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  • 特表-黄斑色素の光安定性の模倣 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】黄斑色素の光安定性の模倣
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20231214BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20231214BHJP
   G02C 7/10 20060101ALI20231214BHJP
   C09B 5/34 20060101ALI20231214BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20231214BHJP
   C07D 219/06 20060101ALI20231214BHJP
   C08F 220/00 20060101ALI20231214BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G02B5/22
G02C7/04
G02C7/10
C09B5/34
A61F2/16
C07D219/06
C08F220/00
C08F290/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574488
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 IB2021061175
(87)【国際公開番号】W WO2022130089
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,382
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/456,659
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン・シブクマル
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
4C097
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
2H006BB00
2H006BE05
2H148CA04
2H148CA09
2H148CA14
2H148CA20
4C097AA25
4C097BB01
4C097DD01
4C097SA10
4J100AL08P
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100AL09Q
4J100AL66Q
4J100AM19Q
4J100BA02P
4J100BA03P
4J100BA03R
4J100BA05S
4J100BA08Q
4J100BA34S
4J100BA40S
4J100BA72P
4J100BA80P
4J100BA81P
4J100BC43R
4J100BC65S
4J100BC73R
4J100DA37
4J100DA65
4J100FA03
4J100FA18
4J100JA34
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB021
4J127BB101
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD291
4J127BG381
4J127BG38Y
4J127CB151
4J127CB152
4J127CB153
4J127CB284
4J127CC034
4J127CC093
4J127CC134
4J127CC232
4J127CC254
4J127CC264
4J127CC294
4J127CC351
4J127DA41
4J127EA12
4J127EA13
4J127FA24
4J127FA25
4J127FA26
4J127FA27
4J127FA28
(57)【要約】
可視光吸収化合物が記載される。本化合物は、430nm~480nmの可視光吸収極大、及び可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nmの半値全幅(FWHM)を有し、光安定性である。本化合物は、熱的にも安定である。本化合物は、光安定性と熱安定性とを維持しながら黄斑色素の可視光吸収特性を実質的に模倣する。本化合物は、眼科用装置を含む種々の物品に使用されてもよい。式(I):
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
430nm~480nmの可視光吸収極大、及び前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、光安定的であり、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、化合物。
【請求項2】
前記可視光吸収極大は、440nm~470nmである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記可視光吸収極大における前記FWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、請求項1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
光安定性が、前記可視光吸収極大における、20%以下の吸光度の損失を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
430nm~480nmの可視光吸収極大、及び前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、黄斑色素よりも光安定的であり、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、化合物。
【請求項6】
発色団を含む化合物であって、前記発色団が、式I:
【化1】
の下部構造を有し、
式中、EWGは、電子求引基であり、前記化合物が、440nm~480nmの範囲の可視光吸収極大を有する、化合物。
【請求項7】
EWGが、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
EWGがシアノである、請求項6~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式II:
【化2】
のものであり、
式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、なお、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、それらは出現ごとに独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロで置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、なお、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基である、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
【化3】
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、光安定的である、請求項6~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記可視光吸収極大は、440nm~470nmである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記可視光吸収極大における前記FWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、請求項11~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
光安定性が、前記可視光吸収極大における、20%以下の吸光度の損失を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、黄斑色素よりも光安定的である、請求項6~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、請求項6~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物を含む眼科用装置。
【請求項18】
前記眼科用装置を作製するのに好適なモノマーと、(b)請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物と、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、コンタクトレンズ又は眼内レンズ。
【請求項19】
(a)鉱物材料若しくは有機材料、又はこれらの組み合わせと、(b)請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物と、を含む、眼鏡又はサングラスのレンズ。
【請求項20】
熱的に安定である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
式II:
【化4】
の化合物を製造する方法であって、
式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、なお、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、それらは出現ごとに独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロで置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、なお、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基であり、
前記方法は、
式II-A:
【化5】
のN-置換アクリドンを提供することと;
前記N-置換アクリドンを、トリフェニルホスフィンジブロミドと、式:
【化6】
の試薬とで処理することと;
式IIの前記化合物を単離することと、
を含む、方法。
【請求項22】
EWGは、CNである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
m及びnは、0である、請求項21~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
Rは、C~Cアルキルである、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
Tは、NRである、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
式IIの前記化合物は、
【化7】
である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月18日出願された米国仮特許出願第63/127,382号の優先権を主張する、2021年11月29日に出願された米国特許出願第17/456,659号の優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、可視光吸収剤に関する。より具体的には、本発明は、光安定性を維持しながら黄斑色素の可視光吸収特性を実質的に模倣する化合物に関する。本化合物は、眼科用装置を含む種々の物品に使用されてもよい。
【背景技術】
【0003】
ヒトの眼組織は、黄斑色素(MP)として一括して知られる、食物由来カロテノイド(カロチノイド)のルテイン(L)及びゼアキサンチン(Z)を含有する。例えば、短波長(青色光)フィルタとして、また強力な酸化防止剤として、MPの利点を記載しているいくつかの報告がなされてきた。MPはまた、年齢に関連した黄斑変性症(AMD)に対する保護的役割を担う、と考えられている(Bernstein,P.S.,Li,B.,Vachali,P.P.,Gorusupudi,A.,Shyam,R.,Henriksen,B.S.,Nolan,J.M.Prog.Retin.Eye Res.2016,50,34-66;Beatty,S.,Boulton,M.,Koh,H-H.,Murray,I,J.Br.J.Ophthalmol 1999,83,867-877)。黄斑色素は、光応力回復時間、視力低下グレアコントラスト閾値の低減、及び視覚的不快感の低減と著しく相関関係があるということが、更に判明している(Stringham,J.M.,Garcia.,P.V.,Smith,P.A.,McLin,L,N.,Foutch,B.K.IOVS,2011,52(10)7406-7415)。
【0004】
黄斑色素に関連する化学物質は、広範な不飽和を有し、光励起時にオレフィン異性化及び酸化に非常に反応性であるカロチノイド誘導体である。カロチノイドが提供する酸化防止保護機構は本質的に犠牲的であり、pi系の励起は、その励起状態とトリプレット酸素との反応をもたらし、それによって、眼の環境におけるその他の感光性化合物の励起及び反応を保護/制限する。例えば、Ribeiro,et al.,Food and Chemical Toxicology,Vol.120,pp.681-699(2018);Burton,et al.,Can.J.Chem.,Vol.92,pp.305-316(2014);Ty,et al.,Journal of Oil Palm Research Vol.II No.1,pp.62-78(June1999);Johnston,et al.,Plos One,Vol.9(10),pp.1-10(2014);及びBoon,et al.,Critical Reviews in Food Science and Nutrition,Vol.50,pp.515-532(2010)を参照のこと。
【0005】
眼の保護を提供する目的で黄斑色素を製品に組み込むことが望ましいが、カロチノイドの安定性(熱、酸化、及び光化学)の全体的な欠如は、このような製品の開発に非常に高い障害をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、黄斑色素の光吸収特性を模倣する新たな安定性の材料が開発された場合には、有意な進歩であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、400~500nmの波長範囲の光を吸収し、黄斑色素の吸収スペクトルを実質的に模倣する吸収スペクトルを有する化合物に関する。このような化合物はまた、例えば、ICH Q1Bに記載されているものと類似の条件に曝露された際に、吸収特性の変化/損失に関して測定される場合であっても光安定性である。なお、化合物は、400nm~500nmの範囲内の所望の波長で高い吸光係数を示す場合があり、したがって、低濃度で使用されて、それらの光吸収効果を提供してよい。更に、この化合物は熱的に安定的である。本明細書に記載された化合物は、例えば、眼科用装置において使用されて、例えば、着用者の黄斑色素光学密度(MPOD)を補うことができる。
【0008】
したがって、一態様では、本発明は、430nm~480nmの可視光吸収極大、及び可視光吸収極大において、少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、しかも光安定的である化合物を提供する。化合物は、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を示してもよい。
【0009】
別の態様では、本発明は、430nm~480nmの可視光吸収極大を有し、かつ可視光吸収極大において、少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、黄斑色素よりも光安定的な化合物を提供する。化合物は、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を示してもよい。
【0010】
更なる一態様では、本発明は、430nm~480nmの可視光吸収極大、及び可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、熱安定的な化合物を提供する。化合物は、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を示してもよい。
【0011】
別の一態様では、本発明は、430nm~480nmの可視光吸収極大、及び可視光吸収極大において、少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、黄斑色素よりも熱的に安定的である化合物を提供する。化合物は、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を示してもよい。
【0012】
更なる態様では、本発明は、発色団を含む化合物を提供し、その発色団は式I:
【0013】
【化1】
の下部構造を有し、EWGは、電子求引基である。化合物は、440~480nm、又は450~475nm、又は460~470nmの範囲に可視光吸収極大を示し得る。
【0014】
また更なる一態様では、本発明は、本明細書に記載された化合物を含む眼科用装置を提供する。
【0015】
また別の更なる態様では、本発明は、本明細書に記載された化合物を製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】黄斑色素の文献におけるスペクトルに重ね合わせた、本発明の化合物A及び化合物Bの、0.1mMメタノール溶液の、UV-VIS吸光スペクトルを示す。
図2】化合物Bから調製されたコンタクトレンズの、UV-VIS透過スペクトルを示す。
図3】熱ストレス又は光ストレス処理の前後の化合物Bから調製されたコンタクトレンズの、UV-VIS透過スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の説明に記載されている構造又はプロセス工程の詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は他の実施形態が可能であり、本明細書に記載の教示を用いた様々な方法によって実行又は実施することが可能である。
【0018】
本開示において使用される用語に関しては、以下の定義が提供される。
【0019】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。ポリマーの定義は、Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示される定義に一致する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意選択のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0021】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、ある構造が置換基R及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9とおりの組み合わせが開示されるということになる。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0022】
