(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】電動吻合器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231213BHJP
A61B 17/115 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B17/115
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534686
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2021136915
(87)【国際公開番号】W WO2022121999
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011448523.4
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521475381
【氏名又は名称】江蘇風和医療器材股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FULBRIGHT MEDICAL INC.
【住所又は居所原語表記】D3, No. 6 Dongsheng West Road, Jiangyin City Wuxi, Jiangsu 214437, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】孫 宝峰
(72)【発明者】
【氏名】孫 海盟
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160CC32
4C160MM32
(57)【要約】
電動吻合器(100)及びその制御方法を提供する。当該電動吻合器(100)は、操作ハンドル(10)と、ロッドアセンブリ(20)と、刃押出部材(42)を含む切断刃アセンブリ(40)と、操作ハンドル(10)内に設置されるモータ(80)と、刃送り動作を表す始動信号及び刃送り動作の停止を表す始動停止信号を送信する始動ユニット(51)、及び刃逃げ動作を表す刃逃げ信号及び刃逃げ動作の停止を表す刃逃げ停止信号を送信する刃逃げユニット(63)を含むトリガー(60)と、モータ(80)及びトリガー(60)に電気的に接続される制御モジュール(90)とを含み、刃押出部材(42)は、刃送り動作中に初期位置と完全押出位置との間に停止する第1の状態を有し、第1の状態にある場合、制御モジュール(90)は、刃逃げ信号が検出された場合、刃押出部材(42)を制御して完全押出位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃逃げ動作中に、制御モジュール(90)は、刃逃げ停止信号が検出された場合、刃押出部材(42)を制御して刃逃げ動作を停止させる。当該電動吻合器(100)は、刃逃げ動作を制御することにより、刃押出部材(42)がワンステップで初期位置に後退することを防止し、フォールトトレランス能力を向上させ、かつ始動能力を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ハンドルと、
前記操作ハンドルから延びるロッドアセンブリと、
前記ロッドアセンブリの前記操作ハンドルから離れた一端に設置され、刃押出部材を含む切断刃アセンブリと、
前記操作ハンドル内に設置され、前記刃押出部材を駆動して移動させるモータと、
ユーザーがトリガーするための始動ユニットであって、刃送り動作を表す始動信号及び刃送り動作の停止を表す始動停止信号を送信する始動ユニットと、ユーザーがトリガーするための刃逃げユニットであって、刃逃げ動作を表す刃逃げ信号及び刃逃げ動作の停止を表す刃逃げ停止信号を送信する刃逃げユニットと、を含むトリガーと、
前記モータ及び前記トリガーに電気的に接続され、前記始動信号が検出された場合、前記刃押出部材を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を実行させるように前記モータを制御し、前記始動停止信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して刃送り動作を停止させる制御モジュールと、を含み、
前記刃押出部材は、刃送り動作中に初期位置と完全押出位置との間に停止する第1の状態を有し、第1の状態にある場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃逃げ動作中に、前記制御モジュールは、前記刃逃げ停止信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して刃逃げ動作を停止させる、ことを特徴とする電動吻合器。
【請求項2】
前記刃押出部材は、前記第1の状態で刃逃げ動作を実行して前記初期位置と前記完全押出位置との間に停止する第2の状態を有し、前記第1の状態と前記第2の状態にある場合、前記始動ユニットは、いずれも有効状態であり、それにより、前記制御モジュールは、検出された前記始動信号に基づいて、前記刃押出部材を制御して刃送り動作を実行させる、ことを特徴とする請求項1に記載の電動吻合器。
【請求項3】
前記切断刃アセンブリは、前記刃押出部材の前記完全押出位置に向かう前方に位置する切断刃であって、前記刃押出部材が前記第1の状態にある場合、前記刃押出部材の切断刃に近接する端部が第1の停止位置を有し、前記刃押出部材が前記第2の状態にある場合、前記刃押出部材の切断刃に近接する端部が第2の停止位置を有し、前記第2の停止位置が前記第1の停止位置の後方に位置するか、又は前記第2の停止位置と前記第1の停止位置とが重なる切断刃をさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の電動吻合器。
【請求項4】
前記刃押出部材が前記第1の状態にある場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、前記刃押出部材が刃逃げ動作を停止する場合に前記初期位置に到達すると、前記制御モジュールは、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の電動吻合器。
【請求項5】
前記トリガーは、前記刃押出部材が前記初期位置に位置するか否かを検出し、かつ前記刃押出部材が前記初期位置に位置することを表す第1の所定位置到達信号を出力する第1の位置検出ユニットを含み、前記制御モジュールは、前記第1の所定位置到達信号に基づいて、モータを制御して停止させる、ことを特徴とする請求項1又は4に記載の電動吻合器。
【請求項6】
前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御し、
前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記初期位置に到達するまで前記完全押出位置から離れて前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させる、ことを特徴とする請求項1に記載の電動吻合器。
【請求項7】
前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御し、
前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記完全押出位置から離れて前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃逃げ動作中に、前記制御モジュールは、前記刃逃げ停止信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して刃逃げ動作を停止させる、ことを特徴とする請求項1に記載の電動吻合器。
【請求項8】
前記刃押出部材は、前記完全押出位置に到達した後に刃逃げ動作を実行して前記初期位置と前記完全押出位置との間に停止する第3の状態を有し、前記第3の状態にある場合、前記制御モジュールは、無効状態を保持するように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の電動吻合器。
【請求項9】
前記トリガーは、前記刃押出部材が前記完全押出位置に位置するか否かを検出し、かつ前記刃押出部材が完全押出位置に位置することを表す第2の所定位置到達信号を出力する第2の位置検出ユニットをさらに含み、前記制御モジュールは、前記第2の所定位置到達信号に基づいて、前記モータを制御して停止させ、かつ前記第2の所定位置到達信号に基づいて、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、かつ刃逃げ動作中に、無効状態を保持するように前記始動ユニットを制御する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の電動吻合器。
【請求項10】
切断刃アセンブリと、モータとを含む電動吻合器の制御方法であって、
前記切断刃アセンブリは、刃押出部材を含み、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して移動させ、
