(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】誤動作を検知できるアクティブ電流補償装置
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20231213BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20231213BHJP
H03F 1/52 20060101ALI20231213BHJP
H02M 1/12 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
H02J1/00 309U
H03F3/45
H03F1/52
H02M1/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535960
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2021007359
(87)【国際公開番号】W WO2022139083
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0182641
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0182642
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183864
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0024761
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521451086
【氏名又は名称】イーエム コアーテック
【氏名又は名称原語表記】EM CORETECH
【住所又は居所原語表記】106-504-1, 50, UNIST-gil, Eonyang-eup Ulju-gun Ulsan 44919 Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515351884
【氏名又は名称】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジングク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、サンヨン
【テーマコード(参考)】
5G165
5H740
5J500
【Fターム(参考)】
5G165AA05
5G165CA01
5G165DA07
5G165EA01
5G165GA09
5G165HA16
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5G165LA02
5G165MA03
5G165NA01
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5G165NA04
5G165NA06
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5H740AA03
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5J500AA01
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5J500AC02
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5J500AF09
5J500AH02
5J500AH08
5J500AH19
5J500AH29
5J500AH35
5J500AH44
5J500AK01
5J500AK17
5J500AK18
5J500AK26
5J500AK33
5J500AS07
5J500AT01
5J500PF06
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置において、前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部と、前記増幅部の誤動作を検知する誤動作検知部とを含み、前記増幅部の少なくとも一部と前記誤動作検知部とは一つの集積回路(IC)チップに内蔵化された、アクティブ電流補償装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置において、
前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、
前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、
前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部と、
前記増幅部の誤動作を検知する誤動作検知部と、を含み、
前記増幅部の少なくとも一部と前記誤動作検知部は、一つの集積回路(IC)チップに内蔵化された、
アクティブ電流補償装置。
【請求項2】
前記増幅部に含まれた2つのノードでの信号が差動で前記誤動作検知部に入力される、
請求項1に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項3】
前記増幅部は第1トランジスタ及び第2トランジスタを含み、
前記第1トランジスタの一ノード及び前記第2トランジスタの一ノードは、前記誤動作検知部の入力端に接続される、
請求項1に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項4】
前記誤動作検知部は、
前記増幅部に含まれた2つのノードでの差動DC電圧を検知し、
前記差動DC電圧が所定の範囲内であるか否かを検出する、
請求項1に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項5】
前記集積回路チップは、
前記増幅部及び前記誤動作検知部に電源を供給する電源装置と接続されるための端子、前記増幅部及び前記誤動作検知部の基準電位と接続されるための端子及び前記誤動作検知部の出力端子を含む、
請求項1に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項6】
前記集積回路チップは、
前記誤動作検知部に電源を選択的に供給するためのスイッチと接続される端子を含む、
請求項1に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項7】
少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置において、
前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、
電源を供給する電源装置から第1電圧を入力されて所定の大きさの第2電圧に変換する電力管理部と、
前記第2電圧で駆動され、前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、
前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部と、を含み、
前記増幅部に含まれたアクティブ素子と前記電力管理部に含まれたアクティブ素子は、一つの集積回路(IC)チップに内蔵化された、
アクティブ電流補償装置。
【請求項8】
前記電力管理部は、
任意の大きさの第1電圧から一定の大きさの第2電圧を出力するためのスイッチング信号を生成する電力変換部と、
前記電力変換部から出力された電圧信号を再び電力変換部に送信することで前記電力管理部が一定の大きさの第2電圧を出力できるようにするフィードバック部と、
前記電圧信号の直流成分のみを通過させるフィルタ部と、を含む、
請求項7に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項9】
前記電力変換部は前記直接回路チップに内蔵化され、
前記フィードバック部の少なくとも一部及び前記フィルタ部は、前記直接回路チップの外部に配置される個別実用素子である、
請求項8に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項10】
前記電力変換部は、
前記電力変換部の内部回路を駆動させるためのDC低電圧を生成するレギュレータを含む、
請求項9に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項11】
前記電力変換部は、前記レギュレータから提供された前記DC低電圧を用いて前記スイッチング信号を生成するパルス幅変調回路と、前記スイッチング信号に応じて選択的にオンになる第1スイッチ及び第2スイッチを含む、
請求項10に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つ以上の大電流経路は、第2装置によって供給される大電流を第1装置に伝達し、
前記電源装置は、前記第1装置または前記第2装置の電源供給装置である、
請求項7に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項13】
少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置において、
第2装置によって供給される電源を第1装置に伝達する少なくとも2つ以上の大電流経路と、
前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、
前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、
前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部と、を含み、
前記増幅部は、非集積回路部とワンチップ(one-chip)集積回路部とを含み、
前記非集積回路部は前記第1装置と前記第2装置のうち少なくとも1つ以上の電力システムに応じて設計され、
前記ワンチップの集積回路部は前記第1装置と前記第2装置の定格電力仕様とは無関係である、
アクティブ電流補償装置。
【請求項14】
前記非集積回路部は、前記第1装置の定格電力に応じて設計される、
請求項13に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項15】
前記ワンチップ(one-chip)の集積回路部は、第1トランジスタ、第2トランジスタ及び1つ以上の抵抗を含む、
請求項13に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項16】
前記非集積回路部は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのエミッタノード側と前記補償部の入力端とを接続させる第1インピーダンスZ1と、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのベースノード側と前記補償部の入力端とを接続させる第2インピーダンスZ2を含む、
請求項15に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項17】
前記センシング部はセンシング変圧器を含み、
前記補償部は補償変圧器を含み、
前記第1インピーダンスの値または前記第2インピーダンスの値は、前記センシング変圧器と前記補償変圧器の巻線比及び前記増幅部の目標電流利得に基づいて決定され、
前記ワンチップ直接回路部の構成は、前記巻線比及び前記目標電流利得と無関係である、
請求項16に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項18】
前記第1インピーダンス及び前記第2インピーダンスの設計に応じて、前記ワンチップの集積回路部を様々な電力システムの第1装置に使用される、
請求項16に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項19】
少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置において、
前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、
前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、
前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部と、を含み、
前記増幅部は、非集積回路部とワンチップの集積回路とを含み、
前記ワンチップの集積回路には、温度変化に応じて素子特性が変化するアクティブ素子が内蔵化され、
前記ワンチップの集積回路は、温度変化にも前記増幅部が一定範囲内の性能を維持するように設計される、
アクティブ電流補償装置。
【請求項20】
前記ワンチップの集積回路には、npn BJTとpnp BJTが内蔵化され、
前記npn BJTのベースノードと前記pnp BJTのベースノードとの間にはダイオードが接続される、
請求項19に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項21】
前記npn BJTのエミッタノードと前記pnp BJTのエミッタノードとの間には抵抗が接続される、
請求項20に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項22】
前記ダイオードは、前記抵抗を流れるエミッタ電流を低減させる機能を果たす、
請求項21に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項23】
前記ダイオード及び前記抵抗は、前記npn BJT及び前記pnp BJTのDCバイアス電流を調整する、
請求項21に記載のアクティブ電流補償装置。
【請求項24】
前記抵抗を流れるエミッタ電流は、温度が変化するにつれて所定の範囲を維持する、
請求項21に記載のアクティブ電流補償装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、誤動作を検知できるアクティブ電流補償装置に関するもので、電力システムに接続される2つ以上の大電流経路上にコモンモードで入力されるノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置に関する。
【0002】
本発明の実施形態は、内蔵化された電力変換部を含むアクティブ電流補償装置に関するもので、電力システムに接続される2つ以上の大電流経路上にコモンモードで入力されるノイズ電流を能動的に補償するアクティブ電流補償装置に関する。
【0003】
本発明の実施形態は、集積回路部と非集積回路部とを含むアクティブ電流補償装置に関するもので、電力システムに接続される2つ以上の大電流経路上にコモンモードで入力されるノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置に関する。
【0004】
本発明の実施形態は、ワンチップの集積回路(one-chip IC)を含むアクティブ電流補償装置に関するもので、電力システムに接続される2つ以上の大電流経路上にコモンモードで入力されるノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置に関する。
【背景技術】
【0005】
一般的に、家電、産業用電気製品、電気自動車などの電子機器は、動作中にノイズを放出する。例えば、電子機器内の電力変換装置のスイッチング動作により、ノイズが電力線を介して放出される可能性がある。このようなノイズを放置すると、人体に有害であるだけでなく、周辺部品及び他の電子機器に誤動作または故障を引き起こす。このように、電子機器が他の機器に及ぼす電子障害を、EMI(Electromagnetic Interference)といい、その中でも、ワイヤ及び基板配線を経由して送信されるノイズを伝導放出(Conducted EMIssion、CE)ノイズという。
【0006】
電子機器が周辺部品及び他の機器に故障を起こすことなく動作するようにするために、すべての電子製品においてEMIノイズの放出量を厳しく規制している。したがって、殆どの電子製品は、ノイズの放出量に対する規制を満たすために、EMIノイズ電流を低減させるノイズ低減装置(例えば、EMIフィルタ)を必須として含む。例えば、エアコンなどの白物家電、電気自動車、航空、エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)などに、EMIフィルタが必須として含まれる。従来のEMIフィルタは、伝導放出(CE)ノイズのうちコモンモード(Common Mode、CM)ノイズを低減させるためにコモンモードチョーク(CM choke)を利用する。コモンモード(CM)チョークはパッシブフィルタ(passive filter)であり、コモンモードノイズ電流を「抑制」する役割をする。
【0007】
一方、高電力システムでパッシブEMIフィルタのノイズ低減性能を維持するには、コモンモードチョークのサイズを大きくするか、数を増やす必要がある。したがって、高電力製品ではパッシブEMIフィルタの大きさと価格が非常に増加することになる。
【0008】
前記のようなパッシブEMIフィルタの限界を克服するために、アクティブEMIフィルタに対する関心が高まっている。アクティブEMIフィルタは、EMIノイズを検知し、アクティブ回路部を介して前記ノイズを相殺させる信号を生成させることによってEMIノイズを除去することができる。アクティブEMIフィルタは、検知されたノイズ信号に応じて増幅信号を生成することができるアクティブ回路部を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のようなパッシブEMIフィルタの限界を克服するために、アクティブEMIフィルタに対する関心が高まっている。アクティブEMIフィルタは、EMIノイズを検知し、前記ノイズを相殺させる信号を生成させることによってEMIノイズを除去することができる。アクティブEMIフィルタは、検知されたノイズ信号から増幅信号を生成することができるアクティブ回路部を含む。
【0010】
しかし、前記アクティブ回路部の故障は肉眼で識別しにくいという問題がある。また、アクティブEMIフィルタはノイズ低減機能を果たすだけであって、アクティブ回路部が故障しても電力システムは依然として正常に動作できるため、現状からアクティブ回路部の故障を判断することも難しいという問題がある。
【0011】
本発明は前記のような問題を改善するために案出されたものであり、誤動作を検知できるアクティブ電流補償装置を提供することを目的とする。特に、1つの集積回路(IC)チップにアクティブ回路部と誤動作検知回路が共に内蔵化されたアクティブ電流補償装置を提供することを目的とする。
【0012】
しかし、このような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0013】
アクティブEMIフィルタにおいてアクティブ回路部は、動作するために電力を供給されなければならない。例えば、スイッチング電源(switching mode power supply、SMPS)の出力をアクティブ回路部の電源として使用することができる。アクティブ回路部には特定電圧(例えば、12V)が必要な場合があり、既存のシステムでは必要な電圧が存在しない可能性がある。すなわち、システムによってアクティブ回路部に入力されるDC電圧が異なるという問題がある。
【0014】
まとめると、システムによってSMPSがアクティブ回路部を駆動するための特定電圧を出力しないことがあり、この場合アクティブ回路部の動作が不安定になるという問題が生じる。
【0015】
本発明は前記のような問題を克服するために案出されたものであり、内蔵化された電力変換部を含むアクティブ電流補償装置を提供することを目的とする。
【0016】
しかし、このような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0017】
一方、実際に電子製品にアクティブEMIフィルタを適用するには、様々な需要を満たすために半導体装置の量産が必要である。実際に使用するためのアクティブEMIフィルタを製造するために個別(discrete)装置(または部品)を使用するなら、アクティブEMIフィルタの機能を向上させるためにアクティブ回路用装置の数が増え、様々な部品が必要となる。したがって、より高い機能を達成するためにアクティブEMIフィルタの大きさとコストが増加するという問題がある。
【0018】
したがって、この問題を克服するために、様々な電力システムに使用することができるカスタマイズされた集積回路(IC)を使用するアクティブEMIフィルタが必要である。
【0019】
本発明は前記のような問題を克服するために案出されたものであり、集積回路部と非集積回路部を含むアクティブ電流補償装置を提供することを目的とする。前記集積回路部はアクティブ電流補償装置の必須構成要素を含む1つのチップであり、前記非集積回路部は様々な設計のアクティブEMIフィルタを具現するための構成であることができる。
【0020】
アクティブEMIフィルタは、例えば、BJT(Bipolar Junction Transistor)を含むことができる。ところで、BJTに電流が流れて熱が発生すると、BJTの電流利得が増加する効果(またはBJTの内部抵抗の減少効果)がある。これにより、増加した電流によって再び熱が発生する正のフィードバックが起こる。このような正のフィードバックによって熱が増加し続け、BJTが損傷したり元の特性を失ったりするという問題が引き起こる可能性がある。このような現象を熱暴走(thermal runaway)現象という。
【0021】
BJTを使用してアクティブEMIフィルタの増幅部を構成する際、この熱暴走問題を解決しなければならない。
【0022】
本発明は前記のような問題を克服するために案出されたものであり、ワンチップの集積回路(one-chip IC)を含むアクティブ電流補償装置を提供することを目的とする。
【0023】
しかし、このような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一実施形態に係る、少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部と、前記増幅部の誤動作を検知する誤動作検知部とを含み、前記増幅部の少なくとも一部と前記誤動作検知部とは一つの集積回路(IC)チップに内蔵化されることができる。
【0025】
一実施形態によれば、前記増幅部に含まれた2つのノードでの信号が差動で前記誤動作検知部に入力されることができる。
【0026】
一実施形態によれば、前記増幅部は第1トランジスタ及び第2トランジスタを含み、前記第1トランジスタの一ノード及び前記第2トランジスタの一ノードは前記誤動作検知部の入力端に接続されることができる。
【0027】
一実施形態によれば、前記誤動作検知部は、前記増幅部に含まれた2つのノードでの差動DC電圧を検知し、前記差動DC電圧が所定の範囲内であるか否かを検出することができる。
【0028】
一実施形態によれば、前記集積回路チップは、前記増幅部及び前記誤動作検知部に電源を供給する電源装置と接続されるための端子、前記増幅部及び前記誤動作検知部の基準電位と接続されるための端子及び前記誤動作検知部の出力端子を含むことができる。
【0029】
一実施形態によれば、前記集積回路チップは、前記誤動作検知部に電源を選択的に供給するためのスイッチと接続される端子を含むことができる。
【0030】
前述したもの以外の他の側面、特徴、利点が、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【0031】
本発明の一実施形態に係る、少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、電源を供給する電源装置から第1電圧を入力されて所定の大きさの第2電圧に変換する電力管理部と、前記第2電圧で駆動され、前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部とを含み、前記増幅部に含まれたアクティブ素子と前記電力管理部に含まれたアクティブ素子とは、1つの集積回路(IC)チップに内蔵化されることができる。
【0032】
一実施形態によれば、前記電力管理部は、任意の大きさの第1電圧から一定の大きさの第2電圧を出力するためのスイッチング信号を生成する電力変換部と、前記電力変換部から出力された電圧信号を再び電力変換部に送信することで前記電力管理部が一定の大きさの第2電圧を出力できるようにするフィードバック部と、前記電圧信号の直流成分のみを通過させるフィルタ部とを含むことができる。
【0033】
一実施形態によれば、前記電力変換部は前記直接回路チップに内蔵化され、前記フィードバック部の少なくとも一部及び前記フィルタ部は前記直接回路チップの外部に配置される個別実用素子であることができる。
【0034】
一実施形態によれば、前記電力変換部は、前記電力変換部の内部回路を駆動させるためのDC低電圧を生成するレギュレータを含むことができる。
【0035】
一実施形態によれば、前記電力変換部は、前記レギュレータから提供された前記DC低電圧を用いて前記スイッチング信号を生成するパルス幅変調回路と、前記スイッチング信号に応じて選択的にオンになる第1スイッチ及び第2スイッチを含むことができる。
【0036】
一実施形態によれば、前記少なくとも2つ以上の大電流経路は、第2装置によって供給される大電流を第1装置に伝達し、前記電源装置は、前記第1装置または前記第2装置の電源装置であることができる。
【0037】
本発明の一実施形態に係る、少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置は、第2装置によって供給される電源を第1装置に伝達する少なくとも2つ以上の大電流経路と、前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部とを含み、前記増幅部は非集積回路部とワンチップ(one-chip)集積回路部とを含み、前記非集積回路部は前記第1装置と前記第2装置のうち少なくとも1つ以上の電力システムに応じて設計され、前記ワンチップの集積回路部は前記第1装置と前記第2装置の定格電力仕様と無関係であることができる。
【0038】
一実施形態によれば、前記非集積回路部は前記第1装置の定格電力に応じて設計されることができる。
【0039】
一実施形態によれば、前記ワンチップ(one-chip)の集積回路部は、第1トランジスタ、第2トランジスタ及び1つ以上の抵抗を含むことができる。
【0040】
一実施形態によれば、前記非集積回路部は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのエミッタノード側と前記補償部の入力端とを接続させる第1インピーダンスZ1と、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタのベースノード側と前記補償部の入力端とを接続させる第2インピーダンスZ2を含むことができる。
【0041】
一実施形態によれば、前記センシング部はセンシング変圧器を含み、前記補償部は補償変圧器を含み、前記第1インピーダンスの値または前記第2インピーダンスの値は、前記センシング変圧器と前記補償変圧器の巻線比及び前記増幅部の目標電流利得に基づいて決定され、前記ワンチップ直接回路部の構成は、前記巻線比及び前記目標電流利得と無関係であることができる。
【0042】
一実施形態によれば、前記第1インピーダンス及び前記第2インピーダンスの設計に応じて、前記ワンチップの集積回路部を様々な電力システムの第1装置に使用することができる。
【0043】
本発明の一実施形態に係る、少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれにコモンモードで発生するノイズを能動的に補償するアクティブ電流補償装置は、前記大電流経路上のコモンモードノイズ電流に対応する出力信号を生成するセンシング部と、前記出力信号を増幅して増幅電流を生成する増幅部と、前記増幅電流に基づいて補償電流を生成し、前記補償電流を前記少なくとも2つ以上の大電流経路それぞれに流せる補償部とを含み、前記増幅部は非集積回路部とワンチップの集積回路を含み、前記ワンチップの集積回路には温度変化に応じて素子特性が変化するアクティブ素子が内蔵化され、前記ワンチップの集積回路は、温度変化にも前記増幅部が一定範囲内の性能を維持するように設計されることができる。
【0044】
一実施形態によれば、前記ワンチップの集積回路にはnpn BJTとpnp BJTが内蔵化され、前記npn BJTのベースノードとpnp BJTのベースノードとの間にはダイオードを接続することができる。
【0045】
一実施形態によれば、前記npn BJTのエミッタノードとpnp BJTのエミッタノードとの間には抵抗を接続することができる。
【0046】
一実施形態によれば、前記ダイオードは、前記抵抗を流れるエミッタ電流を減少させる機能を果たすことができる。
【0047】
一実施形態によれば、前記ダイオード及び前記抵抗は、前記npn BJT及び前記pnp BJTのDCバイアス電流を調整することができる。
【0048】
一実施形態によれば、前記抵抗を流れるエミッタ電流は、温度が変化するにつれて所定の範囲を維持することができる。
【0049】
前述したもの以外の他の側面、特徴、利点が、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0050】
上述したように構成された本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、高電力システムにおいて、CMチョークで構成されたパッシブフィルタに比べて価格、面積、体積、重量、発熱を低減することができる。
【0051】
また、本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、アクティブ回路部の故障または誤動作を検出することができる。
【0052】
また、本発明の様々な実施形態において、アクティブ回路部と誤動作検知部が共に内蔵化された1つの集積回路(IC)チップを提供することができる。アクティブ回路部が集積化されたチップに誤動作検知部を内蔵化することにより、一般実用素子を用いて誤動作検知部を別途構成する場合よりもサイズ及び価格を低減することができる。
【0053】
また、アクティブ回路部と誤動作検知部を1つのICチップに集積化することにより、前記ICチップは独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。
【0054】
また、前記ICチップを含む電流補償装置を独立したモジュールとして製作して実用化することもできる。このような電流補償装置は、周辺電気システムの特性に関係なく独立したモジュールとして誤動作を検出することができる。
【0055】
上述したように構成された本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、内蔵化された電力変換部を有することによって任意の様々なシステムに適用することができる。
【0056】
本発明の様々な実施形態において、アクティブ回路部と電力変換部を一つの集積回路(IC)チップに内蔵化することによって、前記ICチップは独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。
【0057】
また、前記ICチップを含む電流補償装置を独立したモジュールとして製作して実用化することもできる。このような電流補償装置に含まれたアクティブ回路部は、周辺電気システムの特性に関係なく安定して動作することができる。
【0058】
上述したように構成された本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、高電力システムにおいて、CMチョークで構成されたパッシブフィルタに比べて価格、面積、体積、重量、発熱を低減することができる。
【0059】
また、本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、個別(discrete)半導体装置を含む場合に比べて大きさを最小限に抑えられる。
【0060】
また、本発明の様々な実施形態に係る集積回路部は、様々な設計のアクティブ電流補償装置に汎用的に適用することができる。
【0061】
また、本発明の様々な実施形態に係る集積回路部を含むアクティブ電流補償装置は、定格電力(power rating)に関係なく様々な電力電子製品に使用することができる。したがって、本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、高電力及び高雑音(high-noise)システムにも拡張することができる。
【0062】
また、本発明の様々な実施形態に係る集積回路部を含むアクティブ電流補償装置は、大量生産が容易であることができる。
【0063】
また、本発明の様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置及び/またはワンチップの集積回路部は、独立したモジュールとして汎用性をもって実用化することができる。
【0064】
上述したように構成された本発明の実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、高電力システムにおいて、CMチョークで構成されたパッシブフィルタに比べて価格、面積、体積、重量、発熱を低減することができる。
【0065】
また、本発明の実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、熱暴走(thermal runaway)現象を防止することができる。本発明の実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、BJTの温度に対する正のフィードバックと負のフィードバックを共に活用し、温度変化にも一定の電流範囲を維持することができる。
【0066】
