(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】軽量プラスチック高密度化装置
(51)【国際特許分類】
C08J 11/06 20060101AFI20231213BHJP
【FI】
C08J11/06 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535508
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2021062355
(87)【国際公開番号】W WO2022125626
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520495098
【氏名又は名称】アルブーゾフ,イワン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルブーゾフ,イワン
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401CA61
4F401CB02
4F401FA01Z
(57)【要約】
一般に、本開示は軽量プラスチック廃棄物(例えば、使用済み食料品袋、空のゴミ袋、食品包装紙など)を圧縮し、次いで、限定された量の熱を加えて、圧縮されたプラスチックをプラスチックの「レンガ」状に「焼く」装置に関する。プラスチックは圧縮され、次いで、溶融又は実質的なガス放出なしに、その圧縮された形状を保持させるのに十分な加熱がなされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムの内面を有する内部容積を少なくとも部分的に囲む本体と、
プラスチックが前記本体に装填されることを可能にするように構成された、前記本体のローディングポートと、
作動時に前記内部容積を減少させ、前記内部容積内のプラスチックを圧縮するように構成された、前記本体内のリフトと、
前記アルミニウムの表面の下に位置し、前記アルミニウムの表面に当接する加熱要素であって、前記本体内のプラスチックを100℃~180℃の範囲の温度に加熱するように構成された、前記加熱要素と、を備える、
プラスチック高密度化装置。
【請求項2】
前記ローディングポートに取り付けられたローディング機構であって、
摩擦面を備え、プラスチックを掴んで前記本体内に引き込むように構成されたローラと、
前記ローラに取り付けられたコームであって、プラスチックを前記ローラから取り外し、前記ローディングポートを通して堆積させるように構成された前記コームと、
前記ローラを回転させるように構成されたローラモータと、を備える、前記ローディング機構と、
前記プラスチック高密度化装置の動作を制御するように構成されたコントローラと、
前記リフトを作動させるように構成されたリフトモータと、を備える、
請求項1に記載のプラスチック高密度化装置。
【請求項3】
温度センサと、
前記リフトモータに供給される電流を測定する電流センサと、を備える、
請求項2に記載のプラスチック高密度化装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記温度センサによって感知される温度を100℃~180℃の範囲内に維持するように、前記加熱要素に供給される電力を調整するように構成される、
請求項3に記載のプラスチック高密度化装置。
【請求項5】
前記コントローラは、所定の閾値まで前記リフトモータに電流を印加するように構成され、前記所定の閾値は、前記プラスチックの所望の圧縮量に関連する電流である、
請求項3に記載のプラスチック高密度化装置。
【請求項6】
前記本体内のプラスチックの目視検査を可能にするために、前記本体内にのぞき窓を備える、
請求項1に記載のプラスチック高密度化装置。
【請求項7】
圧縮チャンバ内に高密度化するプラスチックを装填するステップと、
前記プラスチックを圧縮するステップと、
前記プラスチックに熱を加えて100℃~180℃の範囲の温度とするステップであって、前記圧縮及び前記熱は、前記プラスチックをレンガ状に焼く、ステップと、を備える、
プラスチックを高密度化する方法。
【請求項8】
装填作業中、熱を加えることなく周期的に前記プラスチックを圧縮するステップを備える、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチックに熱を加えるステップは、前記圧縮チャンバが満杯である旨の信号に応答する、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記プラスチックは、ローディング機構を用いて前記圧縮チャンバに装填され、前記ローディング機構は、前記ローディング機構内の前記プラスチックの存在を示す信号に応答して自動的に作動する、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記プラスチックを圧縮するステップと、前記プラスチックに熱を加えるステップとを少なくとも1回繰り返す、
