(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】仕上げ済み縁部を有する圧縮可能な編み補助材
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531589
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 IB2021060811
(87)【国際公開番号】W WO2022112922
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリー・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
(57)【要約】
外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリが提供される。例示的な一実施形態では、ステープル留めアセンブリは、カートリッジと、カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成された編み補助材とを含むことができる。補助材は、第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維を含み、第1の繊維及びスペーサ繊維は絡み合って補助材の上部層を形成し、第2の繊維及びスペーサ繊維は絡み合って補助材の下部層を形成し、第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維は絡み合って上部層と下部層との間に延びる少なくとも1つの仕上げ済み縁部を形成し、少なくとも1つの仕上げ済み縁部はほつれを実質的に防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
内部に配設された複数のステープルを有するカートリッジであって、前記複数のステープルが、組織内に配備されるように構成されている、カートリッジと、
前記カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成された編み補助材であって、前記補助材が、前記カートリッジ内の前記複数のステープルによって組織に取り付けられることができ、前記補助材が、第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維を含み、前記第1の繊維及び前記スペーサ繊維が、絡み合って前記補助材の上部層を形成し、前記第2の繊維及び前記スペーサ繊維が、絡み合って前記補助材の下部層を形成し、前記第1の繊維、前記第2の繊維、及び前記スペーサ繊維が、絡み合って前記上部層と前記下部層との間に延びる少なくとも1つの仕上げ済み縁部を形成し、前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部がほつれを実質的に防止する、編み補助材と、を備える、ステープル留めアセンブリ。
【請求項2】
前記スペーサ繊維が、前記上部層から前記下部層まで延びて、前記上部層と前記下部層との間に中間層を形成する、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項3】
スペーサ繊維のみが前記中間層内に存在する、請求項2に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項4】
前記スペーサ繊維が、前記上部層内で前記第1の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項5】
前記スペーサ繊維が、前記下部層内で前記第2の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の繊維及び前記第2の繊維のうちの少なくとも1つが、マルチフィラメント繊維である、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項7】
前記スペーサ繊維がモノフィラメント繊維である、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、前記補助材の最外縁部の少なくとも一部分に沿って位置付けられている、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、前記補助材の最外周全体を画定している、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項10】
前記カートリッジが、前記カートリッジの内部に形成され、前記カートリッジの長手方向軸の少なくとも一部分に沿って延びるスロットを含み、前記スロットが、対向する第1のスロット縁部と第2のスロット縁部との間に画定され、切断要素を受容するように構成されている、請求項1に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、第1の仕上げ済み縁部及び第2の仕上げ済み縁部を含み、前記第1の仕上げ済み縁部が、前記第1のスロット縁部に隣接してそれに沿って位置付けられており、前記第2の仕上げ済み縁部が、前記第2のスロット縁部に隣接してそれに沿って位置付けられている、請求項10に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項12】
外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
内部に配設された複数のステープルを有するカートリッジであって、前記複数のステープルが、組織内に配備されるように構成されている、カートリッジと、
前記カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成された編み補助材であって、前記補助材が、前記カートリッジ内の前記複数のステープルによって組織に取り付けられることができ、前記補助材が、組織接触面と、前記組織接触面の反対側のカートリッジ接触面とを有し、前記補助材が、
スペーサ繊維と絡み合った第1の繊維から形成された上部層であって、前記組織接触面の少なくとも一部分を画定する、上部層と、
前記スペーサ繊維と絡み合った第2の繊維から形成された下部層であって、前記上部層に対向しており、前記カートリッジ接触面の少なくとも一部分を画定する、下部層と、
前記上部層と前記下部層との間に位置付けられた中間層であって、前記上部層と前記下部層との間に延びる前記スペーサ繊維の部分から形成され、前記スペーサ繊維の前記部分が、前記編み補助材に加えられた力に応じて屈曲するように構成された起立繊維を形成するように配置されている、中間層と、
互いに絡み合い、前記補助材の最外周の少なくとも一部分に沿って位置付けられることによって、それに沿った前記繊維のほぐれを防止する前記第1の繊維、前記第2の繊維、及び前記スペーサ繊維を含む少なくとも1つの仕上げ済み縁部とを含む、編み補助材と、を備える、ステープル留めアセンブリ。
【請求項13】
前記スペーサ繊維が、前記上部層内で前記第1の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、請求項12に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項14】
前記スペーサ繊維が、前記下部層内で前記第2の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、請求項12に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の繊維及び前記第2の繊維のうちの少なくとも1つが、マルチフィラメント繊維である、請求項12に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項16】
前記スペーサ繊維がモノフィラメント繊維である、請求項12に記載のステープル留めアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、組み合わされて、前記補助材の前記最外周全体を画定する複数の仕上げ済み縁部を含む、請求項12に記載のステープル留めアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
