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特表2023-553088動力電池充電の方法と電池管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】動力電池充電の方法と電池管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231213BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20231213BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20231213BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20231213BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231213BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/392
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534712
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2021117310
(87)【国際公開番号】W WO2023035160
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲珊▼
(72)【発明者】
【氏名】李 世超
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲海▼力
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲微▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ ▲嵐▼
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA21
2G216CA01
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA08
5G503EA08
5G503FA06
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本出願の実施例は、動力電池充電の方法と電池管理システムを提供する。該動力電池充電の方法は、電池管理システムに応用され、動力電池のSOHを取得することと、動力電池の充電過程で動力電池のSOCを取得することと、動力電池のSOHに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することと、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき動力電池を放電又充電を停止するように制御することとを含む。該技術案により動力電池の充電過程で動力電池を放電し又は充電停止するように制御して、動力電池のリチウム析出リスクを低減させ、動力電池の安全性能を向上でき、さらに、動力電池のSOHに基づいてSOC間隔値を確定し、動力電池のSOHとSOCを結び付けて動力電池の充電過程での放電又は充電停止のタイミングを制御してして充電設計全体をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池充電性能を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の充電の方法であって、前記動力電池の電池管理システムBMSに応用され、前記方法は、
前記動力電池の健康状態SOHを取得することと、
前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の荷電状態SOCを取得することと、
前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することと、
前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、前記動力電池を放電し又は充電停止するように制御することとを含む、ことを特徴とする動力電池の充電の方法。
【請求項2】
前述の、前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定することとを含み、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の、前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHとSOCに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応する前記SOC間隔値を確定することを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記の、前記動力電池のSOHとSOCに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応する前記SOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定することとを含み、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、前記第5のSOC間隔値は、前記第6のSOC間隔値よりも大きい、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である、ことを特徴とする請求項2又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記の、前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記SOC間隔値の範囲は、3%~95%である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記動力電池を放電するように制御する前に、前記方法は、
充電需要情報を送信することをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記動力電池を放電するように制御する前に、前記方法は、
前記動力電池の電流を取得することをさらに含み、
前記の、前記動力電池を放電するように制御することは、
前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を放電するように制御することを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法はさらに、
前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御することを含む、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
動力電池の電池管理システムBMSであって、
前記動力電池の健康状態SOHを取得するために用いられ、
前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の荷電状態SOCを取得するためにも用いられる取得モジュールと、
前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、
且つ前記動力電池のSOCが前記SOC間隔値変化するとき、前記動力電池を放電し又は充電停止するように制御するための制御モジュールとを含む、ことを特徴とする動力電池の電池管理システムBMS。
【請求項12】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも大きければ、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値以下であれば、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きい、ことを特徴とする請求項11に記載のBMS。
【請求項13】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHとSOCに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応する前記SOC間隔値を確定するために用いられる、ことを特徴とする請求項11又は12に記載のBMS。
【請求項14】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、前記第5のSOC間隔値は、前記第6のSOC間隔値よりも大きい、ことを特徴とする請求項13に記載のBMS。
【請求項15】
前記予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である、ことを特徴とする請求項12又は14に記載のBMS。
【請求項16】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するために用いられる、ことを特徴とする請求項11から15のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項17】
前記SOC間隔値の範囲は、3%~95%である、ことを特徴とする請求項11から16のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項18】
前記BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである、ことを特徴とする請求項11から17のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項19】
前記取得モジュールは、さらに、
前記動力電池の電流を取得するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を放電するように制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項18に記載のBMS。
【請求項20】
前記制御モジュールは、
前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項18又は19に記載のBMS。
【請求項21】
動力電池の電池管理システムBMSであって、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを呼び出して請求項1から10のいずれか一項に記載の動力電池充電の方法を実行するためのものである、ことを特徴とする動力電池の電池管理システムBMS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、動力電池の分野に関し、特に動力電池充電の方法と電池管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
時代の発展とともに、電気自動車は、その高い環境保全性、低騒音、低使用コストなどの利点により、大きな市場将来性を有し、省エネルギーと排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展と進歩に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気自動車にとって、動力電池技術は、その発展に関する重要な要素でなり、一般の人々の電気自動車に対する受け入れ度に影響を与える。そのため、如何にして動力電池の性能を向上させるかは、解決の待たれる技術課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の実施例は、動力電池の性能を向上させることができる動力電池充電の方法と電池管理システムを提供する。
【0005】
