(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】加工物自動固定装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20231213BHJP
B23Q 3/18 20060101ALI20231213BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
B23Q3/06 304F
B23Q3/06 304K
B23Q3/18 B
B23Q11/08 Z
B23Q3/06 301D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558109
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 KR2021012496
(87)【国際公開番号】W WO2022124537
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0169640
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523214535
【氏名又は名称】マティンプラウト カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MATINPROUT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】209, 4, Jagok-ro 7-gil, Gangnam-gu, Seoul 06372 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】リン サン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リン ジェ ヒ
【テーマコード(参考)】
3C011
3C016
【Fターム(参考)】
3C011DD00
3C016CA01
3C016CB02
3C016CB04
3C016CB07
3C016CC00
3C016CE01
3C016EA01
3C016EA02
3C016HA02
3C016HB01
(57)【要約】
加工物自動固定装置が開示される。本発明の一実施形態による加工物自動固定装置は、装置テーブルの一側に設けられ、加工物が載置固定されて加工完了製品に加工される場所を形成するジグベース;ジグベースに結合するが、ジグベース上に載置される加工物に形成されるホールに挿入されて、ホールを選択的にクランピングするホールクランプ;及び装置テーブルに設けられ、ホールクランプと連結され、ホールクランプが加工物のホールをクランピングまたはアンクランピングするようにホールクランプを駆動させるクランプ駆動部;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置テーブルの一側に設けられ、加工物が載置固定されて加工完了製品に加工される場所を形成するジグベースと、
前記ジグベースに結合するが、前記ジグベース上に載置される前記加工物に形成されるホールに挿入されて、前記ホールを選択的にクランピングするホールクランプと、
前記装置テーブルに設けられ、前記ホールクランプと連結され、前記ホールクランプが前記加工物のホールをクランピングまたはアンクランピングするように、前記ホールクランプを駆動させるクランプ駆動部と、
を含むことを特徴とする加工物自動固定装置。
【請求項2】
前記ホールクランプは、
前記ジグベースに前記加工物が載置される方向に沿って配されるが、長手方向に沿って断面積が異なって形成されるクランプシャフトと、
前記クランプシャフトの周り方向に沿って配されるが、前記クランプ駆動部の作用による前記クランプシャフトのアップ/ダウン移動動作に基づいて半径方向の外側または内側に移動し、前記半径方向の外側に移動する時、前記加工物を位置固定する多分割ジョー(3-jaw)と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の加工物自動固定装置。
【請求項3】
前記クランプシャフトは、
断面積が相対的に狭い縮径区間部と、
前記クランプシャフトの長手方向に沿って前記縮径区間部に離隔して配されるが、前記縮径区間部よりも断面積が広い拡径区間部と、
前記縮径区間部と前記拡径区間部とを傾斜して連結する傾斜連結部と、を含み、
前記多分割ジョーの内壁は、
前記縮径区間部が接する直線ライン壁部と、
前記傾斜連結部が接する傾斜ライン壁部と、を含み、
前記クランプ駆動部の作用によって前記クランプシャフトのアップ移動して、前記クランプシャフトの拡径区間部が前記多分割ジョーの傾斜ライン壁部に進入する時、前記加工物を位置固定することを特徴とする請求項2に記載の加工物自動固定装置。
【請求項4】
前記ホールクランプは、
前記クランプシャフトの端部に設けられ、前記クランプシャフトが前記加工物のホールに挿入されるようにガイドするガイドキャップと、
前記ガイドキャップの反対側で前記多分割ジョーを移動可能に支持するクランプエンドキャップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の加工物自動固定装置。
【請求項5】
前記ホールクランプは、
前記多分割ジョーの半径方向の外側に配されるが、前記ジグベースに固定され、前記クランプエンドキャップと共に前記多分割ジョーを移動可能に支持するクランプハウジングと、
前記多分割ジョーと前記クランプハウジングとの間に配されるOリングと、
前記クランプシャフトと前記クランプ駆動部とを着脱自在に連結するアダプタと、
をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の加工物自動固定装置。
【請求項6】
前記ホールクランプの周辺で前記ジグベースに結合し、前記ジグベース上に前記加工物が載置される時、前記ジグベースに対する前記加工物の相対位置をポジショニングするポジショニングピンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の加工物自動固定装置。
【請求項7】
前記ホールクランプの周辺で前記ジグベースにアップ/ダウン移動可能に配されるが、前記ジグベースに対する前記加工物の移動をガイドするガイドピンと、
