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特表2023-553239電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法
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  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図1
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図2(a)
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図2(b)
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図3
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図4
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図5
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図6
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図7
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図8
  • 特表-電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20231214BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518029
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 KR2022016535
(87)【国際公開番号】W WO2023085655
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0154371
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウォン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・グン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ミョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】キ・フン・ペン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA11
5H050BA13
5H050BA14
5H050BA16
5H050BA17
5H050GA28
5H050GA29
(57)【要約】
本発明は電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法に関するものであり、より詳しくは、活物質が塗布された電極シートを乾燥する過程で発生する電極シートの熱皺シミュレーション装置であって、電極シートの両端部を固定したままで所定の長さに延伸するように引張荷重をかける電極シート固定部と、前記電極シート固定部を取り囲んで所定の温度に加温する温度調節部と、前記温度調節部の移動のためのレールとを含むことを特徴とする電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質が塗布された電極シートを乾燥する過程で発生する電極シートの熱皺シミュレーション装置であって、
電極シートの両端部を固定したままで所定の長さに延伸するように引張荷重をかける電極シート固定部と、
前記電極シート固定部を取り囲んで所定の温度に加温する温度調節部と、
前記温度調節部の移動のためのレールと、
を含む、電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項2】
前記電極シート固定部は、
前記電極シートの上端部を固定するための第1固定部を備えた第1ホールディング部、及び前記第1ホールディング部の下に位置し、前記電極シートの下端部を固定するための第2固定部を備えた第2ホールディング部からなるホールディング部と、
前記第1ホールディング部と連結された第1ローディングバー及び前記第2ホールディング部を支持する第2ローディングバーから構成されたローディング部と、
前記第1ローディングバーを上下に移動させるための駆動部と、
所定の長さに延びたままで垂直に位置する垂直バー及び前記垂直バーに沿って上下に移動し、一側が前記駆動部と連結された水平バーから構成された支持フレームと、
前記支持フレームに連結され、前記電極シートの延伸長及び引張荷重を制御及び測定する制御部と、
前記第2ホールディング部及び垂直バーの下端部を支持する支持台と、
を含む、請求項1に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項3】
前記温度調節部は、前記電極シート固定部の両側面に位置する第1部材及び第2部材から構成され、
第1部材は、長方形プレートである第1カバー部、及び前記第1カバー部が移動するように第1カバー部の下端部に装着された第1足車を含み、
第2部材は、長方形プレートである第2カバー部、及び前記第2カバー部が移動するように第2カバー部の下端部に装着された第2足車を含み、
前記第1カバー部及び/または前記第2カバー部の内側面には、電極シート固定部を所定の温度に維持するためのヒーティング部が備えられている、請求項2に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項4】
