(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自動挿管のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20231214BHJP
A61B 1/267 20060101ALI20231214BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20231214BHJP
A61B 1/01 20060101ALI20231214BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61B1/00 655
A61B1/267
A61B1/005 523
A61B1/01 511
A61B1/045 614
A61B1/045 623
A61B1/00 650
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529000
(86)(22)【出願日】2021-12-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 US2021062988
(87)【国際公開番号】W WO2022132600
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523179016
【氏名又は名称】サムワン イズ ミー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャウハン、サンケット、シン
(72)【発明者】
【氏名】ダス、アディティア、ナラヤン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA13
4C161DD03
4C161GG22
4C161GG24
4C161HH47
4C161WW02
4C161WW04
4C161WW13
(57)【要約】
前記患者の上気道内にブレードを挿入し、解剖学的構造を後退させる段階;屈曲部および前記屈曲部上に配置されたチューブを前記患者の前記気道内に挿入する段階;前記屈曲部上に配置された少なくとも1つの撮像センサを用いて気道データを収集する段階;収集した気道データを処理回路に通信する段階;前記チューブを挿入するための対象経路を予測し、前記処理回路を用いて制御信号を生成する段階、ここで、前記対象経路は、前記収集した気道データを用いて、前記処理回路によって認識された少なくとも1つの解剖学的構造に基づいて予測される;ユーザインターフェースを介して対象経路を表示して、少なくとも1つの対象経路をオペレータに表示し、前記オペレータが対象経路を選択することも可能にする段階;および前記処理回路によって生成された前記制御信号を少なくとも1つの作動ユニットに通信し、前記チューブの前記3次元移動を作動させる段階を備える、患者に気管内挿管を自動的に実行するシステム、方法および装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体;
前記本体に接続された可撓部分;
可撓部分の少なくとも一部を有する、長さが可変の屈曲部;
前記可撓部分上に配置された、少なくとも1つの撮像センサを有するハウジングユニット;
前記本体に接続された着脱式ブレード;
前記可撓部分上に長手方向に配置されたチューブ;
前記チューブを挿入するための少なくとも1つの対象経路を予測し、制御信号を生成する処理回路、ここで、前記対象経路は、撮像センサから受信したデータを用いて認識される少なくとも1つの解剖学的構造に基づいて予測される;
少なくとも1つの経路を対象オペレータに表示し、前記対象オペレータが対象経路を選択することも可能にするユーザインターフェース;および
前記処理回路から制御信号を受信し、前記対象経路に沿って前記チューブの3次元移動を作動させる少なくとも1つの作動ユニット
を備える自動挿管システム。
【請求項2】
前記作動ユニットは、少なくとも1つの通信回路を介して、前記処理回路から制御信号を受信する、請求項1に記載の自動挿管システム。
【請求項3】
前記作動ユニットは、前記屈曲部に接続され、XおよびY面において前記チューブの屈曲移動を作動させる、請求項1または2に記載の自動挿管システム。
【請求項4】
前記作動ユニットは、スライドまたは回転機構のいずれか一方を有し、Z面において前記チューブのスライド移動を作動させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項5】
前記本体は、作動をトリガする少なくとも1つのボタン、前記チューブを解放するスイッチ、および計装、吸引、または洗浄のうちの少なくとも1つのためにチャネルを提供する少なくとも1つのポートを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項6】
前記処理回路は、撮像センサから受信した前記データと共に機械学習モデルを利用して、少なくとも1つの解剖学的構造を認識し、その後、対象経路を予測し、制御信号を生成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項7】
前記機械学習モデルは、
多数の挿管手順映像を収集し;
挿管手順の難易度の予測レベルに基づいて、前記収集した挿管手順映像を分離し;
前記分離された挿管手順映像をトリミングし、少なくとも1つの解剖学的構造の遮られたおよび/または不明瞭な視野を含む映像部分を除外し;前記トリミングされた映像を画像ファイルに変換し;
前記変換された画像ファイルに解剖学的構造をラベル付けし、画像のラベル付きデータセットを構築し;
前記画像のラベル付きデータセットを介して1または複数のニューラルネットワークをトレーニングすること
によって生成される、請求項6に記載の自動挿管システム。
【請求項8】
前記自動挿管システムは、ネットワークに接続可能であり、遠隔オペレータによって制御可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項9】
前記ユーザインターフェースは、ディスプレイ機器である、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項10】
前記ユーザインターフェースは、前記撮像センサから受信した前記データ上に、前記認識された解剖学的構造のオーバーレイ、および前記対象経路のオーバーレイを表示する、請求項1から9のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項11】
前記ユーザインターフェース上に表示された前記対象経路は、オペレータによって修正可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項12】
オペレータが前記対象経路に満足しない場合、前記対象経路に従った前記チューブの前記移動の前記作動は、前記オペレータによって無効化される、請求項1から11のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項13】
前記着脱式ブレードは、使い捨ておよび/または再使用可能スリーブを介して前記本体に接続されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項14】