前記装置テーブルに設けられ、前記ガイドピンと連結され、前記ガイドピンをアップ/ダウン駆動させるガイド駆動部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の加工物自動固定装置。
【請求項8】
前記ジグベース領域に設けられ、前記加工物の加工作業が進行する前に前記ジグベースに対する前記加工物の密着度を感知する密着度感知部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の加工物自動固定装置。
【請求項9】
前記密着度感知部は、
前記ジグベースに前記加工物が載置される方向に沿って前記ジグベースに形成されるエアリーケージホールと、
前記エアリーケージホールにエアを供給するエア供給部と、
前記エアリーケージホールを通じて排出されるエア量を感知するエア排出量感知センサーと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の加工物自動固定装置。
【請求項10】
前記密着度感知部は、
前記エア排出量感知センサーのセンシング信号に基づいて、前記加工物を加工する工作機械の動作が強制に止められるようにコントロールするコントローラをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の加工物自動固定装置。
【請求項11】
前記装置テーブルの一側に配され、前記加工物が前記ジグベース上でクランピングされながら固定される前に前記加工物を前記ジグベース側に加圧する加工物プレッシングユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の加工物自動固定装置。
【請求項12】
前記加工物プレッシングユニットは、
実質的に前記加工物に接して前記加工物を前記ジグベース側に加圧する加工物プレッシングブロックと、
前記加工物プレッシングブロックと連結され、前記加工物プレッシングブロックをアップ/ダウン駆動させるブロックアップ/ダウン駆動部と、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の加工物自動固定装置。
【請求項13】
前記加工物プレッシングユニットに隣接して配され、前記加工物または前記加工物によって形成された加工完了製品に向けてエアを噴射してクリーニングする加工物クリーニングユニットをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の加工物自動固定装置。
【請求項14】
前記加工物クリーニングユニットは、
前記ジグベースの長手方向に沿って長く配されるが、前記エアを供給するエア供給パイプと、
前記エア供給パイプに設けられ、前記エア供給パイプ内に流動するエアを前記加工物に噴射する複数個のエアノズルと、
を含むことを特徴とする請求項13に記載の加工物自動固定装置。
【請求項15】
前記加工物プレッシングユニットと前記加工物クリーニングユニットとが共に搭載されるユニット搭載台と、
前記装置テーブルに設けられるが、前記ユニット搭載台と連結され、前記ユニット搭載台を前記装置テーブル上で移動させる搭載台移動部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の加工物自動固定装置。
【請求項16】
一端部は、前記ユニット搭載台に固定され、他端部は、前記加工物クリーニングユニットに連結され、前記加工物プレッシングユニットが間に配されるように前記加工物クリーニングユニットを離隔して支持するユニット離隔支持台をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の加工物自動固定装置。
【請求項17】
前記搭載台移動部は、
前記ユニット搭載台が移動する方向に沿って前記装置テーブル上に設けられるが、前記ユニット搭載台が移動可能に連結されるレールと、
前記ユニット搭載台に連結されるムービングブロックと、
前記装置テーブル上に結合するが、前記ムービングブロックに連結され、前記レール上で前記ユニット搭載台が移動するように駆動力を提供する進退駆動シリンダーと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の加工物自動固定装置。
【請求項18】
前記ジグベースを除き、前記装置テーブルの上部をカバーするベースカバーと、
前記ベースカバーの両側に配され、前記ベースカバーと共に加工空間を形成する複数個のサイドカバーと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の加工物自動固定装置。
【請求項19】
前記ベースカバーの両側は、傾いた傾斜面を形成し、
前記装置テーブルが工作機械のベッドに搭載されることを特徴とする請求項18に記載の加工物自動固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物自動固定装置に係り、より詳細には、加工物を加工位置に載置固定する加工物の載置固定作業を従来の手作業から外れて自動的に具現することができ、これにより、工作機械と連携した工作物加工工程の全体自動化が可能になって生産性の向上に貢献することができる加工物自動固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、所定の切削工具を使用して加工物、例えば、金属からなる加工物の切断、切削、穴掘り、ドリリング、ネジ切り、研削などを進行する機械の総称である。代表的な工作機械が旋盤であるが、最近、多様な機能を共に提供するマシニングセンターのような工作機械の使用が増加する傾向である。
【0003】
工作機械を使用して、例えば、
図1の(b)のように、一側面にピン(pin)タイプのネジ部21が形成されたラック(rack)という加工完了製品20を作ることができるが、このような加工完了製品20を作るためには、まず、
図1の(a)のような原材料である加工物10を工作機械の加工位置に載置固定した後に進行しなければならない。
【0004】
このように、加工物10を工作機械の加工位置に載置させて固定する時は、精度、直進度、平行度などの多様な条件を考慮しながら加工物10の載置固定作業を進行しなければならず、そうすると、