第1の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSに応用される動力電池充電の方法を提供し、該方法は、該動力電池の健康状態SOHを取得することと、該動力電池の充電過程において、該動力電池の荷電状態SOCを取得することと、該動力電池のSOHに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することと、該動力電池のSOCが該SOC間隔値変化するとき、該動力電池を放電し又は充電停止するように制御することとを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電又は一時充電停止するように制御することで、持続的な充電による動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池に対して充電を行う過程において、動力電池のSOHに基づいて放電間隔値又は充電停止間隔値を確定することができ、且つ該間隔値は、SOC間隔値であり、動力電池のSOHとSOCを結び付けて、動力電池の充電過程における放電タイミング又は充電停止タイミングを制御することで、該動力電池の全体的な充電設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【0007】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池のSOHに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定することと、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定することとを含み、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きい。
【0008】
該実施形態の技術案では、一つの予め設定されるSOH閾値を設定することによって、動力電池のSOHを二つの区間に分け、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、動力電池の健康は良好であり、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値が大きい第1のSOC間隔値であることを確定し、逆に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、動力電池の健康状況は不良であり、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値が小さい第2のSOC間隔値であることを確定する。該技術案により、動力電池のSOHに基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を容易に確定することができ、動力電池の健康状況が良好であるとき、動力電池の安全性能を確保するだけでなく、さらに充電速度を向上させ、動力電池の健康状況が不良であるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、リチウム析出により動力電池の残りの寿命にさらに影響を与えることを防止することができる。
【0009】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池のSOHに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、該動力電池のSOHとSOCに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応する該SOC間隔値を確定することを含む。
【0010】
該実施形態の技術案では、動力電池のSOHのみに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するだけでなく、総合的に動力電池のSOH及びSOCに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、動力電池の健康状態及び電荷状態を両立させて動力電池の充電過程における放電制御又は充電停止制御を考慮し、動力電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることに有利である。
【0011】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池のSOHとSOCに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応する該SOC間隔値を確定することは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ該動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定することと、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定することと、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定することと、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定することとを含み、ここで、該第3のSOC間隔値は、該第4のSOC間隔値よりも大きく、該第5のSOC間隔値は、該第6のSOC間隔値よりも大きい。
【0012】
該実施形態の技術案では、動力電池のSOHと予め設定されるSOH閾値との関係を判断するほかに、さらに動力電池のSOCと予め設定されるSOC閾値との関係を判断する。動力電池のSOCが大きい(例えば予め設定されるSOC閾値以上である)場合、動力電池の現在の残容量が高く、動力電池の負極電位が低いことを示し、それは、リチウム析出現象が発生しやすい。そのため、動力電池のSOCが大きいとき、その放電頻度又は充電停止頻度を高める必要がり、間隔が小さいSOC間隔値で動力電池を放電し又は充電停止するように制御し、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を確保する。それに対応して、動力電池のSOCが小さい(例えば予め設定されるSOC閾値よりも小さい)場合、動力電池の現在の残容量が低く、動力電池の負極電位が高いことを示し、負極電位が低い場合に比べて、それは、リチウム析出現象が発生しにくい。そのため、動力電池のSOCが小さいとき、その放電頻度又は充電停止頻度を下げて、間隔が大きいSOC間隔値で動力電池を放電し又は充電停止するように制御しても、リチウム析出現象の発生を防止することができ、動力電池の安全性能を確保し、且つ充電速度を相対的に向上させる。
【0013】
いくつかの可能な実施形態では、該予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である。
【0014】
該実施形態の技術案では、該予め設定されるSOH閾値の設定によって、動力電池の健康状況をよく判断し、動力電池の安全性能と充電性能を確保して、それらのバランスを取ることができる。
【0015】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池のSOHに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、該動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することを含む。
【0016】
該実施形態の技術案では、直接的に動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することができ、動力電池の各SOHに対応するSOC間隔値を容易且つ正確に確定して、動力電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることができる。
【0017】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%である。
【0018】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池を放電するように制御する前に、該方法は、充電需要情報を送信することをさらに含み、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、該充電需要情報は、該動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0019】
動力電池に対する充電の過程において、直接的に動力電池を放電するように制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響を与えるだけでなく、さらに安全上のリスクをもたらし、動力電池の安全性に影響を与える。該実施形態の技術案では、BMSが充電需要情報を送信し、該充電需要情報により動力電池の充電を停止するように制御してから、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0020】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池を放電するように制御する前に、該方法は、該動力電池の電流を取得することをさらに含み、該動力電池を放電するように制御することは、該動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、該動力電池を放電するように制御することを含む。
【0021】
該実施形態の技術案では、動力電池を放電するように制御する前に、BMSは、まず動力電池の電流を取得し、動力電池の電流が小さく、例えば予め設定される電流閾値以下であるとき、このとき、動力電池の放電に対する影響が小さく、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させることができる。
【0022】
いくつかの可能な実施形態では、該方法は、該動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、該動力電池の放電を停止するように制御することを含む。
【0023】
動力電池の充電過程において、動力電池に対して充電を行う充電装置、例えば充電器は、BMSにより送信される充電需要情報を定期的又は不定期的に受信してもよく、充電需要情報が正常に送信される場合、充電装置と動力電池との間を正常な通信状態に保つことができ、充電装置が一定時間内にBMSにより送信される充電需要情報を受信していなければ、充電装置と動力電池との通信接続の切断を引き起こす可能性がある。そのため、該実施形態の技術案では、第1の予め設定される時間閾値を設定して動力電池の放電時間を制御することに加えて、さらに第2の時間閾値を設定して充電需要情報の送信済み時間と比較し、充電需要情報の送信済み時間が長すぎて動力電池の正常な充電過程に影響を与えることを防止し、それにより動力電池の充電効率を向上させる。
【0024】
いくつかの可能な実施形態では、該方法は、動力電池の運行状態を取得することと、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御することとをさらに含む。
【0025】
該実施形態の技術案では、BMSは、動力電池の運行状態をさらに取得し、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、BMSは、動力電池を短時間放電するように制御してもよく、例えば、放電時間が予め設定される時間閾値よりも小さく、及び/又は、放電電流が予め設定される電流閾値よりも小さい放電を実行する。それによって、動力電池の後続の充電過程において、充電装置と動力電池との接続を確立した後、動力電池に対して直接的に充電することで動力電池のリチウム析出リスクを引き起こすことを防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0026】
第2の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、該BMSは、該動力電池の健康状態SOHを取得するために用いられ、該動力電池の充電過程において、該動力電池の荷電状態SOCを取得するためにも用いられる取得モジュールと、該動力電池のSOHに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、且つ該動力電池のSOCが該SOC間隔値変化するとき、該動力電池を放電し又は充電停止するように制御するための制御モジュールとを含む。
