IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特表2023-553233高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物
<>
  • 特表-高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物 図1A
  • 特表-高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物 図1B
  • 特表-高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物 図1C
  • 特表-高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物 図2
  • 特表-高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】高い熱安定性を有する硬化層を形成するための光硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 212/34 20060101AFI20231214BHJP
   C08F 220/20 20060101ALI20231214BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20231214BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C08F212/34
C08F220/20
C08F2/50
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505804
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021059115
(87)【国際公開番号】W WO2022132356
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/122,056
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン, フェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ウェイジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー, フェイ
(72)【発明者】
【氏名】スタコウィアック, ティモシー ブライアン
【テーマコード(参考)】
4F100
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK25
4F100AK25A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100EJ52
4F100EJ52A
4F100GB43
4F100JA06
4F100JB14
4F100JB14A
4J011QA13
4J011QA19
4J011QA23
4J011QA24
4J011SA03
4J011SA14
4J011SA15
4J011SA16
4J011SA20
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J011WA05
4J100AB15Q
4J100AB16Q
4J100AL62P
4J100AL63P
4J100CA04
4J100DA25
4J100FA03
4J100JA01
(57)【要約】
光硬化性組成物は重合性材料と光開始剤とを含むことができ、前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含むことができる。硬化性組成物の光硬化層は、400℃までの高い熱安定性、および少なくとも135℃のガラス転移温度を有することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性材料と光開始剤とを含む光硬化性組成物であって、
前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含み、
前記光硬化性組成物の光硬化層は、窒素下で、20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中における10%以下の第1の重量損失と、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中における2.0%以下の第2の重量損失とを備える、光硬化性組成物。
【請求項2】
前記第1の重量損失は5%以下である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
前記第2の重量損失は1.5%以下である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記光硬化性組成物の硬化後の前記光硬化層のガラス転移温度は少なくとも135℃である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
前記光硬化層の前記ガラス転移温度は少なくとも160℃である、請求項3に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