図1の(b)のような高精密製品であるラックを作れるようになる。
【0005】
一方、従来は、
図1の(a)のような加工物10を加工位置に載置固定する、いわゆる、加工物10の載置固定作業を単に手作業に依存してきたが、このような場合、作業時間が過度に長くかかるしかないという問題点がある。もちろん、熟練工が作業すれば、加工物10の載置固定作業にかかる時間を多少減らすことはできるが、そうであっても、手作業の限界を完全に解決することは難しい。
【0006】
実際、
図1の(b)のような加工完了製品20の生産性の向上のためには、加工物10を加工位置に載置固定した後、加工工程を進行するなど一連の全体工程に対する自動化が必要であると予想されるが、以前のように加工物10の載置固定作業を手作業に依存するしかないならば、自動化の具現が容易ではなく、たとえ、自動化を具現するとしても、全体的なタクトタイム(tact time)が増加して生産性が落ちるしかないという点を広く考慮する時、従来に知られていない新概念の加工物自動固定装置に関する技術開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、加工物を加工位置に載置固定する加工物の載置固定作業を従来の手作業から外れて自動的に具現することができ、これにより、工作機械と連携した工作物加工工程の全体自動化が可能になって生産性の向上に貢献することができる加工物自動固定装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、装置テーブルの一側に設けられ、加工物(workpiece)が載置固定されて加工完了製品に加工される場所を形成するジグベース(jig base);前記ジグベースに結合するが、前記ジグベース上に載置される前記加工物に形成されるホール(hole)に挿入されて、前記ホールを選択的にクランピング(clamping)するホールクランプ;及び前記装置テーブルに設けられ、前記ホールクランプと連結され、前記ホールクランプが前記加工物のホールをクランピングまたはアンクランピング(unclamping)するように、前記ホールクランプを駆動させるクランプ駆動部;を含むことを特徴とする加工物自動固定装置が提供されうる。
【0009】
前記ホールクランプは、前記ジグベースに前記加工物が載置される方向に沿って配されるが、長手方向に沿って断面積が異なって形成されるクランプシャフト(clamp shaft);及び前記クランプシャフトの周り方向に沿って配されるが、前記クランプ駆動部の作用による前記クランプシャフトのアップ/ダウン(up/down)移動動作に基づいて半径方向の外側または内側に移動し、前記半径方向の外側に移動する時、前記加工物を位置固定する多分割ジョー(3-jaw);を含みうる。
【0010】
前記クランプシャフトは、断面積が相対的に狭い縮径区間部;前記クランプシャフトの長手方向に沿って前記縮径区間部に離隔して配されるが、前記縮径区間部よりも断面積が広い拡径区間部;及び前記縮径区間部と前記拡径区間部とを傾斜して連結する傾斜連結部;を含み、前記多分割ジョーの内壁は、前記縮径区間部が接する直線ライン壁部;及び前記傾斜連結部が接する傾斜ライン壁部;を含み、前記クランプ駆動部の作用によって前記クランプシャフトのアップ(up)移動して、前記クランプシャフトの拡径区間部が前記多分割ジョーの傾斜ライン壁部に進入する時、前記加工物を位置固定することができる。
【0011】
前記ホールクランプは、前記クランプシャフトの端部に設けられ、前記クランプシャフトが前記加工物のホールに挿入されるようにガイドするガイドキャップ(guide cap);及び前記ガイドキャップの反対側で前記多分割ジョーを移動可能に支持するクランプエンドキャップ(clamp end cap);をさらに含みうる。
【0012】
前記ホールクランプは、前記多分割ジョーの半径方向の外側に配されるが、前記ジグベースに固定され、前記クランプエンドキャップと共に前記多分割ジョーを移動可能に支持するクランプハウジング(clamp housing);前記多分割ジョーと前記クランプハウジングとの間に配されるOリング(O-Ring);及び前記クランプシャフトと前記クランプ駆動部とを着脱自在に連結するアダプタ(adaptor);をさらに含みうる。
【0013】
前記ホールクランプの周辺で前記ジグベースに結合し、前記ジグベース上に前記加工物が載置される時、前記ジグベースに対する前記加工物の相対位置をポジショニング(positioning)するポジショニングピン(positioning pin)をさらに含みうる。
【0014】
前記ホールクランプの周辺で前記ジグベースにアップ/ダウン移動可能に配されるが、前記ジグベースに対する前記加工物の移動をガイドするガイドピン(guide pin);及び前記装置テーブルに設けられ、前記ガイドピンと連結され、前記ガイドピンをアップ/ダウン駆動させるガイド駆動部;をさらに含みうる。
【0015】
前記ジグベース領域に設けられ、前記加工物の加工作業が進行する前に前記ジグベースに対する前記加工物の密着度を感知する密着度感知部をさらに含みうる。
【0016】
前記密着度感知部は、前記ジグベースに前記加工物が載置される方向に沿って前記ジグベースに形成されるエアリーケージホール(air leakage hole);前記エアリーケージホールにエア(air)を供給するエア供給部;及び前記エアリーケージホールを通じて排出されるエア量を感知するエア排出量感知センサー;を含みうる。
【0017】
前記密着度感知部は、前記エア排出量感知センサーのセンシング信号に基づいて、前記加工物を加工する工作機械の動作が強制に止められるようにコントロールするコントローラをさらに含みうる。
【0018】
前記装置テーブルの一側に配され、前記加工物が前記ジグベース上でクランピングされながら固定される前に前記加工物を前記ジグベース側に加圧する加工物プレッシングユニットをさらに含みうる。
【0019】
前記加工物プレッシングユニットは、実質的に前記加工物に接して前記加工物を前記ジグベース側に加圧する加工物プレッシングブロック;及び前記加工物プレッシングブロックと連結され、前記加工物プレッシングブロックをアップ/ダウン駆動させるブロックアップ/ダウン駆動部;を含みうる。
【0020】
