(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】歯科用マウスピース
(51)【国際特許分類】
A61C 17/06 20060101AFI20231213BHJP
A61M 16/06 20060101ALI20231213BHJP
【FI】
A61C17/06 Z
A61M16/06 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559964
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021055627
(87)【国際公開番号】W WO2022132302
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523225760
【氏名又は名称】ザイリス インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】カー、エイミー
(72)【発明者】
【氏名】オンティベロス、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ハレック、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】スワーツ、ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ、ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】バレンタイン、ショーン
(57)【要約】
歯科用マウスピースは、患者と医師との両方に利益をもたらし得る複数の特徴部を提供し得る。マウスピースは、一般に、使用しない場合は平坦な形状をとり得、患者の口内に挿入するために弾性的にC字型に折り畳まれてもよい。いくつかの実施形態では、フレームは剛性又は半剛性であってもよい。マウスピースは、単一の使い捨て又は再利用可能な装置であり、収縮、吸引能力、舌制御、気道及び喉の保護、並びにバイトブロックを提供してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用マウスピースであって、
前記マウスピースの両端における唇部レトラクタ部分と、
その両側におけるバイトブロック部材を有する中央領域と、
前記唇部レトラクタ部分を前記中央領域に接続させる頬部レトラクタ部分と、前記中央領域における少なくとも1つの吸引コネクタと、
前記中央領域の幅に沿って配置された少なくとも1つの吸引開口部と、前記少なくとも1つの吸引コネクタと連通する前記少なくとも1つの吸引開口部と、を備え、
前記少なくとも1つの吸引コネクタにおいて提供される吸引が、前記少なくとも1つの吸引開口部において吸引を提供する、歯科用マウスピース。
【請求項2】
前記歯科用マウスピースの使用時に、前記中央領域の前記幅にわたって形成された吸引チャネルを更に備え、前記吸引チャネルが、前記少なくとも1つの吸引コネクタと前記少なくとも1つの吸引開口部との間に流れ経路を提供する、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項3】
前記唇部レトラクタ部分、前記頬部レトラクタ部分及び前記中央領域が、前記歯科用マウスピースの非使用状態において平面配向性である、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項4】
前記頬部レトラクタが可撓性であり、前記歯科用マウスピースが、その使用状態であるC字型へと折り畳まれることを可能にする、請求項3に記載の歯科用マウスピース。
【請求項5】
前記中央領域が、前記歯科用マウスピースの使用中に前記患者の舌に向かって下方に延在する舌ガードを含む、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項6】
前記中央領域が、前記歯科用マウスピースの使用中に上向きに延在する気道保護部分を含む、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項7】
前記中央領域の遠位端部に配置された吸引開口部を更に備える、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項8】
前記中央領域に配置された拡張要素及び収縮要素を更に備え、前記拡張要素及び前記収縮要素が、前記中央領域の幅を調節することが可能である、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項9】