前記多官能性アクリレートモノマーは、三官能性アクリレートモノマー、四官能性アクリレートモノマー、またはそれらの組み合わせであり、前記多官能性ビニルベンゼンは、ジビニルベンゼン(DVB)または1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)、またはDVBとDPBとの組み合わせである、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
前記DVBおよび/またはDPBの量は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて20重量%~50重量%の間であり、前記多官能性アクリレートモノマーの量は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて45重量%~65重量%の間である、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、前記多官能性アクリレートモノマーの量は少なくとも60重量%であり、前記DVBおよび/またはDPBの量は35重量%以下である、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
前記DVBおよび/またはDPBの量は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%である、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
前記多官能性アクリレートモノマーに対するDVBおよび/またはDPBの重量%比は、1:7から7:1までの範囲である、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
前記光硬化性組成物の粘度は、50℃の温度で30mPa・s以下である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
前記重合性材料の量は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量%である、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
基板と当該基板上に重なる光硬化層とを含む積層体であって、
前記光硬化層は、請求項1に記載の光硬化性組成物から形成される、積層体。
【請求項14】
前記光硬化層の前記第2の重量損失は1.5%以下である、請求項13に記載の積層体。
【請求項15】
前記光硬化層は、少なくとも135℃のガラス転移温度を含む、請求項13に記載の積層体。
【請求項16】
基板上に光硬化層を形成する方法であって、
光硬化性組成物の層を基板上に供給する工程であって、前記光硬化性組成物は重合性材料と光開始剤と含み、前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含む、工程と、
前記光硬化性組成物をスーパーストレートに接触させる工程と、
前記光硬化性組成物に光を照射して光硬化層を形成する工程と、
前記光硬化層から前記スーパーストレートを除去する工程と、
を含み、
前記光硬化層は、窒素下で、20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中における10%以下の第1の重量損失と、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中における2.0%以下の第2の重量損失とを含む、方法。
【請求項17】
前記多官能性アクリレートモノマーは、三官能性アクリレートモノマーまたは四官能性アクリレートモノマーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光硬化性組成物の粘度は、50℃の温度で30mPa・s以下である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記光硬化層のガラス転移温度は少なくとも135℃である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
物品の製造方法であって、
光硬化性組成物の層を基板上に供給する工程であって、前記光硬化性組成物は重合性材料と光開始剤と含み、前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含む、工程と、
前記光硬化性組成物をスーパーストレートに接触させる工程と、
前記光硬化性組成物に光を照射して光硬化層を形成する工程と、
前記光硬化層から前記スーパーストレートを除去する工程と、
前記基板上にパターンを形成する工程と、
前記形成する工程で前記パターンが形成された前記基板を加工する工程と、
前記加工する工程で加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を含み、
