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特表2023-553294医療ロギング装置用の高速データ送信特徴
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】医療ロギング装置用の高速データ送信特徴
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61M5/315
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530970
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2021082607
(87)【国際公開番号】W WO2022112215
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】20209435.5
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホルム, ペル アイナー ポンタス
(72)【発明者】
【氏名】モンク, イェンス オーウ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
(57)【要約】
電子回路を備える薬剤送達装置であって、電子回路が、排出イベント中に排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連する特性値を捕捉するように適合されたセンサ手段と、データログを作成するために複数の特性値を記憶するように適合された記憶手段と、低速における外部装置へのデータログの無線転送のための送信手段と、を備える、薬剤送達装置。送信手段は、スキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信するように適合され、それによって、送信手段は、高速で外部装置へのデータログの無線転送を行うように動作する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(1、100、200、500)であって、
-薬剤貯蔵部(13、113、213)と、
-ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする用量設定手段を含む薬剤排出手段(80、180、285)と、
-排出された薬剤の投与量に関連するデータログを作成するように適合された電子回路(52.5、165、265)と、を備え、前記電子回路が、
-排出イベント中に前記排出手段によって前記貯蔵部から排出される前記薬剤の投与量に関連する特性値を捕捉するように適合されたセンサ手段(53、162、262)と、
-前記データログを作成するために複数の特性値を記憶するように適合された記憶手段と、
-スリープモードデータ送信速度における外部装置への前記データログの無線転送のための送信手段と、を備え、
前記電子回路が、
-スキャン要求パケットを受信するように構成された少なくとも部分的に実装されたBLEプロトコルスタックと、
-排出された薬剤の投与量に関連するデータログを作成するように適合されたアプリケーションソフトウェアと、を実行するように適合されており、
前記BLEプロトコルスタックが、スキャン要求パケットが外部スキャナ装置から受信されるときに前記アプリケーションソフトウェアに通知するように適合されており、前記アプリケーションソフトウェアが、前記外部スキャナのソースアドレスに応じて事前定義されたアクションを実施するように適合されている、薬剤送達装置。
【請求項2】
-前記ソースアドレスが事前定義されたアドレスに対応するとき、前記事前定義されたアクションが、高速モードデータ送信速度で前記データログの完全または部分的無線転送を行うように前記送信手段を動作させることを含み、前記高速モードデータ送信速度が、前記スリープモードデータ送信速度よりも速い、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
-前記送信手段が、アドバタイジングモードで前記BLEプロトコルを使用して前記データログを転送するように構成されており、前記アドバタイジングモードが、前記送信手段が前記スキャン要求パケットをリッスンし、受信することを可能にするスキャン可能モードを含む、請求項1または2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
-前記電子回路が、寿命条件が満たされたときを決定するように適合されており、
-前記寿命条件が満たされたとき、前記送信手段が、それが前記スキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信するように適合された寿命状態で動作する、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記寿命条件が、所与の合計量の薬剤が排出されていることであり、対応する特性値が、前記センサ手段によって捕捉される、請求項4に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
-前記薬剤送達装置が、前記貯蔵部内に収容される所定の量の薬剤で予め充填されており、
-前記薬剤排出手段が、投与量が排出されることができず、したがって、特性値を前記センサ手段によって捕捉することができない、装置寿命状態に入るように適合されており、
-前記寿命条件が、前記薬剤排出手段が前記装置寿命状態に入る前に、満たされる、請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
-前記送信手段が、アドバタイジングモードでBLEプロトコルスタックを使用して前記データログを転送するように構成されており、前記アドバタイジングモードが、スキャン不可能モードおよびスキャン可能モードを含み、前記スキャン可能モードが、前記送信手段が前記スキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にし、
-前記送信手段が、前記寿命条件が満たされたときに、前記スキャン不可能モードから前記スキャン可能モードに切り替わる、請求項3~6のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
-前記送信手段が、前記排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連する特性値を前記センサ手段が捕捉した後、所与の時間にわたって投与モードデータ送信速度で動作し、前記投与モードデータ送信速度が、前記スリープモードデータ送信速度よりも速い、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
-前記送信手段が、前記高速モードデータ送信速度における前記外部装置への前記データログの完全または部分的転送に前記送信手段をトリガすることになる特定のトリガ情報のうちの少なくとも1つを含む複数の事前定義されたソースアドレスのうちの1つからスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信するように適合されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
-前記BLEプロトコルスタックが、外部装置との無線双方向接続を作成および維持するための構成要素なしで実装されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
データ生成装置(1、100、200、500)からデータログを無線送信するための方法であって、
-アドバタイジングスキャン可能モードにおけるBLEプロトコルスタックを使用して、スリープモードデータ送信速度で外部装置に前記データログを送信することであって、前記アドバタイジングスキャン可能モードが、前記送信手段がスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にする、送信する工程と、
-スキャン要求パケットを検出する工程と、
