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特表2023-553174送信手順に関与するNTNエンティティ、ユーザ機器、および基地局
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】送信手順に関与するNTNエンティティ、ユーザ機器、および基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/24 20090101AFI20231213BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20231213BHJP
   H04W 72/1273 20230101ALI20231213BHJP
【FI】
H04W52/24
H04W84/06
H04W72/1273
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535871
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2021080635
(87)【国際公開番号】W WO2022128245
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20214319.4
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャリーアトマダーリー ハミドレザ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】クゥァン クゥァン
(72)【発明者】
【氏名】リ ホンチャオ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067GG08
(57)【要約】
本開示は、以下を備えるNTNエンティティに関する。NTNエンティティの受信部は、ユーザ機器(UE)とNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告をUEから受信する。NTNエンティティの送信部は、受信されたチャネル状態報告を基地局に転送する。受信部は、UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を基地局から受信する。NTNエンティティの処理部は、更新済みチャネル状態を判定する。処理部は、更新済みチャネル状態に基づいて、受信されたスケジューリング情報に応じた下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定する。処理部は、送信電力を適応させると判定した場合、下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非地上ネットワーク(NTN)エンティティであって、
動作時、ユーザ機器(UE)と前記非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記UEから受信する受信部と、
動作時、前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送する送信部と、
動作時、更新済みチャネル状態を判定する処理部と、
を備え、
前記受信部は、動作時、前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信し、
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定し、
前記処理部は、前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させる、
NTNエンティティ。
【請求項2】
前記スケジューリング情報は、下りリンク送信用であり、前記受信部は、動作時、前記基地局から前記下りリンク送信用のスケジューリング情報に関連して下りリンクデータを受信し、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記受信された下りリンクデータの前記下りリンク送信の前記送信電力を適応させることを含み、
前記送信部は、動作時、前記下りリンク送信用のスケジューリング情報に従って、かつ、前記適応された送信電力に基づいて、前記下りリンクデータの前記UEへの前記下りリンク送信を実行する、
請求項1に記載のNTNエンティティ。
【請求項3】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信が成功するか否かに関する推定を実行し、
前記判定された推定が、前記スケジューリングされた下りリンク送信が成功しないという推定である場合、前記送信部は、動作時、前記スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記基地局に送信し、
オプションとして、前記送信部は、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信を実行する、
請求項2に記載のNTNエンティティ。
【請求項4】
前記処理部は、動作時、前記判定された推定に基づいて、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルするか否かを判定し、
前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすると判定された場合、前記スケジューリングされた下りリンク送信は実行されず、前記送信部による前記否定応答の前記送信が実行され、
前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしないと判定された場合、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信は実行され、
オプションとして、前記処理部の前記判定では、前記UEが前記NTNエンティティのカバレッジ外である場合、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすると判定され、前記送信部は、動作時、前記下りリンクデータを、前記NTNエンティティから他のNTNエンティティへの前記UEのハンドオーバのターゲットである当該他のNTNエンティティに転送する、
請求項3に記載のNTNエンティティ。
【請求項5】
前記処理部は、動作時、前記UEに転送される前記下りリンクデータに関連付けられた優先度を判定し、前記スケジューリングされた下りリンク送信または上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記下りリンクデータに関連付けられた前記優先度を考慮に入れ、
オプションとして、前記下りリンクデータに関連付けられた前記優先度に関する情報は、前記下りリンクデータとともに、または、前記下りリンクデータの前記下りリンク送信に関する前記下りリンク送信用のスケジューリング情報とともに含まれる、
請求項2~4のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項6】
前記スケジューリング情報は、上りリンク送信用であり、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、上りリンクデータの前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させることを含む、
請求項1に記載のNTNエンティティ。
【請求項7】
前記上りリンク送信用に受信された前記スケジューリング情報は、複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を含み、前記異なる上りリンクスケジューリング情報は、少なくとも送信電力の値において互いに異なり、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、最も適切な送信電力を有する上りリンクスケジューリング情報を選択することを含み、
前記送信部は、動作時、前記選択された上りリンクスケジューリング情報を前記UEに送信する、
請求項6に記載のNTNエンティティ。
【請求項8】
前記上りリンク送信用に受信された前記スケジューリング情報は、前記スケジューリングされた上りリンク送信の送信電力の値を示し、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報によって示された前記送信電力の値を適応させて異なる値にすることを含み、
前記送信部は、動作時、前記送信電力の前記異なる値を有する前記上りリンク送信用のスケジューリング情報を前記UEに送信する、
請求項6に記載のNTNエンティティ。
【請求項9】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記UEによる前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信が成功するか否かに関する推定を実行し、
前記判定された推定が、前記スケジューリングされた上りリンク送信が成功しないという推定である場合、前記送信部は、動作時、前記スケジューリングされた上りリンク送信に対する否定応答を前記基地局に送信し、
オプションとして、前記送信部は、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報を前記UEに送信する、
請求項6~8のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項10】
前記処理部は、動作時、前記判定された推定に基づいて、前記UEによる前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定し、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定された場合、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報は、前記UEに送信されず、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルしないと判定された場合、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報は、前記UEに送信される、
請求項9に記載のNTNエンティティ。
【請求項11】
前記受信部は、動作時、前記NTNエンティティから前記UEへの以前の下りリンク送信に関して前記UEから受信される否定応答をモニタし、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記モニタされた否定応答と、オプションとして前記UEから前記NTNエンティティへの以前の上りリンク送信に関する否定応答と、を考慮に入れ、
オプションとして、モニタされた否定応答の量がNACK閾値よりも大きい場合、前記送信電力の前記適応は、前記送信電力を増加させる、
請求項1~10のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項12】
前記送信電力を適応させることは、前記送信電力を増加または減少させることを含み、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態が、前記基地局に提供された以前のチャネル状態よりも劣化したチャネル状態を示す場合、前記送信電力は増加され、
オプションとして、前記スケジューリングされた下りリンク送信または上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記スケジューリングされた送信のために満たされるべき最小送信関連パラメータにさらに基づく、
請求項1~11のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項13】
前記受信部は、動作時、前記UEから更新済みチャネル状態報告を受信し、前記処理部による前記更新済みチャネル状態の前記判定は、前記受信された更新済みチャネル状態報告に基づいて実行される、かつ/または、
前記処理部は、前記チャネルにおいて実行される測定、前記スケジューリングされた下りリンク送信に対するフィードバック、および前記UEの位置に関する情報のうちの1つまたは複数から前記更新済みチャネル状態を推定する、
請求項1~12のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項14】
前記受信部は、動作時、更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有しかつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する他のNTNエンティティから、復号された更新済みチャネル状態報告を受信し、
オプションとして、前記NTNエンティティが前記更新済みチャネル状態報告を復号できない場合、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記他のNTNエンティティに転送し、
オプションとして、前記送信部は、前記更新済みチャネル状態報告を前記基地局に転送しない、
請求項13に記載のNTNエンティティ。
【請求項15】
前記処理部は、動作時、前記NTNエンティティへの前記更新済みチャネル状態報告の送信用に前記UEに割り当てられる専用上りリンク無線リソースを判定し、前記送信部は、動作時、前記判定された専用上りリンク無線リソースに関する上りリンクリソース情報を前記UEに提供し、
オプションとして、前記処理部による前記専用上りリンク無線リソースの判定は、前記専用上りリンク無線リソースが、前記基地局によって割り当てられた上りリンク無線リソースのプールから判定されるように実行され、
オプションとして、前記処理部は、動作時、更新済みチャネル状態の判定の際に使用される参照信号の前記UEへの送信に前記NTNエンティティによって使用される専用下りリンク無線リソースを判定し、オプションとして、前記処理部による前記専用下りリンク無線リソースの判定は、前記専用下りリンク無線リソースが、前記基地局によって割り当てられた下りリンク無線リソースのプールから判定されるように実行される、
請求項13または14に記載のNTNエンティティ。
【請求項16】
前記更新済みチャネル状態報告の内容は、前記チャネル状態報告の内容とは異なり、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、以前に受信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較してチャネル状態が劣化したかどうかの通知を提供し、
オプションとして、前記受信部は、前記更新済みチャネル状態報告の存在を検出するためのエネルギー検出を実行し、前記更新済みチャネル状態報告の存在は、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示された前記チャネル状態と比較した前記チャネル状態の劣化、または、前記UEが前記NTNエンティティのカバレッジ外にあることを含む、前記UEにおける特定の状況を示し、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、前記UEの現在の位置、前記UEの現在の移動方向、および前記UEの速度のうちの少なくとも一つを示す、
請求項13~15のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項17】
非地上ネットワーク(NTN)エンティティによって実行される、
ユーザ機器(UE)と前記NTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記UEから受信するステップと、
前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送するステップと、
前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信するステップと、
更新済みチャネル状態を判定するステップと、
前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定するステップと、
前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
ユーザ機器(UE)であって、
動作時、前記ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信する送信部と、
動作時、前記UEと前記NTNエンティティとの間の前記チャネルの更新済みチャネル状態を判定する処理部と、
動作時、前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信する受信部と、
を備え、
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定し、
前記処理部は、前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させ、
前記送信部は、動作時、前記受信された上りリンク送信用のスケジューリング情報に従ってかつ前記適応された送信電力に基づいて前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行する、
UE。
【請求項19】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定し、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定された場合、前記スケジューリングされた上りリンク送信は実行されず、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルしないと判定された場合、前記スケジューリングされた上りリンク送信は実行される、
請求項18に記載のUE。
【請求項20】
前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記上りリンクデータの優先度を考慮に入れ、
オプションとして、前記スケジューリングされた上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記スケジューリングされた上りリンク送信のために満たされるべき最小送信関連パラメータにさらに基づく、
請求項18または19に記載のUE。
【請求項21】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態を示す更新済みチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するか否かを判定し、
前記処理部の前記判定が、前記更新済みチャネル状態報告を送信すると判定する場合、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信し、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告を送信するか否かの前記処理部の前記判定は、少なくとも一つの条件が満たされることを含み、オプションとして、前記少なくとも一つの条件のうちの1つは、チャネル状態が、以前に送信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して劣化したことである、
請求項18~20のいずれか一項に記載のUE。
【請求項22】
前記受信部は、動作時、前記NTNエンティティへの前記更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な上りリンク無線リソースを示す上りリンクリソース情報を前記NTNエンティティから受信し、
前記送信部による前記更新済みチャネル状態報告の前記送信では、前記示された上りリンク無線リソースが使用される、
請求項21に記載のUE。
【請求項23】
前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を他のNTNエンティティに送信し、前記他のNTNエンティティは、前記更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有し、かつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有し、
オプションとして、前記UEは、前記NTNエンティティと前記他のNTNエンティティとに同時に接続される、
請求項21または22に記載のUE。
【請求項24】
前記受信部は、動作時、前記NTNエンティティから下りリンクデータ送信を受信し、
前記受信部は、動作時、前記下りリンクデータ送信に対する否定応答が基地局に既に送信されたことを示すNACK通知を前記NTNエンティティから受信し、
前記処理部は、動作時、前記受信された下りリンクデータ送信の復号が成功しない場合でも、前記受信された下りリンクデータ送信に対する否定応答を送信しないと判定する、
請求項18~23のいずれか一項に記載のUE。
【請求項25】
前記更新済みチャネル状態報告の内容は、前記チャネル状態報告の内容とは異なり、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、前記以前に送信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して、チャネル状態が劣化したか否かの通知を提供し、
オプションとして、前記送信部は、前記NTNエンティティの前記受信部がエネルギー検出に基づいて、前記更新済みチャネル状態報告の前記送信の存在を検出できるように、前記更新済みチャネル状態報告の前記送信を実行し、前記更新済みチャネル状態報告を送信することは、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示された前記チャネル状態と比較して、前記チャネル状態の劣化を示し、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、前記UEの現在の位置、前記UEの現在の移動方向、および前記UEの速度のうちの少なくとも一つを示す、
請求項21~24のいずれか一項に記載のUE。
【請求項26】
ユーザ機器(UE)によって実行される、
前記UEと非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するステップと、
前記UEと前記NTNエンティティとの間の前記チャネルの更新済みチャネル状態を判定するステップと、
前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信するステップと、
前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定するステップと、
前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させるステップと、
前記受信された上りリンク送信用のスケジューリング情報に従って、かつ前記適応された送信電力に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
動作時、ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信する受信部と、
動作時、前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備する処理部と、
動作時、前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信する送信部と、
を備える、基地局。
【請求項28】
前記処理部は、動作時、前記NTNエンティティへの更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な無線リソースのプールを判定し、
前記送信部は、動作時、前記判定された無線リソースのプールに関する情報を前記NTNエンティティに送信し、
オプションとして、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記基地局に転送しないように前記NTNエンティティを設定するための設定メッセージを前記NTNエンティティに送信する、
請求項27に記載の基地局。
【請求項29】
前記送信部は、動作時、更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有しかつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する他のNTNエンティティに設定メッセージを送信し、前記設定メッセージにより、前記他のNTNエンティティは、UEから更新済みチャネル状態報告を受信および復号するように、また、前記UEにサービングしている前記NTNエンティティに前記更新済みチャネル状態報告を転送するように設定され、
オプションとして、前記設定メッセージは、前記更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な無線リソースを示す、
請求項27または28に記載の基地局。
【請求項30】
前記受信部は、動作時、前記UEへの下りリンクデータの以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記NTNエンティティから受信し、前記否定応答は、前記NTNエンティティが前記UEへの前記下りリンクデータの前記以前スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしたことをさらに示し、
前記処理部は、動作時、前記否定応答に基づいて、前記UEに対する前記下りリンクデータの再送を、当該再送が前記下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように実行すると判定し、
前記送信部は、動作時、下りリンクスケジューリング情報および前記下りリンクデータを、前記UEに転送されるように前記NTNエンティティに再送し、
オプションとして、前記下りリンクデータ用の前記下りリンクスケジューリング情報は、前記送信された下りリンクデータが前記下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように、前記送信された下りリンクデータが新しい下りリンクデータであることを示す、
請求項27~29のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項31】
前記受信部は、動作時、前記UEへの下りリンクデータの以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記NTNエンティティから受信し、
