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特表2023-553310硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造
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  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図1A
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図1B
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図2
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図3
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図4
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図5
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図6
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図7
  • 特表-硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造
(51)【国際特許分類】
   H01F 3/02 20060101AFI20231214BHJP
   H01F 1/00 20060101ALI20231214BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20231214BHJP
   H01F 1/16 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
H01F3/02
H01F1/00 127
H01F27/245
H01F1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531532
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021072400
(87)【国際公開番号】W WO2022120319
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】17/108,096
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523191339
【氏名又は名称】フェリック インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】レカス、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥルケン、ノア
(72)【発明者】
【氏名】シシコフ、デニス
【テーマコード(参考)】
5E040
5E041
【Fターム(参考)】
5E040AA04
5E040AA06
5E040AA11
5E040AB03
5E040CA20
5E040NN06
5E040NN12
5E041AA05
5E041AA06
5E041AA07
5E041AA11
5E041AA19
5E041CA02
5E041NN06
5E041NN12
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 平面磁気コアは、複数の硬質強磁性バイアス層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層を含む。各強磁性層は、1つの軟質強磁性層、または1つの硬質強磁性バイアス層を有する。各硬質強磁性バイアス層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である。前記平面磁気コアはまた、複数の絶縁層を含み、各絶縁層は、隣接する強磁性層の間に配置される。各強磁性層は、前記平面磁気コアの主面に平行、かつ互いに整列された磁化容易軸を有する。各硬質強磁性層は、当該硬質強磁性層を、磁化容易軸に平行な第1の方向に通過する面内バイアス磁束を発生させるように磁化され、隣接する軟質強磁性層を、前記第1の方向に平行な第2の方向に通過する閉路を形成する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に積層された平面磁気コアであって、
複数の硬質強磁性層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層であって、
各強磁性層は、前記軟質強磁性層のうちの1つ、または前記硬質強磁性層のうちの1つを有し、
各硬質強磁性層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である、
前記複数の強磁性層と、
複数の絶縁層であって、各絶縁層は、隣接する強磁性層の間に配置されるものである、前記複数の絶縁層と
を有し、
各強磁性層は、前記平面磁気コアの主面に平行、かつ互いに整列された磁化容易軸を有するものである、
平面磁気コア。
【請求項2】
請求項1記載の平面磁気コアおいて、前記強磁性層は、当該平面磁気コアの高さに沿って積層されるものである、平面磁気コア。
【請求項3】
請求項1記載の平面磁気コアおいて、前記複数の硬質強磁性層は、最上層の強磁性層として配置された最上層の硬質強磁性層を含むものである、平面磁気コア。
【請求項4】
請求項3記載の平面磁気コアおいて、前記複数の硬質強磁性層は、最下層の強磁性層として配置された最下層の硬質強磁性層を含むものである、平面磁気コア。
【請求項5】
請求項4記載の平面磁気コアおいて、前記複数の軟質強磁性層は、前記最上層および最下層の硬質強磁性層の間に配置されているものである、平面磁気コア。
【請求項6】
請求項5記載の平面磁気コアおいて、前記複数の軟質強磁性層は、N個の軟質強磁性を有するものであり、Nは3以上の奇数の整数である、平面磁気コア。
【請求項7】
請求項4記載の平面磁気コアおいて、
各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚は同一であり、
各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚は同一であり、
前記硬質強磁性層厚は、前記軟質強磁性層厚に関連しているものである、
平面磁気コア。
【請求項8】
請求項7記載の平面磁気コアおいて、前記軟質強磁性層厚に対する前記硬質強磁性層厚の比は、
【数14】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化である、
平面磁気コア。
【請求項9】
請求項5記載の平面磁気コアおいて、
前記最上層および最下層の硬質強磁性層の各々は、当該硬質強磁性層の各々を、当該硬質強磁性層の磁化容易軸に平行な第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように磁化されるものである、平面磁気コア。
【請求項10】
請求項9記載の平面磁気コアおいて、
前記最上層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第1の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成し、
前記最下層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第2の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成するものであり、
前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を、前記第1の方向と反対の第2の方向に通過するものである、
平面磁気コア。
【請求項11】
請求項10記載の平面磁気コアおいて、
前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を通過する前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を前記第2の方向に通過する磁束を誘導するものであり、
前記第1の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第3の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成し、
前記第2の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第4の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成するものであり、
前記最上層硬質強磁性層および前記第3の隣接する軟質強磁性層は、前記第1の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層であり、
前記最下層硬質強磁性層および前記第4の隣接する軟質強磁性層は、前記第2の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層である、
平面磁気コア。
【請求項12】
請求項1記載の平面磁気コアおいて、前記硬質強磁性層および前記軟質強磁性層は、コバルト、鉄、および/またはニッケルを有するものである、平面磁気コア。
【請求項13】
請求項1記載の平面磁気コアおいて、前記絶縁層は、
(a)アルミニウム、コバルト、クロム、シリコン、タンタル、チタン、および/またはジルコニウム、または
(b)(1)アルミニウム、コバルト、クロム、シリコン、タンタル、チタン、および/またはジルコニウムと(2)酸素および/または窒素の化合物
を有するものである、平面磁気コア。
【請求項14】
請求項1記載の平面磁気コアおいて、
各硬質強磁性層は、50Oeより大きい保磁力を有し、
各軟質強磁性層は、1Oe未満の保磁力を有するものである、平面磁気コア。
【請求項15】
請求項1記載の平面磁気コアおいて、各強磁性層の厚さは、約10nm~約1,000nmの範囲であり、前記各強磁性層の厚さは、当該平面磁気コアの主面と直交する軸に沿って測定されるものである、平面磁気コア。
【請求項16】
