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特表2023-553180電池パックおよびこれを含むデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】電池パックおよびこれを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/211 20210101AFI20231213BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/502 20210101ALI20231213BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231213BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/289
H01M50/502
H01M50/204 401F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535938
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2022002884
(87)【国際公開番号】W WO2022225168
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0051382
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・シン
(72)【発明者】
【氏名】チャンヒョン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA37
5H040AS01
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040DD03
5H040DD07
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA15
5H043BA18
5H043BA19
5H043CA05
5H043CA08
5H043FA08
(57)【要約】
本発明の一実施形態による電池パックは、複数の電池セルを含む電池モジュール、および前記電池モジュールを収納するパックフレームを含む。前記パックフレームの内部で、前記電池モジュールは幅方向に沿って1列に配置されて電池モジュール群を形成し、前記電池モジュールの内部で前記電池セルが前記幅方向に沿って積層されて電池セル積層体を形成する。前記電池モジュール群の上面全体をカバーするカバー部材が前記電池モジュール群の前記上面と前記パックフレームの間に位置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池モジュール、および
前記電池モジュールを収納するパックフレームを含み、
前記パックフレームの内部で、前記電池モジュールは幅方向に沿って1列に配置されて電池モジュール群を形成し、
前記電池モジュールの内部で前記電池セルが前記幅方向に沿って積層されて電池セル積層体を形成し、
前記電池モジュール群の上面全体をカバーするカバー部材が前記電池モジュール群の前記上面と前記パックフレームの間に位置する、電池パック。
【請求項2】
前記電池セルのセル本体の一面が前記パックフレームの底部と垂直になるように直立した状態で、前記電池セルが前記幅方向に沿って積層される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記電池セルはパウチ型電池セルである、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池モジュール群は、前記幅方向に沿って互いに離隔した第1電池モジュール群および第2電池モジュール群を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記第1電池モジュール群の上面をカバーする第1カバー部材および前記第2電池モジュール群の上面をカバーする第2カバー部材を含む、請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1カバー部材は、前記第1電池モジュール群の前記上面全体と対応するように位置する、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第2カバー部材は、前記第2電池モジュール群の前記上面全体と対応するように位置する、請求項5又は6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記パックフレームは、前記第1電池モジュール群と前記第2電池モジュール群の間に位置する隔壁部を含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記電池モジュールのうち、隣接する電池モジュール同士を連結する連結部材をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項による電池パックを含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2021年4月20日付韓国特許出願第10-2021-0051382号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものであって、より具体的には、火炎発生に対する安全性が向上した電池パックおよびこれを含むデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