前記ハウジングユニットは、少なくとも1つの誘導光または少なくとも1つの流出チャネルをも有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の自動挿管システム。
【請求項15】
患者に自動的に挿管する方法
前記患者の上気道内にブレードを挿入し、解剖学的構造を後退させる段階;屈曲部および前記屈曲部上に配置されたチューブを前記患者の前記上気道内に挿入する段階;
前記屈曲部上に配置された少なくとも1つの撮像センサを用いて気道データを収集する段階;収集した気道データを処理回路に通信する段階;
前記チューブを挿入するための対象経路を予測し、前記処理回路を用いて制御信号を生成する段階、ここで、前記対象経路は、前記収集した気道データを用いて、前記処理回路によって認識された少なくとも1つの解剖学的構造に基づいて予測される;
ユーザインターフェースを介して対象経路を表示して、少なくとも1つの対象経路をオペレータに表示し、前記オペレータが対象経路を選択することも可能にする段階;および
前記処理回路によって生成された前記制御信号を少なくとも1つの作動ユニットに通信し、前記チューブの前記3次元移動を作動させる段階
を備える、患者に自動的に挿管するための方法。
【請求項16】
前記制御信号を通信する段階は、前記屈曲部を介して前記チューブを屈曲させるために、XおよびY方向の制御信号を前記作動ユニットに通信する段階を有する、請求項15に記載の患者に自動的に挿管するための方法。
【請求項17】
前記制御信号を通信する段階は、スライド機構を介して前記チューブをスライドさせるために、Z方向の制御信号を前記作動ユニットに通信する段階を有する、請求項15または16に記載の患者に自動的に挿管するための方法。
【請求項18】
前記システムは、ネットワークに接続可能であり、遠隔オペレータによって制御可能である、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーザインターフェースは、前記撮像センサから受信した前記気道データ上に、前記認識された解剖学的構造のオーバーレイおよび前記対象経路のオーバーレイを表示する、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ユーザインターフェース上に表示される前記対象経路は、オペレータによって修正可能である、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵襲性医療機器を患者の内部に挿入するための自動システムおよび方法に関し、より詳細には、画像ベースの誘導を用いて、侵襲性医療機器を患者の体腔内に挿入するための自動システムおよび方法に関する。
【0002】
本セクションは、技術分野を詳細に説明し、当技術分野で直面している問題を説明する。したがって、本セクションの記載は、従来技術と解釈されるべきものではない。
【0003】
患者の体内への医療機器の効率的な埋入は、今日、医療コミュニティが最も必要と感じているものの1つである。必要性が上昇した1つの理由は、心拍を適切な速度に保つペースメーカーの胸部への挿入から、尿道カテーテルの挿入にわたり、侵襲性医療機器が提供する広大な適用範囲である。別の理由は、医療従事者、医師、および麻酔科医が埋入手順の間に遭遇する多数の複合性および複雑さであり、これが、罹患および致死の予防への急転換を必要とする。
【0004】
侵襲性機器埋入の1つのこのような適用は、患者の気道を開いて維持し、呼吸をサポートするために行われる気管内挿管である。気管内挿管(またはETI)は、喉頭鏡を用いることによって声門の開口を視覚化し、次に、それを通してチューブを挿入するために実行される。医師は、喉頭鏡で上気道の解剖学的構造を操作し、「直線見通し」を形成した後、自身の目を通して直接声門を見ることができる。喉頭鏡を用いて声門の開口をクリアに視覚化することは、顔の構造、マランパチ分類、歯の状態、および関節の剛性のようないくつかの要因に依存する。したがって、気管内挿管は、多くのスキルおよびトレーニングを必要とする処理である。適切なトレーニングを受けた場合でさえ、声門の開口を視覚化し、チューブを挿入することは難しいことがある。
【0005】
応急処置中に、気管内挿管の約81%が医師以外によって実行され、19%が医師によって実行されていると推定されている。応急処置中の予測不可能な環境が、成功する挿管の複雑さにさらに追加される。気管内挿管の実行中における1回目の試行の失敗率は、41%の高さに上ると推定される。患者に挿管する際のこの遅れが、深刻な結果を招く。低酸素症は、4分以内に恒久的な脳損傷、10分以内に死に至る。
【0006】
ビデオラリンゴスコープを用いた挿管の代替方法は、これらがスコープの先端にカメラを含み、そのため「直線見通し」が必要ないので、はるかに良好な視野を提供する。カメラは、モニタに画像を投影し、モニタを見ることで、気管内チューブが医師によって手動で挿入可能となる。これはさらに、手先の器用さおよび視覚的空間認識を多く必要とする。これらは、習得が難しいスキルでもある。ビデオラリンゴスコープを用いた1回目の試行の失敗率も、高くなる可能性がある。
【0007】
患者に挿管ができない場合にはいくつかの代替方法が試され、これは、声門上人工呼吸器、KingのチューブまたはCombitubeのような特殊気道機器、マスク人工呼吸、および場合によっては、首および気管を切開し、その開口を通してチューブを挿入することを意味する緊急の輪状甲状靭帯切開さえも含む。予期されるように、これらの手順は、単純な気管内挿管のように有効ではなく、患者にとっては、長期にわたる後遺症もあって、はるかに侵襲的なことがある。
【0008】
最新の誘導される挿管システムおよび方法の大半は、挿管中のより高い遅延および失敗率のような課題をもたらす制限を有する。そのため、迅速で、成功する挿管を支援可能であるのみならず、完全な自律性および最小限のオペレータ(またはユーザ)の介入による動作も可能なシステムおよび方法の設計が、明確に必要とされている。オペレータおよびユーザは、交換可能に用いられてよい。
【0009】
COVID-19ウィルスのような深刻な呼吸器感染の影響を深刻に受けている患者は、呼吸器の苦痛が進行し、挿管および人工呼吸を必要とする。医療関係者は感染した患者の至近におり、このような患者の唾液に直接接触するので、このような患者への治療標準に従っている間に、この疾病に罹患するリスクがある。さらに、医療関係者への疾病の移行は、とりわけ、患者との接触の期間および程度に直接関連し、ETIを感染の移行にとってハイリスクな手順にしている。
【0010】
本発明は、とりわけ、上述したもののような従来技術の欠点を克服することを目的としている。
【発明の概要】
【0011】
「一実施形態」、「少なくとも1つの実施形態」、「実施形態」、「一例」、「例」、「例えば」等の記載は、その実施形態または例が、特定の特徴、構造、特徴、特性、要素、または限定を含んでよいが、全ての実施形態または例が必ずしも特定の特徴、構造、特徴、特性、要素、または限定を含まなくてよいことを示す。さらに、「実施形態において」という語句の反復的な使用は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
【0012】