請求項15記載の平面磁気コアおいて、各絶縁層の厚さは、約1nm~約50nmの範囲であり、前記各絶縁層の厚さは、前記軸に沿って測定されるものである、平面磁気コア。
【請求項17】
請求項16記載の平面磁気コアおいて、当該平面磁気コアの全体の厚さは、100,000nm以下であり、前記全体の厚さは、前記軸に沿って測定されるものである、平面磁気コア。
【請求項18】
水平に積層された平面磁気コアであって、
複数の軟質・硬質強磁性層対であって、各軟質・硬質強磁性層対は、1つの軟質強磁性層と、1つの硬質強磁性層とを含むものである、前記複数の軟質・硬質強磁性層対と、
各軟質・硬質強磁性層対の前記軟質強磁性層と前記硬質強磁性層との間に配置された対内スペーサー層と、
隣接する軟質・硬質強磁性層対の間に配置された対間スペーサー層と
を有し、
各対間スペーサー層の対間スペーサー層厚は、各対内スペーサー層の対内スペーサー層厚よりも大きいものであり、
前記対間スペーサー層厚および前記対内スペーサー層厚は、当該平面磁気コアの主面と直交する軸に沿って測定されるものである、
平面磁気コア。
【請求項19】
請求項18記載の平面磁気コアおいて、
各軟質・硬質強磁性層対について、前記軟質強磁性層の前記硬質強磁性層に対する相対位置は同一である、平面磁気コア。
【請求項20】
請求項19記載の平面磁気コアおいて、
各軟質・硬質強磁性層対について、前記軟質強磁性層は、前記硬質強磁性層の下方に配置されているものである、平面磁気コア。
【請求項21】
請求項18記載の平面磁気コアおいて、
第1の軟質・硬質強磁性層対と第2の軟質・硬質強磁性層対との間に配置された第1の対間スペーサー層と、
前記第2の軟質・硬質強磁性層対と第3の軟質・硬質強磁性層対との間に配置された第2の対間スペーサー層と
を有し、
前記第2の軟質・硬質強磁性層対は、前記第1の軟質・硬質強磁性層対と前記第3の軟質・硬質強磁性層対との間に配置されているものである、
平面磁気コア。
【請求項22】
請求項18記載の平面磁気コアおいて、
各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚は同一であり、
各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚は同一であり、
前記軟質強磁性層厚および前記硬質強磁性層厚は、前記軸に沿って測定されるものであり、
前記硬質強磁性層厚は、前記軟質強磁性層厚に関連しているものである、
平面磁気コア。
【請求項23】
請求項22記載の平面磁気コアおいて、
各軟質・硬質強磁性層対において、
前記硬質強磁性層は、前記硬質強磁性層を、前記硬質強磁性層の主面内の磁化容易軸に平行な第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように磁化されるものであり、
前記バイアス磁束は、前記軟質強磁性層を、前記軟質強磁性層の主面内の磁化容易軸に平行な第2の方向にのみ通過する閉ループを形成するものである、
平面磁気コア。
【請求項24】
請求項23記載の平面磁気コアおいて、
各軟質・硬質強磁性層対において、
前記軟質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、前記軟質強磁性層を前記第2の方向に通過する磁束を誘導するものであり、
前記誘導磁束は、前記硬質強磁性層を、前記第1の方向にのみ通過する閉ループを形成するものである、
平面磁気コア。
【請求項25】
請求項24記載の平面磁気コアおいて、
前記軟質強磁性層厚に対する前記硬質強磁性層厚の比は、
【数15】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化である、
平面磁気コア。
【請求項26】
請求項25記載の平面磁気コアおいて、
前記第1および第2の対間スペーサー層の対間スペーサー層厚は同一であり、
各対内スペーサー層の対内スペーサー層厚は同一であり、
前記対間スペーサー層厚は、前記対内スペーサー層厚の2倍~10倍の範囲である、
平面磁気コア。
【請求項27】
請求項18記載の平面磁気コアおいて、前記対間スペーサー層および前記対内スペーサー層は、絶縁材料を有するものである、平面磁気コア。
【請求項28】
インダクタであって、
水平に積層された平面磁気コアであって、
複数の硬質強磁性層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層であって、
各強磁性層は、前記軟質強磁性層のうちの1つ、または前記硬質強磁性層のうちの1つを有し、
各硬質強磁性層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である、
前記複数の強磁性層と、
複数の絶縁層であって、各絶縁層は、隣接する強磁性層の間に配置されるものである、前記複数の絶縁層と
を有し、
各強磁性層は、前記平面磁気コアの主面に平行、かつ互いに整列された磁化容易軸を有するものである、
前記平面磁気コアと、
前記平面磁気コアの外側に概ね螺旋状に巻着された導電性巻線と
を有する、インダクタ。
【請求項29】
請求項28記載のインダクタおいて、
各強磁性層は、当該強磁性層の主面内に前記磁化容易軸と直交し、かつ互いに整列された磁化困難軸を有し、
前記導電性巻線は、各強磁性層内にインダクタコイル磁束を発生させるように構成されており、当該インダクタコイル磁束は、前記水平に積層された平面磁気コアを、前記磁化困難軸と平行な方向に通過するものである、
インダクタ。
【請求項30】
請求項28記載のインダクタおいて、
前記複数の硬質強磁性層は、最上層の強磁性層として配置された最上層の硬質強磁性層と、最下層の強磁性層として配置された最下層の硬質強磁性層とを含み、
前記複数の軟質強磁性層は、前記最上層および最下層の硬質強磁性層の間に配置されているものであり、
前記最上層および最下層の硬質強磁性層の各々は、当該硬質強磁性層の各々を、当該硬質強磁性層の磁化容易軸に平行な第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように磁化されるものであり、
前記最上層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第1の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成し、
前記最下層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第2の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成するものであり、
前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を、前記第1の方向と反対の第2の方向に通過するものである、
インダクタ。
【請求項31】
請求項30記載のインダクタおいて、
前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を通過する前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を前記第2の方向に通過する磁束を誘導するものであり、
前記第1の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第3の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成し、
前記第2の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第4の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成するものであり、
前記最上層硬質強磁性層および前記第3の隣接する軟質強磁性層は、前記第1の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層であり、
前記最下層硬質強磁性層および前記第4の隣接する軟質強磁性層は、前記第2の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層である、
インダクタ。
【請求項32】
構造であって、
基板上に形成された多層配線網を有する半導体集積回路を有し、
請求項28に記載のインダクタは、前記多層配線網に組み込まれているものである、
構造。
【請求項33】
製造方法であって、
半導体基板上に、複数の硬質強磁性層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層を堆積する工程であって、
各強磁性層は、前記軟質強磁性層のうちの1つ、または前記硬質強磁性層のうちの1つを有し、
各硬質強磁性層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である、
前記複数の強磁性層を堆積する工程と、
隣接する強磁性層の間に絶縁層を堆積する工程と、
各強磁性層に磁化容易軸を誘導する工程であって、前記磁化容易軸は、互いに整列され、かつ前記半導体基板の上部平面に平行なものである、前記誘導する工程と、
前記硬質強磁性層を第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように前記硬質強磁性層の各々を磁化する工程であって、前記バイアス磁束は、各硬質強磁性層内の磁化容易軸に平行なものである、前記磁化する工程と、
前記複数の強磁性層と、前記絶縁層とを有する水平に積層された平面磁気コアを画定する工程と
を有する製造方法。
【請求項34】
請求項30記載の製造方法おいて、さらに、
各強磁性層に磁化困難軸を画定する工程であって、前記磁化困難軸は、各強磁性層の主面内において前記磁化容易軸と直交するものである、前記磁化困難軸を画定する工程と、
水平に積層された平面磁気コアの周りに導電性巻線を形成する工程であって、前記導電性巻線は、各強磁性層内にインダクタコイル磁束を発生させるように構成されており、このインダクタコイル磁束は、前記水平に積層された平面磁気コアを、前記磁化困難軸と平行な方向に通過するものである、前記形成する工程と
を有する、製造方法。
【請求項35】
請求項33記載の製造方法おいて、さらに、
最上層の強磁性層として最上層の硬質強磁性層を堆積する工程と、
最下層の強磁性層として最下層の硬質強磁性層を堆積する工程と、
前記最下層および最上層の硬質強磁性層の間に前記複数の軟質強磁性層を堆積する工程と
を有する、製造方法。
【請求項36】
