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特表2023-553100押出物品を製造するために使用されるスロットダイを調整するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】押出物品を製造するために使用されるスロットダイを調整するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/31 20190101AFI20231213BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20231213BHJP
【FI】
B29C48/31
B29C48/92
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534894
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2020061687
(87)【国際公開番号】W WO2022123295
(87)【国際公開日】2022-06-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヤペル,ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ロウクサ,ペンティ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】トライス,ジェニファー エル.
(72)【発明者】
【氏名】コペッキー,ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ポール シー.
(72)【発明者】
【氏名】コスタッチ,グレゴリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デーン,デレク ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AG01
4F207AP11
4F207AR01
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB13
4F207KL75
4F207KL76
4F207KL78
4F207KL79
4F207KM05
4F207KM15
(57)【要約】
スロットダイを動作させる方法であって、スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、を有する、方法が提供される。チョーカーバー又は可撓性ダイリップの形状は、力印加機構を用いて、スロットダイの幅に概ね平行な力を印加することによって操作することができる。アプリケータスロットの少なくとも一部分が、1つ以上のデッケルで遮断されてアプリケータスロットの有効幅が低減された、スロットダイを動作させてパージする方法が更に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、を含み、前記方法が、
力印加機構を用いて、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な力を印加することによって、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作することを含む、
方法。
【請求項2】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、前記可撓性ダイリップ又は前記チョーカーバーの金属を膨張させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、圧力軽減形状を作り出すように選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記スロットダイが、前記チョーカーバーを更に含み、前記スロットダイが、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータが、前記チョーカーバーの前記幅に沿って前記チョーカーバーと係合されており、各アクチュエータが、前記流体流路内のチョーカーバーの位置の局所的な調整を提供することによって、各アクチュエータの位置で前記流体流路の高さを制御するように動作可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スロットダイが、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スロットダイが、前記アプリケータスロットの片側に前記可撓性ダイリップを更に含み、前記複数のアクチュエータが、前記可撓性ダイリップを移動させることによって、前記アプリケータスロットの前記高さを制御するように動作可能である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記可撓性ダイリップが、前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップを局所的に屈曲させることを容易にする複数のノッチを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、前記可撓性ダイリップを形成する金属を収縮させる又は膨張させる、のいずれかである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力を印加しながら、前記スロットダイを研削することと、
前記スロットダイを研削した後に、前記スロットダイが圧力軽減形状をとるように、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力を除去することと、
を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記力印加機構が、加熱要素、圧電デバイス、機械デバイス、段付きボルト要素、空気圧デバイス、又は油圧デバイスを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、前記方法が、
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な方向に沿って前記スロットダイの前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップを局所的に膨張又は収縮させ、それによって、前記複数のアクチュエータが前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップと係合する場合のクロスウェブスロット高さプロファイルを調整するように、アクチュエータ設定を決定することと、
前記決定されたアクチュエータ設定に基づいて前記複数のアクチュエータを前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップと係合させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップが、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップを局所的に屈曲させることを容易にするために、流体流方向に概ね平行に延びる複数のノッチを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、前記方法が、
デッケルで前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減することと、
コントローラを用いて、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの予め選択されたクロスウェブスロット高さプロファイルに基づく複数の個別設定からの前記個別設定のセットを予測することであって、前記予測は、前記個別設定のセットと前記押出物のクロスウェブスロット高さプロファイルとの間の既知の相関に基づいている、予測することと、
前記スロットダイの前記調整のために前記予測された個別設定のセットに従って各アクチュエータの位置を設定することと、
を含み、
前記アクチュエータが、前記スロットダイの動作中に、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、
方法。
【請求項14】
前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿った前記高さプロファイルが、前記アプリケータスロットの前記遮断されていないゾーンと遮断されたゾーンが一緒になる場所の、前記アプリケータスロットの前記遮断されたゾーンの上の高さプロファイル平均に収束する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
押出物品を製造する方法であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法に従ってスロットダイを動作させることと、前記スロットダイの前記アプリケータスロットを通して押出物を押出して、前記押出物品を得ることと、
を含む、方法。
【請求項16】
スロットダイをパージする方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、前記スロットダイの前記幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、を備え、前記方法が、
前記複数のアクチュエータを用いて力を印加することによって前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得することであって、前記アクチュエータは、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、取得することと、
前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、前記複数のアクチュエータを用いて前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿って前記クロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿った前記高さプロファイルが、前記アプリケータスロットの前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンが一緒になる場所の前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上の高さプロファイル平均に収束する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
スロットダイであって、
前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、
チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、
前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップに動作可能に結合された力印加機構と、
を含むスロットダイと、
複数の個別設定のうちの1つに従って各アクチュエータの位置を設定し、前記スロットダイを動作させるように構成されたコントローラと、を備えるシステムであって、前記コントローラは、前記力印加機構を用いて、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な力を印加することによって、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作するように構成されている、
システム。
【請求項19】
スロットダイであって、
前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、
前記スロットダイの前記幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、
前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、
前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、
を含むスロットダイと、
前記複数のアクチュエータを用いて力を印加することによって前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得し、ここで前記アクチュエータは、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的であり、前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、前記複数のアクチュエータを用いて前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿って前記クロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大するように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットダイ、並びにそれに関連するアセンブリ、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットダイは、アプリケータスロットを形成するダイリップを含む。アプリケータスロットの幅は、移動ウェブの幅、又はフィルムなどの押出物を受け取るローラの幅に沿って延びることができる。本明細書で使用されるとき、スロットダイ及びスロットダイの構成要素に関して、「幅」は、スロットダイ及びその構成要素のクロスウェブ(又はクロスローラ)寸法を指す。この点に関して、スロットダイのアプリケータスロットは、スロットダイの幅に沿って延びる。
【0003】
スロットダイは、一般に、押出物、コーティング、及び他の押出物品を形成するために使用される。一例として、スロットダイは、移動する可撓性基材つまり「ウェブ」に液体材料を塗布するためのスロットダイコーティングにおいて使用することができる。スロットダイコーティングの技術には多くのバリエーションがある。一例として、コーティング材料は、室温又は制御された温度であってもよい。コーティング材料が処理のために溶融又は液化されることを確実にするためにコーティング材料温度が上昇される場合、これは、しばしば「ホットメルト」コーティングと呼ばれる。他の例では、コーティング材料は、溶媒希釈剤を含むことができる。溶媒は、水、有機溶媒、又はコーティングの成分を溶解若しくは分散させる任意の好適な流体であってもよい。溶媒は、典型的には、乾燥によってなど、後続の処理において除去される。コーティングは、単一又は複数の層を含むことができ、いくつかのスロットダイを使用して、複数の層を同時に塗布することができる。コーティングは、ダイの幅にわたる連続コーティングであってもよく、又は代わりに、ストリップから構成されてもよく、各ストリップは、ダイの幅の一部分のみにわたって延び、隣接するストリップから分離されている。
【0004】
スロットダイはまた、薄膜押出物又は他の押出物を含む押出物を形成するために使用される。いくつかの例では、押出物は、押出コーティングであってもよく、ウェブ基材に適用されてもよく、このプロセスは、押出コーティングと呼ばれることがある。他の例では、押し出された材料は、フィルム又はウェブを直接形成する。押し出されたフィルムは、その後、長さ延伸又は幅出し操作によって加工されてもよい。コーティングと同様に、押出物は、単一層又は複数層を含んでもよい。
【0005】
フィルム又はコーティングなどの押出物の厚さは、他の要因の中でも、スロットダイを通る押出物の流量に依存する。一例では、スロットダイは、所望のチョーカーバー高さプロファイルを提供するために、スロットダイを通る押出物の流量を局所的に調整するように使用することができる調整可能なチョーカーバーを流路内に含むことができる。スロットダイはまた、所望の押出物厚さプロファイルを提供するために、アプリケータスロットの局所高さ(すなわち、スロット高さ)を調整して、アプリケータスロットからの押出物の流量を制御するように使用することができる、可撓性ダイリップを含むことができる。
【0006】
スロットダイは、厚さプロファイルを操作するために、アプリケータスロットの幅に沿って離間した複数のアクチュエータを含んでもよい。例えば、各アクチュエータは、チョーカーバー又は可撓性ダイリップの局所的な位置調整を提供するように構成することができる。
【0007】
スロットダイを用いて押出プロセスを開始した後、押出物のクロスウェブプロファイルを測定することができる。次いで、各アクチュエータは、アプリケータスロットの幅にわたって押出物に均一な厚さなどの所望の厚さプロファイルを提供するように個々に調整される必要があり得る。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ又はチョーカーバーの形状を操作するための技術を含み、関連付けられた力印加機構は、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。ダイの幅に平行なそのような力は、ダイリップ又はチョーカーバーの局所的な加熱又は冷却によって引き起こされるなどの全方向の膨張又は収縮によって提供することができる。例えば、ダイリップの平坦度は、ダイリップ付近の金属を膨張させることによって操作することができ、これにより、ダイリップの形状を個別制御点間で変化させる。この技術は、位置決めデバイス間で屈曲することができる筋肉を有するダイに類似している。
【0009】
これらの技術は、従来のダイスロット制御要素位置自体の間でダイスロットを有利に調整するために、従来のアジャスタ手段と組み合わせて使用することができ、したがって、押出均一性制御の空間分解能を改善することができる。
【0010】