請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記プラスチックを圧縮するステップと、前記プラスチックに熱を加えるステップとは、所定の圧縮比が達成されていないという指示に応答して繰り返される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラスチックを圧縮するステップと、前記プラスチックに熱を加えるステップとは、所定の回数繰り返される、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
アルミニウムの内面を有する内部容積を少なくとも部分的に囲む本体と、
プラスチックが前記本体に装填されることを可能にするように構成された、前記本体のローディングポートと、
作動時に前記内部容積を減少させ、前記内部容積内のプラスチックを圧縮するように構成された、前記本体内のリフトと、
前記アルミニウムの表面の下に位置し、前記アルミニウムの表面に当接する加熱要素であって、前記本体内のプラスチックを100℃~180℃の範囲の温度に加熱するように構成された、前記加熱要素と、を備える、
プラスチックを高密度化するためのシステム。
【請求項15】
前記ローディングポートに取り付けられたローディング機構であって、
摩擦面を備え、プラスチックを掴んで前記本体内に引き込むように構成されたローラと、
前記ローラに取り付けられたコームであって、プラスチックを前記ローラから取り外し、前記ローディングポートを通して堆積させるように構成された前記コームと、
前記ローラを回転させるように構成されたローラモータと、を備える、前記ローディング機構と、
前記システムの動作を制御するように構成されたコントローラと、
前記リフトを作動させるように構成されたリフトモータと、を備える、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
温度センサと、
前記リフトモータに供給される電流を測定する電流センサと、を備える、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記温度センサによって感知される温度を100℃~180℃の範囲内に維持するように、前記加熱要素に供給される電力を調整するように構成される、 請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、所定の閾値まで前記リフトモータに電流を印加するように構成され、前記所定の閾値は、前記プラスチックの所望の圧縮量に関連する電流である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記本体内のプラスチックの目視検査を可能にするために、前記本体内にのぞき窓を備える、
請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記本体にヒンジ接続されたカバーを備える、
請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2020年12月11日に出願された米国特許出願第17/119,469号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、プラスチック材料の高密度化に関し、さらにリサイクルされる材料を調製することに関する。本開示は一般に、リサイクル不可能な軽量(軽質)プラスチック廃棄物をリサイクル可能な形態に変換することに関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチック廃棄物は、長期間にわたって貯蔵し、輸送することが困難な汚染物質であり得る。プラスチックは、多くの良好な構造的特質を有する。それは、軽量で強度が高く、製造コストが安い。その結果、軽量プラスチックは、世界の多くの人々の日常生活の一部となっている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、家庭内のプラスチック廃棄物のようなプラスチックを高密度化するためのシステム、方法及び装置を含む。一実施の形態は、内部容積をアルミニウムの内面で部分的に包囲する本体を含むプラスチック高密度化装置を含む。本体内のローディングポート(装填口)は、プラスチックが本体内に装填されることを可能にし、本体内のリフトは、作動時に内部容積を減少させ、内部容積内のプラスチックを圧縮することができる。アルミニウムの表面の下に当接して配置された加熱要素は、本体内のプラスチックを100℃~180℃の範囲の温度に加熱するように構成することができる。
【0005】
実施の形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を任意に含み得る。
【0006】