本発明の態様において、自動システムは、侵襲性医療機器を患者の体腔内に挿入する。自動システムは、患者の体腔に関連する構造を認識するために、少なくとも1つのデータソースからデータを受信し、患者内に侵襲性医療機器を挿入するための対象経路を予測する処理回路を含む。処理回路は、さらに、対象経路に基づいて、少なくとも1つの作動ユニットに対して、制御信号を生成および通信することにより、侵襲性医療機器の3次元移動を作動させる。
【0013】
処理回路は、データソースから受信したデータと共に、機械学習モデルを利用して、患者の体腔に関連する構造を認識することができ、これにより、対象経路を予測し、作動ユニットに対して制御信号を生成および通信することにより、侵襲性医療機器の3次元移動を作動させる。対象経路は、移動が開始した後、機器がそれに沿って侵襲性医療機器を誘導する経路である。機械学習モデルの生成は、少なくとも1つのニューラルネットワークをトレーニングするために、予め定められたデータセットの形式でトレーニングデータを受信または収集することを含む。このニューラルネットワークの形式は、当技術分野において周知の、エッジ実装のディープニューラルネットワークベースの物体検出器であってよい。ニューラルネットワーク以外の他の形式の機械学習は、当業者に周知であるように、代替え可能である。予め定められたデータセットは、限定されるものではないが、画像および映像であってよい。
【0014】
データソースは、撮像センサであってよい。これらのセンサは、限定されるものではないが、カメラ、赤外線カメラ、音波センサ、マイクロ波センサ、光検出器を含んでよく、または、当業者に公知の他のセンサも、同じ目的を実現するために採用されてよい。撮像センサから受信したデータは、患者の体腔の視野をオペレータに提供するために、ユーザインターフェース上に表示されてよい。さらに、オペレータへの効果的な視覚的誘導のために、対象経路および認識された構造が、ユーザインターフェース上で、撮像センサから受信したデータ上にオーバーレイされてよい。
【0015】
本発明の例示的な実施形態において、自動挿管システムは、チューブを挿入するための対象経路を予測し、少なくとも1つの作動ユニットのために制御信号を生成する。対象経路は、少なくとも1つの撮像センサから受信したデータを用いて認識された少なくとも1つの解剖学的構造に基づいて予測される。対象経路および/または認識された解剖学的構造のオーバーレイも、挿管中の効果的な視覚的誘導のために、ユーザインターフェース上で、ユーザインターフェースが撮像センサから受信したデータ上に表示される。ユーザインターフェース上に表示された対象経路は、また、オペレータが挿入対象経路に満足しない場合、オペレータによって調整可能である、および/または、オペレータによって無効化される。オペレータは、次に、挿管処理中にシステムが辿る、提案または調節された対象経路を選択してよい。
【0016】
さらに、対象経路のオーバーレイは、ユーザインターフェース上で、拡張現実の形式で、および/またはオペレータに効果的な視覚的誘導を提供する任意の他の形式で、視覚化されてもよい。
【0017】
好ましい一実施形態において、自動挿管システムは、本体、屈曲部、本体を屈曲部に接続する可撓部分、屈曲部上に配置された、少なくとも1つの撮像センサを有するハウジングユニット、可撓部分および屈曲部上に配置された挿管用チューブ、回路、ユーザインターフェース、解剖学的構造を後退させるブレードを一端に有する使い捨ておよび/または再使用可能スリーブ、およびチューブの3次元移動を作動させる少なくとも1つの作動ユニットを備える。屈曲ユニットの長さは可変であり、可撓部分の先端にのみ位置してよい、または、可撓部分を完全に覆ってよい。他の実施形態において、屈曲部は、限定されるものではないが、ナビゲートを必要とする関連用途および解剖学的構造を含むいくつかの要因によって決定された、可撓部分の任意の部分内に位置してよい。好ましくは、使い捨ておよび/または再使用可能スリーブは、本体に取り外し可能に結合されている。撮像センサは、好ましくはカメラであるが、赤外線、光検出器のようなセンサ、または当業者に公知の他の実現可能な手段が、同じ目的を実現するために採用されてよい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、回路、ユーザインターフェースおよび作動ユニットは、本体の一部である。回路は、処理回路、電力回路、および通信回路をさらに有する。
【0019】
本発明の代替的な実施形態において、回路およびユーザインターフェースは、本体とは別個に、少なくとも1つの別個のボックス内に配置される。
【0020】
処理回路は、少なくとも1つの認識された解剖学的構造に基づいて、チューブを挿入するための対象経路を予測すること、および制御信号を生成することの両方のために利用される。処理回路は、撮像センサから受信したデータおよび少なくとも1つの予めトレーニングされた機械学習モデルを用いて解剖学的構造を認識するためにも利用される。作動ユニットは、処理回路から制御信号を受信し、チューブの3次元移動を作動させる。作動ユニットは、具体的には、屈曲部との接続を用いて、XおよびY面において、チューブの屈曲移動を作動させる。作動ユニットは、屈曲部およびその関連付けられた作動ユニットをレール軌道上で移動させることによって、Z面において、チューブのスライド移動を作動させるスライド機構も有する。代替的に、スライド機構は、屈曲部およびその関連付けられた作動ユニットを変位させることなく、チューブとの直接接触または隣接によって、Z面において、チューブのスライド移動を作動させる。当業者は、径方向、極性、円筒形、および球状のような他の3次元座標スキームが、本明細書で説明されるx、y、およびz座標の代替形態において使用可能であることも認識している。
【0021】
本発明の別の実施形態において、処理回路は、対象経路を予測し、制御信号を生成するためにのみ用いられ、撮像センサデータおよび機械学習モデルを用いた解剖学的構造の認識は、別個の独立した処理回路によって実行される。
【0022】
機械学習モデルは、画像のラベル付きデータセットに対して1または複数のニューラルネットワークをトレーニングすることによって開発されたコンピュータビジョンソフトウェアの一部であり、画像のラベル付きデータセットは、収集した挿管手順映像を画像ファイルに変換し、画像ファイル上に解剖学的構造をラベル付けすることによって構築される。代替的な実施形態において、機械学習モデルの生成は、少なくとも1つのニューラルネットワークをトレーニングするために、予め定められたデータセットの形式でトレーニングデータを受信または収集することを含む。予め定められたデータセットは、限定されるものではないが、手順の間に記録および収集された画像、オーディオ、および映像であってよい。
【0023】
本発明の別の実施形態において、作動ユニットが受信する、チューブの3次元移動を作動させる制御信号は、本体の外面上に配置された上下ボタンのペアまたはユーザインターフェース上に配置されたタッチボタンによって手動で生成される。そのため、システムは、オペレータが必要とする場合は、作動の手動モードを提供する。上下ボタンのペアおよびタッチボタンは、オペレータが対象経路に満足しない場合に、オペレータがチューブの自動作動にオーバーライドするために用いられてもよい。
【0024】