第1の態様では、スロットダイを動作させる方法が開示される。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つとを含む。この方法は、力印加機構を用いて、ダイの幅に概ね平行な力を印加することによって、チョーカーバー又は可撓性ダイリップの形状を操作することを含む。
【0011】
第2の態様では、スロットダイを動作させる方法が提供され、スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、スロットダイの幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、複数のアクチュエータの各アクチュエータが、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、この方法は、スロットダイの幅に概ね平行な方向に沿ってスロットダイのチョーカーバー又は可撓性ダイリップを局所的に膨張又は収縮させ、それによって、力印加機構がチョーカーバー又は可撓性ダイリップと係合する場合のクロスウェブスロット高さプロファイルを調整するように、力印加機構の設定を決定することと、決定された設定に基づいて力印加機構をチョーカーバー又は可撓性ダイリップと係合させることと、を含む。
【0012】
第3の態様では、スロットダイを動作させる方法が提供され、スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、スロットダイの幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、複数のアクチュエータの各アクチュエータが、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、この方法は、デッケルでアプリケータスロットの一部分を遮断してアプリケータスロットの有効幅を低減することと、コントローラを用いて、アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの予め選択されたクロスウェブスロット高さプロファイルに基づく複数の個別設定からの個別設定のセットを予測することであって、予測は、個別設定のセットと押出物のクロスウェブスロット高さプロファイルとの間の既知の相関に基づいている、予測することと、スロットダイの調整のために予測された個別設定のセットに従って各アクチュエータの位置を設定することと、を含み、アクチュエータは、スロットダイの動作中に、アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である。
【0013】
第4の態様では、押出物品を製造する方法であって、前述の方法に従ってスロットダイを動作させることと、スロットダイのアプリケータスロットを通して押出物を押出して、押出物品を得ることと、を含む、方法が提供される。
【0014】
第5の態様では、スロットダイをパージする方法が提供され、スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、チョーカーバー又は可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置でアプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、アプリケータスロットの一部分を遮断してアプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、を含み、この方法は、複数のアクチュエータを用いて力を印加することによってチョーカーバー又は可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得することであって、アクチュエータは、アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、取得することと、遮断されていないゾーンと遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、複数のアクチュエータを用いてアプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿ってクロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大することと、を含む。
【0015】
第6の態様では、システムが提供され、システムは、スロットダイであって、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、チョーカーバー又は可撓性ダイリップに動作可能に結合された力印加機構と、を含むスロットダイと、複数の個別設定のうちの1つに従って各アクチュエータの位置を設定し、スロットダイを動作させるように構成されたコントローラと、を備え、コントローラは、力印加機構を用いて、スロットダイの幅に概ね平行な力を印加することによって、チョーカーバー又は可撓性ダイリップの形状を操作するように構成されている。
【0016】
第7の態様では、スロットダイ及びコントローラを備えるシステムが提供される。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、チョーカーバー又は可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置でアプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、アプリケータスロットの一部分を遮断してアプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、を含む。コントローラは、複数のアクチュエータを用いて力を印加することによってチョーカーバー又は可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得し、ここでアクチュエータは、アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的であり、遮断されていないゾーンと遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、複数のアクチュエータを用いてアプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿ってクロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大するように構成されている。
【0017】
本開示の1つ以上の実施例の詳細を添付図面及び以下の説明に示す。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
図1A】複数のアクチュエータを有するチョーカーバーを含むスロットダイであって、各アクチュエータは、その位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である、スロットダイを示す図である。
図1B】複数のアクチュエータを有するチョーカーバーを含むスロットダイであって、各アクチュエータは、その位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である、スロットダイを示す図である。
図2】回転ロッドに接続された複数のアクチュエータを有する調整可能な回転ロッドを含むスロットダイであって、各アクチュエータは、その位置で回転ロッドの局所位置を調整し、それによってアプリケータスロットの局所高さを調整するように動作可能である、スロットダイを示す図である。
図3】可撓性ダイリップに接続された複数のアクチュエータを有する可撓性ダイリップを含むスロットダイであって、各アクチュエータは、その位置で可撓性ダイリップの局所位置を調整し、それによってアプリケータスロットの局所高さを調整するように動作可能である、スロットダイを示す図である。
図4】位置センサを含むアクチュエータアセンブリと、位置センサの出力に基づいてアクチュエータアセンブリの位置を選択するためのコントローラとを示す図である。
図5】押出物の予め選択されたクロスウェブプロファイルに従ってスロットダイの複数のアクチュエータの各アクチュエータの位置を選択するための技術を示すフローチャートである。
図6】ダイの動作中に予め選択されたダイキャビティ圧力に従ってスロットダイの複数のアクチュエータの各アクチュエータの位置を選択するための技術を示すフローチャートである。
図7】ダイを動作させ続けながら、アクチュエータの各々に隣接する流体流路の高さを増加させることによってスロットダイをパージするための技術を示すフローチャートである。
図8】ダイを動作させ続けながら、アクチュエータの各々に隣接する流体流路を実質的に閉鎖することによってスロットダイをパージするための技術を示すフローチャートである。
図9】スロットダイのアクチュエータ位置設定を繰り返し調整することによって生成されたパターンを含むストリップコーティングを示す図である。
図10】スロットダイのアクチュエータ位置設定を繰り返し調整することによって生成されたパターンを含む押出物を示す図である。
図11A】スロットダイコントローラのユーザインターフェースの一実施例を示す図である。
図11B】スロットダイコントローラのユーザインターフェースの一実施例を示す図である。
図11C】スロットダイコントローラのユーザインターフェースの一実施例を示す図である。
図11D】スロットダイコントローラのユーザインターフェースの一実施例を示す図である。
図12】スロットダイにアクチュエータアセンブリのセットを後付けする技術を示す図である。
図13】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図14】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図15】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図16】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図17】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図18】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図19】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図20】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図21】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
図22】ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術に関する図であり、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で使用する場合、「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、一定の状況下で一定の利点をもたらすことができる、本明細書に記載の実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。更にまた、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、他の実施形態を本発明の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0020】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、文脈上別段の明記がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。したがって、例えば、「a」又は「the」が付いた構成要素への言及には、構成要素及び当業者に公知のその均等物のうちの1つ以上を含んでもよい。更に、「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0021】
「含む」という用語及びその変化形は、これらの用語が添付の記載に現れた場合、限定的意味を有しないことに注意されたい。また更に、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、本明細書では互換的に使用される。左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対語が、本明細書において使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からのものである。しかしながら、これらの用語は、記載を簡単にするために使用されるに過ぎず、決して本発明の範囲を制限するものではない。
【0022】
本明細書全体において、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」又は「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。該当する場合、商品名は、全て大文字で記載する。
【0023】
図1A及び図1Bは、スロットダイ10を示す。スロットダイ10は、上部ダイブロック2と下部ダイブロック3とを含む。上部ダイブロック2は、下部ダイブロック3と組み合わせて、スロットダイ10を通る流体流路を形成する。流体流路は、入口5と、ダイキャビティ4と、アプリケータスロット6とを含む。アプリケータスロット6は、上部ダイブロック2に取り付けられた回転ロッド12と下部ダイブロック3のダイリップ13との間にある。スロットダイ10は、そのアプリケータスロットに回転ロッド12を含むので、スロットダイ10は、回転ロッドダイと呼ばれることがある。
【0024】
スロットダイ10は、スロットダイ10内の流体流路の幅にわたって延びるチョーカーバー11を含む。一例として、チョーカーバー11におけるスロットダイ10内の流体流路の幅は、チョーカーバー11がアプリケータスロット6の幅に沿って延びるように、アプリケータスロット6の幅とほぼ同じであってもよい。アクチュエータアセンブリ200は、共通の取付ブラケット9に取り付けられており、スロットダイ10の幅に沿って離間している。いくつかの実施例では、取付ブラケット9は、セグメント化されていてもよく、例えば、取付ブラケット9は、各アクチュエータアセンブリ200のための別個の構造体を含んでもよい。各アクチュエータアセンブリ200は、スロットダイ10内の押出物の流体流路内のチョーカーバー11の位置を変更することによって、スロットダイ10の幅に沿ったそのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整して、アプリケータスロット6を通る流体流の局所的な調整を提供するように動作可能である。
【0025】
スロットダイ10の動作中、押出物は、流体流路入口5でスロットダイ10に入り、押出物がアプリケータスロット6を通って出て、移動するローラ7に適用されるまで、ダイキャビティ4を含むスロットダイ10の流体流路を通って進み続ける。いくつかの実施例では、押出物は、移動するウェブ(図示せず)に適用されてもよく、他の実施例では、押出物は、ローラ7に直接適用されてもよい。押出物及びウェブ(該当する場合)を、一連のローラの上を走らせて押出物を冷却することができる。1つ以上の追加のプロセスが、ローラ7の下流で押出物に対して行われてもよい。本開示に密接に関係するわけではないが、このようなプロセスとしては、延伸、コーティング、テクスチャリング、印刷、切断、圧延、及び積層が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかのプロセスでは、製造剥離ライナーを除去して、剥離ライナーを追加することができ、又は1つ以上の追加の層(積層転写テープなど)を追加することができる。電子ビーム、オーブン、又は紫外線(ultraviolet、UV)チャンバへの曝露などの硬化工程も行うことができる。
【0026】
図1Bに示すように、スロットダイ10は、共通の取付ブラケット9に取り付けられたアクチュエータアセンブリ200のセットを含む。5つのアクチュエータアセンブリ200が示されているが、異なる数のアクチュエータアセンブリもまた可能である。各アクチュエータアセンブリ200は、チョーカーバー11に取り付けられている、又は他の方法でチョーカーバー11に係合されており、アクチュエータアセンブリ200は、チョーカーバー11の幅に沿って離間している。アクチュエータの各々は、スロットダイ10内の流体流路内のチョーカーバー11の位置の局所的な調整を提供することによって、その位置で流体流路の高さを制御するように動作可能である。
【0027】
図4に関して更に詳細に説明するように、アクチュエータアセンブリ200の各々は、リニアアクチュエータを駆動するモータを含むことができる。アクチュエータアセンブリ200の各々はまた、リニアアクチュエータの出力シャフトの位置移動を検出する、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformer、LVDT)又はリニアエンコーダなどの精密センサを含むことができる。リニアアクチュエータアセンブリ200の出力シャフトは、各リニアアクチュエータアセンブリ200がチョーカーバーの局所位置を調整するよう動作可能であるように、チョーカーバー11の幅に沿って離間している。以下で更に詳細に説明するように、各リニアアクチュエータの位置は、押出物の所望のクロスウェブプロファイルを提供するように個々に選択可能である。加えて、リニアアクチュエータアセンブリ200の位置は、スロットダイ10内のチョーカーバー11に隣接する流体流路の全断面積を調整することによって、スロットダイ10の動作中にダイキャビティ4内に所望のダイキャビティ圧力を提供するように正確に調整することができる。他の実施例では、各アクチュエータアセンブリ200の位置は、反復又はランダムパターン化特徴などのパターン化特徴を有する押出物を生成するように能動的に制御されてもよい。本明細書で言及されるとき、アクチュエータ又はアクチュエータアセンブリの位置への言及は、より具体的には、アクチュエータ出力シャフトの相対的配置を指すことが意図される。