現代社会では携帯電話機、ノートパソコン、キャムコーダー、デジタルカメラなどの携帯型機器の使用が日常化するにつれて、前記のようなモバイル機器関連分野の技術に対する開発が活発になっている。また、充放電の可能な二次電池は化石燃料を使用する既存のガソリン車両などの大気汚染などを解決するための方案であって、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P-HEV)などの動力源として用いられているところ、二次電池に対する開発の必要性が高まっている。
【0004】
現在商用化された二次電池としてはニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがあり、このうちのリチウム二次電池はニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらなくて充放電が自由であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという長所で脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は主にリチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレータを挟んで配置された電極組立体、および電極組立体を電解液と共に密封収納する電池ケースを備える。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池に分類することができる。
【0007】
小型機器に用いられる二次電池の場合、二つ~三つの電池セルが配置されるが、自動車などのような中大型デバイスに用いられる二次電池の場合は、複数の電池セルを電気的に連結した電池モジュール(Battery module)が用いられる。このような電池モジュールは複数の電池セルが互いに直列または並列に連結されて電池セル積層体を形成することによって容量および出力が向上する。また、一つ以上の電池モジュールは、BMS(Battery Management System)、冷却システムなどの各種制御および保護システムと共に装着されて電池パックを形成することができる。
【0008】
複数の電池モジュールが集まった電池パックは、複数の電池セルから出る熱が狭い空間で合算されて温度が急速かつ急激に上がることがある。言い換えれば、複数の電池セルが積層された電池モジュールとこのような電池モジュールが装着された電池パックの場合、高い出力を得ることができるが、充電および放電時、電池セルで発生する熱を除去することが容易でない。電池セルの放熱がろくに行われない場合、電池セルの劣化が速くなりながら寿命が短くなり、爆発や発火の可能性が大きくなる。
【0009】
さらに、車両用電池パックに含まれる電池モジュールの場合、直射光線に頻繁に露出され、夏季や砂漠地域のような高温条件に置かれることがある。また、車両の走行距離を増やすために複数の電池モジュールを集約的に配置するため、いずれか一つの電池モジュールで発生した火炎や熱が隣接の電池モジュールに伝播し易くて、終局的に電池パック自体の発火や爆発につながることがある。
【0010】
よって、いずれか一つの電池セルで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、電池パック自体の火災や爆発につながらないモデルに関する設計が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、いずれか一つの電池セルで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、前記熱暴走現象が火災や爆発につながるのを防止することができる電池パックおよびこれを含むデバイスを提供することである。
【0012】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は上述の課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張できる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による電池パックは、複数の電池セルを含む電池モジュール、および前記電池モジュールを収納するパックフレームを含む。前記パックフレームの内部で、前記電池モジュールは幅方向に沿って1列に配置されて電池モジュール群を形成し、前記電池モジュールの内部で前記電池セルが前記幅方向に沿って積層されて電池セル積層体を形成する。前記電池モジュール群の上面全体をカバーするカバー部材が前記電池モジュール群の前記上面と前記パックフレームの間に位置する。
【0014】
前記電池セルのセル本体一面が前記パックフレームの底部と垂直になるように直立した状態で、前記電池セルが前記幅方向に沿って積層できる。
【0015】
前記電池セルはパウチ型電池セルであってもよい。
【0016】
前記電池モジュール群は、前記幅方向に沿って互いに離隔した第1電池モジュール群および第2電池モジュール群を含むことができる。
【0017】
前記カバー部材は、前記第1電池モジュール群の上面をカバーする第1カバー部材および前記第2電池モジュール群の上面をカバーする第2カバー部材を含むことができる。
【0018】
前記第1カバー部材は、前記第1電池モジュール群の前記上面全体と対応するように配置することができる。
【0019】
前記第2カバー部材は、前記第2電池モジュール群の前記上面全体と対応するように配置することができる。
【0020】
