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特表2023-553280ナノセル膨張ポリマービーズ、製造方法、及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ナノセル膨張ポリマービーズ、製造方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
C08J9/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530779
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2021083757
(87)【国際公開番号】W WO2022117642
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】P202031205
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523187701
【氏名又は名称】セルマット テクノロジーズ エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムジカ イザギーレ、ミケル
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド ガルシア、ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】マーティン デ レオン、ジュディス
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス カルデロン、イスマエル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ペレス、ミゲル エンジェル
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA48
4F074BA32
4F074CA34
4F074CA39
4F074DA02
(57)【要約】
ナノセル膨張ポリマービーズ、製造方法、及び使用。本発明は、1μmより小さい平均サイズ、0.25より小さい相対密度(相対密度は、中実ポリマービーズの密度に対する、膨張ポリマービーズの密度の比である)、及び、5μmより小さい厚みを有する中実スキンを有するセルを有するナノセル膨張ポリマービーズに関する。本発明はまた、起泡剤の溶解発泡によって上記ビーズを製造するための方法、ナノセルポリマー材料又はナノセル粉末を製造するためのナノセル膨張ポリマービーズの使用、及び、本発明のナノセル膨張ポリマービーズを含むナノセルポリマー材料又はナノセル粉末に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実ポリマービーズから取得される膨張ポリマービーズであって、1μmより小さい平均サイズを有するセル、及び、5μmより小さい厚みを有する中実スキンを備え、相対密度が0.25より小さいことを特徴とし、前記相対密度は、前記中実ポリマービーズの密度に対する前記膨張ポリマービーズの密度の比である、膨張ポリマービーズ。
【請求項2】
3μmより小さい厚みを有する中実スキンを備える、請求項1に記載の膨張ポリマービーズ。
【請求項3】
前記ビーズのポリマー材料は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)コポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(PET(COP))、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性澱粉(TPS)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)から成る群、及び上の組み合わせから選択される、請求項1または2に記載の膨張ポリマービーズ。
【請求項4】
38mW/mKより小さい熱伝導率を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の膨張ポリマービーズ。
【請求項5】
起泡剤の溶解発泡によって、請求項1から4のいずれか一項に記載の膨張ポリマービーズを製造するための方法であって、
i)オートクレーブ(1)における中実ポリマービーズの溶液(2)を取得する段階、ここで、前記溶液(2)は、
a.0.5mm~4mmのサイズを有する中実ポリマービーズ;及び
b.第1液体媒体
を含む;
ii)前記中実ポリマービーズの溶液(2)の温度を、-50℃~300℃の飽和温度(Ts)に調節し、前記溶液を撹拌し続ける段階、
iii)2MPa~150MPaの圧力に達するまで起泡剤を添加し、段階ii)の前記飽和温度(Ts)で前記中実ポリマービーズ(2)の溶液を撹拌し続ける段階;
iv)前記起泡剤で飽和されたポリマービーズを取得するために、段階iii)において示される圧力、温度、及び撹拌の条件を維持する段階;
v)10MPa/s~1000MPa/sの速度で前記オートクレーブ(1)を減圧し、同時に、起泡剤で飽和された前記ポリマービーズの溶液を、前記オートクレーブ(1)から、0~300℃の膨張温度(Te)の第2液体媒体(11)へ抽出する段階;及び、
vi)前記膨張ポリマービーズを取得するために段階v)において定義される前記膨張温度の前記第2液体媒体(11)において、前記ポリマービーズの溶液を前記起泡剤で飽和させ続ける段階
を備え、
前記オートクレーブからの前記抽出から、飽和ポリマービーズが、定められた膨張温度(Te)の前記第2液体媒体に導入されるまでに経過する期間は、最大15秒間である、
方法。
【請求項6】
段階i)の前記中実ポリマービーズの溶液(2)は、界面活性剤、固化防止剤、帯電防止剤、及び上の組み合わせから選択される添加剤物質を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階i)の前記中実ポリマービーズの溶液における中実ポリマービーズの重量パーセントは、5%~50%であり、ビーズ及び第1液体媒体の全重量に対するビーズの重量によって表される量である、請求項5から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
添加剤物質の重量パーセントは、0.1%~3%であり、段階a)の前記中実ポリマービーズの溶液の全重量に対する添加剤物質の重量によって表される量である、請求項6から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
段階iii)において添加される前記起泡剤は不活性ガスである、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
段階v)は、不活性ガスを前記オートクレーブ(1)に注入し、同時に前記オートクレーブを減圧することを含む、請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2液体媒体は水であり、0℃より高く100℃より低い膨張温度である、請求項5から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ビーズの前記ポリマーは、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)であり、段階iii)は、31MPaの圧力に達するまでCOを添加することを含む、請求項5から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ビーズはポリメチルメタアクリレート(PMMA)から作られ、前記飽和温度は、-50℃~150℃であり、前記膨張温度は、50℃~130℃であり、前記飽和温度が前記膨張温度に等しい又はより低いことを条件とする、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
焼結によってナノセルポリマー材料を製造するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の膨張ポリマービーズの使用。
【請求項15】
ナノセル粉末を製造するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の膨張ポリマービーズの使用。
【請求項16】
好ましくは、請求項1から4のいずれか一項に記載の膨張ポリマービーズから取得されるナノセル粉末及びナノセルポリマー材料から成る群から選択される断熱材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーセル材料の技術領域に含まれ、具体的には、絶縁及び機械的特性が改善されたナノセルポリマー材料を取得することに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーセル材料は、低い経済的コストと組み合わされて、数ある中でも特に、重量の低減、高い剛性及び強度、並びに、断熱性及び遮音性又は衝撃エネルギー吸収など、その優れた特性の結果として、事実上すべての産業セクタに存在する。1980年代の初頭にマイクロセルポリマー(数ミクロンのレンジのセルを有する)が開発されてから(Eaves, D. Handbook of Polymer Foams; Rapra Technology Limited: Shawbury, Shrewsbury, Shropshire, SY4 4NR, UK, 2004; ISBN 1859573886)、この種類の材料についての研究が大幅に増加した。この関心の増大の主な原因の1つは、従来のセルポリマーに対する機械的特性の改善である(Shimbo, M.; Higashitani, I.; Miyano, Y. Mechanism of strength improvement of foamed plastics having fine cell. J. Cell. Plast. 2007, 43, 157-167; Juntunen, R.P.; Kumar, V.; Weller, J.E.; Bezubic, W.P. Impact strength of high density microcellular poly(vinyl chloride) foams. J. Vinyl Addit. Technol. 2000, 6, 93-99; Collias, D.I.; Baird, D.G.; Borggreve, R.J.M. Impact toughening of polycarbonate by microcellular foaming. Polymer (Guildf). 1994, 35, 3978-3983; Bureau, M.N.; Kumar, V. Fracture toughness of high density polycarbonate microcellular foams. J. Cell. Plast. 2006, 42, 229-240; Kumar, V.; VanderWel, M.; Weller, J.; Seeler, K.A. Experimental Characterization of the Tensile Behavior of Microcellular Polycarbonate Foams. J. Eng. Mater. Technol. 1994, 116, 439)。近年、これらの結果により、セル構造の制御を改善すること、及び、セルサイズを減少させることが試みられ、それにより、十数年前にナノセルポリマーが取得された。1ミクロンより小さいセルサイズを有するこれらのポリマーは、マイクロセルポリマーに対するいくつかの機械的特性の改善など、非常に有益な特性を有する(Miller, D.; Kumar, V. Microcellular and nanocellular solid-state polyetherimide (PEI) foams using sub-critical carbon dioxide II. Tensile and impact properties. Polymer (Guildf). 2011, 52, 2910-2919; Notario, B.; Pinto, J.; Rodriguez-Perez, M.A. Towards a new generation of polymeric foams: PMMA nanocellular foams with enhanced physical properties. Polymer (Guildf). 2015, 63, 116-126) and the considerable reduction of thermal conductivity (Notario, B.; Pinto, J.; Solorzano, E.; De Saja, J.A.; Dumon, M.; Rodriguez-Perez, M.A. Experimental validation of the Knudsen effect in nanocellular polymeric foams. Polym. (United Kingdom) 2015, 56, 57-67)。ナノセルポリマーの主な適用の1つが断熱であることは、この後者の特性の結果である。現在、環境法の厳格化に起因して、断熱効率に関する研究(Yilmaz, Z. Evaluation of energy efficient design strategies for different climatic zones: Comparison of thermal performance of buildings in temperate-humid and hot-dry climate. Energy Build. 2007, 39, 306-316; Al-Sanea, S.A.; Zedan, M.F.; Al-Hussain, S.N. Effect of thermal mass on performance of insulated building walls and the concept of energy savings potential. Appl. Energy 2012, 89, 430-442)が、より重要になってきている。その目的に対して、解決手段の1つは、この目的で現在使用されている材料を、ナノセルポリマーなど、はるかに低い熱伝導率を示し、より効率的である他のものに置き換えることを伴う。