本発明の別の態様において、侵襲性医療機器を患者の体腔内に自動的に挿入する方法が提供され、これは、屈曲部および屈曲部上に配置された侵襲性医療機器を患者の体腔内に挿入する段階を備える。方法は、屈曲部上に配置された撮像センサを用いて気道データを収集する段階、および侵襲性医療機器の挿入の対象経路を予測し、制御信号を生成するために、収集した気道データを処理回路に通信する段階を含む。制御信号は、次に、侵襲性医療機器の3次元移動を作動させるために、少なくとも1つの作動ユニットに通信される。対象経路は、好ましくは、処理回路によって、撮像センサから通信されたデータを用いて、体腔に関連する少なくとも1つの構造の認識に基づいて予測される。
【0025】
さらに、挿入する対象経路の予測および体腔に関連する構造の認識は、処理回路によって、撮像センサから通信されたデータと共に機械学習モデルを利用することによって実行されてよい。機械学習モデルの生成は、少なくとも1つのニューラルネットワークをトレーニングするために、予め定められたデータセットの形式でトレーニングデータを受信または収集することを含む。予め定められたデータセットは、限定されるものではないが、画像および映像であってよい。本特許において開示される機器は、本明細書において説明される気道以外の異なる体腔において利用され、または、これらの体の体腔のいずれかの内部で異なるタスクを実行することが予見可能である。
【0026】
本発明の例示的な実施形態において、屈曲部および屈曲部上に配置されたチューブを患者の気道内に挿入することによって、患者に自動的に挿管する方法が提供される。方法は、屈曲部上に配置された撮像センサを用いて気道データを収集する段階、およびチューブの挿入の対象経路を予測し、チューブの3次元移動を作動させるための制御信号を生成するために、収集した気道データを処理回路に通信する段階をさらに含む。対象経路は、好ましくは、処理回路によって、撮像センサから通信されたデータを用いて、少なくとも1つの解剖学的構造の認識に基づいて予測される。処理回路は、機械学習モデルおよび撮像センサから通信されたデータを利用して、解剖学的構造を認識し、チューブの挿入の対象経路を予測する。
【0027】
方法は、気道データをユーザインターフェース上に表示して、気道の視野をオペレータに強調する段階を含んでもよい。さらに、これは、オペレータへの効果的な視覚的誘導のために、ユーザインターフェース上で、対象経路および認識された解剖学的構造を、撮像センサから通信されたデータ上にオーバーレイする段階を含む。
【0028】
完全自動システムと比較して、半自動侵襲性機器挿入システムを有する利点が存在する。このようなシステムの商用化は、FDAのような政府機関からの規制上の承認を必要とし、半自動システムの経路は、より単純で、より複雑さが少なくてよい。さらに、完全自動システムを有することは、潜在的に、法的責任の層を形成する可能性があり、企業はこれらに弱い可能性がある。さらに、その技術が良いものだとしても、トレーニングされた専門家にとっては、手順を監督し、必要な場合にはそれを手動でオーバーライドして、正確な挿管を確実にするのが良い。半自動システムを完全自動システムと比較した場合、展開可能なシステムの開発および生成にあたり、技術的障壁が減少し得る。最終的に、正確な経路を実現する固有の検証および制御機構および有用性の層を有することは、負傷を防止し、患者にとってより安全である。
【0029】
代替的な実施形態において、限定されるものではないが、脈および心拍、呼吸数、酸素飽和レベル、体温、血圧を含むバイタルサインのような、患者の関連臨床パラメータに関するリアルタイム情報;および他の研究結果、限定されるものではないが、血液ガスレベル、グルコースレベル、および最新技術でトレーニングされた人であれば知っているであろう他の結果を提供可能な補完的なセンサが、機器に統合されてよい。
【0030】
他の実施形態において、オペレータは、インターネットを介して、機器を遠隔で接続してよく、同様のユーザインターフェースを用いて、機器を操作してよい。
【0031】
本発明の他の実施形態および好ましい特徴は、対応する利点と共に、以下の説明および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施形態と共に様々な態様が、以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解される。本発明をより良く理解するために、詳細な説明は、図面と共に読まれなければならない。
【0033】
【
図1】本発明に係る患者の内部に侵襲性医療機器を挿入する自動システムの例示的なアーキテクチャを示す。
【0034】
【
図2】本発明に係る自動挿管システムの例示的な実施形態を示す。
【0035】
【
図3】本発明に係る自動挿管システムの本体、使い捨てスリーブ、およびチューブのアセンブリを示す。
【0036】
【
図4】本発明に係る自動挿管システムの代替的な実施形態を示す。
【0037】
【0038】
【
図6】本発明に係る自動挿管システムの例示的なアーキテクチャを示す。
【0039】
【
図7】本発明に係る機械学習モデルを生成するためのフロー図を示す。
【0040】
【
図8】本発明に係る代表的な自動挿管方法の利用を示す。
【0041】
【
図9】本発明に係るユーザインターフェースの利用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示は、本明細書において説明される詳細な図および説明を参照して、最も良く理解される。様々な実施形態が、図を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、方法およびシステムは、説明される実施形態を超えて拡張されてよいので、図に関して本明細書において提供される詳細な説明は、単なる例示目的であることを容易に理解しよう。例えば、提示される教示および具体的な適用の必要性は、本明細書において説明される、あらゆる詳細の機能を実装するための複数の代替例および適切なアプローチをもたらし得る。したがって、いずれのアプローチも、以下の実施形態における特定の実装の選択を超えて拡張され得る。
【0043】
本発明の方法は、選択された段階またはタスクを手動で、自動的に、またはこれらの組み合わせにより、実行または施行することによって実装されてよい。用語「方法」は、所与のタスクを達成するための方式、手段、技術、および手順を指し、これらは、限定されるものではないが、本発明が属する分野の当業者に公知であるか、または公知の方式、手段、技術、および手順から当業者によって容易に開発されるかのいずれかである方式、手段、技術、および手順を含む。特許請求の範囲および明細書において提示される説明、例、方法、および材料は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、例示でのみ提示されている。当業者であれば、本明細書において説明される技術の範囲内で、多数の他の可能な変形例を想像しよう。
【0044】
本発明のベストモードの例示的な実施形態(以下、「例示的な実施形態」と称する)の説明を読んだ人は、例示的な実施形態が、発明者の信念に従って特許出願した時に本発明を実施するベストモードであるとみなすであろう。当業者は、同じ結果を同じ方式で、または非類似の方式で実現する実質的に同等の構造または実質的に同等の機能を認識し得るので、例示的な実施形態は、本発明を一実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
