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特表2023-553172フラットリボン導電性線体及びフラットリボンワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】フラットリボン導電性線体及びフラットリボンワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20231213BHJP
   H01B 7/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H05K9/00 L
H01B7/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535750
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2021124045
(87)【国際公開番号】W WO2022127329
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011513821.7
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5E321
5G311
【Fターム(参考)】
5E321AA23
5E321AA41
5E321BB41
5E321BB44
5E321BB60
5E321GG09
5G311CA01
5G311CB01
5G311CE03
(57)【要約】
本発明は、フラットリボン導電性線体及びフラットリボンワイヤハーネスを提供する。該フラットリボン導電性線体は、導電性芯体と、前記導電性芯体を包む絶縁層と、前記絶縁層の外部に設けられるシールド層とを含む。該フラットリボン導電性線体は、良好な電磁シールド機能を備え、電磁干渉抵抗能力が高く且つ取付スペースへの要求が低く、信号伝送安定性への要求が高い場合に広く適用されることができ、ワイヤハーネスレイアウトに対する車両全体のスペース要求を改善させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットリボン導電性線体であって、
導電性芯体と、前記導電性芯体を包む絶縁層と、前記絶縁層の外に設けられるシールド層とを含むことを特徴とするフラットリボン導電性線体。
【請求項2】
前記シールド層を包む防護層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項3】
前記シールド層は、前記絶縁層の外部に巻回されて包んでいるシールドバンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項4】
前記シールドバンドは、設定された重畳幅で前記絶縁層に螺旋状に巻回されたことを特徴とする請求項3に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項5】
前記設定された重畳幅は、前記シールドバンドの幅の1%~95%であることを特徴とする請求項4に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項6】
前記設定された重畳幅は、前記シールドバンドの幅の5%~50%であることを特徴とする請求項5に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項7】
前記シールド層は、シールド作用を有する金属またはその複合材料、シールド作用を有するプラスチック、シールド作用を有するゴム、又はシールド作用を有する織物のうちの一種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項8】
前記シールド層の厚さは、0.001mm~27mmであることを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項9】
前記シールド層は、少なくとも前記絶縁層の表面積の7.8%を覆うことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項10】
前記絶縁層と前記シールド層との間隔の厚さは、157mmよりも大きくないことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項11】
前記絶縁層は、押し出しプロセス、射出成形プロセス、スプレープロセス、ディップコーティングプロセス、スラッシュ成形プロセス、電気泳動プロセス、巻回プロセス又は編組プロセスのうちの一種又は複数種の組み合わせにより、前記導電性芯体に包まれたことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項12】
前記防護層は、押し出しプロセス、射出成形プロセス、スプレープロセス、ディップコーティングプロセス、スラッシュ成形プロセス、電気泳動プロセス、編組プロセス又は巻回プロセスのうちの一種又は複数種の組み合わせにより、前記シールド層に包まれたことを特徴とする請求項2に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項13】
前記導電性芯体の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、銀合金のうちの一種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項14】
前記導電性芯体の材質は、炭素又は炭素系化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項15】
前記絶縁層の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、架橋ポリオレフィン、合成ゴム、ポリウレタンエラストマー、架橋ポリエチレン、ポリエチレンのうちの一種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項16】
前記導電性芯体の数は、一つであることを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項17】
前記導電性芯体の数は、少なくとも二つであり、少なくとも一つの前記導電性芯体の外に、前記絶縁層が包まれており、少なくとも一つの前記シールド層は、少なくとも一つの前記絶縁層を包んでいることを特徴とする請求項1に記載のフラットリボン導電性線体。
【請求項18】