圧縮可能な編み補助材及びその使用方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め器具は、外科的処置において、組織、血管、導管、シャント又は特定の処置に関連する他の対象物若しくは身体部位の開口部を閉鎖するために使用される。開口部は、血管内又は胃のような内臓内の通路など、自然に存在するものであってもよく、又は組織若しくは血管穿刺でバイパス若しくは吻合を形成することによって、若しくはステープル留め処置中の組織切開によってなど、外科的処置中に外科医によって形成されることがある。
【0003】
一部の外科用ステープル留め器具では、外科医がステープル留めをされている組織に対して適切なステープル高さを有する適切なステープルを選択する必要がある。例えば外科医は、厚い組織に使用するには背の高いステープルを選択し、薄い組織に使用するには背の低いステープルを選択することができる。しかしながら、状況によっては、ステープル留めされている組織は、一貫した厚さを有さず、したがって、ステープルは、各々のステープルの部位において所望の発射後構成を達成することができない。その結果、ステープル留めされた全ての部位で又はその近くで、望ましい封止を形成することができるというわけではなく、これにより、血液、空気、胃腸液及び他の流体が、封止されていない部位を通って滲出することが起こり得る。
【0004】
更に、ステープルや、ステール留めのような処置と共に植込まれ得る他の物体及び材料は、一般に、それらが植込まれる組織のいくつかの特性を欠いている。例えば、ステープル並びに他の物体及び材料は、それらが植込まれる組織の自然な可撓性を欠くことがあり、したがって、植込み部位における組織内圧力の変動に耐えることができない。このことで、ステープルの部位において、又はその近くで、望ましくない組織の裂け、ひいては漏れに至る可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、外科用ステープラの現在の問題に対処する、改善されたデバイス及び方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリが提供される。例示的な一実施形態では、ステープル留めアセンブリは、カートリッジ及び編み補助材を含む。カートリッジは、内部に配設され、組織内に配備されるように構成された複数のステープルを有する。編み補助材は、カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成されており、補助材がカートリッジ内の複数のステープルによって組織に取り付けられることができる。補助材は、第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維を含む。第1の繊維及びスペーサ繊維は、絡み合って補助材の上部層を形成することができ、第2の繊維及びスペーサ繊維は、絡み合って補助材の下部層を形成することができる。第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維はまた、絡み合って上部層と下部層との間に延びる少なくとも1つの仕上げ済み縁部を形成することができ、少なくとも1つの仕上げ済み縁部がほつれを実質的に防止する。
【0007】
スペーサ繊維は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スペーサ繊維は、上部層から下部層まで延びて、上部層と下部層との間に中間層を形成することができる。他の実施形態では、スペーサ繊維のみが中間層に存在することができる。いくつかの実施形態では、スペーサ繊維は、上部層内で第1の繊維と繰り返しパターンで絡み合うことができる。他の実施形態では、スペーサ繊維は、下部層内で第2の繊維と繰り返しパターンで絡み合うことができる。いくつかの実施形態では、スペーサ繊維は、モノフィラメント繊維であることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の繊維及び第2の繊維のうちの少なくとも1つは、マルチフィラメント繊維であることができる。
【0009】
少なくとも1つの仕上げ済み縁部は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの仕上げ済み縁部は、補助材の最外縁部の少なくとも一部分に沿って位置付けられることができる。他の実施形態では、少なくとも1つの仕上げ済み縁部は、補助材の最外周全体を画定することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの仕上げ済み縁部は、第1の仕上げ済み縁部及び第2の仕上げ済み縁部を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジの内部に形成され、カートリッジの長手方向軸の少なくとも一部分に沿って延びるスロットを含むことができる。スロットは、対向する第1のスロット縁部と第2のスロット縁部との間に画定され、切断要素を受容するように構成されることができる。第1の仕上げ済み縁部は、第1のスロット縁部に隣接してそれに沿って位置付けられることができ、第2の仕上げ済み縁部は、第2のスロット縁部に隣接してそれに沿って位置付けられることができる。
【0011】
別の例示的な実施形態では、外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリは、カートリッジ及び編み補助材を含む。カートリッジは、内部に配設され、組織内に配備されるように構成された複数のステープルを有する。編み補助材は、カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成されており、補助材がカートリッジ内の複数のステープルによって組織に取り付けられることができる。補助材は、組織接触面と、組織接触面の反対側のカートリッジ接触面とを有する。補助材は、上部層、下部層、中間層、及び少なくとも1つの仕上げ済み縁部を含む。上部層は、スペーサ繊維と絡み合った第1の繊維から形成されることができ、組織接触面の少なくとも一部分を画定することができる。下部層は、スペーサ繊維と絡み合った第2の繊維から形成されることができ、上部層に対向しており、カートリッジ接触面の少なくとも一部分を画定することができる。中間層は、上部層と下部層との間に位置付けられ、上部層と下部層との間に延びるスペーサ繊維の部分から形成されることができる。スペーサ繊維の部分は、編み補助材に加えられた力に応じて屈曲するように構成された起立繊維を形成するように配置されることができる。少なくとも1つの仕上げ済み縁部は、互いに絡み合い、補助材の最外周の少なくとも一部分に沿って位置付けられることによって、それに沿った繊維のほぐれを防止する第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維を含むことができる。
【0012】
スペーサ繊維は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スペーサ繊維は、上部層内で第1の繊維と繰り返しパターンで絡み合うことができる。他の実施形態では、スペーサ繊維は、下部層内で第2の繊維と繰り返しパターンで絡み合うことができる。いくつかの実施形態では、スペーサ繊維は、モノフィラメント繊維であることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の繊維及び第2の繊維のうちの少なくとも1つは、マルチフィラメント繊維であることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの仕上げ済み縁部は、組み合わされて、補助材の最外周全体を画定する複数の仕上げ済み縁部を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の発明を実施するための形態を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】従来の外科用ステープル留め及び切断デバイスの例示的な一実施形態の斜視図である。
