(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】閉鎖可能な通気開口部を有する容器用蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 51/16 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
B65D51/16 200
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535363
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2021084416
(87)【国際公開番号】W WO2022122662
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513053775
【氏名又は名称】エクソリューション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッチ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フォン リートベルグ,マルク
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA01
3E084CC03
3E084GA08
3E084GB12
3E084KA02
(57)【要約】
本発明は、容器用、具体的には缶用の蓋であって、第1の開口部が貫通している蓋面と、蓋面の内側に配置されるとともに通気開口部が貫通している内部要素であって、通気開口部は第1の開口部と位置合わせられている、内部要素と、蓋面の外側に配置された作動要素であって、該作動要素をさらに第1の部分と第2の部分とに細分する接合領域を備えており、作動要素の第1の部分は、蓋面にのしかかるように配置されており、作動要素の第2の部分は、第1の部分に対して接合領域を中心に枢動可能であるとともに、通気開口部を閉じるためのペグを備えており、該ペグは、係止要素、具体的に、好ましくはペグの周りに延在する係止ビード要素を備えており、作動要素の凹部に取り外し可能に係止することができる、作動要素とを備える蓋に関する。本発明による蓋は、係止要素を凹部内にロックするためのロック要素によって特徴づけられ、ロック要素は、係止された係止要素をロック位置でロックし、ロック解除位置では、係止要素を凹部から係止解除してペグを外し、通気開口部を開口することが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器用、具体的に飲料缶用の蓋であって、
第1の開口部(15)が貫通している蓋面(10)と、
前記蓋面(10)の内側に配置されるとともに、通気開口部(25)が貫通している
内部要素であって、前記通気開口部は前記第1の開口部(15)と位置合わせされている、内部要素(20)と、
前記蓋面(10)の外側に配置された作動要素であって、該作動要素(30)をさらに第1の部分(31)と第2の部分(32)とに細分する接合領域(40)を備えており、前記作動要素(30)の前記第1の部分(31)は、前記蓋面(10)にのしかかるように配置されており、前記作動要素(30)の前記第2の部分(32)は、前記接合領域(33)を中心に前記第1の部分(31)に対して枢動可能であるとともに、前記通気開口部(25)を閉じるためのペグ(40)を備えており、前記ペグ(40)は、前記内部要素の凹部(21)に取り外し可能に係止され得る係止要素(41)を備えており、該係止要素(41)は特に、好ましくは前記ペグ(40)の周りに延在する係止ビード(41)を備えている、作動要素(30)と、
前記係止要素(41)を前記凹部(21)内にロックするためのロック要素であって、ロック位置では、係止された前記係止要素(41)を前記凹部(21)内にロックし、ロック解除位置では、前記係止要素(41)を前記凹部(21)から係止解除してペグ(40)を外し、前記通気開口部(25)を開口することが可能である、ロック要素(50)と
を備える蓋。
【請求項2】