一般式[***における「n」などの下付き文字が、ポリマーの化学式における繰り返し単位の数を表示するために使用されるとき、式は、高分子の数平均分子量を表すと解釈すべきである。
【0023】
「個体」という用語は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0024】
「生物医学用デバイス」という用語は、哺乳類の組織又は体液の中又は上のいずれか、好ましくは、ヒトの組織又は体液の中又は上のいずれかにおいて用いられるように設計されている、任意の物品を指す。これらのデバイスの例としては、創傷包帯、シーラント、組織補填体、薬物送達システム、コーティング、癒着防止バリア、カテーテル、インプラント、ステント、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズなどの眼科用デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。生物医学用デバイスは、眼科用デバイス、具体的にはコンタクトレンズ、最も具体的にはシリコーンヒドロゲル又は従来のヒドロゲルから作製されるコンタクトレンズであってもよい。
【0025】
「眼の表面」という用語は、角膜、結膜、涙腺、副涙腺、鼻涙管、及びマイボーム腺の表面及び腺上皮、並びにそれらの先端及び基部マトリクス、点、並びに神経支配による上皮の連続性と内分泌系及び免疫系との両方によって機能的システムとして連結されている瞼を含む隣接した又は関連する構造を含む。
【0026】
用語「眼科用装置」とは、眼若しくは眼の任意の一部(眼の表面を含む)の中又は上に存在する任意の光学装置を意味する。これらのデバイスは、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科用デバイスの例としては、限定されるものではないが、レンズ、光学及び眼挿入物(限定されるものではないが、涙点プラグを含む)などが挙げられる。「レンズ」は、眼鏡レンズ、サングラスレンズ、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバーレイレンズを含む。眼科用デバイスは、コンタクトレンズを含み得る。
【0027】
「コンタクトレンズ」という用語は、個体の眼の角膜上に置くことができる眼科用デバイスを指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の送達、診断的評価若しくはモニタリング、紫外線吸収、可視光若しくはグレアの低減、又はこれらの任意の組み合わせを含む、矯正的、美容的、又は治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光透過、若しくはこれらの組み合わせなどの、異なる物理、機械、若しくは光学特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0028】
眼鏡レンズ又はサングラスは、例えば、ケイ酸塩に基づく鉱物材料から構成されてもよい、又はポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート/ポリカーボネートコポリマー、及び当該技術分野において周知の種々のその他の材料などの有機材料から作製されてもよい。
【0029】
本発明の生物医学用デバイス、眼科用デバイス、及びレンズは、シリコーンヒドロゲル又は従来のヒドロゲルで構成され得る。シリコーンヒドロゲルは、典型的には、硬化されたデバイス内で互いに共有結合した、少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含有する。
【0030】
「標的高分子」は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、希釈剤などを含む反応性モノマー混合物から合成されている高分子を意味する。
【0031】
「重合性化合物」という用語は、1つ以上の重合性基を含有する化合物を意味する。この用語は、例えば、モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、架橋剤などを包含する。
【0032】
「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、好ましくはフリーラジカル重合などの、例えばラジカル重合開始条件に供されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。重合性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート基、スチリル基、(メタ)アクリルアミド基、及びビニル基が挙げられる。好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート官能基、(メタ)アクリルアミド官能基、N-ビニルラクタム官能基、N-ビニルアミド官能基、ビニルカーボネート官能基、ビニルエーテル官能基、ビニルカルバメート官能基、及びスチリル官能基から選択される。より好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドから選択される。重合性基は、非置換であってもよく、又は置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよく、又は水素は、アルキル若しくはシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)によって置換されてもよい。
【0033】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0034】
「モノマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的高分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。「疎水性成分」は、25℃で脱イオン水中でわずかに可溶性又は不溶性であるモノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。
【0035】
「高分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0036】
「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的高分子の化学構造内に繰り返し単位を作り出すことができる1つの基を有する高分子である。一般的に、マクロマーの化学構造は、標的高分子の化学構造とは異なり、すなわち、マクロマーのペンダント基の繰り返し単位は、標的高分子又はその主鎖の繰り返し単位とは異なる。モノマーとマクロマーとの間の差は、ペンダント基の化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。結果として、かつ本明細書で使用するとき、特許文献は、約1,500ダルトン以下の比較的低い分子量を有する重合性化合物としてモノマーを定義することがあり、これは、本質的にいくつかのマクロマーを含む。具体的には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、モノマー又はマクロマーと称され得る。更に、特許文献は、1つ以上の重合性基を有するものとしてマクロマーを定義することがあり、マクロマーの一般的な定義を本質的に拡大してプレポリマーを含む。結果として、かつ本明細書で使用するとき、二官能性及び多官能性マクロマー、プレポリマー、及び架橋剤は、互換的に使用され得る。
【0037】
「シリコーン含有成分」は、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性混合物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はポリマーである。
【0038】
本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
「ポリマー」は、重合中に使用されるモノマーの繰り返し単位で構成される標的高分子である。
【0040】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントから成る。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0041】
「繰り返し単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の原子の最小の基である。
【0042】
「開始剤」は、続いてモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるラジカルに分解可能である分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型例は、1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0043】
「架橋剤」は、分子上の2つ以上の位置でフリーラジカル重合を受け、それによって分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことができる、二官能性又は多官能性モノマー又はマクロマーである。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0044】
「プレポリマー」は、更に反応を受けてポリマーを形成可能な、残存している重合性基を含有するモノマーの反応生成物である。
【0045】
「ポリマーネットワーク」は、膨潤し得るが溶媒に溶解できない架橋高分子である。「ヒドロゲル」は、典型的には少なくとも10重量%の水を吸収しながら、水又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分と共に少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0046】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しない成分から作製されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、親水性モノマーを含む反応性混合物から調製される。例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルが挙げられる。米国特許第4,436,887号、同第4,495,313号、同第4,889,664号、同第5,006,622号、同第5,039459号、同第5,236,969号、同第5,270,418号、同第5,298,533号、同第5,824,719号、同第6,420,453号、同第6,423,761号、同第6,767,979号、同第7,934,830号、同第8,138,290号、及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示している。市販の従来のヒドロゲルとしては、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びビフィルコン(vifilcon)(それらの変形の全てを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分及び少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるポリマーネットワークを指す。反応性混合物中に存在してもよい親水性成分の好適な族の例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニルウレア、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーン含有成分は周知であり、特許文献に広く記載されている。例えば、シリコーン含有成分は、少なくとも1つの重合性基(例えば、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又は前述の混合物)、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基をシロキサン基に接続する1つ以上の連結基(化学結合であり得る)を含んでよい。シリコーン含有成分は、例えば、1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有し得る。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。シリコーンヒドロゲルレンズはコーティングを含んでもよく、コーティングは、基質と同じ又は異なる材料であってもよい。
【0048】
シリコーンヒドロゲルの例としては、アクアフィルコン(acquafilcon)、アスモフィルコン(asmofilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、サムフィルコン(samfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)、及びステンフィルコン(stenfilcon)(これらの変形の全てを含む)に加えて、米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/0048847号で調製されるようなシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
「相互貫入ポリマーネットワーク」は、分子スケールで少なくとも部分的に交絡しているが、互いに共有結合しておらず、制動化学結合なしに分離することができない、2つ以上のネットワークを含む。「半相互貫入ポリマーネットワーク」は、1つ以上のネットワークと、少なくとも1つのネットワークと少なくとも1つのポリマーとの間の分子レベルで何らかの混合によって特徴付けられる1つ以上のポリマーと、を含む。異なるポリマーの混合物は、「ポリマーブレンド」である。半相互貫入ネットワークは、技術的にはポリマーブレンドであるが、場合によっては、ポリマーは、容易に除去することができないように絡まっている。
【0050】
「反応性成分」は、(以下で定義された)反応性混合物中の重合性化合物(モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、及び架橋剤など)であり、同様に、重合並びに全てのワークアップ工程(抽出工程など)及び包装工程が完了した後、結果として得られるポリマーネットワーク内に実質的に残留することが意図される反応性混合物中の任意の他の成分である。反応性成分は、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互貫入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の手段によって、ポリマーネットワーク内に保持され得る。使用時にポリマーネットワークから放出することを意図した成分は、まだ「反応性成分」と考えられる。例えば、装用中に放出されることが意図されるコンタクトレンズ内の医薬又は栄養補助成分は、「反応性成分」とみなされる。希釈剤などの製造プロセス中(例えば、抽出によって)ポリマーネットワークから除去されることが意図される構成成分は、「反応性成分」ではない。
【0051】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」という用語は、一緒に混合され、重合条件に供されると、ポリマーネットワーク(従来の又はシリコーンヒドロゲルなど)、並びにこれらから作製される、生物医学的デバイス、眼科用デバイス、及びコンタクトレンズの形成をもたらす成分の混合物を指す。反応性モノマー混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び開始剤などの反応性成分、湿潤剤、ポリマー、染料、UV吸収剤などの光吸収化合物、顔料、染料、及びフォトックロミック化合物、並びに医薬化合物及び栄養補助化合物などの添加剤(これらはいずれも重合性又は非重合性であってよいが、得られる生物医学用デバイス(例えばコンタクトレンズ)内に保持されることが可能である)、を含んでいてよい。反応性混合物はまた、希釈剤などの使用前にデバイスから除去されることが意図される他の成分を含有してもよい。製造されるコンタクトレンズ及び意図する用途に応じて、広範囲の添加物が添加され得ると理解される。反応性混合物の成分の濃度は、したがって希釈剤を除く、反応性混合物中の全ての成分の重量百分率として表される。希釈剤が使用される場合、それらの濃度は、反応性混合物中の全ての成分(希釈剤を含む)の量に基づき重量パーセントで表される。
【0052】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」という用語は、少なくとも1つのシリコーン含有化合物から作製されるヒドロゲルコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは全般的に、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0053】
「多官能性」という用語は、2つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0054】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0055】
「アルキル」は、指定された数の炭素原子を含有する任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が指定されていない場合、アルキル(アルキル上の任意選択の置換基を含む)は、1~16個の炭素原子を含有していてよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、或いは1~8個の炭素原子、或いは1~6個の炭素原子、或いは1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アルキレン」は、二価のアルキル基、例えば、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)CH-、及び-CHCHCHCH-を意味する。
【0056】
「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン原子によって置換された上で定義したアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、-CF-又は-CFCF-などのペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、-CHCF-などの二価ハロアルキル基を意味する。
【0057】
