(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(54)【発明の名称】信頼できる電動飛行のための軽量であり、高効率であり、エネルギー密度が高いハイブリッド動力システム
(51)【国際特許分類】
B64U 50/33 20230101AFI20231213BHJP
H02P 21/36 20160101ALI20231213BHJP
H02K 1/2783 20220101ALI20231213BHJP
H02P 25/22 20060101ALI20231213BHJP
B64D 27/04 20060101ALI20231213BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20231213BHJP
B64U 50/19 20230101ALI20231213BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20231213BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20231213BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20231213BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20231213BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20231213BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20231213BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20231213BHJP
【FI】
B64U50/33
H02P21/36
H02K1/2783
H02P25/22
B64D27/04
B64D27/24
B64U50/19
B60K6/46 ZHV
B60K6/26
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W20/00
B60W10/26 900
B60L50/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559966
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 US2021059016
(87)【国際公開番号】W WO2022125263
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523220031
【氏名又は名称】ラウンチポイント エレクトリック プロパルジョン ソリューションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リッチー,マイケル,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ペイドン,デイビッド,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラハムルティ,ヴィシャール
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ブライアン,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ペイドン,ブラッドリー,イー.
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
5H505
5H622
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB00
3D202BB11
3D202CC52
3D202DD18
3D202DD24
3D202DD26
3D202DD27
3D202DD44
3D202DD45
3D202DD47
3D202DD48
3D202EE00
3D202EE02
5H125AA20
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BB02
5H125BB03
5H125BD17
5H125EE02
5H125EE08
5H125EE27
5H125FF01
5H505AA30
5H505CC04
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE48
5H505EE49
5H505GG04
5H505HB01
5H505JJ23
5H505JJ24
5H505LL22
5H622CA02
5H622CB02
(57)【要約】
相数Nphaseが3以上である自冷式多相軸方向磁束デュアルハルバッハ配列モータ/オルタネータ(306)に結合された原動機内燃機関又はガスタービン(300)を含む、電動航空機(99)のための軽量であり、エネルギー密度が高く、高効率なハイブリッド動力システム(200)。モータ/オルタネータは、同様にNpha相を有する回生電力変換駆動部(318B)に接続され、これは、次に、DC電力バス(319)、バッテリー(320)、バッテリー管理システム(322)及びシステム制御装置(318A)に接続される。いくつかの実施形態では、モータ/オルタネータ及び回生電力変換駆動部は、中性接続を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動航空機(99)のためのハイブリッド動力システム(200)であって、
原動機(300)、
前記原動機に接続されている、N
phas相を備える自冷式多相軸方向磁束デュアルハルバッハ配列モータ/オルタネータ(306)、
前記モータ/オルタネータ及びDC電力バス(319)に接続されている、N
phase相を備える多相回生駆動部(318B)、
前記DC電力バスに接続されたバッテリー(320)、
前記バッテリーに動作可能に接続されたバッテリー管理システム(322)、及び
前記原動機、前記回生駆動部及び前記バッテリー管理システムに動作可能に接続されたシステム制御装置(318A)
を含むハイブリッド動力システム(200)。
【請求項2】
前記原動機は、エンジンシャフト(601)によってモータ発電機に接続された内燃機関(ICE)又はガスタービンであり、及び前記システム制御装置は、前記原動機に少なくともスロットルコマンドを提供するために接続される(918)、請求項1に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項3】
N
phaseは、3以上である、請求項1に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項4】
N
phaseは、6である、請求項1に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項5】
前記システム制御装置は、回生駆動部電流コマンド
【数1】
を発するように構成され、及び前記モータ/オルタネータは、N
phase端子及び中性点(N)を有し、及び前記回生駆動部は、
前記回生電流コマンドを受信し、及び応答して複数のバイナリゲート電圧信号(1010、1012、1014、1020、1022、1024)を命令するように構成されたプロセッサ(1000)、及び
それぞれの相補的な対が前記モータ/オルタネータの共通相端子(U,V,W)に接続された状態で、相補的な対において接続された前記複数のバイナリゲート電圧信号に応答する複数の半導体スイッチ(1007a~1007f)を有する半導体スイッチ電力ブリッジ(1007)
を含む、請求項2に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、パルス幅変調(PWM)サブモード、同期整流サブモード又はモータモードの選択された1つで前記複数のバイナリゲート電圧信号を提供するように構成された制御装置(1204)をさらに含む、請求項5に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記モータ/オルタネータから相電流を受け取り、及び相電流(I
α I
β)
T出力を提供するように構成されたクラーク変換モジュール(1210)、
前記(I
α I
β)
T出力を受信し、及びモータ/オルタネータ電流(I
d I
q)
T出力を提供するように構成されたパーク変換モジュール(1212)、
前記モータ/オルタネータ電流(I
d I
q)
T出力及び前記電流コマンドを受信する電流制御装置(1224)であって、前記電流コマンドに応答して電圧(V
d V
q)
T出力を提供するように構成された電流制御装置(1224)、
前記電圧(V
d V
q)
T出力を受信し、及び修正された電圧出力ベクトル(V
α V
β)
Tを提供するように構成された逆パーク変換モジュール(1226)、及び
前記修正された電圧出力ベクトル(V
α V
β)
Tを受信し、及び前記PWMサブモードで動作可能な前記半導体スイッチ電力ブリッジに前記複数のバイナリゲート電圧信号を提供するように構成されたPWMタイミングモジュール(1230)
を含む、請求項6に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記半導体スイッチ電力ブリッジに選択的に接続可能な同期整流タイミングモジュール(1231)をさらに含み、前記同期整流タイミングモジュールは、前記半導体スイッチ電力ブリッジに前記複数のバイナリゲート電圧信号を提供するように構成され、それにより、前記半導体スイッチ電力ブリッジは、前記同期整流サブモードで動作可能なブリッジ整流器として応答する、請求項6に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項9】
前記モータ/オルタネータは、発電機定数を有し、それにより、ピーク相間電圧がバス電圧に等しい前記エンジンシャフトの回転速度は、ピークエンジン出力点での前記速度の100%~115%に対応する、請求項2に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項10】
モータ/オルタネータ出力電圧は、前記エンジンシャフトの前記回転速度が前記ピークエンジン出力点であるとき、前記バス電圧から+15%未満変化する、請求項9に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項11】
N
phaseは、3に等しく、及び前記モータ/オルタネータは、前記中性点(N)とワイ接続され、及び前記半導体スイッチ電力ブリッジと並列で前記共通相端子(U,V,W)に及び前記中性点に接続されたハーフブリッジ(1100)をさらに含む、請求項5に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項12】
N
phaseは、6に等しく、及び前記多相回生駆動部は、前記DCバスに接続された第1の三相回生駆動部(1602)及び前記DCバスに接続された第2の三相回生駆動部(1604)を含む、請求項1に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項13】
N
phasは、5に等しく、及び前記多相回生駆動部は、前記DCバスに接続された5つの単相回生駆動部(1702、1704、1706、1708、1710)を含む、請求項1に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項14】
前記原動機は、前記エンジンシャフト(601)に軸方向に接続されたクランクシャフト(800)を有するピストン機関ICEであり、及び前記モータ/オルタネータは、
ハルバッハ配列を形成する前部ロータ磁石(407A)を支持する前部モータロータ(406)、及び
第2のハルバッハ配列を形成する後部モータ磁石(407B)を支持する後部モータロータ(502)
を含み、
前記前部モータロータ及び後部モータロータは、前記エンジンシャフトから半径方向に延在して、フライホイールとして機能する、請求項2に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項15】