【0028】
図2は、スロットダイ20を示す。スロットダイ20は、回転ロッド22に接続された複数のアクチュエータアセンブリ200を有する調整可能な回転ロッド22を含む。各アクチュエータアセンブリ200は、その位置で回転ロッド22の局所位置を調整し、それによってアプリケータスロット6の局所高さを調整するように動作可能である。スロットダイ20のいくつかの態様は、スロットダイ10の態様と同様であり、スロットダイ20に関して限定的に詳細に説明する。スロットダイ10の構成要素と同じ参照番号を有するスロットダイ20の構成要素は、スロットダイ10の同様に番号付けされた構成要素と実質的に同様である。
【0029】
スロットダイ20は、上部ダイブロック2と下部ダイブロック3とを含む。上部ダイブロック2は、下部ダイブロック3と組み合わせて、スロットダイ20を通る流体流路を形成する。流体流路は、入口5と、ダイキャビティ4と、アプリケータスロット6とを含む。アプリケータスロット6は、上部ダイブロック2に取り付けられた調整可能な回転ロッド22と下部ダイブロック3のダイリップ13との間にある。スロットダイ20は、そのアプリケータスロットに調整可能な回転ロッド22を含むので、スロットダイ20は、回転ロッドダイと呼ばれることがある。
【0030】
スロットダイ20は、アプリケータスロット6の高さが、回転ロッド22に接続するアクチュエータアセンブリ200によって制御される点で、スロットダイ10とは異なる。アクチュエータアセンブリ200は、共通の取付ブラケット9に取り付けられており、スロットダイ20の幅に沿って離間している。各アクチュエータアセンブリ200は、回転ロッド22の位置を変更することによって、スロットダイ20の幅に沿ったそのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整して、アプリケータスロット6を通る流体流の局所的な調整を提供するように動作可能である。図2では1つのアクチュエータアセンブリ200しか示されていないが、スロットダイ20は、図1Bに示すアクチュエータアセンブリ200の配置と同様に、回転ロッド22及びスロットダイ20の幅に沿って離間したアクチュエータアセンブリ200のセットを含む。
【0031】
スロットダイ20の動作中、押出物は、流体流路入口5でスロットダイ20に入り、押出物がアプリケータスロット6を通って出て移動するローラ7に適用されるまで、ダイキャビティ4を含むスロットダイ20の流体流路を通って進み続ける。いくつかの実施例では、押出物は、移動するウェブ(図示せず)に適用されてもよく、他の実施例では、押出物は、ローラ7に直接適用されてもよい。押出物及びウェブ(該当する場合)を、一連のローラの上を走らせて、押出物を冷却することができる。図1A及び図1Bに関して上述したように、1つ以上の追加のプロセスが、ローラ7の下流で押出物に対して行われてもよい。
【0032】
アクチュエータアセンブリ200の各々は、回転ロッド22の位置の局所的な調整を提供することによって、その位置で流体流路の高さを制御するように動作可能である。以下で更に詳細に説明するように、各アクチュエータアセンブリ200の位置は、押出物の所望のクロスウェブプロファイルを提供するように個々に選択可能である。加えて、リニアアクチュエータアセンブリ200の位置は、アプリケータスロット6の全断面積を調整することによって、スロットダイ20の動作中にダイキャビティ4内に所望のダイキャビティ圧力を提供するように正確に調整することができる。他の実施例では、各アクチュエータアセンブリ200の位置は、反復又はランダムパターン化特徴などのパターン化特徴を有する押出物を生成するように能動的に制御されてもよい。
【0033】
スロットダイ20はチョーカーバーを含まないが、他の実施例では、調整可能な回転ロッドを有するスロットダイはまた、スロットダイ10のチョーカーバー11のような調整可能なチョーカーバーを含んでもよい。このようなチョーカーバーの位置は、スロットダイ10のチョーカーバー11と同様に、アクチュエータのセットによって局所的に制御することができる。
【0034】
図3は、スロットダイ30を示す。スロットダイ30は、可撓性ダイリップ32に接続された複数のアクチュエータアセンブリ200を有する可撓性ダイリップ32を含む。各アクチュエータアセンブリ200は、その位置で可撓性ダイリップ32の局所位置を調整し、それによってアプリケータスロット6の局所高さを調整するように動作可能である。スロットダイ30のいくつかの態様は、スロットダイ10及びスロットダイ20の態様と同様であり、スロットダイ30に関して限定的に詳細に説明する。スロットダイ10及びスロットダイ20の構成要素と同じ参照番号を有するスロットダイ30の構成要素は、スロットダイ10及びスロットダイ20の同様に番号付けされた構成要素と実質的に同様である。
【0035】
スロットダイ30は、上部ダイブロック2と下部ダイブロック3とを含む。上部ダイブロック2は、下部ダイブロック3と組み合わせて、スロットダイ30を通る流体流路を形成する。流体流路は、入口5と、ダイキャビティ4と、アプリケータスロット6とを含む。アプリケータスロット6は、上部ダイブロック2の一部であるダイリップ34と下部ダイブロック3の可撓性ダイリップ32との間にある。
【0036】
スロットダイ30は、アプリケータスロット6の高さが、可撓性ダイリップ32に接続するアクチュエータアセンブリ200によって制御される点で、スロットダイ10とは異なる。アクチュエータアセンブリ200は、共通の取付ブラケット9に取り付けられており、スロットダイ30の幅に沿って離間している。各アクチュエータアセンブリ200は、可撓性ダイリップ32の位置を変更することによって、スロットダイ30の幅に沿ったそのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整して、アプリケータスロット6を通る流体流の局所的な調整を提供するように動作可能である。図3では1つのアクチュエータ220しか示されていないが、スロットダイ30は、図1Bに示すアクチュエータアセンブリ200の配置と同様に、可撓性ダイリップ32及びスロットダイ30の幅に沿って離間したアクチュエータアセンブリ200のセットを含む。
【0037】
スロットダイ30の動作中、押出物は、流体流路入口5で圧力下でスロットダイ30に入り、押出物がアプリケータスロット6を通って出て、移動するローラ7に適用されるまで、ダイキャビティ4を含むスロットダイ30の流体流路を通って進み続ける。いくつかの実施例では、押出物は、移動するウェブ(図示せず)に適用されてもよく、他の実施例では、押出物は、ローラ7に直接適用されてもよい。押出物及びウェブ(該当する場合)を、一連のローラの上を走らせて、押出物を冷却することができる。
【0038】
他の実施例では、スロットダイ30は、異なる構成のローラと共に使用されてもよい。例えば、押出物は、温度制御されることができる下流ローラ(この場合、キャスティングホイールと呼ばれる)上に落ちるカーテンを形成することができる。他の実施例では、押出物カーテンは、後続の処理のために2つのローラのニップ内に垂直に落ちてもよく、又は水平に(又は任意の角度で)横断してもよい。これは、フィルム押出及び押出コーティング操作の両方においてしばしば使用される。
【0039】
図1A及び図1Bに関して上述したように、1つ以上の追加のプロセスが、ローラ7の下流で押出物に対して行われてもよい。
【0040】
アクチュエータアセンブリ200の各々は、可撓性ダイリップ32の位置の局所的な調整を提供することによって、その位置で流体流路の高さを制御するように動作可能である。以下で更に詳細に説明するように、各アクチュエータアセンブリ200の位置は、押出物の所望のクロスウェブプロファイルを提供するように個々に選択可能である。加えて、リニアアクチュエータアセンブリ200の位置は、アプリケータスロット6の全断面積を調整することによって、スロットダイ30の動作中にダイキャビティ4内に所望のダイキャビティ圧力を提供するように正確に調整することができる。他の実施例では、各アクチュエータアセンブリ200の位置は、反復又はランダムパターン化特徴などのパターン化特徴を有する押出物を生成するように能動的に制御されてもよい。
【0041】
スロットダイ30はチョーカーバーを含まないが、他の実施例では、可撓性ダイリップを有するスロットダイはまた、スロットダイ10のチョーカーバー11のような調整可能なチョーカーバーを含んでもよい。このようなチョーカーバーの位置は、スロットダイ10のチョーカーバー11と同様に、アクチュエータのセットによって局所的に制御することができる。
【0042】
図4は、アクチュエータアセンブリ200と、0バックラッシュカプラ240と、コントローラ300とを含むアセンブリを示す。図1A図3に示すように、アクチュエータアセンブリ200は、例えば、スロットダイ20、30と同様にアプリケータスロットの高さを調整することによって、又はスロットダイ10と同様にスロットダイ内の流体流路の高さを調整することによって、スロットダイの流体流路の局所的な調整を提供するために、スロットダイに使用されてもよい。
【0043】
アクチュエータアセンブリ200は、モータ210と、モータ210に結合されたリニアアクチュエータ220と、位置センサ230とを含む。一例として、モータ210は、ステッピングモータであってもよい。モータ210の出力シャフト(図示せず)は、リニアアクチュエータ220に機械的に結合されている。センサ230は、リニアアクチュエータ220の位置を感知する。例えば、センサ230は、LVDTセンサ又はリニアエンコーダであってもよい。センサ230は、クランプ232によってリニアアクチュエータ220の出力シャフト222に固定されており、リニアアクチュエータ220の出力シャフト222の相対位置を正確に測定する。他の実施例では、センサ230は、出力カプラ240、ダイアクチュエータリンク機構252、可撓性ダイリップ32、回転ロッド22、又はチョーカーバー11を測定してもよい。一例として、アクチュエータアセンブリ200として使用するのに適したアクチュエータアセンブリは、Honeywell International Incorporated(Morristown,New Jersey)から入手可能である。
【0044】
コントローラ300は、モータ210及びセンサ230の両方から位置入力を受信する。例えば、モータ210は、ステッピングモータであってもよく、ステッピングモータの既知の基準位置からステッピングモータが取った「ステップ」の数の指標を提供してもよい。センサ230は、モータ210によって提供されるよりも正確な位置情報をコントローラ300に提供することができる。コントローラ300は、モータ210に命令を与えて、アクチュエータ220の出力シャフト222を予め選択された位置に駆動する。例えば、コントローラ300は、予め選択された位置に従ってアクチュエータ220の出力シャフト222を位置決めするために、モータ210を動作させながら、センサ230を用いてアクチュエータ220の出力シャフト222の位置を監視してもよい。いくつかの実施例では、コントローラ300は、アクチュエータアセンブリ200のセットを同時に又は順次に、のいずれかで制御することができる。例えば、コントローラ300は、図1Bに示すように、スロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の各々を制御することができる。
【0045】
スロットダイ10、20、30では、アクチュエータ220の出力シャフト222は、0バックラッシュカプラ240によってダイアクチュエータリンク機構252に有利に接続することができる。0バックラッシュカプラ240は、この実施例では、互いにねじ留めされる2つの半体、すなわち下半分242及び上半分244を含む。下半分242は、ねじでダイアクチュエータリンク機構252に直接取り付けられている。加えて、0バックラッシュカプラ240は、アクチュエータ220の出力シャフト222の端部にボルト留めされる積層突出アセンブリを含む。積層突出アセンブリは、絶縁ディスク248を取り囲む2つの金属ディスク246を含む。一例として、絶縁ディスク248は、セラミック材料を含むことができる。下半分242及び上半分244は、組み合わされて、アクチュエータ220の出力シャフト222の端部にボルト留めされた金属ディスク246及び絶縁ディスク248を含む積層突出アセンブリを取り囲む。上半分244が下半分242にしっかりとねじ留めされると、アクチュエータ220の出力シャフト222は、0バックラッシュカプラ240及びダイアクチュエータリンク機構252に効果的に接続される。
【0046】
0バックラッシュカプラ240は、アクチュエータアセンブリ200をスロットダイから熱的に分離するように機能する。具体的には、絶縁ディスク248は、アクチュエータ220の出力シャフト222とダイアクチュエータリンク機構252との間の金属間接触経路を著しく制限する。これは、スロットダイの損傷熱からアクチュエータアセンブリ200を保護するのに役立つ。例えば、スロットダイは、通常、300°F(149℃)を超える温度で動作する。これに対して、モータ210及びセンサ230を含むアクチュエータアセンブリ200の構成要素は、130°F(54℃)を超える温度に曝されたときに、機能の制限又は更には永久的な損傷を受ける可能性がある。このため、0バックラッシュカプラ240は、アクチュエータアセンブリ200の温度を130°F(54℃)以下に維持するように機能することができる。いくつかの実施例では、金属ディスク246はまた、アクチュエータ220の出力シャフト222とダイアクチュエータリンク機構252との間に金属間接触がないように、非金属材料から形成することができる。そのような実施例は、アクチュエータアセンブリ200をスロットダイハウジングから更に熱的に分離する。更なる実施例では、カプラ240の表面積は、アクチュエータアセンブリ200の温度を130°F(54℃)以下に維持するために熱を放散するように選択することができる。これは、独立して、又は絶縁ディスク248と組み合わせて使用することができる。更なる実施例では、能動的熱制御を使用して、0バックラッシュカプラ240、出力シャフト222、又はアクチュエータアセンブリ200を冷却することができる。能動的熱制御の適切な例としては、対流空気流、循環液体、及び熱電子デバイスが挙げられる。
【0047】
作動機構として差動ボルトを利用するスロットダイ設計とは対照的に、0バックラッシュカプラ240は、制限されたバックラッシュで、又はバックラッシュなしで、アクチュエータ220の出力シャフト222をダイアクチュエータリンク機構252に結合する。差動ボルト機構は100マイクロメートルを超えるバックラッシュを有することがあるのに対して、0バックラッシュカプラ240は、10マイクロメートル未満、又は更には約3マイクロメートルなどの5マイクロメートル未満など、ほとんどバックラッシュを提供しないことができる。
【0048】
アプリケータスロット幅又はチョーカーバー位置を制御するために1組の差動ボルトを利用するスロットダイでは、各差動ボルトの比較的大きなバックラッシュは、1つの差動ボルトの位置を調整することにより、他のボルトにおける流体流路の高さを変化させる可能性があることを意味する。このため、押出ダイの動作中にチョーカーバーの絶対位置を知ることはできない。対照的に、スロットダイ10、20、30では、アクチュエータ220の出力シャフト222の位置は、チョーカーバー11(スロットダイ10の場合)、回転ロッド22(スロットダイ20の場合)、及び可撓性ダイリップ32(スロットダイ30の場合)の局所位置に直接対応する。このため、スロットダイ10、20、及び30は、作動機構として差動ボルトを利用するスロットダイでは利用できない反復可能な正確な位置決めを容易にする。
【0049】
図5は、押出物の予め選択されたクロスウェブプロファイルに従ってスロットダイの複数のアクチュエータの各アクチュエータの位置を選択するための技術を示すフローチャートである。本明細書に開示されるスロットダイに限定されないが、明確にするために、図5の技術は、スロットダイ10(図1A及び図1B)、アクチュエータアセンブリ200(図4)、及びコントローラ300(図4)に関して説明する。異なる実施例では、図5の技術は、ストリップコーティング、フィルムスロットダイ、多層スロットダイ、ホットメルト押出コーティングダイ、ドロップダイ、回転ロッドダイ、接着剤スロットダイ、溶媒コーティングスロットダイ、水性コーティングダイ、スロット供給ナイフダイ、押出複製ダイ、真空接触ダイ、又は他のスロットダイに利用することができる。
【0050】
最初に、スロットダイ10などのスロットダイが用意される(ステップ502)。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って離間した複数のアクチュエータとを含む。アプリケータスロットは、スロットダイを通る流体流路と流体連通している。複数のアクチュエータの各アクチュエータは、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である。
【0051】
次に、各アクチュエータと通信するコントローラ300などのコントローラが用意される(ステップ504)。コントローラは、センサ230の測定された位置及び/又はモータ210のためのステッピングモータ設定などの複数の個別設定のうちの1つに従って、各アクチュエータの位置を設定するように構成されている。
【0052】
流体力学と、スロットダイ10のソリッドモデルなどのスロットダイ10のデジタルモデルとを使用して、コントローラ300は、予め選択されたクロスウェブプロファイルに対応する複数の個別設定からの個別設定のセットを予測する(ステップ506)。異なる実施例では、コントローラ300は、予め選択されたクロスウェブプロファイルを非一時的コンピュータ可読媒体から取り出してもよく、又は予め選択されたクロスウェブプロファイルをユーザ入力から受信してもよい。
【0053】