「シクロアルキル」は、指定された数の環炭素原子を含有する任意選択で置換された環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくはC~Cシクロアルキル基、C~Cシクロアルキル、より好ましくはC~Cシクロアルキル、更により好ましくはC~Cシクロアルキルである。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0058】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置換されている、上で定義したシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環及び/又はフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0059】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する、任意選択で置換された芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意選択で、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよく、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0060】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子によって置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよく、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0061】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して親分子に結合しているアルキル基を意味する。チオアルキル基の例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、及びイソプロピルチオが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0062】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、-CHCHNH-などの二価アルキルアミン基を意味する。
【0063】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]-であって、式中、nは2以上である構造)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるR基(Rは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義されるとおりである)によって置換されている。
【0064】
「シリル」は、式RSi-の構造を指し、「シロキシ」は、式RSi-O-の構造を指し、式中、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC~Cシクロアルキルから独立して選択される。
【0065】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O-)-又は-(O-アルキレン)-の基を指し、ここで、アルキレンは、上で定義したとおりであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、独立して、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ以上の基によって、任意選択で置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中の末端基を形成する場合、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CHCHO]-又はCHO-[CHCHO]-)であり得る。アルキレンオキシの例としては、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0066】
「オキサアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH基が酸素原子によって置換されている、例えば-CHCHOCH(CH)CH-などの上で定義したアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、1つ以上の隣接していないCH基が硫黄原子によって置換されている、-CHCHSCH(CH)CH-などの、上で定義したアルキレン基を指す。
【0067】
「連結基」という用語は、重合性基を親分子に連結させる部分を指す。連結基は、連結基がその一部である化合物に適合し、化合物の重合を不所望に妨害せず、重合条件、更には最終生成物の加工及び保管の条件下で安定である任意の部分であってよい。例えば、連結基は、結合であってもよく、又は1つ以上の、アルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、エステル(-CO-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ以上のハロ基によって置換されたアルキレンオキシ、例えば、-OCF-、-OCFCF-、-OCFCH-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。連結基は、1つ以上の置換基によって、任意選択で置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、MeO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(1つを超えるアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルによって、任意選択で置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバメート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。連結基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基によって置換されてもよい(連結基が連結している重合性基に加えて)。
【0068】
好ましい連結基としては、C~Cアルキレン(好ましくはC~Cアルキレン)、C~Cオキサアルキレン(好ましくはC~Cオキサアルキレン)、C~Cチアアルキレン、C~Cアルキレン-カルボキシレート-C~Cアルキレン、C~Cアルキレン-アミド-C~Cアルキレン、及びC~Cアルキレン-アミン-C~Cアルキレンが挙げられ、これらの各々は、ヒドロキシル及びシロキシからそれぞれ独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0069】
連結基が上述のような部分(例えば、アルキレン及びシクロアルキレン)の組み合わせから成る場合、部分は任意の順序で存在してもよい。例えば、下記の式Aにおいて、Lが、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-、又はRg-シクロアルキレン-アルキレン-のいずれかであってもよい。これにかかわらず、列記する順序は、連結基が結合している末端重合性基(Rg又はPg)から始まって、その部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。例えば、式Aにおいて、Lが、アルキレン-シクロアルキレンであると示されている場合、Rg-Lは、好ましくは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-である。
【0070】
「電子求引基」(electron withdrawing group、EWG)という用語は、電子求引基が結合している原子又は原子の群から電子密度を求引する化学基を指す。EWGの例としては、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいEWGは、シアノ(CN)である。
【0071】
用語「光吸収化合物」とは、(例えば、380~780nmの範囲の)可視スペクトル内の光を吸収する化学物質を意味する。「高エネルギー放射線吸収剤」、「UV/HEV吸収剤」又は「高エネルギー光吸収化合物」とは、種々の波長の紫外線、高エネルギー可視光、又はその両方を吸収する化学物質である。ある材料が特定の波長の光を吸収する能力は、そのUV/Vis透過スペクトル又は吸光スペクトルを測定することによって決定することができる。
【0072】
本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含有する場合、別途に特定しない限り、化合物は、シス、トランス、Z-、及びE-配置を包含することを意図する。同様に、全ての互変異性体及び塩形態も包含することを意図する。
【0073】
「任意選択の置換基」という用語は、基礎にある水素原子が置換基によって任意選択で置換されることを意味する。置換部位において立体的に実用的であり、合成的に実現可能な任意の置換基が使用され得る。適切な任意の置換基の同定は、当業者の能力の範囲内である。「任意の置換基」の例としては、限定されないが、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、SONa、又は-Y-Pが挙げられ、ここで、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり、Yは連結基であり、Pは重合性基である。前述の置換基は、任意選択の置換基(これは、別途指示がない限り、好ましくは、更に置換されていない)によって、任意選択で置換されてもよい。例えば、アルキルは、ハロによって置換されてもよい(例えば、その結果、CFをもたらす)。
【0074】
「下部構造」とは、(原子がその他の原子又は基に結合し得る)任意のその他の原子による1つ以上の水素原子の置換を介して、その化学構造に由来する任意の化合物の化学構造を意味する。置換は、例えば、独立して選択される任意選択の置換基を有する1個以上の、好ましくは1、2、又は3個の、より好ましくは1又は2個の、より好ましくは1個の水素原子であってもよい。「下部構造」の定義に包含されるのは、下部構造体が、(例えば、1つ以上の重合性基を含有する)モノマー、ポリマー、又は巨大分子などの、より大きな化合物の断片を形成する材料である。
【0075】
「可視光吸収極大」とは、光の吸光度が最大である可視光波長範囲(380nm~760nm)内の波長を意味する。定義は、UV領域内などの可視光範囲外の、全体的な吸収極大を示す材料を包含する。
【0076】
用語「光安定性(photostable)」、「光安定性(photostability)」、又は類似の表現は、(測定された場合に、ヒドロゲルコンタクトレンズなどの眼科用装置に任意選択的に埋め込まれて、ブリスターパック又はバイアル瓶の内部又は外側のいずれかで任意選択的に測定されてもよい)化合物が、調和国際会議(International Conference on Harmonisation(ICH))のヒト用医薬品の登録ガイドラインに関する技術的要求事項(Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use guideline)であるQ1Bの、新規薬品物質の光安定性試験(Photostability Testing of New Drug Substances and Products,1996年11月公表)のようなものなどの条件下において、光への曝露後の可視光吸収極大における吸光度の損失が20パーセント以下である、ということを示すことを意味する。好ましくは、曝露は、ICH光安定性ガイドラインの下で実施され、1.5192×10ルクス時の推定照度曝露(168.8時間の曝露時間)及び259.4ワット時/mの推定紫外線照射曝露(16.2時間の曝露時間)で、Option 2光源を使用して、好ましくは25℃/環境相対湿度下に制御される光安定性チャンバ内で行われる。曝露後、試料の紫外線/可視スペクトルを収集し、曝露前の試料のスペクトルと比較する。変化は、曝露前に観察された、レンズの可視光吸収極大に対して計算される。例として、曝露前の可視光吸収極大での吸光度が4吸光度単位であり、曝露後に2つの吸光度単位である場合、吸光度の損失は50パーセントである。本発明において、光曝露後の吸光度の損失は、好ましくは15パーセント以下、又は10パーセント以下、又は7パーセント以下、又は5パーセント以下、又は4パーセント以下、又は3パーセント以下、又は2パーセント以下、又は1パーセント以下、又は0.5パーセント以下、又は0.1パーセント以下である。
【0077】
用語「黄斑色素よりも一層光安定性である」又は同様の表現は、(試験された場合に、ヒドロゲルコンタクトレンズなどの眼科用装置に任意選択的に埋め込まれて、ブリスターパックの内部又は外側のいずれかで任意選択的に測定されてもよい)化合物が、上記のようなICH光安定性ガイドラインの下で光に曝露した後、黄斑色素で観察されるよりも、可視光吸収極大における吸光度の損失がより少ないということを示すことを意味する。
【0078】
半値全幅(FWHM)という用語は、その最大輝度の半分における吸光度ピークの幅を意味する。
【0079】
用語「熱的に安定な」、「熱安定性」、又は同様の表現は、以下の実施例に記載されるように、化合物(測定される場合、ヒドロゲルコンタクトレンズなどの眼科用デバイスに任意選択で埋め込まれてもよく、ブリスターパック又はバイアルの内部又は外部のいずれかで任意選択で測定されてもよい)が、89℃の安定性チャンバ内で1ヶ月間曝露された後に、可視光吸光度極大で20パーセント以下の吸光度の損失を示すことを意味する。曝露後、試料の紫外線/可視スペクトルを収集し、曝露前の試料のスペクトルと比較する。変化は、曝露前に観察された、レンズの可視光吸収極大に対して計算される。例として、曝露前の可視光吸収極大での吸光度が4吸光度単位であり、曝露後に2つの吸光度単位である場合、吸光度の損失は50パーセントである。本発明において、熱曝露後の吸光度の損失は、好ましくは20パーセント以下、好ましくは15パーセント以下、又は12パーセント以下、又は10パーセント以下、又は5パーセント以下、又は4パーセント以下、又は3パーセント以下、又は2パーセント以下、又は1パーセント以下、又は0.5パーセント以下、又は0.1パーセント以下である。
【0080】
用語「黄斑色素よりも一層熱安定的である」又は同様の表現は、(試験された場合に、ヒドロゲルコンタクトレンズなどの眼科用装置に任意選択的に埋め込まれて、ブリスターパックの内部又は外側のいずれかで任意選択的に測定されてもよい)化合物が、上述のような熱曝露に曝露した後、黄斑色素で観察されるよりも、可視光吸収極大における吸光度の損失がより少ないということを示すことを意味する。
【0081】
別途記載のない限り、比率、百分率、部などは重量による。
【0082】
別途記載のない限り、例えば、「2~10(from 2 to 10)」、又は「2と10との間(between 2 and 10)」におけるような数字範囲は、その範囲を定義する数字(例えば、2及び10)を含む。
【0083】
上記のように、一態様では、本発明は、黄斑色素の可視光吸収特性を実質的に模倣する化合物を提供する。化合物は黄斑色素よりも一層光安定性であり、したがって、製品の製造に使用することができる。例えば、化合物は、眼科用装置に使用されてもよい。
【0084】
したがって、本発明の化合物は、430nm~480nmの可視光吸収極大、及び可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nmの半値全幅(FWHM)を有してもよい。化合物は、(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定された場合)光安定的であってもよい。化合物は、黄斑色素よりも一層光安定性である場合がある。
【0085】
化合物は、440nm~480nm、又は450nm~475nm、又は455nm~475nm、又は460nm~470nmの可視光吸収極大を有してもよい。
【0086】
化合物は、可視光吸収極大において、少なくとも35nm、又は少なくとも40nm、又は少なくとも45nm、又は少なくとも55nm、又は少なくとも60nmのFWHMを示してもよい。化合物は、可視光吸収極大において、最大125nm、最大100nm、最大95nm、最大90nm、最大85nm、又は最大80nm、又は最大75nm、又は最大70nmのFWHMを示してもよい。可視光吸収極大におけるFWHMは、35nm~150nm、35nm~100nm、45nm~90nm、55nm~80nm、又は60nm~75nm、又は60nm~70nm、又は62nm~67nmの範囲であってもよい。
【0087】
本発明の化合物は、可視光吸収極大において、少なくとも5000、又は少なくとも5500、又は少なくとも6000、又は少なくとも6500、又は少なくとも7000、又は少なくとも7500、又は少なくとも7740、又は少なくとも7800、又は少なくとも8000、又は少なくとも9000、又は少なくとも10,000、又は少なくとも11,000、又は少なくとも12,000、又は少なくとも12,500のモル吸光係数を示し得る。モル吸光係数は、材料に固有の特性であり、ランベルト・ベールの法則を用いて吸光度データから計算することができる。単位は典型的にはL・mol-1・cm-1である。
【0088】
本発明の化合物は、発色団を含む化合物であって、発色団が、式I:
【0089】
【化2】
の下部構造を有し、式中、EWGは電子求引基であり、化合物が、440~480nm、又は450~475nm、又は460~470nmの範囲の可視光吸収極大を有する。EWGは、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドであってもよい。好ましくは、EWGはシアノである。
【0090】
本発明の化合物は、式II:
【0091】
【化3】
のものであってよく、式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、ここで、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、各出現において独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロによって置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、ここで、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキル、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基である。
【0092】
式IIの化合物は、好ましくは、1つ又は2つのY-P基を含有する。より好ましくは、化合物は、1つのY-P基を含有する。
【0093】
式IIの化合物は、それ自身が、m及びnは独立して0又は1であるか、或いは両方が0である式IIの化合物である、式II-1の化合物を含むことができる。
【0094】
式II及び式II-1の化合物は、それ自身が、nが0かつmが1である、式II又は式II-1の化合物である式II-2の化合物を含むことができる。
【0095】
式II、II-1、及びII-2の化合物は、それ自身が、nが0であり、mが1であり、かつRがC~Cアルキル又はC~Cアルコキシである、式II、II-1又はII-2の化合物である、式II-3の化合物を含むことができる。
【0096】