前記ペグは、外側に開口されている空洞を備えており、前記ロック要素はプラグを備えており、前記ロック要素の前記プラグは、前記ロック位置において、前記ペグの空洞内に位置している、請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記プラグは、少なくとも1つのカムを備えており、前記ペグの空洞内に少なくとも1つの突出部が設けられており、前記少なくとも1つのカムは、ロック位置において、前記少なくとも1つの突出部に対向して配置され、および/または前記少なくとも1つの突出部により固定される、請求項2に記載の蓋。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカムを前記少なくとも1つの突出部により前記空洞内に固定するための前記プラグが、軸を中心に回転可能である、請求項3に記載の蓋。
【請求項5】
前記ロック要素は、前記プラグが上に配置されるタブをさらに備えており、前記プラグは、前記タブによって前記空洞から抜出可能であり、および/または前記プラグは、前記タブによって前記空洞内で回転可能である、請求項2~4のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項6】
前記タブは、前記作動要素および/もしくは前記蓋面に接続されているか、または前記タブは、前記プラグに回転不能に接続されており、ロック位置では前記作動要素の前記第2の部分に対して第1の向きに配置され、かつロック解除位置では前記作動要素の前記第2の部分に対して第2の向きに配置されている、請求項5に記載の蓋。
【請求項7】
前記プラグは、前記ロック位置から前記ロック解除位置への移動のために前記空洞へと押し込み可能である、請求項2または3に記載の蓋。
【請求項8】
前記ロック要素は、前記係止要素をロックするために前記ペグの壁と前記係止要素との間にある外部からアクセス可能な開口部それぞれに挿入可能であるとともに、ロック解除のためにこの開口部から取り外し可能である、少なくとも1つのピンを備えている、請求項1に記載の蓋。
【請求項9】
前記ペグの前記係止要素は、前記ペグの各端部から間隔をあけて配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項10】
前記ペグは、円形状の断面を有する壁を備えており、その直径は、窪み部内において縮小され、これにより、前記ペグに相対的に大きな直径を有する部分と相対的に小さな直径を有する部分とが形成され、前記係止要素は、前記大きな直径を有する部分の外側に、具体的には前記窪み部に隣接して配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項11】
前記窪み部は、前記プラグの下側を少なくとも部分的に前記ロック位置に支持する支持面を前記空洞内に形成する、請求項2と組み合わせた請求項10に記載の蓋。
【請求項12】
外向きの中心ピンが前記空洞内に形成され、その上に、前記空洞部内に形成された対応する中央開口部によって前記プラグが嵌め込まれ得る、請求項2との組み合わせた請求項1~11のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項13】
第2の開口部が前記蓋面に設けられ、該第2の開口部と容器内部との間の流体接続は、前記蓋面の内側から前記内部要素を折り畳むことによって確立することができ、前記作動要素の前記第1の部分は、前記内部要素に接続されるか、または前記内部要素と接触可能であり、具体的には相互に対する摺動動作が可能であり、前記内部要素は、前記作動要素の前記第1の部分を変位させることによって折り畳むことができる、請求項1~12のいずれか一項に記載の蓋。
【請求項14】
前記蓋面の内側に配置された内部摺動部材をさらに備えており、前記作動要素の前記第1の部分は、前記内部摺動部材に接続され、前記作動要素の前記第1の部分と前記内部摺動部材との一体物は、前記蓋面に沿って摺動可能であり、前記内部摺動部材は、前記内部要素にさらに接続されるか、または前記内部要素と接触可能であり、具体的には相互に対する摺動動作が可能であり、前記内部要素は、前記一体物の変位によって折り畳み可能であり、前記第1の部分の変位は、前記第2の部分の展開後、具体的にはそれによって前記ピンが前記通気開口部および前記第1の開口部から取り外された後にのみ可能である、請求項13に記載の蓋。
【請求項15】
基体と、
請求項1~14のいずれか一項に記載の蓋と
を備える、具体的に缶である容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用、特に飲料缶用の蓋であって、第1の開口部が貫通している蓋面と、蓋面の内側に配置されるとともに通気開口部が貫通している内部要素であって、この通気開口部は第1の開口部と位置合わせられている、内部要素と、蓋面の外側に配置された作動要素であって、通気開口部を閉じるためのペグが設けられている作動要素とを備える蓋に関する。