請求項35記載の製造方法おいて、
各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚に対する各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚の比は、
【数16】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化であり、
前記軟質強磁性層厚および前記硬質強磁性層厚は、前記半導体基板の上部平面と直交する軸に沿って測定されるものである、
製造方法。
【請求項37】
請求項33記載の製造方法おいて、さらに、
複数の軟質・硬質強磁性層対を堆積する工程であって、各軟質・硬質強磁性層対は、前記軟質強磁性層のうちの1つと、前記硬質強磁性層のうちの1つとを含むものである、前記複数の軟質・硬質強磁性層対を堆積する工程と、
各軟質・硬質強磁性層対の前記軟質強磁性層と前記硬質強磁性層との間に対内スペーサー層を堆積する工程と、
隣接する軟質・硬質強磁性層対の間に対間スペーサー層を堆積する工程と
を有し、
各絶縁層は、前記対内スペーサー層、または前記対間スペーサー層のうちの1つを有するものであり、
各対間スペーサー層の対間スペーサー層厚は、各対内スペーサー層の対内スペーサー層厚よりも大きいものであり、
前記対間スペーサー層厚および前記対内スペーサー層厚は、前記半導体基板の上部平面と直交する軸に沿って測定されるものである、
製造方法。
【請求項38】
請求項37記載の製造方法おいて、
各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚に対する各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚の比は、
【数17】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化であり、
前記軟質強磁性層厚および前記硬質強磁性層厚は、前記軸に沿って測定されるものである、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月1日付で出願した、「MAGNETIC CORE WITH HARD FERROMAGNETIC BIASING LAYERS AND STRUCTURES CONTAINING SAME(硬質強磁性バイアス層を有する磁気コア、および当該磁気コアを含む構造」と題する、米国特許出願第17/108,096号に対して優先権を主張するものであり、その内容がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、磁気コア、およびインダクタなどの磁気コアを含む装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス用のインダクタは、軟質強磁性層と絶縁層の交互配置を含む。図1Aは、水平に積層された磁気コア10の一般例を示す。このコアは、軟質強磁性層100と、隣接する軟質強磁性層100の間に配置された絶縁体層110とを含む。コイルは、軟質強磁性層100を通して磁束を発生させるように構成されているため、矢印で示すように、交互の磁化状態120が生じる。
【0004】
この構成の問題の1つは、磁束の一部が、隣接層内で閉路を形成することに加えて、所定の層内で閉路を形成することにある。所定の層内に閉路が形成されると、例えば、コア10内の最上層の軟質強磁性層100の平面図である図1Bに示すように、反平行磁化状態135を含む複数の磁区130が発生し、層内閉路のエネルギーが最小限になる。最上層の絶縁体110は、明瞭化のため、図1Bには示していない。磁壁140は、磁気モーメント145の一部がいずれの磁区130とも整列していない磁区130の間に形成される。インダクタコイルからの印加磁界により、磁気モーメント145が再配向され、これによってヒステリシスおよび渦電流による電力損失の双方が生じる。
【0005】
当技術分野における上記の欠点、および/またはその他の欠点を克服することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載する例示的な実施形態は新規性を有する特徴を有するが、いかなる単一の実施形態も必須事項ではなく、また、単一の実施形態のみが好適な特徴に寄与するものではない。以下の説明および図面は、本開示の特定かつ例示的な実施を詳細に説明するものであり、本開示の様々な原理を実施するためのいくつかの例示的態様を示すものである。しかしながら、このような具体例は本開示において可能である様々な実施形態を包括するものではない。特許請求の範囲を限定することなく、以下有利な特徴の概要について説明する。本開示のその他の目的、その他の有利かつ新規性を有する特徴について図面を参照しながら以下の本開示の詳細な説明において記載するが、当該説明および図面は本発明を具体的に説明することを意図するものであって限定するものではない。
【0007】
本発明の1つの観点は、複数の硬質強磁性層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層を有する水平に積層された平面磁気コアに関し、各強磁性層は、前記軟質強磁性層のうちの1つ、または前記硬質強磁性層のうちの1つを有し、各硬質強磁性層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である。前記水平に積層された平面磁気コアは、さらに、複数の絶縁層を有し、各絶縁層は、隣接する強磁性層の間に配置されるものであり、各強磁性層は、前記平面磁気コアの主面に平行な磁化容易軸を有し、この磁化容易軸は、互いに整列されている。
【0008】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記強磁性層は、当該平面磁気コアの高さに沿って積層される。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記複数の硬質強磁性層は、最上層の強磁性層として配置された最上層の硬質強磁性層を含む。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記複数の硬質強磁性層は、最下層の強磁性層として配置された最下層の硬質強磁性層を含む。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記複数の軟質強磁性層は、前記最上層および最下層の硬質強磁性層の間に配置される。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記複数の軟質強磁性層は、N個の軟質強磁性を有し、Nは3以上の奇数の整数である。
【0009】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚は同一であり、各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚は同一であり、前記硬質強磁性層厚は、前記軟質強磁性層厚に関連している。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記軟質強磁性層厚に対する前記硬質強磁性層厚の比は、
【0010】
【数1】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化である。
【0011】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記最上層および最下層の硬質強磁性層の各々は、当該硬質強磁性層の各々を、当該硬質強磁性層の磁化容易軸に平行な第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように磁化される。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記最上層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第1の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成し、前記最下層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第2の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成するものであり、前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を、前記第1の方向と反対の第2の方向に通過する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を通過する前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を前記第2の方向に通過する磁束を誘導するものであり、前記第1の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第3の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成し、前記第2の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第4の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成するものであり、前記最上層硬質強磁性層および前記第3の隣接する軟質強磁性層は、前記第1の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層であり、前記最下層硬質強磁性層および前記第4の隣接する軟質強磁性層は、前記第2の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層である。
