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  • 特表-QRNGチップの量産方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】QRNGチップの量産方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 7/58 20060101AFI20231213BHJP
   G09C 1/00 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
G06F7/58 680
G09C1/00 650B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558934
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2021081960
(87)【国際公開番号】W WO2022128292
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20214385.5
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523226871
【氏名又は名称】アイディー クアンティーク エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンギル
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ピルサン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,キョンボク
(57)【要約】
本発明は、最終試験フェーズを開始する試験始動フェーズと、RNGチップによって生成された1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームが収集されるデータ収集工程と、以下の式に従って前記ビットシーケンスの均一性を計算することを含む均一性決定工程と、
【数1】

決定された前記均一性が所定の閾値と比較される比較工程と、前記比較工程の結果に基づいて、前記チップが試験に合格したか不合格であったかを判定する判定工程と、を含むRNGチップ試験方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終試験フェーズを開始する試験始動フェーズと、
RNGチップによって生成された1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームが収集されるデータ収集工程と、
以下の式に従って前記ビットシーケンスの均一性を計算することを含む均一性決定工程と、
【数1】

決定された前記均一性が所定の閾値と比較される比較工程と、
前記比較工程の結果に基づいて、前記チップが試験に合格したか不合格であったかを判定する判定工程と、
を含むRNGチップ試験方法。
【請求項2】
前記試験が不合格であった場合に前記チップのサンプルを廃棄するチップサンプル管理工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項3】
前記データ収集工程は、チップの64ピクセルの各々に対して1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームを収集することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項4】
前記均一性決定工程は、64ピクセル全ての独立した均一性と、64ピクセル全ての平均均一性と、の計算を含むことを特徴とする請求項3に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項5】
前記比較工程において、64ピクセル全ての平均均一性を所定の閾値と比較し、前記平均均一性が前記閾値よりも低い前記チップを廃棄することを特徴とする請求項3または4に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項6】
ピクセルのそれぞれの最小ピーク値または最大ピーク値を算出するピーク均一性測定工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項7】
前記比較工程において合格した前記チップのみが、各ピクセルのピーク均一性を検査される補償工程をさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項8】
前記判定工程は、前記チップの全てのピクセルが前記補償工程において合格して、前記チップが良好なサンプルと考えられるか、あるいは、前記チップの少なくとも1つのピクセルが前記補償工程において不合格であり、前記チップが不良サンプルであり廃棄されると考えられるかのいずれかであると判定することを特徴とする請求項7に記載のRNGチップ試験方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のRNGチップ試験方法を含むRNGチップ製造方法。
【請求項10】
量産プロセスに含まれることを特徴とする請求項9に記載のRNGチップ製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のRNGチップ製造方法により製造されたチップを備える乱数生成器。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明はQRNGチップ量産方法に関し、特に、QRNGチップを短時間で量産する方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