【0003】
マイクロセル及びナノセルポリマーの開発に伴い、その生産方法の試験及び最適化に関連する研究も強化され、セル構造のサイズ、及び、ポリマー発泡体とも呼ばれるこれらのセルポリマーの均一性に対する制御を改善することが試みられている。これは、これらの材料の特性が、生産方法に関連しているからである。ナノセルポリマーを製造するための技法のいくつかは、相分離、インプリントリソグラフィ、及び発泡である(Notario, B.; Pinto, J.; Rodriguez-Perez, M.A. Nanoporous polymeric materials: A new class of materials with enhanced properties. Prog. Mater. Sci. 2016, 78-79, 93-139; Hentze, H.P.; Antonietti, M. Porous polymers and resins for biotechnological and biomedical applications. Rev. Mol. Biotechnol. 2002, 90, 27-53)。最初の2つの技法は一般に、フィルムの製造に限定され、汚染物質であり得る有機溶媒の使用を必要とするが、発泡、より具体的には、ガス溶解発泡は、もっとも有望な技法の1つである。その理由は、この技法により、セル構造のサイズ及び均一性に対する良好な制御が達成されるからである。さらに、CO又はNなどの不活性ガスが使用される場合、それらは、いかなる残留物も残すことなく材料から抽出され得る非汚染ガスであり得るので、プロセスは、より環境に優しいことがあり得る(Kumar, V.; Suh, N.P. A process for making microcellular thermoplastic parts. Polym. Eng. Sci. 1990, 30, 1323-1329)。
【0004】
ナノセルポリマーに関する研究の大部分は、バッチ生産プロセス(一般にバッチ発泡と呼ばれる)によって、実験室スケールで実行される。このプロセスにおいて、数mmの厚さのポリマーサンプルが、所与の温度で、高い圧力(オートクレーブ)でガスが導入される容器内に配置される(Costeux, S. CO2 -Blown Nanocellular Foams. J. Appl. Polym. Sci. 2015, 132)。ガスがポリマー内に拡散するのに十分な時間が経過すると(飽和プロセス)、オートクレーブは急激に減圧される。飽和プロセスが比較的低い温度で実行される場合、オートクレーブが減圧されると、オートクレーブの内部からサンプルを抽出し、ナノセルポリマーの膨張及び形成を生じさせるためにそれを加熱する必要がある。固体状態発泡とも呼ばれるこのプロセスは、低密度ナノセルポリマーを取得することを試みるためにもっとも広く使用されているが(Martin-de Leon, J.; Bernardo, V.; Rodriguez-Perez, M.A. Low density nanocellular polymers based on PMMA produced by gas dissolution foaming: Fabrication and cellular structure characterization. Polymers (Basel). 2016, 8)、十分に低い密度を達成するのは現代でもなお困難である。この目的を満たすことは、ナノメートルサイズのセルと組み合わせることによる熱伝導率の更に大幅な低減を示すであろう(Wang, G.; Wang, C.; Zhao, J.; Wang, G.; Park, C.B.; Zhao, G. Modelling of thermal transport through a nanocellular polymer foam: Toward the generation of a new superinsulating material. Nanoscale 2017, 9, 5996-6009; Bernardo, V.; Martin-de Leon, J.; Pinto, J.; Rodriguez-Perez, M.A.; Verdejo, R. Modeling the heat transfer by conduction of nanocellular polymers with bimodal cellular structures. Polymer (Guildf). 2018, 160, 126-137)。
【0005】
このバッチ生産プロセスの主な欠点のいくつかは、オートクレーブの減圧及び恒温槽における発泡の間に経過する時間に起因して、ガスがポリマーの外に拡散することに起因して、中実スキンが形成されることである。いくつかのポリマー発泡体、特に、より低い密度のものにおいて、この中実スキンは、150μmより大きいことがあり得る。そのような厚い中実スキンは、低密度ポリマー発泡体を取得する上で問題を示し得る。なぜなら、スキン自体が高密度であり、密度を増加させ、また、ポリマー材料の膨張を妨げ、結果として、より高密度の部分をもたらすからである。加えて、サンプルのサイズは、オートクレーブの寸法によって限定され、発泡体の形状は、初期サンプルの形状に依存し、長いサイクル時間(平均セルサイズが100nm、相対密度が0.25、厚みが4mmであるポリマー発泡体を取得するために、サイクル時間は6時間より長い)により、あまり生産的でないプロセスとなり、したがって、産業化可能プロセスの要件を満たすことから遠くなる(Costeux, S. CO2 -Blown Nanocellular Foams. J. Appl. Polym. Sci. 2015, 132; Bernardo, V.; Martin-de Leon, J.; Laguna-Gutierrez, E.; Catelani, T.; Pinto, J.; Athanassiou, A.; Rodriguez-Perez, M.A. Understanding the role of MAM molecular weight in the production of PMMA/MAM nanocellular polymers. Polymer (Guildf). 2018, 153, 262-270; Pinto, J.; Dumon, M.; Pedros, M.; Reglero, J.; Rodriguez-Perez, M.A. Nanocellular CO2 foaming of PMMA assisted by block copolymer nanostructuration. Chem. Eng. J. 2014, 243, 428-435)。
【0006】
複雑な形状及び高い膨張を有する発泡体を取得する問題を解決することを可能にしてきた、セルポリマーを生産する方法は、ビーズ発泡として知られる方法である。この技術は、一般に膨張ビーズと呼ばれる、小さい発泡ポリマー粒子を成形及び融解することによって広範囲のポリマーマトリックスから3次元発泡ポリマーを生産することから成る(Kee, E. Novel manufacturing processes for polymer bead foams, 2010; Daniel Klempner and Kurt C. Frisch Handbook of Polymeric Foams and Foam Technology. 2004, 31, 11201)。ビーズ発泡に関連する別の利点は、ビーズ生産サイクル時間を低減することにより、バッチ生産プロセスであるにも関わらず、産業におけるそれらの移植を可能にすることである。これは、後に膨張ビーズを形成する(一般に「中実ビーズ」又は「マイクロペレット」と呼ばれる)中実ポリマー前駆体のサイズがより小さいことにより、ポリマーにおける起泡剤の拡散をより短い時間で実行することが可能となり、一方、それと同時に、飽和プロセスが終了すると、サンプルの急激な抽出を可能にするからである。これらの膨張ビーズの生産の開発は、1950年代に、膨張可能ポリスチレン(EPS)を用いて開始された(Stastny, F.; Gaeth, R. PRODUCTION OF POROUS MATERIALS FROM FILM-FORMING ORGANIC THERMOPLASTIC MASSES. US Patent 2681321, 1954)。そのときから、ビーズ発泡は、研究者の関心を引き始め、ビーズの生産は、膨張ポリプロピレン(EPP)などのポリオレフィン材料に拡大した(Burning, J.; Deseke, O.; Meyke, J. METHOD OF PRODUCING A FOAMED GRANULATE. US Patent 6315931 B1, 2001; Hirosawa, K.; Shimada, S. PRE-FOAMED PARTICLES OF POLYPROPYLENE RESIN AND PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF. US Patent 4379859, 1983; Schweinzer, J.; Fischer, J.; Grave, I. De; Kogel, W. PRODUCTION OF EXPANDED POLYOLEFIN BEADS. US Patent 5703135, 1997)。これは、その良好な機械的及び絶縁特性に起因して、自動車セクタにおいて、広く使用され始めた(Hossieny, N.; Ameli, A.; Park, C.B. Characterization of expanded polypropylene bead foams with modified steam-chest molding. Ind. Eng. Chem. Res. 2013, 52, 8236-8247)。近年、新しい環境法が原因で、製造のために揮発性有機化合物(VOC)を起泡剤として使用する膨張ビーズの使用は限定されており、EPSのケースも同様である(Sopher, S.R. Expanded Polyethylene Bead Foam Technology. 2018; Tang, L.; Zhai, W.; Zheng, W. Autoclave preparation of expanded polypropylene/poly(lactic acid) blend bead foams with a batch foaming process. J. Cell. Plast. 2011, 47, 429-446)。加えて、環境保護に合わせて、膨張ポリ乳酸(EPLA)などの生分解性かつリサイクル可能な膨張ポリマーの開発が開始し(Nofar, M.; Ameli, A.; Park, C.B. A novel technology to manufacture biodegradable polylactide bead foam products. Mater. Des. 2015, 83, 413-42)、不活性及び非汚染のガスを使用するビーズ発泡のプロセスの研究が大幅に強化された。