-スキャン要求パケットを検出した後、アドバタイジングスキャン可能モードで前記BLEプロトコルスタックを使用して、高速モードデータ送信速度で外部装置に前記データログを送信することであって、前記高速モードデータ送信速度が、前記スリープモードデータ送信速度よりも高い、送信する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
-アドバタイジングスキャン不可能モードでBLEプロトコルスタックを使用して、前記スリープモードデータ送信速度で外部装置に前記データログを送信する初期工程と、
-前記データ生成装置のための寿命条件を検出する初期工程と、
-前記データ生成装置のための前記寿命条件を検出した後、アドバタイジングスキャン可能モードで前記BLEプロトコルスタックを使用する初期工程と、を含む、請求項11に記載のデータログを無線送信するための方法。
【請求項13】
-前記データ生成装置が、初期量の薬剤を収容する貯蔵部と、ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする薬剤排出手段と、を備え、
-前記寿命条件が、所与の量の薬剤が前記貯蔵部から排出されたときに検出される、請求項12に記載のデータログを無線送信するための方法。
【請求項14】
-前記スキャン可能モードが、前記送信手段が特定のトリガ情報を含む事前定義されたアドレスから前記スキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にし、かつ
-前記データログが、特定のトリガを含む事前定義されたアドレスからのスキャン要求パケットが受信されるときに送信される、請求項11~13に記載のデータログを無線送信するための方法。
【請求項15】
-前記BLEプロトコルスタックが、外部装置との無線双方向接続を作成および維持するための構成要素なしで実装されている、請求項11~14のいずれか一項に記載のデータログを無線送信するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、データ生成装置からの動的データログを無線で通信するための方法および装置に関し、例えば、データの生成、収集および保存が関連する医療装置に関する。特定の実施形態では、本発明は、信頼できて使いやすい方法で薬剤送達用量データを捕捉および送信するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、主に、回転駆動部材によって駆動されるねじ付きピストンロッドを含む薬剤送達装置が参照されており、そのような装置は、例えば、インスリンの送達による糖尿病の治療に使用されているが、これは、本発明の例示的な使用にすぎず、例えば、一般に、薬剤が投与される、または生理学的データが測定およびロギングされる医療装置のために、動的データログの転送が関連する任意の所与の技術分野で実装され得る。
【0003】
薬剤注射装置は、薬剤および生物学的薬剤を自己投与する必要がある患者の生活を大幅に改善した。薬剤注射装置は、注射手段を有するアンプルにすぎない単純な使い捨て装置を含む多くの形態を取る場合があり、または予め充填されたカートリッジと併用するように適合された耐久性のある装置であってもよい。それらの形態およびタイプに関わらず、注射可能な薬剤および生物学的薬剤を自己投与するための患者の補助においては大きな助けであることが証明されている。また、それらは、介護者が自己注射を実施することができない者に注射可能な医薬品を投与するのを大いに支援する。
【0004】
必要量のインスリン注射を適切な時点に適切なサイズで実施することは、糖尿病を管理するために必要不可欠であり、すなわち指定されたインスリンレジメンを遵守することが重要である。医療従事者が定めた投薬量パターンの有効性を決定することを可能にするためには、糖尿病患者は各注射のサイズおよび時刻の記録を保持することを推奨される。しかしながら、こうしたログは通常手書きのノートに記録され、そしてロギングされた情報はデータ処理のためにコンピュータに簡単にはアップロードされない場合がある。更に、患者によって記載される事象のみがロギングされるため、ノートシステムは、ロギングされた情報が患者の疾患の治療において何らかの価値を有するとすれば、患者は各注射をロギングすることを覚えておく必要がある。ログ中の欠如した記録または誤った記録は、注射履歴の実態が誤ったものとなり、ひいては、将来の薬剤治療に関する医療従事者の意思決定の土台が誤ったものとなる。したがって、医薬送達システムからの注射情報のロギングを自動化することが望ましい場合がある。
【0005】
同様に、一部の提案される薬剤送達装置は、その装置自体にこのモニタリング/取得機構を組み込み、例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に開示されているように、これらの装置は、耐久性のあるタイプのものであるが、特許文献4は、用量ロギング回路を備える使い捨て薬剤送達装置を開示している。
【0006】
しかしながら、今日のほとんどの装置は、それを有していない。この問題に対処するため、ユーザが所与の医療装置の使用を示すデータを生成、収集、および分布するのに役立つ多くの解決策が提案されてきた。例えば、特許文献5は、ペン型の薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるように適合された電子補助装置(またはアドオン装置)を記述する。装置は、カメラを含み、薬剤送達装置の投薬ウィンドウを通して見える回転スケールドラムから捕捉された画像の光学文字認識(OCR)を実施し、それによって、薬剤送達装置に、ダイヤルされた医薬の用量を決定するように構成されている。ペン式装置のための更なる外部装置が、特許文献6に示されており、外部装置は、ペン式装置に組み込まれた磁性部材の動きの検出に基づいて用量サイズを決定するよう設計されている。
【0007】
一般的に上述のロギング装置には、ロギングされた用量データを表示することができるディスプレイが提供されているが、多くの薬剤送達装置のユーザによって保持されるスマートフォンなどの外部装置に、用量データを転送することが望ましい場合があり、これによって、用量データをはるかに大きなディスプレイに表示し、例えば、分析および推奨のために、更に処理して、使用することが可能となる。そのような配置は、ロギング装置上のディスプレイが分配されることも可能にする。特許文献7は、電力消費量を低減するために、優先度最適化された低速データ転送によって外部装置にデータが転送される、用量ロギング能力を有する医療装置を開示している。
【0008】
上記に関して、本発明の目的は、データ生成装置から、例えば、薬剤送達装置またはスマートフォンなどの外部装置にロギング能力を有する生理学的センサ装置からの動的データログの効率的かつコスト効果の高い無線転送を可能にする装置および方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許公開第2009/0318865号
【特許文献2】国際公開第2010/052275号
【特許文献3】国際公開第2016/110592号
【特許文献4】国際公開第2015/071354号
【特許文献5】国際公開第2013/120776号
【特許文献6】国際公開第2014/161952号
【特許文献7】国際公開第2019/170828号
【発明の概要】
【0010】
本発明の開示では、上記の目的のうちの1つ以上に対処する、または下記の開示だけでなく例示的な実施形態の説明からも明らかな目的に対処する、実施形態および態様が説明される。本開示の文脈では、BLEという用語は、「Bluetooth(商標)Low Energy」または「Bluetooth(商標)LE」の略として使用される。
【0011】
薬剤送達装置が、用量ロギング機能を有するが、ディスプレイを有していないとき、それは、その後の閲覧のために外部装置、例えば、ユーザのスマートフォンへの用量ログデータの送信に依存する。電力消費量を低減するために、データ送信が低速で行われ得、完全なログが経時的に外部によって受信されることを可能にする。上述のように、最新の用量ログが、そのような送信セットアップにおいて優先され得る。外部装置への最新の用量ログの送信を高速化するために、送信手段は、投与量が送達された後の所与の時間にわたって、より高速度でデータを送信するようにセットアップされ得、これは、ユーザが、例えば、自身のスマートフォン上で、最新の用量ログをほぼ即座に閲覧することを可能にする。しかしながら、外部装置が、1つ以上の薬剤送達イベント中に薬剤送達装置の近傍にない場合、用量ログの転送は、薬剤送達装置が使用されていないが、外部装置の近傍にある期間の間、主に低速データ伝送に依存し得る。このようにして、データは、例えば、数時間にわたってログ全体が送信されることを可能にする、低速であるが安定した方式で、「バックグラウンドで」送信され得る。