【0045】
種(または具体的な項目)の説明は、種が属する属(項目のクラス)およびこの属において関連する種を指す。同様に、属の記載は、当技術分野で公知の種を指す。さらに、技術の進歩に伴い、本発明の態様を実現する多数のさらなる代替例が出現し得る。このような進歩は、これらのそれぞれの属内に組み込まれ、図示または説明される態様と機能的に同等または構造的に同等であるものと認識されよう。
【0046】
明示的に別段の記載がない限り、(「または」、「および」、「を含む」または「を備える」のような)接続語は、包括的な意味で解釈されるべきであり、排他的な意味で解釈されるべきではない。
【0047】
当業者であれば理解するように、様々な構造および機器が、本発明を不明瞭にしないように、ブロック図に示される。以下の説明において、別段の記載がない限り、同様の名称で機能するものは、同様の方式で実行されることに留意されたい。
【0048】
前述の説明および定義は、明確化目的で提供されたものであって、限定的なものではない。単語および語句は、別段の指示がない限り、これらの通常の平易な意味と一致するものである。
【0049】
本発明は、図を参照することによってより良く理解可能となる。
図1は、侵襲性医療機器を患者の体腔内に挿入するための自動システム100の例示的なアーキテクチャの図である。システムは、屈曲部101、撮像センサ102、侵襲性医療機器103、少なくとも1つの作動ユニット104、ユーザインターフェース105、および回路106を備える。回路は、少なくとも1つの撮像センサおよび機械学習モデルからの入力に基づいて制御信号を生成する処理回路106a、システムの異なるコンポーネント間でデータ/信号通信を提供する通信回路106b、および電力回路106cをさらに有する。作動ユニットは、侵襲性医療機器にZ面における移動を提供するスライド機構107を含む。
【0050】
処理回路106aは、シングルプロセッサ、論理回路、全ての機能を実行する専用コントローラ、またはシステムの機能要件に応じて、処理支援ユニットの組み合わせであってよい。例示的な実施形態において、処理回路は、2つの独立した処理支援ユニット106aaおよび106abを有する。処理支援ユニット106aaは、機械学習技術および撮像センサ102から受信したデータを利用して、挿管処理を自動化するための少なくとも1つの機能(106aa1,106aa2…106aaN)を実行するコンピュータビジョンソフトウェアである。機能は、患者の体腔の周囲および内部の構造認識、および患者内に侵襲性医療機器103を挿入するための対象経路予測を含む。代替的に、処理回路106aaは、撮像センサからの入力、複数の機器の作動ユニットから遠隔受信した過去のデータのサンプル、または機械学習モデルに基づいて、対象経路を予測する。システムは、さらに、メモリ(システム中に図示せず)における規制目的で、機器動作の記録を維持するために対象経路を格納する。機器の記録は、監視および制御目的で、遠隔機器と共有されてよい。1または複数の撮像センサからの画像、および機械学習モデルをさらに向上させるために、または規制またはトレーニング目的のような他の目的で、遠隔サーバと共有され得る状態および決定点のようなさらなる情報が、格納または共有されてよい。この情報は、機器上でローカルに、またはサーバのような遠隔ストレージ上に、またはクラウド上に格納されてよい。処理支援ユニット106abは、処理支援ユニット106aaが予測した対象経路に基づいて、制御信号を生成する。3次元移動を侵襲性医療機器に提供するために、処理支援ユニット106abが生成した制御信号は、次に、作動ユニットが屈曲部101およびスライド機構107のうちの少なくとも1つを作動させる基礎となる通信回路106bを介して、処理回路から作動ユニット104に通信される。処理支援ユニット106abは、作動ユニット104の統合部分であってもよく、制御信号は、無線または有線の通信回路を介して作動ユニット104によって受信されてよい。処理回路106aaは、制御信号を送信するために、ネットワークまたは無線媒体を通して遠隔で作動ユニット104に接続されてもよい。通信回路は、作動ユニットの統合部分であってもよい。上述した機能の各々は、単一の機能ユニット内で、上述した機能の各々および全てについて、別の機能と組み合わせられてよい。
【0051】
通信回路106bは、完全システムにおいて分散し、双方向データ/信号転送の要素として機能してもよい。通信回路は、有線または無線であってよい。電力回路106cは、電力をシステムの全ユニットに分配する。電力回路は、充電可能バッテリまたは直接規制電源を含む。
【0052】
作動ユニット104は、回転モータ、リニアモータ、および/または回転およびリニアモータの両方の組み合わせであってよい。例示的な実施形態において、複数の作動ユニット(A1,A2…An)が、独立して屈曲部101およびスライド機構107を作動させ、3次元移動を提供する。代替的に、屈曲部101およびスライド機構107は、単一の作動ユニットを用いて、互いと統合されて作動してもよい。システムは、侵襲性医療機器の移動を追跡し、これを対象経路と比較して、乖離を演算し、移動を較正することができる。較正は、自動的に、または手動の介入によって行われてよい。実際の移動データは、監視目的で、遠隔機器に送信されてよい。
【0053】
ユーザインターフェース105は、処理回路106aと双方向通信をしている。ユーザインターフェースは、好ましくは、撮像センサ102から受信したデータ、および処理回路からの認識された構造および/または対象経路のオーバーレイを撮像センサから受信したデータ上に表示するディスプレイ機器であり、効果的な視覚的誘導でオペレータを支援する。代替的に、ユーザインターフェースは、オーディオ入力/出力、ジェスチャ入力、拡張現実対応システム、および/または投影機器のような自動システムと、オペレータとのインタラクションを可能にし得る任意の機器であってよい。ユーザインターフェースは、インタラクションの仮想現実形式をサポートするヘッドアップディスプレイまたはヘッドマウントディスプレイであってもよい。ユーザインターフェース105は、提案された対象経路を選択する、または提案された経路にオーバーライドして、オペレータが提案された対象経路を修正することによって形成された修正済み対象経路を選択するために用いられてよい。
【0054】
図2は、自動挿管システム200の例示的な実施形態の図であり、これは、本体201、本体を屈曲部203に接続する可撓部分202、屈曲部に取り付けられたハウジングユニット204を備える。ハウジングユニットは、さらに、少なくとも1つの撮像センサ205、少なくとも1つの誘導光206、および少なくとも1つの流出チャネル207をサポートする。好ましくは、撮像センサはワイドCMOSカメラであり、誘導灯は、システムが電源オンになった場合に自動的に電源オンになるLEDライトである。代替的に、誘導灯および撮像センサの独立制御スイッチが設けられてもよい。
【0055】