【0007】
この種類の起泡剤を用いる膨張ビーズの製造は通常、内部撹拌システムを有するオートクレーブにおいて実行され、中実ポリマービーズの内部のガスの拡散を促進する。なぜなら、上記ビーズは、任意選択的に界面活性剤を有する液体媒体において懸濁され、それらが互いに固着すること、又は、オートクレーブの金属部分に固着することを防止するからである(Guo, Y.; Hossieny, N.; Chu, R.K.M.; Park, C.B.; Zhou, N. Critical processing parameters for foamed bead manufacturing in a lab-scale autoclave system. Chem. Eng. J. 2013, 214, 180-188)。所与の圧力及び所与の温度で、起泡剤を用いてビーズが飽和するのに必要な時間が経過すると、オートクレーブは、通常はその低い領域に位置するバルブを通じて減圧され、それにより、ビーズを、それらが懸濁されている水と共に追い出す。飽和の条件を制御することによって、商用ビーズのケースにおいては0.05より大きく0.1より小さい相対密度、及び、数ミリメートルから数ミクロンの範囲であり得るセルサイズであり得る、広範囲の密度及びセル構造を取得することが可能となる。膨張ポリプロピレン(EPP)、膨張熱可塑性ポリウレタン(ETPU)、又は膨張ポリエチレン(EPE)など、産業でもっとも使用される膨張ビーズの生産において、中実ビーズを形成するポリマー材料が融解する温度のレンジに近い、又は、更にはそのレンジ内の飽和温度が使用される。なぜなら、これらのポリマーの半結晶性の性質を考慮すると、起泡剤がビーズの内部で拡散し得、従ってその後発泡できるように、それらの結晶を部分的に融解させる必要があるからである(Guo, Y.; Hossieny, N.; Chu, R.K.M.; Park, C.B.; Zhou, N. Critical processing parameters for foamed bead manufacturing in a lab-scale autoclave system. Chem. Eng. J. 2013, 214, 180-188)。このようにして、ポリマーは、1ステップ発泡として一般に知られるものにおいて、減圧と共にその膨張が生じるのに十分柔らかい。このケースでは、1ステップ発泡は、半結晶性材料から低密度膨張ポリマービーズを生産することを可能にする。なぜなら、サンプルの結晶性は、ガスの拡散を妨げ、溶解性を限定するからである。その理由から、サンプルの温度を増加させることによって、材料における結晶の量を低減する必要がある(Guo, P.; Liu, Y.; Xu, Y.; Lu, M.; Zhang, S.; Liu, T. Effects of saturation temperature/pressure on melting behavior and cell structure of expanded polypropylene bead. J. Cell. Plast. 2014)。
【0008】
ビーズ発泡技術は、1ステッププロセスでナノセルポリマー(500~700nm)を取得することを可能にしたが、これらのポリマーは、0.45より大きい相対密度を有する。半結晶性ポリマーにおけるナノセルポリマー材料の密度を減少させることが試みられるとき、高飽和温度を使用する必要性により、平均セルサイズを大幅に増加させるセル構造の変性機構の発生が生じ得る。従って、(特に、0.25より小さい相対密度を有する)低密度のナノセルポリマーを生産するための方法は、半結晶性ポリマーを用いるこのビーズ発泡プロセスによって、まだ開発されていない(Nofar, M.; Ameli, A.; Park, C.B. Development of polylactide bead foams with double crystal melting peaks. Polym. (United Kingdom) 2015, 69, 83-94)。非晶質ポリマーを使用するケースでは、1ステッププロセスにおいて必要とされる高飽和温度に起因して、ポリマーにおける起泡剤の拡散性が増加されるが、その溶解性は同時に限定され、このことは、低密度ナノセルポリマーも取得されないことを意味する(Pinto, J.; Reglero-Ruiz, J.A.; Dumon, M.; Rodriguez-Perez, M.A. Temperature influence and CO transport in foaming processes of poly(methyl methacrylate)-block copolymer nanocellular and microcellular foams. J. Supercrit. Fluids 2014, 94, 198-205)。
【0009】
産業及び実験室レベルの両方において存在する方法による低密度ナノセルポリマー材料の生産と比べた困難性を上で説明した。これらの技術的困難性は、低密度ナノセルポリマーを取得するための長いサイクル時間をもたらし、固体状態発泡のケース(2ステップ)における、限定された形状、及び、数百ミクロンの中実スキンをもたらす。さらに、現在まで、高密度(特に、0.45に等しい又はより高い相対密度)のナノセルポリマーだけが、単一ステップにおいてビーズ発泡技法によって取得された。この目的で、数ある他の適用の中でも特に、手頃なコストで従来の断熱材より大幅に優れた性能を有する断熱材として産業化及び使用され得るナノセルポリマーの開発を可能にするべく、好ましくは短いサイクル時間で、低い、又は、超低密度のナノセルポリマーを取得することを可能にする方法を展開することが必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、前駆体中実ビーズ又はマイクロペレットに対する相対密度が0.25より小さい低密度ナノセル膨張ポリマービーズに関する。これらのナノセルビーズは、ビーズ発泡技術を通じて、特に、ここで記載される製造方法によって、起泡剤、特にガスの溶解発泡によって取得され得る。本発明の方法における発泡プロセスの最適化は、製造時間を低減し、さらに、現代までに知られた他の方法によって取得される膨張ビーズに対して特性が大幅に改善されたナノセル膨張ポリマービーズを取得することを可能にする。
【0011】
より具体的には、本発明の第1態様は、特に発泡技法によって、中実ポリマービーズから取得される、又は取得可能な膨張ポリマービーズに関し、ここで、膨張ポリマービーズは、1μmより小さい、好ましくは500nmより小さい、より好ましくは300nmより小さい平均サイズ、及び、0.25より小さい、好ましくは0.20より小さい相対密度を有するセルを含むことを特徴とし、ここで、相対密度は、膨張ポリマービーズの前駆体ポリマービーズの密度に対する膨張ポリマービーズの密度の比である。
【0012】
本発明の文脈において、「マイクロペレット」、「ビーズ」、「中実ビーズ」、「ポリマービーズ」又は「中実ポリマービーズ」という用語は、0.5mm及び4mmの間、好ましくは0.6mm及び2mmの間、より好ましくは0.6及び1.5mmの間のサイズを有するポリマー粒子を指すために互換的に使用され、ここで、このサイズは、ビーズが球形であるときの直径に、又は、任意の他の形状を有する場合には、より大きい寸法を有する辺に対応する。本発明の膨張ポリマービーズのこれらの前駆体中実ビーズ又はマイクロペレットは、任意の形状を有し得、具体的には、それらは球形であり得るか、又は、円筒形基部を有するプリズム形状を有し得る。なぜなら、それを製造するためのもっとも広く使用されるプロセスは、押出プロセスによるものであり、各ビーズを発生させるべく切断される円筒の形態のフィラメントが、押出機から直接取得されるからである。円筒形基部を有するプリズムの形態であるマイクロペレットの特定のケースにおいて、上記のサイズは、プリズムの長さ、又は、円筒形基部の直径の2つのうちより大きい寸法であり得る。
【0013】
上で言及したように、マイクロペレット又は中実ビーズは一般に、押出によって取得されるが、それらはまた、例えば、懸濁重合技法など他の方法によって取得され得る。押出プロセスによる製造の特定のケースにおいて、ポリマーは、ポリマーマトリックスに含められる添加剤と共に、高温で異なる領域を通じて、1又は2個のスクリューによって運ばれ、融解状態に移行し、均一化される。ポリマーが押出機を出ると、切断ツールによって、ポリマーマイクロペレットが取得される。切断ツールの種類に基づいて、これらのマイクロペレットのサイズ及び形状は変動し得る。この切断ツールは、押出機から出た後に空気中又は液体媒体中で以前に冷却されたポリマーフィラメントが導入されるデバイスから成る従来のペレタイザであり得、歯車の回転の結果として、マイクロペレットが生成される。このツールで製造されたポリマーマイクロペレットは、円筒形状を有し、その直径は、フィラメント引き抜き速度に依存し、その長さは、切断ツールが有する歯の数及びその回転速度に依存する。しかしながら、水中切断ツール(水中ペレタイザとして知られる)を使用することが好ましく、これにより、球形形状及び均一なサイズを有するマイクロペレット又は中実ビーズのより高い生産が取得され得る。さらに、この切断ツールは、以前のものより高価である。
【0014】
本発明の文脈において、「膨張ビーズ」及び「膨張ポリマービーズ」という用語は、互換的に使用され、前駆体ポリマー粒子の膨張、従って、それらの密度の低減を引き起こすセル構造を有するポリマー粒子を指し得ることも理解されるべきである。本発明の膨張ポリマービーズは、具体的には、ここで記載された方法によって、膨張又は発泡プロセスに晒された、上で定義されるマイクロペレット又は中実ビーズから取得され、又は取得可能であり、結果として、ビーズの密度の低減を引き起こすセル構造が作成される。加えて、本発明による膨張ポリマービーズは、1ミクロンより小さい、好ましくは、500nmより小さい、より好ましくは、300nmより小さい平均サイズ(直径)を有する孔又はセルによって形成される内部構造を有するので、それらは、「ナノセルビーズ」、「ナノセル膨張ポリマービーズ」とも呼ばれ得、又は、この段落の最初に言及された用語との「ナノセル」という用語の同様の組み合わせで呼ばれ得る。本発明の膨張ポリマービーズは、0.25より小さい、好ましくは0.20より小さい相対密度を有し、ここで、相対密度は、マイクロペレット、すなわち、発泡又は膨張プロセスによる膨張ポリマービーズの前駆体中実ビーズの密度に対する膨張ポリマービーズの密度の比である。
【0015】
また、本発明の文脈において、「ナノセルポリマー材料」、「ナノセルポリマー」、「ナノセル発泡体」、又は「ナノセルポリマー発泡体」という用語は、ここで記載される膨張ポリマービーズから取得される、又は取得可能な産物を指すことが理解されるべきである。結果として、これらのポリマー材料、ポリマー、又は発泡体はまた、1μmより小さい、好ましくは500nmより小さい、より好ましくは300nmより小さい平均サイズを有するセルによって形成されるナノセル内部構造を有する。加えて、これらのナノセルポリマー材料、ポリマー、又は発泡体は、0.25より小さい相対密度を有する膨張ビーズから形成されるので、「低密度」と呼ばれ得、又は、材料、ポリマー、若しくは発泡が、0.20より小さい相対密度を有する膨張ビーズから形成されるそれらの実施形態において「超低密度」と呼ばれ得る。
【0016】
膨張ポリマービーズの平均セルサイズは、例えば、Image Jなどの画像分析ソフトウェアと組み合わせて、走査電子顕微鏡(SEM)画像を使用して決定され得る。ソフトウェアは、顕微鏡写真において観察されるセルの面積を測定し、その平均直径を算出することを可能にする。このようにして取得されたデータは、2D分析に対応し、セルの実際の3D直径を見つけるために立体解析学の標準的要素を使用して補正され得る。セルサイズを測定する方法は、以下の論文、J. Pinto, E. Solorzano, M.A. Rodriguez-Perez, JA de Saja, Characterization of the cellular structure based on user-interactive image analysis procedures, Journal of Cellular Plastics, 49, 555-575, 2013において記載されている。