また、本発明の実施形態に係るアクティブ電流補償装置において、温度特性を有する素子がワンチップの集積回路(one-chip IC)内に形成され、温度を共有するため、温度による素子の特性を予測するに容易であることができる。
【0067】
したがって、温度変化にも制御可能で予測可能なアクティブ回路部(または増幅部)を設計することができる。
【0068】
本発明の実施形態に係る増幅部は、ワンチップの集積回路を含むことで、実用個別(discrete)素子で構成される場合に比べ、電流-電圧(I-V)特性を制御可能に設計することができる。すなわち、本発明の実施形態に係るワンチップの集積回路は、カスタマイズで設計することができる。すなわち、ワンチップの集積回路内部の電流及び電圧が制御可能であることができる。
【0069】
また、本発明の実施形態に係るワンチップの集積回路及びこれを含むアクティブ電流補償装置は、大量生産でも生産コストの増加がわずかであることができる。また、半導体素子の数の増加によるサイズの増加がわずかであることができる。
【0070】
もちろん、このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る増幅部130、誤動作検知部180及びICチップ500の包含関係を示す図である。
【
図3】
図1に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。
【
図4】
図3に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
【
図5】
図3に示す実施形態のより具体的な他の例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2を概略的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る誤動作検知部180の機能的構成を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る論理回路184の概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るアクティブ素子部132及び誤動作検知部180の回路図である。
【
図9】本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bの構成を概略的に示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る増幅部130及び電力管理部180の機能的構成の例を示す図である。
【
図12】
図10に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。
【
図13】
図12に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る電力管理部180を概略的に示す図である。
【
図15】
図14に示す電力変換部181のより具体的な一例を示す図である。
【
図16】本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2の構成を概略的に示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図18】
図17に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。
【
図19】
図18に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
【
図20】本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2の構成を概略的に示す図である。
【
図21】本発明のまた他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-3の構成を概略的に示す図である。
【
図22】本発明のまた他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bの構成を概略的に示す図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。
【
図24】
図23に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。
【
図25】
図24に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係るワンチップの集積回路(one-chip IC)131Aを概略的に示す図である。
【
図27】
図26に示すワンチップの集積回路131Aの温度によるバイアス電圧と電流のシミュレーション結果を示す図である。
【
図28】本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細に説明しようとする。本発明の効果及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態を参照することで明らかになるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で具現されてもよい。
【0073】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明するものとし、図面を参照して説明するとき、同一又は対応する構成要素は同一の図面符号を付与し、これに対する重複の説明は省略する。
【0074】
以下の実施形態において、第1、第2などの用語は限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で用いられた。以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。以下の実施形態において、含むまたは有するなどの用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、1つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張または縮小されてもよい。以下の実施形態において、構成要素、部、ユニット、モジュールなどが接続されたとする場合、構成要素、部、ユニット、モジュールが直接的に接続された場合だけでなく、構成要素、部、ユニット、モジュールの間に他の構成要素、部、ユニット、モジュールが介在されて間接的に接続された場合も含む。
【0075】
一方、本明細書の詳細な説明に記載された実施形態は、便宜上、4つの実施形態の分類のうち1つに属することができる。4つの実施形態の分類は以下の通りである。
[1]誤動作を検知できるアクティブ電流補償装置
[2]内蔵化された電力変換部を含むアクティブ電流補償装置
[3]集積回路部と非集積回路部を含むアクティブ電流補償装置
[4]ワンチップの集積回路を含むアクティブ電流補償装置
【0076】
前記[1]~[4]の4つの実施形態の分類は説明の便宜のために区別されたものであり、明細書に説明した各実施形態は複数の分類に重複して属することができるのは言うまでもない。
【0077】
また、本明細書に添付された図面は、実施形態の分類のうち一つの分類に属することができる。より詳細には、
図1~
図9は[1]分類に、
図10~
図16は[2]分類に、
図17~
図22は[3]分類に、
図23~
図28は[4]分類に属することができる。本明細書では、同じ分類内の図面には、同じまたは対応する構成要素に対し、同じ図面符号を付与することができる。しかし、異なる分類内の図面では、同じ図面符号が付与されたとしても、互いに異なる構成要素を指すことができる。例えば、[1]分類に属する
図1の誤動作検知部180と、[2]分類に属する
図10の電力管理部180とは、同一の図面符号が付与されているが異なる構成要素を指すことができる。
【0078】
[1]誤動作を検知できるアクティブ電流補償装置
図1は、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100は、第1装置300から2つ以上の大電流経路111、112を介してコモンモード(Common Mode、CM)に入力される第1電流I11、I12(例えば、EMIノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0079】
図1を参照すると、アクティブ電流補償装置100は、センシング部120、増幅部130、誤動作検知部180及び補償部160を含むことができる。
【0080】
本明細書において、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を使用する様々な形態の電力システムであることができる。例えば、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いて駆動される負荷であることができる。また、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いてエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを用いて駆動される負荷(例えば、電気自動車)であることができる。ただし、これに限定されない。
【0081】
本明細書における第2装置200は、第1装置300に電源を電流及び/または電圧の形態で供給するための様々な形態のシステムであることができる。例えば、第2装置200は、電源を生成して供給する装置であってもよく、他の装置によって生成された電源を供給する装置(例えば、電気自動車充電装置)であってもよい。もちろん、第2装置200は、貯蔵されたエネルギーを供給する装置であることができる。ただし、これに限定されない。
【0082】
第1装置300側には電力変換装置が位置することができる。例えば、前記電力変換装置のスイッチング動作により、第1電流I11、I12を電流補償装置100に入力することができる。すなわち、第1装置300側はノイズソースに対応することができ、第2装置200側はノイズレシーバに対応することができる。
【0083】
2つ以上の大電流経路111、112は、第2装置200によって供給される電源、すなわち第2電流I21、I22を第1装置300に伝達する経路であることができるが、例えば、電力線であることができる。例えば、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれは、ライブライン(Live line)とニュートラルライン(Neutral line)であることができる。大電流経路111、112の少なくとも一部は電流補償装置100を通過することができる。第2電流I21、I22は、第2周波数帯域の周波数を有する交流電流であることができる。第2周波数帯域は、例えば50Hz~60Hz帯域であることができる。
【0084】
また、2つ以上の大電流経路111、112は、第1装置300で発生したノイズ、すなわち第1電流I11、I12が第2装置200に伝達される経路であることができる。第1電流I11、I12は、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれに対してコモンモード(Common Mode)で入力されることができる。第1電流I11、I12は、様々な原因によって第1装置300で意図せず発生される電流であることができる。例えば、第1電流I11、I12は、第1装置300と周辺環境との間の仮想の静電容量(Capacitance)によって発生されるノイズ電流であることができる。あるいは、第1電流I11、I12は、第1装置300の電力変換装置のスイッチング動作によって発生されるノイズ電流であることができる。第1電流I11、I12は、第1周波数帯域の周波数を有する電流であることができる。第1周波数帯域は、前述した第2周波数帯域より高い周波数帯域であることができる。第1周波数帯域は、例えば、150KHz~30MHz帯域であることができる。
【0085】
一方、2つ以上の大電流経路111、112は、
図1に示すように2つの経路を含むこともでき、
図9に示すように3つの経路を含むこともでき、または4つの経路を含むこともできる。大電流経路111、112の数は、第1装置300及び/または第2装置200が使用する電源の種類及び/または形態に応じて変わることができる。
【0086】
センシング部120は、2つ以上の大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知し、第1電流I11、I12に対応する出力信号を生成することができる。すなわち、センシング部120は、大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知する手段を意味することができる。センシング部120には、第1電流I11、I12のセンシングのために大電流経路111、112の少なくとも一部が通過することができるが、センシング部120内でセンシングによる出力信号が生成される部分は、大電流経路111、112と絶縁されることができる。例えば、センシング部120はセンシング変圧器で具現されることができる。センシング変圧器は、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知することができる。
【0087】
一実施形態によれば、センシング部120は、増幅部130の入力端と差動(differential)に接続されることができる。
【0088】
増幅部130はセンシング部120に電気的に接続され、センシング部120が出力した出力信号を増幅し、増幅された出力信号を生成することができる。本発明において増幅部130による「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/又は位相を調節することを意味することができる。増幅部130は様々な手段で具現されることができ、アクティブ素子を含むことができる。一実施形態において、増幅部130はBJT(Bipolar Junction Transistor)を含むことができる。例えば、増幅部130は、BJT以外に抵抗とコンデンサなど複数のパッシブ素子を含むことができる。ただし、これに限定されず、本発明で説明する「増幅」のための手段は、本発明の増幅部130として制限なく使用することができる。増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは、互いに区別されることができる。
【0089】
誤動作検知部180は、増幅部130の誤動作または故障を検出することができる。一実施形態によれば、増幅部130に含まれた2つのノードの信号が差動で誤動作検知部180に入力されることができる。誤動作検知部180は、増幅部130に含まれた前記2つのノードの間の差動信号を検知することができる。誤動作検知部180は、入力された前記差動信号を用いて増幅部130の誤動作を検知することができる。例えば、誤動作検知部180は、前記差動信号が所定の条件を満たすか否かを判別して増幅部130の誤動作を検知することができる。誤動作検知部180は、増幅部130が故障したか否かを示す信号を出力することができる。一実施形態によれば、誤動作検知部180はアクティブ素子を含むことができる。
【0090】
増幅部130の少なくとも一部と誤動作検知部180は、物理的に1つの集積回路(IC)チップ500に内蔵化されることができる。
【0091】
図2は、本発明の一実施形態に係る増幅部130、誤動作検知部180及びICチップ500の包含関係を示す図である。
【0092】
図2を参照すると、増幅部130はパッシブ素子部131及びアクティブ素子部132を含むことができる。パッシブ素子部131はパッシブ素子のみで構成され、アクティブ素子部132はアクティブ素子を含む。一実施形態において、アクティブ素子部132は、アクティブ素子だけでなくパッシブ素子をさらに含むことができる。パッシブ素子部131及びアクティブ素子部132を含む増幅部130の詳細な構成の例については、
図4~
図5で後述する。
【0093】
図1と
図2を併せて参照すると、パッシブ素子部131とアクティブ素子部132の組み合わせは、センシング部120から出力された出力信号から増幅信号を生成する機能を果たすことができる。前記増幅信号は補償部160に入力されることができる。
【0094】
上述したように、増幅部130に含まれた2つのノードの信号が差動で誤動作検知部180に入力されることができる。誤動作検知部180は、前記2つのノードの差動信号を検知することができる。前記2つのノードは、アクティブ素子部132に含まれた2つのノードであることができる。一実施形態において、前記2つのノードはパッシブ素子部131にも接続されることができる。
【0095】
一実施形態において、増幅部130のアクティブ素子部132及び誤動作検知部180が物理的に1つのICチップ500に集積化されることができる。ただし、これは一実施形態に過ぎず、他の実施形態において、増幅部130のパッシブ素子部131、アクティブ素子部132及び誤動作検知部80が物理的に一つのICチップ500に集積化されることもできるのは言うまでもない。
【0096】
誤動作検知部180はアクティブ素子を含むことができる。ここで、誤動作検知部180の基準電位は、増幅部130の基準電位である第2基準電位602と同じであることができる。誤動作検知部180の基準電位は、電流補償装置100の基準電位(例えば、補償部160の基準電位)である第1基準電位601と異なることができる。
【0097】
増幅部130と誤動作検知部180は、第1装置300及び/または第2装置200と区別される電源装置400から電源を供給されることができる。増幅部130は、電源装置400から電源を供給され、センシング部120が出力した出力信号を増幅して増幅電流を生成することができる。誤動作検知部180は電源装置600から電源を供給され、増幅部130からの差動入力信号が所定の範囲内であるか否かを示す出力信号を生成することができる。前記出力信号は、増幅部130が故障したか否かを示すことができる。
【0098】
電源装置400は、第1装置300及び第2装置200とは無関係の電源から電源を供給され、増幅部130と誤動作検知部180の入力電源を生成する装置であることができる。選択的に電源装置400は、第1装置300及び第2装置200のうちいずれか1つの装置から電源を供給され、増幅部130と誤動作検知部180の入力電源を生成する装置であることもできる。
【0099】
ICチップ500は、電源装置400に接続されるための端子t1、第2基準電位602に接続されるための端子t2及び誤動作検知部180の出力信号を出力するための端子t3を含むことができる。ICチップ500は他の端子をさらに含むことができる。
【0100】
例えば、増幅部130のうちパッシブ素子部131を除いたアクティブ素子部132のみが誤動作検知部180と共にICチップ500に集積化される実施形態において、前記他の端子はパッシブ素子部131に接続されることができる。
【0101】
他の例として、増幅部130に含まれたパッシブ素子部131、アクティブ素子部132及び誤動作検知部180が全部一つのICチップ500に集積化される実施形態において、前記他の端子はセンシング部120の出力端及び補償部160の入力端に接続されることができる。
【0102】
補償部160は、増幅部130によって増幅された出力信号に基づいて補償電流を生成することができる。補償部160の出力側は、大電流経路111、112に補償電流IC1、IC2を流すために大電流経路111、112と接続されることができるが、増幅部130とは絶縁されることができる。例えば、補償部160は、前記絶縁のために補償変圧器を含むことができる。例えば、前記補償変圧器の一次側には増幅部130の出力信号が流れ、補償変圧器の二次側には前記出力信号に基づいた補償電流が生成されることができる。
【0103】
補償部160は第1電流I11、I12を相殺させるために、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれを介して補償電流IC1、IC2を大電流経路111、112に注入(inject)させることができる。補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。
【0104】
図3は、
図1に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100Aは、第1装置300と接続される2つの大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12(例えば、ノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0105】
図3を参照すると、アクティブ電流補償装置100Aは、センシング変圧器120A、増幅部130、誤動作検知部180及び補償部160Aを含むことができる。
【0106】
一実施形態において、前述したセンシング部120はセンシング変圧器120Aを含むことができる。このとき、センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知するための手段であることができる。センシング変圧器120Aは、第1装置300側から大電流経路111、112(例えば、電力線)に入力されるノイズ電流である第1電流I11、I12をセンシングすることができる。
【0107】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111,112上に配置される一次側121A及び増幅部130の入力端と差動(differential)に接続された二次側122Aを含むことができる。センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される一次側121A(例えば、一次巻線)において、第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度に基づいて二次側122A(例えば、二次巻線)に誘導電流を生成することができる。前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、例えば、1つのコアに第1大電流経路111及び第2大電流経路112がそれぞれ巻回された巻線であることができる。ただし、これに限定されず、前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、第1大電流経路111及び第2大電流経路112が前記コアを通過する形態であることもできる。
【0108】
具体的には、第1大電流経路111(例えば、ライブライン)上の第1電流I11によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112(例えば、ニュートラルライン)上の第1電流I12によって誘導される磁束密度が互いに重なり合う(または補強される)ように構成することができる。このとき、大電流経路111、112上には第2電流I21、I22も流れるが、第1大電流経路111上の第2電流I21によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112の第1電流I22によって誘導される磁束密度は互いに相殺するように構成することができる。また、一例として、センシング変圧器120Aは、第1周波数帯域(例えば、150KHz~30MHzの範囲を有する帯域)の第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度の大きさが第2周波数帯域(例えば、50Hz~60Hzの範囲を有する帯域)の第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度の大きさよりも大きいように構成することができる。
【0109】
このように、センシング変圧器120Aは、第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度を互いに相殺するように構成成され、第1電流I11、I12のみが検知されるようにすることができる。すなわち、センシング変圧器120Aの二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12が一定の割合で変換された電流であることができる。
【0110】
例えば、センシング変圧器120Aで、一次側121Aと二次側122Aの巻線比が1:Nsenであり、センシング変圧器120Aの一次側121Aの自己インダクタンスがLsenだとすると、二次側122Aは、Nsen2.Lsenの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12の1/Nsen倍である。例えば、センシング変圧器120Aの一次側121Aと二次側122Aとは、ksenの結合係数(coupling coefficient)で結合することができる。
【0111】
センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端に接続されることができる。例えば、センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端と差動で接続され、増幅部130に誘導電流を供給することができる。
【0112】
増幅部130は、センシング変圧器120Aによって検知されて二次側122Aに誘導される電流を増幅させることができる。例えば、増幅部130は、前記誘導電流の大きさを一定の割合で増幅及び/又は位相を調節することができる。
【0113】
誤動作検知部180は、増幅部130の誤動作または故障を検出することができる。一実施形態によれば、増幅部130に含まれた2つのノードの間の差動信号が誤動作検知部180に入力されることができる。誤動作検知部180は、入力された差動信号が所定の範囲内であるか否かを検知することにより、増幅部130が故障したか否かを検知することができる。誤動作検知部180は、増幅部130が故障したか否かを示す信号を、出力端子t3を介して出力することができる。誤動作検知部180はアクティブ素子を含むことができる。
【0114】
本発明の様々な実施形態によれば、増幅部130の少なくとも一部と誤動作検知部180とを物理的に1つのICチップ500に集積化することができる。
【0115】
増幅部130と誤動作検知部180は第2基準電位602に接続されることができ、第2基準電位602は電流補償装置100(または補償部160A)の第1基準電位601と区別されることができる。増幅部130と誤動作検知部180は、電源装置400に接続されることができる。
【0116】
ICチップ500は、電源装置400に接続されるための端子t1、第2基準電位602に接続されるための端子t2及び誤動作検知部180の出力信号を出力するための端子t3を含むことができる。
【0117】
一実施形態によれば、増幅部130のうちパッシブ素子部131を除いたアクティブ素子部132のみが誤動作検知部180と共にICチップ500に集積化されることができる。この場合、ICチップ500は、パッシブ素子部131と接続されるための端子をさらに含むことができる。
【0118】
他の一実施形態によれば、増幅部130に含まれたパッシブ素子部131及びアクティブ素子部132の両方が誤動作検知部180と共にICチップ500に集積化されることができる。この場合、ICチップ500は、センシング部120の出力端に接続されるための端子及び補償部160の入力端に接続されるための端子をさらに含むことができる。
【0119】
補償部160Aは、前述した補償部160の一例であることができる。補償部160Aは、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。前述した増幅部130によって増幅された増幅電流は、補償変圧器140Aの一次側141Aに流れる。
【0120】
補償変圧器140Aは、アクティブ素子を含む増幅部130を大電流経路111、112から絶縁させるための手段であることができる。すなわち、補償変圧器140Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で、増幅電流に基づいて大電流経路111、112に注入するための補償電流を(二次側142Aに)生成するための手段であることができる。
【0121】
補償変圧器140Aは、増幅部130の出力端と差動(differential)に接続される一次側141A及び大電流経路111,112と接続される二次側142Aを含むことができる。補償変圧器140Aは、一次側141A(例えば、1次巻線)に流れる増幅電流によって誘導される磁束密度に基づいて二次側142A(例えば、2次巻線)に補償電流を誘導することができる。
【0122】
このとき、二次側142Aは、後述する補償コンデンサ部150Aと電流補償装置100Aの第1基準電位601とを接続させる経路上に配置されることができる。すなわち、二次側142Aの一端は補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112と接続され、二次側142Aの他端はアクティブ電流補償装置100Aの第1基準電位601と接続されることができる。一方、補償変圧器140Aの一次側141A、増幅部130、誤動作検知部180及びセンシング変圧器120Aの二次側122Aは、アクティブ電流補償装置100Aの残りの構成要素と区別される第2基準電位602に接続されることができる。電流補償装置100Aの第1基準電位601と増幅部130の第2基準電位602とは区別されることができる。
【0123】
したがって、本発明は、一実施形態において補償電流を生成する構成要素に対して、残りの構成要素とは異なる基準電位(すなわち、第2基準電位602)を使用し、別個の電源装置400を使用することによって、補償電流を生成する構成要素を絶縁状態で動作させることができ、これによりアクティブ電流補償装置100Aの信頼性を向上させることができる。
【0124】
補償変圧器140Aにおいて、一次側141Aと二次側142Aの巻線比が1:Ninjであり、補償変圧器140Aの一次側141Aの自己インダクタンスがLinjとすると、二次側142Aは、Ninj2.Linjの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側142Aに誘導される電流は、一次側141Aに流れる電流(すなわち、増幅電流)の1/Ninj倍である。補償変圧器140Aの一次側141Aと二次側142Aとは、kinjの結合係数(coupling coefficient)で結合されることができる。
【0125】
補償変圧器140Aを介して変換された電流は、補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112(例えば、電力線)に補償電流IC1、IC2として注入されることができる。したがって、補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12を相殺させるために、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。したがって、増幅部130の電流利得の大きさは、Nsen.Ninjとなるように設計することができる。
【0126】
補償コンデンサ部150Aは、前述したように補償変圧器140Aによって生成された電流が2つの大電流経路111、112のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0127】
補償コンデンサ部150Aは、一端が補償変圧器140Aの二次側142Aに接続され、他端が大電流経路111、112に接続される2つのY-コンデンサ(Y-capacitor, Y-cap)を含むことができる。前記2つのY-capのそれぞれの一端は補償変圧器140Aの二次側142Aに接続されるノードを共有し、前記2つのY-capのそれぞれの反対端はそれぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されるノードを有することができる。
【0128】
補償コンデンサ部150Aは、補償変圧器140Aによって誘導された補償電流IC1、IC2を電力線に流すことができる。補償電流IC1、IC2が第1電流I11、I12を補償(または相殺)することにより、電流補償装置100Aはノイズを低減させることができる。
【0129】
一方、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112の間に流れる電流IL1が第1閾値サイズ未満になるように構成することができる。また、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112のそれぞれと第1基準電位601との間に流れる電流IL2が第2閾値サイズ未満になるように構成することができる。
【0130】
アクティブ電流補償装置100Aは、補償変圧器140A及びセンシング変圧器120Aを用いることにより、絶縁型(isolated)構造を実現することができる。
【0131】
図4は、
図3に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
図4に示すアクティブ電流補償装置100A-1は、
図3に示すアクティブ電流補償装置100Aの一例である。アクティブ電流補償装置100A-1に含まれた増幅部130A-1は、アクティブ電流補償装置100Aの増幅部130の一例である。
【0132】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1に含まれた増幅部130A-1は、パッシブ素子部及びアクティブ素子部を含むことができる。増幅部130A-1のパッシブ素子部は、Cb、Ce、Z1、Z2、Cdcを含むことができる。増幅部130A-1のアクティブ素子部は、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、ダイオード13、Rnpn、Rpnp、Reを含むことができる。
【0133】
一実施形態において、第1トランジスタ11はnpn BJTであることができ、第2トランジスタ12はpnp BJTであることができる。例えば、増幅部130A-1は、npn BJT及びpnp BJTを含むpush-pull増幅器構造を有することができる。