【0027】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも大きければ、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値以下であれば、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きい。
【0028】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池のSOHとSOCに基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応する該SOC間隔値を確定するために用いられる。
【0029】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ該動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、ここで、該第3のSOC間隔値は、該第4のSOC間隔値よりも大きく、該第5のSOC間隔値は、該第6のSOC間隔値よりも大きい。
【0030】
いくつかの可能な実施形態では、該予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である。
【0031】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて該動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するために用いられる。
【0032】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~~95%である。
【0033】
いくつかの可能な実施形態では、該BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、該充電需要情報は、該動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0034】
いくつかの可能な実施形態では、該取得モジュールは、さらに、該動力電池の電流を取得するために用いられ、該制御モジュールは、該動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、該動力電池を放電するように制御するために用いられる。
【0035】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、該動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる。
【0036】
第3の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、該BMSは、プロセッサとメモリとを含み、該メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、該プロセッサは、該コンピュータプログラムを呼び出して第1の態様又は第1の態様のいずれか可能な実施形態における動力電池充電の方法を実行するためのものである。
【0037】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電又は一時充電停止するように制御することで、持続的な充電による動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池に対して充電を行う過程において、動力電池のSOHに基づいて放電間隔又は充電停止間隔値を確定することができ、且つ該間隔値は、SOC間隔であり、動力電池のSOHとSOCを結び付けて、動力電池の充電過程における放電タイミング又は充電停止タイミングを制御することで、該動力電池の全体的な設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【0039】
図1】本出願の一実施例が適用可能な充電システムの構成図である。
図2】本出願の実施例による動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図3】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図4】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図5】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図6】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図7】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図8】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
図9】本出願の実施例による電池管理システムの概略的構造ブロック図である。
図10】本出願の実施例による電池管理システムの概略的構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面と実施例を参照して本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細な説明及び図面は、本出願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本出願の範囲を制限するものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0041】
本出願の記述において、指摘すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は、二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。
【0042】
以下の説明に現れる方位詞は、いずれも図に示されている方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0043】
新エネルギー分野において、動力電池は、電力消費装置、例えば車両、船舶又は宇宙航空機などの主要な動力源として、その重要性は、言うまでもない。現在、市販されている動力電池の多くは、充電可能な二次電池(Rechargeable battery)であり、最も一般的なものは、リチウムイオン電池又はリチウムイオンポリマー電池である。低温で動力電池に対して充電を行い、又は大きな充電レートや充電電圧で動力電池に対して充電を行うと、動力電池のリチウム析出現象を引き起こす。
【0044】
リチウム析出は、動力電池性能の低下、サイクル寿命の大幅な短縮を引き起こすだけでなく、さらに電池の急速充電容量を制限し、且つ燃焼や爆発などの悲惨な結果をもたらす可能性があり、動力電池の全体的な性能に厳しい影響を与える。
【0045】
これに鑑みて、本出願は、動力電池のリチウム析出問題を解決し、動力電池の性能を向上させることができる動力電池充電の方法を提供する。
【0046】
図1は、本出願の実施例が適用可能な電池システム100を示す。
【0047】
図1に示すように、該電池システム100は、動力電池110と電池管理システム(battery management system、BMS)120とを含んでもよい。
【0048】
具体的に、該動力電池110は、少なくとも一つの電池モジュールを含んでもよく、それは、電気自動車のためにエネルギーと動力を提供することができる。電池の種類から言うと、該動力電池110は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池などであってもよく、本出願の実施例では、具体的に限定しない。電池の規模から言うと、本出願の実施例では、動力電池110における電池モジュールは、電池コア/電池セル(battery cell)であってもよく、組電池又は電池パック(battery pack)であってもよく、本出願の実施例では、具体的に限定しない。
【0049】
なお、該動力電池110のインテリジェント管理及びメンテナンスを行い、電池故障の発生を防止し、電池の耐用年数を延ばすために、電池システム100に、一般的にはBMS 120がさらに設置されており、該BMS 120は、動力電池110に接続され、動力電池110のパラメータをモニタリングして収集するためのものであり、且つBMS 120は、該パラメータに基づいて動力電池110に対する制御と管理を実現してもよい。
【0050】
例として、該BMS 120は、動力電池110の電圧、電流と温度などのパラメータをモニタリングして収集するために用いられてもよい。ここで、BMS 120は、動力電池110の総電圧と総電流、動力電池110における単一の電池セルの電圧と電流、及び動力電池110における少なくとも一つの測温点の温度などをリアルタイムに収集してもよい。上記パラメータのリアルタイムで、迅速で、正確な測定は、BMS 120が正常に運行することの基礎である。
【0051】
任意選択的に、BMS 120は、収集した動力電池110の該パラメータに基づいて、さらに動力電池110の荷電状態(state of charge、SOC)、健康状態(state of health、SOH)、パワー状態(state of power、SOP)などのパラメータを推定してもよい。
【0052】
ここで、SOCは、動力電池110の残容量を表すために用いられてもよく、それは、数値上で動力電池110の現在残容量と使用可能な総容量の比と定義され、一般的には百分率で表される。具体的に、SOC=100%のとき、動力電池110の完全満充電を表し、逆に、SOC=0%のとき、動力電池110の完全放電を表す。SOCに対する正確な推定は、電気自動車の航続距離推定に求められる最も基本的な条件であり、動力電池110の利用効率と安全性能を向上させるための一般的な保証でもある。
【0053】
また、SOHは、動力電池110の劣化状態を表すために用いられてもよく、動力電池110の残りの寿命として理解されてもよい。周知のとおり、動力電池110は、長期間運行後に性能が絶えず減衰する。SOHをどのように正確に推定するかは、動力電池110のほかのパラメータ(例えばSOCとSOPなどのパラメータ)を推定する重要な前提である。一般的には、SOHも百分率で表され、SOH=100%のとき、動力電池110がまだ使用されていない新しい電池であることを表し、使用時間の増加に伴って、SOHは徐々に低下し、その残りの寿命は短くなる。従来の関連技術では、様々な方式を採用して動力電池110のSOHを推定してもよく、例えば、動力電池110の使用可能な容量に基づいてSOHを推定してもよい。理解できるように、動力電池110の使用可能な容量は、時間の増加に伴って低下し、動力電池110の現在の使用可能な容量と初期容量(又は、公称容量と呼ばれてもよい)との比によって、動力電池110のSOHを推定して得ることができる。
【0054】
SOPは、動力電池110のパワー状態を表すために用いられてもよく、一般的には短期的なピークパワー値で表される。動力電池110の入出力のピークパワーは、直接的に車両の急速起動、加速と急制動能力に影響し、さらに車両全体運行の安全性と信頼性に関係する。そのため、BMS120は、動力電池110のピークパワー、即ちSOPに対する推測能力を備えなければならない。
【0055】
理解できるように、以上は、SOC、SOHとSOPのみを例としてBMS 120により推定可能な一部のパラメータを簡単に紹介したが、このほか、BMS 120は、動力電池110のほかのパラメータを確定するために用いられてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0056】
さらに、BMS 120は、動力電池110の様々なパラメータを取得した後に、該様々なパラメータに基づいて動力電池110に対する様々な制御と管理を実現してもよい。