【
図2A】
図1の外科用ステープル留め及び切断デバイスと共に使用するためのステープルカートリッジの上面図である。
【
図2C】
図2Aのステープルカートリッジの組織接触面の一部分の斜視図である。
【
図3】
図2Aの外科用カートリッジアセンブリのステープルカートリッジ内に配設され得る、未発射(配備前)構成のステープルの側面図である。
【
図4】
図1の外科用ステープル留め及び切断デバイスのナイフ及び発射バー(「E字形梁部」)の斜視図である。
【
図5】
図1の外科用ステープル留め及び切断デバイスのステープルカートリッジのウェッジスレッドの斜視図である。
【
図6】ステープルカートリッジの上面又はデッキ面に取り付けられた圧縮可能な編み補助材を有する外科用ステープル留めアセンブリの例示的な実施形態の長手方向断面図である。
【
図8A】ステープルカートリッジ上に解放可能に保持された圧縮可能な編み補助材を有するステープル留めアセンブリの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図8B】線8B-8Bに沿った
図8Aのステープル留めアセンブリの一部分の断面図である。
【
図9A】圧縮可能な編み補助材の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図9B】線9B-9Bに沿った
図9Aの補助材の断面図である。
【
図10A】ステープルカートリッジ上に解放可能に保持された圧縮可能な編み補助材を有するステープル留めアセンブリの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図10C】線10C-10Cに沿った
図10Bのステープル留めアセンブリの断面図である。
【
図10D】線10D-10Dに沿った
図10Bのステープル留めアセンブリの断面図である。
【
図11A】圧縮可能な編み補助材の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図12】圧縮可能な編み補助材を有するステープル留めアセンブリの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図13A】ステープルカートリッジ上に解放可能に保持された圧縮可能な編み補助材を有するステープル留めアセンブリの別の例示的な実施形態の断面図である。
【
図13B】解放可能に保持される前の、取り外された構成にある
図13Aの圧縮可能な編み補助材及びステープルカートリッジの断面図である。
【
図14A】未圧縮状態の圧縮可能な編み補助材の例示的な実施形態の断面図である。
【
図15A】未圧縮状態の圧縮可能な編み補助材の例示的な実施形態の断面図である。
【
図16A】未圧縮状態の圧縮可能な編み補助材の例示的な実施形態の断面図である。
【
図17A】未圧縮状態の圧縮可能な編み補助材の例示的な実施形態の断面図である。
【
図18A】補強結び目を有する圧縮可能な編み補助材の例示的な実施形態の側面図である。
【
図19A】補強結び目のない圧縮可能な編み補助材の例示的な実施形態の側面図である。
【
図20】圧縮可能な編み補助材の別の例示的な実施形態の断面図である。
【
図21A】圧縮可能な編み補助材の別の例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本明細書に開示される補助材、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示される補助材、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0017】
外科用ステープル留めアセンブリ並びにその製造方法及び使用方法が提供される。一般に、外科用ステープル留めアセンブリは、ステープルが内部に配設されたステープルカートリッジと、ステープルカートリッジ上に解放可能に保持されるように構成された圧縮可能な編み補助材とを含むことができる。本明細書で論じられるように、提供される様々な補助材は、組織の厚さの変化などの組織の特性の変化を補うように、かつ/又は補助材が組織にステープル留めされたときの組織の内殖を促進するように構成されることができる。更に、様々な補助材は、そのほつれ及び/又は裂けを抑制するように設計されることができる。これにより、補助材の審美性及び/又は構造的一体性を改善することができる。
【0018】
例示的なステープル留めアセンブリは、本明細書で説明され、図面に示すように、外科用ステープルの適用を促すための様々な特徴を含み得る。しかしながら、ステープル留めアセンブリがこれらの特徴の一部のみを含んでいるのでもよいこと、及び/又は当技術分野で公知の様々な他の特徴を含んでもよいことは、当業者が理解する。当技術分野で公知の任意のステープル留めアセンブリが使用されることができる。本明細書に述べられるステープル留めアセンブリは、特定の例示的な実施形態を代表することを意図したものに過ぎない。更に、補助材は、外科用ステープルカートリッジアセンブリに関連して説明されているが、補助材は、カートリッジベース又は任意のタイプの外科用デバイスではないステープルの再装填と関連して使用されることができる。
【0019】
図1は、植込み可能な補助材と共に使用するのに好適な、例示的な外科用ステープル留め及び切断デバイス100を示す。図示された外科用ステープル留め及び切断デバイス100は、細長いステープルチャネル104に枢動可能に連結されたアンビル102を有するステープル適用アセンブリ106又はエンドエフェクタを含む。その結果、ステープル適用アセンブリ106は、
図1に示されるような開位置と、アンビル102が細長いステープルチャネル104に隣接して位置付けられてそれらの間に組織を係合する閉位置との間で移動することができる。ステープル適用アセンブリ106は、その近位端で、実施部分110を形成する細長いシャフト108に取り付けることができる。ステープル適用アセンブリ106が閉じられるか、又は少なくとも実質的に閉じられると(例えば、アンビル102が
図1の開位置から細長いステープルチャネルに向かって移動すると)、実施部分110は、トロカールを通してステープル適用アセンブリ106を挿入するのに適した十分に小さい断面を呈することができる。デバイス100は、組織をステープル留め及び切断するように構成されているが、組織をステープル留めするが組織を切断しないように構成された外科用デバイスもまた、本明細書で企図される。
【0020】
様々な状況において、ステープル適用アセンブリ106は、細長いシャフト108に接続したハンドル112によって操作され得る。ハンドル112は、ピストルグリップ118に対して枢動してステープル適用アセンブリ106を閉鎖することができる細長いシャフト108及びステープル適用アセンブリ106を、細長いシャフト108の長手方向軸及び閉鎖トリガ116を中心として回転させる、回転ノブ114などのユーザ制御部を含むことができる。例えば、閉鎖トリガ116がクランプされたとき、閉鎖解放ボタン120はハンドル112の外側に設けられてもよく、これにより閉鎖解放ボタン120を押圧して閉鎖トリガ116のクランプを解除してステープル適用アセンブリ106を開くことができる。
【0021】
発射トリガ122は、閉鎖トリガ116に対して枢動することができ、これによりステープル適用アセンブリ106に、その内部にクランプされた組織の切断とステープル留めとを同時に行わせることができる。様々な事例において、外科医の手によって加えられることが要求される、ストローク1回当たりの力の量を低減するために、複数の発射ストロークが発射トリガ122を使用して用いられることができる。ある特定の実施形態において、ハンドル112は、発射の進行を表示することができる1つ以上の回転式インジケータホイール、例えば、回転式インジケータホイール124を含み得る。手動発射解放レバー126により、必要に応じて、発射システムが発射のための移動を完了する前に、発射システムを後退できるようになり、更に、発射解放レバー126により、発射システムが固着する及び/又は機能しなくなる場合に、外科医又は他の臨床医が発射システムを後退させることが可能となっている。
