である、5~12個の環原子の一価芳香族複素環式単環又は二環式環系を示す。ヘテロアリールの例としては、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、カルバゾリル又はアクリジニルが挙げられる。
【0038】
「ヘテロシクリル」という用語は、単独で又は組み合わせて、N、O、及びSから選択される1、2、3又は4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、及びホルミルから独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい、炭素である4から12個、特に4から9個の環原子の一価飽和又は部分不飽和単環又は二環式環系を意味する。単環式飽和ヘテロシクリルの例は、アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリン-4-イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、又は3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分的に不飽和のヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ-オキサゾリル、テトラヒドロ-ピリジニル又はジヒドロピラニルである。
【0039】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又は別様に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、特に塩酸、並びに、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等の有機酸と共に形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に加えることにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のオリゴヌクレオチドは、双性イオンの形態で存在することもあり得る。特に、本発明の特に好ましい薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、及びトリアルキルアンモニウムの塩である。
【0040】
「保護基」という用語は、単独で又は組み合わせて、化学反応が別の保護されていない反応性部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物の反応性部位を選択的に遮断する基を意味する。保護基は、除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基、又はヒドロキシ保護基である。
【0041】
「リン酸保護基」は、リン酸基の保護基である。リン酸保護基の例は、2-シアノエチル及びメチルである。リン酸保護基の特定の例は、2-シアノエチルである。
【0042】
「ヒドロキシル保護基」は、ヒドロキシル基の保護基であり、チオール基を保護するためにも使用される。ヒドロキシル保護基の例は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル(又はビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(DMT)、トリメトキシトリチル(又はトリス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(TMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチル又はトリフェニルメチル(Tr)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)及びトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、メチルエーテル、及びエトキシエチルエーテル(EE)である。ヒドロキシル保護基の特定の例は、DMT及びTMT、特にDMTである。
【0043】
「チオヒドロキシル保護基」は、チオヒドロキシル基の保護基である。チオヒドロキシル保護基の例は、「ヒドロキシル保護基」のものである。
【0044】
本発明の出発物質又は化合物のうちの1つが、1つ以上の反応ステップの反応条件下で安定でないか、又は反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、”Protective Groups in Organic Chemistry”by T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd Ed.,1999,Wiley,New Yorkに記載されているもの)を、当該技術分野でよく知られている方法を適用する重要なステップの前に導入することができる。このような保護基は、文献に記載されている標準的な方法を用いて、合成の後の段階において除去することができる。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)、及びp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0045】
複素環式塩基に使用され得る標準的なアミノ保護基としては、ベンゾイル、アセチル、ジメチルホルムアミジル、イソブチリル、フェノキシアセチル及びイソプロピルフェノキシアセチルが挙げられる。
【0046】
本明細書に記載される化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0047】
オリゴヌクレオチド
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者によって一般的に理解されるように規定される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子又はオリゴマーとも称され得る。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合には、共有結合したヌクレオチド又はヌクレオシドの核酸塩基部分の配列又は順序、若しくはその修飾が言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のものであり、化学的に合成され、典型的には精製又は単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含み得る。
【0048】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして規定される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNA又はshRNAではない。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長にわたって内部又は相互の自己相補性の程度が50%未満である限り、ヘアピン又は分子間二本鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2分子間の二本鎖)を形成することができることが理解される。
【0049】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的な、例えば完全に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で「連続核酸塩基配列」という用語及び「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と互換的に用いられる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドは、連続するヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、連続するヌクレオチド配列、例えばF-G-F’ギャップマー領域を含み、任意に、更なるヌクレオチド(複数可)、例えば、官能基を連続するヌクレオチド配列に結合するのに使用され得るヌクレオチドリンカー領域、例えば領域D又はD’を含んでもよい。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に対して相補的であっても相補的でなくてもよい。本明細書で言及されるアンチセンスオリゴヌクレオチドミクスマー(mixmer)は、連続したヌクレオチド配列を含んでいてもよく、又は連続したヌクレオチド配列からなっていてもよい。
【0050】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構成要素であり、本発明の目的のためには、天然に存在するヌクレオチド及び非天然のヌクレオチドの両方を含む。本来、DNAヌクレオチド及びRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、互換的に「単位」又は「モノマー」と呼ばれることがある。
【0051】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される場合、「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分又は(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって、同等のDNA又はRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい実施形態では、修飾ヌクレオシドは、修飾された糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語はまた、「ヌクレオシド類似体」又は修飾「ユニット」又は修飾「モノマー」という用語と互換的に使用されてもよい。非修飾DNA又はRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNA又はRNAヌクレオシドと称される。DNA又はRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、それらがワトソン・クリック塩基対合可能な場合には、依然として一般的にDNA又はRNAと称される。
【0052】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを共に共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に一般的に理解されるように規定される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間結合を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増大させる。天然に存在するオリゴヌクレオチドの場合、ヌクレオシド間結合は、隣接するヌクレオシド間でホスホジエステル結合を形成するリン酸基を含む。修飾ヌクレオシド間結合は、in vivo使用のためのオリゴヌクレオチドの安定化に特に有用であり、本発明のオリゴヌクレオチドのDNA又はRNAヌクレオシドの領域、例えばギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内、並びに領域F及びF’等の修飾ヌクレオシドの領域におけるヌクレアーゼ切断から保護する役割を果たし得る。
【0053】