前記拡張要素及び前記収縮要素が、前記中央領域において長手方向に形成された厚さが減少したチャネルである、請求項9に記載の歯科用マウスピース。
【請求項10】
前記厚さが減少したチャネルが、それを通る少なくとも1つのスロットカット部を含む、請求項9に記載の歯科用マウスピース。
【請求項11】
前記唇部レトラクタのそれぞれ上に配置された唇部サドルを更に備える、請求項1に記載の歯科用マウスピース。
【請求項12】
前記歯科用マウスピースの使用中における小帯の快適さための、前記唇部サドルにおけるカットアウト部を更に備える、請求項11に記載の歯科用マウスピース。
【請求項13】
歯科用マウスピースであって、
前記マウスピースの両端における円弧として形成された唇部レトラクタ部分と、その両側におけるバイトブロック部材を有する中央領域と、
前記中央領域に対して前記唇部レトラクタ部分のそれぞれの前記円弧の各端部を接続させる頬部レトラクタ部分と、
前記中央領域における少なくとも1つの吸引コネクタと、
前記中央領域の幅に沿って前側と後側との両方に配置された複数の吸引開口部において、前記少なくとも1つの吸引コネクタと連通する前記複数の吸引開口部と、を備え、
前記少なくとも1つの吸引コネクタにおいて提供される吸引が、前記複数の吸引開口部における吸引を提供し、拡張要素及び収縮要素が前記中央領域に配置され、前記拡張要素及び前記収縮要素により前記中央領域の幅を調整することが可能な、歯科用マウスピース。
【請求項14】
前記拡張要素及び前記収縮要素が、前記中央領域において長手方向に形成された厚さが減少したチャネルである、請求項13に記載の歯科用マウスピース。
【請求項15】
前記厚さが減少したチャネルが、それを通る少なくとも1つのスロットカット部を含む、請求項13に記載の歯科用マウスピース。
【請求項16】
前記唇部レトラクタ部分、前記頬部レトラクタ部分及び前記中央領域が、前記歯科用マウスピースの非使用状態において平面配向性である、請求項13に記載の歯科用マウスピース。
【請求項17】
前記頬部レトラクタが可撓性であり、前記歯科用マウスピースが、その使用状態であるC字型へと折り畳まれることを可能にする、請求項16に記載の歯科用マウスピース。
【請求項18】
前記歯科用マウスピースの使用中に前記患者の舌に向かって下方に延在する舌ガードと、前記歯科用マウスピースの使用中に上方に延在する気道保護部分と、を含む、請求項13に記載の歯科用マウスピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明の実施形態は、一般に、歯科用マウスピースに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、収縮、吸引、舌ガード、気道保護、吸引オプション等の特徴を有する歯科用マウスピースに関する。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術及び関連情報の説明
以下の背景情報は、従来技術の特定の態様(例えば、限定されないが、アプローチ、事実、又は常識)の実施例を示す場合があり、これらは、従来技術の追加の態様について読者を更に教育するのに役立つことが期待されるが、本発明、又はその実施形態を、その中で述べられ、暗示され、又はそこから推論されるものに限定するものとして解釈されるべきではない。
【0003】
歯科処置を行う際には、複数の機能を同時に実行する必要がある場合がある。このような機能には、患者の口を開けた状態に保つこと、患者の唇などの組織を収縮させること、適切な吸引を行うこと等が含まれ得る。従来の唇部レトラクタ及び頬部レトラクタは、ユーザにとって不快な場合があり、患者又は医師に、任意の追加
の機能又は保護を提供するものではない。
【0004】
上記を考慮すると、患者と医師の両方に利益をもたらし得る複数の特徴を提供することができる改良された歯科用マウスピースが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、マウスピースの両端における唇部レトラクタ部分と、その両側におけるバイトブロック部材を有する中央領域と、中央領域における唇部レトラクタ部分を接続させる頬部レトラクタ部分と、中央領域における少なくとも1つの吸引コネクタと、中央領域の幅に沿って配置された少なくとも1つの吸引開口部と、少なくとも1つの吸引コネクタと連通する少なくとも1つの吸引開口部と、を備え、少なくとも1つの吸引コネクタにおいて提供される吸引が、少なくとも1つの吸引開口部において吸引を提供する、歯科用マウスピースを提供する。
【0006】