一般に、本発明は乱数の生成に関連しており、より詳細には、RNGの製造方法に関連している。現代の科学および技術における、シミュレーション、統計サンプリング、ゲームアプリケーション、および暗号化(古典的および量子的の両方)を含む多くのタスクは、乱数を利用する。良好な乱数発生器は、高いエントロピーを有するビットチェーンを高速で生成するであろう。高いエントロピーとは、ビット値が判明する前に当該ビット値を予測することができないことを意味し、エントロピーはまた、ランダム性として理解され得る。これは、現代の暗号アルゴリズム及びプロトコルのほとんどにおいて必須の要件である。実際、DSA-、RSA-、およびディフィ-ヘルマン-アルゴリズムなど、一般に使用されるすべての暗号化プロトコルは、19世紀に遡る、暗号のセキュリティは完全に予測不可能である鍵に存し、換言すれば、シードとして使用されるランダムシーケンスに存するに違いない、と述べているケルフホフスの法則に従う。したがって、暗号アルゴリズムで使用される鍵が、安全であり、実際には、完全にランダムに選択される、換言すればランダムに生成されることを必要とすることが特に重要である。
【0003】
そのようなランダムシーケンスを生成することができるようにするために、QRNGは、そのような乱数生成を実行するようにそれを制御することを含む。
【0004】
これらのチップは量産されており、当然、生産された各チップの機能性および性能を評価するために検査が必要である。特に、評価は、チップを市場に売り出すことが可能か否かを決定する、最終試験(FT)と呼ばれる試験によって実行され、チップ上で実行される最後の試験であるため極めて重要である。
【0005】
実際、FTの結果に基づいて、良好なチップとして分類された生産チップのみが市場に出荷され得る。
【0006】
一般に、試験コストと密接に関連する生産設備の稼働時間を短縮し、生産能力を高めるためには、全検査時間をできるだけ短くする必要がある。通常、全検査時間は、チップ当たり数十秒かかるであろう。
【0007】
一般に、あらゆる種類の乱数発生器から生成されるエントロピーは、NIST(国立標準技術研究所)またはBSI(英国規格協会)などの規格に定義された規格に従うであろう。
【0008】
図1に、NIST SP800-90Bのエントロピー源のモデルを示す。
【0009】
NIST SP800-90Bにはランダム変数の収集を確認することができる独立同一分布(IID)テストと、非IIDテストとの2種類のテストがある。これらのテストは、通常「ランダム性」とも呼ばれる、RNGに埋め込まれたチップのエントロピーの品質を評価することを可能とする。
【0010】
一部のユーザは非IIDテストの結果が非常に長いRNGサンプル長で実行されることを要求し、換言すれば、テストシーケンスは生成されたエントロピー源の性能の尺度を示すため、10MBを超えるべきである。
【0011】
通常、非IIDテストで定義されたすべてのテストケースは17の異なるテストケースであるため、実行には長い時間がかかる。さらに、長いデータサンプルを生成し、試験するのにも時間がかかる。一例として、NISTではテストケースは1~2時間を要するため、10,000個のチップの量産のためには10,000~20,000時間のテストが必要である。
【0012】
したがって、従来技術によれば、量産におけるエントロピー源の品質を有益に検査または評価する典型的な方法はない。
【0013】
ほとんどのRNGは最終出力として乱数を提供することを目的としており、乱数の品質を評価する典型的な方法は、連邦情報処理規格(FIPS)に基づいている。
【0014】
しかしながら、近年、QRNGは乱数ではなくエントロピー源を提供するように設計されている。したがって、このためにはそれらのエントロピー源の品質を試験するための新しい方法を有することが必要である。
【0015】
一例として、NIST SP800-90Bでは、非IIDテストが17のテストケースからなり、エントロピー源の性能を評価するために、「ランダム性」テストが実行される。実際、多くの実行可能なノイズ源は、IID出力を生成できない。したがって、非IIDデータの場合、以下の推定方法は雑音源の出力および任意の調整成分の出力について計算されるものとし、すべての推定値の最小値は、この推奨試験のためのエントロピー源のエントロピー評価として解釈されるだろう。
【0016】
非IID試験:
Hビット=最小値(MCVビット、衝突、マルコフビット、圧縮、T-Tupleビット、LRSビット、マルチMCWビット、遅延ビット、マルチマルコフビット、LZ78Yビット)
H基点=最小値(MCV基点、T-Tuple基点、LRS基点、マルチMCW基点、遅延基点、マルチマルコフ基点、LZ78Y基点)
上記推定方法は、最大共通値(MCV)推定、衝突推定、マルコフ推定、圧縮推定、T-Tuple推定、最長反復部分列(LRS)推定、マルチ最大共通ウィンドウ予測(MCW)推定、遅延予測推定、マルチMMC予測推定、およびLZ78Y予測推定である。
【0017】
この試験から、最終最小エントロピーが0(低いまたは悪い)から1(高いまたは最も良い)の範囲である最終最小エントロピーが導出される:
H最小値=最小値(Hビット、H基点/8)
以下に試験結果例を示す:
【0018】
【表1】

ここで、チップIDは試験されたチップの識別番号であり、反復は試験回数の数である。しかしながら、前述のように、これら多くのテストケースは時間的制約のために量産のためのFT処理に適していない。したがって、試験時間を短縮して量産に適合させることが可能なエントロピー源評価または検査方法が必要とされている。ゆえに、本発明の目的は、RNGの量産における試験時間を劇的に短縮することである。
【0019】
この点に関し、本発明の主な目的は上述の問題を解決することであり、より具体的には、量産に適合するように全体の試験時間を短縮するエントロピー源試験方法を含む乱数生成チップ製造方法を提供することである。
【0020】
〔発明の概要〕