前記処理部は、動作時、前記否定応答に基づいて、前記UEに対する前記下りリンクデータの再送を実行すると判定し、
前記送信部は、動作時、下りリンクスケジューリング情報および前記下りリンクデータを、前記UEに転送されるように前記NTNエンティティに再送し、オプションとして、前記再送では、前記再送用に前記下りリンクデータの異なるバージョンが使用される、
請求項27~29のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項32】
前記送信部は、動作時、前記下りリンクデータの優先度に関する情報を前記NTNエンティティに送信し、
オプションとして、前記優先度に関する情報は、前記下りリンクデータとともに、または、前記下りリンクデータの前記送信に関する前記下りリンクスケジューリング情報とともに含まれ、
オプションとして、前記送信部は、動作時、最小送信関連パラメータを前記NTNエンティティに送信し、前記最小送信関連パラメータは、前記スケジューリングされた送信によって満たされるべき最小条件を示し、前記スケジューリングされた送信に対して前記送信電力を適応させるかを判定する処理において使用される、
請求項30または31に記載の基地局。
【請求項33】
前記異なる上りリンクスケジューリング情報は、さらに、前記上りリンクデータの変調次数の値または符号化率の値が互いに異なる、
請求項27~32のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項34】
基地局によって実行される、
ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信するステップと、
前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備するステップと、
前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項35】
動作時、非地上ネットワーク(NTN)エンティティの処理を制御する集積回路であって、前記処理は、前記NTNエンティティによって実行される、
ユーザ機器(UE)と前記NTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記UEから受信するステップと、
前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送するステップと、
前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信するステップと、
更新済みチャネル状態を判定するステップと、
前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定するステップと、
前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるステップと、
を含む、集積回路。
【請求項36】
動作時、ユーザ機器(UE)の処理を制御する集積回路であって、前記処理は、前記ユーザ機器によって実行される、
前記UEと非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するステップと、
前記UEと前記NTNエンティティとの間の前記チャネルの更新済みチャネル状態を判定するステップと、
前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信するステップと、
前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定するステップと、
前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させるステップと、
前記受信された上りリンク送信用のスケジューリング情報に従って、かつ前記適応された送信電力に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行するステップと、
を含む、集積回路。
【請求項37】
動作時、基地局の処理を制御する集積回路であって、前記処理は、前記基地局によって実行される、
ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信するステップと、
前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備するステップと、
前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信するステップと、
を含む、集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3GPP(登録商標;以下同様)通信システム等の通信システムにおける方法、装置、および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)は、次世代のセルラー技術(第5世代(5G)とも呼ばれる)の技術仕様に取り組んでいる。
【0003】
1つの目的は、少なくとも拡張モバイルブロードバンド(eMBB:enhanced mobile broadband)、超高信頼・低遅延通信(URLLC:ultra-reliable low-latency communications)、大規模マシンタイプ通信(mMTC:massive machine type communication)を含む、あらゆる使用シナリオ、要件、および配置シナリオ(例えば非特許文献1の第6節を参照)に対処する、単一の技術的枠組みを提供することである。例えば、eMBBの配置シナリオには、屋内のホットスポット、密集都市部、郊外、都市部マクロ・高速環境が含まれ得る。URLLCの配置シナリオには、産業制御システム、モバイル健康管理(遠隔モニタリング、遠隔診断、および遠隔治療)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドの広域監視・制御システムが含まれ得る。mMTCの配置シナリオには、スマートウェアラブルやセンサネットワークなど、データ伝送の遅延の影響が小さい多数の装置を使用するシナリオが含まれ得る。eMBBのサービスとURLLCのサービスは、いずれも極めて広い帯域幅が要求される点において似ているが、URLLCサービスは、好ましくは極めて小さいレイテンシが要求され得る点において異なる。
【0004】
第2の目的は、前方互換性を達成することである。ロングタームエボリューション(Long Term Evolution)(LTE、LTE-A)セルラーシステムへの後方互換性は要求されず、これにより、全く新しいシステムの設計および/または新規の特徴の導入が容易になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TR 38.913 version 16.0.0
【非特許文献2】3GPP TS 38.300 v16.3.0
【非特許文献3】3GPP TS 38.211 v16.3.0
【非特許文献4】ITU-R M.20183
【非特許文献5】TS 23.501 v16.6.0
【非特許文献6】3GPP TR 38.811
【非特許文献7】3GPP TR 38.821
【非特許文献8】TR 38.321
【非特許文献9】TS 38.401
【発明の概要】
【0006】
一つの非限定的かつ例示的な実施の形態は、改良された送信手順にNTNエンティティが参加することを容易にするための手順を提供することに資する。
【0007】
一実施の形態において、本明細書で開示する技術は、以下を備える非地上ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)エンティティを特徴とする。NTNエンティティの受信部は、ユーザ機器(UE)から、UEとNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を受信する。NTNエンティティの送信部は、受信されたチャネル状態報告を基地局に転送する。受信部は、UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を基地局から受信する。NTNエンティティの処理部は、更新済みチャネル状態を判定する。処理部は、更新済みチャネル状態に基づいて、受信されたスケジューリング情報に応じた下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定する。処理部は、送信電力を適応させると判定した場合、下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させる。
【0008】
なお、一般的な実施の形態または具体的な実施の形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして、実施できることに留意されたい。例えば、集積回路は、UEまたは基地局の処理を制御することができる。
【0009】
開示された実施の形態および様々な実装形態のさらなる利益および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面のさまざまな実施の形態および特徴によって、個別にうることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数をうる目的で、実施の形態および特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下において、例示的な実施の形態が、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
図1】3GPP NRシステムの例示的なアーキテクチャを示す図
図2】NG-RANと5GCとの間の機能分離を示す概略図
図3】RRC接続セットアップ/再設定手順のシーケンス図
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC)の使用シナリオを示す概略図
図5】非ローミングシナリオのための例示的な5Gシステムアーキテクチャを示すブロック図
図6】透過的衛星に基づく例示的なNG RANアーキテクチャ
図7】再生衛星に基づく例示的なNG RANアーキテクチャ
図8】いくつかのUEが衛星によってサービングされる例示的なシナリオを示す図
図9】UE、gNB、およびNTNエンティティの例示的かつ簡略化された構造を示す図
図10】改良された送信手順の例示的な実装形態によるNTNエンティティの構造を示す図
図11】改良された送信手順の例示的な実装形態によるNTNエンティティ挙動のフロー図
図12】改良された送信手順の例示的な実装形態によるUEの構造を示す図
図13】改良された送信手順の例示的な実装形態によるUE挙動のフロー図
図14】改良された送信手順の例示的な実装形態による基地局の構造を示す図
図15】改良された送信手順の例示的な実装形態による基地局の挙動のフロー図
図16】下りリンクにおける改良された送信手順のためのUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換を示す図
図17】下りリンクにおける改良された送信手順の様々な変形例におけるUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換を示す図
図18】3台のUEにおける送信電力適応を示す図
図19】第1の変形例による上りリンクにおける改良された送信手順におけるUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換を示す図
図20】第1の変形例の第1の実装形態によるUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換を示す図
図21】第2の変形例による上りリンクにおける改良された送信手順におけるUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換を示す図
図22】第2の変形例の実装形態によるUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換を示す図
図23】近傍衛星が更新済みチャネル状態報告を復号する、改良された送信手順の全般的な変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<5G NRのシステムアーキテクチャおよびプロトコルスタック>
3GPPは、100GHzまでの周波数範囲で動作する新無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に「5G」ともいう)の次のリリースに向けて作業を続けている。5G規格の初版は2017年の終わりに完成しており、これにより、5G NRの規格に準拠したスマートフォンの試作および商用配備に移ることが可能となっている。
【0012】
特に、システムアーキテクチャは、全体としては、gNBを備えるNG-RAN(Next Generation - Radio Access Network)を想定する。gNBは、NG無線アクセスのユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルのUE側の終端を提供する。gNBは、Xnインタフェースによって互いに接続される。また、gNBは、Next Generation(NG)インタフェースによってNGC(Next Generation Core)に、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(Access and Mobility Management Function)(例えば、AMFを行う特定のコアエンティティ)に、また、NG-UインタフェースによってUPF(User Plane Function)(例えば、UPFを行う特定のコアエンティティ)に接続される。NG-RANアーキテクチャを図1に示す(例えば、非特許文献2の第4節参照)。
【0013】
NRのユーザプレーンのプロトコルスタック(例えば、非特許文献2の第4.4.1節参照)は、gNBにおいてネットワーク側で終端されるPDCP(Packet Data Convergence Protocol(非特許文献2の第6.4節参照))サブレイヤ、RLC(Radio Link Control(非特許文献2の第6.3節参照))サブレイヤ、およびMAC(Medium Access Control(非特許文献2の第6.2節参照))サブレイヤを含む。また、新たなアクセス層(AS:Access Stratum)のサブレイヤ(SDAP:Service Data Adaptation Protocol)がPDCPの上に導入されている(例えば、非特許文献2の第6.5節参照)。また、制御プレーンのプロトコルスタックがNRのために定義されている(例えば、非特許文献2の第4.4.2節参照)。レイヤ2の機能の概要が非特許文献2の第6節に記載されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献2の第7節に列挙されている。
【0014】
例えば、Medium-Access-Controlレイヤは、論理チャネル(logical channel)の多重化と、様々なニューメロロジーを扱うことを含むスケジューリングおよびスケジューリング関連の諸機能と、を扱う。
【0015】
例えば、物理レイヤ(PHY)は、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、および適切な物理的時間-周波数リソースへの信号のマッピングの役割を担う。また、物理レイヤは、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングを扱う。物理レイヤは、MACレイヤにトランスポートチャネルの形でサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルは、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルには、上り物理チャネルとして、PRACH(Physical Random Access Channel)、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)があり、下り物理チャネルとして、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、PBCH(Physical Broadcast Channel)がある。
【0016】
NRのユースケース/配備シナリオには、データレート、レイテンシ、およびカバレッジの点で多様な要件を有する拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ得る。例えば、eMBBは、IMT-Advancedが提供するデータレートの3倍程度のピークデータレート(下りリンクにおいて20Gbpsおよび上りリンクにおいて10Gbps)および実効(user-experienced)データレートをサポートすることが期待されている。一方、URLLCの場合、より厳しい要件が超低レイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシについてULおよびDLのそれぞれで0.5ms)および高信頼性(1ms内において1-10-5)について課されている。最後に、mMTCでは、好ましくは高い接続密度(都市環境において装置1,000,000台/km)、悪環境における広いカバレッジ、および低価格の装置のための極めて寿命の長い電池(15年)が求められうる。
【0017】
そのため、1つのユースケースに適したOFDMのニューメロロジー(例えば、サブキャリア間隔、OFDMシンボル長、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)長、スケジューリング区間毎のシンボル数)が他のユースケースには有効でない場合がある。例えば、低レイテンシのサービスでは、好ましくは、mMTCのサービスよりもシンボル長が短いこと(したがって、サブキャリア間隔が大きいこと)および/またはスケジューリング区間(TTIともいう)毎のシンボル数が少ないことが求められうる。さらに、チャネルの遅延スプレッドが大きい配備シナリオでは、好ましくは、遅延スプレッドが短いシナリオよりもCP長が長いことが求められうる。サブキャリア間隔は、同様のCPオーバーヘッドが維持されるように状況に応じて最適化されるべきである。NRがサポートするサブキャリア間隔の値は、1つ以上であってよい。したがって、現在、15kHz、30kHz、60kHz・・・のサブキャリア間隔が考えられている。シンボル長Tおよびサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tによって直接関係づけられている。LTEシステムと同様に、用語「リソースエレメント」を、1つのOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから設定される最小のリソース単位を意味するように使用することができる。
【0018】
新無線システム5G-NRでは、各ニューメロロジーおよび各キャリアについて、サブキャリアおよびOFDMシンボルのリソースグリッドが上りリンクおよび下りリンクのそれぞれに定義される。リソースグリッドの各エレメントは、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域の周波数インデックスおよび時間領域のシンボル位置に基づいて特定される(非特許文献3(例えば、第4節)参照)。例えば、下りリンク送信および上りリンク送信は、10msの持続時間を有するフレームに設定される。各フレームは、それぞれ持続時間が1msの10個のサブフレームからなる。5G NRの実装において、サブフレーム当たりの連続OFDMシンボルの数は、サブキャリア間隔の設定に依存する。例えば、15kHzのサブキャリア間隔の場合、サブフレームは14個のOFDMシンボルを有する(通常のサイクリックプレフィックスを想定すると、LTE準拠の実装と同様)。一方、30kHzのサブキャリア間隔の場合、サブフレームは2つのスロットを有し、各スロットは14個のOFDMシンボルを備える。
【0019】
<5G NRにおけるNG-RANと5GCとの間の機能分離>
図2は、NG-RANと5GCとの間の機能分離を示す。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCは、論理ノードAMF、UPF、およびSMFを有する。
【0020】
特に、gNBおよびng-eNBは、以下の主な機能をホストする:
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、上りリンクおよび下りリンクの両方におけるリソースのUEへの動的割当(スケジューリング)等の無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能;
- データのIPヘッダ圧縮、暗号化、および完全性保護;
- UEが提供する情報からAMFへのルーティングを判定することができない場合のUEのアタッチ時のAMFの選択;
- UPFに向けたユーザプレーンのデータのルーティング;
- AMFに向けた制御プレーン情報のルーティング;
- 接続のセットアップおよびリリース;
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信;
- システム報知情報(AMFまたは運用管理保守機能(OAM:Operation,Admission,Maintenance)が発信源)のスケジューリングおよび送信;
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定の報告の設定;
- 上りリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング;
- セッション管理;
- ネットワークスライシングのサポート;
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラに対するマッピング;
- RRC_INACTIVE状態のUEのサポート;
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)メッセージの配信機能;
- 無線アクセスネットワークの共有;
- デュアルコネクティビティ;
- NRとE-UTRAとの緊密な連携。
【0021】
Access and Mobility Management Function(AMF)は、以下の主な機能をホストする:
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)のシグナリングを終端させる機能;
- NASシグナリングのセキュリティ;
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御;
- 3GPPのアクセスネットワーク間でのモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング;
- アイドルモードのUEへの到達可能性(ページングの再送信の制御および実行を含む);
- 登録エリアの管理;
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート;
- アクセス認証;
- ローミング権限のチェックを含むアクセス承認;
- モビリティ管理制御(加入およびポリシー);
- ネットワークスライシングのサポート;
- Session Management Function(SMF)の選択。
【0022】
さらに、User Plane Function(UPF)は、以下の主な機能をホストする:
- RAT内モビリティ/RAT間モビリティ(適用可能な場合)のためのアンカーポイント;
- データネットワークとの相互接続のための外部PDU(Protocol Data Unit)セッションポイント;
- パケットのルーティングおよび転送;
- パケット検査およびユーザプレーン部分のポリシールールの施行(Policy rule enforcement);
- トラフィック使用量の報告;
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートする上りリンククラス分類(uplink classifier);
- マルチホームPDUセッション(multi-homed PDU session)をサポートするための分岐点(Branching Point);
- ユーザプレーンに対するQoS処理(例えば、パケットフィルタリング、ゲーティング(gating)、UL/DLレート強制(UL/DL rate enforcement);
- 上りリンクトラフィックの検証(SDFのQoSフローに対するマッピング);
- 下りリンクパケットのバッファリングおよび下りリンクデータ通知のトリガ機能。
【0023】
最後に、Session Management Function(SMF)は、以下の主な機能をホストする:
- セッション管理;
- UEに対するIPアドレスの割当および管理;
- UPFの選択および制御;
- 適切な宛先にトラフィックをルーティングするためのUser Plane Function(UPF)におけるトラフィックステアリング(traffic steering)の設定機能;
- 制御部分のポリシー施行およびQoS;
- 下りリンクデータの通知。
【0024】
<RRC接続のセットアップおよび再設定の手順>
図3は、NAS部分の、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに移行する際のUE、gNB、およびAMF(5GCエンティティ)の間のやり取りのいくつかを示す(非特許文献2参照)。
【0025】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位レイヤのシグナリング(プロトコル)である。特に、この移行により、AMFは、UEコンテキストデータ(これは、例えば、PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力(UE Radio Capability)、UEセキュリティ能力(UE Security Capabilities)等を含む)を用意し、初期コンテキストセットアップ要求(INITIAL CONTEXT SETUP REQUEST)とともにgNBに送る。そして、gNBは、UEと一緒に、ASセキュリティをアクティブにする。これは、gNBがUEにSecurityModeCommandメッセージを送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって行われる。その後、gNBは、UEにRRCReconfigurationメッセージを送信し、これに対するUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによって、Signaling Radio Bearer 2(SRB2)およびData Radio Bearer(DRB)をセットアップするための再設定を行う。シグナリングのみの接続については、SRB2およびDRBがセットアップされないため、RRCReconfigurationに関するステップは省かれる。最後に、gNBは、初期コンテキストセットアップ応答(INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSE)でセットアップ手順が完了したことをAMFに通知する。