異なる実施例では、予測された設定は、センサ230からの測定値及び/又はモータ210の個別位置設定に対応することができる。センサ230は、モータ210によって提供されるよりも正確な位置情報をコントローラ300に提供することができる。このため、コントローラ300は、センサ230からの測定値に基づいてアクチュエータアセンブリ200の設定を予測することができ、予測された位置に対応するステップ数までモータ210を直接駆動するのではなく、予測された設定に従って出力シャフト222を配置するようにモータ210を動作させることができる。
【0054】
アクチュエータアセンブリ200などの複数のアクチュエータアセンブリを含むスロットダイでは、各アクチュエータアセンブリは、センサ230などの測定機器を含み、各測定機器は、スロットダイの局所測定値を提供するように構成されており、局所測定値は、それぞれの測定機器の位置における流体流路の高さに対応する。コントローラ300などのコントローラが、例えば個別設定のセットに従って、アクチュエータの各々を位置決めするとき、コントローラは、測定機器からの局所測定値を監視することができる。次いで、コントローラは、アクチュエータの各々に対して、アクチュエータが、個別設定のセットによって定義されるアクチュエータのそれぞれの位置における流体流路の絶対高さを提供するまで、アクチュエータの相対位置を調整してもよい。
【0055】
流体力学、押出物の流体特性、及びダイのデジタルモデルにより、コントローラ300は、スロットダイ10のアクチュエータの個別設定を予測することができる。多くの用途では、ダイの全幅にわたって押出物の一貫した厚さを提供することが望ましい。ストリップコーティングの別の実施例として、コントローラは、スロットダイ10のアクチュエータの個別設定を予測して、予め選択されたストリップ幅に対応する複数の個別設定からの個別設定のセットを予測することができる。
【0056】
ダイを通って流れる押出物のモデル化は、アプリケータスロット幅、マニホールドキャビティからアプリケータスロットの出口までの距離、及びスロット自体を画定する2つの平行な表面間のアプリケータスロットの狭い寸法であるスロット高さを含む、ダイ自体の多くの態様を組み込むことができる。流れの均一性及びコーティングされた製品の重要な均一性を達成する際の1つの基本的な問題は、ダイスロット高さの可能な限り最良の均一性を有するダイを構成する能力である。感度は、線形よりも大きく、これは、スロット高さの変動が押出物において拡大されることを意味する。
【0057】
流れのモデル化は、流体レオロジーを特性化する任意の適切なモデルを使用してもよい。例えば、流れのモデル化は、有限要素解析を含んでもよく、又は1つ以上の方程式により直接的に依存してもよい。一例として、べき乗則流体の場合、スロット内の流れとスロットの幾何学形状との間の関係は、以下の式によって与えられる。
【数1】
【0058】
式1において、Q/Wは、単位幅当たりの流量であり、Bは、スロット高さであり、Pは、圧力であり、Lは、スロット長さ(ダイ幅に対応する)であり、nは、べき乗則指数であり、Kは、べき乗則粘度の係数である。ニュートン定粘度流体は、n=1を有し、次いで、Kは、数値粘度である。
【0059】
別の例として、スロット均一性は、スロットの壁の均一性によって特徴付けることができる。各スロットが2tの総表示ランアウトを有する場合、スロットからの流れのパーセント均一性は以下である:
【数2】
【0060】
定粘度(ニュートン)流体の場合、これは、コーティング均一性がスロット高さ(B)の三乗になることを意味する。この関係を式3に示す。
【数3】
【0061】
式3は、押出流、材料、及びダイ設計自体に関連する詳細を含む全ての詳細を考慮しない場合があるので、スロット設定を予測するために式3が直接使用されない場合がある。しかしながら、式3は、ダイの幅にわたって正確に調整された高さを提供する重要性を示す。具体的には、式3は、流体流路の高さの任意の変動が、結果として得られる押出物のクロスウェブプロファイルにおいて拡大されることを示す。
【0062】
式1は、例えば、ダイスロット変化を予測するために使用されてもよく、その理由は、本明細書に開示される技術によれば、アクチュエータの位置、及び推論によってスロット高さBが、所望の押出物目標厚さ、現在測定されている押出物厚さと組み合わせて知られているからである。以前は、押出プロセス中にスロット高さの絶対位置を知ることは、例えば差動ボルトのバックラッシュのために、可能ではなかった。既知の目標押出物厚さ及び測定された押出物厚さプロファイルを使用して、式1は、適切なダイスロット変化を予測することができる。例えば、既知のスロット高さプロファイル及び測定された押出物厚さプロファイルからスロット高さプロファイルと押出物厚さプロファイルとの間の関係を推論によって知っているので、したがって、目標厚さプロファイルを得るスロット高さプロファイルを予測することができる。
【0063】
流路の他の要素はあまり重要ではないと仮定すると、ニュートン流体の場合、アクチュエータ「i」に対応する予測されたスロット高さB’iは、式4に示すように計算される。
【数4】
【0064】
より一般化されたべき乗則流体の場合、式4は、式5として表すことができる。
【数5】
【0065】
説明のために、流体機械予測は、ダイの幾何学的状況を含むことができる。図3の可撓性ダイリップ32などの可撓性ダイリップの場合、スロット高さは、ヒンジ点における公称固定スロットを有する収束又は発散スロットを考慮することによって、より良好に近似することができる。ヒンジ点スロットが一定のままであると仮定すると、式6を適用することができる。
【数6】
【0066】
流体力学潤滑近似によれば、以下の通りである。
【数7】
【0067】
これにより式8が得られる。式9は、式8のciを表す。
【数8】
【0068】
これらの閉形式の例は、有用であるが、機械的、熱的、及び流体力学的プロセスの詳細の全ての考えられる詳細を含むようにモデルを拡張することができることが明らかである。予測モデルが良好であればあるほど、本明細書に開示される技術は、所望の押出物プロファイルのための最良の動作条件に向かってより迅速に収束する。
【0069】
式1~式9は単なる例示であり、任意の数の式を使用して、予め選択されたクロスウェブプロファイルに対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測することができる。例えば、スロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の最適な設定を予測することは、スロットダイ10及び押出物全体にわたる熱伝達及び熱放散をモデル化することを含むことができる。そのような予測モデル化は、熱及び流れによって誘起される力によるダイアセンブリ及び機械要素の機械的たわみの予測を含むことができる。前述したように、そのようなモデルは、有限要素解析に依存してもよく、又はより一般的な方程式を使用して、予め選択されたクロスウェブプロファイルに対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測してもよい。
【0070】
コントローラ300が予め選択されたクロスウェブプロファイルに対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測すると、スロットダイ10は、アクチュエータアセンブリ200が予測された設定のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロット6から出すことによって動作される(ステップ508)。
【0071】
スロットダイ10の動作中、コントローラは、押出物の測定に従って、押出物がアプリケータスロットを出た後の押出物のクロスウェブプロファイルを評価する(ステップ510)。例えば、コントローラ300は、複数のクロスウェブ位置で押出物の厚さを直接測定するセンサから入力を受信してもよい。一例として、β線厚さゲージを使用して、スロットダイの動作中に押出物の厚さを測定することができる。ストリップコーティングの場合、コントローラ300は、個々のストリップのストリップ幅及び/又は厚さを直接測定するセンサからの入力を受信することができる。クロスウェブプロファイルの評価、流体力学、及びダイのデジタルモデルを使用して、コントローラ300は、次に、予測された個別設定のセットに対する調整が、押出物がアプリケータスロットを出た後に、予め選択されたクロスウェブプロファイルにより厳密に一致する押出物のクロスウェブプロファイルを提供することができるかどうかを判定する。
【0072】
コントローラ300が、予測された個別設定のセットに対する調整が、押出物がアプリケータスロットを出た後に、予め選択されたクロスウェブプロファイルにより厳密に一致する押出物のクロスウェブプロファイルを提供することができると判定した場合、コントローラは、予め選択されたクロスウェブプロファイルに対応する複数の個別設定からの改善された個別設定のセットを予測する(ステップ512)。押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出すことによってスロットダイを動作させ続けながら、コントローラ300は、改善された予測された個別設定のセットに従ってアクチュエータを再位置決めする(ステップ514)。ステップ510、512、及び514は、予測された設定のセットを改善することができないとコントローラ300が判定するまで、及び/又は所望のクロスウェブプロファイルを維持するために周期的間隔で、繰り返すことができる。個別設定のセット(ステップ514)は、同様の材料、押出又はコーティング特性、及び処理条件が必要とされる将来の取り出し、及び数分後、数時間後、又は数年後の将来の使用のためのレシピとして保存することができる。
【0073】
図6は、予め選択されたダイキャビティ圧力に従ってスロットダイの複数のアクチュエータの各アクチュエータの位置を選択するための技術を示すフローチャートである。本明細書に開示されるスロットダイに限定されないが、明確にするために、図6の技術は、スロットダイ10(図IA及び図IB)、アクチュエータアセンブリ200(図4)、及びコントローラ300(図4)に関して説明する。異なる実施例では、図6の技術は、フィルムスロットダイ、多層スロットダイ、ホットメルト押出コーティングダイ、ドロップダイ、回転ロッドダイ、接着剤スロットダイ、溶媒コーティングスロットダイ、水性コーティングダイ、スロット供給ナイフダイ、押出複製ダイ、真空接触ダイ、又は他のスロットダイに利用することができる。
【0074】
最初に、スロットダイ10などのスロットダイが用意される(ステップ602)。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って離間した複数のアクチュエータとを含む。アプリケータスロットは、スロットダイを通る流体流路と流体連通している。複数のアクチュエータの各アクチュエータは、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である。
【0075】
次に、各アクチュエータと通信するコントローラ300などのコントローラが用意される(ステップ604)。コントローラは、センサ230の測定された位置及び/又はモータ210のためのステッピングモータ設定などの複数の個別設定のうちの1つに従って、各アクチュエータの位置を設定するように構成されている。
【0076】
流体力学と、スロットダイ10のソリッドモデルなどのスロットダイ10のデジタルモデルとを使用して、コントローラ300は、予め選択されたダイキャビティ圧力に対応する複数の個別設定からの個別設定のセットを予測する(ステップ606)。異なる実施例では、コントローラ300は、予め選択されたダイキャビティ圧力を非一時的コンピュータ可読媒体から取り出してもよく、又は予め選択されたダイキャビティ圧力をユーザ入力から受信してもよい。
【0077】
異なる実施例では、予測された設定は、センサ230からの測定値及び/又はモータ210の個別位置設定に対応することができる。センサ230は、モータ210によって提供されるよりも正確な位置情報をコントローラ300に提供することができる。このため、コントローラは、センサ230からの測定値に基づいてアクチュエータアセンブリ200の設定を予測することができ、予測された位置に対応するステップ数までモータ210を直接駆動するのではなく、予測された設定に従って出力シャフト222を配置するようにモータ210を動作させることができる。
【0078】
流体力学、押出物の既知の流体特性、及びダイのデジタルモデルにより、コントローラ300は、スロットダイ10のアクチュエータの個別設定を予測することができる。ダイを通って流れる押出物のモデル化は、アプリケータスロット幅、マニホールドキャビティからアプリケータスロットの出口までの距離、及びスロット自体を画定する2つの平行な表面間のアプリケータスロットの狭い寸法であるスロット高さを含む、ダイ自体の多くの態様を組み込むことができる。
【0079】
任意の数の式を使用して、予め選択されたダイキャビティ圧力に対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測することができる。例えば、スロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の最適な設定を予測することは、スロットダイ10及び押出物全体にわたる熱伝達及び熱放散をモデル化することを含むことができる。前述したように、そのようなモデルは、有限要素解析に依存してもよく、又はより一般的な方程式を使用して、予め選択されたダイキャビティ圧力に対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測してもよい。
【0080】
コントローラ300が予め選択されたダイキャビティ圧力に対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測すると、スロットダイ10は、アクチュエータアセンブリ200が予測された設定のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロット6から出すことによって動作される(ステップ608)。
【0081】
スロットダイ10の動作中、コントローラは、ダイキャビティ4内の、又は流体流路入口5の前若しくは後に生じ得る流路内の好適な測定点でのダイキャビティ圧力を測定する(ステップ610)。例えば、コントローラ300は、ダイキャビティ4内のダイキャビティ圧力を直接測定するセンサから入力を受信してもよい。測定されたダイキャビティ圧力、流体力学、及びダイのデジタルモデルを使用して、コントローラ300は、次に、予測された個別設定のセットに対する調整が、予め選択されたダイキャビティ圧力により厳密に一致するダイキャビティ圧力を提供することができるかどうかを判定する。
【0082】
コントローラ300が、予測された個別設定のセットに対する調整が、予め選択されたダイキャビティ圧力により厳密に一致するダイキャビティ圧力を提供することができると判定した場合、コントローラは、予め選択されたダイキャビティ圧力に対応する複数の個別設定からの改善された個別設定のセットを予測する(ステップ612)。押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出すことによってスロットダイを動作させ続けながら、コントローラ300は、改善された予測された個別設定のセットに従ってアクチュエータを再位置決めする(ステップ614)。ステップ610、612、及び614は、予測された設定のセットを改善することができないとコントローラ300が判定するまで、及び/又は所望のダイキャビティ圧力を維持するために周期的間隔で、繰り返すことができる。
【0083】
いくつかの実施例では、図6の技術は、図5の技術と組み合わせることができる。例えば、コントローラ300は、予め選択されたダイキャビティ圧力も維持しながら、一定のスロット高さを有するクロスウェブプロファイルを提供しようとしてもよい。このような実施例では、コントローラ300は、図5及び図6に関して説明した同じ流体力学及びダイのデジタルモデルを使用して、特定のクロスウェブプロファイル及び予め選択されたダイキャビティ圧力の両方を提供するアクチュエータアセンブリ200の設定を決定することができる。一例では、圧力制御は、ストリップ又は正確な幅をコーティングするように配置されたダイの制御を可能にする。更に、圧力制御は、コントローラ300と通信するストリップ幅を検出するセンサがダイ圧力制御を選択するために利用される場合に達成することができる。個別設定のセット(ステップ514)は将来の取り出しのためのレシピとして保存され、同様の材料、押出又はコーティング特性、及び処理条件が必要とされる数分、数時間、又は数年後であり得る将来の時点で使用することができる。
【0084】
図7は、ダイを動作させ続けながら、アクチュエータの各々に隣接する流体流路の高さを増加させることによってスロットダイをクリアするための技術を示すフローチャートである。本明細書に開示されるスロットダイに限定されないが、明確にするために、図7の技術は、スロットダイ10(図1A及び図1B)、アクチュエータアセンブリ200(図4)、及びコントローラ300(図4)に関して説明する。異なる実施例では、図7の技術は、フィルムスロットダイ、多層スロットダイ、ホットメルト押出コーティングダイ、ドロップダイ、回転ロッドダイ、接着剤スロットダイ、溶媒コーティングスロットダイ、水性コーティングダイ、スロット供給ナイフダイ、押出複製ダイ、真空接触ダイ、又は他のスロットダイに利用することができる。
【0085】
最初に、スロットダイ10などのスロットダイが用意される(ステップ702)。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って離間した複数のアクチュエータとを含む。アプリケータスロットは、スロットダイを通る流体流路と流体連通している。複数のアクチュエータの各アクチュエータは、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である。
【0086】