フラットリボンワイヤハーネスであって、
請求項1~17のいずれか一項に記載のフラットリボン導電性線体と、前記導電性芯体の端部に接続される端子とを含むことを特徴とするフラットリボンワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続の技術分野に関し、特にフラットリボン導電性線体及びフラットリボンワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両上の電源と電装品との間には、ワイヤハーネスを介して電気的に接続される必要があり、ラウンド線は、現在当業者に遍く応用されている技術案である。新エネルギー自動車が次第に発展するに伴い、車内の電装機能が次第に増加され、車内の利用可能な配線スペースがますます小さくなる。同時に、新エネルギー自動車に使用される電装パワーが従来の燃料自動車よりもはるかに高いため、パワーの増大によるワイヤハーネスの通電容量の増大、線径の増大及び電磁干渉の増大の問題がますます目立つようになってきた。したがって、車内の配線スペースがますます小さくなることを満たすことができるし、ワイヤハーネス自体による電磁干渉問題を解決することもできる技術案をどのように発見するかは、当業者が早急に解決すべき技術的課題となる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、車内の配線スペースがますます小さくなることを満たすことができるし、ワイヤハーネス自体による電磁干渉を解決することもできるフラットリボン導電性線体及びフラットリボンワイヤハーネスを提供することである。フラットリボンワイヤハーネスは、車体に貼り合わせて設けられることができ、車体の形状に合わせて成形されることができ、表皮効果の原理によると、同じ通電容量で、フラットリボン導電性線体の横断面積は、ラウンド線の横断面積よりも小さいため、フラットリボン導電性線体は、その車内で使用される配線スペースを減少させることができる。同時に、本発明は、創意的にフラットリボン導電性線体の絶縁層の外部にシールド層を設け、フラットリボン導電性線体によって通電状況で生じる周辺電装に対する電磁干渉問題を効果的に解決することができる。したがって、本発明の技術案は、自動車、特に新エネルギー自動車の配線スペース不足及び電磁干渉存在の問題をある程度解決することができる。
【0004】
本発明は、導電性芯体と、前記導電性芯体を包む絶縁層と、前記絶縁層の外に設けられるシールド層とを含むフラットリボン導電性線体を提供する。
【0005】
シールド層を設けることによって、該フラットリボン導電性線体は、良好な電磁シールド機能を備えることになり、電磁干渉抵抗能力が強く且つ取付スペースへの要求が低く、信号伝送安定性への要求が高い場合に広く適用されることができるとともに、大断面積のシールド線の使用による占有スペースの増大及びコストの増加の問題を回避することができ、ワイヤハーネスレイアウトに対する車両全体のスペース要求を改善させる。
【0006】
さらに、前記フラットリボン導電性線体は、前記シールド層を包む防護層をさらに含む。さらに、前記シールド層は、前記絶縁層の外部に巻回されて包んでいるシールドバンドを含む。
【0007】
シールド層は、シールドバンドを用いて巻回方式で絶縁層の外部を包んでおり、このような構成方式によりシールド層の加工が容易になる。
【0008】
選択的な解決手段として、前記シールドバンドは、設定された重畳幅で、前記絶縁層に螺旋状に巻回される。
【0009】
シールドバンドは、設定された重畳幅で絶縁層に螺旋状に巻回され、即ち、シールドバンドは、密巻回方式で絶縁層に巻回され、具体的には、シールドバンドの巻回中に、直前の巻きのシールドバンドの上に次の巻きのシールドバンドの一部が覆われ、次の巻きのシールドバンドと直前の巻きのシールドバンドとの間に重畳部が存在し、重畳部の幅が、重畳幅となり、このような巻回方式は、簡単で取り扱いやすく、加工に便利であり、絶縁層及び導電性芯体をより完全に包むことができ、露出部分が存在せず、シールド効果がより良い。選択的な解決手段として、前記シールドバンドは、複数本のシールドバンドが絶縁層に交互に巻回されたものであってもよく、具体的には、シールドバンドにおける重なって交差する位置の幅が、重畳幅となる。
【0010】
さらに、前記設定された重畳幅は、前記シールドバンドの幅の1%~95%である。
【0011】
好ましくは、前記設定された重畳幅は、前記シールドバンドの幅の5%~50%である。
【0012】
該重畳部の幅は、シールドバンドの幅の1%~95%であってもよく、好ましくは、設定された重畳幅は、前記シールドバンドの幅の5%~50%であることによって、シールド層は、絶縁層及び導電性芯体をより完全に包んでおり、絶対多数の導電性芯体は、いずれもシールドバンドにより包まれており、電磁シールド性能をさらに向上させる。
【0013】
さらに、前記シールドバンドの材質は、アルミニウム箔又は銅箔のうちの少なくとも一種を含む。
【0014】
アルミニウム箔及び銅箔は、重量が相対的に軽く、延性が高く、電磁シールド能力が良好で、かつ材料コスト及び加工コストがいずれも低い。選択的な解決手段として、前記シールド層は、シールド作用を有する金属またはその複合材料、シールド作用を有するプラスチック、シールド作用を有するゴム、又はシールド作用を有する織物のうちの一種又は複数種の組み合わせである。
【0015】
さらに、前記シールド層の厚さは、0.001mm~27mmである。
【0016】
厚さが0.001mm~27mmの範囲内であるシールド層を使用することによって、シールド効果を保証することができ、フラットリボン導電性線体の折り曲げ半径が大きすぎてフラットリボン導電性線体の取り付けに影響を与えることを回避することもできる。さらに、前記シールド層は、少なくとも前記絶縁層の表面積の7.8%を覆い、即ち、前記シールド層は、前記絶縁層の表面積の7.8%以上を覆う。さらに、前記絶縁層と前記シールド層との間隔の厚さは、157mmよりも大きくなく、即ち、前記絶縁層と前記シールド層との間隔の厚さは、157mm以下である。
【0017】
さらに、前記絶縁層は、押し出しプロセス、射出成形プロセス、スプレープロセス、ディップコーティングプロセス、スラッシュ成形プロセス、電気泳動プロセス、巻回プロセス又は編組プロセスのうちの一種又は複数種の組み合わせにより、前記導電性芯体に包まれている。
【0018】