【0017】
膨張ポリマービーズの相対密度を知るべく、一方で、前駆体中実ビーズ又はマイクロペレットの密度(ρsolid)は、ガスピクノメータを使用して決定され得る。この方法は、既知の体積の第1チャンバを、以前に計量された特定の量のマイクロペレットで充填する段階を含む。この第1チャンバは、予め設定された動作圧力(好ましくは0.13MPa)まで、不活性ガス(好ましくは窒素)で充填される。圧力の安定化後に、サンプルを含む第1チャンバからのガスが、既知の体積の空の第2チャンバに膨張し、システムが安定化される圧力が測定される。既知の体積のチャンバと共に、膨張後の第1段階において測定された圧力により、マイクロペレットサンプルの体積を算出することが可能となる。十分に厳密な測定結果を取得するべく、記載される方法は、少なくとも5回繰り返され得る。マイクロペレットの密度は、ガスピクノメータを用いて決定された体積に対する、サンプルのマイクロペレットの質量の比(重量/体積)として算出される。この方法による密度の決定は、21~23℃の温度レンジで実行される。
【0018】
さらに、膨張ポリマービーズの密度(ρexpanded)は、好ましくは少なくとも0.0001gの高精度の秤に結合された密度キットを使用して、アルキメデスの原理を適用することにより決定され得る。密度キットは、好ましくは蒸留水又はエタノールである液体が導入され得る容器、及び、液体におけるサンプルを計量することを可能にするデバイスから成る。少なくとも20個の膨張ポリマービーズが計量され、それらの質量が記録される。次に、膨張ビーズが液体に導入され、改めて計量される。第2測定は、流体に浸漬されることによってサンプルの膨張ビーズが受ける推力についての情報を提供する。具体的には、重量及び推力の間の差を示す。これら2つの測定により、及び、測定が行われる温度における液体の密度(本発明においては21~23℃の温度レンジにおいて取得される)を知ることによって、液体の密度と乗算した重量及び推力の間の比として、膨張ビーズの密度を算出することが可能となる。上記のビーズの平均密度の有意な測定を取得するべく、記載される方法は、合計で少なくとも100個の膨張ポリマービーズを使用して、少なくとも5回繰り返される。
【0019】
ガスピクノメータを使用することに代えて、中実ポリマービーズの密度はまた、膨張ビーズについて上に記載されたアルキメデスの原理に基づく方法によって決定され得る。両方の方法(ガスピクノメータ又はアルキメデスの原理)の使用は、同等の結果をもたらす。しかしながら、ガスピクノメータの方法がより単純であるので、マイクロペレットの密度を決定するためには、この方法が一般に好ましい。
【0020】
膨張ポリマービーズの相対密度は、膨張された、又はセル材料に存在する固体画分を決定することを可能にする測定結果である。本発明の膨張ポリマービーズのケースにおいて、この値は、(上で記載されたようにアルキメデスの原理によって取得される)膨張ポリマービーズの密度を(上で記載されたアルキメデスの原理によって、又は好ましくは、ここで記載される方法によるガスピクノメトリーによって決定される)これらの膨張ポリマービーズの前駆体ポリマーマイクロペレットの密度で除算することによって算出され得る。このパラメータは、セル材料における相対的な固体及び気体画分に関する情報を取得することを可能にするので、セル材料のセクタにおいて、非常に有益である。
【0021】
本発明の特定の実施形態において、膨張ポリマービーズは、15μmより小さい、好ましくは10μmより小さい、より好ましくは5μmより小さい、更により好ましくは3μmより小さい厚みの中実スキンを含む。
【0022】
本発明の文脈において、「中実スキン」又は「外側スキン」という用語は、膨張ビーズの各々の表面上に存在し、その内部に浸透する領域を指し、その材料の密度は、前駆体中実ビーズ又はマイクロペレットを構成する材料の密度と同様であることが理解されるべきである。
【0023】
材料の中実スキンの領域は、ポロシティが無い領域であることを考慮して、中実スキンの厚みは、走査型電子顕微鏡写真によって取得され得る。しかしながら、本発明の文脈において、この中実スキンの厚みは好ましくは、膨張ポリマービーズの半径に基づく密度の変動に関する基準を使用して決定される。一般に、膨張ポリマービーズの中央の密度は、中実又は外側スキンが位置するその表面上の密度より低い値を有し、この密度は、膨張ポリマービーズの表面から中央領域にかけて徐々に減少する。このようにして、中実スキンの厚みは好ましくは、密度が前駆体中実ビーズの密度の95%に等しい又はより大きい、膨張ポリマービーズの領域として定義される。中実又は外側スキンの厚みは、X線撮影又はX線断層写真を使用して、膨張ビーズの半径に基づいて、密度を決定することによって、定量的に決定され得、これにより、膨張ビーズの各点における密度を定量化すること、及び、上で定義された基準を適用することを可能にする。
【0024】
本発明による膨張ポリマービーズは、任意の種類のポリマーによって、具体的には、任意の種類の非晶質ポリマー、半結晶性ポリマー、又は、2種類のいずれかのポリマーの混合物によって形成され得る。より具体的には、ポリマー材料は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)コポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(PET(COP))、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性澱粉(TPS)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)から成る群、及び上の組み合わせから選択され得る。好ましくは、膨張ポリマービーズに含まれるポリマー材料は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)コポリマー、又は両方の混合物である。
【0025】
任意選択的に、膨張ポリマービーズは、例えば、ナノクレイ、ナノシリカ、又はグラフェンなどの核生成剤;金属水酸化物、ハロゲン化合物、イントメッセント化合物、又は非ハロゲン化合物などの難燃剤;カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、又はアルミニウム粒子などの赤外線ブロッカ;タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ナノクレイ、又はナノシリカなどの補強材及びナノ補強材;又は色素などの1又は複数の添加剤を含み得る。核生成添加剤は、核生成速度(cmあたりのセルの数)を助ける、及び/又は改善し、結果として、セルサイズを低減し得、一方、上で言及された添加剤の残りは、上記の添加剤を含む本発明による膨張ポリマービーズを用いて取得される、又は取得可能であるナノセルポリマー材料の特性を改善することを可能にする。特に、難燃添加剤の存在は、耐火性挙動を改善し、赤外線ブロッカは、熱伝導率の低減を助け、補強材又はナノ補強材は、これらのナノセルポリマー材料の機械的特性を強化することを可能にする。
【0026】
本発明による低密度ナノセル膨張ポリマービーズは、断熱材として優れた性能を有する。それらの熱伝導率は、同一の原材料を用いて製造された、同一の相対密度を有する、マイクロメートルレンジのサイズ(すなわち、1μmより上)のセルを有する膨張ビーズより小さい。特に、本特許出願において記載される膨張ポリマービーズは、38mW/mKより小さい、好ましくは、32mW/mKより小さい、より好ましくは、27mW/mKより小さい熱伝導率を有し得る。
【0027】
本発明のナノセル膨張ポリマービーズの別の重要な利点は、同一の原材料を用いて製造された、マイクロメートルレンジのサイズ(すなわち、1μmより上)のセルを有する膨張ポリマービーズが有するであろうガラス転移温度より高いガラス転移温度を有するということである。従って、本発明によるナノセル膨張ビーズは、より高い温度において、それらの機械的特性を維持し得る。特に、本発明の方法に従って製造されるPMMAナノセルビーズの(示差走査熱量測定(DSC)によって測定される)ガラス転移温度は、初期のPMMAマイクロペレットより、又は、同一のPMMAを用いて取得された、1ミクロンより大きいセルサイズを有する膨張ビーズより、最大で5℃高いことがあり得る。
【0028】
加えて、本発明によるナノセルビーズは、優れた機械的特性(特に、剛性、強度、及び靱性)を、それから取得される、又は取得可能であるナノセルポリマー材料に提供する。これらの機械的特性は、同一の原材料を用いて製造された、同一の相対密度を有する、マイクロメートルレンジのサイズ(すなわち、1μmより上)のセルを含むそれらのセル材料の機械的特性より優れている。特には、本発明による膨張ポリマービーズを含むナノセル構造は、同一のポリマー材料及び相対密度の、1μmより大きいサイズを有するセルを有する膨張ビーズによって形成された他のセル材料より最大で15%高い剛性及び強度、並びに最大で30%高い靱性を有する。
【0029】
本発明はまた、ここで記載された方法によって取得される、又は取得可能である膨張ポリマービーズに関する。これらの膨張ポリマービーズの製造のための方法の具体的条件は、特性、特に、上に記載された絶縁及び機械的特性の改善をもたらす具体的な構造的特徴を上記ビーズに与える。より具体的には、本発明の方法によって取得される、又は取得可能であるナノセルビーズは、1μmより小さい、好ましくは、500nmより小さい、より好ましくは、300nmより小さい平均セルサイズ、0.25より小さい、好ましくは、0.20より小さい相対密度を有し、ここで、相対密度は、ここで記載される製造の方法において前駆体として使用される中実ポリマービーズの密度に対する膨張ポリマービーズの密度の比である。加えて、これらのナノセルビーズは、15μmより小さい、好ましくは10μmより小さい、より好ましくは5μmより小さい、更により好ましくは3μmより小さい厚みを有する中実スキン又は外側スキンを有し得る。本発明の方法によって取得される、又は取得可能である膨張ポリマービーズの中実スキンの相対密度、孔サイズ、及び厚みは、ここで記載されるように測定され得る。
【0030】
本発明はまた、起泡剤、好ましくは不活性ガスを使用するビーズ発泡技術によって、ナノセルポリマー材料を製造するための改善された方法に関する。上で言及されたように、ここで記載された方法は、低密度ナノセルビーズ(0.25より小さい相対密度)、より好ましくは、超低密度ナノセルビーズ(0.20より小さい相対密度)を取得することを可能にする。
【0031】
本発明によって提供される発泡技法の改善は、ナノセル発泡体が産業化に近づくことを示す。まぜなら、生産時間が大幅に低減され、それにより、より小さいセルサイズ(1μmより小さい)及びより高い程度の膨張、すなわち、より低い密度に起因する膨張ポリマービーズの特性の大幅な改善が達成され得るからである。両方の特徴は、移行時間、すなわち、オートクレーブの減圧から、第2液体媒体におけるポリマービーズの発泡又は膨張までに経過する時間を大幅に低減することによって達成される。加えて、ここで記載されるナノセル膨張ポリマービーズの製造のための方法は、ポリマー材料及び発泡条件の幅広い汎用性を可能にし、これは、その産業化に対する更なる利点を示す。
【0032】
このようにして、本発明の更なる態様は、起泡剤、好ましくはガスの溶解発泡による、膨張ポリマービーズ、具体的にはここで記載されるものの製造のための方法に関し、方法が以下を含むことを特徴とする:
i)オートクレーブにおいて中実ポリマービーズ又はマイクロペレットの溶液を取得し、溶液は、
a. 0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~2mm、より好ましくは0.6mm~1.5mmのサイズである中実ポリマービーズ;及び
b. 第1液体媒体
を含む;
ii)-50℃~300℃、好ましくは、-25℃~150℃、より好ましくは0℃~100℃の飽和温度(Ts)まで中実ポリマービーズの溶液の温度を調節し、好ましくは50rpm~1000rpmで溶液を撹拌し続ける;
iii)2MPa~150MPa、好ましくは4MPa~50MPa、より好ましくは6MPa~35MPaの圧力に達するまで、起泡剤、好ましくはガスを添加し、段階ii)において定義される飽和温度(Ts)で、中実ポリマービーズの溶液を撹拌し続ける;
iv)起泡剤で飽和されたポリマービーズを取得するために、段階iii)で示された圧力、温度、及び撹拌の条件を維持する;