いくつかの実施の形態では、プラスチック高密度化装置は、ローディングポートに取り付けられたローディング機構を含み、ローディング機構は、プラスチックを把持し、プラスチックを本体内に引き込むように構成された摩擦面を有するローラと、ローラ上に取り付けられ、ローラからプラスチックを取り外し、ローディングポートを通してそれを堆積させるように構成されたコームと、ローラを回転させるように構成されたローラモータとを含む。プラスチック高密度化装置はまた、プラスチック高密度化装置の動作を制御するコントローラと、リフトを作動させるリフトモータとを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施の形態では、プラスチック高密度化装置は、1つ又は複数の温度センサと、リフトモータに供給される電流を測定する1つ又は複数の電流センサとを含む。いくつかの実施の形態では、コントローラは、温度センサによって感知される温度を100℃~180℃の範囲内に維持するように、加熱要素に供給される電力を調整する。コントローラは、リフトモータに所定の閾値まで電流を印加するように構成することもできる。所定の閾値は、プラスチックの所望の圧縮量に関連する電流とすることができる。
【0008】
いくつかの実施の形態では、本体内の内部容積及びプラスチックの検査を可能にするために、本体内ののぞき窓が設けられる。
【0009】
いくつかの実施の形態では、カバーが本体にヒンジ接続される。
【0010】
一般に、本開示はプラスチックを高密度化するための方法を企図し、この方法は圧縮チャンバ内に高密度化されるプラスチックを装填し、プラスチックを圧縮し、プラスチックに熱を加えて100℃~180℃の範囲の温度を達成し、圧縮されたプラスチックをレンガ状に焼くことを含む。
【0011】
いくつかの実施の形態では、装填作業中、プラスチックは熱を加えることなく周期的に圧縮される。
【0012】
いくつかの実施の形態では、圧縮チャンバが満杯であるという信号に応答して、プラスチックに熱が加えられる。
【0013】
いくつかの実施の形態では、ローディング機構内のプラスチックの存在を示す信号に応答して自動的に作動されるローディング機構を使用して、圧縮チャンバ内にプラスチックを装填する。
【0014】
いくつかの実施の形態では、プラスチックを圧縮するステップ及びプラスチックへ熱を加えるステップは、少なくとも1回繰り返される。いくつかの実施の形態では、所定の圧縮比が達成されていないという指示に応答して、プラスチックを圧縮するステップ及び熱を加えるステップが繰り返される。
【0015】
いくつかの実施の形態では、プラスチックを圧縮するステップ及びプラスチックへ熱を加えるステップは、所定の回数繰り返される。
【0016】
本開示のこれら及び他の形態及び実施の形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本開示の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】例示的なプラスチック高密度化装置の外観等角図である。
【0018】
【
図2】プラスチック高密度化装置の内部を示す断面斜視図である。
【0019】
【
図3】いくつかのハウジング構成要素が明確化のために透明とした、例示的なプラスチック高密度化装置を回転図で示す。
【0020】
【
図4】カバーが開いた位置にあるプラスチック高密度化装置を示す。
【0021】
【
図5】プラスチック高密度化装置100の側方断面斜視図を示す。
【0022】
【
図6】コントローラ628と、コントローラが作動することができるいくつかのセンサ及びシステムとを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一般に、本開示は、プラスチック廃棄物を高密度化するための装置及び使用方法に関する。高密度化されたプラスチック廃棄物は、高密度化されていない形態よりもよりコンパクトな固体である。軽量プラスチック廃棄物(例えば、使用済みの食料品袋、空のゴミ袋、食品包装紙など)は、貯蔵や輸送、リサイクルのためのプロセスが困難であり得る。本開示は、ユーザが家庭内でプラスチック廃棄物を圧縮又は高密度化することを可能にし、それを容易にリサイクル可能にし、より便利に貯蔵し、又はさらなる処理のために容易に輸送するための便利な解決策を説明する。
【0024】
この装置は、プラスチック廃棄物を圧縮し、次いで限定された量の熱を加えて、圧縮されたプラスチックをプラスチックの「レンガ(brick)」状に「焼く(bake)」。ほとんどのプラスチック材料は、ある温度を超えると揮発性有機化合物(VOC)を放出し始める。VOCは一般に有毒であり、住宅環境では望ましくなく、したがって、開示された装置は、プラスチックの温度を、広範囲に溶融することによってプラスチックの著しいガス放出を引き起こすほど高く上昇させない。代わりに、プラスチックは圧縮され、次いで、溶融又は実質的なガス放出なしに、その圧縮された形状を保持させるのに十分に加熱される。
【0025】
図1は、プラスチック高密度化装置100の外観等角図である。プラスチック高密度化装置100は、構成要素の大部分を収容する本体102を含むことができ、プラスチック高密度化装置100に審美的に好ましい構造を提供することができる。いくつかの実施の形態では、本体102は、プラスチック、アルミニウム、鋼又は任意の他の好適な材料で構成される。カバー106は、本体にヒンジ接続することができ、高密度化プラスチックの除去又はプラスチック高密度化装置100のメンテナンスを可能にするために開くことができる。いくつかの実装の形態では、カバー108が(たとえば、舌部及び溝システムを介して)本体102にスロット状に取り付けられるか、又は単に本体102の上に配置されるが、本開示はこれに限定されない。カバー106については、