【0026】
したがって、本開示では、gNodeBとのNext Generation(NG)接続を動作時に確立する制御回路と、gNodeBとユーザ機器(UE:User Equipment)との間のシグナリング無線ベアラがセットアップされるように動作時にNG接続を介してgNodeBに初期コンテキストセットアップメッセージを送信する送信部と、を備える、5th Generation Core(5GC)のエンティティ(例えば、AMF、SMF等)が提供される。具体的には、gNodeBは、リソース割当設定情報要素(IE:Information Element)を含むRadio Resource Control(RRC)シグナリングをシグナリング無線ベアラを介してUEに送信する。そして、UEは、リソース割当設定に基づき上りリンクにおける送信または下りリンクにおける受信を行う。
【0027】
<2020年以降のIMTの利用シナリオ>
図4は、5G NRのためのユースケースのいくつかを示す。3rd generation partnership project new radio(3GPP NR)では、多種多様なサービスおよびアプリケーションをサポートすることがIMT-2020によって構想されていた3つのユースケースが検討されている。大容量・高速通信(eMBB:enhanced mobile-broadband)のための第1段階の仕様の策定が終了している。現在および将来の作業には、eMBBのサポートを拡充していくことに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信(mMTC)のための規格化が含まれる。図4は、2020年以降のIMTの想定される使用シナリオのいくつかの例を示す(例えば、非特許文献4の図2参照)。
【0028】
URLLCのユースケースには、スループット、レイテンシ(遅延)、および可用性のような性能についての厳格な要件があり、URLLCのユースケースは、工業生産プロセスまたは製造プロセスのワイヤレス制御、遠隔医療手術、スマートグリッドにおける送配電の自動化、交通安全等の今後のこれらのアプリケーションを実現するためのものの1つとして構想されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献1によって設定された要件を満たす技術を特定することによってサポートされる。リリース15におけるNR URLLCでは、重要な要件として、目標とするユーザプレーンのレイテンシがUL(上りリンク)で0.5ms、DL(下りリンク)で0.5msであることが含まれている。一度のパケット送信に対する一般的なURLLCの要件は、ユーザプレーンのレイテンシが1msの場合、32バイトのパケットサイズに対してブロック誤り率(BLER:block error rate)が1E-5であることである。
【0029】
物理レイヤの観点では、信頼性は、多くの採り得る方法で向上可能である。現在の信頼性向上の余地としては、URLLC用の別個のCQIテーブル、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返し送信等を定義することが含まれる。しかしながら、この余地は、NRが(NR URLLCの重要要件に関し)より安定しかつより開発されるにつれて、超高信頼性の実現のために広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースには、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セイフティ、およびミッションクリティカルなアプリケーションが含まれる。
【0030】
また、NR URLLCが目標とする技術拡張は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目指している。レイテンシの改善のための技術拡張には、設定可能なニューメロロジー、フレキシブルなマッピングによる非スロットベースのスケジューリング、グラントフリーの(設定されたグラントの)上りリンク、データチャネルにおけるスロットレベルでの繰り返し送信、および下りリンクでのプリエンプション(Pre-emption)が含まれる。プリエンプションとは、リソースが既に割り当てられた送信が停止され、当該既に割り当てられたリソースが、後から要求されたより低いレイテンシ/より高い優先度の要件の他の送信に使用されることを意味する。したがって、既に許可されていた送信は、後の送信によって差し替えられる。プリエンプションは、具体的なサービスタイプと無関係に適用可能である。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信が、サービスタイプB(eMBB等)の送信によって差し替えらされうる。信頼性向上についての技術拡張には、1E-5の目標BLERのための専用のCQI/MCSテーブルが含まれる。
【0031】
mMTC(massive machine type communication)のユースケースの特徴は、典型的には遅延の影響を受けにくい比較的少量のデータを送信する接続装置の数が極めて多いことである。装置には、低価格であること、および電池寿命が非常に長いことが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することが、UEから見て電力が節約されかつ電池の長寿命化を可能にする1つの解決手段である。
【0032】
上述のように、NRにおける信頼性向上のスコープはより広くなることが予測される。あらゆるケースにとっての重要要件の1つであって、特にURLLCおよびmMTCに必要な重要要件が高信頼性または超高信頼性である。いくつかのメカニズムが信頼性を無線の観点およびネットワークの観点から向上させることができる。概して、信頼性の向上に役立つ可能性がある2つ~3つの重要な領域が存在する。これらの領域には、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し送信、および周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関するダイバーシチがある。これらの領域は、特定の通信シナリオにかかわらず一般に信頼性向上に適用可能である。
【0033】
NR URLLCに関し、ファクトリーオートメーション、運送業、および電力の分配のような、要件がより厳しいさらなるユースケースが想定されている。厳しい要件とは、高い信頼性(10レベルまでの信頼性)、高い可用性、256バイトまでのパケットサイズ、数μs程度までの時間同期(time synchronization)(ユースケースに応じて、値を、周波数範囲および0.5ms~1ms程度の短いレイテンシ(特に、目標とするユーザプレーンでの0.5msのレイテンシ)に応じて1μsまたは数μsとすることができる)である。
【0034】
さらに、NR URLLCについては、物理レイヤの観点からいくつかの技術拡張が有り得る。これらの技術拡張には、コンパクトなDCIに関するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)の拡張、PDCCHの繰り返し送信、PDCCHモニタの増加がある。また、UCI(Uplink Control Information)の拡張は、enhanced HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)およびCSIフィードバックの拡張に関係する。また、ミニスロットレベルのホッピングに関係するPUSCHの拡張、および再送/繰り返し送信の拡張が有り得る。用語「ミニスロット」は、スロットより少数のシンボルを含む送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)を指す(スロットは、14個のシンボルを備える)。
【0035】
<QoS制御>
5GのQoS(Quality of Service)モデルは、QoSフローに基づいており、保証されたフロービットレートが求められるQoSフロー(GBR(Granteed Bit Rate)QoSフロー)、および、保証されたフロービットレートが求められないQoSフロー(非GBR QoSフロー)をいずれもサポートする。したがって、NASレベルでは、QoSフローは、PDUセッションにおける最も微細な粒度のQoSの区分である。QoSフローは、NG-Uインタフェースを介してカプセル化ヘッダ(encapsulation header)において搬送されるQoSフローID(QFI:QoS Flow ID)によってPDUセッション内で特定される。
【0036】
各UEについて、5GCは、1つ以上のPDUセッションを確立する。各UEについて、PDUセッションに合わせて、NG-RANは、例えば図3を参照して上に示したように少なくとも一つのData Radio Bearers(DRB)を確立する。また、そのPDUセッションのQoSフローに対する追加のDRBが後から設定可能である(いつ設定するかはNG-RAN次第である)。NG-RANは、様々なPDUセッションに属するパケットを様々なDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルパケットフィルタが、ULパケットおよびDLパケットとQoSフローとを関連付けるのに対し、UEおよびNG-RANにおけるASレベルマッピングルールは、UL QoSフローおよびDL QoSフローとDRBとを関連付ける。
【0037】
図5は、5G NRの非ローミング参照アーキテクチャ(non-roaming reference architecture)を示す(非特許文献5の第4.23節参照)。Application Function(AF)(例えば、図4に例示した、5Gのサービスをホストする外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供、例えば、トラフィックのルーティングにアプリケーションの影響を与えること、Network Exposure Function(NEF)にアクセスすること、またはポリシー制御(例えば、QoS制御)のためにポリシーフレームワークとやり取りすること(Policy Control Function(PCF)参照)をサポートするために3GPPコアネットワークとやり取りする。オペレーターによる配備に基づいて、オペレーターによって信頼されていると考えられるApplication Functionは、関連するNetwork Functionと直接やり取りすることができる。Network Functionに直接アクセスすることがオペレーターから許可されていないApplication Functionは、NEFを介することにより外部に対する解放フレームワークを使用して関連するNetwork Functionとやり取りする。
【0038】
図5は、5Gアーキテクチャのさらなる機能単位、すなわち、Network Slice Selection Function(NSSF)、Network Repository Function(NRF)、Unified Data Management(UDM)、Authentication Server Function(AUSF)、Access and Mobility Management Function(AMF)、Session Management Function(SMF)、およびData Network(DN、例えば、オペレーターによるサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティーによるサービス)をさらに示す。コアネットワークの機能およびアプリケーションサービスの全部または一部がクラウドコンピューティング環境において展開されかつ動作してもよい。
【0039】
したがって、本開示では、QoS要件に応じたgNodeBとUEとの間の無線ベアラを含むPDUセッションを確立するために、動作時、URLLCサービス、eMBBサービス、およびmMTCサービスの少なくとも一つに対するQoS要件を含む要求を5GCの機能(例えば、NEF、AMF、SMF、PCF、UPF等)の少なくとも一つに送信する送信部と、動作時、確立されたPDUセッションを使用してサービスを行う制御回路と、を備える、アプリケーションサーバ(例えば、5GアーキテクチャのAF)が提供される。
【0040】
<非地上ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)>
衛星は、地上カバレッジを超えた領域に到達する最も有効な手段であり続けるだけでなく、列車、航空機、船舶の乗客に到達する最も効果的な手段であり続けるであろう。したがって、5Gエコシステムの不可欠な部分として衛星を含めることにより、レジリエンスが付加される。衛星産業は、衛星システムが5Gエコシステムの本質的な部分として確実に統合されるように、3GPP、EC、およびITU-Tを含む様々な委員会に参加している。目的は、1)ユビキタスカバレッジ、災害救援、公共安全要件、緊急対応、遠隔センサコネクティビティ、ブロードキャストサービスなどのユースケースにおいて衛星を使用して高可用性・高信頼接続をサポートすること、2)衛星接続が関与する場合に一方向のレイテンシが275ms以下のエアインタフェースをサポートすること、および、3)地上ネットワークと、レイテンシの変動が大きい衛星ベースネットワークと、の間のシームレスなモビリティをサポートすること、である。
【0041】
3GPPでは、非地上ネットワーク(NTN)におけるNRに基づく動作が検討・説明されている(例えば、非特許文献6、「非地上ネットワークをサポートするためのNew Radio(NR)に関する検討」(バージョン15.4.0)、および非特許文献7、「NRにおいて非地上ネットワークをサポートする解決策」(バージョン16.0.0)を参照)。非地上ネットワーク(NTN)は、例えば、送信のために空中エンティティまたは宇宙空間エンティティに搭載のRFリソースを使用するネットワーク、またはネットワークのセグメントを指す。空中エンティティまたは宇宙空間エンティティとは、例えば、以下のものである。
・ 宇宙船:衛星(低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止軌道(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、および高軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星を含む)。
・ 航空機:典型的には8~50kmの間の高度で準静止状態で動作する、軽無人航空機システム(LTA:Lighter than Air Unmanned Aircraft System(UAS))および重無人航空機システム(HTA:Heavier than Air UAS)を含む無人航空機システム(UAS)を包含する高高度プラットフォーム(HAP:High Altitude Platform)。
【0042】
例として、UASまたは衛星プラットフォームは、データネットワークにリンクされた1つまたはいくつかのゲートウェイを介して5Gネットワークに接続される。NTNは、NTN対応端末(3GPP UE、または、衛星が直接3GPP UEにサービスを提供しない場合には衛星システムに固有の端末を指しうる端末)と、ユーザ機器と宇宙空間プラットフォーム/空中プラットフォームとの間の無線リンクを指すサービスリンクと、ペイロードを搭載する空中プラットフォームと、宇宙空間/空中プラットフォームをコアネットワークに接続するゲートウェイと、ゲートウェイセンターの宇宙空間プラットフォーム/空中プラットフォーム間の無線リンクを指すフィーダリンクと、といったシステム要素を含んでよい。プラットフォームは、以下の例示的な特性を有する透過的(transparent)ペイロード送信または再生(regenerative)ペイロード送信のいずれかを実装することができる。
・ 透過的ペイロードでは、ペイロードは不変のまま、プラットフォームが電波信号をフィルタリングし、変換し、増幅することによって中継局(repeater)として機能する。
・ 再生ペイロードでは、プラットフォームは、基地局機能の一部または全部を有する。プラットフォームは、無線周波数フィルタリング、変換、および増幅に加えて、復調/変調、スイッチング/ルーティング、符号化/復号を実行してよい。
・ 衛星間リンク(ISL:Inter-Satellite Link)は、オプションとして、衛星のコンステレーションを形成するために使用され得る。ISLは、衛星間のトランスポートリンクである。
【0043】
図6は、透過的衛星に基づく例示的なNG RANアーキテクチャを示す。例示的な一実装形態(非特許文献7の第5.1節参照)によれば、衛星ペイロードは、上りリンク方向と下りリンク方向の両方で周波数変換と無線周波数増幅器とを実装する。これは、アナログRF中継局に対応する。したがって、衛星は、(NTNゲートウェイと衛星との間の)フィーダリンクから(衛星とUEとの間の)サービスリンクまで、また、逆方向においても同様にNR-Uu無線インタフェースを繰り返す。フィーダリンク上の衛星無線インタフェース(SRI:Satellite Radio Interface)は、NR-Uuである。言い換えれば、衛星はNR-Uuを終端しない。
【0044】
図7は、再生衛星(regenerative satellite)に基づく例示的なNG RANアーキテクチャを示す。例示的な一実装形態(非特許文献8の第5.2節参照)によれば、非特許文献9で説明されるようなNG-RAN論理アーキテクチャが、NTNシナリオのための基準として使用される。衛星ペイロードは、地球から受信した信号の再生(regeneration)を実装する。NR-Uu無線インタフェースは、UEと衛星との間のサービスリンク上にある。衛星無線インタフェース(SRI)は、NTNゲートウェイと衛星との間のフィーダリンクである。衛星無線インタフェース(SRI)は、NTN GWと衛星との間のトランスポートリンクである。
【0045】
図8は、3台のUE(UE1、UE2、UE3)が衛星S1からサービングされる例示的なシナリオを示す。衛星S1は、gNBおよびNTNゲートウェイとのフィーダリンクを介して、ならびに他の近傍衛星S2との衛星間リンク(ISL)を介して通信している。
【0046】
通信を提供する様々なタイプの衛星(低地球軌道(LEO)衛星または対地同期赤道軌道(GEO:Geosynchronous Equatorial Orbit)衛星(静止衛星とも呼ばれる))がある。静止衛星は、地球と同じ角速度で移動し、地球の自転に平行な経路に沿って軌道を周回するので、固定されているように見え、それによって、特定のエリアにカバレッジを提供している。地上から、GEO衛星は静止しているように見える。LEO衛星は、160~2000キロメートル(99~1200マイル)の高度で公転している。LEO衛星のコンステレーションは、衛星が移動するにつれて、連続的に、全世界にカバレッジを提供することができる。GEO衛星とは異なり、LEO衛星はまた、地球に近接しているため、はるかに速い速度で飛行する。
【0047】
GEO衛星には、気象予報、衛星ラジオ、およびテレビを含む多くの用途がある。しかしながら、GEO衛星が非常に高い高度で軌道を描いているため、信号がこれらの衛星との間を移動する際の長い通信タイムラグ(レイテンシ)が存在する。この理由のため、多くの重要な通信は、LEO衛星ネットワークを介して処理され、これにより、電線またはケーブル無しでの高速接が可能となっている。
【0048】
中継局および中継器(relay)の機能性は、例えばLTE Advancedからの3GPPにおいて既に知られている。これらは、それぞれL1中継およびL2中継としても知られており、セルにおけるカバレッジ拡張のために使用され得る。L1中継局は、増幅・転送を実行し、非常に短い遅延、典型的には、わずか1μsの遅延を課す。スマート中継局としても知られる高度な中継局は、時間/周波数選択的繰り返し(time/frequency-selective repetition)の特徴を有するタイプである。これは、サービングされるユーザ機器(UE)への信号のみを繰り返すことを可能にし、それにより、セル内の干渉および中継局の電力消費も低減する。L2中継局は、より大きな遅延、典型的には数msを課す復号/再復号動作を実行する。しかしながら、LTE-AdvancedおよびNTNにおける中継局は機能的に類似するにもかかわらず、それらは、例えば、異なるバックホールリンクと、これに関連した往復(ラウンドトリップ)時間(RTT:Round Trip Time)とにより根本的に異なる設計を有する。
【0049】
<さらなる改良>
NTNの5Gへの統合の大きな問題の1つは、衛星軌道に依存する25~540msの範囲の長いRTTである。大きなRTTは、特に、透過的なペイロードシナリオ(上記参照)において、ユーザスケジューリングのパフォーマンスに深刻な影響を与え得る。これは、UEがgNBによってスケジューリングされる時間インスタンスと、UEと衛星(上りリンクまたは下りリンク)との間でデータが交換される時間インスタンスと、の間でUEのチャネル状態が大きく変化し得るという事実に起因する。例えば、UEに下りリンク/上りリンク送信がスケジューリングされた後にチャネル状態が著しく劣化した場合、データ送信が失敗する可能性が高い。
【0050】
UASおよび衛星を含むNTNプラットフォームもまた、搭載される限られた電源による総送信電力で制限される。したがって、効率的な電力割当てがNTNにとっても重要な関心事である。
【0051】
本発明者らは、上記で論じた潜在的な欠点および課題を特定し、したがって、衛星が関与し、上記で特定された問題のうちの1つまたは複数を回避または軽減することを可能にする、改良された送信手順を提供する可能性を特定した。本発明は、そのような改良された送信手順のための異なる解決策および変形例に関する。
【0052】
<実施の形態>
以下では、これらの必要性を満たすためのUE、基地局、および手順が5G移動通信システムのために想定される新たな無線アクセス技術のために説明されるが、LTE移動通信システムにおいても使用されうる。様々な実装形態および変形例も同様に説明される。以下の開示は、上述の議論および発見によって促進され、例えば、その少なくとも一部に基づくことができる。
【0053】
一般に、本開示の基礎をなす原理を明確、簡潔、かつ理解可能な方法で説明することができるように、本明細書では多くの想定がなされていることに留意されたい。しかしながら、これらの想定は、本明細書において説明を目的としてなされた単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者には、以下の開示および特許請求の範囲に記載されている原理が、異なるシナリオに、および本明細書に明示的に記載されていない方法で適用できることが理解されるであろう。
【0054】
さらに、次の3GPP 5G通信システムのための新しい無線アクセス技術のコンテキストで使用される特定の用語は、まだ完全に決定されていない、または最終的に変更される可能性があるが、以下で使用されている手順、エンティティ、層などの用語のいくつかは、LTE/LTE-Aシステムに、または現在の3GPP 5G標準化において使用されている用語に、密接に関連している。したがって、用語は将来的に変更されうるが、実施の形態の機能に影響を与えることはない。したがって、当業者には、実施の形態およびその保護範囲が、より新しいまたは最終的に合意された用語が存在しないために本明細書で例示的に使用されている特定の用語に制限されるものではなく、本開示の機能および原理の基礎をなす機能およびコンセプトの観点においてより広義に理解されるべきであることが認識されるであろう。
【0055】
例えば、「移動局」または「移動ノード」または「ユーザ端末」または「ユーザ機器(UE)」は、通信ネットワーク内の物理エンティティ(物理ノード)である。1つのノードがいくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの別の機能エンティティに対して、所定の一連の機能を実施および/または提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。ノードは、それを通じて通信することのできる通信機器または通信媒体に自身をアタッチする1つ以上のインタフェースを有することができる。同様に、ネットワークエンティティは、それを通じて別の機能エンティティまたは通信相手ノードと通信することのできる通信機器または通信媒体に機能エンティティをアタッチする論理インタフェースを有することができる。
【0056】
「基地局」または「無線基地局」という用語は、ここでは、通信ネットワーク内の物理エンティティを指す。基地局は、移動局と同様に、いくつかの機能エンティティを有することができる。機能エンティティとは、同じノードもしくは別のノードまたはネットワークの別の機能エンティティに対して、所定の一連の機能を実施および/または提供する、ソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュールを意味する。物理エンティティは、通信デバイスに関連するいくつかの制御タスク(スケジューリングおよび設定の1つまたは複数を含む)を実行する。なお、基地局の機能および通信デバイスの機能を、1つの装置内に統合してもよいことに留意されたい。例えば、移動端末は、他の端末のための基地局の機能も実装してよい。LTEにおいて使用されている専門用語は、eNB(またはeNodeB)であるが、5G NRにおいて現時点で使用されている専門用語は、gNBである。
【0057】
非地上ネットワーク(NTN)エンティティという用語は、NTNに関連する上記のセクションで導入されたように、宇宙船または航空機などの非地上ネットワークのエンティティとして広く理解することができる。以下では、衛星は、そのようなNTNエンティティの例としてのみ想定されるが、NTNエンティティの他の例も対象とされることは明らかである。
【0058】