或る実施形態では、オリゴヌクレオチドは、天然のホスホジエステル由来の修飾された1つ以上のヌクレオシド間結合、例えばヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性となるような1種以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートすることにより、又はヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を用いることにより決定され得、これらは両方とも当技術分野で周知である。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増強することができるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と称される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続するヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合が修飾され、オリゴヌクレオチド又はその連続するヌクレオチド配列の例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80、又は例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合が、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全部は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基、例えばコンジュゲートに結合するヌクレオシドは、ホスホジエステルであり得ることが認識されるであろう。
【0054】
本発明の化合物は、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの調製に使用される。ホスホロジチオエート結合は、両方の非架橋酸素原子が硫黄原子で置換されている、ヌクレオシド間リン酸結合である。
【0055】
ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態、及び製造の容易さに起因して、特に有用である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロジチオエートであり、例えばオリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列の例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合がホスホロジチオエートである。いくつかの実施形態では、ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合以外に、オリゴヌクレオチド、又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てがホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホロジチオエート結合(複数可)に加えて、ホスホロジチオエートヌクレオシド間結合と、2、3、又は4ホスホジエステル結合などの少なくとも1つのホスホジエステル結合との両方を含む。ギャップマー型オリゴヌクレオチドでは、ホスホジエステル結合は、存在する場合、ギャップ領域G内の連続するDNAヌクレオシド間には当然配置されない。
【0056】
ホスホロジチオエート結合などのヌクレアーゼ耐性結合は、標的核酸と二重鎖を形成するときにヌクレアーゼを動員することができるオリゴヌクレオチド領域、例えばギャップマーの領域Gにおいて特に有用である。しかしながら、ホスホロジチオエート結合は、非ヌクレアーゼ動員領域及び/又は親和性増強領域、例えばギャップマーの領域F及びF’においても有用であり得る。ギャップマーオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、領域F又はF’、若しくは領域F及びFの両方に1つ以上のホスホジエステル結合を含んでもよく、領域Gのヌクレオシド間結合は、完全にホスホロジチオエートであり得る。
【0057】
有利には、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列の全てのヌクレオシド間結合、又はオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロジチオエート結合である。あるいは、本発明に従って調製されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロジチオエート及び少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。更なる代替として、本発明に従って調製されるオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロジチオエート、少なくとも1つのホスホロチオエート、及び/又は少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含む。
【0058】
欧州特許第2 742 135号に開示されているように、オリゴヌクレオチドは他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル、ホスホロチオエート、又はホスホロジチオエート以外)を含み得ることが認識されている。
【0059】
立体的に規定されたヌクレオシド間結合
立体的に規定されたヌクレオシド間結合は、その2つのジアステレオ異性形態であるRp又はSpの一方に対してジアステレオ異性体過剰率を有するキラルなヌクレオシド間結合である。
【0060】
当技術分野で使用される立体選択的オリゴヌクレオチド合成法は、典型的には、各キラルなヌクレオシド間結合において少なくとも約90%又は少なくとも約95%のジアステレオ選択性を提供することが認識されるものとし、したがってオリゴヌクレオチド分子の最大約10%、例えば約5%が別のジアステレオ異性形態を有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、立体的に規定されたキラルな各ヌクレオシド間結合のジアステレオ異性体比は、少なくとも約90:10である。いくつかの実施形態では、キラルな各ヌクレオシド間結合のジアステレオ異性体比は、少なくとも約95:5である。
【0062】
立体的に規定されたホスホロチオエート結合は、立体的に規定されたヌクレオシド間結合の具体的な例である。
【0063】
立体的に規定されたホスホロチオエート結合
立体的に規定されたホスホロチオエート結合は、その2つのジアステレオ異性形態であるRp又はSpの一方に対してジアステレオマー過剰率を有するホスホロチオエート結合である。
【0064】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のRp配置及びSp配置を以下に示す:
式中、3’R基は、隣接するヌクレオシド(5’ヌクレオシド)の3’位を表し、5’R基は、隣接するヌクレオシド(3’ヌクレオシド)の5’位を表す。
【0065】
本明細書では、Rpヌクレオシド間結合はsrPとして表され得、Spヌクレオシド間結合はssPとして表され得る。
【0066】
特定の実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約90:10又は少なくとも95:5である。
【0067】
いくつかの実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約97:3である。いくつかの実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約98:2である。いくつかの実施形態では、立体的に規定された各ホスホロチオエート結合のジアステレオマー比は、少なくとも約99:1である。
【0068】
いくつかの実施形態では、立体的に規定されたヌクレオシド間結合は、オリゴヌクレオチド分子の集団中に存在するオリゴヌクレオチド分子の少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、又は(本質的に)全てが同じジアステレオマー形態(Rp又はSp)である。
【0069】
ジアステレオマーの純度は、アキラルな骨格(すなわち、ホスホジエステル)のみを有するモデル系で測定することができる。各モノマーのジアステレオマーの純度は、例えば、立体的に規定するヌクレオシド間結合を有するモノマーを以下のモデル系「5’t-po-t-po-t-po3’」にカップリングさせることによって測定することができる。この結果は次のようになる:5’DMTr-t-srp-t-po-t-po-t-po3’又は5’DMTr-t-ssp-t-po-t-po-t-po3’(これらはHPLCを使用して分離することができる)。ジアステレオマー純度は、2つの可能性のあるジアステレオ異性体からのUVシグナルを積分し、これらの比、例えば98:2、99:1又は>99:1を与えることによって決定される。
【0070】
具体的な単一のジアステレオ異性体(単一の立体的に規定されたオリゴヌクレオチド分子)のジアステレオマーの純度は、各ヌクレオシド間位置での規定された立体中心に対するカップリング選択性、及び導入されるべき立体的に規定されたヌクレオシド間結合の数の関数であることが理解されるであろう。例として、各位置でのカップリング選択性が97%である場合、15個の立体的に規定されたヌクレオシド間結合を有する立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの結果として生じる純度は、0.9715となり、すなわち、他のジアステレオ異性体の37%に対して、所望のジアステレオ異性体は63%である。規定されたジアステレオ異性体の純度は、合成後、例えば、イオン交換クロマトグラフィー又は逆相クロマトグラフィーなどのHPLCによる精製によって改善され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの集団であって、該集団の少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%が所望のジアステレオ異性体である、集団を指す。
【0072】
別様に記載すると、いくつかの実施形態では、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの集団であって、該集団の少なくとも約40%、例えば少なくとも約50%が所望の(特定の)立体的に規定されたヌクレオシド間結合モチーフ(立体的に規定されたモチーフとも称される)からなる、集団を指す。
【0073】
立体的にランダムな及び立体的に規定されたヌクレオシド間キラル中心の両方を含む立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの場合、立体的に規定されたオリゴヌクレオチドの純度は、所望の立体的に規定されたヌクレオシド間結合モチーフ(複数可)を保有するオリゴヌクレオチドの集団での%に関して決定され、立体的にランダムな結合は計算上無視される。
【0074】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを表す。「キメラ」オリゴヌクレオチドという用語は、修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドを表すために文献で使用されている用語である。
【0075】
立体的に規定されたオリゴヌクレオチド
立体的に規定されたオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つが立体的に規定されたヌクレオシド間結合である、オリゴヌクレオチドである。
【0076】
立体的に規定されたホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合の少なくとも1つが立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、オリゴヌクレオチドである。
【0077】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのWatson-Crick塩基対形成の能力を表す。Watson-Crick塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでいてもよく、例えば5-メチルシトシンは、しばしばシトシンの代わりに用いられ、したがって、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン・クリック塩基対合を包含することが理解されよう(例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照)。
【0078】