【0012】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記硬質強磁性層および前記軟質強磁性層は、コバルト、鉄、および/またはニッケルを有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記絶縁層は、(a)アルミニウム、コバルト、クロム、シリコン、タンタル、チタン、および/またはジルコニウム、または(b)(1)アルミニウム、コバルト、クロム、シリコン、タンタル、チタン、および/またはジルコニウムと(2)酸素および/または窒素の化合物を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、各硬質強磁性層は、50Oeより大きい保磁力を有し、各軟質強磁性層は、1Oe未満の保磁力を有する。1若しくはそれ以上の実施形態において、各強磁性層の厚さは、約10nm~約1,000nmの範囲であり、前記各強磁性層の厚さは、前記平面磁気コアの主面と直交する軸に沿って測定される。1若しくはそれ以上の実施形態において、各絶縁層の厚さは、約1nm~約50nmの範囲であり、前記各絶縁層の厚さは、前記軸に沿って測定される。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記平面磁気コアの全体の厚さは、100,000nm以下であり、前記全体の厚さは、前記軸に沿って測定される。
【0013】
本発明の別の観点は、水平に積層された平面磁気コアに関し、この平面磁気コアは、複数の軟質・硬質強磁性層対であって、各軟質・硬質強磁性層対は、1つの軟質強磁性層と、1つの硬質強磁性層とを含むものである、前記複数の軟質・硬質強磁性層対と、各軟質・硬質強磁性層対の前記軟質強磁性層と前記硬質強磁性層との間に配置された対内スペーサー層と、隣接する軟質・硬質強磁性層対の間に配置された対間スペーサー層とを有し、各対間スペーサー層の対間スペーサー層厚は、各対内スペーサー層の対内スペーサー層厚よりも大きいものであり、前記対間スペーサー層厚および前記対内スペーサー層厚は、前記平面磁気コアの主面と直交する軸に沿って測定される。
【0014】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質・硬質強磁性層対について、前記軟質強磁性層の前記硬質強磁性層に対する相対位置は同一である。1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質・硬質強磁性層対について、前記軟質強磁性層は、前記硬質強磁性層の下方に配置されている。
【0015】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記水平に積層された平面磁気コアは、さらに、第1の軟質・硬質強磁性層対と第2の軟質・硬質強磁性層対との間に配置された第1の対間スペーサー層と、前記第2の軟質・硬質強磁性層対と第3の軟質・硬質強磁性層対との間に配置された第2の対間スペーサー層とを有し、前記第2の軟質・硬質強磁性層対は、前記第1の軟質・硬質強磁性層対と前記第3の軟質・硬質強磁性層対との間に配置されている。
【0016】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚は同一であり、各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚は同一であり、前記軟質強磁性層厚および前記硬質強磁性層厚は、前記軸に沿って測定されるものであり、前記硬質強磁性層厚は、前記軟質強磁性層厚に関連している。1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質・硬質強磁性層対において、前記硬質強磁性層は、前記硬質強磁性層を、前記硬質強磁性層の主面内の磁化容易軸に平行な第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように磁化されるものであり、前記バイアス磁束は、前記軟質強磁性層を、前記軟質強磁性層の主面内の磁化容易軸に平行な第2の方向にのみ通過する閉ループを形成する。1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質・硬質強磁性層対において、前記軟質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、前記軟質強磁性層を前記第2の方向に通過する磁束を誘導するものであり、前記誘導磁束は、前記硬質強磁性層を、前記第1の方向にのみ通過する閉ループを形成する。
【0017】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記軟質強磁性層厚に対する前記硬質強磁性層厚の比は、
【0018】
【数2】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化である。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1および第2の対間スペーサー層の対間スペーサー層厚は同一であり、各対内スペーサー層の対内スペーサー層厚は同一であり、前記対間スペーサー層厚は、前記対内スペーサー層厚の2倍~10倍の範囲である。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記対間スペーサー層および前記対内スペーサー層は、絶縁材料を有する。
【0019】
本発明のさらに別の観点は、インダクタは、水平に積層された平面磁気コアを有し、この平面磁気コアは、複数の硬質強磁性層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層であって、各強磁性層は、前記軟質強磁性層のうちの1つ、または前記硬質強磁性層のうちの1つを有し、各硬質強磁性層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である、前記複数の強磁性層を有する。前記インダクタは、さらに、複数の絶縁層を有し、各絶縁層は、隣接する強磁性層の間に配置される。各強磁性層は、前記平面磁気コアの主面に平行な磁化容易軸を有し、この磁化容易軸は互いに整列されている。前記インダクタは、さらに、前記平面磁気コアの外側に概ね螺旋状に巻着された導電性巻線を有する。
【0020】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各強磁性層は、当該強磁性層の主面内に前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸を有し、この磁化困難軸は、互いに整列されている。前記導電性巻線は、各強磁性層内にインダクタコイル磁束を発生させるように構成されており、このインダクタコイル磁束は、前記水平に積層された平面磁気コアを、前記磁化困難軸と平行な方向に通過する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記複数の硬質強磁性層は、最上層の強磁性層として配置された最上層の硬質強磁性層と、最下層の強磁性層として配置された最下層の硬質強磁性層とを含み、前記複数の軟質強磁性層は、前記最上層および最下層の硬質強磁性層の間に配置されているものであり、前記最上層および最下層の硬質強磁性層の各々は、当該硬質強磁性層の各々を、当該硬質強磁性層の磁化容易軸に平行な第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように磁化されるものであり、前記最上層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第1の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成し、前記最下層硬質強磁性層を通過する前記バイアス磁束は、第2の隣接する軟質強磁性層を通過する閉路を形成するものであり、前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を、前記第1の方向と反対の第2の方向に通過する。1若しくはそれ以上の実施形態において、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を通過する前記バイアス磁束の各々は、前記第1および第2の隣接する軟質強磁性層を前記第2の方向に通過する磁束を誘導するものであり、前記第1の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第3の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成し、前記第2の隣接する軟質強磁性層を通過する誘導磁束は、第4の隣接する軟質強磁性層を前記第1の方向に通過する閉路を形成するものであり、前記最上層硬質強磁性層および前記第3の隣接する軟質強磁性層は、前記第1の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層であり、前記最下層硬質強磁性層および前記第4の隣接する軟質強磁性層は、前記第2の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層である。
【0021】
本発明の別の観点は、基板上に形成された多層配線網を有する半導体集積回路を有する構造に関し、前記インダクタは、前記多層配線網に組み込まれている。
【0022】
本発明のさらに別の観点は、半導体基板上に、複数の硬質強磁性層と複数の軟質強磁性層とを含む複数の強磁性層を堆積する工程を有する製造方法に関し、各強磁性層は、前記軟質強磁性層のうちの1つ、または前記硬質強磁性層のうちの1つを有し、各硬質強磁性層は、少なくとも1つの軟質強磁性層に隣接する強磁性層である。前記製造方法は、さらに、隣接する強磁性層の間に絶縁層を堆積する工程と、各強磁性層に磁化容易軸を誘導する工程であって、前記磁化容易軸は、互いに整列され、かつ前記半導体基板の上部平面に平行なものである、前記誘導する工程と、前記硬質強磁性層を第1の方向に通過するバイアス磁束を発生させるように前記硬質強磁性層の各々を磁化する工程であって、前記バイアス磁束は、各硬質強磁性層内の磁化容易軸に平行なものである、前記磁化する工程と、前記複数の強磁性層と、前記絶縁層とを有する水平に積層された平面磁気コアを画定する工程とを有する。
【0023】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記製造方法は、さらに、各強磁性層に磁化困難軸を画定する工程であって、前記磁化困難軸は、各強磁性層の主面内において前記磁化容易軸と直交するものである、前記磁化困難軸を画定する工程と、前記水平に積層された平面磁気コアの周りに導電性巻線を形成する工程であって、前記導電性巻線は、各強磁性層内にインダクタコイル磁束を発生させるように構成されており、このインダクタコイル磁束は、前記水平に積層された平面磁気コアを、前記磁化困難軸と平行な方向に通過するものである、前記形成する工程とを有する。
