(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】無地部の熱皺を防止することができる電極シート乾燥装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20231214BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521784
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 KR2022016532
(87)【国際公開番号】W WO2023085654
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0153675
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウォン・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・グン・クォン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB20
5H050FA15
5H050GA02
5H050GA29
(57)【要約】
本発明は無地部の熱皺を防止することができる電極シート乾燥装置に関するものであり、金属ホイルの一面に電極活物質が塗布された一対のコーティング部、及び前記一対のコーティング部の間に位置し、電極活物質が塗布されていない無地部を含む電極シートを乾燥する装置であって、前記電極シートを乾燥する空間である長方形構造のチャンバーと、前記チャンバーの上に備えられ、前記電極シートを乾燥するための温度に前記チャンバー内の温度を調節する加熱手段と、前記チャンバーの内部で前記電極シートの移動を案内し、前記電極シートの張力を維持する一つ以上のガイドロールとを含み、前記電極シートの一部は前記ガイドロールから所定の距離で離隔した状態で移動することを特徴とする電極シート乾燥装置に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ホイルの一面に電極活物質が塗布された一対のコーティング部、及び前記一対のコーティング部の間に位置し、電極活物質が塗布されていない無地部を含む電極シートを乾燥する電極シート乾燥装置であって、
前記電極シートを乾燥する空間である長方形構造のチャンバーと、
前記チャンバーの上に備えられ、前記電極シートを乾燥するための温度に前記チャンバー内の温度を調節する加熱手段と、
前記チャンバーの内部で前記電極シートの移動を案内し、前記電極シートの張力を維持する一つ以上のガイドロールと、を含み、
前記電極シートの一部は前記ガイドロールから所定の距離で離隔した状態で移動する、電極シート乾燥装置。
【請求項2】
前記ガイドロールは円柱状であり、周面に沿って所定の深さ及び幅を有する第1凹溝部を備える、請求項1に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項3】
前記第1凹溝部は、前記ガイドロールの長手方向を基準に中央に位置する、請求項2に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項4】
前記第1凹溝部の上には、前記無地部が離隔した状態で位置する、請求項3に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項5】
前記第1凹溝部の上には、前記コーティング部と前記無地部との境界、及び前記無地部が位置する、請求項3に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項6】
前記第1凹溝部には、所定の深さ及び幅を有する第2凹溝部がさらに備えられている、請求項2に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項7】
前記第2凹溝部には、前記ガイドロールの中心軸と直交する方向に配置された冷却管が位置する、請求項6に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項8】
前記無地部は、前記冷却管から離隔した状態で位置する、請求項7に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項9】
前記冷却管の両端部は、前記チャンバーの外部に位置する、請求項7に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項10】
前記加熱手段は、赤外線ランプ、熱コイルまたは熱風器のうちのいずれか一つである、請求項1に記載の電極シート乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年11月10日付の韓国特許出願第2021-0153675号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は無地部の熱皺を防止することができる電極シート乾燥装置に関するものであり、より詳しくは電極シートの乾燥の際に無地部で発生する熱皺現象を防止することができるように、ガイドロールと無地部とを所定の距離で離隔させ、また無地部を選択的に冷却することができる手段を備えた、無地部の熱皺を防止することができる電極シート乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、ノートブック型PC、デジタルカメラなどのモバイル機器に対する技術開発及び需要が増加するのに伴い、充放電の可能な二次電池に関する技術が活発に研究されている。また、二次電池は大気汚染物質を発生させる化石燃料の代替エネルギー源であり、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(P‐HEV)、及びエネルギー貯蔵デバイス(ESS)などに適用されている。