【0012】
ユーザが、閲覧するために利用可能な完全に更新された用量ログを常に有することを必要としない場合、上述のセットアップは、用量ロギング回路の低電力消費量とユーザに対する用量ログデータの利用可能性との間の許容可能な妥協を表し得る。また、いくつかのユーザは、用量ログデータに全く関心がない場合がある。
【0013】
しかしながら、本発明は、いくつかの特別な状況では、低送信速度における完全な大規模用量ログの送信のために必要とされ得る、例えば、30分の代わりに短期間、例えば、数秒内における用量ログ全体の高速通信の必要性が存在し得るという認識に基づく。薬剤送達装置が、薬剤送達イベントに続いてより高速でデータを送信する能力を有して提供される場合、これは、薬剤送達装置が空であってもよく、したがって、高速データ送信を開始することができない場合と同様に、最新の用量ログデータを送信するためだけに十分であり得る。1つの具体的な例は、ユーザ/患者が医師の診察室に来て、患者の治療を評価するために医師が用量ログデータにアクセスしなければならない場合である。いくつかの場合、患者のスマートフォンから医師のコンピュータに用量ログを送信することが可能であり得るが、いくつかの患者について、用量ログは、薬剤送達装置にのみ記憶されることになる。
【0014】
したがって、本発明の第1の態様では、薬剤送達装置が提供されており、薬剤貯蔵部と、ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする用量設定手段を含む薬剤排出手段と、排出された薬剤の投与量に関連するデータログを作成するように適合された電子回路と、を備える。電子回路は、排出イベント中に排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連する特性値を捕捉するように適合されたセンサ手段と、データログを作成するために複数の特性値を記憶するように適合された記憶手段と、スリープモードデータ送信速度における外部装置へのデータログの無線転送のための送信手段と、を備える。電子回路は、スキャン要求パケットを受信するように構成された少なくとも部分的に実装されたBLEプロトコルスタックと、排出された薬剤の投与量に関連するデータログを作成するように適合されたアプリケーションソフトウェアと、を実行するように適合されている。BLEプロトコルスタックは、スキャン要求パケットが外部スキャナ装置から受信されるときにアプリケーションソフトウェアに通知するように適合されており、アプリケーションソフトウェアが、外部スキャナのソースアドレスに応じて事前定義されたアクションを実施するように適合されている。本文脈では、薬剤送達装置という用語は、薬剤送達装置自体上に取り付けられたアドオン用量ロギング装置を含む薬剤送達アセンブリも包含する。
【0015】
この配置によって、外部装置に用量ログを、低速であるが電力効率の高い方式で送信するが、更に、必要に応じて、用量ログがより高速に送信されることを可能にするように適合された薬剤送達装置が提供される。BLEプロトコルスタックは、従来のBLE実装形態におけるように、外部装置との無線双方向接続を作成および維持するための構成要素なしで、コスト効果良好に実装され得る。
【0016】
薬剤送達装置は、例えば、製剤の皮下送達に適合され得るか、または吸入される薬剤のエアロゾルを生成するように適合され得る。特性値という用語は、センサ手段によって捕捉される「未加工の」データ、例えば、インジケータ部材の回転量を示す。捕捉された値は、既知の方式で、排出イベント中に排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連するため、捕捉された値は、投与量が、薬剤送達装置、またはその後に外部装置のいずれかで、計算されることを可能にする。
【0017】
例示的な実施形態では、ソースアドレスが事前定義されたアドレスに対応するとき、事前定義されたアクションが、高速モードデータ送信速度でデータログの完全または部分的無線転送を行うように送信手段を動作させることを含み、高速モードデータ送信速度が、スリープモードデータ送信速度よりも速い。
【0018】
送信手段が、アドバタイジングモードでBLEプロトコルを使用してデータログを転送するように構成され得、アドバタイジングモードは、送信手段がスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にするスキャン可能モードを含む。
【0019】
電子回路は、寿命条件が満たされたとき、送信手段が、スキャン信号をリッスンし、かつそれを受信するように適合された寿命状態で動作するように、寿命条件が満たされたときを決定するように適合され得る。このようにして、電力消費量が更に低下し得る。
【0020】
例示的な実施形態では、寿命条件は、所与の合計量の薬剤が排出されていることであり、対応する特性値が、センサ手段によって捕捉される。薬剤送達装置は、貯蔵部内に収容される所定の量の薬剤で予め充填され得、薬剤排出手段は、投与量が排出されることができず、したがって、特性値がセンサ手段によって捕捉されることができない、例えば、機械部材が軸方向停止位置に移動している場合がある、装置寿命状態に入るように適合されている。そのような配置では、寿命条件は、薬剤排出手段が装置寿命状態に入る前に、満たされるようにセットアップされ得、これは、所与の薬剤送達装置について予想される使用シナリオを考慮して必要と判断されるときに、スキャン可能モードがアクティブ化されることを可能にする。
【0021】
送信手段が、アドバタイジングモードでBLEプロトコルを使用してデータログを転送するように構成され得、アドバタイジングモードが、スキャン不可能モードおよびスキャン可能モードを含み、スキャン可能モードは、送信手段がスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にし、送信手段は、寿命条件が満たされたときに、スキャン不可能モードからスキャン可能モードに切り替わる。
【0022】
例示的な実施形態では、送信手段は、排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連する特性値をセンサ手段が捕捉した後、所与の時間にわたって投与モードデータ送信速度で動作し、投与モードデータ送信速度が、スリープモードデータ送信速度よりも速い。
【0023】
送信手段が、高速モードデータ送信速度における外部装置へのデータログの転送に送信手段をトリガすることになる特定のトリガ情報を含む事前定義されたアドレスからスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信するように適合され得る。このようにして、送信手段は、ランダムな外部装置によって高速モードに入るようにトリガされることができない。
【0024】
送信手段が、高速モードデータ送信速度における外部装置への完全または部分的なデータログの転送に送信手段をトリガすることになる特定のトリガ情報のうちの少なくとも1つを含む複数の事前定義されたアドレスのうちの1つからスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信するように更に適合され得る。このようにして、送信されるデータログの実際の部分が、所与の事前定義されたアドレスに調整され得る。
【0025】
本発明の更なる態様では、データ生成装置からデータログを無線通信するための方法が提供され、方法は、アドバタイジングスキャン可能モードにおけるBLEプロトコルスタックを使用して、スリープモードデータ送信速度で外部装置にデータログを送信することであって、アドバタイジングスキャン可能モードは、送信手段がスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にする、送信する工程と、スキャン要求パケットを検出する工程と、スキャン要求パケットを検出した後、高速モードデータ送信速度で外部装置にデータログを送信することであって、高速モードデータ送信速度が、スリープモードデータ送信速度よりも高い、送信する工程と、を含む。