さらに、前記防護層は、押し出しプロセス、射出成形プロセス、スプレープロセス、ディップコーティングプロセス、スラッシュ成形プロセス、電気泳動プロセス、編組プロセス又は巻回プロセスのうちの一種又は複数種の組み合わせにより、前記シールド層に包まれている。
【0019】
さらに、前記導電性芯体の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、銀合金のうちの一種又は複数種の組み合わせである。
【0020】
選択的に、導電性芯体は、アルミニウム製フラットリボンであり、質量が軽く、電気的接続性能が安定で、かつコストが低いという利点を有する。
【0021】
さらに、前記導電性芯体の材質は、炭素又は炭素系化合物を含む。例えば、導電性芯体の材質は、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン等の材料であり、同様に優れた導電性を有する。
【0022】
さらに、前記絶縁層の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、架橋ポリオレフィン、合成ゴム、ポリウレタンエラストマー、架橋ポリエチレン、ポリエチレンのうちの一種又は複数種の組み合わせである。
【0023】
選択的な解決手段として、前記導電性芯体の数は、一つである。
【0024】
選択的な解決手段として、前記導電性芯体の数は、少なくとも二つであり、少なくとも一つの前記導電性芯体の外部は、前記絶縁層に包まれており、少なくとも一つの前記シールド層は、少なくとも一つの前記絶縁層を包んでいる。
【0025】
具体的には、フラットリボン導電性線体は、多芯フラットリボン導電性線体であり、防護層、絶縁層及び少なくとも二つの導電性芯体を含み、前記防護層、前記絶縁層及び前記導電性芯体は、いずれも扁平状で設けられ、少なくとも一つの前記導電性芯体の外部は、前記絶縁層に包まれており、前記防護層は、前記フラットリボン導電性線体の最外層に位置する。
【0026】
該フラットリボン導電性線体は、少なくとも二つの導電性芯体を含み、即ち、一つのフラットリボン導電性線体に複数の導電性芯体が集積されていることによって、複数の通路の独立した電気的接続が実現可能であり、本発明による一つのフラットリボン導電性線体を固定するだけで、複数の通路の構成を完了できる。一方、複数の互いに独立したフラットリボンワイヤハーネスを接続してマルチ通路を形成する場合接続安定性が悪いという問題を回避し、車両組立後の外れのリスクを回避することができ、別の一方、複数の導電性芯体が一つの導電性線体内に集積されており、構造が規則的でコンパクトであり、占有する取付スペースが少なく、さらに別の一方、複数のフラットリボンワイヤハーネスの組み立て過程を省略し、取付効率が高く、スマート製造に有利であり、そして、該フラットリボン導電性線体は、マルチ通路の独立した電気的接続が実現可能であるだけでなく、良好な電磁シールド機能を有する。
【0027】
選択的な解決手段として、前記少なくとも二つの導電性芯体は、前記導電性芯体の幅方向に沿って順次に配列して設けられる。
【0028】
選択的な解決手段として、前記少なくとも二つの導電性芯体は、前記導電性芯体の厚さ方向に沿って積層して設けられる。
【0029】
選択的な解決手段として、前記導電性芯体の幅方向及び前記導電性芯体の厚さ方向に、いずれも複数の前記導電性芯体が設けられる。
【0030】
さらに、前記少なくとも二つの導電性芯体は、同一の積層方向に対向して設けられる。
【0031】
このようなフラットリボン導電性線体は、構造が規則的であり、加工製造に便利である。
【0032】
該フラットリボン導電性線体は、マルチ通路の独立した電気的接続が実現可能であるだけでなく、良好な電磁シールド機能を有する。
【0033】
さらに、複数の前記絶縁層は、一体に成形されて設けられ、該フラットリボン導電性線体をより安定化させることができ、防護層の構成にも便利である。
【0034】
本発明は、上記フラットリボン導電性線体と、前記導電性芯体の端部に接続される端子とを含むフラットリボンワイヤハーネスを提供する。
【0035】
前述の一般的な説明及び以下の具体的な実施形態の両方は、いずれも列挙及び説明のためのものであり、本発明の保護の範囲を限定するものではないことは、理解すべきである。
【0036】
以下では、本発明の具体的な実施形態をより明確に説明するために、具体的な実施形態又は従来の技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創意的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることは、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明による第一種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図2図2は、本発明による第二種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図3図3は、本発明による第三種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図4図4は、本発明による第四種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図5図5は、本発明による第五種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図6図6は、本発明による第六種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図7図7は、本発明による第七種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図8図8は、本発明による第八種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図9図9は、本発明による第九種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図10図10は、本発明による第十種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図11図11は、本発明による第十一種のフラットリボン導電性線体の構造概略図である。
図12図12は、本発明の実施例によるシールド層の断面図である。
図13図13は、本発明の実施例による別のシールド層の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10-防護層、
