IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トプコン ポジショニング システムズ, インク.の特許一覧

<>
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図1
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図2
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図3
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図4
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図5
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図6
  • 特表-物質独立質量流量センサ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】物質独立質量流量センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/80 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G01F1/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517294
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021072866
(87)【国際公開番号】W WO2022126136
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/124,690
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】フィッツシモンズ,ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】イートン,デビッド シー.
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035JA03
(57)【要約】
【課題】コンバインによって収穫される穀物の質量流量の計算に使用することができる信号を生成するために、物質独立質量流量センサが使用される。
【解決手段】物質の質量を決定するための方法は、三点計測トランスデューサからのデータを受信するステップと、前記三点計測トランスデューサからの前記データに基づいて物体の質量位置の角度中心を決定するステップを含む。前記物体の摩擦係数が決定される。前記物体の速度が決定される。前記物体の質量が決定される。前記物体の前記質量は、前記物体の質量位置の前記角度位置、前記物体の前記摩擦係数、および前記物体の前記速度に基づいて決定することができる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質独立質量流量センサ(MIMFS)内を移動する物体の質量を決定する方法であって、
前記物体が前記MIMFS内を移動するとき、負荷屈曲に取り付けられた三点計測トランスデューサからのデータを受信し、
前記三点計測トランスデューサからの前記データに基づいて前記負荷屈曲に沿った前記物体の質量位置の角度中心を決定し、
前記物体の摩擦係数を決定し、
前記物体の速度を決定し、
前記物体の質量位置の前記角度中心と、前記物体の前記摩擦係数と、前記物体の前記速度とに基づいて前記物体の質量を決定する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記三点計測トランスデューサから受信した前記データは、屈曲力データF、伸縮力データF、およびトルクデータTを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体の質量位置の角度中心を決定することは、さらに、F、F、T、負荷屈曲半径R、トランスデューサ取付オフセットEおよび機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置βに基づくことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
屈曲力Fが正の値の場合、前記物体の質量位置の角度中心は、以下の式を用いて計算されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【数6】
【請求項5】
屈曲力Fが負の値の場合、前記物体の質量位置の角度中心は、以下の式を用いて計算されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【数7】
【請求項6】