前記光硬化層は、窒素下で、20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中における10%以下の第1の重量損失と、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中における2.0%以下の第2の重量損失とを含む、物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光硬化性組成物に関し、特に、ジビニルベンゼンと少なくとも1種の多官能性アクリレートモノマーとを含むインクジェット適応平坦化用の光硬化性組成物であって、光硬化性組成物から作製される光硬化層が400℃までの高い熱安定性を有する光硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット適応平坦化(IAP)は、基板(例えば電子回路を含むウエハ)の表面上に硬化性組成物の液滴を噴射し、付与された液体に平坦なスーパーストレートを直接接触させて平坦な液体層を形成することによって、基板の表面を平坦化する処理である。平坦な液体層は、典型的にはUV光露光下で固化され、スーパーストレートの除去後に、後続の処理工程、例えば、ベーキング、エッチング、および/または更なる堆積工程に曝される平坦な表面が得られる。高い熱安定性を有する平面硬化層をもたらす改善されたIAP材料が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、光硬化性組成物は、重合性材料と光開始剤とを含むことができ、前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含むことができ、前記光硬化性組成物の光硬化層は、窒素下で、20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中における10%以下の第1の重量損失と、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中における2.0%以下の第2の重量損失とを備えることができる。
【0004】
一態様では、前記光硬化層の前記第1の重量損失は5%以下でありうる。別の態様では、前記光硬化層の前記第2の重量損失は1.5%以下でありうる。
【0005】
更なる態様では、前記光硬化性組成物の硬化後の前記光硬化層のガラス転移温度は少なくとも135℃でありうる。ある特定の態様では、前記ガラス転移温度は少なくとも160℃でありうる。
【0006】
前記光硬化性組成物の別の態様では、前記多官能性アクリレートモノマーは、三官能性アクリレートモノマー、四官能性アクリレートモノマー、またはそれらの組み合わせであり、前記多官能性ビニルベンゼンは、ジビニルベンゼン(DVB)または1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)、またはDVBとDPBとの組み合わせでありうる。
【0007】
一態様では、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、前記DVBおよび/またはDPBの量は20重量%~50重量%の間であり、前記多官能性アクリレートモノマーの量は45重量%~65重量%の間でありうる。
【0008】
前記光硬化性組成物の別の態様では、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、前記多官能性アクリレートモノマーの量は少なくとも60重量%であり、前記DVBおよび/またはDPBの量は35重量%以下でありうる。
【0009】
前記光硬化性組成物の更なる別の態様では、前記DVBおよび/またはDPBの量は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%でありうる。
【0010】
前記光硬化性組成物の一態様では、前記多官能性アクリレートモノマーに対するDVBおよび/またはDPBの重量%比は、1:7から7:1までの範囲でありうる。
【0011】
別の態様では、前記光硬化性組成物の粘度は、50℃の温度で30mPa・s以下でありうる。
【0012】
前記光硬化性組成物の更なる態様では、前記重合性材料の量は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量%でありうる。
【0013】
一実施形態において、積層体は基板と当該基板上に重なる光硬化層とを含むことができ、前記光硬化層は、上述の前記光硬化性組成物から形成されうる。
【0014】
前記積層体の一態様では、前記光硬化層の350℃から400℃までの前記第2の重量損失は1.5%以下でありうる。
【0015】
前記積層体の更なる態様では、前記光硬化層は、少なくとも135℃のガラス転移温度を含みうる。
【0016】
別の実施形態において、基板上に光硬化層を形成する方法は、光硬化性組成物の層を基板上に供給する工程であって、前記光硬化性組成物は重合性材料と光開始剤と含むことができ、前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含むことができる、工程と、前記光硬化性組成物をスーパーストレートに接触させる工程と、前記光硬化性組成物に光を照射して光硬化層を形成する工程と、前記光硬化層から前記スーパーストレートを除去する工程と、を含むことができ、前記光硬化層は、窒素下で、20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中における10%以下の第1の重量損失と、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中における2.0%以下の第2の重量損失とを含む。
【0017】
前記方法の一態様では、前記光硬化性組成物の粘度は、50℃の温度で30mPa・s以下でありうる。
【0018】
前記方法の別の態様では、前記光硬化層のガラス転移温度は少なくとも135℃でありうる。
【0019】