【0057】
例えば、BMS 120は、SOC、電圧、電流などのパラメータに基づいて動力電池110に対する充放電制御を実現し、動力電池110の正常なエネルギー供給と放出を確保してもよい。
【0058】
また例えば、BMS 120は、さらに温度などのパラメータに基づいて、放熱ファン又は加熱モジュールなどのアセンブリを制御して、動力電池110の熱管理を実現してもよい。
【0059】
さらに例えば、BMS 120は、電圧、SOHなどのパラメータに基づいて、動力電池110が正常な運行状態にあるかどうかを判断して、動力電池110の故障診断と警報を実現してもよい。
【0060】
任意選択的に、図1に示すように、電池システム100は、充電装置101及び電力消費装置102と接続を確立して、動力電池100の充放電を実現してもよい。
【0061】
具体的に、電池システム100におけるBMS 120は、関連する通信プロトコルによって充電装置101と通信を確立し、さらに充電装置101によって動力電池110に対する充電を実現してもよい。
【0062】
任意選択的に、BMS 120は、電力消費装置102と通信接続を確立してもよく、それによってBMS 120は、それが取得した関連情報を電力消費装置101ひいてはユーザにフィードバックすることができ、且つBMS 120は、電力消費装置101の関連制御情報を取得してもよく、動力電池110に対する制御と管理をよりよく行う。
【0063】
例として、図1に示す充電装置101は、充電器(又は充電スタンドとも呼ばれる)を含むが、これに限らない。また、電力消費装置102は、様々なタイプの電力消費装置であってもよく、電気自動車を含むが、これに限らない。
【0064】
図2は、本出願の実施例による動力電池充電の方法200の概略的フローブロック図を示す。該動力電池充電の方法200は、動力電池の電池管理システムに応用されてもよい。任意選択的に、本出願の実施例では、動力電池は、上記図1に示す動力電池110であってもよく、該方法200は、動力電池110のBMS 120に応用されてもよく、換言すれば、BMS 120は、以下の出願実施例における方法200の実行本体とされてもよい。
【0065】
図2に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法200は、以下のステップを含んでもよい。
【0066】
210、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0067】
220、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0068】
230、動力電池のSOHに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定する。
【0069】
240、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。
【0070】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電又は一時充電停止するように制御することで、持続的な充電による動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池に対して充電を行う過程において、動力電池のSOHに基づいて放電間隔又は充電停止間隔値を確定することができ、且つ該間隔は、SOC間隔であり、動力電池のSOHとSOCを結び付けて、動力電池の充電過程における放電タイミング又は充電停止タイミングを制御することで、該動力電池の全体的な充電設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【0071】
具体的に、以上の図1に示す実施例に記載のとおり、SOHは、動力電池の劣化状態を表すために用いられてもよく、動力電池の残りの寿命として理解されてもよい。動力電池は、長期間運行後に性能が絶えず減衰するため、残りの寿命も短くなり、即ち一般に百分率で表されるSOHの値も小さくなる。
【0072】
任意選択的に、本出願の実施例のステップ210において、BMSは、充電する前に動力電池のSOHを取得してもよく、動力電池のSOHを取得する該方法について、関連技術における方法を参照してもよく、ここでは具体的に説明しない。いくつかの実施形態では、BMSは、動力電池のSOHを取得した後、該SOHを記憶ユニットに記憶してもよく、その後、動力電池に対して充電を行うとき、記憶された該SOHに基づいて動力電池の充電過程における放電間隔又は充電停止間隔を確定してもよい。
【0073】
本出願の実施例のステップ220について、動力電池の充電過程において、動力電池のSOCがリアルタイムに変化し、BMSは、動力電池の充電過程において、動力電池の変化するSOC及び他の電池パラメータを定期的又は不定期的に取得することによって、動力電池の充電状態をモニタリングすることができる。
【0074】
任意選択的に、いくつかの実施形態では、充電器を採用して動力電池に対して充電を行う場合、BMSは、関連する充電規格における要件に従って動力電池のSOCを取得してもよい。
【0075】
さらに、本出願の実施例のステップ230について、動力電池の充電過程において、BMSは、取得した動力電池の上記SOHに基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、ここで、該SOC間隔値は、百分率で表されてもよい。
【0076】
換言すれば、本出願の実施例では、動力電池の放電又は充電停止を制御するためのSOC間隔値は、動力電池のSOHと関係があり、動力電池のSOHが変化すると、SOC間隔値もそれに伴って変化することができ、即ち動力電池の放電間隔又は充電停止間隔も変化し、それによって動力電池の充電過程における放電間隔又は充電停止間隔と動力電池のSOHとが関連付けられ、動力電池の安全性能の向上と動力電池の充電性能とを両立させる。
【0077】
さらに、本出願の実施例のステップ240について、動力電池の充電過程において、動力電池のSOCがリアルタイムに変化し、SOCが該SOC間隔値変化するとき、BMSは、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。例として、SOC間隔値がX%である場合、動力電池のSOCがX%変化したことを検出したとき、BMSは、動力電池を放電し又は充電停止するように制御し、ここで、Xは、100よりも小さい正数である。
【0078】
いくつかの具体的な実現形態では、BMSは、動力電池の現在のSOCを取得した後、該SOCがターゲットSOC値であるか否かを判断する。該ターゲットSOC値は、SOC間隔値に基づいて確定されたSOC値であり、例えば、SOC間隔値が5%である場合、ターゲットSOCは、5%、10%、15%……などであってもよい。BMSは、動力電池の現在のSOCがターゲットSOC値であると判断するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。逆に、BMSは、動力電池の現在のSOCがターゲットSOC値ではないと判断するとき、引き続いて動力電池のSOCを検出する。
【0079】
ステップ240について、任意選択的に、いくつかの実施形態では、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、予め設定される放電パラメータに従って動力電池を放電するように制御してもよい。例として、BMSは、動力電池を予め設定される放電パラメータで一回又は複数回放電するように制御してもよく、即ち充電過程において、動力電池に一つ又は複数の予め設定される波形の負パルスを与える。
【0080】
又は、他の実施形態では、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、動力電池の状態パラメータに基づいて必要な放電パラメータを確定して、動力電池を放電するように制御してもよい。例として、動力電池の状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、BMSは、動力電池のSOCとSOHと温度とのうちの少なくとも一つに基づいて放電パラメータを確定して、動力電池を放電するように制御してもよい。
【0081】
上記実施形態では、放電パラメータは、放電電流、放電時間、放電波形などを含むが、これらに限らない。
【0082】
任意選択的に、上記放電電流の範囲は、1A~5Cの間にあってもよい。具体的に、放電電流は、1A以上であり、且つ放電電流の放電レートは、5C以下である。任意選択的に、上記放電時間の範囲は、1s~60sの間にあってもよい。任意選択的に、上記放電波形は、該放電波形は、方形波、台形波、正弦波又は三角波のうちのいずれか一つ又は複数を含むが、これらに限らない。本出願の実施例では、動力電池の放電パラメータの具体的な値に対して、具体的に限定しない。
【0083】
また、本出願の実施例では、動力電池の放電対象は、動力電池のある電力消費装置であってもよく、又は、動力電池に対して充電を行う充電装置であってもよく、又は、電力消費装置と充電装置以外の、他の外部装置であってもよく、本出願の実施例では、該動力電池の放電対象に対して具体的に限定しない。
【0084】
ステップ240について、BMSが動力電池を放電するように制御する上記技術案のほかに、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、予め設定される時間値に従って動力電池を充電停止するように制御してもよい。任意選択的に、該予め設定される時間値は、動力電池の状態パラメータに基づいて確定された停止時間値であってもよい。
【0085】
任意選択的に、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、BMSは、動力電池を放電し又は充電停止するように制御してもよい。換言すれば、充電過程全体において、BMSは、動力電池のSOCの変化に基づいて、動力電池に対する充電制御を持続してもよい。
【0086】
本出願の実施例の技術案により、動力電池のSOHに基づいて、他のタイプの間隔値ではなくSOC間隔値を確定することで、動力電池の現在の状態について充電過程において放電制御又は充電停止制御をよりよく行い、電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることができる。
【0087】
説明すべきこととして、以上の図2に示す実施例において、ステップ220は、ステップ230より前に示されているが、本出願の実施例では、該ステップ220とステップ230の発生順番に対して具体的に限定せず、換言すれば、ステップ220は、ステップ230より前に実行されてもよく、又は、ステップ220は、ステップ230の後に実行されてもよい。
【0088】
図3は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法300の概略的フローブロック図を示す。
【0089】
図3に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法300は、以下のステップを含んでもよい。
【0090】
310、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0091】
320、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0092】
331、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定する。
【0093】
341、動力電池のSOCが第1のSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。
【0094】
332、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定する。
【0095】
342、動力電池のSOCが第2のSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。