前記制御方法は、
前記モータを制御して第1の方向に沿って回転させるステップであって、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を実行させるステップと、
前記刃押出部材が前記完全押出位置に到達しない場合、前記モータを制御して第2の方向に沿って回転させるステップであって、前記第2の方向は、前記第1の方向と逆であり、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させるステップと、
前記刃押出部材が前記初期位置に後退しない場合、前記モータを制御して第1の方向に沿って回転させるステップであって、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して前記完全押出位置に向かって刃送り動作を継続的に実行させるステップと、を含む、ことを特徴とする電動吻合器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2020年12月11日に中国国家知識産権局に提出され、出願番号が202011448523.4であり、発明の名称が「電動吻合器及びその制御方法」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、特に電動吻合器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、腔内切断吻合器は、腹腔などの腔内の手術に一般的に適用されている。吻合器は、ジョーアセンブリ、切断刃アセンブリ及びステープルビンアセンブリを含み、1つの操作周期において、吻合器のジョーアセンブリを人体皮膚上の穿刺孔から人体内部に挿入した後、まず、吻合器を操作してジョーアセンブリを閉鎖させて対象組織を挟持し、次に、吻合器を操作して切断刃アセンブリを駆動して前向きに移動させて、ステープルビンアセンブリを駆動してステープルを放出させて対象組織を吻合し、同時に切断刃アセンブリは対象組織を切断し、対象組織に対する吻合及び切断を完了した後、吻合器を操作して切断刃アセンブリを駆動して刃逃げ動作を実行させ、かつ初期位置に後退させ、最後に、ジョーアセンブリを開放して対象組織から離脱させ、穿刺孔から吻合器のジョーアセンブリを取り出し、その後に新たなステープルビンを改めて装填して次の操作周期に用いることができる。
【0004】
従来技術は、電池及びモータにより駆動力を提供してジョーアセンブリ及び切断刃アセンブリを移動させ、本体には、一般的にユーザーが操作する始動キー及び強制刃逃げキーが設置されるような電動吻合器を提供する。ステープルビンアセンブリの仕様に応じて、切断刃は、対応する移動ストロークを有する。ユーザーが1回目に始動キーを操作する場合、切断刃アセンブリは、後から前へ刃送り動作を実行し、組織を吻合し切断し始める。途中で始動キーに対する操作を停止すると、モータが停止され、切断刃アセンブリを移動ストロークのいずれかの中間点に停止させることができ、このとき、次の動作は、ユーザが強制刃逃げキーを操作することにより、最後端に到達するまで切断刃アセンブリが後向きに刃逃げ動作を実行することであってもよく、再び始動キーを操作することにより、切断刃アセンブリが継続的に前向きに刃送り動作を実行することであってもよく、或いは、切断刃アセンブリが移動ストロークの最前端に移動する場合にモータが自動的に停止し、切断刃アセンブリが最前端に停止するまで、ユーザが始動スイッチの操作を保持し、このとき、ユーザが始動キーを操作しないと、モータが起動して、最後端に到達するまで切断刃アセンブリが後向きに移動して刃逃げ動作を実行する。以上の方式において、切断刃アセンブリは、ワンステップで初期位置に後退する方式を用いる。
【0005】
実際の動作状況で、切断刃アセンブリは、スリーブの内部に位置する長いシート状の刃押出部材と、刃押出部材の先端に位置する切断刃とを含み、切開しにくい組織の場合、切断刃アセンブリの刃押出部材は、刃送り動作中において曲がりやすくてスリーブの内壁に接触するため、刃押出部材とスリーブの内壁との間に大きな摩擦力が発生され、先端の切断刃を押出して前進させることができず、さらに刃送り動作を継続的に実行することができない。従来の電動吻合器の制御方法は、この問題を解決することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に存在する少なくとも1つの技術的問題を解決するために、本願は、電動吻合器及びその制御方法を提供し、刃逃げ動作を制御することにより、刃押出部材がワンステップで初期位置に後退することを防止し、フォールトトレランス能力を向上させ、かつ始動能力を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願に係る技術的手段は、以下のとおりである。
【0008】
電動吻合器は、
操作ハンドルと、
前記操作ハンドルから延びるロッドアセンブリと、
前記ロッドアセンブリの前記操作ハンドルから離れた一端に設置され、刃押出部材を含む切断刃アセンブリと、
前記操作ハンドル内に設置され、前記刃押出部材を駆動して移動させるモータと、
ユーザーがトリガーするための始動ユニットであって、刃送り動作を表す始動信号及び刃送り動作の停止を表す始動停止信号を送信する始動ユニットと、ユーザーがトリガーするための刃逃げユニットであって、刃逃げ動作を表す刃逃げ信号及び刃逃げ動作の停止を表す刃逃げ停止信号を送信する刃逃げユニットと、を含むトリガーと、
前記モータ及び前記トリガーに電気的に接続され、前記始動信号が検出された場合、前記刃押出部材を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を実行させるように前記モータを制御し、前記始動停止信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して刃送り動作を停止させる制御モジュールと、を含み、
前記刃押出部材は、刃送り動作中に初期位置と完全押出位置との間に停止する第1の状態を有し、第1の状態にある場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃逃げ動作中に、前記制御モジュールは、前記刃逃げ停止信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して刃逃げ動作を停止させる。
【0009】
好ましい一実施形態として、前記刃押出部材は、前記第1の状態で刃逃げ動作を実行して前記初期位置と前記完全押出位置との間に停止する第2の状態を有し、前記第1の状態と前記第2の状態にある場合、前記始動ユニットは、いずれも有効状態であり、それにより、前記制御モジュールは、検出された前記始動信号に基づいて、前記刃押出部材を制御して刃送り動作を実行させる。
【0010】
好ましい一実施形態として、前記切断刃アセンブリは、前記刃押出部材の前記完全押出位置に向かう前方に位置する切断刃であって、前記刃押出部材が前記第1の状態にある場合、前記刃押出部材の切断刃に近接する端部が第1の停止位置を有し、前記刃押出部材が前記第2の状態にある場合、前記刃押出部材の切断刃に近接する端部が第2の停止位置を有し、前記第2の停止位置が前記第1の停止位置の後方に位置するか、又は前記第2の停止位置と前記第1の停止位置とが重なる切断刃をさらに含む。
【0011】
好ましい一実施形態として、前記刃押出部材が前記第1の状態にある場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、前記刃押出部材が刃逃げ動作を停止する場合に前記初期位置に到達すると、前記制御モジュールは、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御する。
【0012】
好ましい一実施形態として、前記トリガーは、前記刃押出部材が前記初期位置に位置するか否かを検出し、かつ前記刃押出部材が前記初期位置に位置することを表す第1の所定位置到達信号を出力する第1の位置検出ユニットを含み、前記制御モジュールは、前記第1の所定位置到達信号に基づいて、モータを制御して停止させる。
【0013】
好ましい一実施形態として、前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御する。
【0014】
好ましい一実施形態として、前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記初期位置に到達するまで前記完全押出位置から離れて前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させる。
【0015】
好ましい一実施形態として、前記刃押出部材が刃送り動作を実行して前記完全押出位置に到達する場合、前記制御モジュールは、前記刃逃げ信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して前記完全押出位置から離れて前記初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃逃げ動作中に、前記制御モジュールは、前記刃逃げ停止信号が検出された場合、前記刃押出部材を制御して刃逃げ動作を停止させる。