本発明の実施形態は、マウスピースの両端において円弧として形成された唇部レトラクタ部分と、その両側におけるバイトブロック部材を有する中央領域と、中央領域に対して唇部レトラクタ部分のそれぞれの円弧の各端部を接続させる頬部レトラクタ部分と、中央領域における少なくとも1つの吸引コネクタと、中央領域の幅に沿って前側と後側との両方に配置された複数の吸引開口部において、少なくとも1つの吸引コネクタと連通する複数の吸引開口部と、を備え、少なくとも1つの吸引コネクタにおいて提供される吸引が、複数の吸引開口部における吸引を提供し、拡張要素及び収縮要素が中央領域に配置され、拡張要素及び収縮要素により中央領域の幅を調整することが可能な、歯科用マウスピースを更に提供する。
【0007】
本発明のこれらの特徴及びその他の特徴、態様並びに利点は、以下の図面、説明、及び特許請求の範囲を参照することで、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は一例として示されており、添付図面の図によって限定されるものではなく、ここで、同様の参照は同様の要素を示し得る。
【0009】
【
図1】本発明の代表的実施形態による、前方マウスピース設計の正面図を示す。
【0010】
【0011】
【0012】
【
図4】
図1のマウスピースを挿入時/使用時の形状に曲げた側面図を示す。
【0013】
【
図5】本発明の代表的実施形態による、半剛性フレームの前方マウスピース設計の正面図を示す。
【0014】
【0015】
【
図7】本発明の代表的実施形態による、半剛性フレームの前方マウスピース設計上に成形された柔軟な可撓性材料の正面図を示す。
【0016】
【0017】
【
図9】
図7のマウスピースを挿入時/使用時の形状に曲げた側面図を示す。
【0018】
【
図10】本発明の代表的実施形態による、マウスピースの正面図である。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【
図14】自然な状態における、
図10のマウスピースの正面図を示す。
【0023】
【
図15】屈曲状態における、
図10のマウスピースの正面図を示す。
【0024】
特に明記しない限り、図中の図は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。本発明及びその様々な実施形態は、図示された実施形態が説明される以下の詳細な説明に目を向けることによって、ここでより良好に理解され得る。図示の実施形態は実施例として記載されており、最終的に特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではないことを、明確に理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態について記載する目的に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」には、関連する列挙された項目の1つ以上の、あらゆるかつ全ての組み合わせが含まれる。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、単数形だけでなく複数形も含むものと意図される。更に、本明細書で使用される「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、工程、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上のその他の機能、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在あるいは追加を排除するものではないことも、理解されるであろう。
【0026】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。更に、一般的に使用される辞書で定義されているもののような用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことも理解されるであろう。
【0027】
本発明を説明する際に、多くの技術及び工程が開示されることが理解されるであろう。これらのそれぞれには個別の利点があり、それぞれをその他の開示された技術のうちの1つ以上、場合によっては全てと組み合わせて、更に使用し得る。したがって、明確にするために、本説明では、個々の工程のあらゆる可能な組み合わせを不必要な様式で繰り返すことは控える。それにもかかわらず、本明細書及び本特許請求の範囲は、このような組み合わせが完全に本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0028】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者であれば、これらの特定の詳細がなくても本発明を実施できることが明らかであろう。