【0024】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記製造方法は、さらに、最上層の強磁性層として最上層の硬質強磁性層を堆積する工程と、最下層の強磁性層として最下層の硬質強磁性層を堆積する工程と、前記最下層および最上層の硬質強磁性層の間に前記複数の軟質強磁性層を堆積する工程とを有する。
【0025】
1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚に対する各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚の比は、
【0026】
【数3】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化であり、前記軟質強磁性層厚および前記硬質強磁性層厚は、前記半導体基板の上部平面と直交する軸に沿って測定される。
【0027】
1若しくはそれ以上の実施形態において、前記製造方法は、さらに、複数の軟質・硬質強磁性層対を堆積する工程であって、各軟質・硬質強磁性層対は、前記軟質強磁性層のうちの1つと、前記硬質強磁性層のうちの1つとを含むものである、前記複数の軟質・硬質強磁性層対を堆積する工程と、各軟質・硬質強磁性層対の前記軟質強磁性層と前記硬質強磁性層との間に対内スペーサー層を堆積する工程と、隣接する軟質・硬質強磁性層対の間に対間スペーサー層を堆積する工程とを有し、各絶縁層は、前記対内スペーサー層、または前記対間スペーサー層のうちの1つを有し、各対間スペーサー層の対間スペーサー層厚は、各対内スペーサー層の対内スペーサー層厚よりも大きいものであり、前記対間スペーサー層厚および前記対内スペーサー層厚は、前記半導体基板の上部平面と直交する軸に沿って測定される。1若しくはそれ以上の実施形態において、各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚に対する各硬質強磁性層の硬質強磁性層厚の比は、
【0028】
【数4】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性層の飽和磁化であり、前記軟質強磁性層厚および前記硬質強磁性層厚は、前記軸に沿って測定される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本概念の要旨および利点の十分な理解のため、好適な実施形態および添付の図面に関する詳細な説明を以下に参照する。
図1A図1Aは、従来の水平に積層された磁気コアの断面図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す、水平に積層された磁気コアの平面図である。
図2図2は、1実施形態による、平面磁気コアの断面図である。
図3図3は、図2に示す平面磁気コアの分解斜視図である。
図4図4は、別の1実施形態による、平面磁気コアの断面図である。
図5図5は、別の1実施形態による、平面磁気コアの断面図である。
図6図6は、図5に示す平面磁気コアの分解斜視図である。
図7図7は、1実施形態による、半導体装置の製造方法のフロー図である。
図8図8は、1実施形態による、基板上の半導体装置に組み込まれた磁気コアインダクタの代表断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
水平に積層された平面磁気コアは複数の強磁性層を含み、この強磁性層は、複数の硬質強磁性バイアス層と、複数の軟質強磁性層とを含む。少なくとも1つの軟質強磁性層は、各硬質強磁性バイアス層の隣接する強磁性層である。各硬質強磁性バイアス層は、当該硬質強磁性バイアス層を第1の方向に通過する面内バイアス磁束を発生させるように磁化される。バイアス磁束は、隣接する軟質強磁性層を第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、第1の方向と第2の方向は反平行)に通過することにより閉路を形成する。強磁性層は、その磁化容易軸が互いに平行であるとともに、第1および第2の方向に対して平行であるように異方性を有する。強磁性層の磁化困難軸は、各強磁性層の主面内で磁化容易軸と直交している。
【0031】
隣接する軟質強磁性層を通過するバイアス磁束により軟質強磁性層の磁気モーメントの磁化の優先方向が設定されることで、硬質強磁性バイアス層と軟質強磁性層(複数可)との間に磁束の層間閉路が形成される。これにより、磁束は、軟質強磁性層を再び通過して閉路を形成する(この場合、第1および第2の方向の双方向に磁化された新たな磁区が形成される)代わりに、隣接する硬質強磁性バイアス層内に閉路が形成されるため、軟質強磁性層内に形成される磁壁の数が減少する。硬質強磁性バイアス層を含まないインダクタコアを使用する場合と比べ、硬質強磁性バイアス層のバイアス磁束によって発生する磁区とそれに関連する磁壁が除去されることにより、インダクタのヒステリシスおよび渦電流電力損失が低減する。
【0032】
水平に積層された平面磁気コアを用いて、インダクタを形成することができる。インダクタコイルは、強磁性層を磁化困難軸に平行な方向に通過するインダクタコイル磁束を発生させるように構成することができる。
【0033】
図2は、1実施形態による水平に積層された平面磁気コア20の断面図である。平面磁気コア20を基板250上に作製、および/または基板250上の多層配線構造に組み込んでインダクタを形成することができる。
【0034】
磁気コア20は、複数の強磁性層200と、絶縁体層210とを含む。各強磁性層200は、軟質強磁性層(soft ferromagnetic layer)202または硬質強磁性バイアス層(hard ferromagnetic bias layer)204のいずれかである。強磁性層200は、複数の軟質強磁性層202と複数の硬質強磁性バイアス層204とを含み、この強磁性層には、(a)軟質強磁性層202と(b)硬質強磁性バイアス層204とが交互に配置されている。強磁性層204は、コア20の高さに沿って(例えば、「z」軸に沿って)積層される。
【0035】
各硬質強磁性バイアス層204は、少なくとも1つの軟質強磁性層202に隣接する強磁性層200である。例えば、図2において、強磁性層200の積層における最上層の強磁性層200Aは、最上層の硬質強磁性バイアス層204である。層200Aに隣接する強磁性層は、軟質強磁性層202である強磁性層200Bである。別の例では、硬質強磁性バイアス層200Cに隣接する強磁性層は、軟質強磁性層200Bおよび200Dである。
【0036】
各強磁性層200は異方性を有し、その磁化容易軸220は「x」軸に平行であり、磁化困難軸222は「y」軸に平行である。例えば、強磁性層200の主面内で、磁化困難軸222は磁化容易軸220と直交している。強磁性層200の主面は、x-y平面に相当する(例えば、強磁性層200の長さは(x)および幅は(y)であり、強磁性層の厚さ(z)はx-y平面と直交する)。いくつかの実施形態では、磁化困難軸および磁化容易軸を永久的または半永久的に設定するために強磁性層200の異方性が製造時に誘導される。例えば、磁化容易軸220は、各強磁性層200の堆積中または堆積後に所望の磁化容易軸220に平行なバイアス磁界を印加し、次に、各強磁性層200にアニール処理を施すことによって設定することができる。
【0037】
各強磁性層200は、コバルト、鉄、および/またはニッケル、若しくはコバルト、鉄、および/またはニッケルを含む化合物または合金を含むことができる。一例では、軟質強磁性層202は、xおよびyがそれぞれ約0.915および約0.04である、CoZrTa1-x-y(CZT)から構成されている。別の例では、軟質強磁性層202は、CoZrTa-B(またはCoZrTaB)、CoNiFe、NiFe、CoFe、および/またはCoFeB、または上記の化合物のいずれかを含む合金から構成することができる。硬質強磁性バイアス層204は、AlNiCo、NdFeB、SmCo、Feのフェライト合金(Co、Sr、および/またはBaなどの1若しくはそれ以上の金属を含む)、または上記の化合物のいずれかを含む合金から構成することができる。
【0038】
絶縁体層210は、(a)アルミニウム、コバルト、クロム、シリコン、タンタル、チタン、および/またはジルコニウム、若しくは(b)(1)アルミニウム、コバルト、クロム、シリコン、タンタル、チタン、および/またはジルコニウムと(2)酸素および/または窒素の化合物で構成することができる。例えば、絶縁体層210は、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化クロム(Cr)、酸化コバルト(Co)、酸化タンタル(Ta)、酸化チタン(Ti)、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(Al)、窒化タンタル(Ta)、または上記の2若しくはそれ以上の組み合わせから構成することができる。いくつかの実施形態では、絶縁体層210は、隣接する強磁性層200間のスペーサー層として機能することができる。各スペーサ層の厚さは、隣接する軟質および硬質強磁性層202、204に閉磁界ループを形成するためのエネルギー状態に関連する。いくつかの実施形態では、スペーサー層の厚さは、例えば、図4に関連して以下に説明するように、軟質および硬質強磁性層202、204の対において閉磁界ループを促進するように調整することができる。
【0039】
コア20の最上層において、絶縁体層210は、キャップ層212として機能することができる。コア20の最下層において、絶縁体層210は、接着層214として機能することができる。当然のことながら、磁気コア20は、反転または回転可能であるため「最上層」および「最下層」という用語は該当しないが、層は、互いに対して同じ相対位置を維持する。
【0040】
硬質強磁性バイアス層204は、対応するバイアス磁界を発生させるために磁化される。硬質強磁性バイアス層204を通過する、バイアス磁界から発生する面内バイアス磁束230は、磁化容易軸220に平行な第1の方向(例えば、図2の矢印で示すように右から左へ向かう方向)に存在する。各硬質強磁性バイアス層204を通過するバイアス磁束230は、曲線矢印235で示すように、隣接する軟質強磁性層(複数可)202を通過することで閉バイアス磁界ループを形成する。各軟質強磁性層202を通過するバイアス磁束230は、第1の方向と反対の方向(例えば、反平行)である第2の方向(例えば、左から右へ向かう方向)に存在する。第2の方向は、磁化容易軸220に平行である。