前記加工物プレッシングユニットに隣接して配され、前記加工物または前記加工物によって形成された加工完了製品に向けてエアを噴射してクリーニングする加工物クリーニングユニットをさらに含みうる。
【0021】
前記加工物クリーニングユニットは、前記ジグベースの長手方向に沿って長く配されるが、前記エアを供給するエア供給パイプ(air supply pipe);及び前記エア供給パイプに設けられ、前記エア供給パイプ内に流動するエアを前記加工物に噴射する複数個のエアノズル(air nozzle);を含みうる。
【0022】
前記加工物プレッシングユニットと前記加工物クリーニングユニットとが共に搭載されるユニット搭載台;及び前記装置テーブルに設けられるが、前記ユニット搭載台と連結され、前記ユニット搭載台を前記装置テーブル上で移動させる搭載台移動部;をさらに含みうる。
【0023】
一端部は、前記ユニット搭載台に固定され、他端部は、前記加工物クリーニングユニットに連結され、前記加工物プレッシングユニットが間に配されるように前記加工物クリーニングユニットを離隔して支持するユニット離隔支持台をさらに含みうる。
【0024】
前記搭載台移動部は、前記ユニット搭載台が移動する方向に沿って前記装置テーブル上に設けられるが、前記ユニット搭載台が移動可能に連結されるレール;前記ユニット搭載台に連結されるムービングブロック;及び前記装置テーブル上に結合するが、前記ムービングブロックに連結され、前記レール上で前記ユニット搭載台が移動するように駆動力を提供する進退駆動シリンダー;を含みうる。
【0025】
前記ジグベースを除き、前記装置テーブルの上部をカバーするベースカバー(base cover);及び前記ベースカバーの両側に配され、前記ベースカバーと共に加工空間を形成する複数個のサイドカバー(side cover);をさらに含みうる。
【0026】
前記ベースカバーの両側は、傾いた傾斜面を形成することができ、前記装置テーブルが工作機械のベッド(bed)に搭載される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、加工物を加工位置に載置固定する加工物の載置固定作業を従来の手作業から外れて自動的に具現することができ、これにより、工作機械と連携した工作物加工工程の全体自動化が可能になって生産性の向上に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の斜視図である。
【
図3】加工物クリーニングユニットを分離しながら
図2を他の角度で図示した図面である。
【
図7】
図6のホールクランプとクランプ駆動部領域との拡大図である。
【
図8】
図7の部分断面図であって、ジグベース上に加工物が載置された状態の図面である。
【
図9】
図8の要部拡大図であって、加工物のアンクランピング状態を図示した図面である。
【
図11】
図8の要部拡大図であって、加工物のクランピング状態を図示した図面である。
【
図13】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の制御ブロック図である。
【
図14】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図15】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図16】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図17】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図18】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図19】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図20】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図21】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【
図22】本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンス(sequence)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を十分に理解するためには、本発明の望ましい実施形態を例示する添付図面及び添付図面に記載の内容を参照しなければならない。
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を説明することにより、本発明を詳しく説明する。各図面に付された同じ参照符号は、同じ部材を示す。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の斜視図であり、
図3は、加工物クリーニングユニットを分離しながら
図2を他の角度で図示した図面であり、
図4は、ジグベース領域の部分切開斜視図であり、
図5は、
図4の要部拡大図であり、
図6は、
図5の要部拡大図であり、
図7は、
図6のホールクランプとクランプ駆動部領域との拡大図であり、
図8は、
図7の部分断面図であって、ジグベース上に加工物が載置された状態の図面であり、
図9は、
図8の要部拡大図であって、加工物のアンクランピング状態を図示した図面であり、
図10は、
図9の多分割ジョー領域の断面図であり、
図11は、
図8の要部拡大図であって、加工物のクランピング状態を図示した図面であり、
図12は、
図11の多分割ジョー領域の断面図であり、
図13は、本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の制御ブロック図であり、
図14ないし
図22は、本発明の一実施形態による加工物自動固定装置の動作シーケンスを示す図面である。
【0032】
これらの図面を参照すれば、本実施形態による加工物自動固定装置は、加工物10を加工位置に載置固定する加工物10の載置固定作業を従来の手作業から外れて自動的に具現することができ、これにより、工作機械と連携した工作物10加工工程の全体自動化が可能になって生産性の向上に貢献可能にする。
【0033】
ここで、加工物10は、前述したように、