【0029】
本開示は、本発明の例示としてみなされるべきであり、本発明を図又は以下の説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0030】
当業者には周知のように、任意のシステム、特に本発明の実施形態の商用導入の最適な構成を設計する場合、通常、多くの慎重な検討と妥協とが必要となる。本発明の精神及び教示による商用導入は、特定用途の必要性に従って構成することができ、それによって、本発明のあらゆる記載された実施形態のあらゆる態様(複数可)、特徴(複数可)、機能(複数可)、結果(複数可)、構成要素(複数可)、又は工程(複数可)は、当業者によって、彼らの平均的なスキルと周知の技術を使用して、適切に省略され、含まれ、適合され、混合及び調和され、若しくは改良及び/又は最適化されて、特定用途の必要性に対応する望ましい導入を達成してもよい。
【0031】
一般に、本発明の実施形態は、患者と医師との双方に利益をもたらし得る複数の特徴を提供し得る、歯科用マウスピースを提供する。マウスピースは、使用しないてい場合はほぼ平らな形状をとり得、患者の口内へと挿入する際には弾性的にC字型に折り畳むことができる。いくつかの実施形態では、フレームは剛性又は半剛性であってもよい。マウスピースは、単一の使い捨て装置又は再利用可能な装置で、収縮、吸引能力、舌制御、気道及び喉の保護、並びにバイトブロックを提供してもよい。
【0032】
ここで
図1~
図4を参照すると、本発明の第1の実施形態によれば、マウスピース10は吸引チャネル12を含み得、装置をC字型に曲げることによって装置が口内に配置されると、マウスピース10は吸引チャネル12を形成し得るが、これは、吸引ポート14のうちの少なくとも1つが外部吸引部に接続された場合に吸引を提供する。吸引は、吸引チャネル12を介して、例えば、バイトブロック16及び唇部レトラクタ18の領域に提供され得る。
【0033】
吸引ポート20は吸引チャネル12と連通しているので、唾液及び過剰な洗浄液を口から排出することができ、活性治療領域における口腔の治療領域の汚染を防止し得る。吸引コネクタポート14は、様々なサイズ及び設計の外部吸引源との接続を可能にする弾性材料を含み得る。吸引は、例えば、気道保護具22、バイトブロック16、屈曲支持部材24、及び唇部レトラクタ18に提供され得る。
【0034】
口腔内の吸引開口部26は、組織が吸引を完全に遮断するのを阻止する特徴部を有する。吸引開口部26は、マウスピースが所定の位置にある場合に患者の頬側領域に吸引を提供し得る。使用中、気道保護部分22及び舌シールド32は、患者の舌を下方に保ち、邪魔にならないようにし得る。使用者は、顎をバイトブロック16の上に置くことができるが、一方で、唇部レトラクタ18は、例えば、歯科医や衛生士が行う処置から唇を邪魔にならないようにし得る。
【0035】
マウスピースでは、屈曲抵抗は、マウスピース10の屈曲支持部材24が挿入のために折り畳まれた後に開き、装置を各患者の上顎及び下顎の頬側前庭に一貫して自己着座させる、様々な口の形態に対する挿入を支援し得る。
【0036】
唇部レトラクタ18は、装置の中心コアから外側に延在し得る。これらの要素は、配置された場合に上顎と下顎との両方の唇側表面の上昇と収縮を提供する屈曲部材を含み得る。上顎及び下顎の支持部材の反作用力により、唇は収縮させられて、治療領域から遠ざけられる。
【0037】
成形された屈曲支持部材24及び唇部レトラクタ18は、上唇、下唇、及び頬の収縮を提供する。この収縮により、歯科処置中に口の顔面/唇側領域への遮られないアクセスと視認性とが提供される。唇は、歯肉組織及び歯の構造に触れることを防止されている。唇及び軟組織は収縮され、歯科用ツールから遠ざけられて、安全性が向上する。
【0038】
屈曲支持部材24は、成形接続30によって、装置の中心コア28に接合され得る。ガセット又はフィレットを屈曲支持部材に追加し得るが、これにより、屈曲中心部を中心コアから更に遠ざけて、必要に応じて唇部レトラクタ4への収縮又は持ち上げを更に生じさせ得る。
【0039】
舌シールド32は、患者がバイトブロック16を越えてその舌を前方に伸ばすことを阻止し、歯科処置中に患者が干渉するのを阻止し、患者の安全を維持し得る。
【0040】