【0026】
BLEプロトコルスタックは、従来のBLE実装形態におけるように、外部装置との無線双方向接続を作成および維持するための構成要素なしで、コスト効果良好に実装され動作し得る。
【0027】
データログを無線送信するための方法は、アドバタイジングスキャン不可能モードでBLEプロトコルスタックを使用して、スリープモードデータ送信速度で外部装置にデータログを送信する初期工程(すなわち、上述の工程の前に実行される)と、データ生成装置のための寿命条件を検出する初期工程と、データ生成装置のための寿命条件を検出した後、アドバタイジングスキャン可能モードでBLEプロトコルスタックを使用する初期工程と、を含み得る。
【0028】
スキャン可能モードは、データログが、特定のトリガを含む事前定義されたアドレスからのスキャン要求パケットが受信されるときのみ送信されるように、送信手段が、特定のトリガ情報を含む事前定義されたアドレスからのスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信することを可能にし得る。
【0029】
データログを無線送信するための例示的な実施形態の方法では、データ生成装置が、初期量の薬剤を収容する貯蔵部と、ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする薬剤排出手段と、を備え、寿命条件は、所与の量の薬剤が貯蔵部から排出されたときに検出される。
【0030】
本発明の概略的な態様では、データ生成医療装置が提供され、医療特性に関連するデータログを作成するように適合された電子回路を備え、電子回路が、医療特性に関連する特性値を捕捉するように適合されたセンサ手段と、データログを作成するために複数の特性値を記憶するように適合された記憶手段と、スリープモードデータ送信速度における外部装置へのデータログの無線転送のための送信手段と、を備え、送信手段が、スキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信するように適合され、それによって、送信手段が、高速モードデータ送信速度で外部装置へのデータログの無線転送を行うように動作し、高速モードデータ送信速度が、スリープモードデータ送信速度よりも速い。
【0031】
センサ装置は、例えば、皮膚表面上に取り付けられるように適合され、かつ血糖値、O飽和、ECG、皮膚温度、または血圧などの生理学的パラメータを測定およびロギングするように適合された外部装置であってもよい。センサ手段は、例えば、BG決定に適合された経皮的電気化学センサ、またはO飽和もしくは血圧の決定に適合されたPPGセンサなどの非侵襲センサの形態であってもよい。あるいは、センサ装置は、例えば、心電図の値を測定およびロギングするように適合されたペースメーカーに移植されるように適合された装置の形態であり得る。
【0032】
また、上述のように、薬剤を収容する貯蔵部と、ユーザが排出される薬剤の用量を設定することを可能にする薬剤排出手段と、を有する、データ生成医療装置が提供され得、センサ手段が、排出イベント中に排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連する特性値を捕捉するように適合されている。
【0033】
本出願の文脈では、電子回路の構成要素および機能、例えば、送信および記憶手段には、いくつかの機能的および構造的な用語が使用されるが、これらは、本発明の機能的態様を説明するためだけに使用され、機能および構造は、典型的には、ファームウェアおよびソフトウェアの層と組み合わせられた統合された回路ハードウェアによって提供される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「インスリン」という用語は、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液などの制御された様式でカニューレまたは中空針などの送達手段を通過させることができ、かつ血糖値制御効果を有する任意の薬剤含有流動性医薬、例えば、ヒトインスリンおよびその類似物、ならびにGLP-1およびその類似物のような非インスリンを含有することを意味する。例示的な実施形態の説明については、参照がインスリンの使用に対して行われるが、説明されたモジュールはまた、その他のタイプの薬剤(例えば、成長ホルモンまたは血友病治療薬)のログを作成するために使用され得る。
【0035】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、ペン式装置を示す。
図1B図1Bは、ペンキャップが取り外された状態の図1Aのペン式装置を示す。
図2図2は、図1Aに示されるタイプの薬剤送達装置における組み込みに適合された用量感知モジュールの分解図である。
図3図3は、図2の用量感知モジュールの長手方向斜視断面図である。
図4A図4Aは、更なる薬剤送達装置を示す。
図4B図4Bは、電子回路を有する可撓性シートを示す。
図5図5は、なお更なる薬剤送達装置を示す。
図6図6は、図1Aに示されるタイプの薬剤送達装置上に取り付けられたアドオン装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図において、同様の構造は、主として同様の参照番号で識別される。
【0038】
以下の用語、「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、または類似の相対表現などが使用されているとき、これらは単に添付の図のみを参照し、そして必ずしも実際の使用状況を示すわけではない。示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成だけでなくそれらの相対的寸法は、図示的な目的を果たすことのみが意図されている。部材または要素という用語が所与の構成要素に対して使用されるとき、これは一般的に、説明される実施形態においてこの構成要素が一体型の構成要素であることを表すが、代替的に、説明される構成要素のうちの2つ以上が一体型の構成要素として提供される可能性があるように、例えば、統合射出成形部品として製造される可能性があるように、同一の部材または要素がいくつかの下位構成要素を含んでいてもよい。「組立品」という用語は、説明された構成要素が所与の組立手順の間に一体型の、または機能的組立品を提供するために組み立てられる必要があることを暗示しておらず、機能的により密接に関連するものとしてともに分類される構成要素を説明するために使用されるにすぎない。
【0039】
本発明は、データ生成装置から外部装置への動的データログの簡単かつ電力効率の高い無線転送を提供する一般的な問題に対処する。
【0040】
それに応じて、薬剤送達装置の形態のデータ生成医療装置のためのデータ送信セットアップが提供されており、薬剤貯蔵部と、ユーザが排出される薬剤の投与量を設定することを可能にする用量設定手段を含む薬剤排出手段と、排出された薬剤の投与量に関連するデータログを作成するように適合された電子回路と、を備える。電子回路は、排出イベント中に排出手段によって貯蔵部から排出される薬剤の投与量に関連する特性値を捕捉するように適合されたセンサ手段と、データログを作成するために複数の特性値を記憶するように適合された記憶手段と、スリープモードデータ送信速度における外部装置へのデータログの無線転送のための送信手段と、を備える。
【0041】
本発明の態様によると、送信手段が、スキャン信号を受信するように適合され、それによって、送信手段が、高速モードデータ送信速度で外部装置へのデータログの無線転送を行うように動作し、高速モードデータ送信速度が、スリープモードデータ送信速度よりも速い。
【0042】
第1の例示的な実施形態では、カスタムBLE無線チップを使用して、データ生成医療装置から外部装置へのタイムリーでシームレスかつコスト効果の高い転送が達成される。無線の受信機の部分を取り除くことによって、無線チップのサイズおよび複雑性は著しく低減され、そのためコストが大幅に低減され得る。こうした無線チップは、用量ロギング能力を有する薬剤送達ペン式装置に組み込まれてもよく、これにより、ペン式装置から、例えば、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのモバイル装置への用量ログデータの安全で簡単かつコスト効果の高い無線転送が可能となる。