v)10MPa/s~1000MPa/s、好ましくは20MPa/s~300MPa/s、より好ましくは50MPa/s~200MPa/sの速度でオートクレーブを減圧し、同時に、起泡剤で飽和されたポリマービーズの溶液を、好ましくは少なくとも1つの減圧バルブによって、0℃~300℃、好ましくは25℃~200℃、より好ましくは50℃~150℃の膨張温度でオートクレーブから第2液体媒体へ抽出し;
vi)膨張ポリマービーズを取得するために段階v)において定義された膨張温度で第2液体媒体においてポリマービーズの溶液を起泡剤で飽和し続ける。
【0033】
本発明の文脈において、「オートクレーブ」は、ここで記載される膨張ポリマービーズの製造のために方法によって必要とされる圧力及び温度の条件下で動作するために好適である容器を意味すると理解されるべきである。具体的には、この容器は、-50℃~350℃の内部温度、及び、2MPa~150MPaの圧力に耐えることが可能である。
【0034】
特に、膨張ポリマービーズの製造のための方法は、撹拌システムを有するオートクレーブにおいて生じ、特に、この撹拌システムは、50rpm~1000rpmの速度でビーズの溶液を撹拌することを可能にする。同様に、本発明の方法が実行され得るオートクレーブは、10MPa/s~1000MPa/s、好ましくは20MPa/s~300MPa/s、より好ましくは、50MPa/s~200MPa/sの速度で減圧を実行するために好適な減圧システムを含む。減圧は、オートクレーブの下部、及び/又は、別の位置に位置し得る少なくとも1つの減圧バルブによって生じ得る。加えて、このオートクレーブは、オートクレーブから、不活性ガスで飽和されたポリマービーズの溶液を抽出すること、及び、膨張のための段階vi)が生じる恒温槽にそれを導入することを可能にする抽出手段を有する必要がある。本発明の特定の実施形態において、膨張ポリマービーズの生産のための方法が、図1aおよび図1bにおいて示されるものなどのシステムにおいて生じ得る。
【0035】
本発明による膨張ポリマービーズの製造のための方法は、ビーズ発泡技法による起泡剤、特にガスの溶解発泡を、2ステップ発泡と組み合わせ、方法の本質的特徴の1つは、オートクレーブから、ビーズの後の膨張が生じる膨張温度における第2液体媒体への飽和ビーズの抽出が、方法の段階v)におけるオートクレーブの減圧と同時に生じることである。本発明の特定の実施形態において、減圧及びオートクレーブからのビーズの抽出の段階v)から膨張の段階vi)までに経過する期間(ここでは「移行時間」とも呼ばれる)は、最大45秒、好ましくは最大30秒、より好ましくは最大15第2である。本発明の更により好ましい実施形態において、移行時間は、10秒より小さく、5秒より小さく、更により好ましくは1秒より小さい。このようにして、ここで記載される0.25より小さい、好ましくは0.20より小さい相対密度を有するナノセルビーズは、特に、非汚染不活性ガスが起泡剤として使用されるときに、環境に優しいプロセスによって、非常に短いサイクル時間で取得され得る。
【0036】
本発明の方法において、移行時間が可能な限り短い、理想的には0であることが好ましい。なぜなら、取得されるナノセル膨張ポリマービーズの外側スキンの厚みは、それにより最小化され得るからである。好適な移行時間は、例えば、オートクレーブの減圧時に、飽和ポリマービーズの溶液が、ここで減圧タンクとも呼ばれる恒温タンクに含まれる第2液体媒体に直接通過するように、ポリマービーズの飽和が生じるオートクレーブの排出口が、第2液体媒体が定められた膨張温度(Te)であることが分かる恒温タンクに直接接続されているシステムにおける発明の方法を実行することによって達成され得る。
【0037】
最大移行時間は例えば、減圧が生じるときのガスの拡散性に基づいて変動し得る。より具体的には、この移行期間は、拡散性が減少するにつれて、長くなり得る。同様に、所与の条件についての最大移行時間は、ポリマービーズの飽和が生じるオートクレーブの排出口が、接続手段、例えば管によって、第2液体媒体が定められた膨張温度(Te)であることが分かり同一の温度に加熱されている恒温タンクに接続されているシステムにおける発明の方法を実行することによって増加され得る。このようにして、飽和ポリマービーズの加熱時間が低減され得る。この最大移行期間は、発明の異なる特定の実施形態について、容易に定められ得る。
【0038】
ここで記載される膨張ポリマービーズの製造のための方法は、オートクレーブのサイズの形状的限定無しで大量のナノセルポリマーを製造することを可能にする異なるポリマー材料及び起泡剤の使用における幅広い汎用性を可能にする。
【0039】
本発明の方法の更なる利点は、膨張ビーズの外側に通常形成される中実スキンの厚みを大幅に低減することを可能にすることである。具体的には、ここで記載される製造の方法によって取得される膨張ポリマービーズは、15μmより小さい、好ましくは10μmより小さい、より好ましくは5μmより小さい、更により好ましくは3μmより小さい厚みを有する中実スキンを有し得る。このことは、例えば、150μmより大きい、より大きい厚みの中実スキンを有する材料が取得されるバッチプロセスなどの、他の代替的な製造の方法に対して、重要な利点を示す。これは主に、バッチプロセスでは、減圧から、加熱槽におけるサンプルの導入までに、非常に長い時間(最大数分に達する)が経過するという事実に起因する。厚い中実スキンを有することの主な問題は、2つの理由、すなわち、スキン自体が高密度であり密度の増加に寄与すること、また、中実スキンが材料の膨張を妨げ、より高密度の部分を生成することにより、膨張ビーズの密度が増加することである。
【0040】
本発明の膨張ポリマービーズの製造のための方法において、高い減圧速度に起因して、飽和ポリマービーズは、減圧開始後1秒未満でオートクレーブから出ることがあり得、所与の膨張温度(Te)で第2液体媒体に直接移送されるので、急速に加熱され得る。本発明の特定の実施形態において、オートクレーブからの抽出から、定められた膨張温度(Te)において第2液体媒体に導入されるまで経過する時間は、最大45秒、好ましくは最大30秒、15秒、10秒、5秒であり、移行時間は好ましくは、最大1秒である。したがって、ガスが材料から脱出して中実スキンを生じさせる必要がある時間は、より小さい厚みの中実スキンを伴う本発明の方法より遥かに短い。
【0041】
本発明の方法において、オートクレーブから抽出される飽和ビーズの溶液は、所与の膨張温度(Te)で、オートクレーブから第2液体媒体に直接移送される。本特許出願の文脈において、この直接的な移送は、所望の時間内に飽和ビーズの溶液をオートクレーブから第2液体媒体に移送することを可能にするのに好適な接続手段(例えば、管)によって生じ得ることが理解されるべきである。特定の実施形態において、これらの接続手段は、定められた膨張温度(Te)で加熱され得る。
【0042】
オートクレーブにおけるポリマービーズの飽和の条件、及び、膨張の段階vi)における第2液体媒体の温度を制御することによって、本発明による方法は、取得された膨張ビーズのセル構造のサイズ及び均一性を制御することが可能である。発明の製造方法により達成される、ナノメートルセルサイズ(すなわち、1μmより小さい)、及び、密度の低減(特に、0.25より小さい相対密度)の結果、取得される膨張ポリマービーズの断熱材として特性が大幅に改善される。
【0043】
本発明の方法において使用されるポリマービーズ又はマイクロペレットは、任意の形状を有し得、特に、球形であり得るか、又は、円筒形基部を有するプリズム形状を有し得る。しかしながら、発明の膨張ポリマービーズの生産の方法において使用されるポリマービーズは、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~2mm、より好ましくは0.6mm~1.5mmのサイズを有し、ここで、このサイズは、ビーズが球形であるときの直径、又は、任意の他の形状である場合、より大きい寸法を有する辺に対応する。
【0044】
ビーズのこのサイズは、サイクル時間を低減することを可能にし、また、発泡又は膨張の段階vi)における飽和ビーズの十分に急速な加熱を可能にする。より具体的には、ポリマービーズにおいて起泡剤を溶解するための時間は、粒子の中央への距離の二乗だけ低減される。非球形のビーズにおいて、粒子の中央への最小距離は、上で示された推定を実行するために使用されるべきである。したがって、より小さい寸法を有する粒子は、より急速なサイクル及びより高い生産性を確実にする。例えば、直径1mmの球形ビーズでは、本発明の方法のサイクル時間は約1時間であり、一方で、直径2mmのビーズについては、サイクル時間は4時間である。
【0045】
さらに、減圧の段階v)、及び、第2液体媒体における膨張の段階vi)の両方において、ビーズのサイズが小さいほど、温度がより急速に変化し、減圧中に冷却し、後続の段階において膨張のために加熱する。これにより、飽和ビーズの内部により多量の起泡剤を保持することを可能にし、このようにして、前駆体ポリマービーズのサイズが減少するにつれて、より低い密度のナノセル膨張ビーズを取得する。定められたサイズより大きいサイズを有する初期ビーズでは、0.25より小さい相対密度、特に、0.20より小さい相対密度を有するナノセル膨張ビーズを取得することは不可能であろう。
【0046】
ポリマービーズは、任意の種類のポリマーによって、特に、任意の種類の非晶質ポリマー、半結晶性ポリマー、又は、2種類のいずれかのポリマーの混合物によって形成され得る。このポリマー材料は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)コポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(PET(COP))、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性澱粉(TPS)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)から成る群、及び上の組み合わせから選択され得る。好ましくは、ポリマービーズに含まれるポリマー材料は、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)ブロックコポリマー、又は、その両方の混合物である。
【0047】
本発明による膨張ポリマービーズを製造するための方法の特定の実施形態において、中実ビーズ又はマイクロペレットは、ポリマー基部として、商用グレードのポリメチルメタアクリレート(PMMA)を有し得る。使用されるPMMAは、1.15g/cm~1.25g/cmのレンジであり得る密度、及び、1000g/mol~2000000g/molのレンジであり得る分子量を有し得る。好ましくは、膨張ポリマービーズの前駆体ポリマービーズは、1.19g/cmの密度、並びに、750000及び95000g/molの間の分子量を有するPMMAを含む。
【0048】
任意選択的に、ポリマービーズ又はマイクロペレット、例えば、ナノクレイ、ナノシリカ、又はグラフェンなどの核生成剤;金属水酸化物、ハロゲン化合物、イントメッセント化合物、又は非ハロゲン化合物などの難燃剤;カーボンブラック、グラファイト、グラフェン、又はアルミニウム粒子などの赤外線ブロッカ;タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ナノクレイ、又はナノシリカなどの補強材及びナノ補強材;又は色素などの1又は複数の添加剤を含み得る。核生成添加剤は、核生成速度(cmあたりのセルの数)を助ける、及び/又は改善し、結果として、ここで記載される製造の方法によって取得される膨張ポリマービーズのセルサイズを低減し得る。さらに、上記添加剤の残りは、上記添加剤を含む本発明による膨張ポリマービーズを用いて取得される、又は取得可能であるナノセルポリマー材料の特性を改善することを可能にする。特に、難燃添加剤の存在は、耐火性挙動を改善し、赤外線ブロッカは、熱伝導率の低減を助け、補強材又はナノ補強材は、これらのナノセルポリマー材料の機械的特性を強化することを可能にする。
【0049】
PMMAビーズ又はマイクロペレットが使用される発明のそれらの特定の実施形態において、それらは、2つのスクリュー押出機を使用して取得され得、ここで、ポリマーは、スクリューの移動の結果として高温で様々な領域を通過しダイに向かって押されるときに融解する。ポリマーが押出機を出る温度は、150℃から最大250℃、好ましくは200℃までのレンジであり得る。押出機から出ると、PMMAはフィラメント形態を獲得する。これは、冷却してポリマーを再固化するために水のタンクに導入され得る。その後、固化されたPMMAフィラメントは、ペレタイザに導入され得、ここで、歯車によって、所与のサイズ、特に、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~2mm、より好ましくは0.6mm~1.5mmを有するビーズ又はマイクロペレットに変換され、サイズは、ビーズが球形であるときは直径に対応し、又は、任意の他の形状を有する場合、より大きい寸法を有する辺に対応する。