気道保護部分22は、口蓋円蓋上部まで延在し得、喉保護シールド32(舌シールド32とも称される)は、口底まで延在し得、それによって、破片が患者の喉及び気道に進入することを防止し、したがって、破片又は器具の偶発的誤嚥又は摂取を防止し得る。
【0041】
1つ以上の外部吸引接続ポート14により、口腔内への装置の取り外し又は再挿入を行わずに、複数の作業位置からの臨床アクセスが可能である。
図1~
図4に示される装置が2つのこのような吸引ポート14を含むが、このようなポートの数及び/又は位置は変更されてもよい。
【0042】
両側バイトブロック16は、患者がその顎を休める場所を提供すると共に、下顎アーチ部及び上顎アーチ部への舌側、頬側、及び咬合側のアクセスを可能にする切歯間の開口部を提供し得る。
【0043】
図1~
図4に示す装置は、ユーザの必要性及び特定の用途に応じて、統合されたレトラクタ、バイトブロック、舌シールド、気道シールド及び吸引モジュールを使い捨てユニット又は非使い捨てユニットで提供し得る。
【0044】
装置全体を歯肉組織と同様の柔らかい材料で作ることができ、歯ぐきに対する快適さを実現することが可能である。例えば、装置は、プラスチック、ゴム、発泡体等の、柔らかい可撓性材料から作製され得る。本装置は、歯肉組織に対する直接の衝突を阻止することによって唇部レトラクタが患者の快適性を高めることを可能にする成形バンパを含み得る。いくつかの実施形態では、バンパは、口腔からの過剰な洗浄液の吸収を可能にするためにスポンジ状の材料から形成されてもよい。
【0045】
上述したように、装置は、単純な金型設計を可能にするために、保管時に非使用の状態で実質的に平ら、又は半平らであるように成形され得る。装置は、経口挿入中及びその使用中に、C字型に屈曲した形状になることが、弾性的に確認され得る。
【0046】
ここで
図5及び6を参照すると、半剛性フレームの前方マウスピース50が示されている。これらの特徴は、上で説明し、以下で更に説明する特徴の多くと同様であり得る。
【0047】
唇の収縮は、装置の中心コア54から外側に延在する装置の唇部レトラクタ52によって提供され得る。これらの要素は、配置された場合に上顎と下顎との両方の唇側表面の上昇と収縮とをもたらす、屈曲部材を含み得る。上顎及び下顎の支持部材の反作用力により、唇は収縮させられて、治療領域から遠ざけられる。
【0048】
成形された屈曲支持部材56は、上唇、下唇、及び頬の収縮を提供する。この収縮により、歯科処置中に口の顔面/唇側領域への遮られないアクセスと視認性とが提供される。唇は、歯肉組織及び歯の構造に触れることを防止されている。唇及び軟組織は収縮され、歯科用ツールから遠ざけられて、安全性が向上する。
【0049】
屈曲支持部材は、成形接続によって、装置の中心コアに接合され得る。ガセット又はフィレットが屈曲支持部材に追加され、屈曲中心部が中心コアから更に離れて位置付けられ、必要に応じて唇部レトラクタ領域への収縮又は持ち上げを更に生じさせる。
【0050】
舌シールド58は、患者がバイトブロック60を越えてその舌を前方に伸ばすことを阻止し、歯科処置中に患者が干渉するのを阻止し、患者の安全を維持し得る。
【0051】
気道及び喉保護シールド62は、上部口蓋円蓋まで、そして口底まで延在し得、それによって、破片が患者の喉及び気道に進入することを防止し、破片又は器具の偶発的誤嚥又は摂取を防止する。
【0052】
成形された収縮フレームは、唇の配置を誘導し、唇が外れるのを防止し得る、自動着座唇部サドル64を提供する。上部及び下部のカットアウト部66により、小帯の快適さが可能になる。
【0053】
マウスピースは、1つ以上の吸引ポート68を提供し、これを接続すると、外部吸引は、唾液と過剰な洗浄液を口から排出するためのチャネルを提供し、有効な治療領域で口腔の治療領域の汚染を防ぎます。1つ以上の外部吸引接続ポート68により、口腔内への装置の取り外し又は再挿入を行わずに、複数の作業位置からの臨床アクセスが可能である。口腔内の吸引開口部70は、組織が吸引を完全に遮断するのを阻止する特徴部を含み得る。吸引コネクタポート68は、様々なサイズ及び設計の外部吸引源との接続を可能にするために、弾性材料から形成され得る。
【0054】
吸引は、気道保護部、バイトブロック、屈曲支持部材、唇部レトラクタ、吸引チャネル、及び外部吸引ポート内に提供され得る。
【0055】
両側バイトブロック60は、患者がその顎を休める場所を提供すると共に、下顎アーチ部及び上顎アーチ部への舌側、頬側、及び咬合側のアクセスを可能にする切歯間の開口部を提供し得る。成型バイトブロックモジュール72は、不適切な取り付けや配向を防止する詳細な機構特徴部を備えた半剛性フレームに取り付けられるように、設計されている。成形バイトブロックモジュール72/舌シールドユニット58は、接続を誘導し、ガードがフレーム内にある、又はフレームから外されて患者の口から出るマウスピースの使用を可能にする特徴部などの様々な手段によって、フレームの向きに接続し得る。