式II、II-1、II-2、及びII-3の化合物は、それ自身が、RがH又はC~Cアルキルである、式II、II-1、II-2、又はII-3の化合物である、式II-4の化合物を含むことができる。好ましくは、RはC~Cアルキルである。
【0097】
式II、II-1、II-2、II-3、及びII-4の化合物は、それ自身が、TがNRであり、かつR6がH又はC~Cアルキルである式II、II-1、II-2、II-3、又はII-4の化合物である、式II-5の化合物を含むことができる。好ましくは、RはHである。
【0098】
式II、II-1、II-2、II-3、II-4、及びII-5の化合物は、それ自身が、P(重合性基)は、出現ごとに独立して、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、式II、II-1、II-2、II-3、II-4、又はII-5の化合物である、式II-6の化合物を含むことができる。重合性基により、本発明の化合物は、モノマー、架橋剤、及びポリマーデバイスの作製に一般的に使用される他の成分と反応させたときに共有結合を形成することが可能になる。化合物と反応性混合物との適合性は、重合性基(及び連結基)の選択によって制御することができる。好ましい重合性基としては、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。より好ましい重合性基は、メタクリレートである。
【0099】
式II、II-1、II-2、II-3、II-4、II-5、及びII-6の化合物は、それ自身が、Y(連結基)は、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン(例えば、フェニレン)、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又は前述の基の任意の組み合わせである、式II、II-1、II-2、II-3、II-4、II-5、又はII-6の化合物である、式II-7の化合物を含むことができる。好ましい連結基としては、C~Cアルキレン(例えば、エチレン又はプロピレン)、C~Cオキサアルキレン、C~Cアルキレン-アミド-C~Cアルキレン、及びC~Cアルキレン-アミン-C~Cアルキレンが挙げられる。特に好ましいのは、C~Cアルキレン、特にエチレン(-CHCH-)である。式IIの化合物中のTがOである場合、Oが結合している連結基の炭素原子が妨害されることが好ましい。例えば、TがOであり、そしてYがアルキレンである場合、好ましいアルキレンは、-C(R(CH-であり、ここで、Rは、独立して、C-Cアルキル(好ましくは、独立して、メチル又はエチル)であり、そしてxは、1~5である。
【0100】
式II、II-1、II-2、I-3、II-4、II-5、II-6、及びII-7の化合物は、それ自身が、Tは結合であるか、又はNR(好ましくはNH)である、式II、II-1、II-2、I-3、II-4、II-5、II-6、及びII-7の化合物である式II-8の化合物を含むことができる。
【0101】
式II、II-1、II-2、II-3、II-4、II-5、II-6、II-7、及びII-8の化合物は、それ自身が、EWGは、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、式II、II-1、II-2、II-3、II-4、II-5、II-6、II-7、又はII-8の化合物である、式II-9の化合物を含むことができる。好ましくは、EWGはシアノである。
【0102】
本発明の化合物は、式IIIのものであってよく、
【0103】
【化4】
式中、
Tは、結合、O、又はNRであり、ここで、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;
Yは、連結基であり;
は、重合性基であり;
は、H、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル、又はアルキル若しくはハロによって置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、ここで、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり;かつ
EWGは、電子求引基である。
【0104】
式IIIの化合物は、RがHである式IIIの化合物である、式III-1の化合物を含むことができる。
【0105】
式IIIの化合物は、それ自身が、RがC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、又はC~Cチオアルキルである式IIIの化合物である、式III-2の化合物を含むことができる。
【0106】
式III及びIII-2の化合物は、それ自身が、Rがエトキシ又はメトキシなど、好ましくはメトキシであるC~Cアルコキシである、式III又はIII-2の化合物である、式III-3の化合物を含むことができる。
【0107】
式III、III-1、III-2、及びIII-3の化合物は、それ自身が、RがH又はC~Cアルキルである、式III、III-1、III-2、又はIII-3の化合物である、式III-4の化合物を含むことができる。好ましくは、RはC~Cアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、又はsec-ブチルである。好ましくは、Rはn-プロピル又はn-ブチルである。
【0108】
式III、III-1、III-2、III-3、及びIII-4の化合物は、それ自身が、TがNRであり、RがH又はC~Cアルキルである、式III、III-1、III-2、III-3、又はIII-4の化合物である、式III-5の化合物を含むことができる。特に好ましくは、RはHである。
【0109】
式III、III-1、III-2、III-3、III-4、及びIII-5の化合物は、それ自身が、P(重合性基)が、出現ごとに独立して、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、式III、III-1、III-2、III-3、III-4、又はIII-5の化合物である、式III-6の化合物を含むことができる。好ましい重合性基としては、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドが挙げられる。より好ましい重合性基は、メタクリレートである。
【0110】
式III、III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、及びIII-6の化合物は、それ自身が、Y(連結基)が、アルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン(例えば、フェニレン)、ヘテロアリーレン、オキサアルキレン、アルキレン-アミド-アルキレン、アルキレン-アミン-アルキレン、又は前述の基のいずれかの組み合わせである、式III、III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、又はIII-6の化合物である式III-7の化合物を含むことができる。好ましい連結基としては、C~Cアルキレン(例えば、エチレン又はプロピレン)、C~Cオキサアルキレン、C~Cアルキレン-アミド-C~Cアルキレン、及びC~Cアルキレン-アミン-C~Cアルキレンが挙げられる。特に好ましいのは、C~Cアルキレン、特にエチレン(-CHCH-)である。式IIIの化合物中のTがOである場合、Oが結合している連結基の炭素原子が妨害されることが好ましい。例えば、TがOであり、そしてYがアルキレンである場合、好ましいアルキレンは、-C(R(CH-であり、ここで、Rは、独立して、C~Cアルキル(好ましくは、独立して、メチル又はエチル)であり、そしてxは、1~5である。
【0111】
式III、III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6、及びIII-7の化合物は、それ自身が、Tは結合であるか、又はNR(好ましくはNH)である、式III、III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6、及びIII-7の化合物である、式III-8の化合物を含むことができる。
【0112】
式III、III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6、III-7、及びIII-8の化合物は、それ自身が、EWGは、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、式III、III-1、III-2、III-3、III-4、III-5、III-6、III-7、又はIII-8の化合物である、式III-9の化合物を含むことができる。好ましくは、EWGはシアノである。
【0113】
本発明の化合物の具体例を表Aに示す。
【0114】
【表1】
【0115】
本発明の化合物は、活性メチレン誘導体を有するアクリジン-イリデン誘導体を形成するためのN-置換アクリドンのクネーフェナーゲル縮合を介して調製することができる。マロノニトリルとの縮合は、無水酢酸などのより弱い求電子試薬の存在下、高温で進行するが、2,4-ジケトン、2-シアノアセトアミド誘導体及び2-シアノアセテート誘導体などのより弱い求核試薬との反応は、所望の生成物を形成しない可能性がある。そのような変換は、典型的には、反応を受けることができる反応性中間体を形成するために、塩化チタンIVなどの強ルイス酸又は塩化チオニルなどの強求電子試薬と、高温との組み合わせを必要とする。四塩化チタン又は塩化チオニルを高温で使用する既知の方法は、非常に過剰な試薬を必要とし、所望の生成物の選択性が低く、収率が低い。求電子試薬及び/又は穏やかな反応条件の化学量論的制御は、全体的な選択性及び生成物収率を改善するのに役立ち得る。
【0116】
本発明の一態様では、N-置換アクリドンから、上述の化合物などのアクリジン-イリデン誘導体を合成するための改善された方法が提供される。この方法はトリフェニルホスフィンジブロミドを利用する。トリフェニルホスフィンジブロミドは、適切な溶媒中でトリフェニルホスフィンに臭素を添加することによって「その場で」生成することができる。臭素が完全に消費された後にN-置換アクリドンを添加すると、N-置換アクリドンの潜在的な酸化が回避され、所望の生成物が高収率で形成され、副生成物の形成が大幅に減少する。式IIの化合物の例示的な合成をスキームAに示す。
【0117】
【化5】
【0118】
本発明の化合物は、望ましい吸収特性を提供するために、その他の光吸収化合物と組み合わせて使用することができる。例えば、好ましい組成物は、UV吸収化合物と共に上記のような化合物を含んでもよい。好適なUV吸収化合物は、当該技術分野において周知であり、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、置換アクリロニトリル、サリチル酸誘導体、安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、カルコン誘導体、ジプノン誘導体、クロトン酸誘導体、又はこれらの任意の混合物が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかの部類に分類される。好ましい部類のUV吸収化合物は、Norbloc(2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール)などのベンゾトリアゾールである。
【0119】
本発明の化合物は、生物医学的装置及び眼科用装置を含む種々の製品を形成するために、反応性混合物中に含まれてもよい。化合物は、例えば、装置内に組み込まれてもよい、及び/又は装置の表面上にコーティングされてもよい。装置内に組み込まれる場合、化合物は、一般に、装置が作製される反応性混合物に添加されてもよく、それらの溶解度の限度までの任意の量で存在してもよい。例えば、化合物は、希釈剤を除く反応性混合物中の全ての成分の重量パーセントに基づいて、少なくとも0.1パーセント、又は少なくとも2パーセント、かつ最大10パーセント又は最大5パーセントの濃度で存在していてよい。典型的な濃度は、1~5パーセントの範囲であり得る。上限は、典型的には、反応性モノマー混合物中の化合物と他のコモノマー及び又は希釈剤との溶解度によって決定される。
【0120】
好ましくは、本発明の化合物は、眼科用装置に含まれる。眼鏡、サングラス、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、角膜オンレー、角膜インレー、眼内レンズ、又はオーバーレイレンズを含む、種々の眼科用装置を作製してよい。好ましくは、眼科用デバイスは、眼内レンズ又はソフトコンタクトレンズである。ソフトコンタクトレンズは、従来の(非シリコーン)ヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲルから作製されてもよい。
【0121】
本発明の眼科用デバイスは、所望の眼科用デバイスを作製するのに好適な1つ以上のモノマー(本明細書では、デバイス形成モノマー又はヒドロゲル形成モノマーとも呼ばれる)と、任意選択の成分とを含有する反応性混合物のフリーラジカル反応生成物を含み得る。重合されると、反応性混合物は、眼科用デバイスが含まれ得るポリマーネットワークの形成をもたらす。ポリマーネットワークは、例えば、ヒドロゲル(例えば、従来のヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル)であってもよい。
【0122】
本発明の化合物は、反応性混合物中のその他の構成成分と共重合されてもよく、この場合、反応性混合物は、所望の眼科用装置(及び任意の構成成分)を作製するのに好適な1つ以上のモノマーに加えて、本発明の化合物のうちの1つ以上を含有してもよい。
【0123】
本発明の化合物が(例えば、モノマーとして)組み込まれ得るポリマー網状組織の非限定的な例は、上述されており、例えば、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、ビフィルコン(vifilcon)、アクアフィルコン(acquafilcon)、アスモフィルコン(asmofilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、サムフィルコン(samfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)、及びステンフィルコン(stenfilcon)(これらの変異型の全てを含む)が挙げられる。
【0124】
更なる例として、ポリマーネットワークは、親水性成分、疎水性成分、シリコーン含有成分、ポリアミドなどの湿潤剤、架橋剤及び希釈剤及び開始剤などの更なる成分のうちの1つ以上を含む反応性混合物から作製されてもよい。上述のように、反応性混合物はまた、1つ以上の本発明の化合物を含有してもよい。
【0125】
親水性成分
反応性混合物に存在し得る親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0126】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定的な例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0127】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物など、イオン性であってもよい。このような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム、4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホナート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(APDAPS)、及びメタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0128】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0129】
親水性O-ビニルカルバメートモノマー及びO-ビニルカーボネートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0130】
他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0131】
親水性モノマーはまた、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミドなどの重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有し、プレポリマーは、2つ以上の重合性基を有し得る。
【0132】
本発明の好ましい親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。好ましい親水性モノマーとしては、DMA及びHEMAの混合物が挙げられる。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0133】
概して、反応性モノマー混合物中に存在する親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込みなどを含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づいて選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定され得、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、例えば、約0.1~約100重量パーセントの範囲、或いは約1~約80重量パーセントの範囲、或いは約5~約65重量パーセントの範囲、或いは約40~約60重量パーセントの範囲、或いは約55~約60重量パーセントの範囲の量で存在し得る。
【0134】
シリコーン含有成分
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分は、1つ以上の重合性化合物を含み、各化合物は、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ以上の連結基を含む。シリコーン含有成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0135】
シリコーン含有成分は、上で定義された1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基を含み得る。シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又はこれらの混合物である1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基を含み得る。
【0136】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基を含み得る。
【0137】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ以上の重合性基;1つ以上の任意選択で繰り返すシロキサン単位;及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ以上の連結基を含み得る。