【0050】
段階i)のポリマービーズの溶液に含まれる第1液体媒体は、任意選択的に、界面活性剤、固化防止剤、帯電防止剤、又は、上の組み合わせから選択される添加剤物質の助けにより、ポリマービーズの正確な分散を可能にする任意の液体媒体であり得る。この液体媒体は水又は油、好ましくは水であり得る。
【0051】
その低粘度及び洗浄の容易性に起因して、水を第1液体媒体として、すなわち、ポリマービーズの飽和のための液体媒体として使用することが好ましい。この液体媒体は特に、ビーズが本質的に疎水性のポリマーによって形成されるときに有利である。特に、上記ビーズ又はマイクロペレットが、PET、PLA、又はTPSなどの疎水性ポリマーから形成されるとき、及び/又は、段階i)~iv)において定められた飽和温度(Ts)が100℃に等しいか、又は、より大きいとき、油の使用は、ポリマービーズ又はマイクロペレットを分散するための、水の有効な代替とみなされ得る。
【0052】
加えて、段階i)のポリマービーズの溶液は好ましくは、界面活性剤、固化防止剤、帯電防止剤から成る群、及び上の組み合わせから選択される添加剤物質を含む。この添加剤物質は、好ましくは50rpm~1000rpmの速度での溶液の連続的な撹拌と共に、ポリマービーズが飽和プロセス中にオートクレーブの内部に凝集又は固着することを防止することを可能にし、加えて、起泡剤によるビーズの飽和を促進する。
【0053】
ビーズは、磁気的又は機械的であり得る内部攪拌器によって、オートクレーブにおいて撹拌され得、それにより、ビーズはオートクレーブを流れ、液体媒体の表面又はオートクレーブの底に凝集することを防止する。撹拌速度は、攪拌器及びオートクレーブの形状、並びに、オートクレーブがポリマービーズの溶液でどれだけ満たされているかに依存する。具体的には、撹拌の速度は、50rpmから最大1000rpm、好ましくは400rpmのレンジであり得る。
【0054】
本発明の特定の実施形態において、添加剤物質は、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、N-ポリビニルピロリドンなどの高分子量の水溶性物質;リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなどの水に難溶である無機物質;ラウリル硫酸ナトリウム又はアルキルスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤;及び上の組み合わせから選択され得る。好ましくは、添加剤物質は、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸カルシウムから成る群、及び上の組み合わせから選択される。
【0055】
段階i)の中実ポリマービーズの溶液におけるポリマービーズ又はマイクロペレットの重量パーセントは、好ましくは5%~50%、より好ましくは10%~45%、更により好ましくは15%~40%であり、ビーズ及び第1液体媒体、好ましくは水の全重量に対するビーズの重量として表される量である。また、サイクルあたり、より多量の膨張ポリマービーズを生成し、これによって、製造方法の収量を増加させるべく、段階i)のポリマービーズの溶液における前駆体中実ビーズの量を最大化することは有益である。しかしながら、オートクレーブにおける量が大きすぎると、第1液体媒体における粒子の分散が妨げられ得、それにより、ビーズは互いに接触し、ビーズの凝集を発生させ得、飽和ビーズが、その抽出手段、例えば、排出バルブを通って好適な速度でオートクレーブから出ることが可能であることを妨げ得、又は、更には阻害し得る。上で示される濃度レンジは、2つの上記の要素、すなわち、方法の生産性及びプロセスの品質の間の最適な妥協を示すので、有利である。なぜなら、それらは、第1液体媒体、特に水又は油、好ましくは水におけるビーズの凝集を防止することを可能にするからである。
【0056】
本発明の特定の実施形態において、添加剤物質の重量パーセントは好ましくは0.1%~3%、より好ましくは0.5%~2.5%、更により好ましくは0.8%~1.5%であり、ここで記載されるナノセル膨張ポリマービーズを製造するための方法の段階i)の中実ポリマービーズの溶液の全重量に対する添加剤物質の重量によって表される量である。中実ビーズの溶液における添加剤物質のこの濃度では、一方で、コストを低減し第1液体媒体を可能な限り少なく汚染するために、可能な最小量を添加すること、及び、他方で、ポリマービーズの好適な分散を取得するのに十分な量の添加剤物質を添加することの間で最適のバランスが達成される、それにより、所望の品質を有するナノセル膨張ポリマービーズを取得する目的のために溶液におけるそれらの凝集を低減又は好ましくは防止することを可能にする。
【0057】
過充填の発生を防止するべく、ビーズの溶液は、オートクレーブの容量の50%~99%、好ましくは最大85%を占め得る。
【0058】
オートクレーブ内部のポリマービーズ又はマイクロペレットの溶液が取得されると、この溶液の温度が、-50℃~300℃、好ましくは-25℃~150℃、より好ましくは0℃~100℃の飽和温度(Ts)に調節され、溶液は撹拌され続ける。しかしながら、本発明のいくつかの好ましい実施形態において、段階ii)~iv)における飽和温度(Ts)が、-25℃~250℃、特に、-25℃~200℃で定められ得る。
【0059】
本発明の方法の段階ii)~iv)の飽和温度(Ts)は、ビーズのポリマー(又は複数のポリマー)の性質及び特徴的な熱遷移に基づいて定められ得る。このパラメータを選択するときの重要な側面は、飽和の条件においてガスが有する可塑化効果である。特に、圧力が解放されるとき、すなわち、減圧の段階v)におけるポリマー材料の状態が、減圧のためのこの段階中に飽和ビーズの膨張を防止することを可能にし、これによって、その後の発泡段階中に完全な膨張を達成するように、飽和温度は選択され得る。当業者は、発明の方法の段階ii)~iv)を実行することに好適な最大飽和温度(Ts)が容易に定められ得るように、文献において広く利用可能なデータを参照して、所与の条件における起泡剤として使用されるガスの可塑化効果を知り得る。本発明の特定の実施形態において、飽和温度(Ts)は、前駆体中実ビーズを形成するポリマー材料のガラス転移温度(Tg)、又は、融解温度(Tm)より小さい。
【0060】
表1(下を参照)は、前駆体ポリマービーズに含まれるポリマー材料に基づく、発明の方法のポリマービーズの飽和(段階iiからiv)が生じ得る所与の飽和温度(Ts)のレンジを含む。具体的には、表1において言及されるポリマーは、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)コポリマー、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートコポリマー(PET(COP))、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性澱粉(TPS)、及びポリヒドロキシ酪酸(PHB)である。
【表1】
表1:異なるポリマーについての飽和温度(Ts)
オートクレーブの温度は、好ましくはオートクレーブの内部に配置される熱電対、及び温度コントローラによって厳密に制御され得る。ビーズ飽和プロセスの温度は、部分的に、起泡剤がポリマーにおいて拡散する速度、及び、その溶解性を決定する。
【0061】
方法の段階ii)において定められた値に従って飽和温度(Ts)が調節されると、2MPa~150MPa、好ましくは4MPa~50MPa、より好ましくは6MPa~35MPaの圧力に達するまで、起泡剤が添加され、ポリマービーズの溶液は、段階ii)に関連して記載される撹拌及び温度の条件の下で維持される。
【0062】
使用される起泡剤は、前駆体マイクロペレットのポリマー材料との親和性に基づいて、溶解性及び拡散性の間の最適のバランスが達成されるように選択され得る。特に、起泡剤は、例えばアセトン又はアルコールなどの揮発性有機化合物であり得る。加えて、本発明の方法において使用される起泡剤は、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、又はアルゴンなどの不活性ガスであり得るか、又は、例えば、イソブタン、シクロペンタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサンなどの炭化水素;又は、水素、ハイドロフルオロオレフィン若しくはハイドロフルオロカーボンなどの他のガスなど、別の種類のガスであり得る。
【0063】
本発明の膨張ポリマービーズを製造するための方法において、起泡剤としての不活性ガスの使用が好ましい。特に、この不活性ガスは、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、又はアルゴンであり得る。中実ビーズがポリメチルメタアクリレート、ポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)ブロックコポリマー、又は、両方の混合物によって形成されるそれらの実施形態において、好ましくはここで記載される方法における上記ビーズを飽和するために使用される不活性ガスはCOである。
【0064】
このようにして、ポリマービーズがオートクレーブ内部で撹拌された状態で、定められたレンジ内の所望の飽和圧力を達成するまで起泡剤が導入される。この圧力の増加は好ましくは、ポンプ又は圧力調整器によって制御され得る。プロセス全体を通して、温度は、飽和の最適な条件を取得するために定められたレンジ内に維持される。発明のいくつかの特定の実施形態において、飽和の段階iii)は、室温、特に、20℃~30℃で生じ得、これにより、ビーズにおける起泡剤の溶解性及び拡散性の間の妥協を取得することが可能であり、一方、それと同時に、調節に伴う時間及び電力消費を節約し、ここで記載される膨張ポリマービーズの製造が生じる場所の周辺温度から非常に異なる温度でオートクレーブの温度を安定化する。
【0065】
飽和プロセス、すなわち、本発明によるナノセル膨張ポリマービーズを製造するための方法の段階ii~iv)の全体を通して、ビーズは定常的な撹拌を受ける。撹拌速度は、攪拌器の形状に依存し得、好ましくは、50rpm~1000rpm、より好ましくは400rpmである。
【0066】
同様に、このポリマービーズ飽和プロセスは、2MPa~150MPa、好ましくは4MPa~50MPa、より好ましくは6MPa~35MPa(これらのレンジの各々の上限及び下限を含む)に含まれる定められた圧力において生じる。飽和の段階iv)が生じる圧力値は、数ある中でも特に、ポリマー材料、標的相対密度、又は、飽和のこの段階が生じる温度を含む複数の要素に依存し得る。
【0067】
ポリマービーズの飽和の段階iv)は、飽和プロセスが完了したことを確実にするように、十分に長い期間にわたって生じ得る。サイクルがより長いので、これらの実施形態は、あまり有利でないが、使用されるポリマー及び起泡剤に基づいて変動し得る最小飽和時間を決定する必要なく、完全な飽和を取得することを可能にする。最小飽和時間は、ビーズの飽和が生じる条件下で、システムの拡散性から、又は、動作温度及び圧力において低減された数の予備実験を実行することによって、容易に取得され得る。なぜなら、上記最小飽和期間に達すると、中実スキンの領域の外側の膨張ビーズのセル構造は均一であるからである。ここで記載された方法において、最小飽和時間に達するまで飽和の条件が保持されることが有利である。なぜなら、飽和が完了しない場合、より大きなサイズ及び不均一なセル構造を有するセルが取得され得、一方で、過剰に長い飽和時間は、方法の費用対効果に負の影響を及ぼし得るからである。
【0068】
飽和の段階iv)が経過すると、オートクレーブの減圧が、10MPa/s~1000MPa/s、好ましくは20MPa/s~300MPa/s、より好ましくは50MPa/s~200MPa/sの速度で生じ、特に好ましくは、減圧は、75MPa/sの速度で生じ、同時に、起泡剤、好ましくは不活性ガスで飽和されたポリマービーズの溶液が、オートクレーブから抽出される。減圧及びオートクレーブの排出のこのプロセスは、飽和プロセスが生じたオートクレーブに存在する少なくとも1つの減圧バルブを開放するによって実行され得る。このバルブはオートクレーブの下部に位置し得るが、他の位置にもあり得る。減圧し、飽和ビーズの溶液を抽出するプロセスが開始するときのオートクレーブの内部の圧力が高すぎるため、減圧バルブがどこに位置するかに関わらず、この溶液は、オートクレーブから急速に抽出され得る。