【0022】
本開示との使用に好適な外科用ステープル留め及び切断デバイス100並びに他の外科用ステープル留め及び切断デバイスに関する更なる詳細は、例えば、米国特許第9,332,984号及び米国特許出願公開第2009/0090763号に記載されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。更に、外科用ステープル留め及び切断デバイスは、ハンドルを含む必要はなく、代わりに、例えば、米国特許出願公開第2019/0059889号に記載されているように、外科用ロボットに連結するように構成されたハウジングを有することができ、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
図1に更に示されるように、ステープルカートリッジ200は、デバイス100と共に利用されることができる。使用時に、ステープルカートリッジ200は、細長いステープルチャネル104内に配置され、かつ連結される。ステープルカートリッジ200は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、
図2A~
図2Bにより詳細に示されるステープルカートリッジ200は、近位端202a及び遠位端202bを有し、近位端202aと遠位端202bとの間に長手方向軸L
Cが延びている。その結果、ステープルカートリッジ200が細長いステープルチャネル104(
図1)に挿入されると、長手方向軸L
Cは、細長いシャフト108の長手方向軸L
Sと整列する。更に、ステープルカートリッジ200は、2つの対向するスロット縁部210a、210bによって画定され、以下で更に論じられるように、
図4の発射アセンブリ400のような発射アセンブリの発射部材の少なくとも一部分を受容するように構成された長手方向スロット210を含む。示されるように、長手方向スロット202は、ステープルカートリッジ200の近位端202aから遠位端202bに向かって延びる。他の実施形態では、長手方向スロット202が省略されることができることも本明細書で企図される。
【0024】
図示されたステープルカートリッジ200は、内部に画定されたステープルキャビティ212、214を含み、各ステープルキャビティ212、214は、ステープル(図示せず)の少なくとも一部分を取り外し可能に収容するように構成される。ステープルキャビティの数、形状、及び位置は、様々であることができ、内部に取り外し可能に配設されるステープルのサイズ及び形状に少なくとも依存することができる。この図示された実施形態では、ステープルキャビティは、2セットの3つの長手方向の列に配置され、第1のセットのステープルキャビティ212は、長手方向スロット210の第1の側に位置付けられ、第2のセットのステープルキャビティ214は、長手方向スロット210の第2の側に位置付けられる。長手方向スロット210の各側面上で、したがって列の各セットについて、ステープルキャビティ212a、214aの長手方向の第1の列は長手方向スロット210に沿って延び、ステープルキャビティ212b、214bの第2の列は、ステープルキャビティ212a、214bの第1の列に沿って延び、ステープルキャビティ212c、214cの第3の列は、ステープルキャビティ212b、214bの第2の列に沿って延びる。列の各セットについて、ステープルキャビティ212a、214bの第1の列、ステープルキャビティ212b、214bの第2の列、及びステープルキャビティ214c、214cの第3の列は、互いに及び長手方向スロット210に平行である。更に、示されるように、列の各セットについて、ステープルキャビティ212b、214bの第2の列は、ステープルキャビティ212a、212c、214a、214cの第1及び第3の列に対して互い違いに配置される。他の実施形態では、各セット212、214内のステープルキャビティの列は、互いに及び/又は長手方向スロット210に平行ではない。
【0025】
ステープルキャビティ212、214内に解放可能に格納されたステープルは、様々な構成を有することができる。ステープルキャビティ212、214の各々に解放可能に格納されることができる例示的なステープル300が、その未発射(配備前、未形成)構成で
図3に示されている。図示されたステープル300は、クラウン(基部)302と、クラウン302の各端部から延びる2つのステープル脚部304とを含む。この実施形態では、クラウン302は直線方向に延び、ステープル脚部304は同じ未形成高さを有するが、他の実施形態では、クラウンはステップアップクラウンであることができ、かつ/又はステープル脚部は異なる未形成高さを有することができる。更に、ステープル300が配備される前に、クラウン302は、ステープルカートリッジ200内に位置付けられたステープルドライバによって支持されることができ、同時に、ステープル脚部304は、ステープルキャビティ212、214内に少なくとも部分的に収容されることができる。更に、ステープル脚部304は、ステープル300が未発射位置にあるとき、ステープルカートリッジ200の上面206のような上面を越えて延びることができる。特定の状況において、
図3に示されるように、ステープル脚部304の先端306は、組織を切開して貫通することができる尖った鋭利であることができる。
【0026】
使用中、ステープル300は、ステープル脚部304がステープルキャビティ212、214を通って移動し、アンビル102とステープルカートリッジ200との間に位置付けられた組織を貫通し、アンビル102と接触するように、未発射位置から発射位置に変形されることができる。ステープル脚部304がアンビル102に対して変形すると、各ステープル300のステープル脚部304は、各ステープル300内の組織の一部分を捕捉し、組織に圧縮力をかけることができる。更に、各ステープル300のステープル脚部304は、ステープル300のクラウン302に向かって下方に変形して、内部に組織が捕捉されることができるステープル捕捉領域を形成することができる。様々な事例において、ステープル捕捉領域は、変形した脚部の内側表面と、ステープルのクラウンの内側表面との間で画定され得る。ステープルの捕捉領域の大きさは、例えば、脚部の長さ、脚部の直径、クラウンの幅及び/又は脚部の変形の程度などのいくつかの要素に依存し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ200内に配設された全てのステープルは、同じ未発射(配備前、未形成)構成を有することができる。他の実施形態では、ステープルは、各々が異なる未発射(配備前、未形成)構成、例えば、高さ及び/又は形状が異なる、互いに対して異なるなどの、少なくとも2つのステープル群を含むことができる。例えば、ステープルカートリッジ200は、ステープルキャビティ212a、214aの第1列内に配設された第1の高さを有する第1のステープル群、ステープルキャビティ212b、214bの第2列内に配設された第2の高さを有する第2のステープル群、及びステープルキャビティ212c、214cの第3列内に配設された第3の高さを有する第3のステープル群を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の高さは異なることができ、第3の高さは、第1の高さ及び第2の高さよりも大きい。他の実施形態では、第1の高さ及び第2の高さは同じであるが、第3の高さは異なり、第1の高さ及び第2の高さよりも大きい。当業者は、ステープルの他の組み合わせが本明細書で企図されることを理解するであろう。
【0028】