【0041】
バイアス磁束230が、(曲線矢印235で示すように)隣接する硬質強磁性バイアス層(複数可)204を通過して閉ループを形成する場合、同一の軟質強磁性層202を通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、各軟質強磁性層202内に磁壁を形成する)場合よりも低エネルギーである。例えば、硬質強磁性層204は、軟質強磁性層202よりも高透磁率を有する。
【0042】
軟質強磁性層202を通過するバイアス磁束230は、磁気モーメント、および軟質強磁性層202を第2の方向に通過する誘導磁束240を発生させる。バイアス磁束230と同様に、誘導磁束240が、(曲線矢印235で示すように)隣接する硬質強磁性バイアス層(複数可)204を通過して閉ループを形成する場合、同一の軟質強磁性層202を通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、各軟質強磁性層202内に磁壁が形成される)場合よりも低エネルギーである。
【0043】
コア20が高周波数(例えば、少なくとも1MHz)で動作するインダクタに組み込まれる場合、軟質強磁性層202内の磁壁を減少させることで、(例えば、コア20が硬質強磁性バイアス層204を含まない場合と比べ、積層コア20の保磁力を低下させることにより)コア20の効率を向上させることができる。例えば、コア20は、硬質強磁性バイアス層204を含まない場合と比べ、ヒステリシスおよび渦電流電力損失を低減することができる。
【0044】
各硬質強磁性バイアス層204は、約50Oeよりも大きい保磁力を有することができ、例えば、約250Oe、約500Oe、約750Oe、および前述の保磁力の任意の2つの間の任意の範囲または値を含む、約50Oe~約1,000Oeの範囲の保磁力を有することができる。各軟質強磁性層204は、約1Oe未満の保磁力を有することができ、例えば、約0.1Oe、約0.25Oe、約0.5Oe、約0.75Oe、および前述の保磁力の任意の2つの間の任意の範囲または値を含む、約0.01Oe~1Oeの範囲の保磁力を有することができる。
【0045】
各強磁性層200の厚さは、約10nm~約1,000nmとすることができ、各絶縁層210の厚さは、約1nm~約50nmとすることができる。コア20の全体の厚さは、約100,000nm(すなわち、100ミクロン)以下とすることができる。強磁性層200、絶縁層210、およびコア20の厚さは、コア20の主面と直交する「z」軸に沿って測定される。
【0046】
コア20を多層配線構造に組み込んでインダクタが形成される場合、インダクタコイルは、その磁束が強磁性層200内を磁化困難軸222に平行な方向に通過するように、構成および配向させることが好ましい。
【0047】
図3は、図2に示す平面磁気コア20の分解斜視図である。キャップ層212は、明瞭化のため、図3には示していない。図3はさらに、磁束線230、240が、硬質強磁性バイアス層204を第1の方向に通過し、さらに、軟質強磁性層202を第2の方向(すなわち、図3における左から右、右から左へ向かう方向)に通過する状態、および軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204の間に延長する状態を示す。したがって、磁束は、軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204を通過する閉路を有する。軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204を通る磁束線230、240は、磁化容易軸220に平行または実質的に平行(例えば、10度以内)である。さらに、軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204を通る磁束線230、240は、軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204の各主面内において磁化困難軸222と直交または実質的に直交している(すなわち、10度以内)。
【0048】
図4は、別の1実施形態による、平面磁気コアの断面図である。コア40は、以下に説明する点を除いて、コア20と同じである。図4において、軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204は、説明の便宜上、202A、202B、...202N、204A、204B、...204Nとそれぞれ表示されている。コア40における軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204の厚さは、隣接する一対の軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204を通過する磁束が等しくなるように関連付けられている(例えば、共に最適化されている)。すなわち、
【0049】
【数5】
であり、式中、ΦHLは、硬質強磁性バイアス層204を通過する磁束であり、ΦSLは、軟質強磁性層202を通過する磁束である。式(1)は、次のように書き換えることができる。
【0050】
【数6】
式中、μは、自由空間の透磁率、MS_softは、軟質強磁性層202の飽和磁化、MS_hardは、硬質強磁性バイアス層204の飽和磁化、τsoftは、軟質強磁性層202の厚さ、およびτhardは、硬質強磁性バイアス層204の厚さである。
【0051】
式(1)、(2)によれば、隣接する一対の軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204を通過する磁束が等しくなるためには、軟質強磁性層202の厚さに対する硬質強磁性バイアス層204の厚さの比は、
【0052】
【数7】
であり、上記式により、層間磁束閉鎖のための軟質強磁性層および硬質強磁性層の厚さが共に最適化される。図4では、この厚さの比は、各軟質強磁性層202が単位厚さ(UT)を有し、各硬質強磁性バイアス層204が、
【0053】
【数8】
の厚さを有するように示されている。
【0054】
絶縁体層210の厚さは、一対の軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204の閉磁界ループを促進するように調整することができる。通常、コア40は、N個の軟質・硬質強磁性層対440を有し、各軟質・硬質強磁性層対440は、1つの軟質強磁性層202と、1つの硬質強磁性バイアス層204とを有する。N個の軟質・硬質強磁性層対440は、軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204の相対位置が各軟質・硬質強磁性層対440にわたって同一となる反復単位である。例えば、一対の軟質・硬質強磁性層440において、軟質強磁性層202が硬質強磁性バイアス層204の上方に配置されている場合、軟質強磁性層202は、N個の軟質・硬質強磁性層対440のすべてにおいて硬質強磁性バイアス層204の上方に配置される。同様に、一対の軟質・硬質強磁性層440において、軟質強磁性層202が硬質強磁性バイアス層204の下方に配置されている場合、軟質強磁性層202は、N個の軟質・硬質強磁性層対440のすべてにおいて硬質強磁性バイアス層204の下方に配置される。
【0055】
軟質強磁性層202が2つの隣接する硬質強磁性バイアス層204を有する場合、当該軟質強磁性層202と第1の隣接する硬質強磁性バイアス層204(例えば、隣接する一対の軟質・硬質強磁性層440における硬質強磁性体バイアス層204)との間に配置される第1の絶縁体210の厚さは、当該軟質強磁性層202と第2の隣接する硬質強磁性バイアス層204(例えば、当該軟質強磁性層202の一対の軟質・硬質強磁性層440における硬質強磁性バイアス層204)との間に配置される第2の絶縁体210の厚さより大きくすることができる。軟質強磁性層202Aを例にとると、絶縁体層210Bの厚さは、絶縁体層210Aの厚さよりも大きい。より肉厚の絶縁体層(例えば、絶縁体層210B)を、対間スペーサー層(inter-pair spacer layer)400という。またより肉薄の絶縁体層(例えば、絶縁体層210A)を、対内スペーサー層(intra-pair spacer layer)410という。
【0056】
対間スペーサー層400は、対内スペーサー層410の厚さの約2倍~約10倍であってもよい。対内スペーサー層410の厚さは、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、および前述の厚さのうちの任意の2つの間の任意の値または範囲を含む、約1nm~約50nmであってもよい。したがって、対間スペーサー層400の厚さは、対内スペーサー層410よりも大きい。各層(例えば、強磁性層200および絶縁体層210)の厚さは、基板250の上部および下部平面とコア40の主面と直交する「z」軸に沿って測定される。
【0057】
絶縁体層の厚さがこのように異なることにより、バイアス磁束および誘導磁束230、240が軟質強磁性層202Aを通過して、硬質強磁性バイアス層204Aを通過する戻り経路を形成する場合の方が、硬質強磁性バイアス層204Bを通過する戻り経路を形成する場合よりも低エネルギーとなる。したがって、軟質強磁性層202Aを通過する磁束(例えば、バイアス磁束および誘導磁束230、240)のすべてまたは実質的にすべては、曲線矢印435で示すように、硬質強磁性バイアス層204Aを通過する閉ループを形成する。さらに、硬質強磁性バイアス層204Aを通過する磁束(例えば、バイアス磁束および誘導磁束230、240)のすべてまたは実質的にすべては、曲線矢印437で示すように、軟質強磁性層202Aを通過する閉ループを形成する。
【0058】
通常、2つの隣接する硬質強磁性バイアス層204を有する各軟質強磁性層202について、対間スペーサー層400は、各軟質強磁性層202の第1の側面420上に(例えば、直接物理的に接触して)配置され、対内スペーサー層410は、各軟質強磁性層202の第2の側面425に(例えば、直接物理的に接触して)配置される。第1および第2の側420、425は、軟質強磁性層202において対向する側にある。図4では、第1の側面420は、各軟質強磁性層202の底部にあり、底部は上部よりも基板250に近い。コア40の最下層に位置する軟質強磁性層202Nに隣接する硬質強磁性バイアス層204Nは1つのみであるため、磁化を設定するために、当該軟質強磁性層202Nの底面の下方により肉厚の対間スペーサー層400は必要ではない。その代わりに、より肉薄の接着層214が軟質強磁性層202Nの下方に形成される。接着層214およびキャップ層212の厚さは、対内スペーサー層410の厚さと同じであってもよい。