図4を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0026】
いくつかの実施の形態では、プラスチック高密度化装置100は、ローダ(loader、装填器)104又はローディング(loading、装填)機構を含む。ローダ104は、カバー106又は本体102に取り付けることができ、軽量プラスチック廃棄物を本体102に供給するのを補助することができる。いくつかの実施の形態では、ローダ104は、以下で
図2及び
図3を参照してより詳細に説明される能動的な動力コンポーネントを含む。
【0027】
図2は、プラスチック高密度化装置100の内部部分及びいくつかの追加の構成要素を示す断面斜視図である。本体102は、アルミニウム材料で構成することができる内壁208を含む。アルミニウムは良好な熱伝導体であり、加熱されたプラスチックがそれに付着しないため有利である。いくつかの実施の形態では、内壁208が良好な熱伝導率、十分な構造的完全性を有し、加熱されたプラスチックに付着しない鋼又は別の好適な材料である。
【0028】
加熱要素210は、本体102の内部容積の一部を囲むように、内壁208と本体102の外壁との間に配置することができる。加熱要素210は、ニクロム80/20(ニッケル80%、クロム20%)ストリップ、炭化ケイ素、又は電力を熱に変換することができる他の要素などの抵抗加熱コンポーネントを含むことができる。加熱要素210は、プラスチック高密度化装置100の本体102内の圧縮プラスチックに熱を加えるように配置される。いくつかの実施の形態では、プラスチックにあらゆる方向から熱を加えるために、本体102の各壁(例えば、4つの壁)、カバー106及びリフト212内に加熱要素210がある。
【0029】
リフト(lift、昇降機)212は、本体102内の収容空間の容積を減少させ、内部でプラスチックを圧縮するように構成された機構である。リフト212は、多数のクロスリンク(架橋)によって支持された平板を有するシザーリフト構成で示されている。いくつかの実施の形態では、リフト212は、圧縮されるプラスチックの底部に熱を加えるように構成された加熱要素210を有するアルミニウム上面を有し得る。リフト212は、任意の適切な手段によって作動させることができる。いくつかの実施の形態では、油圧又は電気モータが、下端におけるシザーリフトの2つのリンク間の距離を変更するねじ駆動部を回転させることができる。例示的なリフトモータが図示され、
図3に関しては以下でさらに詳細に説明される。
【0030】
図2のローダ104は、その外部ハウジングの一部が取り除かれて示されており、ローラ214、ベベルギア(かさ歯車)216及びコーム(くし)218を示している。1つのローラ214は、明確にするために図から取り外されていることに留意されたい。ローラ214は、本体102内に供給するために軽量プラスチックを掴むことができる多数のバンプ又はノブを含むことができる。ローラ214は、プラスチックをプラスチック高密度化装置100内に引き込むための牽引力を提供するのに適したゴム、プラスチック、金属又はそれらの組み合わせとすることができる。図示のように、ローラ214は、概ね球状を有し得る。いくつかの実施の形態では、それらは他の形状の中でも、円筒形又は螺旋形であり得る。ローラ214は、ベベルギア216を介して全てのローラ214を回転させることができるモータ(図示せず)によって駆動することができる。図示の例では3つの球状ローラ214があるが、本開示の範囲から逸脱することなく、より多いまたはより少ないローラ214(例えば6つ又は2つ)を実装することができる。
【0031】
図3は、例示的なプラスチック高密度化装置100を回転図で示したものであり、いくつかのハウジング構成要素は、明確にするために透明にされている。リフト212は、プラスチックを圧縮する場合のように、伸長位置で示されている。図示の実施の形態では、リフト212は、リフトモータ320によって作動され、リフトモータ320は、横梁324を並進させ、リフトモータ320の回転方向に基づいてリフト212のシザー機構を伸長又は後退させるねじ駆動部を駆動する電気モータ(たとえば、ブラシレスDCモータ、ステッピングモータ、ACモータなど)とすることができる。
【0032】
ローダモータ318も、
図3に示されており、リフトモータ320と同様の又は異なる単一の電気モータとすることができる。図示の実施の形態におけるローダモータ318は、複数組のベベルギア216を介して3つのローラ214を駆動する。
【0033】
のぞき窓322は、任意で本体102に設置することができ、ユーザがプラスチック高密度化装置100内のプラスチックを目視で確認する手段を提供することができる。のぞき窓322は、プレキシガラス材料、ガラス、石英又は他の適切な透明材料(例えば、Pyrex(登録商標))とすることができる。図示の例に示すように、2つののぞき窓322を設置することができ、これは、本体102内のプラスチックの量ならびにリフト212の位置を示す縦長の窓である。縦長の窓に加えて、高密度化プラスチックの検査を可能にするために、下方に大きな窓を設けることができる。いくつかの実施の形態では、下部の窓322は、高密度化プラスチックの容易な除去のために、開放端とすることができる。