20-絶縁層、
30-導電性芯体、
40-シールド層、
41-シールドバンド、
42-重畳部、
411-アルミニウム箔バンド、
412-銅箔バンド。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下では、図面を参照しながら本発明の技術案を明確で完全に説明し、説明される実施例は、本発明の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。
【0040】
一般的に、本明細書の図面において説明及び登場された本発明の実施例の構成要素は、様々な異なる構成でレイアウト及び設計がなされることができる。したがって、以下の図面に示された本発明の実施例に対する詳細な説明は、単に本発明の選択された実施例を示すに過ぎず、特許出願される本発明の範囲を限定する目的ではない。
【0041】
本発明における実施例に基づき、当業者が創意的な労力を払うことなく得られた他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0042】
説明すべきこととして、本発明の実施例によるフラットリボン導電性線体は、車両に用いられてもよいが、それに限定されず、さらに、他の電気的接続を必要とする装置機器に用いられてもよい。
【0043】
説明すべきこととして、本発明の実施例における「複数の導電性芯体30」、即ち「少なくとも二つの導電性芯体30」は、導電性芯体30の数が二つ以上であることを指す。
【0044】
図1図3図5図6図11に示すように、本発明は、導電性芯体30と、導電性芯体30を包む絶縁層20と、絶縁層20の外に設けられるシールド層40とを含むフラットリボン導電性線体を提供する。本実施例によるフラットリボン導電性芯体は、シールド層40を設けることによって、良好な電磁シールド機能を備えることになり、電磁干渉抵抗能力が強く且つ取付スペースへの要求が低く、信号伝送安定性への要求が高い場合に広く適用されることができるとともに、シールド機能を備える断面円形の大断面積のシールド線の使用による占有スペースの増大及びコストの増加の問題を回避することができ、ワイヤハーネスレイアウトに対する車両全体のスペース要求を改善させる。
【0045】
説明すべきこととして、絶縁層20の長さ及び幅、及びシールド層40の長さ及び幅は、いずれも導電性芯体30の長さ及び幅に応じて設定されてもよい。
【0046】
ここで、シールド層40は、絶縁層20の外部に設けられることによって、絶縁層20を被覆し、さらに導電性芯体30を被覆し、シールド層40と絶縁層20との間は密着して設けられてもよく、シールド層40と絶縁層20との間に隙間が存在することも許容され、シールド層と絶縁層との隙間の厚さ(即ち、絶縁層の一点からシールド層までの垂直距離)のサイズとフラットリボン導電性線体の放出干渉の大きさとの関係は、以下の表1に示す通りである。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すテスト結果から分かるように、シールド層40と絶縁層20との距離(シールド層と絶縁層との間の隙間の厚さ)が157mmである場合、フラットリボン導電性線体の放出干渉は、19.6dBであり、該数値は、20dB未満である。シールド層40と絶縁層20との距離が157mmよりも大きい場合、フラットリボン導電性線体の放出干渉は、20dBよりも大きい。関連標準におけるシールド効力に関する説明によれば、放出干渉が20dB未満である時シールドレベルの要求を満たすため、隙間は157mmよりも大きくないことを必要とし、このように設定すれば、シールド効果を保証することができる。
【0049】
具体的には、フラットリボン導電性線体は、シールド層40を包む防護層10をさらに含む。本実施例において、シールド層40の外部に防護層10が設けられ、防護層10は、シールド層に対して保護作用を果たし、フラットリボン導電性線体の耐用年数を延長することができる。
【0050】
ここで、防護層10、絶縁層20及び導電性芯体30は、いずれも扁平状で設けられてもよい。
【0051】
絶縁層20の材質は、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ナイロン(PA)、ポリプロピレン(PP)、TPU、シリコーンゴム(SIR)、XLPO、TPU、TPV、PE、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、PPS、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、DAP、TPE、XPE、XLPE、PFE、ETFE、TPR、TPE-O、パーフルオロアルコキシアルカン、TPE-S、PBT、EZM、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ABS、ポリメタクリレート、EVA、ポリフェニレンスルファイド、ポリスチレン、PBT、ポリオキシメチレン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、シスブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、フルオロゴム、ポリウレタンゴム、ポリアクリレートゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、塩化硫黄ゴム、ブタジエンゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、ポリサルファイドゴム等であってもよい。
【0052】
好ましくは、絶縁層20の材質は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ナイロン(PA)、ポリプロピレン(PP)、シリコーンゴム(SIR)、架橋ポリオレフィン(XLPO)、合成ゴム、ポリウレタンエラストマー、架橋ポリエチレン(XLPE)、ポリエチレン(PE)のうちの一種又は複数種の組み合わせ(例えば、ポリプロピレンとポリエチレンの組み合わせ、ポリ塩化ビニルとポリエチレンの組み合わせ等)である。
【0053】