前記物体の前記摩擦係数を決定することは、質量位置の前記角度中心α、F、F、およびβに基づくことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記物体の前記摩擦係数は、以下の式を用いて計算されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【数8】
【請求項8】
前記物体の前記速度を決定することは、前記物体の質量位置の前記角度中心α、前記物体の前記摩擦係数μ、前記負荷屈曲の半径R、重力加速度g、機械基準面に対する前記負荷屈曲の負荷入口の角度位置δ、真の水平からの機械基準面の前記角度オフセットθ、および、位置δにて前記物体が前記負荷屈曲に入るときの前記物体の初速度vに基づくことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記物体の前記速度は、下記式を用いて計算されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【数9】
【請求項10】
前記物体の質量を決定することは、さらに、前記三点計測トランスデューサが計測した屈曲力F、前記三点計測トランスデューサに取り付けられた負荷屈曲の半径R、機械基準面に対するトランスデューサ取付の角度位置β、重力加速度g、計算された速度v、および、真の水平からの機械基準面の角度オフセットθに基づくことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記物体の前記質量は、下記式を用いて計算されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【数10】
【請求項12】
さらに、
前記質量が前記負荷屈曲上に位置する時間に基づいて計測時間を決定し、
前記質量および前記計測時間に基づいて質量流量を決定し、
前記質量および前記計測サンプリング速度に基づいて増加分質量を決定し、および、
増加分質量を加算することによって合計質量を決定する
することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
負荷屈曲の一端において受容した物体を前記負荷屈曲の他端へ案内するよう構成された前記負荷屈曲と、
屈曲力F、伸縮力FおよびトルクTを計測するための、前記負荷屈曲に取り付けられた三点計測トランスデューサと、
プロセッサと、
コンピュータプログラム命令を格納するメモリと
を備えた物質独立質量流量センサ(MIMFS)であって、
前記コンピュータプログラム命令は、前記プロセッサ上で実行される場合、以下のステップを備えた動作を前記プロセッサに実施させるものであり、
前記ステップは、
前記三点計測トランスデューサから受信したデータに基づいて前記負荷屈曲に沿った前記物体の質量位置の角度中心を決定し、
前記物体の摩擦係数を決定し、
前記物体の速度を決定し、および、
前記質量の質量位置の前記角度中心と、前記質量の前記摩擦係数と、前記質量の前記速度に基づいて前記物体の質量を決定する
ことを特徴とする物質独立質量流量センサ(MIMFS)。
【請求項14】
前記三点計測トランスデューサから受信した前記データは、屈曲力データF、伸縮力データF、およびトルクデータTを含むことを特徴とする請求項13に記載の物質独立質量流量センサ。
【請求項15】
前記物体の質量位置の前記角度中心を決定することは、さらに、F、F、T、負荷屈曲半径R、トランスデューサ取付オフセットEおよび機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置βに基づくことを特徴とする請求項14に記載の物質独立質量流量センサ。
【請求項16】
農地から物質を収穫するコンバインであって、前記コンバインは、物質独立質量流量センサ(MIMFS)を有し、
前記物質独立質量流量センサ(MIMFS)は、
負荷屈曲の一端において受容した物体を前記負荷屈曲の他端へ案内するよう構成された前記負荷屈曲と、
屈曲力F、伸縮力FおよびトルクTを計測するための、前記負荷屈曲に取り付けられた三点計測トランスデューサと、
プロセッサと、
コンピュータプログラム命令を格納するメモリと
を備え、
前記コンピュータプログラム命令は、前記プロセッサ上で実行される場合、以下のステップを備えた動作を前記プロセッサに実施させるものであり、
前記ステップは、
前記三点計測トランスデューサから受信したデータに基づいて前記負荷屈曲に沿った前記物体の質量位置の角度中心を決定し、
前記物体の摩擦係数を決定し、
前記物体の速度を決定し、および、
前記質量の質量位置の前記角度中心と、前記質量の前記摩擦係数と、前記質量の前記速度に基づいて前記物体の質量を決定する
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項17】
前記三点計測トランスデューサから受信した前記データは、屈曲力データF、伸縮力データF、およびトルクデータTを含むことを特徴とする請求項16に記載のコンバイン。
【請求項18】