【0004】
現在広く使われる二次電池の種類には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。
【0005】
このような二次電池は電極組立体及び電解液などが電池ケース内に収容されて形成されることが一般的である。
【0006】
ここで、電極組立体は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜が介在されてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型電極組立体、長方形の正極及び負極が分離膜を間に介在した状態で積層された構造のスタック型電極組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタック-フォルディング型電極組立体、または電池セルが分離膜を間に介在した状態で積層されて互いに付着されるラミネーション-スタック型電極組立体などからなることが一般的である。
【0007】
また、電解質は、一般的に通用される液体電解質の他にも、固体電解質、または固体電解質に添加剤を付加して液体と固体との中間形態を有するゲル状の準固体電解質に置換されることもある。
【0008】
前記のような電極組立体は電池ケースに収納され、電池ケースの種類によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内蔵されている円筒型電池及び角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池とに分類することができる。
【0009】
一方、このような二次電池の電極を製造する方法では、活物質、導電材及びバインダーなどを溶媒に分散させて製造したスラリーを電極集電体上に塗布し、乾燥するなどの過程を経ることになる。
【0010】
ここで、電極を乾燥させる方法としては、シート状の電極をロールに巻き取った状態で乾燥装置に投入して乾燥させる方法もあるが、この場合、重畳した状態で乾燥過程を経ることになるので、内部の乾燥程度と外部の乾燥程度との間に差がある問題がある。
【0011】
図1は従来の電極乾燥装置の構造を概略的に示す正面図であり、
図2は従来の電極乾燥装置を使うとき、電極シートをチャンバーに投入する前(a)及び後(b)の無地部の状態を示す図である。
【0012】
図1に示したように、従来の電極乾燥装置は、内部が空いているチャンバー11、加熱手段12、及びガイドロール13を含み、内部を通過する電極シート20を乾燥させる。
【0013】
このような装置によれば、電極シート20を均一に乾燥することができる利点があるが、電極シート20全体にわたって加熱されるので、
図2の(b)に示すように、無地部、すなわち活物質が塗布されなくて電極集電体が露出された部分には熱皺が発生することになる。
【0014】
このような熱皺が発生する理由としては、比較的高温に維持されるチャンバーナ内に電極シートが進入すれば、金属ホイル(foil)を使う電極集電体の剛性(Rigidity)が低下する。特に、活物質が塗布された領域より活物質がない無地部の温度が相対的に高くなり、結果として無地部で皺が集中的に発生する。
【0015】
一方、このような熱皺の発生を抑制するための方法として、特許文献1には、チャンバーの電極シートが排出される出口付近の外部空気を冷却させるエアコンディショナー及び冷却した空気を無地部に吐き出す冷気吐出ノズルを備えた電極乾燥装置が開示されている。
【0016】
しかし、特許文献1の装置は、高温のチャンバー内で既に熱皺が発生した無地部に冷気を供給しているので、チャンバーの外部で自然冷却する場合よりもちょっと早く冷却することができるという利点はあるが、熱皺が発生することを根本的に抑制することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、前記のような問題点を解決するために、電極シートの乾燥の際、無地部で発生する熱皺現象を防止することができる電極シート乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記のような目的を達成するための本発明による電極シート乾燥装置は、金属ホイル(foil)の一面に電極活物質が塗布された一対のコーティング部(Sc)、及び前記一対のコーティング部(Sc)の間に位置し、電極活物質が塗布されていない無地部(Sn)を含む電極シート(S)を乾燥する装置であって、前記電極シート(S)を乾燥させる空間である長方形構造のチャンバー(100)と、前記チャンバー(100)の上に備えられ、前記電極シート(S)を乾燥するための温度に前記チャンバー(100)内の温度を調節する加熱手段(200)と、前記チャンバー(100)の内部で前記電極シート(S)の移動を案内し、前記電極シート(S)の張力を維持する一つ以上のガイドロール(300)とを含み、前記電極シート(S)の一部は前記ガイドロール(300)から所定の距離で離隔した状態で移動することを特徴とする。
【0020】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記ガイドロール(300)は円柱状であり、周面に沿って所定の深さ及び幅を有する第1凹溝部(310)を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記第1凹溝部(310)は、ガイドロール(300)の長手方向を基準に中央に位置することを特徴とする。