更に、ステープルは、1種以上の外部コーティング、例えば、ステアリン酸ナトリウム潤滑剤及び/又は抗菌剤(複数可)を含むことができる。抗菌剤(複数可)は、それ自体のコーティングとしてステープルに適用されるのでも、潤滑剤などの別のコーティングに組み込むのでもよい。好適な抗菌剤の非限定的な例としては、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール、クロルヘキシジン、銀配合物(例えば、ナノ結晶銀)、ラウリン酸エチルエステル(LAE)、オクテニジン、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、タウロリジン、乳酸、クエン酸、酢酸、及びそれらの塩を含む。
【0029】
図2A~
図2Bに戻って参照すると、ステープルカートリッジ200は、上面又はデッキ面206から底面208まで延びている。上面206は、組織に面する表面として構成され、底面208は、チャネルに面する表面として構成される。その結果、
図1に示されるように、ステープルカートリッジ200が細長いステープルチャネル104に挿入されると、上面206はアンビル102に面し、底面208(遮られている)は細長いステープルチャネル104に面する。更に、上面206は、ステープルカートリッジ200の長手方向スロット210に対して遠位に位置付けられる2つの最外末端長手方向縁部207a、207bを有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、上面206は、内部に画定された表面特徴を含むことができる。例えば、表面特徴は、上面206内に画定された凹部チャネルであることができる。
図2Cにより詳細に示されるように、第1の凹部チャネル216は、各第1のステープルキャビティ212a、214aを取り囲む。各第1の凹部チャネル216は、近位方向を向く頂点、遠位方向を向く頂点、及び横方向外側を向く頂点を有する、実質的に三角形の壁部216aによって画定される。更に、各第1の凹部チャネル216は、上面206から第1の高さである第1の床206aを含む。第2の凹部チャネル218は、各第2のステープルキャビティ212b、214bを取り囲む。各第2の凹部チャネル218は、近位方向を向く頂点、遠位方向を向く頂点、長手方向軸に対して横方向内側を向く頂点及び横方向外側を向く頂点を備える実質的なダイヤモンド形状である壁部218aによって画定される。更に、各第2の凹部チャネル218は、上面206から第2の高さである第2の床206bを含む。第3の凹部チャネル220は、各第3のステープルキャビティ212c、214cを取り囲む。各第3の凹部チャネル220は、近位方向を向く頂点、遠位方向を向く頂点、及び長手方向軸に対して横方向内側を向く頂点を備える、実質的に三角形の壁部220aによって画定される。更に、各第3の凹部チャネル220は、上面206から第3の高さである第3の床206cを含む。いくつかの実施形態では、第1の凹部チャネル216の第1の高さ、第2の凹部チャネル218の第2の高さ、及び第3の凹部チャネル220の第3の高さは、同じ高さを有することができる。他の例では、第1の高さ、第2の高さ、及び/又は第3の高さは異なることができる。表面特徴及び他の例示的な表面特徴に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2016/0106427号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
図4及び
図5を参照すると、例えば、発射アセンブリ400などの発射アセンブリは、
図1のデバイス100などの外科用ステープル留め及び切断デバイスと共に利用することができる。発射アセンブリ400は、ステープルカートリッジ200からステープルを配備するように構成されたウェッジ502を有するウェッジスレッド500を、
図1のアンビル102のようなアンビルと、
図1のステープルカートリッジ200のようなステープルカートリッジとの間に捕捉された組織内に前進させるように構成されることができる。更に、発射アセンブリ400の遠位部分にあるE字形梁部402は、ステープルカートリッジからステープルを発射してもよい。発射中、E字形梁部402はまた、アンビルをステープルカートリッジに向かって枢動させ、したがって、ステープル適用アセンブリを開位置から閉位置に向かって移動させることができる。図示されるE字形梁部402は、一対の上部ピン404、ウェッジスレッド500の部分504に沿っていてもよい一対の中間ピン406、並びに下部ピン若しくは足部408を含む。E字形梁部402はまた、発射アセンブリ400が遠位方向に、したがってステープルカートリッジの遠位端に向かって前進する際に、捕捉された組織を切断するように構成された鋭利な切断縁部410を含むことができる。加えて、鋭利な切断縁部410の各垂直端部をブラケット装着する、一体成形され、近位側に突出している上部ガイド412及び中間ガイド414は、組織が切断される前に、組織を鋭利な切断縁部410へ誘導するのを補助する組織ステージングエリア416を更に画定してもよい。中間ガイド414はまた、ステープル適用アセンブリ106によるステープル成形を実現するウェッジスレッド500の段付き中央部材506を当接させることにより、ステープルカートリッジ内のステープルと係合し発射するように機能してもよい。
【0032】
使用時には、
図1のアンビル102は、
図1の閉鎖トリガを押し下げることによって閉位置へと移動させ、
図4のE字形梁部402を前進させることができる。アンビルは、
図2A~
図2Cのステープルカートリッジ200の少なくとも上面206に対して組織を位置決めすることができる。アンビルが適切に位置付けされると、ステープルカートリッジ内に配設された
図3のステープル300が配備されることができる。
【0033】
ステープルカートリッジからステープルを配備するために、上述したように、
図5のウェッジスレッド500は、カートリッジ本体の近位端から遠位端に向かって、したがってステープルカートリッジの近位端から遠位端に向かって移動させることができる。
図4の発射アセンブリ400が前進すると、スレッドは、ステープルカートリッジ内のステープルドライバに接触して、ステープルキャビティ212、214内で上方に持ち上げることができる。少なくとも1つの例において、スレッド及びステープルドライバは各々、1つ以上の傾斜面、つまりは斜めになった表面を含むことができるが、これらが協働して、ステープルドライバを未発射位置から上方に移動させることができる。ステープルドライバが各々のステープルキャビティ内で上方に持ち上げられると、ステープルは上方に前進し、ステープルがステープルキャビティから出て組織内に貫通する。様々な事例において、スレッドは、発射シーケンスの一部として、いくつかのステープルを同時に上方に移動させることができる。
【0034】
上述したように、ステープル留めデバイスは、圧縮可能な補助材と組み合わせて使用されることができる。補助材が示され、以下に説明されるが、本明細書で開示される補助材は、他の外科用デバイスと共に使用されることができ、記載されているようなステープルカートリッジに連結する必要がないことを、当業者は理解するであろう。更に、当業者は、ステープルカートリッジが交換可能である必要がないことも理解する。
【0035】
上述したように、いくつかの外科用ステープラでは、外科医は、ステープル留めされる組織に対して適切なステープル高さを有する適切なステープルを選択することを求められることが多い。例えば、外科医は、厚い組織に使用するには背の高いステープルを利用し、薄い組織に使用するには背の低いステープルを利用する。しかしながら、状況によっては、ステープル留めされている組織は一貫した厚さを有さず、したがって、ステープルは、ステープル留めされた組織の全ての部分(例えば、厚い組織の部分及び薄い組織の部分)に対して、所望の発射後構成を達成することができない。組織の厚さが一貫していないことにより、同じ又は実質的により高い高さを有するステープルが使用される場合、特にステープルの部位が、そのステープルの部位において、かつ/又はステープルの列に沿って内圧にさらされた場合に、ステープルの部位において組織に望ましくない漏れ及び/又は裂けが生じる可能性がある。
【0036】