前記物体の質量位置の前記角度中心を決定することは、さらに、F、F、T、負荷屈曲半径R、トランスデューサ取付オフセットEおよび機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置βに基づくことを特徴とする請求項17に記載のコンバイン。
【請求項19】
前記物体の質量を決定することは、さらに、機械基準面に対する前記負荷屈曲への前記入口の前記角度位置δと、真の水平からの機械基準面の前記角度オフセットθと、前記負荷屈曲に入る前記質量の前記初速度vと、重力加速度gに基づくことを特徴とする請求項14に記載の物質独立質量流量センサ。
【請求項20】
前記物体の前記質量は、下記式を用いて計算されることを特徴とする請求項19に記載のコンバイン。
【数10】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業収量モニタリングに係り、特に、収量モニタリングで使用する物質独立質量流量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
農地から穀物を収穫するために使用されるコンバインは、収穫される穀物の様々な特性を検出するためのセンサを備えたものが多い。収穫された穀物の質量に関する情報は、農地から収穫された穀物の収量を決定するのに役立つ。収穫された穀物の質量流量計測を利用して、収量を決定することができる。決定された収量はまた、特定地域からの収量を増加させるために、特定地域の作物を農業材料によってどのように扱われるべきかを決定することにも利用することができる。
【0003】
穀物移送装置での従来の質量流量計測では、最良近似の方法および装置が利用される。コンバインの場合、穀物流は、精白穀物昇降装置を超えて力計測装置に備えられた衝突板によって阻害される。力測定装置において、穀物の部分的な衝突は、負荷に比例する電気信号を生成し、続いて備えられた電子計算装置においてデジタル表示を生成する。力測定装置は通常、衝突力を検出する単向性のセンサである。穀物流はまた、案内屈曲(例えば、屈曲板)によっても阻害される。屈曲板を使用する場合、穀物流は屈曲板に沿って動くよう導かれ、穀物が案内屈曲に衝突したりそれに沿って動くことによって生じる力(例えば、衝突力および/または求心力)をセンサが検出する。衝突または求心力から穀物流への変換は、多くの労力により作成した参照表および/または区分的非線形の衝突力曲線を利用するものであり、これら表および/または曲線は、これらのみに限定されないが穀物種類、湿気量、温度、穀物速度、衝突板および周囲構造の物理的寸法等といった多くの変数に依存し、通常、収穫季節を通じて常に検証および/または再較正を必要としている。必要なものは、ユーザに正確な収量計測を容易に得させるための装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、コンバインによって収穫された穀物の質量流量を計算するための物質独立質量流量センサに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態においては、物質独立質量流量センサ(Material independent mass flow sensor, MIMFS)を通過する物体の質量を決定するには、物体がMIMFSを通過する時に負荷屈曲に取り付けられた三点計測トランスデューサからデータを受信することを含む。三点計測トランスデューサからのデータに基づく負荷屈曲に沿った物体の質量位置の角度中心が決定される。一実施形態においては、物体の質量位置の角度中心は、屈曲力F、伸縮力F、トルクT、負荷屈曲半径R、トランスデューサ取付オフセットEおよび機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置βの計測に基づいて決定される。物体の摩擦係数が決定される。一実施形態においては、物体の摩擦係数は、質量位置の角度中心α、F、F、およびβに基づいて決定される。物体の速度が決定される。一実施形態においては、物体の速度は、質量位置の角度中心α、物体の摩擦係数μ、負荷屈曲半径R、重力加速度g、機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置δ、および位置δにて負荷屈曲に入るときの物体の初速度がνであることに基づく。物体の質量が決定される。一実施形態においては、物体の質量は、物体の質量位置の角度中心、物体の摩擦係数、および物体の速度に基づいて決定される。一実施形態においては、物体の質量はさらに、負荷屈曲半径R、機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置β、重力加速度g、真の水平からの機械基準面の角度オフセットθおよびFに基づく。一実施形態においては、計測時間、具体的には質量が負荷屈曲に位置する時間が決定される。一実施形態においては、計測時間は、負荷屈曲に沿った質量の平均速度に基づいて決定される。一実施形態においては、計測時間はさらに、機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置δ、機械基準面に対する負荷屈曲出口の角度位置γ、および負荷屈曲半径Rに基づく。