【0022】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記第1凹溝部(310)の上には、無地部(Sn)が離隔した状態で位置することを特徴とする。
【0023】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記第1凹溝部(310)の上には、コーティング部(Sc)と無地部(Sn)との境界、及び無地部(Sn)が位置することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記第1凹溝部(310)には、所定の深さ及び幅を有する第2凹溝部(320)をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記第2凹溝部(320)には、前記ガイドロール(300)の中心軸と直交する方向に配置された冷却管(330)が位置することを特徴とする。
【0026】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記無地部(Sn)は、前記冷却管(330)から離隔した状態で位置することを特徴とする。
【0027】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記冷却管(330)の両端部は、前記チャンバー(100)の外部に位置することを特徴とする。
【0028】
また、本発明による電極シート乾燥装置において、前記加熱手段(200)は、赤外線ランプ、熱コイルまたは熱風器のうちのいずれか一つであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の無地部の熱皺を防止することができる電極シート乾燥装置によれば、ガイドロールに凹溝部を備えることで、電極シートの無地部から所定間隔離隔した状態であるので、無地部の熱皺が発生することを減らすことができるという利点がある。
【0030】
また、本発明の無地部の熱皺を防止することができる電極シート乾燥装置によれば、無地部の下側に冷却手段を備えているので、乾燥過程で無地部の熱皺の発生を最小化することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来の電極シート乾燥装置の構造を概略的に示す正面図である。
【
図2】従来の電極シート乾燥装置において電極シートをチャンバーに投入する前(a)及び後(b)の無地部の状態を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電極シート乾燥装置の構造を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電極シート乾燥装置の構造を概略的に示す正面図である。
【
図5】
図3のB-B’線に沿って切断した断面図であって、ガイドロールの構造を説明するための図である。
【
図7】
図3のA-A’線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本出願で、「含む」、「有する」または「備える」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、構成要素、部分品またはこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0033】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0034】
以下、本発明による電極シート乾燥装置について添付図面を参照して説明する。
【0035】
図3は本発明の一実施形態による電極乾燥装置の構造を概略的に示す斜視図であり、
図4は本発明の一実施形態による電極乾燥装置の構造を概略的に示す正面図であり、
図5は
図3のB-B’線に沿って切断した断面図であって、ガイドロールの構造を説明するための図である。
【0036】
図3~
図5を参照して本発明の電極シート乾燥装置1000について説明すると、電極シート乾燥装置1000は長いシート状の電極、すなわち、電極シートSを連続的に乾燥するための装置であり、チャンバー100、加熱手段200、ガイドロール300、及び冷却手段400を含む。
【0037】
まず、乾燥される電極シートSは、金属ホイル(foil)の一面に電極活物質が塗布されたコーティング部Scと、電極活物質が塗布されていない無地部Snとから構成される。
【0038】
ここで、コーティング部Scは所定の距離で離隔した一対からなることができる。ここで、無地部Snはこれらの一対のコーティング部Scの間に位置する。たとえ図面では金属ホイル(foil)の一面にのみコーティング部Scが形成されているものとして示しているが、両面にコーティング部が備えられることができるというのは明らかである。
【0039】
一方、電極活物質は正極活物質と負極活物質とに分けることができ、このような活物質に導電材及びバインダーなどを添加してスラリーを製造した後、金属ホイルの表面に塗布するようになる。
【0040】
正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物または1種またはそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは0~0.33である)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1である)またはLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などを挙げることができるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0041】