【0043】
このようなセットアップでは、ハンドシェイクがないため、外部装置は、例えば、以前に受信していないデータによって欠如していることがある特定のデータをクエリすることができない。したがって、データ生成装置は、ログ全体を連続的に転送する必要がある。
【0044】
例示的な実施形態では、無線通信は、BLE標準に基づくが、複雑さを低減するために、装置は、いわゆるアドバタイジング装置としてのみ作用する。これは、ハードウェアおよびソフトウェアの複雑さの両方を低減する利点を有する。BLEプロトコルスタック全体を含める必要性はなく、受信機の必要性もない。アドバタイジングは、BLE仕様においてADV NONCON INDと称される、接続不可能およびスキャン不可能な非ダイレクトアドバタイジングパケットのタイプである。
【0045】
しかしながら、例示的な実施形態では、受信機能力も有する無線が使用される。より具体的には、受信機は、スキャン可能アドバタイジング(ADV SCAN IND PDU)と呼ばれるBLEアドバタイジングモードで使用され得る。このモードでは、アドバタイザは、スキャナ装置からのスキャン要求をリッスンし、スキャン応答内の追加情報で応答し得る。ハンドシェイクは、ハードウェアによって純粋に処理され得るが、アプリケーションは、スキャンがスキャン装置のBluetooth(登録商標)アドレスと一緒に行われた場合に通知され得る。薬剤送達装置ファームウェアが特定のスキャナからスキャン要求を受信するとき、それは、より頻繁にアドバタイジングを開始する。
【0046】
例示的な実施形態では、スキャン特徴は、以下の方式で装置ファームウェアに実装される。
【0047】
スキャン可能アドバタイジング:例示的な実施形態では、使用されるチップは、パケットのうちのいくつかをスキャン可能パケットとして送信することによって、デバッグの目的で利用され得る受信機を有する。スキャン応答メッセージは、以下に定義されるパッケージとともに送信される。以下のスキャン応答パケットが定義される:
【表1】
【0048】
Temp、BattLvl、sw、およびpin(エンコーダパッド状態)フィールドは、上記と同じである(ただし、ここで、ログにエントリが存在する場合でも利用可能である)。
【0049】
State:stateフィールドのビット0~5は、装置状態を次のように含む。
【表2】
【0050】
Boot:1で始まるリセット数が、各休止状態ウェイクアップ毎に増分する。
【0051】
Tap:検出されたタップ/ドロップの総数
【0052】
AccDose:累計用量は、装置から投与されたクリックの総数である。
【0053】
エンコーダトレース応答パケット:未加工のエンコーダトレースパケットがスキャン可能に送信されたとき、応答パケットは、単なる別のエンコーダトレースパケットである。
【0054】
スキャナ検出:例示的な実施形態で使用されるソフトウェア開発キットは、スキャン可能アドバタイズがアクティブスキャナによってスキャンされていることを検出し、このスキャナのBDADDRを取得する可能性を提供する。これは、特定のスキャナアドレスを反応させることによって利用され得、特定のアドレスは、特定の機能をトリガし得る。
【0055】
この特徴を使用することができるようにするために、例示的な無線チップの供給者(Dialog semiconductor)は、アクティブスキャナによって装置がスキャンされたときに、アプリケーションソフトウェアが信号を受信するための手段をAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)に追加している。
【0056】
以下の表は、例示的な実装形態を示す。
【0057】
BDADDR FF:BE:FF:82:00:nn、またはFF:FF:FF:82:00:nnを有するスキャナが認識される。コマンドコード(nn)は、次のように解釈される。
FB-高速データ送信
FC-ユニバーサルオン-TX電力を0dBmに設定する
FD-ユニバーサルオフ-TX電力をプロトコルレベル(通常、-12dBm)に設定する
FE-休止状態開始(OTP装置が完全休止状態になり、非OTPが完全RAM保持で休止状態になる)
FF-長時間記録が開始され、バッファがクリアされる
【0058】
BLE回路が、例えば、スキャン可能アドレスFF:BE:FF:82:00:FBを認識したとき、高速データ送信に即座にシフトすることになり、完全な用量ログが数秒以内に送信され得る。
【0059】
無線送信手段をBLEスキャン可能アドバタイジングモードで動作させるとき、電力消費量は、無線送信手段をBLEスキャン不可能アドバタイジングモードで動作させるときよりもある程度高い。
【0060】
所与の実装形態では、このより高いレベルの電力消費量は許容可能であるが、例示的な実施形態では、送信手段は、初期の第1の非リスニング状態と、寿命状態が決定されたときに送信手段がスキャン要求パケットをリッスンし、かつそれを受信し得る、アクティブ化された第2の状態と、で動作し得る。
【0061】
「実際の」寿命状態は、薬剤送達装置自体の機械的寿命状態、すなわち、もはや、ユーザが装置からある量の薬剤を排出することができない状態にリンクされ得るが、これは、電子回路と相互作用する何らかの種類の電気機械スイッチ配置を必要とし得、これは、装置のコストおよび複雑さを増大させる。
【0062】
あるいは、「推測される」寿命状態が電子ドメイン内で検出され得る。例えば、所与の予め充填された薬剤送達装置は、保証される量の薬剤、例えば、300IUのインスリン製剤とともにユーザに提供されるが、製造公差に起因して、ほとんどの場合、保証される量の薬剤よりも多く、例えば、305IUを収容し、排出することができることになる薬剤送達装置を供給することが必要になり、これは、ほとんどのユーザが実際に知り、利用することになる。
【0063】
それに応じて、推測される寿命状態は、インスリン製剤の合計、例えば、300UIが排出されたと用量ロギング回路が登録したときに検出され、これは、無線送信手段が非リスニング状態からリスニング動作状態にシフトすることを提供する。実際に、多くの場合、想定されるおよび実際の寿命状態は、同時に、例えば、290UIが排出され、ユーザが15UIの最終用量を設定し、排出するときに到達されることになる。
【0064】
上述の例示的な実施形態では、「自己完結型」であり、非常にコスト効果良好に実装され得る、BLE無線の特定の実装形態が使用される。つまり、例えば、このBLE特徴が呼び出され得る特別なコンピュータドングルを、例えば、医師に供給する必要があり得る。これは、標準USB BLEドングルでは可能ではない場合がある。
【0065】
あるいは、ユーザがアクセス可能なセンサ(例えば、機械的または光学的)は、同じ機能を達成し得るが、コスト、空間、および物理的配置に起因して、これは、所与の薬剤送達装置における用量ロギングおよびデータ送信機能の所与の実装形態にとって魅力的ではない場合がある。
【0066】
データ送信セットアップの例示的な実施形態、ならびにそのいくつかの変形例を説明した後、上述の送信セットアップの組み込みに好適ないくつかの薬剤送達装置が説明されることになる。
【0067】
本発明自体の実施形態に戻る前に、予め充填された薬剤送達の一実施例が説明され、このような装置は、本発明の例示的な実施形態の基盤を提供する。図1Aおよび図1Bに示されるペン型の薬剤送達装置1は、「一般的な」薬剤送達装置を表す場合があり、実際に示される装置は、Novo Nordisk A/S,Bagsvaerd,Denmarkによって製造および販売される、FlexTouch(登録商標)の予め充填された薬剤送達ペンである。
【0068】