【0016】
好ましい一実施形態として、前記刃押出部材は、前記完全押出位置に到達した後に刃逃げ動作を実行して前記初期位置と前記完全押出位置との間に停止する第3の状態を有し、前記第3の状態にある場合、前記制御モジュールは、無効状態を保持するように前記始動ユニットを制御し、それにより、刃送り動作をしないように前記刃押出部材を制御する。
【0017】
好ましい一実施形態として、前記トリガーは、前記刃押出部材が前記完全押出位置に位置するか否かを検出し、かつ前記刃押出部材が完全押出位置に位置することを表す第2の所定位置到達信号を出力する第2の位置検出ユニットを含み、前記制御モジュールは、前記第2の所定位置到達信号に基づいて、前記モータを制御して停止させ、かつ前記第2の所定位置到達信号に基づいて、有効状態から無効状態になるように前記始動ユニットを制御し、かつ刃逃げ動作中に、無効状態を保持するように前記始動ユニットを制御する。
【0018】
好ましい一実施形態として、前記電動吻合器は、ジョーアセンブリをさらに含み、前記ジョーアセンブリは、ステープルビンシート及びステープルレジストシートを含み、前記ステープルレジストシートは、前記ステープルビンシートに対して開閉することができ、前記刃押出部材の切断刃は、前記ステープルビンシートと前記ステープルレジストシートとの間の空間に収容され、前記トリガーは、ユーザーがジョー閉鎖動作を表すジョー閉鎖信号をトリガーするためのジョー閉鎖ユニット、及びユーザーがジョー開放動作を表すジョー開放信号をトリガーするためのジョー開放ユニットをさらに含み、前記制御モジュールは、前記ジョー閉鎖信号が検出された場合、前記ジョーアセンブリを制御してジョー閉鎖動作を実行させ、前記制御モジュールは、前記ジョー開放信号が検出された場合、前記ジョーアセンブリを制御してジョー開放動作を実行させる。
【0019】
好ましい一実施形態として、前記ジョー閉鎖ユニットと前記始動ユニットは、第1のキーに一体化され、前記刃逃げユニットと前記ジョー開放ユニットは、第2のキーに一体化される。
【0020】
切断刃アセンブリと、モータとを含む電動吻合器の制御方法であって、前記切断刃アセンブリは、刃押出部材を含み、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して移動させ、前記制御方法は、
前記モータを制御して第1の方向に沿って回転させるステップであって、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を実行させるステップと、
前記刃押出部材が前記完全押出位置に到達しない場合、前記モータを制御して第2の方向に沿って回転させるステップであって、前記第2の方向は、前記第1の方向と逆であり、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させるステップと、
前記刃押出部材が前記初期位置に後退しない場合、前記モータを制御して第1の方向に沿って回転させるステップであって、前記モータは、前記刃押出部材を駆動して前記完全押出位置に向かって刃送り動作を継続的に実行させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本明細書に係る電動吻合器及びその制御方法は、使用者の操作により刃逃げ信号をトリガーすることにより、刃押出部材を制御して刃逃げ動作を実行させることができる。当該刃逃げ動作は、制御モジュールにより刃逃げユニットから送信された刃逃げ信号及び刃逃げ停止信号に基づいて制御され、それにより、誤操作の場合に刃押出部材がワンステップで初期位置に後退することを防止することができる。
【0022】
通常の使用過程において、刃押出部材が完全押出位置に到達しない場合、使用者が刃逃げユニットを誤ってトリガーして刃逃げ信号を送信すると、刃押出部材は、刃逃げ動作を実行し、このとき、刃逃げユニットにより刃逃げ停止信号を送信すると、刃押出部材は、刃逃げ動作を停止し、かつ再び始動することができ、それにより、残りのステープルビンを継続的に使用して、理想的な手術効果を得ることができる。
【0023】
また、切開しにくい組織の場合、刃押出部材は、刃送り動作中に曲がりやすくてスリーブの内壁に接触するため、刃押出部材とスリーブの内壁との間に大きな摩擦力が発生され、刃送り動作を継続的に実行することができない。刃逃げユニットをトリガーすることにより、刃押出部材を制御して一定距離の刃逃げ動作を実行させた後に伸ばし状態に復帰させることができ、刃押出部材とスリーブの内壁との間に摩擦をなくし、さらに始動ユニットをトリガーすることにより、切開しにくい組織領域を一挙に通過し、刃送り動作を完了することができ、それにより、刃押出部材の始動能力を向上させる。
【0024】
後述の説明及び図面により、本願の特定の実施形態を詳細に開示し、本願の原理が利用され得る方式を明確にする。なお、本願の実施形態は、範囲上には限定されるものではない。
【0025】
一実施形態に対する説明及び/又は示された特徴は、同じ又は類似する方式で1つ又は複数のその他の実施形態において使用し、その他の実施形態における特徴と組み合わせ、又はその他の実施形態における特徴を代替することができる。
【0026】
用語「含む/包含」が本明細書で使用される場合、特徴、要素、ステップ又は部材の存在を指すが、1つ又は複数のその他の特徴、要素、ステップ又は部材の存在又は追加を排除するものではないことは強調されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本願の実施例又は従来技術における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な作業をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本明細書の一実施例に係る電動吻合器の外部構造の概略図である。
【
図2】本明細書の一実施例に係る電動吻合器の第1の視野角での内部構造の概略図である。
【
図3】本明細書の一実施例に係る電動吻合器の第2の視野角の内部構造の概略図である。
【
図4】本明細書の一実施例に係る電動吻合器の制御回路の概略図である。
【
図5】本明細書の別の実施例に係る電動吻合器の制御回路の概略図である。
【
図6】本明細書の別の実施例に係る電動吻合器の制御回路の概略図である。
【
図7】本明細書の一実施例に係る電動吻合器の制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本発明の技術的手段を詳細に説明する。なお、これらの実施形態は、本発明を説明するためのものに過ぎず、範囲を限定するものではなく、本発明に基づいて、当業者にとって本発明に対する様々な等価の修正は、いずれも本願に限定された範囲内にある。
【0029】
なお、素子が他の素子に「設置される」と称される場合、当該素子は他の素子上に直接的にあってもよいが、それらの間に介在する素子が存在してもよい。素子が他の素子に「接続される」と考えられる場合、当該素子は他の素子に直接接続されてもよいが、それらの間に介在する素子が同時に存在してもよい。以下、
図1~
図7を参照して本明細書の実施例に係る電動吻合器及びその制御方法を説明する。なお、説明を容易にするために、本発明の実施例において、同じ符号は同じ部材を示す。簡潔さのために、異なる実施例において、同じ部材に対する詳細な説明は省略し、かつ同じ部材の説明は互いに参照して引用することができる。本発明における接続は、電気的接続と機械的接続を含む。
【0030】
具体的には、
図1に示された電動吻合器の方位を基準とし、本明細書で使用された用語「前」及び「後」は、電動吻合器を操作する使用者にとってのものである。用語「後」は、使用者に相対的に近い方向を指し、用語「前」は、使用者から相対的に遠い部分である。「左」、「右」方向の定義について、例えば、エンドエフェクタが「左」にあり、スリーブが「右」にある。用語「上」、「下」は、エンドエフェクタのステープルレジストシートとステープルビンシートの相対位置を基準とし、具体的には、ステープルレジストシートが「上」にあり、ステープルビンシートが「下」にある。なお、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」のこれらの方位は、説明の便宜のために定義されたものであり、しかし、電動吻合器は、多くの方向及び位置で使用されるため、これらの相対的な位置関係を表す用語は、限定すること及び絶対的であることを意図されていない。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本明細書を説明するためのものであり、本明細書の実施形態を限定するものと理解すべきではない。
【0031】
図1~
図6に示すように、本実施形態は、操作ハンドル10と、操作ハンドル10から延びるロッドアセンブリ20と、ロッドアセンブリ20の一端に設置されたエンドエフェクタ30とを含む電動吻合器100を提供する。操作ハンドル10の内部には、電源モジュール及びモータ80が含まれる。電源モジュールは、複数の電池が直列接続して構成されてもよく、モータ80の作動に電気エネルギーを供給する。ロッドアセンブリ20は、コアシャフト21と、コアシャフト21に嵌設されたスリーブ22とを含む。