導電性芯体30の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、マンガン、アルミニウム、スズ、チタニウム、亜鉛、コバルト、金、銀のうちの一種又は複数種の組み合わせ又はその合金であってもよく、又は、導電性芯体の材質は、さらに、アルミニウムマグネシウム合金、アルミニウムリチウム合金、アルミニウムマンガン合金、アルミニウム亜鉛合金又はアルミニウムシリコン合金であってもよく、又は、前記導電性芯体の材質は、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ等の材料のように、炭素又は炭素系化合物を含み、選択的に、導電性芯体の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、銀合金のうちの一種又は複数種の組み合わせであってもよい。
【0054】
上記実施例を基に、シールド作用を有する金属(例えば、銅又はアルミニウム等)でシールド層40を編組して形成するか、又は、シールド作用を有する金属及びプラスチック(例えば、ABS等のプラスチックの外部に銅又はアルミニウム等の金属層をメッキする)で混合編組してシールド層40を形成するか、又は、シールド層40は、シート構造であるか、又は、シールド層40は、複数本のシールドバンドの交差重畳構造であるか、又は、シールド層40は、PETアルミニウム箔等のような、金属とプラスチックで形成された層状構造であってもよい。
【0055】
シールド作用を有する金属またはその複合材料、シールド作用を有するプラスチック、シールド作用を有するゴム(即ち、プラスチック又はゴムの製造中に、原料に銅又はアルミニウム等の金属材質を添加し、グラフェン等の材料を添加してもよい)、又はシールド作用を有する織物(織物を形成する構造に、シールド作用を有する金属材質が使用された部分が存在する)のうちの一種又は複数種の組み合わせを用いて、前記シールド層を形成してもよい。
【0056】
選択的に、図12及び図13に示すように、本実施例において、シールド層40は、絶縁層20の外部に巻回されて包んでいるシールドバンド41を含み、このような構成方式によりシールド層40の加工が容易になる。
【0057】
ここで、シールドバンド41に、複数種の巻回方式を使用してもよく、絶縁層20を被覆できる巻回方式であれば、いずれも使用可能であり、例えば、絶縁層20の長さ方向に沿って複数の巻きの互いに独立したシールドバンド41を設ける場合に、シールドバンド41が複数段であり、絶縁層20の外壁の一箇所に1段のシールドバンド41を巻回した後に、その隣接する位置に他の段のシールドバンド41を巻回し(選択的に、次の巻きのシールドバンド41と直前の巻きのシールドバンド41は、重なり合う部分を有することによって、絶縁層20に対するシールド層40の包む効果がより良好になるようにして、フラットリボン導電性線体の電磁シールド効果がより良好になるようにする)、絶縁層20に包まれた導電性芯体30全体を包むまで上記動作を繰り返すと理解されてもよい。
【0058】
選択的な解決手段として、図12に示すように、シールドバンド41は、設定された重畳幅で、絶縁層20に螺旋状に巻回され、即ち、シールドバンド41は、密巻回方式で絶縁層20に巻回されて設けられ、具体的には、シールドバンド41の巻回中に、直前の巻きのシールドバンド41の上に次の巻きのシールドバンド41の一部が覆われ、両者の間に重畳部42が存在し、重畳部42の幅が、重畳幅となり、1段の切れ目なしシールドバンド41で絶縁層20に巻回してもよく、巻回中で該段のシールドバンド41は連続的である。このような巻回方式は、簡単で取り扱いやすく、加工に便利であり、絶縁層20及び導電性芯体30をより完全に包むことができ、露出部分が存在せず、シールド効果がより良い。
【0059】
ここで、設定された重畳幅、即ち重畳部42の幅は、シールドバンド41の幅の1%~95%であってもよい。表2は、設定された重畳幅がシールドバンド41の幅の0%~5%である場合のフラットリボン導電性線体のシールド効力であり、表3は、設定された重畳幅がシールドバンド41の幅の0%~100%である場合のフラットリボン導電性線体のシールド効力であり、具体的には、以下の通りである。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
表2及び表3に示すテスト結果から分かるように、設定された重畳幅がシールドバンド41の幅の1%よりも大きい場合、シールド効力は、20dBよりも大きく、関連標準の要求を満たし、95%よりも大きい場合、シールド効力は、ほとんど変化せず、シールドバンドの使用量を節約するために、さらに、範囲を1%~95%に収め、データから分かるように、設定された重畳幅が、シールドバンド41の幅の5%である場合、シールド効力は、著しく向上し、50%に達する場合、シールド効力は、72.1dBに達することができ、50%を超える場合、テストデータは、著しく変化せず、シールドバンドの使用量を節約するために、さらに、好ましくは、設定された重畳幅、即ち重畳部42の幅がシールドバンド41の幅の5%~50%であってもよいことを薦める。
【0063】
図12に示すように、シールドバンド41の材質は、PETアルミニウム箔等の電磁シールド機能を備える材質であってもよい。
【0064】
選択的な解決手段として、シールドバンド41の材質は、アルミニウム箔又は銅箔のうちの少なくとも一種を含み、即ち、シールドバンド41は、絶縁層20に巻回されてアルミニウム箔シールド層を形成するアルミニウム箔バンドであってもよく、シールドバンド41は、絶縁層20に巻回されて銅箔シールド層を形成する銅箔バンドであってもよく、この時、シールドバンド41に密巻回方式を使用すると、1段の切れ目なしアルミニウム箔バンド又は銅箔バンドで絶縁層20を巻回するか、又は、シールドバンド41がアルミニウム箔バンド及び銅箔バンドを同時に含んでもよく、例えば、図13に示すように、シールドバンド41は、1段のアルミニウム箔バンド411及び1段の銅箔バンド412で接合されて接合又は重畳構造が形成され、かつアルミニウム箔バンド411及び銅箔バンド412は、接合又は重畳位置に重なり合う部分を有する。この時、シールドバンド41に密巻回方式を使用すると、前記接合又は重畳構造を用いて絶縁層20を巻回してもよく、また例えば、以下等のように、シールド層40の数が複数であり、複数のシールド層40は、内から外へ順次に設けられ、即ち、次の一つのシールド層40は、直前の一つのシールド層40を被覆し、ここで、少なくとも一つのシールド層40は、アルミニウム箔バンドで巻回して形成されたアルミニウム箔シールド層であり、他の一つのシールド層40は、銅箔バンドで巻回して形成された銅箔シールド層であり、又は、一つのアルミニウム箔シールド層と一つの銅箔シールド層が交互に設けられる。
【0065】