本明細書で使用される場合、「相補性%」という用語は、所与の位置において、別個の核酸分子(例えば、標的核酸)の所与の位置における連続するヌクレオチド配列に相補的な(すなわち、Watson Crick塩基対を形成する)、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続するヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの割合を指す。百分率は、(標的配列5’-3’とオリゴヌクレオチド配列3’-5’を整列させたとき)2つの配列間で対を形成する整列した塩基の数を計数し、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で除し、100を乗じることにより計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。好ましくは、挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の相補性%の計算において許容されない。
【0079】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0080】
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズ」又は「ハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)が対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成することにより二重鎖を形成することと理解されるべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として規定される、融解温度(Tm)によって説明されることが多い。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(Mergny and Lacroix,2003,Oligonucleotides 13:515-537)。標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表しており、ΔG°=-RTln(Kd)(式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)によって反応の解離定数(Kd)と関連付けられている。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水溶液濃度が1M、pHが7、温度が37℃である反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合のΔG°は、ゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al.,1965,Chem.Comm.36-38 and Holdgate et al.,2005,Drug Discov Todayに記載される等温滴定熱量測定(ITC)により、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°は、SantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465に記載される最近接モデルを使用して、Sugimoto et al.,1995,Biochemistry 34:11211-11216及びMcTigue et al.,2004,Biochemistry 43:5388-5405に記載される適切に得られる熱力学的パラメータを使用し、数値的に推定することができる。その意図した核酸標的をハイブリダイゼーションによって調節する可能性を確保するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態でのギブスの自由エネルギーΔG°により測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、及び例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、-10から-60kcal、例えば-12から-40、例えば-15から-30kcal、又は-16から-27kcal、例えば-18から-25kcalの推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズする。
【0081】
上記のように、本発明は、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための式(I):
の化合物の使用に関する。
【0082】
式(I)中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている。
【0083】
ヒドロキシル保護基PG
「ヒドロキシル保護基」PGは、ヒドロキシル基の保護基である。ヒドロキシル保護基の例は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bn)、β-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、ジメトキシトリチル(又はビス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(DMT)、トリメトキシトリチル(又はトリス-(4-メトキシフェニル)フェニルメチル)(TMT)、メトキシメチルエーテル(MOM)、メトキシトリチル[(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、ピバロイル(Piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、テトラヒドロフラン(THF)、トリチル又はトリフェニルメチル(Tr)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)及びトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル)、メチルエーテル、及びエトキシエチルエーテル(EE)である。ヒドロキシル保護基の特定の例は、DMT及びTMT、特にDMTである。
【0084】
核酸塩基Bn
核酸塩基という用語は、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在する、プリン(例えば、アデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明との関連で、核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なっていてもよいが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能する修飾核酸塩基も包含する。この状況において、「核酸塩基」とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチン等の天然に存在する核酸塩基と、天然に存在しないバリアントとの両方を指す。このようなバリアントは、例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。(命名法「Bn」は、部分Bがn回繰り返されることを示すのではなく、特定の核酸塩基「n」を示す)。
【0085】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジン、例えば置換プリン又は置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより修飾される。
【0086】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、C又はUにより示されてもよく、各文字は、任意に等価機能の改変された核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示したオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。任意に、LNAギャップマーについて、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用され得る。
【0087】
ヌクレオシド修飾
式(I)のリボースnは、その環の2’位で修飾されており、すなわち、DNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合に修飾されている。
【0088】
特に、リボースnの2’位の修飾は、ロックド核酸(LNA)修飾、拘束エチル(cET)修飾、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾、2’-O-メチル及び2’-フルオロ修飾からなる群より選択され、好ましくはLNA修飾である。
【0089】
リボース部分の修飾を有する数多くのヌクレオシドは、親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドのある特定の性質を改善することを主な目的として作製されてきた。
【0090】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、又は典型的にはリボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環、又は典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合には非糖部分で置き換えられているヌクレオシドが含まれる。
【0091】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば2’、3’、4’、又は5’位で導入され得る。
【0092】
2’修飾リボース
2’修飾リボースは、2’位にH又は-OH以外の置換基を有するリボース(2’置換リボース)、又はLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドとして知られる、リボース環内の2’炭素と第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むリボースである。
【0093】
実際、2’置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、多くの2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに取り込まれた際に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾リボースは、高められた結合親和性及び/又は増大されたヌクレアーゼ耐性をオリゴヌクレオチドにもたらし得る。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドである。更なる例については、例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.、1997、25、4429~4443並びにUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development、2000、3(2)、293~213並びにDeleavey及びDamha、Chemistry and Biology、2012、19、937に見出すことができる。以下は、2’置換リボースを有するいくつかのヌクレオシドの例示である。
【0094】
本発明に関して、「リボース環の2’位で修飾された」という用語は、LNAのような2’架橋分子を含む。
【0095】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、当該ヌクレオシドのリボース糖環のC2’及びC4’を結合するビラジカル結合(「2’-4’架橋」とも呼ばれる)を含む、2’-修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環の立体配座を制限又は固定する。これらのヌクレオシドはまた、文献において、架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNA又はDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補二重鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定され得る。