【0032】
電動吻合器100は、伝動機構をさらに含み、当該伝動機構は、モータ80に接続され、モータ80が電気エネルギーを取得して作動するとき、モータ80は、動力を出力して、伝動機構を駆動して作動させる。ロッドアセンブリ20のコアシャフト21は、両端を有し、一端が伝動機構に接続され、他端がスリーブ22内に位置する。スリーブ22は、一端が伝動機構に接続され、他端がエンドエフェクタ30に接続される。
【0033】
エンドエフェクタ30は、ジョーアセンブリと、ステープルビンアセンブリとを含む。ジョーアセンブリは、ステープルビンシート31と、ステープルビンシート31に枢動可能に接続されたステープルレジストシート32とを含み、ステープルビンアセンブリは、ステープルビンシート31内に収容され、ステープルレジストシート32は、ステープルビンシート31に対して開閉することができ、それにより、ステープルビンシート31及びステープルビンアセンブリと協力して組織をクランプするか又はアンクランプする。ロッドアセンブリ20のスリーブ22は、一端がステープルレジストシート32に接続され、他端が伝動機構に接続され、伝動機構は、モータ80に駆動されて、スリーブ22を駆動して前後方向に移動させることができ、例えば、スリーブ22を駆動して後向きに移動させることにより、ステープルレジストシート32が上向きに枢動してジョーアセンブリを開放し、スリーブ22を駆動して前向きに移動させることにより、ステープルレジストシート32が下向きに枢動してジョーアセンブリを閉鎖する。
【0034】
図3及び
図8に示すように、電動吻合器は、ロッドアセンブリ20の操作ハンドル10から離れる一端に設置された切断刃アセンブリ40をさらに含み、切断刃アセンブリ40は、刃押出部材42と、刃押出部材42の前端に位置する切断刃41とを含む。刃押出部材42は、長いシート状構造を有し、一部がスリーブ22内に位置してコアシャフト21に接続され、伝動機構は、コアシャフト21を駆動して前向き及び後向きに移動させる過程において、刃押出部材42を駆動して前向き及び後向きに移動させることができる。切断と吻合を行う過程において、刃押出部材42の他の一部は、切断刃41と接触し、刃押出部材42が前向きに移動する過程において、切断刃41を駆動して前向きに移動させ、それにより、組織を切断し、かつステープルビンアセンブリ内のステープルを放出して組織を吻合することができる。
【0035】
刃押出部材42と切断刃41との接続方式は、刃押出部材42が切断刃41に固定接続され、切断と吻合を行う過程において、切断刃41がジョーアセンブリのステープルビンシート31とステープルレジストシート32との間に形成された空間内に位置し、刃押出部材42に固定接続されるため、刃押出部材42に駆動されて前向き及び後向きに移動することができる第1種の接続方式と、刃押出部材42が切断刃41に分離可能に接続され、このような方式で、切断刃41がステープルビンアセンブリ内に取り付けられ、かつステープルビンアセンブリの取り付けに伴ってステープルビンシート31内に位置し、切断と吻合を行う過程において、刃押出部材42がコアシャフト21に駆動されて切断刃41に当接するまで前向きに移動し、刃押出部材42がコアシャフト21に駆動されて前向きに継続的に移動する場合、切断刃41を駆動して前向きに移動させることができ、刃押出部材42がコアシャフト21に駆動されて後向きに移動する場合、刃押出部材42が切断刃41から離れ、それにより、切断刃41がそのままの位置に留まり、刃押出部材42と共に後向きに移動せず、その後、ステープルビンアセンブリを交換する場合、ステープルビンアセンブリと共に取り出される第2種の接続方式とを含む。
【0036】
刃押出部材42と切断刃41の第1種の接続方式において、切断刃41は、刃押出部材42に固定接続され、繰り返して使用することができ、ステープルビンアセンブリを取り付けるたびに交換する必要がなく、ユーザー体験がより便利になる。刃押出部材42と切断刃41の第2種の接続方式において、刃押出部材42が刃逃げ動作を実行する場合、切断刃41が刃押出部材42から離れ、それにより、刃押出部材42が初期位置に後退できなくても、ステープルビンアセンブリの交換に影響を与えず、高い安全性を有する。
【0037】
これにより、モータ80は、まず、伝動機構により、ジョーアセンブリを駆動して閉鎖させて組織をクランプし、次に、伝動機構により、刃押出部材42を駆動することで切断刃41を駆動して前進させて組織を切断して吻合し、次に、伝動機構により、刃押出部材42を駆動して後退させ、最後に、伝動機構により、ジョーアセンブリを駆動して開放させて組織をアンクランプし、それにより、吻合器の切断及び吻合の全体的な機能を実現する。
【0038】
図2に示すように、電動吻合器100は、トリガー60及び制御モジュール90を含み、電源モジュールに接続される。制御モジュール90は、操作ハンドル10内に収容され、具体的には、回路基板アセンブリ90’である。制御モジュール90は、トリガー60及びモータ80に電気的に接続され、検出ユニット、制御ユニット、スイッチ駆動ユニット及びスイッチユニットを含む。検出ユニットは、トリガー60の状態を検出し、当該トリガーがトリガーされた場合、対応する信号を制御ユニットに伝送し、制御ユニットは、信号を分析処理して吻合器を制御する。当該制御ユニットは、例えば、マイクロプロセッサ又はプロセッサ、当該(マイクロ)プロセッサにより実行可能なコンピュータ可読プログラムコード(例えば、ソフトウェア又はファームウェア)を記憶するコンピュータ可読媒体、論理ゲート、スイッチ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、プログラマブルロジックコントローラ、及び組み込みマイクロコントローラの形式などを用いることができる。
【0039】
トリガー60は、モータの作動状態を制御するモータ制御トリガーを含む。制御ユニットは、当該種類のトリガーから、モータ80を制御する信号を受信する場合、対応する低電圧のPWM信号を生成してスイッチ駆動ユニットに入力し、スイッチ駆動ユニットは、入力された低電圧のPWM信号をスイッチユニットが利用可能な高電圧のPWM信号に変換して、スイッチユニットに出力し、それにより、スイッチユニットのオンオフを制御する。電源モジュールは、スイッチユニットによりモータ80の両端に接続され、スイッチユニットのオンオフの周波数は、電源モジュールがモータ80に給電するか又は停電することを決定し、それにより、モータ80の作動状態、すなわち、モータの回転速度及び方向を決定する。
【0040】
本実施例において、スイッチユニットは、Hブリッジを構成する4つのMosスイッチを含み、Hブリッジを構成するMosスイッチのオンオフは、電源モジュールがモータ80に給電するか又は停電することを決定し、スイッチ駆動ユニットは、Mos駆動チップである。また、Hブリッジの設計により、制御ユニットは、Hブリッジを制御してモータの正転又は逆転を実現することができる。なお、モータに対する上記Hブリッジの制御及び正逆転の制御は、いずれも従来技術であり、説明を省略する。制御ユニットは、マイクロコントローラチップである。
【0041】
切断刃アセンブリ40の組織切断機能を実現するために、モータ制御トリガーは、ユーザがトリガーするための始動ユニット61と、ユーザがトリガーするための刃逃げユニット62とを含み、始動ユニット61は、刃送り動作を表す始動信号及び刃送り動作の停止を表す始動停止信号を送信し、刃逃げユニット62は、刃逃げ動作を表す刃逃げ信号及び刃逃げ動作の停止を表す刃逃げ停止信号を送信する。具体的には、使用者は、始動ユニット61及び刃逃げユニット62をタッチするか又は押すか又は緩めることにより信号を入力して、モータ80の起動及び停止を制御することができる。
【0042】
一実施例において、
図4及び
図5に示すように、始動ユニット61及び刃逃げユニット62は、それぞれ操作ハンドル10に設置された使用者がハンドル10を操作する場合にトリガーすることができるキーを有し、始動ユニット61に対応するキーは、第1のキー71であり、刃逃げユニット62に対応するキーは、第2のキー72であり、使用者は、キーを押すか又はキーを押した後に緩めることにより、対応する信号をトリガーすることができ、かつ制御モジュール90の検出ユニットにより制御ユニットに電気信号を入力する。
【0043】
始動ユニット61及び刃逃げユニット62は、いずれも常開型スイッチであってもよく、始動ユニット61及び刃逃げユニット62は、ユーザーのトリガーに基づいて対応する信号を出力することができ、制御モジュール90は、それぞれ始動ユニット61及び刃逃げユニット62からの信号を受信してモータの作動状態(起動又は停止)を制御し、それにより吻合器の対応する動作を実行する。
【0044】