次に、各アクチュエータと通信するコントローラ300などのコントローラが用意される(ステップ704)。コントローラは、センサ230の測定された位置及び/又はモータ210のためのステッピングモータ設定などの複数の個別設定のうちの1つに従って、各アクチュエータの位置を設定するように構成されている。次いで、コントローラ300は、複数の個別設定から選択された個別設定のセットに従って、コントローラを用いてアクチュエータの各々を位置決めし(ステップ706)、スロットダイ10は、アクチュエータアセンブリ200が個別設定のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロット6から出すことによって動作される(ステップ708)。
【0087】
次に、押出物がアプリケータスロットから流出した後の押出物のプロファイルの欠陥が、例えば、コントローラ300によって又はユーザによって、のいずれかで観察される。式3に関連して説明したように、ダイスロット内の流れに対する任意の小さな乱れは、ダイスロットから放出される液体の流れに混乱をもたらし、したがって、押出物又はコーティングのクロスウェブ均一性に影響を及ぼす。多くの場合、このような乱れは、ダイスロット自体に捕捉されたゲル又は微粒子に関連付けられる。コーティングにおいて、この流れの妨害は、コーティングに縞、又はより広い場合にはバンドをもたらす。フィルム押出において、これは望ましくないダイラインをもたらす。このため、不純物がダイを通過することを可能にすることが望ましい。
【0088】
不純物がダイを通過することを可能にするために、押出物がアプリケータスロットから流出した後の押出物のプロファイルの欠陥が観察されると、コントローラ300は、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出し続けながら、アクチュエータアセンブリ200の各々に隣接する流体流路の高さを増加させる(ステップ710)。例えば、コントローラ300は、アクチュエータアセンブリ200を一致して又は順次動作させて、スロットダイ10を通る流体流路の高さを増加させてもよい。
【0089】
押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出し続けながら、アクチュエータの各々に隣接する流体流路の高さを増加させて、乱れがダイをクリアすることを可能にした後に、コントローラは、個別設定の元のセット、すなわち、パージ動作の前の調整された設定の最新のセットに従ってコントローラを用いてアクチュエータの各々を再位置決めして、アクチュエータが個別設定の元のセットに従って位置決めされた状態で、スロットダイの動作を再開する(ステップ712)。いくつかの実施例では、個別設定の元のセットに従ってアクチュエータを再位置決めすることは、アクチュエータに隣接する流体流路の高さを増加させることの、15分未満、5分未満、2分未満、又は更には1分未満など、30分以内に行われてもよい。
【0090】
図8は、ダイを動作させ続けながら、アクチュエータの各々に隣接する流体流路を実質的に閉鎖することによってスロットダイをパージするための技術を示すフローチャートである。本明細書に開示されるスロットダイに限定されないが、明確にするために、図8の技術は、スロットダイ10(図1A及び図1B)、アクチュエータアセンブリ200(図4)、及びコントローラ300(図4)に関して説明する。異なる実施例では、図8の技術は、フィルムスロットダイ、多層スロットダイ、ホットメルト押出コーティングダイ、ドロップダイ、回転ロッドダイ、接着剤スロットダイ、溶媒コーティングスロットダイ、水性コーティングダイ、スロット供給ナイフダイ、押出複製ダイ、真空接触ダイ、又は他のスロットダイに利用することができる。
【0091】
最初に、スロットダイ10などのスロットダイが用意される(ステップ802)。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って離間した複数のアクチュエータとを含む。アプリケータスロットは、スロットダイを通る流体流路と流体連通している。複数のアクチュエータの各アクチュエータは、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である。
【0092】
次に、各アクチュエータと通信するコントローラ300などのコントローラが用意される(ステップ804)。コントローラは、センサ230の測定された位置及び/又はモータ210のためのステッピングモータ設定などの複数の個別設定のうちの1つに従って、各アクチュエータの位置を設定するように構成されている。次いで、コントローラ300は、複数の個別設定から選択された個別設定のセットに従って、コントローラを用いてアクチュエータの各々を位置決めすることを位置決めし、スロットダイ10は、アクチュエータアセンブリ200が個別設定のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロット6から出すことによって動作される(ステップ806)。
【0093】
次に、ユーザ又はコントローラ300のいずれかは、スロットダイ10を通る押出プロセスを中断することを決定する。したがって、コントローラ300は、アクチュエータアセンブリ200の各々に隣接する流体流路を実質的に閉鎖する(ステップ808)。例えば、コントローラ300は、スロットダイ10を通る流体流路に対して実質的に、アクチュエータアセンブリ200を一致して又は順次動作させてもよい。
【0094】
スロットダイ10を通る押出物の流れを停止させることは望ましくない場合があり、例えば、スロットダイ10及び押出物の各平衡温度までに始動時にかなりの時間がかかる場合がある。加えて、加熱された押出物の場合、流れを停止することにより、望ましくないことに、流れシステム内の停滞した材料の熱劣化をもたらす可能性がある。このため、スロットダイ10などのスロットダイは、パージ弁(図示せず)を含むことができる。押出物は、一旦、流体流路が実質的に閉鎖されている間にパージ弁から押出物をパージすることによって、スロットダイを通って流れ続けることができる(ステップ810)。例えば、パージ弁は、圧力逃がし弁として動作してもよく、ダイキャビティ4内の増加した圧力に起因して、コントローラ300がアクチュエータアセンブリ200の各々に隣接する流体流路を実質的に閉鎖すると、自動的に開放してもよい。他の実施例では、パージ弁は、コントローラ300又はオペレータのいずれかによって能動的に開放されてもよい。
【0095】
アクチュエータアセンブリ200の各々に隣接する流体流路を実質的に閉鎖した後、パージ弁から押出物をパージし続けながら、動作を再開する準備ができると、コントローラ300は、個別設定の元のセットに従ってアクチュエータの各々を再位置決めする(ステップ812)。加えて、パージ弁は、スロットダイの動作を再開するために、自動的に又は手動で、のいずれかで閉鎖される(ステップ814)。いくつかの実施例では、アクチュエータが個別設定のセットに従って位置決めされた状態でスロットダイの動作を再開するための、個別設定の元のセットに従ったアクチュエータの再位置決めは、流体流路を実質的に閉鎖することの15分未満、5分未満、2分未満、又は更には1分未満など、30分以内に行われてもよい。
【0096】
図9は、スロットダイのアクチュエータ位置設定を繰り返し調整することによって生成されたストリップパターンを形成するストリップ904を含むストリップコーティング900を示す。ストリップ904は、スロットダイ10などの単一のダイから方向902に沿って同時に押し出された。特に、ストリップコーティング900は、様々な幅を有するストリップ904を提供する。
【0097】
スロットダイ10などのスロットダイは、複数の個別設定から選択された個別設定の第1のセットに従ってコントローラを用いてアクチュエータの各々を位置決めすることによって、かつアクチュエータが個別設定の第1のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出すことによって、ストリップ904を生成するように動作させることができる。次いで、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出している間に、コントローラ300は、コントローラを用いてアクチュエータの位置を変更して、様々な幅を有するストリップを生成することができる。
【0098】
例えば、コントローラ300は、ストリップ904の様々な幅が図9に示すものなどの実質的に反復するパターンを提供するように、個別設定の第1のセットを含む個別設定の一連のセットの間を循環してもよい。コントローラ300は、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出しながら、アクチュエータの位置を変化させ続けて、30分を超える期間、1時間を超える期間、3時間を超える期間、又は更には12時間を超える期間などの、10分を超える期間にわたって押出物に様々な幅を生成することができる。
【0099】
図10は、スロットダイのアクチュエータ位置設定を繰り返し調整することによって生成されたパターンを含む押出物910を示す。押出物910は、スロットダイ10などのダイから方向912に沿って押し出された。図10に示すように、明るい部分は、パターン形成された製品の相対的に厚い部分を表し、暗い部分は、パターン形成された製品の相対的に薄い部分を表す。具体的には、押出物910は、押出物910の幅にわたってある角度で延びる一連の隆起部を含む。
【0100】
スロットダイ10などのスロットダイは、複数の個別設定から選択された個別設定の第1のセットに従ってコントローラを用いてアクチュエータの各々を位置決めすることによって、かつアクチュエータが個別設定の第1のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出すことによって、押出物910を製造するように動作させることができる。次いで、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出している間に、コントローラ300は、コントローラを用いてアクチュエータの位置を変更して、押出物にパターン化された特徴を生成することができる。
【0101】
いくつかの実施例では、コントローラ300は、押出物のパターン化された特徴がランダム化されたパターン特徴であるように、複数の個別的な設定からランダム化された設定を選択してもよい。コントローラによって選択されるランダム化された設定は、ランダム化されたパターン特徴のための予め選択された仕様に一致し、例えば、そのような予め選択された仕様は、平均押出物厚さ、製品厚さの標準偏差、又は他の製品プロファイル仕様を表すことができる。
【0102】
他の実施例では、コントローラ300は、押出物のパターン化された特徴が図10に示すものなどの実質的に反復するパターンであるように、個別設定の第1のセットを含む個別設定の一連のセットの間を循環してもよい。コントローラ300は、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出しながら、アクチュエータの位置を変化させ続けて、30分を超える期間、1時間を超える期間、3時間を超える期間、又は更には12時間を超える期間などの、10分を超える期間にわたって押出物にパターン化された特徴を生成することができる。
【0103】
コントローラ300は、非一時的コンピュータ可読媒体から個別的設定の第1のセット及びパターン特徴のための予め選択された仕様を取り出すことができる。他の実施例では、コントローラ300は、ユーザ入力から個別設定の第1のセット及びパターン特徴のための予め選択された仕様を受信することができる。
【0104】
図11A図11Dは、スロットダイコントローラの例示的なユーザインターフェース920を示す。ユーザインターフェース920は、コントローラ300と相互作用して、アクチュエータアセンブリのセットの動作を制御し、スロットダイの動作を制御することができる。図11Aに示すように、ユーザインターフェース920は、選択されたスロットダイ動作プログラム924、ダイ温度926、及びダイ圧力928の表示を含む。ユーザインターフェース920はまた、ダイの動作を制御する選択可能なボタンのセット、並びに対応するキャンセルボタンを含み、キャンセルボタンは、選択可能なボタンが不注意にアクティブにされた場合に、ユーザが選択可能なボタンのうちの1つの選択をキャンセルすることを可能にする。選択可能なボタン930は、図8に関して本明細書に開示される技術などのパージ動作を開始するように構成されている。選択可能なボタン932は、図7に関して本明細書に開示される技術などのスロットクリア動作を開始するように構成されている。選択可能なボタン934は、パージ動作又はスロットクリア動作の後に、以前の設定に従ってスロットダイの動作を再開するように構成されている。
【0105】
図11Aはまた、プロファイルタブ940を示す。プロファイルタブ940を選択すると、押出製品の幅にわたって測定された押出製品プロファイルの表示を含むグラフが表示される。チャートはまた、押出製品の幅に対するアクチュエータ番号を表示する。加えて、プロファイルタブ940は、スクロールバー942を含み、これは、異なる時間における押出製品プロファイルを見るために使用することができる。しかしながら、図11Aに示すように、スクロールバー942は、最前方位置にあり、その結果、プロファイルタブ940は、現在の押出製品プロファイルを表示し、押出製品プロファイルの履歴記録を表示していない。
【0106】
図11Bは、スロット高さタブ950を示す。スロット高さタブ950を選択すると、ダイの幅にわたるスロット高さの表示を含むグラフが表示される。チャートはまた、スロット高さの幅に対するアクチュエータ番号を表示する。加えて、スロット高さタブ950は、スクロールバー952を含み、これは、異なる時間におけるスロット高さを見るために使用することができる。しかしながら、図1IBに示すように、スクロールバー952は、最前方位置にあり、その結果、スロット高さタブ950は、現在の押出製品プロファイルを表示し、押出製品プロファイルの履歴記録を表示していない。スロット高さタブ950は、選択可能なボタンを更に含み、このボタンは、後の取り出しのために現在のアクチュエータ設定を保存するために使用することができる。
【0107】
図11Cは、自動選択平均設定点タブ960を示す。自動選択平均設定点タブ960を選択すると、スロットダイの各アクチュエータに関連付けられたアクチュエータ位置、各アクチュエータ位置に対応するダイスロットの実際の現在の高さ、並びに重量及び高さにより測定された押出物厚さを含むチャートを表示する。加えて、自動選択平均設定点タブ960は、選択可能な設定点更新ボタン964を含む。選択可能な設定点更新ボタン964を選択すると、コントローラに製品プロファイルの変動性を制限する新しい設定点を計算させる。次いで、新しい設定点は、自動選択平均設定点タブ960のチャートに表示される。選択可能なボタン966により、ユーザは、次いで計算された新しい設定点に従ってアクチュエータの位置を変更することができる。
【0108】
図11Dは、自動選択圧力タブ970を示す。自動選択圧力タブ970を選択すると、スロットダイの各アクチュエータに関連付けられたアクチュエータ位置、各アクチュエータ位置に対応するダイスロットの実際の現在の高さ、並びに重量及び高さにより測定された押出物厚さを含むチャートを表示する。加えて、自動選択圧力タブ970は、選択可能な設定点更新ボタン974を含む。選択可能な設定点更新ボタン974を選択すると、コントローラに「新規圧力設定ボックス」978に示された圧力に従って新しい設定点を計算させる。次いで、新しい設定点は、自動選択圧力タブ970のチャートに表示される。選択可能なボタン976により、ユーザは、次いで計算された新しい設定点に従ってアクチュエータの位置を変更することができる。
【0109】
図12は、スロットダイにアクチュエータアセンブリ200のセット(図4)などのアクチュエータアセンブリを後付けするための技術を示す。異なる実施例では、図12の技術は、フィルムスロットダイ、多層スロットダイ、ホットメルト押出コーティングダイ、ドロップダイ、回転ロッドダイ、接着剤スロットダイ、溶媒コーティングスロットダイ、水性コーティングダイ、スロット供給ナイフダイ、押出複製ダイ、真空接触ダイ、又は他のスロットダイに利用することができる。
【0110】
最初に、スロットダイが用意される(1202)。スロットダイは、スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットと、スロットダイの幅に沿って離間した複数の作動機構とを含む。アプリケータスロットは、スロットダイを通る流体流路と流体連通している。複数の作動機構の各アクチュエータは、アプリケータスロットを通る流体流の調整を提供するために、そのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である。スロットダイは、スロットダイの幅にわたる流体流路の高さを制御するために、複数の作動機構を使用して動作されてもよい。
【0111】
異なる実施例では、作動機構は、熱的に調整可能なボルト、差動ボルト、圧電アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、及び/又は油圧アクチュエータのうちの1つ以上を含む。一例では、作動機構は、熱的に調整可能なボルトを含み、スロットダイを熱的に調整可能なボルトで改造するための技術は、押出物がアプリケータスロットを出た後の押出物のクロスウェブプロファイルを評価することと、押出物がアプリケータスロットを出た後の押出物のクロスウェブプロファイルが予め選択されたクロスウェブプロファイルにより厳密に一致するように、作動機構のうちの1つ以上の相対位置をそのそれぞれの熱的に調整可能なボルトで調整することとを含むことができる。
【0112】
1つの例示的な作動機構では、アプリケータスロットは、スロットダイの本体によって軸方向に変位させられる作動ロッドとともに、支点としての回転シャフトによって支持されたレバーを使用して、可撓性ダイリップに押圧荷重又は引張荷重を印加することによって調整することができる。レバーの回転力は、作動ロッドの軸方向の力に変換され、この軸方向の力が可撓性ダイリップに作用する押圧荷重又は引張荷重となる。レバーは、レバーの作用点で作動ロッドに力を直接加えることができる。