更なる実施形態において、物品の製造方法は、光硬化性組成物の層を基板上に供給する工程であって、前記光硬化性組成物は重合性材料と光開始剤と含むことができ、前記重合性材料は、前記光硬化性組成物の総重量に基づいて、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼンと、15重量%~85重量%の量の少なくとも1つの多官能性アクリレートモノマーとを含むことができる、工程と、前記光硬化性組成物をスーパーストレートに接触させる工程と、前記光硬化性組成物に光を照射して光硬化層を形成する工程と、前記光硬化層から前記スーパーストレートを除去する工程と、前記基板上にパターンを形成する工程と、前記形成する工程で前記パターンが形成された前記基板を加工する工程と、前記加工する工程で加工された前記基板から物品を製造する工程と、を含むことができ、前記光硬化層は、窒素下で、20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中における10%以下の第1の重量損失と、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中における2%以下の第2の重量損失とを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
実施形態は、例として示され、添付の図に限定されるものではない。
【0021】
図1A図1Aは、実施形態に係る、約78重量%のジビニルベンゼンと様々な種類の多官能性アクリレートモノマーを有する約19重量%の多官能性アクリレートモノマーとを含有する光硬化性組成物から作製された光硬化層の加熱中の第1および第2の重量損失を示すグラフを含む。
【0022】
図1B図1Bは、実施形態に係る、約47重量%のジビニルベンゼンと様々な種類の多官能性アクリレートモノマーを有する約47重量%の多官能性アクリレートモノマーとを含有する光硬化性組成物から作製された光硬化層の加熱中の第1および第2の重量損失を示すグラフを含む。
【0023】
図1C図1Cは、実施形態に係る、約19重量%のジビニルベンゼンと様々な種類の多官能性アクリレートモノマーを有する約75重量%の多官能性アクリレートモノマーとを含有する光硬化性組成物から作製された光硬化層の加熱中の第1および第2の重量損失を示すグラフを含む。
【0024】
図2図2は、実施形態に係る、20℃/分のレートでのサーモグラフィ分析(TGA)による光硬化層の重量損失を示すグラフを含む。
【0025】
図3図3は、実施形態に係る、20℃/分のレートでのサーモグラフィ分析(TGA)による光硬化層の重量損失を示すグラフを含み、TGAは、250℃で30分間の光硬化層のベーキング処理後に行われた。
【0026】
当業者であれば、図中の要素は簡略化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するのであろう。例えば、図中のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解するのを助けるために提供され、教示の特定の実装および実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供され、教示の範囲または適用性に関する限定として解釈されるべきではない。
【0028】
特に定義されない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、インプリントおよびリソグラフィ技術内の教科書および他の情報源に見出すことができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、またはそれらの任意の他のバリエーションは、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストを備える処理、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか、またはそのような処理、方法、物品、または装置に固有の他の特徴を含む場合がある。
【0030】
本明細書で使用される場合、明示的に反対のことが述べられていない限り、「または(or)」は、包括的な-またはを指し、排他的な-またはを指すものではない。例えば、条件AまたはBが満たされるのは:Aが真であり(または存在する)且つBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)且つBが真である(または存在する)、ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0031】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載された要素(elements)および構成要素(components)を記載するために用いられる。これは、単に便宜上、本発明の範囲の一般的な意味を示すために用いられる。本明細書は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、別の意味であることが明らかでない限り、単数形は複数形も含む。
【0032】
本開示は、重合性材料と光開始剤とを含む光硬化性組成物に向けられ、重合性材料は、少なくとも1つの多官能性ビニルベンゼン(MFV)と少なくとも1つの多官能性アクリレート(MFA)モノマーとを含むことができる。一態様では、光硬化性組成物の総重量に基づいて、MFVの量は15重量%~85重量%の間であり、MFAの量は15重量%~85重量%の間でありうる。
【0033】