前記電極シート固定部が位置する方向に向かうように、前記第1カバー部の上部はアーチ形を有する、請求項3に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項5】
前記電極シート固定部が位置する方向に向かうように、前記第2カバー部の上部はアーチ形を有する、請求項3に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項6】
前記第1カバー部の両側部または一側部には、前記電極シート固定部が位置する方向に向かって延長部が備えられている、請求項3に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項7】
前記第2カバー部の両側部または一側部には、前記電極シート固定部が位置する方向に向かって延長部が備えられている、請求項3に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項8】
前記第1カバー部及び/または前記第2カバー部の内側面縁部には、前記電極シート固定部を所定の温度に維持するようにエアカーテンを形成するための複数の噴射ノズルが備えられている、請求項3に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電極シートの熱皺シミュレーション装置を用いた電極シートの熱皺シミュレーション方法であって、
常温で電極シート固定部に電極シートを固定する(a)段階と、
延伸長を設定した後、荷重をかけて引張力を測定する(b)段階と、
前記電極シート固定部の両側面をカバーするように前記温度調節部を移動させた後、引張力を測定する(c)段階と、
前記電極シート固定部が常温に露出されるように前記温度調節部を移動させた後、引張力を測定する(d)段階と、
を含む、電極シートの熱皺シミュレーション方法。
【請求項10】
前記(c)段階において前記温度調節部は予め所定の温度に加温されている、請求項9に記載の電極シートの熱皺シミュレーション方法。
【請求項11】
前記(c)段階は、温度調節部を前記電極シート固定部の両側面に位置させた後、所定の温度に加温する段階をさらに含む、請求項9に記載の電極シートの熱皺シミュレーション方法。
【請求項12】
前記(c)段階及び前記(d)段階において前記温度調節部はレールに沿って移動する、請求項9に記載の電極シートの熱皺シミュレーション方法。
【請求項13】
前記(c)段階では、前記電極シート固定部を所定の温度に維持するようにエアカーテンが形成されている、請求項9に記載の電極シートの熱皺シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年11月11日付の韓国特許出願第2021-0154371号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法に関するものであり、より詳しくは、電極乾燥装置と同じ条件でテストを実施して熱皺現状の原因の糾明及び最適の乾燥条件の確立に寄与することができる電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、ノートブック型PC、デジタルカメラなどのモバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するのに伴い、充放電の可能な二次電池に関する技術が活発に研究されている。また、二次電池は大気汚染物質を発生させる化石燃料の代替エネルギー源であり、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、及びエネルギー貯蔵デバイス(ESS)などに適用されている。
【0004】
現在広く使われる二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。
【0005】
このような二次電池は電極組立体及び電解液などが電池ケース内に収容されて形成されることが一般的である。
【0006】
ここで、電極組立体は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜が介在されてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型電極組立体、長方形の正極及び負極が分離膜を間に介在した状態で積層された構造のスタック型電極組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォルディング型電極組立体、または電池セルが分離膜を間に介在した状態で積層されて互いに付着されるラミネーションスタック型電極組立体などからなることが一般的である。
【0007】
また、電解質は、一般的に通用される液体電解質の他にも、固体電解質、または固体電解質に添加剤を付加して液体と固体との中間形態を有するゲル状の準固体電解質に置換されることもある。
【0008】
前記のような電極組立体は電池ケースに収納され、電池ケースの種類によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒型電池及び角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類することができる。
【0009】
一方、このような二次電池の電極を製造する方法では、活物質、導電材及びバインダーなどを溶媒に分散させて製造したスラリーを電極集電体上に塗布し、乾燥するなどの過程を経ることになる。
【0010】
ここで、電極を乾燥させる方法としては、シート状の電極をロールに巻き取った状態で乾燥装置に投入して乾燥させる方法もあるが、この場合、重畳した状態で乾燥過程を経ることになるので、内部の乾燥程度と外部の乾燥程度との間に差がある問題がある。
【0011】
図1は従来の電極乾燥装置の構造を概略的に示す正面図であり、図2は従来の電極乾燥装置を使うとき、電極シートをチャンバーに投入する前(a)及び後(b)の無地部の状態を示す図である。