導電材は、通常、正極活物質を含む混合物の総重量に対して1~30重量%添加される。
【0042】
このような導電材は当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファネースブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使うことができる。
【0043】
バインダーは活物質と導電材などの結合及び集電体に対する結合を促進する成分であり、通常正極活物質を含む混合物の総重量に対して、1重量%~30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0044】
また、負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の第1族、第2族、及び第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、及びBi2O5などの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li‐Co‐Ni系材料;Si、SiO、SiO2の単独またはこれらの混合物であるSi系材料などを使うことができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0045】
また、負極活物質にも前述した導電材、バインダーなどを選択的にさらに含ませて製造することができる。
【0046】
チャンバー100は前記のような電極活物質が塗布されたコーティング部Scと電極活物質が塗布されていない無地部Snとから構成された電極シートSを収納してコーティング部Scを乾燥するためのものであり、長方形の構造を有することができる。
【0047】
具体的には、内部が空いており、電極シートSが連続的に供給及び排出できるように前面及び後面の一部は開放した状態であり、残りの面、すなわち、下面、上面及び一対の側面は密閉している。
【0048】
したがって、内部の温度を所定の範囲に維持することが可能であり、外部から異物などが流入することを防止することができる。
【0049】
加熱手段200は前述したチャンバー100の内部温度を所定の範囲に維持するための構成である。具体的には、電極シートSのコーティング部Scを乾燥することができるように、チャンバー100の内部温度を所定の範囲に維持する。たとえ図面ではチャンバー100の内部上側に備えられるものとして示しているが、側面にもさらに備えられることができるというのは明らかである。
【0050】
前記のような機能を果たすための加熱手段200としては、熱、熱風または光源などのように、チャンバー100の内部または電極シートSを加熱し、加熱された温度を一定に維持することができる公知の多様な熱源を使うことができる。例えば、赤外線ランプ、熱コイルまたは熱風器のうちのいずれか一つまたは二つ以上を組み合わせて使うことができる。
【0051】
次に、ガイドロール300はチャンバー100の入口及び出口の付近を含めてチャンバー100の内部に位置することで、電極シートSの移動を案内し、チャンバー100内で乾燥される電極シートSが垂れないように一定の張力を維持することができるようにする。
【0052】
前述したように、ガイドロール300は、電極シートSのコーティング部Sc及び無地部Snの区分なしに、電極シートS全体が一定の張力を有するように支持する。したがって、所定の温度に上昇したチャンバー100内で活物質が塗布されていない電極シートSの無地部Snは相対的に大きく延伸することにより皺が発生する。
【0053】
しかし、本発明のチャンバー100の内部に位置するガイドロール300は円柱状であり、周面に沿って所定の深さ及び幅を有する第1凹溝部310を備えているので、無地部Snで皺が発生することを最小化することができる。
【0054】
具体的に説明すると、コーティング部Scを乾燥するように、チャンバー100の内部はおよそ100~200℃の範囲に維持され、ガイドロール300は耐熱性素材の金属またはセラミック材質からなり、高熱を有している状態である。したがって、活物質が塗布されていない無地部Snがガイドロール300と密着すると、コーティング部Scよりも相対的に延伸しやすくて皺が発生する。
【0055】
しかし、本発明は、ガイドロール300の長手方向を基準に第1凹溝部310が中央に位置しているので、コーティング部Scは密着した状態で移送される一方で、皺が発生しやすい無地部Snは離隔した状態である。結果として、ガイドロール300の熱い熱気が無地部Snに伝達されることを減らすことができるので、無地部Snでの皺発生を減らすことができるようになるものである。
【0056】
ここで、無地部Snの全領域が第1凹溝部310の上に位置してガイドロール300と密着しないことが最も好ましいが、コーティング部Scと無地部Snとの境界程度は第1凹溝部310の上に位置するものとなり得る。
【0057】
また、第1凹溝部310の深さは特に限定されないが、無地部Snが接触しない程度であることが好ましい。
【0058】
図6はガイドロールの変形例を示す図である。
図6に示すように、ガイドロール300の変形例で、第1凹溝部310には所定の深さ及び幅を有する第2凹溝部320をさらに備えることができる。ここで、第2凹溝部320には、ガイドロール300の中心軸と直交する方向に配置された冷却管330が位置する。