【0056】
本装置は、特定の用途に応じて、レトラクタ、バイトブロック、舌シールド、気道シールド、及び吸引モジュールを、使い捨てユニット又は非使い捨てユニットで提供する。
【0057】
本装置は、歯肉組織に対する直接の衝突を阻止することによって唇部レトラクタが患者の快適性を高めることを可能にする成形バンパを含み得る。いくつかの実施形態では、バンパは、口腔からの過剰な洗浄液の吸収を可能にするために、スポンジ状の材料から形成されてもよい。
【0058】
ここで
図7~
図9を参照すると、半剛性フレームの前方マウスピースシステム74上に成形された可撓性材料が示されている。成形された屈曲支持部材76は、上唇、下唇、及び頬の収縮を提供する。本収縮により、歯科処置中に口の顔面/唇側領域への遮られないアクセスと視認性とが提供される。唇は、歯肉組織及び歯の構造に触れることを防止され得る。唇及び軟組織は収縮され、歯科用ツールから安全に遠ざけられ得る。
【0059】
唇の収縮は、装置の中心コアから外側に延在する装置の要素によって提供されるが、これらの要素は、使用位置に配置された場合に、上顎と下顎との両方の唇側表面の上昇及び収縮を提供する可撓性部材76を含む。上顎及び下顎の支持部材の反作用力により、唇は収縮させられて、治療領域から遠ざけられる。
【0060】
支持部材は、成型接続によって装置の中心コアに接合される。支持部材にガセット又はフィレットが追加され、屈曲中心部が中心コアから更に離れた位置に配置され、必要に応じて唇部レトラクタ領域の収縮又は持ち上げが更に増大する。屈曲抵抗は、上顎前庭及び下顎前庭における挿入及び自動着座装置のために折り畳まれた後にマウスピースの屈曲支持部材が開く、複数の口形態の収縮を手助けする。
【0061】
1つ以上の材料を使用して、収縮のための剛性の背骨と、快適さのための柔らかい外側構造を作成する。1つ以上の異なる材料で作られた成形構造により、屈曲部材を最小限に抑えながら、収縮と患者の快適さとを提供する。たとえば、マウスピースは、柔らかい可撓性材料でオーバーモールドされた半剛性コアから作成され得る。
【0062】
図7~
図9の装置は、以下に具体的に説明するものを含む、上記の構造の特徴部と同様の特徴部を含んでもよい。舌シールド78は、患者がバイトブロック80を越えてその舌を前方に伸ばすことを阻止し、歯科処置中に患者が干渉するのを阻止し、患者の安全を維持し得る。
【0063】
気道保護部82は、上部口蓋円蓋まで、そして下方の口底まで延在し得るが、破片が患者の喉及び気道に進入することを防ぎ、したがって、破片又は器具の偶発的誤嚥又は摂取を防止する。
【0064】
両側バイトブロック80は、その顎を休める場所を提供すると共に、切歯間の開口部により、下顎アーチ部及び上顎アーチ部への舌側、頬側、咬合側のアクセスを可能にする。
【0065】
マウスピースは、1つ以上の吸引ポート84を備えるが、これは、外部吸引部に接続された場合に、唾液及び過剰な洗浄液が口から排出されるためのチャネル86を提供する。マウスピースは、口の中に配置されると、外部吸引部に接続された場合に吸引を提供する吸引チャネル86を形成する。吸引は、気道保護部、バイトブロック、屈曲支持部材、吸引チャネル、及び吸引ポート内に提供される。
【0066】
口腔内に分散された吸引開口部8は、組織が吸引を完全に遮断するのを阻止する特徴部を有する。
【0067】
外部吸引コネクタポート84は、外部吸引装置との接続を可能にするために弾性材料から形成され得る。1つ以上の外部吸引接続ポート84により、複数の作業位置からの臨床アクセスが可能になる。
【0068】
図10~
図15の実施形態は、装置100の幅に沿った吸引ポート102を示す。このような吸引ポート102は、患者の口内に負圧を提供し、患者の口から周囲の大気中への液滴の過剰な流れを回避し得る。このような負圧は、患者から歯科専門家へのウイルスの拡散を防ぐのに特に有用であり得る。
【0069】
装置100は、上述のマウスピースと同様の特徴部を提供することができ、C字型に屈曲した場合に、患者の口内に挿入されて、バイトブロック、唇及び頬の収縮、並びに吸引を提供し得る。
図10~
図15の実施形態は、舌ガード108及び気道保護部分110を含む中央領域106に複数の薄型スロット104が形成されているという点で、上述の実施形態とは異なる。
【0070】