【0069】
減圧速度が高いほどセルサイズが小さくなり、より小さい密度が取得され、その結果、膨張ポリマービーズのより良い絶縁及び機械的特性がもたらされる。しかしながら、本発明の方法は、10MPa/sからの、特に、50MPa/s~200MPa/sの減圧速度で、特に、75MPa/sの速度で、低密度ナノセルビーズ(すなわち、0.25より小さい相対密度)を取得することを可能にし、これは、ここで記載された膨張ポリマービーズの製造のための方法の産業化に有利であり得る。なぜなら、これらの減圧速度値は、産業的規模でより容易に取得されるからである。
【0070】
直接的な方式において、好ましくは45秒、より好ましくは最大30秒、15秒、10秒、又は5秒の最大期間において、この移行時間は好ましくは最大1秒であり、ここで記載された方法の段階v)においてオートクレーブから抽出された、起泡剤、好ましくは不活性ガスで飽和されたポリマービーズの溶液は、0~300℃、好ましくは25℃~200℃、より好ましくは50℃~150℃の膨張温度(Te)で第2液体媒体に導入される。第2液体媒体は例えば、水又はシリコーンオイルであり得る。本発明の特定の実施形態において、第2液体媒体は水であり、0より高く100℃より低い温度である。膨張温度(Te)が100℃に等しい又はそれより高い、他の特定の実施形態において、その熱耐性に起因して、シリコーンオイルを第2液体媒体として使用することが好ましい。
【0071】
好ましくは、段階vi)の膨張温度(Te)は、段階ii)~iv)の飽和温度(Ts)に等しい、又は、より高い。
【0072】
ここで記載された膨張ポリマービーズの製造のための方法の段階v)及びvi)、並びに、上記段階の間により短い期間が経過することは、低密度ナノセルビーズを取得するために重要である。以前に記載した発泡方法と異なり、本発明の方法は、ビーズの発泡が、非常に急速に2ステップで実行されることを可能にする。このようにして、非常に短い時間間隔で飽和ビーズを加熱することによって、ポリマーに溶解される起泡剤のガスの損失が防止され、ナノセルビーズのより大きい膨張を可能にし、以前に記載された2ステッププロセスにおいて取得されたナノセル発泡体に現れる数ミクロンの中実スキンの形成を更に防止する。
【0073】
飽和ビーズの溶液の減圧及び抽出の段階v)において、特に、大きい体積を扱うとき、オートクレーブ内部の圧力の変動に起因して、オートクレーブが排出されているときに減圧速度の変動が生じ得る。結果としてこの段階v)の開始時にオートクレーブから抽出された飽和ビーズは、より高い速度で抽出され、結果として、オートクレーブの内部圧力が低く、したがって、減圧速度も低いとき、減圧のためのこの段階の終了時にオートクレーブから抽出された飽和ビーズから取得されるものより小さいセルサイズ及び密度を有する膨張ポリマービーズがもたらされる。減圧速度におけるこの差は、1つの同一バッチのナノセルビーズの寸法及び密度における特定の不均一性を引き起こし得る。
【0074】
本発明の特定の実施形態において、ここで記載される方法は、減圧速度を、平均減圧速度に対して±10%の変動に、又はより好ましくは、減圧プロセス(段階v)全体を通して一定に維持する目的で、段階v)におけるオートクレーブの減圧と同時に、好ましくはオートクレーブの上部に不活性ガスを注入する段階を含む。それにより、1つの同一バッチの膨張ポリマービーズのセルサイズ及び密度におけるより高い均一性が達成され、これは、ナノセルビーズの大きいバッチの製造、すなわち、産業的規模の生産において、特に有利である。
【0075】
減圧と同時にオートクレーブに注入され得る不活性ガスは、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン又はヘリウムである。しかしながら、あまり高価でないが同様に有効なガスである窒素又は二酸化炭素を使用することが好ましい。
【0076】
飽和ビーズが、定められた膨張温度(Te)で第2液体媒体に導入されると、それらは、所与の膨張時間にわたってこれらの条件に維持される。本発明の特定の実施形態において、膨張時間は、1秒~120秒、より好ましくは、5秒~60秒のレンジであり得る。
【0077】
ビーズ膨張プロセスの全体を通じて、ビーズが膨張するにつれて密度が減少し、セル構造の変性機構に起因して密度が再び徐々に増加する最小値に達する。この目的で、膨張時間は、可能な最小の密度を有する膨張ビーズを達成するために最適な時間であることが好ましい。ポリマー材料、マイクロペレットの初期サイズ、及び膨張温度に依存し得る最適な膨張時間は、低減された数の試験を実行することによって、容易に取得され得る。特に、このパラメータは、動作条件下で予備試験を実行すること、及び、膨張ビーズが所与の膨張温度の第2液体媒体に留まる時間にかけて密度がどのように変化するかを評価することによって取得され得る。
【0078】
上記に関連して、本発明の膨張ビーズの製造のための方法は好ましくは、膨張ビーズの安定化の段階vii)を更に含み、ここで、段階vi)の膨張ビーズは、第2液体媒体において冷却され、又は、好ましくは、ここで記載される所与の最適な膨張時間が経過すると、例えば、水などの第3液体媒体に抽出される。その目的で、発明の方法が実行され得る恒温槽は、第2液体媒体において膨張ビーズを冷却し、及び/又は、それらを第3液体媒体に抽出して膨張ビーズを安定化するための手段を含み得る。膨張ビーズが冷却される安定化温度は、-10℃~30℃、より好ましくは0℃~25℃のレンジであり得る。
【0079】
ビーズのポリマーがポリメチルメタアクリレート(PMMA)である本発明のそれらの特定の実施形態において、段階iii)は、6MPaから35MPa、好ましくは31MPaの圧力に達するまで、COを添加することを含み得、段階iv)において、ここで記載される圧力、温度、及び撹拌の条件は維持される。好ましくは、飽和の定められた条件は、直径1mmのビーズでは、1時間の最小飽和期間にわたって維持される。
【0080】
加えて、ビーズのポリマーがPMMAである本発明の特定の実施形態において、段階ii)~iv)の飽和温度(Ts)は、-50℃~150℃、好ましくは、-25℃~100℃、より好ましくは、0~50℃、更により好ましくは、20℃~40℃であり得、一方、段階vi)の発泡又は膨張温度(Te)は、50℃~130℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~105℃であり得、飽和温度(Ts)が膨張温度(Te)に等しいか、又は、より小さいことを条件とする。
【0081】
ビーズのポリマーがポリメチルメタアクリレート(PMMA)及びポリメチルメタクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタクリレート(MAM)コポリマーの混合物である本発明のそれらの特定の実施形態において、混合物におけるMAMの量は、0.01重量%~90重量%、より好ましくは0.05%~50%、更により好ましくは、0.1%~10%のレンジであり得る。これらの特定の実施形態において、段階iii)は、6MPa~35MPa、好ましくは15MPaの圧力に達するまでCOを添加することを含み得、段階iv)において、ここで記載された圧力、温度、及び撹拌の条件が維持される。好ましくは、飽和の定められた条件は、直径1mmのビーズでは、1時間の最小飽和期間にわたって維持される。
【0082】
加えて、ビーズのポリマーがPMMA及びMAMの混合物である本発明の特定の実施形態において、段階ii)~iv)の飽和温度(Ts)は、-50℃~150℃、好ましくは、-25℃~100℃、より好ましくは、0~50℃、更により好ましくは、20℃~40℃であり得、一方、段階vi)の発泡又は膨張温度(Te)は、50℃~130℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~105℃であり得、飽和温度(Ts)が膨張温度(Te)に等しいか、又は、より小さいことを条件とする。
【0083】
本発明によるナノセル膨張ポリマービーズは、熱可塑性であり、従って、複雑な形状を有するマクロスコピックな材料のブロックを生成するために温度及び圧力を適用することによって焼結され得る。これらのナノセルポリマー材料は、膨張ポリマービーズの特性を保持し、したがって、低密度又は超低密度の材料であり、高い断熱性能及び優れた機械的特性を有する。上で言及されたように、これらのナノセルポリマー材料は、0.25より小さい相対密度を有する膨張ビーズから形成され得るので、「低密度」と呼ばれ得るか、又は、ポリマー材料が、0.20より小さい相対密度を有する膨張ビーズから形成されるそれらの実施形態において「超低密度」と呼ばれ得、ここで、膨張ビーズの相対密度は、ここで記載されたように算出され得る。従って、本発明はまた、焼結によって、ナノセルポリマー材料、特に、変動する形状を有するマクロスコピックな構造を製造するための、ここで記載された膨張ポリマービーズの使用に関する。
【0084】
上記材料が研磨されるときに孔又はセルが消失する、マイクロメートルセルを有するセル材料と異なり、本発明の膨張ポリマービーズ物体の重要な特徴は、ナノセルサイズ、すなわち、1μmより小さい、好ましくは500nmより小さい、より好ましくは300nmより小さいサイズのセルの内部構造は、研磨又は微粒子化プロセス全体を通じて保持される。これは、真空断熱パネルのコアを形成するためにさらに使用され得るナノセル構造を有する粉末を生成することを可能にするので、著しい利点を示す。
【0085】
このようにして、本発明の特定の実施形態において、ナノセル膨張ポリマービーズは、例えば、微粒子化、又は、固体の粒子サイズを低減するための別の従来の技法によって研磨され得、膨張ポリマービーズのナノセル構造及び密度を維持する粉末が形成され、従って、真空断熱パネル(又はVIP)においてコアとして使用され得る。発明のナノセルビーズを用いて生成され得るナノセル粉末は、5μm~500μm、好ましくは10μm~250μm、より好ましくは15μm~150μmに含まれる粒子サイズを有し得、ここで、粒子サイズは、動的光散乱法(DLS)によって決定される。
【0086】
本発明のナノセル膨張ポリマービーズ物体はまた、それらを更なる焼結又は研磨プロセスに晒す必要なく、特に断熱材において、充填剤として使用され得る。
【0087】
従って、本発明はまた、ここで記載されるナノセル膨張ポリマービーズから取得される、又は取得可能である断熱材料に関し、具体的には、ナノセル粉末及びナノセルポリマー材料から成る群から選択される断熱材料である。
【0088】
本発明による膨張ポリマービーズを製造するための方法は、図1aおよび1bに示されるように、-50℃~350℃の温度及び2MPa~150MPaの圧力で動作するのに好適なオートクレーブ(1)を備えるシステムにおいて実行され得、ここで、オートクレーブは、撹拌システム(3)、オートクレーブ(1)内部のポリマービーズ(2)の溶液の温度を、定められた値に調節することを可能にするヒータ及び/又はクーラ(8)、ポンプ(7)又は圧力調整器を通じてオートクレーブ(1)の注入口に接続されるガスタンク(6)によって形成され得るオートクレーブ(1)への起泡剤として使用されるガスについての注入口デバイス、及び、好ましくはオートクレーブの下部に位置する減圧バルブ(4)を含む排出口を含み、バルブ(4)は、150MPaの最大圧力に耐えること、及び、10MPa/s~1000MPa/s、好ましくは20MPa/s~300MPa/s、より好ましくは50MPa/s~200MPa/sの減圧速度でオートクレーブを減圧することが可能であることに好適である。減圧バルブ(4)を含むオートクレーブ(1)の排出口は、恒温タンク(5)とも呼ばれる減圧タンクに取り付けられる。第2液体媒体(11)又は膨張ポリマービーズの溶液(11')の温度を、定められた値、特に0℃~300℃に調節するのに好適なヒータ及び/又はクーラ(12)を含み得、それはまた、撹拌システム(13)を含み得る。加えて恒温タンク(5)は、少なくとも1個の排出口、又は、本発明の方法において取得された膨張ポリマービーズの抽出を可能にする抽出システム(14)を含み得る。
【0089】
恒温タンク(5)は、好適な方式で、減圧バルブ(4)を通じてオートクレーブ(1)の排出口に接続され、その結果、移行期間、すなわち、減圧及びオートクレーブ(1)からの飽和ビーズの抽出から、第2液体媒体への上記ビーズの導入までの時間は、可能な最短の時間であり、好ましくは、最大45秒、より好ましくは最大30秒、15秒、10秒、又は5秒であり、移行時間は好ましくは、1秒より短い。具体的には、減圧の段階vi)中に飽和ビーズの溶液がオートクレーブ(1)から、恒温タンク(5)に含まれる第2液体媒体(11)に直接通過し得るように、恒温タンク(5)は、減圧バルブ(4)に直接接続され得る。代替的に、恒温タンク(5)は、定められた温度、特に、第2液体媒体(11)が恒温タンク(5)において見られる膨張温度(Te)における加熱に好適な手段を用いて、例えば、管などの接続手段(15)を通じて減圧バルブ(4)に接続され得る。