本発明の時間短縮の目的に対する解決策は、試験データ長を短縮するとともに試験の精度を向上させることによって得られる。特に、本発明は、データシーケンス全体ではなく、1つのチップによって出力された、ブロックと呼ばれるサンプルデータの一部のみをテストするブロック均一性法を使用する。通常、試験される部分は、前述の10MBではなく、512KBから1024KBの長さを有する。
【0021】
このブロック均一性法は製造中の各単一チップについて、そのようなチップが良好であるか否かを評価するために繰り返され得る。
【0022】
サンプルデータが十分に長くない場合、ブロック均一性の変動が大きくなり、このような変動に対処するために、このブロック均一性法に加えて、ピクセル均一性法と呼ばれる代替の、または、補完的な方法が提案される。
【0023】
本発明の第1の態様は、最終試験フェーズを開始する試験始動フェーズと、RNGチップによって生成された1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームが収集されるデータ収集工程と、以下の式に従って前記ビットシーケンスの均一性を計算することを含む均一性決定工程と、
【0024】
【数1】

決定された前記均一性が所定の閾値と比較される比較工程と、前記比較工程の結果に基づいて、前記チップが試験に合格したか不合格であったかを判定する判定工程と、を含むRNGチップ試験方法に関する。
【0025】
好ましくは、RNGチップ試験方法が、前記試験が不合格であった場合に前記チップのサンプルを廃棄するチップサンプル管理工程をさらに含む。
【0026】
好都合には、前記データ収集工程が、チップの64ピクセルの各々に対して1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームを収集することを含む。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記均一性決定工程は、64ピクセル全ての独立した均一性と、64ピクセル全ての平均均一性と、の計算を含む。
【0028】
好都合には、前記比較工程において、64ピクセル全ての平均均一性を所定の閾値と比較し、前記平均均一性が前記閾値よりも低い前記チップを廃棄する。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、RNGチップ試験方法は、ピクセルのそれぞれの最小ピーク値または最大ピーク値を算出するピーク均一性測定工程をさらに含む。
【0030】
好ましくは、RNGチップ試験方法が、前記比較工程において合格した前記チップのみが、各ピクセルのピーク均一性を検査される補償工程をさらに含む。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記判定工程は、前記チップの全てのピクセルが前記補償工程において合格して、前記チップが良好なサンプルと考えられるか、あるいは、前記チップの少なくとも1つのピクセルが前記補償工程において不合格であり、前記チップが不良サンプルであり廃棄されると考えられるかのいずれかであると判定する。
【0032】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様のRNGチップ試験方法を含むRNGチップ製造方法に関する。
【0033】
好ましくは、RNGチップ製造方法が量産プロセスに含まれる。
【0034】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様のRNGチップ製造方法により製造されたチップを備える乱数生成器に関する。
【0035】
〔図面の簡単な説明〕
本発明のさらなる特定の利点および特徴は、添付の図面を参照する本発明の少なくとも1つの実施形態の以下の限定されない説明からより明らかになるであろう。
【0036】
図1は、NIST SP800-90Bのエントロピー源のモデルを表す。
【0037】
図2は、本発明のブロック均一性法を用いた最終試験プロセスの順序を概略的に表す。
【0038】
図3は、本発明のブロック均一性法のためのデータ収集を概略的に表す。
【0039】
図4は、ブロック均一性法の結果の一例を概略的に表す。
【0040】
図5は、本発明のピクセル均一性法を使用する最終試験プロセスの順序を概略的に表す。
【0041】
図6は、本発明のピクセル均一性法のための各ピクセルからのデータ収集を概略的に表す。
【0042】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の詳細な説明は、実施形態の任意の特徴が有利な様式で異なる実施形態の任意の他の特徴と組み合わされ得るため、限定されない様式で本発明を説明することが意図される。
【0043】
図2は、QRNGチップにおける均一性を計算するための方法である本発明の第1の態様を示す。ブロック均一性法と呼ばれるこの方法によれば、図3に示すように、試験したRNGまたはQRNGからのデータを、CMOSイメージセンサピクセルから一定の長さで収集する。ここで、RNGという用語は、量子乱数生成器などを含む任意の種類の乱数生成器を定義するものとする。また、RNGという用語は、ここでは文脈に従って、RNG全体またはRNGチップを独立して指すことがある。
【0044】
上述のように、実際の計画の大筋では、サンプルが良好か否かを分類して市場に売り出すことができるようにするため、量産においては時間的制約のために完全な非IIDテストを実行することは不可能である。
【0045】
この理由から、本発明は最終試験を開始し、次いでデータ、好ましくは1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームを収集する工程を含むRNGチップ試験方法に関する。RNGチップ試験方法は、RNGによって出力されるビットシーケンスの均一性を以下の式に従って計算して技術的課題を解決する、図2に示されるようなブロック均一性工程を含む。
【0046】
【数2】