【0096】
非限定的で例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76,Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238を参照されたい。
【0097】
本発明のLNAにおける2’-4’架橋は、2~4個の架橋原子を含み得、特に式-X-Y-(式中、XはC4’に結合され、YはC2’に結合される)の架橋であり、
式中、
Xは、酸素、硫黄、-CRaRb-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(=CRaRb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-;-O-NRa-、-NRa-O-、-C(=J)-、Se、-O-NRa-、-NRa-CRaRb-、-N(Ra)-O-又は-O-CRaRb-であり、
Yは、酸素、硫黄、-(CRaRb)n-、-CRaRb-O-CRaRb-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-Si(Ra)2-、-SO2-、-NRa-、-C(=J)-、Se、-O-NRa-、-NRa-CRaRb-、-N(Ra)-O-又は-O-CRaRb-であり、
但し、-X-Y-は、-O-O-、Si(Ra)2-Si(Ra)2-、-SO2-SO2-、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=N-C(Ra)=N-、-C(Ra)=N-C(Ra)=C(Rb)、-C(Ra)=C(Rb)-C(Ra)=N-又は-Se-Se-ではなく、
Jは、酸素、硫黄、=CH2又は=N(Ra)であり、
Ra及びRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、チオヒドロキシル、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、カルバモイル、アルキルアミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、アルカノイルオキシ、スルホニル、アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、チオヒドロキシルスルフィドアルキルスルファニル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、-OC(=Xa)Rc、-OC(=Xa)NRcRd及び-NReC(=Xa)NRcRdから独立して選択されるか、
又は、2つのジェミナルなRa及びRbは、一緒になって、任意に置換されたメチレンを形成するか、
又は、2つのジェミナルなRa及びRbは、それらが結合している炭素原子と共に、-X-Y-の炭素原子を1個だけ有するシクロアルキル又はハロシクロアルキルを形成し、
置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アルコキシ及び置換メチレンは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、ヘテロシリル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択される1~3個の置換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル及びメチレンであり、
Xaは、酸素、硫黄又は-NRcであり、
Rc、Rd及びReは、水素及びアルキルから独立して選択され、
nは、1、2又は3である。
【0098】
本発明の更に特定の実施形態では、Xは、酸素、硫黄、-NRa-、-CRaRb-、又は-C(=CRaRb)-、特に酸素、硫黄、-NH-、-CH2-又は-C(=CH2)-、より詳細には酸素である。
【0099】
本発明の別の詳しい実施形態では、Yは、-CRaRb-、-CRaRb-CRaRb-又は-CRaRb-CRaRb-CRaRb-、特に-CH2-CHCH3-、-CHCH3-CH2-、-CH2-CH2-又は-CH2-CH2-CH2-である。
【0100】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-(CRaRb)n-、-S-CRaRb-、-N(Ra)CRaRb-、-CRaRb-CRaRb-、-O-CRaRb-O-CRaRb-、-CRaRb-O-CRaRb-、-C(=CRaRb)-CRaRb-、-N(Ra)CRaRb-、-O-N(Ra)-CRaRb-又は-N(Ra)-O-CRaRb-である。
【0101】
本発明の特定の実施形態では、Ra及びRbは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、及びアルコキシアルキル、特に水素、ハロゲン、アルキル、及びアルコキシアルキルからなる群から独立して選択される。
【0102】
本発明の別の実施形態では、Ra及びRbは、水素、フルオロ、ヒドロキシル、メチル、及び-CH2-O-CH3、特に水素、フルオロ、メチル及び-CH2-O-CH3からなる群から独立して選択される。
【0103】
有利には、-X-Y-のRa及びRbの一方は上に規定したとおりであり、他方は全て同時に水素である。
【0104】
本発明の更に特定の実施形態では、Raは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。
【0105】
本発明の別の特定の実施形態では、Rbは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。
【0106】
本発明の特定の実施形態では、Ra及びRbの一方又は両方は、水素である。
【0107】
本発明の特定の実施形態では、Ra及びRbの一方のみが、水素である。
【0108】
本発明の1つの特定の実施形態では、Ra及びRbの一方はメチルであり、他方は水素である。
【0109】
本発明の特定の実施形態では、Ra及びRbは、両方とも同時にメチルである。
【0110】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH2-、-S-CH2-、-S-CH(CH3)-、-NH-CH2-、-O-CH2CH2-、-O-CH(CH2-O-CH3)-、-O-CH(CH2CH3)-、-O-CH(CH3)-、-O-CH2-O-CH2-、-O-CH2-O-CH2-、-CH2-O-CH2-、-C(=CH2)CH2-、-C(=CH2)CH(CH3)-、-N(OCH3)CH2-又は-N(CH3)CH2-である。
【0111】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CRaRb-であり、式中、Ra及びRbは、水素、アルキル及びアルコキシアルキル、特に水素、メチル及び-CH2-O-CH3からなる群から独立して選択される。
【0112】
特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH2-又は-O-CH(CH3)-、特に-O-CH2-である。
【0113】
2’-4’架橋は、それぞれ式(A)及び式(B)に示されるように、リボース環の平面よりも下(β-D-構成)、又は環平面よりも上(α-L-構成)に配置され得る。
【0114】
本発明によるLNAヌクレオシド中のリボース環は、特に式(B1)又は(B2)
(式中、
Wは、酸素、硫黄、-N(R
a)-又は-CR
aR
b-、特に酸素であり、
Bは、核酸塩基又は修飾核酸塩基であり、
Zは、隣接するヌクレオシド又は5’末端基へのヌクレオシド間結合であり、
Z
*は、隣接するヌクレオシド又は3’末端基へのヌクレオシド間結合であり、
R
1、R
2、R
3、R
5、及びR
5*は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルキル、アジド、アルケニルオキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、及びアリールから独立して選択され、
X、Y、R
a、及びR
bは、上に規定したとおりである)
を有し得る。
【0115】
具体的な実施形態では、-X-Y-の規定において、Raは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。別の特定の実施形態では、-X-Y-の規定において、Rbは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。更に特定の実施形態では、-X-Y-の規定において、Ra及びRbの一方又は両方は、水素である。特定の実施形態では、-X-Y-の規定において、Ra及びRbの一方のみが、水素である。1つの特定の実施形態では、-X-Y-の規定において、Ra及びRbの一方はメチルであり、他方は水素である。特定の実施形態では、-X-Y-の規定において、Ra及びRbは、両方とも同時にメチルである。
【0116】
更に特定の実施形態では、Xの規定において、Raは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。別の特定の実施形態では、Xの規定において、Rbは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。特定の実施形態では、Xの規定において、Ra及びRbの一方又は両方は、水素である。特定の実施形態では、Xの規定において、Ra及びRbの一方のみが、水素である。1つの特定の実施形態では、Xの規定において、Ra及びRbの一方はメチルであり、他方は水素である。特定の実施形態では、Xの規定において、Ra及びRbは、両方とも同時にメチルである。
【0117】
更に特定の実施形態では、Yの規定において、Raは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。別の特定の実施形態では、Yの規定において、Rbは、水素又はアルキル、特に水素又はメチルである。特定の実施形態では、Yの規定において、Ra及びRbの一方又は両方は、水素である。特定の実施形態では、Yの規定において、Ra及びRbの一方のみが、水素である。1つの特定の実施形態では、Yの規定において、Ra及びRbの一方はメチルであり、他方は水素である。特定の実施形態では、Yの規定において、Ra及びRbは、両方とも同時にメチルである。
【0118】
本発明の特定の実施形態では、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、水素及びアルキル、特に水素及びメチルから独立して選択される。
【0119】
本発明の更に特定の有利な実施形態では、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、全て同時に水素である。
【0120】
本発明の別の特定の実施形態では、R1、R2、R3は全て同時に水素であり、R5及びR5*の一方は水素であり、他方は上に規定したとおり、特にアルキル、より詳細にはメチルである。
【0121】
本発明の特定の実施形態では、R5及びR5*は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシアルキル、及びアジドから、特に水素、フルオロ、メチル、メトキシエチル及びアジドから独立して選択される。本発明の特定の有利な実施形態では、R5及びR5*の一方が水素であり、他方はアルキル、特に、メチル、ハロゲン、特に、フルオロ、アルコキシアルキル、特に、メトキシエチル又はアジドであるか、又は、R5及びR5*は同時に両方とも水素又は両方ともハロゲンであり、特に同時に両方とも水素又は両方ともフルオロである。このような特定の実施形態では、Wは有利には酸素であり得、-X-Y-は有利には-O-CH2-であり得る。