前記パックフレームは、前記第1電池モジュール群と前記第2電池モジュール群の間に位置する隔壁部を含むことができる。
【0021】
前記電池モジュールのうちの隣接の電池モジュールを連結する連結部材をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、いずれか一つの電池セルで熱暴走(thermal runaway)現象が発生しても、順次に熱伝播(thermalpropagation)が行われるように設計されて、電池パック単位での火災や爆発を防止することができる。
【0023】
本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求範囲の記載から当業者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による電池モジュールおよび連結部材を示した斜視図である。
図2図1の電池モジュールに対する分解斜視図である。
図3図2の電池モジュールに含まれている電池セルに対する斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による電池パックに対する断面図である。
図5図4の電池パックにおいていずれか一つの電池セルに熱暴走現象が発生した様子を概略的に表現した断面図である。
図6】本発明の他の一実施形態による電池パックに対する断面図である。
図7図6の電池パックにおいていずれか一つの電池セルに熱暴走現象が発生した様子を概略的に表現した断面図である。
図8】本発明の変形された一実施形態による隔壁部を含む電池パックに対する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0026】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0027】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。図面において様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。
【0028】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分“の上に”または“上に”あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって“の上に”または“上に”位置することを意味するのではない。
【0029】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0030】
また、明細書全体で、“平面上”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面上”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態による電池モジュールおよび連結部材を示した斜視図である。図2は、図1の電池モジュールに対する分解斜視図である。図3は、図2の電池モジュールに含まれている電池セルに対する斜視図である。
【0032】
図1図3を参照すれば、本発明の一実施形態による電池モジュール100は複数の電池セル110を含む。電池セル110はパウチ型電池セルであることが好ましく、長方形のシート型構造で形成できる。例えば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111、112が互いに対向して一端部と他の一端部からそれぞれ突出している構造を有する。
【0033】
特に、図3を参照すれば、本実施形態による電池セル110は、二つの電極リード111、112が互いに対向してセル本体113の一端部114aと他の一端部114bからそれぞれ突出している構造を有する。より詳しくは、電極リード111、112は電極組立体(図示せず)と連結され、電極組立体(図示せず)から電池セル110の外部に突出する。
【0034】
一方、電池セル110は、セルケース114に電極組立体(図示せず)を収納した状態でセルケース114の両端部114a、114bとこれらを連結する一側部114cを接着することによって製造できる。言い換えれば、本実施形態による電池セル110は総3ケ所のシーリング部114sa、114sb、114scを有し、シーリング部114sa、114sb、114scは熱融着などの方法でシーリングされる構造であり、他の一側部は連結部115で形成できる。セルケース114は樹脂層と金属層を含むラミネートシートで形成できる。
【0035】
また、連結部115は電池セル110の一縁に沿って長く伸びており、連結部115の端部にはバットイヤー(bat-ear)と呼ばれる電池セル110の突出部110pが形成できる。但し、突出部110pは一つの例示的構造であり、本発明の他の一実施形態による電池セル110は突出部が形成されず、連結部115が一直線に伸びる形態を有することができる。
【0036】
図3には電極リード111、112が両方向に突出した構造の電池セル110についてのみ説明したが、本発明の他の実施形態として、電極リードが一方向に共に突出した単方向のパウチ型電池セルも可能であるのはもちろんである。
【0037】
このような電池セル110は複数で構成でき、複数の電池セル110は相互電気的に連結されるように積層されて電池セル積層体120を形成する。特に、図2に示されているように、y軸と平行な方向に沿って複数の電池セル110が積層できる。これにより、電池セル110中の一つの電極リード111はx軸方向に向かって突出し、他の電極リード112は-x軸方向に向かって突出していてもよい。
【0038】