前記前部モータロータ及び後部モータロータは、前記クランクシャフトに係合されたベアリングによって回転可能に支持される、請求項14に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項16】
前記バッテリー管理システムは、充電状態(SOC)信号を前記システム制御装置に提供するように構成され、及び前記システム制御装置は、前記SOC信号及びSOC設定点に応答して、前記回生駆動部電流コマンド
【数2】
を調整するように構成される、請求項5に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項17】
前記システム制御装置は、
バッテリー電流(I
bat)、前記SOC信号及び前記SOC設定点を受信する電流サブシステム(2306)への電流フィードバックであって、PID出力を提供するように構成される電流フィードバック、
RPM信号及びバス電力P
bus信号を受信し、及び電流コマンドを提供するように構成された電力対電流フィードフォワードサブシステム(2314)、及び
前記PID出力及び前記電流コマンドを受信し、及び前記回生駆動部電流コマンド
【数3】
を提供するように構成された加算器(2304)
をさらに含む、請求項16に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項18】
前記システム制御装置は、バス電力P
bus信号及びRPM信号に応答して、前記ICEにスロットル信号を発するように構成される、請求項5に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項19】
前記システム制御装置は、前記P
bus信号及び前記RPM信号を受信し、及び前記スロットルコマンドを提供するように構成されたスロットル制御システムモジュール(2207)をさらに含む、請求項18に記載のハイブリッド動力システム。
【請求項20】
前記システム制御装置は、ミッション制御装置(318A’)を含み、前記ミッション制御装置は、飛行軌跡入力及び航法データ入力を受信し、及び前記飛行軌跡入力に応答して前記スロットルコマンドを発する、請求項2に記載のハイブリッド動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月11日出願のLIGHTWEIGHT, HIGH EFFICIENCY, ENERGY DENSE HYBRID POWER SYSTEM FOR RELIABLE ELECTRIC FLIGHTという名称の米国仮特許出願第63124236号及び2021年3月23日出願のLIGHTWEIGHT, HIGH-EFFICIENCY, ENERGY-DENSE HYBRID POWER SYSTEM FOR RELIABLE ELECTRIC FLIGHTという名称の米国特許出願第17209900号の優先権を主張し、これらの両方は、本出願と共通の譲受人を有し、その開示が本明細書に援用される。
【0002】
背景
分野
本明細書で開示する実装形態は、エネルギー密度が高く、出力密度が高く、効率的であり、信頼でき、ロータ及びプロペラを駆動する電動モータに電力を供給し、それによりバス電流に反応しにくいバス電圧によって揚力及び/又は推力をもたらし、バスが低電圧及び電流リップルを有する、電気推進アーバンエアモビリティ(UAM)ビークル及び無人航空機(UAV)のための動力源に関する。より詳細には、エンジン又は他の原動機は、モータ/オルタネータに給電するように構成され、及び回生電力変換駆動部(「回生駆動部」)は、モータ/オルタネータに結合されて、機械的動力をビークルの動力バスで電気的動力に変換する。回生駆動部は、逆にも動作して、モータ/オルタネータに給電してエンジンを始動させる。
【背景技術】
【0003】
関連技術
電動モータは、ピストン機関又はタービン機関よりも遥かに高い動力/kgを有し得、それら電動モータは、そのような熱機関よりも簡単にスケールアップ及びスケールダウンするため、電気推進は、航空機にとって刺激的である。これは、電動推進ユニットが、マルチロータ航空機の空気力学的に好都合なロケーション、例えば翼端に又は「アーム」の端部に配置され得ることを意味する(当業界では「分散型電気推進」と呼ばれることが多い)。しかしながら、従来の液体燃料と比べて、電気エネルギー蓄電池(バッテリー)は重くて嵩張る。これは、どのような長時間の飛行(これは多くのエネルギーを必要とする)にも、電気推進概念がバッテリーの重量及び嵩のために適さないことを意味する。
【0004】
従来技術のハイブリッド電気推進が、非常にエネルギー密度が高い液体燃料を電気エネルギーに変換するために使用されてきているため、「分散型電気推進」は、エネルギー密度が高い液体燃料エネルギー蓄電池と組み合わされ得る。そのようなシステムでは、タービン又はピストン内燃機関(「ICE」)は、液体燃料を機械的エネルギーに変換し、それが、次に、モータ/オルタネータ及び電力エレクトロニクスによって電気エネルギーに変換される。しかしながら、エネルギー変換チェーンにおけるエンジン及び発電機及びエレクトロニクスの質量及びそれほどの重要性はない効率は、システムを非常に重くし得、ビークルには、非常に長く飛行するための十分な燃料を搭載するための搭載容量がない。
【0005】
さらに、当業者は認識するように、モータ/オルタネータ及び電力エレクトロニクスは、より小型に及びより軽量に作製されるため、それらの熱質量及び表面積が小さくなり、それらから廃熱を除去することは、制限のある課題になる。これらの構成要素は、多くの動力を処理し、さらに5%又は2%の損失で小型の高パワーのモータ/オルタネータを直ちに過熱し得る。冷却するための典型的な従来技術の解決法は、大型のヒートシンク及び冷却フィンをボルト留めし、廃熱を除去するためにシステムを高速の気流中に置くことを含む。いくつかの従来技術のシステムでは、モータ及び電力エレクトロニクスの熱管理は、これらのシステムの質量の大体50%であり得る。モータにヒートシンクフィンを追加し、その後モータ(又は発電機)を高速の気流中に置くことにより、航空機に「冷却抗力」を加え、これも航空機の動力及びエネルギー需要を増大させ、燃料の重量は、エネルギー密度、揚力及び航続距離をさらに低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、当技術分野におけるこれらの制限を克服することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本明細書の実装形態は、DC電力バスにNphase相が接続された状態で多相回生駆動部にNphase相が接続されている、自冷式多相軸方向磁束デュアルハルバッハ配列モータ/オルタネータに結合された原動機を有する、電動航空機のための軽量であり、エネルギー密度が高く、高効率のハイブリッド動力システムを提供する。バッテリーは、DC電力バスに接続される。バッテリー管理システムは、バッテリーに動作可能に接続される。システム制御装置は、原動機、バッテリー管理システム及び多相回生駆動部に動作可能に接続される。
【0008】
例示的な実装形態では、原動機は、内燃機関又はガスタービンである。
【0009】
さらなる例示的な実装形態では、Nphaseは、3以上である。
【0010】
代替的な例示的な実装形態では、Nphaseは、6以上である。
【0011】
本開示の実装形態のさらなる理解は、関連の図面と併せて以下の詳細な説明によってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
【
図1A】離陸及びホバリング用に構成された、本開示の実装形態を用いる飛行体を表示する図である。
【
図1B】巡航飛行用に構成された、本開示の実装形態を用いる飛行体を表示する図である。
【
図2A】例示的なハイブリッド動力システムを開示するために切り取られた飛行体を表示する図である。
【
図2B】飛行体内の例示的なハイブリッド動力システムの詳細な描写である。
【
図3A】内燃機関(ICE)としてピストン機関を備える例示的な実装形態及びその構成要素の分解図である。
【
図3B】ICEの4ストローク実施形態に関する例示的な性能曲線を表示するグラフである。
【
図4A】多相デュアルハルバッハ配列アキシャルギャップモータ/オルタネータの前面図である。
【
図4B】多相デュアルハルバッハ配列アキシャルギャップモータ/オルタネータの側面図である。
【
図6A】モータ/オルタネータ軸の中心にある対称軸で、概略的な半部の軸方向断面図である(全ての構成要素の広がりを示すために半径方向寸法が圧縮されて示されている)。
【
図6B】軸方向及び接線方向(tan)で明示されている、
図6AのA-Aに沿って取った周方向断面のセグメントである。
【
図7A】巻線の円弧セグメントのみが示されている、三相モータ/オルタネータのための巻線相導体の詳細な図である。
【
図7B】巻線の円弧セグメントのみが示されている、六相モータ/オルタネータのための巻線相導体を示す。
【
図8】モータ/オルタネータ及びICEとしてのピストン機関のクランクシャフトの断面図である。
【
図9】重要な接続及び相互作用を示す、例示的な実装形態の機能ブロック図である。
【
図10】三相モータ/オルタネータのための回生駆動部の概略図である。
【
図11】ワイ接続された三相モータ/オルタネータの中性点に導体を介して接続された追加的なハーフブリッジの追加状態の概略図である。
【
図12】三相回生駆動部のためのMOSFET電力ブリッジの制御を示すブロック図である。
【
図14】SVPWMタイミングブロックを表示する図である。
【
図15A】モータモード及びオルタネータモード/SVPWMサブモードにおけるモータ/オルタネータの相Uに関する電流波形を表示するグラフである。
【
図15B】オルタネータモード/同期整流器サブモードにおける個々の相の電流波形を表示するグラフである。
【
図16A】回生駆動部に接続された2つの三相ワイ接続で構成された例示的な六相モータ/オルタネータを表示する図である。
【
図16B】
図11に示すように、中性点を回生駆動部内の追加的なハーフブリッジに接続することによって追加的な冗長性が達成される、2つの別個の回生駆動部を備える代替的な実施形態を表示する図である。
【
図17】5つの相が独立して駆動される、別の冗長システムを表示する図である。
【
図18】
図10の回路と組み合わされる第2の回生駆動部の詳細の概略図である。
【
図19】2つの電力ブリッジが端子P+及びP-で接続されるときの、
図10の電流I
cap及び
図18の
【数1】
を表示するグラフである。
【
図20】
図19の2つの波形の和を表示するグラフであり、バスコンデンサーに生じた電流リップルを表す。
【
図21A】ピークバス電圧が1に正規化された状態の、同期整流器サブモードにおける例示的な三相システムのバス電圧リップルを表示するグラフである。
【
図21B】ピークバス電圧が1に正規化された状態の、同期整流器サブモードにおける例示的な六相システムを表示するグラフである。
【
図22A】スロットル制御及びバッテリー充電制御のためにシステム制御装置318Aにおいて使用されるバス電力計算のブロック図である。
【
図22B】原動機スロットル制御システムのブロック図である。
【
図23】システム制御装置内に存在する充電制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書で開示する実装形態は、電動航空機のための、信頼性が強化され、軽量で、小容量で、エネルギー密度が高く、高効率のハイブリッド動力システムを提供し、このシステムは、広い側面では、自冷式多相軸方向磁束デュアルハルバッハ配列電動モータ/オルタネータ(ここで、相数Nphaseは、3以上である)に結合された「原動機」(内燃機関又はガスタービン)を含む。モータ/オルタネータは、Nphase相を有する回生駆動部に接続され、これは、次に、DC電力バス、バッテリー、バッテリー管理システム及びシステム制御装置に接続される。
【0014】