本実施形態では、ユーザーは、第1のキー71を操作して、始動ユニット61がトリガーされ、制御モジュール90は、始動信号が検出された場合、モータ80を制御して作動させ、刃押出部材42を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を実行させる。第1のキー71の操作を停止する場合、始動ユニット61がトリガーされず、制御モジュール90は、始動停止信号を検出して、モータ80を制御して停止させる。
【0045】
使用時に、始動ユニット61のトリガー状態に基づいて、対応する異なる信号を与える。トリガー状態は、トリガー及び非トリガーを含み、ユーザーが始動ユニット61をトリガーする場合、ハイレベル信号を出力し、ユーザーが始動ユニット61をトリガーしない場合、ローレベル信号を出力する。上記始動信号は、ローレベルからハイレベルに変換する突然の変化であり、上記始動停止信号は、ハイレベルからローレベルに変換する突然の変化であり、このように、ユーザーが始動ユニット61を継続的にトリガーする場合、刃押出部材42が始動動作を継続的に実行し、始動ユニット61をトリガーすることを停止する場合、直ちに始動動作を停止することを実現する。
【0046】
或いは、上記始動信号は、ローレベルからハイレベルへの奇数回目の突然の変化であり、始動停止信号は、ローレベルからハイレベルへの偶数回目の突然の変化である。それにより、ユーザーが初めて第1のキー71を操作する場合、始動ユニット61がトリガーされ、制御モジュール90は、始動信号が検出されて、モータ80を制御して作動させ、再び第1のキー71を操作する場合、始動ユニット61が再びトリガーされ、制御モジュール90は、始動停止信号が検出されて、モータ80を制御して停止させる。或いは、いくつかの実施例において、始動ユニット61は、0.5sのような所定の時間が設定された第1のタイマーモジュールをさらに含む。始動ユニット61がトリガーされる場合、第1のタイマーモジュールが同時にオンになり、計時を開始し、計時が所定の時間である0.5sに達するとき、第1のタイマーモジュールがオフになり、計時をクリアする。制御モジュール90は、計時クリアが検出された場合、始動停止信号であると判断し、モータ80を制御して停止させる。それにより、制御モジュール90は、始動ユニット61の第1のタイマーモジュールの計時クリアが検出された場合、始動停止信号であると判断し、モータ80を制御して停止させ、制御モジュール90は、第1のタイマーモジュールのオンが検出された場合、始動信号であると判断し、モータ80を制御して作動させるように構成される。
【0047】
本実施形態において、刃送り動作中において、制御モジュール90は、始動停止信号が検出された場合、モータ80を制御して停止させることにより、刃押出部材42の動作を停止させる。刃押出部材42が刃送り動作中に初期位置と完全押出位置との間のいずれかの中間点に停止する場合、ユーザーが第2のキー72を操作することにより、刃逃げユニット62をトリガーする場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出されてモータ80を制御して作動させることにより、刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を実行させることができ、刃逃げ動作中に、制御モジュール90は、刃逃げ停止信号が検出された場合にモータ80を制御して停止させることにより、刃押出部材42の刃逃げ動作を停止させることができる。
【0048】
本実施例において、始動ユニット61により段階的な始動を実現することができ、刃送り動作が停止する場合、刃逃げユニット62により段階的な刃逃げを実現することができ、従来の電動吻合器100の刃押出部材42が刃逃げ動作を実行する場合にワンステップで初期位置に後退する方式とは異なり、当該刃逃げユニット62は、刃押出部材42を制御して段階的な刃逃げ動作を実行させることができ、より多くの観察及び操作時間を提供し、医者は、複雑な手術状況に応じて自分で制御することができ、操作性を向上させ、手術によりよいサービスを提供することができ、ユーザー体験が高い。例えば、段階的な刃逃げ過程がより多くの操作時間を提供するため、医師は、切断された組織を使い捨て医療用回収バッグに正確に入れ、健康組織を汚染することを回避し、最後に回収バッグを取り出すことができる。
【0049】
使用時に、ユーザーは、第2のキー72を操作することにより、刃逃げユニット62のトリガー状態に基づいて、対応する信号を与えることができ、刃逃げユニット62により刃逃げ信号及び刃逃げ停止信号を出力する原理は、上記始動ユニット61と同じであり、本明細書は、ここでは説明を省略する。
【0050】
刃押出部材42は、伝動機構に駆動されて移動し、外科手術に使用される吻合器の動作方式に基づいて、刃押出部材42の移動は、固定長さの移動ストロークを有し、かつ伝動機構に駆動されて移動ストローク内に前向き又は後向きに移動する。移動ストロークの最遠端は、前向きに移動する前死点であり、すなわち、前述の完全押出位置であり、最近端は、前向きに移動する起点と、後向きに移動する後死点であり、すなわち、前述の初期位置である。始動する前に、刃押出部材42は、初期位置に位置し、始動している場合、刃押出部材42は、初期位置から完全押出位置へ移動し、組織を切断して、移動ストロークの中間点、すなわち、初期位置と完全押出位置との間の位置に停止するか、又は最終的に完全押出位置に到達する。刃逃げ動作を実行する場合、刃押出部材42は、中間点又は完全押出位置から後方へ移動する。
【0051】
刃押出部材42が完全押出位置に到達しない場合、刃押出部材42の刃送り動作及び刃逃げ動作に基づいて、刃押出部材42が刃送り動作中に初期位置と完全押出位置との間に停止する第1の状態を有し、すなわち、刃押出部材42が刃送り動作を実行する場合に移動ストロークの中間点に停止し、及び第1の状態で刃逃げ動作を実行して初期位置と完全押出位置との間に停止する第2の状態を有し、すなわち、第1の状態から刃逃げ動作に入る場合に移動ストロークの中間点に停止すると定義する。ユーザーが始動ユニット61から送信された始動停止信号により、刃押出部材42を移動ストロークの第1の中間点に停止させ、すなわち、完全押出位置に到達しない場合、第1の状態にあり、また、刃逃げユニット62により、刃押出部材42を制御して刃逃げ動作を実行させた後に移動ストロークの第2の中間点に停止させ、すなわち、初期位置に後退しない場合、第2の状態にある。
【0052】
第1の状態及び第2の状態にある場合、始動ユニット61は、いずれも有効状態にあり、制御モジュール90は、始動信号が検出された場合、モータ80を制御して作動させ、刃押出部材42を駆動して刃送り動作を継続的に実行させる。それにより、第1の状態において、刃押出部材42は、始動したが、完全押出位置に到達せずに停止する状態で、段階的な刃逃げ動作を実行することができ、かつ段階的な刃逃げ動作が停止した後に第2の状態に入ることができ、第2の状態において、始動ユニット61は、有効であり、さらに刃押出部材42を制御して刃送り動作を継続的に実行させることができ、それにより「ジッパー」のような機能を実現する。
【0053】
さらに、刃押出部材42が第1の状態にある場合、刃押出部材42の切断刃41に近い端部は、第1の停止位置、すなわち、前述の第1の中間点を有し、刃押出部材42が第2の状態にある場合、刃押出部材42の切断刃41に近い端部は、第2の停止位置、すなわち、前述の第2の中間点を有し、第2の停止位置が第1の停止位置の後方に位置するか、又は第2の停止位置と第1の停止位置とが重なる。
【0054】
刃送り動作中に、切開しにくい組織の場合、前端の切断刃41は、塞がれてゆっくりと前進するか又は前進できず、刃押出部材42は、その長いシート状の構造により、このとき、後端の伝動機構から伝達された推進力を継続的に受けて、曲がりやすくてスリーブ22の内壁に接触するため、スリーブ22の内壁との間に大きな摩擦力が発生し、さらに刃送り動作を阻止する。上記解決手段を用いて、第1の状態で刃逃げユニット62をトリガーして刃逃げ動作を実行すると、刃押出部材42を制御して伸ばし状態に復帰させることができる。刃押出部材42が伸ばし状態に復帰する過程において、主に刃押出部材42の切断刃41から離れた、コアシャフト21に接続された後端が伝動機構によって後向きに引っ張られることにより、刃押出部材42を曲げ状態から伸ばし状態に復帰させ、刃押出部材42の切断刃41に近接する前端の位置は、変わらない又は一定の距離後退する可能性がある。
【0055】
刃押出部材42が完全押出位置に到達する場合、刃押出部材42が既に完全押出され、制御モジュール90は、無効状態になるように始動ユニット61を制御し、刃押出部材42が刃送り動作を実行しない。
【0056】