図1の(a)のようなバー(bar)タイプの金属構造物であり、このような加工物10を用いて
図1の(b)のような加工完了製品20を加工することができる。本実施形態において、加工完了製品20は、一側にピンタイプのネジ部21が形成された高精密製品であるラックである。
【0034】
もちろん、本実施形態による加工物自動固定装置が、
図1の(a)のような加工物10を
図1の(b)のような加工完了製品20に直接加工するための装置ではない。すなわち、加工物10に対する実質的な加工作業は、本実施形態による加工物自動固定装置が搭載される工作機械、例えば、マシニングセンターのような工作機械が担当する。
【0035】
結果として、本実施形態による加工物自動固定装置は、例えば、マシニングセンターのような工作機械のベッドに搭載されるユニット(unit)単位の装置に該当する。
【0036】
一方、先にしばらく言及したように、
図1の(b)のような加工完了製品20の生産性の向上のためには、加工物10を加工位置に載置固定した後、加工工程を進行するなど一連の全体工程の自動化が必要であると予想される。
【0037】
但し、以前のように加工物10を加工位置に載置固定する、いわゆる、加工物10の載置固定作業を手作業で進行すれば、この時間が過度に長くかかって全体自動化の具現が容易ではない。
【0038】
しかしながら、従来とは異なって、本実施形態による加工物自動固定装置が適用される場合、加工物10の載置固定作業、すなわち、加工物10を加工物自動固定装置のジグベース120に載置させて固定する作業を容易かつ迅速に進行できる。したがって、工作機械と連携された全体自動化の具現に大きな効果を提供することができるので、本実施形態による加工物自動固定装置は、加工自動化のための非常に重要な軸を担当することができる。
【0039】
参考までに、本実施形態では、加工物10を
図1の(a)のようなバータイプの金属構造物に、加工完了製品20を
図1の(b)のような高精密製品であるラックとしているが、加工物10と加工完了製品20は、図面と異なる構造物でもある。したがって、図面の形状に本発明の権利範囲が制限されるものではない。
【0040】
図2ないし
図22を参照すれば、本実施形態による加工物自動固定装置は、
図1の(a)のような加工物10を加工位置に載置固定するものであって、装置テーブル110と、装置テーブル110上に設けられるが、加工対象の加工物10が載置固定されるジグベース120と、ジグベース120に設けられるが、ジグベース120上に載置される加工物10を固定のために加工物10をクランピングするホールクランプ130と、を含みうる。
【0041】
装置テーブル110は、ジグベース120を含めて搭載台移動部180などのユニットを支持する。装置テーブル110が工作機械のベッドに搭載される。
【0042】
装置テーブル110には、ベースカバー111とサイドカバー112とが設けられる。
【0043】
ベースカバー111は、ジグベース120を除き、装置テーブル110の上部をカバーする。このようなベースカバー111の両側は、傾いた傾斜面を形成しうる。したがって加工作業時に投入される加工流体や、加工時に加工物10から剥離されるチップ(chip)などのパーティクルが装置テーブル110上に積もることを防止することができる。
【0044】
サイドカバー112は、ベースカバー111の両側に配される遮蔽板である。このようなサイドカバー112は、ベースカバー111と共に加工空間を形成する。すなわち、作業時に発生する加工流体やパーティクルの飛散を防止する。
【0045】
ジグベース120は、装置テーブル110の一側に設けられるが、加工物10が載置固定されて加工完了製品20に加工される場所を形成する。すなわち、加工物10をジグベース120上に載置固定した以後、工作機械の作用によってジグベース120上で加工物10が加工完了製品20に加工される。加工が完了した以後には、取り出され、再び新たな加工物10がジグベース120上に載置固定される。
【0046】
このように、ジグベース120上に加工物10が載置固定されなければならないために、このような加工物10の載置固定作業のために、ジグベース120にはホールクランプ130、ポジショニングピン141及びガイドピン143などの構造物が搭載される。ホールクランプ130、ポジショニングピン141及びガイドピン143は、ジグベース120上で位置別に複数個が設けられる。ジグベース120は、装置テーブル110上に設けられる複数個のベースサポーティングブロック115上に支持される。
【0047】
ホールクランプ130について先に調べる。ホールクランプ130は、ジグベース120に結合するが、ジグベース120上に載置される加工物10に形成されるホール11に挿入されてホール11を選択的にクランピングする役割を果たす。ラックを作るための加工物10には、複数個のホール11が形成されるが、このようなホール11を用いてジグベース120上で加工物10が位置固定されるようにする。
【0048】
ホールクランプ130は、ジグベース120の長手方向に沿って複数個設けられうる。加工物10のサイズによって複数個のホールクランプ130のうち、該当するもののみ使用することができる。このようなホールクランプ130は、クランプシャフト131と多分割ジョー(3-jaw)132とを含みうる。
【0049】
クランプシャフト131は、ジグベース120に加工物10が載置される方向に沿って配されるものであって、長手方向に沿って断面積が異なって形成される。
【0050】
そして、多分割ジョー132は、クランプシャフト131の周り方向に沿って配されるが、クランプ駆動部139の作用によるクランプシャフト131のアップ/ダウン移動動作に基づいて半径方向の外側または内側に移動し、半径方向の外側に移動する時、加工物10を位置固定する。
【0051】
すなわち、
図11及び
図12のように、クランプシャフト131がアップ動作する時、多分割ジョー132が半径方向の外側に動作しながら加工物10のホール11壁面をクランピングし、
図9及び
図10のように、クランプシャフト131がダウン(down)動作する時、多分割ジョー132が半径方向の内側に動作しながら加工物10のホール11壁面をアンクランピングする。
【0052】