驚くべきことに、本開示の光硬化性組成物から作製される光硬化層は、高い熱安定性を有することができることが観察された。一態様では、窒素下における20℃/分のレートでの25℃から350℃までの加熱中の光硬化層の重量損失(本明細書では「第1の重量損失」とも呼ばれる)は10%以下であり、20℃/分のレートでの350℃から400℃までの更なる加熱中の重量損失(本明細書では「第2の重量損失」とも呼ばれる)は2.0%以下でありうる。
【0034】
本明細書で使用される場合、特に断らない限り、第1の重量損失および第2の重量損失を測定するための全ての加熱は、窒素雰囲気下で行われた。
【0035】
特定の態様では、加熱中の第1の重量損失は、8%以下、または5%以下、または3%以下でありうる。
【0036】
更なる特定の態様では、加熱中の第2の重量損失は、1.8%以下、または1.5%以下、または1.3%以下、または1.0%以下でありうる。
【0037】
光硬化性組成物は、対応する光硬化性材料が高いガラス転移温度(Tg)を有しうるという驚くべき利点を更に有することができる。一態様では、光硬化性組成物を硬化させた後の光硬化層のガラス転移温度が、少なくとも135℃でありうる。他の特定の態様では、Tgが、少なくとも140℃、または少なくとも150℃、または少なくとも160℃、または少なくとも165℃、または少なくとも170℃、または少なくとも175℃、または少なくとも180℃でありうる。
【0038】
本明細書で使用される場合、多官能性アクリレートモノマー(MFA)という用語は、2以上のアクリレート単位を含む任意のモノマー構造に関し、アクリレート単位は、置換アクリレート単位、例えばメタクリレート単位でもありうる。
【0039】
本明細書で使用される場合、多官能性ビニルベンゼン(MFV)という用語は、少なくとも2つのビニル基またはアルキル置換ビニル基を含有するベンゼン環、例えば、ジビニルベンゼン(DVB)、1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)、トリビニルベンゼン、またはテトラビニルベンゼン、を含む任意のモノマー構造に関する。また、MFVは、非置換または置換MFVであってもよく、ベンゼン環の1以上のH原子がアルキル基またはハロゲンまたはビニル基とは異なる官能基によって置換されていてもよい。
【0040】
一実施形態において、重合性材料のMFAは、三官能性アクリレートモノマー、四官能性アクリレートモノマー、またはこれらの組合せでありうる。
【0041】
特定の実施形態において、光硬化性組成物中に含有される多官能性ビニルベンゼン(MFV)の量は、少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%でありうる。別の態様では、MFVの量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて、83重量%以下、または80重量%以下、または75重量%以下、または70重量%以下、または65重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下、または50重量%以下、または45重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または25重量%以下でありうる。MFVの量は、上記の最小数と最大数のいずれかの間の範囲内の値とすることができる。
【0042】
別の実施形態において、多官能性アクリレート(MFA)モノマーの量は、少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%でありうる。別の態様では、MFAの量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて、83重量%以下、または80重量%以下、または75重量%以下、または70重量%以下、または65重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下、または50重量%以下、または45重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または25重量%以下でありうる。MFAの量は、上記の最小数と最大数のいずれかの間の範囲内の値とすることができる。
【0043】
特定の実施形態において、多官能性ビニルベンゼン(MFV)は、ジビニルベンゼン(DVB)でありうる。別の特定の実施形態において、MFVは、1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)でありうる。更に別の実施形態において、MFVは、DVBとDPBとの組合せであってもよい。
【0044】
一態様では、光硬化性組成物中でのMFVに対するMFAの重量パーセント比は、1:7から7:1まで、または1:4から4:1まで、または1:2から2:1まで、または1:1.5から1.5:1まででありうる。
【0045】
特定の態様では、DVBおよび/またはDPBの量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて20重量%~50重量%の間であり、MFAの量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて45重量%~65重量%の間でありうる。
【0046】
光硬化性組成物の別の特定の態様では、光硬化性組成物の総重量に基づいて、MFAの量は少なくとも60重量%であり、DVBの量は35重量%以下でありうる。