【0012】
図1に示したように、従来の電極乾燥装置は、内部が空いているチャンバー11、加熱手段12、及びガイドロール13を含み、内部を通過する電極シート20を乾燥させる。
【0013】
このような装置によれば、電極シート20を均一に乾燥することができる利点があるが、電極シート20全体にわたって加熱されるので、図2の(b)に示すように、無地部、すなわち活物質が塗布されなくて電極集電体が露出された部分には熱皺が発生することになる。
【0014】
このような熱皺現象が発生することを最小化するか防止するために、追加的な研究が実行されており、特に、電極乾燥装置と同じ条件でテストを実行してその原因を糾明しようと試みている。
【0015】
一例として、常温下で活物質が塗布された電極シートを一定の長さに伸ばし、このときに要求される引張荷重を測定し、乾燥条件と同じ状態で加温して引張荷重を測定する。その後、また常温状態に維持させながら引張荷重を測定することで、実際電極の乾燥条件と同じ条件で引張荷重を評価し、このような結果に基づいて最適の乾燥過程及び装置改善を図っている。
【0016】
しかし、高温状態で引張荷重を測定することが容易でない。通常、引張荷重を測定するときにはUTM(Universal Testing Machine)を使うことになるが、UTMを一定の温度範囲に加温することが容易でない。もちろん、UTMを収容することができるほどの大きなチャンバーを使うことも可能であるが、この場合、UTMに装着された各種のセンサー類は高温に耐えることができないので、UTMをそのままチャンバーに収納させることが不可能である。さらに、電極シートの熱皺現象シミュレーションテストの際には、延伸範囲が数mmに過ぎないので、なるべくUTMの移動を制限しながら実行することによってのみ正確な結果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】韓国登録特許第2167118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、電極シートの無地部で発生する熱皺現象をシミュレーションすることができる電極シートの熱皺シミュレーション装置を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、電極シートの無地部で発生する熱皺現象をシミュレーションするための熱皺シミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記のような目的を達成するための本発明による電極シートの熱皺シミュレーション装置は、活物質が塗布された電極シートを乾燥する過程で発生する電極シートの熱皺シミュレーション装置であって、電極シート(S)の両端部を固定したままで所定の長さに延伸するように引張荷重をかける電極シート固定部(100)と、前記電極シート固定部(100)を取り囲んで所定の温度に加温する温度調節部(200)と、前記温度調節部(200)の移動のためのレール(300)とを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記電極シート固定部(100)は、前記電極シート(S)の上端部を固定するための第1固定部(111’)を備えた第1ホールディング部(111)、及び前記第1ホールディング部(111)の下に位置し、前記電極シート(S)の下端部を固定するための第2固定部(112’)を備えた第2ホールディング部(112)から構成されたホールディング部(110)と、前記第1ホールディング部(111)と連結された第1ローディングバー(121)、及び前記第2ホールディング部(112)を支持する第2ローディングバー(122)から構成されたローディング部(120)と、前記第1ローディングバー(121)を上下に移動させるための駆動部(130)と、所定の長さに延びたままで垂直に位置する垂直バー(141)、及び前記垂直バー(141)に沿って上下に移動し、一側が前記駆動部(130)と連結された水平バー(142)から構成された支持フレーム(140)と、前記支持フレーム(140)に連結され、前記電極シート(S)の延伸長及び引張荷重を制御及び測定する制御部(150)と、前記第2ホールディング部(112)及び垂直バー(141)の下端部を支持する支持台(160)とを含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記温度調節部(200)は、前記電極シート固定部(100)の両側面に位置する第1部材(210)及び第2部材(220)から構成され、第1部材(210)は、長方形プレートである第1カバー部(211)、及び前記第1カバー部(211)が移動することができるように第1カバー部(211)の下端部に装着された第1足車(213)を含み、第2部材(220)は、長方形プレートである第2カバー部(221)、及び前記第2カバー部(221)が移動することができるように第2カバー部(221)の下端部に装着された第2足車(223)を含み、前記第1カバー部(211)及び/または第2カバー部(221)の内側面には、電極シート固定部(100)を所定の温度に維持するためのヒーティング部が備えられていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記電極シート固定部(100)が位置する方向に向かうように前記第1カバー部(211)の上部はアーチ形を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記電極シート固定部(100)が位置する方向に向かうように前記第2カバー部(221)の上部はアーチ形を有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記第1カバー部(211)の両側部または一側部には、前記電極シート固定部(100)が位置する方向に向かって延長部が備えられていることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記第2カバー部(221)の両側部または一側部には、前記電極シート固定部(100)が位置する方向に向かって延長部が備えられていることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置において、前記第1カバー部(211)及び/または第2カバー部(221)の内側面縁部には、電極シート固定部(100)を所定の温度に維持するようにエアカーテンを形成するための複数の噴射ノズルが備えられていることを特徴とする。