【0138】
シリコーン含有成分は、式A:
【0139】
【化6】
(式中、
少なくとも1つのRは、式R-L-の基であり、式中、Rは重合性基であり、Lは連結基であり、残りのRは、それぞれ独立して:
(a)R-L-、
(b)1つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されているC~C16アルキル、
(c)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されているC~C12シクロアルキル、
(d)1つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されているC~C14アリール基、
(e)ハロ、
(f)アルコキシ、環状アルコキシ、又はアリールオキシ、
(g)シロキシ、
(h)ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などのアルキレンオキシ-アルキル又はアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、或いは
(i)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロ又はこれらの組み合わせによって、任意選択で置換されている1~100個のシロキサン繰り返し単位を含む一価シロキサン鎖であり;
nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される)の1つ以上の重合性化合物を含んでもよい。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR置換基を担持してもよく、異なるR置換基が存在する場合、n基は、ランダム又はブロック構成であってもよい。
【0140】
式Aにおいて、3つのRは、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的に2つのRは、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的に1つのRは、重合性基を含んでもよい。
【0141】
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分の例としては、表Bに列挙される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。表Bの化合物がポリシロキサン基を含有する場合、このような化合物中のSiO反復単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0142】
【表2-1】
【0143】
【表2-2】
【0144】
好適なシリコーン含有成分の追加の非限定的な例を、表Cに列挙する。別途記載のない限り、適用可能な場合、j2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1又はj2を含有する化合物において、j1とj2の合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0145】
【表3-1】
【0146】
【表3-2】
【0147】
シリコーン含有成分の混合物を使用してもよい。例として、好適な混合物としては、4個及び15個のSiO繰り返し単位を含有するOH-mPDMSの混合物などの、異なる分子量を有するモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-MPDMS)の混合物;異なる分子量を有するOH-mPDMS(例えば、4個及び15個の繰り返しSiO繰り返し単位を含有する)と、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)などのシリコーン系架橋剤との混合物;2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)と、mPDMS1000などのモノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)との混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0148】
本発明で使用するシリコーン含有成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0149】
シリコーン含有成分(複数可)は、反応性混合物(希釈剤を除く)の、全ての反応性成分に基づいて、最大約95重量%、又は約10~約80重量%、又は約20~約70重量%の量で存在し得る。
【0150】
ポリアミド
反応性混合物は、少なくとも1つのポリアミドを含んでいてよい。本明細書で使用するとき、「ポリアミド」という用語は、アミド基を含有する繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含み得、当業者に既知の任意のポリアミドであってもよい。非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0151】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式G1及びG2:の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0152】
【化7】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR44)-であり、なお、R44は、C~Cアルキル基であり;R40は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択され;R41は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC~Cアルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され;R42は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択されるか;又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され;R43は、H、直鎖又は分岐鎖、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択されるか;又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され;R40及びR41の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下であり、R42及びR43の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ以下を含む、8以下である。R40及びR41の炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってよい。R42及びR43の炭素原子の数は、合計で6以下であってよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせによって置換されているアルキル基を含む。
【0153】
40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択され得る。Xは直接結合であってもよく、R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択されてもよい。R42及びR43は、独立して、H、置換又は非置換のC~Cアルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0154】
本発明の非環状ポリアミドは、式LV若しくは式LVIの繰り返し単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G若しくは式G1の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含み得る。式G及び式G1の繰り返し単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに式G2及びG3:
【0155】
【化8】
の非環状アミド由来の繰り返し単位が挙げられる。
【0156】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式G4:
【0157】
【化9】
(式中、R45は、水素原子又はメチル基であり;fは、1~10の数であり;Xは直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR46)-であり、R46はC~Cアルキル基である)の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられる。式LIX中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式G4中、fは、5、4、3、2、又は1を含む、6以下であり得る。式G4中、fは、2、3、4、5、6、7、又は8を含む、2~8であり得る。式LIX中、fは、2又は3であり得る。Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0158】
本発明の環状ポリアミドは、式G4の繰り返し単位の50モル%以上を含んでもよく、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G4の繰り返し単位の少なくとも50モル%を含んでもよい。
【0159】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。追加の繰り返し単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の繰り返し単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS#148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドペンタン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム、N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-、分子内塩(CBT、カルボキシベタイン、CAS#79704-35-1)、1-プロパンアミニウム、N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS#80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム、4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS#163674-35-9)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホナート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホナート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0160】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。ポリアミドは、PVP(例えば、PVP K90)とPVMA(例えば、約570KDaのMを有する)の混合物であってよい。
【0161】
反応性混合物中の全てのポリアミドの総量は、あらゆる場合において、反応性モノマー混合物の反応性成分の総重量に基づいて、1重量%~約15重量%の範囲内、及び約5重量%~約15重量%の範囲内など、1重量%~約35重量%の範囲内であり得る。
【0162】
理論に束縛されるものではないが、シリコーンヒドロゲルと共に使用されるとき、ポリアミドは内部湿潤剤として機能する。本発明のポリアミドは、非重合性であってもよく、この場合、半相互貫入ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル内に組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。代替的に、本発明のポリアミドは、例えば、ポリアミドマクロマー又はプレポリマーとして重合性であり得、この場合、シリコーンヒドロゲル内に共有結合的に組み込まれる。重合性及び非重合性のポリアミドの混合物もまた使用され得る。
【0163】
ポリアミドが反応性モノマー混合物内に組み込まれているとき、ポリアミドは、少なくとも100,000ダルトン、約150,000超、約150,000~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。反応性モノマー混合物と相溶性である場合、高分子量ポリアミドを使用することができる。
【0164】
架橋剤
概して、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ以上の架橋剤を反応性混合物に添加することが望ましい。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてもよく、これにはシリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤が含まれる。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性配合物100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで反応性混合物中に用いられる。代替的に、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有成分が分子設計により、又は不純物のために多官能性である場合、反応性混合物への架橋剤の添加は、任意選択である。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0165】
配合物中の他の反応性成分のうちの1つ以上に対して同様の反応性を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。場合によっては、得られるシリコーンヒドロゲルのいくらかの物理的、機械的、又は生物学的特性を制御するために、異なる反応性を有する架橋剤の混合物を選択することが望ましい場合がある。シリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤(複数可)及び硬化条件によっても影響を受け得る。
【0166】
弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために、マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も含まれ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有成分の例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloxypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。別の例は、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)である。
【0167】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける重合性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15、又は約2~10、3~7の量で含まれ得る。本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0168】
シリコーン架橋剤の非限定的な例としては、上記表Dに記載の多官能性シリコーン含有成分も挙げられる。
【0169】
更なる構成成分
反応性混合物は、希釈剤、開始剤、UV吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、離型剤、可視染料、及びこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、追加成分を含有し得る。
【0170】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、一級、二級及び三級アルコールであり得る。
【0171】
概して、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性混合物を形成する。好適な希釈剤は、技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。使用され得る具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物などが挙げられる。アミド希釈剤の例としては、N,N-ジメチルプロピオンアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0172】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0173】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。希釈剤が存在する場合、概して、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性配合物及び非反応性配合物を含む)反応性混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量パーセントの範囲及び約15~約40重量パーセントの範囲など、約2~約70重量パーセントの範囲の量で存在し得る。希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0174】
重合開始剤は、反応性混合物中で使用してもよい。重合開始剤としては、例えば、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、イソ-プロピルパーカーボネート、アゾビスイソブチロニトリルなどの、中程度の高温でフリーラジカルを発生させるもの、並びに芳香族α-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び三級アミン+ジケトン、これらの混合物などの光開始剤系のうちの少なくとも1つを挙げることができる。光開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホス-フィンオキシド及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びにカンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。
【0175】