【0122】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、参照することによって本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、及び国際公開第2004/046160号に開示されており、当該技術分野でβ-D-オキシLNA及びα-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般的に知られているものを含む。
【0123】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-S-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226及びWO2004/046160号に開示されている。
【0124】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-NH-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このようなアミノLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第99/014226号及び国際公開第2004/046160号に開示されている。
【0125】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CH2CH2-又は-OCH2CH2CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、国際公開第00/047599号及びMorita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76に記載されており、参照により本明細書に組み込まれ、2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)として当技術分野で一般に知られているものを含む。
【0126】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3は全て同時に水素であり、R5及びR5*の一方は水素であり、他方はアルキル、例えばメチルなどで水素ではない。このような5’置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/134181号に開示されている。
【0127】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、Ra及びRbの一方又は両方は水素ではなく、特にメチルなどのアルキルであり、Wは酸素であり、R1、R2、R3は全て同時に水素であり、R5及びR5*の一方は水素であり、他方は水素ではなく、特にアルキル、例えばメチルである。このようなビス修飾LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/077578号に開示されている。
【0128】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このような6’-置換LNAヌクレオシドは、国際公開第2010/036698及び国際公開第2007/090071号に開示されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。このような6’-置換LNAヌクレオシドにおいて、Raは、特に、メチルなどのC1-C6アルキルである。
【0129】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH(CH2-O-CH3)-である(”2’ O-methoxyethyl bicyclic nucleic acid”,Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81)。
【0130】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CH(CH2CH3)-である;
【0131】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CH(CH2-O-CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このようなLNAヌクレオシドは、当技術分野では環状MOE(cMOE)としても公知であり、国際公開第2007/090071号に開示されている。
【0132】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH(CH3)-である(”2’O-ethyl bicyclic nucleic acid”,Seth at al.,J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81)。
【0133】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-CH2-O-CH2-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010前掲)。
【0134】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CH(CH3)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このような6’-メチルLNAヌクレオシドは、当技術分野ではcETヌクレオシドとしても公知であり、両方とも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/090071号(β-D)及び国際公開第2010/036698号(α-L)に開示されているように、(S)-cET又は(R)-cETジアステレオ異性体のいずれかであり得る。
【0135】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CRaRb-であり、ここで、RaもRbも水素ではなく、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。特定の実施形態では、Ra及びRbは両方とも同時にアルキル、特に両方とも同時にメチルである。このような6’-ジ-置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/006478号に開示されている。
【0136】
本発明の別の特定の実施形態では、-X-Y-は-S-CHRa-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5、及びR5*は、全て同時に水素である。このような6’-置換チオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2011/156202号に開示されている。このような6’-置換チオLNAの特定の実施形態では、Raはアルキル、特にメチルである。
【0137】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-C(=CH2)C(RaRb)-、-C(=CHF)C(RaRb)-又は-C(=CF2)C(RaRb)-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。Ra及びRbは、有利には、水素、ハロゲン、アルキル及びアルコキシアルキル、特に水素、メチル、フルオロ及びメトキシメチルから独立して選択される。Ra及びRbは特に両方とも同時に水素又はメチルであるか、又はRa及びRbの一方が水素であり、他方がメチルである。このようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、国際公開第2008/154401号及び国際公開第2009/067647号に開示されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-N(ORa)-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。特定の実施形態では、Raは、メチルなどのアルキルである。このようなLNAヌクレオシドはまた、N置換LNAとしても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/150729号に開示されている。
【0139】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-N(Ra)-、-N(Ra)-O-、-NRa-CRaRb-CRaRb-又は-NRa-CRaRb-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。Ra及びRbは、有利には、水素、ハロゲン、アルキル及びアルコキシアルキル、特に水素、メチル、フルオロ及びメトキシメチルから独立して選択される。詳しい実施形態では、Raはアルキル、例えばメチルであり、Rbは水素又はメチル、特に水素である。(Seth et al.,J.Org.Chem 2010 op.cit.)。
【0140】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は、-O-N(CH3)-である(Seth et al.,J.Org.Chem 2010前掲)。
【0141】
本発明の特定の実施形態では、R5及びR5*は、両方とも同時に水素である。本発明の別の特定の実施形態では、R5及びR5*の一方は水素であり、他方はメチルなどのアルキルである。このような実施形態では、R1、R2及びR3は、特に水素であり得、-X-Y-は、特に-O-CH2-又は-O-CHC(Ra)3-、例えば-O-CH(CH3)-であり得る。
【0142】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-CRaRb-O-CRaRb-、例えば-CH2-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。このような特定の実施形態では、Raは、特にアルキル、例えばメチルであり、Rbは水素又はメチル、特に水素であり得る。このようなLNAヌクレオシドはまた、立体配座制限ヌクレオチド(conformationally restricted nucleotides:CRN)としても公知であり、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/036868号に開示されている。
【0143】
本発明の特定の実施形態では、-X-Y-は-O-CRaRb-O-CRaRb-、例えば-O-CH2-O-CH2-であり、Wは酸素であり、R1、R2、R3、R5及びR5*は、全て同時に水素である。Ra及びRbは、有利には、水素、ハロゲン、アルキル及びアルコキシアルキル、特に水素、メチル、フルオロ及びメトキシメチルから独立して選択される。このような特定の実施形態では、Raは、特にアルキル、例えばメチルであり、Rbは水素又はメチル、特に水素であり得る。このようなLNAヌクレオシドはまた、COCヌクレオチドとしても公知であり、参照により本明細書に組み込まれるMitsuokaら、Nucleic Acids Research 2009、37(4)、1225~1238に開示されている。
【0144】
別段の指定がない限り、LNAヌクレオシドのリボースは、β-D又はα-L立体アイソフォームであり得ることが認識されるであろう。
【0145】
2’修飾リボースを含むLNAヌクレオシドの特定の例をスキーム1(Bは上記で規定したとおりである)に示す。
スキーム1
【0146】
特定のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、例えば、(S)-6’-メチル-β-D-オキシ-LNA((S)-cET)、及びENAである。
【0147】
MOEヌクレオシド
「MOE」という用語は「メトキシ-エチル」を表し、以下に示すように、2’位がメトキシ-エトキシ基で置換されたリボースを有するヌクレオシドを略して指す。
【0148】
したがって、上記のヌクレオシドは、「MOE」又は「2’-O-MOEヌクレオシド」のいずれかと命名することができる。
【0149】