【0113】
別の実施例では、熱的に調整可能なボルトが、可撓性ダイリップ上に配置されたそれぞれの熱電素子に結合された複数の調整ピンを使用して、アプリケータスロットを自動的に調整する。熱電素子は、熱電素子の膨張又は収縮を通じて対応する調整ピンによって可撓性ダイリップに加えられる機械的力の作用を通じてアプリケータスロットを調整するために、コントローラによって制御可能であってもよい。更なる選択肢として、作動機構は、同時に調整される少なくとも2つの調整ピン及び/又は熱電素子を提供することを含むことができる。
【0114】
上記の更なる態様は、他の変形例と共に、米国特許第9,700,911号(Nakano)及びPCT特許公開第WO2019/219724号(Colellら)に記載されている。
【0115】
次に、ダイハウジングから作動機構が除去される(1204)。作動機構の代わりに、アクチュエータアセンブリ200などの複数のアクチュエータアセンブリが設置される(1206)。複数のアクチュエータアセンブリの各アクチュエータアセンブリは、アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、そのそれぞれの位置で流体流路の高さを調整するように動作可能である。
【0116】
次に、コントローラ300などのコントローラが用意され、各アクチュエータアセンブリとコントローラとの間に通信リンクが形成される(1208)。コントローラは、センサ230の測定された位置及び/又はモータ210のためのステッピングモータ設定などの複数の個別設定のうちの1つに従って、各アクチュエータアセンブリの位置を設定するように構成されている。
【0117】
流体力学と、スロットダイのデジタルモデルとを使用して、コントローラ300は、予め選択されたダイキャビティ圧力に対応する複数の個別設定からの個別設定のセットを予測する。異なる実施例では、コントローラ300は、予め選択されたダイキャビティ圧力を非一時的コンピュータ可読媒体から取り出してもよく、又は予め選択されたダイキャビティ圧力をユーザ入力から受信してもよい。
【0118】
異なる実施例では、予測された設定は、センサ230からの測定値及び/又はモータ210の個別位置設定に対応することができる。センサ230は、モータ210によって提供されるよりも正確な位置情報をコントローラ300に提供することができる。このため、コントローラは、センサ230からの測定値に基づいてアクチュエータアセンブリ200の設定を予測することができ、予測された位置に対応するステップ数までモータ210を直接駆動するのではなく、予測された設定に従って出力シャフト222を配置するようにモータ210を動作させることができる。
【0119】
流体力学、押出物の既知の流体特性、及びダイのデジタルモデルにより、コントローラ300は、アクチュエータアセンブリの個別設定を予測することができる。ダイを通って流れる押出物のモデル化は、アプリケータスロット幅、マニホールドキャビティからアプリケータスロットの出口までの距離、及びスロット自体を画定する2つの平行な表面間のアプリケータスロットの狭い寸法であるスロット高さを含む、ダイ自体の多くの態様を組み込むことができる。
【0120】
任意の数の式を使用して、アクチュエータアセンブリの設定を予測することができ、予測された設定は、例えば、予め選択されたクロスウェブプロファイル及び/又は予め選択されたダイキャビティ圧力に対応してもよい。例えば、アクチュエータアセンブリの設定を予測することは、スロット及び押出物全体にわたる熱伝達及び熱放散をモデル化することを含んでもよい。
【0121】
コントローラ300が予め選択されたダイキャビティ圧力に対応するスロットダイ10のアクチュエータアセンブリ200の設定を予測すると、スロットダイは、アクチュエータアセンブリが予測された設定のセットに従って位置決めされた状態で、押出物を流体流路に通してアプリケータスロットから出すことによって動作される(1212)。
【0122】
図13図20は、ダイの幅に概ね平行な力を印加することによってダイリップ形状を操作するための技術を示し、力印加機構は、本明細書に開示される技術に従って、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に提供され、大部分が収容される。
【0123】
加工中のコーティング及び押出ダイの平坦度は、製品品質にとって重要である。ダイリップは、差動ボルト、加熱ボルト、又は圧電デバイスによって操作することができる。別の代替形態は、アクチュエータアセンブリ200などのアクチュエータアセンブリによるものである。全ての場合において、これらのデバイスは、個別の位置で押すこと又は引くことによってダイリップを全体的に制御するように意図されている。これらの場合の全てにおいて、押すこと/引くことは、ダイの幅に対して概ね直交する方向に行われる。本開示によれば、ダイリップ形状は、代わりに、ダイの幅に概ね平行な力を印加することによって操作され、可撓性ダイリップ又はリストリクタ/チョーカーバー内に大部分が収容される力印加機構が提供される。例えば、ダイリップの平坦度は、ダイリップ付近の金属を膨張させることによって操作することができ、これにより、図13に示すように、ダイリップの形状を個別制御点間で変化させる。この技術は、位置決めデバイス間で屈曲することができる筋肉を有するダイに類似している。図13に示すスロットダイプロファイルは、スロットダイプロファイルの正確な調整を可能にするために、可撓性ダイリップの垂直ノッチ(すなわち、ソーカット)を用いて、可撓性ダイリップの様々な膨張量をどのように定量化することができるかを示す。このチャートの拡大されたバージョンを、図17において後で説明する。
【0124】
これらの技術は、従来のダイスロット制御要素位置自体の間でダイスロットを有利に調整するために、従来のアジャスタ手段と組み合わせて使用することができ、したがって、押出均一性制御の空間分解能を改善することができる。一実施例では、これにより、従来のアジャスタ間の可撓性ダイリップ又は内部リストリクタ/チョーカーバーに対する圧力たわみの影響を減衰させて、改善された押出均一性を達成することができる。
【0125】
提供される技術は、ダイリップ又はチョーカーバーの局所的なたわみを可能にするように伸張する又は反応する力印加機構を提供する。例示的な力印加機構としては、圧電デバイス、加熱要素、機械デバイス、空気圧デバイス、及び油圧デバイスが挙げられる。一実施例では、段付きボルト要素を介したボルトトルクの印加を使用して、ねじ山の近傍で金属を膨張させ、ダイのリップにおけるプロファイルを変化させる。更なる実施例では、この段付きボルトは、アクチュエータアセンブリ200などのダイのアクチュエータアセンブリのためのスピンドルとしても機能する。別の実施例では、リップに沿った点でのリップの局所的な冷却又は加熱により、近傍の金属を収縮させ、ダイリップでのプロファイルを変化させる。
【0126】
本明細書に開示される技術は、前述の従来のアジャスタを含まない「固定スロット」型ダイのための唯一の調整手段として利用することができる。
【0127】
更なる実施例では、本明細書に開示される技術を使用して、除去されてダイが組み立てられたときに所望の圧力軽減形状を作り出す力要素を用いてダイを研削することなどによって、「内蔵」圧力軽減形状を有するコーティングダイを作り出すことができる。あるいは、この同じ戦略を使用して、ダイの組み立て時に単に「平坦な」ダイスロットを作り出すことができる。
【0128】
圧力軽減形状は、所定の力又はアクチュエータ設定に基づくことができ、そのいずれも、自動的に、半自動的に、又は手動で提供することができる。例示的な実施形態では、前述の所定の力は、スロットダイの幅に平行であり、スロットダイの幅に平行なチョーカーバー又は可撓性ダイリップを局所的に膨張又は収縮させる。力印加機構の設定は、例えば、スロットダイの幅にわたる目標クロスウェブスロット高さプロファイル平均に基づいて、自動的に決定することができる。
【0129】
上述したように、ダイスロット内の流れに対する任意の小さな乱れは、ダイスロットから放出される液体の流れに混乱をもたらし、したがって、コーティング又は押出シートのクロスウェブ均一性に影響を及ぼす。
【0130】
押出ダイは、典型的には、スロットを調整して押出フィルムの均一性を改善することができるように、可撓性ダイリップを有する。リップを屈曲させるために、前述したように、差動ボルト、サーマルボルト、圧電デバイス、及びアクチュエータを含むいくつかの技術が使用される。これらの場合の全てにおいて、押すこと/引くことは、ダイの幅に対して概ね直交する方向に行われる。リップを移動させるために使用されるデバイスの間隔は、約1インチ(2.54センチメートル)から2.75インチ(7センチメートル)程度まで変化する。移動デバイスを作動させることによってこれらの隙間領域に影響を及ぼすことは困難であるので、デバイス間で、ダイリップ上に滑らかで連続した表面を有することが重要である。一般に、押出均一性制御の微細空間分解能を提供することが望ましい。しかしながら、空間分解能は、ダイの幅に沿って隣接して配置することができるアクチュエータの数によって制限される。本明細書に開示される技術では、調整可能なダイ(例えば、可撓性リップ又はチョーカーバータイプ)の空間分解能は、本質的に倍増し得る。
【0131】
更に、従来のアジャスタ間の圧力たわみは、全ての調整可能なダイに対する基本的な制限である。リップ又はチョーカーバーを調整可能にするために、それは可撓性でなければならない。しかしながら、可撓性リップ又はチョーカーバーをアジャスタ間のスパンにおける望ましくない圧力たわみに抵抗させるには、それを調整可能にする必要性とは正反対に、それをより剛性にする必要がある。本開示によって、ダイリップは、より可撓性のままであることができ、これは、従来のアクチュエータ間の圧力たわみの影響を直接軽減しながら、押出流れ均一性調整を可能にするために重要である。
【0132】
可撓性リップ又はチョーカーバーを押すこと及び引くことができる力印加機構は、一般にリップ又はチョーカーバーに係合されている。これは、例えば、ねじ接続によって提供されてもよい。いくつかの実施例では、ねじ接続は、段付きボルトを含む。本明細書で開示されるように、リッププロファイルは、段付きボルトトルクを制御することによって操作することができる。ボルトを締め付ける又はボルトにトルクを加えることにより、ねじ山の周りの材料を圧縮させ、リップの近くで膨張が生じると、それを使用して、ダイリッププロファイルを変更することができる。これは、アクチュエータアセンブリ200と組み合わされるときに特に有用であり得る。
【0133】
更なる実施例では、本開示の技術を使用して、「内蔵」圧力軽減形状を有するコーティングダイを作り出すことができる。精密ダイリップ調整は、ねじ係合に依存する機械的ボルト、リップを局所的に加熱して熱膨張によりリップ位置を調整するサーマルボルト、電気的に移動される圧電デバイス、リップを押すためにステッピングモータを使用するアクチュエータ、又はこれらの組み合わせを含む、いくつかの方法を使用して行うことができる。これらの全てにおける調整機構の意図は、リップを個別の位置で移動させることであり、個別の位置は、デバイスと整列し、典型的には、2.5cm~7cm離間している。デバイス間のダイリップの形状は、制御されないが、ダイ圧力の影響がある場合とない場合の両方で、デバイスの移動に反応する。
【0134】
本明細書に開示される技術によれば、ダイリップの形状は、押圧デバイスの取り付けを制御することによって意図的に操作される。スピンドルを押す機械式アクチュエータの場合、スピンドルは、ダイリップにねじ込まれている。これは、単独で又は圧電デバイスと組み合わせて、サーマルボルト及び差動ボルトについても当てはまる。所望であれば、チョーカーバー又は可撓性ダイリップに沿って不均一な熱膨張を提供するために、チョーカーバー又は可撓性ダイリップ内に配置された2つ以上のサーマルボルトを使用することが可能である。
【0135】
圧電デバイス及びサーマルボルトは、伸長が制限されているので、これらは、しばしば大まかな調整のための差動ボルトと組み合わされる。
【0136】
図14は、可撓性ダイリップ1304に取り付けられた力印加機構として機能するボルト1302を有する可撓性ダイブロック1300の拡大図を示す。このダイは、一般に15-5 PHと呼ばれる析出硬化ステンレス鋼(Crucible Materials Corporation(Syracuse,NY)から商品名「UNS S15500」で入手)から製造された。ボルト1302は、アクチュエータアセンブリ200などの1つ以上のアクチュエータアセンブリに接続することができる。図示のように、可撓性ダイリップは、金属が膨張するときに可撓性ダイリップ1304の屈曲を容易にするために、複数の規則的に離間したノッチ1306を含む。
【0137】
図15は、ダイリップにスピンドルが取り付けられていない図14に示すダイリップの干渉計プロット(ZYGO Corporation(Middlefield,CT)によって提供されるレーザ干渉計を使用)を示し、図16は、ダイリップにスピンドルが取り付けられている図14に示すダイリップの干渉計プロットを示す。これらの図では、破線は、スロットダイ分割線を表し、図16の下向き矢印は、アクチュエータスピンドル位置を示す。
【0138】
それらの物理的サイズのために2.5インチ(6.4センチメートル)の距離で離間しているアクチュエータの場合、任意選択的に、チョーカーバー又は可撓性ダイリップを局所的に屈曲させることを容易にするために、リップに機械加工された1つ以上のノッチが存在することができる。ダイリップへのデバイスのねじ接続は、一次位置決めデバイス間のリップの移動を引き起こす。5つのアクチュエータを有する試験ダイについて、この実施例を図15及び図16に示す。図15は、スピンドルが取り付けられていないリップ縁部付近のプロファイルを示し、図16は、スピンドルが取り付けられ、35フィート-ポンド(47ニュートンメートル)までトルクが加えられた同様のプロットを示す。データは、スロット出口付近の上部ダイ表面上で干渉計を使用して収集された。ここで、ボルトの段部に対して作用するねじ接続に加えられるトルクは、ねじ山の近傍の材料に圧縮応力を生じさせる。これにより、ねじ接続から効果的に「押し離し」、位置決めデバイス間の材料を効果的に膨張させ、したがって、位置決めデバイス間のプロファイルを変化させる。トルクを増大させることにより、以下に説明するように、この効果を増大させることができる。
【0139】
図13に示すダイは、15個のアクチュエータを有し、測定は、各アクチュエータ並びに中間点及び4分の1点において行われた。最初に、スピンドルを緩めたままにしておき、ダイプロファイルを測定した。次いで、スピンドルに様々なレベルのトルクを加えた。プロファイルを図17に示す。プロット上の整数位置にある垂直線は、スピンドルの位置を表し、各曲線の振幅は、アクチュエータ間の変動を表す。「緩み」とラベル付けされた実線は、スピンドルのないダイリップのプロファイルを表す。プロットにおける他のシリーズの各々は、増大するトルクを表す。変動は、スピンドルに加えられるトルクのレベルと共に増大していることを見ることができる。図18は、アクチュエータ間の変動と印加トルクとの間の線形関係を示す。図18は、アクチュエータ間の平均偏差に対するスピンドルトルクをプロットしており、スロットプロファイルに対するスピンドルトルクの影響を示している。
【0140】
平坦なフィルム又はコーティングを製造するために、ダイスロットの均一性を制御することが必要な場合がある。平坦度を改善する1つの技術は、スピンドルを設置した後にダイスロットの表面を研削することであり、これにより、図17に見られる変動を排除することができる。しかしながら、コーティング又は押出される材料に依存して、異なるレベルのダイキャビティ圧力が存在し、これは、位置決めデバイス間の変動の原因である。前述したように、位置決めデバイス間の位置でダイリップの位置を制御することは、典型的には困難であった。この変動性は、特に、アクチュエータを有する場合のように位置決めデバイスの間隔が増大し、ダイ圧力が比較的高い場合に顕著になる可能性がある。有限要素モデリングを使用して、位置決めデバイス及びダイキャビティ圧力の効果を用いてダイリッププロファイルを予測することができる。
【0141】
図19は、代表的なキャビティ圧力が印加された、図14に示す試験ダイのリッププロファイルを示す。アクチュエータ間の変動は、約7700万分の1インチ(すなわち、1.96マイクロメートル)であることが分かっている。たわみの方向は、トルクに起因するたわみの方向と反対であり、これを組み合わせて、ダイリッププロファイルをより均一にする。したがって、図18に示す平均偏差とトルクとの間の関係に基づいて、圧力によって誘発されるダイスロットのたわみを正確に打ち消すために、35フィート-ポンド(又は47ニュートンメートル)のスピンドルに加えられるトルクを選択することができる。
【0142】
熱膨張差を用いて、圧力によって誘発されるダイスロットのたわみを補償することもできる。実際の実施例では、以下の表1は、アプリケータスロットに沿った3つの位置におけるクロスウェブスロット高さプロファイルの振動を特性化している。これらの測定値は、ダイリップセグメントに熱を適切に加えてダイリップセグメントで熱膨張を誘発することによって、クロスウェブスロット高さプロファイルの「うねり」を実質的に除去することが可能であり得ることを実証している。この実施例では、ダイリップセグメントの周りに巻かれた電気抵抗ヒートテープを使用して熱を加えた。アクチュエータスピンドルが可撓性ダイリップに取り付けられる場所の近くでアクチュエータスピンドルに熱を加えることもできる。
【0143】
【表1】
【0144】
注目すべきことに、ダイリップセグメントの所望の温度は、熱入力のレベルに応じて、ダイの温度より高い又は低いのいずれかであり得る。ダイリップセグメントの近傍の温度がダイの残りの部分の温度よりも低い場合、アプリケータスロットのクロスウェブスロット高さプロファイルにおいて観察される山と谷を反転させることが可能である。これを図20に示す。
【0145】