【0059】
代替実施形態では、2つの隣接する硬質強磁性バイアス層204を有する各軟質強磁性層202について、対間スペーサー層400は、各軟質強磁性層202の第2の側面425の上に(例えば、直接物理的に接触して)配置され、対内スペーサー層410は、各軟質強磁性層202の上面における各軟質強磁性層の第1の側面425の下に(例えば、直接物理的に接触して)に配置される。これは、硬質強磁性バイアス層204Aがコア40の「最下層」となるように、図4を180度回転させることに対応する。
【0060】
軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204を対にする利点は、1つの硬質強磁性バイアス層204を通過するバイアス磁束230のすべてまたは実質的にすべてを、軟質・硬質強磁性層対440の対応する軟質強磁性層202を通過するように方向付けることによって、各軟質強磁性層202における磁壁の形成を最大限に低減することにある。
【0061】
層間磁束閉鎖が生じる場合でも、軟質強磁性層202内に磁壁が若干存在することが一般的であることに留意されたい。しかしながら、硬質強磁性バイアス層204がコア40から除去された場合など、磁束が主に個々の磁性層内で閉鎖される場合と比べると、磁壁の数は減少する。これは、(1)コアが電力損失の原因となる交番磁界にさらされたときに磁壁が移動することができ、また(2)磁束が個々の磁性層内で閉鎖されたときに形成される磁壁のパターンによって交番磁界に反応する磁性材料の総容量が減少し、結果として達成可能な最大インダクタンスを減少させることができるため、有利である。
【0062】
コア40を多層配線構造に組み込んでインダクタを形成する場合、インダクタコイルの磁束が軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204内を磁化困難軸222に平行な方向に通過するように、インダクタコイルを構成および配向させることが好ましい。
【0063】
図5は、別の1実施形態による、平面磁気コア50の断面図である。平面磁気コア50は、基板550上に作製され、および/または基板550上の多層配線構造に組み込まれてインダクタを形成することができる。
【0064】
コア50は、複数の強磁性層500A~G(総体的に、強磁性層500)と、絶縁体層510とを含む。コア50はまた、キャップ層212と、接着層214とを含む。各強磁性層500は、軟質強磁性層502または硬質強磁性バイアス層504のいずれかである。各強磁性層500は異方性を有し、その磁化容易軸520は「x」軸に平行であり、磁化困難軸522は「y」軸に平行である。したがって、強磁性層500の主面内で、磁化困難軸は磁化容易軸520と直交する。軟質強磁性層および硬質強磁性層502、504はそれぞれ、軟質強磁性層および硬質強磁性層202、204と同じであってもよい。絶縁体層510は、絶縁体層210および/または対内スペーサー層410と同じであってもよい。
【0065】
最上層および最下層(またはそれぞれ最初および最後)の強磁性層500(例えば、層500A、500G)は、硬質強磁性バイアス層504(例えば、最上層および最下層の硬質強磁性バイアス層)である。硬質強磁性バイアス層504は、磁化容易軸520に平行な第1の方向(例えば、右から左へ向かう方向)にバイアス磁界540を発生させるように構成される。最上層および最下層の硬質強磁性バイアス層504の間の強磁性層500のすべては、軟質強磁性層502である。コア50は、各軟質強磁性層502を通過する磁束の半分が、それぞれ隣接する強磁性層500を通過する閉路を形成するように構成される。
【0066】
コア50の最上層では、バイアス磁束530は、硬質強磁性バイアス層500Aを、磁化容易軸520に平行な第1の方向(例えば、右から左へ向かう方向)に通過する。バイアス磁束530は、軟質強磁性層500Bを、磁化容易軸520に平行な第2の方向(例えば、左から右へ向かう方向)に通過して閉ループを形成する戻り経路を有する。軟質強磁性層500Bを通過するバイアス磁束530が、硬質強磁性バイアス層500Aを通過して閉ループを形成する場合、同一の軟質強磁性層500Bを通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、磁壁を形成する)場合よりも低エネルギー状態となる。
【0067】
軟質強磁性層500Bを通過するバイアス磁束530は、磁気モーメント、および軟質強磁性層500Bを第2の方向に通過する誘導磁束540を発生させる。誘導磁束540の大きさは、バイアス磁束530の大きさと等しいか、または略等しい。軟質強磁性層500Bを(例えば、第2の方向に)通過する誘導磁束540は、軟質強磁性層500Cを(例えば、第1の方向に)通過する閉ループを形成するが、ここで誘導磁束540はバイアス磁束530'として機能する。軟質強磁性層500Bを通過する誘導磁束540が、軟質強磁性層500Cを通過して(例えば、バイアス磁束530'として)閉ループを形成する場合、軟質強磁性層500Bを通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、磁壁を形成する)場合よりも低エネルギー状態となる。このように、軟質強磁性層500Bを通過する磁束の半分(例えば、バイアス磁束530)は、硬質強磁性バイアス層500Aを通過する閉ループを形成し、軟質強磁性層500Bを通過する磁束の残りの半分(例えば、誘導磁束540)は、(例えば、バイアス磁束530'として)軟質強磁性層500Cを通過する閉ループ形成する。
【0068】
これは、すべての軟質強磁性層502(例えば、軟質強磁性層500C~500F)について反復される。例えば、軟質強磁性層500Cを通過するバイアス磁束530'は、追加の磁気モーメントおよび軟質強磁性層500Cを通過する誘導磁束540を発生させる。誘導磁束540の大きさは、バイアス磁束530'の大きさと略等しい。軟質強磁性層500Cを(例えば、第1の方向に)通過する誘導磁束540は、軟質強磁性層500Dを(例えば、第2の方向に)通過する閉ループを形成するが、ここで誘導磁束540はバイアス磁束530'として機能する。軟質強磁性層500Cを通過する誘導磁束540が、軟質強磁性層500Dを通過して(例えば、バイアス磁束530'として)閉ループを形成する場合、軟質強磁性層500Cを通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、磁壁を形成する)場合よりも低エネルギー状態となる。このように、軟質強磁性層500Cを通過する磁束の半分(例えば、バイアス磁束530')は、(誘導磁束540として)軟質強磁性層500Bを通過する閉ループを形成し、軟質強磁性層500Cを通過する磁束の残りの半分(例えば、誘導磁束540)は、(例えば、バイアス磁束530')として軟質強磁性層500Dを通過する閉ループ形成する。
【0069】
コア50の最下層において、バイアス磁束530は、硬質強磁性バイアス層500Gを、磁化容易軸520に平行な第1の方向(例えば、右から左に向かう方向)に通過する。バイアス磁束530は、軟質強磁性層500Fを、磁化容易軸520に平行な第2の方向(例えば、左から右に向かう方向)に通過して閉ループを形成する戻り経路を有する。軟質強磁性層500Fを通過する誘導磁束540が、硬質強磁性バイアス層500G通過して閉ループを形成する場合、同一の軟質強磁性層500Fを通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、磁壁を形成する)場合よりも低エネルギー状態となる。
【0070】
軟質強磁性層500Fを通過するバイアス磁束530は、磁気モーメント、および軟質強磁性層500Fを第2の方向に通過する誘導磁束540を発生させる。軟質強磁性層500Fを通過する誘導磁束540の大きさは、軟質強磁性層500Fを通過するバイアス磁束530の大きさと等しいか、または略等しい。
【0071】
軟質強磁性層500Fを(例えば、第2の方向に)通過する誘導磁束540は、軟質強磁性層500Eを(例えば、第1の方向に)通過する閉ループを形成するが、ここで誘導磁束540はバイアス磁束530'として機能する。軟質強磁性層500Fを通過する誘導磁束540が、軟質強磁性層500Eを通過して(例えば、バイアス磁束530'として)閉ループを形成する場合、軟質強磁性層500Fを通過して再び戻ることにより閉ループを形成する(例えば、磁壁を形成する)場合よりも低エネルギー状態となる。このように、軟質強磁性層500Fを通過する磁束の半分(例えば、バイアス磁束530)は、硬質強磁性バイアス層500Gを通過する閉ループを形成し、軟質強磁性層500Fを通過する磁束の残りの半分(例えば、誘導磁束540)は、(例えば、バイアス磁束530'として)軟質強磁性層500Eを通過する閉ループ形成する。
【0072】
軟質強磁性層および硬質強磁性層502、504の厚さは、層間磁束閉鎖のために共に最適化される。図示するように、硬質強磁性バイアス層504を通過する磁束の大きさは、軟質強磁性層502を通過する磁束の大きさの半分に等しいか、または略半分に等しい。したがって、磁束平衡式(1)は、次のように書き換えることができる。
【0073】
【数9】
【0074】
隣接する軟質強磁性層および硬質強磁性層502、504を通過する磁束が等しくなるためには、軟質強磁性層502の厚さに対する硬質強磁性バイアス層504の厚さの比は、
【0075】
【数10】
となり、上記式により、層間磁束閉鎖のための軟質強磁性層および硬質強磁性層の厚さが共に最適化される。図5では、この厚さの比は、各軟質強磁性層502が単位厚さ(UT)を有し、各硬質強磁性バイアス層504が、
【0076】
【数11】
を有するように示されている。各層(例えば、強磁性層500および絶縁体層510)の厚さは、基板550の上部平面および下部平面、およびコア50の主面と直交する「z」軸に関連して測定される。構造の最短方向において「反磁界」が非常に強くなることに留意されたい。この場合、厚さ(「z」寸法)は通常、強磁性層500の「y」および「x」の寸法よりも100倍以上小さく、磁界が非常に強くなるため、ほとんどの場合、「z」軸を容易軸として設定することを阻止する。
【0077】