【0059】
たとえ無地部Snがガイドロール300の第1凹溝部310の垂直上側に位置することによって直接的に接触することはしないが、チャンバー100の内部は比較的高温の状態であるので皺が発生する可能性がある。
【0060】
しかし、変形例では、第2凹溝部320に低温の冷媒が循環している冷却管330が備えられているので、無地部Snの温度が上がることを抑制することができる。
【0061】
ここで、冷却管330と無地部Snとは少し離隔した状態であり、冷却管330は各ガイドロール300の第2凹溝部320に沿って長く延びており、両端部はチャンバー100の外部に位置する冷媒循環供給装置(図示せず)に連結されている。
【0062】
図7は
図3のA-A’線に沿って切断した断面図である。
図3及び
図4と一緒に参照しながら説明する。
【0063】
また、本発明の電極シート乾燥装置1000は、無地部Snの温度を確実に低めて延伸を最小化することができる冷却手段400をさらに備えている。
【0064】
具体的には、冷却手段400は、コーティング部Scが形成されていない電極シートSの裏面と向き合うように電極シート乾燥装置1000の底の付近に設けられることができ、無地部Snに向けて冷風を供給する。
【0065】
このような冷却手段400は公知の多様な冷却手段を適用することもでき、空気を冷却する装置、冷却空気を所望の位置に噴射するノズルなどを用いて所望の形態に製作することも可能である。
【0066】
また、冷却手段400は、チャンバー100の内部入口の付近からチャンバー100の出口付近まで、すなわち、電極シートSがチャンバー100の内部に進入する時点からチャンバー100の外部に排出される時点まで持続的に無地部に冷風を供給して冷却することができるように構成されることができる。
【0067】
また、冷却手段400が冷たい空気を噴射するノズルの場合、ノズルの高さを調節することができる高さ調節手段を備えることができ、噴射される空気の温度及び噴射量を調節することができるように、別途の冷却空気調節手段をさらに備えても良い。
【0068】
さらに、無地部Snの温度を測定する温度計、例えば非接触式赤外線温度計で無地部Snの温度を連続的に測定しながら冷却手段400を一緒に制御することも可能である。
【0069】
このように、無地部Snの温度を所定の範囲に低める場合、無地部Snで局部的に発生する延伸を減らすことができ、よって皺が形成されることを抑制することができる。
【0070】
一方、活物質に含まれるバインダーは、前述したように、活物質と導電材などの結合と金属ホイルに対する結合とを促進する成分である。
【0071】
しかし、乾燥工程で加熱されて金属ホイルの温度が高くなれば、バインダーのうち金属ホイルとの接触面に分布したバインダーがコーティング部Scの内部または最上層部(表面)に移動する移動(Migration)現象が発生し得る。
【0072】
このような移動現象が発生すると、ホイルの表面に残留していたバインダー量が少なくなるので、活物質と金属ホイルとの間の界面接着力の低下による不良(電極脱離現象など)が発生することもあるが、本発明では、冷却手段400を使って無地部Snに冷風を加えることで、冷却手段400を備えていない既存の装置に比べて、無地部Snのみならず金属ホイル全体の温度を低めることができるので、このような移動現象を抑制することができる利点もある。
【0073】
一方、図面に示してはいないが、電極シート乾燥装置1000は、チャンバー100内の湿度を調節する湿度調節部、チャンバー100内の温度を測定する温度センサー、及び加熱手段200を制御するための制御部をさらに備えることができる。
【0074】
以下では、前述した本発明の電極シート乾燥装置1000を使って電極シートSを乾燥する方法について説明する。
【0075】
本発明による乾燥方法は、a)電極シートSをチャンバー100に投入し、加熱及び乾燥する段階、及びb)電極シートSの無地部Snを冷却する段階を含む。
【0076】
ここで、b)段階は電極シートSの下部で電極シートSの乾燥開始から終了まで持続的に無地部Snに冷風を供給することで、無地部Snの温度を一定の温度以下に維持する段階である。
【0077】
また、a)段階とb)段階とを同時に行うこともできる。ここで、同時に行うという意味は、電極シートSがチャンバー100の内部に進入するとほとんど同時に無地部Snに冷風を供給し始めるということを意味する。
【0078】
このような乾燥方法によって製造された電極を含んでバッテリーセルを製造することができ、このようなバッテリーセルを使ってバッテリーモジュールまたはバッテリーパックを製造することもできる。
【0079】
このようなバッテリーモジュールまたはバッテリーパックは各種のデバイスの電力供給源として使うことができる。
【0080】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当該分野で通常の知識を有する者にこのような具体的技術はただ好適な実施様態であるだけで、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者に明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求範囲に属するものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
1000 電極シート乾燥装置
100 チャンバー
200 加熱手段
300 ガイドロール
310 第1凹溝部
320 第2凹溝部
330 冷却管