【0034】
図4は、カバー106が開位置にあるプラスチック高密度化装置を示す。開放したカバー106は、プラスチック高密度化装置100の本体102内にある貯蔵容積424へのアクセスを提供することができる。貯蔵容積424は、プラスチックが貯蔵され、圧縮され、高密度化のために加熱される領域とすることができる。いくつかの実施の形態では、開放したカバー106が貯蔵容積424からの高密度化プラスチックの容易な除去を可能にする。
【0035】
図5A及び
図5Bは、プラスチック高密度化装置100の側方断面図を示す。クロスハッシュパターンを有する
図5A及び5Bの領域は、プラスチックに熱を加えるための加熱要素を有するプラスチック高密度化装置100の領域を示す。一般に、プラスチック高密度化装置100の操作は2つの段階、すなわち、装填段階及び高密度化段階に分けることができる。
【0036】
装填段階の間、
図5Aに示すように、リフト212は、プラスチック高密度化装置100の底部付近に維持され得る。高密度化されるプラスチックは、ローダ104を介して装填される。いくつかの実施の形態では、ローダが1つ又は複数のセンサを含み、装填されるプラスチックの存在が検出されると自動的に作動する。一般に、装填段階は長期的な段階であり得る。例えば、プラスチック高密度化装置100は、それが満杯でないときはいつでも装填段階にあることができ、所定期間(例えば、1週間、月に1回など)にわたって、高密度化されるべきプラスチック(例えば、食料品袋、包装紙、包装材料など)でゆっくりと充填され得る。プラスチック高密度化装置100が充填されると、高密度化段階を開始することができる。いくつかの実施の形態では、プラスチック高密度化装置100は、満杯になったことを自動的に検出し、高密度化を開始する。いくつかの実施の形態では、高密度化がユーザ入力(例えば、ユーザが「圧縮」または「高密度化」ボタンを押す)に基づいて開始される。
【0037】
高密度化段階の間、リフト212は上昇し、軽量プラスチックを、加熱領域526を含むより小さい体積に圧縮することができる。いくつかの実施の形態では、所定量の圧力がリフト212によって印加される。例えば、リフト212を作動させる電気モータに供給される電流を測定することによって、どれだけのトルクが、したがってどれだけの圧力が加えられているかを特定することができる。いくつかの実施の形態では、リフト212を上昇させる高さを特定するために、追加のセンサ(たとえば、力センサまたは圧力センサ)を使用することができる。プラスチックが圧縮されると、加熱要素はプラスチックを「焼く」ために熱を加えることができ、プラスチックの著しい溶融又はガス放出なしに、プラスチックを硬化させ、その圧縮された形状を保持させる。加えられる熱は、プラスチックを100℃~180℃、好ましくは120℃未満の範囲に維持する。180℃の上限は、プラスチックの著しいガス放出及び有毒なVOCの放出を防止する。100℃の下限は、プラスチック中に存在する任意の水分が気化され、高密度化されたプラスチックから逃がされることを確実にする。いくつかの実施の形態では、プラスチックが所望の温度範囲内に入ると、リフトがさらに作動され、プラスチックをさらに圧縮するために追加の圧力が加えられる。これは、熱及び圧力を印加する周期的な反復プロセスであってよい。いくつかの実施の形態では、このプロセスが所定の回数(例えば、3回又は5回など)実行される。いくつかの実施の形態では、プロセスが所定の基準(例えば、圧縮比又は目標体積)が満たされるまで実行され得る。例えば、このプロセスは、5%未満の圧縮比が達成されるまで繰り返すことができる。高密度化に続いて、加熱要素を非通電とし、高密度化されたプラスチックを周囲温度に戻ることができる。リフト212は、より多くのプラスチックが高密度化されたプラスチックのレンガの上に堆積されることを可能にするために、または位置を維持するために、後退することができ、レンガの容易な除去を可能にする。いくつかの実施の形態では、カバー又はプラスチック高密度化装置100内の取り出し口を開くと、リフト212はブリックを上昇させ、高密度化装置100から部分的に出して容易に取り出せるようにすることができる。
【0038】
図6は、コントローラ628と、コントローラが作動することができるいくつかのセンサ及びシステムとを示すブロック図である。プラスチック高密度化装置100は、コントローラ628と通信可能に結合することができる。
図6には、別個の構成要素として示されているが、コントローラ628又はコントローラ628の一部は、プラスチック高密度化装置100に一体化することができる。
【0039】
コントローラ628は、プラスチック高密度化装置100内の様々なセンサから入力630を受け取ることができる。これらの入力は、1つ又は複数の温度センサ634からの温度信号を含み得る。温度センサ634は、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)、サーミスタ又は他の適切な温度センサとすることができる。温度センサ634は、プラスチック高密度化装置内に、又は加熱要素650の近くに配置することができ、これは、