より具体的には、例示的な実装形態において、原動機に取り付けられたデュアルハルバッハ配列のモータ/オルタネータは、ロータ・ステータ・ギャップに取り込まれ、モータ/オルタネータを通して及び巻線にわたって遠心力を利用して送り込まれる空気により、それ自体を冷却する。そのため、原動機は、ビークルの内部に装着され得、モータ/オルタネータは、取り込まれた空気によってそれ自体を冷却する。廃熱を排出するために内部体積部に対して空気交換を保証するために、低い抗力の「NACA」入口のみが、航空機の外面に設けられる必要がある。モータ/オルタネータにより、その動作の一部として、良好な対流及び冷却を得るために必要とされる高速の気流が提供されるため、追加的なヒートシンク又は冷却フィン若しくは水冷ジャケット及び熱交換器は必要とされない。
【0015】
本開示の実装形態は、ICEの実装形態として、ピストン機関との統合にもよく適している。ピストン機関は、動力行程において大きいトルクパルスが生じ、多くの場合に大きい(重い)フライホイールがエンジンに追加されて、出力トルクをならす。航空機では、重いフライホイールは選択肢にはないため、エンジン出力部に取り付けられるいずれのものも、動力行程のトルク変動に耐えることができる必要がある。ピストン機関からのピークトルクは、エンジンの平均トルク出力の15倍であり得る。これは、モータ/オルタネータ構造のねじり強さが、要求される名目上の平均動力出力トルクから15倍だけ過大設計される必要があることを意味する。本明細書で開示する軸方向磁束機は、ねじりに極めて強い、実質的に平らなディスクを含むため、エンジンの動力行程のパルスに対処するために十分な強度を有するための重量ペナルティが実質的にない。
【0016】
航空機は、自動車よりも遥かに高い信頼性の要件も有する。自動車エンジンが故障し得ると、運転手は、単に路肩に止め得る。航空機にはこの選択肢はないため、野原に着陸する羽目になる。及びホバリングしている電動VTOL機は、「パワード・リフト」飛行モードにある間に動力故障する場合、一瞬にして直接地面に落下し、これらの航空機のほとんどは、ヘリコプターができるように「自転」できない(及びヘリコプターは、自転するために前進速度を必要とするため、いずれの真の垂直飛行経路も、動力故障による危険に極めてさらされる)。例示的な軸方向磁束モータ/オルタネータに使用される好ましいデュアル三相(すなわち六相)構成は、ある程度の冗長性を与える。一方の巻線が故障する場合、他方の巻線が、全六相モータ/オルタネータから定格は下がるが、依然として動力を供給する。三相巻線の1つが故障する場合、航空機は、利用可能な余剰動力が低下し、フライトエンベロープを低下させるものの、依然として安全に着陸するために利用可能な十分な動力を有し得る。
【0017】
同じ冗長性を電力エレクトロニクスに応用すれば、これは、多数の構成要素及び複雑さのために信頼性の課題を示し得る。例えば、Nphaseが6に等しい場合、六相エレクトロニクスは、2つの独立した三相システムとして構築される。そのため、三相システムの一方の故障は、他方のシステムが機能し続け、航空機に部分的な動力を供給することを不可能にしない。
【0018】
六相(整流後の12個のパルス)は、ACオルタネータとDCバスとの変換に生じる固有のリップル電流が、従来の三相(6パルス)の動力変換の場合よりも、さらに低減されることを意味する。リップル電流の低減は、より小型の(及び重要なことにはより軽量な)バスコンデンサーを使用することを可能にし(バスコンデンサーは、動力変換エレクトロニクスの重量の25%であり得る)、また動力変換システムの別のかなりの質量源である、DCバスのための動力のフィルタリング部が、著しく減少される。
【0019】
12パルス変換は、航空機産業では知られているが、一般に、重い「変圧整流ユニット」(「TRU」)に接続される三相オルタネータ(一般に、例示的な実装形態で用いられているような永久磁石機ではなく、磁界巻き付け機)を使用することによって達成され、これは、変圧器にワイ巻線及びデルタ巻線を有する相変圧器(重い電気鋼及び銅)を特徴とし、これにより、元の三相から相シフトされる第2の組の3つの相を作り出す-「六相」出力を作り出し、これがその後整流される。航空機産業におけるこの変換は、動力発生方向における一方向のみでもあり、モータ/オルタネータも始動用にモータとして使用される例示的な実装形態のように双方向ではない。軸方向磁束の巻線設計は、いずれの電磁設計ペナルティもなく、モータ/オルタネータから直接6つの相を全て作り出すことを可能にする。他のより一般的なモータ/オルタネータは、モータ/オルタネータから直接出力される六相をもたらすために、磁極/歯/スロットの組み合わせの選択において著しいペナルティを被る。
【0020】
その結果、例示的な実装形態は、航空機の航続距離及び容量を大幅に増大させながら、信頼性の強化及び安全性の向上をもたらす。
【0021】
電動航空機のためのハイブリッド動力プラントなどの複雑なシステム設計は、ある範囲のシステム要件に応え、開示する実装形態は、構成要素の特徴の斬新的な配置構成及び構成要素の斬新性により、システム要件のニーズを満たす。構成要素の特徴及び組み合わせの種々の組み合わせは、ビークルのミッション次第で最適である。ホバリングのみの航空機は、全飛行フェーズの間中、比較的一貫した平均動力レベルを必要とするが、ホバリングから固定翼飛行に変更する移行式ビークルは、4以上の範囲にわたって変わる常時動力要件を有し得る。ホバリング航空機は、原動機が故障する場合に安全に着陸するために、「電気式燃料の予備」のための小型バッテリーパックのみを有し、パックは、飛行中、ほぼフル充電された状態にある。移行式航空機は、飛行の離陸部分及びホバリング部分の最中の高い常時動力を支援するために使用される、より大型のパックを有し得、パックは、フルレングスのホバリング飛行段階中に深く放電され得る。
【0022】
ホバリングビークルは、おそらく、最良の出力密度を達成するために、常にピーク付近の常時動力及び最大回転速度で原動機を運転するが、移行式ビークルは、おそらく、巡航などの時間に、原動機からの最良の燃料効率を達成するために、より少ない動力及び低い回転速度で原動機を運転する。ハイブリッド動力プラント設計に繰り返し出現する重要なシステム要件は、エネルギー密度、出力密度、効率、信頼性及び電力品質(一定のバス電圧並びに低電流及び電圧リップル)に対する要求である。ビークル重量は最小限にされるものの、エネルギーは比較的長期間にわたって供給される必要があるため、エネルギー密度は、長距離ミッションに重要な特徴である。ハイブリッド動力プラントは、主要エネルギー源として液体燃料を使用することによってエネルギー密度を提供する。出力密度は、重量は最小限にされるものの、ピーク出力が供給される必要がある離陸及び緊急時の操縦に必要な、重要な特徴である。ハイブリッド動力プラントは、電気エネルギーを蓄え、離陸中にそれを短時間で供給し得るバッテリーを含むことによって出力密度を提供する。
【0023】
効率は、エネルギー密度及び出力密度に寄与するため、重要である。効率は、構成要素への熱ストレスを最小限にするためにも重要であり、これは、構成要素の非効率性が熱をもたらし、この熱は、質量に寄与する冷却システムを備えるビークルから移される必要があるためである。信頼性は、動力の喪失が、人命、積み荷及びビークルの喪失につながり得、これは許容できないため、不可欠な特徴である。動力品質は、推力コマンドに続くビークル推進システムの信頼できる制御に寄与する。さらに、動力バスでの雑音及び外乱は、影響を受けやすい構成要素の欠陥を引き起こし得る。
【0024】
図1Aは、NASA GL-10電動垂直離着陸(eVTOL)機99のような例示的な従来技術の航空機を示す。GL-10は、離陸及びホバリング形態100と、
図1Bに示す巡航形態150とを有する移行式eVTOLである。
図1Aには、120などの揚力ロータ/プロペラと、ロータ/プロペラを駆動する電動モータを含むナセル130とが示されている。GL-10には、合計10のロータ/プロペラがある。胴体110が、翼112、水平安定板114及び垂直安定板116に接続されている。翼、水平安定板及び垂直安定板は、主に、巡航形態150で使用するように設計されている。巡航では、10のロータ/プロペラのうちの6つが、122のような格納形態にある。固定翼の動作は、効率的に揚力をもたらすため、必要とされるロータ/プロペラの数が少なくなり、不必要なロータ/プロペラを格納することによって抗力が減少される。胴体110は、ハイブリッド動力プラント及び1人以上の乗員乗客、手荷物、積み荷及び航法装置並びに他の物体及び機器を含む。本明細書で開示する実装形態は、そのような電動航空機及び他のビークルに応用でき、それらに電気的動力を供給する。固定翼電動航空機、移行式電動航空機、電動ヘリコプター、クワッドロータ及びマルチロータのような様々な形の電動航空機がある。本開示の実装形態は、全てのタイプの電動航空機に応用する。
【0025】
図2A及び
図2bは、巡航形態150にある電動航空機99の胴体に位置決めされた2つの例示的なハイブリッド動力システム200を示す。横向きのハイブリッド動力システム200が例に示されており、縦向きは、代替的な形態で応用され得る。単一機内の2つのハイブリッド動力プラントは、追加的な冗長性を与え、安全性を向上させるが、これらの目的には単一のハイブリッド動力システムで十分であることを強調すべきである。
【0026】
図3Aは、例示的な実装形態及びその構成要素の分解図を示す。構成要素の相対的位置は、説明のために広げて示されており、構成要素は、飛行体中ではより密集して詰め込まれている。例示的な構成要素は、原動機、例示的な実装形態では、液冷内燃機関(ICE)300であり、燃料タンク302から燃料経路304を経由して燃料を引き出す。図示の実施形態は、別個の石油供給部305を有する2シリンダー2ストロークピストン機関である。4ストロークエンジン又はガスタービンは、ICEのための代替的な原動機である。モータ/オルタネータ306が、ICE 300のクランクシャフトに取り付けられる。(本明細書で使用されるような、用語モータ/オルタネータは、モータモードではモータ又はオルタネータモードではオルタネータとして動作可能な単一の電気機械であると定義される)。エンジン排気は、排気マニフォルド307を通してマフラー308まで、その後、
図3Aに示す図では見えないエンジン排気部まで流れる。吸気フィルタ312及び一対の電子制御式キャブレター310も示されている。エンジン冷却液は、パイプ314を通して及びラジエータ316を通して流れ、ラジエータは、ビークルの動きに起因して又はファン323に起因してラジエータを通して流れる周囲空気に廃熱を伝える。冷却液ボトル315が冷却液を貯蔵し、冷却液は、システム内の冷却液の熱膨張が原因であふれる可能性がある。
【0027】
ハイブリッド動力システムのための原動機制御システムは、マスフロー、シリンダーヘッド温度、吸気温度、冷却液温度、排気ガス温度及び燃焼室圧力又は燃焼室温度のためのセンサーを含む、原動機制御の技術分野で知られているような種々のタイプのセンサーによって増強され得る。キャブレターは、ICE内の燃料油噴射システムと置き換えられ得る。
【0028】
モータ/オルタネータ306への/からの電気的動力は、端子接続317を通してエレクトロニクスユニット318に移る。追加的な信号ケーブル(図示せず)が、モータ/オルタネータ306の軸角又は電気角のための信号ケーブルを含み得る。エレクトロニクスユニット318は、回生駆動部エレクトロニクスを含み、モータ/オルタネータ及びシステム制御装置への/からの動力潮流を管理する。エレクトロニクスユニット318は、DCバス319に接続され、これは、次に、バッテリー320及び
図1Aに示すナセル130に含まれる推進モータに接続される。バッテリー管理システム(BMS)322がバッテリー320に接続される。
【0029】
図3Bは、ICE 300の4ストロークピストンの実施形態の例示的な性能曲線を示す。同様の性能曲線が、2ストローク及びガスタービン機関に存在する。ピーク燃料効率曲線350が、各エンジン回転数で最適な動作トルクを規定する。ピーク燃料効率点360が、全エンジン回転数にわたって最善であり、lb/hp-hr又はgm/kW-hr単位で頻繁に測定される最小正味燃料消費率(BSFC)を与える。