【0134】
センシング変圧器120Aによって二次側122Aで誘導された誘導電流は、増幅部130A-1に差動(differential)で入力されることができる。増幅部130A-1に含まれたCb及びCeは、交流(AC)信号のみを選択的に結合させることができる。
【0135】
電源装置400は、増幅部130A-1及び誤動作検知部180を駆動するために、第2基準電位602を基準とする直流(DC)電圧Vddを供給する。Cdcは、前記Vddに対するDC用の減結合コンデンサであり、電源装置400と第2基準電位602との間に並列に接続されることができる。Cdcは、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)及び第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)の両方のコレクタ間をAC信号のみ選択的に結合させることができる。
【0136】
増幅部130A-1のアクティブ素子部において、Rnpn、Rpnp及びReは、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12の動作点を調節することができる。Rnpnは、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)のコレクタ(collector)端であり、電源装置400端と、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)のベース(base)端とを接続させることができる。Rpnpは、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)のコレクタ(collector)端であり、第2基準電位602と、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)のベース端とを接続させることができる。Reは、第1トランジスタ11のエミッタ(emitter)端と第2トランジスタ12のエミッタ端とを接続させることができる。
【0137】
一実施形態に係るセンシング変圧器120Aの二次側122A側は、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベース側とエミッタ側との間に接続されることができる。一実施形態に係る補償変圧器140Aの一次側141A側は、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のコレクタ側とベース側との間に接続されることができる。ここで、接続は間接的に接続された場合も含む。一実施形態に係る増幅部130A-1は、出力電流を 第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースに再び注入する回帰構造を有することができる。回帰構造であるため、増幅部130A-1は、アクティブ電流補償装置100A-1の動作のための一定の電流利得を安定して得ることができる。
【0138】
ノイズ信号による増幅部130A-1の入力電圧が0より大きい正のスイング(positive swing)の場合、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)が動作することができる。このとき、動作電流は第1トランジスタ11を通る第1経路を介して流れることができる。ノイズによる増幅部130A-1の入力電圧が0より小さい負のスイング(negative swing)の場合、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)が動作することができる。このとき、動作電流は第2トランジスタ12を通る第2経路を介して流れることができる。
【0139】
様々な実施形態において、第1装置300に従って補償すべきノイズレベルが大きくなる可能性があるため、できる限り高い電圧を有する電源装置400を使用することが望ましい場合がある。例えば、電源装置400は、第1装置300及び第2装置200とは独立していることができる。
【0140】
電源装置400から電源が供給されることにより、第1トランジスタ11と第2トランジスタ12のノードがコモンモードで大きくスイング(swing)することができる。例えば、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースノード及びエミッタノードでの電圧がコモンモードでスイング(swing)することができる。
【0141】
増幅部130A-1のアクティブ素子部が上述したように正常に動作するか否かを確認することにより、アクティブ電流補償装置100A-1自体が正常動作しているか否かを確認することができる。言い換えれば、増幅部130A-1のDCバイアス(bias)が正常であるか否かを確認することにより、アクティブ電流補償装置100A-1が正常動作しているか否かを確認することができる。
【0142】
上述したように、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のノードにおいて電圧がコモンモードで大きくスイングするため、第1トランジスタ11と第2トランジスタ12との間の差動DC電圧のみを検知して誤動作をセンシングすることができる。すなわち、増幅部130A-1の誤動作をセンシングするために、第1トランジスタ11と第2トランジスタ12との間の差動DC電圧のみを選択的に検知することができる。
【0143】
例えば、第1トランジスタ11の一ノードと第2トランジスタ12の一ノードとの間の差動DC電圧が所定の条件を満たすと、アクティブ電流補償装置100A-1が正常であると判断することができる。
【0144】
したがって、一実施形態に係る誤動作検知部180は、増幅部130A-1に含まれた2つのノード間の差動DC電圧を用いて、増幅部130A-1の誤動作を示す信号を出力することができる。
【0145】
例えば、第1トランジスタ11の一ノードと第2トランジスタ12の一ノードとの差動信号を誤動作検知部180に入力することができる。一実施形態において、前記差動信号は、第1トランジスタ11のエミッタと第2トランジスタ12のエミッタとの間の差動DC電圧であることができる。
【0146】
一実施形態によれば、誤動作検知部180は、第1トランジスタ11のエミッタと第2トランジスタ12のエミッタとの間の差動DC電圧が所定の範囲内である場合、出力端子t3を介して正常を示す信号を出力することができる。誤動作検知部180は、前記差動DC電圧が前記所定の範囲外であれば、出力端子t3を介して故障を示す信号を出力することができる。
【0147】
本発明の実施形態において、増幅部130A-1の少なくとも一部と誤動作検知部180とを物理的に1つのICチップ500A-1に集積化することができる。
【0148】
一実施形態において、
図4に示すように増幅部130A-1のアクティブ素子部と誤動作検知部180とを一つのICチップ500A-1に集積化することができる。例えば、アクティブ素子部の第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、ダイオード13、Rnpn、Rpnp、Re及び誤動作検知部180を一つのICチップ500A-1に集積化することができる。この場合、ICチップ500A-1は、電源装置400と接続されるための端子t1、第2基準電位602と接続されるための端子t2、誤動作検知部180の出力信号を出力するための端子t3及びパッシブ素子部と接続されるための端子(例えば、t4、t5、t6、t7)を含むことができる。例えば、パッシブ素子部に接続するための端子は、第1トランジスタ11のエミッタに対応する端子t4及び第2トランジスタ12のエミッタに対応する端子t5を含むことができる。
図4に示す実施形態において、エミッタに対応する2つの端子t4、t5は、誤動作検知部180の差動入力にも対応することができる。エミッタに対応する端子t4、t5は、それぞれパッシブ素子部のCeに接続されることができる。また、前記パッシブ素子部に接続するための端子は、第1トランジスタ11のベースに対応する端子t6及び第2トランジスタ12のベースに対応する端子t7を含むことができる。ベースに対応する端子t6、t7はそれぞれパッシブ素子部のCbに接続されることができる。
【0149】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。他の実施形態において、ICチップ500A-1は、増幅部130A-1のパッシブ素子部の少なくとも一部をさらに含むこともできるだろう。他の実施形態において、ICチップ500A-1は、増幅部130A-1のアクティブ素子部、パッシブ素子部及び誤動作検知部180を全て含むこともできる。
【0150】
本発明の実施形態によれば、増幅部130A-1のアクティブ素子部が集積化されたICチップ500A-1に誤動作検知部180を内蔵化することにより、一般実用素子を使用して誤動作検知部180を別途構成する場合よりもサイズ及び価格を低減することができる。また、増幅部130A-1の少なくとも一部と誤動作検知部180を一つのICチップ500A-1に集積化することにより、ICチップ500A-1または電流補償装置100A-1は独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。
【0151】
誤動作検知部180の詳細な説明は、
図6~
図8で後述する。
【0152】
図5は、
図3に示す実施形態のより具体的な他の例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2を概略的に示す図である。
図5に示すアクティブ電流補償装置100A-1は、
図3に示すアクティブ電流補償装置100Aの一例である。アクティブ電流補償装置100A-2に含まれた増幅部130A-2は、アクティブ電流補償装置100Aの増幅部130の一例である。
【0153】
図5に示す増幅部130A-2は、
図4に示す増幅部130A-1に対応し、誤動作検知部180が接続される位置のみが異なることができる。具体的には、ICチップ500A-2において、第1トランジスタ11のベースと第2トランジスタ12のベースとの間の差動DC電圧を誤動作検知部180に入力することができる。したがって、増幅部130A-2に関する説明は、増幅部130A-1に関する説明に対応するため、簡単に説明する。
【0154】
一実施形態において増幅部130A-2のパッシブ素子部は、Cb、Ce、Z1、Z2、Cdcを含むことができる。増幅部130A-2のアクティブ素子部は、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、ダイオード13、Rnpn、Rpnp、Reを含むことができる。一実施形態において、第1トランジスタ11はnpn BJTであることができ、第2トランジスタ12はpnpのBJTであることができる。例えば、増幅部130A-2は、npn BJT及びpnp BJTを含むpush-pull増幅器構造を有することができる。一実施形態に係る増幅部130A-2は、出力電流を第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースに再び注入する回帰構造を有することができる。
【0155】
ノイズ信号による増幅部130A-2の入力電圧が0より大きい正のスイング(positive swing)の場合、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)が動作することができる。ノイズによる増幅部130A-2の入力電圧が0より小さい負のスイング(negative swing)の場合、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)が動作することができる。
【0156】
電源装置400から電源を供給されることにより、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースノード及びエミッタノードでの電圧がコモンモードで大きくスイング(swing)することができる。ここで、増幅部130A-2のDCバイアス(bias)が正常であるか否かを確認することにより、アクティブ電流補償装置100A-2が正常に動作しているか否かを確認することができる。
【0157】
上述したように、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースノード及びエミッタノードにおいて電圧がコモンモードで大きくスイングするため、第1トランジスタ11の一ノードと第2トランジスタ12一ノードとの間の差動DC電圧のみを検知して誤動作をセンシングすることができる。
【0158】
図5に示す実施形態によれば、第1トランジスタ11のベースと第2トランジスタ12のベースとの間の差動DC電圧を誤動作検知部180に入力することができる。誤動作検知部180は、第1トランジスタ11のベースと第2トランジスタ12のベースとの間の差動DC電圧が所定範囲内であれば、出力端子t3を介して正常を示す信号を出力することができる。誤動作検知部180は、第1トランジスタ11のベースと第2トランジスタ12のベースとの間の差動DC電圧が前記所定範囲外であれば、出力端子t3を介して故障を示す信号を出力することができる。
【0159】
本発明の実施形態において、増幅部130A-2の少なくとも一部と誤動作検知部180とを物理的に1つのICチップ500A-2に集積化することができる。
【0160】
一実施形態において、
図5に示すように増幅部130A-2のアクティブ素子部と誤動作検知部180とを一つのICチップ500A-2に集積化することができる。例えば、アクティブ素子部の第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、ダイオード13、Rnpn、Rpnp、Re及び誤動作検知部180を一つのICチップ500A-2に集積化することができる。この場合、ICチップ500A-2は、電源装置400と接続されるための端子t1、第2基準電位602と接続されるための端子t2、誤動作検知部180の出力信号を出力するための端子t3及びパッシブ素子部と接続されるための端子(例えば、t4、t5、t6、t7)を含むことができる。例えば、パッシブ素子部に接続するための端子は、第1トランジスタ11のエミッタに対応する端子t4及び第2トランジスタ12のエミッタに対応する端子t5を含むことができる。エミッタに対応する端子t4、t5は、それぞれパッシブ素子部のCeに接続されることができる。また、前記パッシブ素子部に接続するための端子は、第1トランジスタ11のベースに対応する端子t6及び第2トランジスタ12のベースに対応する端子t7を含むことができる。
図5に示す実施形態において、ベースに対応する2つの端子t6、t7は、誤動作検知部180の差動入力にも対応することができる。ベースに対応する端子t6、t7はそれぞれパッシブ素子部のCbに接続されることができる。
【0161】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。他の実施形態において、ICチップ500A-2は、増幅部130A-2のパッシブ素子部の少なくとも一部をさらに含むこともできるだろう。他の実施形態において、ICチップ500A-2は、増幅部130A-2のアクティブ素子部、パッシブ素子部及び誤動作検知部180を全て含むこともできる。
【0162】
誤動作検知部180の詳細な説明は、
図6~
図8で後述する。
【0163】
以下、増幅部130を通じた説明は、増幅部130A-1、130A-2にも適用することができる。
【0164】
図6は、本発明の一実施形態に係る誤動作検知部180の機能的構成を示す図である。
【0165】
図6を参照すると、誤動作検知部180は、減算器(subtractor)181、第1比較器(comparator)182a、第2比較器182b、第1レベルシフタ(level shifter)183a、第2レベルシフタ183b及び論理回路(logic circuit)184を含むことができる。ただし、これは一実施形態に過ぎず、本発明の誤動作検知部180はこれに限定されない。
【0166】
誤動作検知部180は、前述した様々な実施形態に係るICチップ500、500A-1、500A-2に適用することができる。
【0167】
様々な実施形態において、増幅部130、130A-1、130A-2に含まれた2つのノードの信号を、誤動作検知部180の減算器181に差動で入力することができる。前述したように、第1トランジスタ11の一ノードの信号と第2トランジスタ12の一ノードの信号を減算器181に差動で入力することができる。
【0168】
減算器181は、第1トランジスタ11のノードと第2トランジスタ12のノードとの間の差動DC電圧のみを選択的に検知することができる。減算器181は、前記2つのノードでの電圧を差動で検出するため、前記2つのノードのコモンモードスイングを無視することができる。減算器181は、検知された差動DC電圧Vsubを出力することができる。
【0169】
一実施形態において
図4に示すICチップ500A-1の場合、減算器181は、第1トランジスタ11のエミッタと第2トランジスタ12のエミッタとの間の差動DC電圧Vsubを出力することができる。この場合、減算器181の入力端は、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のエミッタとノードを共有することができる。
【0170】
他の一実施形態において
図5に示すICチップ500A-2の場合、減算器181は、第1トランジスタ11のベースと第2トランジスタ12のベースとの間の差動DC電圧Vsubを出力することができる。この場合、減算器181の入力端は、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースとノードを共有することができる。
【0171】
一方、減算器181の各入力端における電圧はスイングすることができ、スイングは増幅部130の定格電圧Vddの大きさに準じることができる。したがって、減算器181は、増幅部130の定格電圧Vddに対応する定格電圧を有する必要がある可能性がある。したがって、減算器181は、電源装置400の供給電圧Vddをそのまま供給されて駆動することができる。
【0172】
誤動作検知部180は増幅部130の動作に影響を与えてはならないため、誤動作検知部180の減算器181は高い入力インピーダンスを有することができる。例えば、減算器181は、10kOhmより大きい入力インピーダンスを有する回路で構成されることができる。
【0173】
一実施形態によれば、減算器181は、レールツーレール演算増幅器(rail-to-rail Op-amp)を含むことができる。
【0174】
第1比較器182a及び第2比較器182bは、減算器181の出力である差動DC電圧Vsubの大きさが所定の範囲内であるか否かを検出することができる。差動DC電圧Vsubの大きさが前記所定の範囲内であれば増幅部130は正常と決定されることができ、差動DC電圧Vsubの大きさが前記所定の範囲外であれば増幅部130は故障と決定されることができる。例えば、差動DC電圧Vsubが最大基準電圧Vref,maxと最小基準電圧Vref,minとの間にある場合、増幅部130は正常であることができる。差動DC電圧Vsubが最大基準電圧Vref,maxより高いか、最小基準電圧Vref,minより低い場合、増幅部130は故障であることができる。
【0175】
最大基準電圧Vref,max及び最小基準電圧Vref,minは、様々な実施形態に従って予め設定されることができる。以下、最大基準電圧Vref,max及び最小基準電圧Vref,minを設定する基準について説明する。
【0176】
図4のような一実施形態において、減算器181は、第1トランジスタ11のエミッタと第2トランジスタ12のエミッタとの間の差動DC電圧Vsubを検知することができる。増幅部130が正常に動作するとき、前記差動DC電圧VsubはIe×Reに対応することができる。Reは第1トランジスタ11のエミッタ端と第2トランジスタ12のエミッタ端とを接続させる抵抗であり、IeはReを流れる電流を表す。IeとReは設計によって決定されることができる。この実施形態において、最大基準電圧Vref,maxは、指定された大きさだけIe×Reより高く設定することができる。最小基準電圧Vref,minは、指定された大きさだけIe×Reより低く設定することができる。
【0177】
図5のような一実施形態において、減算器181は、第1トランジスタ11のベースと第2トランジスタ12のベースとの間の差動DC電圧Vsubを検知することができる。増幅部130が正常に動作するとき、前記差動DC電圧Vsubは(Ie×Re+2Vbe,bjt)に対応することができる。Reは第1トランジスタ11のエミッタ端と第2トランジスタ12のエミッタ端とを接続させる抵抗であり、IeはReを流れる電流を示す。IeとReは設計によって決定されることができる。Vbe,bjtは、第1トランジスタ11または第2トランジスタ12のベースとエミッタとの間の電圧を表す。この実施形態において、最大基準電圧Vref,maxは、指定された大きさだけ(Ie×Re+2Vbe,bjt)より高く設定することができる。最小基準電圧Vref,minは、指定された大きさだけ(Ie×Re+2Vbe,bjt)より低く設定することができる。例えば、最大基準電圧Vref,maxは2V、最小基準電圧Vref,minは1.4Vに設定することができる。ただし、これに限定されない。
【0178】
第1比較器182aは、差動DC電圧Vsubが最大基準電圧Vref,maxより低いか否かを示す第1信号a1を出力することができる。第2比較器182bは、差動DC電圧Vsubが最小基準電圧Vref,minより高いか否かを示す第2信号b1を出力することができる。
【0179】
一方、第1比較器182a及び第2比較器182bの入力端には依然として高い電圧が発生することができるため、第1比較器182a及び第2比較器182bは増幅部130の定格電圧Vddに対応する定格電圧を有することができる。したがって、第1比較器182a及び第2比較器182bは、電源装置400の供給電圧Vddをそのまま供給されて駆動することができる。
【0180】
一実施形態によれば、第1比較器182a及び第2比較器182bは開ループ二段演算増幅器(open-loop 2-stage Op-amp)を含むことができる。
第1レベルシフタ183a及び第2レベルシフタ183bは、比較器182a、182bの出力信号の電圧を下げることができる。
【0181】
論理回路184に含まれるMOSFETのゲート(gate)電圧は、比較器182a、182bの定格電圧Vddより低いため、第1信号a1及び第2信号b1の電圧レベルを下げて論理回路184に入力しなければならない。したがって、レベルシフタ183a、183bを用いて、第1信号a1及び第2信号b1の符号を保持するが、電圧の大きさのみを下げることができる。
【0182】
第1比較器182aから出力された第1信号a1は、第1レベルシフタ183aに入力することができる。第1レベルシフタ183aは、第1信号a1の電圧レベルが低下した第3信号a2を出力することができる。
【0183】
第2比較器182bから出力された第2信号b1は、第2レベルシフタ183bに入力することができる。第2レベルシフタ183bは、第2信号b1の電圧レベルが低下した第4信号b2を出力することができる。
【0184】
レベルシフタ183a、183bの入力端の定格電圧は、電源装置400の供給電圧Vddに対応することができる。レベルシフタ183a、183bの出力端の定格電圧は、前記供給電圧Vddより低いことができる。
【0185】
例えば、電源装置400の供給電圧Vddは12Vであることができ、レベルシフタ183a、183bの出力端の定格電圧は5Vであることができる。
【0186】
第3信号a2及び第4信号b2は論理回路184に入力することができる。論理回路184は、第3信号a2及び第4信号b2を用いて差動DC電圧Vsubが最大基準電圧Vref,maxと最小基準電圧Vref,minとの間にあるか否かを示す第5信号c1を出力することができる。第5信号c1は、0または1のうちいずれか1つであるデジタル信号であることができる。例えば、第5信号c1が0を示す場合は増幅部130が正常の状態であり、第5信号c1が1を示す場合は増幅部130が故障の状態であることができる。もちろんその逆の場合も可能である。
【0187】
図7は、本発明の一実施形態に係る論理回路184の概略図である。
【0188】
図7を参照すると、第1レベルシフタ183aの出力である第3信号a2と第2レベルシフタ183bの出力である第4信号b2を論理回路184に入力することができる。論理回路は、入力である第3信号a2及び第4信号b2に基づいて第5信号c1を出力することができる。例えば、論理回路184は、以下の表1のような真理値表を有することができる。
【表1】
【0189】
一実施形態において、第1比較器182aは差動DC電圧Vsubが最大基準電圧Vref,maxより低い場合、1を示す高(high)信号を出力することができる。この場合、第1信号a1が1を示すため、第3信号a2も1を示すことができる。
【0190】
一実施形態において、第2比較器182bは差動DC電圧Vsubが最小基準電圧Vref,minより高い場合、0を示す低(low)信号を出力することができる。この場合、第2信号b1が0を示すため、第4信号b2も0を示すことができる。
【0191】
上述したような実施形態によれば、表1で第5信号c1が0を示すと、増幅部130が正常に動作すると判断することができる。第5信号c1が1を示すと、増幅部130が誤動作すると判断することができる。
【0192】
ただし、
図7に示す論理回路184と前記真理値表は一例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。様々な実施形態によって、誤動作検知部180は、増幅部130が誤動作しているか否かを示す第5信号c1を出力するように設計することができる。
【0193】
図7を参照すると、論理回路184の出力端子t3にLEDドライバ14が接続されることができる。LEDドライバ14は、第5信号c1に基づいてICチップ500の外部のLED15を駆動させることができる。
【0194】
例えば、第5信号c1が1を示す場合、LEDドライバ14は外部LED15をターンオン(turn on)することができる。ターンオンされた外部LED15は誤動作状況を示すことができる。第5信号c1が0を示す場合、LEDドライバ14は外部LED15をターンオフ(turn off)することができる。ターンオフされた外部LED15は、正常な状況を示すことができる。
【0195】
論理回路184は、効率のために小さいサイズのMOSFETで設けることができる。論理回路184の出力である第5信号c1は、例えば0V以上5V以下であることができる。論理回路184の出力端子t3に接続されるLEDドライバ14は、例えば、NMOS LEDドライバであることができる。
【0196】
一方、上述したように、レベルシフタ183a、183bの出力端及び論理回路184は、減算器181、比較器182a、182b及びレベルシフタ183a、183bの入力端より低い定格電圧を有することができる。
【0197】
したがって、減算器181、比較器182a、182b及びレベルシフタ183a、183bの入力端にはVddを供給することができる。レベルシフタ183a、183bの出力段及び論理回路184には、Vddより低い供給電圧を供給することができる。例えば、減算器181、比較器182a、182b及びレベルシフタ183a、183bの入力端を12Vに駆動することができる。レベルシフタ183a、183bの出力段及び論理回路184は5Vに駆動することができる。したがって、
図6を参照すると、減算器181、比較器182a、182b及びレベルシフタ183a、183bの入力端は、高い供給電圧領域に含まれるものとして示し、レベルシフタ183a、183bの出力端及び論理回路184は、低い供給電圧領域に含まれるものとして示している。高い供給電圧領域と低い供給電圧領域は、実際の物理的な領域を表すのではなく、高い供給電圧によって駆動される構成要素と低い供給電圧によって駆動される構成要素とを区別するための用語である。
【0198】
図8は、本発明の一実施形態に係るアクティブ素子部132及び誤動作検知部180の回路図である。
【0199】
図8を参照すると、増幅部130のアクティブ素子部132は、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、ダイオード13、Rnpn、Rpnp、Reを含むことができる。
【0200】
誤動作検知部180は、減算器181、第1比較器182a、第2比較器182b、第1レベルシフタ183a、第2レベルシフタ183b及び論理回路184を含むことができる。誤動作検知部180は、論理回路184の出力端にLEDドライバ14をさらに含むことができる。
【0201】
誤動作検知部180は、アクティブ素子部132を含む増幅部130の動作に影響を与えてはならないため、誤動作検知部180の減算器181は高い入力インピーダンスを有することができる。
【0202】
誤動作検知部180は常に動作する必要はなく、誤動作の検査が必要な場合にのみ動作させればよい。したがって、不要な電力消費を低減するために、スイッチ16を設け、誤動作検知部180のみを選択的にターンオフにすることができる。
【0203】
スイッチ16はICチップ500の外部に存在することができる。ICチップ500は、スイッチ16の状態に基づいて誤動作検知部180に電源を選択的に供給するための別途の端子t8をさらに設けることができる。スイッチ16は、電源装置400と前記端子t8との間に接続されることができる。
【0204】
一方、誤動作検知部180は、高い供給電圧によって駆動される構成要素と、低い供給電圧によって駆動される構成要素とを含むことができる。例えば、減算器181、比較器182a、182b及びレベルシフタ183a、183bの入力端は、高い供給電圧Vddによって駆動されることができる。レベルシフタ183a、183bの出力端及び論理回路184は、電圧分割回路17によって前記供給電圧Vddより低い電圧で駆動されることができる。
【0205】
一実施形態において、アクティブ素子部132及び誤動作検知部180は、物理的に1つのICチップ500に集積されることができる。例えば、ICチップ500は、電源装置400と接続されるための端子t1、第2基準電位602と接続されるための端子t2、誤動作検知部180の出力端子t3、パッシブ素子部と接続されるための端子(例えば、t4、t5、t6、t7)及び誤動作検知部180の駆動をオンオフできる端子t8を含むことができる。
【0206】
一方、
図8では、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のエミッタノードが減算器181の入力端に接続される実施形態を示しているが、他の実施形態によれば、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースノードが減算器181の入力端に接続されることもできる。
【0207】
図9は、本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bの構成を概略的に示す図である。以下では、
図1~
図8を参照して説明した内容と重複する内容の説明は省略する。
【0208】
図9を参照すると、アクティブ電流補償装置100Bは、第1装置300に接続される大電流経路111B、112B、113Bのそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12、I13を能動的に補償することができる。
【0209】
この目的のために、本発明の他の実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bは、3つの大電流経路111B、112B、113B、センシング変圧器120B、増幅部130B、誤動作検知部180、補償変圧器140B及び補償コンデンサ部150Bを含むことができる。
【0210】
前述した実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A、100A-1、100A-2と比較して見れば、
図9に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bは3つの大電流経路111B、 112B、113Bを含み、それによってセンシング変圧器120B及び補償コンデンサ部150Bの相違点がある。したがって、以下では、上述した相違点を中心にアクティブ電流補償装置100Bについて説明する。
【0211】
アクティブ電流補償装置100Bは、互いに区別される第1大電流経路111B、第2大電流経路112B及び第3大電流経路113Bを含むことができる。一実施形態によれば、前記第1大電流経路111BはR相、前記第2大電流経路112BはS相、前記第3大電流経路113BはT相の電力線であることもできる。第1電流I11、I12、I13は、第1大電流経路111B、第2大電流経路112B及び第3大電流経路113Bのそれぞれにコモンモードで入力されることもできる。
【0212】
センシング変圧器120Bの一次側121Bは、第1大電流経路111B、第2大電流経路112B及び第3大電流経路113Bのそれぞれに配置され、二次側122Bに誘導電流を生成することができる。3つの大電流経路111B、112B、113B上の第1電流I11、I12、I13によってセンシング変圧器120Bに生成される磁束密度は互いに補強されることができる。
【0213】
一方、アクティブ電流補償装置100Bにおいて増幅部130Bは、増幅部130A-1、増幅部130A-2を含む増幅部のうち1つで具現されることができる。
図9では、一例として増幅部130A-1に対応する増幅部130Bを示す。
【0214】
増幅部130Bの少なくとも一部と誤動作検知部180は、物理的に1つのICチップ500Bに集積化されることができる。例えば、