質量流量が決定される。一実施形態においては、質量流量は、物体の質量および計測時間に基づいて決定される。増加分質量が決定される。一実施形態においては、増加分質量は、物体の質量、三点計測トランスデューサの計測サンプリング速度および計測時間に基づいて決定される。合計質量が決定される。一実施形態においては、合計質量は、過程の継続時間を通しての増加分質量を合計することにより決定される。物質独立質量流量センサおよび物質独立質量流量センサを有するコンバインも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、農地にて動作するコンバインおよび穀物車両である。
【0007】
図2図2は、一実施形態における物質独立質量流量センサである。
【0008】
図3図3は、物質独立質量流量センサに関する力の概略図である。
【0009】
図4図4は、物質独立質量流量センサに関する力の詳細である。
【0010】
図5図5は、物質独立質量流量センサに関する付加的な力の詳細である。
【0011】
図6図6は、質量を決定する方法のフローチャートを示す。
【0012】
図7図7は、データを受信し、力を計算し、質量流量を決定し、方法を実施し、等式の結果を計算するための本開示で記載するところのコンピュータの高レベル概略である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、農地に位置するコンバイン102を示す。コンバイン102は、穀物車両122に移送される穀物を収穫している。一実施形態においては、コンバイン102は、収穫された穀物の様々な属性を決定するためのセンサを装備している。コンバイン102が農地内を移動すると、農地内で育成された穀物等の物質を収穫する。収穫された穀物は、コンバイン102内に位置する導管を移動し、質量流量センサに作用する。質量流量センサは、質量流量センサが位置する導管内を流れる穀物等の物質の質量を決定する。質量流量センサからのデータおよび穀物車両122からのデータは、収穫されている農地の異なる複数の領域で生産された収量を決定することに利用することができる。そして、収量情報は、農地の異なる複数の領域での植え付けや処理を変更することに利用することができる。
【0014】
質量流量メーターは、頻繁な較正を必要とする。この較正が必要とされる理由の一つは、収穫されそれら物質の質量が質量流量センサによって計測される異なる物質の異なる特性(例えば、屈曲衝突板に沿って物質が移動する際に生じる摩擦の量は、物質によって異なる)によるものである。質量流量計測の改良は、本開示で記載されるように、屈曲負荷板に力計測装置を接続することによって可能である。一実施形態においては、質量流量センサは、質量流量センサの屈曲衝突板への物質の作用によって生じる力を感知することができる三点計測トランスデューサを利用する。三点計測トランスデューサによる3つのパラメータのこの感知は、質量流量センサを移動する物質の質量を計算するために用いられる等式から、摩擦といった幾つかの変数を除外することができる。そのような質量流量センサからのデータは、物質の種類に関わりなく、質量流量センサを流れる物質の質量流量を決定するために使用することができる。ここで用いられるように、物質の種類に関わりなく物質の質量流量を決定するように設計された質量流量センサは、物質独立質量流量センサと称される。一実施形態においては、コンバイン102は、コンバイン102によって収穫された穀物の質量を決定するのに使用される物質独立力質量流量センサを装備している。
【0015】
図2は、負荷屈曲202を有する物質独立質量流量センサ(MIMFS)200を示す。一実施形態においては、負荷屈曲202は、ステンレス鋼製の屈曲板であるが、本開示での使用において形状を維持することができる他の材料から製造することも可能である。一実施形態においては、負荷屈曲は一定の半径を有する。負荷屈曲202には力伝達付着具204が取り付けられており、負荷屈曲202に加えられた力は、力伝達付着具204に伝えられる。三点計測トランスデューサ206は、負荷屈曲202に接触する物質210(例えば、穀物)によって生じた力を検出する。一実施形態においては、三点計測トランスデューサ206は、屈曲力F、伸縮力F、およびトルクTを計測する。曲げ力Fは、センサの屈曲方向に作用する負荷屈曲上の質量の正味の力のベクトル成分であり、それは取付部の角度位置に平行であり、機械基準面に対してβである。Fは、ディファレンシャル曲げ横材や、せん断横材等といった負荷位置に独立なトランスデューサ技術を用いて計測することができる。伸縮力Fは、センサの伸縮方向に作用する負荷屈曲上の質量の正味の力のベクトル成分であり、それはセンサの屈曲方向に直角であり、物質の動作方向での案内屈曲の接線である。Fは、ディファレンシャル曲げ横材や、せん断横材等といった負荷位置に独立なトランスデューサ技術を用いて計測することができる。トルクTは、屈曲力および伸縮力と、センサのゼロモーメント位置からのそれらのそれぞれの距離によって生じる正味のモーメントである。Tは、力と距離の両方に依存する屈曲横材トランスデューサ技術を利用して計測することができる。3つの力の計測は、MIMFS200を流れる穀物の質量を決定するために使用される。