【0096】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ310とステップ320の関連技術案について、以上の図2におけるステップ210とステップ220の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0097】
また、本出願の実施例におけるステップ331とステップ332は、以上の図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ341とステップ342は、以上の図2におけるステップ240の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0098】
ステップ331とステップ332について、本出願の実施例では、動力電池のSOHを予め設定されるSOH閾値と比較してもよく、それによって異なる第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値を確定し、ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きい。
【0099】
具体的に、健康状況が不良で、SOHが低く、残りの寿命が低い動力電池に比べて、同じ充電環境と充電条件下で、健康状況が良好で、SOHが高く、残りの寿命が高い動力電池は、リチウム析出発生の可能性が低い。そのため、本出願の実施例では、動力電池の健康状況が良好で、SOHが高い(例えば予め設定されるSOH閾値以上である)場合、その放電頻度又は充電停止頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第1のSOC間隔値)で動力電池を放電し又は充電停止するように制御してもよく、動力電池にリチウム析出が発生しないことを確保することができ、且つ充電速度を相対的に向上させる。それに対応して、動力電池の健康状況が不良で、SOHが低い(例えば予め設定されるSOH閾値よりも小さい)場合、その放電頻度又は充電停止を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第2のSOC間隔値)で動力電池を放電し又は充電停止するように制御する必要があり、このように動力電池にリチウム析出が発生しないことを確保し、動力電池の安全性能を確保することができる。
【0100】
本出願の実施例では、一つの予め設定されるSOH閾値を設定することによって、動力電池のSOHを二つの区間に分け、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、動力電池の健康状況は良好であり、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値が大きい第1のSOC間隔値であることを確定し、逆に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、動力電池の健康状況は不良であり、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値が小さい第2のSOC間隔値であることを確定する。該技術案により、動力電池のSOHに基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を容易に確定することができ、動力電池の健康状況が良好であるとき、動力電池の安全性能を確保するだけでなく、さらに充電速度を向上させ、動力電池の健康状況が不良であるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、リチウム析出により動力電池の残りの寿命にさらに影響を与えることを防止することができる。
【0101】
任意選択的に、本出願実施例では、予め設定されるSOH閾値は、動力電池の健康状況の良否を評価するために用いられてもよく、該予め設定されるSOH閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるSOH閾値に対して具体的に限定しない。
【0102】
いくつかの可能な実施形態では、該予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%の間にあってもよく、このように該予め設定されるSOH閾値によって動力電池の健康状況をよく判断し、動力電池の安全性能と充電性能を確保して、それらのバランスを取ることができる。
【0103】
動力電池の性能への要求が厳しいいくつかのシーンでは、例えば動力電池が低温又は超低温の環境で運行する場合、該予め設定されるSOH閾値は、高く設定されてもよく、例えば、99%であってもよく、動力電池のSOHが99%以上である場合にのみ、間隔が大きい第1のSOC間隔値で動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。無論、他の異なる応用シーン及び異なる電池タイプである場合、該予め設定SOH閾値の値は、80%~99%の間の他の特定の値を採用してもよい。
【0104】
予め設定されるSOH閾値のほかに、任意選択的に、本出願の実施例におけるSOC間隔値(以上の実施例における第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値を含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値に対して具体的に限定しない。
【0105】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。動力電池の性能への要求が厳しいいくつかのシーンでは、例えば動力電池が低温又は超低温の環境で運行する場合、該第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値は、いずれも相対的に高く設定されてもよく、それによって動力電池の低温又は超低温環境におけるリチウム析出の発生を回避する。無論、他の異なる応用シーン及び異なる電池タイプである場合、該第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値の値は、3%~95%の間の他の特定の値を採用してもよい。
【0106】
以上の図3に示す出願実施例では、予め設定されるSOH閾値が一つのみ設定され、動力電池のSOHが二つの区間に分けられ、それによって二つの異なるSOC間隔値が対応して設定されている。これに類似し、二つ又は二つ以上の予め設定されるSOH閾値を設定して、動力電池のSOHを三つ又はより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値を対応して設定することで、異なるSOH区間における充電過程中の放電制御又は充電停止制御の正確度を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0107】
例として、二つの予め設定されるSOH閾値、1#予め設定されるSOH閾値A%と2#予め設定されるSOH閾値B%を設定してもよく、ここで、A%<B%であり、動力電池のSOHが[0,A%)区間にあるとき、SOC間隔値は、1#SOC間隔値u%であり、動力電池のSOHが[A%,B%)区間にあるとき、SOC間隔値は、2#SOC間隔値v%であり、動力電池のSOHが[B%,100%]区間にあるとき、SOC間隔値は、3#SOC間隔値w%であり、ここで、u%<v%<w%であり、A、B、u、v、wは、いずれも正数である。
【0108】
任意選択的に、上記二つ又は二つ以上の予め設定されるSOH閾値(1#予め設定されるSOH閾値と2#予め設定されるSOH閾値を含む)の範囲、及びより多くの異なるSOC間隔値(1#SOC間隔値、2#SOC間隔値と3#SOC間隔値を含む)の範囲は、同様に以上の図3に示す実施例における予め設定されるSOH閾値の範囲及びSOC間隔値の範囲を参照してもよい。
【0109】
図4は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法400の概略的フローブロック図を示す。
【0110】
図4に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法400は、以下のステップを含んでもよい。
【0111】
410、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0112】
420、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0113】
430、動力電池のSOHとSOCに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定する。
【0114】
440、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。
【0115】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ410、ステップ420とステップ440の関連技術案について、以上の図2におけるステップ210、ステップ220とステップ240の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0116】
また、本出願の実施例におけるステップ430は、図2に示すステップ230の別の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0117】
本出願の実施例の技術案により、動力電池のSOHのみに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するだけでなく、総合的に動力電池のSOH及びSOCに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、動力電池の健康状態及び電荷状態を両立させて動力電池の充電過程における放電制御又は充電停止制御を考慮し、動力電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることに有利である。
【0118】
任意選択的に、いくつかの実施形態では、以上の図3に示す技術案を結び付けて、一つ又は複数の予め設定されるSOH閾値を設定し、且つ複数のSOH区間に分けた上で、さらに一つ又は複数の予め設定されるSOC閾値を設定し、且つ複数のSOC区間に分け、動力電池のSOHとSOCのある区間に基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定する。
【0119】
例として、一つの予め設定されるSOH閾値を設定し、且つ一つの予め設定されるSOC閾値を設定する場合、上記ステップ430は、具体的に以下のようなステップを含んでもよい。
【0120】
動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さけば、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定する。
【0121】
動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定する。
【0122】
動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定する。
【0123】
動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定する。
【0124】
ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きく、第5のSOC間隔値は、第6のSOC間隔値よりも大きい。
【0125】