本体は、処理回路から受信した制御信号を、患者の体腔でチューブを前進させるための3次元移動に変換する、少なくとも1つの作動ユニット208をさらに備える。作動ユニット208は、回転モータ、リニアモータ、および/または回転およびリニアモータの両方の組み合わせであってよい。任意選択的に、本体201の外面は、作動を手動制御するための少なくとも1つのボタンまたはノブ209、自動システム200の電力ステータスを示すための光源210、自動システムを電源オンまたはオフにするためのスイッチ211、吸引用の少なくとも1つのポート212、およびチューブを本体から切り離すためのチューブ解放スイッチまたはレバー213を有する。
【0056】
一実施形態において、作動ユニット208は、スライド機構214をさらに有する。スライド機構は、作動ユニットと統合された部分または作動ユニットに接続された別個のユニットのいずれであってよい。スライド機構は、ラックピニオン機構(図示せず)を介して作動ユニットに接続された可動式ベースプレートであってよく、ピニオンは、回転運動のために作動ユニットに接続され、ラックは、回転運動を垂直運動および/または変位に変換するために、可動式ベースプレートに接続される。当業者であれば、作動ユニットを可動式ベースプレートに接続し、同じスライド機構を実現する他の方法または機構の知識を有していよう。スライド機構の主な目的は、チューブにZ面移動を提供することである。スライド機構起動ユニット208を用いることは、本開示によっては必要とされておらず、以下開示されるように、多数の電気機械システムが、挿入される医療機器にZ面における移動を提供するために用いられてよい。
【0057】
代替的に、2つの独立した作動ユニットが、屈曲部203およびスライド機構214を作動させるために用いられてよい。処理回路(
図1に示す)は、XおよびY面移動の制御信号を、屈曲部の移動を制御する作動ユニットに送信し、Z面移動の制御信号を、スライド機構に関連付けられた作動ユニットに送信してよい。
【0058】
代替的に、作動ユニットの多数の異なる配置が、チューブの3次元移動のために行われ、これは、当業者には容易に明らかとなろう。これらは、回転、ギア式、コイル式、またはねじベースの起動ユニット、および浮動式作動ユニットの利用を含んでよい。正確なXおよびY面での移動、およびZ面において必要とされる移動量を可能にするためには、然るべき注意が払われなければならない。
【0059】
ユーザインターフェース215も、本体201に取り付けられて、撮像センサ205から受信したデータを表示する。好ましくは、ユーザインターフェースは、本体に取り付けられたディスプレイ機器である。代替的に、ユーザインターフェースは、作動をトリガする少なくとも1つのボタン、チューブを解放するボタン、および電源ボタン(図示せず)を有するタッチ式ディスプレイ機器である。ユーザインターフェースは、オーディオ入力、オーディオ出力、またはジェスチャ入力のような自動システムとオペレータとのインタラクションを可能にし得る任意の機器であってよい。別の実施形態において、ユーザインターフェースは、必要なオペレータのフィードバックを提供する知的エージェントを有してよい。
【0060】
本体201は、回路216も有し、これは、処理回路、通信回路、電力回路をさらに有する。
【0061】
屈曲部203は、作動ユニット208に接続される。好ましくは、屈曲部203は、少なくとも1つのコード(
図2には図示せず)を介して、作動ユニット208に接続される。コードは、作動ユニットに接続され、可撓部分を通過して、屈曲部に達してこれに接続され、屈曲部の屈曲運動および/または移動を作動させる。代替的に、コードは、スレッド、ワイヤ、ケーブル、およびチェーンのような任意の実現可能な機械的リンクによって置換されてよい。当業者であれば、作動ユニットを屈曲部に接続し、XおよびY面における2次元移動を屈曲部203に提供するための他の方法または手段の知識を有していよう。
【0062】
図3は、自動挿管システム200のチューブ301およびスリーブ302を有する本体201のアセンブリの図である。チューブは、可撓部分202および屈曲部203上を長手方向に配置されてよい。代替的に、チューブは、部分的に可撓部分上に配置され、部分的に屈曲部上に配置されてよい。概して、可撓部分はチューブを通って延伸し、ハウジングユニット204によってサポートされた撮像センサを介して、呼吸器経路の視野を提供する。チューブは、限定されるものではないが、経口、経鼻、カフ付き、カフなし、プレフォーム補強、ダブルルーメン気管チューブを含み得る気管内チューブまたは任意のカスタムチューブである。
【0063】
スリーブ302は、本体201に機械的に接続され、好ましくは滑りばめ接続を介して、ブレード303を本体に着脱可能に接続してよい。当業者に公知な他の実現可能な機械的接続も、同じ目的を実現するために採用されてよい。スリーブ302の一端における着脱式ブレード303は、挿管手順の間に、解剖学的構造を後退させるために設けられている。スリーブは、使い捨ておよび/または再使用可能材料で形成されてよい。
【0064】
ブレード303は、挿管処理中により良い可視性を提供するためのブレードの有効性を向上させるように設計され、従来のビデオラリンゴスコープのブレードと同様の形状であってよい。ブレードは、さらに、挿管の初期段階においてチューブを誘導するための統合された経路を有する。経路は、チューブが通過可能な開いたトンネルであってよい、または、窪み、レール、溝、またはこれらの組み合わせを用いて、ブレードに形成されてよい。
【0065】
チューブ301は、可撓部分および屈曲部上に配置される場合、スライド機構214に接触してよい。チューブがスライド機構に接触することにより、作動ユニット208がスライド機構を作動させた場合、チューブは、Z面において、可撓部分202および/または屈曲部203に沿って変位可能となる。
【0066】
代替的に、スライド機構208は、屈曲部203および関連付けられた作動ユニットをZ面において変位させて、屈曲部を患者の気管内に挿入し、後退させる。屈曲部に関連付けられた作動ユニットは、具体的には、スライド機構のレールガイド(図示せず)上に配置され、これにより、スライド機構に関連付けられた作動ユニットは、それに従ってこれを変位させることができる。
【0067】
チューブ301は、可撓部分202および屈曲部203のうちの少なくとも1つ上におけるその配置を介して、作動ユニット208に接続される。作動ユニットは、屈曲部を作動させて、さらに、XおよびY面において、チューブの屈曲運動を作動させる。簡単に言うと、屈曲部は、チューブが患者の気道内の方向をナビゲートするためのガイドとして機能する。
【0068】
図4は、自動挿管システム400の代替的な実施形態の図であり、これも、本体401、本体を屈曲部403に接続する可撓部分402、屈曲部または可撓部分に取り付けられたハウジングユニット404を備える。ハウジングユニットは、少なくとも1つの撮像センサ405、少なくとも1つの誘導光406、および少なくとも1つの流出チャネル407をサポートしてもよい。流出チャネル407は、生検、吸引、および洗浄などのような追加の機器を挿入する必要がある場合に、チャネルを提供するために用いられてよい。流出チャネル407は、生検、吸引、および洗浄などのような追加の機器を挿入する必要がある場合に、チャネルを提供するために用いられてよい。本体は、少なくとも1つの作動ユニット408をさらに有し、これは、回転モータ、リニアモータ、および/または回転およびリニアモータの両方の組み合わせであってよい。他のタイプのモータは、当業者に容易に明らかとなろう。本体401の外面は、以下の、作動を手動制御するための少なくとも1つのボタンまたはノブ409、自動システムの電力ステータスを示すための光源410、自動システムを電源オンまたはオフにするためのスイッチ411、吸引用の少なくとも1つのポート412、チューブが所望の位置または箇所に到達した場合にチューブを本体および屈曲部から切り離すためのチューブ解放スイッチまたはレバー413のうち、一部または全部を有してよい。作動ユニット408は、スライド機構414をさらに有してよい。