刃押出部材42が第1の状態にある場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された場合、刃押出部材42を制御して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃逃げ動作中に刃逃げ停止信号が検出された場合、刃押出部材42を制御して刃逃げ動作を停止させ、刃押出部材42が刃逃げ動作を停止する場合に初期位置に到達しなく、即ち刃押出部材42が刃逃げ動作を完了せず、同時に刃押出部材42が完全押出位置に到達しないと、始動ユニット61が有効状態にあり、始動ユニット61をトリガーする場合、刃押出部材42が依然として刃送り動作を実行することができる。それにより、刃押出部材42の「ジッパー」機能は、電動吻合器100の始動能力を向上させることができ、例えば、上記切開しにくい組織の場合、刃押出部材42が刃送り動作中に曲がりやすくてスリーブ22の内壁に接触するため、刃押出部材42とスリーブ22の内壁との間に大きな摩擦力が発生し、刃送り動作を継続的に実行することができず、刃逃げユニット62をトリガーすることにより、刃押出部材42を制御して一定距離の刃逃げ動作を実行させると、刃押出部材42を伸ばし状態に復帰させることができ、刃押出部材42とスリーブ22の内壁との間の摩擦をなくし、このとき、さらに始動ユニット61をトリガーすることにより、切開しにくい組織領域を一挙に通過し、刃送り動作を完了することができる。
【0057】
また、刃押出部材42の「ジッパー」機能は、電動吻合器100のフォールトトレランス能力を向上させることができ、通常の使用過程において、刃押出部材42を段階的に始動させて中間点に停止させる場合、ユーザーが刃逃げユニット62を誤ってトリガーして刃押出部材42が刃逃げ動作を実行して停止すると、初期位置に後退しない限り、ユーザーは、始動ユニット61を操作することにより、再び始動することを実現することができ、それにより、残りのステープルビンを継続的に使用して、理想的な手術効果を得ることができる。
【0058】
第1の状態において、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された場合、刃押出部材42を制御して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、刃押出部材42が刃逃げ動作を停止する場合に初期位置に到達すると、刃押出部材42が刃逃げ動作を完了し、このとき、制御モジュール90は、有効状態から無効状態になるように始動ユニット61を制御し、刃押出部材42が始動することができず、それにより、吻合部位を再切断して、患者の損傷を引き起こすことを防止する。
【0059】
上記始動ユニット61の無効状態とは、当該ユニットがトリガーされるが、吻合器が動作を実行しないことを指し、有効状態とは、当該ユニットがトリガーされて、吻合器が対応する動作を実行することを指す。本実施例において、無効状態で始動ユニット61がトリガーされると、始動ユニット61は、依然として1つの信号を制御モジュール90に送信するが、制御モジュール90は、当該信号を分析処理せず、当該信号に基づいてモータ80に命令して動作させることはない。逆に、有効状態で始動ユニット61がトリガーされると、制御モジュール90は、当該信号に基づいてモータ80を制御して正転させる。
【0060】
本実施例において、モータ制御トリガーは、第1の位置検出ユニット68及び第2の位置検出ユニット67をさらに含み、モータ80の停止を制御する。第1の位置検出ユニット68及び第2の位置検出ユニット67は、操作ハンドル10内に設置され、かつ使用者が手で直接トリガーできない位置に位置する。第1の位置検出ユニット68及び第2の位置検出ユニット67は、切断刃アセンブリ40の位置を検出して刃押出部材42が完全押出位置に到達するか又は初期位置に後退するか否かを判断し、かつ制御モジュール90によりモータ80を停止させることにより、刃押出部材42の移動を停止させる。
【0061】
本実施例において、伝動機構は、係合部を含み、係合部は、第1のバンプ及び第2のバンプを含む。第1の位置検出ユニット68及び第2の位置検出ユニット67は、スイッチ機構であってもよく、伝動機構がコアシャフト21により刃押出部材42及び切断刃41を駆動して前向きに移動させる過程において、前死点、すなわち、完全押出位置に到達する場合、第1のバンプが第2の位置検出ユニット67をトリガーし、制御モジュール90が第2の位置検出ユニット67から送信された第2の所定位置到達信号を受信し、かつモータ80に対して回転の停止を命令し、このとき、切断刃アセンブリ40が完全押出位置に到達する。伝動機構がコアシャフト21により刃押出部材42を駆動して後向きに移動させる過程において、後死点、すなわち、初期位置に到達する場合、第2のバンプが第1の位置検出ユニット68をトリガーし、制御モジュール90が第1の位置検出ユニット68から送信された第1の所定位置到達信号を受信し、かつモータ80に対して回転の停止を命令し、このとき、刃押出部材42が刃逃げ動作を完了し、すなわち、初期位置に後退する。なお、第1のバンプ及び第2のバンプは、1つのバンプであってもよく、上記1つのバンプは、前向きに移動する過程において第2の位置検出ユニット67をトリガーし、後向きに移動する過程において第1の位置検出ユニット68をトリガーする。このとき、係合部は、上記1つのバンプを含む。
【0062】
さらに、ユーザーが始動ユニット61をトリガーし、かつトリガーを保持する場合、モータ80は、刃押出部材42の前端の切断刃41が第2の位置検出ユニット67をトリガーするまで、伝動機構により刃押出部材42を駆動して刃送り動作を実行させ、制御モジュール90は、第2の所定位置到達信号を受信した後、モータ80を制御して停止させ、かつ無効状態になるように始動ユニット61を制御し、それにより、刃送り動作をしないように切断刃アセンブリ40を制御する。
【0063】
一実施形態において、制御モジュール90は、第2の所定位置到達信号に基づいて、モータ80を制御して停止させることができ、かつ始動停止信号が検出された場合、刃押出部材42を制御して初期位置に到達するまで刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を駆動することができる。例えば、刃送り動作中に、ユーザーが始動ユニット61をトリガーし、かつトリガーを保持する場合、第2の位置検出ユニット67をトリガーするまで刃押出部材42が刃送り動作を継続的に実行することができ、制御ユニットがモータ80を制御して停止させ、このとき、ユーザーが始動ユニット61をトリガーせず、始動停止信号を与える場合、制御ユニットは、刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を制御し、刃押出部材42が第1の位置検出ユニット68をトリガーして停止するまで後向きに移動する。それにより、刃押出部材42が完全押出位置に到達する場合、始動ユニット61を緩めることにより、自動的にワンステップで初期位置に後退し、使用者の操作時間を節約する。
【0064】
一実施形態において、制御モジュール90は、第2の所定位置到達信号に基づいて、モータ80を制御して停止させることができ、かつ検出された刃逃げ信号に基づいて、刃押出部材42を制御して刃逃げ動作を実行させることができる。刃押出部材42が完全押出位置に到達する場合、伝動機構の係合部により第2の位置検出ユニット67をトリガーし、制御モジュール90は、第2の所定位置到達信号を受信してモータ80を制御して停止させ、刃逃げ動作を実行する必要がある場合、ユーザーが刃逃げユニット62を操作することにより、刃逃げ信号を与え、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された後、刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を制御する。
【0065】
本実施形態において、刃押出部材42が刃送り動作を実行して完全押出位置に到達する場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された場合、刃押出部材42を駆動して初期位置に到達するまで完全押出位置から離れて初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を制御する。具体的には、刃押出部材42が刃送り動作を実行して完全押出位置に到達する場合、伝動機構の係合部により第2の位置検出ユニット67をトリガーし、制御モジュール90は、第2の所定位置到達信号を受信してモータ80を制御して停止させ、このとき、ユーザが刃逃げユニット62をトリガーする場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された後、刃押出部材42が第1の位置検出ユニット68をトリガーして停止するまで、刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を制御し、それにより、手動でワンステップで初期位置に後退する方式を実現し、動作中に刃逃げ停止信号を受信したか否かを問わない。当該方式において、刃逃げユニット62は、ワンステップで初期位置に後退する刃逃げ動作の開始信号を提供し、ワンステップで初期位置に後退する過程において、ユーザが刃逃げユニット62を継続的にトリガーする必要がなく、かつ始動ユニット61は、常に無効状態を保持する。或いは、刃押出部材42が刃送り動作を実行して完全押出位置に到達する場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された場合、刃押出部材42を駆動して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を制御し、刃逃げ動作中に、制御モジュール90は、刃逃げ停止信号が検出された場合、刃押出部材42を制御して刃逃げ動作を停止させる。