本発明はまた、少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための方法であって、当該方法が、
a)式(I):
(式(I)中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物を、
式(II):
(式(II)中、B(n-1)は、天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボース(n-1)は、その環の2’位において修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい)
の化合物と、カップリング剤の存在下で、カップリングさせて、式(III):
の化合物を得る工程
を含む、方法に関する。
【0150】
式(I)の化合物の詳細は上記のとおりである。この方法を
図1に示す。
【0151】
式(II)の化合物は、固体支持体(灰色ビーズによって式(II)に示されている)に結合しており、それによりこの方法は、ハイスループットオリゴヌクレオチド合成装置での使用に適したものとなっている。式(II)の化合物は、典型的には、リンカー、好ましくは切断可能なリンカーを介して固体支持体に結合している。1つ以上の追加のヌクレオチドもまた、(n-1)で示されるヌクレオチドと固相との間に存在し得る。オリゴヌクレオチド合成の終わりに、オリゴヌクレオチドを固体支持体から切断する。本発明の方法で使用するのに適した固体支持体及びリンカーは当業者に公知である。
【0152】
式(II)中の核酸塩基B(n-1)の全ての詳細は、上記の式(I)中の核酸塩基Bnのとおりである。核酸塩基B(n-1)は、核酸塩基Bnと同じであっても異なっていてもよい。
【0153】
式(II)中のリボース(n-1)の全ての詳細は、リボース(n-1)がその環の2’位で修飾又は非修飾であり得るという事実を除いて、上記の式(I)中のリボースnのとおりである。リボース(n-1)がその環の2’位で修飾される場合、このような修飾は、リボースnについて上述したのと同じタイプであり得る。環の2’位で「修飾されていない」場合、リボースは2-OHリボース又は2-デオキシリボースのいずれかである。
【0154】
式(I)の化合物と式(II)の化合物とのカップリングは、カップリング剤の存在下で行われる。カップリング剤は、式(III)のホスホエステル結合の形成を促進する。好ましくは、カップリング剤は、ジアリールクロロホスフェート又はジアルキルクロロホスフェート、例えばジエチルクロロホスフェートである。
【0155】
本方法は、
b)リン原子に結合した水素において、式(III)の化合物のチオアルキル化を実施して、式(IVa):
(式中、R
1はシアノアルキルであり、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程、又は
c)式(III)の化合物とキサンタンヒドリドとの反応を実施して、式(IVb):
(式中、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程
を更に含み得る。
【0156】
本方法は、
d)式(IVa)又は(IVb)の化合物を切断及び脱保護して、式(V):
(式中、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程
を更に含み得る。
【0157】
本方法は、式(IVa)の化合物を脱保護して、式(VIa):
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、式(VIa)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程、又は
式(IVb)の化合物を脱保護して、式(VIb):
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、式(VIb)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程、又は
式(III)の化合物を脱保護して、式:
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、式(VIc)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程
を更に含み得る。
【0158】
本方法は、
e)式(III)の化合物の全体的な硫化を実施し、続いて、切断及び脱保護の工程を実施して式(V):
の化合物を得る工程
を更に含み得る。
【0159】
カップリング剤は、好適には、ピリジンと組み合わせたジアルキルクロロホスフェート、好ましくはジエチルクロロホスフェートである。
【0160】
本発明はまた、
(式中、PG’はアミノ保護基であり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択されるホスホノチオエートモノエステルに関する。
【0161】
特定の実施形態では、本発明はまた、
(式中、PG’はアミノ保護基であり、M
+は一価カチオンであり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択されるホスホノチオエートモノエステル塩に関する。
【0162】
M+は、一価カチオン、例えば金属カチオン、例えばアルカリ金属カチオン、例えばNa+又はK+である。M+は、特に-四級アンモニウムカチオン、NR4
+(式中、RはH又はC1~C4アルキルである)であり得る。
【0163】
図面の詳細な説明
図1において、式(I)の化合物を表すH-ホスホノチオエートモノエステルは、カップリング剤、通常は酸塩化物、例えば塩化ピバロイル又はジフェニルクロロホスフェートによって活性化される。ジフェニルクロロホスフェートはO選択性であることが示されている。
【0164】
活性化モノエステルは、式(II)の化合物を表す所望のアルコールと(好ましくは直ちに)反応される。H-ホスホノチオエートジエステル(式(III)の化合物を表す)は比較的安定している。H-ホスホノチオネートジエステルを、ホスホロジチオエートジエステル(硫化剤を使用)又はホスホロジチオエートトリエステル(チオアルキル化剤を使用)などの様々なP(V)化合物に変換させることができる。
【0165】
図2は、各カップリング後の硫化(チオアルキル化)を伴う式(I)の化合物を使用したオリゴマー合成を示す。H-ホスホノチオエートジエステルが(より安定な)保護ホスホロ(ジ)チオエート(例えば、シアノエチルトリエステル)に変換される場合、ホスホネート化学は、同じオリゴマー内の通常のアミダイト化学と組み合わせることができる。このようにして、同じオリゴマー内にリン酸結合、ホスホロチオエート結合及びホスホロジチオエート結合を有するオリゴマーが可能である。
【0166】
図3は、最終硫化を伴う式(I)の化合物を使用したオリゴマー合成を示す。H-ホスホネート及び/又はH-ホスホノ(チオ)エートのみが合成サイクルで使用される場合、酸化(硫化)工程は各カップリング後に省略することができ、代わりにオリゴマー合成が終了した後に全体的に実施することができる。これにより、最終鎖において2種類のリン酸架橋、例えばホスホロチオエート/ホスホロジチオエートの組合せが得られる。
【0167】
図4は、固体支持体上のH-ホスホノチオエートのカップリングの特定の例を示す。機械合成に適した条件を最初に溶液中で開発し、次いで機械で検証した。クロロリン酸ジエチルと限られた量のピリジンとの組合せが、これまでに見出された最良の条件を構成する。ジエステルは、切断及び保護の前に硫化又はチオアルキル化された。
【0168】
本発明は、以下の番号付けされた態様に関する。
【0169】
態様1.少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、式(I):
(式中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物の使用。
【0170】
態様2.リボースnの前記2’位の前記修飾が、ロックド核酸(LNA)修飾、拘束エチル(cET)修飾、2’-O-メトキシエチル(2’-O-MOE)修飾、2’-O-メチル及び2’-フルオロ修飾からなる群より選択され、好ましくはLNA修飾である、態様1に記載の使用。
【0171】
態様3.少なくとも1つのホスホロジチオエート及び少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、態様1又は2のいずれか1つに記載の使用。
【0172】
態様4.少なくとも1つのホスホロジチオエート、少なくとも1つのホスホロチオエート、及び/又は少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための、態様1~3のいずれか1つに記載の使用。
【0173】
態様5.少なくとも1つのホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための方法であって、
b)式(I):
(式(I)中、PGはヒドロキシル保護基であり、Bnは天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボースnはその環の2’位で修飾されている)
の化合物を、
式(II):
(式(II)中、B(n-1)は、天然又は非天然であり得る核酸塩基であり、リボース(n-1)は、その環の2’位において修飾されていなくてもよく、又は修飾されていてもよい)
の化合物と、カップリング剤の存在下で、カップリングさせて、式(III):
の化合物を得る工程
を含む、方法。
【0174】
態様6.f)リン原子に結合した水素において、式(III)の化合物のチオアルキル化を実施して、式(IVa):
(式中、R
1はシアノアルキルであり、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程、又は
g)前記式(III)の化合物とキサンタンヒドリドとの反応を実施して、式(IVb):
(式中、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程
を更に含む、態様5に記載の方法。
【0175】
態様7.h)式(IVa)又は(IVb)の化合物を切断及び脱保護して、式(V):
(式中、PG、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を得る工程
を更に含む、態様6に記載の方法。
【0176】
態様8.式(IVa)の化合物を脱保護して、式(VIa):
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、前記式(VIa)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程、又は
前記式(IVb)の化合物を脱保護して、式(VIb):
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、前記式(IVb)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程、又は
前記式(III)の化合物を脱保護して、式:
(式中、Bn、B(n-1)、並びにリボースn及び(n-1)は、式(III)について定義されたとおりである)
の化合物を提供し、
続いて、カップリング剤の存在下で、上記で定義された式(I)の化合物若しくは5’-O-保護リボヌクレオシドホスホラミダイトを、前記式(VIc)の化合物の脱保護されたC5’-OHにカップリングさせる工程
を更に含む、態様6に記載の方法。
【0177】
態様9.i)式(III)の化合物の全体的な硫化を実施し、続いて、切断及び脱保護の工程を実施して式(V):
の化合物を得る工程
を更に含む、態様5に記載の方法。
【0178】
態様10.前記カップリング剤が、ピリジンと組み合わせたジアルキルクロロホスフェート、好ましくはジエチルクロロホスフェートである、態様2~9のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
態様11.
(式中、PG’はアミノ保護基であり、R
5 はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択される、ホスホノチオエートモノエステル。
【0180】
態様12.