【0016】
図3は、穀物210に働く力およびMIMFS200によって計測される力の概略である。3つの力(すなわち、曲げ、伸縮、およびトルク)は、3点計測トランスデューサ206によって計測される。Fは、曲げ力であり、接続位置において負荷屈曲202に直角である。Fは、伸縮力であり、接続位置において負荷屈曲202に平行である。Tは、トランスデューサのゼロモーメント位置の周りに負荷屈曲202上で質量によって生じるモーメントであり、トルクと称される。三点計測センサ上のゼロモーメント位置とは、屈曲方向または伸縮方向での力のベクトルがゼロのモーメントを生じるところである。これら力のベクトルでゼロモーメント位置と揃っていない位置にあるものは、それぞれの力のベクトルの大きさとそれらのゼロモーメント位置からの距離に比例したモーメントを生じる。
【0017】
穀物210に働く力は、図3に示され、次のように計算することができる。Fは以下のように計算される。
=mv/R
ここで、Fは求心力、
mは物質210の質量、
vは物質210の速度、そして、
Rは負荷屈曲202の半径である。
【0018】
は、以下のように計算される。
=μmv/R
ここで、Fは摩擦力、
μは負荷屈曲202に沿って移動する質量の摩擦係数、
mは物質210の質量、
vは物質210の速度、そして、
Rは負荷屈曲202の半径である。
【0019】
は、以下のように計算される。
=mg
ここで、Fは重力による力、
mは物質210の質量、
vは物質210の速度、そして、
gは重力加速度である。
【0020】
図3に示すように、機械垂直は、機械基準面に対して垂直である。なお、図3に示すように、機械基準面は水平と等しくない場合もあるので、機械垂直は常に真の垂直と同じとは限らない。例えば、機械が平坦で水平な表面を移動している場合は、機械基準面と真の水平は同じであり、同様に、機械垂直と真の垂直は同じである。
【0021】
図3に示すように、いくつかの公知のパラメータがある。δは、機械基準面に対する負荷屈曲入口(すなわち、負荷屈曲202に沿った位置であって穀物のような物質が最初に負荷屈曲に衝突する位置)の角度位置である。γは、機械基準面に対する負荷屈曲出口(すなわち、負荷屈曲202に沿った位置であって穀物のような物質がこれ以上負荷屈曲に衝突しなくなる位置)の角度位置である。βは、機械基準面に対する負荷屈曲/トランスデューサ接続点の角度位置である。それは、機械基準面と、負荷屈曲の曲率中心から負荷屈曲/トランスデューサ接続点202への線がなす部分との角度として定義される。角度βも、三点計測センサ206に作用する屈曲力Fの機械基準面に対する方向を定義する。Rは、負荷屈曲202の半径である。Eは、負荷屈曲202からトランスデューサ206接続位置へのβ方向でのオフセット距離である。Xは、トランスデューサ接続点位置からトランスデューサのゼロモーメント位置へのβ方向に垂直なオフセット距離である。gは、重力による加速度である。
【0022】
一実施形態においては、他の装置からのデータに基づいて、二つの特定の変数が計測、仮定、あるいは入力される。vは、穀物210が負荷屈曲入口の角度位置δにて負荷屈曲202に入ってくる際の穀物210の質量の初速度である。vは、穀物が精白穀物エレベータを離れMIMFSに入る際に等式v=ωrを利用して推定することができ、ここでωは、エレベータ駆動スプロケットの回転速度であり、rは、穀物がエレベータパドルから離れる際のエレベータ駆動スプロケットの軸からの穀物の質量中心の距離である。ωは、コンバイン通信を通じてリアルタイムで読み取ることができ、そして調整することができる。rは、手動で設定することができるか、あるいはコンバイン通信を通じて読み取ることができ、そして特定のエレベータ配置に基づいて調整することができる。θは、真の水平からの機械基準面の角度オフセットである。θは、コンバインが収穫の際に農地を動く際の機首の上昇/下降といった、コンバインのピッチ角度である。それは、三点計測センサの一部分としてあるいは内装されたあらゆる利用可能な角度計測装置(例えば、傾斜計、加速度計等)を使用することで、あるいはコンバイン通信によって、リアルタイムで読み取ることができ、調整することができる。
【0023】
物質(例えば、穀物210)が負荷屈曲202の凹状表面に沿って移動する際に生じる力に影響を与える4つの未知の物理量がある。αは、機械基準面に対する負荷屈曲202に沿った質量の角度位置である。μは、負荷屈曲202に沿って移動する質量の摩擦係数である。vは、負荷屈曲202に沿って移動する際の物質の質量の速度である。最後にmは、負荷屈曲202に沿って移動する物質(例えば、穀物210)の質量である。
【0024】
未知の各物理量は、等式によって表現することができる。一実施形態においては、4つの未知数を解くには4つの等式が利用される。