電池セル積層体120はモジュールフレーム200に収納できる。モジュールフレーム200は両面が開放された形態の金属フレームであってもよい。より具体的に、電池セル積層体120を基準にして、電極リード111、112が突出する両方向でモジュールフレーム200が開放される。但し、図2に示されたモジュールフレーム200は一つの例示的構造であり、電池セル積層体120を収納することができれば、その形態の特別な制限はない。例えば、上部が開放されたU字型フレームに上部カバーが接合された形態やU字型フレームとひっくり返ったU字型フレームが相互結合された形態などが可能である。
【0039】
モジュールフレーム200の開放された両面にはエンドプレート410、420が配置できる。2つのエンドプレート410、420をそれぞれ第1エンドプレート410と第2エンドプレート420と称することにする。エンドプレート410、420はモジュールフレーム200の開放された両面をそれぞれ覆うことができる。このようなモジュールフレーム200とエンドプレート410、420が形成する空間に電池セル積層体120が収納されることによって、電池セル積層体120を物理的に保護することができる。このために、モジュールフレーム200とエンドプレート410、420はアルミニウムのように所定の強度を有する金属材質やプラスチック素材を含むことができる。一方、モジュールフレーム200とエンドプレート410、420は互いに対応する角部位が接触された状態で、溶接などの方法で接合できる。但し、これは例示的方法であり、機構的結合形態として、ボルト締結、フック(Hook)締結などが適用できる。
【0040】
一方、本実施形態による電池モジュール100は、バスバー510およびターミナルバスバー520が装着されたバスバーフレーム300をさらに含むことができる。
【0041】
バスバー510およびターミナルバスバー520は、複数の電池セル110を電気的に連結するために電池セル110の電極リード111、112と接合できる。具体的に、バスバー510およびターミナルバスバー520が装着されたバスバーフレーム300が電池セル積層体120の一側(x軸方向)および他側(-x軸方向)にそれぞれ配置できる。言い換えれば、いずれか一つのバスバーフレーム300は、エンドプレート410、420のうちのいずれか一つと電池セル積層体120の間に配置することができる。図2で、電池セル積層体120の他側(-x軸方向)に位置するバスバーフレームは図示を省略した。
【0042】
バスバーフレーム300にはリードスリットが形成され、電極リード111、112が前記リードスリットを通過した後に曲げられてバスバー510やターミナルバスバー520に接合できる。物理的、電気的連結が可能であれば、接合の方式に特別な制限はなく、一例として溶接接合を行うことができる。
【0043】
一方、ターミナルバスバー520の一部分は電池モジュール100の外側に露出されていてもよい。具体的に、第1エンドプレート410に第1ターミナルバスバー開口部410Hが形成され、ターミナルバスバー520の一部分が露出される。露出されたターミナルバスバー520の一部分は、他の電池モジュールやBDU(Battery Disconnect Unit)などと連結されてHV(High Voltage)連結を形成するために、図1に示されたように連結部材1400と接合できる。即ち、電池モジュール100は連結部材1400によって他の電池モジュールやBDU(Battery Disconnect Unit)などと連結できる。ここで、HV連結は電力を供給するための電源役割の連結であって、電池セル間の連結や電池モジュール間の連結を意味する。
【0044】
連結部材1400は電気的連結が可能であれば、その素材の特別な制限はなく、金属素材が適用できる。
【0045】
以下では、図4を参照して、本発明の一実施形態による電池パック1000aについて詳しく説明する。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態による電池パックに対する断面図である。具体的に、図1および図2に示された電池モジュール100がパックフレーム1200に収納された状態の電池パック1000aをyz平面に切断した様子を示したものである。
【0047】
図2図4を参照すれば、本発明の一実施形態による電池パック1000aは、複数の電池セル110を含む電池モジュール100および電池モジュール100を収納するパックフレーム1200を含む。本実施形態で、電池モジュール100は図1および図2に示された電池モジュール100であってもよい。図4では、電池モジュール100に含まれている電池セル110を説明の便宜のために点線で概略的に表現した。また、電池モジュール100は連結部材1400によって互いに電気的に連結されて、HV連結を形成することができる。図4ではこのような連結部材1400を図1と異なり、概略的に表現した。
【0048】
パックフレーム1200は、上部フレーム1210および下部フレーム1220を含むことができる。上部フレーム1210は板状形態であってもよく、下部フレーム1220は電池モジュール100が置かれる底部1200)を含み上部が開放された形態であってもよい。下部フレーム1220の開放された上部に上部フレーム1210が位置し、上部フレーム1210と下部フレーム1220が対応する角同士が接合されてパックフレーム1200が完成できる。上部フレーム1210と下部フレーム1220の間の空間が電池モジュール100が収納される空間である。但し、前記構造は本実施形態によるパックフレーム1200が有する例示的構造であり、電池モジュール100を収納することができれば変形された形態も可能であるのはもちろんである。