本実施例において、全般的に言えば、アルミニウム箔及び銅箔は、重量が軽く、延性が高く、電磁シールド能力が良好で、かつ材料コスト及び加工コストがいずれも低い。比較して言えば、アルミニウム箔は、銅箔よりも重量が軽く、銅箔は、アルミニウム箔よりもシールド能力が良好で、必要に応じて選択されてもよい。しかし、本発明の保護の範囲は、銅箔又はアルミニウム箔に限定されず、他のシールド作用を有する材料であってもよい。
【0066】
上記実施例を基に、シールド層40の厚さは、具体的な状況に応じて設定されてもよく、例えば、EMI(電磁干渉)に対するシールド層の厚さの影響、FRI(無線周波数干渉)対するシールド層の厚さの影響及びフラットリボン導電性線体の折り曲げ半径に対するシールド層の厚さの影響を総合的に考慮して、適当なシールド層の厚さを選択してもよく、シールド層の厚さとEMIとの関係、シールド層の厚さとFRIとの関係及びシールド層の厚さとフラットリボン導電性線体の折り曲げ半径の増加数との関係は、以下の表4に示す通りである。
【0067】
【表4】
【0068】
表4に示すテスト結果から分かるように、シールド層40の厚さが0.001mm~27mm間にある場合、フラットリボン導電性線体のシールド効果、即ち電磁干渉(EMI)抵抗及び無線周波数干渉(FRI)抵抗は、厚さの増加に伴って増加されるが、シールド層40の厚さが27mmを超える場合、フラットリボン導電性線体のシールド能力の変化は小さく、著しく向上しない。シールド層40の厚さが0.001~27mm間にある場合、フラットリボン導電性線体の折り曲げ半径の増加数は、厚さの増加に伴って増加されるが、シールド層40の厚さが27mmを超える場合、フラットリボン導電性線体の折り曲げ半径の増加数は、200mmを超え、実際の加工に不利であるため、シールド層の厚さは0.001mm~27mmであることが好ましい。
【0069】
上記実施例を基に、シールド層が絶縁層の表面積のどれぐらいを覆うかは、具体的な必要に応じて設定されてもよい。表5は、シールド層が絶縁層の表面積の0.8%~7.8%を覆う場合のフラットリボン導電性線体のシールド効力であり、表6は、シールド層が絶縁層の表面積の0.8%~100%を覆う場合のフラットリボン導電性線体のシールド効力であり、具体的には、以下の通りである。
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
表5及び表6に示すテスト結果から分かるように、シールド層が絶縁層の7.8%未満の表面積を覆う場合、フラットリボン導電性線体のシールド効力は、20dB未満であり、関連する使用の要求を満たさず、7.8%以上である場合、相対的に良好なシールド効力を有するため、シールド層は、少なくとも絶縁層の表面積の7.8%を覆う。
【0073】
上記いずれか一つの技術案を基に、さらに、絶縁層20に、プラスチック、ゴムなどの材料が使用されてもよい。絶縁層20は、押し出しプロセス成形、射出プロセス成形、スプレープロセス成形、ディップコーティングプロセス成形、スラッシュプロセス成形、電気泳動プロセス成形、巻回プロセス又は編組プロセスのうちの一種又は複数種の組み合わせを使用してもよく、上記プロセスを使用して成形された絶縁層20は、強度が良好で、安定性が良好で、製造効率が高い。
【0074】
巻回プロセスは、例えば、絶縁性糊付き材料ストリップと導体とを多層で巻回して、千鳥密着構造を形成し、絶縁性糊付き材料の粘着性を利用して絶縁密閉環境を形成する。
【0075】
編組プロセスは、例えば、絶縁性糊付き材料が導体の外側に多層で編組して巻回され、千鳥密着構造を形成し、絶縁性糊付き材料の粘着性を利用して絶縁密閉環境を形成する。
【0076】
押し出しプロセス成形とは、原料が押し出し機のバレルとスクリューとの間の作用により、加熱されて可塑化しながら、スクリューにより前向きに押送され、押し出し機の押し出しヘッド及び対応する形状の金型を連続的に通過して、様々な断面製品又は半製品が製造される加工方法を指す。
【0077】
射出プロセス成形とは、射出成形機が、溶融した原料に対して加圧、注入、冷却、離脱等の操作を行って、対応する形状の金型内に一定の形状の完成品を製造するプロセス過程を指す。
【0078】
スプレープロセス成形は、材料を加工対象物の表面に直接スプレーするか、又はキャビティ内にスプレーした後に、硬化して成形する成形プロセスである。
【0079】
ディップコーティングプロセスは、プラスチック塗布プロセスであり、ディップコーティングされる原料に応じて、粉末ディップコーティングと液体ディップコーティングの二種類に分けることができ、粉末ディップコーティングは、一般的に金属表面の塗布に用いられ、粉末コート層が強固で堅固に結合されることがその特徴である。液体ディップコーティングプロセスにおいて、絶対多数が熱ディップ液を使用し、熱可塑性プラスチック塗膜は、加熱により軟化され、冷却後にまた硬化して成膜することができるという特性を有し、主に物理的溶融可塑化過程であり、加工及び製造が簡単である。液体ディップコーティングのコート層は、厚くて柔軟であり、金型から離脱して独立して保護性能を有する製品とすることができる。
【0080】
スラッシュ成形は、塗布凝着成形とも呼ばれる。それは、ペーストプラスチックで中空軟質製品を製造する重要な方法である。スラッシュは、設備費用が低く、製造速度が高く、プロセス制御が簡単であることが利点であるが、製品の厚さ、重量などの正確性が悪い。
【0081】
電気泳動プロセス成形は、水溶性の帯電した有機塗料を用いて溶液に均一に溶解させ、金属材料及び加工対象ワークを正極又は負極として使用し、かつ電流を流して有機塗料を加工対象ワークに付着させ、乾燥硬化を経て、完成品が得られるプロセス方法である。
【0082】
防護層10の材質は、プラスチック、ゴム等のような絶縁材料を使用してもよく、防護層10は、保護作用を果たすとともに、絶縁作用も果たすことができ、フラットリボン導電性線体の安定性を向上させることができる。防護層10は、押し出しプロセス成形、射出成形プロセス成形、スプレープロセス成形、ディップコーティングプロセス成形、スラッシュプロセス成形、電気泳動プロセス成形、巻回プロセス成形又は編組プロセス成形のうちの一種又は複数種の組み合わせを使用してもよく、上記プロセスを使用して成形された防護層10は、強度が良好で、安定性が良好で、製造効率が高い。
【0083】
防護層10の構成形態は、複数種であってもよく、例えば、防護層10は、導電性芯体30の長さ方向に沿って、間隔をあけて設けられた複数の防護層セグメントを含んでもよく、選択的に、防護層10は、全体として絶縁層20の外部に設けられ、加工に便利である。