これらの実施形態では、ダイリッププロファイルの制御は、ボルトトルクの関数として説明されることに留意されたい。しかしながら、理論化された制御機構に基づいて、ダイリップの近傍における材料の制御された膨張又は更には収縮を適用する任意の方法は、同様の効果を有することが予想される。これは、機械的方法、熱的方法、又は電気的方法を含むことができる。加えて、ここでの実施例は、スピンドルの軸から半径方向に離れる膨張を意味するが、これは、任意の方向、例えばダイリップに平行であってもよい。
【0146】
更なる実施例では、本明細書に開示される技術を使用して、除去されてダイが組み立てられたときに所望の圧力軽減形状を作り出す力要素(及び関連付けられた力)を用いてダイを研削することなどによって、「内蔵」圧力軽減形状を有するコーティングダイを作り出すことができる。例えば、流体圧力が、通常、アクチュエータ間のスパンにおいて1.27マイクロメートルだけダイ形状をたわませるが、段付きボルト特徴を用いた必要とされるスピンドルトルクが、2.54マイクロメートルのたわみを誘発すると仮定する。この場合、コーティングダイは、除去されたときに非平坦形状をもたらすであろうより低いトルクレベルで段付きボルトを用いて研削することができる。しかしながら、段付きボルト特徴を有するスピンドルが挿入され、それらの仕様までトルクを加えられると、所望の1.27マイクロメートルのたわみにより、圧力効果が軽減され、所望の平坦な形状がもたらされる。
【0147】
この戦略は、アクチュエータ用の段付きボルトスピンドルアタッチメントを含まないダイ要素にも使用することができる。例えば、アクチュエータアタッチメントが段付きボルトのようにたわみを誘発しない場合、ダイリップ又はチョーカーバーをたわませるためだけに研削プロセスで使用するための要素を追加して、それらが除去されたときに、リップが圧力たわみに抵抗する所望の形状プロファイルを有するようにすることができる。
【0148】
上記の実施例では、ダイリッププロファイルの制御は、ボルトトルクの関数として説明される。しかしながら、理論化された制御機構に基づいて、ダイリップの近傍における材料の制御された膨張又は更には収縮を適用する任意の方法は、同様の効果を有することができる。有用な力印加機構としては、機械的方法、熱的方法、又は電気的方法、圧電デバイス、加熱要素、機械デバイス、空気圧デバイス、及び油圧デバイスが挙げられる。加えて、ここでの実施例は、スピンドルの軸から半径方向に離れる膨張を意味するが、これは、任意の方向、例えばダイリップに平行であってもよい。本明細書に開示される技術は、所望のフロースロット形状を誘発する製造戦略、上述のスピンドルトルクなどの「ダイセットアップ」として好適な手段、及び押出又はコーティングプロセス自体の間にオンラインでダイリッププロファイル形状を調整する完全に制御可能な手段を含む。
【0149】
アプリケータスロットの有効幅を低減することが望ましいことがある場合がある。これは、例えば、スロットダイの全幅よりも著しく小さい横方向寸法を有するフィルムを製造する場合に求められることがある。同じスロットダイを使用してそのようなフィルムを作製するために、1つ以上のデッケルをアプリケータスロットに挿入して、アプリケータスロットの少なくとも一部分に沿った押出物の流れを遮断することが好都合であり得る。デッケルは一般に、スロットダイの動作中にデッケルが脱落するのを防止するために、対向するダイリップの間にしっかりとクランプされる。
【0150】
場合によっては、デッケルは、アプリケータスロットのスロット高さをその中立位置又は静止位置で変化させるシムとしても機能することができる。この中立位置は、可撓性ダイリップ又はチョーカーバーが力印加機構によって屈曲されて開かれていない又は閉じられていないときの位置である。
【0151】
上述の予測制御方式では、アクチュエータが、流入する押出物の厚さ(すなわち、キャリパー)データに基づいて、チョーカーバー又は可撓性ダイリップを使用して、アプリケータスロットを通る流体流を動的に調整するように構成され、通常、デッケルの存在を認識しないであろうため、そのようなデッケルを押出プロセスに組み込むことは、技術的課題であり得る。この問題は、「フリージング(freezing)」として知られるプロセスによって克服することができ、このプロセスでは、スロットダイの動作中に少なくともいくつかのアクチュエータ設定に固定値が割り当てられ、他のアクチュエータ設定がダイの動作中に反復的に補正されても変化しない。
【0152】
以下の節を明確にするために、「遮断されたゾーン」とは、デッケルと整列したスロットダイの幅に沿った領域を指し、ここは押出物がアプリケータスロットを通過することができない。「遮断されていないゾーン」とは、デッケルと整列していないスロットダイの幅に沿った領域を指し、ここは押出物がアプリケータスロットを通過することができる。デッケルは、好ましくは、遮断されたゾーンと遮断されていないゾーンとの間のスロット高さに不連続性が生じるのを回避するために、その中立位置にあるアプリケータスロットの厚さと同様の厚さを有する。
【0153】
例示的なプロセスでは、スロットダイのアプリケータスロットの少なくとも一部分はデッケルで遮断されて、アプリケータスロットの有効幅が低減され、スロットダイは、少なくともいくつかのアクチュエータ設定がアプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定され、かつ少なくともいくつかのアクチュエータ設定がアプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である状態で動作される。隣接するアクチュエータ位置間の連続性を提供するために、制御方式は、好ましくは、遮断されたゾーンの上のダイリップ又はチョーカーバースロット高さプロファイル及び隣接する遮断されていないゾーンの上のダイリップ又はチョーカーバースロット高さプロファイルが、遮断されたゾーンと遮断されていないゾーンが一緒になる場所の同じ値に収束するように、割り当てられたアクチュエータ設定を制約する。
【0154】
好ましくは、遮断されたゾーンと遮断されていないゾーンが一緒になる場所のクロスウェブスロット高さプロファイルの収束は、単調な収束である。場合によっては、収束は、単調な収束ではなく、正弦波収束である。しかしながら、収束が正弦波である場合であっても、遮断されたゾーンと遮断されていないゾーンとの間の遷移点の近傍におけるアクチュエータ設定は、そのような制約がない場合に得られるクロスウェブプロファイルに対して振動の振幅を低減するように、コントローラによって自動的又は半自動的に制約されることが好ましい。
【0155】
アクチュエータがダイリップに係合されていなくても、デッケルを使用することができる。例えば、アプリケータスロットの一部分がダイ出口において1つ以上のデッケルで遮断されている場合であっても、ダイスロットの全幅にわたってチョーカーバーに係合する複数のアクチュエータを使用することができる。デッケルが存在すると、チョーカーバーの正確な構成は、遮断されたスロット領域における流れを制御しないが、それにもかかわらず、ダイスロットに沿った遮断されていない領域との曲げ相互作用(すなわち、畳み込み)の結果としていくらかの影響を及ぼす。
【0156】
アクチュエータがチョーカーバーに係合されている上記の制御方式では、スロットの遮断されたゾーンに対応するアクチュエータは、単に固定位置にロックされる(「フリーズモード」)。この固定位置は、アプリケータスロットの遮断されていないゾーンのみに沿ったクロスウェブスロット高さプロファイル平均に基づいて決定することができる。以下に説明するように、他の制御モードも可能である。
【0157】
第2の制御モードでは、アクチュエータ設定は、スロットの遮断されたゾーンの上で固定された目標スロット位置に到達するように予測的にプログラムされる(「フリーズスロットモード」)。ここで、アクチュエータは、フリーズされず、固定スロットプロファイルに到達するために、例えば流体物理学計算に基づいて、コントローラによって操作される。いくつかの実施形態では、これは、反復プロセスであり、アクチュエータ設定を2回以上調整して、所望の固定スロットプロファイルに収束させることができる。
【0158】
第3の制御モードでは、遮断されたゾーンに沿ったチョーカーバーは、開放ダイスロットの隣接する外側部分と共に移動する(「スレーブモード」)。換言すれば、遮断されたゾーンの上のアクチュエータは、遮断されていないゾーン内の最後のアクチュエータの「スレーブ」になる。
【0159】
一実施形態では、このフリーズスロットモードは、フリーズスロットアクチュエータゾーン内の流体物理学を操作することによって達成することができる。例えば、アクチュエータ#1及び#2がフリーズしている一方で、アクチュエータ#3に対応するアプリケータスロットのセグメントが遮断されておらず、良好なキャリパーデータをもたらすと仮定する。この場合、遮断されていないアクチュエータゾーンの上の平均キャリパー測定値を、遮断されたアクチュエータゾーン(すなわち、アクチュエータ#1及び#2)内に存在しないキャリパーデータの代わりに用いることができる。
【0160】
数学的に、この結果は、PCT特許公開第WO 2012/170713号(Secorら)に記載されている行列法を使用して、以下のように達成することができる。
【数9】
上に示したように、行列法は、アクチュエータ位置を操作してそれらの畳み込み相互作用を考慮することによって、スロットを一定に保持する。
【0161】
アクチュエータ3と比較してフリーズスロット1又はフリーズスロット2の相対位置を調整することは、(1)自動流体物理学制御を一時停止し、(2)アクチュエータ#1及び/又は#2の位置を必要に応じて調整し、次いで(3)自動流体物理学制御を再開することによって達成することができる。その結果、アクチュエータ#1及び#2はスレーブのままであるが、それらの位置は、調整されたスロット高さB’iにおいて考慮される新しい開始点に対して定義される。
【0162】
上記の「フリーズモード」では、固定設定を有するアクチュエータが動的設定を有するアクチュエータに遷移する位置は、手元のアプリケーションに基づいてオペレータによって有利に調整することができる。この遷移位置は、アプリケータスロット内の1つ以上のデッケルの位置に対して行うことができる。例えば、フリーズの積極性は、以下の3つのオプションに従って調整することができる(これらの説明において、「i」はアクチュエータ番号を表す)。
(1)フリーズオプションA:デッケルがiを過ぎたとき(i+1)にフリーズする(最も積極的)。
(2)フリーズオプションB:デッケルが(i+0.5)を過ぎたときに(i+1)にフリーズする(適度に積極的)。
(3)フリーズオプションC:デッケルがiを過ぎたとき(i)にフリーズする(最も積極的でない)。
上記のオプションは、デッケルがダイの左側(アクチュエータ番号の低い側)に設置されることを仮定している。デッケルがダイの両側に設置される場合、同じ原理が反対側(アクチュエータ番号の高い側)の鏡像に適用される。
【0163】
アクチュエータが上記の制御方式に従うときにアプリケータスロットにデッケルを取り付ける際の重要な技術的課題は、遮断されたゾーンと遮断されていないゾーンが一緒になる場所のスロット高さプロファイルの急激な変化をコントローラが過補償する傾向に由来する。これは、スロット高さプロファイルにおける望ましくない「キンク」、正弦波収束からのアーチファクトを生成する可能性がある。補正されないままでは、この現象は、図21及び図22それぞれの点線で示されるように、スロット高さプロファイルにおいて「W」又は「M」形状を生成する可能性がある。これらの図では、アクチュエータ#1~#10及び#26~#35は、フリーズされていたが、残りのアクチュエータ#11~#25は、フリーズされていなかった。
【0164】
上述の現象を軽減又は防止するために、この遷移が起こる場所の近くの予測されたアクチュエータ設定を更に調整して、遮断されていないゾーンに沿ったクロスウェブスロット高さプロファイルと遮断されたゾーンの上のクロスウェブスロット高さプロファイル平均との間に単調な収束をもたらすことができる。様々な実施形態では、この調整は、手動で、自動的に、又は半自動的に行うことができる。この調整の理想化された結果は、図21及び図22の実線によって表され、実際のスロットプロファイル値は、棒グラフによって表される。図21の例示的な実施例では、チャートの左側のデッケル境界に対して単調な収束が達成されたが、右側では達成されず、望ましくないキンクがスロット高さプロファイルに残った。
【0165】
1つ以上のデッケルが設置されたスロットダイをパージするとき、特に、アクチュエータが可撓性ダイリップに係合されている構成において、連続性の問題が再び生じる。可撓性ダイリップがデッケル上にクランプされると、デッケルに沿ったアクチュエータ位置は、本質的に固定される。全てのアクチュエータがアプリケータスロットを完全に開放する従来のパージは、デッケルを脱落させる。更に、遮断されていないゾーンに沿ってのみアプリケータスロットを完全に開放することも、可撓性ダイリップに不連続性(又は破断)を必要とするので、問題である。
【0166】
このジレンマを解決するために、コントローラは、遮断されていないゾーンと遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿ってクロスウェブスロット高さプロファイルを自動的又は半自動的に拡大する命令をアクチュエータに送信することができる。遷移ゾーンは、3つ、4つ、又は更には4つより多くの連続するアクチュエータにわたって延びることができる。この解決策は、アプリケータスロットの遮断されたゾーンと遮断されていないゾーンとの間のスロット高さプロファイルの滑らかな遷移を提供しながら、アプリケータスロットがパージされることを可能にする。
【0167】
コントローラ300に関して説明される技術などの本開示で説明される技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に実装してもよい。例えば、技術のさまざまな実施例は、コントローラ、ユーザインターフェース、又は他のデバイスに具現化された、1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processors、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuits、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate arrays、FPGA)、又は他の任意の等価集積回路若しくは個別論理回路、並びにそのような構成要素の任意の組み合わせ内に実装することができる。用語「コントローラ」は、一般的に、前述の論理回路単独、又は他の論理回路との組み合わせ、あるいは任意の他の等価回路、のいずれかを指してもよい。
【0168】
ソフトウェアで実装される場合、本開示で説明されるシステム及びコントローラに帰する機能は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(non-volatile random access memory、NVRAM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気媒体、光学媒体などのコンピュータ可読記憶媒体上の命令として具体化されてもよい。命令は、1つ以上のプロセッサに、本開示に記載される機能の1つ以上の実施例をサポートさせるために実行されてもよい。
【0169】
様々な実施例を前述の節で説明してきた。これら及び他の実施例は、以下の特許請求の範囲内である。
【0170】
更に、上記特許出願において引用された全ての参照文献、特許、又は特許出願は、一貫した形でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-12-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
更に、上記特許出願において引用された全ての参照文献、特許、又は特許出願は、一貫した形でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。
なお、各実施形態に加えて以下の態様について付記する。
(付記1)
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、を含み、前記方法が、
力印加機構を用いて、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な力を印加することによって、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作することを含む、
方法。
(付記2)
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、前記可撓性ダイリップ又は前記チョーカーバーの金属を膨張させる、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、圧力軽減形状を作り出すように選択される、付記1又は2に記載の方法。
(付記4)
前記スロットダイが、前記チョーカーバーを更に含み、前記スロットダイが、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータが、前記チョーカーバーの前記幅に沿って前記チョーカーバーと係合されており、各アクチュエータが、前記流体流路内のチョーカーバーの位置の局所的な調整を提供することによって、各アクチュエータの位置で前記流体流路の高さを制御するように動作可能である、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
前記スロットダイが、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、付記1~4のいずれか一項に記載の方法。
(付記6)
前記スロットダイが、前記アプリケータスロットの片側に前記可撓性ダイリップを更に含み、前記複数のアクチュエータが、前記可撓性ダイリップを移動させることによって、前記アプリケータスロットの前記高さを制御するように動作可能である、付記5に記載の方法。