【先行技術】
【0002】
上記の種類の容器用蓋は、従来技術から知られている。ペグ状の閉鎖要素は、通常、一定量の力で通気開口部に押し込まれ、例えば、ペグに対して横方向に押圧するシールによって固定される。ペグを用いた通気開口部用閉鎖具の一実施形態は、例えばEP2711307A1に開示されている。先行技術の通気開口部は、例えば、容器内に炭酸飲料が含まれており、それによって内圧が生じている場合でも確実に閉じた状態を維持できるように、十分に小さな断面を有している。しかしながら、内圧は、容器内に含まれるガス成分が加熱されることによっても発生することもあり、最大で約8バールに達することもある。
【0003】
しかし、通気開口部の断面を大きくして、例えば飲用ストローを挿せるようにする場合、例えば、通気開口部の直径を2倍にすると、ペグに作用する力が4倍になるため、閉じた状態でペグに作用する力は非常に大きくなり、ペグが押し開かれてしまうことがある。例えば、内部要素の凹部に係合するペグの周りを囲むビードなど、ペグを通気開口部内に保持するための従来の手段は、内部から作用する圧力によって意図せずに押し開かれるのを防止するのにもはや十分ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点を克服し、通気開口部を確実に複数回閉じられるようにすることである。
【0005】
この課題は、請求項1に記載の容器用の蓋によって解決される。
【0006】
本発明による容器用、特に缶用の蓋は、第1の開口部が貫通している蓋面と、蓋面の内側に配置されるとともに通気開口部が貫通している内部要素であって、この通気開口部は第1の開口部と位置合わせられている、内部要素と、蓋面の外側に配置された作動要素であって、作動要素をさらに第1の部分および第2の部分とに細分する接合領域を有している作動要素とを含み、作動要素の第1の部分は、蓋面にのしかかるように配置されており、作動要素の第2の部分は、第1の部分に対して接合領域を中心に枢動可能であるとともに、通気開口部を閉じるためのペグを備えており、ペグは、係止要素、具体的には、好ましくはペグの周りを囲む係止ビードを備えており、この係止要素は、内部要素の凹部に取り外し可能に係止され得る。本発明による蓋は、係止された係止要素を凹部内にロックするためのロック要素によって特徴付けられ、このロック要素は、ロック位置において係止された係止要素をロックし、ロック解除位置では、凹部から係止要素を係止解除して、通気開口部内のペグを外し、通気開口部を開口することが可能である。
【0007】
ペグの係止要素は、通気開口部が閉じられると内部要素の凹部に係合する。ペグは、係止要素の力ロック式(force-locking)および形状適合式係合/スナップを実現するために、可撓性/弾性を有するように設計することができる。ペグは、作動要素の第2の部分に対する外向きの牽引力によって再び引き抜くことができ、これにより、係止要素と凹部の接続を再び解除して係止要素を外すのに、ペグに対する最小限の力ですむ。ロック位置では、ロック要素は、ペグへの内圧の力によって係止要素が内部要素の凹部から押し出すことができないようにする。ペグおよびその上に配置された係止要素は、好ましくは一体形成され、好ましくはプラスチック材料で形成される。同様に、好ましくは、内部要素は、凹部とともにプラスチック材料で作製される。このようにして、ペグの設計に加えて、材料による可撓性または弾性もある。
【0008】
有利な任意の実施形態は、最初の開口の前に、ロック要素と作動要素の第2の部分または蓋面の外側との間に接続があることであり、この接続はロック要素がロック位置からロック解除位置へと初めて移動されたときに破壊される(所定の破壊点)。その代わりに、またはそれに加えて、ロック要素が初めてロック位置からロック解除位置へと移動されるとき、ロック要素の一部は、完全に曲がる可能性がある。これらの各実施形態は、破壊された接続部または屈曲部を使用してロック要素がすでに初めて開けられたことを検出することができるので、開封防止シールに相当する。
【0009】