このような動作のために、クランプシャフト131は、クランプ駆動部139と連結される。クランプ駆動部139は、装置テーブル110に設けられ、ホールクランプ130のクランプシャフト131と連結され、ホールクランプ130の多分割ジョー132が加工物10のホール11壁面をクランピングまたはアンクランピングするようにホールクランプ130を駆動させる役割を果たす。
【0053】
本実施形態において、クランプ駆動部139は、強い力を提供する油圧シリンダーで適用される。したがって、多分割ジョー132が強い力を提供することができ、これにより、多分割ジョー132が加工物10のホール11壁面を強い力でクランピングすることができるようにする。
【0054】
クランプシャフト131とクランプ駆動部139とが連結されるために、アダプタ137が使われる。アダプタ137は、クランプシャフト131とクランプ駆動部139とを着脱自在に連結する一種の媒介物である。
【0055】
一方、前述したように、
図9及び
図10のように、クランプシャフト131がアップ動作する時、多分割ジョー132が半径方向の外側に動作しながら加工物10のホール11壁面をクランピングできるようにクランプシャフト131と多分割ジョー132が、下記の構造で製作される。
【0056】
クランプシャフト131は、断面積が相対的に狭い縮径区間部131aと、クランプシャフト131の長手方向に沿って縮径区間部131aに離隔して配されるが、縮径区間部131aよりも断面積が広い拡径区間部131cと、縮径区間部131aと拡径区間部131cとを傾斜して連結する傾斜連結部131bと、を含む。
【0057】
そして、多分割ジョー132の内壁は、縮径区間部131aが接する直線ライン壁部132aと、傾斜連結部131bが接する傾斜ライン壁部132bと、を含む。
【0058】
これにより、
図9及び
図10のようなアンクランピング状態でクランプ駆動部139が動作してクランプシャフト131をアップ駆動させる。そうすると、
図11及び
図12のように、クランプシャフト131の傾斜連結部131bと拡径区間部131cとが多分割ジョー132の内壁直線ライン壁部132a側に強制移動し、その作用によって多分割ジョー132が半径方向の外側に動作しながら加工物10のホール11壁面をクランピングすることができる。したがって、ジグベース120上で加工物10が載置固定される。
【0059】
前述した構造の以外に、ホールクランプ130には、ガイドキャップ133、クランプエンドキャップ134及びクランプハウジング135をさらに含む。
【0060】
ガイドキャップ133は、クランプシャフト131の端部に設けられ、クランプシャフト131が加工物10のホール11に挿入されるようにガイドする。すなわち、ガイドキャップ133の先端部が傾いた形態であって、クランプシャフト131が加工物10のホール11に挿入されるのに役に立つ。
【0061】
クランプエンドキャップ134は、ガイドキャップ133の反対側で多分割ジョー132を移動可能に支持する構造物である。
【0062】
クランプハウジング135は、多分割ジョー132の半径方向の外側に配されるが、ジグベース120に固定され、クランプエンドキャップ134と共に多分割ジョー132を移動可能に支持する構造物である。多分割ジョー132とクランプハウジング135との間には、Oリング136が設けられることにより、構造物の衝突を防止する。
【0063】
次いで、ポジショニングピン141は、ホールクランプ130の周辺でジグベース120に結合し、ジグベース120に加工物10が載置される時、ジグベース120に対する加工物10の相対位置をポジショニングする役割を果たす。
【0064】
上下に動くホールクランプ130及びガイドピン143とは異なって、ポジショニングピン141であり、当該位置でジグベース120に対する加工物10の相対位置をポジショニングする。したがって、ポジショニングピン141も、ジグベース120上で複数個で適用可能である。ポジショニングピン141は、端部に行くほど尖った形態を取ることができる。
【0065】
次いで、ガイドピン143は、ホールクランプ130の周辺でジグベース120にアップ/ダウン移動可能に配されるが、ジグベース120に対する加工物10の移動をガイドする役割を果たす。
【0066】
ガイドピン143によって加工物10または加工完了製品20がアップ/ダウンされる。すなわち、ガイドピン143がアップ動作した状態でその上に加工物10が載せられた後、ガイドピン143のダウン動作で加工物10がジグベース120上に載置される。また、
図22のように、加工が完了した加工完了製品20を取り出すためにガイドピン143がアップ動作することができる。もちろん、
図22の動作時に、ホールクランプ130は、アンクランピングされた状態ではなければならない。
【0067】
このようなガイドピン143の作用のために、ガイド駆動部145が設けられる。ガイド駆動部145は、装置テーブル110に設けられ、ガイドピン143と連結され、ガイドピン143をアップ/ダウン駆動させる役割を果たす。大きな力が必要であったクランプ駆動部139とは異なって、ガイドピン143のアップ/ダウン駆動には、あまり大きな力が必要なものではないので、ガイド駆動部145は、空圧シリンダーで適用可能である。
【0068】
一方、工作機械による実質的な加工作業が進行しようとすれば、加工物10がジグベース120上に載置固定されて密着しなければならず、そうでなければ、高精密加工完了製品20が得られない。
【0069】
これにより、本実施形態による加工物自動固定装置には、密着度感知部150がさらに設けられる。密着度感知部150は、ジグベース120領域に設けられ、加工物10の加工作業が進行する前にジグベース120に対する加工物10の密着度を感知する役割を果たす。
【0070】
密着度感知部150は、ジグベース120に加工物10が載置される方向に沿ってジグベース120に形成されるエアリーケージホール151と、エアリーケージホール151にエアを供給するエア供給部152と、エアリーケージホール151を通じて排出されるエア量を感知するエア排出量感知センサー153と、コントローラ155と、を含む。
【0071】
エアリーケージホール151は、ジグベース120にホール加工で形成されうる。そして、エア供給部152とエア排出量感知センサー153は、ジグベース120に隣接する装置テーブル110上に配置される。