【0028】
また、本発明による電極シートの熱皺シミュレーション方法は、常温で電極シート固定部(100)に電極シートを固定する(a)段階と、延伸長を設定した後、荷重をかけて引張力を測定する(b)段階と、前記電極シート固定部(100)の両側面をカバーするように前記温度調節部(200)を移動させた後、引張力を測定する(c)段階と、前記電極シート固定部(100)が常温に露出されるように前記温度調節部(200)を移動させた後、引張力を測定する(d)段階とを含むことを特徴とする。
【0029】
また、本発明による電極シートの熱皺シミュレーション方法において、前記(c)段階での温度調節部(200)は、予め所定の温度に加温された状態であることを特徴とする。
【0030】
また、本発明による電極シートの熱皺シミュレーション方法において、前記(c)段階は、温度調節部(200)を前記電極シート固定部(100)の両側面に位置させた後、所定の温度に加温する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0031】
また、本発明による電極シートの熱皺シミュレーション方法において、前記(c)段階及び(d)段階での温度調節部(200)はレール(300)に沿って移動することを特徴とする。
【0032】
また、本発明による電極シートの熱皺シミュレーション方法において、前記(c)段階では、前記第1カバー部(211)及び/または第2カバー部(221)の内側面縁部に沿って位置する噴射ノズルによってエアカーテンが形成された状態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法によれば、測定すべき電極シートを取っているホールディング部を中心に加温することができるので、熱による装置の故障や誤作動を防止することができるという利点がある。
【0034】
また、本発明の電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法によれば、測定すべき電極シートが装着された電極シート固定部はそのまま置き、ホールディング部を中心に加温するための温度調節部のみを移動させることで、測定結果の信頼性を高めることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】従来の電極シート乾燥装置の構造を概略的に示す正面図である。
図2】従来の電極シート乾燥装置において電極シートをチャンバーに投入する前(a)及び後(b)の無地部の状態を示す図である。
図3】本発明の好適な実施例による電極シート固定部の側面図である。
図4】本発明の好適な実施例による電極シート固定部の正面図である。
図5】本発明の好適な実施例による電極シート固定部のホールディング部の斜視図である。
図6】本発明の第1実施例による電極シートの熱皺シミュレーション装置を示す斜視図である。
図7図6に示す電極シートの熱皺シミュレーション装置の正面図である。
図8】本発明の第2実施例による電極シートの熱皺シミュレーション装置の正面図である。
図9】本発明の第3実施例による電極シートの熱皺シミュレーション装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願で、「含む」、「有する」または「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部分品またはこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0037】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0038】
以下、本発明による電極シートの熱皺シミュレーション装置及びこれを用いたシミュレーション方法について添付図面を参照して説明する。
【0039】
図3は本発明の好適な実施例による電極シート固定部の側面図であり、図4は本発明の好適な実施例による電極シート固定部の正面図であり、図5は本発明の好適な実施例による電極シート固定部のホールディング部の斜視図である。
【0040】
本発明による電極シートの熱皺シミュレーション装置は、活物質が塗布された電極シートを乾燥する過程で発生する電極シートの熱皺現状の発生原因を把握して最適の条件で乾燥工程を実行するためのシミュレーション装置である。
【0041】
これは、電極シートSの両端部を固定したままで、所定の長さに延伸するように荷重をかけて引張力を測定するための電極シート固定部100と、実際電極シートの乾燥条件を具現することができるように電極シート固定部100を取り囲んで所定の温度に加温する温度調節部と、温度調節部が前後にまたは左右に移動することができるように手伝うためのレールとを含む。
【0042】
まず、図3図5を参照しながら電極シート固定部100について詳細に説明する。
【0043】
電極シート固定部100は、ホールディング部110、ローディング部120、駆動部130、支持フレーム140、制御部150、支持台160、及び脚170を含む。
【0044】
具体的には、ホールディング部110は測定すべき電極シートSを固定するためのものであり、互いに分離された状態で位置する一対、すなわち第1ホールディング部111及び第2ホールディング部112からなる。