図9に示すように、増幅部130Bのアクティブ素子部と誤動作検知部180とを一つのICチップ500Bに集積化することができる。アクティブ素子部は、例えば、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、ダイオード13、Rnpn、Rpnp、Reを含むことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、Cb、Ce、Z1、Z2、Cdcを含むパッシブ素子部の少なくとも一部の構成要素もICチップ500Bに集積化することができる。
【0215】
一方、
図9では、第1トランジスタ11のエミッタノードの電圧と第2トランジスタ12のエミッタノードの電圧とが差動で誤動作検知部180に入力される実施形態を示す。しかしながら、本発明はこれに限定されず、他の実施形態によれば、第1トランジスタ11のベースノードの電圧と第2トランジスタ12のベースノードの電圧とが差動で誤動作検知部180に入力されることもできる。第1トランジスタ11はnpn BJTであることができ、第2トランジスタ12はpnp BJTであることができる。
【0216】
ICチップ500Bは、電源装置400と接続されるための端子t1、第2基準電位602と接続されるための端子t2、誤動作検知部180の出力信号を出力するための端子t3及びパッシブ素子部と接続されるための端子(例えば、t4、t5、t6、t7)を含むことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、他の実施形態によれば、
図8に示すように、ICチップ500Bは、誤動作検知部180に電源を選択的に供給するためのスイッチ16に接続される端子t8をさらに含むことができる。この場合、電源装置400と前記端子t8との間にスイッチ16が接続されることができる。
【0217】
図9には示されていないが、
図8のように一実施形態によれば、誤動作検知部180の出力端子t3にLEDドライバ14及び外部LED15が接続されることができる。外部LED15は、アクティブ電流補償装置100Bの正常または誤動作状況を示すことができる。
【0218】
一方、補償コンデンサ部150Bは、補償変圧器140Bによって生成された補償電流IC1、IC2、IC3が第1大電流経路111B、第2大電流経路112B及び第3大電流経路113Bのそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0219】
アクティブ電流補償装置100Bは、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170Bをさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170Bに含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111B、第2大電流経路112B及び第3大電流経路113Bに接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100Bの第1基準電位601に接続されることができる。
【0220】
減結合コンデンサ部170Bは、アクティブ電流補償装置100Bの補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170BのインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170Bの結合により、電流補償装置100Bは、どのシステム(例えば、三相三線式)においても独立したモジュールとして使用することができる。
【0221】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100Bにおいて減結合コンデンサ部170Bを省略することができる。
【0222】
このような実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bは、三相三線式の電力システムの負荷で電源に移動する第1電流I11、I12、I13を補償(または相殺)するために使用することができる。
【0223】
本発明の技術的思想によって、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、三相四線式にも適用できるように変更できるのは言うまでもない。
【0224】
様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置100、100A、100A-1、100A-2、100Bは、パッシブEMIフィルタと比較して、高電力システムにおける大きさ及び発熱の増加がわずかである。アクティブ回路部と誤動作検知部を1つのICチップ500、500A-1、500A-2、500Bに集積化することにより、ICチップ500、500A-1、500A-2、500Bは独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。また、ICチップ500、500A-1、500A-2、500Bを含む電流補償装置100、100A、100A-1、100A-2、100Bを独立したモジュールに製作して実用化することもできる。このような電流補償装置100、100A、100A-1、100A-2、100Bは、周辺電気システムの特性に関係なく独立したモジュールとして誤動作を検出することができる。
【0225】
[2]内蔵化された電力変換部を含むアクティブ電流補償装置
図10は、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100は、第1装置300から複数の大電流経路111、112を介してコモンモード(Common Mode、CM)に入力される第1電流I11、I12(例えば、EMIノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0226】
図10を参照すると、アクティブ電流補償装置100は、センシング部120、増幅部130、電力管理部180及び補償部160を含むことができる。
【0227】
本明細書において、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を使用する様々な形態の電力システムであることができる。例えば、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いて駆動される負荷であることができる。また、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いてエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを用いて駆動される負荷(例えば、電気自動車)であることができる。ただし、これに限定されない。
【0228】
本明細書における第2装置200は、第1装置300に電源を電流及び/または電圧の形態で供給するための様々な形態のシステムであることができる。第2装置200は、貯蔵されたエネルギーを供給する装置であることもできる。ただし、これに限定されない。
【0229】
第1装置300側には電力変換装置が位置することができる。例えば、前記電力変換装置のスイッチング動作により、第1電流I11、I12を電流補償装置100に入力することができる。すなわち、第1装置300側はノイズソースに対応することができ、第2装置200側はノイズレシーバに対応することができる。
【0230】
2つ以上の大電流経路111、112は、第2装置200によって供給される電源、すなわち第2電流I21、I22を第1装置300に伝達する経路であることができるが、例えば、電力線であることができる。例えば、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれは、ライブライン(Live line)とニュートラルライン(Neutral line)であることができる。大電流経路111、112の少なくとも一部は電流補償装置100を通過することができる。第2電流I21、I22は、第2周波数帯域の周波数を有する交流電流であることができる。第2周波数帯域は、例えば50Hz~60Hz帯域であることができる。
【0231】
また、2つ以上の大電流経路111、112は、第1装置300で発生したノイズ、すなわち第1電流I11、I12が第2装置200に伝達される経路であることができる。第1電流I11、I12は、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれに対してコモンモード(Common Mode)で入力されることができる。第1電流I11、I12は、様々な原因によって第1装置300で意図せず発生される電流であることができる。例えば、第1電流I11、I12は、第1装置300と周辺環境との間の仮想の静電容量(Capacitance)によって発生されるノイズ電流であることができる。あるいは、第1電流I11、I12は、第1装置300の電力変換装置のスイッチング動作によって発生されるノイズ電流であることができる。第1電流I11、I12は、第1周波数帯域の周波数を有する電流であることができる。第1周波数帯域は、前述した第2周波数帯域より高い周波数帯域であることができる。第1周波数帯域は、例えば、150KHz~30MHz帯域であることができる。
【0232】
一方、2つ以上の大電流経路111、112は、
図10に示すように2つの経路を含むこともでき、
図16に示すように3つの経路を含むこともできる。さらに、2つ以上の大電流経路111、112は4つの経路を含むこともできる。大電流経路111、112の数は、第1装置300及び/または第2装置200が使用する電源の種類及び/または形態に応じて変わることができる。
【0233】
センシング部120は、2つ以上の大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知し、第1電流I11、I12に対応する出力信号を生成することができる。すなわち、センシング部120は、大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知する手段を意味することができる。センシング部120には、第1電流I11、I12のセンシングのために大電流経路111、112の少なくとも一部が通過することができるが、センシング部120内でセンシングによる出力信号が生成される部分は、大電流経路111、112と絶縁されることができる。例えば、センシング部120はセンシング変圧器として具現されることができる。センシング変圧器は、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知することができる。ただし、センシング部120はセンシング変圧器に限定されない。
【0234】
一実施形態によれば、センシング部120は、増幅部130の入力端と差動(differential)に接続されることができる。
【0235】
増幅部130はセンシング部120に電気的に接続され、センシング部120が出力した出力信号を増幅し、増幅された出力信号を生成することができる。本発明において増幅部130による「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/又は位相を調節することを意味することができる。増幅部130は様々な手段で具現されることができ、アクティブ素子を含むことができる。一実施形態において、増幅部130はBJT(Bipolar Junction Transistor)を含むことができる。例えば、増幅部130は、BJT以外に抵抗とコンデンサなど複数のパッシブ素子を含むことができる。ただし、これに限定されず、本発明で説明する「増幅」のための手段は、本発明の増幅部130として制限なく使用することができる。
【0236】
一実施形態によれば、増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは、互いに区別されることができる。例えば、増幅部130が大電流経路111、112と絶縁になる場合に、増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは互いに区別されることができる。
【0237】
ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、増幅部130が大電流経路111、112と非絶縁になる場合には、増幅部の基準電位と電流補償装置の基準電位とは区別されないことができる。
【0238】
増幅部130は、第1装置300及び/または第2装置200と区別される電源装置400から電源を供給されることができる。増幅部130は、電源装置400から電源を供給され、センシング部120が出力した出力信号を増幅して増幅電流を生成することができる。
【0239】
電源装置400は、例えば、第1装置300及び第2装置200のうちいずれか1つの装置から電源を供給され、増幅部130の入力電源を生成する装置であることができる。電源装置400は、例えば、第1装置300または第2装置200のSMPS(switching mode power supply)であることができる。電源装置400は、第2基準電位602を基準とする直流(DC)電圧VIを出力することができる。電源装置400の出力電圧VIは、増幅部130を駆動するために使用することができる。
【0240】
一方、増幅部130に必要な最適化されたDC電圧レベルが存在するが、電源装置400は増幅部130に必要な最適化された電圧レベルを出力できない場合がある。具体的には、電源装置400の出力DC電圧VIは、システム(例えば、第1装置300または第2装置200)によって変わることができる。例えば、増幅部130の最適の供給電圧は12Vであるが、電源装置400の出力電圧VIはシステムによって15V、24V、48Vなど様々であることができる。したがって、電源装置400の出力電圧VIが増幅部130に直接供給されるのであれば、増幅部130の動作が不安定になったり、故障を引き起こしたりすることができる。
【0241】
したがって、本発明の実施形態に係るアクティブ電流補償装置100は、増幅部130と電源装置400との間に電力管理部180を含むことができる。電力管理部180は、電源装置400から出力された電圧VIを入力され、出力電圧VOに変換することができる。電力管理部180の出力電圧VOは増幅部130に入力されることができる。VIはシステムによって15V、24V、48Vなど様々であることができるが、VOは増幅部130に必要な最適化された電圧レベルに固定された値である。
【0242】
電力管理部180は、DC-DCコンバータであることができる。電力管理部180は、PMIC(power management IC)であることができる。
【0243】
本発明の一実施形態によれば、増幅部130の少なくとも一部と電力管理部180の少なくとも一部は1つのICチップに集積化されることができる。例えば、増幅部130の少なくとも一部と電力管理部180の少なくとも一部を1つのICチップに内蔵化することにより、前記ICチップは独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。
【0244】
補償部160は、増幅部130によって増幅された出力信号に基づいて補償電流IC1、IC2を生成することができる。補償部160の出力側は、大電流経路111、112に補償電流IC1、IC2を流すために大電流経路111、112と接続されることができる。
【0245】
一実施形態によれば、補償部160の出力側は増幅部130とは絶縁されることができる。例えば、補償部160は、前記絶縁のために補償変圧器を含むことができる。例えば、前記補償変圧器の一次側には増幅部130の出力信号が流れ、補償変圧器の二次側には前記出力信号に基づいた補償電流が生成されることができる。
【0246】
ただし、本発明はこれに限定されない。他の一実施形態によれば、補償部160の出力側は増幅部130とは非絶縁されることができる。この場合、増幅部130は大電流経路111、112と非絶縁されることができる。
【0247】
補償部160は第1電流I11、I12を相殺させるために、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれを介して補償電流IC1、IC2を大電流経路111、112に注入(inject)させることができる。補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。
【0248】
図11は、本発明の一実施形態に係る増幅部130及び電力管理部180の機能的構成の例を示す図である。
【0249】
図11を参照すると、増幅部130はアクティブ回路部131及びパッシブ回路部132を含むことができる。パッシブ回路部132はパッシブ素子のみで構成され、アクティブ回路部131はアクティブ素子を含む。アクティブ回路部131は、アクティブ素子だけでなくパッシブ素子をさらに含むことができる。アクティブ回路部131及びパッシブ回路部132を含む増幅部130の詳細な構成の例については、
図13で後述する。
【0250】
電力管理部180は、電力変換部181、フィードバック部182及びフィルタ部183を含むことができる。電力変換部181は、任意の入力電圧VIを出力電圧VOに変換することができる。フィードバック部182は、任意の入力電圧VIにも同じ出力電圧VOを出せるようにするフィードバックコントロールシステムである。フィルタ部183は、DC電圧/電流フィルタである。フィルタ部183は、電力管理部180の入力端または出力端に位置することができる。電力管理部180の詳細な構成の例は、
図14及び
図15で後述する。
【0251】
一実施形態によれば、増幅部130のアクティブ回路部131及び電力管理部180の電力変換部181が物理的に1つのICチップ500に集積化されることができる。ただし、これは一実施形態に過ぎず、他の実施形態において、アクティブ回路部131、電力管理部180及びフィードバック部182の少なくとも一部の素子が物理的に1つのICチップ500に集積化されることもできる。さらに他の実施形態において、増幅部130及び電力管理部180の全体が物理的に1つのICチップ500に集積化されることもできるというのは言うまでもない。
【0252】
電力管理部180はアクティブ素子を含むことができる。ここで、電力管理部180の基準電位は、増幅部130の基準電位である第2基準電位602と同じであることができる。電力管理部180の基準電位は、電流補償装置100の基準電位(例えば、補償部160の基準電位)である第1基準電位601と異なることができる。
【0253】
増幅部130は、電力管理部180を介して電源装置400の電源を供給されることができる。増幅部130は、電力管理部180の出力電圧VOを供給され、センシング部120が出力した出力信号を増幅して増幅電流を生成することができる。増幅電流は補償部160に入力されることができる。
【0254】
図12は、
図10に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100Aは、第1装置300と接続される2つの大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12(例えば、ノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0255】
図11を参照すると、アクティブ電流補償装置100Aは、センシング変圧器120A、増幅部130及び補償部160Aを含むことができる。
【0256】
一実施形態において、前述したセンシング部120はセンシング変圧器120Aを含むことができる。このとき、センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知するための手段であることができる。センシング変圧器120Aは、第1装置300側から大電流経路111、112(例えば、電力線)に入力されるノイズ電流である第1電流I11、I12をセンシングすることができる。
【0257】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111,112上に配置される一次側121A及び増幅部130の入力端と差動(differential)に接続された二次側122Aを含むことができる。センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される一次側121A(例えば、一次巻線)において、第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度に基づいて二次側122A(例えば、二次巻線)に誘導電流を生成することができる。前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、例えば、1つのコアに第1大電流経路111及び第2大電流経路112がそれぞれ巻回された巻線であることができる。ただし、これに限定されず、前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、第1大電流経路111及び第2大電流経路112が前記コアを通過する形態であることもできる。
【0258】
具体的には、第1大電流経路111(例えば、ライブライン)上の第1電流I11によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112(例えば、ニュートラルライン)上の第1電流I12によって誘導される磁束密度が互いに重なり合う(または補強される)ように構成することができる。このとき、大電流経路111、112上には第2電流I21、I22も流れるが、第1大電流経路111上の第2電流I21によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112上の第1電流I22によって誘導される磁束密度は互いに相殺するように構成することができる。また、一例として、センシング変圧器120Aは、第1周波数帯域(例えば、150KHz~30MHzの範囲を有する帯域)の第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度の大きさが第2周波数帯域(例えば、50Hz~60Hzの範囲を有する帯域)の第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度の大きさよりも大きいように構成することができる。
【0259】
このように、センシング変圧器120Aは、第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度を互いに相殺するように構成成され、第1電流I11、I12のみが検知されるようにすることができる。すなわち、センシング変圧器120Aの二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12が一定の割合で変換された電流であることができる。
【0260】
例えば、センシング変圧器120Aで、一次側121Aと二次側122Aの巻線比が1:Nsenであり、センシング変圧器120Aの一次側121Aの自己インダクタンスがLsenだとすると、二次側122Aは、Nsen2.Lsenの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12の1/Nsen倍である。一例において、センシング変圧器120Aの一次側121Aと二次側122Aとは、ksenの結合係数(coupling coefficient)で結合することができる。
【0261】
センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端に接続されることができる。例えば、センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端と差動で接続され、増幅部130に誘導電流または誘導電圧を提供することができる。
【0262】
増幅部130は、センシング変圧器120Aによって検知されて二次側122Aに誘導される電流を増幅させることができる。例えば、増幅部130は、前記誘導電流の大きさを一定の割合で増幅及び/又は位相を調節することができる。
【0263】
本発明の様々な実施形態によれば、増幅部130はアクティブ回路部131と、前記アクティブ回路部以外の構成であるパッシブ回路部132とを含むことができる。
【0264】
アクティブ回路部131はアクティブ素子を含むことができる。アクティブ回路部131は、アクティブ素子を駆動するために電源装置400に接続されることができる。アクティブ回路部131は、電力管理部180を介して電源装置400から電源を供給されることができる。電力管理部180は、電源装置400から任意のDC電圧VIを入力され、均一な出力電圧VOをアクティブ回路部131側に出力することができる。電源装置400、電力管理部180及び増幅部130は、全て第2基準電位602に接続されることができる。したがって、電力管理部180の入力電圧VI及び出力電圧VOは、両方とも第2基準電位602を基準とする電圧である。第2基準電位602は、電流補償装置100A(または補償部160A)の第1基準電位601と区別することができる。
【0265】
電力管理部180は、フィルタ部183、フィードバック部182及びその他の構成である電力変換部181を含むことができる。一実施形態によれば、増幅部130のアクティブ回路部131及び電力管理部180の電力変換部181は物理的に1つのICチップ500に内蔵化されることができる。前記ICチップ500は、どの入力電圧VIレベルでもアクティブ回路部131に最適化された電圧VOレベルに変換してアクティブ回路部131を動作させることができる。このようなICチップ500は、独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。
【0266】
補償部160Aは、前述した補償部160の一例であることができる。一実施形態において補償部160Aは、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。前述した増幅部130によって増幅された増幅電流は、補償変圧器140Aの一次側141Aに流れることができる。
【0267】
一実施形態に係る補償変圧器140Aは、アクティブ素子を含む増幅部130を大電流経路111、112から絶縁させるための手段であることができる。すなわち、補償変圧器140Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で、増幅電流に基づいて大電流経路111、112に注入するための補償電流を(二次側142Aに)生成するための手段であることができる。
【0268】
補償変圧器140Aは、増幅部130の出力端と差動(differential)に接続される一次側141A及び大電流経路111、112と接続される二次側142Aを含むことができる。補償変圧器140Aは、一次側141A(例えば、1次巻線)に流れる増幅電流によって誘導される磁束密度に基づいて二次側142A(例えば、2次巻線)に補償電流を誘導することができる。
【0269】
このとき、二次側142Aは、後述する補償コンデンサ部150Aと電流補償装置100Aの第1基準電位601とを接続させる経路上に配置されることができる。すなわち、二次側142Aの一端は補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112と接続され、二次側142Aの他端はアクティブ電流補償装置100Aの第1基準電位601と接続されることができる。一方、補償変圧器140Aの一次側141A、増幅部130及びセンシング変圧器120Aの二次側122Aは、アクティブ電流補償装置100Aの残りの構成要素と区別される第2基準電位602に接続されることができる。一実施形態に係る電流補償装置100Aの第1基準電位601と増幅部130の第2基準電位602とは区別されることができる。
【0270】
このように、一実施形態に係る電流補償装置100Aは、補償電流を生成する構成要素に対して、残りの構成要素とは異なる基準電位(すなわち、第2基準電位602)を使用することによって、補償電流を生成する構成要素を絶縁状態で動作させることができ、これによりアクティブ電流補償装置100Aの信頼性を向上させることができる。ただし、本発明に係る電流補償装置が、このような絶縁構造に限定されるものではない。
【0271】
一実施形態に係る補償変圧器140Aにおいて、一次側141Aと二次側142Aの巻線比が1:Ninjであり、補償変圧器140Aの一次側141Aの自己インダクタンスがLinjとすると、二次側142Aは、Ninj2.Linjの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側142Aに誘導される電流は、一次側141Aに流れる電流(すなわち、増幅電流)の1/Ninj倍である。一例において、補償変圧器140Aの一次側141Aと二次側142Aとは、kinjの結合係数(coupling coefficient)で結合されることができる。
【0272】
補償変圧器140Aを介して変換された電流は、補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112(例えば、電力線)に補償電流IC1、IC2として注入されることができる。したがって、補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12を相殺させるために、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。したがって、増幅部130の電流利得の大きさは、Nsen.Ninjとなるように設計することができる。しかしながら、実際の状況では磁気結合損失が発生する可能性があるため、増幅部130の目標電流利得はNsen.Ninjよりも高く設計されることができる。
【0273】
補償コンデンサ部150Aは、前述したように補償変圧器140Aによって生成された電流が2つの大電流経路111、112のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0274】
補償コンデンサ部150Aは、一端が補償変圧器140Aの二次側142Aに接続され、他端が大電流経路111、112のそれぞれに接続されるY-コンデンサ(Y-capacitor, Y-cap)を含むことができる。例えば、2つのY-capの一端は補償変圧器140Aの二次側142Aに接続されるノードを共有し、前記2つのY-capのそれぞれの反対端はそれぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されるノードを有することができる。
【0275】
補償コンデンサ部150Aは、補償変圧器140Aによって誘導された補償電流IC1、IC2を電力線に流すことができる。補償電流IC1、IC2が第1電流I11、I12を補償(または相殺)することにより、電流補償装置100Aはノイズを低減させることができる。
【0276】
一方、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112の間に流れる電流IL1が第1閾値サイズ未満になるように構成することができる。また、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112のそれぞれと第1基準電位601との間に流れる電流IL2が第2閾値サイズ未満になるように構成することができる。
【0277】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aは、補償変圧器140A及びセンシング変圧器120Aを用いることにより、絶縁型(isolated)構造を実現することができる。
【0278】
図13は、
図12に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
図13に示すアクティブ電流補償装置100A-1、増幅部130A及びアクティブ回路部131Aは、
図12に示すアクティブ電流補償装置100A、増幅部130及びアクティブ回路部131の例である。
【0279】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1は、センシング変圧器120A、増幅部130A、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。一実施形態において、アクティブ電流補償装置100A-1は、出力側(すなわち、第2装置200側)に減結合コンデンサ部170Aをさらに含むことができる。他の実施形態において、減結合コンデンサ部170Aは省略されることもある。センシング変圧器120A、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aの説明は重複するため省略する。
【0280】
一実施形態において、センシング変圧器120Aによって二次側122Aで誘導された誘導電流は、増幅部130Aに差動(differential)で入力されることができる。
【0281】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1の増幅部130Aは、アクティブ回路部131A及びパッシブ回路部を含むことができる。増幅部130Aにおいてアクティブ回路部131Aを除いた残りの構成は、パッシブ回路部に含まれることができる。本発明の実施形態において、アクティブ回路部131Aは、電力管理部180の電力変換部181と共に物理的に1つのチップに具現される。パッシブ回路部に含まれた構成は、個別(discrete)実用素子であることができる。パッシブ回路部は実施形態によって異なるように具現されることができる。パッシブ回路部は、アクティブ回路部131Aを様々なデザインのアクティブ電流補償装置100に適用できるように変形されることができる。
【0282】
アクティブ回路部131Aは、npn BJT11、pnp BJT12、ダイオード13及び1つ以上の抵抗を含むことができる。
【0283】