具体的に、本出願の実施例では、動力電池のSOHと予め設定されるSOH閾値との関係を判断するほかに、さらに動力電池のSOCと予め設定されるSOC閾値との関係を判断する。動力電池のSOCが大きい(例えば予め設定されるSOC閾値以上である)場合、動力電池の現在の残容量が高く、動力電池の負極電位が低いことを示し、それは、リチウム析出現象が発生しやすい。そのため、動力電池のSOCが大きいとき、その放電頻度又は充電停止頻度を高める必要がり、間隔が小さいSOC間隔値で動力電池を放電し又は充電停止するように制御し、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を確保する。それに対応して、動力電池のSOCが小さい(例えば予め設定されるSOC閾値よりも小さい)場合、動力電池の現在の残容量が低く、動力電池の負極電位が高いことを示し、負極電位が低い場合に比べて、それは、リチウム析出現象が発生しにくい。そのため、動力電池のSOCが小さいとき、その放電頻度又は充電停止頻度を下げて、間隔が大きいSOC間隔値で動力電池を放電し又は充電停止するように制御しても、リチウム析出現象の発生を防止することができ、動力電池の安全性能を確保し、且つ充電速度を相対的に向上させる。
【0126】
そのため、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であるとき、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定し、ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きい。同様に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さいとき、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定し、ここで、第5のSOC間隔値は、第6のSOC間隔値よりも大きい。
【0127】
本出願の実施例では、第4のSOC間隔値と第5のSOC間隔値の相互関係に対して具体的に限定せず、実際の状況に応じて設計してもよい。
【0128】
説明すべきこととして、本出願の実施例では、上記予め設定されるSOH閾値の範囲は、図3における予め設定されるSOH閾値の関連説明を参照してもよく、該予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%であってもよい。また、上記予め設定されるSOC閾値の範囲に対して、本出願の実施例では具体的に限定せず、例として、それは、50%を含むが、これに限らない。さらに、上記SOC間隔値(第3のSOC間隔値、第4のSOC間隔値、第5のSOC間隔値と第6のSOC間隔値を含む)の範囲は、同様に以上の図3に示す実施例における予め設定されるSOC閾値の範囲を参照してもよく、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%である。
【0129】
図5は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法500の概略的フローブロック図を示す。
【0130】
図5に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法500は、以下のステップを含んでもよい。
【0131】
510、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0132】
520、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0133】
530、動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定する。
【0134】
540、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。
【0135】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ510、ステップ520とステップ540の関連技術案について、以上の図2におけるステップ210、ステップ220とステップ240の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0136】
また、本出願の実施例におけるステップ530は、図2に示すステップ230の別の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0137】
本出願の実施例の技術案により、直接的に動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することができ、動力電池の各SOHに対応するSOC間隔値を容易且つ正確に確定して、動力電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることができる。
【0138】
例として、予め設定されるマッピング関係は、マッピング表であってもよく、実際の需要に応じて、複数のSOHの対応するSOC間隔値のマッピング関係を構築してもよい。例えば、以下の表1は、概略的マッピング表を示す。
【表1】
【0139】
ここで、C~Cは、100よりも小さい正数であり、且つC>C>C>C>C>Cである。該マッピングは、BMSの記憶ユニットに記憶されてもよく、動力電池の現在のSOHが表に存在しているSOH値であれば、BMSは、直接的に動力電池の現在のSOHに対応するSOC間隔値を確定してもよい。動力電池の現在のSOHが表に存在しているSOH値でなければ、BMSは、マッピング表に基づいて動力電池の現在のSOHに対応するSOC間隔値を算出してもよい。
【0140】
例として、動力電池の現在のSOHが98%であれば、それに対応するSOC間隔値はC%は、以下のような関係式を満たしてもよい。
【数1】
又は、C%は、以下のような関係式を満たしてもよい。
【数2】
【0141】
動力電池の現在のSOHが他の値であれば、同様に上記計算方式を参照してそれに対応するSOC間隔値を確定してもよく、ここでは説明を省略する。
【0142】
上記マッピング表によって、一定のSOH範囲内で、任意のSOHに対応するSOC間隔値を確定することができ、異なるSOHにおけるSOC間隔値の変化を正確に制御し、動力電池の安全性能と充電性能のバランスを取ることができる。
【0143】
説明すべきこととして、上記表1は、マッピング表の概略的なものであり、限定するためのものではない。マッピング表における具体的なSOH値とSOC間隔値に対して、本出願の実施例では限定せず、それは、充電速度の需要、安全性の需要及び電池性能などに基づいて設定されてもよい。
【0144】
上記マッピング表のほかに、本出願の実施例における予め設定されるマッピング関係は、さらにマッピング式であってもよい。具体的に、SOC間隔値とSOH値との間のマッピング式を構築してもよく、該マッピング式は、増加関数式を含むが、これに限らない。
【0145】
例として、SOC間隔値は、C%で表され、SOH値は、H%で表され、該SOC間隔値とSOH値との間のマッピング式は、以下のような式であってもよい。
【数3】
又は、
【数4】
【0146】
ここで、k、k、b、bは、常数であり、それは、充電速度の需要、安全性の需要及び電池性能などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0147】
説明すべきこととして、上記式は、概略的なものであり、限定するためのものではない。本出願の実施例におけるマッピング式は、以上の二つの式以外に、さらに他の形式であってもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0148】
説明すべきこととして、予め設定されるマッピング関係は、上記マッピング表又はマッピング式以外に、さらに他のマッピング形式、例えばマッピング図又はニューラルネットワークモデルなどあってもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるマッピング関係の具体的な形式に対して具体的に限定しない。具体的に、該予め設定されるマッピング関係は、大量の実験データをフィッティングして得られるマッピング関係であってもよく、高い信頼性と正確性を有することによって、動力電池の安全性能と充電性能を確保する。
【0149】
説明すべきこととして、本出願の実施例では、動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するほかに、さらに動力電池のSOH及び/又はSOCなどの動力電池の他のパラメータ及び予め設定されるマッピング関係に基づいて、動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定してもよい。
【0150】
図6は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法600の概略的フローブロック図を示す。本出願の実施例では、BMSは、動力電池の放電に対応するSOC間隔値を確定し、且つ動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電するように制御する。
【0151】
図6に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法600は、以下のステップを含んでもよい。
【0152】
610、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0153】
620、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0154】
630、動力電池のSOHに基づいて動力電池の放電に対応するSOC間隔値を確定する。
【0155】
640、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、充電要求情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロである。
【0156】
650、動力電池を放電するように制御する。
【0157】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ610、ステップ620とステップ630の関連技術案について、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0158】
また、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、まず充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロであるため、該充電需要情報は、動力電池の充電を停止するように制御するために用いられてもよい。
【0159】
いくつかの可能な実施形態では、充電装置、例えば充電器は、動力電池に対して充電を行うために用いられ、充電過程において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、まず充電器に電流需要値がゼロである充電需要情報を送信し、充電器は、該充電需要情報に基づいて動力電池への充電を停止する。
【0160】
任意選択的に、該充電需要情報は、通信メッセージであってもよく、該通信メッセージは、BMSと充電器の間で関連通信プロトコルを満たす通信メッセージを含むが、これらに限らず、例として、該充電需要情報は、電池充電需要メッセージBCLであってもよい。
【0161】
動力電池に対する充電の過程において、直接的に動力電池を放電するように制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響を与えるだけでなく、さらに安全上のリスクをもたらし、動力電池の安全性に影響を与える。本出願の実施例の技術案により、BMSが充電需要情報を送信し、該充電需要情報により動力電池の充電を停止するように制御してから、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0162】
BMSが上記充電需要情報を送信した後、動力電池の電流は、ゆっくりと変化し、且つ徐々にゼロに低下するまでに一定の時間を要するため、動力電池充放電過程の安全性をさらに向上させるために、上記ステップ650の前に、本出願の実施例の方法600は、動力電池の電流を取得することをさらに含んでもよく、その上で、ステップ650は、動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、動力電池を放電するように制御することを含んでもよい。