【0069】
システムは、本体外で別個のユニット417として配置されたユーザインターフェース415および回路416をさらに備える。別個のユニットは、ケーブル418を介して本体に接続される。代替的に、ユーザインターフェース415、回路416、およびシステムは、無線接続(図示せず)によって接続される。無線接続は、Bluetooth(登録商標)、Wifi、Zigbee(登録商標)、遠隔通信、NFC、またはシステムの実装時に利用可能な任意の他の通信モードによって確立されてよい。無線通信は、機器が、データ転送と共に、遠隔制御されることも可能にする。遠隔接続された処理回路は、複数の機器において異なる時間に、複数の作動ユニットを制御してもよく、病院管理およびコンプライアンス部門に集中制御を提供してもよい。システムの異なるユニット間の通信は、SSLのような技術を実装することによって確保されてよい。
【0070】
図5は、互いの上方に積み重ねられ、リベット502によって接続された複数の独立した椎骨501を有する
図2の屈曲部203の構成の例示的な実施形態の図である。椎骨は、このような配置で接続され、各椎骨のリベット点を中心とする部分的および/または完全に独立した回転運動を可能にする。各椎骨の回転運動により、屈曲部の屈曲が可能となる。椎骨は、コード503を介して互いに接続され、コードの一端は作動ユニット(
図5において図示せず)に接続され、別の端部は屈曲部の遠位端において椎骨に接続される。椎骨は、内側に配置された少なくとも1つのアイループ504をさらに有する。作動ユニットからのコードは、アイループを通過して、椎骨の遠位端における接続点に達する。代替的に、メッシュまたは上述した構成およびメッシュの組み合わせ、または当業者に公知の他の実現可能な配置が、同じ目的を実現するために採用されてよい。
【0071】
図6は、自動挿管システム200の例示的なアーキテクチャの図であり、これは、屈曲部203、撮像センサ205、チューブ301、少なくとも1つの作動ユニット208、ユーザインターフェース215、および回路216を備える。回路は、少なくとも1つの撮像センサからの入力に基づいて制御信号を生成する処理回路216a、システムの異なるコンポーネント間でデータ/信号通信を提供する通信回路216b、および電力回路216cをさらに有する。作動ユニットは、チューブにZ面における移動を提供するスライド機構213を含む。
【0072】
処理回路216aは、シングルプロセッサ、論理回路、全ての機能を実行する専用コントローラ、またはシステムの機能要件に応じて、処理支援ユニットの組み合わせであってよい。例示的な実施形態において、処理回路は、2つの独立した処理支援ユニット216aaおよび216abを有する。処理支援ユニット216aは、機械学習技術および撮像センサ205から受信したデータを利用して、少なくとも1つの機能(216aa1,216aa2…216aaN)を実行するコンピュータビジョンソフトウェアである。機能は、解剖学的構造の認識、および少なくとも1つの解剖学的構造の認識に基づく、チューブ301が挿入される対象経路の予測を含む。処理支援ユニットおよび/または処理回路は、撮像センサ205とインタラクションして、挿管手順中にデータを受信し、上述の機能を実行する。
【0073】
一実施形態において、撮像センサデータおよび機械学習技術を用いた解剖学的構造の認識は、気管の開口、声門、声帯、および/または食道および気管の間の分岐のような呼吸器構造物の検出を含む。呼吸器構造物の検出に加えて、またはこれに代えて、人体の他の解剖学的部分も、検出および/または認識されてよい。
【0074】
代替的に、処理回路216aaは、撮像センサからの入力、複数の機器の作動ユニットから遠隔受信した過去のデータのサンプル、および機械学習モデルに基づいて、対象経路を予測する。システムは、さらに、メモリ(システム中に図示せず)における規制目的で、機器動作の記録を維持するために対象経路を格納する。機器の記録は、監視および制御目的で、遠隔機器と共有されてよい。処理支援ユニット216abは、処理支援ユニット216aaが予測した対象経路に基づいて、制御信号を生成する。3次元移動を侵襲性医療機器に提供するために、処理支援ユニット216abが生成した制御信号は、次に、作動ユニットが屈曲部203およびスライド機構214のうちの少なくとも1つを作動させる基礎となる通信回路216bを介して、処理回路から作動ユニット208に通信される。処理支援ユニット216abは、作動ユニット208の統合部分であってもよく、制御信号は、無線または有線の通信回路を介して作動ユニットによって受信される。1つのシナリオにおいて、処理回路216aaは、制御信号を送信するために、インターネットまたは無線媒体を通して遠隔で作動ユニット208に接続されてもよい。通信回路は、作動ユニットの統合部分であってもよい。
【0075】
ユーザインターフェース215は、処理回路106aと双方向通信をしている。ユーザインターフェースは、好ましくは、撮像センサ205から受信したデータおよび処理回路から受信した、認識された解剖学的構造または対象経路のオーバーレイを表示して、オペレータを支援するディスプレイ機器である。さらに、対象経路のオーバーレイは、ユーザインターフェース上で、拡張現実の形式で、および/またはオペレータに効果的な視覚的誘導を提供する任意の他の形式で、視覚化されてもよい。
【0076】
ユーザインターフェース215は、その上に表示された対象経路をオペレータが調節することを可能にするタッチ式ディスプレイ機器であってもよい。ユーザインターフェース上に表示された対象経路は、オペレータが挿管の対象経路に満足しない場合には、オペレータによって無効化されてもよい。さらに、これは、手動作動をトリガするボタン、チューブ解放ボタン、および/またはシステム電源オフボタンのような、本体の外面上に配置されたボタンによって実行される機能に関連するタッチボタンを有してもよい。代替的に、ユーザインターフェースは、オーディオ入力、オーディオ出力、またはジェスチャ入力、または知的エージェントによって可能にされ得る任意の他の制御スキームのような、オペレータと自動システムとのインタラクションを可能にできる任意の機器であってよい。
【0077】
図7は、機械学習モデルを生成するための例示的なフロー図であり、多数の挿管手順映像を既存のビデオラリンゴスコープから収集する段階701、および段階702において、挿管手順の難易度の予測レベルに基づいて、収集した挿管手順映像を分離する段階を備える。難易度のレベルは、従来のマランパチ分類またはコンピュータビジョンモデルおよび公知の機械学習アルゴリズムの融合を自動的に用いるカスタム挿管難易度スケールのいずれかの形式で予測されてよい。演算または予測された難易度スコアは、演算されたスコアに基づいて映像を容易に検索および分離するために、映像のメタデータに埋め込まれてよい。これらの映像は、本明細書で説明される機器を含む、他のソースから取得した映像で補足されてよい。本明細書で開示されるトレーニング映像に用いられる映像ソースには、限定はない。