【0072】
コントローラ155は、エア排出量感知センサー153のセンシング信号に基づいて加工物10を加工する工作機械の動作が強制に止められるようにコントロールする。例えば、ジグベース120上に加工物10が正しく載置固定されていれば、エアリーケージホール151に排出されるエア量が基準値よりも少ないか、存在していない。しかし、ジグベース120上に加工物10がクランピングされましたが、正しく載置固定された状態でなければ、エアリーケージホール151に排出されるエア量が基準値よりも多くなるが、このような状況であれば、工作機械が動作しないようにコントロールしなければならない。それをコントローラ155が担当する。
【0073】
このような役割を行うコントローラ155は、中央処理装置(CPU)155a、メモリ(MEMORY)155b、そして、サポート回路(SUPPORT CIRCUIT)155cを含みうる。
【0074】
中央処理装置155aは、本実施形態において、エア排出量感知センサー153のセンシング信号に基づいて加工物10を加工する工作機械の動作が強制に止められるようにコントロールするために、産業的に適用可能である多様なコンピュータプロセッサのうち1つである。
【0075】
メモリ155bは、中央処理装置155aと連結される。メモリ155bは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であって、ローカルまたは遠隔地に設けられ、例えば、RAM、ROM、フロッピーディスク、ハードディスクまたは任意のデジタル保存形態のように容易に利用可能な少なくとも1つ以上のメモリである。
【0076】
サポート回路155cは、中央処理装置155aと結合されてプロセッサの典型的な動作を支援する。このようなサポート回路155cは、キャッシュ、パワーサプライ、クロック回路、入力/出力回路、ザブシステムなどを含みうる。
【0077】
本実施形態において、コントローラ155は、エア排出量感知センサー153のセンシング信号に基づいて加工物10を加工する工作機械の動作が強制に止められるようにコントロールすることができるが、このような一連のコントロールプロセッサなどは、メモリ155bに保存することができる。典型的には、ソフトウェアルーチンがメモリ155bに保存することができる。ソフトウェアルーチンは、また他の中央処理装置(図示せず)によって保存されるか、実行可能である。
【0078】
本発明によるプロセッサは、ソフトウェアルーチンによって実行されると説明したが、本発明のプロセッサのうち少なくとも一部は、ハードウェアによって行われることも可能である。このように、本発明のプロセッサは、コンピュータシステム上で行われるソフトウェアで具現されるか、集積回路のようなハードウェアで具現されるか、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって具現可能である。
【0079】
一方、前述したように、加工物10は、ホールクランプ130の作用によってジグベース120上でクランピングされながら固定されるが、この際は、ジグベース120に対して加工物10が密着した状態で進行しなければならない。そのためには、ホールクランプ130が作用する時、ジグベース120側に加工物10を加圧する必要がある。このために、加工物プレッシングユニット160が備われる。
【0080】
加工物プレッシングユニット160は、装置テーブル110の一側に配され、加工物10がジグベース120上でクランピングされながら固定される前に加工物10をジグベース120側に加圧する役割を果たす。
【0081】
このような加工物プレッシングユニット160は、実質的に加工物10に接して加工物10をジグベース120側に加圧する加工物プレッシングブロック161と、加工物プレッシングブロック161と連結され、加工物プレッシングブロック161をアップ/ダウン駆動させるブロックアップ/ダウン駆動部162と、を含みうる。ブロックアップ/ダウン駆動部162は、空圧シリンダーで適用可能である。
【0082】
そして、加工物自動固定装置には、加工物クリーニングユニット165がさらに搭載される。加工物クリーニングユニット165は、加工物プレッシングユニット160に隣接して配され、加工物10または加工物10によって形成された加工完了製品20に向けてエアを噴射してクリーニングする役割を果たす。
【0083】
すなわち、
図22のように、工作機械の作用によって加工物10が加工されて加工完了製品20に作られれば、加工完了製品20にチップなどの異物が積もるか、加工液体が付いているが、それを除去するために、加工物クリーニングユニット165が設けられる。もちろん、加工前、加工物10をクリーニングすることもできるが、これは、選択事項である。
【0084】
このような加工物クリーニングユニット165は、ジグベース120の長手方向に沿って長く配されるが、エアを供給するエア供給パイプ166と、エア供給パイプ166に設けられ、エア供給パイプ166内に流動するエアを加工物10または加工完了製品20に噴射する複数個のエアノズル167と、を含みうる。
【0085】
加工物クリーニングユニット165は、
図22のように、正位置でエアを噴射することもでき、それともジグベース120側に接近して加工物10領域にエアを噴射することもできる。本実施形態の場合には、
図22のように、正位置でエアを噴射する実施形態を開示している。
【0086】
このように、加工物クリーニングユニット165は、正位置でエアを噴射することもでき、ジグベース120側に接近してエアを噴射することもできるが、加工物プレッシングユニット160は、ジグベース120側に接近した後、その位置で加工物10を加圧しなければならない。そのためには、加工物プレッシングユニット160を移動させるための手段が必要であるが、このために、ユニット搭載台170と搭載台移動部180とが設けられる。
【0087】
ユニット搭載台170は、加工物プレッシングユニット160と加工物クリーニングユニット165とが共に搭載される構造をなす。そして、搭載台移動部180は、装置テーブル110に設けられるが、ユニット搭載台170と連結され、ユニット搭載台170を装置テーブル110上で移動させる役割を果たす。
【0088】