以下の解決策において、改良された送信手順が、衛星を介したUEと基地局(例えば、gNB)との間のデータ送信の一部として実行されることが例示的に想定される。上記で既に導入された図8のシナリオを、以下で例示的に想定することができる。説明を簡略化するために、例示的に、ゲートウェイとgNBとが併置されることを想定し、これにより、後続の説明においてゲートウェイとgNB(基地局)との形式的な分離を回避する。したがって、以下では、ゲートウェイがNTNエンティティとgNBとの間に位置することに具体的に言及することなく、改良された送信手順をUEと、NTNエンティティと、gNBとの間で生じるものとして説明する。
【0059】
図9は、ユーザ機器(通信デバイスとも呼ばれる)およびスケジューリングデバイス(ここでは例示的に、基地局、例えば、eLTE eNB(あるいは、ng-eNBと呼ばれる)または5G NRにおけるgNBに位置すると想定される)の全般的で簡略化された例示的なブロック図を示す。UEおよびeNB/gNBは、それぞれ送受信部を使用して(無線)物理チャネルを介して互いに通信する。さらに、NTNエンティティは、例えば送受信部および処理回路を含む、スケジューリングデバイスと同一または同様の構造を有することができる。
【0060】
いずれのデバイスも、送受信部及び処理回路を備えてよい。送受信部は、さらに、受信部および送信部を含んでもよい、かつ/または受信部および送信部として機能してもよい。処理回路は、1つまたは複数の処理部または任意のLSI等、1つまたは複数のハードウェアでありうる。送受信部と処理回路との間には、入力/出力点(またはノード)があり、処理回路は、動作時、送受信部を制御する、すなわち、受信部および/または送信部を制御し、受信/送信データを交換することができる。送受信部は、送信部および受信部として、1つまたは複数のアンテナ、増幅器、無線周波数(RF:Radio Frequency)変調器/復調器等を含むRFフロントを含んでよい。処理回路は、送受信部を制御することにより、処理回路によって提供されるユーザデータおよび制御データを送信すること、および/または処理回路によってさらに処理されるユーザデータおよび制御データを受信する等の制御タスクを実施しうる。処理回路はまた、判定、決定、計算、測定等の他のプロセスの実行を担っていてもよい。送信部は、送信のプロセスおよびそれに関連する他のプロセスの実行を担うことができる。受信部は、受信のプロセス、およびチャネルをモニタする等、それに関連する他のプロセスを実行することを担うことができる。
【0061】
改良された送信手順の様々な実装形態を、以下で説明する。これに関連して、改良された送信手順に参加する、改良されたUE、改良されたNTNエンティティ、および改良された基地局などの改良されたエンティティが提示される。UE、NTNエンティティ、およびBSの挙動の対応する方法も提供される。
【0062】
図10は、図9に関連して説明される一般的なデバイス構造に基づいて実装され得る、改良された送信手順の1つの例示的な解決策による、NTNエンティティ(衛星など)の簡略化された例示的な構造を示す。この図に示されるNTNエンティティの様々な構造要素は、例えば、制御データおよびユーザデータならびに他の信号を交換するために、例えば、対応する入力/出力ノード(図示せず)を用いて相互接続され得る。説明のために示されていないが、NTNエンティティは、さらなる構造要素を含み得る。
【0063】
図10から明らかなように、NTNエンティティは、チャネル状態報告受信部、チャネル状態報告送信部、スケジューリング情報受信部、および更新済みチャネル状態判定回路、適応送信電力関連判定回路、および送信電力適応回路を含んでよい。
【0064】
したがって、以下の開示から明らかになる本ケースでは、NTNエンティティの受信部は、チャネル状態報告を受信すること、更新済みチャネル状態報告を受信すること、スケジューリング情報を受信すること、データを受信すること、設定情報を受信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0065】
さらに、以下の開示から明らかになるように、NTNエンティティの処理回路(処理部とも呼ばれる)は、したがって、更新済みチャネル状態を判定すること、上りリンク送信または下りリンク送信に対して送信電力を適応させるのか、およびどれだけ適応させるかを判定すること、スケジューリングされた下りリンク/上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定すること、下りリンクデータに関連付けられた優先度を判定すること、複数の上りリンクスケジューリング情報の中から適切な上りリンクスケジューリング情報を選択すること、上りリンクスケジューリング情報(その一部)を適応させること、スケジュール送信が成功または失敗する可能性が高いかどうかに関する推定を実行することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0066】
さらに、以下の開示から明らかになる本ケースでは、NTNエンティティの送信部は、したがって、受信されたチャネル状態報告を基地局に転送すること、特定の送信電力を使用してUEにデータを送信すること、上りリンクスケジューリング情報をUEに転送すること、更新済みチャネル状態報告を基地局に送信すること、否定応答を基地局に送信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0067】
以下でさらに詳細に開示される1つの例示的な解決策は、以下を含むNTNエンティティによって実施される。NTNエンティティの受信部は、ユーザ機器(UE)から、UEとNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を受信する。NTNエンティティの送信部は、受信されたチャネル状態報告を基地局に転送する。受信部は、UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を基地局から受信する。NTNエンティティの処理部は、更新済みチャネル状態を判定する。処理部は、更新済みチャネル状態に基づいて、受信されたスケジューリング情報に応じた下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定する。処理部は、送信電力を適応させると判定した場合、下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させる。
【0068】
上述のUEに合致する例示的なUEの挙動の対応するシーケンス図を以下に定義し、また、図11に示す。本方法は、ユーザ機器によって実行される、
ユーザ機器(UE)から、UEとNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を受信するステップと、
受信されたチャネル状態報告を基地局に転送するステップと、
UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を基地局から受信するステップと、
更新済みチャネル状態を判定するステップと、
更新済みチャネル状態に基づいて、受信されたスケジューリング情報に応じた下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定するステップと、
送信電力を適応させると判定した場合、下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるステップと、
を含む。
【0069】
この改良された送信手順によれば、事前に判定された更新済みチャネル状態に基づいて、上りリンク送信または下りリンク送信の送信電力を制御することが可能である。NTNエンティティにおいて更新済みチャネル状態を直接取得して使用することによって、過剰な往復遅延が回避され、NTNエンティティとUEとの間のチャネルの実際のチャネル状態を、上りリンク送信および下りリンク送信のために考慮に入れることができる。例えば、送信電力は、チャネル状態報告によって示され、基地局が下りリンク送信または上りリンク送信をスケジューリングする際の基準としたチャネル品質と比較した場合のチャネル品質の劣化を補償するように適応され得る(例えば、増加され得る)。一方、チャネル状態報告によって基地局に示されたチャネル品質と比較してチャネル品質が改善された状況においては、過剰な送信電力を使用することを回避するように送信電力を低減させることができる。
【0070】
したがって、上述の適応的送信電力解決策は、UEが基地局によってスケジューリングされるインスタンスと、UEとNTNエンティティ(例えば、衛星)との間(上りリンクまたは下りリンク)でデータが交換されるインスタンスとの間でチャネル状態が大きく変化するシナリオについて上述した欠点を克服する。
【0071】
上記からすでに明らかなように、改良された送信手順はまた、改良されたUEを提供する。図12は、改良された送信手順の1つの例示的な解決策による、簡略化された例示的なUE構造を示し、これは、図9に関連して説明された一般的なUE構造に基づいて実装され得る。図12に示されるUEの様々な構造要素は、例えば、制御データおよびユーザデータならびに他の信号を交換するために、例えば、対応する入力/出力ノード(図示せず)を用いて相互接続され得る。説明のために示されていないが、UEは、さらなる構造要素を含んでよい。
【0072】
図12から明らかなように、UEは、チャネル状態報告送信部と、上りリンクスケジューリング情報受信部と、更新済みチャネル状態判定回路と、適応送信電力関連判定回路と、送信電力適応回路と、上りリンク送信部とを備えてよい。
【0073】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、UEの受信部は、したがって、上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を受信すること、更新済みチャネル状態報告を送信するためにUEによって使用可能な上りリンクリソースを示す上りリンクリソース情報をNTNエンティティから受信すること、下りリンクデータ送信を受信すること、NACK通知を受信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0074】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、UEの処理回路は、したがって、更新済みチャネル状態を判定すること、上りリンク送信における送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかを判定すること、スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定すること、下りリンクデータ送信に対する否定応答を送信するか否かを判定することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0075】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、UEの送信部は、したがって、NTNエンティティにチャネル状態報告を送信すること、適応された送信電力を使用して上りリンクデータの上りリンク送信を実行すること、更新済みチャネル状態報告を他のNTNエンティティに送信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0076】
以下でさらに詳細に開示される1つの例示的な解決策は、以下を含むUEによって実施される。UEの送信部は、非地上ネットワーク(NTN)エンティティに、UEとNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を送信する。UEの処理部は、UEとNTNエンティティとの間のチャネルの更新済みチャネル状態を判定する。UEの受信部は、NTNエンティティから、UEからNTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を受信する。処理部は、更新済みチャネル状態に基づいて、上りリンクデータの上りリンク送信における送信電力を適応させるかを判定する。処理部は、送信電力を適応させると判定した場合、送信電力を適応させる。送信部は、受信された上りリンクスケジューリング情報に従って、かつ、適応された送信電力に基づいて、NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信を実行する。
【0077】
上述のUEに沿った例示的なUE挙動の対応するシーケンス図を図13に示す。対応する方法が、UEによって実行される、
・ 非地上ネットワーク(NTN)エンティティに、UEとNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を送信するステップと、
・ UEとNTNエンティティとの間のチャネルの更新済みチャネル状態を判定するステップと、
・ NTNエンティティから、UEからNTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を受信するステップと、
・ 更新済みチャネル状態に基づいて、上りリンクデータの上りリンク送信における送信電力を適応させるかを判定するステップと、
・ 送信電力を適応させると判定した場合、送信電力を適応させるステップと、
・ 受信された上りリンクスケジューリング情報に従って、かつ、適応された送信電力に基づいて、NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信を実行するステップと、
を含む。
【0078】
したがって、改良されたUEは、UEが基地局によってスケジューリングされるインスタンスと、データがUEからNTNエンティティ(例えば、衛星)に送信されるインスタンスとの間でチャネル状態が大きく変化するシナリオのための先に特定された欠点を克服するように、改良された送信手順に参加する。本ケースでは、UEは、上りリンク送信を実行するときに、現在のものとは著しく異なるチャネル状態を示している場合がある以前のチャネル状態報告に基づいて基地局によって生成された上りリンクスケジューリング情報によって示される送信電力のみに依存するのではなく、上りリンク送信を実行するときに現在のチャネル状態を考慮に入れる。したがって、そのようなシナリオに関る大きな往復遅延によって引き起こされ得る不正確なスケジューリング情報は、上記の解決策によって定義される送信電力適応によって補償され得る。
【0079】
例えば、送信電力は、チャネル状態報告によって示され、基地局が上りリンク送信をスケジューリングする際の基準としたチャネル品質と比較した場合のチャネル品質の劣化を補償するようにUEによって適応され得る(例えば、増加され得る)。一方、チャネル状態報告によって示されたチャネル品質と比較してチャネル品質が改善された状況においては、過剰な送信電力を使用することを回避するように送信電力を低減することができる。
【0080】
上記からすでに明らかなように、改良された送信手順はまた、改良された基地局を提供する。図14は、改良された送信手順の1つの例示的な解決策による簡略化された例示的な基地局構造を示し、これは、図9に関連して説明された一般的な基地局構造に基づいて実装され得る。図14に示す基地局の様々な構造要素は、例えば、制御データおよびユーザデータならびに他の信号を交換するために、例えば、対応する入力/出力ノード(図示せず)を用いて相互接続することができる。説明のために示されていないが、基地局は、さらなる構造要素を含んでもよい。
【0081】
図14から明らかなように、基地局は、チャネル状態報告受信部、上りリンクスケジューリング情報準備回路、および上りリンクスケジューリング情報送信部を有してよい。
【0082】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、基地局の受信部は、したがって、チャネル状態報告を受信すること、以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を受信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0083】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、基地局の処理回路は、したがって、複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備すること、無線リソースのプールを判定すること、下りリンクデータの再送を実行するか否かを判定することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0084】
以下の開示から明らかになる本ケースでは、基地局の送信部は、したがって、複数の異なる上りリンクスケジューリング情報をNTNエンティティに送信すること、判定された無線リソースのプールに関する情報を送信すること、設定メッセージをNTNエンティティまたは他のNTNエンティティに送信すること、下りリンクスケジューリング情報および下りリンクデータを送信することなどのうちの1つまたは複数を少なくとも部分的に実行するように例示的に構成され得る。
【0085】
以下により詳細に開示される1つの例示的な解決策は、以下を含む基地局によって実施される。基地局の受信部は、非地上ネットワーク(NTN)エンティティから、ユーザ機器(UE)とNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を受信する。基地局の処理部は、受信されたチャネル状態報告に基づいて、UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備する。基地局の送信部は、準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報をNTNエンティティに送信する。
【0086】
上述の基地局に沿った例示的な基地局の挙動の対応するシーケンス図を図15に示す。対応する方法が、基地局によって実行される、
非地上ネットワーク(NTN)エンティティから、ユーザ機器(UE)とNTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を受信するステップと、
受信されたチャネル状態報告に基づいて、UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備するステップと、
準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報をNTNエンティティに送信するステップと、
を含む。
【0087】
したがって、改良された基地局は、UEが基地局によってスケジューリングされるインスタンスと、データがUEからNTNエンティティ(例えば、衛星)に送信されるインスタンスとの間でチャネル状態が大きく変化するシナリオのための先に特定された欠点を克服するように、改良された送信手順に参加する。本ケースでは、基地局は、スケジューリングされた上りリンク送信に使用される、主に送信電力の値が互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備する。したがって、基本的に同様にスケジューリングされた上りリンク送信用のいくつかの上りリンクスケジューリング情報の中から選択する機会を提供することによって、基地局は、NTNエンティティが、衛星において判定された現在のチャネル状態に従って適切な送信電力を有する上りリンクスケジューリング情報を選択することを容易にする。
【0088】
上述のNTNエンティティ、UE、および基地局のいくつかの異なる実装形態があり、3つの装置が改良された送信手順において共に動作する方法がある。
【0089】
以下では、改良された送信手順の様々な例示的な実装形態を説明する。各実装形態は、改良された送信手順に関連する利点を達成するために、別々のエンティティが互いにどのようにインタラクトするかに関する情報を提供する。
【0090】
提示のために、改良された送信手順は、下りリンク送信および上りリンク送信に関して別々に説明される。それにもかかわらず、上りリンクおよび下りリンクについて以下で別々に説明するが、特に上りリンクまたは下りリンクに関連する参加装置の手順および挙動は、改良された送信手順が上りリンク送信および下りリンク送信を別々にカバーするだけでなく、上りリンク送信および下りリンク送信の両方に適用可能であるように組み合わせることもできる。
【0091】
一方、改良された送信手順の他の変形例が、下りリンクおよび上りリンクの両方に適用可能であり、同様に別々に説明される。
【0092】
<下りリンクにおける改良された送信手順>
以下では、改良された送信手順の様々な変形例が、下りリンクのシナリオについて説明される。変形例によれば、下りリンクデータの下りリンク送信が、衛星によってUEに転送されるようにgNBによってスケジューリングされる。
【0093】
下りリンクにおける改良された送信手順におけるUE、衛星、およびgNB間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換の例が図16に示される。衛星は、例えば、図10および図11に関連して説明したような衛星とすることができる。
【0094】
図から明らかなように、UEは、衛星およびgNBにすでに接続されていると想定される。第1の図示されたステップによれば、UEは、チャネル状態報告を衛星に送信し、チャネル状態報告は、次いで、gNBに転送される。チャネル状態報告は、UEと衛星との間のチャネルに関する情報(例えば、チャネルにおいて実行された測定からUEによって取得された情報)を提供すると理解することができる。
【0095】
このチャネル情報は、gNBが例えば、送信電力、変調次数、符号化率、時間・周波数無線リソースなどのうちの1つまたは複数などの適切なスケジューリングパラメータを判定することによって後の下りリンク送信をスケジューリングするために使用することができる。gNBは、下りリンクスケジューリング情報および下りリンクデータを衛星に送信する。
【0096】
改良された下りリンク送信手順によれば、gNBによってスケジューリングされた実際の下りリンク送信を実行する前に、衛星は、現在のチャネル状態を判定する。現在のチャネル状態は、以前にgNBに転送されたチャネル状態報告に反映されたチャネル状態とは異なりうる。例えば、衛星は、(例えば、衛星自身で測定を実行することによって)更新済みチャネル状態自体を判定するか、またはUEから受信されたさらなる更新済みチャネル状態報告に基づいて更新済みチャネル状態自体を判定してよい。現在説明されている改良された下りリンク送信手順における更新済みチャネル状態の判定に関する可能な変形例についてのさらなる詳細は、下記に提供される。
【0097】
衛星は、更新済みチャネル状態とgNBに通信された以前のチャネル状態との間のあり得る差が考慮されるように、下りリンク送信における送信電力を適応させるかを判定することができる。さらに、衛星が下りリンク送信の送信電力を適応させると判定することを想定すると、衛星はまた、送信電力をどれだけ適応させるかを判定する必要がある。
【0098】
送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかの衛星によるこの判定では、更新済みチャネル状態を考慮に入れる。これにより、gNBによるスケジューリング決定の基準となったチャネル状態と現在のチャネル状態とが著しく異なる可能性が高い、大きな往復遅延が存在するシナリオに特に有用である。
【0099】
さらに、送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかについての衛星によるこの判定では、さらなるパラメータを考慮に入れてもよい。例えば、衛星は、スケジューリングされた送信のために満たされる必要がある最小送信関連パラメータを考慮に入れてもよい。そのような最小送信関連パラメータの一例は、最小信号対干渉および雑音電力比(SINR:Signal-to-Interference plus Noise Ratio)である。現在説明されている改良された下りリンク送信手順において送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかを判定することに関する可能な変形例についてのさらなる詳細は、以下に提供される。
【0100】
したがって、衛星は、特に更新済みチャネル状態を考慮に入れて、スケジューリングされた下りリンク送信の送信電力を適応させるか否かを判定することができる。例えば、チャネル状態が著しく劣化したシナリオでは、下りリンクデータ用の下りリンクスケジューリング情報におけるスケジューリングパラメータは、もはや適切ではない場合がある。チャネルのこの劣化を補償するために、衛星は、送信電力を増加させてよく、それによって、下りリンク送信をUE側で受信することができる可能性が高まる。一方、チャネル状態が著しく改善されたシナリオでは、衛星は、送信電力を適応させないか、または送信電力を減少させてもよい。
【0101】
加えて、または代替として、衛星が上記を決めるに際に最小送信関連パラメータを決めるために考慮に入れてもよい。例えば、衛星は、gNBによってスケジューリングされた下りリンク送信が最小送信関連パラメータを満たすかを判定してよく、満たさない場合には、最小送信関連パラメータによる要件を満たすように送信電力を適応させる(例えば、増加させる)。上記以外の場合、送信電力の適応が必要とされないか、または最小送信関連パラメータを満たすように送信電力を適応させることが不可能であり得る。
【0102】
図16の例示的なシナリオでは、衛星は、送信電力を適応させると判定し、したがって、適応された送信電力を用いて、また、受信された下りリンクスケジューリング情報のスケジューリングされた送信パラメータに基づいて、下りリンクデータの送信を行うと想定される。
【0103】
図16に関連して提示される改良された下りリンク送信手順の様々な変形例が、図17に関連して以下で説明される。図17は、下りリンクにおける改良された送信手順におけるUE、衛星、およびgNBの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換の例であり、この例では、以下で説明される様々な変形例を組み合わせている。
【0104】
例示的な一変形例によれば、衛星は、下りリンクデータのスケジューリングされた下りリンク送信が成功する可能性が高いか否かに関する推定を実行することができる。この推定は、以前に判定された更新済みチャネル状態に基づくことができる。例えば、衛星は、下りリンクデータのスケジューリングのためにチャネル状態報告がgNBに転送されたインスタンスと比較してチャネル状態が実質的に劣化したこと(この場合、スケジューリングされた下りリンク送信は、高確率で失敗する)を知る。さらにオプションとして、衛星は、上述のように送信電力を増加させることによって、チャネル劣化をどれだけ補償することができるか、また、送信電力の増加をも含めた最小送信関連パラメータ要件が満たされるかを考慮してもよい。
【0105】