【0049】
パックフレーム1200の内部で、電池モジュール100は幅方向d1に沿って1列に配置されて電池モジュール群100Gを形成する。また、電池モジュール100の内部で電池セル110が幅方向d1に沿って積層されて電池セル積層体を形成する。本明細書上で幅方向d1は、地面またはパックフレーム1200の底部1200Fの一面と平行な方向のうちの一つであって、言い換えればxy平面と平行な方向のうちの一つである。
【0050】
より具体的に、電池セル110のセル本体113一面がパックフレーム1200の底部1200Fの一面と垂直になるように直立した状態で、電池セル110が幅方向d1に沿って積層できる。即ち、電池モジュール群100Ga、100Gb内で電池モジュール100が配置される方向と電池セル110が積層される方向は一致できる。
【0051】
一方、本実施形態による電池パック1000aは、カバー部材1300を含む。カバー部材1300は、電池モジュール群100Gの上面全体をカバーし、電池モジュール群100Gの前記上面とパックフレーム1200の間に位置する。具体的に、カバー部材1300は電池モジュール群100Gの前記上面と上部フレーム1210の間に配置することができる。
【0052】
カバー部材1300は、一例として、図4に示されているように板状形態であってもよい。但し、電池モジュール群100Gの上面全体をカバーすれば、カバー部材1300の形態に制限はない。例えば、板状形態でない剛性確保のためにビード(bead)が形成された構造も可能であり、その他の電装品が配置される形態も可能である。
【0053】
また、カバー部材1300の素材に対する特別な制限はないが、熱伝播を抑制する必要があるため、耐熱性を備えた素材を含むことが好ましい。カバー部材1300の熱伝播抑制については後述することにする。
【0054】
以下では、図3図5を参照して、いずれか一つの電池セルの熱暴走現象発生時、本実施形態による電池パック1000aが有する長所について説明する。
【0055】
図5は、図4の電池パックにおいて、いずれか一つの電池セルに熱暴走現象が発生した様子を概略的に表現した断面図である。
【0056】
図3図5を参照すれば、本実施形態による電池パック1000aに含まれている電池セル110のうちのいずれか一つに熱暴走(thermal runaway)現象が発生することがある。熱暴走(thermal runaway)現象の一つの例示は次の通りである。過充電をはじめとして電池セル110に物理的、熱的、電気的損傷が発生して、電池セル110の内部圧力が増加することがある。電池セル110のセルケース114の融着強度限界値を超える場合、電池セル110で発生した高温の熱、ベンティングガスなどが電池セル110の外部に噴出されることがある。
【0057】
いずれか一つの電池セルで発生した熱暴走現象は熱伝達効果、即ち、伝導、対流、輻射などの効果で隣接の電池セルに拡大され、さらに隣接の電池モジュールまで拡大されることがある。特に、空間活用率を高めるために電池モジュール同士が密集している電池パックの構造上、電池モジュールに順次に熱暴走現象が伝播するのではなく、密集した複数の電池モジュールに同時多発的に熱暴走現象が発生することになる。即ち、電池セルから始まって複数の電池モジュールに同時多発的に拡大された熱暴走現象は、電池パック自体の発火および爆発につながって深刻な問題になる。
【0058】
しかし、本実施形態による電池パック1000aにおいて、電池モジュール群100G内の電池モジュール100が幅方向d1に沿って1列に配置され、電池モジュール群100Gの上面全体をカバーするカバー部材1300を位置させて、熱暴走(thermal runaway)現象の伝播(propagation)が電池モジュール100単位だけでなく電池セル110単位でも順次に行われるようにした。即ち、図5に示されているように、いずれか一つの電池モジュールの内部のいずれか一つの電池セルで熱暴走現象が発生する場合、隣接の電池セル110に順次にベンティングガスおよび熱などが伝播することになる。一例として、図5では、最も左側に位置する電池モジュールの電池セル110’と左側から3番目に位置する電池モジュールの電池セル110”に熱暴走現象が伝播する様子が示されている。
【0059】
また、カバー部材1300によって隣接していない他の電池モジュールにベンティングガスおよび熱が直ぐに伝播しない。本実施形態では、電池モジュール100の間で連結部材1400のHV連結順序を飛び越えて熱暴走現象が伝播しないように断熱構造を設計した。
【0060】
前述のように、順次的伝播が行われるように設計することによってベンティングガスおよび熱が伝播する時間を増やすことができ、また順次に伝播する過程で熱暴走の強度が次第に減るかさらに強化されないことになる。即ち、本実施形態による電池パック1000aは、いずれか一つの電池セル110で熱暴走現象が発生しても、これが電池パック1000a自体の発火や爆発につながるのを防止することができる。万一、カバー部材1300がないとか、電池モジュール100が幅方向d1に沿って1列に配置されない場合、いずれか一つの電池セル110から始まった熱暴走現象が直ぐに隣接していない他の電池モジュールに伝播することがあって、短時間内に複数の電池モジュール100からベンティングガスと高温の熱が多量排出されることがある。これは電池パック1000aの発火と爆発につながる可能性が高い。
【0061】