一実施形態においてアクティブ回路部131Aに含まれた1つ以上の抵抗は、Rnpn、Rpnp及び/またはReを含むことができる。アクティブ回路部131A内で、抵抗Rnpnはnpn BJT11のコレクタ(collector)ノードとベース(base)ノードとを結ぶことができる。アクティブ回路部131A内で、抵抗Rpnpはpnp BJT12のコレクタノードとベースノードとを結ぶことができる。アクティブ回路部131A内で、抵抗Reはnpn BJT11のエミッタ(emitter)ノードとpnp BJT12のエミッタノードとを結ぶことができる。
【0284】
アクティブ回路部131Aは、電源装置400から電力管理部180を介して供給された電源で駆動されることができる。そのために電力管理部180の出力端は、npn BJT11のコレクタノードとpnp BJT12のコレクタノードとの間にDC電圧VOを供給することができる。pnp BJT12のコレクタノードは第2基準電位602に対応することができ、npn BJT11のコレクタノードは第2基準電位602を基準とする、電力管理部180の出力電圧VОに対応することができる。
【0285】
一実施形態において、バイアス(biasing)ダイオード13は、アクティブ回路部131A内でnpn BJT11のベースノードとpnp BJT12のベースノードとを結ぶことができる。すなわち、ダイオード13の一端はnpn BJT11のベースノードに接続され、ダイオード13の他端はpnp BJT12のベースノードに接続されることができる。
【0286】
本発明の実施形態によれば、アクティブ回路部131Aに含まれる抵抗Rnpn、Rpnp、Re及び/またはバイアスダイオード13は、BJT11、12のDCバイアス(bias)に使用することができる。本発明の一実施形態において、抵抗Rnpn、Rpnp、Re及びバイアスダイオード13は、様々なアクティブ電流補償装置100、100Aにおいて汎用的な構成であるため、ICチップ500に集積することができる。
【0287】
図13では省略されているが、本発明の様々な実施形態においてアクティブ回路部131A及び電力変換部181を単一のICチップ500に集積することができる。前記ICチップ500は、npn BJT11のベースに対応する端子、npn BJT11のコレクタに対応する端子、npn BJT11のエミッタに対応する端子、pnp BJT12のベースに対応する端子、pnp BJT12のコレクタに対応する端子及びpnp BJT12のエミッタに対応する端子を含むことができる。これに加えて、ICチップ500は、
図14で後述する電力変換部181の端子をさらに含むことができる。
【0288】
上述したICチップ500の端子のうち少なくとも1つは、パッシブ回路部132に接続されることができる。アクティブ回路部131Aとパッシブ回路部とは互いに結合し、増幅部130Aとして機能することができる。
【0289】
一実施形態において、パッシブ回路部はコンデンサCb、Ce及びCdc、インピーダンスZ1及びZ2を含むことができる。
【0290】
一実施形態によれば、アクティブ回路部131Aのベース端子には、それぞれパッシブ回路部のコンデンサCbを接続することができる。アクティブ回路部131Aのエミッタ端子には、それぞれパッシブ回路部のコンデンサCeを接続することができる。ICチップ500の外部では、pnp BJT12のコレクタ端子を第2基準電位602に接続することができる。ICチップ500の外部で両コレクタ端子の間にパッシブ回路部のコンデンサCdcを接続することができる。
【0291】
パッシブ回路部に含まれたコンデンサCb及びCeは、BJT11、12のベースノード及びエミッタノードでDC電圧を遮断(block)することができる。コンデンサCb及びCeは交流(AC)信号のみを選択的に結合させることができる。
【0292】
コンデンサCdcは、電圧VOに対するDC用の減結合コンデンサであり、電力管理部180の出力電圧VOに対して並列に接続されることができる。コンデンサCdcは、npn BJT11及びpnp BJT12の両コレクタの間をAC信号のみを選択的に結合させることができる。
【0293】
増幅部130Aの電流利得は、インピーダンスZ1とZ2の割合で制御することができる。Z1とZ2は、センシング変圧器120A及び補償変圧器140Aの巻線比に応じて、必要な目標電流利得に応じて柔軟に設計することができる。したがって、Z1とZ2は、ICチップ500の外部(すなわち、パッシブ回路部)に具現することができる。
【0294】
アクティブ回路部131Aとパッシブ回路部のCb、Ce、Cdc、Z1、Z2の組み合わせは増幅部130Aとして機能することができる。例えば、増幅部130Aは、npn BJT及びpnp BJTを含むpush-pull増幅器構造を有することができる。
【0295】
一実施形態において、センシング変圧器120Aの二次側122A側は、BJT11、12のベース側とエミッタ側との間に接続されることができる。一実施形態において、補償変圧器140Aの一次側141A側は、BJT11、12のコレクタ側とベース側との間に接続されることができる。ここで、接続は間接的に接続された場合を含む。
【0296】
一実施形態において、増幅部130Aは、出力電流をBJT11、12のベースに再び注入する回帰構造を有することができる。回帰構造であるため、増幅部130Aは、アクティブ電流補償装置100A-1の動作のための一定の電流利得を安定して得ることができる。
【0297】
例えば、ノイズ信号による増幅部130Aの入力電圧が0より大きい正のスイング(positive swing)の場合、npn BJT11が動作することができる。このとき、動作電流はnpn BJT11を通る第1経路を介して流れることができる。ノイズによる増幅部130Aの入力電圧が0より小さい負のスイング(negative swing)の場合、pnp BJT12が動作することができる。このとき、動作電流はpnp BJT12を通る第2経路を介して流れることができる。
【0298】
アクティブ回路部131Aにおいて、抵抗Rnpn、Rpnp及びReは、BJTの動作点を調節することができる。抵抗Rnpn、Rpnp及びReは、BJTの動作点に応じて設計することができる。
【0299】
パッシブ回路部のインダクタ、コンデンサ(例えば、Cb、Ce、Cdc)、Z1及びZ2は、個別の構成要素であり、ICチップ500の周辺に具現することができる。
【0300】
コンデンサCb、Ce及びCdcが交流(AC)信号を結合(couple)するために必要な静電容量は、数μF以上(例えば、10μF)であることができる。この静電容量値はICチップ500内で具現することが難しいため、コンデンサCb、Ce及びCdcはICチップ500の外部に具現することができる。
【0301】
インピーダンスZ1とZ2は、様々な電力システムまたは様々な第1装置300に対する設計柔軟性を達成するためにICチップ500の外部に具現することができる。Z1とZ2は、センシング変圧器120A及び補償変圧器140Aの巻線比に応じて、必要な目標電流利得に応じて柔軟に設計することができる。
【0302】
一方、アクティブ電流補償装置100A-1は、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170Aをさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170Aに含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100A-1の第1基準電位601に接続されることができる。
【0303】
減結合コンデンサ部170Aは、アクティブ電流補償装置100A-1の補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170AのインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170Aの結合により、電流補償装置100A-1は、どのシステムにおいても独立したモジュールとして使用することができる。
【0304】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100A-1において減結合コンデンサ部170Aを省略することができる。
【0305】
図14は、本発明の一実施形態に係る電力管理部180を概略的に示す図である。電力管理部180は、電力変換部181、フィードバック部182及びフィルタ部183を含むことができる。
図14は、電力管理部180の各構成をより具体的に示す。
【0306】
電力管理部180は、PMIC(power management IC)であることができる。一実施形態において電力管理部180は電圧降下コンバータ、例えばバックコンバータ(buck converter)であることができる。
【0307】
電源装置400の出力DC電圧VIは、電力変換部181の入力端子VINを介して入力される。VIは、システムに応じて15V、24V、48Vなどさまざまであることができる。
【0308】
電力変換部181は、任意の入力電圧VIを設定された出力電圧VOに変換することができる。VOの値は、アクティブ回路部131に必要な最適化された電圧レベル(例えば、12V)に設定することができる。
【0309】
電力変換部181は、制御回路20、レギュレータ30及びスイッチ部40を含むことができる。電力変換部181の構成は、アクティブ回路部131と共に単一のICチップ500に内蔵化される。
【0310】
レギュレータ30は、入力電圧VIから内部回路(例えば、制御回路20)を駆動するためのDC低電圧を生成することができる。例えば、入力電圧VIは12V以上の高い電圧範囲を有することができるが、電力変換部181の内部回路は5V水準の低い電圧に駆動されてこそ効率的であることができる。したがって、レギュレータ30は、電力変換部181の内部ICのためのDC低電圧(例えば、5V)を供給する回路である。レギュレータ30は、リニア(linear)レギュレータ、プリ(pre)レギュレータ、オンチップサプライ(on-chip supply)、LDO(low dropout)レギュレータなどと呼ばれることができる。
【0311】
制御回路20は、レギュレータ30で生成されたDC低電圧を供給されて駆動される。制御回路20は、任意の入力電圧範囲で一定の出力電圧を出すために必要な回路を含む。制御回路20は、任意の入力電圧範囲で一定の電圧を出力するのに必要なスイッチング信号であるパルス幅変調PWM信号を生成することができる。制御回路20の詳細な構成については、
図15を参照して後述する。
【0312】
スイッチ部40は、制御回路20から入力されたスイッチング信号(すなわち、PWM信号)に応じてスイッチング動作を行い、一定の出力電圧VOを生成することができる。スイッチ部40は、レベルシフタ(level shifter)45、第1ドライバ43、第2ドライバ44、第1スイッチ41及び第2スイッチ42を含むことができる。第1スイッチ41及び第2スイッチ42はMOSFETであることができる。第1スイッチ41はハイサイド(high side)MOSFETであり、第2スイッチ42はローサイド(low side)MOSFETであることができる。MOSFETはゲート端の入力静電容量が大きいため、十分な出力を有する第1ドライバ43及び第2ドライバ44をMOSFETの前端に配置することができる。
【0313】
本発明の様々な実施形態において、制御回路20、レギュレータ30及びスイッチ部40は、アクティブ回路部131と共に単一のICチップ500に内蔵化される。
【0314】
フィードバック部182は制御回路20と接続され、ICチップ500の外部に配置される。フィードバック部182は、任意の入力電圧VIにも同じ出力電圧VOを出せるようにするフィードバックコントロールシステムである。フィードバック部182は、個別(discrete)実用素子で構成することができる。したがって、ICチップ500の外部で、状況に応じて必要な補償回路を調整することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、実施形態によってフィードバック部182の一部素子(例えば、抵抗)がICチップ500に共に内蔵化されることもできる。
【0315】
フィルタ部183はDC電圧/電流フィルタであり、電力変換部181の出力端に位置することができる。ただし、本発明はこれに限定されず、電力管理部180が昇圧コンバータである場合、電力変換部181の入力端にフィルタ部が位置することもできる。一方、フィルタ部183は、ICチップ500の外部で、個別実用素子で構成することができる。
【0316】
電力管理部180は、電力変換部181、フィードバック部182及びフィルタ部183を介して最終的にVOを出力することができる。電力管理部180の最終出力電圧VOは、増幅部130のアクティブ回路部131に入力される。VOは、アクティブ回路部131を駆動するのに最適の電圧レベルに設定することができる。
【0317】
図15は、
図14に示す電力変換部181のより具体的な一例を示す図である。
【0318】
図14及び
図15を併せて参照すると、電力変換部181の制御回路20は、電圧再分割回路21、保護回路22、パルス幅変調回路23、ゼロ電流検出器24、ソフトスタート回路25を含むことができる。
図15のレギュレータ30は、
図14のレギュレータ30に対応する。
【0319】
レギュレータ30は、入力電圧VIから電力変換部181の内部回路を駆動するためのDC低電圧を生成することができる。レギュレータ30から生成されたDC低電圧は、例えば5V水準であることができる。
【0320】
電圧再分割回路21は、レギュレータ30で生成されたDC低電圧を入力されることができる。電圧再分割回路21は、レギュレータ30から入力されたDC低電圧を、IC内部回路ブロックに適したDCバイアス電圧に再分割する。例えば、電圧再分割回路21は、BGR(band gap reference)ブロック、Ramp generatorブロック等にDCバイアス電圧を再分割することができる。電圧再分割回路21は、マスターバイアス(master bias)などと呼ばれることができる。
【0321】
保護回路22は、様々な状況に対する1つ以上の保護回路を含むことができる。一実施形態において、保護回路22は低電圧保護回路(Under Voltage Lock Out、UVLO)を含むことができる。低電圧保護回路は、レギュレータ30の出力電圧が指定された電圧以下に低下した場合、不安定な動作を遮断するために電力変換部181の動作を強制的にターンオフすることができる。
【0322】
一実施形態において、保護回路22は短絡保護回路(Short Current Protection、SCP)を含むことができる。短絡保護回路は、短絡電流から電力変換部181を保護することができる。
【0323】
一実施形態において、保護回路22は過電流保護回路(Over Current Protection、OCP)を含むことができる。過電流保護回路は、過電流から電力変換部181を保護することができる。
【0324】
一実施形態において、保護回路22は温度保護回路(Thermal Shutdown、TSD)を含むことができる。温度保護回路は、例えば、過電流などの理由でICの温度が指定された値より大きくなると保護のために回路をシャットダウンすることができる。
【0325】
パルス幅変調回路23は、制御回路20の中核機能を実行する。パルス幅変調回路23は、任意の入力電圧範囲で一定の出力電圧VOを出力するのに必要なスイッチング信号である、パルス幅変調PWM信号を生成する。パルス幅変調回路23で生成されたPWM信号に応じて、第1スイッチ41及び第2スイッチ42が選択的にオンまたはオフされ、電圧信号VSWを生成することができる。ICチップ500の一端子SWを介して出力された電圧信号は、フィルタ部183及びフィードバック部182を介して出力DC電圧VOでアクティブ回路部131に供給されることができる。
【0326】
一実施形態によれば、パルス幅変調回路23は、BGR(band gap reference)ブロック、ランプ発生器(ramp generator)ブロック、誤差増幅器(Error Amplifier、EA)、比較器(comparator)及びRSラッチ(latch)を含むことができる。
【0327】
一実施形態においてBGR(band gap reference)ブロックは、温度や電圧の変化にも一定の電圧VREFを出力するための電圧バイアス回路である。BGRブロックは、温度や電圧が変化しても一定の電圧VREFを誤差増幅器EAに供給することができる。
【0328】
ランプ発生器(ramp generator)ブロックは、PWM信号を生成するのに必要なramp信号VRAMPとクロックCLK信号を生成することができる。
【0329】
誤差増幅器EAはフィードバック回路に必要な増幅器である。誤差増幅器EAの入力端子のうちの1つは、ICチップ500の一端子FBを介してフィードバック部182に接続されることができる。ICチップ500外部のフィードバック部182は、ICチップ500のFB端子を介して誤差増幅器EAの非反転端子に接続されることができる。
【0330】
比較器は、誤差増幅器EAの出力信号EA_OUTとランプ信号 VRAMPとの比較に基づいてデジタル信号を出力することができる。一方、誤差増幅器EAの出力端子はICチップ500の一端子EAOを形成することができる。ICチップ500の外部のフィードバック部182は、前記端子EAOを介して誤差増幅器EAの出力端に接続されることができる。前記端子EAOは、比較器の入力端子のうち非反転端子に対応することができる。
【0331】
RSラッチ(latch)は、クロックCLK信号に基づいてPWM信号をスイッチ部40に伝達することができる。
【0332】
PWM信号は、オンまたはオフのデジタル信号に応じて第1スイッチ41及び第2スイッチ42をオンにすることができる。このとき、短い時間であっても第1スイッチ41及び第2スイッチ42が同時にオンになる場合、過電流によりMOSFETが損傷する可能性がある。したがって、第1、第2スイッチ41、42が同時にオンになる状況を防止するために、スイッチ部40はノン―オーバーラップ(non-overlap)回路46を含むことができる。
【0333】
RSラッチから出力されたPWM信号は、スイッチ部40のノンオーバーラップ回路46に伝達されることができる。ノンオーバーラップ回路46は、第1スイッチ41と第2スイッチ42の両方がオフになっている非常に短い時間区間を生成させることができる。前記短い時間区間は、デッドタイム(dead-time)と呼ばれることができ、例えば、数十ナノ秒(nsec)であることができる。ノンオーバーラップ回路46は、デッドタイムジェネレータ(dead-time generator)と呼ばれることができる。
【0334】
一方、第1、第2スイッチ41、42はMOSFETであることができる。第1スイッチ41はハイサイド(high side)MOSFETであり、第2スイッチ42はローサイド(low side)MOSFETであることができる。MOSFETはゲート端の入力静電容量が大きいため、十分な出力を有する第1、第2ドライバ43、44をMOSFETの前端に配置することができる。
【0335】
一方、制御回路20は、ゼロ電流検出器24をさらに含むことができる。
【0336】
ローサイドMOSFETである第2スイッチ42に0Aまたは逆電流が発生する状況であれば、効率のために電力管理部180は不連続モード(discontinuous current mode、DCM)で動作しなければならない。このために、ゼロ電流検出器24は、第2スイッチ42に逆電流が検知される場合、第2スイッチ42に入力されるPWM信号を遮断することができる。
【0337】
一方、制御回路20は、ソフトスタート回路25をさらに含むことができる。
【0338】
電力管理部180(すなわち、コンバータ)がオフ状態で急に駆動すると、出力コンデンサなどに瞬間的に電圧がかかり過電流が発生することができ、MOSFETなどが故障する可能性がある。これを防止するために、ソフトスタート回路25は、コンバータが急に駆動される状況でも出力電圧などをゆっくり上昇させることができる。
【0339】
図16は、本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2の構成を概略的に示す。以下では、
図10~
図15を参照して説明した内容と重複する内容の説明は省略する。
【0340】
図16を参照すると、アクティブ電流補償装置100A-2は、第1装置300に接続される大電流経路111、112、113のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12、I13を能動的に補償することができる。
【0341】
そのために、アクティブ電流補償装置100A-2は、3つの大電流経路111、112、113、センシング変圧器120A-2、増幅部130A、補償変圧器140A、補償コンデンサ部150A-2を含むことができる。
【0342】
前述した実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A、100A-1と比較して見れば、
図16に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2は3つの大電流経路111、 112、113を含み、それによってセンシング変圧器120A-2及び補償コンデンサ部150A-2の相違点がある。したがって、以下では、上述した相違点を中心にアクティブ電流補償装置100A-2について説明する。
【0343】
アクティブ電流補償装置100A-2は、互いに区別される第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113を含むことができる。一実施形態によれば、第1大電流経路111はR相、第2大電流経路112はS相、第3大電流経路113BはT相の電力線であることもできる。第1電流I11、I12、I13は、第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113のそれぞれにコモンモードで入力されることもできる。
【0344】
センシング変圧器120A-2の一次側121A-2は、第1、第2、第3大電流経路111、112、113のそれぞれに配置され、二次側122A-2に誘導電流を生成することができる。3つの大電流経路111、112、113上の第1電流I11、I12、I13によってセンシング変圧器120A-2に生成される磁束密度は互いに補強されることができる。
【0345】
図16に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2において、増幅部130Aは、前述した増幅部130Aに対応することができる。
【0346】
補償コンデンサ部150A-2は、補償変圧器140Aによって生成された補償電流IC1、IC2、IC3が第1、第2、第3大電流経路111、112、113のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0347】
アクティブ電流補償装置100A-2は、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170A-2をさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170A-2に含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113に接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100A-2の第1基準電位601に接続されることができる。
【0348】
減結合コンデンサ部170A-2は、アクティブ電流補償装置100A-2の補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170A-2のインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170A-2の結合により、電流補償装置100A-2は、どのシステム(例えば、三相三線式)においても独立したモジュールとして使用することができる。
【0349】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100A-2において減結合コンデンサ部170A-2を省略することができる。
【0350】
このような実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2は、三相三線式の電力システムの負荷で電源に移動する第1電流I11、I12、I13を補償(または相殺)するために使用することができる。
【0351】
本発明の技術的思想によって、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、三相四線式にも適用できるように変更できるのは言うまでもない。
【0352】
本発明の様々な実施形態において、増幅部130Aに含まれたアクティブ回路部131Aと電力管理部180に含まれた電力変換部181は、物理的に1つのICチップ500に集積化することができる。ICチップ500は、電源装置400から任意範囲の電圧VIが入力されても、電力変換部181を介して内部のアクティブ回路部131Aを駆動するのに最適化された電圧VOに変換してアクティブ回路部131Aを駆動することができる。したがって、ICチップ500は、独立した部品として汎用性をもって実用化することができる。また、増幅部130Aに含まれたアクティブ回路部131Aは、周辺システムの特性に関係なく安定して動作することができる。
【0353】
[3]集積回路部と非集積回路部を含むアクティブ電流補償装置
図17は、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100は、第1装置300から複数の大電流経路111、112を介してコモンモード(Common Mode、CM)に入力される第1電流I11、I12(例えば、EMIノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0354】
図17を参照すると、アクティブ電流補償装置100は、センシング部120、増幅部130及び補償部160を含むことができる。
【0355】
本明細書において、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を使用する様々な形態の電力システムであることができる。例えば、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いて駆動される負荷であることができる。また、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いてエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを用いて駆動される負荷(例えば、電気自動車)であることができる。ただし、これに限定されない。
【0356】
本明細書における第2装置200は、第1装置300に電源を電流及び/または電圧の形態で供給するための様々な形態のシステムであることができる。第2装置200は、貯蔵されたエネルギーを供給する装置であることもできる。ただし、これに限定されない。
【0357】
第1装置300側には電力変換装置が位置することができる。例えば、前記電力変換装置のスイッチング動作により、第1電流I11、I12を電流補償装置100に入力することができる。すなわち、第1装置300側はノイズソースに対応することができ、第2装置200側はノイズレシーバに対応することができる。
【0358】
2つ以上の大電流経路111、112は、第2装置200によって供給される電源、すなわち第2電流I21、I22を第1装置300に伝達する経路であることができるが、例えば、電力線であることができる。例えば、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれは、ライブライン(Live line)とニュートラルライン(Neutral line)であることができる。大電流経路111、112の少なくとも一部は電流補償装置100を通過することができる。第2電流I21、I22は、第2周波数帯域の周波数を有する交流電流であることができる。第2周波数帯域は、例えば50Hz~60Hz帯域であることができる。
【0359】
また、2つ以上の大電流経路111、112は、第1装置300で発生したノイズ、すなわち第1電流I11、I12が第2装置200に伝達される経路であることができる。第1電流I11、I12は、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれに対してコモンモード(Common Mode)で入力されることができる。第1電流I11、I12は、様々な原因によって第1装置300で意図せず発生される電流であることができる。例えば、第1電流I11、I12は、第1装置300と周辺環境との間の仮想の静電容量(Capacitance)によって発生されるノイズ電流であることができる。あるいは、第1電流I11、I12は、第1装置300の電力変換装置のスイッチング動作によって発生されるノイズ電流であることができる。第1電流I11、I12は、第1周波数帯域の周波数を有する電流であることができる。第1周波数帯域は、前述した第2周波数帯域より高い周波数帯域であることができる。第1周波数帯域は、例えば、150KHz~30MHz帯域であることができる。
【0360】
一方、2つ以上の大電流経路111、112は、
図17に示すように2つの経路を含むこともでき、
図20及び
図22に示すように3つの経路または4つの経路を含むこともできる。大電流経路111、112の数は、第1装置300及び/または第2装置200が使用する電源の種類及び/または形態に応じて変わることができる。
【0361】
センシング部120は、2つ以上の大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知し、第1電流I11、I12に対応する出力信号を生成することができる。すなわち、センシング部120は、大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知する手段を意味することができる。センシング部120には、第1電流I11、I12のセンシングのために大電流経路111、112の少なくとも一部が通過することができるが、センシング部120内でセンシングによる出力信号が生成される部分は、大電流経路111、112と絶縁されることができる。例えば、センシング部120はセンシング変圧器で具現されることができる。センシング変圧器は、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知することができる。ただし、センシング部120はセンシング変圧器に限定されない。
【0362】
一実施形態によれば、センシング部120は、増幅部130の入力端と差動(differential)に接続されることができる。
【0363】
増幅部130はセンシング部120に電気的に接続され、センシング部120が出力した出力信号を増幅し、増幅された出力信号を生成することができる。本発明において増幅部130による「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/又は位相を調節することを意味することができる。増幅部130は様々な手段で具現されることができ、アクティブ素子を含むことができる。一実施形態において、増幅部130はBJT(Bipolar Junction Transistor)を含むことができる。例えば、増幅部130は、BJT以外に抵抗とコンデンサなど複数のパッシブ素子を含むことができる。ただし、これに限定されず、本発明で説明する「増幅」のための手段は、本発明の増幅部130として制限なく使用することができる。
【0364】
一実施形態によれば、増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは、互いに区別されることができる。例えば、増幅部130が大電流経路111、112と絶縁になる場合に、増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは互いに区別されることができる。
【0365】
ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、
図22に示すように、増幅部130Bが大電流経路111、112と非絶縁になる場合には、増幅部130Bの基準電位と電流補償装置100Bの基準電位とは区別されないことができる。
【0366】
本発明の様々な実施形態に係る増幅部130は、集積回路部131及び非集積回路部132を含むことができる。集積回路部131は、アクティブ電流補償装置100の必須構成要素を含むことができる。必須構成要素は、例えばアクティブ素子を含むことができる。したがって、増幅部130に含まれたアクティブ素子は、増幅部130の集積回路部131に集積することができる。増幅部130のうち非集積回路部132はアクティブ素子を含まないことができる。集積回路部131は、アクティブ素子だけでなくパッシブ素子をさらに含むことができる。
【0367】
本発明の実施形態に係る集積回路部131は、物理的に1つのICチップであることができる。本発明の実施形態に係る集積回路部131は、様々なデザインのアクティブ電流補償装置100に適用することができる。本発明の一実施形態に係るone-chipの集積回路部131は、独立したモジュールとして汎用性をもって様々なデザインの電流補償装置100に適用することができる。
【0368】
本発明の実施形態に係る非集積回路部132は、アクティブ電流補償装置100のデザインに応じて変形されることができる。
【0369】
集積回路部131は、非集積回路部132に接続されるための端子を含むことができる。集積回路部131と非集積回路部132とは互いに結合し、増幅部130として機能することができる。集積回路部131と非集積回路部132との組み合わせは、センシング部120から出力された出力信号から増幅信号を生成する機能を実行することができる。前記増幅信号は補償部160に入力されることができる。
【0370】