市販の(IGM Resins B.V.(The Netherlands)製の)可視光開始剤系としては、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1700、Irgacure(登録商標)1800、Irgacure(登録商標)819、Irgacure(登録商標)1850、及びLucrin(登録商標)TPO開始剤が挙げられる。市販の(IGM Resins B.V.製の)UV光開始剤としては、Darocur(登録商標)1173及びDarocur(登録商標)2959が挙げられる。使用され得るこれらの及び他の光反応開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello & K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示されている。開始剤は、反応性混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば、反応性モノマー混合物の100部当たり約0.1~約2重量部で、反応性混合物中で使用される。反応性混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光又は他の手段を適切に選択して使用して開始することができる。代替的に、開始は、光開始剤なしで電子ビームを使用して実施され得る。しかしながら、光開始剤が使用されるとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)819)、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせなどの、ビスアシルホスフィンオキシドである。
【0176】
本発明の眼科用装置を作製するための反応性混合物は、本発明の化合物に加えて、上記の重合性化合物及び任意の構成成分のいずれかを含んでもよい。
【0177】
反応性混合物は、式Iの化合物などの本発明の化合物、及び親水性成分を含んでよい。
【0178】
反応性混合物は、式Iの化合物などの本発明の化合物と、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、メタクリル酸、及びこれらの混合物から選択される親水性成分と、を含んでもよい。HEMA及びメタクリル酸の混合物が好ましい。
【0179】
反応性混合物は、式Iの化合物などの本発明の化合物、親水性成分、及びシリコーン含有成分を含んでもよい。
【0180】
反応性混合物は、式Iの化合物などの本発明の化合物と、DMA、HEMA及びこれらの混合物から選択される親水性成分と、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)、及びこれらの混合物から選択されるシリコーン含有成分と、湿潤剤(好ましくはPVP又はPVMA)と、を含み得る。親水性成分については、DMA及びHEMAの混合物が好ましい。シリコーン含有成分については、SiMAA及びmPDMSの混合物が好ましい。
【0181】
反応性混合物は、式Iの化合物などの本発明の化合物と、DMAとHEMAとの混合物を含む親水性成分と、2~20個の繰り返し単位を有するOH-mPDMSの混合物(好ましくは4個及び15個の繰り返し単位の混合物)を含むシリコーン含有成分と、を含み得る。好ましくは、反応性混合物は、ac-PDMSなどのシリコーン含有架橋剤を更に含む。また好ましくは、反応性混合物は、湿潤剤(好ましくはDMA、PVP、PVMA、又はこれらの混合物)を含有する。
【0182】
反応性混合物は、式Iの化合物などの本発明の化合物と、約1~約15重量%の少なくとも1つのポリアミド(例えば、非環状ポリアミド、環状ポリアミド、又はこれらの混合物)と、4~8個のシロキサン繰り返し単位を有する少なくとも1つの第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは4~8であり、好ましくはnは4である))と、10~200個、又は10~100個、又は10~50個、又は10~20個のシロキサン繰り返し単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)である少なくとも1つの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは10~200、又は10~100、又は10~50、又は10~20であり、好ましくはnは15である)と、約5~約35重量%の少なくとも1つの親水性モノマーと、任意選択的に、10~200個又は10~100個のシロキサン繰り返し単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、ac-PDMS)と、を含み得る。好ましくは、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)及び第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)は、0.4~1.3又は0.4~1.0の第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量パーセントの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量パーセントに対する比を提供するような濃度で存在する。
【0183】
前述の反応性混合物は、1つ以上の開始剤、内部湿潤剤、架橋剤、他のUV又はHEV吸収剤、及び希釈剤などであるが、これらに限定されない任意選択の成分を含有していてもよい。
【0184】
ヒドロゲルの硬化及びレンズの製造
反応性混合物は、振とう又は撹拌などの技術分野で既知の方法のいずれかによって形成され、既知の方法によるポリマー物品又はデバイスの形成に使用され得る。反応性成分は、反応性混合物を形成するために、希釈剤をしようするか又は使用しないかのいずれかで一緒に混合される。
【0185】
例えば、眼科用デバイスは、反応性成分及び任意選択で希釈剤(複数可)を重合開始剤と混合し、適切な条件で硬化させて、後で旋盤加工、切削などによって適切な形状に成形され得る生成物を形成することによって調製することができる。代替的に、反応性混合物は、成形型に入れた後に硬化させ、適切な物品にすることができる。
【0186】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズなどの成形眼科用デバイスを作製する方法は、反応性モノマー混合物を調製することと;反応性モノマー混合物を第1の成形型に移すことと;第2の成形型を、反応性モノマー混合物で充填された第1の成形型の上に配置することと;フリーラジカル共重合によって反応性モノマー混合物を硬化させて、コンタクトレンズの形状でシリコーンヒドロゲルを形成することと、を含み得る。
【0187】
反応性混合物は、回転成形及び静的成形を含む、コンタクトレンズの作製において、反応性混合物を成形するための任意の既知のプロセスを介して硬化されてもよい。回転成形方法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、静的成形方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成型により形成してもよく、これは経済的であり、含水レンズの最終形状を正確に制御できる。この方法では、反応性混合物は、所望の最終シリコーンヒドロゲルの形状を有する成形型内に配置され、反応性混合物は、モノマーが重合する条件に供され、それにより所望の最終製品のおよその形状のポリマーを生成する。
【0188】
硬化後、レンズを抽出に供して、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外してもよい。抽出は、アルコールなどの有機溶媒など、従来の抽出流体を使用して行われてもよいし、又は水溶液を使用して抽出してもよい。
【0189】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、又は少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水を含み得る。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助剤、これらの組み合わせなどの追加の水溶性配合物を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較した場合、成形型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理などの特別な取り扱いを必要としない場合がある。
【0190】
抽出は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズを曝すことを介して行なうことができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズの機械的撹拌又は超音波撹拌と、少なくとも1種の濾過助剤又は抽出助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0191】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ成形型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0192】
レンズは、限定されないが高圧蒸気処理などの既知の手段により殺菌してもよい。
【0193】
上記のように、好ましい眼科用デバイスは、コンタクトレンズであり、より好ましくはソフトヒドロゲルコンタクトレンズである。本明細書に記載の透過波長及びパーセントは、例えば、実施例に記載される方法を使用して、様々な厚さのレンズ上で測定され得る。例として、ソフトコンタクトレンズにおける透過スペクトルを測定するための好ましい中心厚は、80~100ミクロン、又は90~100ミクロン、又は90~95ミクロンであり得る。典型的には、例えば、4nmの器具スリット幅を使用して、レンズの中心で測定を行ってよい。
【0194】
本発明によるシリコーンヒドロゲル眼科用デバイス(例えば、コンタクトレンズ)は、好ましくは、以下の特性を示す。全ての値の前には「約」が付き、このデバイスは、列挙する性質の任意の組み合わせを有することができる。特性は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許付与前公開第20180037690号に記載されているように、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0195】
水濃度%:少なくとも20%、又は少なくとも25%かつ最大80%、又は最大70%
ヘイズ:30%以下、又は10%以下
前進動的接触角(ウィルヘルミープレート法):100°以下、若しくは80°以下、又は50°以下
引張弾性率(psi):120以下、又は80~120
酸素透過性(Dk、バーラー):少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
イオン性シリコーンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある:
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム1(PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下
【0196】
本発明の化合物は、眼科用装置に加えて、その他の製品と共に使用してもよい。例えば、化合物は、窓部(例えば、車両若しくは建物の窓)、又は双眼鏡及びカメラ等の光学機器などに使用されてもよい。このような使用において、化合物は、例えば、装置の表面上にコーティングされてもよい。コーティングを容易にするために、化合物を溶媒中に溶解させてもよい。
【0197】
以下の条項は、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
条項1.430nm~480nmの可視光吸収極大、及びその可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、その化合物は(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定した場合に)光安定性である、化合物。
条項2.可視光吸収極大が440nm~470nmである、条項1に記載の化合物。
条項3.可視光吸収極大におけるFWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、条項1~2のいずれか一項に記載の化合物。
条項4.光安定性が、可視光吸収極大における、20%以下の吸光度の損失を含む、条項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
条項5.430nm~480nmの可視光吸収極大、及びその可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、その化合物は(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定した場合に)黄斑色素よりも一層光安定性である、化合物。
条項6.発色団を含む化合物であって、発色団が、式I:
【0198】
【化10】
の下部構造を有し、EWGは、電子求引基である、項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
条項7.EWGが、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、条項6に記載の化合物。
条項8.EWGがシアノである、条項6~7のいずれか一項に記載の化合物。
条項9.式II:
【0199】
【化11】
のものであり、式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、ここで、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、各出現において独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロによって置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、ここで、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキル、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基である、条項6に記載の化合物。
条項10.(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;又は(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレートである、条項6に記載の化合物。
条項11.光安定性が、可視光吸収極大における、20%以下の吸光度の損失を含む、条項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
条項12.少なくとも7740のモル吸光係数を有する、条項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
条項13.条項1~12のいずれか一項に記載の化合物を含む眼科用装置。
条項14.眼科用装置を作製するのに好適なモノマーと、(b)条項1~12のいずれか一項に記載の化合物と、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、コンタクトレンズ又は眼内レンズ。
条項15.(a)鉱物材料若しくは有機材料、又はこれらの組み合わせと、(b)条項1~12のいずれか一項に記載の化合物と、を含む、眼鏡又はサングラスのレンズ。
条項16.国に輸入される、条項1~15のいずれか一項に記載の化合物、眼科用装置、又は眼鏡レンズ。
条項17.その国がアメリカ合衆国である、条項16に記載の化合物、眼科用装置、又は眼鏡レンズ。
条項18.430nm~480nmの可視光吸収極大、及びその可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、その化合物が(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定した場合に)光安定的であり、その化合物が、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、化合物。
条項19.可視光吸収極大が440nm~470nmである、条項18に記載の化合物。
条項20.可視光吸収極大におけるFWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、条項18~19のいずれか一項に記載の化合物。
条項21.光安定性が、可視光吸収極大における20パーセント以下の吸光度の損失を含む、条項18~20のいずれか一項に記載の化合物。
条項22.430nm~480nmの可視光吸収極大、及びその可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、その化合物が(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定した場合に)黄斑色素よりも光安定的であり、その化合物が、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、化合物。
条項23.発色団を含む化合物であって、発色団が、式I:
【0200】
【化12】
の下部構造を有し、式中、EWGは、電子求引基であり、化合物が、440nm~480nmの範囲の可視光吸収極大を有する、化合物。
24.EWGが、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、条項23に記載の化合物。
条項25.EWGがシアノである、条項23~24のいずれか一項に記載の化合物。
条項26.式II:
【0201】
【化13】
のものであり、式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、ここで、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、各出現において独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロによって置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、ここで、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキル、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基である、条項23に記載の化合物。
条項27.
(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;又は
(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレートである、条項23に記載の化合物。
条項28.可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定した場合に)光安定的である、条項23~27のいずれか一項に記載の化合物。
条項29.可視光吸収極大が440nm~470nmである、条項28に記載の化合物。