図3Bは、大きく開いたスロットル(WOT)の曲線365を含む種々のスロットル角度のトルク対速度曲線も示す。ピーク出力点370は、WOT曲線で発生する。定出力曲線、例えば100hp曲線375及び0.493lb/hp-hr(300gm/kW-hr)曲線380におけるような定燃料消費曲線も示されている。これらの曲線は、効率及び動力出力の両方に対する最適な原動機制御を決定するのに重要である。
【0030】
図4A及び
図4Bは、多相デュアルハルバッハ配列のアキシャルギャップモータ/オルタネータである、本開示の実装形態の例示的なモータ/オルタネータ306を示す。このモータ/オルタネータは、鉄を含まず、鉄心モータ/オルタネータで発生するヒステリシスと渦電流の損失とをなくすため、高速での出力密度が高い応用に好適である。そのようなモータ/オルタネータ及びそれらの構成要素の構造は、米国特許第10,574,110号及び米国特許第10,141,822号に説明されており、それらの開示全体を参照することにより本書に援用する。ステータリング404は、ステータ巻線500(
図5に示す)に取り付ける。前部モータロータ406は、チタン又は他の非磁性構造材料で作製され、ハルバッハ配列を形成する前部ロータ磁石407Aを支持する。図示の実施形態では、磁気サイクル当たり6つの磁石があり、磁極対当たり6つの磁石、すなわち磁極当たり3つの磁石と同等である。各磁極には、図示のチタンロータのポケット内に3つの磁石が支持されている。サイクル当たりの磁石の数は、4以上の任意の整数及び好ましくは偶数の整数であり得る。連続回転磁化方向も、J Mallinson,“One-sided fluxes-a magnetic curiosity?”; IEEE Transactions on Magnetics, 9(4):678-682, 1973に説明されているように、可能にされる。連続回転磁化方向を達成するために、改良された磁化方法が必要とされる。電力コネクタ402、ステータ支持部408及びモータ/オルタネータ取付部410も示されている。
【0031】
図5は、モータ/オルタネータ306の詳細を追加的に示す。具体的には、後部ロータ502及びステータリング404に取り付ける自己支持形ステータ巻線500である。前部及び後部ロータ406、502は、ボルト504で一緒に留められる。
【0032】
図6A及び
図6Bは、例示的な三相モータ/オルタネータ306のためのモータ/オルタネータのハルバッハ配列407A及び407B並びに巻線形態のさらなる詳細を示す。これは、説明のためであり、本明細書の特許請求の範囲を、3に等しい数の相N
phaseの多相機に限定するものではない。
図6Aは、エンジンシャフト601の中心にある軸600の周りで対称的な軸方向断面の半部を示す図である。モータ/オルタネータ306は、冷却ポート610を通して空気を自然に入れてモータのアキシャルギャップに流れ612を生じるため、自冷式である。そのような冷却システムは、軽量で信頼でき、これらの点に関して総合システム性能に寄与する。
図6Bは、
図6AのA-Aに沿って取った周辺側断面のセグメントであり、軸方向及び接線方向(tan)が示されている。
図6Bでのモータロータの位置は、軸方向磁場が、導体セグメント602、603及び604を組み込む相巻線Uにおいて最高であるようになっている。相V及びWは、文字によって示されており、ここで、V’及びW’は、正の向きの電流フローが、紙面から出る方向であり、プライム記号のないV及びWは、正の向きの電流フローが紙面に向かう方向であることを示す。ハルバッハ配列は、最適に近い形でハルバッハ配列(前部ロータ磁石407A、後部ロータ磁石407Bは、それぞれ前部モータロータ406及び後部モータロータ502内に支持されている)間のギャップの磁場に焦点を当て、モータ/オルタネータ及びハイブリッド動力システム全体の出力密度に寄与する。602において「X」を囲む円は、相U内の正の方向の電流フローが、紙面に及びエンジンシャフト601の方に向かうことを示す。603で「・」を囲む円は、正の向きの電流フローが、相Uにおいて紙面から出て、エンジンシャフト601から離れることを示す。この実施形態において、ハルバッハ配列、前部ロータ磁石407A、後部ロータ磁石407Bは、サイクル606当たり6つの磁石を有する。
【0033】
図7Aは、巻線相導体のさらなる詳細を示す。巻線中心704の周りの巻線の円弧セグメントのみが示されており、ヘビのような巻線パターンが、円弧セグメント706及び708を有する円に沿って続いて、相端子を備える環状リング全体を形成する。巻線中心704及び導体セグメント602は、
図6Aの半径方向像ではなく、軸方向像で示されている。相巻線Uでは、外側端の転回部700U及び701Uが示されており、内側端の転回部702Uが示されている。相Vの外側端の転回部700B及び701Bが示されており、相Wの外側端の転回部700W及び701Wが示されており、相V及びWの内側端の転回部が、符号を付さずに示されている。相導体は、好ましくはリッツ線であり、巻線の渦電流損失を最小限にする。
【0034】
図7Bは、六相モータ/オルタネータのための巻線相導体を示す。巻線の円弧セグメントのみが示されており、ヘビのような巻線パターンが、円弧セグメント750及び760並びに中心770を有する円に沿って続く。6つの相U、V、W、X、Y及びZのセグメントが示されており、相Uのより大きいセグメントは、一部を破線の曲線752で示している。各相は、回生駆動部に接続するための端子を有する。モータ設計の当業者によって設計され得るように可能であり、
図7A及び
図7Bと異なる広範な巻線パターンがある。高い信頼性に必要な重要な特徴は、ヘビのようなパターンで達成されるように、相巻線上の各点が同じ相巻線上の任意の他の点と近くないことである。
【0035】
ヘビのような巻線パターンは、相巻線自体の重なり合いがなく、転回部間短絡としても知られる相の自己短絡のリスクが皆無であることを保証する。そのような短絡は、他の従来技術の巻線設計では起こり得るため、飛行体では大惨事となり得る。ヘビのような巻線では、相間短絡は起こり得るが、ワイ接続において各相にヒューズを備えるワイ接続において保護され得る。ヘビのような巻線は、安全性及び信頼性に関わる本発明の重要な利点である。ほぼ任意の数の相を備えるヘビのような巻線は、本開示の実装形態の教示内で、このタイプのモータにおいて構築及び使用され得る。
【0036】
同様に、巻線の高い信頼性が必要とされない代替的な実施形態では、例えば、複数の層の巻線7Aが互いに積み重ねられ得る。複数の層の巻線7Bも互いに積み重ねられ得る。モータ設計の技術分野で知られているように、種々の巻線の幾何学的形状が使用され得る。
【0037】
図8は、ICE 300としてピストン機関を備えるモータ/オルタネータ306及びモータ/オルタネータに係合されたエンジンシャフト601で終端するクランクシャフト800の断面図である。クランクシャフト800に係合した主ベアリング802及びクランクピン804が、クランクシャフト800上に示されている。アキシャルギャップ多相モータ/オルタネータ306は、ICE 300からのカンチレバーの距離808を最小限にするとき、機械的ロバスト性、単純さを提供し、重量を減らす。前部モータロータ406及び後部モータロータ502は、ICE 300のベアリング802によって回転可能に支持される。そのため、モータ/オルタネータ306内に追加的なベアリングは、必要ではなく、システムは、振動に対してよりロバストであり、そのため、付加質量を必要とせず、より信頼できる。本開示の実装形態のハイブリッド動力システムは、よりコンパクトでもあり、支持構造は、より軽量である。さらに、ハルバッハ配列は、比較的大きいギャップを越えて磁場を突出させるため、モータ/オルタネータギャップは、ベアリングの摩耗及び許容範囲の積み重なりのために大きくなる機械的な動き806に対してよりロバストになるように設計され得、さらに、安全性及び信頼性を高める。航空機では、重いフライホイールは選択肢にないため、エンジン出力部に取り付けられるものは全て、動力行程のトルク変動に耐えることができる必要がある。ピストン機関ICEからのピークトルクは、エンジンの平均トルク出力の15倍であり得る。これは、モータ/オルタネータ構造のねじり強さは、要求される名目上の平均動力出力トルクから15倍だけ、過大設計される必要があることを意味する。
図8に示すように、本明細書で開示するモータ/オルタネータ306として用いられる軸方向磁束機は、実質的に平らなディスクにおいてエンジンシャフト601の軸600から半径方向に延在するモータロータ406、502を含み、これは、ねじりに極めて強いため、エンジンの動力行程のパルスに対処するために十分な強度を有するための重量ペナルティが実質的にない。さらに、モータロータ406、502のディスク様の形態は、比較的大きい回転の慣性を提供し、これは、ICEのクランクシャフト800に密結合されるフライホイールとして機能する。すなわち、モータ/オルタネータ306は、従来のピストン機関のフライホイールが行うように、回転振動を減らす役割を果たす。
【0038】
図9は、システム並びに重要な接続及び相互作用の機能ブロック図を示す。同じ構成要素のほとんどは、
図3に機械的な形で現れている。しかしながら、システム制御装置318A及び回生駆動部318Bは、この図面では別々に示されており、それら両方とも、
図3に示すエレクトロニクスユニット318に含まれていることに留意されたい。冗長性に関し、ハイブリッド動力システムは、複数のバッテリーパック並びにBMSシステム又はICE、システム制御装置及び回生駆動部からなる複数の「発電セットユニット」並びに補助装置を有するように構成され得ることにも留意されたい。システム制御装置は、システム所要電力を満たすように通信及び協働するようにプログラムされ得る。冗長なユニットは全て、DCバス上で並列接続される。
【0039】
図9では、燃料タンク302は、燃料経路304を経由してICE 300に燃料を供給する。ICEは、2ストローク、4ストローク若しくは任意の種類のピストン機関であり得るか、任意の数のシリンダーを有し得るか又はガスタービンであり得る。機械的エネルギーは、ICEの運転時、エンジンシャフト601を経由してモータ/オルタネータ306に伝えられ、オルタネータは、電力を供給し続ける。機械的エネルギーは、ICE 300の始動時にモータ/オルタネータ306から伝えられる。デュアルハルバッハ配列モータ/オルタネータ306は、ワイ、デルタ又は他の相互接続形態により、3つ、5つ6つ又は任意の数の相を有し得る。モータ/オルタネータ電力端子は、端子接続317を介して、エレクトロニクスユニット318内の回生駆動部318Bに接続される。さらに、モータ/オルタネータ306は、ホール効果センサー又は軸角センサーによって測定されたモータ/オルタネータ電気角904を、整流子による整流及びエンジンRPMの計算を含む目的のために回生駆動部318Bに伝える。回生駆動部318Bは、発電中に同期整流器若しくはパルス幅変調(PWM)整流器として又はICEの始動中にモータ駆動部として機能する。本明細書で開示する実装形態では、空間ベクトルパルス幅変調が用いられる。しかしながら、代替的な実装形態では、アナログ又はデジタルのいずれかの制御実装形態による他のPWM方法が用いられ得る。回生駆動部318Bは、発電中、正のDC電流I
altを出力し、ICEの始動中、I
altは、負である。I
altは、ノード906においてバッテリー電流I
batと合算されて、バス電流I
bus=I
alt+I
batとなる。回生駆動部は、DCバス319上のバス電圧V
busにも電力を提供する。DCバス電圧は、バッテリー320の電圧と適合し、バッテリーの充電状態(SOC)によって変わる。バッテリー管理システム(BMS)322が、バッテリー320を監視し、バランス感知接続部908により、セル電圧がほとんど同一になるようにバランスをとる。BMS 322は、電流センサー910を使用してバッテリー電流も測定する。
【0040】
BMS 322は、計算したSOC、I
batの測定値及びV