【0025】
図4は、物質独立質量流量センサに関連する力の詳細を示し、より具体的には、物質210(例えば、穀物)に作用する力を示す。複数の力には、負荷屈曲202への垂線であるFと、負荷屈曲202への接線であるFFRICTIONが含まれ、これらは、負荷屈曲202に沿って移動する物質210に起因する。
【0026】
は、下記を使用して計算される。
=mv/R -mgsin(α+θ)
【0027】
ここで、
mは物質210の質量であり、
vは物質210の速度であり、
Rは負荷屈曲202の半径であり、
gは重力加速度であり、
αは物体の質量中心であり、そして、
θは、水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットである。
【0028】
FRICTIONは、下記を使用して計算される。
FRICTION=μ(mv/R -mgsin(α+θ))
ここで、
μは摩擦係数であり、
mは物質210の質量であり、
vは物質210の速度であり、
Rは負荷屈曲202の半径であり、
gは重力加速度であり、
αは物体の質量中心であり、そして、
θは水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットである。
【0029】
第1の等式は、ポテンシャルエネルギー、力学的エネルギー、および摩擦作用に関係する。
ΔPE=ΔKE-ΔWFRICTION
ここで、
PEはポテンシャルエネルギー、
KEは力学的エネルギー、そして、
FRICTIONは摩擦による仕事である。
【0030】
上述したパラメータおよびFおよびFFRICTIONに関する計算によってデルタの項を置き換えると、次の等式が得られる。
【数1】
ここで、
mは物質210の質量であり、
gは重力加速度であり、
δは機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置であり、
θは水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットであり、
vは物体の速度であり、
はδにて物体が負荷屈曲に入るときの物体の初速度であり、
μは摩擦係数であり、
αは物体の質量中心であり、そして、
Rは負荷屈曲の半径である。
【0031】
そして、この等式を処理すると、次の等式を生成する。
【数2】
ここで、
mは物質210の質量であり、第1の等式から消去され、
gは重力加速度であり、
Rは負荷屈曲の半径であり、
δは機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置であり、
θは水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットであり、
αは物体の質量中心であり、
vは物体の速度であり、
はδにて物体が負荷屈曲に入るときの物体の初速度であり、そして、
μは摩擦係数である。
【0032】
図5は、物質独立質量流量センサに関連する付加的な力の詳細を示し、より具体的には、物質210(例えば、穀物)に作用する付加的な力を示す。
【0033】
第2の等式は、屈曲方向における複数の力を加算し、それらを0に設定することによって得られる。
ΣF=0
屈曲力の等式を解くと、Fは以下の通りになる。
【数3】
ここで、
mは物質210の質量であり、
gは重力加速度であり、
Rは負荷屈曲の半径であり、
δは機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置であり、
θは水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットであり、
αは物体の質量中心であり、
vは物体の速度であり、
はδにて物体が負荷屈曲に入るときの物体の初速度であり、
βは機械基準面に対する負荷屈曲/トランスデューサ接続点の角度位置であり、そして、
μは摩擦係数である。
【0034】
第3の等式は、伸縮方向における複数の力を加算し、それらを0に設定することによって得られる。
ΣF=0
伸縮力の等式を解くと、Fは以下の通りになる。
【数4】
ここで、
mは物質210の質量であり、
gは重力加速度であり、
Rは負荷屈曲の半径であり、
δは機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置であり、
θは水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットであり、
αは物体の質量中心であり、
vは物体の速度であり、
はδにて物体が負荷屈曲に入るときの物体の初速度であり、
βは機械基準面に対する負荷屈曲/トランスデューサ接続点の角度位置であり、そして、
μは摩擦係数である。
【0035】
第4の等式は、ゼロモーメント位置周りのモーメントを加算し、加算されたモーメントを0に設定する。
ΣM=0
【0036】
トルクの等式を解くと、Tは以下の通りになる。
【数5】
ここで、