したがって、手術中に組織をステープル留めする際にステープル高さを考慮する必要性を回避するために、発射済みの(配備済みの)ステープル内に捕捉される組織の様々な厚さを補償するように構成されることができる、編み補助材の様々な実施形態が提供される。すなわち、本明細書に記載される補助材は、同じ又は同様の高さを有するステープルのセットを、様々な厚さの組織(例えば、薄い組織から厚い組織まで)をステープル留めする際に使用されるのを可能にしつつ、補助材と組み合わせて、発射済みステープル内及び発射済みステープル間に適切な組織の圧縮を提供することができる。したがって、本明細書に記載される補助材は、ステープル留めされた薄い又は厚い組織に対して好適な圧縮を維持することができ、それによって、ステープルの部位における漏れ及び/又は組織の裂けを最小限に抑えることができる。
【0037】
代替的に又は追加的に、編み補助材は、組織の内殖を促進するように構成されることができる。様々な状況において、治療される組織(例えば、ステープル留め及び/又は切開される組織)の治癒を促進するため、かつ/又は患者の回復を加速するために、植込み可能な補助材の中への組織の内殖を促進することが望ましい。より具体的には、植込み可能な補助材への組織の内殖により、手術部位での炎症の発生率、程度、及び/又は期間が減少し得る。植込み可能な補助材への、かつ/又はその周辺での組織の内殖は、例えば、手術部位での感染の拡大を管理し得る。例えば植込み可能な補助材への及び/又はその周辺での、血管、特に白血球の内殖は、植込み可能な補助材及び隣接組織の中で及び/又はそれらの周辺で感染に対抗し得る。組織の内殖はまた、患者の身体による異物(例えば、植込み可能な補助材及びステープル)の受容を助成し得、また患者の身体が異物を拒絶する可能性を低減し得る。異物の拒絶により、手術部位では感染及び/又は炎症が生じ得る。
【0038】
一般に、本明細書で提供される編み補助材は、ステープルカートリッジ200のようなステープルカートリッジの上に設計され、位置付けられる。ステープルがカートリッジから発射(配備)されると、ステープルは補助材を貫通して組織内に入る。ステープルの脚部がステープルカートリッジの反対側に位置付けられたアンビルに当たって変形されると、変形した脚部は、補助材の一部分及び各ステープル内の組織の一部分を捕捉する。すなわち、ステープルが組織内に発射されるとき、補助材の少なくとも一部分は、組織と発射済みステープルとの間に配置される。本明細書に記載される補助材は、ステープルカートリッジに取り付けられるように構成され得るが、本明細書では、補助材は、外科用ステープラのアンビルなどの他のデバイスの構成要素と嵌合するように構成され得ることも企図される。当業者は、本明細書で提供される補助材は、交換可能なカートリッジ又はカートリッジベースではないステープルの再装填で使用され得ることを理解する。
【0039】
図6は、ステープルカートリッジ602及び補助材604を含むステープル留めアセンブリ600の例示的な実施形態を示す。簡略化のために、補助材604は、
図6A~
図6Bに概略的に示されており、補助材の様々な構造的構成が、以下でより詳細に説明される。以下に詳細に記載される相違点以外は、ステープルカートリッジ602は、ステープルカートリッジ200(
図1~
図3)と同様であってよく、したがって、共通の特徴はここでは詳細には説明しない。示しているように、補助材604は、ステープルカートリッジ602に対して配置される。
図6では部分的に遮られているが、ステープルカートリッジ602は、
図3のステープル300と同様であり得るステープル606を含み、これは組織内に配備されるように構成される。ステープル606は任意の好適な未成形(配備前)高さを有することができる。例えば、ステープル606は、約2mm~4.8mmの未形成高さを有することができる。配備前に、ステープルのクラウンが、ステープルドライバ(図示せず)によって支持されることができる。
【0040】
図示された実施形態では、補助材604は、ステープルカートリッジ602の上面又はデッキ面608の少なくとも一部分に嵌合されることができる。いくつかの実施形態では、ステープルカートリッジ602の上面608は、
図2A及び
図2Cに示されるように、凹部チャネル216、218、220のような1つ以上の表面特徴を含むことができる。1つ以上の表面特徴は、補助材604と係合して、ステープルカートリッジ602に対する補助材604の望ましくない移動を回避するために、かつ/又はステープルカートリッジ602からの補助材604の早期解放を防止するように構成されることができる。例示的な表面特徴は、米国特許出願公開第2016/0106427号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
補助材604は圧縮可能であり、補助材が様々な高さに圧縮されて、それによって配備されたステープル内に捕捉される異なる組織の厚さを補うことができる。補助材604は、未圧縮(未変形)又は配備前の高さを有し、複数の圧縮(変形)又は配備の高さのうちの1つに変形するように構成されている。例えば、補助材604は、ステープルカートリッジ602内に配設されたステープル606の発射後高さ(例えば、
図7の発射済みステープル606aの高さ(H))よりも高い未圧縮高さを有することができる。すなわち、補助材604は、補助材604の最大限の高さが発射済みステープルの最大限の高さ(例えば、成形構成にあるステープル)よりも高い、未変形状態を有することができる。一実施形態において、補助材604の未圧縮高さは、ステープル606が発射後高さよりも、約10%高く、約20%高く、約30%高く、約40%高く、約50%高く、約60%高く、約70%高く、約80%高く、約90%高く、又は約100%高くすることができる。特定の実施形態では、補助材604の未圧縮高さは、例えば、ステープル606の発射後高さよりも、100%超高くすることができる。
【0042】
使用時に、
図1のデバイス100のような外科用ステープル留め及び切断デバイスが手術部位に向けられると、アンビル612が組織の第1の側に隣接して位置付けられ、ステープル留めアセンブリ600が組織の第2の側に隣接して位置付けられるように、組織がアンビル612とステープル留めアセンブリ600との間に位置付けられる(例えば、組織は、補助材604の組織接触面604aに対して位置付けられることができる)。組織がアンビル612とステープル留めアセンブリ600との間に位置付けられると、外科用ステープラは、例えば上述のように作動され、それによってアンビル612とステープル留めアセンブリ600との間(例えば、アンビル612の組織圧縮面612aと補助材604の組織接触面604aとの間)に組織をクランプし、カートリッジから補助材を通して組織内にステープルを配備して、補助材を組織にステープル留めして取り付けることができる。
【0043】
図7に示されるように、ステープル606が発射されると、組織(T)及び補助材604の一部分は、発射済みの(形成された)ステープル606aによって捕捉される。発射済みステープル606aは各々、捕捉された補助材604及び組織(T)を収容するために、上述のように、その内部に捕捉領域を画定する。発射済みステープル606aによって画定される捕捉領域は、少なくとも部分的に、発射済みステープル606aの高さ(H)によって制限される。例えば、発射済みステープル606aの高さは、約0.160インチ以下であることができる。いくつかの実施形態では、発射済みステープル606aの高さは、約0.130インチ以下であることができる。一実施形態では、発射済みステープル606aの高さは、約0.020インチ~0.130インチであることができる。別の実施形態では、発射済みステープル606aの高さは、約0.060インチ~0.160インチであることができる。
【0044】