条項30.可視光吸収極大におけるFWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、条項28~29のいずれか一項に記載の化合物。
条項31.光安定性が、可視光吸収極大における20パーセント以下の吸光度の損失を含む、条項28~30のいずれか一項に記載の化合物。
条項32.可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、(例えば、ICHガイドラインQ1Bに従って測定した場合に)黄斑色素よりも一層光安定的である、条項23~31のいずれか一項に記載の化合物。
条項33.少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、条項23~32のいずれか一項に記載の化合物。
条項34.条項18~33のいずれか一項に記載の化合物を含む眼科用装置。
条項35.眼科用装置を作製するのに好適なモノマーと、(b)条項18~33のいずれか一項に記載の化合物と、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、コンタクトレンズ又は眼内レンズ。
条項36.(a)鉱物材料若しくは有機材料又はこれらの組み合わせと、(b)条項18~33のいずれか一項に記載の化合物と、を含む眼鏡又はサングラスレンズ。
条項37.430nm~480nmの可視光吸収極大、及びその可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、熱安定的な化合物。
条項38.少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、条項37に記載の化合物。
条項39.可視光吸収極大が440nm~470nmである、条項37に記載の化合物。
条項40.可視光吸収極大におけるFWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、条項37~39のいずれか一項に記載の化合物。
条項41.熱安定性が、可視光吸収極大における20パーセント以下の吸光度の損失を含む、条項37~40のいずれか一項に記載の化合物。
条項42.430~480nmの可視光吸収極大と、少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの可視光吸収極大における半値全幅(FWHM)とを有する化合物であって、黄斑色素よりも熱的に安定であり、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を任意選択で有する、化合物。
条項43.発色団を含む化合物であって、発色団が式I:
【0202】
【化14】
の下部構造を有し、式中、EWGは、電子求引基であり、化合物が、440nm~480nmの範囲の可視光吸収極大を有する、化合物。
条項44.EWGが、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、条項43に記載の化合物。
条項45.EWGがシアノである、条項43~44のいずれか一項に記載の化合物。
条項46.式II:
【0203】
【化15】
のものであり、式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、ここで、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、各出現において独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロによって置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、ここで、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキル、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基である、条項43に記載の化合物。
条項47.
(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート;又は
(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレートである、条項43に記載の化合物。
条項48.少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの可視光吸収極大における半値全幅(FWHM)を有し、熱的に安定である、項43~47のいずれか一項に記載の化合物。
条項49.可視光吸収極大が440nm~470nmである、条項48に記載の化合物。
条項50.可視光吸収極大におけるFWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、条項48~49のいずれか一項に記載の化合物。
条項51.熱安定性が、可視光吸収極大における20パーセント以下の吸光度の損失を含む、条項48~50のいずれか一項に記載の化合物。
条項52.少なくとも35nmかつ最大150nm、好ましくは最大100nmの可視光吸収極大における半値全幅(FWHM)を有し、黄斑色素よりも熱的に安定である、条項43~51のいずれか一項に記載の化合物。
条項53.少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、条項43~52のいずれか一項に記載の化合物。
条項54.条項37~53のいずれか一項に記載の化合物を含む眼科用装置。
条項55.眼科用装置を作製するのに好適なモノマーと、(b)条項37~53のいずれか一項に記載の化合物と、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、コンタクトレンズ又は眼内レンズ。
条項56.(a)鉱物材料若しくは有機材料又はこれらの組み合わせと、(b)条項37~53のいずれか一項に記載の化合物と、を含む眼鏡又はサングラスレンズ。
条項57.式II:
【0204】
【化16】
の化合物を製造する方法であって、式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、ここで、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり、Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、それらは出現ごとに独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロで置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、なお、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基であり、
方法は、
式II-A:
【0205】
【化17】
のN-置換アクリドンを提供することと;
N-置換アクリドンを、トリフェニルホスフィンジブロミドと、式:
【0206】
【化18】
の試薬とで処理することと;
式IIの化合物を単離することと、
を含む、方法。
条項58.EWGは、CNである、条項57に記載の方法。
条項59.m及びnは、0である、条項57~58のいずれか1項に記載の方法。
条項60.Rは、C~Cアルキルである、条項57~59のいずれか一項に記載の方法。
条項61.Tは、NRである、条項57~60のいずれか一項に記載の方法。
条項62.式(II)の化合物は:
【0207】
【化19】
である、条項57に記載の方法。
【0208】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例にて詳細に記述する。
【実施例
【0209】
試験方法
溶液中の化合物の紫外線可視スペクトルは、Perkin Elmer Lambda 45又はAgilent Cary 6000i、又はOcean Optics QE65 PRO(DH-2000-BAL光源)UV-VIS走査型分光計で測定した。使用前に、機器を少なくとも30分間熱平衡化させた。Perkin Elmer機器では、スキャン範囲は200~800nmであり、走査速度は、毎分960nmであり、スリット幅は4nmであり、モードは透過又は吸光度に設定し、ベースライン補正を選択した。Cary機器では、走査範囲は200~800nmであり、走査速度は600nm/分であり、スリット幅は2nmであり、モードは透過又は吸光度であり、ベースライン補正を選択した。Ocean Optics機器では、走査範囲は200~800nmであり、スリット幅は10μmであり、モードは透過又は吸光度であり、ベースライン補正を選択した。自動ゼロ関数を使用してサンプルを分析する前に、ベースライン補正を行った。
【0210】
特許請求される組成物から部分的に形成されたコンタクトレンズの紫外線可視スペクトルは、包装溶液を使用し、Perkin Elmer Lambda 45 UV/VIS、Agilent Cary 6000i、又はOcean Optics UV-VIS走査型分光計で測定した。使用前に、機器を少なくとも30分間熱平衡化させた。ベースライン補正は、プラスチック2ピース型レンズホルダー及び同じ溶媒が入っているキュベットを使用して実施した。これらの2ピース型コンタクトレンズホルダーは、入射光ビームが横断する位置にサンプルを石英キュベット内に保持するように設計した。参照キュベットはまた、2ピース型ホルダーも収容していた。サンプルの厚さが一定であることを確実にするために、全てのレンズを同一の成形型を使用して作製した。コンタクトレンズの中心厚さは、電子式厚さ計を使用して測定した。報告された中心厚さ及び透過率スペクトルは、3つの個々のレンズデータを平均化することによって得られる。
【0211】
キュベットの外面が完全に清潔で乾燥し、キュベット内に気泡が存在しないことを確実にすることが重要である。参照キュベット及びそのレンズホルダーが一定のままであり、全てのサンプルが同じサンプルキュベット及びそのレンズホルダーを使用するときに、測定の再現性が改善され、キュベットの両方が器具に適切に挿入されることを確実にする。
【0212】
含水量は重力測定法で測定した。レンズは、包装溶液中で24時間平衡化した。3枚の試験レンズをそれぞれ、先端がスポンジ状のスワブを使用して包装溶液から取り出し、包装溶液で湿らせておいたブロッティングワイプ上に置く。レンズの両面をこのワイプと接触させる。ピンセットを使用して、試験レンズを風袋重量測定した秤量皿に置き、秤量する。更に2個の試料を調製し、秤量する。全ての重量測定は3回行い、それらの値の平均を計算に用いた。湿重量は、秤量皿及び湿レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。
【0213】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。圧力が少なくとも1インチHgに達するまで真空を適用したが、より低圧も許容される。真空バルブ及びポンプがオフにされ、レンズが少なくとも12時間(通常一晩)、乾燥される。パージバルブが開口されて、乾燥空気又は乾燥窒素ガスが入る。オーブンを大気圧に到達させる。秤量皿を取り出し、秤量する。乾燥重量は、秤量皿及び乾燥レンズの総重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。試験レンズの含水量は、以下のように計算した:%含水量=(湿重量-乾燥重量)/湿重量×100。
含水量の平均及び標準偏差が計算され、平均値は、試験レンズのパーセント含水量として報告された。
【0214】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空気圧グリップコントロールを備えたInstron model 1122又は5542の引張試験機を使用して測定した。マイナス1のディオプターレンズが、その中央の均一な厚さプロファイルから、好ましいレンズ幾何学形状である。0.522インチの長さ、0.276インチの「耳」幅、及び0.213インチの「首」幅を有する、-1のジオプトリーの球面レンズから切断されたドッグボーン形状の試料は、グリップ内に載置され、毎分2インチの一定の歪み速度で、破断するまで引き伸ばされた。ドッグボーン試料の中心厚さは、試験前に、電子式厚さ計を使用して測定された。試料の初期ゲージ長さ(L)及び破断時の試料長さ(L)を測定した。各組成物の少なくとも5個の試験片を測定し、平均値を使用して、破断までのパーセント伸長を計算した。パーセント伸長=[(L-L)/L]×100。引張弾性率は、応力歪み曲線の初期直線部分の傾きとして計算され、弾性率の単位は、平方インチ当たりポンド又はpsiである。引張強度は、ピーク荷重及び元の断面積から計算された。引張強度=ピーク荷重を元の断面積で割る。引張強度の単位は、psiである。靭性は、破断するためのエネルギー及び試料の元の体積から計算された。靭性=破断するためのエネルギーを試料の元の体積で割る。強靭性の単位は、in-lbs/inである。
【0215】
包装溶液中のコンタクトレンズパラメータを測定するために、較正された二重干渉法が使用された。これらのパラメータには、複数の開口における等価球面度数(ジオプター又はD)、複数の開口における円柱度数(ジオプター又はD)、直径(ミリメートル又はmm)、中心厚(ミリメートル又はmm)、矢状高さ(ミリメートル又はmm)、及び6.5ミリメートル口径を使用して測定したときの球面/円柱度数及び除去されたコマ収差を有するマイクロメートル又はマイクロメートル(μm)でのレンズ設計目標からの二乗平均二乗(RMS)光路波面偏差が含まれる。この機器は、波面パラメータの測定のためのカスタムのプロピオネート干渉計と、矢状高さ及び中心厚の寸法パラメータの測定のためのLumetrics OptiGauge(登録商標)II低コヒーレンス干渉計とで構成されている。組み合わされた2つの個々の器具は、Lumetrics Clearwave(商標)Plusと同様であり、ソフトウェアは、Lumetrics OptiGauge Control Center v7.0以降に類似している。Clearwave(商標)Plusでは、カメラを使用してレンズ縁部を見つけ、次いでレンズ中心を計算し、次にこれを使用して、矢状高さ及び中心厚を測定するためにレンズ中心に、1310ナノメートル干渉計プローブをレンズ中心に位置合わせする。伝搬された波面も、波面センサ(シャックハルトマンセンサ)を使用して連続して収集される。コンタクトレンズの透過波面からの複数のパラメータが測定され、他のパラメータはこれらの測定値から計算される。
【0216】
収集されたデータから、目標からの測定値を比較することによって差異項が計算される。これらには、6.5ミリメートル口径を使用して測定したときのμm単位のレンズ設計目標(球面/円柱度数及び除去されたコマ収差)からの二乗平均平方根光路波面偏差(RMS_65)、5ミリメートルの口径を使用して測定したときのジオプター単位(D)のレンズ設計目標からの第2の等価球面度数偏差(PW2EQD)、mm単位のレンズ設計目標直径からの偏差(DMD)、ISO18369-3により測定した矢状高さから計算したときの、mm単位のレンズ設計目標ベースカーブ半径、及びレンズ直径からの偏差(BCD)、及びmm単位のレンズ設計目標中心厚からの偏差(CTD)が含まれる。
【0217】
以下の略語は、実施例及び図面を通して使用され、以下の意味を有する。
L:リットル
mL:ミリリットル
Equiv.又はeq.:当量
kg:キログラム
g:グラム
mg:ミリグラム
mol:モル
mmol:ミリモル
M:モル
Da:ダルトン又はg/モル
kDa:キロダルトン、又は1,000ダルトンに等しい原子質量単位
min:分
mm:ミリメートル
cm:センチメートル
μm:マイクロメートル
nm:ナノメートル
λ:波長
wt%:重量%
Cmpd:化合物
TLC:薄層クロマトグラフィー
H NMR:プロトン核磁気共鳴分光法
UV-VIS:紫外線-可視分光法
AU:吸光度単位
BC:ベースカーブプラスチック成形型
FC:フロントカーブプラスチック成形型
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
TT:水添スチレンブタジエンブロックコポリマーであるTuftec(Asahi Kasei Chemicals)
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
PVP K90:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
Omnirad 1870:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシドと1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンとのブレンド(IGM Resins又はBASF又はCiba Specialty Chemicals)
mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(M=800~1500ダルトン)(Gelest)
SiMAA:2-プロペン酸、2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)、又は3-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロポキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
LED:発光ダイオード
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
DIW:脱イオン水
IPA:イソプロピルアルコール
CDCl:重水素化クロロホルム
HCl:塩酸
ホウ酸塩緩衝包装溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルのメスフラスコを満たした。
【0218】
実施例1:スキーム1に示されるような、(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート(化合物A)の合成
【0219】
【化20】
2-ヨード安息香酸(12.40g、約0.05mol)、12.32gの4-メトキシアニリン(約2当量)、6.91gの無水炭酸カリウム(約0.05mol)、及び300mgの銅粉末(4.76mmol)を、磁気撹拌棒及び還流冷却器を備えた100mLの3つ口丸底フラスコに入れた。脱イオン水(30mL)を固体の混合物に添加し、系を一定に撹拌しながら6時間加熱還流した。混合物を室温に冷却して固化させた。この系を脱イオン水で希釈し、撹拌しながら1規定の塩酸水溶液に徐々に注いだ。混合物を室温で30分間撹拌し、その後、フリットガラス漏斗で濾過し、真空オーブン中60℃で乾燥させた。残留物2-((4-メトキシフェニル)アミノ)安息香酸を、3×100mLの脱イオン水で洗浄し、分子内環化に「そのまま」使用した。H NMR(CDCl)-δ 3.81(3H,s),6.66(1H,t),6.89~6.93(3H,m),7.16(2H,d),7.27(1H,t),7.99(1H,d),9.12(1H,bs)。