busの測定値を、接続路916を介してエレクトロニクスユニット318内のシステム制御装置318Aに送信する。回生駆動部318Bは、その内部で使用するためのバス電圧も測定する。BMS 322は、セル電圧感知回路、バッテリーパック電流センサー及びアルゴリズムを実行するマイクロプロセッサを組み込み、セル及びパックの測定値から充電状態を推定する。BMS 322は、セル温度センサーも含み得、DCバスへのバッテリーパックの出力から電流路接続を断つように制御され得るパック切断リレー/スイッチを含み得る。システム制御装置318Aは、回生駆動部から接続路914を介して毎分回転数(RPM)でモータ/オルタネータ角速度、I
altの値及び所望のバッテリー充電状態SOC*も受信する。システム制御装置318Aは、次に、接続路918でスロットルコマンド及び回生駆動部電流コマンド
【数2】
を送信する。始動及び停止中、システム制御装置318Aは、チョーク及び点火イネーブルコマンドも送信する。
【0041】
本開示の実装形態のハイブリッド動力システムの耐障害性実施形態では、バッテリーパック及び/又は回生駆動部は、システム制御装置によって制御される切断スイッチ、回路遮断器又は切断リレーを有し得る。これらの切断スイッチは、DCバスを短絡させ得る、障害のあるエレクトロニクス又は欠陥のあるバッテリーパックを隔離するために使用され得る。バッテリーパックが、障害のためにDCバスから切断される場合、組み合わされたエンジン、モータ/オルタネータ及び回生駆動部の制御アルゴリズムは、原動機速度及びDCバス電圧でフィードフォワードマップ及びフィードバックループを用いる同じ全般制御スキームに基づいて、前述の動力及び電流制御スキームから、バス電圧を一定のコマンド値に調整するアルゴリズムに変化する。
【0042】
図10は、三相モータ/オルタネータのための回生駆動部318Bの概略図である。回生駆動部318Bは、端子+及び-でDCバス319に接続され、オルタネータが電力を生じているときに電流I
altをDCバスに供給する。ICE 300を始動しているときに(別名「モータモード」)I
alt<0である。電流センサー1001が、システム制御装置318Aに送るためのI
altを監視する。値Cを備えるコンデンサー1003は、主バスコンデンサーであり、これは、パルス幅変調(PWM)中、本明細書の例でMOSFET電力ブリッジ1007として実装されている半導体スイッチ電力ブリッジのバス電圧を維持し、DCバス319に伝えられる電流リップルを減衰させる。当技術分野で知られているような他の半導体スイッチが、代替的な実装形態では用いられる。値C
iを備えるコンデンサー1004及び値L
iを備えるインダクタ1005は、DCバスに伝えられている電流及び電圧リップルをさらに減衰させる。コンデンサーC
iとインダクタL
iの組み合わせは、本明細書では、電磁干渉(EMI)フィルタと呼ばれる。主バスコンデンサー及びEMIフィルタのフィルタリング効果のため、I
altの電流リップルは、I
capよりも遥かに小さい。I
capの正の向きは、モータモード中、電流フローと一致するように選択され、MOSFET電力ブリッジ1007中に向かう。
【0043】
モータモード中、ピーク相間モータ/オルタネータ電圧は、バス電圧未満であり、回生駆動部は、電圧を必要な相電圧まで「振り落とし」、バスから電力を取り出す。オルタネータモード及びSVPWMサブモード中、回生駆動部は、相電圧をバス電圧まで押し上げ、電力を出力する。ピーク相間電圧が、バス電圧に到達するか又はそれをわずかに上回っているとき、SVPWMによってもたらされた押し上げは、必要ではなく、駆動部は、同期整流器サブモードで動作される。同期整流器サブモードでは、MOSFET電力ブリッジ1007は、パッシブダイオードブリッジ整流器を模倣するように制御される-MOSFETは、あたかもダイオードであったかのように、スイッチが入れられる。そのため、MOSFETは、SVPWMと比べて遥かに遅い速度で切り替えられ、スイッチング損失が減らされて効率が上がる。この実装形態の特徴は、ピーク相間電圧がバス電圧と等しいICE 300のエンジンシャフト601の回転速度が、ピークエンジン出力370の回転速度(
図3Bのエンジン曲線の場合、約5600RPM)の100%~115%となるように、モータ/オルタネータの発電機定数(別名逆起電力定数)が選択されることである。このようにして、ICEのピーク出力点は、整流プロセスのピーク効率点である。同期整流器サブモードにおけるMOSFETの切り替えは、相間電圧がバス電圧を上回るときに電気角に応じるため、電気角904を使用して達成される。
【0044】
図10は、MOSFET電力ブリッジ1007が、相補的な対におけるバスに接続され、バイナリゲート電圧信号b
U 1010、b
V 1012及びb
W 1014並びに上線を備えて示されているそれらの論理構成要素1020、1022及び1024によってそれぞれ制御される6つのMOSFET 1007a~1007fを組み込んでいることも示す。「オン」及び「オフ」に対応する実際の電圧レベルは、選択されたMOSFET次第である。いずれのハーフブリッジ(モータ/オルタネータ306の共通相端子に接続された2つのトランジスタ(1組の相補的な対))においても、主又は相補的なトランジスタ(例えば1007a又は1007d)のいずれかが、1度にオンになる。切り替え中に、一方のトランジスタは、他方が約1ナノ秒、数ナノ秒又は数十ナノ秒だけオンにされる前に、オフにされて、ハーフブリッジの短絡を防止するという例外がある。回生駆動部は、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ又は関連のメモリを備える他の演算要素の形のプロセッサ1000を組み込んで、電流入力コマンド
【数3】
、電圧センサー1002からのバス電圧、相電流センサー1009からの相電流、電気角904及び他のシステム入力を受信し、電力ブリッジ1007内のMOSFETへのゲート電圧信号1010、1012、1014、1020、1022及び1024を応答して制御し、3つの相電流センサー1009による相電流フィードバック制御をもたらし、過電流及び過電圧保護並びに通信機能を提供する。電圧は、電圧センサー1002によって感知され、プロセッサ1000によって受信されて、PWM変調のデューティーサイクルを制御する。回生駆動部318Bは、プロセッサ1000に電力を供給するための電力供給装置1006及び電力ブリッジ1007のためのゲートドライバ(図示せず)も組み込む。
【0045】
図10は、相端子U、V及びWでの例示的な三相モータ/オルタネータ306への回生駆動部の接続も示す。正の向きの相電流I
U、I
V及びI
Wは矢印によって示され、電流は、オルタネータモード及びモータモードの両方において交流である。相から中性の逆起電力電圧源モジュール1030、1032及び1034は、モータモード中に相電流と同相であり、オルタネータモード中に相がずれている。相から中性の逆起電力電圧モジュールによって実行される式は、図面に示されており、逆起電力定数K
e、エンジンシャフト角速度ω、エンジン軸角θ及びモータ極数N
pに応じたものである。ワイ接続の中性点Nが示されている。相間、別名端子間の、抵抗及びインダクタンスは、それぞれR
φφ及びL
φφである。そのため、相から中性の抵抗1040及びインダクタンス1042は、これらの値の2分の1であるため、それぞれR
φφ/2及びL
φφ/2に等しい。相数は、説明のために3になるように示されており、以下に説明するように、追加的なハーフブリッジは、端子P+及びP-で追加的な相のために加えられ得る。さらに、1つ以上のワイ接続にある1つ以上の中性点へのハーフブリッジ接続が可能である。
【0046】
図10の回路に対して、
図11は、P+及びP-端子で接続され、MOSFET電力ブリッジ1007と並列であり、また導体1102を介してワイ接続の三相モータ/オルタネータの中性点Nに接続される追加的なハーフブリッジ1100の追加を示す。
図11は、F. Richardeau, J. Mavier, H. Piquet and G. Gateau,“Fault-Tolerant inverter for on-board aircraft EHA,”2007 European Conference on Power Electronics and Applications, Aalborg, 2007, pp. 1-9, doi: 10.1109/EPE.2007.4417537(この全体を参照することにより援用する)で説明されているような耐障害性スキームを可能にする4本脚のワイ接続を示す。1つ以上の故障したハーフブリッジ又は巻線の場合、対応する1つ又は複数の脚は、対応する固体回路遮断器又はリレー1106の1つとの接続が切られ得る。そのため、電流センサー1104を備える中性経路Nは、電流帰路を提供する。中性経路は、一般的に、全く定電圧ではなく、その名称は、歴史的な理由で使用されていることが理解される。
図11には、多相デュアルハルバッハ配列アキシャルギャップモータ/オルタネータ306における好ましいヘビのような巻線における相間短絡から保護するヒューズ1108も示されている。ある実施形態は、回路遮断器1106若しくはヒューズ1108又はそれら両方を有し得ることが理解される。
【0047】
図12は、三相回生駆動部のために、
図10のMOSFET電力ブリッジ1007のための制御装置1204(プロセッサ1000に含まれ得る)を示す。図示のフィードバックループは、よく知られているdq座標における設定点
【数4】
でモータ/オルタネータ306の相電流を維持する目的を果たし、設定点は、2つの信号
【数5】
及びI
*
d 1208bとしての入力である。上付きのTは、転置行列を示すため、
【数6】
は、列ベクトルである。列ベクトルは、行列が右側で列ベクトルによって乗じられて、別の列ベクトルを生じるために、使用される。クラーク変換モジュール1210及びパーク変換モジュール1212は、保持する振幅であり、この設定点は、
【数7】
に等しいピーク値を備える相電流に対応する。パーク変換モジュール1212、電流制御装置1224及び逆パーク変換モジュール1226は、モータ/オルタネータ306の電気角904を使用する。d電流は、エネルギー伝達のためのトルクを生じないが、巻線及び他の損失機構内のジュール加熱によって廃熱は生じるため、設定点
【数8】
を有する。
【数9】
は、システム制御装置318Aから回生駆動部318Bに送信された、
図9に示すコマンド信号であることを思い出されたい。
【0048】
再度
図12を参照して説明すると、電力ブリッジ1007は、モータ/オルタネータ306のための相電圧、従って電流センサー1202によって測定される相電流I
U、I
V及びI
Wを制御する。モータ/オルタネータ軸角はθであるため、電気角は
【数10】
であり、及び電気周波数は
【数11】
である。電流測定値は、アナログ・デジタル変換器1216によって2進数に変換され、それに続いて、プロセッサ1000及び制御装置1204内のモジュールによってデジタル式に処理される。
図12の種々のモジュールは、ソフトウェア又はハードウェアのいずれかに実装され得ることが理解される。例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイが使用され得る。ADC 1216によって出力される電流の列ベクトル(I
U I
V I
W)
Tは、アンペア単位である。行列クラーク変換モジュール1210による動作は、αβ座標の電流列ベクトル(I
α I
β)
Tを生じ、コネクタ1218上に2つの信号として表される。クラーク変換は、モータ/オルタネータ相電流が正弦波であり、三相モータでみられるように同相で120電気角度だけ分離されていることを条件として、(I
α I
β)
Tの構成要素のぞれぞれのピーク値が、構成要素(I
U I
V I
W)
Tのピーク値と同じという意味で、保持する振幅である。(I
α I
β)
Tは、モータの電気周波数で全体的に回転しており、良好に制御されると、回転dq座標枠内でゆっくりと変化する。(用語「全体的に回転する」及び「ゆっくりと変化する」の使用は、伝えるために使用されており、限定を意図するものではない)。(I
α I
β)
Tと行列回転パーク変換モジュール1212を掛けることにより、コネクタ1220でのdq座標のモータ/オルタネータ電流(I
d I
q)