【0066】
刃押出部材42は、完全押出位置に到達した後に刃逃げ動作を実行して初期位置と完全押出位置との間に停止する第3の状態を有し、第3の状態にある場合、制御モジュール90は、無効状態を保持するように始動ユニット61を制御し、それにより、刃送り動作をしないように刃押出部材42を制御する。刃押出部材42が完全押出位置に到達する場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出された場合、刃押出部材42を駆動して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させるようにモータ80を制御し、刃逃げ動作中に、制御モジュール90は、刃逃げ停止信号が検出された場合、刃押出部材42を制御して刃逃げ動作を停止させ、すなわち、第3の状態にある。刃押出部材42の第1の状態及び第2の状態とは異なり、刃押出部材42が第3の状態にある場合に始動ユニット61が無効状態を保持するため、刃押出部材42は、刃送り動作を実行することができない。
【0067】
いくつかの実施例において、ユーザーが刃逃げユニット62をトリガーする場合、制御モジュール90は、刃逃げ信号が検出されてモータ80を制御して作動させ、切断刃アセンブリ40の刃押出部材42を駆動して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、ユーザーが刃逃げユニット62をトリガーしない場合、制御モジュール90は、刃逃げ停止信号が検出されてモータ80を制御して停止させる。それにより、使用時に、使用者が刃逃げユニット62を継続的にトリガーする場合、刃押出部材42が第1の位置検出ユニット68をトリガーして自動的に停止するまで、刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を継続的に実行させることができ、或いは、使用者が刃逃げユニット62をトリガーする場合、刃押出部材42が刃逃げ動作を実行し、刃逃げ中に使用者が刃逃げユニット62をトリガーしない場合、モータ80が直ちに停止し、刃押出部材42が刃逃げ動作を停止し、それにより、刃逃げユニット62を複数回トリガーすることにより、刃押出部材42が第1の位置検出ユニット68をトリガーして自動的に停止するまで、刃押出部材42の段階的な刃逃げ(徐々に刃逃げ)を実現し、それにより、初期位置に後退するまで手動で段階的に刃逃げ動作を実行する方式を実現する。
【0068】
刃押出部材42の刃送り動作及び刃逃げ動作は、モータ80の正転及び逆転により実現されることができる。すなわち、モータ80の出力軸の回転方向は、第1の方向及び第2の方向を含み、第1の方向と第2の方向とは逆であり、第1の方向を正転方向として定義すると、第2の方向は、逆転方向である。制御ユニットがモータ80を駆動して正転させる場合、モータ80は、伝動機構により刃押出部材42を駆動して刃送り動作を実行させることができ、制御ユニットがモータ80を駆動して逆転させる場合、モータ80は、伝動機構により刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を実行させることができる。
【0069】
本明細書において、同一のモータ80を用いて刃押出部材42の刃送り動作及び刃逃げ動作とジョーアセンブリのジョー開放及びジョー閉鎖動作に動力を提供する。1つの実行周期内に、電動吻合器が順にジョー閉鎖動作、始動動作、刃逃げ動作及びジョー開放動作を完了して動作過程全体を完了させる必要があり、動作過程全体に対応する上記4つの動作は、制御モジュール90がモータ80の正転、正転、逆転及び逆転を順に駆動することにより順に駆動され、最終的にジョー閉鎖動作、始動動作、刃逃げ動作及びジョー開放動作を順に実行することを実現することができる。
【0070】
ジョーの開閉機能を実現するために、モータ制御トリガーは、ユーザーがジョー閉鎖動作を表すジョー閉鎖信号をトリガーするためのジョー閉鎖ユニット63、及びユーザーがジョー開放動作を表すジョー開放信号をトリガーするためのジョー開放ユニット64をさらに含み、制御モジュール90は、ジョー閉鎖信号が検出された場合、ジョーアセンブリを制御してジョー閉鎖動作を実行させ、すなわち、ステープルレジストシート32が下向きに枢動してジョーアセンブリを閉鎖し、制御モジュール90は、ジョー開放信号が検出された場合、ジョーアセンブリを制御してジョー開放動作を実行させ、すなわち、ステープルレジストシート32が上向きに枢動してジョーアセンブリを開放する。具体的には、使用者は、ジョー閉鎖ユニット63及びジョー開放ユニット64をタッチするか又は押すことにより信号を入力して、モータ80の起動及び停止を制御することができる。
【0071】
一実施例において、
図4に示すように、ジョー開放ユニット64及びジョー閉鎖ユニット63は、それぞれ操作ハンドル10に設置された1つのキーを有し、ジョー閉鎖ユニット63に対応するキーが第3のキーであり、ジョー開放ユニット64に対応するキーが第4のキーであり、使用者は、キーを押すことにより対応する信号をトリガーし、かつ制御モジュール90の検出ユニットにより制御ユニットに電気信号を入力することができる。ユーザーが第3のキーを操作する場合、ジョー閉鎖ユニット63がトリガーされ、制御モジュール90は、モータ80を制御して正転させることにより、ジョーアセンブリを駆動してジョー閉鎖動作を実行させ、第3のキーの操作を停止する場合、ジョー閉鎖ユニット63がトリガーされず、制御モジュール90は、モータ80を制御して停止させ、ユーザーが第4のキーを操作する場合、ジョー開放ユニット64がトリガーされ、制御モジュール90は、モータ80を制御して逆転させることにより、ジョーアセンブリを駆動してジョー開放動作を実行させ、第4のキーの操作を停止する場合、ジョー開放ユニット64がトリガーされず、制御モジュール90は、モータ80を制御して停止させる。
【0072】
別の実施例において、
図5に示すように、ジョー閉鎖ユニット63及び始動ユニット61は、ジョー閉鎖/始動ユニット61’に一体化され、具体的には、第1のキー71であり、刃逃げユニット62及びジョー開放ユニット64は、ジョー開放/刃逃げユニット62’に一体化され、具体的には、第2のキー72であり、それにより、モータ80の正転を制御するトリガースイッチは、同一のスイッチユニットである。当該吻合器は、ジョー閉鎖動作、始動動作、刃逃げ動作、及びジョー開放動作を順に実行して動作過程全体を完了させることにより、動作過程全体の上記4つの動作を対応してトリガーし、第1のキー71、第1のキー71、第2のキー72、及び第2のキー72を順に押すことにより、制御モジュール90によりモータ80の正転、正転、逆転、及び逆転を駆動し、最終的に上記全ての動作を順に完了させる。
【0073】
さらに、ステープルレジストシート32は、枢動する場合に完全閉鎖位置と完全開放位置との間で双方向に移動し、完全閉鎖位置は、ステープルレジストシート32がステープルビンシート31に最も近い位置に枢動する位置であり、このとき、ジョーアセンブリが完全に閉鎖し、完全開放位置は、ステープルレジストシート32がステープルビンシート31から最も遠い位置に枢動する位置であり、このとき、ジョーアセンブリが完全に開放する。モータ制御トリガーは、第3の位置検出ユニット65及び第4の位置検出ユニット66をさらに含み、モータ80の停止を制御する。第3の位置検出ユニット65は、ジョーアセンブリが完全に閉鎖するか否かを検出し、かつ制御モジュール90によりモータ80を停止させることにより、ステープルレジストシート32の枢動を停止させ、第4の位置検出ユニット66は、ジョーアセンブリが完全に開放するか否かを検出し、かつ制御モジュール90によりモータ80を停止させることにより、ステープルレジストシート32の枢動を停止させる。
【0074】
本実施例において、伝動機構の係合部は、第3のバンプ及び第4のバンプをさらに含む。第3の位置検出ユニット65及び第4の位置検出ユニット66は、スイッチ機構であってもよく、伝動機構がスリーブ22を駆動して前向きに移動させることにより、ステープルレジストシート32を駆動して閉鎖回転させる過程において、ステープルレジストシート32が完全閉鎖位置に到達する場合、第3のバンプが第3の位置検出ユニット65をトリガーし、制御モジュール90が第3の位置検出ユニット65から送信された信号を受信し、かつモータに対して正転の停止を命令し、このとき、ジョーアセンブリが既に完全に閉鎖し、ジョー閉鎖状態にある。伝動機構がスリーブ22を駆動して後向きに移動させることによりステープルレジストシート32を駆動して開放回転させる過程において、ステープルレジストシート32が完全開放位置に到達し、第4のバンプが第4の位置検出ユニット66をトリガーし、制御モジュール90が第4の位置検出ユニット66から送信された信号を受信し、かつモータに対して逆転の停止を命令し、このとき、ジョーアセンブリが既に完全に開放し、ジョー完全開放状態にある。なお、第3のバンプ及び第4のバンプは、1つのバンプであってもよい。