上記のように、補助材604は、ステープル内に捕捉された組織の厚さが、各発射済みステープル内で同じであるか又は異なるかどうかにかかわらず、複数の発射済みステープル内で圧縮され得る。少なくとも1つの例示的な実施形態では、ステープルの列の中のステープルは、発射後高さが例えば約2.75mmに変形されることができ、組織(T)と補助材604が、この高さ以内に圧縮されることができる。特定の状況では、組織(T)は、約1.0mmの圧縮高さを有することができ、補助材604は、約1.75mmの圧縮高さを有することができる。特定の状況では、組織(T)は、約1.50mmの圧縮高さを有することができ、補助材604は、約1.25mmの圧縮高さを有することができる。特定の状況では、組織(T)は、約1.75mmの圧縮高さを有することができ、補助材604は、約1.00mmの圧縮高さを有することができる。特定の状況では、組織(T)は、約2.00mmの圧縮高さを有することができ、補助材604は、約0.75mmの圧縮高さを有することができる。特定の状況では、組織(T)は、約2.25mmの圧縮高さを有することができ、補助材604は、約0.50mmの圧縮高さを有することができる。したがって、捕捉された組織(T)及び補助材604の圧縮高さの合計は、発射済みステープル606aの高さ(H)と等しく、又は少なくとも実質的に等しくなることができる。
【0045】
編み補助材は、様々な構成を有することができる。一般に、以下でより詳細に説明するように、編み補助材は、互いに編まれた又は織られた(例えば、絡み合わされた)繊維から形成される。
【0046】
編み補助材は、同じ繊維から形成されることができるが、他の実施形態では、編み補助材は、異なる繊維から形成されることができる。繊維は、材料、寸法(例えば、高さ及び/又は直径)、及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)が異なることができる。特定の実施形態では、編み補助材は、モノフィラメント及び/又はマルチフィラメント繊維を含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「モノフィラメント繊維」は、それ自体の通常及び慣例的な意味を有し、単一のフィラメントから形成された繊維を含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「マルチフィラメント繊維」は、それ自体の通常及び慣例的な意味を有し、一体構造を形成するために互いに関連付けられた(例えば、撚り合わされた、又は編組された)2本以上のフィラメントから形成された繊維を含むことができる。
【0047】
マルチフィラメント繊維は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、各マルチフィラメント繊維は、約6~40本のフィラメントを含む。一実施形態では、各マルチフィラメント繊維は、約14~28本のフィラメントを含む。マルチフィラメント繊維のフィラメント間に存在する表面積及び空隙の増加は、補助材内の組織の内殖の改善を促進することができる。
【0048】
マルチフィラメント繊維は、同じ材料で形成されたフィラメントから、又は異なる材料のフィラメントから形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、マルチフィラメント繊維は、第1の材料の第1のフィラメント及び第2の材料の第2のフィラメントを含むことができる。一実施形態では、第2の材料は、第1の材料の分解速度よりも速い速度で分解する。このようにして、第2の材料の分解は、マクロファージを活性化することができ、したがって、マクロファージを加速度的に引きつけるのを促進し、治癒の炎症フェーズを加速化させ、補助材の植込み後の経時的な可変的剛性プロファイルに実質的に影響を及ぼさない。マクロファージの活性化は、筋線維芽細胞集団及び血管新生の増加を引き起こすことができる。更に、第2の材料の分解は、補助材内での組織の内殖を促進することができる。第1の材料は、例えば、ポリ-L乳酸、グリコリドとL-ラクチドとの共重合体、グリコール酸と乳酸との共重合体、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、及び、グリコリドとカプロラクトンとトリメチレンカーボネートとラクチドとの共重合体のうちの少なくとも1つであり得る。好適な第1の材料の非限定的な例は、ポリグラクチン910、Lactomer(商標)9-1、75:25又は50:50の乳酸/グリコール酸、Polygytone(商標)6211、又はCaprosyn(商標)から形成されることができる。第2の材料は、例えば、Vicryl Rapide(商標)などのグリコリドとL-ラクチドとの共重合体であることができる。
【0049】
マルチフィラメント繊維は、様々な割合範囲で第2のフィラメントを含むことができるが、いくつかの実施形態では、マルチフィラメント繊維は各々、約15%~85%の範囲又は約25%~45%の範囲の第2のフィラメントを含むことができる。第2のフィラメントは、様々な繊維直径を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2のフィラメントは、約0.0005mm~0.02mmの繊維直径を有することができる。一実施形態では、第2のフィラメントは、約0.015mmの繊維直径を有する。
【0050】
モノフィラメント繊維は、様々なサイズを有し得る。例えば、モノフィラメントは、約0.2mm~0.35mmの直径を有することができる。いくつかの実施形態では、モノフィラメント繊維は各々、マルチフィラメント繊維の平均繊維直径よりも小さい直径を有することができる。マルチフィラメント繊維の平均繊維直径(D)は、以下の式を使用して計算することができる。
【0051】
【数1】
式中、
W=単位長さ当たりのマルチフィラメント繊維(繊維束)の重量
N=フィラメントの本数
ρ=繊維の密度
【0052】
マルチフィラメント繊維は、様々なサイズを有し得る。例えば、各マルチフィラメント繊維は、約0.02mm~0.2mm、約0.05mm~0.2mm、又は約0.15mm~0.2mmの平均繊維直径を有することができる。いくつかの実施形態では、マルチフィラメント繊維の各フィラメントは、モノフィラメント繊維の繊維直径よりも小さい直径を有する。例えば、補助材が、マルチフィラメント繊維である第1の繊維、及びモノフィラメント繊維である第2の繊維を含む場合、マルチフィラメント繊維の各フィラメントは、モノフィラメント繊維の直径の約1/5~1/20の直径を有することができる。特定の実施形態では、マルチフィラメント繊維の各フィラメントは、モノフィラメント繊維の直径の約1/10の直径を有することができる。
【0053】
上述したように、補助材の一部分は、発射済みステープル内に組織と共に捕捉されるため、補助材が、好適な生体吸収性材料から形成されることが望ましい。したがって、繊維の各々は、生体吸収性材料(複数可)から形成されることができる。適切な生体吸収性材料の非限定的な例としては、ポリ-L-乳酸、グリコリドとL-ラクチドとの共重合体、グリコール酸と乳酸との共重合体、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、並びにグリコリドとカプロラクトンとトリメチレンカーボネートとラクチドとの共重合体、ポリジオキサノン、ポリジオキサノンとポリグリコリドとの共重合体、ラクチドとポリカプロラクトンとの共重合体、グリコリドとジオキサノンとトリメチレンカーボネートとの共重合体、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシアルカノエート、及びポリグリコネートが挙げられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、編み補助材は、少なくとも2つの異なるタイプの繊維を含むことができる。第1のタイプの繊維に好適な材料の非限定的な例としては、ポリ-L乳酸、グリコリドとL-ラクチドとの共重合体、グリコール酸と乳酸との共重合体、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、及びグリコリドとカプロラクトンとトリメチレンカーボネートとラクチドとの共重合体のうちの少なくとも1つが挙げられる。例えば、第1のタイプの繊維は、ポリグラクチン910、Lactomer(商標)9-1、75:25又は50:50の乳酸/グリコール酸、Polygytone(商標)6211、又はCaprosyn(商標)から形成されることができる。第2のタイプの繊維に好適な材料の非限定的な例としては、ポリジオキサノン、ポリジオキサノンとポリグリコリドとの共重合体、ラクチドとポリカプロラクトンとの共重合体、グリコリドとジオキサノンとトリメチレンカーボネートとの共重合体、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリヒドロキシアルカノエート、及びポリグリコネートのうちの少なくとも1つが挙げられる。例えば、第2のタイプの繊維は、92:8ポリジオキサノン/ポリグリコリド、25:75ラクチド/ポリカプロラクトン、Glycomer(商標)631、又はMaxon(商標)から形成されることができる。一実施形態では、第1のタイプの繊維はポリグラクチン910で形成され、第2のタイプの繊維はポリジオキサノンで形成されている。