【0084】
説明すべきこととして、絶縁層20及び防護層10の両者のうちの少なくとも一つは、押し出しプロセス成形、射出成形プロセス成形、スプレープロセス成形、ディップコーティングプロセス成形、スラッシュプロセス成形、電気泳動プロセス成形、巻回プロセス成形又は編組プロセス成形のうちの一種又は複数種の組み合わせを使用してもよく、上記プロセスを使用して成形された絶縁層20又は防護層10は、強度が良好で、安定性が良好で、製造効率が高い。
【0085】
導電性芯体の数は、一つであっても複数であってもよく、以下に例を挙げて具体的に説明する。
【0086】
第一例
【0087】
上記いずれか一つの実施例を基に、本実施例によるフラットリボン導電性線体における導電性芯体の数は、一つである。具体的には、図1に示すように、本実施例によるフラットリボン導電性線体は、導電性芯体30、絶縁層20、シールド層40及び防護層10を含み、導電性芯体30の数は、一つであり、対応的に絶縁層20の数は、一つである。絶縁層20は、導電性芯体30を包んでおり、シールド層40は、絶縁層20を包んでおり、防護層10は、シールド層40を包んでいる。ここで、防護層10、絶縁層20及び導電性芯体30は、いずれも扁平状で設けられてもよい。
【0088】
本実施例によるフラットリボン導電性線体は、シールド層40を設けることによって、良好な電磁シールド機能を備えることになり、電磁干渉抵抗能力が強く且つ取付スペースへの要求が低く、信号伝送安定性への要求が高い場合に広く適用されることができるとともに、シールド機能を備える大断面積のシールド線の使用による占有スペースの増大及びコストの増加の問題を回避することができ、ワイヤハーネスレイアウトに対する車両全体のスペース要求を改善させる。
【0089】
第二例
【0090】
上記いずれか一つの実施例を基に、本実施例によるフラットリボン導電性線体における導電性芯体の数は、少なくとも二つである。具体的には、図2図11に示すように、本実施例によるフラットリボン導電性線体は、防護層10、絶縁層20、シールド層40及び少なくとも二つの導電性芯体30を含み、防護層10、絶縁層20及び導電性芯体30は、いずれも扁平状で設けられる。少なくとも一つの導電性芯体30の外部は、絶縁層20に包まれており、少なくとも一つの前記シールド層40は、少なくとも一つの前記絶縁層20を包んでおり、防護層10は、フラットリボン導電性線体の最外層に設けられる。
【0091】
本実施例において、フラットリボン導電性線体は、少なくとも二つの導電性芯体30を含み、即ち、一つのフラットリボン導電性線体に複数の導電性芯体30が集積されており、複数の通路が独立して電気的に接続され、本実施例による一つのフラットリボン導電性線体を固定するだけで、複数の通路の構成を完了できる。一方、複数の互いに独立したフラットリボンワイヤハーネスを接続してマルチ通路を形成する場合に存在する接続安定性が悪いという問題を回避することによって、車両組立後の外れのリスクを回避することができる。また、複数の導電性芯体30が一つの導電性線体内に集積されており、構造が規則的でコンパクトであり、占有する取付スペースが少ない。さらに、複数のフラットリボンワイヤハーネスの組み立て過程を省略し、取付けに便利であり、取付効率が高く、スマート製造に有利である。また、絶縁層20の外部にシールド層40が設けられ、シールド層40を設けることによって、該フラットリボン導電性線体は良好な電磁シールド機能を備えることになり、電磁干渉抵抗能力が強く且つ取付スペースへの要求が低く、信号伝送安定性への要求が高い場合に広く適用されることができるとともに、シールド機能を備える大断面積のシールド線の使用による占有スペースの増大及びコストの増加の問題を回避することができ、ワイヤハーネスレイアウトに対する車両全体のスペース要求を改善させる。本実施例によるフラットリボン導電性線体は、マルチ通路の構成が実現可能であるだけでなく、電磁シールド機能を備える。
【0092】
ここで、少なくとも二つの導電性芯体30の数は、二つ、三つ、四つ又は五つ等であってもよい。導電性芯体30の数は、必要に応じて設定されてもよい。
【0093】
ここで、図3に示すように、複数の導電性芯体30のうち一つの導電性芯体30又は一部の導電性芯体30のみの外に、絶縁層20が包まれてもよく、絶縁層20が設けられない他の導電性芯体30は、防護層10に直接接触しており、防護層10は、該一部の導電性芯体30の絶縁層としてもよく、選択的に、図5に示すように、各導電性芯体30の外は、いずれも絶縁層20に包まれており、絶縁性能がより良く、加工にも便利である。選択的に、図4図11に示すように、各導電性芯体30の外部はいずれも絶縁層20に包まれており、絶縁性能がより良く、加工にも便利である。
【0094】
複数の導電性芯体30の仕様は、異なってもよく、一部の導電性芯体30の仕様は同じであり、一部の導電性芯体30の仕様は異なってもよく、選択的に、複数の導電性芯体30の仕様は、いずれも同じであり、即ち、複数の導電性芯体30の寸法及び構造は、いずれも同じであり、加工に便利である。
【0095】
複数の絶縁層20の構成方式は、複数種であってもよく、例えば、各導電性芯体30の外部に、独立した押し出しプロセス成形、射出成形プロセス成形、スプレープロセス成形、ディップコーティングプロセス成形、スラッシュプロセス成形、電気泳動プロセス成形、巻回プロセス成形又は編組プロセス成形を行うことによって、対応する互いに独立した絶縁層20が形成されてもよく、選択的に、複数の導電性芯体30の外部で、一括的な押し出しプロセス成形、射出成形プロセス成形、スプレープロセス成形、ディップコーティングプロセス成形、スラッシュプロセス成形、電気泳動プロセス成形、巻回プロセス成形又は編組プロセス成形を行うことによって、複数の絶縁層20を一体化させ、即ち、複数の絶縁層20が一体に成形され、このような構成方式は、フラットリボン導電性線体をより安定化させることができ、防護層10の構成にも便利である。
【0096】
上記実施例を基に、さらに、複数の導電性芯体30の構成方式は、複数種であってもよく、例えば、複数の導電性芯体30は、導電性芯体30の幅方向に沿って順次に配列して設けられ、複数の導電性芯体30が左右に設けられると理解されてもよい。
【0097】