したがって、均一性はビット単位でデータがどのように均等に分散されるかを示し、1ピクセルが2ビットを有し、4種類の出力「00」、「01」、「10」、「11」を有することを考慮して上記式が適用される。例えば、400ピクセルデータのうち、「00」は101回、「01」は103回、「10」は97回、「11」は99回現れ、上記式は以下のように適用される。
【0047】
【数3】

計算された均一性は、収集されたデータがダイナミックレンジにおいてどの程度均一に分布するかを示す。この特徴は、ランダム性における基本的な要件である。さらなる利点は、上記均一性は量産において良好な試料を分類するために適用することがより容易であることである。実際に、エントロピー源を提供するチップを検証するために、上述の非IID及びIIDのようなNISTによって提供されるテストが実行されるが、それは多くの時間を要し、生産性の低下を引き起こす。したがって、量産にはいくつかの利点がある。
【0048】
一度均一性が計算されると、それはカットオフ基準または値と比較される。カットオフ基準は、ブロック均一性のダイナミックレンジの上限値に設定されなければならない。しかし、図4に示すように、ブロック均一性は、データ長が十分に長くない場合、大きな変動を有する。
【0049】
このため、ブロック均一性法はチップの全体的な性能を示すことができるが、1つの欠陥ピクセルが全体的な性能によって隠され得るので、チップに含まれる各ピクセルの性能を正確に示すことができない。
【0050】
この理由から、代替の、または補完的な試験方法も開発されており、それは図5に示されているピクセル均一性法である。
【0051】
最終テストを開始し、次いで、データ、好ましくは1024KB、好ましくは512KBの長さを有するビットシーケンスのフレームを収集することからなる同様の第1の工程を含むという点で、ピクセル均一性法の第1の工程の本質はブロック均一性法と何らかの形で類似している。ここでの主な違いは、フレームが各ピクセルについて収集される収集工程にある。
【0052】
一般に、RNGチップは64ピクセルを有し、この方法は、図6に従って各ピクセルについて1024KB、好ましくは512KBのビットシーケンスのフレームを収集することにある。
【0053】
データを収集した後、ブロック均一性試験のための上記と同じ式に従ったピクセル均一性試験が、64個のピクセルのうちの1つごとに実行される。64個のピクセルの各々が2ビットを有し、各ビットが0、1、2、または3であり得ることを考慮に入れる。
【0054】
基本的に、均一性の基本単位は2ビットとして計算されるので、ブロック均一性法とピクセル均一性法は同じ公式を有する。しかし、図3および図6からわかるように、これらの方法の違いはむしろ、収集データと、データ全体を用いて計算するか各ピクセル単位のデータを用いて計算するかにある。
【0055】
その時点で、2つのプロセスが独立して開始する。
【0056】
第1のものは、全ての64ピクセルの平均均一性が計算され、閾値またはカットオフ基準あるいは値と比較される線形カットオフ工程であり、その結果、平均均一性が線形カットオフ試験において不合格である場合、チップは廃棄される。
【0057】
第2のものは、各ピクセルについての最小または最大ピーク値の測定である。
【0058】
その時点で、線形カットオフ工程の結果が肯定的である場合、換言すれば、平均均一性が許容可能である場合、各ピクセルのピーク均一性、換言すれば、64ピクセルの均一性の中の最大値が確認される補償工程が開始される。512キロバイトのフレームの場合、平均カットオフは好ましくは2.3%であり、ピーク均一性は好ましくは10%である。
【0059】
この補償工程は少数のピクセルにおける、そのピクセルにおけるエラーを引き起こす、あるいは全体的な性能に著しい影響を及ぼす、均一性の劇的な発生を防止することを可能とする。例えば、63のピクセルの均一性が理想的に0に集中する一方、1つのピクセルのみ均一性が10を超える場合、それは均一に分散したエントロピー源ではない。これを防止するため、補償のコンセプトはピーク均一性のカットオフにある。
【0060】
補償工程の後、チップの全てのピクセルがピーク均一性に合格し、チップは良好なサンプルと見なされ、許容可能と見なされるか、またはチップの少なくとも1つのピクセルがピーク均一性に不合格となり、チップは不良サンプルと見なされ、廃棄されると見なされる。
【0061】
この方法の利点は、各ピクセルが電子的特徴の側面に関して独自の特性を有するために、各ピクセルから抽出されたデータはブロック均一性法よりも均一性の小さい変動を示すことである。したがって、FT処理において利用可能なデータ長が小さい場合であっても、ピクセル均一性は、収率、コスト、または精度の観点からブロック均一性よりもさらに効果的である。
【0062】
実施形態を多数の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が、あてはまる技術分野の当業者には明らかであり、あるいは明らかであろう。したがって、本開示は、本開示の範囲内にあるすべてのそのような代替形態、修正形態、等価形態、および変形形態を包含することを意図する。これは、例えば、特に、チップを埋め込むシステムおよびこの方法を実行する任意の形式のハードウェアに関する場合である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】NIST SP800-90Bのエントロピー源のモデルを表す図である。
図2】本発明のブロック均一性法を用いた最終試験プロセスの順序を概略的に表す図である。
図3】本発明のブロック均一性法のためのデータ収集を概略的に表す図である。
図4】ブロック均一性法の結果の一例を概略的に表す図である。
図5】本発明のピクセル均一性法を使用する最終試験プロセスの順序を概略的に表す図である。
図6】本発明のピクセル均一性法のための各ピクセルからのデータ収集を概略的に表す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】