400 冷却手段
S 電極シート
Sc コーティング部
Sn 無地部
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ホイルの一面に電極活物質が塗布された一対のコーティング部、及び前記一対のコーティング部の間に位置し、電極活物質が塗布されていない無地部を含む電極シートを乾燥する電極シート乾燥装置であって、
前記電極シートを乾燥する空間である長方形構造のチャンバーと、
前記チャンバーの上に備えられ、前記電極シートを乾燥するための温度に前記チャンバー内の温度を調節する加熱手段と、
前記チャンバーの内部で前記電極シートの移動を案内し、前記電極シートの張力を維持する一つ以上のガイドロールと、を含み、
前記電極シートの一部は前記ガイドロールから所定の距離で離隔した状態で移動する、電極シート乾燥装置。
【請求項2】
前記ガイドロールは円柱状であり、周面に沿って所定の深さ及び幅を有する第1凹溝部を備える、請求項1に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項3】
前記第1凹溝部は、前記ガイドロールの長手方向を基準に中央に位置する、請求項2に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項4】
前記第1凹溝部の上には、前記無地部が離隔した状態で位置する、請求項3に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項5】
前記第1凹溝部の上には、前記コーティング部と前記無地部との境界、及び前記無地部が位置する、請求項3に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項6】
前記第1凹溝部には、所定の深さ及び幅を有する第2凹溝部がさらに備えられている、請求項2に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項7】
前記第2凹溝部には、前記ガイドロールの中心軸と直交する方向に配置された冷却管が位置する、請求項6に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項8】
前記無地部は、前記冷却管から離隔した状態で位置する、請求項7に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項9】
前記冷却管の両端部は、前記チャンバーの外部に位置する、請求項7に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項10】
前記加熱手段は、赤外線ランプ、熱コイルまたは熱風器のうちのいずれか一つである、請求項1に記載の電極シート乾燥装置。
【請求項11】
金属ホイルの一面に電極活物質が塗布された一対のコーティング部、及び前記一対のコーティング部の間に位置し、電極活物質が塗布されていない無地部を含む電極シートを乾燥させる方法であって、
前記電極シートの一部がガイドロールの対向部から所定の距離離隔した状態で、前記電極シートの張力を維持しながら前記電極シートを前記ガイドロールによってチャンバーの内部に移動させる段階と、
前記電極シートを乾燥するための最低温度以上で前記チャンバー内で前記金属ホイルのコーティング部を加熱手段によって加熱する段階と、を含む、電極シート乾燥方法。
【請求項12】
前記ガイドロールは円柱状を有し、周面に沿って延びる第1凹溝部を備える、請求項11に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項13】
前記第1凹溝部は、ガイドロールの長手方向を基準に中央に位置する、請求項12に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項14】
前記金属ホイルの無地部が前記ガイドロールの第1凹溝部から上方に離隔した状態で前記電極シートが移動する、請求項13に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項15】
前記ガイドロールの第1凹溝部の上部に、前記金属ホイルの無地部、及び前記金属ホイルのコーティング部と前記金属ホイルの無地部との境界面が位置する状態で、前記電極シートが移動する、請求項13に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項16】
前記ガイドロールは、前記第1凹溝部内に位置し、前記第1凹溝部内の前記ガイドロールの露出面に延びる第2凹溝部を含む、請求項12に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項17】
前記ガイドロールは、前記第2凹溝部内に配置され、前記ガイドロールの中心軸と直交する方向に延びる冷却管を含み、
前記方法は、前記金属ホイルのコーティング部を加熱しながら前記金属ホイルの無地部を冷却する段階をさらに含む、請求項16に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項18】
前記電極シートは、前記金属ホイルの無地部が前記冷却管から離隔した状態で移動する、請求項17に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項19】
前記冷却管の両端部は、前記チャンバーの外部に位置する、請求項17に記載の電極シート乾燥方法。
【請求項20】
前記加熱手段は、赤外線ランプ、熱コイルまたは熱風器のうちのいずれか一つである、請求項11に記載の電極シート乾燥方法。
【国際調査報告】