【0047】
更なる別の特定の態様では、DVBおよび/またはDPBの量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて少なくとも70重量%でありうる。
【0048】
別の態様では、光硬化性組成物の重合性材料は、多官能性ビニルベンゼン(MFV)または多官能性アクリレート(MFA)モノマーではない、特定の量の重合性モノマー、オリゴマー、またはポリマーを更に含むことができる。そのような重合性化合物の非限定的な例は、単官能性アクリレートモノマー、例えば、ベンジルアクリレート、マレイミドモノマー、ビニルエーテル、またはスチレン誘導体でありうる。
【0049】
一実施形態において、本開示の光硬化性組成物は、IAP用途におけるこれらの組成物の使用を可能にしうる低粘度を有することができる。一態様では、50℃の温度での光硬化性組成物の粘度は、30mPa・s以下、または25mPa・s以下、20mPa・s以下、15mPa・s以下、または10mPa・s以下、または5以下、または3mPa・s以下など、35mPa・s以下であり得る。別の態様では、粘度は、少なくとも1mPa・s、または少なくとも2mPa・s、または少なくとも3mPa・sでありうる。特定の態様では、光硬化性組成物は、30mPa・s以下の粘度を有することができる。本明細書で使用される場合、全ての粘度値は、ブルックフィールド法を用いて所与の温度で測定された粘度に関する。
【0050】
別の態様では、光硬化性組成物は、23℃の温度で、120mPa・s以下、または100mPa・s以下、または50mPa・s以下、または30mPa・s以下、または20mPa・s以下、または15mPa・s以下、または10mPa・s以下の粘度を有することができる。
【0051】
更なる別の実施形態において、光硬化性組成物中に含有される重合性材料の量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%など、少なくとも75重量%でありうる。別の態様では、重合性材料の量は、99重量%以下、または98重量%以下、または97重量%以下、または95重量%以下、または93重量%以下、または90重量%以下など、99.5重量%以下でありうる。また、重合性材料の量は、上記の最小値および最大値のいずれかを含む範囲内にすることができる。特定の態様では、重合性材料の量は、光硬化性組成物の総重量に基づいて、少なくとも90重量%かつ97重量%以下にすることができる。
【0052】
更なる態様では、本開示の光硬化性組成物は、溶媒を含まなくてもよい。
【0053】
光に曝された場合に組成物の光硬化を開始させるために、1種以上の光開始剤を光硬化性組成物中に含めることができる。
【0054】
特定の態様では、硬化は、光開始剤の存在なしで実施することもできる。別の特定の態様では、硬化は、光および熱硬化の組合せによって行うことができる。
【0055】
更なる態様では、光硬化性組成物は、少なくとも1種の任意の添加剤を含有することができる。任意の添加剤の非限定的な例は、界面活性剤、分散剤、安定剤、共溶媒、開始剤、阻害剤、染料、またはそれらの任意の組合せでありうる。
【0056】
別の実施形態において、本開示は、基板と当該基板上に重なる光硬化層とを含む積層体に向けられ、光硬化層は、上述の光硬化性組成物から形成されうる。
【0057】
特定の態様では、積層体は、基板と硬化層との間に1以上の層、例えば接着層を更に含むことができる。
【0058】
本開示は、さらに、光硬化層を形成する方法に向けられる。当該方法は、上述の光硬化性組成物を基板上に供給する工程と、光硬化性組成物にスーパーストレートを接触させる工程と、光硬化性組成物に光を照射して光硬化層を形成する工程と、硬化層からスーパーストレートを除去する工程とを含むことができる。
【0059】
一態様では、光照射は、250nm~760nmの間の波長を有する光で行われうる。好ましい態様では、光照射は、300nm~450nmの間の波長を有する光で行われてもよい。
【0060】
基板および固化(光硬化)層は、例えば、固化層および/または固化層の下にあるパターン化層の一方または両方においてパターンに対応する像を基板に転写するためのエッチング処理を含むことによって、所望の物品を形成するために追加の処理に曝されもよい。基板は、例えば、硬化、酸化、層形成、堆積、ドーピング、平坦化、エッチング、成形可能材料除去、ダイシング、ボンディング、およびパッケージングなどを含む、デバイス(物品)製造のための既知の工程および処理に更に曝されうる。特定の態様では、基板は、複数の物品(デバイス)を製造するために処理されてもよい。
【0061】
また、光硬化層は、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、またはD-RDRAMなどの半導体装置の層間絶縁膜として用いられてもよいし、半導体製造処理で用いられるレジスト膜として用いられてもよい。
【0062】
実施例において更に実証されるように、驚くべきことに、光硬化性組成物中におけるジビニルベンゼンと多官能性アクリレートモノマーとの特定の組合せが、IAP処理に非常に適した特性を有しうることが発見された。光硬化性組成物は、低粘度を有することができ、400℃までの例外的に高い熱安定性を有する光硬化層を形成することができ、特定の実施形態では180℃を超えるまでの高いガラス転移温度を有することができる。
【0063】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本明細書に記載された概念を例示する。