本発明による蓋は、ペグが外側に開口された空洞を有している点、ロック要素がプラグを有している点、および、ロック要素のプラグがロック位置においてペグの空洞の内側に位置するという点でさらに発展させることができる。空洞を有するペグがプラスチック材料で作製される場合、可撓性/弾性を有し、それにより、空洞方向へのペグの壁の変形が可能であり、空洞によりペグの可撓性または弾性が存在する。プラグをペグの空洞へと押し込むことで、この変形は防止され、その結果、ペグの外側に配置された係止要素は、もう凹部から動かすことはできず、プラグが空洞から取り外された/抜出された後でのみ再び動かすことができる。プラグはまた、空洞を有し、少なくとも1つの側面(上面および/または底面)に開口していてもよい。さらに、ペグおよびプラグは、円筒形状を有していてもよい。
【0010】
プラグは、少なくとも1つのカムを有していてもよく、かつ少なくとも1つの突出部が、プラグの空洞内に設けられていてもよく、上記少なくとも1つのカムは、少なくとも1つの突出部でロック位置に固定されていてもよい。好ましくは、プラグの反対側に2つのカムがあるか、または間隔をあけて3つのカムがあり、各突出部は、空洞の相補的な対向位置に配置される。具体的には、少なくとも1つのカムおよび少なくとも1つの突出部は、プラグを挿入する工程の最後まで固定が起こらないように配置することができる。
【0011】
プラグは、空洞内で少なくとも1つのカムを少なくとも1つの突出部に固定するための軸を中心に回転可能であってもよい。したがって、突出部がロック位置にある状態でのカムの固定は、プラグを空洞内へと挿入した後、単にプラグを回転させることによってなされ得る。
【0012】
ロック要素は、プラグが配置されるタブをさらに備えることができ、プラグは、タブによって空洞から引き抜くことができるか、またはタブによって空洞内で回転させることができる。このように、プラグは簡単かつ便利に移動させることができる。
【0013】
タブは、作動要素および/もしくは蓋面に接続されていてもよく、またはタブは、プラグに回転不能に接続されてもいてもよく、およびロック位置において作動要素の第2の部分に対して第1の向きで配置されていてもよく、ロック解除位置において作動要素の第2の部分に対して第2の向きで配置されていてもよい。第2の選択肢では、タブの配向はさらにロック要素がロック位置にあるか、またはロック解除位置にあるかという情報とさらに関連付けられる。有利な任意の実施形態では、具体的に、初めて開口する前に、ロック要素のタブは、上記の不正開封明示シールという意味で、所定の破壊点を介して作動要素の第2の部分または蓋面の外側に接続することができる。第2の選択肢では、この接続は、タブが第1の配向から第2の配向に初めて回されたときに、いつまでも目に見える形で破壊することができる。
【0014】
別の実施形態によれば、プラグは、ロック位置からロック解除位置に動かすために空洞内に押し込むことができる。例えば、プラグの少なくとも1つのカムを空洞内にさらに動かし、これによって少なくとも1つの突出部から切り離すことができる。
【0015】
代替的な実施形態では、ロック位置は、少なくとも1つのピンを備えることができ、このピンは、係止要素をロックするために、ペグの壁と係止要素との間の外側からアクセス可能なそれぞれの開口部に挿入することができ、ロック解除するためにこの開口部から引き抜くことができる。
【0016】
別の実施形態では、ペグの係止要素は、ペグの各端部から間隔を空けて配置されてもよい。したがって、係止要素は、ペグの両端部のうちの一方ではなく両端部の間の部分に設けられる。このことは、特に中空ペグとの組み合わせにおいて、係止要素の上記部分におけるペグの可撓性が増し、通気開口部への円滑な挿抜が可能になるという利点がある。
【0017】
ペグは、段差部において直径が減少する円形の断面を有する壁を有してもよく、それによってペグに相対的に大きな直径部分と相対的に小さな直径部分とが形成され、係止要素は、大きな直径部分の外側に、具体的には段差部に隣接して配置されてもよい。
【0018】
空洞を有するペグの場合、段差部は、空洞内に支持面を形成してもよく、プラグの端面は、該支持面上で少なくとも部分的にロック位置に支持される。
【0019】
別の実施形態によれば、空洞を有するペグの場合、外向きの中心ピンが上記空洞内に形成されてもよく、プラグはこの空洞上に、その中に形成された対応する中央開口部によって嵌め込まれてもよい。
【0020】