集積回路部131及び非集積回路部132を含む増幅部130の詳細な構成の例については、
図19~
図22で後述する。
【0371】
前述したように、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置100は、集積回路部と非集積回路部とに区別されることを特徴とする。
【0372】
増幅部130は、第1装置300及び/または第2装置200と区別される電源装置400から電源を供給されることができる。増幅部130は、電源装置400から電源を供給され、センシング部120が出力した出力信号を増幅して増幅電流を生成することができる。
【0373】
電源装置400は、第1装置300及び第2装置200とは無関係の電源から電源を供給され、増幅部130の入力電源を生成する装置であることができる。選択的に電源装置400は、第1装置300及び第2装置200のうちいずれか1つの装置から電源を供給され、増幅部130の入力電源を生成する装置であることもできる。
【0374】
ICチップである集積回路部131は、電源装置400と接続されるための端子、第2基準電位602と接続されるための端子及び非集積回路部132と接続されるための端子を含むことができる。
【0375】
補償部160は、増幅部130によって増幅された出力信号に基づいて補償電流IC1、IC2を生成することができる。補償部160の出力側は、大電流経路111、112に補償電流IC1、IC2を流すために大電流経路111、112と接続されることができる。
【0376】
一実施形態によれば、補償部160の出力側は増幅部130とは絶縁されることができる。例えば、補償部160は、前記絶縁のために補償変圧器を含むことができる。例えば、前記補償変圧器の一次側には増幅部130の出力信号が流れ、補償変圧器の二次側には前記出力信号に基づいた補償電流が生成されることができる。
【0377】
ただし、本発明はこれに限定されない。他の実施形態によれば、
図22に示すように、補償部160Bの出力側は増幅部130Bと非絶縁されることができる。この場合、増幅部130Bは大電流経路111、112と非絶縁されることができる。
【0378】
再び
図17を参照すると、補償部160は第1電流I11、I12を相殺させるために、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれを介して補償電流IC1、IC2を大電流経路111、 112に注入することができる。補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。
【0379】
図18は、
図17に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100Aは、第1装置300と接続される2つの大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12(例えば、ノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0380】
図18を参照すると、アクティブ電流補償装置100Aは、センシング変圧器120A、増幅部130及び補償部160Aを含むことができる。
【0381】
一実施形態において、前述したセンシング部120はセンシング変圧器120Aを含むことができる。このとき、センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知するための手段であることができる。センシング変圧器120Aは、第1装置300側から大電流経路111、112(例えば、電力線)に入力されるノイズ電流である第1電流I11、I12をセンシングすることができる。
【0382】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111,112上に配置される一次側121A及び増幅部130の入力端と差動(differential)に接続された二次側122Aを含むことができる。センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される一次側121A(例えば、一次巻線)において、第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度に基づいて二次側122A(例えば、二次巻線)に誘導電流を生成することができる。前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、例えば、1つのコアに第1大電流経路111及び第2大電流経路112がそれぞれ巻回された巻線であることができる。ただし、これに限定されず、前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、第1大電流経路111及び第2大電流経路112が前記コアを通過する形態であることもできる。
【0383】
具体的には、第1大電流経路111(例えば、ライブライン)上の第1電流I11によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112(例えば、ニュートラルライン)上の第1電流I12によって誘導される磁束密度が互いに重なり合う(または補強される)ように構成することができる。このとき、大電流経路111、112上には第2電流I21、I22も流れるが、第1大電流経路111上の第2電流I21によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112 )上の第1電流I22によって誘導される磁束密度は互いに相殺するように構成することができる。また、一例として、センシング変圧器120Aは、第1周波数帯域(例えば、150KHz~30MHzの範囲を有する帯域)の第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度の大きさが第2周波数帯域(例えば、50Hz~60Hzの範囲を有する帯域)の第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度の大きさよりも大きいように構成することができる。
【0384】
このように、センシング変圧器120Aは、第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度を互いに相殺するように構成成され、第1電流I11、I12のみが検知されるようにすることができる。すなわち、センシング変圧器120Aの二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12が一定の割合で変換された電流であることができる。
【0385】
例えば、センシング変圧器120Aで、一次側121Aと二次側122Aの巻線比が1:Nsenであり、センシング変圧器120Aの一次側121Aの自己インダクタンスがLsenだとすると、二次側122Aは、Nsen2・Lsenの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12の1/Nsen倍である。例えば、センシング変圧器120Aの一次側121Aと二次側122Aとは、ksenの結合係数(coupling coefficient)で結合することができる。
【0386】
センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端に接続されることができる。例えば、センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端と差動で接続され、増幅部130に誘導電流または誘導電圧を供給することができる。
【0387】
増幅部130は、センシング変圧器120Aによって検知されて二次側122Aに誘導される電流または誘導電圧を増幅させることができる。例えば、増幅部130は、前記誘導電流または誘導電圧の大きさを一定の割合で増幅及び/又は位相を調節することができる。
【0388】
本発明の様々な実施形態によれば、増幅部130は、1つのICチップで構成された集積回路部131と、前記ICチップ以外の構成である非集積回路部132とを含むことができる。
【0389】
一実施形態によれば、増幅部130は第2基準電位602に接続されることができ、第2基準電位602は電流補償装置100(または補償部160A)の第1基準電位601と区別されることができる。増幅部130は電源装置400に接続されることができる。
【0390】
集積回路部131であるICチップは、電源装置400と接続されるための端子、第2基準電位602と接続されるための端子及び非集積回路部132と接続されるための端子を含むことができる。
【0391】
補償部160Aは、前述した補償部160の一例であることができる。一実施形態において補償部160Aは、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。前述した増幅部130によって増幅された増幅電流は、補償変圧器140Aの一次側141Aに流れる。
【0392】
一実施形態に係る補償変圧器140Aは、アクティブ素子を含む増幅部130を大電流経路111、112から絶縁させるための手段であることができる。すなわち、補償変圧器140Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で、増幅電流に基づいて大電流経路111、112に注入するための補償電流を(二次側142Aに)生成するための手段であることができる。
【0393】
補償変圧器140Aは、増幅部130の出力端と差動(differential)に接続される一次側141A及び大電流経路111,112と接続される二次側142Aを含むことができる。補償変圧器140Aは、一次側141A(例えば、1次巻線)に流れる増幅電流によって誘導される磁束密度に基づいて二次側142A(例えば、2次巻線)に補償電流を誘導することができる。
【0394】
このとき、二次側142Aは、後述する補償コンデンサ部150Aと電流補償装置100Aの第1基準電位601とを接続させる経路上に配置されることができる。すなわち、二次側142Aの一端は補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112と接続され、二次側142Aの他端はアクティブ電流補償装置100Aの第1基準電位601と接続されることができる。一方、補償変圧器140Aの一次側141A、増幅部130及びセンシング変圧器120Aの二次側122Aは、アクティブ電流補償装置100Aの残りの構成要素と区別される第2基準電位602に接続されることができる。一実施形態に係る電流補償装置100Aの第1基準電位601と増幅部130の第2基準電位602とは区別されることができる。
【0395】
このように、一実施形態に係る電流補償装置100Aは、補償電流を生成する構成要素に対して、残りの構成要素とは異なる基準電位(すなわち、第2基準電位602)を使用し、別途の電源装置400を使用することによって、補償電流を生成する構成要素を絶縁状態で動作させることができ、これによりアクティブ電流補償装置100Aの信頼性を向上させることができる。ただし、本発明に係る集積回路部131と非集積回路部132とを含むアクティブ補償装置は、このような絶縁構造に限定されるものではない。本発明の他の実施形態に係る非絶縁構造を有するアクティブ電流補償装置100Bについて、
図22を参照して後述する。
【0396】
一実施形態に係る補償変圧器140Aにおいて、一次側141Aと二次側142Aの巻線比が1:Ninjであり、補償変圧器140Aの一次側141Aの自己インダクタンスがLinjとすると、二次側142Aは、Ninj2.Linjの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側142Aに誘導される電流は、一次側141Aに流れる電流(すなわち、増幅電流)の1/Ninj倍である。補償変圧器140Aの一次側141Aと二次側142Aとは、kinjの結合係数(coupling coefficient)で結合されることができる。
【0397】
補償変圧器140Aを介して変換された電流は、補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112(例えば、電力線)に補償電流IC1、IC2として注入されることができる。したがって、補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12を相殺させるために、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。したがって、増幅部130の電流利得の大きさは、Nsen.Ninjとなるように設計することができる。
【0398】
補償コンデンサ部150Aは、前述したように補償変圧器140Aによって生成された電流が2つの大電流経路111、112のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0399】
補償コンデンサ部150Aは、一端が補償変圧器140Aの二次側142Aに接続され、他端が大電流経路111、112に接続される2つのY-コンデンサ(Y-capacitor, Y-cap)を含むことができる。前記2つのY-capのそれぞれの一端は補償変圧器140Aの二次側142Aに接続されるノードを共有し、2つのY-capのそれぞれの反対端はそれぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されるノードを有することができる。
【0400】
補償コンデンサ部150Aは、補償変圧器140Aによって誘導された補償電流IC1、IC2を電力線に流すことができる。補償電流IC1、IC2が第1電流I11、I12を補償(または相殺)することにより、電流補償装置100Aはノイズを低減させることができる。
【0401】
一方、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112の間に流れる電流IL1が第1閾値サイズ未満になるように構成することができる。また、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112のそれぞれと第1基準電位601との間に流れる電流IL2が第2閾値サイズ未満になるように構成することができる。
【0402】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aは、補償変圧器140A及びセンシング変圧器120Aを用いることにより、絶縁型(isolated)構造を実現することができる。
【0403】
図19は、
図18に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
図19に示すアクティブ電流補償装置100A-1は、
図18に示すアクティブ電流補償装置100Aの一例である。アクティブ電流補償装置100A-1に含まれた増幅部130Aは、アクティブ電流補償装置100Aの増幅部130の一例である。
【0404】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1は、センシング変圧器120A、増幅部130A、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。一実施形態において、アクティブ電流補償装置100A-1は、出力側(すなわち、第2装置200側)に減結合コンデンサ部170Aをさらに含むことができる。他の実施形態において、減結合コンデンサ部170Aは省略されることもある。センシング変圧器120A、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aの説明は重複するため省略する。
【0405】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1の増幅部130Aは、集積回路部131A及び非集積回路部を含むことができる。増幅部130Aにおいて集積回路部131Aを除いた残りの構成は、非集積回路部に含まれることができる。例えば、増幅部130Aにおいて非集積回路部に含まれた構成は、個別(discrete)実用素子であることができるが、これに限定されるものではない。
【0406】
一実施形態において、集積回路部131Aは、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12及び/または1つ以上の抵抗を含むことができる。一実施形態において、第1トランジスタ11はnpn BJTであることができ、第2トランジスタ12はpnpのBJTであることができる。例えば、増幅部130Aは、npn BJT及びpnp BJTを含むpush-pull増幅器構造を有することができる。
【0407】
例えば、集積回路部131Aに含まれた1つ以上の抵抗は、Rnpn、Rpnp及び/またはReを含むことができる。例えば、抵抗Rnpnは第1トランジスタ11のコレクタ端とベース端とを結ぶことができ、抵抗Rpnpは第2トランジスタ12のコレクタ端とベース端を結ぶことができ、抵抗Reは第1トランジスタ11のエミッタ端と第2トランジスタ12のエミッタ端とを結ぶことができる。
【0408】
一実施形態において、増幅部130Aの集積回路部131Aは、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、1つ以上の抵抗以外に、ダイオード13をさらに含むことができる。例えば、ダイオード13の一端は第1トランジスタ11のベース端に接続され、ダイオード13の他端は第2トランジスタ12のベース端に接続されることができる。選択的実施形態において、ダイオード13は抵抗で置き換えられることができる。
【0409】
一実施形態において、集積回路部131Aに含まれる抵抗Rnpn、Rpnp、Re及び/またはバイアスダイオード13はBJTのDCバイアス(bias)に使用することができる。前記構成要素は、様々なアクティブ電流補償装置において汎用的な構成であるため、ワンチップ(one-chip)の集積回路部131Aに集積することができる。
【0410】
増幅部130Aにおいて集積回路部131Aを除いた構成は、非集積回路部に含まれることができる。集積回路部131Aは、物理的に1つのICチップで具現することができる。非集積回路部は、個別(discrete)実用素子で構成することができる。非集積回路部は、実施形態によって異なるように具現することができる。
【0411】
図19に示す実施形態において非集積回路部は、例えば、コンデンサCb、Ce及びCdc、インピーダンスZ1及びZ2を含むことができる。
【0412】
一実施形態において、センシング変圧器120Aによって二次側122Aで誘導された誘導電流は、増幅部130Aに差動(differential)で入力されることができる。増幅部130Aに含まれたコンデンサCb及びCeは、交流(AC)信号のみを選択的に結合させることができる。コンデンサCb及びCeは、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースノード及びエミッタノードでDC電圧を遮断(block)することができる。
【0413】
一実施形態において電源装置400は、増幅部130Aを駆動するために、第2基準電位602を基準とする直流(DC)電圧Vdcを供給する。コンデンサCdcは、前記電圧Vdcに対するDC用の減結合コンデンサであり、電源装置400と第2基準電位602との間に並列に接続されることができる。コンデンサCdcは、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)及び第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)の両方のコレクタ間をAC信号のみ選択的に結合させることができる。
【0414】
増幅部130Aの電流利得は、インピーダンスZ1とZ2の割合で制御することができる。したがって、Z1とZ2は、ワンチップ(one-chip)集積回路部131Aの外部で具現されることができる。Z1とZ2は、センシング変圧器120A及び補償変圧器140Aの巻線比に応じて、必要な目標電流利得に応じて柔軟に設計することができる。
【0415】
集積回路部131Aにおいて、抵抗Rnpn、Rpnp及びReは、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12(例えば、BJT)の動作点を調整することができる。抵抗Rnpn、Rpnp及びReは、BJTの動作点に応じて設計することができる。抵抗Rnpnは、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)のコレクタ(collector)端であり、電源装置400端と、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)のベース(base)端とを接続させることができる。抵抗Rpnpは、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)のコレクタ(collector)端であり、第2基準電位602と、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)のベース端とを接続させることができる。抵抗Reは、第1トランジスタ11のエミッタ(emitter)端と第2トランジスタ12のエミッタ端とを接続させることができる。
【0416】
一実施形態に係るセンシング変圧器120Aの二次側122A側は、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベース側とエミッタ側との間に接続されることができる。一実施形態に係る補償変圧器140Aの一次側141A側は、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のコレクタ側とベース側との間に接続されることができる。ここで、接続は間接的に接続された場合を含む。一実施形態に係る増幅部130Aは、出力電流を第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベースに再び注入する回帰構造を有することができる。回帰構造であるため、増幅部130Aは、アクティブ電流補償装置100A-1の動作のための一定の電流利得を安定して得ることができる。
【0417】
ノイズ信号による増幅部130Aの入力電圧が0より大きい正のスイング(positive swing)の場合、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)が動作することができる。このとき、動作電流は第1トランジスタ11を通る第1経路を介して流れることができる。ノイズによる増幅部130Aの入力電圧が0より小さい負のスイング(negative swing)の場合、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)が動作することができる。このとき、動作電流は第2トランジスタ12を通る第2経路を介して流れることができる。
【0418】
集積回路部131Aは、ワンチップ(one-chip)のICで具現することができる。一実施形態によれば、集積回路部131Aの第1トランジスタ11、第2トランジスタ12及びダイオード13、Rnpn、Rpnp、Reをワンチップに集積化することができる。
【0419】
前記ワンチップICは、第1トランジスタ11のベースに対応する端子b1、第1トランジスタ11のコレクタに対応する端子c1、第1トランジスタ11のエミッタに対応する端子e1、第2トランジスタ12のベースに対応する端子b2、第2トランジスタ12のコレクタに対応する端子c1及び第2トランジスタ12のエミッタに対応する端子e1を含むことができる。ただし、これに限定されず、集積回路部131Aのワンチップは、前記端子b1、b2、c1、c2、e1及びe2以外に他の端子をさらに含むことができる。
【0420】
様々な実施形態において、集積回路部131Aの端子b1、b2、c1、c2、e1及びe2のうち少なくとも1つは非集積回路部に接続することができる。集積回路部131Aと非集積回路部とは互いに結合し、一実施形態に係る増幅部130Aとして機能することができる。
【0421】
図19に示す実施形態によれば、第1トランジスタ11のベース端子b1と第2トランジスタ12のベース端子b2にはそれぞれ非集積回路部のコンデンサCbを接続することができる。第1トランジスタ11のエミッタ端子e1と第2トランジスタ12のエミッタ端子e2には、それぞれ非集積回路部のコンデンサCeを接続することができる。外部の電源装置400は、第1トランジスタ11のコレクタ端子c1と第2トランジスタ12のコレクタ端子c2との間に接続することができる。第2トランジスタ12のコレクタ端子c2は第2基準電位602に対応することができる。非集積回路部の減結合用コンデンサCdcは、第1トランジスタ11のコレクタ端子c1と第2トランジスタ12のコレクタ端子c2との間に接続することができる。
【0422】
集積回路部131Aと非集積回路部のCb、Ce、Cdc、Z1、Z2の組み合わせは、
図19に示す実施形態に係る増幅部130Aとして機能することができる。
【0423】
本発明の様々な実施形態によれば、ワンチップ(one-chip)の集積回路部131Aにはアクティブ電流補償装置100A、100A-1の必須構成要素を集積することができる。したがって、個別(discrete)半導体装置を使用する場合に比べ、ワンチップの集積回路部131、131Aを使用することにより、増幅部130、130Aの大きさを最小化することができる。
【0424】
非集積回路部のインダクタ、コンデンサ(例えば、Cb、Ce、Cdc)、Z1及びZ2は、個別構成要素であり、ワンチップ(one-chip)の集積回路部131Aの周辺に具現することができる。
【0425】
コンデンサCb、Ce及びCdcが交流(AC)信号を結合(couple)するために必要な静電容量は、数μF以上(例えば、10μF)であることができる。この静電容量値はワンチップの集積回路部内で具現することが困難であるため、コンデンサCb、Ce及びCdcは集積回路部の外部に、すなわち非集積回路部に具現することができる。
【0426】
インピーダンスZ1とZ2は、様々な電力システムまたは様々な第1装置300に対する設計柔軟性を達成するために集積回路部の外部に、すなわち非集積回路部に具現することができる。Z1とZ2は、センシング変圧器120A及び補償変圧器140Aの巻線比に応じて、必要な目標電流利得に応じて柔軟に設計することができる。インピーダンスZ1とびZ2を調整することによって、同じ集積回路部131Aを様々な電力システムに適用できるようにする様々な電流補償装置を設計することができる。特に、センシング変圧器120Aの大きさとインピーダンス特性は、第1装置300の最大定格電流に応じて変化しなければならない。したがって、広い周波数範囲でセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合を均一にするためには、Z1とZ2の適切な設計が必要である。センシング変圧器120Aと補償変圧器140Aの巻線比及びZ1とZ2との割合を調整し、広い周波数範囲でセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合を1に設計することができる。このために、インピーダンスZ1とZ2は、設計柔軟性のために集積回路部131Aの外部に具現することができる。一実施形態において、Z1とZ2はそれぞれ、抵抗とコンデンサの直列接続を含むことができる。
【0427】
本発明の様々な実施形態に係る集積回路部131Aは、拡張性を考慮して設計されているため、様々なタイプのアクティブ電流補償装置で使用されることができる。例えば、集積回路部131Aは、
図19に示す電流補償装置100A-1、
図20に示す電流補償装置100A-2、
図21に示す電流補償装置100A-3及び
図22に示す電流補償装置100Bに使用することができる。同じタイプの集積回路部131Aを様々な実施形態に使用することができ、非集積回路部は実施形態によって異なるように設計することができる。
【0428】
本発明の様々な実施形態において、集積回路部と非集積回路部とに区別された増幅部130を使用することにより、集積回路部の量産を通じて様々なタイプのアクティブ電流補償装置を量産することができる。また、アクティブ電流補償装置の大きさを最小限に抑えることができる。
【0429】
このように、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置100、100A、100A-1、100A-2、100A-3、100Bは、集積回路部と非集積回路部とに区別されることを特徴とする。
【0430】
一方、アクティブ電流補償装置100A-1は、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170Aをさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170Aに含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100A-1の第1基準電位601に接続されることができる。
【0431】
減結合コンデンサ部170Aは、アクティブ電流補償装置100A-1の補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170AのインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170Aの結合により、電流補償装置100A-1は、どのシステムにおいても独立したモジュールとして使用することができる。
【0432】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100A-1において減結合コンデンサ部170Aを省略することができる。
【0433】
図20は、本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2の構成を概略的に示す図である。以下では、
図18~
図19を参照して説明した内容と重複する内容の説明は省略する。
【0434】
図20を参照すると、アクティブ電流補償装置100A-2は、第1装置300に接続される大電流経路111、112、113のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12、I13を能動的に補償することができる。
【0435】
そのために、アクティブ電流補償装置100A-2は、3つの大電流経路111、112、113、センシング変圧器120A-2、増幅部130A、補償変圧器140A、補償コンデンサ部150A-2を含むことができる。
【0436】
前述した実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A、100A-1と比較して見れば、
図20に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1は3つの大電流経路111、 112、113を含み、それによってセンシング変圧器120A-2及び補償コンデンサ部150A-2の相違点がある。したがって、以下では、上述した相違点を中心にアクティブ電流補償装置100A-2について説明する。
【0437】
アクティブ電流補償装置100A-2は、互いに区別される第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113を含むことができる。一実施形態によれば、第1大電流経路111はR相、第2大電流経路112はS相、第3大電流経路113BはT相の電力線であることもできる。第1電流I11、I12、I13は、第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113のそれぞれにコモンモードで入力されることもできる。
【0438】
センシング変圧器120A-2の一次側121A-2は、第1、第2、第3大電流経路111、112、113のそれぞれに配置され、二次側122A-2に誘導電流を生成することができる。3つの大電流経路111、112、113上の第1電流I11、I12、I13によってセンシング変圧器120A-2に生成される磁束密度は互いに補強されることができる。
【0439】
図20に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2において、増幅部130Aは、前述した増幅部130Aに対応することができる。
【0440】
補償コンデンサ部150A-2は、補償変圧器140Aによって生成された補償電流IC1、IC2、IC3が第1、第2、第3大電流経路111、112、113のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0441】
アクティブ電流補償装置100A-2は、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170A-2をさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170A-2に含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113に接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100A-2の第1基準電位601に接続されることができる。
【0442】
減結合コンデンサ部170A-2は、アクティブ電流補償装置100A-2の補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170A-2のインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170A-2の結合により、電流補償装置100A-2は、どのシステム(例えば、三相三線式)においても独立したモジュールとして使用することができる。
【0443】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100A-2において減結合コンデンサ部170A-2を省略することができる。