ペン式装置1は、キャップ部品17と、薬剤排出機構がその中に配設または一体化されているハウジング10を有する近位本体または駆動組立品部分を有する主要部分と、遠位の針貫通可能な隔壁を有する薬剤充填透明カートリッジ13が、近位部分に付着された取り外し不可能なカートリッジホルダによって定位置に配設され保持される遠位カートリッジホルダ部分とを備え、カートリッジホルダは、カートリッジの一部分が検査されるのを可能にする開口部、および針組立品が取り外し可能に取り付けられるのを可能にする遠位連結手段15を有する。カートリッジには、排出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが提供されており、例えば、インスリン、GLP-1または成長ホルモン製剤を収容し得る。多数の軸方向に向けられた溝82を有する最も近位の回転可能な用量設定部材80は、表示ウィンドウ20に示される望ましい用量の薬剤を手動で設定し、その後、ボタン90が作動されたときにこれを排出することができるように機能する。ウィンドウは、面取りされた縁部分21および用量ポインタ22によって囲まれたハウジング内の開口部の形態であり、ウィンドウは、螺旋状に回転可能なインジケータ部材70(スケールドラム)の一部分を観察することを可能にする。薬剤送達装置内に具体化される排出機構のタイプに応じて、排出機構は、実施形態に示されるように、用量設定中に変形され、その後、解放ボタンが作動したときに解放されてピストンロッドを駆動するばねを備えてもよい。FlexTouch(登録商標)の予め充填された薬剤送達ペンで利用される用量設定および排出機構の詳細な説明は、例えば、国際公開第2019/057911号に見出され得る。要約すると、機構は、用量排出中に、ねじ付きピストンロッドが、設定された用量に対応する量で回転されることを提供することになり、回転は、ピストンロッドが、対応するねじ付き非回転ナット要素を通して軸方向に前進されることを提供する。
【0069】
別の方法として、排出機構は完全に手動であってもよく、その場合、例えば、Novo Nordisk A/Sによって製造および販売されるFlexPen(登録商標)のように、設定された用量サイズに対応する用量設定中に、用量部材および作動ボタンを近位に移動し、次に、設定用量を排出するためにユーザによって遠位に移動する。
【0070】
図1Aは、予め充填されたタイプの薬剤送達装置を示すが、すなわち、代替的な実施形態において、予め取り付けられたカートリッジを供給し、カートリッジが空になったとき捨てられる、薬剤送達装置は、ロードされたカートリッジに交換されるのを可能にするように調整されてもよく、例えば、カートリッジホルダが装置の本体部分から取り外されるように調整される、「後ろにロードされる」薬剤送達装置の形態となるか、または別の方法として、カートリッジが装置の主要部分に取り外し不可能に取り付けられるカートリッジホルダ内の遠位の開口部に挿入される、「前にロードされる」装置の形態となる。
【0071】
図2および図3を参照すると、回転センサモジュールは、上述のタイプの、すなわち、軸方向に移動可能なピストンを有する薬剤充填カートリッジと、ピストンと係合して軸方向に移動させ、それによって、カートリッジから薬剤を排出するように配置された回転可能なピストンロッドと、を備える、薬剤送達ペン式装置に組み込まれるように適合され、ピストンロッドの回転の量は、軸方向変位の量と相関する。以下の説明から明らかであるように、モジュールは、ピストンの近位でカートリッジの内側に配置され、ピストンロッドがワイパ構成要素と非回転係合するように適合されている。そのようなモジュールは、最小限の設計修正のみで、このタイプの所与のペン式装置に組み込まれ得る。
【0072】
図2は、センサモジュール50の個々の要素を強調表示した分解図である。センサモジュール50は、プロセッサを含む様々な電子構成要素52.5を担持する近位表面52.1と、複数の導電センサ領域(視認不可)を担持する遠位表面52.2と、を有する、剛直な支持シート52.4を含むPCBアセンブリ52の形態の第1のセンサ部品を備える。支持シート52.4は、全体的に円形の周縁部を有するが、いくつかのノッチを備え、ノッチのうちのいくつかは、一対の正反対の半径方向の突出部52.3をもたらす。更に、支持シート52.4は、中央貫通孔52.6を有する。
【0073】
第1のセンサ部品は、ピストンロッドコネクタ54に固定して取り付けられるワイパ53の形態の第2のセンサ部品によって補完され、それとのジョイント回転を確実にする。ピストンロッドコネクタ54は、貫通孔52.6を通って軸方向に延在し、ピストンロッドの遠位端部分の空洞とのプレス嵌合係合のために適合されている。これは、ピストンロッドおよびピストンロッドコネクタ54のジョイント移動を提供する。以下でより詳細に説明されるように、ワイパ53は、それぞれの可撓性アーム53.5の上に配置され、支持シート52.4の遠位表面52.2上にある導電センサ領域とガルバニ式に接続するように適合された、1つの接地接触部53.1および2つのコード接触部53.2を備える。特に、接地接触部53.1およびコード接触部53.2は全て、近位に向けられている。
【0074】
回転エンコーダシステムを形成する2つのセンサ部品は、電池55の形態の電源も収容するモジュールハウジング51内に収容され、リテーナ56は、正電池コネクタおよび剛直な(負)電池コネクタ57としても機能する。リテーナ56は、電池55を運ぶための横方向支持表面56.1と、2つの軸方向に延在する対向するリテーナアーム56.2と、を有する。各リテーナアーム56.2は、半径方向の突出部52.3のうちの1つを受容するように形状決めされた近位切り欠き56.3を備え、それによって、リテーナ56およびPCBアセンブリ52を回転方向に相互係止し、支持シート52.4を軸方向に拘束する。モジュールハウジング51は、リテーナ56およびモジュールハウジング51を回転方向に相互係止するか、または少なくとも実質的に回転方向に相互係止するように、リテーナアーム56.2を受容するように形状決めされた一対の正反対の側面開口部51.2と、円周に沿って離間された複数の回転防止タブ51.1と、を有し、各回転防止タブ51.1は、カートリッジ壁の内部表面との相互作用のために接触面51.8を含む。したがって、PCBアセンブリ52は、モジュールハウジング51に対して少なくとも実質的に回転方向に係止され、これは次に、カートリッジホルダ内に回転方向に固定されるペン式装置カートリッジ内に回転方向に摩擦嵌合される。それによって、PCBアセンブリ52は、ペン式装置ハウジングに対して少なくとも実質的に回転方向に固定され、したがって、ピストンロッドの角度変位を測定するための基準構成要素として好適である。
【0075】
図3は、組み立てられた状態のセンサモジュール50の長手方向斜視断面図である。見られ得るように、ピストンロッドコネクタ54は、支持シート52.4の貫通孔52.6を通って延在し、ワイパ53上のスリーブ53.6にプレス嵌合される。モジュールハウジング51は、カートリッジピストンに寄り掛かる足部51.3を有する。更に、図は、側面開口部51.2内のリテーナアーム56.2の位置、および切り欠き56.3内の半径方向の突出部52.3の配置を示す。所与の注射装置に組み込まれたモジュールによる用量排出アクションの間、ピストンロッドの回転は、ピストンロッドコネクタ54、および更にワイパ53に伝達される。したがって、接地接触部53.1およびコード接触部53.2は、半径方向の突出部52.3と切り欠き56との間の係合、側面開口部51.2へのリテーナアーム56.2の嵌合、足部51.3とピストン22との間の摩擦インターフェース、ならびに回転防止タブ51.1とカートリッジ壁との間の摩擦インターフェースにより、少なくとも実質的に回転方向に静止したままの遠位表面52.2のセンサ領域を掃引する。
【0076】
用量ロギングモジュール50は、EP出願19201824.0により詳細に説明されている。
【0077】
図4Aおよび図4Bを参照すると、統合された用量ロギング回路を有する薬剤送達装置の更なる実施形態が説明される。
【0078】