図14及び15は、様々なサイズの口腔に合わせて装置のサイズをどのように曲げることができるかを示している。中央領域106は、装置の側面の外側への伸長又は内側への押圧を可能にするために、厚さが減少した領域104を含んでもよい。いくつかの実施形態では、厚さが減少した領域は、材料を貫通するスリットであってもよいが、その他の実施形態では、図示されるように、厚さが減少した領域は中実であり、所与の長さ及び幅を減少させて、図示されるように、幅方向の調整が可能であってもよい。このような調整可能性は、例えば、約0.5cm~約3cmであってもよい。
【0071】
上記の装置は、特定の用途に応じて、レトラクタ、バイトブロック、舌シールド、気道シールド、及び吸引モジュールを、使い捨てユニット又は非使い捨てユニットで提供する。
【0072】
本装置は、歯肉組織に対する直接の衝突を阻止することによって唇部レトラクタが患者の快適性を高めることを可能にする成形バンパを含み得る。いくつかの実施形態では、バンパは、口腔からの過剰な洗浄液の吸収を可能にするためにスポンジ状の材料から形成されてもよい。
【0073】
装置は、単純な金型設計を可能にするために、保管時に非使用の状態で実質的に平ら、又は半平らであるように成形され得る。装置は、経口挿入中及びその使用中に、C字型に屈曲した形状になることが、弾性的に確認され得る。このような屈曲によりチャネルが閉じられ、吸引用のトンネルが形成され得る。構造は、外部吸引挿入を可能にするために屈曲され得、マウスピース内の外部吸引を確保するために屈曲収縮し得る。
【0074】
装置全体を歯肉組織と同様の柔らかい材料で作ることができ、歯ぐきに対する快適さを実現することが可能である。
【0075】
添付の要約書及び図面を含む本明細書に開示されている全ての特徴部は、特に明記されていない限り、同じ、同等、又は同様の目的を果たす代替の特徴部によって置き換えられてもよい。したがって、特に明記しない限り、開示される各特徴部は、一連の同等又は類似の特徴部の一般的な一例にすぎない。
【0076】
本明細書の特許請求の範囲の要素及び工程には、読みやすさと理解を助けるためにのみで番号付けされている、及び/又は文字付けられていてもよい。このような番号付け及び文字付け自体は、特許請求の範囲における要素及び/又は工程の順序を示すことを意図したものではなく、また、そのように解釈されるべきではない。
【0077】
当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び修正を行ってもよい。したがって、図示の実施形態は実施例としてのみ記載されており、特許請求の範囲によって定義される本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、特許請求の範囲の要素が特定の組み合わせで以下に記載されているという事実にもかかわらず、本発明は、開示された要素のより少ない、より多い、又は異なる要素のその他の組み合わせを含むことを明確に理解されたい。
【0078】
本発明及びその様々な実施形態を説明するために本明細書で使用される用語は、それらの一般的に定義される意味という意味で理解されるだけでなく、本明細書における特別な定義により、それらが単一の種類を表現する一般的な構造、材料、又は行為を含むものと理解されるべきである。
【0079】
したがって、以下の特許請求の範囲の単語又は要素の定義は、文字通り記載された要素の組み合わせだけを含むものではないことが、本明細書において定義される。したがって、この意味において、以下の特許請求の範囲の要素のいずれか1つに対して2つ以上の要素の同等の置換を行ってもよいこと、又は特許請求の範囲の2つ以上の要素を単一の要素で置換してもよいことが考えられる。要素は、特定の組み合わせで作用し、更に最初にそのように特許請求されるように上記で説明され得ているが、特許請求された組み合わせからの1つ以上の要素が場合によっては組み合わせから削除され得、特許請求された組み合わせが副組合せ又は副組合せの変形形態を示す場合があることを、明確に理解すべきである。
【0080】
当業者によって考慮される、現在周知の、又は後に考案される、特許請求された主題からの実質的な変更は、特許請求の範囲内に等価に含まれるものとして、明示的に企図される。したがって、当業者に現在又は将来的に周知の明白な置換は、定義された要素の範囲内にあると定義される。
【0081】
したがって、特許請求の範囲は、上で具体的に図示し説明したもの、概念的に等価なもの、明らかに置換できるもの、及び本発明の本質的な概念を組み込むものを含むものと、理解されるべきである。
【国際調査報告】