【0444】
このような実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2は、三相三線式の電力システムの負荷で電源に移動する第1電流I11、I12、I13を補償(または相殺)するために使用することができる。
【0445】
本発明の技術的思想によって、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、三相四線式にも適用できるように変更できるのは言うまでもない。
【0446】
本発明の一実施形態に係る増幅部130Aは、
図18に示す単相(二線)式、
図19に示す三相三線式及び図示していないが、三相四線式にも適用することができる。ワンチップの集積回路部131Aを複数のシステムに適用することができるため、集積回路部131Aは様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置において汎用性を有することができる。
【0447】
図19を参照し、前述したように、集積回路部131Aは、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12及び/または1つ以上の抵抗を含むことができる。他にも実施形態によって集積回路部131Aはダイオード13をさらに含むことができる。選択的実施形態において、ダイオード13は抵抗で置き換えられることができる。
【0448】
集積回路部131Aが内蔵されたICチップは、第1トランジスタ11のベース端子b1、第1トランジスタ11のコレクタ端子c1、第1トランジスタ11のエミッタ端子e1、第2トランジスタ12のベース端子b2、第2トランジスタ12のコレクタ端子c1及び第2トランジスタ12のエミッタ端子e1を含むことができる。ただし、これに限定されず、集積回路部131Aのワンチップは、前記端子b1、b2、c1、c2、e1及びe2以外に他の端子をさらに含むことができる。
【0449】
集積回路部131Aは、インダクタ、コンデンサ(例えば、Cb、Ce、Cdc)、Z1及びZ2などの個別(discrete)構成要素を含む非集積回路部と結合し、様々な実施形態に係る電流補償装置を構成することができる。例えば、非集積回路部の個別構成要素は、一般実用素子であることができる。ただし、これに限定されない。
【0450】
インダクタ、コンデンサ(例えば、Cb、Ce、Cdc)、Z1及びZ2などの個別(discrete)構成要素は、集積回路部131Aが内蔵されたICチップの周辺に具現される。
【0451】
コンデンサCb、Ce及びCdcが低周波AC信号を結合(couple)するために必要な静電容量は、数μF以上であることができる。この静電容量値は集積回路部131Aが内蔵されるICチップ内で具現することが困難であるため、コンデンサCb、Ce及びCdcは集積回路部の外部に、すなわち非集積回路部に具現することができる。
【0452】
インピーダンスZ1とZ2は、様々な第1装置300に対する設計柔軟性を達成するために集積回路部の外部に、すなわち非集積回路部に具現することができる。インピーダンスZ1とびZ2を調整することによって、同じ集積回路部131Aを様々な電力システムに適用できるようにする様々な電流補償装置を設計することができる。特に、センシング変圧器120Aの大きさとインピーダンス特性は、第1装置300の最大定格電流に応じて変化しなければならない。したがって、広い周波数範囲でセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合を均一にするためには、Z1とZ2の適切な設計が必要である。したがって、Z1とZ2は、設計の柔軟性のために集積回路部131Aの外部、すなわち非集積回路部に具現することができる。一実施形態において、Z1は抵抗R1とコンデンサC1の直列接続であることができ、Z2は抵抗R2とコンデンサC2の直列接続であることができる。C1とC2がそれぞれR1とR2の隣に直列にさらに具現されるため、低周波数範囲でのセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合はより良い性能を有することができる。
【0453】
図21は、本発明のまた他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-3の構成を概略的に示す図である。以下では、
図18~
図19を参照して説明した内容と重複する内容の説明は省略する。
【0454】
図21を参照すると、アクティブ電流補償装置100A-3は、第1装置300に接続される大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12、を能動的に補償することができる。
【0455】
そのために、アクティブ電流補償装置100A-3は、2つの大電流経路111、112、センシング変圧器120A、増幅部130A-3、補償変圧器140A、補償コンデンサ部150Aを含むことができる。
【0456】
アクティブ電流補償装置100A-3は、
図18に示すアクティブ電流補償装置100Aの一例であることができる。増幅部130A-3は、
図18に示す増幅部130の一例であることができる。
【0457】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-3の増幅部130A-3は、集積回路部131A及び非集積回路部を含むことができる。増幅部130A-3において集積回路部131Aを除いた残りの構成は、非集積回路部に含まれることができる。
【0458】
集積回路部131Aは、前述した集積回路部131Aに対応することができる。すなわち、前述した集積回路部131Aは、
図21に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-3にも適用することができる。したがって、集積回路部131Aの説明は重複するため、簡単にする。
【0459】
前述したように、集積回路部131Aは、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12及び/または1つ以上の抵抗を含むことができる。一実施形態において、第1トランジスタ11はnpn BJTであることができ、第2トランジスタ12はpnpのBJTであることができる。例えば、増幅部130A-3は、npn BJT及びpnp BJTを含むpush-pull増幅器構造を有することができる。集積回路部131Aは、第1トランジスタ11、第2トランジスタ12、1つ以上の抵抗以外に、ダイオード13をさらに含むことができる。例えば、ダイオード13の一端は第1トランジスタ11のベース端に接続され、ダイオード13の他端は第2トランジスタ12のベース端に接続されることができる。選択的実施形態において、ダイオード13は抵抗で置き換えられることができる。
【0460】
センシング変圧器120Aによって二次側122Aで誘導された誘導電流は、増幅部130A-3に差動(differential)で入力されることができる。増幅部130A-3の入力端には、抵抗Rinが二次側122Aに並列接続されることができる。抵抗Rinは、増幅部130A-3の入力インピーダンスを調整することができる。コンデンサCb及びCeはAC信号のみを選択的に結合させることができる。
【0461】
電源装置400は、増幅部130A-3を駆動するために、第2基準電位602を基準とするDC低電圧Vdcを供給する。CdcはDC用の減結合コンデンサであり、電源装置400に並列に接続することができる。Cdcは、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)及び第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)の両方のコレクタ間をAC信号のみ選択的に結合させることができる。
【0462】
上述した抵抗Rin、コンデンサCb、Ce及びCdcは非集積回路部に含まれることができる。
【0463】
一方、センシング変圧器120Aにおいて、一次側121Aと二次側122Aの巻線比が1:Nsenであれば、二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12の1/Nsen倍であり、補償変圧器140Aにおいて、一次側141Aと二次側142Aの巻線比が1:Ninjであれば、二次側142Aに誘導される電流は、一次側141Aに流れる電流(すなわち増幅電流)の1/Ninj倍である。したがって、第1電流I11、I12を相殺させるために、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆である補償電流IC1、IC2を生成するには、増幅部130A-3の電流利得はNsen.Ninjになるように設計することができる。
【0464】
一方、BJTのベース(base)-エミッタ(emitter)の間に印加される電圧によってコレクタ(collector)-エミッタ(emitter)に流れる電流が異なる。ノイズによる増幅部130A-3の入力電圧が0より大きい正のスイング(positive swing)の場合、第1トランジスタ11(例えば、npn BJT)が動作することができる。ノイズによる増幅部130A-3の入力電圧が0より小さい負のスイング(negative swing)の場合、第2トランジスタ12(例えば、pnp BJT)が動作することができる。
【0465】
このような実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-3は、単相(二線)の電力システムの負荷で電源に移動する第1電流I11、I12を補償(または相殺)するために使用することができる。ただし、これに限定されない。
【0466】
図22は、本発明のまた他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bの構成を概略的に示す図である。
【0467】
図22を参照すると、アクティブ電流補償装置100Bは、第1装置300に接続される大電流経路111、112、113、114のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12、I13、I14を能動的に補償することができる。
【0468】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bは、4つの大電流経路111、112、113、114、ノイズ結合コンデンサ部181、センシング変圧器120B、増幅部130B、補償部160B、補償分割コンデンサ部182及び減結合コンデンサ170Bを含むことができる。
【0469】
アクティブ電流補償装置100Bは、前述した実施形態に係る電流補償装置100A、100A-1、100A-2、100A-3とは異なり、大電流経路111、112、113、114と非絶縁されることができる。しかしながら、このようなアクティブ電流補償装置100Bにも、前述した実施形態と同じ集積回路部131Aを使用することができる。
【0470】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bは、互いに区別される第1大電流経路111、第2大電流経路112、第3大電流経路113及び第4大電流経路114を含むことができる。一実施形態によれば、第1大電流経路111はR相、第2大電流経路112はS相、第3大電流経路113はT相、第4大電流経路114はN相の電力線であることができる。第1電流I11、I12、I13、I14は、第1大電流経路111、第2大電流経路112、第3大電流経路113及び第4大電流経路114のそれぞれにコモンモードで入力されることができる。
【0471】
一実施形態において、アクティブ電流補償装置100Bは、入力側(すなわち、第1装置300側)にノイズ結合0コンデンサ部181を設けることができる。ノイズ結合コンデンサ部181は、各相間のノイズを結合させるためのX-コンデンサ(X-capacitor、X-cap)で構成することができる。
【0472】
センシング変圧器120Bの一次側121Bは、第1大電流経路111、第2大電流経路112、第3大電流経路113及び第4大電流経路114のそれぞれに配置され、二次側122Bに誘導電流を生成することができる。4つの大電流経路111、112、113、114上の第1電流I11、I12、I13、I14によってセンシング変圧器120Bに生成される磁束密度は互いに補強されることができる。
【0473】
増幅部130Bは、集積回路部131A及び非集積回路部に区別されることができる。増幅部130Bにおいて集積回路部131Aを除いた残りの構成は、非集積回路部に含まれることができる。例えば、非集積回路部に含まれた構成は、個別(discrete)実用素子であることができるが、これに限定されるものではない。
【0474】
集積回路部131Aは、前述した集積回路部131Aに対応することができる。すなわち、前述した集積回路部131Aは、
図22に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bにも適用することができる。したがって、集積回路部131Aの説明は重複するため、省略する。
【0475】
増幅部130Bにおける非集積回路部は、前述した実施形態とは異なるように具現されることができる。この実施形態において、非集積回路部はインピーダンスZ0、Zd、コンデンサCb、Ce及びCdcを含むことができる。
【0476】
インピーダンスZ0とZdは、第1トランジスタ11及び第2トランジスタ12のベース側に接続されることができる。ここで、接続は間接的な接続を含む。インピーダンスZdは高周波安定のために設けることができる。例えば、Zdは抵抗またはフェライトビーズ(ferrite bead)であることができる。ただし、これに限定されない。インピーダンスZ0は低周波安定のために設けることができる。さらに、Z0はDC信号を遮断(block)することができる。例えば、Z0は抵抗とコンデンサの直列接続であることができる。ただし、これに限定されない。
【0477】
一方、電流補償装置100Bの増幅部は、増幅部130Bに限定されるものではない。電流補償装置100Bの増幅部は、前述した増幅部130A、増幅部130A-1、増幅部130A-2及び増幅部130A-3を含む増幅部のうち1つに具現されることもできる。ただし、これに限定されるものではない。
【0478】
補償部160Bは、補償電流を一大電流経路(例えば、第4大電流経路114)に注入することができる。アクティブ電流補償装置100Bの出力側(すなわち、第2装置200側)には、補償分割コンデンサ部182を設けることができる。補償分割コンデンサ部182は、X-コンデンサで構成することができる。
【0479】
アクティブ電流補償装置100Bは、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ170Bを設けることができる。減結合コンデンサ170Bは、AC電源端インピーダンスの減結合用Y-コンデンサであることができる。
【0480】
このような実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Bは、三相四線式の電力システムの負荷で電源に移動する第1電流I11、I12、I13、I14を補償(または相殺)するために使用することができる。
【0481】
様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置100、100A、100A-1、100A-2、100A-3、100Bは、パッシブEMIフィルタと比較して、高電力システムにおける大きさ及び発熱の増加がわずかである。
【0482】
様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、ワンチップ(one-chip)集積回路部131、131Aを含むことで、個別(discrete)半導体装置を含む場合に比べて大きさが最小限に抑えられる。集積回路部131Aは、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置100、100A、100A-1、100A-2、100A-3、100Bを含むアクティブ電流補償装置に汎用的かつ普遍的に(universally)適用することができる。
【0483】
様々な実施形態に係る集積回路部131A及びそれを含むアクティブ電流補償装置は、定格電力(power rating)に関係なく様々な電力電子製品に使用することができる。様々な実施形態に係る集積回路部131A及びそれを含むアクティブ電流補償装置は、高電力及び高雑音(high-noise)システムにも拡張することができる。
【0484】
ワンチップ(one-chip)集積回路部131Aにより、追加の構成要素なしでアクティブ電流補償装置の機能を拡張することができる。
【0485】
様々な実施形態に係る集積回路部131Aは、アクティブ電流補償装置が設置される大電流経路の過渡電圧に対しても十分に堅牢であることができる。
【0486】
[4]ワンチップの集積回路を含むアクティブ電流補償装置
図23は、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100を含むシステムの構成を概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100は、第1装置300から複数の大電流経路111、112を介してコモンモード(Common Mode、CM)に入力される第1電流I11、I12(例えば、EMIノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0487】
図23を参照すると、アクティブ電流補償装置100は、センシング部120、増幅部130及び補償部160を含むことができる。
【0488】
本明細書において、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を使用する様々な形態の電力システムであることができる。例えば、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いて駆動される負荷であることができる。また、第1装置300は、第2装置200が供給する電源を用いてエネルギーを貯蔵し、貯蔵されたエネルギーを用いて駆動される負荷(例えば、電気自動車)であることができる。ただし、これに限定されない。
【0489】
本明細書における第2装置200は、第1装置300に電源を電流及び/または電圧の形態で供給するための様々な形態のシステムであることができる。第2装置200は、貯蔵されたエネルギーを供給する装置であることもできる。ただし、これに限定されない。
【0490】
第1装置300側には電力変換装置が位置することができる。例えば、前記電力変換装置のスイッチング動作により、第1電流I11、I12を電流補償装置100に入力することができる。すなわち、第1装置300側はノイズソースに対応することができ、第2装置200側はノイズレシーバに対応することができる。
【0491】
2つ以上の大電流経路111、112は、第2装置200によって供給される電源、すなわち第2電流I21、I22を第1装置300に伝達する経路であることができるが、例えば、電力線であることができる。例えば、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれは、ライブライン(Live line)とニュートラルライン(Neutral line)であることができる。大電流経路111、112の少なくとも一部は電流補償装置100を通過することができる。第2電流I21、I22は、第2周波数帯域の周波数を有する交流電流であることができる。第2周波数帯域は、例えば50Hz~60Hz帯域であることができる。
【0492】
また、2つ以上の大電流経路111、112は、第1装置300で発生したノイズ、すなわち第1電流I11、I12が第2装置200に伝達される経路であることができる。第1電流I11、I12は、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれに対してコモンモード(Common Mode)で入力されることができる。第1電流I11、I12は、様々な原因によって第1装置300で意図せず発生される電流であることができる。例えば、第1電流I11、I12は、第1装置300と周辺環境との間の仮想の静電容量(Capacitance)によって発生されるノイズ電流であることができる。あるいは、第1電流I11、I12は、第1装置300の電力変換装置のスイッチング動作によって発生されるノイズ電流であることができる。第1電流I11、I12は、第1周波数帯域の周波数を有する電流であることができる。第1周波数帯域は、前述した第2周波数帯域より高い周波数帯域であることができる。第1周波数帯域は、例えば、150KHz~30MHz帯域であることができる。
【0493】
一方、2つ以上の大電流経路111、112は、
図23に示すように2つの経路を含むこともでき、
図28に示すように3つの経路を含むこともできる。さらに、2つ以上の大電流経路111、112は4つの経路を含むことができる。大電流経路111、112の数は、第1装置300及び/または第2装置200が使用する電源の種類及び/または形態に応じて変わることができる。
【0494】
センシング部120は、2つ以上の大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知し、第1電流I11、I12に対応する出力信号を生成することができる。すなわち、センシング部120は、大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知する手段を意味することができる。センシング部120には、第1電流I11、I12のセンシングのために大電流経路111、112の少なくとも一部が通過することができるが、センシング部120内でセンシングによる出力信号が生成される部分は、大電流経路111、112と絶縁されることができる。例えば、センシング部120はセンシング変圧器で具現されることができる。センシング変圧器は、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知することができる。ただし、センシング部120はセンシング変圧器に限定されない。
【0495】
一実施形態によれば、センシング部120は、増幅部130の入力端と差動(differential)に接続されることができる。
【0496】
増幅部130はセンシング部120に電気的に接続され、センシング部120が出力した出力信号を増幅し、増幅された出力信号を生成することができる。本発明において増幅部130による「増幅」とは、増幅対象の大きさ及び/又は位相を調節することを意味することができる。増幅部130は様々な手段で具現されることができ、アクティブ素子を含むことができる。一実施形態において、増幅部130はBJT(Bipolar Junction Transistor)を含むことができる。例えば、増幅部130は、BJT以外に抵抗とコンデンサなど複数のパッシブ素子を含むことができる。ただし、これに限定されず、本発明で説明する「増幅」のための手段は、本発明の増幅部130として制限なく使用することができる。
【0497】
一実施形態によれば、増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは、互いに区別されることができる。例えば、増幅部130が大電流経路111、112と絶縁になる場合に、増幅部130の第2基準電位602と電流補償装置100の第1基準電位601とは互いに区別されることができる。
【0498】
ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、増幅部130が大電流経路111、112と非絶縁になる場合には、増幅部の基準電位と電流補償装置の基準電位とは区別されないことができる。
【0499】
本発明の様々な実施形態に係る増幅部130は、ワンチップの集積回路(one-chip integrated circuit)131及び非集積回路部(non-integrated circuit unit)132を含むことができる。ワンチップの集積回路(one-chip IC)131は、アクティブ電流補償装置100の必須構成要素を含むことができる。必須構成要素はアクティブ素子を含むことができる。すなわち、増幅部130に含まれたアクティブ素子は、ワンチップの集積回路131に集積することができる。増幅部130のうち非集積回路部132はアクティブ素子を含まないことができる。集積回路131は、アクティブ素子だけでなくパッシブ素子をさらに含むことができる。
【0500】
本発明の実施形態に係る集積回路131は、物理的に1つのICチップであることができる。本発明の実施形態に係る集積回路131は、様々なデザインのアクティブ電流補償装置100に適用することができる。本発明の一実施形態に係るワンチップの集積回路131は、独立したモジュールとして汎用性をもって様々なデザインの電流補償装置100に適用することができる。
【0501】
本発明の実施形態に係る非集積回路部132は、アクティブ電流補償装置100のデザインに応じて変形されることができる。
【0502】
ワンチップの集積回路131は、非集積回路部132に接続されるための端子b1、b2、e1、e2を含むことができる。集積回路131と非集積回路部132とは互いに結合し、増幅部130として機能することができる。集積回路131と非集積回路部132との組み合わせは、センシング部120から出力された出力信号から増幅信号を生成する機能を実行することができる。前記増幅信号は補償部160に入力されることができる。
【0503】
集積回路131及び非集積回路部132を含む増幅部130の詳細な構成の例については、
図25、
図27及び
図28を参照して後述する。
【0504】
増幅部130は、第1装置300及び/または第2装置200と区別される電源装置400から電源を供給されることができる。増幅部130は、電源装置400から電源を供給され、センシング部120が出力した出力信号を増幅して増幅電流を生成することができる。
【0505】
電源装置400は、第1装置300及び第2装置200とは無関係の電源から電源を供給され、増幅部130の入力電源を生成する装置であることができる。選択的に電源装置400は、第1装置300及び第2装置200のうちいずれか1つの装置から電源を供給され、増幅部130の入力電源を生成する装置であることもできる。
【0506】
ワンチップの集積回路(oneーchip IC)131は、電源装置400に接続されるための端子c1、第2基準電位602に接続されるための端子c2及び非集積回路部132に接続されるための端子b1、b2、e1、e2を含むことができる。他の実施形態において、ワンチップの集積回路131は、他の機能のための端子をさらに含むことができる。
【0507】
電源装置400は、増幅部130を駆動するために、第2基準電位602を基準とする直流(DC)電圧Vdcを供給することができる。電源装置400には、Vdcに対する減結合コンデンサCdcが並列に接続されることができる。コンデンサCdcは集積回路131の外部に接続されるが、電源端子c1と第2基準電位に対応する端子c2との間に接続されることができる。
【0508】
増幅部130において集積回路131を除いた残りの構成は、非集積回路部132に含まれることができる。したがって、コンデンサCdcが非集積回路部132に含まれるとも言えるだろう。
【0509】
補償部160は、増幅部130によって増幅された出力信号に基づいて補償電流IC1、IC2を生成することができる。補償部160の出力側は、大電流経路111、112に補償電流IC1、IC2を流すために大電流経路111、112と接続されることができる。
【0510】
一実施形態によれば、補償部160の出力側は増幅部130とは絶縁されることができる。例えば、補償部160は、前記絶縁のために補償変圧器を含むことができる。例えば、前記補償変圧器の一次側には増幅部130の出力信号が流れ、補償変圧器の二次側には前記出力信号に基づいた補償電流が生成されることができる。
【0511】
ただし、本発明はこれに限定されない。他の一実施形態によれば、補償部160の出力側は増幅部130とは絶縁されることができる。この場合、増幅部130は大電流経路111、112と非絶縁されることができる。
【0512】
補償部160は第1電流I11、I12を相殺させるために、2つ以上の大電流経路111、112のそれぞれを介して補償電流IC1、IC2を大電流経路111、112に注入(inject)させることができる。補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。
【0513】
図24は、
図23に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aを概略的に示す図である。アクティブ電流補償装置100Aは、第1装置300と接続される2つの大電流経路111、112のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12(例えば、ノイズ電流)を能動的に補償することができる。
【0514】
図24を参照すると、アクティブ電流補償装置100Aは、センシング変圧器120A、増幅部130及び補償部160Aを含むことができる。
【0515】
一実施形態において、前述したセンシング部120はセンシング変圧器120Aを含むことができる。このとき、センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112から絶縁された状態で大電流経路111、112上の第1電流I11、I12を検知するための手段であることができる。センシング変圧器120Aは、第1装置300側から大電流経路111、112(例えば、電力線)に入力されるノイズ電流である第1電流I11、I12をセンシングすることができる。
【0516】
センシング変圧器120Aは、大電流経路111,112上に配置される一次側121A及び増幅部130の入力端と差動(differential)に接続された二次側122Aを含むことができる。センシング変圧器120Aは、大電流経路111、112上に配置される一次側121A(例えば、一次巻線)において、第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度に基づいて二次側122A(例えば、二次巻線)に誘導電流を生成することができる。前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、例えば、1つのコアに第1大電流経路111及び第2大電流経路112がそれぞれ巻回された巻線であることができる。ただし、これに限定されず、前記センシング変圧器120Aの一次側121Aは、第1大電流経路111及び第2大電流経路112が前記コアを通過する形態であることもできる。
【0517】
具体的には、第1大電流経路111(例えば、ライブライン)上の第1電流I11によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112(例えば、ニュートラルライン)上の第1電流I12によって誘導される磁束密度が互いに重なり合う(または補強される)ように構成することができる。このとき、大電流経路111、112上には第2電流I21、I22も流れるが、第1大電流経路111上の第2電流I21によって誘導される磁束密度と、第2大電流経路112 )上の第1電流I22によって誘導される磁束密度は互いに相殺するように構成することができる。また、一例として、センシング変圧器120Aは、第1周波数帯域(例えば、150KHz~30MHzの範囲を有する帯域)の第1電流I11、I12によって誘導される磁束密度の大きさが第2周波数帯域(例えば、50Hz~60Hzの範囲を有する帯域)の第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度の大きさよりも大きいように構成することができる。
【0518】
このように、センシング変圧器120Aは、第2電流I21、I22によって誘導される磁束密度を互いに相殺するように構成成され、第1電流I11、I12のみが検知されるようにすることができる。すなわち、センシング変圧器120Aの二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12が一定の割合で変換された電流であることができる。
【0519】
例えば、センシング変圧器120Aで、一次側121Aと二次側122Aの巻線比が1:Nsenであり、センシング変圧器120Aの一次側121Aの自己インダクタンスがLsenだとすると、二次側122Aは、Nsen2・Lsenの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側122Aに誘導される電流は、第1電流I11、I12の1/Nsen倍である。一例において、センシング変圧器120Aの一次側121Aと二次側122Aとは、ksenの結合係数(coupling coefficient)で結合することができる。
【0520】
センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端に接続されることができる。例えば、センシング変圧器120Aの二次側122Aは、増幅部130の入力端と差動で接続され、増幅部130に誘導電流または誘導電圧を提供することができる。
【0521】
増幅部130は、センシング変圧器120Aによって検知されて二次側122Aに誘導される電流を増幅させることができる。例えば、増幅部130は、前記誘導電流の大きさを一定の割合で増幅及び/又は位相を調節することができる。
【0522】
本発明の様々な実施形態によれば、増幅部130は、ワンチップの集積回路(oneーchip IC)131と、前記ワンチップ以外の構成である非集積回路部132とを含むことができる。
【0523】
集積回路131はアクティブ素子を含むことができる。集積回路131は、アクティブ素子を駆動するために第2基準電位602を基準とする電源装置400に接続されることができる。第2基準電位602は、電流補償装置100A(または補償部160A)の第1基準電位601と区別することができる。