ここで、複数の導電性芯体30の位置は、導電性芯体30の厚さ方向において異なってもよい。例えば、導電性芯体30の数は、二つであり、一つの導電性芯体30と他の導電性芯体30が完全にずれて設けられるか、又は、図2に示すように、一つの導電性芯体30と他の導電性芯体30が部分的に重なって設けられるか、又は、導電性芯体30の厚さ方向に、一部の導電性芯体30の位置が同じに設けられ、一部の導電性芯体30の位置が異なって設けられてもよく、例えば、導電性芯体30の数は、三つであり、そのうちの二つの導電性芯体30の位置が同じであり、他の導電性芯体30の位置が上記二つの導電性芯体30の位置と異なる。
【0098】
選択的な解決手段として、図3及び図4に示すように、複数の導電性芯体30は、導電性芯体30の幅方向に対向して設けられ、即ち、複数の導電性芯体30の位置は、導電性芯体30の厚さ方向に一致する。導電性芯体の幅方向に垂直な側面を第一側面とする場合、隣接する二つの導電性芯体の第一側面が対面して設けられると理解されてもよく、このようなフラットリボン導電性線体は、構造が規則的であり、加工製造に便利である。
【0099】
また例えば、複数の導電性芯体30の別の構成方式として、少なくとも二つの導電性芯体30が、導電性芯体30の厚さ方向に沿って積層して設けられるものであってもよく、複数の導電性芯体30が上下に設けられると理解されてもよい。
【0100】
ここで、複数の導電性芯体30の位置は、導電性芯体30の幅方向において異なって設けられてもよく、例えば、導電性芯体30の数は、二つであり、一つの導電性芯体30と他の導電性芯体30が完全にずれて設けられるか、又は、図7に示すように、一つの導電性芯体30と他の導電性芯体30が部分的に重なって設けられるか、又は、導電性芯体30の幅方向に、一部の導電性芯体30の位置が同じに設けられ、一部の導電性芯体30の位置が異なって設けられ、例えば、導電性芯体30の数は、三つであり、そのうちの二つの導電性芯体30の位置が同じであり、他の導電性芯体30の位置が上記二つの導電性芯体30の位置と異なる。
【0101】
選択的な解決手段として、図8図10に示すように、複数の導電性芯体30は、導電性芯体30の厚さ方向に対向して設けられ、即ち、複数の導電性芯体30の位置は、導電性芯体30の幅方向に一致し、導電性芯体の厚さ方向に垂直な側面を第二側面とする場合、隣接する二つの導電性芯体の第二側面が対面して設けられると理解されてもよく、このようなフラットリボン導電性線体は、構造が規則的であり、加工製造に便利である。
【0102】
さらに例えば、複数の導電性芯体30のさらに別の構成方式として、図11に示すように、導電性芯体30の幅方向及び導電性芯体30の厚さ方向に、いずれも複数の導電性芯体30が設けられ、即ち、複数の導電性芯体30は、その厚さ方向にも積層され、その幅方向にも積層されるものであってもよく、本実施例による複数の導電性芯体30の構成方式は、複数の導電性芯体30の数が少なくとも三つである場合に適用される。
【0103】
図5図10及び図11に示すように、複数の絶縁層20が互いに独立して設けられる場合、一つのシールド層40は、一つの絶縁層20を少なくとも包んでいる。例えば、シールド層40の数は、絶縁層20の数と同じであり、いずれも複数であり、複数のシールド層40は、複数の絶縁層20の上を一対一に対応して包んでいてもよい。あるいは、シールド層40の数は、1よりも大きいが、絶縁層20の数よりも小さく、少なくとも一つのシールド層40が複数の絶縁層20を包んでもよい。あるいは、一つのシールド層40は、複数の絶縁層20を同時に包んでもよい。複数の絶縁層20が一体に成形されて設けられる場合、シールド層40は、複数の絶縁層20の外壁の外部を直接包んでいればよい。
【0104】
複数の絶縁層20が互いに独立して設けられる場合及び複数の絶縁層20が一体に成形されて設けられる場合のいずれにおいても、一つの絶縁層20の外部は、少なくとも一つのシールド層40で包まれており、即ち、シールド層40の数は、一つ、二つ、三つ又は四つ等であってもよい。複数のシールド層40は、内から外へ一層ずつ絶縁層20の外部に包まれてもよい。
【0105】
説明すべきこととして、本発明の実施例によるフラットリボン導電性線体は、実際の応用の際に、折り曲げられる状況が発生する可能性があり、本発明の実施例によるフラットリボン導電性線体は、同一平面内で折り曲げられてもよく、該フラットリボン導電性線体における折り曲げ部及び折り曲げ部の両側に位置する線体が同一平面内にあるか、又は、折り曲げ部の一側の線体が一つの平面に位置し、折り曲げ部の他側の線体が他の平面に位置すると理解されてもよく、例えば、フラットリボン導電性線体は、折り曲げられた後に、鋭角、鈍角又は直角等が形成される。
【0106】
実際の応用の際に、本発明の実施例によるフラットリボン導電性線体は、接地せず、即ち、シールド層は接地されなくてもよく、本発明の実施例によるフラットリボン導電性線体におけるシールド層の少なくとも一部が接地されるように構成されてもよく、磁界干渉抵抗能力、無線周波数干渉抵抗能力、電磁干渉能力及び安全能力に対する二種類の使用状況の影響の比較は、以下の表7に示す通りである。
【0107】
【表7】
【0108】
上記いずれか一つの実施例を基に、さらに、本発明は、上記いずれか一つの技術案のフラットリボン導電性線体と、フラットリボン導電性線体の端部に接続される端子とを含むフラットリボンワイヤハーネスをさらに提供する。
【0109】
本実施例によるフラットリボンワイヤハーネスは、該フラットリボン導電性線体の全ての有益な技術的効果を有し、ここでは、説明を省略する。
【0110】
最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、依然として前述の各実施例に記載の技術案を修正するか、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴を同等置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではないことは、当業者であれば理解すべきである。ここに提供された明細書では、大量の具体的な細部が説明された。しかしながら、本発明の実施例は、これらの具体的な細部なしで実行可能であることは理解できる。いくつかの実施例において、公知の方法、構造及び技術は、本明細書の理解を曖昧にすることを回避するように詳細に示されない。なお、ここでのいくつかの実施例は、他の特徴ではなく、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にありかつ異なる実施例を形成することを意味することは、当業者であれば理解できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】