スケジューリングされた下りリンク送信が成功しないと衛星が推定する場合、下りリンク送信が実行されていないこの早期の時点ですでに衛星は、スケジューリングされた下りリンク送信についての否定応答をgNBに送信することができる。したがって、否定応答は、例示的に、早期NACKと呼ぶことができる。
【0106】
この変形例のさらなるオプションの実装形態として、衛星は、以前の推定に応じて、UEへの下りリンクデータのスケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルするか否かを判定することができる。例えば、衛星による推定は、下りリンク送信が成功する可能性が非常に低いという情報を提供することができ、その場合、衛星は、スケジューリングされた下りリンク送信が実行されず、早期NACKの送信が実行されるように、スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすることを単に決定することができる。
【0107】
一方、衛星による推定は、スケジューリングされた下りリンク送信の成功の可能性は低いものの、スケジューリングされた下りリンク送信を試みることに依然として価値があるとの結果になり得る。この場合、衛星は、スケジューリングされた下りリンク送信の実行を行うことができる(適応された送信電力を用いて行うことができる)。衛星は、可能性のある下りリンクデータ再送を早めるために、早期NACKをgNBに送信することを決定することができる。一方、衛星は、早期NACKを送信せずに、むしろ、実行された下りリンク送信に関するUEからの送信フィードバックを待つと決定することができる。
【0108】
さらなる例示的な改良は、衛星が、下りリンク送信を依然として実行しようと試みながら、早期NACKを送信する場合に関する。この例示的な改良によれば、UEは、衛星によってgNBに送信された、下りリンク送信に関する早期NACKについて通知され得る。したがって、UEは、下りリンク送信およびNACK通知を受信し、受信したばかりの下りリンク送信に対するNACKを既に衛星がgNBに送信したことをそこから導出する。したがって、UEは、受信した下りリンク送信の復号に成功しない場合であっても、失敗した下りリンク送信の再送をトリガすることになる早期NACKがgNBに既に提供されたことを知っているため、さらなるNACKを衛星に送信しない。
【0109】
一方、一例によれば、UEが受信された下りリンク送信の復号に成功する場合、さらなる下りリンク送信を回避するために、ACKが衛星に送信されうる。衛星は、再スケジューリングされた下りリンクスケジューリング情報および同じ下りリンクデータを受信した場合であっても、下りリンク送信を実行しない。
【0110】
スケジューリングされた下りリンク送信が成功するか否かを判定することに関連して、また、スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルするか否かを判定することに関連して、下りリンク送信の成功の可能性についての1つ以上の適切な閾値が、衛星において設定され得る。
【0111】
この変形例の特定の例示的な実装形態によれば、スケジューリングされた下りリンク送信が成功するか否かの推定は、UEが衛星のカバレッジ内にあるかまたはカバレッジ外にあるか否かも考慮に入れることができる。例えば、衛星が、UEがカバレッジ外に移動したことを知った場合、衛星は、スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしてよく、代わりに、下りリンクデータを、UEが実行する、または現在実行しているハンドオーバのターゲットである別の衛星に転送することができる。
【0112】
この変形例の例示的な実装形態を図17に示す。図から明らかなように、更新済みチャネル状態を判定した後の衛星は(ここでは例示的に、以前に受信された更新済みチャネル状態報告に基づいて判定している)、スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルするか否かも判定する。この特定の例では、衛星が実際に下りリンク送信をキャンセルすると判定し、gNBに早期NACKを提供すると想定されている。さらなるオプションの実装形態によれば、衛星はまた、更新済みチャネル状態情報をgNBに提供して下りリンクデータ送信の再スケジューリングを改善するために、更新済みチャネル状態報告をgNBに提供する。
【0113】
実装形態に応じて、衛星によって送信される早期NACKは、gNBによって以前スケジューリングされた下りリンク送信がキャンセルされ、実際には衛星によって実行されなかったことを示す。したがって、UEが最初にスケジューリングされた下りリンク送信の試行から何も受信しなかったため、gNBは、早期NACKに基づき、再送ではなく下りリンクデータの初送であるかのように再スケジューリングを実行すべきであることを認識する。例えば、gNBは、下りリンクデータの別の冗長バージョンではなく、最初の場合と同一の冗長バージョンの下りリンクデータを送信する。
【0114】
さらなる例として、下りリンクデータ用の下りリンクスケジューリング情報はまた、送信された下りリンクデータが、それが下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように、新しい下りリンクデータであることを示すように生成される。例示的な一実装形態では、スケジューリング情報の新しいデータインジケータは、これを達成するためにトグル(toggle)され得る。
【0115】
gNBは、同じDLデータの下りリンク送信を再びスケジューリングし、更新済みチャネル状態に基づいて異なるスケジューリングパラメータを判定する。次いで、gNBは、下りリンクスケジューリング情報および下りリンクデータを衛星に送信する。
【0116】
次いで、衛星は、更新済みチャネル状態を判定すること、下りリンク送信をキャンセルするか否かを判定すること、ならびに下りリンク送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかを判定することを含む、最初の下りリンク送信の試行に対して行われるのと同様のステップを実行することができる。図17の例示的なシナリオでは、2回目の試行において、衛星が、適応された送信電力を用いて下りリンク送信を実行することを判定することが想定される。
【0117】
上述のように、衛星は、成功する可能性が低いとしてもスケジューリングされた下りリンク送信を実行することを決定し、gNBに早期NACKを送信してもよい(図17には図示せず)。その場合、図17に関連して上述した例とは対照的に、早期NACKは、以前と同じ下りリンクデータの初送をトリガするのではなく、下りリンクデータの通常の再送(例えば、UEにおける合成利得を達成するために下りリンクデータの別の冗長バージョン)をトリガする。したがって、gNBは、例えば、衛星から受信した更新済みチャネル状態報告に基づいて、下りリンクデータの下りリンク再送をスケジューリングし、対応する下りリンクスケジューリング情報および下りリンクデータを、UEにさらに転送されるように、衛星に提供してよい。
【0118】
いずれの場合も、衛星からの早期NACKフィードバックを使用することによって、gNBは、よりロバストな送信(例えば、より低い符号化率および/またはより低い変調次数および/またはより高いレベルのアグリゲーションまたは繰り返しRを使用した送信)を達成するために、更新済みチャネル状態を考慮に入れて下りリンクデータを再スケジューリングし、衛星に下りリンクデータを再送することができる。
【0119】
全体として、スケジューリングされた下りリンク送信のキャンセルは、送信電力を節約することができ、理論的には、この電力を他のUEへの下りリンクデータの送信に割り当てることもできる。さらに、衛星からgNBへの早期NACKの送信は、データ(再)送信をより速くトリガする。
【0120】
図18は、上述の改良された下りリンク送信手順による送信電力適応の結果を概念的に示す。具体的には、図18は、異なるタイミングインスタンスにおいて3つのUE、UE1、UE2、UE3の間で例示的に配分された異なる量の送信電力を示す。時間インスタンスt1において、図18は、下りリンク送信の各々について下りリンク送信がどのようにスケジューリングされるかに従って衛星によって割り当てられた送信電力を示す。一方、時間t2において、UE1における送信電力はチャネル状態の劣化を補償するために増加され、一方で、UE2およびUE3への下りリンク送信に対してスケジューリングされた送信電力は維持されている。さらに、時間t3において、UE1への下りリンクデータ送信は、(例えば、チャネル品質の著しい低下のために)衛星によってキャンセルされ、それにより、UE1のためにスケジューリングされた未使用の送信電力(またはその一部のみ)がUE2およびUE3への下りリンクデータ送信のために再割り当てされ得ると想定される。
【0121】
他の記載された変形例と組み合わせることができるが、組み合わせなくてもよいさらなる例示的な変形例によれば、例えば、下りリンク送信における送信電力を適応させるかどうか、およびどれだけ適応させるかに関して、衛星が下りリンクデータの優先度を考慮に入れる。例えば、衛星は、低優先度または通常の優先度のデータの下りリンク送信と比較して、高優先度のデータの下りリンク送信に対してより高い送信電力を判定することができる。その結果、衛星によって優先度の高いデータをUEに送信することができ、より高い送信ロバスト性が達成される。
【0122】
一例によれば、下りリンクデータの優先度に関する情報は、gNBによって衛星に提供可能であり、例えば、DLデータとともに含まれるか、または、DLデータとともに送信されかつDLデータに関する下りリンクスケジューリング情報とともに含まれる(図17参照)。
【0123】
さらに代替的に、衛星は、そのような優先度情報を用いて、gNBによって明示的に提供されることなくDLデータの優先度を認識することができる。
【0124】
他の記載された変形例と組み合わせることができるが、組み合わせなくてもよいさらなる例示的な変形例によれば、衛星は、下りリンク送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかの判定のために、以前の下りリンク送信に対して送信された(例えば、HARQ機能の)否定応答(NACK)および/または肯定応答(ACK)を考慮に入れる。より詳細には、NACK/ACKは、衛星とUEとの間のチャネルのチャネル状態の通知として衛星によってモニタされ得る。例えば、以前に送信された下りリンク送信に対して受信されたNACKの数が、以前に設定されたNACK閾値よりも大きいとき、これは、チャネル状態が悪く、それにより下りリンクにおいて使用される送信電力のさらなる増加につながりうることを示すものと見なされる。
【0125】
さらなるオプションによれば、上りリンク送信に関連して送信される否定応答および/または肯定応答(NACK/ACK)も、衛星によってモニタされ、下りリンク送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかの判定のために考慮される。
【0126】
また、上りリンク送信または下りリンク送信に対するACK/NACKが受信される時点が考慮され、例えば、最近のACK/NACKに、より古いACK/NACKよりも大きな重みを与える。
【0127】
<上りリンクにおける改良された送信手順>
改良された送信手順の様々な変形例が、上りリンクのシナリオについて以下に説明される。変形例によれば、上りリンクデータの上りリンク送信は、衛星に向けてUEによって実行されるようにgNBによってスケジューリングされる。
【0128】
基本原理は、上りリンク送信に対する送信電力が、gNBによって生成された対応する上りリンクスケジューリング情報によって示される送信電力のみに依存するのではなく、最新の更新済みチャネル状態に基づいて適応されることである。上りリンク送信電力の適応は、衛星側(以下の第1の変形例を参照)またはUE側(以下の第2の変形例を参照)で行うことができる。両ケースを、以下で別個に説明する。
【0129】
第1の変形例によれば、上りリンク送信電力の適応は、主に衛星によって実行される。図19は、この第1の変形例によるUE、衛星、およびgNB間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換の例を示す。
【0130】
上記で説明した下りリンク送信手順においてなされた想定に従い、UEは、衛星およびgNBにすでに接続されていると想定される。第1の図示のステップによれば、UEは、チャネル状態報告を衛星に送信し、チャネル状態報告は、次いで、gNBに転送される。チャネル状態報告は、UEと衛星との間のチャネルに関する情報(例えば、チャネルにおいて実行された測定からUEによって取得された情報)を提供すると理解することができる。
【0131】
このチャネル情報は、例えば、送信電力、変調次数、符号化率、時間・周波数無線リソースなどのうちの1つまたは複数などの適切なスケジューリングパラメータを判定することによって、後の上りリンク送信をスケジューリングするためにgNBによって使用され得る。また、gNBは、衛星に上りリンクスケジューリング情報を送信する。
【0132】
改良された上りリンク送信手順は、多くの態様において、例えば、更新済みチャネル状態の判定、ならびに送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかの判定に関して、上述された改良された下りリンク送信手順とかなり類似する。下りリンクのシナリオでは、衛星が下りリンク送信を実行するために衛星自体が使用する送信電力を直接適応させることができる一方、上りリンクシナリオでは、衛星は、UEが適応された上りリンク送信電力に基づいて上りリンク送信を実行するように適切な命令を提供する必要があることが主な違いである。
【0133】
上記に沿って、UEのための上りリンク送信のスケジューリングの前に、衛星は、現在のチャネル状態を判定する。現在のチャネル状態は、以前にgNBに転送されたチャネル状態報告に反映されたチャネル状態とは異なりうる。例えば、衛星は、(例えば、衛星自身で測定を実行することによって)更新済みチャネル状態自体を判定するか、またはUEから受信されたさらなる更新済みチャネル状態報告に基づいて更新済みチャネル状態自体を判定してよい。
【0134】
衛星は、更新済みチャネル状態とgNBに通信された以前のチャネル状態との間のあり得る差が考慮されるように、上りリンク送信における送信電力を適応させるかを判定することができる。さらに、衛星が上りリンク送信の送信電力を適応させると判定することを想定すると、衛星はまた、送信電力をどれだけ適応させるかを判定する必要がある。送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかについての衛星によるこの判定では、更新済みチャネル状態を考慮に入れる。
【0135】
改良された下りリンク送信手順(上記のセクションを参照されたい)と同様に、送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかの衛星によるこの判定では、最小送信関連パラメータなどのさらなるパラメータを考慮に入れてもよい。
【0136】
これにより、衛星は、上りリンク送信に対する送信電力の適応が実際に必要であるかを判定することができ、送信電力の適応が必要である場合、どの適切な送信電力値がUEに指示されるべきかを判定することができる。
【0137】
図19の例示的なシナリオでは、衛星は、上りリンク送信における送信電力を適応させると判定し、したがって、そのような適応された送信電力を示す、対応する上りリンクスケジューリング情報のUEへの送信を行うと想定される。
【0138】
次に、UEは、受信した上りリンクスケジューリング情報に沿って(したがって、衛星によって提供される上りリンクスケジューリング情報によって指示される適応された送信電力を使用して)上りリンク送信を実行する。
【0139】
図19に関連して説明した第1の変形例の上記の解決策では、一般に、衛星は、適応された送信電力を示す対応する上りリンクスケジューリング情報をUEに提供すると想定された。以下では、衛星がこれをどのように実現することができるかについて、2つの異なる例示的な実装形態を提示する。
【0140】
この第1の変形例の第1の実装形態によれば、少なくとも示される送信電力が異なるいくつかの異なる上りリンクスケジューリング情報がgNBによって提供される。gNBは、例えば、図14および図15に関連して説明したようなgNBとすることができる。図20は、第1の変形例のこの第1の実装形態によるUE、衛星、およびgNB間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換の一例を示す。
【0141】
図から明らかなように、最初に、チャネル状態報告がUEによって生成され、衛星に送信され、衛星が次いで、このチャネル状態報告を、例えば、スケジューリング目的でgNBに転送すると想定される。gNBは、受信したチャネル状態報告に基づいて、UEによる上りリンクデータの送信用の複数の上りリンクスケジューリング情報を準備する。
【0142】
例えば、gNBは、チャネル状態報告に示されるチャネル状態に従って「最適な」送信電力値の上りリンク送信をスケジューリングする。しかしながら、gNBは、様々なチャネル状態(劣化した、または改善されたチャネル状態)を想定して、それぞれが異なる送信電力値(例えば、異なる送信電力値に対応する送信電力コマンド(TPC:Transmission Power Command))を含む様々な上りリンクスケジューリング情報を生成しうる。
【0143】
生成された上りリンクスケジューリング情報は、さらに、示された送信電力に関してだけでなく、変調次数または符号化率などの他のパラメータによっても、互いに異なり得る。
【0144】
図20から明らかなように、gNBは、生成された複数の上りリンクスケジューリング情報を衛星に送信する。次いで、衛星は、更新済みチャネル状態(例えば、衛星自体の測定に基づいて更新されたチャネル状態)に基づいて、異なる上りリンクスケジューリング情報に符号化された送信電力値のうちのどの送信電力値が、その時点でUEによって上りリンク送信を実行するための最も適切なものであるかを判定する。次いで、衛星は、様々な上りリンクスケジューリング情報の中から、最も適切な送信電力値を有する上りリンクスケジューリング情報を選択する。衛星による選択は、現在のチャネル状態に基づくことができる。したがって、衛星は、gNBによって以前に準備された適切な上りリンクスケジューリング情報を選択することによって、更新済みチャネル状態に基づいて送信電力を適応させることができる。
【0145】
このようにして選択された上りリンクスケジューリング情報は、次いで、UEに送信される。したがって、UEは、衛星によって選択された送信電力値に従って上りリンク送信の送信電力を使用することを含む、受信された上りリンクスケジューリング情報に従ったスケジューリングされた上りリンク送信を実行する。
【0146】
第1の変形例の第2の実装形態によれば、衛星は、複数の利用可能な上りリンクスケジューリング情報の中から適切な上りリンクスケジューリング情報を選択する代わりに、UEに転送されるべき単一の提供された上りリンクスケジューリング情報中の対応する送信電力パラメータ(例えば、送信電力パラメータに対応する送信電力制御フィールド)を直接変更することによって、上りリンク送信電力を適応させる。図20に関連して上述したものとは異なり、gNBは、複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を生成せず、単一の上りリンクスケジューリング情報を準備し、それを衛星に転送する。この単一の上りリンクスケジューリング情報は、スケジューリングされた上りリンク送信のコンテキストにおいて使用されるべき特定の送信電力値(例えば、以前に受信されたチャネル状態報告によって示されるチャネル状態に基づいて判定される送信電力値)を示す。
【0147】
上記で説明したように、衛星は、更新済みチャネル状態に基づいて、上りリンク送信に使用され、上りリンクスケジューリング情報に含まれる適切な送信電力値を判定する。その後、衛星は、判定された適切な上りリンク送信電力値に基づいて、また、以前に受信した上りリンクスケジューリング情報に基づいて、対応する上りリンクスケジューリング情報を生成する。例えば、衛星は、更新済みチャネル状態に基づいて判定された送信電力値を反映するために、受信された上りリンクスケジューリング情報の送信電力関連値のみの変更を行ってよい。次いで、衛星は、このように適応された上りリンクスケジューリング情報のUEへの送信を行う。
【0148】
したがって、UEは、衛星によって適応された送信電力値に応じた上りリンク送信に対する送信電力を使用することを含む、受信した上りリンクスケジューリング情報によってスケジューリングされた上りリンク送信を実行する。
【0149】
図19および図20に関連して提示されるこの第1の変形例の改良された上りリンク送信手順の異なる変形例を以下で説明する。1つの例示的な適応(いずれの図にも示されない)によれば、図17に関連して説明した下りリンク送信に対応する方法で、上りリンク送信の早期成功推定および実行し得るキャンセルを実行することができる。上記の目的のために、衛星は、UEによる上りリンクデータのスケジューリングされた上りリンク送信が成功する可能性が高いかどうかに関する推定を実行することができる。したがって、衛星は、先に説明したように(例えば、図17を参照)、現在のチャネル状態を判定することができ、それに基づいて、チャネル状態報告が上りリンクデータスケジューリングのためにgNBに転送されたインスタンスと比較して、チャネル状態が実質的に劣化したことを知ることができる。したがって、衛星は、スケジューリングされた上りリンク送信が高い確率で失敗すると結論付けることができる。さらに、オプションとして、衛星はまた、オプションとして最小送信関連パラメータを考慮に入れて、上記で説明したように送信電力を増加させることによって、チャネル劣化をどれだけ補償できるかを考慮に入れてもよい。
【0150】
スケジューリングされた上りリンク送信が成功しないと衛星が推定する場合、上りリンク送信が実行されていないこの早期の時点ですでに衛星は、スケジューリングされた上りリンク送信についての否定応答をgNBに送信することができる。したがって、否定応答は、例示的に、早期NACKと呼ぶことができる。
【0151】
さらなるオプションの実装形態として、衛星は、以前の推定に応じて、上りリンクデータのスケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定することができる。例えば、衛星による推定は、上りリンク送信が成功する可能性が非常に低いという情報を提供することができ、その場合、衛星は、上りリンクスケジューリング情報をUEに送信しないことによって、スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすることを簡単に決定することができる。その場合、衛星は、NACKをgNBに送信して、上りリンク送信の再スケジューリングをトリガすることができる(場合によっては、再スケジューリングを改善するために更新済みチャネル状態に関する情報とともに送信し得る)。
【0152】
gNBは、受信した早期NACKに応答して、上りリンク送信を再スケジューリングし、かつ利用可能な場合、最新の更新済みチャネル状態情報を考慮に入れる。gNBは、早期NACKから、上りリンク送信がキャンセルされ、UEによって実行されることすらなかったことを知る。したがって、UEが何も送信しなかったため、gNBは、早期NACKに基づき、再送ではなく上りリンクデータの初送であるかのように再スケジューリングを実行すべきであることを認識する。
【0153】
上りリンクデータ用の上りリンクスケジューリング情報はまた、上りリンクスケジューリング情報が、上りリンクデータが再送ではなく初送であるかのように、スケジューリングが新しい上りリンクデータ用であると示すように生成される。
【0154】
gNBは、上りリンク送信を再びスケジューリングし、更新済みチャネル状態に基づいて異なるスケジューリングパラメータを判定する。次いで、gNBは、上りリンクスケジューリング情報を衛星に送信する。次に、衛星は、例えば、最初の上りリンク送信の試行において行われたのと同一の動作を実行することができる。
【0155】
一方、衛星による推定は、スケジューリングされた上りリンク送信の成功の可能性は低いものの、スケジューリングされた上りリンク送信を試みることに依然として価値があるとの結果になり得る。この場合、衛星は、上りリンクスケジューリング情報のUEへの送信を行う(場合によっては、上りリンクスケジューリング情報が適応された送信電力を有する)。衛星は、上りリンクにおける可能性のある再スケジューリングを加速するために、早期NACKをgNBに送信することを決定することができる。一方、衛星は、早期NACKを送信せず、UEからの上りリンク送信がgNBに転送されるのを待つことを決定することができる。
【0156】
下りリンク送信の成功推定およびキャンセルに関連して既に説明したように、UEは、上りリンク送信が成功する可能性について、また、スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かの判定について(例えば、UEが衛星のカバレッジ内にあるかカバレッジ外にあるかも考慮に入れて)、適切な閾値を使用することができる。
【0157】
いずれの場合も、衛星からの早期NACKフィードバックを使用することによって、gNBは、よりロバストな送信を達成するために(例えば、より低い符号化率および/またはより低い変調次数および/またはより高いレベルのアグリゲーションまたは繰り返しRを使用して)、更新済みチャネル状態を考慮に入れて上りリンクデータを再スケジューリングすることができる。さらに、スケジューリングされた上りリンク送信のキャンセルにより、送信電力を節約することができる。さらに、衛星からgNBへの早期NACKの送信により、データ(再)送信がより速くトリガされる。
【0158】
第2の変形例によれば、上りリンク送信電力の適応は、(衛星によってではなく)UE側で行われる。図21は、この第2の変形例による、UEと、衛星と、gNBとの間の全般的かつ簡略化されたメッセージ交換の一例を示す。この第2の変形例に関連するUEは、例えば、図12および図13に関連して説明したUEであり得る。
【0159】
図19を参照して上記で説明された解決策についてなされた想定と同様の例示的な想定を行うことができる。例えば、UEによるチャネル状態報告の送信に関するステップ、およびどのようにgNBがチャネル状態報告を受信し、適切な上りリンクスケジューリング情報を生成し、当該上りリンクスケジューリング情報を衛星に送信するかに関するステップを含む最初の各ステップは、同様または同一にすることができる。
【0160】