【0524】
ワンチップの集積回路131には、電源装置400に接続されるための端子c1、第2基準電位602に接続されるための端子c2及び非集積回路部132に接続されるための端子b1、b2、e1、e2が形成されることができる。
【0525】
補償部160Aは、前述した補償部160の一例であることができる。一実施形態において補償部160Aは、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。前述した増幅部130によって増幅された増幅電流は、補償変圧器140Aの一次側141Aに流れることができる。
【0526】
一実施形態に係る補償変圧器140Aは、アクティブ素子を含む増幅部130を大電流経路111、112から絶縁させるための手段であることができる。すなわち、補償変圧器140Aは、大電流経路111、112と絶縁された状態で、増幅電流に基づいて大電流経路111、112に注入するための補償電流を(二次側142Aに)生成するための手段であることができる。
【0527】
補償変圧器140Aは、増幅部130の出力端と差動(differential)に接続される一次側141A及び大電流経路111,112と接続される二次側142Aを含むことができる。補償変圧器140Aは、一次側141A(例えば、1次巻線)に流れる増幅電流によって誘導される磁束密度に基づいて二次側142A(例えば、2次巻線)に補償電流を誘導することができる。
【0528】
このとき、二次側142Aは、後述する補償コンデンサ部150Aと電流補償装置100Aの第1基準電位601とを接続させる経路上に配置されることができる。すなわち、二次側142Aの一端は補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112と接続され、二次側142Aの他端はアクティブ電流補償装置100Aの第1基準電位601と接続されることができる。一方、補償変圧器140Aの一次側141A、増幅部130及びセンシング変圧器120Aの二次側122Aは、アクティブ電流補償装置100Aの残りの構成要素と区別される第2基準電位602に接続されることができる。一実施形態に係る電流補償装置100Aの第1基準電位601と増幅部130の第2基準電位602とは区別されることができる。
【0529】
このように、一実施形態に係る電流補償装置100Aは、補償電流を生成する構成要素に対して、残りの構成要素とは異なる基準電位(すなわち、第2基準電位602)を使用し、別途の電源装置400を使用することによって、補償電流を生成する構成要素を絶縁状態で動作させることができ、これによりアクティブ電流補償装置100Aの信頼性を向上させることができる。ただし、本発明に係る集積回路131と非集積回路部132とを含むアクティブ電流補償装置は、このような絶縁構造に限定されるものではない。本発明の他の実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、大電流経路と非絶縁されることもできる。
【0530】
一実施形態に係る補償変圧器140Aにおいて、一次側141Aと二次側142Aの巻線比が1:Ninjであり、補償変圧器140Aの一次側141Aの自己インダクタンスがLinjとすると、二次側142Aは、Ninj2.Linjの自己インダクタンスを有することができる。このとき、二次側142Aに誘導される電流は、一次側141Aに流れる電流(すなわち、増幅電流)の1/Ninj倍である。一例において、補償変圧器140Aの一次側141Aと二次側142Aとは、kinjの結合係数(coupling coefficient)で結合されることができる。
【0531】
補償変圧器140Aを介して変換された電流は、補償コンデンサ部150Aを介して大電流経路111、112(例えば、電力線)に補償電流IC1、IC2として注入されることができる。したがって、補償電流IC1、IC2は、第1電流I11、I12を相殺させるために、第1電流I11、I12と大きさが同じで位相が逆であることができる。したがって、増幅部130の電流利得の大きさは、Nsen.Ninjとなるように設計することができる。しかしながら、実際の状況では磁気結合損失が発生する可能性があるため、増幅部130の目標電流利得はNsen.Ninjよりも高く設計されることができる。
【0532】
補償コンデンサ部150Aは、前述したように補償変圧器140Aによって生成された電流が2つの大電流経路111、112のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0533】
補償コンデンサ部150Aは、一端が補償変圧器140Aの二次側142Aに接続され、他端が大電流経路111、112のそれぞれに接続されるY-コンデンサ(Y-capacitor, Y-cap)を含むことができる。例えば、2つのY-capの一端は補償変圧器140Aの二次側142Aに接続されるノードを共有し、2つのY-capのそれぞれの反対端はそれぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されるノードを有することができる。
【0534】
補償コンデンサ部150Aは、補償変圧器140Aによって誘導された補償電流IC1、IC2を電力線に流すことができる。補償電流IC1、IC2が第1電流I11、I12を補償(または相殺)することにより、電流補償装置100Aはノイズを低減させることができる。
【0535】
一方、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112の間に流れる電流IL1が第1閾値サイズ未満になるように構成することができる。また、補償コンデンサ部150Aは、補償コンデンサを介して2つの大電流経路111、112のそれぞれと第1基準電位601との間に流れる電流IL2が第2閾値サイズ未満になるように構成することができる。
【0536】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100Aは、補償変圧器140A及びセンシング変圧器120Aを用いることにより、絶縁型(isolated)構造を実現することができる。
【0537】
図25は、
図24に示す実施形態のより具体的な一例を示したもので、本発明の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1を概略的に示す図である。
図25に示すアクティブ電流補償装置100A-1、増幅部130A及び集積回路131Aは、
図24に示すアクティブ電流補償装置100A、増幅部130及び集積回路131の例である。
【0538】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1は、センシング変圧器120A、増幅部130A、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aを含むことができる。一実施形態において、アクティブ電流補償装置100A-1は、出力側(すなわち、第2装置200側)に減結合コンデンサ部170Aをさらに含むことができる。他の実施形態において、減結合コンデンサ部170Aは省略されることもある。センシング変圧器120A、補償変圧器140A及び補償コンデンサ部150Aの説明は重複するため省略する。
【0539】
一実施形態において、センシング変圧器120Aによって二次側122Aで誘導された誘導電流は、増幅部130Aに差動(differential)で入力されることができる。
【0540】
一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-1の増幅部130Aは、ワンチップの集積回路部131A及び非集積回路を含むことができる。増幅部130Aにおいて集積回路131Aを除いた残りの構成は、非集積回路部に含まれることができる。本発明の実施形態で、集積回路131Aは物理的に1つのチップに具現される。非集積回路部に含まれた構成は、個別(discrete)実用素子であることができる。非集積回路部は、実施形態によって異なるように具現することができる。非集積回路部は、同じワンチップの集積回路131Aを様々なデザインのアクティブ電流補償装置100に適用できるように変形されることができる。
【0541】
ワンチップの集積回路131Aは、npn BJT11、pnp BJT12、ダイオード13及び1つ以上の抵抗を含むことができる。
【0542】
一実施形態において集積回路131Aに含まれた1つ以上の抵抗は、Rnpn、Rpnp及び/またはReを含むことができる。集積回路131A内で、抵抗Rnpnはnpn BJT11のコレクタ(collector)ノードとベース(base)ノードとを結ぶことができる。集積回路131A内で、抵抗Rpnpはpnp BJT12のコレクタノードとベースノードとを結ぶことができる。集積回路131A内で、抵抗Reはnpn BJT11のエミッタ(emitter)ノードとpnp BJT12のエミッタノードとを結ぶことができる。
【0543】
電源装置400は、増幅部130Aを駆動するために、npnBJP11のコレクタノードとpnp BJT12のコレクタノードとの間にDC電圧Vdcを供給することができる。pnp BJT12のコレクタノードは第2基準電位602に対応することができ、npn BJT11のコレクタノードは第2基準電位602を基準とする、電源装置400の供給電圧Vdcに対応することができる。
【0544】
一実施形態において、バイアス(biasing)ダイオード13は、集積回路131A内でnpn BJT11のベースノードとpnp BJT12のベースノードとを結ぶことができる。すなわち、ダイオード13の一端はnpn BJT11のベースノードに接続され、ダイオード13の他端はpnp BJT12のベースノードに接続されることができる。
【0545】
本発明の実施形態によれば、集積回路部131Aに含まれる抵抗Rnpn、Rpnp、Re及び/またはバイアスダイオード13は、BJT11、12のDCバイアス(bias)に使用することができる。本発明の一実施形態において、抵抗Rnpn、Rpnp、Re及びバイアスダイオード13は、様々なアクティブ電流補償装置100、100Aにおいて汎用的な構成であるため、ワンチップ(one-chip)の集積回路部131Aに集積することができる。
【0546】
本発明の実施形態に係るワンチップの集積回路(oneーchip IC)131Aは、npn BJT11のベースに対応する端子b1、npn BJT11のコレクタに対応する端子c1、npn BJT11のエミッタに対応する端子e1、pnp BJT12のベースに対応する端子b2、pnp BJT12のコレクタに対応する端子c1及びpnp BJT12のエミッタに対応する端子e1を含むことができる。ただし、これに限定されず、ワンチップの集積回路131Aは、前記端子b1、b2、c1、c2、e1及びe2以外に他の端子をさらに含むことができる。
【0547】
様々な実施形態において、ワンチップの集積回路131Aの端子b1、b2、c1、c2、e1及びe2のうち少なくとも1つは非集積回路部に接続することができる。ワンチップの集積回路131Aと非集積回路部とは互いに結合し、一実施形態に係る増幅部130Aとして機能することができる。
【0548】
一実施形態において、非集積回路部はコンデンサCb、Ce及びCdc、インピーダンスZ1及びZ2を含むことができる。
【0549】
一実施形態によれば、集積回路(oneーchip IC)131Aチップのベース端子b1、b2には、それぞれ非集積回路部のコンデンサCbが接続されることができる。集積回路131Aチップのエミッタ端子e1、e2には、それぞれ非集積回路部のコンデンサCeが接続されることができる。集積回路131Aの外部では、pnp BJT12のコレクタ端子c2は第2基準電位602に接続されることができる。集積回路131Aの外部では、両コレクタ端子c1、c2の間に電源装置400を接続することができる。集積回路131Aの外部では、両コレクタ端子c1、c2の間に非集積回路部のコンデンサCdcを接続することができる。
【0550】
非集積回路部に含まれたコンデンサCb及びCeは、BJT11、12のベースノード及びエミッタノードでDC電圧を遮断(block)することができる。コンデンサCb及びCeは交流(AC)信号のみを選択的に結合させることができる。
【0551】
コンデンサCdcは、電圧Vdcに対するDC用の減結合コンデンサであり、電源装置400の供給電圧Vdcに対して並列に接続されることができる。コンデンサCdcは、npn BJT11及びpnp BJT12の両コレクタの間をAC信号のみを選択的に結合させることができる。
【0552】
増幅部130Aの電流利得は、インピーダンスZ1とZ2の割合で制御することができる。Z1とZ2は、センシング変圧器120A及び補償変圧器140Aの巻線比に応じて、必要な目標電流利得に応じて柔軟に設計することができる。したがって、Z1とZ2は、ワンチップ(one-chip)集積回路131Aの外部で(すなわち、非集積回路部に)具現されることができる。
【0553】
集積回路131Aと非集積回路部のCb、Ce、Cdc、Z1、Z2の組み合わせは、一実施形態に係る増幅部130Aとして機能することができる。例えば、増幅部130Aは、npn BJT及びpnp BJTを含むpush-pull増幅器構造を有することができる。
【0554】
一実施形態において、センシング変圧器120Aの二次側122A側は、BJT11、12のベース側とエミッタ側との間に接続されることができる。一実施形態において、補償変圧器140Aの一次側141A側は、BJT11、12のコレクタ側とベース側との間に接続されることができる。ここで、接続は間接的に接続された場合を含む。
【0555】
一実施形態において、増幅部130Aは、出力電流をBJT11、12のベースに再び注入する回帰構造を有することができる。回帰構造であるため、増幅部130Aは、アクティブ電流補償装置100A-1の動作のための一定の電流利得を安定して得ることができる。
【0556】
例えば、ノイズ信号による増幅部130Aの入力電圧が0より大きい正のスイング(positive swing)の場合、npn BJT11が動作することができる。このとき、動作電流はnpn BJT11を通る第1経路を介して流れることができる。ノイズによる増幅部130Aの入力電圧が0より小さい負のスイング(negative swing)の場合、pnp BJT12が動作することができる。このとき、動作電流はpnp BJT12を通る第2経路を介して流れることができる。
【0557】
集積回路131Aにおいて、抵抗Rnpn、Rpnp及びReは、BJTの動作点を調節することができる。抵抗Rnpn、Rpnp及びReは、BJTの動作点に応じて設計することができる。
【0558】
本発明の実施形態によれば、温度特性を有する素子がワンチップの集積回路(oneーchip IC)131Aに集積されることができる。一実施形態によれば、npn BJT11、pnp BJT12、バイアスダイオード13、Rnpn、Rpnp、Reがワンチップの集積回路131Aに集積化されることができる。ワンチップに集積化する場合、個別(discrete)素子を使用する場合に比べて増幅部130Aの大きさを最小限に抑えることができる。本明細書において、温度特性を有する素子とは、例えば、極低温から高温までの広い温度範囲で任意の回路特性を有する素子を指すことができる。温度特性を有する素子とは、広い温度範囲で温度変化に応じて素子特性が変化する素子を指すことができる。本発明の実施形態によれば、温度特性を有するアクティブ素子をワンチップの集積回路131Aに内蔵化することにより、温度変化にも一定(または安定した)回路特性を有するワンチップの集積回路131Aを具現することができる。本発明の実施形態によれば、温度特性を有するアクティブ素子をワンチップの集積回路131Aに内蔵化することにより、温度変化にも一定の性能を出す増幅部130A及びアクティブ電流補償装置100A-1を具現することができる。すなわち、ワンチップの集積回路131Aは、温度変化にも増幅部130Aが一定の性能を出すように設計されることができる。ここで増幅部130Aが一定の性能を出すという意味は、一定範囲内で安定した性能を維持することを含む。
【0559】
また、本発明の実施形態によれば、温度特性を有する素子(例えば、BJT11、12、ダイオード13、Reなど)が温度を共有することができる。したがって、温度に応じた特性を、例えば、シミュレーションなどを通じて予測しやすくすることができる。したがって、温度変化にも制御可能であり、予測可能な増幅部130Aを設計することができる。一方、BJT、ダイオード、抵抗で個別素子を使用するのであれば、前記素子の温度特性がそれぞれ異なる場合があり、アクティブ回路部の動作を予測することが難しいだろう。
【0560】
また、本発明の実施形態によれば、半導体素子数の増加にも集積回路131A及びアクティブ電流補償装置100Aのサイズ及び生産コストの増加はわずかであることができる。したがって、ワンチップの集積回路131A及びアクティブ補償装置100Aの大量生産が容易であることができる。
【0561】
非集積回路部のインダクタ、コンデンサ(例えば、Cb、Ce、Cdc)、Z1及びZ2は、個別構成要素であり、ワンチップの集積回路131Aの周辺に具現することができる。
【0562】
コンデンサCb、Ce及びCdcが交流(AC)信号を結合(couple)するために必要な静電容量は、数μF以上(例えば、10μF)であることができる。この静電容量値はワンチップの集積回路内で具現することが困難であるため、コンデンサCb、Ce及びCdcは集積回路131Aの外部に、すなわち非集積回路部に具現することができる。
【0563】
非集積回路部の設計に応じて、ワンチップの集積回路131Aを様々な電力システムの第1装置300(または第2装置200)に使用することができる。例えば、ワンチップの集積回路131Aは、第1装置300の定格電力とは無関係であることができ、非集積回路部は、第1装置300の定格電力に従って設計することができる。例えば、インピーダンスZ1とZ2の値は、センシング変圧器120Aと補償変圧器140Aの巻線比及び増幅部130Aの目標電流利得に基づいて決定することができる。ワンチップの集積回路131Aの構成は、前記巻線比及び前記目標電流利得と無関係であることができる。
【0564】
インピーダンスZ1とZ2は、様々な電力システムまたは様々な第1装置300に対する設計柔軟性を達成するために集積回路の外部に、すなわち非集積回路部に具現することができる。Z1とZ2は、センシング変圧器120A及び補償変圧器140Aの巻線比に応じて、必要な目標電流利得に応じて柔軟に設計することができる。インピーダンスZ1とびZ2を調整することによって、同じ集積回路131Aを様々な電力システムに適用できるようにする様々な電流補償装置を設計することができる。
【0565】
特に、センシング変圧器120Aの大きさとインピーダンス特性は、第1装置300の最大定格電流に応じて変化しなければならない。したがって、広い周波数範囲でセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合を均一にするためには、Z1とZ2の適切な設計が必要である。センシング変圧器120Aと補償変圧器140Aの巻線比及びZ1とZ2との割合を調整し、広い周波数範囲でセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合を1に設計することができる。このために、インピーダンスZ1とZ2は、設計柔軟性のために集積回路131Aの外部に具現することができる。一実施形態において、Z1は抵抗R1とコンデンサC1の直列接続であることができ、Z2は抵抗R2とコンデンサC2の直列接続であることができる。C1とC2がそれぞれR1とR2の隣に直列にさらに具現されるため、低周波数範囲でのセンシングノイズ電流に対する注入電流の割合はより良い性能を有することができる。
【0566】
本発明の様々な実施形態に係る集積回路131Aは、拡張性を考慮して設計されているため、様々なタイプのアクティブ電流補償装置で使用されることができる。同じタイプの集積回路131Aを様々な実施形態に使用することができ、非集積回路部は実施形態によって異なるように設計することができる。
【0567】
一方、アクティブ電流補償装置100A-1は、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170Aをさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170Aに含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111及び第2大電流経路112に接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100A-1の第1基準電位601に接続されることができる。
【0568】
減結合コンデンサ部170Aは、アクティブ電流補償装置100A-1の補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170AのインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170Aの結合により、電流補償装置100A-1は、どのシステムにおいても独立したモジュールとして使用することができる。
【0569】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100A-1において減結合コンデンサ部170Aを省略することができる。
【0570】
図26は、本発明の一実施形態に係るワンチップの集積回路(oneーchip IC)131Aを概略的に示す図である。集積回路131Aの詳細な説明は、前述した説明と重複するため省略する。
【0571】
BJTのDCバイアス回路は、温度変化にも可能であれば一定のDC動作点を有するように設計する必要がある。本発明の実施形態によれば、BJT11、12のDCバイアス回路は、温度変化にも一定範囲内で安定したDC動作点を有するように設計することができる。
【0572】
図26を参照すると、バイアスダイオード13、抵抗Rnpn、Rpnp、Reは、DCバイアス設計に使用することができる。BJTバイアスのために、バイアスダイオード13の順方向電圧は、BJTのベースエミッタ電圧の2倍に当たるか、それより若干高い必要かある可能性がある。本発明の実施形態において、バイアスダイオード13及び抵抗Reは、BJT11、12の熱暴走(thermal runaway)を防止することができる。
【0573】
一般に、BJTに電流が流れながら熱が発生すると、BJTの電流利得が増加し、これにより熱がさらに発生する。熱暴走は、このような正のフィードバックによって熱が増加し続け、BJTが損傷する現象を示す。
【0574】
本発明の実施形態によれば、npn BJT11のエミッタノードとpnp BJT12のエミッタノードとの間に抵抗Reを設けることにより、DCバイアス電流を調整し、熱暴走を防止することができる。温度が上昇するにつれて、Reの抵抗(resistance)も共に増加するため、電流Ieが増加するのを防ぐことができる。したがって、抵抗Reは電流Ieまたは熱に対して負のフィードバックとして作用することができる。
【0575】
本発明の実施形態によれば、npn BJT11のベースノードとpnp BJT12のベースノードとの間にダイオード13を設けることにより、熱暴走を防止することができる。ダイオード13は、温度が上昇するにつれ、順方向電流に比べて順方向電圧が低下する特性がある。したがって、本発明の実施形態において、BJT11、12のベース端間に形成されたダイオード13は、温度が上昇するにつれてベース端間の電圧を下げる役割を果たすことができる。これにより、ダイオード13がない場合に比べ、ダイオード13がある場合にBJT11、12がオンになる頻度が比較的に少ないことができる。したがって、温度の上昇による電流Ieが比較的減少することができる。このように、ダイオード13は、電流Ieに対して負のフィードバックとして作用することができる。
【0576】
前述したように、BJT11、12に対して、温度による正のフィードバックと、Re及びダイオード13による負のフィードバックが共に作用することにより、BJT11、12は温度変化にも一定の電流範囲を維持することができる。
【0577】
npn BJT11及びpnp BJT12においてDCバイアス電圧が十分にバランスとられた場合、DCエミッタ電流Ieは下記の数式1のように求めることができる。
【0578】
【0579】
数式1において、Vdcはnpn BJT11のコレクタとpnp BJT12のコレクタとの間に供給される電圧であり、Idはダイオード13の順方向バイアス電流であり、VbeはBJTのベースエミッタ電圧であり、hfeはBJTの電流利得である。また、一実施形態において、Rbias = Rnpn = Rpnpである。
【0580】
一実施形態において、Id及びVbeの値は、カスタマイズされた(customized)集積回路131Aにおけるダイオード13及びBJT11、12のIV(電流-電圧)特性に応じて設計することができる。
【0581】
図27は、
図26に示すワンチップの集積回路131Aの温度によるバイアス電圧と電流のシミュレーション結果を示す図である。
図27に示すグラフは、-50℃から125℃までの温度変化による集積回路131AのDCシミュレーション結果である。
【0582】
IeはDCエミッタ電流であり、Vbnは第2基準電位602(すなわち、DC接地基準)に対するnpn BJT11のベースノードの電圧であり、Venは第2基準電位602に対するnpn BJT11のエミッタノードの電圧であり、Vbpは第2基準電位602に対するpnp BJT12のベースノードの電圧であり、Vepは第2基準電位602に対するpnp BJT12 )のエミッタノードの電圧である。
【0583】
図27を参照すると、npn BJT11のVbe(=Vbn-Ven)とpnp BJT12のVbe(=Vep-Vbp)は全温度範囲で約0.75Vに維持されることがわかる。さらに、DCバイアス電圧はVdcの半分である6V付近で上手くバランスがとられている。すなわち、各ノードの電圧(Vbn、Ven、Vbp及びVep)が温度に応じて一定に分布されることができる。各ノードの電圧が温度変化に応じて一定に分布するほど、アクティブ電流補償装置100A-1の性能に有利に作用することができる。
【0584】
一実施形態によれば、温度が125℃まで上昇するにも関わらず、電流Ieは約40~50mAの範囲の一定水準を維持することがわかる。温度が上昇している間、電流Ieは特定の範囲を超えて増加せず、むしろ40℃以上で若干ン減少する。言い換えれば、温度が上昇しても電流Ieが連続的に増加しないことから、熱暴走が起こらないことがわかる。
【0585】
その結果、ワンチップの集積回路(oneーchip IC)131Aにバイアス抵抗Reとダイオード13が内蔵化されているお陰で、追加の個別部品を使用しなくても熱暴走を防止することができる。
【0586】
一方、温度特性を有する素子(例えば、BJT11、12、ダイオード13、Reなど)が個別(discrete)素子である場合、素子が温度を共有するには限界がある。この場合、抵抗、ダイオード13、BJT11、12の温度特性がそれぞれ異なることができる。したがって、実際の温度に応じたバイアス電圧及び電流を予測及び制御することが難しいことができる。また、商用個別素子で増幅部を構成する場合、IV(電流-電圧)特性を自由にデザインすることが難しいため、アクティブ電流補償装置のための最適の設計が難しい場合がある。また、個別素子を使用する場合、半導体素子の数に応じて生産コストが継続的に増加することがある。
【0587】
本発明の実施形態において、アクティブ電流補償装置の増幅部は、ワンチップの集積回路131Aを含むことで、半導体素子の特性を考慮してエミッタ電流Ieと電圧を所望に応じて調整することができる。本発明の実施形態において、温度特性を有する素子がワンチップの集積回路(oneーchip IC)内に形成されて温度を共有するため、温度に応じた素子の特性を予測しやすいことができる。本発明の実施形態に係る集積回路131Aの場合、半導体素子の数の増加によるサイズの増加はわずかで、大量生産によるコストの増加もわずかであることができる。
【0588】
図28は、本発明の他の一実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2の構成を概略的に示す。以下では、
図24~
図27を参照して説明した内容と重複する内容の説明は省略する。
【0589】
図28を参照すると、アクティブ電流補償装置100A-2は、第1装置300に接続される大電流経路111、112、113のそれぞれにコモンモードで入力される第1電流I11、I12、I13を能動的に補償することができる。
【0590】
そのために、アクティブ電流補償装置100A-2は、3つの大電流経路111、112、113、センシング変圧器120A-2、増幅部130A、補償変圧器140A、補償コンデンサ部150A-2を含むことができる。
【0591】
前述した実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A、100A-1と比較して見れば、
図28に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2は3つの大電流経路111、 112、113を含み、それによってセンシング変圧器120A-2及び補償コンデンサ部150A-2の相違点がある。したがって、以下では、上述した相違点を中心にアクティブ電流補償装置100A-2について説明する。
【0592】
アクティブ電流補償装置100A-2は、互いに区別される第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113を含むことができる。一実施形態によれば、第1大電流経路111はR相、第2大電流経路112はS相、第3大電流経路113BはT相の電力線であることもできる。第1電流I11、I12、I13は、第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113のそれぞれにコモンモードで入力されることもできる。
【0593】
センシング変圧器120A-2の一次側121A-2は、第1、第2、第3大電流経路111、112、113のそれぞれに配置され、二次側122A-2に誘導電流を生成することができる。3つの大電流経路111、112、113上の第1電流I11、I12、I13によってセンシング変圧器120A-2に生成される磁束密度は互いに補強されることができる。
【0594】
図28に示す実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2において、増幅部130Aは、前述した増幅部130Aに対応することができる。
【0595】
補償コンデンサ部150A-2は、補償変圧器140Aによって生成された補償電流IC1、IC2、IC3が第1、第2、第3大電流経路111、112、113のそれぞれに流れる経路を提供することができる。
【0596】
アクティブ電流補償装置100A-2は、出力側(すなわち、第2装置200側)に、減結合コンデンサ部170A-2をさらに含むことができる。減結合コンデンサ部170A-2に含まれた各コンデンサの一端は、それぞれ第1大電流経路111、第2大電流経路112及び第3大電流経路113に接続されることができる。前記各コンデンサの反対端は、電流補償装置100A-2の第1基準電位601に接続されることができる。
【0597】
減結合コンデンサ部170A-2は、アクティブ電流補償装置100A-2の補償電流の出力性能が第2装置200のインピーダンス値の変化によって大きく変動しないようにすることができる。減結合コンデンサ部170A-2のインピーダンスZYは、ノイズ低減の対象となる第1周波数帯域で指定された値より小さい値を有するように設計することができる。減結合コンデンサ部170A-2の結合により、電流補償装置100A-2は、どのシステム(例えば、三相三線式)においても独立したモジュールとして使用することができる。
【0598】
一実施形態によれば、アクティブ電流補償装置100A-2において減結合コンデンサ部170A-2を省略することができる。
【0599】
このような実施形態に係るアクティブ電流補償装置100A-2は、三相三線式の電力システムの負荷で電源に移動する第1電流I11、I12、I13を補償(または相殺)するために使用することができる。
【0600】
本発明の技術的思想によって、様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置は、三相四線式にも適用できるように変更できるのは言うまでもない。
【0601】
本発明の一実施形態に係る増幅部130Aは、
図25に示す単相(二線)式、
図28に示す三相三線式及び図示していないが、三相四線式にも適用することができる。ワンチップの集積回路131Aを複数のシステムに適用することができるため、集積回路131Aは様々な実施形態に係るアクティブ電流補償装置において汎用性を有することができる。
【0602】
本発明で説明する特定の実行は、一実施形態であり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。本明細書の簡潔さのために、従来の電子的な構成、制御システム、ソフトウェア、前記システムの他の機能的側面の記載は省略することができる。さらに、図面に示されている構成要素間の線の連結または連結部材は、機能的連結及び/または物理的または回路的連結を例示的に示したものであり、実際の装置では代替可能または追加の様々な機能的連結、物理的連結、または回路的連結として示すことができる。
【0603】
本発明の思想は、前記説明した実施形態に限定されて決められてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、この特許請求の範囲と均等またはこれから等価的に変更された全ての範囲は、本発明の思想の範疇に属すると言えよう。
【国際調査報告】