一方、前述の通り、本実施形態では、電池モジュール群100G内で電池モジュール100が配置される方向と電池セル110が積層される方向が一致できる。これにより、電池モジュール100内で電池セル110の間の熱暴走現象の伝播も順次に行われることになる。電池モジュール100の配置方向と電池セル110の積層方向を一致させることによって、熱暴走現象の伝播をより一層遅延させようとした。
【0062】
以下では、図6を参照して本発明の他の一実施形態による電池パック1000bについて詳しく説明する。
【0063】
図6は、本発明の他の一実施形態による電池パックに対する断面図である。図4と同様に、図1および図2に示された電池モジュール100がパックフレーム1200に収納された状態の電池パック1000bをyz平面に切断した様子を示したものである。
【0064】
図2図3および図6を参照すれば、本発明の一実施形態による電池パック1000bは、複数の電池セル110を含む電池モジュール100および電池モジュール100を収納するパックフレーム1200を含むことができる。本実施形態で、電池モジュール100は図1および図2に示された電池モジュール100であってもよい。図6では電池モジュール100に含まれている電池セル110を説明の便宜のために点線で概略的に表現した。
【0065】
また、電池パック1000bは、電池モジュール100のうちの隣接の電池モジュールを連結する連結部材1400をさらに含むことができる。電池モジュール100は連結部材1400によって電気的に連結されて、HV連結を形成することができる。図6ではこのような連結部材1400を図1と異なり、概略的に表現した。
【0066】
パックフレーム1200は、上部フレーム1210および下部フレーム1220を含むことができる。この時、下部フレーム1220は隔壁部1200Wをさらに含むことができる。隔壁部1200Wについては第1~第3電池モジュール100Ga、100Gb、100Gcと共に再び詳しく説明することにする。
【0067】
本実施形態による電池モジュール100は幅方向d1に沿って1列に配置されて電池モジュール群100Gを形成し、電池モジュール群100Gは第1電池モジュール群100Ga、第2電池モジュール群100Gb、および第3電池モジュール群100Gcを含むことができる。電池モジュール群100Gの個数に特別な制限はない。図6に示されているように、3つの電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gcや4つ以上も可能であり、2つの電池モジュール群も可能である。
【0068】
第1電池モジュール群100Ga、第2電池モジュール群100Gb、および第3電池モジュール群100Gcそれぞれは、幅方向d1に沿って互いに離隔できる。即ち、第1電池モジュール群100Gaが第2電池モジュール群100Gbと離隔して位置し、第2電池モジュール群100Gbが第3電池モジュール群100Gcと離隔して配置できる。
【0069】
本実施形態による電池パック1000bはカバー部材1300を含むことができ、カバー部材1300は、第1カバー部材1300a、第2カバー部材1300b、および第3カバー部材1300cを含むことができる。第1カバー部材1300aは第1電池モジュール群100Gaの上面全体をカバーし、第2カバー部材1300bは第2電池モジュール群100Gbの上面全体をカバーし、第3カバー部材1300cは第3電池モジュール群100Gcの上面全体をカバーする。より具体的に、第1カバー部材1300aは第1電池モジュール群100Gaの前記上面全体と対応するように配置することができる。第2カバー部材1300bは第2電池モジュール群100Gbの前記上面全体と対応するように配置することができる。第3カバー部材1300cも第3電池モジュール群100Gcの前記上面全体と対応するように配置することができる。
【0070】
一方、前述の隔壁部1200Wは、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbの間および第2電池モジュール群100Gbと第3電池モジュール群100Gcの間のうちの少なくとも一ケ所に配置することができる。即ち、隔壁部1200Wによって第1~第3電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gcが空間的に分離され互いに区分されることになる。
【0071】
以下では、図3図6および図7を参照して、いずれか一つの電池セルの熱暴走現象発生時、本実施形態による電池パック1000bが有する長所について説明する。図7は、図6の電池パックにおいていずれか一つの電池セルに熱暴走現象が発生した様子を概略的に表現した断面図である。
【0072】
図3図6および図7を参照すれば、本実施形態による電池パック1000bに含まれている電池セル110のうちのいずれか一つに熱暴走(thermal runaway)現象が発生することがある。一例として、第1電池モジュール群100Gaの右側電池モジュールに含まれている電池セルのうちの一つに前記熱暴走現象が発生することがある。
【0073】
いずれか一つの電池セルで発生した熱暴走現象は対流効果で隣接の電池セルに拡大され、さらに隣接の電池モジュールまで拡大されることがある。特に、空間活用率を高めるために電池モジュール同士が密集している電池パックの構造上、電池モジュールに順次に熱暴走現象が伝播するのではなく、密集した複数の電池モジュールに同時多発的に熱暴走現象が発生することがある。即ち、電池セルから始まって複数の電池モジュールに同時多発的に拡大された熱暴走現象は、電池パック自体の発火および爆発につながって深刻な問題になる。
【0074】