【0045】
第1固定部111’を備えた第1ホールディング部111は電極シートSの上端部を固定し、第2固定部112’を備えた第2ホールディング部112は電極シートSの他端である下端部を固定する。
【0046】
ここで、設定された引張荷重に耐えることができれば、固定方法は特に限定されないが、ポリイミドフィルムなどの高温耐熱テープで電極シートSの両端部を固定することができる。
【0047】
ローディング部120は第1ホールディング部111と第2ホールディング部112との間隔を広げて電極シートSに引張荷重をかけるためのものであり、第1ホールディング部111と連結された第1ローディングバー121、及び第2ホールディング部112を下側で支持する第2ローディングバー122から構成されることができる。
【0048】
ここで、第1ローディングバー121及び第2ローディングバー122は互いに独立的に移動しても構わないが、相対的に上部に位置する第1ホールディング部111を上方に引き上げて引張力を測定することが有利であるので、第1ホールディング部111と連結された第1ローディングバー121のみ移動しても関係ない。
【0049】
駆動部130は、制御部150によって設定の長さだけ電極シートSが伸ばされるように第1ローディングバー121を上下に移動させるための構成である。
【0050】
次に、支持フレーム140は前述した第1ローディングバー121を支持するためのものであり、所定の長さだけ延びたままで垂直に位置する垂直バー141、及び垂直バー141に沿って上下に移動し、一側は駆動部130と連結されている水平バー142から構成されることができ、前記のような動きができれば特に限定されない。
【0051】
制御部150は電極シートSの伸ばされた長さ及びこのときの引張荷重を制御及び測定するためのものであり、なるべく垂直バー141の上部に位置することが良い。これは、引張荷重測定の際、実際の乾燥炉と類似した温度範囲に加温しなければならないが、このときに制御部150が損傷を受けるか正常に作動することができないことを防止するためである。
【0052】
支持台160は、前述したホールディング部110、ローディング部120、駆動部130、支持フレーム140、及び制御部150を堅固に支持するための構成である。具体的には、第2ホールディング部112の下端部及び垂直バー141の下端部が支持台160に固定される。
【0053】
一方、必要に応じては、支持台160が水平を維持することができるように長さ調節が可能な複数の脚170が支持台160の底面に備えられることができる。
【0054】
また、図面には示していないが、電極シートSの付近の温度を測定することができるように、ホールディング部110または垂直バー141に温度センサーを備えることができ、測定した温度は制御部150に伝送されて保存されることができる。
【0055】
次に、電極シート固定部100を取り囲んで所定の温度に加温するための温度調節部について説明する。
【0056】
図6は本発明の第1実施例による電極シートの熱皺シミュレーション装置を示す斜視図であり、図7図6に示す電極シートの熱皺シミュレーション装置の正面図である。
【0057】
図6及び図7に示すように、温度調節部200は、電極シート固定部100の両側面に位置する第1部材210及び第2部材220から構成される。
【0058】
まず、第1部材210は、第1カバー部211、第1ヒーティング部212、第1足車213、及び第1ロープ214を含むことができる。
【0059】
具体的には、第1カバー部211は電極シート固定部100の一側方向に位置し、電極シート固定部100の一側を充分にカバーするように地面に対して長く延びている長方形プレート形状を有する。
【0060】
第1ヒーティング部212は第1カバー部211の内側面に位置し、電極シート固定部100、より詳細には電極シートSが固定されているホールディング部110を所定の温度範囲になるように加熱する。
【0061】
ここで、第1ヒーティング部212としては、所定の温度に加熱することができる公知の多様な熱源、例えば、熱コイルまたは赤外線ランプを使うことができるが、これに限定されない。
【0062】
第1足車213は第1カバー部211の下端部に装着されており、第1レール310に沿って第1カバー部211を前後に移動させるためのものである。
【0063】
一方、第1ロープ214は、第1カバー部211を押すか引くとき、作業者が手で握るかまたは別途の駆動装置に連結するためのものであり、たとえ図面には一側縁に装着されたものとして示しているが、第1カバー部211の側面に設けられることも可能である。
【0064】
次に、第2部材220は、第2カバー部221、第2ヒーティング部222、第2足車223、第2ロープ224、及び噴射ノズル225を含む。
【0065】
第2カバー部221は、電極シート固定部100の他側方向に位置することができるように、第1カバー部211から所定の距離離隔した状態で互いに向き合うように配置され、第1カバー部211と同じ外形を有する。
【0066】
また、第2カバー部221の内側面に位置する第2ヒーティング部222、第2カバー部221の下端部に装着された第2足車223、及び第2カバー部221の一側縁に装着された第2ロープ224は前述した第1部材210の第1ヒーティング部212、第1足車213、及び第1ロープ214と同様であるので、重複説明は省略する。
【0067】
一方、第2部材220は噴射ノズル225をさらに備えることができる。電極シート固定部100は温度に敏感な制御部150を備えているので、電極シート固定部100全体を加温することができない。
【0068】
したがって、制御部150は外部に露出させ、ホールディング部110を中心に加熱する。この際、第1カバー部211及び第2カバー部221によって形成された空間はこれらのカバー部が位置しない部分が露出されるしかない構造を有するので、ホールディング部110の付近の温度を正確に調節することが難しいことがある。