(式中、PG’はアミノ保護基であり、M
+は一価カチオンであり、R
5はH又はヒドロキシル保護基である)
からなる群より選択される、ホスホノチオエートモノエステル塩。
【実施例】
【0181】
これより、限定的な特徴を有しない以下の実施例によって本発明を説明する。
【0182】
DMTr-LNA-
5MeC
Bz-H-ホスホノチオエート、トリエチルアンモニウム塩
【0183】
トリエチルアンモニウムホスフィネート(1.9g、11.4mmol)及びDMTr-LNA-5-MeCBz(9.97g、14.8mmol、1.3当量)をピリジンからの共蒸発によって1回乾燥させた。残渣をアセトニトリル(47.5mL、25体積)及びピリジン(9.5mL、5体積)に溶解した。溶液を氷上で冷却し、塩化ピバロイルを添加した(1.6mL、1.15当量)。20分間撹拌した後、硫黄(727mg、2当量)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を10mLの1M TEAB(重炭酸トリエチルアンモニウム)でクエンチし、蒸発させた。残渣を50mLのDCMに溶解し、50mLの1M TEABで洗浄した。有機相を蒸発させ、最初にDCM:MeCN 3:1を用いて100g Biotage HCシリカカラムでクロマトグラフィーにかけて不純物及び残留ヌクレオシドを溶出させ、続いてDCM中MeOH(0~5%)でクロマトグラフィーにかけて生成物を溶出させた。生成物画分を蒸発させ、50%MeOH(水溶液)を添加し、120g Biotage C18 RPカラムにアプライした。カラムを50~100%勾配のMeOH水溶液で溶出した。約80%MeOHで溶出する生成物。生成物画分をプールし、濃縮してメタノールの大部分を除去し、3×50mLのDCMで抽出し、1M TEABを添加して分離を補助した。合わせた有機相を蒸発させた後、MeCNと共蒸発させた。白色泡状物4.5g(トリエチルアンモニウムホスフィネートに基づいて51%)を得た。
【0184】
31P-NMR(202MHz、CD3CN、δ(ppm単位))53.32及び52.50(1JPH=578.0及び571.5Hz、d;3JPH=10.5及び9.2Hz、d);1H-NMR(500MHz、CD3CN、δ(ppm単位))(P-ジアステレオマーの存在によるいくつかのシグナルの多重度)13.3(br s、1H)、11.2(br s、1H)、8.37-8.20(br 2s、2H)、7.95及び7.94(1JPH=578.0及び571.5Hz、1H)、7.94及び7.87(2s、1H)、7.63-7.25(m、12H)、6.96-6.90(m、4H)、5.63(s、1H)、5.06及び4.87(2d、J=10.6及び9.20Hz、1H)、4.63及び4.60(2s、1H)、3.93-3.81(m、2H)、3.80(s、6H)、3.61-3.48(m、2H)、3.01(q、J=7.27Hz、6H)、1.87及び1.86(2s、3H)、1.20(t、J=7.25Hz、9H);LC-MS ESI(m/z)C39H37N3O9PS(M-TEAH+)の計算値754.2、実測値754.2
【0185】
DMTr-LNA-A
Bz-H-ホスホノチオエート、トリエチルアンモニウム塩
【0186】
トリエチルアンモニウムホスフィネート(1.74g、10.4mmol)及びDMTr-LNA-ABz(9.28g、13.5mmol、1.3当量)をピリジンからの共蒸発によって1回乾燥させた。残渣をアセトニトリル(43.5mL、25体積)及びピリジン(8.7mL、5体積)に溶解した。溶液を氷上で冷却し、塩化ピバロイルを添加した(1.46mL、1.15当量)。20分間撹拌した後、硫黄(666mg、2当量)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を10mLの1M TEAB(重炭酸トリエチルアンモニウム)でクエンチし、蒸発させた。残渣を50mLのDCMに溶解し、50mLの1M TEABで洗浄した。有機相を蒸発させ、最初にDCM:MeCN 3:1を用いて100g Biotage HCシリカカラムでクロマトグラフィーにかけて不純物及び残留ヌクレオシドを溶出させ、続いてDCM中MeOH(0~5%)でクロマトグラフィーにかけて生成物を溶出させた。生成物画分を蒸発させ、50%MeOH(水溶液)を添加し、120g Biotage C18 RPカラムにアプライした。カラムを50~100%勾配のMeOH水溶液で溶出した。約70% MeOHで溶出する生成物。生成物画分をプールし、濃縮してメタノールの大部分を除去し、3×50mLのDCMで抽出し、1M TEABを添加して分離を補助した。合わせた有機相を蒸発させた後、MeCNと共蒸発させた。白色泡状物6.5g(トリエチルアンモニウムホスフィネートに基づいて73%)を得た。
【0187】
31P-NMR(202MHz、CD3CN、δ(ppm単位))53.43及び52.23(1JPH=579.4及び574.8Hz、d;3JPH=10.5及び8.9Hz、d);1H-NMR(500MHz、CD3CN、δ(ppm単位))(P-ジアステレオマーの存在によるいくつかのシグナルの多重度)11.0(br s、1H)、9.51(br s、1H)、8.71(br s、1H)、8.59及び8.50(2s、1H)、8.03(br、2H)、)、7.94及び7.91(1JPH=575.0及び579Hz、1H)、7.67-7.21(m、12H)、6.91-6.85(m、4H)、6.16及び6.15(2s、1H)、5.19及び5.06(2d、1JPH=10.2及び8.3Hz、1H)、4.94及び4.91(2s、1H)、4.16-3.95(m、2H)、3.77(s、6H)、3.61-3.44(m、2H)、2.95(q、1JPH=7.3Hz、6H)、1.15(t、1JPH=7.3Hz、9H);LC-MS ESI(m/z)C39H35N5O8PS(M-TEAH+)の計算値764.2、実測値764.2
【0188】
DMTr-LNA-T-H-ホスホノチオエート、トリエチルアンモニウム塩
【0189】
トリエチルアンモニウムホスフィネート(1.9g、11.4mmol)及びDMTr-LNA-T(8.46g、14.8mmol、1.3当量)をピリジンからの共蒸発によって1回乾燥させた。残渣をアセトニトリル(47.5mL、25体積)及びピリジン(9.5mL、5体積)に溶解した。溶液を氷上で冷却し、塩化ピバロイルを添加した(1.6mL、1.15当量)。20分間撹拌した後、硫黄(727mg、2当量)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を10mLの1M TEAB(重炭酸トリエチルアンモニウム)でクエンチし、蒸発させた。残渣を50mLのDCMに溶解し、50mLの1M TEABで洗浄した。有機相を蒸発させ、最初にDCM:MeCN 3:1を用いて100g Biotage HCシリカカラムでクロマトグラフィーにかけて不純物及び残留ヌクレオシドを溶出させ、続いてDCM中MeOH(0~5%)でクロマトグラフィーにかけて生成物を溶出させた。生成物画分を蒸発させ、40%MeOH(水溶液)を添加し、120g Biotage C18 RPカラムにアプライした。カラムを40~100%勾配のMeOH水溶液で溶出した。約50% MeOHで溶出する生成物。生成物画分をプールし、濃縮してメタノールの大部分を除去し、3×50mLのDCMで抽出し、1M TEABを添加して分離を補助した。合わせた有機相を蒸発させた後、MeCNと共蒸発させた。白色泡状物6.6g(トリエチルアンモニウムホスフィネートに基づいて75%)を得た。