【0075】
伝動機構は、第1のアセンブリによりスリーブ22を駆動して移動させ、さらにジョーアセンブリを駆動して開閉させることができ、伝動機構は、第2のアセンブリによりコアシャフト21を駆動して移動させ、さらに刃押出部材42を駆動して刃送り動作及び刃逃げ動作を実行させ、第1のアセンブリと第2のアセンブリは、同時に動作せず、それによりジョーアセンブリと刃押出部材42との間の動作論理関係を満たす。第1のアセンブリは、第1のバンプ及び第2のバンプを含み、或いは、第1のアセンブリは、第1のバンプ及び第2のバンプに代わる1つのバンプを含む。第2のアセンブリは、第3のバンプ及び第4のバンプを含み、或いは、第2のアセンブリは、第3のバンプ及び第4のバンプに代わる1つのバンプを含む。
【0076】
別の実施例において、
図6に示すように、トリガー60は、ユーザーの操作により手動でトリガーされ、制御モジュール90に電気的に接続される安全スイッチ69をさらに含む。安全スイッチ69は、操作ハンドル10に設置された1つのキーを有してもよく、ユーザーは、キーを操作して、対応するスイッチをトリガーすることができ、当該スイッチは、検出ユニットにより制御ユニットに電気信号を入力する。制御モジュール90は、所定の時間、例えば15sが設定されたタイマーユニットをさらに含み、タイマーユニットがオンになると、計時を開始し、計時が所定の時間に達すると、タイマーユニットがオフになり、計時をクリアする。タイマーユニットは、マイクロコントローラから独立した回路モジュールであってもよく、マイクロコントローラ自身のタイマーユニットであってもよい。吻合器は、制御ユニットに電気的に接続された計時表示モジュール110をさらに含み、当該計時表示モジュールは、タイマーユニットが所定の時間に達することを指示し、ユーザーに当該状態を知らせる第1の機能と、タイマーユニットの計時動作のリアルタイムな時間を指示し、ユーザーに提供して経過時間を知らせる第2の機能とを有し、タイマーユニットがオンになると、制御モジュール90は、同時に計時表示モジュール110をオンにする。例えば、タイマーユニットが10s計時する場合、計時表示モジュール110は、10s経過したことを指示する。1つの操作周期において、ジョーアセンブリが開放状態から閉鎖状態になる場合のみ、安全スイッチ69がトリガーされて有効になるとともに、タイマーユニット及び計時表示モジュール110がオンになり、計時中に、ユーザーは、無効になった始動ユニット61を操作して始動動作を行うことができず、タイマーユニットがオフになる場合のみ、始動ユニット61が有効になり、それにより後続の始動動作を行うことができる。
【0077】
これにより、安全スイッチ69、タイマーユニット、及び計時表示モジュール110は、ユーザーに組織を十分に押圧したことを知らせることを容易にする押圧保持機構を形成し、押圧保持機構は、ジョーアセンブリの対象組織に対する押圧を一定の時間持続させることにより、組織液を十分に排出することができ、すなわち、押圧保持機構は、一定の時間内に刃押出部材42が前向きに移動することを許可せず、かつジョーアセンブリが閉鎖することを保持してジョーアセンブリの組織に対する押圧効果を向上させることができる。
【0078】
他の実施例において、ダブルモータを用いて駆動力を提供し、1つのモータは、刃押出部材42を駆動して始動動作及び刃逃げ動作を実行させ、もう1つのモータは、ジョーアセンブリを駆動してジョー開放動作及びジョー閉鎖動作を実行させ、当該実施例において、同様に上記第1~第4の位置検出ユニットを利用することができるが、制御されたモータが異なるという点で相違し、同様に上記刃逃げユニット及び刃逃げユニットの制御ロジックを利用して、同じ「ジッパー」機能、上記段階的な刃逃げ機能などを実現することができ、当業者であれば理解しやすく、ここでは説明を省略する。
【0079】
本明細書は、電動吻合器の制御方法をさらに提供し、
図1~
図7に示すように、当該電動吻合器100は、切断刃アセンブリ40と、モータ80とを含み、切断刃アセンブリ40は、刃押出部材42を含み、モータ80は、刃押出部材42を駆動して移動させ、前記制御方法は、以下のステップS10~ステップS30を含む。
【0080】
ステップS10では、モータ80を制御して第1の方向に沿って回転させ、モータ80は、刃押出部材42を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を実行させ、
ステップS20では、刃押出部材42が完全押出位置に到達しない場合、モータ80を制御して第2の方向に沿って回転させ、第2の方向は第1の方向と逆であり、モータ80は、刃押出部材42を駆動して初期位置に向かって刃逃げ動作を実行させ、
ステップS30では、刃押出部材42が初期位置に後退しない場合、モータ80を制御して第1の方向に沿って回転させ、モータ80は、刃押出部材42を駆動して完全押出位置に向かって刃送り動作を継続的に実行させる。
【0081】
一実施例において、当該第1の方向は、正転方向であり、第2の方向は、逆転方向である。制御ユニットがモータ80を駆動して正転させる場合、モータ80は、刃押出部材42を駆動して刃送り動作を実行させることができ、制御ユニットがモータ80を駆動して逆転させる場合、モータ80は、刃押出部材42を駆動して刃逃げ動作を実行させることができる。
【0082】
当該制御方法において、刃押出部材42が完全押出位置に到達しない場合、使用者が誤ってトリガーして刃押出部材42の刃逃げを招くと、モータ80を制御して停止させることにより、刃逃げ動作を停止させることができる。刃押出部材42が後死点に到達しない場合、モータ80を制御して正転させることにより、刃押出部材42を駆動して再び始動させ、それにより、ジョーアセンブリ内の残りのステープルビンを継続的に使用して、理想的な手術効果を得ることができる。
【0083】
切開しにくい組織のため、始動できない場合、モータ80を制御して逆転させることにより、モータ80は、刃押出部材42を駆動して一定距離の刃逃げ動作を実行させた後に伸ばし状態に復帰させることができる。さらに、モータ80を制御して正転させ、モータ80は、刃押出部材42を駆動して切開しにくい組織領域を一挙に通過し、刃送り動作を完了し、それにより電動吻合器100の始動能力を向上させる。
【0084】
以上の実施例は、当業者が本願の内容を理解して実施することができるように、本願の技術的思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。本願の趣旨に基づいて成された同等の変形や改善は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【0085】
開示された全ての文章及び参考資料(特許出願及び刊行物を含む)は、種々の目的のために引用により本明細書に組み込まれる。組み合わせを説明するための用語「基本的に…からなる」は、確定した素子、成分、部品又はステップ及び実質的に該組み合わせの基本的な新規性要件に影響を及ぼさない他の素子、成分、部品又はステップを含むと考えられる。本明細書において、「含める」又は「含む」という用語でここの素子、成分、部品又はステップの組合せを説明することについて、基本的にこれらの素子、成分、部品又はステップからなる実施形態も考えられる。ここで、用語「できる(であってもよい、可能)」を使用することによって、「できる(であってもよい、可能)」に含まれる説明したいかなる属性も選択可能であると説明することを図る。
【0086】
複数の素子、成分、部品又はステップは、単独な集積素子、成分、部品又はステップによって提供されることができる。又は、単独な集積素子、成分、部品又はステップは、分離した複数の素子、成分、部品又はステップに分けることができる。素子、成分、部品又はステップを説明するために開示した「ある」又は「1つ」は、他の素子、成分、部品又はステップを除外するものではない。
【0087】
以上の説明は制限するためのものではなく、図示を説明するためのものであると考えられることができる。上記説明を閲覧することによって、提供された例示以外の多くの実施形態及び多くの応用は、当業者にとって自明なものである。全面的になる目的のために、全ての文章及び参考資料(特許出願と刊行物を含む)は、引用により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0088】
100 電動吻合器
10 操作ハンドル
20 ロッドアセンブリ
21 コアシャフト
22 スリーブ
30 エンドエフェクタ
31 ステープルビンシート
32 ステープルレジストシート
40 切断刃アセンブリ
41 切断刃
42 刃押出部材
60 トリガー
61 始動ユニット
62 刃逃げユニット
63 ジョー閉鎖ユニット
64 ジョー開放ユニット
61’ ジョー閉鎖/始動ユニット
62’ ジョー開放/刃逃げユニット
65 第3の位置検出ユニット
66 第4の位置検出ユニット
67 第2の位置検出ユニット
68 第1の位置検出ユニット
69 安全スイッチ
71 第1のキー
72 第2のキー
80 モータ
90 制御モジュール
90’ 回路基板アセンブリ
110 計時表示モジュール
【国際調査報告】