【0090】
加えて、膨張ポリマービーズを生産するための方法を実行するために使用されるシステムは好ましくは、オートクレーブ(1)の温度、圧力、及び減圧速度、並びに、恒温タンク(5)の温度の厳密な制御を実行するのに好適な手段を含む。
【0091】
文書全体を通じて、別段の明示的な指示が無い限り、すべての示されたレンジは、示された上限及び下限を含むとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1a】本発明によるナノセル膨張ポリマービーズを生産する方法を実行するために好適なシステムの図である。図1aは、飽和の段階中のシステムを示す。
図1b】本発明によるナノセル膨張ポリマービーズを生産する方法を実行するために好適なシステムの図である。図1bは、ビーズの膨張の段階中のシステムを示す。
【0093】
図2】左から右に、2a)初期PMMA中実ビーズの画像であり、2b)オートクレーブの減圧の15秒後に発泡した膨張ポリマービーズの画像であり(例1.1)、2c)減圧の30秒後に発泡した膨張ビーズの画像である(例1.2)。
【0094】
図3】オートクレーブからの抽出の15秒後に発泡した(3a)、及び、オートクレーブからの抽出の30秒後に発泡した(3b)、例1からのPMMA膨張ポリマービーズのセル構造である。
【0095】
図4】減圧の15秒後(4a)及び30秒後(4b)に発泡した後の、例1において取得された膨張ポリマービーズにおいて形成された中実スキン、並びに、従来のプロセスによって発泡したPMMAの対照サンプル(シートタイプ)(4c)の顕微鏡写真である。
【0096】
図5】移行時間(オートクレーブから飽和ビーズを抽出してから発泡までの時間)に基づいて例2において製造された膨張ポリマービーズの相対密度が示されたグラフである。 例
【0097】
比較例:ガスを溶解することによって発泡される対照サンプル(シートタイプ)の製造
このサンプルを調製するべく、4mmの厚さのPMMAのシートが従来のオートクレーブに導入され、ガスを溶解することによる発泡技術によって発泡プロセスが実行された。PMMAのシートは、(上に記載された方法によってガスピクノメータを使用して測定された)1180kg/mの密度、長さ20mm及び厚さ4mmの寸法である正方形の基部を有するプリズム形状を有した。オートクレーブにおけるサンプルは、25℃で20時間の期間にわたって、31MPaの圧力のCOを用いて加圧された。使用された長い時間は、サンプルが厚いという事実に起因し、これにより、材料を飽和させるために必要な時間が大幅に増加する。この時間の後、オートクレーブの上部において圧力が解放された。減圧の最初のわずかな瞬間における排出速度は100MPa/sであった。圧力を解放した後、オートクレーブは開放され、完全に飽和されたPMMAサンプルが、95℃の水を含む恒温槽に移送された。減圧、及び、槽へのシートの導入の間の移行時間は、2分間(すべての圧力を解放し、オートクレーブを開放するために必要な最小限の時間)であった。この例において、発泡時間は1分間であった。この期間の後、膨張シートは抽出され、安定化のために、すぐに室温(20℃)の水から成る第3液体媒体に1分間導入された。
【0098】
この例のサンプルは、以下の特徴、すなわち、0.319g/cmの密度、0.270の相対密度、220nmのセルサイズ、15ミクロンより大きいスキン厚みを有する。
【0099】
この従来のガス溶解発泡方法を使用して、本発明において記載される方法において製造されるものなどのナノセル膨張ポリマービーズを製造することは不可能である。第1に、オートクレーブからサンプルを抽出するのに必要な長い時間(2分間)に起因して、恒温槽へそれらを導入する時間におけるマイクロペレット内部の残留ガスの量は少なすぎて、1ミクロンより小さいセルサイズを生じさせない。第2に、著しい量のマイクロペレットを製造することは不可能である。なぜなら、それらが互いに接触するとき、共に凝集して互いに接着し、別個の発泡ビーズを取得する可能性が無くなるからである。
【0100】
例1:発明の方法によるPMMA膨張ビーズの製造
【0101】
1.1 15秒間の移行時間
PMMA膨張ビーズのバッチの製造の準備のために、415mlの量の水がリアクタ(オートクレーブ)に導入された。以下の添加剤、すなわち、ステアリン酸カルシウム(0.2g)、タルク(0.1g)、及びスルホン酸アルキル(0.15g)も、この水と共に導入された。添加剤を有する液体が導入されると、30gの量の中実PMMAマイクロペレットが添加された。これらのマイクロペレットは、1180kg/mの密度(21~23℃の温度におけるガスピクノメトリーによる)、並びに、2mmの長さ及び1mmの直径を有する円筒形状を有した。混合物は、400rpmでの定常的な撹拌を受けながら、25℃で2時間の期間にわたって、31MPaの圧力のCOで加圧された。その時間の後、オートクレーブの減圧バルブが、45MPa/sの減圧速度で開放され、1秒未満の間にそれから内容物が排出された。減圧、及び、槽へのビーズの導入の間に経過した時間(ここでは「移行時間」とも呼ばれる)が15秒間であるように、飽和ビーズは、95℃の恒温水槽に急速に導入された。
【0102】
この例を実行するために、恒温槽の温度は、95℃に維持され、飽和PMMAビーズは、その中に5秒間維持された。この期間の後、膨張ビーズは抽出され、安定化のために、すぐに室温(20℃)の水から成る第3液体媒体に1分間導入された。
【0103】
0.158g/cmの密度(21~23℃の温度において、上で記載されるアルキメデスの原理によって測定)、前駆体中実ビーズに対する0.134の相対密度、及び、0.6μmの中実スキンの厚み(X線撮影によって測定)を有する膨張PMMAビーズが取得された。
【0104】
1.2 30秒間の移行時間
本発明の方法における移行時間の重要性を決定するべく、上で記載された例1.1が繰り返されるが、減圧、及び、槽へのビーズの導入の間に経過した時間が30秒間であったことを除く。
【0105】
0.360g/cmの密度(21~23℃の間の温度において、上に記載されたアルキメデスの原理によって測定)、0.305の初期中実ビーズに対する相対密度、3.4μmの中実スキンの厚み(X線撮影で測定)を有する膨張PMMAビーズが取得された。
【0106】
1.3.減圧及び発泡の間の時間の効果の評価減圧の15及び30秒後(移行時間)に恒温槽において発泡したPMMAナノセルビーズが比較された。上に記載された例1.1及び1.2を参照されたい。図2の画像は、本発明による方法による発泡の前(2a)及び後(2b及び2c)のビーズの展開を示す。
【0107】
これらの画像において観察され得るように、減圧の15秒後に発泡したビーズ(2b)は、減圧の30秒後に発泡したビーズ(2c)より高い程度の膨張を有する。具体的には、第1の膨張ビーズは、中実ビーズに対して、0.134の相対密度を有し、一方、30秒後に発泡した膨張ビーズは、0.305の相対密度を有する。この大幅な差は、オートクレーブ(1)における飽和プロセスにおいてビーズに溶解されたガス(起泡剤)が、減圧の瞬間から、ポリマーからの脱出を開始するという事実、及び、ビーズの表面-体積比は、より大きなサイズのサンプルにおいて、より大きいという事実に起因して、ガス拡散速度が増加して、発泡における数秒の遅延が、取得されるナノセル膨張ポリマービーズの最終特性に大幅な影響を与えることを可能にするという事実に起因する。このケースでは、例1.1のビーズ及び例1.2のビーズの発泡の間の15秒の差は、ビーズの膨張キャパシティの大幅な低下を意味する。第2のケースにおいて溶解されるガスが少ないからである。
【0108】
以前に説明したように、減圧、及び、サンプルの発泡の間の時間は、ナノセル膨張ポリマービーズのセル構造に影響を及ぼし得る。図3から分かるように、オートクレーブからの抽出の15秒後にビーズを発泡するときに取得される膨張ビーズのセル構造(3a)は、30秒後に発泡したもの(3b)とは大幅に異なる。これは、第2のケースにおいて、ポリマーに十分に溶解されたガスがないため、ビーズの膨張が非常に限定されているからである。抽出の30秒後に取得された膨張ポリマービーズの平均セルサイズは、15秒後に取得された膨張ビーズより小さいという事実にも関わらず、これは、熱特性の改善を示さない。なぜなら、その高密度を考慮すると、熱がポリマーの壁を通って伝達され得るからである。
【0109】
サンプルの抽出、及び、その発泡の間の時間はまた、ナノセルポリマーの周囲の中実スキンの形成に影響を与え得る。図4の4aおよび図4の4bは、ここで記載された方法によって取得された膨張ビーズにおいて形成される中実スキンを示し、ここで、移行時間は15秒(4a)又は30秒(4b)であり、ここでもまた、従来のオートクレーブにおける標準的方法に従ってガス溶解によって発泡する4mmの厚さのPMMAシートにおいて形成される中実スキン(比較例を参照されたい)と比較する。
【0110】
第1のケースにおいて、形成される中実スキンの平均的な厚みは、0.6μmも無く、このことは、膨張ビーズの密度に対して非常に低い影響を有することを意味する。オートクレーブからの抽出の30秒後に発泡した膨張ビーズにおいて、スキンは、3.4μmの厚さの平均値を有し、スキンが無い場合に有するであろう密度に対して、発泡体の密度が1.3%増加した。従来のオートクレーブにおいて発泡した4mmの厚さのPMMAサンプル(比較サンプル)のケースにおいて、本発明による膨張ポリマービーズより小さい表面-体積比を有し、かつ、ポリマーにおけるガスの拡散が小さいにも関わらず、減圧から発泡が生じるまでに経過する2分間の時間長は、15μmより大きい中実スキンの形成をもたらす。これにより、ナノセル発泡体の密度が13%増加する。
【0111】
例2:発明の方法による、PMMA及びMAMの混合物の膨張ビーズの製造
【0112】
この例の膨張ビーズのバッチの製造の準備のために、415mlの量の水がリアクタ(オートクレーブ)に導入された。以下の添加剤、すなわち、ステアリン酸カルシウム(0.2g)、タルク(0.1g)、及びスルホン酸アルキル(0.15g)も、この水と共に導入された。添加剤を有する液体が導入されると、1重量%の含有量であるMAMの内容物を有する、PMMA及びMAMの混合物によって形成される30gの量の中実マイクロペレットが添加された。これらのマイクロペレットは、1180kg/mの密度(21~23℃の温度におけるガスピクノメトリーによる)、並びに、2mmの長さ及び1mmの直径を有する円筒形状を有した。混合物は、400rpmの定常的な撹拌を受けながら、25℃で2時間の期間にわたって15MPaの圧力で加圧された。その時間の後、オートクレーブの減圧バルブは、15MPa/sの減圧速度で開放され、1秒未満の間にそれから内容物を排出した。飽和ビーズは、100℃の恒温水槽に導入され、上記槽で10秒間維持された。この期間の後、膨張ビーズは抽出され、すぐに安定化のために、室温(20℃)の水から成る第3液体媒体に1分間導入された。
【0113】
この例のいくつかの変形は、以下の移行時間、すなわち、15秒、30秒、45秒、60秒、及び90秒を使用して実行された。
【0114】
この例において、4個のサンプルは、1μmより小さいセルサイズのナノセル構造を有する。このケースにおける移行時間は、移行時間が15行から90秒に増加するとき、相対密度を0.141の値から最大0.159の値まで増加させる効果を有する(図5を参照)。例1と同様に、相対密度は、(21~23℃の温度で上に記載されたアルキメデスの原理によって測定される)初期中実ビーズの密度及び膨張ビーズの密度の間の比である。この密度の増加は、中実スキンの厚みの増加に起因する。60秒及び90秒のサンプルにおいて、スキンの厚みは15μmを超えるので、必要なレンジにおける低密度及びセルサイズが取得されるにも関わらず、最適な時間とみなされない。
【0115】
これらの結果は、ナノセルビーズの生産のためのこのプロセスの移植に伴う利点を示す。一方ではサイクル時間が大きく低減し、他方では、飽和ビーズの抽出及び発泡の間に経過する時間は大幅に低減され、より高い程度の膨張、及び、膨張ポリマービーズの外側に形成される中実スキンの厚みの低減が取得される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5
【国際調査報告】