さらなる実施形態は、第2の開口部が蓋面に設けられていてもよく、第2の開口部と容器内部との間の流体接続は、蓋面の内側から内部要素を折り畳むことによって確立することができ、作動要素の第1の部分は、内部要素に接続されるか、または内部要素に接触可能であり、具体的には相互に対する摺動動作が可能であり、内部要素は、作動要素の第1の部分の変位によって折りたたまれても良よい。
【0021】
これは、蓋が蓋面の内側に配置された内部摺動部材をさらに備えており、ここで作動要素の第1の部分が内部摺動部材に接続され、作動要素の第1の部分と内部摺動部材との一体物が蓋面に沿って変位可能である、という点でさらに発展させることができ、内部摺動部材は、さらに、内部要素に接続されるか、または内部要素に接触可能であり、具体的には相互に対する摺動動作が可能であり、内部要素は、一体物の変位によって折り畳み可能であり、第1の部分の変位は、第2の部分の展開後、具体的にはそれによってペグが通気開口部および第1の開口部から取り外された後にのみ可能である。
【0022】
本発明はまた、基体と、本発明または上記の実施形態の1つによる蓋とを備える、具体的には、缶である容器を提供する。
【0023】
上記のさらなる実施形態は、請求項に記載されるように、個々にまたは互いに適宜組み合わせて使用することができる。
【0024】
本発明のさらなる特徴および例示的な実施形態ならびに利点は、図面を参照して以下でより詳細に説明される。実施形態は、本発明の範囲を網羅するものではないことを理解されたい。さらに、以下に説明する特徴の一部または全部は、他の方法で組み合わせられてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4A】本発明による蓋の第4の実施形態の詳細を示す。
【
図4B】本発明による蓋の第4の実施形態の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図において、同一の参照符号は、同一または同等の要素を示す。
【0027】
図1は、本発明による蓋(100)の第1の実施形態を概略的に示している。
【0028】
この第1の実施形態では、本発明による蓋(100)は、第1の開口部(15)が貫通している蓋面(10)と、蓋面(10)の内側に配置されるとともに通気開口部(均圧開口部)が貫通している内部要素であって、通気開口部は、第1の開口部(15)と位置合わせられている、内部要素(20)と、蓋面の外側に配置され、例えばプラスチックで形成された作動要素(30)とを備える。
【0029】
作動要素(30)は、作動要素(30)を第1の部分(31)と第2の部分(32)とに分割する接合領域(33)を有しており、作動要素(30)の第1の部分(31)は、蓋面(10)に当接するように配置され、作動要素(30)の第2の部分(32)は、接合領域(33)を中心に第1の部分(31)に対して枢動可能であるとともに、通気開口部(25)を閉じるためのペグ(40)を備える。ペグ(40)は、好ましくはペグ(40)の周り全体に延在する係止ビード(41)を備えており、内部要素(20)の凹部(切り込み部)(21)に係脱可能である。この目的のために、一方で係止ビード(41)を有するペグ(40)と、他方で凹部(21)を有する内部要素(20)との設計は、弾性があり、係止ビード(41)が凹部(21)に係止(スナップ)するまで、ペグを最小限の力で通気開口部(25)に押し込むことができるようになっている。これに対応して、係止ビード(41)は、ペグ(40)に最小限の牽引力を加えることによって凹部(21)から引き抜くことができ、こうして、ペグ(40)は、通気開口部(25)から引き抜くことができる。
【0030】
本発明による蓋(100)は、係止ビード(41)を凹部(21)内にロックするためのロック要素(プラグ)(50)をさらに備えており、ロック要素(50)は、ロック位置では係止された係止ビードをロックし、ロック解除位置では、凹部(21)から係止ビード(41)を係止解除して、通気開口部(25)内のペグ(40)を外し、通気開口部(25)を開口することができる。
【0031】
図2Aおよび2Bは、本発明による蓋(200)の第2の実施形態を概略的に示している。
【0032】
この実施形態では、プラグ(50)は、1つまたは複数のカム(52)を備える。単一のカム(ビード/クラウン)(52)の場合、例えば、プラグの周りを完全にまたは部分的に囲むように形成することができる。蓋が閉じた状態では、プラグは、比較的薄いプラスチック製のブリッジによって作動要素の第2部分(32)の上側に接続(例えば溶接)されている。その場合、カム(52)は、ペグ(40)のそれぞれの突出部(42)の対向位置にある。このようなロック位置が