【0064】
実施例1
【0065】
光硬化性IAP組成物の調製
【0066】
ジビニルベンゼンと少なくとも1種の多官能性アクリレートモノマーとを含む光硬化性組成物を調製した。組成物は、ジビニルベンゼンの量を約14.6重量%から87.4重量%まで変化させ、多官能性アクリレートモノマーの量を9.7重量%から82.5重量%まで変化させた。光硬化性組成物間で変化させたもう1つパラメータは、多官能性アクリレートモノマーの種類であり、それは二官能性アクリレートモノマー(本ネオペンチルグリコールジアクリレート、明細書ではA2と呼ばれる)、三官能性アクリレートモノマー(トリメチルプロパントリアクリレート、本明細書ではA3と呼ばれる)、および、四官能性アクリレートモノマー(テトラメチルメタンテトラアクリレート、本明細書ではA4と呼ばれる)を含む。また、ジビニルベンゼンのみ又は多官能性アクリレートモノマーのみのいずれかモノマーとして含有する比較組成物を調製した。全ての組成物は、光開始剤としてのIrgacure 907と界面活性剤(Wonda Science, MA, USAのFS2000M1)を更に含有する。
【0067】
光硬化性組成物の総量に基づく各モノマー種類の正確な重量%の量を表1に示す。表1は、A2、A3、またはA4など何の種類の多官能性アクリレートモノマーが使用されたかを更に示している。
【0068】
表1
【0069】
1,3-ジイソプロペニルベンゼンを含む光硬化性組成物
【0070】
重合性材料が多官能性ビニルベンゼンとしてモノマー1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)を含有し、これを三官能性アクリレートモノマートリメチロールプロパントリアクリレート(A3)と組み合わせた、2つの更なる光硬化性組成物を調製した(S24およびS25)。重合性モノマーとして1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)のみを含み、多官能性アクリレートモノマーを含まない比較組成物を更に作製した。両方の光硬化性組成物は、BASFの2重量%の光開始剤Irgacure 907および1重量%の界面活性剤(Dianel LABのFS2000M1)を含有する。組成物の概要を表2に示す。
【0071】
表2
【0072】
粘度
【0073】
光硬化性組成物の粘度は、200rpmのBrookfield Viscometer LVDV-II + Proを用いて、スピンドルサイズ#18およびスピン速度135rpmで測定した。粘度試験のために、約6~7mLのサンプル液体を、スピンドルヘッドを覆うのに十分な量で、サンプルチャンバー内に加えた。チャンバー内に収容されるサンプルは、実際の測定が開始される前に、23℃または50℃である所望の測定温度に達するように約20分間平衡化された。全ての粘度試験について、少なくとも3回の測定を行い、平均値を算出した。
【0074】
光硬化性組成物の大部分は、23℃で10mPa・s以下の粘度を有していた。少量のDVBと多量の三官能性または四官能性アクリレートモノマーとを有するサンプル(サンプル15および16)のみが、23℃で31mPa・sおよび106mPa・sなど10mPa・sを超える粘度を有していた。これらの組成物をインクジェット印刷に適したものにするために、50℃まで昇温すると、粘度を30mPa・s以下に低下させることができ、これはIAP処理で許容される。
【0075】
光硬化層の熱安定性
【0076】
光硬化膜は、試験した光硬化性組成物の300μm厚の層をガラス基板上に供給し、固化層を形成するための約10.0J/cmの硬化エネルギ線量に相当する、365nmの最大波長と14mW/cmの光強度とを有する紫外線で11.5分間、室温(23℃)で膜を硬化させることによって作製された。50重量%を超えるジビニルベンゼンを含有する光硬化性組成物については、硬化時間を2倍の23分にして光硬化を行った。
【0077】
光硬化膜は、25mgの光硬化膜をアルミナるつぼに入れて、Linseis STA PT 1000装置を使用してTGA測定にかける熱処理レジームに曝された。サンプルの加熱を、窒素化において加熱レート20℃/分で25℃から450℃まで行い、25℃から350℃まで、および350℃から400℃までの累積重量損失率をTGA曲線から読み取った。テストサンプルは、ほとんどのテストサンプルで420~440℃の範囲内である初期分解温度を超えるまで加熱された。
【0078】
表1および表2のデータから、ジビニルベンゼン(DVB)または1,3-ジイソプロペニルベンゼン(DPB)とトリアクリレートモノマーまたはテトラアクリレートモノマーとの特定の組合せは、優れた熱安定性を有する光硬化層を形成することができ、25℃から350℃までの加熱中の重量損失(本明細書では「第1の重量損失」とも呼ばれる)は10%以下であり、350℃から400℃までの更なる加熱中の重量損失(本明細書では「第2の重量損失」とも呼ばれる)は2%以下であったことが分かる。特に高い熱安定性は、サンプルS24の光硬化層、1,3-ジシプロペニルベンゼン(DPB)とトリメチロールプロパントリアクリレート(A3)との組合せで示され、それは、25℃から350℃までの間の第1の重量損失は0.07%であり、350℃から400℃までの加熱中の第2の重量減少は0.5%であった。
【0079】