加工物クリーニングユニット165は、一定の位置に固定しておいて加工物プレッシングユニット160のみを位置移動させることもできるが、このような場合、装備が複雑になることもある。これにより、本実施形態では、ユニット搭載台170を設け、このようなユニット搭載台170に加工物プレッシングユニット160と加工物クリーニングユニット165とを共に搭載させた後、ユニット搭載台170を移動させる方式を取っているものである。
【0089】
ユニット搭載台170には、ユニット離隔支持台171がさらに設けられる。ユニット離隔支持台171は、一端部がユニット搭載台170に固定され、他端部は、加工物クリーニングユニット165に連結され、加工物プレッシングユニット160が間に配されるように加工物クリーニングユニット165を離隔して支持する役割を果たす。ユニット離隔支持台171は、一種のブラケットであるが、複数個設けられて加工物クリーニングユニット165のエア供給パイプ166を支持する。
【0090】
搭載台移動部180は、ユニット搭載台170が移動する方向に沿って装置テーブル110上に設けられるが、ユニット搭載台170が移動可能に連結されるレール181と、ユニット搭載台170に連結されるムービングブロック182と、装置テーブル110上に結合するが、ムービングブロック182に連結され、レール181上でユニット搭載台170が移動するように駆動力を提供する進退駆動シリンダー183と、を含みうる。
【0091】
進退駆動シリンダー183は、油圧シリンダーである。進退駆動シリンダー183は、装置テーブル110上に位置固定されるシリンダー本体183aと、シリンダー本体183aに長さ延長または縮小されるようにシリンダー本体183aに連結され、端部がムービングブロック182に結合する形態を取る。
【0092】
本実施形態の加工物自動固定装置には、あちこちに油圧あるいは空圧が使われるために、進退駆動シリンダー183に隣接する装置テーブル110には、油圧あるいは空圧分配器118が設置されうる。
【0093】
以下、加工物10がジグベース120上に載置固定された後、加工完了製品20に加工される一連の過程を
図14ないし
図22を参照して説明する。
【0094】
まず、
図14のような初期状態で、
図15のように、ジグベース120に加工物10が供給される。この際は、ガイドピン143がアップ動作した状態であり、この状態で、加工物10は、ロボットなどによってガイドピン143上に載置される。
【0095】
次に、
図16のように、ガイドピン143のダウン動作で加工物10がジグベース120上に載置される。この際は、加工物10のホール11の一部がポジショニングピン141によってガイドされ、ホールクランプ130は、他のホール11に一部が挿入される。もちろん、まだホールクランプ130がアンクランピング状態である。
【0096】
次に、
図17のように、搭載台移動部180が動作する。すなわち、進退駆動シリンダー183の作用によってユニット搭載台170が後退移動する。そうすると、加工物プレッシングユニット160の加工物プレッシングブロック161が加工物10の上部に置かれる。
【0097】
次に、加工物プレッシングユニット160のブロックアップ/ダウン駆動部162が動作して加工物プレッシングブロック161が加工物10をジグベース120側に加圧する一方、クランプ駆動部139の作用によるホールクランプ130の動作で加工物10をクランピングさせる。すなわち、
図9及び
図10のようなアンクランピング状態でクランプ駆動部139が動作してクランプシャフト131をアップ駆動させる。そうすると、
図11及び
図12のように、クランプシャフト131の傾斜連結部131bと拡径区間部131cとが多分割ジョー132の内壁直線ライン壁部132a側に強制移動し、その作用によって多分割ジョー132が半径方向の外側に動作しながら加工物10のホール11壁面をクランピングできるようになるものである。特に、加工物プレッシングブロック161が加工物10をジグベース120側に加圧する状態で加工物10のクランピング作業が進行するために、加工物10に対する精密クランピングが行われうる。
【0098】
次に、
図19のように、搭載台移動部180が動作することにより、進退駆動シリンダー183の作用によってユニット搭載台170が前進して原位置に移動する。この際も、ホールクランプ130によって加工物10は、引き続きクランピングされた状態を取る。
【0099】
次に、
図20のように、加工物10に対する加工作業が行われる。前述したように、加工作業は、本実施形態による加工物自動固定装置が搭載された工作機械を通じてなされる。
【0100】
次に、
図21のように、クリーニング工程が進行する。以前工程で工作機械の作用によって加工物10が加工されて加工完了製品20に作られれば、加工完了製品20にチップなどの異物が積もるか、加工液体が付いているが、それを除去するために、加工物クリーニングユニット165が動作する。すなわち、加工物クリーニングユニット165のエアノズル167からエアが噴射されることにより、加工完了製品20をクリーニングすることができる。
【0101】
次に、
図22のように、クランプ駆動部139の作用によるホールクランプ130のアンクランピングが行われた後、ガイドピン143がアップ動作する。そうすると、加工完了製品20がジグベース120から上側に分離されるが、この状態でロボットが加工完了製品20を取り出す。取り出した後には、再び新たな加工物10が供給されて前述した作業を同様に繰り返す。
【0102】
前述したような構造で作用を行う本実施形態によれば、加工物10を加工位置に載置固定する加工物10の載置固定作業を従来の手作業から外れて自動的に具現することができ、これにより、工作機械と連携した工作物10加工工程の全体自動化が可能になって生産性の向上に貢献させうる。
【0103】
このように、本発明は、記載の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を外れずに多様に修正及び変形できるということは、当業者に自明である。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するものと言わなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、工作機械の製造分野に用いられうる。
【国際調査報告】