(付記7)
前記可撓性ダイリップが、前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップを局所的に屈曲させることを容易にする複数のノッチを含む、付記6に記載の方法。
(付記8)
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、前記可撓性ダイリップを形成する金属を収縮させる又は膨張させる、のいずれかである、付記1~7のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力を印加しながら、前記スロットダイを研削することと、
前記スロットダイを研削した後に、前記スロットダイが圧力軽減形状をとるように、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力を除去することと、
を更に含む、付記1~8のいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
前記力印加機構が、加熱要素、圧電デバイス、機械デバイス、段付きボルト要素、空気圧デバイス、又は油圧デバイスを含む、付記1~9のいずれか一項に記載の方法。
(付記11)
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、前記方法が、
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な方向に沿って前記スロットダイの前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップを局所的に膨張又は収縮させ、それによって、前記複数のアクチュエータが前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップと係合する場合のクロスウェブスロット高さプロファイルを調整するように、アクチュエータ設定を決定することと、
前記決定されたアクチュエータ設定に基づいて前記複数のアクチュエータを前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップと係合させることと、
を含む、方法。
(付記12)
前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップが、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップを局所的に屈曲させることを容易にするために、流体流方向に概ね平行に延びる複数のノッチを含む、付記11に記載の方法。
(付記13)
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、前記方法が、
デッケルで前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減することと、
コントローラを用いて、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの予め選択されたクロスウェブスロット高さプロファイルに基づく複数の個別設定からの前記個別設定のセットを予測することであって、前記予測は、前記個別設定のセットと前記押出物のクロスウェブスロット高さプロファイルとの間の既知の相関に基づいている、予測することと、
前記スロットダイの前記調整のために前記予測された個別設定のセットに従って各アクチュエータの位置を設定することと、
を含み、
前記アクチュエータが、前記スロットダイの動作中に、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、
方法。
(付記14)
前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿った前記高さプロファイルが、前記アプリケータスロットの前記遮断されていないゾーンと遮断されたゾーンが一緒になる場所の、前記アプリケータスロットの前記遮断されたゾーンの上の高さプロファイル平均に収束する、付記13に記載の方法。
(付記15)
押出物品を製造する方法であって、
付記1~14のいずれか一項に記載の方法に従ってスロットダイを動作させることと、前記スロットダイの前記アプリケータスロットを通して押出物を押出して、前記押出物品を得ることと、
を含む、方法。
(付記16)
スロットダイをパージする方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、前記スロットダイの前記幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、を備え、前記方法が、
前記複数のアクチュエータを用いて力を印加することによって前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得することであって、前記アクチュエータは、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、取得することと、
前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、前記複数のアクチュエータを用いて前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿って前記クロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大することと、
を含む、方法。
(付記17)
前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿った前記高さプロファイルが、前記アプリケータスロットの前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンが一緒になる場所の前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上の高さプロファイル平均に収束する、付記16に記載の方法。
(付記18)
スロットダイであって、
前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、
チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、
前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップに動作可能に結合された力印加機構と、
を含むスロットダイと、
複数の個別設定のうちの1つに従って各アクチュエータの位置を設定し、前記スロットダイを動作させるように構成されたコントローラと、を備えるシステムであって、前記コントローラは、前記力印加機構を用いて、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な力を印加することによって、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作するように構成されている、
システム。
(付記19)
スロットダイであって、
前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、
前記スロットダイの前記幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、
前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、
前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、
を含むスロットダイと、
前記複数のアクチュエータを用いて力を印加することによって前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得し、ここで前記アクチュエータは、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的であり、前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、前記複数のアクチュエータを用いて前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿って前記クロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大するように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、を含み、前記方法が、
力印加機構を用いて、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な力を印加することによって、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作することを含む、
方法。
【請求項2】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、前記可撓性ダイリップ又は前記チョーカーバーの金属を膨張させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、圧力軽減形状を作り出すように選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記スロットダイが、前記チョーカーバーを更に含み、前記スロットダイが、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータが、前記チョーカーバーの前記幅に沿って前記チョーカーバーと係合されており、各アクチュエータが、前記流体流路内のチョーカーバーの位置の局所的な調整を提供することによって、各アクチュエータの位置で前記流体流路の高さを制御するように動作可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スロットダイが、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータを更に含み、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スロットダイが、前記アプリケータスロットの片側に前記可撓性ダイリップを更に含み、前記複数のアクチュエータが、前記可撓性ダイリップを移動させることによって、前記アプリケータスロットの前記高さを制御するように動作可能である、請求項5に記載の方法
【請求項7】
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な前記力が、前記可撓性ダイリップを形成する金属を収縮させる又は膨張させる、のいずれかである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、前記方法が、
前記スロットダイの前記幅に概ね平行な方向に沿って前記スロットダイの前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップを局所的に膨張又は収縮させ、それによって、前記複数のアクチュエータが前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップと係合する場合のクロスウェブスロット高さプロファイルを調整するように、アクチュエータ設定を決定することと、
前記決定されたアクチュエータ設定に基づいて前記複数のアクチュエータを前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップと係合させることと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップが、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップを局所的に屈曲させることを容易にするために、流体流方向に概ね平行に延びる複数のノッチを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
スロットダイを動作させる方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、前記スロットダイの前記幅に沿って離間した複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各アクチュエータが、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記流体流路の高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、を含み、前記方法が、
デッケルで前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減することと、
コントローラを用いて、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの予め選択されたクロスウェブスロット高さプロファイルに基づく複数の個別設定からの前記個別設定のセットを予測することであって、前記予測は、前記個別設定のセットと前記押出物のクロスウェブスロット高さプロファイルとの間の既知の相関に基づいている、予測することと、
前記スロットダイの前記調整のために前記予測された個別設定のセットに従って各アクチュエータの位置を設定することと、
を含み、
前記アクチュエータが、前記スロットダイの動作中に、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、
方法。
【請求項11】
前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿った前記高さプロファイルが、前記アプリケータスロットの前記遮断されていないゾーンと遮断されたゾーンが一緒になる場所の、前記アプリケータスロットの前記遮断されたゾーンの上の高さプロファイル平均に収束する、請求項10に記載の方法
【請求項12】
スロットダイをパージする方法であって、前記スロットダイが、前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、前記スロットダイの前記幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、を備え、前記方法が、
前記複数のアクチュエータを用いて力を印加することによって前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得することであって、前記アクチュエータは、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的である、取得することと、
前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、前記複数のアクチュエータを用いて前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿って前記クロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿った前記高さプロファイルが、前記アプリケータスロットの前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンが一緒になる場所の前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上の高さプロファイル平均に収束する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
スロットダイであって、
前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、
チョーカーバー及び可撓性ダイリップからなる群のうちの少なくとも1つと、
前記チョーカーバー又は可撓性ダイリップに動作可能に結合された力印加機構と、
を含むスロットダイと、
複数の個別設定のうちの1つに従って各アクチュエータの位置を設定し、前記スロットダイを動作させるように構成されたコントローラと、を備えるシステムであって、前記コントローラは、前記力印加機構を用いて、前記スロットダイの前記幅に概ね平行な力を印加することによって、前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作するように構成されている、
システム。
【請求項15】
スロットダイであって、
前記スロットダイの幅に沿って延びるアプリケータスロットであって、前記スロットダイを通る流体流路と流体連通しているアプリケータスロットと、
前記スロットダイの前記幅に沿って延びるチョーカーバー又は可撓性ダイリップと、
前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップに沿って離間した複数のアクチュエータであって、各々が、前記アプリケータスロットを通る流体流の局所的な調整を提供するために、各アクチュエータのそれぞれの位置で前記アプリケータスロットの高さを調整するように動作可能である、複数のアクチュエータと、
前記アプリケータスロットの一部分を遮断して前記アプリケータスロットの有効幅を低減する1つ以上のデッケルと、
を含むスロットダイと、
前記複数のアクチュエータを用いて力を印加することによって前記チョーカーバー又は前記可撓性ダイリップの形状を操作して、目標クロスウェブスロット高さプロファイルを取得し、ここで前記アクチュエータは、前記アプリケータスロットの遮断されたゾーンの上で固定されており、前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンの上で動的であり、前記遮断されていないゾーンと前記遮断されたゾーンとの間の遷移ゾーンに沿って拡大の程度を漸減させながら、前記複数のアクチュエータを用いて前記アプリケータスロットの遮断されていないゾーンに沿って前記クロスウェブスロット高さプロファイルを選択的に拡大するように構成されたコントローラと、
を備える、システム。
【国際調査報告】