mは物質210の質量であり、
gは重力加速度であり、
Rは負荷屈曲の半径であり、
δは機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置であり、
θは水平(真の水平)からの機械基準面の角度オフセットであり、
αは物体の質量中心であり、
vは物体の速度であり、
はδにて物体が負荷屈曲に入るときの物体の初速度であり、
βは機械基準面に対する負荷屈曲/トランスデューサ接続点の角度位置であり、
Xはトランスデューサ接続位置からトランスデューサのゼロモーメント位置へのオフセット距離であり、
Eは負荷屈曲からトランスデューサ接続位置へのオフセット距離であり、そして、
μは摩擦係数である。
【0037】
図6は、一実施形態による物質独立質量流量センサからのデータに基づく物質(例えば、穀物等の物体)の質量を決定するための方法600のフローチャートを示す。ステップ602では、屈曲力、伸縮力、およびトルクに関するデータが三点計測トランスデューサ206から受信される。ステップ604では、負荷屈曲202に沿った物体の質量位置の角度中心αが三点計測トランスデューサからのデータに基づいて決定される。力は、負荷屈曲202に沿って移動する物体に起因する。一実施形態においては、質量位置の角度中心αは、センサ計測のF、F、およびT、負荷屈曲半径R、トランスデューサ取付オフセットEおよび機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置βに基づいて決定される。一実施形態においては、質量位置の角度中心αは、前述のα、μ、vおよびmに関する4つの等式を解くことで生じるαの解のうちの一つを用いることによって決定される。
【数6】
【0038】
一実施形態においては、逆転するような曲げ方向に力を生じるような負荷屈曲配置である場合、負荷屈曲の特定の設計によりこのケースは不要とすることができるが、αの第2の解を置き換えることができる。
【数7】
【0039】
ステップ606では、物体の摩擦係数μが決定される。一実施形態においては、ステップ604で決定された質量位置の角度中心α、F、F、およびβに基づいて物体の摩擦係数が計算される。なお、物体の摩擦係数を計算することは、湿気、寸法、形状等の物質の摩擦依存特性の知見を示唆するが、これらの特性に関するデータは、本開示の方法を使用する場合は要求されない。このように、質量流量計測は、物質依存である。一実施形態においては、物体の摩擦係数μを決定するために以下の等式が利用される。
【数8】
【0040】
ステップ608では、物体の速度vが決定される。一実施形態においては、vはステップ604で決定された質量位置の角度中心α、ステップ606で決定された物体の摩擦係数μ、負荷屈曲202の曲率半径R、重力加速度g、機械基準面に対する負荷屈曲2020入口の角度位置δ、および質量が負荷屈曲202のδから入る時の初速度vに基づいて決定される。なお、物体の初速度は、精白穀物エレベータのパラメータに基づいて推定または入力することができる。vは、穀物が精白穀物エレベータを離れMIMFSに入る際に等式v=ωrを利用して推定することができ、ここでωは、エレベータ駆動スプロケットの回転速度であり、rは、穀物がエレベータパドルから離れる際のエレベータ駆動スプロケットの軸からの穀物の質量中心の距離である。ωは、コンバイン通信を通じてリアルタイムで読み取ることができ、そして調整することができる。rは、手動で設定することができるか、あるいはコンバイン通信を通じて読み取ることができ、そして特定のエレベータ配置に基づいて調整することができる。角度オフセットθは、システム内の他の装置から直接計測することができるか、入力することができる。速度計算における最小の差異としてゼロに等しいとすることは、続けて行う質量系差において数パーセントの明確な差異をもたらすと仮定するべきではない。一実施形態においては、vを決定するために以下の等式が用いられる。
【数9】
【0041】
ステップ610では、物体の質量mが決定される。一実施形態においては、質量mは、ステップ604で決定された質量位置の角度中心α、ステップ606で決定された物体の摩擦係数μ、ステップ608で決定された物体の速度v、計測された屈曲力F、負荷屈曲202の曲率半径R、機械基準面に対するトランスデューサ取付角度位置β、重力加速度g、および真の水平からの機械基準面の角度オフセットθに基づいて決定される。一実施形態においては、質量mを決定するために以下の等式が用いられる。
【数10】
【0042】
なお、解を有効とするためには、求心加速度(v/R)と重力の求心方向成分(g*sin(α+θ))との差異は非負でなければならない。さもないと、物体は負荷屈曲202から脱落してしまう。
【0043】