しかしながら、上記解決策と異なり、この第2の変形例では、衛星が送信電力を適応させないので、衛星は、単に、受信した上りリンクスケジューリング情報をUEに転送する。
【0161】
しかしながら、UE側では、UEは、ULスケジューリング情報を受信し、上りリンクデータの上りリンク送信を準備するときに、UEと衛星との間のチャネルの更新済みチャネル状態も判定する。すでに上で例示的に想定されたように、チャネル状態は、例えば、下りリンクにおけるRSまたはDMRS(復調用参照信号)などの、衛星から受信された参照信号の測定に基づいてUEによって判定され得る。更新済みチャネル状態は、gNBに以前に転送されたチャネル状態報告に反映されたチャネル状態とは異なり、例えば、より良くまたは悪くなり得る。
【0162】
更新済みチャネル状態に基づいて(例えば、チャネル状態報告においてgNBに通信される更新済みチャネル状態と、以前のチャネル状態と、のあり得る差を考慮して)、UEは、上りリンク送信における送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかを判定する。UEが、チャネル状態の差を補償するために上りリンク送信電力を適応させると判定する場合、UEはまた、送信電力をどれだけ適応させるかを判定する必要がある。送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかについてのUEによるこの判定では、更新済みチャネル状態を考慮に入れる。
【0163】
改良された下りリンク送信手順(上記のセクションを参照されたい)と同様に、送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかのUEによるこの判定では、最小送信関連パラメータ(例えば、最小SINR)などのさらなるパラメータも考慮に入れてもよい。例えば、UEは、この最小SINRを満たすように自身の送信電力を適応させようと試みてよい。例えば、最小SINRが満たされ得ない場合は、採り得る最大の送信電力を使用するときでさえ、UEは、上りリンク送信をキャンセルすると判定してよい(以下参照)。
【0164】
その結果、UEは、上りリンク送信における送信電力の適応が実際に必要であるかを判定することができ、送信電力の適応が必要である場合、どの適切な上りリンク送信電力値が使用されるべきかを判定することができる。
【0165】
次いで、UEは、適応された送信電力を使用して上りリンク送信を実行し、上りリンクデータは、次いで、衛星によってさらにgNBに向けて転送される。
【0166】
図21に関連して第2の変形例のために提示される改良された上りリンク送信手順の様々な適応を以下で説明する。
【0167】
1つの例示的な適応(図22に示される)によれば、上りリンク送信の早期成功推定および実行し得るキャンセルは、図17に関連して説明された下りリンク送信と、衛星が上りリンク送信の早期成功推定および実行し得るキャンセルを実行する解決策について説明された解決策と、に対応する方法で実行され得る。
【0168】
図22から明らかなように、UEは、適応された送信電力で上りリンク送信を実行するか、または成功の可能性が非常に低いために上りリンク送信をキャンセルするかをさらに判定することができる。この判定には、UEによる上りリンクデータのスケジューリングされた上りリンク送信が成功する可能性が高いか否かの推定、例えば、以前に判定された更新済みチャネル状態に基づく推定をUEが実行することが含まれうる。
【0169】
図22に示されるように、上りリンク送信が成功しないとUEが判定する場合、UEは、例えば、成功の可能性が非常に低い場合、スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定することもできる。したがって、UEは、上りリンク送信を実行せず、代わりに、例えば、UEによる送信がスキップされたが上りリンクスケジューリング情報は正常に受信されたことを示す早期NACKを送ってもよい。
【0170】
衛星は、上りリンク送信がスケジューリングされているにもかかわらず、UEが上りリンク送信を実行しないと判定し、したがって、UEが上りリンク送信をキャンセルしたと判定する。一例では、衛星は、UEに上りリンク送信を再スケジューリングするようにgNBに要求することができる。
【0171】
一方、UEによる推定は、スケジューリングされた上りリンク送信の成功の可能性は低いものの、スケジューリングされた上りリンク送信を試みることは依然として価値があるとの結果になり、その場合、UEは、依然として衛星への上りリンク送信を実行する。
【0172】
上記で説明した第1のおよび第2の変形例の両方において(すなわち、衛星およびUEによる上りリンク送信電力の適応において)、上りリンク送信電力を適応させるかどうか、およびどのように適応させるかを判定するときに、上りリンクデータの優先度を同様に考慮に入れることができることがオプションの適応で規定される。UEは、送信することを望む上りリンクデータの優先度を十分に認識している。さらに、衛星が判定を実行する第1の変形例では、衛星は、例えば、UEによって送信されるスケジューリング要求またはバッファ状態報告に基づいて上りリンクデータの優先度を認識することができる。スケジューリング要求またはバッファ状態報告は、UEの上りリンクバッファ内の送信に利用可能なデータの存在または量と上りリンクデータの優先度に関する情報とを示す。
【0173】
例えば、高優先度データの上りリンク送信に対してはより高い送信電力を判定することができ、一方、低優先度または通常の優先度データの上りリンク送信に対しては相対的に低い送信電力を使用することができる。その結果、より高い送信ロバスト性を実現するUEによって、高優先度データを送信することができる。
【0174】
<改良された下りリンク送信手順と上りリンク送信手順の両方に適用可能な一般的な変形例>
以下では、上りリンク/下りリンクのための改良された送信手順のために上記の既に導入された具体的な態様に関して、様々な変形例を提示する。言い換えると、以下の変形例は、改良された下りリンク送信手順(例えば、図16~18に関連する上記の説明を参照)と改良された上りリンク送信手順(例えば、図19~22に関連する上記の説明を参照)の両方に適用可能であり得る。
【0175】
第1の変形例は、UEが更新済みチャネル状態報告を衛星に送信する、本明細書で述べた解決策に適用可能である。これらの解決策では、UEが更新済みチャネル状態報告を衛星に提供することが単に想定されたが、UEがどのようにしてこれを実現することができるかに関する詳細については規定しなかった。
【0176】
概念的には、更新済みチャネル状態報告は、UEが衛星に送信する通常のチャネル状態報告とは異なり得るが、異なっている必要はない。通常のチャネル状態報告は、例えば、周期的に、すなわち、xミリ秒ごとに送信されるように設定され得る。加えて、または代替として、通常のチャネル状態報告は、非周期的であり得、例えば、UEにおいて発生するイベント(例えば、測定イベント)によってトリガされ得るか、または衛星もしくはgNBによって明示的に要求され得る。以下で説明するように、更新済みチャネル状態報告は、以下のうちの1つまたは複数に基づいて、通常のチャネル状態報告とは異なり得る。
・ 異なるトリガ(例えば、異なる周期、異なるイベント(例えば、測定イベント)、異なる指示)
・ 異なる時間/周波数リソース(例えば異なるPRB)
・ 異なる送信パラメータ(変調方式、符号化率など)
・ 異なる内容
【0177】
この変形例の1つの例示的な解決策によれば、UEは、更新済みチャネル状態報告をどのように、いつ送信するかについて、通常のチャネル状態報告をどのように、いつ送信するかとは異なるように設定され得る。これは、UEが、更新済みチャネル状態を示す更新済みチャネル状態報告を衛星に送信するか否か、およびいつ送信するかを判定することを含む。例えば、gNBまたは衛星は、衛星をチャネル状態に関して最新に保つために、更新済みチャネル報告をより高い周期性で衛星に送信するようにUEを設定することができる。他の例は、UEが更新済みチャネル状態報告を送信するために満たされる必要がある1つまたは複数の条件に基づいており、例えば、UEがチャネル品質の特定の低下(例えば、以前の通常のチャネル状態報告で報告されたチャネル状態と比較した低下)を測定するときに、更新済みチャネル状態報告が送信される。他の例によれば、そのような条件とは、UEが衛星のカバレッジエリアを離れることである。そのような解決策は、更新済みチャネル状態報告によって引き起こされる追加のオーバーヘッドを低く保ちながら、衛星が劣化したチャネル状態について知るために特に有利である。
【0178】
この変形例の1つの例示的な解決策によれば、gNBは、UEがこれらの更新済みチャネル状態報告を送信するための専用無線リソースを割り当てることができ、衛星は、これらの専用無線リソースについてUEに通知する。そして、UEは、更新済みチャネル状態報告を衛星に送信するために、これらの専用無線リソースを使用することができる。専用無線リソースは、例えば、UEによって使用されるべき特定の時間無線リソースおよび/または周波数無線リソースを示すことができる。
【0179】
他の例によれば、gNBは、無線リソース(例えば、時間リソースおよび/または周波数リソース)のプールを定義し、このリソースプール情報を衛星に送信する。そして、衛星は、プール内の無線リソースの中から、更新済みチャネル状態報告の送信のためにどの無線リソースがUEに割り当てられるべきかを判定することができる。これらの選択された上りリンク無線リソースは、次いで、UEに通知される。
【0180】
結果として、UEは、更新済みチャネル状態報告を送信するために、通常のチャネル状態報告を送信するためとは異なる無線リソースを使用することができる。
【0181】
他の例示的な解決策によれば、UEは、通常のチャネル状態報告を送信するために使用される送信パラメータとは異なる、更新済みチャネル状態報告を送信するための送信パラメータを使用することができる。例えば、更新済みチャネル状態報告のための特定の送信パラメータは、よりロバストな送信、例えば、より低次の変調方式またはより低い符号化率を保証するようなものであり得る。また、送信パラメータは、衛星側の復号処理が容易になるように選択されてもよい。
【0182】
さらに他の例示的な解決策によれば、更新済みチャネル状態報告は、通常のチャネル状態報告とは異なる内容を有し得る。例えば、更新済みチャネル状態報告は、UEのSINR、CSI、CQI、SRS、位置、移動方向、および速度のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0183】
更新済みチャネル状態報告の例示的な一実装形態は、更新済みチャネル状態報告の内容および送信を大幅に簡略化する。例えば、更新済みチャネル状態報告は、以前に送信された通常のチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して、チャネル状態が劣化しているかの通知を提供するように役立つに過ぎない。そのような単純な通知は、例えば、衛星の受信部がエネルギー検出のみに基づいてそのような更新済みチャネル状態報告の送信の存在を検出できるように、UEによって送信され得る。UEによる上記送信は、例えば、変調または符号化を使用しない。したがって、衛星は、送信電力のこのようなスパイクについて、事前に合意された無線リソースをモニタし、衛星がそれらの無線リソースにおいてある送信エネルギーを検出する場合、更新済みチャネル状態報告がUEによって送信されると衛星が判定し、そこからチャネル状態が著しく劣化したことを導出する。
【0184】
他の記載された変形例と組み合わせて使用することもできるが使用する必要はない他の変形例によれば、衛星の通常のチャネル状態報告の扱い方とは異なり、更新済みチャネル状態報告はgNBにさらに転送されなくてよい。上記の解決策の一部で説明したように、更新済みチャネル状態報告の内容は、衛星側で排他的に使用され、その場合、更新済みチャネル状態報告は、gNBに転送される必要はない。一方、上記の他の解決策では、(例えば、下りリンク送信または上りリンク送信を再スケジューリングするときに)更新済みチャネル状態に関する情報を有する利点があり、したがって、衛星が更新済みチャネル状態報告をgNBに転送するか、または少なくとも適切な情報を他の形でgNBに提供する解決策には利点がある。衛星のそのような挙動は、例えばgNBによって設定され得る。
【0185】
他の記載された変形例と組み合わせて使用することもできるが使用する必要はない他の変形例は、衛星が、例えば、その上りリンク送信電力/下りリンク送信電力を適応させるかを判定するコンテキストにおいて、更新済みチャネル状態を判定する、本明細書に記載の解決策に関する。上記において既に示唆されているように(例えば、図17参照)、例えば、衛星には、更新済みチャネル状態を示す更新済みチャネル状態報告がUEによって提供されうる。加えて、または代替として、衛星は、現在のチャネル状態を導出するために、自身で測定または判定を実行してよい。1つのオプションでは、衛星はまた、UEの位置に関する情報を考慮に入れてよい。
【0186】
他の記載された変形例と組み合わせて使用することもできるが使用する必要はないさらに他の変形例によれば、UEが更新済みチャネル状態を判定するために使用することができる下りリンク参照信号の送信に専用無線リソースを割り当てることができる。例えば、UEは、現在のチャネル状態を判定するために(DMRSなどの)下りリンク参照信号を使用してよい。この変形例によれば、上記判定のためにUEによって使用される対応する下りリンク参照信号は、特定の(UEに既知の)無線リソースにおいて下りリンクで送信され得る。これらの専用無線リソースは、例えば、gNBによって判定され、衛星に割り当てられ得る。他の例示的なオプションによれば、gNBは、無線リソースのプールを定義し、当該リソースプールについて衛星に通知することができる。そして、衛星は、リソースプールから無線リソースを選択し、それら無線リソースを使用して、更新済みチャネル状態を判定するためにUEによって使用されるべき下りリンク参照信号を送信することができる。UEは、例えば、選択された無線リソースについて、それらをチャネル状態判定のために使用することができるように通知されてもよい。
【0187】
他の記載された変形例と組み合わせて使用することもできるが使用する必要はない他の変形例では、UEのサービング衛星が、更新済み状態報告自体を復号することができない場合を扱う。したがって、そのような衛星は、改良された送信手順を実行するために必要とされる更新済みチャネル状態を判定することができなくてよい。通常のチャネル状態報告または更新済みチャネル状態報告を復号する能力を含め、異なる衛星の能力は非常に様々でありうる。この改良変形例では、更新済みチャネル状態報告を復号し、適切な情報をサービング衛星に提供するように、近傍の衛星の能力を使用することによってそのようなシナリオに対する解決策を提供する。
【0188】
おおまかに、変形例は、適切な能力を有する近傍衛星が、更新済みチャネル状態報告を受信し、それを復号し、サービング衛星に、更新済みチャネル状態に関する適切な情報を提供することに依存する。
【0189】
近傍の衛星がどのように更新済みチャネル状態報告を受信するかについて、様々な実装形態が可能である。例示的な一実装形態によれば、近傍衛星は、UEによってUEのサービング衛星に送信される更新済みチャネル状態報告の送信をモニタすることができる。近傍衛星によるモニタを容易にするために、UEによって更新済みチャネル状態報告のサービング衛星への送信に使用される無線リソースに関する情報が近傍衛星に(例えば、サービング衛星から、またはgNBから)提供され得る。したがって、近傍衛星は、更新済みチャネル状態報告のために、指示された無線リソースをモニタするだけでよい。
【0190】
他の例示的な実装形態によれば、UEは、2つの衛星(プライマリ(サービング)衛星および上位能力を有する近傍衛星)に同時に接続され得る(デュアルコネクティビティと同様)。この例示的な実装形態によれば、UEは、更新済みチャネル状態報告をセカンダリ(近傍)衛星に送信し、更新済みチャネル状態報告は、UEとプライマリ(サービング)衛星との間のチャネル状態に関する情報を提供する。また、この場合、セカンダリ(近傍)衛星は、更新済みチャネル状態報告を復号し、復号された情報をプライマリ(サービング)衛星に提供する。
【0191】
さらに他の例示的な実装形態によれば、図23に示すように、サービング衛星は、更新済みチャネル状態報告を近傍衛星に提供することができる。そして、この近傍衛星は、更新済みチャネル状態報告を復号し、復号された情報をサービング衛星に返す。
【0192】
いずれの場合も、上記の解決策により、UEにサービスする単純な衛星(例えば、サービング衛星が更新済みチャネル状態報告を復号することができず、更新済みチャネル状態を自身で判定することができないという点で単純な衛星)も、改良された送信手順に参加することができるようになる。
【0193】
gNBは、サービング衛星の代わりに更新済みチャネル状態報告を復号するための近傍衛星の発見および設定を担ってもよい。したがって、当該設定は、UEからの更新済みチャネル状態報告を受信および復号し、対応するサービング衛星に転送するように、(適切な能力を有する)近傍衛星に指示する。gNBによる設定はまた、例えば、近傍衛星が対応する無線リソースをモニタすることができるように、更新済みチャネル状態報告の送信にUEによって使用される特定の無線リソースを示してよい。
【0194】
近傍衛星がサービング衛星の代わりに更新済みチャネル状態報告を復号するこの解決策は、2つの衛星(近傍衛星とサービング衛星)の間の往復時間がサービング衛星とgNB(gNBは、サービング衛星に更新済みチャネル状態を提供することもできる)との間の往復時間よりも小さい場合に特に有用であるが、他の場合にも有用である。1つの例示的なオプションによれば、サービング衛星は、サービング衛星とgNBとの間、およびサービング衛星と近傍衛星との間のそれぞれの往復時間に応じて、更新済みチャネル状態報告を近傍衛星に送信するかgNBに送信するかを判定してもよい。例えば、サービング衛星は、更新済みチャネル状態報告を、近傍衛星またはgNBである最も近いエンティティに送信すると判定することができる。
【0195】
<さらなる態様>
第1の態様によれば、以下を含む非地上ネットワーク(NTN)エンティティが提供される。前記NTNエンティティの受信部は、ユーザ機器(UE)から、前記UEと前記NTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を受信する。前記NTNエンティティの送信部は、前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送する。前記受信部は、前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信する。前記NTNエンティティの処理部は、更新済みチャネル状態を判定する。前記処理部は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定する。前記処理部は、前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させる。
【0196】
第1の態様に加えて提供される第2の態様によれば、前記スケジューリング情報は、前記下りリンク送信用であり、前記受信部は、前記基地局から前記下りリンクスケジューリング情報に関連して下りリンクデータを受信する。前記処理部による前記送信電力の適応は、前記受信された下りリンクデータの前記下りリンク送信の前記送信電力を適応させることを含む。前記送信部は、前記下りリンクスケジューリング情報に従って、かつ前記適応された送信電力に基づいて前記UEへの前記下りリンクデータの前記下りリンク送信を実行する。
【0197】
第2の態様に加えて提供される第3の態様によれば、前記処理部は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信が成功するか否かに関する推定を実行する。前記判定された推定が、前記スケジューリングされた下りリンク送信が成功しない推定である場合、前記送信部は、前記スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記基地局に送信する。オプションの実装形態では、前記送信部は、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信を実行する。
【0198】
第3の態様に加えて提供される第4の態様によれば、前記処理部は、前記判定された推定に基づいて、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルするか否かを判定する。前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすると判定した場合、前記スケジューリングされた下りリンク送信は実行されず、前記送信部による前記否定応答の送信が実行される。前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしないと判定した場合、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信が実行される。オプションの実装形態では、前記処理部の前記判定では、前記UEが前記NTNエンティティのカバレッジ外である場合、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすると判定し、前記送信部は、前記下りリンクデータを、前記NTNエンティティから他のNTNエンティティへの前記UEのハンドオーバのターゲットである当該他のNTNエンティティに転送する。
【0199】
第2から第4の態様のうちの1つに加えて提供される第5の態様によれば、前記処理部は、前記UEに転送される前記下りリンクデータに関連付けられた優先度を判定する。前記スケジューリングされた下りリンク送信または上りリンク送信の送信電力を適応させるかの前記判定は、前記下りリンクデータに関連する前記優先度を考慮に入れる。オプションの実装形態では、前記下りリンクデータに関連付けられた前記優先度に関する情報が、前記データまたは前記下りリンクデータの前記下りリンク送信に関する前記下りリンクスケジューリング情報とともに含まれる。
【0200】
第1の態様に加えて提供される第6の態様によれば、前記スケジューリング情報は、上りリンク送信用である。前記処理部による前記送信電力の適応は、上りリンクデータの前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させることを含む。
【0201】
第6の態様に加えて提供される第7の態様によれば、前記上りリンク送信用に受信された前記スケジューリング情報は、複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を含み、前記異なる上りリンクスケジューリング情報は、少なくとも送信電力の値において互いに異なる。前記処理部による前記送信電力の適応は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、最も適切な送信電力を有する上りリンクスケジューリング情報を選択することを含む。前記送信部は、前記選択された上りリンクスケジューリング情報を前記UEに送信する。
【0202】
第6の態様に加えて提供される第8の態様によれば、前記上りリンク送信用に受信された前記スケジューリング情報は、前記スケジューリングされた上りリンク送信の送信電力の値を示す。前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクスケジューリング情報によって示された前記送信電力の値を適応させて異なる値にすることを含む。前記送信部は、前記送信電力の前記異なる値を有する前記上りリンクスケジューリング情報を前記UEに送信する。
【0203】
第6から第8の態様のうちの1つに加えて提供される第9の態様によれば、前記処理部は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記UEによる前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信が成功するか否かに関する推定を実行する。前記判定された推定が、前記スケジューリングされた上りリンク送信が成功しない推定である場合、前記送信部は、動作時、前記スケジューリングされた上りリンク送信に対する否定応答を前記基地局に送信する。オプションの実装形態では、前記送信部は、前記上りリンクスケジューリング情報を前記UEに送信する。
【0204】
第9の態様に加えて提供される第10の態様によれば、前記処理部は、前記判定された推定に基づいて、前記UEによる前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定する。前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定した場合、前記上りリンクスケジューリング情報は、前記UEに送信されない。前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルしないと判定した場合、前記上りリンクスケジューリング情報は、前記UEに送信される。
第1~第10の態様のうちの1つに加えて提供される第11の態様によれば、前記受信部は、前記NTNエンティティから前記UEへの以前の下りリンク送信に関して前記UEから受信される否定応答をモニタする。前記処理部による前記送信電力の適応は、前記モニタされた否定応答と、オプションとして前記UEから前記NTNエンティティへの以前の上りリンク送信に関する否定応答と、を考慮に入れる。オプションの実装形態では、モニタされた否定応答の量がNACK閾値よりも大きい場合、前記送信電力の適応は、前記送信電力を増加させる。
【0205】
第1~第11の態様のうちの1つに加えて提供される第12の態様によれば、前記送信電力を適応させることは、前記送信電力を増加または減少させることを含む。オプションの実装形態では、前記更新済みチャネル状態が、前記基地局に提供された以前のチャネル状態よりも劣化したチャネル状態を示す場合、前記送信電力が増加される。オプションの実装形態では、前記スケジューリングされた下りリンク送信または上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記スケジューリングされた送信のために満たされるべき最小送信関連パラメータにさらに基づく。
【0206】