図1A図1B、および図1Cは、MFAに対するDVBの3つの異なる濃度比(全て表1から得られた)を示し、MFAの種類を、二官能性(A2)、三官能性(A3)、および四官能性アクリレートモノマー(A4)の間で変化させた。四官能性アクリレートモノマーを使用した場合、全ての濃度比内で最も低い重量損失が生じ、三官能性アクリレートモノマーを使用した場合に同様の結果が得られたことが分かる。対照的に、二官能性アクリレートモノマーは、少量(0.194重量%)で使用される場合、25℃から350℃までの加熱中に25.8%までの非常に高い重量損失を有し、350℃から400℃までの加熱中に2%を超える比較的高い重量損失を有した。DVBおよび三官能性または四官能性アクリレートモノマーの量が均一なレベルである場合、最良の熱安定性が得られた(図1B参照)。
【0080】
サンプル5および6、ならびに比較サンプル4のTGA曲線の図を図2に示す。3つの曲線すべてについて、約25℃から約175℃までの加熱中に最大の重量減少が生じたことが分かる。理論に束縛されるものではないが、25℃~175℃の間での重量損失の理由は、光硬化層内に依然として含まれていた未反応モノマーの蒸発および/または分解であると思われる。
【0081】
更なる種類の熱処理は、250℃の温度を有するホットプレート上に光硬化層を30分間配置し、その後、サンプルを室温まで冷却し、25℃から400℃以上に20℃/分のレートで、分解が著しく観察されるまで(重量損失>30%)、サンプルをを再加熱することによって行われた。
【0082】
TGA測定と組み合わせられたベーキング処理は、サンプル5および6から形成された光硬化層を用いて行われた。ベーキング処理後、ベーキング層(本明細書ではサンプル5Bおよび6Bと呼ぶ)は、400℃の温度まで優れた熱安定性を有することが観察された。25℃~350℃の範囲(第1の重量損失)および350℃~400℃の範囲(第2の重量損失)でのTGAを介した再加熱中に測定されたサンプル5および6の重量損失を表3に示し、完了TGA曲線を図3に示す。
【0083】
表3
【0084】
ガラス転移温度
【0085】
光硬化層のガラス転移温度を、Hamamatsu Lightningcure LC8 UV電源と組み合わせたAnton-PaarMCR-301レオメーターを用いて測定した。サンプルを、Hamamatsu 365 nm UV電力計によって制御された365nmで100mW/cmのUV強度で照射した。レオメーターを制御し、データ分析を行うために、RheoPlusと名付けられたソフトウェアを使用した。温度は、Julabo F25-MEウォーターユニットによって制御され、開始温度として23℃に設定された。各サンプルテストについて、7μlのレジストサンプルを、レオメーターの測定システムの真下に配置されたガラスプレート上に加えた。UV照射を開始する前に、ガラスプレートと測定ユニットとの間の距離を0.1mmのギャップに減少させた。貯蔵弾性率(storage modulus)がプラトー(plateau)に達するまでUV照射露光を継続し、プラトーの高さを貯蔵弾性率として記録した。UV硬化が完了した後、加熱を制御して硬化サンプルの温度を上昇させ、温度に依存した貯蔵弾性率の変化を測定し、ガラス転移温度Tgを得た。ガラス転移温度Tgは、タンジェント(θ)の最大値に対応する温度と考えられた。
【0086】
表3には、本開示に代表される光硬化性組成物から作製された光硬化層の測定されたガラス転移点(Tg)が含まれる。Tgは、137℃から180°Cを超える値までの範囲であることが分かる。Tgが高いとエッチング中の線うねりが低減し、レジストのエッチング性能が向上することが知られているため、このような高いTg値は望ましい。
【0087】
本開示の代表的なサンプルののガラス転移点(Tg)とは対照的に、表4は、ジビニルベンゼン(DVB)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(A2)、トリメチロールプロパントリアクリレート(A3)、およびテトラメチロールメタンテトラアクリレート(A4)のホモポリマーなど、本実施例で使用されるモノマーによって形成されるホモポリマーのTgを更に含む。ホモポリマーのTgは、公開された文献から得られた。光硬化性組成物中に含有されるモノマーの特定の組合せは、ホモポリマーのTgと比較して、増加した高いガラス転移点を有する硬化後のポリマー物質をもたらしうることが分かる。
【0088】
表4
【0089】
本明細書に記載された実施形態の明細書および図面は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することが意図される。本明細書および図面は、本明細書に記載された構造または方法を使用する装置およびシステムの要素および特徴のすべてを網羅的かつ包括的に説明するものではない。別個の実施形態はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において説明される様々な特徴は、別個にまたは任意の下位の組み合わせで提供されてもよい。さらに、範囲で記載された値への言及は、その範囲内のそれぞれのおよびすべての値を含む。多くの他の実施形態は、本明細書を読んだ後にのみ、当業者に明らかでありうる。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、または別の変更が行われ得るように、他の実施形態が使用され、本開示から導出され得る。したがって、本開示は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
【国際調査報告】