コア50を多層配線構造に組み込んでインダクタを形成する場合、インダクタコイルの磁束が強磁性層500内を磁化困難軸522に平行な方向に通過するように、インダクタコイルを構成および配向させることが好ましい。
【0078】
通常、コア50は、N個の強磁性層500を含み、Nは3以上の奇数の整数である。すなわち、コア50は、最上層および最下層の硬質強磁性バイアス層504と、最上層および最下層の硬質強磁性バイアス層504の間に配置された奇数の整数の軟質強磁性層502とを含む。軟質強磁性層502を奇数の整数とすることにより、コア50における誘導磁束540の蓄積を防止することができる。
【0079】
図6は、図5に示す平面磁気コア50の分解斜視図である。キャップ層212は、明瞭化のため、図6には示していない。図6は、強磁性層500の磁束線530、530'、540をさらに示す。軟質強磁性層および硬質強磁性層502、504を通過する磁束線530、530'、540は、磁化容易軸520に平行または実質的に平行(例えば、10度以内)である。さらに、軟質強磁性層および硬質強磁性層502、504を通過する磁束線530、および/または540は、軟質強磁性層および硬質強磁性層502、504の各主面内において磁化困難軸522と直交または実質的に直交している(すなわち、10度以内)。
【0080】
図7は、1実施形態による、半導体装置の製造方法のフロー図である。工程700におおいて、強磁性層と絶縁層とを交互に堆積する。強磁性層は、複数の硬質強磁性層と、複数の軟質強磁性層とを含み、各強磁性層は、軟質強磁性層または硬質強磁性層からなる。さらに、各硬質強磁性層は、少なくとも1つ(すなわち、1または2)の隣接する軟質強磁性層に隣接する強磁性層である。例えば、各硬質強磁性層は、水平に積層された磁気コアにおける最上層または最下層の強磁性層とすることができる。この場合、各硬質強磁性層は、1つの軟質強磁性層のみに隣接する強磁性層である(例えば、コアの最上層の硬質強磁性層は、当該最上層の硬質強磁性層の下部に隣接する軟質強磁性層を有し、コアの最下層の硬質強磁性層は、当該最下層の硬質強磁性バイアス層の上部に隣接する軟質強磁性層を有する)。別の例では、硬質強磁性層は、最上層および最下層の強磁性層の間に配置され、この場合、硬質強磁性層は、2つの隣接する軟質強磁性層(硬質強磁性バイアス層の上部および下部に1つずつ)を有する。いくつかの実施形態では、強磁性層は、軟質・硬質強磁性層対に堆積することができる。
【0081】
工程710において、磁化容易軸が各強磁性層に誘導される。磁化容易軸は、半導体装置が形成される半導体基板の上部平面に平行であり、各強磁性層の主面内にある。磁化容易軸は、強磁性層の堆積中または堆積後に誘導することができる(工程700)。例えば、(電着および/またはスパッタ堆積などによる)強磁性層の堆積中に、バイアス磁界を印加することができる。磁化容易軸を形成するために、バイアス磁界は、強磁性層の堆積中に半導体基板の上部平面に平行な方向に強磁性層を通過するように構成される。さらに、または代替的に、バイアス磁界は、堆積後のアニール処理中に印加することができる。
【0082】
各強磁性層に磁化容易軸が誘導されることにより、各強磁性層に磁化困難軸が誘導される。磁化困難軸は、各強磁性層の主面内で磁化容易軸と直交する。例えば、磁化容易軸は「x」軸に平行であり、磁化困難軸は「y」軸に平行であり、強磁性層は「z」軸に沿って堆積することができる。
【0083】
工程720において、各硬質強磁性層は、各硬質強磁性バイアス層を形成するために磁化される。各硬質強磁性バイアス層は、当該各硬質強磁性バイアス層を(例えば、ステップ710で誘導された)各強磁性層における磁化容易軸に平行な第1の方向に通過する面内バイアス磁束を発生させる。バイアス磁束は、第1の方向に配向された磁化状態を有する。バイアス磁束は、第1の方向と反対の第2の方向に向かって隣接する軟質強磁性層を通過することによって閉路を形成する。各硬質強磁性層は、当該硬質強磁性層の堆積中、(例えば、十分な強度の面内磁界の存在下で)堆積後のアニール処理中、および/または(例えば、ステップ710において)硬質強磁性層における磁化容易軸の誘導中に磁化することができる。いくつかの実施形態では、ステップ710および720は同時に実行される。
【0084】
工程730において、強磁性層と絶縁層とを含む水平に積層された平面磁気コアがフォトリソグラフィーおよびエッチングなどにより画定される。
【0085】
いくつかの実施形態では、本方法は、インダクタを形成するように、水平に積層された平面磁気コアの周りに導電性巻線を形成する工程を含む。導電性巻線は、例えば、磁壁移動およびそれに関連するエネルギー損失を回避するために、当該隣接する軟質強磁性層を、少なくとも1つの隣接する軟質強磁性層の磁化困難軸に平行な方向に通過する、インダクタコイルの磁界を形成するように構成することができる。
【0086】
1実施形態において、複数の強磁性層における最上層の強磁性層は、硬質強磁性バイアス層(例えば、最上層の硬質強磁性バイアス層)である。さらにまたは代替的に、複数の強磁性層における最下層の強磁性層は、硬質強磁性バイアス層(例えば、最下層の硬質強磁性バイアス層)である。最上層の強磁性層および最下層の強磁性層がそれぞれ硬質強磁性バイアス層である場合、その他の強磁性層は軟質強磁性層のみ(例えば、奇数の整数の軟質強磁性層)であってもよい。本実施形態では、各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚に対する各硬質強磁性バイアス層の硬質強磁性層厚の比は、上述したように、
【0087】
【数12】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性バイアス層の飽和磁化である。
【0088】
別の実施形態では、強磁性層は、軟質・硬質強磁性層対として堆積され、各軟質・硬質強磁性層対は、1つの軟質強磁性層、1つの硬質強磁性バイアス層とを有する。対内スペーサー層は、各軟質・硬質強磁性層対の軟質強磁性層と硬質強磁性バイアス層との間に堆積され、対間スペーサー層は、隣接する軟質・硬質強磁性層対の間に堆積される。層間スペーサーおよび層内スペーサーは絶縁層であり、各対間スペーサー層の対間スペーサー厚は、各対内スペーサー層の対内スペーサー厚よりも大きい。本実施形態では、各軟質強磁性層の軟質強磁性層厚に対する各硬質強磁性バイアス層の硬質強磁性層厚の比は、
【0089】
【数13】
であり、式中、MS_softは、各軟質強磁性層の飽和磁化、およびMS_hardは、各硬質強磁性バイアス層の飽和磁化である。
【0090】
図8は、1実施形態による、基板810上の半導体装置に組み込まれた磁気コアインダクタ800の代表断面図である。インダクタ800は、水平に積層された磁気コア820と、導電性巻線830とを含む。
【0091】
導電性巻線830は、PMOSおよびNMOSトランジスタゲート862、864、インダクタ800、および集積回路(IC)チップ接触構造832間の電気接続を提供する多層配線網835に統合される。PMOSおよびNMOSトランジスタゲート862、864は、(例えば、シリコン、シリコンオンインシュレータ、またはその他の半導体基板などの)半導体基板810上に作製される。ICチップ接触構造832は、C4接点、はんだバンプ、または銅ピラーから構成することができるが、半導体装置の外部通信のための任意の他の接触部が非限定的に許容可能である。
【0092】
多層配線網835は、配線平面(wiring planes)820の態様で配置されている。各配線平面820は、配線セグメント850を含む。異なる配線平面837の配線セグメント850間の電気的接続は、導電性ビア(VIA)840によって提供される。多層配線網835における空間は、SiOなどの誘電性絶縁材料860で充填される。
【0093】
インダクタ800は、多層配線網835の最上層に組み込まれる。導電性巻線830は、配線セグメント850'と、多層配線網835の最上層上の少なくとも2つの集積平面(integration plane)839に配置されるビア(VIA)840'とで区分的に構成される。導電性巻線830の一部を形成するビア(VIA)840'は、主面875に対して垂直または直交し、2つの集積平面839内の配線セグメント850'を電気的に相互接続する。別の実施形態では、インダクタ800は、多層配線網835の上の集積平面830の代わりに、多層配線網835に統合することができる。
【0094】
磁気コア820は、本明細書に記載される磁気コアのいずれかによって構成することができる。例えば、磁気コア820は、コア20、コア40、またはコア50と同じであるか、若しくはコア20、コア40、またはコア50によって構成することができる。導電性巻線830は、コア820内の軟質強磁性層を通してインダクタコイル磁束を発生させるインダクタコイル磁界を発生させるように構成および/または配置される。インダクタコイル磁束は、各軟質強磁性層における磁化困難軸に平行である。軟質強磁性層を通過するインダクタコイル磁束および軟質強磁性層における磁化容易軸は、平面磁気コア820の主面875に平行および/または実質的に平行であり、この主面875また、配線平面837および半導体基板810の上面812に平行および/または実質的に平行である。
【0095】
インダクタ800は、スイッチドインダクタDC-DC電力変換器(switched inductor DC-DC power converter)などの電力変換器の構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、電力変換器は複数のインダクタを含むことができ、各インダクタは、インダクタ800と同じであるか、または類似している。インダクタは、互いに電気的に並列、互いに電気的に直列、またはそれらの組合せによって配置することができる。複数のインダクタは、同じ集積平面または配線平面上に、若しくは異なる集積平面または配線平面上に集積することができる。
【0096】
本発明は、上述の特定の実施形態に限定されるものと理解されるべきではなく、添付の特許請求の範囲に公正に規定された本発明の態様を全て包含するものと理解されるべきである。種々の変更、等価の工程、および本発明が適用可能な種々の構造は、本開示を検討すれば、本発明の関連分野の当業者にとって明白であると考えられる。特許請求の範囲は、斯かる変更および等価物も包含することを意図する。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】