磁気撹拌棒及び還流冷却器を備えた250mL丸底フラスコに、12.5gの2-((4-メトキシフェニル)アミノ)安息香酸及び100mLのイートン酸(メタンスルホン酸中10重量%P)を充填した。TLCによって進行をモニターしながら、混合物を90℃(マントル温度)で5時間、常に撹拌しながら加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を氷に注ぎ、30分間撹拌し、フリットガラス漏斗で濾過した。残留物である、2-メトキシアクリジン-9(10H)-オンを、脱イオン水で洗浄し(3×100mL)、続いてアセトニトリルで洗浄し、60℃の真空オーブン中で乾燥させた。H NMR(DMSO d6)-δ 3.86(3H,s),7.23(1H,t),7.41(1H,dd),7.52(1H,d),7.53(1H,d),7.63(1H,d),7.70(1H,dt),8.23(1H,d)。
【0220】
磁気撹拌棒及び還流冷却器を備えた250mL丸底フラスコに、5.4gの2-メトキシアクリジン-9(10H)-オン(0.0244モル)及び12.9gの炭酸セシウム(約1.5当量)を入れた。固体を真空下80℃で乾燥させ、その後、系を窒素ブランケット下に置き、80mLの無水N,N-ジメチルホルムアミドをフラスコに添加した。1-ブロモプロパン(6.0g、約2当量)をフラスコに添加し、混合物を50℃(マントル温度)で36時間加熱した。TLCは、2つの化合物(0-アルキル化化合物及びN-アルキル化化合物)の存在を示した。有機物を200mLの脱イオン水中に注ぎ、約150mLの酢酸エチル中に抽出した。次いで、有機物を水で洗浄し(3×100mL)、続いて希HCl水溶液で洗浄して(3×100mL)、O-アルキル化アクリジン副生成物を除去し、最後に脱イオン水で洗浄した。有機物のTLCは、この時点で単一の化合物、すなわち2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-オンが存在することを示し、これを減圧下で乾燥させ、その後の変換に使用した。H NMR(CDCl)-δ 1.12(3H,t),1.93(2H,m),4.28(2H,dd),7.25(1H,ddd),7.35(1H,dd),7.45(1H,dd),7.66(1H,m),7.96(1H,d),7.57(1H,dd)。
【0221】
磁気撹拌棒及び還流凝縮器を備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、4.5gの2-メトキシ-10-プロピルアクリジン-9(10H)-オン(0.017モル)及び6.4gのN-2-メタクリルオキシエチル-2-シアノアセトアミド(0.033モル)を入れた。この系を窒素ブランケット下に置き、20mLのジクロロメタンを混合物に添加し、均一になるまで撹拌した。系を氷浴中で冷却した後、四塩化チタン(4.5mL、7.78g、0.041モル)を混合物に、滴下方式で添加し、撹拌を更に15分間続けた。ピリジン5mL(4.9g、0.06モル)を混合物に添加し、これを周囲温度に温め、次いで8時間加熱還流した。混合物を室温に冷却した後、それを希HCl水溶液上に注ぎ、生成した物混合物をジクロロメタン中に抽出した。揮発物を減圧下で蒸発させ、生成した化合物Aをフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。H NMR(CDCl)-δ 1.07(3H,t),1.87(3H,s),1.91(2H,m),3.58(2H,dd),3.85(3H,s),4.07(2H,dd),4.18(2H,t),5.5(1H,dd),6.03(1H,ss),6.07(1H,t),7.07(1H,t),7.14(1H,dd),7.23(2H,2つのダブレット),7.48(1H,m),7.92(1H,bs)。
【0222】
実施例2:スキーム2に示されるような(E)-2-(2-シアノ-2-(2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-イリデン)アセトアミド)エチルメタクリレート(化合物B)の合成
【0223】
【化21】
磁気撹拌棒及び還流冷却器を備えた200mL丸底フラスコに、10.0gの2-メトキシアクリジン-9(10H)-オン(0.044モル)及び19.6gの炭酸セシウム(約1.25当量)を入れた。固体を真空下80℃で乾燥させ、その後、系を窒素ブランケット下に置き、60mLのDMSOをフラスコに添加した。1-ブロモブタン(7.55g、約1.25当量)をフラスコに添加し、混合物を110℃(マントル温度)で6時間加熱した。保持係数が非常に近く、クロマトグラフィーで分離できない2つの生成物がTLCで観察された。冷却した懸濁液を500mLの脱イオン水に注ぎ、混合物を室温で30分間撹拌した。有機物を酢酸エチル中に抽出し、脱イオン水で洗浄した(3×200mL)。有機物のNMRは、所望の化合物である、2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-オンに加えて、O-アルキル化アクリジン誘導体の存在を示した。この材料は、クネーフェナーゲル縮合に「そのまま」使用することができる。好ましくは、粗生成物を希HCl水溶液で洗浄して、O-アルキル化アクリジン誘導体を除去し、純粋な2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-オンを得た。H NMR(CDCl)-δ 1.05(3H,t),1.55(2H,m),1.82(2H,m),4.31(2H,dd),7.25(1H,ddd),7.34(1H,dd),7.45(1H,dd),7.68(1H,m),7.96(1H,d),8.56(1H,dd)。
【0224】
磁気撹拌棒及び還流凝縮器を備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、2-メトキシ-10-ブチルアクリジン-9(10H)-オンを含有する10.0gの粗生成物混合物と、15gのN-2-メタクリルオキシエチル-2-シアノアセトアミドと、を充填した。系を窒素ブランケット下に置き、150mLのジクロロメタンを混合物に加え、均一になるまで撹拌した。系を氷浴中で冷却した後、四塩化チタン(10mL、17.3 g、1.092モル)を混合物に滴下方式で添加し、撹拌を更に15分間続けた。ピリジン10mL(9.82g、0.12モル)を混合物に添加し、これを周囲温度に温め、次いで8時間加熱還流した。
TLCは、出発物質混合物中に存在する未反応のO-アルキル化誘導体を含む、いくつかの化合物の存在を示した。主生成物である化合物Bは、わずかにより極性のある、濃い茶色がかったオレンジ色の種であり、これは、希釈HCl水溶液中で系をクエンチし、続いて水で抽出し、クロマトグラフィーにかけた後に単離した。H NMR(CDCl)-δ 1.04(3H,t),1.51(2H,m),1.87(3H,s,2H,m),3.58(2H,dd),3.84(3H,s),4.12(2H,dd),4.19(2H,t),5.55(1H,dd),6.03(1H,bs),6.07(1H,t),7.07(1H,t),7.15(1H,dd),7.25(2H,2つのダブレット),7.48(1H,t),7.75(1H,bs),7.92(1H,bs)。
【0225】
化合物Bの代替的合成をスキーム3に示す
【0226】
【化22】
Rがn-ブチルである場合の、(E)-2-(2-(10-butyl-2-methoxyacridin-9(10H)-ylidene)-2-cyanoacetamido)ethyl methacrylateすなわち化合物Bの合成:磁気撹拌棒及び還流冷却器を備えた3つ口500mLの丸底フラスコ、9.43gのトリフェニルホスフィン(36mmol)及び120mLの無水ジクロロメタンを充填した。臭素(5.76g、33mmol)を溶液に滴下し、これを室温で更に30分間撹拌し、その後、10-ブチル-2-メトキシアクリジン-9(10H)-オン(8.43g、30mmol)を混合物に加え、18時間加熱還流した。2-(2-シアノアセトアミド)エチルメタクリレート(8.23g、36mmol、1.4当量)を反応混合物に添加し、これを更に8時間加熱し撹拌した。この時点でTLCによっては、非常に少量の出発物質しか観察されず、ベースラインで橙褐色の化合物が観察された。混合物を室温に冷却し、150mLの炭酸ナトリウム水溶液(約10.6g、100mmolの溶解NaCO)を加え、混合物を30分間撹拌した。塩基で処理して、所望の化合物を得た。水層を、追加のジクロロメタンで抽出した。有機物を減圧下で除去し、生成物をクロマトグラフィーによって精製した。粗物質をまず、ジクロロメタン及び酢酸エチルを用いてシリカゲルを通してフラッシュして、極性成分を除去した。次いで、この物質に最小量の塩化メチレンをロードした後、酢酸エチル/ヘキサン又はジエチルエーテル/ヘキサンを使用する2回目の通過により、所望の生成物を収率80%超で得た。
【0227】
化合物A及び化合物Bの選択された吸光度特性を表1に示す。
【0228】
【表4】
λmaxにおける半値全幅(FWHM)
【0229】
化合物A及び化合物Bの、0.1mMメタノール溶液の、UV-VIS吸収スペクトルを図1に示し、黄斑色素の文献スペクトル上に重ね合わせてある。
【0230】
実施例3:コンタクトレンズ
表2に列記される77重量%の配合物及び23重量%の希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。反応性モノマー混合物を、圧力下で、ステンレス鋼シリンジを使用して3μmのフィルタに通して濾過した。
【0231】
【表5】
【0232】
反応性モノマー混合物を、少なくとも20分間真空(約40トル)を適用することによって、周囲温度にて脱気させた。次に、窒素ガス雰囲気かつ約0.1~0.2パーセント未満の酸素ガスの入ったグローブボックス内で、約75μLの反応性混合物を、室温でエッペンドルフピペットを使用して90:10(w/w)のZ:TTブレンドから製造されたFCに投入した。次いで、90:10(w/w)のZ:TTブレンドから成るBCを、FC上に配置した。成形型を、分注前にグローブボックス内で最低12時間平衡化させた。それぞれ8つの成形型組立体を収容するパレットを、62℃に維持された隣接するグローブボックス内へと移し、約2.0mW/cmの強度を有する405nmの発光ダイオード光を使用して10分間、最上部から底部までレンズを硬化させる。
【0233】
レンズを手で型から取り出し、レンズを約1リットルの70パーセントIPA中に約1時間浮かせることによって離型し、続いて、30分間新たな70パーセントIPAに2回漬け;次いで、DIW中で一晩漬け;続いて、新鮮なDIWで30分間漬け;次いで、包装溶液で、30分間漬けた。最後に、レンズを平衡化し、ホウ酸塩緩衝パッキング溶液中で保管した。当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークからパッケージ溶液で膨潤したヒドロゲルに移行させることである。
【0234】
ホウ酸緩衝包装溶液中の2つの異なる組のレンズ(実施例3A及び3B)のUV-VIS透過スペクトルを図2に示す。
【0235】
実施例4:熱安定性及び光化学安定性試験
表3に列記される77重量%の配合物と、23重量%の希釈剤D3Oとで構成される反応性モノマー混合物を調製した。その反応性モノマー混合物から、4分間、1.5mW/cmの強度、続いて4分間、5mW/cmを使用する、両面395nmのLED硬化を使用してレンズを硬化させて、パイロット製造ライン上でレンズを製造した。レンズは、約50ppmのメチルエーテルセルロースを含有するホウ酸緩衝包装溶液と共に、標準的なブリスター包装に包装された。レンズ(実施例4A)は、121℃で約18分間、消毒された。
【0236】
【表6】
【0237】
実施例4Aのレンズ(対照レンズ)を、元のブリスター包装から取り出し、5mLのホウ酸緩衝包装溶液を含有する個々のガラスバイアルに入れた。これらのレンズを含有するバイアルを、89℃で1ヶ月間、安定チャンバ中で保存した。これらの熱処理されたレンズ(実施例4B)のレンズパラメータ、機械的特性、及びUV-VISスペクトル特性(VISスペクトル特性(ある範囲の波長にわたる平均パーセント透過率)をその後測定し、対照レンズと比較した。データを表4~表6に示す。標準偏差は、括弧内に示されている。実施例4A及び4BのUV-VISスペクトルを図3に示す。
【0238】
実施例4Aのレンズを、制御された光安定性チャンバ内に置いた(ボウル内のレンズが光に曝露され得るように、ホイル側を下に、ボウル側を上にした)。光安定性チャンバを25℃±2℃、及び環境相対湿度下に維持した。次に、これらのレンズを、150万ルクス時の可視光線に曝露(168.8時間の曝露)させ、次に259.4ワット時/mの紫外光に曝露(16.2時間の曝露)させた。これらの光によりストレスをかけたレンズ(実施例4C)のレンズパラメータ、機械的特性、及びUV-VISスペクトル特性(ある範囲の波長にわたる平均パーセント透過率)をその後測定し、対照レンズと比較した。データを表4~表7に示す。標準偏差は、括弧内に示されている。実施例4CのUV-VISスペクトルは、図3にも示されている。
【0239】
【表7】
【0240】
【表8】
【0241】
【表9】
【0242】
【表10】
最大可視光吸収時
【0243】
熱処理又は露光後のレンズパラメータ、機械的特性、及びUV-VIS透過スペクトルにおける小さな変化によって示されるように、式Iの化学部分構造を有する発色団(例えば、化合物B)は、黄斑色素のUV-VISスペクトルを実質的に模倣しながら、コンタクトレンズにおいて、熱安定性及び光安定性の両方を有するようである。
【0244】
〔実施の態様〕
(1) 430nm~480nmの可視光吸収極大、及び前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、光安定的であり、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、化合物。
(2) 前記可視光吸収極大は、440nm~470nmである、実施態様1に記載の化合物。
(3) 前記可視光吸収極大における前記FWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、実施態様1~2のいずれかに記載の化合物。
(4) 光安定性が、前記可視光吸収極大における、20%以下の吸光度の損失を含む、実施態様1~3のいずれかに記載の化合物。
(5) 430nm~480nmの可視光吸収極大、及び前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大150nmの半値全幅(FWHM)を有する化合物であって、黄斑色素よりも光安定的であり、少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、化合物。
【0245】
(6) 発色団を含む化合物であって、前記発色団が、式I:
【化23】
の下部構造を有し、
式中、EWGは、電子求引基であり、前記化合物が、440nm~480nmの範囲の可視光吸収極大を有する、化合物。
(7) EWGが、シアノ、アミド、エステル、ケト、又はアルデヒドである、実施態様6に記載の化合物。
(8) EWGがシアノである、実施態様6~7のいずれかに記載の化合物。
(9) 式II:
【化24】
のものであり、
式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、なお、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、それらは出現ごとに独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロで置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、なお、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基である、実施態様6に記載の化合物。
(10)
【化25】
である、実施態様6に記載の化合物。
【0246】
(11) 前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、光安定的である、実施態様6~10のいずれかに記載の化合物。
(12) 前記可視光吸収極大は、440nm~470nmである、実施態様11に記載の化合物。
(13) 前記可視光吸収極大における前記FWHMが、少なくとも40nmかつ最大95nmである、実施態様11~12のいずれかに記載の化合物。
(14) 光安定性が、前記可視光吸収極大における、20%以下の吸光度の損失を含む、実施態様11~13のいずれかに記載の化合物。
(15) 前記可視光吸収極大において少なくとも35nmかつ最大100nmの半値全幅(FWHM)を有し、黄斑色素よりも光安定的である、実施態様6~14のいずれかに記載の化合物。
【0247】
(16) 少なくとも7740L・mol-1・cm-1のモル吸光係数を有する、実施態様6~15のいずれかに記載の化合物。
(17) 実施態様1~16のいずれかに記載の化合物を含む眼科用装置。
(18) 前記眼科用装置を作製するのに好適なモノマーと、(b)実施態様1~16のいずれかに記載の化合物と、を含む反応性混合物の重合反応生成物である、コンタクトレンズ又は眼内レンズ。
(19) (a)鉱物材料若しくは有機材料、又はこれらの組み合わせと、(b)実施態様1~16のいずれかに記載の化合物と、を含む、眼鏡又はサングラスのレンズ。
(20) 熱的に安定である、実施態様1~15のいずれかに記載の化合物。
【0248】
(21) 式II:
【化26】
の化合物を製造する方法であって、
式中、m及びnは、独立して、0、1、2、3、又は4であり;Tは、結合、O、又はNRであり、なお、Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はY-Pであり;Rは、H、C~Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;Yは、連結基であり;Pは、重合性基であり;R及びRが、存在する場合、それらは出現ごとに独立して、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cチオアルキル、C~Cシクロアルキル、アリール(好ましくは非置換フェニル又はアルキル若しくはハロで置換されたフェニル)、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、NR、ベンジル、SOH、又はSOM(Mは、ナトリウム又はカリウムなどの一価カチオンである)であり、なお、R及びRは、独立して、H又はC~Cアルキルであり、或いは2つの隣接するR又はR基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、結合してシクロアルキル又はアリール環を形成し;EWGは、電子求引基であり、
前記方法は、
式II-A:
【化27】
のN-置換アクリドンを提供することと;
前記N-置換アクリドンを、トリフェニルホスフィンジブロミドと、式:
【化28】
の試薬とで処理することと;
式IIの前記化合物を単離することと、
を含む、方法。
(22) EWGは、CNである、実施態様21に記載の方法。
(23) m及びnは、0である、実施態様21~22のいずれかに記載の方法。
(24) Rは、C~Cアルキルである、実施態様21~23のいずれかに記載の方法。
(25) Tは、NRである、実施態様21~24のいずれかに記載の方法。
【0249】
(26) 式IIの前記化合物は、
【化29】
である、実施態様21に記載の方法。
図1
図2
図3
【国際調査報告】