第1から第12の態様のうちの1つに加えて提供される第13の態様によれば、前記受信部は、前記UEから更新済みチャネル状態報告を受信し、前記処理部による前記更新済みチャネル状態の前記判定は、前記受信された更新済みチャネル状態報告に基づいて実行される。加えて、または代替として、前記処理部は、前記チャネルにおいて実行される測定、前記スケジューリングされた下りリンク送信に対するフィードバック、および前記UEの位置に関する情報のうちの1つまたは複数から前記更新済みチャネル状態を推定する。
【0207】
第13の態様に加えて提供される第14の態様によれば、前記受信部は、更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有しかつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する他のNTNエンティティから復号された前記更新済みチャネル状態報告を受信する。オプションの実装形態では、前記NTNエンティティが前記更新済みチャネル状態報告を復号することができない場合、前記送信部は、更新済みチャネル状態報告を前記他のNTNエンティティに転送する。オプションの実装形態では、前記送信部は、前記更新済みチャネル状態報告を前記基地局に転送しない。
【0208】
第15の態様によれば、第13または第14の態様に加えて、前記処理部は、前記更新済みチャネル状態報告の前記NTNエンティティへの送信用に前記UEに割り当てられる専用上りリンク無線リソースを判定する。前記送信部は、前記判定された専用上りリンク無線リソースに関する上りリンクリソース情報を前記UEに提供する。オプションの実装形態では、前記処理部による前記専用上りリンク無線リソースの判定は、前記専用上りリンク無線リソースが、前記基地局によって割り当てられた上りリンク無線リソースのプールから判定されるように実行される。オプションの実装形態では、前記処理部は、更新済みチャネル状態の判定の際に使用される参照信号の前記UEへの送信に前記NTNエンティティによって使用される専用下りリンク無線リソースを判定する。オプションの実装形態では、前記処理部による前記専用下りリンク無線リソースの判定は、前記専用下りリンク無線リソースが、前記基地局によって割り当てられた下りリンク無線リソースのプールから判定されるように実行される。
【0209】
第13~第15の態様のうちの1つに加えて提供される第16の態様によれば、前記更新済みチャネル状態報告の内容は、前記チャネル状態報告の内容とは異なる。オプションの実装形態では、前記更新済みチャネル状態報告は、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較してチャネル状態が劣化したかどうかの通知を提供する。オプションの実装形態では、前記受信部は、前記更新済みチャネル状態報告の存在を検出するためのエネルギー検出を実行し、前記更新済みチャネル状態報告の存在は、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示された前記チャネル状態と比較した前記チャネル状態の劣化、または前記UEが前記NTNエンティティのカバレッジ外にあることなど、前記UEにおける特定の状況を示す。オプションの実装形態では、前記更新済みチャネル状態報告は、前記UEの現在の位置、前記UEの現在の移動方向、および前記UEの速度のうちの少なくとも一つを示す。
【0210】
第17の態様によれば、非地上ネットワーク(NTN)エンティティによって実行される、
・ ユーザ機器(UE:User Equipment)と前記NTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記UEから受信するステップと、
・ 前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送するステップと、
・ 前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信するステップと、
・ 更新済みチャネル状態を判定するステップと、
・ 前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定するステップと、
・ 前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるステップと、を含む、
方法が提供される。
【0211】
第18の態様によれば、以下を備えるユーザ機器(UE)が提供される。前記UEの送信部は、UEと非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信する。前記UEの処理部は、前記UEと前記NTNエンティティとの間のチャネルの更新済みチャネル状態を判定する。前記UEの受信部は、前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信する。前記処理部は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定する。前記処理部は、前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させる。前記送信部は、前記受信された上りリンクスケジューリング情報に従ってかつ前記適応された送信電力に基づいて前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行する。
【0212】
第18の態様に加えて提供される第19の態様によれば、前記処理部は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定する。前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定した場合、前記スケジューリングされた上りリンク送信は実行されない。前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルしないと判定した場合、前記スケジューリングされた上りリンク送信は実行される。
【0213】
第18または第19の態様に加えて提供される第20の態様によれば、前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記上りリンクデータの優先度を考慮に入れる。オプションの実装形態では、前記スケジューリングされた上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記スケジューリングされた上りリンク送信のために満たされるべき最小送信関連パラメータにさらに基づく。
【0214】
第18の態様から第20の態様のうちの1つに加えて提供される第21の態様によれば、前記処理部は、前記更新済みチャネル状態を示す更新済みチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するか否かを判定する。前記処理部の前記判定が、前記更新済みチャネル状態報告を送信すると判定する場合、前記送信部は、前記更新済みチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信する。オプションの実装形態では、前記更新済みチャネル状態報告を送信するか否かの前記処理部の前記判定は、少なくとも一つの条件が満たされることを含む。オプションの実装形態では、前記少なくとも一つの条件のうちの1つは、チャネル状態が、以前に送信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して劣化したことである。
【0215】
第21の態様に加えて提供される第22の態様によれば、前記受信部は、前記NTNエンティティへの前記更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な上りリンク無線リソースを通知する上りリンクリソース情報を前記NTNエンティティから受信する。前記送信部による前記更新済みチャネル状態報告の前記送信では、前記通知された上りリンク無線リソースが使用される。
【0216】
第21または第22の態様に加えて提供される第23の態様によれば、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を他のNTNエンティティに送信し、前記他のNTNエンティティは、前記更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有し、かつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する。オプションの実装形態では、前記UEは、前記NTNエンティティと前記他のNTNエンティティとに同時に接続される。
【0217】
第18~第23の態様のうちの1つに加えて提供される第24の態様によれば、前記受信部は、前記NTNエンティティから下りリンクデータ送信を受信する。前記受信部は、前記下りリンクデータ送信に対する否定応答が基地局に既に送信されたことを示すNACK通知を前記NTNエンティティから受信する。前記処理部は、前記受信された下りリンクデータ送信の復号が成功しない場合でも、前記受信された下りリンクデータ送信に対する否定応答を送信しないと判定する。
【0218】
第21~第24の態様のうちの1つに加えて提供される第25の態様によれば、前記更新済みチャネル状態報告の内容は、前記チャネル状態報告の内容とは異なる。オプションの実装形態では、前記更新済みチャネル状態報告は、前記以前に送信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して、チャネル状態が劣化したか否かの通知を提供する。オプションの実装形態では、前記送信部は、前記NTNエンティティの前記受信部がエネルギー検出に基づいて、前記更新済みチャネル状態報告の前記送信の存在を検出することができるように、前記更新済みチャネル状態報告の前記送信を実行し、前記更新済みチャネル状態報告を送信することは、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示された前記チャネル状態と比較して、前記チャネル状態の劣化を示す。オプションの実装形態では、前記更新済みチャネル状態報告は、前記UEの現在の位置、前記UEの現在の移動方向、および前記UEの速度のうちの少なくとも一つを示す。
【0219】
第26の態様によれば、ユーザ機器(UE)によって実行される、
・ 前記UEと非地上ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するステップと、
・ 前記UEと前記NTNエンティティとの間の前記チャネルの更新済みチャネル状態を判定するステップと、
・ 前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信するステップと、
・ 前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定するステップと、
・ 前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させるステップと、
・ 前記受信された上りリンクスケジューリング情報に従って、かつ前記適応された送信電力に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行するステップと、
を含む方法が提供される。
【0220】
第27の態様によれば、以下を備える基地局が提供される。基地局の受信部は、ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信する。処理部は、前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備し前記異なる上りリンクスケジューリング情報は、少なくとも送信電力の値において互いに異なる。送信部は、前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信する。
【0221】
第27の態様に加えて提供される第28の態様によれば、前記処理部は、前記NTNエンティティへの更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な無線リソースのプールを判定する。送信部は、前記判定された無線リソースのプールに関する情報を前記NTNエンティティに送信する。オプションの実装形態では、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記基地局に転送しないように前記NTNエンティティを設定するための設定メッセージを前記NTNエンティティに送信する。
【0222】
第27または第28の態様に加えて提供される第29の態様によれば、前記送信部は、更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有しかつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する他のNTNエンティティに設定メッセージを送信する。前記設定メッセージにより、前記他のNTNエンティティは、UEから更新済みチャネル状態報告を受信および復号するように、また、前記UEにサービングしている前記NTNエンティティに前記更新済みチャネル状態報告を転送するように設定される。オプションの実装形態では、前記設定メッセージは、前記更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な無線リソースを示す。
【0223】
第27から第29の態様のうちの1つに加えて提供される第30の態様によれば、前記受信部は、前記UEへの下りリンクデータの以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記NTNエンティティから受信し、前記否定応答は、前記NTNエンティティが前記UEへの前記下りリンクデータの前記以前スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしたことをさらに示す。前記処理部は、前記否定応答に基づいて、前記UEに対する前記下りリンクデータの再送を、当該再送が前記下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように実行すると判定する。前記送信部は、下りリンクスケジューリング情報および前記下りリンクデータを、前記UEに転送されるように前記NTNエンティティに再送する。オプションの実装形態では、前記下りリンクデータ用の前記下りリンクスケジューリング情報は、前記送信された下りリンクデータが前記下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように、前記送信された下りリンクデータが新しい下りリンクデータであることを示す。
【0224】
第27から第29の態様のうちの1つに加えて提供される第31の態様によれば、前記受信部は、前記NTNエンティティから、前記UEへの下りリンクデータの以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を受信する。前記処理部は、前記否定応答に基づいて、前記UEに対する前記下りリンクデータの再送を実行すると判定する。前記送信部は、前記下りリンクスケジューリング情報および前記下りリンクデータを、前記UEに転送されるように前記NTNエンティティに再送し、オプションとして、前記再送では、前記再送用に前記下りリンクデータの異なるバージョンが使用される。
【0225】
第30のまたは第31の態様に加えて提供される第32の態様によれば、前記送信部は、前記下りリンクデータの優先度に関する情報を前記NTNエンティティに送信する。オプションの実装形態では、前記優先度情報は、前記下りリンクデータとともに、または前記下りリンクデータの前記送信に関する前記下りリンクスケジューリング情報とともに含まれる。オプションの実装形態では、前記送信部は、最小送信関連パラメータを前記NTNエンティティに送信する。前記最小送信関連パラメータは、前記スケジューリングされた送信によって満たされるべき最小条件を示し、前記スケジューリングされた送信に対して前記送信電力を適応させるかを判定する処理において使用される。
【0226】
第27から第32の態様のうちの1つに加えて提供される第33の態様によれば、前記異なる上りリンクスケジューリング情報は、さらに、前記上りリンクデータの変調次数の値または符号化率の値が互いに異なる。
【0227】
第34の態様によれば、基地局によって実行される、
・ ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信するステップと、
・ 前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備するステップと、
・ 前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信するステップと、
を含む方法が提供される。
【0228】
第35の態様によれば、動作時、非地上ネットワーク(NTN)エンティティによって実行される、
・ ユーザ機器(UE)と前記NTNエンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記UEから受信するステップと、
・ 前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送するステップと、
・ 前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信するステップと、
・ 更新済みチャネル状態を判定するステップと、
・ 前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定するステップと、
・ 前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるステップと、
を含む、NTNエンティティの処理を制御する集積回路が提供される。
【0229】
第36の態様によれば、動作時、ユーザ機器(UE)によって実行される、
・ 前記UEと非地上ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するステップと、
・ 前記UEと前記NTNエンティティとの間の前記チャネルの更新済みチャネル状態を判定するステップと、
・ 前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信するステップと、
・ 前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定するステップと、
・ 前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させるステップと、
・ 前記受信された上りリンクスケジューリング情報に従って、かつ前記適応された送信電力に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行するステップと、
を含む、UEの処理を制御する集積回路が提供される。
【0230】
第37の態様によれば、動作時、基地局によって実行される、
・ ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信するステップと、
・ 前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備するステップと、
・ 前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信するステップと、
を含む、基地局の処理を制御する集積回路が提供される。
【0231】
[ハードウェアおよびソフトウェアによる本開示の実施]
本開示はソフトウェア、ハードウェア、または、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的にまたは全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的にまたは全体的に、一つのLSIまたはLSIの組み合わせによって制御されうる。LSIは個々のチップから構成され得、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されうる。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサまたは専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実現されうる。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0232】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。
【0233】
通信装置は無線送受信部(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信部は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信部(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。
【0234】
通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物または移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、および上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0235】
通信装置は、持ち運び可能または移動可能なものに限定されず、持ち運びできないまたは固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーターまたは計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在してよいあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0236】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0237】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続または連結される、制御部やセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、制御部やセンサが含まれる。
【0238】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0239】
(制御信号)
本開示において、本開示に係る下りリンク制御信号(情報)は、物理レイヤのPDCCHを介して送信される信号(情報)であってもよく、上位レイヤまたはRRCのMAC Control Element(CE)を介して送信される信号(情報)でありうる。下りリンク制御信号は、予め定義された信号(情報)でありうる。
【0240】
本開示に係る上りリンク制御信号(情報)は、物理レイヤのPUCCHを介して送信される信号(情報)であってもよく、上位レイヤまたはRRCのMAC CEを介して送信される信号(情報)でありうる。また、上りリンク制御信号は、予め定義される信号(情報)でありうる。上りリンク制御信号は、上りリンク制御情報(UCI:Uplink Control Information)、第1段階サイドリンク制御情報(SCI:sildelink control information)、または第2段階SCIでありうる。
【0241】
(基地局)
本開示において、基地局は、例えば、送受信点(TRP:Transmission Reception Point)、クラスタヘッド、アクセスポイント、遠隔無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、基地局(BS:Base Station)、基地局送受信部(BTS:Base Transceiver Station)、ベースユニット(base unit)、またはゲートウェイでありうる。また、サイドリンク通信では、基地局の代わりに端末が用いられうる。基地局は、上位ノードと端末との間の通信を中継する中継装置でありうる。基地局は、路側機でありうる。
【0242】
(上りリンク/下りリンク/サイドリンク)
本開示は、上りリンク、下りリンク、およびサイドリンクのいずれに適用されてもよい。
【0243】
本開示は、例えば、PUSCH、PUCCH、およびPRACH等の上りリンクチャネル、PDSCH、PDCCH、およびPBCH等の下りリンクチャネル、ならびに物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical Sidelink Shared Channel)、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical Sidelink Control Channel)、および物理サイドリンク報知チャネル(PSBCH:Physical Sidelink Broadcast Channel)等のサイドリンクチャネルに適用されうる。
【0244】
PDCCH、PDSCH、PUSCH、およびPUCCHは、それぞれ、下りリンク制御チャネル、下りリンクデータチャネル、上りリンクデータチャネル、上りリンク制御チャネルの一例である。PSCCHおよびPSSCHは、それぞれ、サイドリンク制御チャネルおよびサイドリンクデータチャネルの例である。PBCHおよびPSBCHはそれぞれ、報知チャネルの例であり、PRACHは、ランダムアクセスチャネルの例である。
【0245】
(データチャネル/制御チャネル)
本開示は、データチャネルおよび制御チャネルのいずれに適用されてもよい。本開示におけるチャネルは、PDSCH、PUSCH、およびPSSCHを含むデータチャネル、ならびに/またはPDCCH、PUCCH、PBCH、PSCCH、およびPSBCHを含む制御チャネルと置き換えられうる。
【0246】
(参照信号)
本開示では、参照信号は、基地局と移動局の両方に既知の信号であり、各参照信号は、参照信号(RS)またはパイロット信号と呼ばれることがある。参照信号は、DMRS、チャネル状態情報-参照信号(CSI-RS:Channel State Information - Reference Signal)、トラッキング参照信号(TRS:Tracking Reference Signal)、位相トラッキング参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、およびサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)のうちのいずれかでありうる。
【0247】
(時間間隔)