図2Aに示されている。通気開口部(25)内のプラグ(40)をロック解除するには、プラグを空洞へと押し込み、これによりブリッジ接続を破壊する。このロック解除位置が
図2Bに示されている。ここでカム(52)は、もう突出部(42)に対向しておらず、牽引力がペグ(40)に上向きに加えられると、係止ビード(41)は、内部要素(20)の凹部(21)から外すことができ、これは主にペグ(40)のプラスチック材料の可撓性、したがってペグ(40)の側壁の空洞方向への可撓性に起因する。プラグ(50)と作動要素の第2の部分(32)との間のブリッジ接続が最初の開口の間に破壊されることは、接続が破壊されていることに基づいて既に開口が発生したことが検知可能であるため、不正開封明示シールとしても機能する。
【0033】
図3は、本発明による蓋の第3の実施形態を示している。
【0034】
この実施形態では、ペグ(40)は、窪み部(45)を備える。プラグ(50)は、相補的な設計の対応する窪み部を有し、プラグ(50)の下側の一部が窪み部(45)に支持され得る。係止ビード(41)は、ペグ(40)の外側の窪み部(45)の上の部分に配置される。これにより、プラグ(50)がペグ(40)の空洞内にあるときには、良好なロック効果が得られる一方で、ペグ(40)は良好な可撓性を有しているので、プラグ(50)は、ビード(41)が凹部(21)から抜けた状態で、容易に通気開口部(25)から引き抜くことができる。ほんの一例として、ここではプラグ(50)に2つのタブ(55)および(56)が設けられている。タブ(56)は、作動要素(30)の上部に接続、例えば溶接されており、プラグ(50)は、タブ(55)を引っ張ることで上方に引き抜くことができる。ロック状態は、プラグ(50)をペグ(40)の空洞に再び挿入する(押し込む)ことにより、復元することができる。したがって、飲料缶を初めて使用し、中身を残した後で、この蓋を用いて再び確実に閉じることができる。
【0035】
図4Aおよび4Bは、本発明による蓋の第4の実施形態の詳細図を示している。
【0036】
図4Aは、第1の部分(31)と、第2の部分(32)と、第2の部分(32)を上方に折り畳むことができる接合領域(33)とを備えている作動要素(30)の断面図である。この実施形態では、ペグ(40)は、空洞内に窪み部(45)も備えている。少なくとも1つの突出部(44)が、ペグ(40)の空洞内の窪み部(45)上に配置され、好ましくは、段差部(45)上に2つの窪み部(45)が等間隔で配置されている。
【0037】
図4Bは、付随するロックのためのプラグ(50)を示している。プラグ(50)は、各カム(54)を備えており、空洞内でプラグ(50)を回転させることにより、対応する突出部(44)で固定することができる。そのために、プラグ(50)は、回転可能に固定的に配置されたタブ(55)を備えている。突出部(44)には傾斜面を設けてもよく、これによりカム(54)を突出部(44)でさらに容易に固定できる。蓋上部のタブの位置は、プラグ(50)がロック位置にあるかロック解除位置にあるかを示す。
【0038】
図5は、本発明による蓋の第5の実施形態を概略的に示している。ペグ(40)およびロック要素(40)(ここでは図示せず)は、例えば、先に説明した実施形態の一つに応じて設計することができる。
【0039】
この第5の実施形態では、作動要素(30)は、第1の部分(31)の領域において、例えばリベットで留めることにより、蓋面(10)の内側に支持される内部摺動部材(90)に接続されている。接続要素(35)および(36)(例えばリベット)は、蓋面(10)のスロット形状の凹部内で移動可能であり、これにより作動要素(30)と内部摺動部材(90)とを備える一体物は、(作動要素(30)の第2の部分が折り畳まれた後に)蓋面(10)に沿って変位することができる。内部摺動部材(90)は、摺動ラグ(80)をさらに備えていてもよく、この摺動ラグ(80)は、変位すると、内部要素(20)の傾斜面(28)の上に乗り上げ、変位要素(20)を下方に折り畳むことができる。内部要素(20)を蓋面(10)から離して折り畳むことにより、閉じた状態において生じていた蓋面(10)に対する内部要素(20)のシール効果が解除され、内部と外部との間の流体接続が生じ、これにより飲み口または注ぎ口(16)が露出する。
【国際調査報告】