【0190】
31P-NMR(202MHz、CD3CN、δ(ppm単位))53.38及び53.06(1JPH=573.3及び578.3Hz、d;3JPH=9.2及び9.7Hz、d);1H-NMR(500MHz、CD3CN、δ(ppm単位))(P-ジアステレオマーの存在によるいくつかのシグナルの多重度)10.8(br s、1H)、10.0及び9.72(2s、1H)、8.04及び7.95(1JPH=573.0及び578Hz、1H)、7.71-7.24(m、10H)、6.97-6.88(m、4H)、5.57及び5.55(2d、1H)、5.02及び4.90(2d、1JPH=9.8及び9.2、1H)、4.59及び4.57(2s、1H)、3.89-3.80(m、2H)、3.79(s、6H)、3.57-3.41(m、2H)、3.05(q、1JPH=7.3Hz、6H)、1.66-1.63(m、3H)、1.21(t、1JPH=7.3Hz、9H);LC-MS ESI(m/z)C32H32N2O9PS(M-TEAH+)計算値651.7、実測値652.2
【0191】
DMTr-LNA-G
ib-H-ホスホノチオエート、トリエチルアンモニウム塩
【0192】
トリエチルアンモニウムホスフィネート(1.9g、11.4mmol)及びDMTr-LNA-Gib(9.86g、14.8mmol、1.3当量)をピリジンからの共蒸発によって乾燥させた。残渣をアセトニトリル(47.5mL、25体積)及びピリジン(9.5mL、5体積)に溶解した。溶液を氷上で冷却し、塩化ピバロイルを添加した(1.6mL、1.15当量)。20分間撹拌した後、硫黄(727mg、2当量)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。反応物を10mLの1M TEAB(重炭酸トリエチルアンモニウム)でクエンチし、蒸発させた。残渣を50mLのDCMに溶解し、50mLの1M TEABで洗浄した。有機相を蒸発させ、最初にDCM:MeCN 3:1を用いて100g Biotage HCシリカカラムでクロマトグラフィーにかけて不純物及び残留ヌクレオシドを溶出させ、続いてDCM中MeOH(0~5%)でクロマトグラフィーにかけて生成物を溶出させた。生成物画分を蒸発させ、50%MeOH(水溶液)を添加し、120g Biotage C18 RPカラムにアプライした。カラムを50~100%勾配のMeOH水溶液で溶出した。約80%MeOHで溶出する生成物。生成物画分をプールし、濃縮してメタノールの大部分を除去し、3×50mLのDCMで抽出し、1M TEABを添加して分離を補助した。合わせた有機相を蒸発させた後、MeCNと共蒸発させた。白色泡状物5.5g(トリエチルアンモニウムホスフィネートに基づいて56%)を得た。
【0193】
31P-NMR(202MHz、CD3CN、δ(ppm単位))52.18及び51.98(1JPH=576.9及び572.2Hz、d;3JPH=10.4及び10.0Hz、d);1H-NMR(500MHz、CD3CN、δ(ppm単位))(P-ジアステレオマーの存在によるいくつかのシグナルの多重度)12.0(br s、1H)、11.0及び10.8(2s、1H)、10.4(br s、1H)、7.99及び7.96(1JPH=572.0及び577Hz、1H)、7.98及び7.94(2s、1H)、7.49-7.20(m、9H)、6.90-6.84(m、4H)、5.86(2s、1H)、5.60及び5.54(2d、J=10.2Hz、1H)、4.87(d、J=7.49Hz、1H)、4.11-3.96(m、2H)、3.77(s、6H)、3.47-3.40(m、2H)、3.04(q、J=7.24Hz、6H)、2.84-2.71(m、1H)、1.23-1.17(m、15h);LC-MS ESI(m/z)C36H37N5O9PS(M-TEAH+)の計算値746.2、実測値746.3
【0194】
オリゴヌクレオチド合成
Amersham Pharmacia Biotech(Cytiva)製?KTA(商標)oligopilot(商標)plus10を用いてオリゴヌクレオチドを合成した。405μmol/gの担持量を有するNittophase HL Unylinker400を使用して、1.2mLカラムで50μmolスケールで合成を行った。再循環ループの体積は約2.5mLであった。
【0195】
シアノエチルアミダイト及び標準的な鋳型合成法を使用して、ホスホロチオエート及びホスフェートヌクレオチドを導入した。アミダイトを、アセトニトリル/THF 3:1中で0.1MであったLNA-MeCを除いて、アセトニトリル中0.1M溶液として調製した。
【0196】
0.3Mピリジンを含有するアセトニトリル中の0.1M H-ホスホノチオエートモノエステル溶液を使用して、ホスホロジチオエートヌクレオチドを導入した。H-ホスホノチオエートモノエステルのカップリング剤として、アセトニトリル中0.2Mジエチルクロロホスフェートを使用した。チオアルキル化剤2-(2-シアノエチル)スルファニル-1H-イソインドール-1,3-(2H)-ジオンを、0.5Mピリジンを含有するアセトニトリル中の0.1M溶液として使用した。
【0197】
トルエン中3%DCAを用いて脱トリチル化を行った。アミダイト活性剤としては、0.3MのBTT(5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾール)を用いた。3当量のアミダイト及び活性化剤とアミダイトとの間の1.5:1 v/v比を使用してアミダイトカップリングを実施し、DNAについては2.5分、LNAについては5分の再循環時間を用いた。キサンタンヒドリド(3-アミノ-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン)のアセトニトリル/ピリジン1:1中の0.1M溶液により、5分間の接触時間を用いて亜リン酸トリエステルの硫化を行った。亜リン酸トリエステルの酸化は、5分間の接触時間を用いてピリジン/水9:1中の0.05Mヨウ素を使用して行った。アセトニトリル中20%N-メチルイミダゾール及びアセトニトリル中20%無水酢酸及び30%ルチジンの1/1比で1分間キャッピングを行った。
【0198】
ホスホロジチオエート結合のため、3当量のモノエステル及び1:1 v/v比のモノエステル/カップリング剤及び6分間の再循環を使用してカップリングを行った。3当量のチオアルキル化剤及び3分間の再循環を使用して、H-ホスホノチオエートジエステルをチオアルキル化した。
【0199】
10分間のフロースルー及び50分間の再循環を使用して、シアノエチル基をアセトニトリル中20%DEAで脱保護した。
【0200】
支持体からの最終切断及び核酸塩基の脱保護を、濃アンモニア水を使用して55℃で15時間行った。支持体をフィルタにかけ、水で洗浄した。濾液をOD測定及び面積%全長生成物、FLP(DMT-on、260nmにおける)について分析した。FLPピーク中の脱硫(de-sulfur)(Sの代わりにO、-16amu)の量をHRMSで測定した。
PS2はホスホロジチオエートを示し、POは隣接するヌクレオシド間のホスフェート結合を示し、他の全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートであった
A、T、G、
mCはLNAヌクレオシドを示す。
a、t、g、cはDNAヌクレオシドを示す。
【配列表】
【国際調査報告】