Tを生じ、コネクタ1222におけるdq座標のモータ電圧(V
d V
q)
Tを命令する電流制御装置1224により、設定点
【数12】
と比較される。電圧(V
d V
q)
Tは、逆パーク変換モジュール(パーク
-1)1226によってαβ座標に変換され、コネクタ1228における結果として生じる修正された電圧出力ベクトル(V
α V
β)
Tは、SVPWMタイミングモジュール1230によって電力ブリッジのパルス幅変調を制御する。好ましい変調スキームは、空間ベクトルパルス幅変調(SVPWM)であり、これは、よく知られており、下記に要約される。代わりに、オルタネータモードでは、電力ブリッジは、スイッチ1200によって同期整流タイミングに切り替えられて、下記で説明するように、同期整流サブモードに影響を与える。
【0049】
SVPWMタイミングモジュール1230は、バイナリスイッチ状態の行ベクトル(b
U b
V b
W)1010、1012、1014を生じ、これは、電力ブリッジ1007の3つのハーフブリッジの状態を規定する。SVPWMスイッチング周波数は、一般に、20kHz~100kHzの範囲であり、高性能SiC及びGaN MOSFETは、より高いスイッチング周波数を可能にする。モータ/オルタネータ306の電気周波数ω
eは、一般に最大数kHzであり、SVPWM周波数対電気周波数の比は、一般に10~20以上である。これらの値及び比は、限定ではなく、説明を意図している。
【数13】
の値次第で、モータ/オルタネータは、モータモード又はオルタネータモードになる。本出願人らの符号の規約は、
【数14】
はモータモードに対応し、及び
【数15】
はオルタネータモードに対応するというものである。モータモードでは、ピーク相間電圧は、バス電圧未満であり、MOSFET電力ブリッジ1007は、バス電圧を相間電圧波形まで振り落とす。オルタネータモードでは、2つの電圧条件がある。第1に、オルタネータピーク相間電圧が、バス電圧の約95%未満~97%であるとき、電力ブリッジ1007は、SVPWMサブモードで動作することにより、オルタネータ相間電圧をバス電圧まで押し上げる。オルタネータ相間電圧がバス電圧に到達してそれをわずかに上回ると、電力ブリッジは、同期整流サブモードで制御される。
【0050】
同期整流サブモードは、別の発電モード及びオルタネータモードのサブモードである。これは、同期整流タイミングブロック1231の出力を電力ブリッジ1007に送信して、ブリッジ整流器として応答するように、スイッチ1200を切り替えることによって達成される。説明のために、電力ブリッジ1007の全てのMOSFETがオフ状態にあると仮定する。次いで、MOSFETのボディダイオード(例えばMOSFET1007aのボディダイオード1008a)が、集合的にブリッジ整流器を形成し、ピーク相間電圧がダイオードでの電圧降下以上だけバス電圧を上回ると、バスに電力を供給する。同期整流サブモードでの動作中、MOSFETボディダイオードが導通しているときのこれらの時点において、同期整流タイミングブロック1231は、そのMOSFETをオンにするため、ボディダイオードでの電圧降下と比べて電圧降下は、減らされ、相電流は、MOSFETの逆方向オン抵抗のみを流れる。同期整流タイミングブロック1231は、ボディダイオードが導通するわずかに後に個々の各MOSFETをオンして、MOSFETの順方向導通を回避するように構成される。このモードは、バスにピーク電力を供給するために使用され、オルタネータモードのSVPWMサブモードと比べてスイッチング損失を減らす。この動作モードは、システムの全体効率に寄与する。最大電力で連続的に動作する純粋なホバリングビークルのためのいくつかの実施形態では、パッシブダイオードブリッジ整流器又はPWM能力のない、同期整流器サブモードで常に動作する同期整流器のみを使用することが、コストと重量に有益である。この場合、原動機は、電力エレクトロニクスにはモータとしてモータ/オルタネータを制御する能力が欠如しているため、別個の電動、ハンドプル又は外部から加えられる始動モータで増強される。
【0051】
移行式eVTOLでは、離陸及びホバリングにおいて高電力が必要とされ、長時間の巡航運転では高効率が望ましい。これらの要件は、本開示の実装形態のハイブリッド動力システムにぴったり合う。
図3Bでは、ピーク出力370は、最大エンジンRPM近くで起きるが、最良の燃料消費点360は、ピーク出力のおよそ50%及びピーク出力での速度の50%であることに留意されたい。これは、ピストン機関性能、特に4ストロークエンジンの典型であり、移行式eVTOLで使用される2モード整流システムの性能とよく一致する。ICE 300は、短期間の垂直離陸及びホバリング中、ピーク出力及び同期整流器サブモードで動作し、巡航中、ICEは、ピーク効率及びバッテリー充電のためのSVPWMサブモードで動作するか又はオフにされるかのいずれかである。
【0052】
図13は、
図12の電流制御装置1224の詳細を提供する。
図13のコネクタ1220及び1208における入力並びにコネクタ1222における出力は、予想通りに、
図12の電流制御装置のものと適合することが観察される。入力I
qは、加算接合器1304におけるコマンド入力
【数16】
とは差があり、誤差信号1305は、閉ループ電流制御システムに好適な安定性余裕及び十分に早い時間応答をもたらすように設計される比例積分(PI)制御装置1311への入力である。PI制御装置1311の出力は、交差項ブロック1301の出力と合算されて、電圧コマンドV
qを形成する。同様に、入力I
dは、加算接合器1302におけるコマンド入力
【数17】
とは差があり、PI制御装置1310への入力を形成し、これは、好ましくは、d及びqの動力学的にかなりの対称性を示すため、同じ制御ゲイン及びPI制御装置1311を有する。PI制御装置1310の出力は、加算接合器1308の交差項ブロック1300の出力とは差があり、電圧コマンドV
dを生じる。交差項ブロック1300及び1301は、ブロック1320での微分により、電気角θ
eから導かれる電気周波数ω
eによって変わるゲインを有することに留意されたい。交差項ブロックを含めることにより、より高速のモータ/オルタネータにおいて制御システムのロバスト安定性をもたらす。本出願人らは、これらの速度依存性交差項を有する制御システムのこの特徴を、モータ/オルタネータdqデカップリングと呼ぶ。ブロック1300及び1301から出力される値は正確である必要はなく、プラス又はマイナス50%以上変わることがあり、それでも、これらの交差項を有していないシステムと比べて性能を向上させることが重要である。
【0053】
交差項ブロック1300及び1301は、dq座標におけるモータ/オルタネータの電気力学に関して理解され得る。
【数18】
式中、sは、ラプラス又は微分演算子であり、ωは、モータ/オルタネータの軸角速度であり、K
eは逆起電力定数である。上述の行列の非対角項に留意されたい。正確なモータ/オルタネータdqデカップリングは、これらの非対角項を取り消し、行列を対角化し、システムを、一定ではない電気周波数ω
eで、時変ではなく、時不変である2つの単一入力単一出力システムに切り離す。
【0054】
図14は、
図12のSVPWMタイミングブロックの詳細を提供する。
図12のSVPWMタイミングブロックは、
図14において、入力として、ベクトルV
αβ=(V
α,V
β)
T 1401を受け入れ、急速な時変スイッチ状態(b
U,b
V,b
W)を電力ブリッジ1007に出力する。
図14の六角形の頂点には、種々のスイッチ状態のラベルが付けられており、六角形は、V
αβの可能値の一部を表すことに留意されたい。ハーフブリッジが全て高い又は全て低いときにモータ/オルタネータの両端子間に電圧差がないため、
図14の原点1400には、スイッチ状態(0,0,0)及び(1,1,1)の両方のラベルも付けられている。これらは、どちらも「ゼロ状態」と呼ばれる。1402の(1,0,0)スイッチ状態では、αβ座標のモータ/オルタネータ端子の電圧は、図示の通り
【数19】
であり、他の頂点の電圧は、幾何学から推論され得る。例えば、1404における(1,1,0)スイッチ状態の電圧は、
【数20】
である。六角形の頂点及び原点は、モータ/オルタネータに印加され得る可能な出力電圧にすぎない。しかしながら、頂点と原点との間を急速に切り替えることにより、六角形内のいずれの電圧も平均して印加され得る。例えば、図示の影付き三角形に示すベクトルV
αβ(1401)には、ロケーション1400、1402及び1404の頂点に(0,0,0)、(1,0,0)、(1,1,0)及び(1,1,1)のラベルが付けられていることを考慮されたい。三角形の頂点の状態間を急速に切り替え、モータ/オルタネータ相インダクタンスの積分効果を使用することにより、所望のV
αβが平均してもたらされ得る。標準SVPWMでは、図示のベクトルV
αβに関して期間T
S内で続くシーケンスは、(0,0,0)→(1,0,0)→(1,1,0)→(1,1,1)→(1,1,0)→(1,0,0)→(0,0,0)である。三角形の頂点は、反時計方向の後、この三角形を時計方向に逆行して横切られる。各頂点でのドウェル時間は、V
αβ次第であり、SVPWM設計の技術分野で知られている。ドウェル時間は、例えば、Narayanan, G., et al.“Space vector based hybrid PWM techniques for reduced current ripple.”IEEE Transactions on Industrial Electronics 55.4 (2008): 1614-1627において与えられており、この文献は、出力電流リップルを低減させる標準SVPWMの変化についても説明している-そのような代替的なSVPWMスキーム及び他のPWMスキームが本発明の代替的な実装形態において用いられ得る。六角形の他の領域に値をもたらすシーケンスは、ベクトルV
αβの値を含む三角形の頂点に対応する。
【0055】
図15Aは、モータモード及びオルタネータモード/SVPWMサブモードにおけるモータ/オルタネータの相Uの例示的な電流波形を示す。波形は、動力潮流の異なる方向に対応して、記号が異なる。SVPWM期間T
Sは、1501に示されている。波形は、ほぼ正弦波であり、期間Tは、モータ/オルタネータの電気期間に対応する。
図15Bは、オルタネータモード/同期整流器サブモードにおける、個々の相における電流波形を示す。予想通り、波形は、相間電圧がバス電圧を上回るときに発生する電流パルスのために正弦波ではない。パルスは、実システムでの非ゼロバッテリーインピーダンス及び相電流に影響を与える他のインピーダンスに起因して、曲線的である。正電流の相Uには2つのピークがあり、これらは、相Vの負ピーク1502及び相Wの負ピーク1500に対応することに留意されたい。これらの電流が整流されると、結果として生じるバス電流は、立ち上がりパルスが立ち下がりパルスと位置合わせするため、6つのパルスを有する。
【0056】
図16Aは、回生駆動部1600に接続された2つの三相ワイ接続を有する例示的な六相モータ/オルタネータ306’を示す。回生駆動部1600は、共通バスコンデンサー(P+及びP-で接続される
図10及び
図18の回路)を共有する2つの三相回生駆動部で構成され、本明細書では、2×3の冗長システムと呼ばれる。相U、V及びWのための接続路が示されており、相X、Y及びZのための接続路は、図面を乱さないようにするために、中断して示されている。モータ/オルタネータ及び回生駆動部上の点Xは接続されており、Y及びZも同様である。回生駆動部は、電力バス319に接続される。相UとXとの間の電気角1606は、30電気角度であることに留意されたい。60度の相角は望ましくなく、なぜなら、これは、相U及び相Zを、180度相をずらして置くことになり、これら2つの相のトルク生成能力を同一にするためである。より滑らかな性能が、図示の相関係では、モータモード及びオルタネータモードにおいて達成可能であり、モータ/オルタネータ整流周波数におけるバスコンデンサー電流リップルも低減される。
【0057】
図16Bは、