図2を参照して説明した加熱要素210と同様であってもよく、または異なっていてもよい。温度センサ634は、加熱要素650の温度、プラスチック高密度化装置100の内部温度、プラスチック高密度化装置100内のプラスチックの測定温度又は推定温度、あるいはそれらの任意の組合せを示す信号を提供することができる。コントローラ628は、さらに、1つ又は複数の電流センサ636から入力630を受信することができ、これは、プラスチック高密度化装置100内の様々な構成要素(例えば、コンプレッサモータ642、ローダモータ644、加熱要素650等)に供給される電流の表示を提供することができる。1つまたは複数の位置センサ638はまた、入力630をコントローラに提供することができる。位置センサ638は例えば、ローダ又はリフト(例えば、
図2に関して説明したリフト212及びローダ104)に関連するアクチュエータに接続されたエンコーダであり得る。いくつかの実施の形態では、位置センサ638がホール効果センサ、またはホール効果センサのアレイであり得、これは磁場を感知し、プラスチック高密度化装置100の様々な構成要素(たとえば、リフト212、カバー106など)の位置を特定することができる。
【0040】
1つ又は複数の存在検出器(presence detector)640は、プラスチック高密度化装置100内のプラスチックの存在を感知することができる。存在検出器640は、例えば、赤外線(IR)距離計又は超音波センサであってよく、特定の領域内の固体物体の存在を検出する。存在検出器640は、プラスチック片がローダ(例えば、ローダ104)に入ったかどうかを判定し、それに応じてコントローラ628がローダモータ644を作動させることを可能にすることができる。存在検出器640は、さらに、プラスチック高密度化装置内(例えば、貯蔵容積424内)のプラスチックの推定容積を検出又は感知することができる
【0041】
コントローラ628は、ディスプレイ631を含むか、又はディスプレイ631に信号を提供することができ、これは、一般に、プラスチック高密度化装置100の現在の状態及び動作に関するユーザ情報を提供することができる。ディスプレイ631は、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイ、あるいは任意の他の適切なディスプレイであり得る。ディスプレイ631はユーザに情報を中継するとともに、ユーザから1つまたは複数の入力(たとえば、タッチスクリーン及びソフトキー、またはディスプレイに関連付けられたボタンを介して)を受信するためのグラフィカルユーザインターフェースを提供することができる。
【0042】
コントローラ628は、
図3に関して説明したリフトモータ320と同様であっても異なっていてもよいコンプレッサモータ642、
図3に関して説明したローダモータ318と同様であっても異なっていてもよいローダモータ644、いくつかの実施の形態では
図1に説明したカバー106であり得る取り出しドア646、カバーロック648、及び1つ又は複数の加熱要素650への駆動電流または制御信号を含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の出力632をシステムに提供することができる。出力632は、電気信号、デジタル信号もしくはアナログ信号、あるいは機械信号及び出力(例えば、モータまたはギアの回転)であり得る。
【0043】
取り出しドア646が自動化されるいくつかの実施の形態では、コントローラ628が高密度化プラスチックの容易な除去のために、高密度化段階の完了時に取り出しドア646を自動的に開くことができる。いくつかの実施の形態では、加熱要素650が作動しているとき又はコンプレッサモータ642が作動しているとき、カバーロック648を作動させることができ、プラスチックが高温及び/又は圧力下にあるとき、ユーザによるプラスチック高密度化装置100の不容易な開放を防止する。
【0044】
前述の図面及び添付の説明は、例示的なプロセス及びシステムを示す。しかしながら、説明されるシステム(又はそのソフトウェアもしくは他の構成要素)は、これら及び他のタスクを実行するための任意の適切な技術を使用し、実装し、あるいは実施することを示唆している。これらのプロセスは例示のみを目的としており、記載された又は同様の技法は同時に、並行して、または組み合わせて任意のタイミングで実行され得ることが理解されるであろう。加えて、これらのプロセスにおける動作の多くは、同時に、並行して、及び/又は図示の順序とは異なる順序で行われてもよい。さらに、説明されるシステム及びフローは、方法及びシステムが適切なままである限り、追加の動作、より少ない動作、及び/又は異なる動作を伴う、又は実行するプロセス及び/又は構成要素を使用し得る。
【0045】
言い換えれば、本開示は、特定の実施の形態及び一般に関連する方法に関して説明されているが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は当業者には明らかであろう。したがって、例示的な実施の形態の上記の説明は、本開示を定義または制約しない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、及び変更も可能である。
【国際調査報告】