ステップ612では、計測時間、具体的には、質量が負荷屈曲に存在する時間を決定する。一実施形態においては、計測時間は、負荷屈曲入口の角度位置δにおける推測初速度と、負荷屈曲出口の角度位置γに設定された質量中心の角度位置の値αと共にステップ608の等式を使用して計算された最終速度との平均に基づいて決定される。一実施形態においては、計測時間はさらに、機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置δ、機械基準面に対する負荷屈曲出口の角度位置γ、および負荷屈曲半径Rに基づく。一実施形態においては、計測時間は以下の等式に基づく。
=(δ-γ)R/{(v―v)/2}
ここで、
は計測時間であり、
δは機械基準面に対する負荷屈曲入口の角度位置であり、
γは機械基準面に対する負荷屈曲出口の角度位置であり、
Rは負荷屈曲の半径であり、
は負荷屈曲入口δでの推定初速度ωrであり、そして、
は負荷屈曲出口γでの計算された最終速度である。
【0044】
一実施形態においては、最初および/または最終の速度は、光学センサによって計測され、前述の計算で利用される。
【0045】
ステップ614では、質量流量が決定される。一実施形態においては、質量流量は、物体の質量と、計測時間に基づいて決定される。一実施形態においては、質量流量を計算するために以下の等式が用いられる。
dm/dt=m/t
ここで、
dm/dtは質量流量であり、
mはステップ610で決定された質量であり、そして、
はステップ612で決定された計測時間である。
【0046】
ステップ616では、増加分質量が決定される。一実施形態においては、増加分質量は、物体の質量、三点計測トランスデューサの計測サンプリング速度および計測時間に基づいて決定される。一実施形態においては、増加分質量は、以下の等式に基づいて決定される。
=m/(r*t
ここで、
は増加分質量であり、
mはステップ610で決定された質量であり、
は三点計測トランスデューサの計測サンプリング速度であり、そして、
はステップ612で決定された計測時間である。
【0047】
ステップ618では、合計質量が決定される。一実施形態においては、合計質量は、過程の計測時間に亘ってステップ616から増加分質量を合計することによって決定される。一実施形態においては、合計質量は、以下の等式を用いて決定される。
M=Σm
ここで、
Mは合計質量であり、そして、
は増加分質量である。
【0048】
図7は、三点計測センサからデータを受信し、力を計算し、質量流量を決定し、本開示で示す等式の結果を決定するために計算を実行するコンピュータの高レベル概略を表す。
【0049】
一実施形態においては、三点計測センサからデータを受信し、力を計算し、質量流量を決定し、本開示で示す等式の結果を決定するために計算を実行するために、コンピュータが使用される。そのようなコンピュータの高レベルブロック図が図7に示されている。コンピュータ702は、操作を定義するコンピュータプログラム命令を実行することによりコンピュータ702の全体のそのような操作を制御するプロセッサ704を含む。コンピュータプログラム命令は、記憶装置712またはコンピュータにより可読な他の媒体(例えば、磁気ディスク、CDROM等)に格納され、コンピュータプログラム命令の実行が要求されるときはメモリ710に読み出される。このように、本開示の方法および等式は、メモリ710および/または記憶装置712に格納されるコンピュータプログラム命令によって定義することができ、コンピュータプログラム命令を実行するプロセッサ704によって制御される。例えば、コンピュータプログラム命令は、図6に示される方法等の本開示の方法および等式によって定義されるアルゴリズムを実行することができる当業者によってプログラムされたコンピュータで実行可能なコードとして実行することができる。したがって、コンピュータプログラム命令を実行することによって、プロセッサ704は、図6に示される方法等の本開示の方法および等式によって定義されるアルゴリズムを実行する。コンピュータ702はまた、ネットワークを介して他の装置と通信するための一または複数のネットワークインターフェース706を含む。コンピュータ702はまた、ユーザをコンピュータ702と作用可能とする入出力装置708(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカー、ボタン等)を含む。当業者であれば、実際のコンピュータの実行は同様に他の構成要素も含むことができ、図7は理解を助ける目的でのそのようなコンピュータの構成要素のいくつかの高レベルの代表例であることを認識するであろう。
【0050】
上述の詳細な説明は、限定のためではなく、あらゆる点において理解を助けるためと例示のためであり、本開示での発明概念の範囲は、特許法で許容される全ての幅にしたがって解釈されると理解されるべきである。また、本開示で示され記述された実施形態は、発明概念の原則の理解を助けるためのみであり、発明概念の範囲と本質から離れることなく、当業者によって様々な改良を実行することができると理解されるべきである。当業者は、発明概念の範囲と本質から離れることなく、様々な他の特徴の組み合わせを実行することができる。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】