図11に示すように中性点を回生駆動部内の追加的なハーフブリッジに接続することによって追加的な冗長性が達成された、2つの別個の回生駆動部1602、1604を備える追加的な代替的な実施形態を示す。回生駆動部は、バス319に接続され、接続路1608を介して同期し得る。この形態は、本明細書では、2×(3+N)のシステムと定義される。
【0058】
図17は、モータ/オルタネータ306”のためのさらに別の冗長システムを示し、ここでは、5つの相が独立して駆動される。5つの回生駆動部1702、1704、1706、1708及び1710は、電力バス319に接続し、4つの接続路1700を介して同期し得る。この形態は、本明細書では、5Iシステムと呼ばれる。
【0059】
本開示の実装形態の追加的な特徴が、回生駆動部から接続を切られる、1つ以上の欠陥のある相を有するモータ/オルタネータの電流の制御である。この特徴は、本明細書では、最適な故障時動作整流(OFOC)と呼ばれる。目標は、利用可能な逆起電力電圧源に定電力を供給することであるため、モータ/オルタネータは定トルクを供給し、これは、正又は負であり得る。V(t)により、機能している巻線の逆起電力電圧の列ベクトルを示す。例えば、相Wが故障していて、
図11において接続を切られていると想定する。すると、V(t)=(V
U(t),V
V(t))
Tである。2つの残りの逆起電力電圧に定電力を供給するこれら2つの相の最小二乗平均平方根(rms)の電流ベクトルは、
I(t)=(V(t)
TV(t))
-1V(t)P 式1
(式中、Pは、電磁トルクによってエンジンシャフトに供給される所望の電力レベルである)
による周知のムーア・ペンローズ逆行列で計算され得る(Pは、所望の出力電力と、摩擦、ウィンデージ、渦電流抗力などに起因する機械損失との和である)。このOFOCの利益は、電流が式1で与えられるものとぴったりではないときに大部分が達成され得ることが理解される。SVPWMが使用されるとき、電流リップルがあり、OFOCは近似されるが、良好な性能が依然として達成される。正弦波逆起電力も仮定されるが、この仮定に何らかの誤差がある場合、式1の近似値は、依然として、非常に良好な性能をもたらす。そのため、OFOCの定義は、任意の電流波形
【数21】
を含み、これは、
【数22】
(式中、Tは、電気期間であり、及びδは、0.01、0.1又は0.25である)
の意味で、式1のI(t)の値に近く、及び正規化された二乗平均平方根誤差を表す。
【0060】
図18は、
図10の回路と組み合わされ、
図16Aの回生駆動部1600に組み込まれた第2の回生駆動部の詳細である。
図18の回路は、
図16Bの回生駆動部1602として、それ自体で存在する。
図18の6つの追加的なMOSFETの第2の電力ブリッジ1807は、両図面の端子P+及びP-において
図10の電力ブリッジ1007に接続される。相Xの起電力電圧1800が示され、相Uに対してπ/6ラジアン(30度)シフトされる。同様に、相Y及びZは、相V及びWに対してπ/6ラジアン(30度)シフトされる。相導体U、V、W、X、Y、Zは、
図7Bに示すように単一の巻線に組み合わされる。低電力動作では、相X、Y及びZと関連するMOSFETはオフにされて、6つのうちの3つの動作に影響を与え得る。すなわち、2つの三相モータ/オルタネータの一方のみを使用して、低電力での回生駆動損失の大部分であり得るスイッチング損失を低減させる。
【0061】
図19は、2つの電力ブリッジが端子P+及びP-で接続されるときの、
図10の電流I
cap及び
図18の
【数23】
を示す。2つのSVPWM変調スキームは、3つの相の2つの群によって発生した電流リップルを部分的に取り消すように、同期されることが好ましい。2つの電力ブリッジの同期は、
図19の上パネル及び下パネルに、波形の相対的位置で示され、「相同期SVPWM」と呼ばれる。2つのSVPWMスキームのゼロ状態は、互いに正又は負のT
S/4秒シフトされる。そのため、1つの波形での高電流の期間は、他方の低電流の期間と位置合わせされる。そのため、バスコンデンサーに加わる電流リップルストレスは低減され、より小さい静電容量も必要とされる。相電流波形は、図示の電流波形に特徴1900、1902及び1903を引き起こす。ロケーション1904は、相U電流のピークに対応し、1906は、相V電流のピークに対応し、1903は、相X電流のピークに対応する。相Xのピークは、相Uと相Vとの間の中間であるという事実は、相トルクの良好な分布及び一方の相が障害のために失われている場合のよりロバストな動作を示す。
【0062】
図20は、
図19の2つの波形の和を示し、バスコンデンサーが経験する電流リップルを表す。rmsリップルは、いくつかの動作条件での非同期システムのリップルの約半分であり得る。これは、バスコンデンサーの電流リップル定格が、多くの場合、コンデンサーのサイズを決める制限設計因子の1つであるため、有益である。コンデンサーの電流リップルの低減により、コンデンサーのストレスを少なくし及び寿命を長くすること又はより小型及びより軽量なコンデンサーを使用することを可能にするため、信頼性を高め、重量を減少させる。
【0063】
図21Aは、ピークバス電圧が1に正規化された状態の、同期整流器サブモードにおける例示的な三相システムのバス電圧リップルを示す。電気期間T当たり6つのパルス2100があり、ピーク間電圧リップル2102は、ピークバス電圧の
【数24】
倍、すなわち13.4%である。
【0064】
図21Bは、ピークバス電圧が1に正規化された状態の、同期整流器サブモードにおける例示的な六相システムを示す。電気期間T当たり12個のパルス2104があり、ピーク間電圧リップル2106は、ピーク電圧の
【数25】
倍、すなわち3.4%である。これは、三相6パルスシステムの電圧リップルのほぼ1/4である。これは、相の正弦曲線ピークの大まかに放物形状に続いて起こる。六相システムは、同期整流モードにおいてより高い品質の電力を提供し、好ましい実施形態において使用される。21A及び21Bの波形は、純抵抗負荷に対して理想的であるが、六相モータ/オルタネータの利益を伝える役割を果たす。
【0065】
図22Aは、スロットル制御及びバッテリー充電制御のためにシステム制御装置318Aにおいて使用されるバス電力計算モジュールを示す。バス電力計算への入力は、V
bus、I
bat及びI
altであり、これらの測定値には、SVPWMスイッチング雑音、プロセッサクロック雑音、点火雑音、バスでの整流子による整流誘発電流及び電圧リップル並びに他の雑音源が入り込む程度に応じたレベルの雑音が含まれる。この雑音は、ノイズフィルタ1 2202、ノイズフィルタ2 2204及びノイズフィルタ3 2206によってそれぞれフィルタリングされる。これらのフィルタは、1次ローパスフィルタであり得、また雑音中の特定の周波数成分に同調されたノッチフィルタを含み得る。雑音源と同期される追跡ノッチフィルタも含まれ得、これは、そのようなフィルタの基準タイミングが、システム内で利用できるためである。フィルタリングされたI
bat信号及びI
alt信号は、加算ノード2200で加算されて、バス電流I
bus推定値を生じ、次いで、これに、乗算ノード2208でバス電圧V
busを乗じて、バス電力信号P
busを生じる。
【0066】
図22Bは、システム制御装置318A内に存在し、入力P
bus及びエンジンRPMに依存し、スロットルコマンドを提供するように構成された原動機スロットル制御システムを示す。エンジンRPMは、ノイズフィルタ1、2及び3の特徴のいずれか又は全てを有し得るノイズフィルタ4 2210でフィルタリングされる。スロットル制御システムモジュール2207は、フィードフォワード信号を提供するように構成され、電力対rpmマップ及び電力対スロットルマップの少なくとも1つを含む電力対スロットルフィードフォワードサブシステム2212を含む。これらのマップは、制御アルゴリズムを知らせるエンジン動力計データに基づく。各電力レベルに対する最大燃料経済性のためのスロットル及びRPM動作点は、オフラインで計算され、スロットル制御ループで使用するためにシステム制御装置318Aに記憶される。(
図3Bでは、最大燃料効率曲線350は、5100RPMを上回り、ピーク出力点370にある及びそれを下回るWOT曲線と一致することに留意されたい)。この電力フィードフォワードは、燃料消費を最小限にし、応答性の電力の生産をもたらし、利用可能な動力を増強し、航続距離を高める。さらに、フィードフォワードするためのこのアプローチは、バス電圧の変動を補償する。電力対rpmマップは、指令エンジン回転数RPM*を生じ、これは、加算接合器2214で実際のRPMとは差がある。誤差信号とも呼ばれる差は、比例積分微分(PID)制御装置2218に送信される。PID制御装置の出力は、加算器2216で電力対スロットルフィードフォワード信号が加算され、接続路918でエンジンへのスロットルコマンドを生じる。
【0067】
図23は、システム制御装置318A内に存在する充電制御システムを示す。電流サブシステム2306への電流フィードバックへの入力は、フィルタリングされるバッテリー電流I
bat(これは、その後、
図22Aに示すものと同じノイズフィルタ2 2004によってフィルタリングされる)及び接続路916でBMS 322から送信される充電状態(SOC)である。システム制御装置318Aは、SOC信号及びSOC設定点に応答して、回生駆動部電流コマンド
【数26】
を調整するように構成される。SOCは、BMSにより、必要に応じてフィルタリングされる。追加的な入力は、フル充電を表す充電状態設定点SOC*、RPM及びP
busである。電流サブシステム2306への電流フィードバックが、PID出力を提供するように構成される。SOCは、電流サブシステム2306への電流フィードバックにある差分ノード2300において設定点SOC*とは差があり、その差である誤差信号は、充電電流設定点
【数27】
を計算する充電計算器2310に送られる。I
batは、ノイズフィルタ2によってフィルタリングされた後、差分ノード2302において設定点
【数28】
と比較され、結果として生じる誤差がPID制御装置2303への入力である。電流サブシステム2306への電流フィードバック経路からのPID出力は、加算器2304で受信され、電力対電流フィードフォワードサブシステム2314から出力される電力対電流フィードフォワード信号と加算されて、回生駆動部エレクトロニクスのための回生駆動部電流コマンド
【数29】
のための設定点を生じる。
【数30】
は、モータ/オルタネータ相電流に影響を与え、これは、次に、値I
altに影響を与えることが理解される。電力対電流フィードフォワードサブシステム2314は、電流コマンドを提供するように構成され、電力対電流フィードフォワードは、ノイズフィルタ4 2210によってフィルタリングされたRPM信号を、ラジアン/秒の単位を有する角速度ωに変換することによって達成される。必要なトルクは、モジュール2310内でP
bus入力を使用して計算され、モジュール2312は、これを、モータ/オルタネータトルク定数K
τによって電流コマンドに変換する。この図面のトルク定数に適切な単位は、(ニュートン・メートル)/(アンペアピーク)である。
【0068】
代替的な実施形態では、SOC及びSOC*の差分並びに充電アルゴリズムは、BMS 322内に組み込まれ得、その後、BMSは、システム制御装置318Aに信号を送る。アルゴリズムは、上述したものと同じように機能するが、機能の所定の部分は、便宜上、異なるサブシステムに動かされ得る。この場合、異なるバッテリーパックがビークルの内外で取り替えられるため、充電アルゴリズムは、電池のエージング又は異なるパックの異なる電池特性のために異なり得る。そのため、バッテリーパックに装着されるBMSに充電アルゴリズムを有することは、システムが、その特定のバッテリーパックに適切になるように交換され得る異なる各パックを充電することを保証する。
【0069】
システム制御装置318Aは、