【0163】
本出願の実施例の技術案により、動力電池を放電するように制御する前に、BMSは、まず動力電池の電流を取得し、動力電池の電流が小さく、例えば予め設定される電流閾値以下であるときに、このとき、動力電池の放電に対する影響が小さく、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させることができる。
【0164】
任意選択的に、上記予め設定される電流閾値は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。例として、該予め設定される電流閾値の範囲は、50A以下であってもよい。
【0165】
また、説明すべきこととして、BMSは、動力電池の充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、且つ動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を充電停止するように制御する。この場合、該技術案では、BMSは、上記ステップ640を実行してもよく、即ち動力電池のSOCがSOC間隔値変化するときに、充電要求情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロであり、それによって動力電池を充電停止するように制御する。任意選択的に、BMSは、電流需要値がゼロである該充電需要情報を定期的又は不定期的に送信することで、動力電池の充電停止の時間を制御してもよい。
【0166】
図6に示す実施例の上で、図7は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法700の概略的フローブロック図を示す。
【0167】
図7に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法700は、以下のステップを含んでもよい。
【0168】
710、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0169】
720、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0170】
730、動力電池のSOHに基づいて動力電池の放電に対応するSOC間隔値を確定する。
【0171】
740、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、充電要求情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロである。
【0172】
750、動力電池を放電するように制御する。
【0173】
760、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池を放電停止するように制御する。
【0174】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ710~ステップ750の関連技術案について、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0175】
また、BMSが動力電池を放電するように制御した後、動力電池の放電時間と充電需要情報の送信済み時間に基づいて放電を停止するかどうかを確定する。具体的に、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御し、又は、充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御する。任意選択的に、BMSは、動力電池を放電するように制御するとき、動力電池の放電時間に対して計時を行って、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であるか否かを判断する。また、BMSは、運ばれる電流需要値がゼロである充電需要情報を送信した後に、該充電需要情報の送信済み時間に対して計時を行って、該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるか否かを判断してもよい。
【0176】
ここで、第1の予め設定される時間閾値は、実際の放電需要に応じて設計されてもよく、動力電池が異なる状態にある場合、該第1の予め設定される時間閾値は、動力電池の状態パラメータに基づいて調整して変更されてもよく、例として、動力電池が異なるSOH及び/又はSOC状態にある場合、該第1の予め設定される時間閾値は、動力電池のSOH及び/又はSOCに基づいて調整して変更されてもよい。又は、他の例において、該第1の予め設定される時間閾値は、固定閾値であってもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。任意選択的に、本出願の実施例における第1の予め設定される時間閾値は、以上の図2に記載の実施例の放電パラメータにおける放電時間であってもよい。
【0177】
動力電池の充電過程において、動力電池に対して充電を行う充電装置、例えば充電器は、BMSにより送信される充電需要情報を定期的又は不定期的に受信してもよく、充電需要情報が正常に送信される場合、充電装置と動力電池との間を正常な通信状態に保つことができ、充電装置が一定時間内にBMSにより送信される充電需要情報を受信していなければ、充電装置と動力電池との通信接続の切断を引き起こす可能性がある。そのため、本出願の実施例では、第1の予め設定される時間閾値を設定して動力電池の放電時間を制御することに加えて、さらに第2の時間閾値を設定して充電需要情報の送信済み時間と比較し、充電需要情報の送信済み時間が長すぎて動力電池の正常な充電過程に影響を与えることを防止し、それにより動力電池の充電効率を向上させる。
【0178】
任意選択的に、図7に示すように、本出願の実施例の方法700は、ステップ770、動力電池を充電するように制御することをさらに含む。即ちBMSが動力電池の放電を停止するように制御した後に、改めて動力電池を充電するように制御する。
【0179】
いくつかの実施形態では、BMSは、充電装置、例えば充電器に、新しい充電需要メッセージを送信してもよく、該充電需要メッセージにおいて運ばれる電流需要値は、ゼロではなく、動力電池のパラメータに基づいて確定される電流需要値であってもよく、それによって充電装置は、該電流需要値に基づいて動力電池に対して充電を行うことができる。
【0180】
ステップ770の後に、上記ステップ720~ステップ760を改めて実行してもよく、それによってBMSによる動力電池の持続充放電への制御過程を実現する。
【0181】
また、説明すべきこととして、BMSは、動力電池の充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、且つ動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を充電停止するように制御する。この場合、該技術案では、動力電池の充電停止時間が第3の予め設定される時間閾値以上であれば、動力電池を継続して充電するように制御してもよく、それによってBMSによる動力電池の持続充電への制御過程を実現する。任意選択的に、本出願の実施例における第3の予め設定される時間閾値は、以上の図2に記載の実施例における停止時間値であってもよい。
【0182】
図8は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法800の概略的フローブロック図を示す。
【0183】
図8に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法800は、以下のステップを含んでもよい。
【0184】
810、動力電池の健康状態SOHを取得する。
【0185】
820、動力電池の運行状態を取得する。
【0186】
830、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得する。
【0187】
840、動力電池のSOHに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定する。
【0188】
850、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電し又は充電停止するように制御する。
【0189】
860、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御する。
【0190】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ810、ステップ830~ステップ850の関連技術案について、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0191】
また、ステップ830の前に、BMSは、まず動力電池の運行状態を取得してもよく、動力電池が充電状態にあるとき、ステップ830を実行し、即ち動力電池の充電過程において、動力電池のSOCを取得し、且つステップ840~ステップ850を実行する。
【0192】
ステップ860について、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御する。具体的に、BMSは、動力電池の運行パラメータを取得することによって、動力電池の現在の運行状態を判断してもよい。ここで、動力電池と充電器の充電ガンとの接続が切れたとき、BMSは、動力電池がガン抜き状態にあり、即ち充電器が動力電池への充電を行っていないと判断する。また、BMSは、動力電池の電圧などのパラメータを取得することによって、動力電池のSOCが100%に達するとき、動力電池のSOCが満充電状態に達することを確定してもよい。
【0193】
動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、BMSは、動力電池を短時間放電するように制御することができ、例えば、放電時間が予め設定される時間閾値よりも小さく、及び/又は、放電電流が予め設定される電流閾値よりも小さい放電を実行する。それによって、動力電池の後続の充電過程において、充電装置と動力電池との接続を確立した後、動力電池に対して直接的に充電することで動力電池のリチウム析出リスクを引き起こすことを防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0194】
以上では図2図8を結び付けて本出願による電池充電の方法の具体的な実施例を説明したが、以下は、図9図10を結び付けて本出願による関連装置の具体的な実施例について説明する。理解できるように、下記各装置の実施例における関連記述は、前述の各方法実施例を参照してもよく、簡潔のために、ここでは説明を省略する。
【0195】
図9は、本出願の実施例による電池管理システムBMS 900の概略的構造ブロック図を示す。図9に示すように、該BMS 900は、取得モジュール910と、制御モジュール920とを含む。
【0196】
本出願の一実施例では、取得モジュール910は、動力電池の健康状態SOHを取得するために用いられ、且つ取得モジュール910は、動力電池の充電過程において、動力電池の荷電状態SOCを取得するためにも用いられ、制御モジュール920は、動力電池のSOHに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、且つ動力電池のSOCがSOC間隔値変化するときに、動力電池を放電するように制御するために用いられる。
【0197】
本出願の一実施例では、制御モジュール920は、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも大きければ、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以下であれば、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きい。
【0198】