【0069】
噴射ノズル225は前述した欠点を補うためのものであり、第2カバー部221の内側面の縁部に沿って複数が備えられてエアカーテンを形成することで、ホールディング部110の付近の温度を容易に調節するためである。
【0070】
ここで、噴射ノズル225を通して噴射されるエアは、なるべくホールディング部110の付近と類似した範囲に加温された状態のエアであることが好ましい。
【0071】
たとえ図面では第2部材220に噴射ノズル225が備えられているものとして示しているが、第2部材220の代わりに第1部材210に備えられてもかまわない。
【0072】
また、ヒーティング部は第1部材210及び第2部材220のいずれか一方にのみ備えられることもできる。
【0073】
温度調節部200の移動のためのレール300は第1レール310及び第2レール320から構成される。第1レール310には第1足車213が着座し、第2レール320には第2足車223が着座することで、第1部材210及び第2部材220の移動経路を提供する。
【0074】
図8は本発明の第2実施例による電極シートの熱皺シミュレーション装置の正面図である。図6及び図7を参照しながら説明した第1実施例に比べて、第1カバー部211及び第2カバー部221の外形のみ異なるだけで、残りの構成は同様である。
【0075】
すなわち、第2実施例は、加温された空気が上方に流出することを防止することで、ホールディング部110の付近の温度調節が一層容易になるように、第1カバー部211の上部及び第2カバー部221の上部が電極シート固定部100が位置する方向に向かうようにアーチ形になっている。
【0076】
もちろん、これらの両カバー部のいずれか一カバー部の上部のみアーチ形になっても所定の効果を期待することができる。
【0077】
図9は本発明の第3実施例による電極シートの熱皺シミュレーション装置の正面図である。図8を参照しながら説明した第2実施例に比べて、第1カバー部211及び第2カバー部221の外形のみ異なるだけで、残りの構成は同様である。
【0078】
すなわち、第3実施例は、加温された空気が前方または後方に流出することを防止することで、ホールディング部110の付近の温度調節が一層容易になるように、第1カバー部211の両側部または一側部、及び第2カバー部221の両側部または一側部に、電極シート固定部100が位置する方向に折り曲げられた状態の延長部が備えられている。
【0079】
もちろん、これらの両カバー部のいずれか一カバー部にのみ延長部が設けられても所定の効果を期待することができる。
【0080】
また、第1実施例の第1カバー部211及び第2カバー部221に折り曲げられた状態の延長部が設けられることができるというのは明らかである。
【0081】
次に、前述した本発明の電極シート熱皺シミュレーション装置を使って電極シートの熱皺をシミュレーション方法について説明する。
【0082】
本発明による電極シートの熱皺シミュレーション方法は、常温(20~25℃)で電極シート固定部に電極シートを固定する(a)段階、延伸長を設定した後、荷重をかけて引張力を測定する(b)段階、電極シート固定部の両側面をカバーするように温度調節部を移動させた後、引張力を測定する(c)段階、及び電極シート固定部が常温(20~25℃)に露出されるように温度調節部を移動させた後、引張力を測定する(d)段階を含む。
【0083】
ここで、電極シートの熱皺は、電極シートの乾燥の際に頻繁に発生する無地部、すなわち活物質がコーティングされていない部分で発生する皺であり得る。
【0084】
一方、(c)段階では、温度調節部の温度を予め所定の温度に加温された状態で電極シート固定部の両側面をカバーするように移動させるか、または電極シート固定部の両側面に位置させた後、所定の温度に加温することも可能である。
【0085】
また、(c)段階では、カバー部の内側面縁部に沿って位置する噴射ノズルを作動させてエアカーテンを形成させた状態で引張力を測定することができる。
【0086】
さらに、(c)段階での温度は実際電極シートの乾燥の際に適用される温度範囲、例えば150~200℃の範囲であり、設定の延伸長は0.5~2.0mm、そして段階別維持時間は数分であり得るが、これらはいくらでも変更または調節可能である。
【0087】
そして、(c)段階及び(d)段階での温度調節部はレールに沿って移動させることが好ましい。
【0088】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当該分野で通常の知識を有する者にこのような具体的技術はただ好適な実施様態であるだけで、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者に明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求範囲に属するものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0089】
100 電極シート固定部
110 ホールディング部
111 第1ホールディング部
111’ 第1固定部
112 第2ホールディング部
112’ 第2固定部
120 ローディング部
121 第1ローディングバー
122 第2ローディングバー
130 駆動部
140 支持フレーム
141 垂直バー
142 水平バー
150 制御部
160 支持台
170 脚
200 温度調節部
210 第1部材
211 第1カバー部
212 第1ヒーティング部
213 第1足車
214 第1ロープ
220 第2部材
221 第2カバー部
222 第2ヒーティング部
223 第2足車
224 第2ロープ
225 噴射ノズル
300 レール
310 第1レール
320 第2レール
S 電極シート
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】