図24に示すようなミッション制御装置318A’と置き換えられ得る。ミッション制御装置は、システム制御装置が提供する出力信号912及び918を提供する。さらに、ミッション制御装置318A’は、舵面コマンド2404(例えば補助翼、方向舵、昇降舵及びフラップに対する)並びに推進コマンド2406(例えばプロペラ及び揚力ロータに対する)を提供する。ミッション制御装置は、システム制御装置のように入力914及び916を使用するだけでなく、飛行軌跡2400及び航法データ2402も入力として受け入れる。飛行軌跡は、時間又はパイロットからの制御信号に応じた経度、緯度及び高度であり得る。航法データは、例えば、GPSシステム又は慣性航法装置からの経度、緯度、機首方位及び高度であり得る。ミッション制御装置は、その制御出力を最適にして、ミッション性能を最大にする。性能は、燃料効率、エンジン摩耗、雑音レベル及び特定のミッションによって決定されるような他の処置の組み合わせである。例えば、最大燃料効率で動作するとき、エンジンは、ピーク燃料効率点360近くで動作するように制御されることであろう。垂直離着陸(VTOL)機の離陸中、ミッション制御装置は、ICEをピーク出力点370で動作させ、オルタネータサブモードを同期整流器サブモードに切り替え得る。より一般的に、ミッションは、ICEのオフと、ピーク燃料効率点360でのICE動作と、ピーク燃料効率曲線350に沿ったICEの動作と、ピーク出力点370近くの大きく開いたスロットルでの動作との間での動作の切り替えによって最適にされ得る。必要な出力が、ピーク燃料効率点の出力を下回るとき、ICEは、オフとピーク燃料効率点との間を交互に切り替え、バッテリーは、必要なレベルまで出力電力を平均化する機構を提供する。例えば、最大燃料効率で費やした時間である。
【0070】
ミッション制御装置318A’又はシステム制御装置318Aは、システムに、特定のミッション制約があるときに電気のみのモードで動作するように命令し得ることにも留意されたい。このモードでは、原動機エンジン300は、雑音又は熱シグニチャーを減少させるために完全に停止され得、ビークルは、バッテリー電力のみで純粋な電気ビークルとして動作し得る。このモードでは、全てのエンジン制御及び回生制御アルゴリズムが機能抑止にされる。ミッション制御装置/システム制御装置コマンドが、ハイブリッド電気動力飛行に戻ると、システム制御装置318Aからのコマンドは起動シーケンスを開始する。起動シーケンスでは、システム制御装置は、回生駆動部によってバッテリー320からの電力を使用して、モータ/オルタネータにモータ作動用トルクをもたらすだけでなく、原動機300の点火及び給油システムの動作を可能にする。システム制御装置が、原動機が始動しており、トルクをもたらしており、及び回転速度を加速していることを検出したら、モータ-オルタネータトルクを除去し、電流及び速度制御ループを初期化して開始させ、その後、前述のSVPWM又は同期整流制御モードを入力する。
【0071】
要するに、説明した本開示の実装形態は、デュアルハルバッハ配列アキシャルギャップの鉄を含まないモータ/オルタネータと併せた要素の種々の組み合わせにより、信頼できる電動飛行のために、どのように軽量で、高効率で、エネルギー密度が高いハイブリッド動力システムを提供するかを実証している。鉄を含まないモータ/オルタネータは、鉄心モータと比べて、低インダクタンス及び効率性の改善をもたらす。オルタネータとして動作しているとき、これは、出力電圧が電流に反応しにくく、電力品質が改善されることを意味する。モータとして動作しているとき、低インダクタンスは、より低いバス電圧で高トルクが達成され得ることを意味する。低インダクタンスの利点は、1に近い力率としても定量化され、これは、上述の利点並びに当技術分野で知られている他の利点がある。
【0072】
このアキシャルギャップモータ/オルタネータ形態は、原動機 - 本開示の実装形態の教示による内燃機関又はガスタービン - と組み合わされるとき、コンパクトな機械的形態を提供する。このコンパクトな形態は、モータ/オルタネータの軸長が短いため、重量を減らし、振動性能を向上させる。短い軸は、より硬質にされ、それにより、可撓軸及びロータの構造共鳴に関連付けられる回転力学的な問題を回避する。
【0073】
ロータのほとんど平面的な構造は、ロータに著しい構造質量を加えることなく、ピストン機関の動力行程からのねじりインパルス荷重に対して非常にロバストにできる。このタイプのモータ/オルタネータは、その巻線全体にわたって自然に冷却空気もポンプで送り込むため、追加的な冷却システムが必要とされない - そのため、重量が減らされ、信頼性が高められる。大きい直径で短い機械は、同じ動力及びトルク定格の、より一般的な機械と比べて、大きい慣性を有し、この高慣性は、内燃機関が、圧縮行程に打ち勝つために、所定量の慣性を必要とするため、有利であり、アキシャルギャップ機械の使用は、エンジンでのフライホイールとして機能し、追加的なシステム質量を節約する。
【0074】
デュアルハルバッハ配列は、モータ/オルタネータに高磁場を提供し、効率及び出力密度を高める。システムは、多くの小さい磁極を備えて設計され得、これにより、多くの小さい磁極によって達成可能な薄い磁石断面のためにモータ/オルタネータの質量を低下させる。その後、システムは、高電気周波数で動作し、これは、鉄損及び無効電圧のため、型にはまった一般的な従来技術のモータ/オルタネータでは非効率的である。鉄を含まないモータ/オルタネータには鉄がないため、高電気周波数での鉄損ペナルティはない。
【0075】
追加的な安全性及び信頼性が、アキシャルギャップ多相モータ/オルタネータ内の好ましいヘビのような巻線によってもたらされる。巻線のこの形は、それ自体が重なり合わず、単相で自己短絡(別名転回部間の短絡)を招くことがほぼ不可能である。これらの巻線は、好ましくは、巻線の望ましくない渦電流を減らすリッツ線から作製され得る。
【0076】
ヘビのような巻線は、相間短絡を経験し得るため、本開示の実装形態は、ワイ接続にヒューズを含むことによって安全性を高めるため、短絡した相が機能を抑止される。さらに、4本脚のワイ接続が用いられ得、ここでは、三相電気系統は、3本の相端子脚及び追加的な第4の中性端子脚を有し、ここで、3つの相巻線は集まって、ワイを形成する。電流は、相のうちの1つの相に関して巻線又は駆動部に障害がない限り、中性では流れる必要はない。欠陥がある場合、中性接続は、電流帰路を提供し、動作し続ける。
【0077】
最適な故障時動作整流(OFOC)は、正弦波逆起電力波形を備えるモータに提供され、複数の相の最大効率整流電流は、逆起電力電圧と同相である正弦波電流である。オルタネータでは、電流は、完全に相がずれる。1つ以上の巻線を失っている場合、最大効率で一定指令トルクを提供する整流電流は、必然的に変化する。OFOCは、正弦波及び非正弦波逆起電力波形に固有の最大効率相電流を提供する。
【0078】
さらに、例示的な六相形態は、ブリッジ整流器又は同期整流器が使用されるとき、冗長性、信頼性並びにバス電圧リップル及びバス電流リップルの減少をもたらす。六相モータ/オルタネータ駆動部は、単一動力変換ユニットとして又は2つの三相ワイ巻線で構成された六相モータ/オルタネータに動力供給する2つの三相回生電力変換駆動部として構成され得る。性能の向上に加えて、この実施形態は、より標準的でより低コストの三相回生駆動部を利用する。2つの三相システムは、4本脚ワイシステムとして構成され得る。
【0079】
2つの統合された三相モータ/オルタネータで構成された六相モータ/オルタネータでは、6つのうちの3つの動作を達成するために、モータ/オルタネータに関連付けられたMOSFETの全てのスイッチをオフにすることにより、そのモータ/オルタネータの1つをオフにすることが望ましいことがある。MOSFETをオンにしたりオフにしたりするとき、MOSFETゲート静電容量を充放電するために必要な電力と、MOSFETによって切り替えられる電流量とは無関係な他の「固定オーバーヘッド」電力の要求とがある。そのため、低電流では、固定オーバーヘッドは、回生駆動損失の比較的大きい部分になり得、全体効率は、6つの利用可能な相のうちの3つのみを使用することにより、高められ得る。この考えを広げたものは、任意の多相モータに応用され、ここでは、減少された数の相が駆動され得る。
【0080】
さらに、六相モータ/オルタネータでは、2つの三相モータ/オルタネータのセクションが、バスコンデンサーに対する電流ストレス、必要なバス静電容量並びに回生駆動バス電圧及び電流リップルを減少させるために相が同期されている2つの空間ベクトルパルス幅変調(SVPWM)駆動部によって駆動される。
【0081】
モータ/オルタネータがオルタネータモードで使用されるとき、2つのサブモードがある:
a.回生駆動部が相電圧をバス電圧まで押し上げるサブモード。これは、本明細書では、PWMサブモード(又は特定の空間ベクトルPWM実施によるSVPWMサブモード)であると認定される。種々のPWMスキームが使用され得ることが理解される。このモードでは、原動機速度は、最良の燃料消費率で必要なDCバス電力を生じる速度に調整され得る。このモードは、一般に、ピストン機関が一般にピーク出力の約50%及びピーク出力速度の50%で最良の燃料消費を達成するため、部分パワー動作モードに使用される。このモードでは、回生駆動部の熱損失は、導通損失とPWMスイッチング損失との間でほぼ等しく分割されるため、熱管理システム質量は、組み合わされた両損失メカニズムによって駆動される。
b.回生駆動部が同期整流器としての役割を果たすサブモード。より高速の原動機において、ピーク相間オルタネータ電圧は、DCバス電圧に到達し、それをわずかに上回り、PWMブーストは必要とされない。同期整流に切り替えることにより、スイッチング損失が低減され、電力変換エレクトロニクスの効率が上がる。さらに、電力エレクトロニクスの熱管理要件及び重み付けは、処理される最大電力に対して低減される。しかしながら、原動機速度は、DCバス電圧及びDCバス電力に関連する固定速度で厳密に調整される必要があるため、原動機の燃料消費を最適にするために原動機速度を変更するための柔軟性がない。このモードは、一般に、原動機が一般に最大回転速度近くで最大動力を達成するために、フルパワー動作に使用される。これは、同期整流器サブモードと呼ばれる。
【0082】
モータ/オルタネータ制御で使用される良く知られているdq座標では、d電流はq電圧に影響を与え、逆も同様である。これらの影響は、速度と共に高まり、モータ/オルタネータ電流制御の不安定さ及び故障を引き起こし得る。このクロスカップリング効果は、本開示の実装形態では、電流制御ループにおいて相殺され、より良好なシステムの信頼性をもたらす。
【0083】
動力バスの電気的要求量に対する原動機内燃機関の応答時間は、本開示の実装形態の斬新的な制御スキームによって改善される。バス動力に対するほぼ瞬間的な反応は、RPM設定点及びスロットル設定点で影響される。この制御技術は、RPM及びスロットルコマンドを知的に計算するために、動力計データを使用する。本発明のある実施形態では、RPM設定点及びスロットル設定点の情報のいずれか又は両方が使用され得ることが理解される。
【0084】
最後に、ミッション制御装置の使用は、ミッション中の最善のICEの速度と動力の時間プロファイルを練り、解決するための体系的な方法を提供する。ミッション要件を満たすために、航続距離は最適にされ、雑音は所定の期間最小限にされるか、又はピーク出力が離陸中又は他の期間にもたらされ得る。
【0085】
特許法に必要とされるような種々の実装形態をこれまで詳細に説明してきており、当業者は、本明細書で開示した特定の実装形態に対する修正及び置換を認識するであろう。そのような修正は、以下の特許請求の範囲及び意図内にある。本明細書及び特許請求の範囲内では、用語「含む」、「組み込む(incorporate)」、「組み込む(incorporates)」又は「組み込んでいる」、「包含する(include)」、「包含する(includes)」又は「包含している」、「有する(has)」、「有する(have)」又は「有している」及び「含有する(contain)」、「含有する(contains)」又は「含有している」は、限定しない列挙であることを意図し、追加的又は均等な要素が存在し得る。本明細書及び特許請求の範囲内で使用されるような用語「実質的に」は、列挙した特性、パラメータ又は値が、厳密に達成される必要がなく、例えば、許容範囲、測定誤差、測定精度限界及び当業者に公知の他の要因を含む逸脱又は変動が、特性が提供することを意図した影響を除外しない量で起こり得ることを意味する。
【国際調査報告】