図4Aのペン式装置100は、薬剤排出機構が配置または統合されるハウジング101を有する近位本体または駆動アセンブリ部分と、遠位針貫通可能隔壁を有する薬剤充填透明カートリッジ113が、近位部分に取り付けられた取り外し不可能なカートリッジホルダによって所定位置に配置および保持された遠位カートリッジホルダ部分と、を備える。カートリッジホルダは、カートリッジの一部分を点検することを可能にする開口部と、針アセンブリ116が取り外し可能に取り付けられるのを可能にする遠位連結手段と、キャップ(図示せず)がカートリッジホルダを覆って取り外し可能に取り付けられるのを可能にする2つの対向する突起部114の形態の近位連結手段と、を備える。示された実施形態では、ハウジングは、近位ハウジング部分102と、ペン式装置の完全に組み立てられた状態で、示された可撓性アーム150を覆う中間の管状ハウジング部分(図示せず)を介してお互いに固定接続された遠位ハウジング部分103と、を備え、それによって単一のハウジングを形成する。カートリッジには、排出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが提供されており、例えば、インスリン、GLP-1、または成長ホルモン製剤を収容し得る。最も近位の回転可能な用量設定部材180は、望ましい用量の薬剤を手動で設定するのに機能し、薬剤はその後、ボタン190が作動したときに排出され得る。排出機構は、その上にプリントされる用量サイズの形態の複数の印を有する螺旋状回転可能なスケールドラム部材を備え、用量サイズ番号は表示器開口部に示される現在の設定用量サイズに対応する(図3Aでは図示しない)。薬剤送達装置内に具体化される排出機構のタイプに応じて、排出機構は、実施形態に示されるように、用量設定中に負荷がかけられ、その後、解放ボタンが作動したときに解放されてピストンロッドを駆動するばねを備えてもよい。別の方法として、排出機構は完全にマニュアルであってもよく、その場合、用量部材および作動ボタンは、設定用量サイズに対応する用量設定の間、遠位に移動し、次にNovo Nordisk A/Sによって製造および販売されるFlexPen(登録商標)などの設定用量を排出するためにユーザによって遠位に移動するように配置されてもよい。
【0079】
図4Aは、予め充填されたタイプの薬剤送達装置を示すが、すなわち、代替的な実施形態において、予め取り付けられたカートリッジを供給し、カートリッジが空になったとき捨てられる、薬剤送達装置は、ロードされたカートリッジに交換されるのを可能にするように調整されてもよく、例えば、カートリッジホルダが装置の本体部分から取り外されるように調整される、「後ろにロードされる」薬剤送達装置の形態となるか、または別の方法として、カートリッジが装置の主要部分に取り外し不可能に取り付けられるカートリッジホルダ内の遠位の開口部に挿入される、「前にロードされる」装置の形態となる。
【0080】
ペン式装置100に組み込まれた排出機構は、リング形成ピストンロッド駆動要素および、薬剤の用量の排出中に、ピストンロッド駆動要素とともに回転する回転可能な構成要素の形態のアクチュエータ部材140を備え、それによってアクチュエータ部材140がハウジング101内に固定して配置されたインジケータ構造に対する一方向回転運動を経験する。示される実施形態では、インジケータ構造は、それぞれがアクチュエータ部材と係合する一対の向かい合った円周方向に配置された撓み可能な可撓性アーム151の形態である。
【0081】
アクチュエータ部材140は、一対の軸方向に方向付けられ、半径方向外側に突出し、円周方向および等距離で離間している複数の隆起部を有する歯車の形態である。各隆起部は、徐々に立ち上がった先頭側および急激に落ちる後尾側をもって形成される。示された実施形態では、24個の隆起部は15度の角度工程で間隙を介している。任意の2つの隣接する隆起部の間に溝が形成される。
【0082】
撓み可能なアーム151のそれぞれは、半径方向内向きの第1の表面を有する先端部分をその自由端に含み、これは隆起部の徐々に立ち上がる側と略平行であるように角度付けられる。それぞれの先端部分は更に、隆起部の急激に落ち込む側と略平行になるように角度付けられた第2の対向する表面を有する。先端部分の半径方向内向きの第1の表面は、第1および第2の撓み可能なアームの先端部分が、後者が回転するとき、アクチュエータ部材140の外部輪郭と密着したままであるように、アクチュエータ部材140が、撓み可能なアームに対して回転するとき、連続する隆起部上に乗るように構成される。先端部分が溝内に位置するとき、可撓性アーム151の自由端は、わずかに内向きに付勢され、付勢力はアクチュエータ部材が回転するときにアームの自由端が隆起形成物によって外側に持ち上げられたときに、増加する。
【0083】
示される実施形態では、撓み可能なアームの先端部分は、アクチュエータ部材140が回転するにつれて、第2の撓み可能なアームが第1の突出部から直径方向に反対に配置された隆起部との連携を経験する前に、第1の撓み可能なアームが特定の第1の突起部とわずかに連携を経験するように、約178度離れて位置する。この配置は、参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第17205309号でより詳細に記述される。別の方法として、単一アーム設計を使用し得る。
【0084】
電子手段による装置の動作を監視するために、電子回路160は、装置によって実行される動作に関連するイベントを登録するために、すなわち、設定用量の薬剤の排出を登録するために、装置100内またはその上に配置される。図4Bの示される実施形態では、電子回路160は、可撓性シートの形態であり、その上には、インジケータ構造の運動によって直接的または間接的に作動するように適合された入力手段、プロセッサおよびメモリ165、アンテナ167を含む無線通信手段166、ならびにエネルギー源168が形成および取り付けられ、プロセッサは、入力手段からの測定値を基準にして、アクチュエータ部材140の回転位置および/または回転運動を決定し、それによって、薬剤の排出量のサイズを計算するように適合されている。可撓性シートは、例えば、接着手段によってペン式装置のハウジング部分上に取り付けられるように適合されており、可撓性シートの性質は、それが曲面にも取り付けられることを可能にする。
【0085】
示される実施形態では、入力手段は、可撓性アーム151上に取り付けられるように適合された圧電センサ161、162の形態のアクティブ変換器であり、それによって可撓性アームが回転アクチュエータ部材140によって移動されるときに出力を生成する。示された実施形態には組み込まれていないが、電子回路が、その他の実施形態において、登録イベントに関連する情報の目に見える読み出しを提供するように、ディスプレイを更に含んでもよい。示された実施形態では、エネルギーは2つの電気セル168によって提供される。
【0086】
上述の構成要素のうちの1つ以上、例えば、圧電センサ、ディスプレイ、アンテナ、およびエネルギー源は、可撓性シート上にプリントされ得る。その他の構成要素、例えば、プロセッサおよび関連付けられたメモリ、ならびにBLE無線チップは、可撓性シート上に取り付けられた表面であってもよい。
【0087】
図5を参照すると、動的用量ログを生成するための電子回路を組み込んだ更なるペン式装置200が、説明されている。図4Aのペン式装置100は、用量ログの作成および送信のための電子回路を備えた従来の薬剤送達装置とみなされ得、そのペン式装置は、従来のユーザインターフェースを有し、従来の様式で、すなわち、機械的なスケールドラムを観察しながら用量サイズを設定する様式で、ユーザによって動作される。対照的に、ペン式装置200には、従来のスケールドラムと置き換えるデジタルディスプレイが提供されている。
【0088】
より詳細には、ペン式装置200は、わずかに湾曲した情報表面203およびより従来どおりに湾曲した反対側の表面204を有する円筒形のハウジング201を含んでいる。その装置は、カバー箔ラベルなしで示されているため、電子回路を確認できる。ハウジングは、その遠位端で開口部を通して挿入された薬剤含有カートリッジ213を収容する。カートリッジは、その遠位端では貫通可能な自己密封隔壁215によって閉じられ、その近位端では摺動可能なピストン(目に見えない)によって閉じられており、ハウジングの遠位カートリッジホルダ部分205内に配置され、注射針ユニット(図示せず)の取り付けインターフェースとして機能するカートリッジ針取り付け部材214の一部として形成されたスナップ連結によって、ハウジング201の近位内部表面にスナップ嵌めされる。ハウジングは、カートリッジ含有量の点検のための長軸方向のウィンドウ206を備え、用量設定機構および用量排出機構の両方を更に収容する。用量設定および排出機構は、スケールドラムなしであっても、任意の好適な設計、例えば、示されるようなばね駆動設計のものであってもよい。示された実施形態では、用量設定および用量放出は、組み合わせられた用量設定および用量放出部材285を使用して実施され、すなわち、組み合わせられた部材は、用量設定中にハウジング201に対して回転するように適合され、また軸方向に移動して、設定された用量を放出するように適合されている。