本開示では、時間リソース単位は、スロットおよびシンボルの1つまたは組合せに限定されず、フレーム、スーパーフレーム、サブフレーム、スロット、タイムスロットのサブスロット、ミニスロット、またはシンボル、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、シングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC-FDMA:Single Carrier-Frequency Division Multiplexing Access)シンボル、または他の時間リソース単位などの時間リソース単位であってよい。1スロットに含まれるシンボルの数は、上述した実施の形態で例示したシンボルの数に限定されるものではなく、他のシンボルの数であってもよい。
【0248】
(周波数帯域)
本開示は、ライセンスバンドおよびアンライセンスバンドのいずれに適用されてもよい。
【0249】
(通信)
本開示は、基地局と端末との通信(Uuリンク通信)、端末と端末との通信(サイドリンク通信)、およびV2X(Vehicle to Everything)通信のいずれに適用されてもよい。本開示におけるチャネルは、PSCCH、PSSCH、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH)、PSBCH、PDCCH、PUCCH、PDSCH、PUSCH、およびPBCHと言い換えてもよい。
【0250】
また、本開示は、地上のネットワーク、または、衛星もしくは高度疑似衛星(HAPS:High Altitude Pseudo Satellite)を用いた地上ネットワーク以外のネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)のいずれにも適用することができる。また、本開示は、セルサイズが大きいネットワークや、超広帯域送信ネットワークのようにシンボル長またはスロット長に比べて遅延が大きい地上ネットワークにも適用されうる。
【0251】
(アンテナポート)
アンテナポートは、1つまたは複数の物理アンテナから形成される論理アンテナ(アンテナグループ)を指す。すなわち、アンテナポートとは、必ずしも1つの物理アンテナを指すもためはなく、複数のアンテナ等からなるアレーアンテナを指す場合もある。例えば、アンテナポートを構成する物理アンテナの数は定義されておらず、その代わりに、アンテナポートは、端末が参照信号を送信することを許可される最小単位として定義される。アンテナポートはまた、プリコーディングベクトル重み付けの乗算のための最小単位として定義されうる。
【0252】
さらに、さまざまな実施の形態は、ソフトウェアモジュールによっても実施され得る。これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行されるか、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMまたはEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD-ROM、DVDなどに格納され得る。さらには、複数の異なる実施の形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の実施の形態の主題とすることができることに留意されたい。
【0253】
具体的な実施の形態に示した本開示には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および/または修正を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施の形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非地上ネットワーク(NTN)エンティティであって、
動作時、ユーザ機器(UE)と前記非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記UEから受信する受信部と、
動作時、前記受信されたチャネル状態報告を基地局に転送する送信部と、
動作時、更新済みチャネル状態を判定する処理部と、
を備え、
前記受信部は、動作時、前記UEにおけるデータの下りリンク送信または上りリンク送信に関するスケジューリング情報を前記基地局から受信し、
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記受信されたスケジューリング情報に応じた前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して送信電力を適応させるかを判定し、
前記処理部は、前記送信電力を適応させると判定した場合、前記下りリンク送信または前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させる、
NTNエンティティ。
【請求項2】
前記スケジューリング情報は、下りリンク送信用であり、前記受信部は、動作時、前記基地局から前記下りリンク送信用のスケジューリング情報に関連して下りリンクデータを受信し、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記受信された下りリンクデータの前記下りリンク送信の前記送信電力を適応させることを含み、
前記送信部は、動作時、前記下りリンク送信用のスケジューリング情報に従って、かつ、前記適応された送信電力に基づいて、前記下りリンクデータの前記UEへの前記下りリンク送信を実行する、
請求項1に記載のNTNエンティティ。
【請求項3】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信が成功するか否かに関する推定を実行し、
前記判定された推定が、前記スケジューリングされた下りリンク送信が成功しないという推定である場合、前記送信部は、動作時、前記スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記基地局に送信し、
オプションとして、前記送信部は、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信を実行する、
請求項2に記載のNTNエンティティ。
【請求項4】
前記処理部は、動作時、前記判定された推定に基づいて、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルするか否かを判定し、
前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすると判定された場合、前記スケジューリングされた下りリンク送信は実行されず、前記送信部による前記否定応答の前記送信が実行され、
前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしないと判定された場合、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信は実行され、
オプションとして、前記処理部の前記判定では、前記UEが前記NTNエンティティのカバレッジ外である場合、前記UEへの前記下りリンクデータの前記スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルすると判定され、前記送信部は、動作時、前記下りリンクデータを、前記NTNエンティティから他のNTNエンティティへの前記UEのハンドオーバのターゲットである当該他のNTNエンティティに転送する、
請求項3に記載のNTNエンティティ。
【請求項5】
前記処理部は、動作時、前記UEに転送される前記下りリンクデータに関連付けられた優先度を判定し、前記スケジューリングされた下りリンク送信または上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記下りリンクデータに関連付けられた前記優先度を考慮に入れ、
オプションとして、前記下りリンクデータに関連付けられた前記優先度に関する情報は、前記下りリンクデータとともに、または、前記下りリンクデータの前記下りリンク送信に関する前記下りリンク送信用のスケジューリング情報とともに含まれる、
請求項2~4のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項6】
前記スケジューリング情報は、上りリンク送信用であり、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、上りリンクデータの前記上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させることを含む、
請求項1に記載のNTNエンティティ。
【請求項7】
前記上りリンク送信用に受信された前記スケジューリング情報は、複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を含み、前記異なる上りリンクスケジューリング情報は、少なくとも送信電力の値において互いに異なり、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、最も適切な送信電力を有する上りリンクスケジューリング情報を選択することを含み、
前記送信部は、動作時、前記選択された上りリンクスケジューリング情報を前記UEに送信する、
請求項6に記載のNTNエンティティ。
【請求項8】
前記上りリンク送信用に受信された前記スケジューリング情報は、前記スケジューリングされた上りリンク送信の送信電力の値を示し、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報によって示された前記送信電力の値を適応させて異なる値にすることを含み、
前記送信部は、動作時、前記送信電力の前記異なる値を有する前記上りリンク送信用のスケジューリング情報を前記UEに送信する、
請求項6に記載のNTNエンティティ。
【請求項9】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記UEによる前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信が成功するか否かに関する推定を実行し、
前記判定された推定が、前記スケジューリングされた上りリンク送信が成功しないという推定である場合、前記送信部は、動作時、前記スケジューリングされた上りリンク送信に対する否定応答を前記基地局に送信し、
オプションとして、前記送信部は、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報を前記UEに送信する、
請求項6~8のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項10】
前記処理部は、動作時、前記判定された推定に基づいて、前記UEによる前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定し、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定された場合、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報は、前記UEに送信されず、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルしないと判定された場合、前記上りリンク送信用のスケジューリング情報は、前記UEに送信される、
請求項9に記載のNTNエンティティ。
【請求項11】
前記受信部は、動作時、前記NTNエンティティから前記UEへの以前の下りリンク送信に関して前記UEから受信される否定応答をモニタし、
前記処理部による前記送信電力の前記適応は、前記モニタされた否定応答と、オプションとして前記UEから前記NTNエンティティへの以前の上りリンク送信に関する否定応答と、を考慮に入れ、
オプションとして、モニタされた否定応答の量がNACK閾値よりも大きい場合、前記送信電力の前記適応は、前記送信電力を増加させる、
請求項1~10のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項12】
前記送信電力を適応させることは、前記送信電力を増加または減少させることを含み、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態が、前記基地局に提供された以前のチャネル状態よりも劣化したチャネル状態を示す場合、前記送信電力は増加され、
オプションとして、前記スケジューリングされた下りリンク送信または上りリンク送信に対して前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記スケジューリングされた送信のために満たされるべき最小送信関連パラメータにさらに基づく、
請求項1~11のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項13】
前記受信部は、動作時、前記UEから更新済みチャネル状態報告を受信し、前記処理部による前記更新済みチャネル状態の前記判定は、前記受信された更新済みチャネル状態報告に基づいて実行される、かつ/または、
前記処理部は、前記チャネルにおいて実行される測定、前記スケジューリングされた下りリンク送信に対するフィードバック、および前記UEの位置に関する情報のうちの1つまたは複数から前記更新済みチャネル状態を推定する、
請求項1~12のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項14】
前記受信部は、動作時、更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有しかつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する他のNTNエンティティから、復号された更新済みチャネル状態報告を受信し、
オプションとして、前記NTNエンティティが前記更新済みチャネル状態報告を復号できない場合、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記他のNTNエンティティに転送し、
オプションとして、前記送信部は、前記更新済みチャネル状態報告を前記基地局に転送しない、
請求項13に記載のNTNエンティティ。
【請求項15】
前記処理部は、動作時、前記NTNエンティティへの前記更新済みチャネル状態報告の送信用に前記UEに割り当てられる専用上りリンク無線リソースを判定し、前記送信部は、動作時、前記判定された専用上りリンク無線リソースに関する上りリンクリソース情報を前記UEに提供し、
オプションとして、前記処理部による前記専用上りリンク無線リソースの判定は、前記専用上りリンク無線リソースが、前記基地局によって割り当てられた上りリンク無線リソースのプールから判定されるように実行され、
オプションとして、前記処理部は、動作時、更新済みチャネル状態の判定の際に使用される参照信号の前記UEへの送信に前記NTNエンティティによって使用される専用下りリンク無線リソースを判定し、オプションとして、前記処理部による前記専用下りリンク無線リソースの判定は、前記専用下りリンク無線リソースが、前記基地局によって割り当てられた下りリンク無線リソースのプールから判定されるように実行される、
請求項13または14に記載のNTNエンティティ。
【請求項16】
前記更新済みチャネル状態報告の内容は、前記チャネル状態報告の内容とは異なり、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、以前に受信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較してチャネル状態が劣化したかどうかの通知を提供し、
オプションとして、前記受信部は、前記更新済みチャネル状態報告の存在を検出するためのエネルギー検出を実行し、前記更新済みチャネル状態報告の存在は、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示された前記チャネル状態と比較した前記チャネル状態の劣化、または、前記UEが前記NTNエンティティのカバレッジ外にあることを含む、前記UEにおける特定の状況を示し、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、前記UEの現在の位置、前記UEの現在の移動方向、および前記UEの速度のうちの少なくとも一つを示す、
請求項13~15のいずれか一項に記載のNTNエンティティ。
【請求項17】
ユーザ機器(UE)であって、
動作時、前記ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信する送信部と、
動作時、前記UEと前記NTNエンティティとの間の前記チャネルの更新済みチャネル状態を判定する処理部と、
動作時、前記UEから前記NTNエンティティへの上りリンクデータの上りリンク送信用の上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティから受信する受信部と、
を備え、
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記上りリンクデータの前記上りリンク送信の送信電力を適応させるかを判定し、
前記処理部は、前記送信電力を適応させると判定した場合、前記送信電力を適応させ、
前記送信部は、動作時、前記受信された上りリンク送信用のスケジューリング情報に従ってかつ前記適応された送信電力に基づいて前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記上りリンク送信を実行する、
UE。
【請求項18】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態に基づいて、前記NTNエンティティへの前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルするか否かを判定し、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルすると判定された場合、前記スケジューリングされた上りリンク送信は実行されず、
前記スケジューリングされた上りリンク送信をキャンセルしないと判定された場合、前記スケジューリングされた上りリンク送信は実行される、
請求項17に記載のUE。
【請求項19】
前記上りリンクデータの前記スケジューリングされた上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記上りリンクデータの優先度を考慮に入れ、
オプションとして、前記スケジューリングされた上りリンク送信の前記送信電力を適応させるかの前記判定は、前記スケジューリングされた上りリンク送信のために満たされるべき最小送信関連パラメータにさらに基づく、
請求項17または18に記載のUE。
【請求項20】
前記処理部は、動作時、前記更新済みチャネル状態を示す更新済みチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信するか否かを判定し、
前記処理部の前記判定が、前記更新済みチャネル状態報告を送信すると判定する場合、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記NTNエンティティに送信し、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告を送信するか否かの前記処理部の前記判定は、少なくとも一つの条件が満たされることを含み、オプションとして、前記少なくとも一つの条件のうちの1つは、チャネル状態が、以前に送信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して劣化したことである、
請求項1719のいずれか一項に記載のUE。
【請求項21】
前記受信部は、動作時、前記NTNエンティティへの前記更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な上りリンク無線リソースを示す上りリンクリソース情報を前記NTNエンティティから受信し、
前記送信部による前記更新済みチャネル状態報告の前記送信では、前記示された上りリンク無線リソースが使用される、
請求項20に記載のUE。
【請求項22】
前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を他のNTNエンティティに送信し、前記他のNTNエンティティは、前記更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有し、かつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有し、
オプションとして、前記UEは、前記NTNエンティティと前記他のNTNエンティティとに同時に接続される、
請求項20または21に記載のUE。
【請求項23】
前記受信部は、動作時、前記NTNエンティティから下りリンクデータ送信を受信し、
前記受信部は、動作時、前記下りリンクデータ送信に対する否定応答が基地局に既に送信されたことを示すNACK通知を前記NTNエンティティから受信し、
前記処理部は、動作時、前記受信された下りリンクデータ送信の復号が成功しない場合でも、前記受信された下りリンクデータ送信に対する否定応答を送信しないと判定する、
請求項1722のいずれか一項に記載のUE。
【請求項24】
前記更新済みチャネル状態報告の内容は、前記チャネル状態報告の内容とは異なり、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、前記以前に送信されたチャネル状態報告によって示されたチャネル状態と比較して、チャネル状態が劣化したか否かの通知を提供し、
オプションとして、前記送信部は、前記NTNエンティティの前記受信部がエネルギー検出に基づいて、前記更新済みチャネル状態報告の前記送信の存在を検出できるように、前記更新済みチャネル状態報告の前記送信を実行し、前記更新済みチャネル状態報告を送信することは、前記以前に受信されたチャネル状態報告によって示された前記チャネル状態と比較して、前記チャネル状態の劣化を示し、
オプションとして、前記更新済みチャネル状態報告は、前記UEの現在の位置、前記UEの現在の移動方向、および前記UEの速度のうちの少なくとも一つを示す、
請求項2023のいずれか一項に記載のUE。
【請求項25】
動作時、ユーザ機器(UE)と非地上ネットワーク(NTN)エンティティとの間のチャネルに関する情報を提供するチャネル状態報告を前記NTNエンティティから受信する受信部と、
動作時、前記受信されたチャネル状態報告に基づいて、前記UEによる上りリンクデータの送信用の、少なくとも送信電力の値において互いに異なる複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を準備する処理部と、
動作時、前記準備された複数の異なる上りリンクスケジューリング情報を前記NTNエンティティに送信する送信部と、
を備える、基地局。
【請求項26】
前記処理部は、動作時、前記NTNエンティティへの更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な無線リソースのプールを判定し、
前記送信部は、動作時、前記判定された無線リソースのプールに関する情報を前記NTNエンティティに送信し、
オプションとして、前記送信部は、動作時、前記更新済みチャネル状態報告を前記基地局に転送しないように前記NTNエンティティを設定するための設定メッセージを前記NTNエンティティに送信する、
請求項25に記載の基地局。
【請求項27】
前記送信部は、動作時、更新済みチャネル状態報告を復号する能力を有しかつ前記NTNエンティティへの送信リンクを有する他のNTNエンティティに設定メッセージを送信し、前記設定メッセージにより、前記他のNTNエンティティは、UEから更新済みチャネル状態報告を受信および復号するように、また、前記UEにサービングしている前記NTNエンティティに前記更新済みチャネル状態報告を転送するように設定され、
オプションとして、前記設定メッセージは、前記更新済みチャネル状態報告の送信に前記UEによって使用可能な無線リソースを示す、
請求項25または26に記載の基地局。
【請求項28】
前記受信部は、動作時、前記UEへの下りリンクデータの以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記NTNエンティティから受信し、前記否定応答は、前記NTNエンティティが前記UEへの前記下りリンクデータの前記以前スケジューリングされた下りリンク送信をキャンセルしたことをさらに示し、
前記処理部は、動作時、前記否定応答に基づいて、前記UEに対する前記下りリンクデータの再送を、当該再送が前記下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように実行すると判定し、
前記送信部は、動作時、下りリンクスケジューリング情報および前記下りリンクデータを、前記UEに転送されるように前記NTNエンティティに再送し、
オプションとして、前記下りリンクデータ用の前記下りリンクスケジューリング情報は、前記送信された下りリンクデータが前記下りリンクデータの初送であり、再送ではないかのように、前記送信された下りリンクデータが新しい下りリンクデータであることを示す、
請求項2527のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項29】
前記受信部は、動作時、前記UEへの下りリンクデータの以前スケジューリングされた下りリンク送信に対する否定応答を前記NTNエンティティから受信し、
前記処理部は、動作時、前記否定応答に基づいて、前記UEに対する前記下りリンクデータの再送を実行すると判定し、
前記送信部は、動作時、下りリンクスケジューリング情報および前記下りリンクデータを、前記UEに転送されるように前記NTNエンティティに再送し、オプションとして、前記再送では、前記再送用に前記下りリンクデータの異なるバージョンが使用される、
請求項2527のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項30】
前記送信部は、動作時、前記下りリンクデータの優先度に関する情報を前記NTNエンティティに送信し、
オプションとして、前記優先度に関する情報は、前記下りリンクデータとともに、または、前記下りリンクデータの前記送信に関する前記下りリンクスケジューリング情報とともに含まれ、
オプションとして、前記送信部は、動作時、最小送信関連パラメータを前記NTNエンティティに送信し、前記最小送信関連パラメータは、前記スケジューリングされた送信によって満たされるべき最小条件を示し、前記スケジューリングされた送信に対して前記送信電力を適応させるかを判定する処理において使用される、
請求項28または29に記載の基地局。
【国際調査報告】