【0078】
段階703において、分離された映像はトリミングされ、挿管手順に関連する解剖学的構造の遮られたおよび/または不明瞭な視野を含む映像の部分を除外する。この段階により、機械学習モデルの広範囲におよびトレーニングの処理に移動する前に、映像データ中の回避可能なノイズをクリアする。
【0079】
段階704において、トリミングされた映像ファイルは画像ファイルに変換され、次に段階705において、解剖学的構造でラベル付けされて、ラベル付けされた画像のデータセットを構築する。段階706において、この画像のラベル付きデータセットは、1または複数のニューラルネットワークをトレーニングするためのトレーニングデータセットとして機能し、機械学習モデルを生成する。生成された機械学習モデルは、
図6の処理回路216aによって実行される処理支援ユニット216aa(すなわち、コンピュータビジョンソフトウェア)内で、またはその一部として採用され、撮像センサ205から受信したデータに基づいて、挿管手順中に少なくとも1つの解剖学的構造を認識する。
【0080】
図8は、代表的な自動挿管方法を利用した図であり、着脱式ブレード801を患者の気道802内に挿入する段階を備える。着脱式ブレードに隣接して、屈曲部803および屈曲部上に長手方向に配置されたチューブ804が、患者の気道内に挿入される。方法は、屈曲部上に配置された少なくとも1つの撮像センサ805から気道データを収集する段階をさらに含む。収集した気道データは、次に、少なくとも1つの処理回路806に通信され、これは、機械学習モデルおよび気道データを利用して、少なくとも1つの解剖学的構造を認識し、チューブの挿入のための少なくとも1つの対象経路を予測する。対象経路は、次に、処理回路によって用いられ、制御信号を生成し、少なくとも1つの作動ユニット807に通信して、チューブの3次元移動を作動させる。
【0081】
具体的には、着脱式ブレード、屈曲部、およびチューブが本体に直接または間接的に接続されると、着脱式ブレード801、屈曲部803、およびチューブは、本体808を患者の口の近傍に導入することによって挿入される。また、処理回路806およyび作動ユニット807は、好ましくは、本体内に位置する。
【0082】
屈曲部803上に配置されたチューブ804の3次元移動は、屈曲部803の2次元移動によって誘導される、XおよびY面におけるチューブの屈曲移動、および作動ユニット807のスライド機構(
図8において図示せず)によるZ面におけるチューブの移動を含む。屈曲部の作動は、コード(
図8において図示せず)を介して屈曲部に接続された作動ユニットによって可能となる。方法は、撮像センサ805から通信されたデータをユーザインターフェース809上に表示する段階、および認識された解剖学的構造およびチューブ挿入の対象経路をユーザインターフェース上にオーバーレイする段階も備える。
【0083】
チューブの遠位端の位置は、限定されるものではないが、カプノメトリ、X線、および超音波のような、標準的な臨床治療の方法によって確認されてよい。これらの方法は、直接的に機器に組み込まれてよい、または、このような方法の間接的なサポートを提供するように組み込まれてよい。例えば、カプノメトリに関しては、空気内におけるCO2レベルの存在により、患者内のチューブの正確な配置を確認することができる。この定性的または定量的な確認は、CO2モニタのような機器上に直接、またはその内部に配置されたセンサによって、または正確なCO2レベルの確認を提供するために撮像センサの視野内に配置された、変色するPH反応ストリップのような、より間接的な方法を介して提供されてよい。同様に、超音波送信機および受信機が、チューブの遠位端が正確に配置されたことを確認可能な機器内に組み込まれてよい。上述した技術は、挿管チューブの正確な配置を確認するための多くの臨床的アプローチの中のいくつかに過ぎず、当業者には自明である。
【0084】
患者の気道内で所望の位置または箇所に達すると、チューブは、本体の外面上に位置するチューブ解放スイッチまたはレバー810を用いて、本体808および屈曲部803から解放されるように設定される。代替的に、タッチボタン(
図8において図示せず)が、チューブを解放または切り離すために、ユーザインターフェース809に設けられてもよい。
【0085】
図9は、少なくとも1つの撮像センサから受信したデータを表示するディスプレイ画面902を有するユーザインターフェース901の利用の図である。ディスプレイ画面は、少なくとも1つの認識された解剖学的構造903およびチューブ904の挿入905の対象経路のオーバーレイをさらに表示する。オペレータは、ユーザインターフェース上に表示さsれたチューブ904の挿入905の対象経路を手動で調節してもよい。代替的に、チューブ、屈曲部、認識された解剖学的構造903、および挿入905の対象経路のオーバーレイが、拡張現実、仮想現実、またはオペレータに効果的な視覚的誘導を提供する当業者に公知の他の形式のオーバーレイとして、ユーザインターフェース上に表示される。認識された解剖学的構造のオーバーレイは、オペレータが手順中に構造を迅速に識別するための注釈またはラベルを含んでもよい。
【0086】
さらに、ユーザインターフェース901のディスプレイ画面902は、作動を手動で制御する、および/または必要とされる場合に自動作動をオーバーライドするための上下タッチボタン906のペア、システム電源オン/オフタッチボタン907、およびチューブ解放タッチボタン908を有してよい。
【0087】
一実施形態において、上下タッチボタン906のペアは、選択された動作面X、Y、またはZにおける手動作動を選択的に制御するために用いられてよい。ディスプレイ画面上に設けられたタッチボタン909は、タッチボタン906を介して入力を提供する前に、動作面を選択するために用いられてよい。タッチボタンは、
図9において、撮像センサから受信した視覚データの境界外に配置されるように示されているが、タッチボタンの配置は、可能な限り最良の視覚的表示をオペレータに提供するように変更されてよいことが理解されよう。
【0088】
本発明は手術、挿入、または埋入支援の文脈で説明されているが、本発明は、トレーニングおよびデモンストレーションのような教育的または学術的用途を実現するために実施されてもよい。
【0089】
明細書における記載は、特許請求の範囲以外の要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0090】
当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変形を本発明に加えることができることが明らかであろう。本発明を、包含される特定の1または複数の形式に限定することを意図するものではない。反対に、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の趣旨および範囲内に含まれる全ての修正、代替的構造、および均等物を網羅することを意図するものである。従って、本発明の修正および変形が添付の特許請求の範囲およびこれらの均等物の範囲内にある場合に、本発明はこれらを網羅することが意図される。
【国際調査報告】