【0089】
上述の実施形態と同様に、排出機構は、ある用量の薬剤の排出中に、ピストンロッド駆動要素とともに回転する回転可能な構成要素の形態のアクチュエータ部材を含み、それによってアクチュエータ部材がハウジング201内に固定して配設されたインジケータ構造に対する一方向回転運動を経験する。示される実施形態では、インジケータ構造は、アクチュエータ部材と係合する軸方向に配置された撓み可能な可撓性アーム150の形態である。
【0090】
組み合わせられた用量設定および放出部材285は、その近位端からハウジング201内に延在する。組み合わせられた部材285は、ハウジングの長手方向軸を中心として回転可能な円筒形の本体を含む。軸方向に溝付きの小径アクチュエータカラー286は、本体のすぐ遠位に提供され、ハウジング内に延在する。溝は、15度の間隔を有し、用量設定入力手段のためのアクチュエータとしての役割を果たし、各溝は、1つの用量単位の増分、すなわち、一般的に1IUのインスリンに対応する。
【0091】
ハウジング201中央部分では、一部の壁材料は、上述の半径方向に撓み可能な可撓性用量排出アーム250を提供するために除去され、近位部分では、壁材料は、第1および第2の半径方向に撓み可能な用量設定アーム251、252を提供するために除去され、後者は、溝付きアクチュエータカラー286によって作動される。欧州特許出願公開第2017/077850号でより詳細に説明するように、2つの用量設定アームは、組み合わせられた部材285の増分上昇/下降回転を決定することを可能にし、これは次に、現在設定されている用量サイズを示すように、表示を制御するために使用される。
【0092】
電子手段による装置の動作を監視するために、電子回路260は、装置によって実行される動作に関連するイベントを登録するために、すなわち、設定用量の薬剤の排出を登録するために、装置200上に配設される。示した実施形態では、電子回路260は、可撓性シートの形態であり、その上には、インジケータ構造250、251、252の運動によって作動するように適合された入力手段、メモリを有するプロセッサおよび無線通信手段265、ディスプレイ269、ならびにエネルギー源268が形成および取り付けられ、プロセッサは、入力手段からの測定値を基準にして、アクチュエータ部材の回転位置および/または回転運動を決定し、それによって、薬剤の排出用量のサイズを計算するように適合されている。可撓性シートは、例えば、接着手段によってペン式装置の湾曲したハウジング表面203上に取り付けられるように適合されている。
【0093】
示される実施形態では、入力手段は、可撓性アーム251、252、253上に取り付けられ、かつそれらによって、可撓性アームがそれぞれ回転アクチュエータ部材および用量設定アクチュエータカラー286によって移動するときに出力を生成するように適合された圧電センサ261、262、263の形態のアクティブ変換器である。
【0094】
上述の構成要素のうちの1つ以上、例えば、圧電センサ、ディスプレイ、アンテナ、および電池の形態のエネルギー源が可撓性シート上にプリントされてもよい。その他の構成要素、例えば、プロセッサおよび関連付けられたメモリ、ならびにBLE無線チップは、可撓性シート上に取り付けられた表面であってもよい。
【0095】
組み込まれた用量ロギング回路を含む薬剤送達装置の更なるタイプは、用量が設定されているときに用量設定および作動ボタンが装置から軸方向に延在する従来の手動(すなわち、非ばね駆動)の薬剤送達装置の形態であり、用量ロギング回路は、用量設定ボタンに配置されており、かつ例えば、用量設定および/または用量排出中に回転を登録するように適合された従来の回転エンコーダを備える。NovoPen(登録商標)6のようなこうした装置の具体的な実施例は、Novo Nordisk A/Sによって販売および製造されており、無線NFC送信手段を備えるペン式装置は、用量ログデータが外部装置に転送されることを可能にするが、装置は、上述の送信セットアップを実装するBLE無線を使用するように修正され得る。NovoPen(登録商標)6はディスプレイを備えるが、代替的に、この特徴を省くことができる。
【0096】
図6を参照すると、ばね駆動タイプの薬剤送達ペン式装置400上に取り付けられたアドオン用量ロギング装置300を備える薬剤送達アセンブリ500が示されており、アドオン装置は、ペン式装置上に取り付けられたときに動的な用量ログを生成するための電子回路を組み込んでいる。本文脈では、装置は、本発明の実施形態を使用することができる組み合わせの装置の具体的な実施例を提供する、「ジェネリック」薬剤送達装置を表している。
【0097】
ロギングモジュール300は、本体部分310と、アドオン装置が略円筒形のペン式装置上に取り付けられることを可能にする、リング形成部分320と、を含む。本体部分は、電子回路、およびカートリッジから排出される薬剤の量を表す特性を検出することができるセンサ手段を含み、更にデータをユーザに表示するための任意のディスプレイ330を含む。リング部分は、アドオン装置がペン本体上に確実に正しく取り付けられることを可能にする連結手段を含む。電子回路およびセンサ手段は、部分的にリング部分内に配置され得る。
【0098】
ペン式装置は、薬剤の用量の排出中に磁石が一緒に回転するインジケータ要素を含み、磁石は、センサ手段が磁石の空間位置および配向に対応して変化する空間的磁場を生成するように構成されている。アドオン装置は、磁場を測定するように適合されたセンサ手段、ならびに測定値に基づいて回転運動を決定し、および/または、それに基づいて用量ログを作成することができるインジケータ要素の位置を決定するように構成されたプロセッサ手段を含む。アドオン装置およびペン式装置の両方の例示的な実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる、より詳細な国際公開第2014/161952号に説明されている。更に、示されたアドオン装置300には、上述の送信プロトコルを使用して、用量ログデータを外部装置に転送することを可能にする無線通信手段が提供されている。
【0099】
ばね駆動タイプの薬剤送達ペン式装置上に取り付けられるように適合されたアドオン用量ロギング装置の更なる実施例が、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/057911号に示されている。
【0100】
例示的な実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について説明された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度まで、説明してきた。異なる構成要素に対する詳細な構築および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
【0101】
上記の開示では、本発明の態様は、血糖を制御する効果を有する薬剤(例えば、ヒトインスリンおよびその類似体、ならびに非インスリン(例えば、GLP-1およびその類似体))、ならびに他のタイプの薬剤(例えば、成長ホルモンまたは血友病治療薬)を注射するために典型的に使用されるペン型の薬剤送達装置における実装形態に基づいて説明されてきた。あるいは、薬剤送達装置は、例えば、インスリン製剤などの身体装着型薬剤輸液ポンプの形態であってもよい。
【0102】
しかしながら、これらは例示的な実装形態にすぎない。例えば、本発明の態様は、例えば、皮膚表面上に取り付けられるように適合され、かつ血糖値または皮膚温度などの生理学的パラメータを測定およびロギングするように適合されたセンサ装置に実装され得る。あるいは、センサ装置は、例えば、心電図の値を測定およびロギングするように適合されたペースメーカーに移植されるように適合された装置の形態であり得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
【国際調査報告】