本出願の一実施例では、制御モジュール920は、動力電池のSOHとSOCに基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するために用いられる。
【0199】
本出願の一実施例では、制御モジュール920は、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きく、第5のSOC間隔値は、第6のSOC間隔値よりも大きい。
【0200】
本出願の一実施例では、予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である。
【0201】
本出願の一実施例では、制御モジュール920は、動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するために用いられる。
【0202】
本出願の一実施例では、SOC間隔値の範囲は、3%~95%である。
【0203】
任意選択的に、図9に示すように、本出願の実施例によるBMS 900は、送信モジュール930をさらに含んでもよく、本出願の一実施例では、送信モジュール930は、充電需要情報を送信するために用いられ、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロであり、充電需要情報は、動力電池を充電停止するように制御するために用いられる。
【0204】
本出願の一実施例では、取得モジュール910は、さらに、動力電池の電流を取得するために用いられ、制御モジュール920は、動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、動力電池を放電するように制御するために用いられる。
【0205】
本出願の一実施例では、制御モジュール920は、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる。
【0206】
図10は、本出願の別の実施例によるBMS 1000の概略的構造ブロック図を示す。図10に示すように、BMS 1000は、メモリ1010とプロセッサ1020とを含み、ここで、メモリ1010は、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、プロセッサ1020は、該コンピュータプログラムを読み取り、且つ該コンピュータプログラムに基づいて前述の本出願の各実施例の方法を実行するためのものである。
【0207】
なお、本出願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶するための読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータプログラムは、前述の本出願の各実施例の方法を実行するためのものである。任意選択的に、該コンピュータプログラムは、上記BMSにおけるコンピュータプログラムであってもよい。
【0208】
理解すべきこととして、本明細書における具体的な例は、本出願の実施例を当業者によりよく理解させるためのものにすぎず、本出願の実施例の範囲を限定するものではない。
【0209】
さらに理解すべきこととして、本出願の各実施例において、各プロセスの番号の大きさは、実行順番の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順番は、その機能と内在論理によって確定されるべきであり、本出願の実施例の実施プロセスを限定するものではない。
【0210】
さらに理解すべきこととして、本明細書に記述された各実施形態は、単独に実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよく、本出願の実施例では、これに対して限定しない。
【0211】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内のすべての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0212】
100 電池システム
101 充電装置
102 電力消費装置
110 動力電池
120 電池管理システム(battery management system、BMS)
910 取得モジュール
920 制御モジュール
930 送信モジュール
1010 メモリ
1020 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の充電の方法であって、前記動力電池の電池管理システムBMSに応用され、前記方法は、
前記動力電池の健康状態SOHを取得することと、
前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の荷電状態SOCを取得することと、
前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することと、
前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、前記動力電池を放電し又は充電停止するように制御することとを含む、動力電池の充電の方法。
【請求項2】
前述の、前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定することとを含み、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の、前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHとSOCに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応する前記SOC間隔値を確定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記の、前記動力電池のSOHとSOCに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応する前記SOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定することとを含み、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、前記第5のSOC間隔値は、前記第6のSOC間隔値よりも大きい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である、請求項2又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記の、前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することは、
前記動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記SOC間隔値の範囲は、3%~95%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記動力電池を放電するように制御する前に、前記方法は、
充電需要情報を送信することをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記動力電池を放電するように制御する前に、前記方法は、
前記動力電池の電流を取得することをさらに含み、
前記の、前記動力電池を放電するように制御することは、
前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を放電するように制御することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法はさらに、
前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御することを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
動力電池の電池管理システムBMSであって、
前記動力電池の健康状態SOHを取得するために用いられ、
前記動力電池の充電過程において、前記動力電池の荷電状態SOCを取得するためにも用いられる取得モジュールと、
前記動力電池のSOHに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定し、
且つ前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、前記動力電池を放電し又は充電停止するように制御するための制御モジュールとを含む、動力電池の電池管理システムBMS。
【請求項12】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOHよりも小さければ、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きい、請求項11に記載のBMS。
【請求項13】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHとSOCに基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応する前記SOC間隔値を確定するために用いられる、請求項11又は12に記載のBMS。
【請求項14】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値以上であり、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さく、且つ前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、前記第5のSOC間隔値は、前記第6のSOC間隔値よりも大きい、請求項13に記載のBMS。
【請求項15】
前記予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%である、請求項12又は14に記載のBMS。
【請求項16】
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池の放電又は充電停止に対応するSOC間隔値を確定するために用いられる、請求項11から15のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項17】
前記SOC間隔値の範囲は、3%~95%である、請求項11から16のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項18】
前記BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである、請求項11から17のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項19】
前記取得モジュールは、さらに、
前記動力電池の電流を取得するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を放電するように制御するために用いられる、請求項18に記載のBMS。
【請求項20】
前記制御モジュールは、
前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる、請求項18又は19に記載のBMS。
【請求項21】
動力電池の電池管理システムBMSであって、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを呼び出して請求項1から10のいずれか一項に記載の動力電池充電の方法を実行するためのものである、動力電池の電池管理システムBMS。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0197
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0197】
本出願の一実施例では、制御モジュール920は、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であることを確定するために用いられ、ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きい。
【国際調査報告】