しかし、本実施形態による電池パック1000bにおいて、各電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gc内の電池モジュール100が幅方向d1に沿って1列に配置され、電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gcそれぞれの上面をカバーするカバー部材1300a、1300b、1300cを位置させて、熱暴走(thermal runaway)現象の伝播(propagation)が電池モジュール100単位だけでなく電池セル110単位でも順次に行われるようにした。即ち、図7に示されているように、いずれか一つの電池モジュールの内部のいずれか一つの電池セルで熱暴走現象が発生する場合、隣接の電池セル110に順次にベンティングガスおよび熱などが伝播することになる。一例として、図7では、第1電池モジュール群100Gaでの電池モジュールに含まれている電池セル110’と第2電池モジュール群100Gbでの電池モジュールに含まれている電池セル110”に熱暴走現象が伝播する様子が示されている。
【0075】
また、カバー部材1300a、1300b、1300cによって隣接していない他の電池モジュール群や電池モジュールにベンティングガスおよび熱が直ぐに伝播しない。本実施形態では、電池モジュール100の間で連結部材1400のHV連結順序を飛び越えて熱暴走現象が伝播しないように断熱構造を設計した。
【0076】
前述のように、順次的伝播が行われるように設計することによってベンティングガスおよび熱が伝播する時間を増やすことができ、また順次に伝播する過程で熱暴走の強度が次第に減るかさらに強化されないことになる。即ち、本実施形態による電池パック1000bはいずれか一つの電池セル110で熱暴走現象が発生しても、これが電池パック1000b自体の発火や爆発につながるのを防止することができる。
【0077】
また、前述の通り、電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gc内で電池モジュール100が配置される方向と電池セル110が積層される方向が一致できる。これにより、電池モジュール100内で電池セル110の間の熱暴走現象の伝播も順次に行われることになる。電池モジュール100の配置方向と電池セル110の積層方向を一致させることによって、熱暴走現象の伝播をより一層遅延させようとした。
【0078】
同時に、隔壁部1200Wが形成されて電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gcを空間的に分離し、各電池モジュール群100Ga、100Gb、100Gcと対応するようにカバー部材1300a、1300b、1300cを配置することによって、電池モジュール単位を超えて電池モジュール群単位でもベンティングガスおよび熱の伝播が順次に起こるようにした。また、伝播時間をより一層遅延させることができて、伝播過程での熱暴走の強度が減る効果をさらに増大させることができる。前記のように、熱伝達を抑制する構造によって、熱抵抗の高い構造を形成することができ、熱抵抗が特定以上まで実現される場合、熱暴走の順次的伝播が終了できる。
【0079】
図6には下部フレーム1220の一部が湾入した形態の隔壁部1200Wが示されているが、電池モジュール群を区分することができれば、その形態に特別な制限はない。他の例示として、図8に本発明の変形された一実施形態による隔壁部1200W’の形態が示されている。図8は、本発明の変形された一実施形態による隔壁部1200W’を含む電池パック1000b’に対する断面図である。
【0080】
図8を参照すれば、本実施形態による隔壁部1200W’は、第1電池モジュール群100Gaと第2電池モジュール群100Gbの間および第2電池モジュール群100Gbと第3電池モジュール群100Gcの間のうちの少なくとも一ケ所に配置することができる。このような隔壁部1200W’は、下部フレーム1220の底部1200Fから上向延長された板状形態であってもよい。
【0081】
図6に示された隔壁部1200Wと図8に示された隔壁部1200W’は全て熱伝達の伝導、対流、輻射などの効果を制御することができる構造であって、熱伝達の拡大を防止する機能である。このような隔壁部1200W、1200W’は伝導を防止するための断熱材を含むことができ、また、ベンティングガスを防止するために薄い金属板材を含むことができる。
【0082】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象になる事物の位置や観測者の位置などによって変わる。
【0083】
前述の本実施形態による電池パックは電池モジュールだけでなく、BMS(Battery Management System)、BDU(Battery Disconnect Unit)、冷却システムなどの各種制御および保護システムを含むことができる。
【0084】
前記電池パックは多様なデバイスに適用できる。具体的には、電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段やESS(Energy Storage System)などに適用できるが、これに制限されず、二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0085】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0086】
1000a、1000b:電池パック
100:電池モジュール
110:電池セル
120:電池セル積層体
100G:電池モジュール群
1300:カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】