【0055】
編み補助材は、異なるサイズ、形状、及び構成を有することができる。一般に、補助材は、少なくともコア層又は中間層と、少なくとも1つの外側層とを含む。例えば、補助材は、互いに編まれた又は織られた少なくとも第1の繊維(例えば、編み層)から形成された第1の外側層(例えば、上部層又は組織接触層)と、互いに編まれた又は織られた少なくとも第2の繊維(例えば、編み層)から形成された第2の外側層(例えば、下部層又はカートリッジ接触層)とを含むことができる。第1の繊維及び第2の繊維は、同じ又は異なることができる。補助材はまた、第1の繊維及び第2の繊維と同じ又は異なることができるスペーサ繊維を含むことができる。スペーサ繊維は、第1の外側層及び第2の外側層と絡み合ってそれらの間に延び、それによって、2つの外側層の間に延びるスペーサ繊維の部分が補助材の少なくとも1つのコア層又は中間層のうちの少なくとも1つを形成するように、これらの層を互いに接続する。
【0056】
補助材の各層は、第1の表面(例えば、上面)から第2の表面(例えば、底面)まで延びている。補助材の全体的な構造的構成に応じて、1つの層の第1の表面の少なくとも一部分は、組織接触面として機能することができ、別の層の第2の表面の少なくとも一部分は、カートリッジ接触面として機能することができる。当業者は、補助材が追加の組織接触面(例えば、上面に対して1つ以上の横方向側面)を有することができることを理解するであろう。
【0057】
いくつかの実施形態では、スペーサ繊維は、スペーサ繊維が非固定的に取り付けられ、摺動可能に相互接続されるように、外側層の第1の繊維及び第2の繊維と相互接続する。したがって、繊維は、互いに対して移動することができ、それによって、編み補助材の移動及びx方向(例えば、伸張)及びy方向(例えば、圧縮)における拡張を可能にする。加えて、スペーサ繊維と外側層の第1の繊維及び第2の繊維との間の相互接続部は、少なくとも部分的に、補助材の剛性に影響を及ぼすことができる。例えば、相互接続部がより密になると、補助材がより高い剛性を有するようになる。
【0058】
第1の外側層及び第2の外側層の各々は、内部に形成された複数の開口部を含むことができる。第1の外側層の開口部の周囲は、第1の繊維及びスペーサ繊維の部分によって画定されることができ、第2の外側層の開口部の周囲は、第2の繊維及びスペーサ繊維の部分によって画定されることができる。特定の実施形態では、第2の外側層の開口部は、
図3のステープル300のようなステープルのクラウンの幅の約1/4未満のサイズを有することができる。したがって、そのような実施形態では、発射済みステープルのクラウンは、第2の外側層の少なくとも4つの開口部にまたがることができる。一実施形態では、開口部は、クラウンの幅の約1/8であるサイズを有することができる。ステープルのクラウンは様々な幅を有することができるが、いくつかの実施形態では、クラウンの幅は、約0.080インチ~0.140インチであることができる。一実施形態において、クラウンの幅は約0.12インチである。
【0059】
特定の実施形態では、第1の外側層と第2の外側層との間に延びるスペーサ繊維の部分は、起立繊維及びそれらの間の複数の空隙を形成するように配置されることができる。起立繊維は、互いに非固定的に取り付けられている。更に、起立繊維は、第1の外側層及び第2の外側層の第1のタイプの繊維に、非固定的かつ摺動可能に相互接続されている。一部の実施態様では、複数の空隙は、第1の外側層及び第2の外側層内の複数の開口部よりも大きいものであることができる。
【0060】
起立繊維は、補助材に加えられる力の下で(例えば、組織にステープル留めされた場合)、屈曲するように構成されることができる。起立繊維の弾力性により、少なくとも部分的に、補助材が様々な高さに圧縮され、それによって異なる厚さの組織部分を有する組織(T)を収容することが可能になる。すなわち、特定の組織の厚さとは無関係に、発射済みステープル内の捕捉された組織及び補助材の圧縮高さの合計を維持することができ、したがって、発射済みステープルの高さに等しいか、又は少なくとも実質的に等しい状態を維持できる。このようにして、少なくとも部分的に、編み補助材は、少なくとも所定の期間(例えば、少なくとも約3日間)にわたって、少なくとも約3gf/mm2の応力を、捕捉された組織に加えるように構成することができる。
【0061】
一般に、各起立繊維の材料組成、高さ及び/又は横断面積が、その剛性又は圧縮下で屈曲する能力を少なくとも部分的に制御し、次いでその能力が、補助材の全体的な圧縮性を少なくとも部分的に制御する。したがって、起立繊維は、補助材の圧縮性を1つ以上の所望の値へと調整するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、起立繊維は同じ材料から形成されることができるが、他の実施形態では、起立繊維の少なくとも一部分は、異なる剛性を有する異なる材料から形成されることができる。代替的に又は追加的に、起立繊維又は少なくともその一部分は、異なる高さ及び/又は横断面積を有することができる。
【0062】
補助材の特定の領域又はセクション内の起立繊維の量はまた、とりわけ、そのようなセクションの圧縮性、ひいては補助材の全体的な圧縮性に影響を及ぼし得る。特定の事例では、例えば、起立繊維を補助材の特定の領域に戦略的に集中させて、そのような領域における圧縮強度を高めることができる。少なくとも1つの事例では、起立繊維は、ステープルが発射されたときにステープルを受容するように構成されたコア層又は中間層の領域に集中させることができる。あるいは、起立繊維は、ステープルが発射されたときにステープルを受容しない補助材の領域(例えば、補助材の意図された切断線と重なる領域)に集中させることができる。
【0063】
起立繊維に対する空隙の比は、様々であることができる。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも約3:1の範囲であることができる。他の実施形態では、空隙の起立繊維に対する比は、少なくとも約5:1、又は少なくとも約12:1の範囲であることができる。更に、空隙の少なくとも一部分は、各々異なるサイズを有することができる。このようにして、補助材804の断面全体にわたる可変的空隙径は、細胞外リモデリングを促進することができる。すなわち、可変的空隙径は、補助材が植込まれたときに、補助材の内部の細胞の血管再生及び移動性を促すことができ、それによって組織及び細胞の内殖の両方を促すことができる。更に、可変的空隙径はまた、植込まれた補助材から、したがって植込み部位からの、副生成物及び細胞廃棄物の抽出を容易にすることができる。
【0064】
縁部条件
上述したように、編み補助材は、互いに編まれた又は織られた繊維から形成される。特定の実施形態では、編み補助材は、繊維の少なくとも一部分の自由端が互いに接続されて、補助材の1つ以上の仕上げ済み縁部を形成するように設計されることができる。1つ以上の仕上げ済み縁部は、それに沿ったほつれ又は繊維分離を、実質的に又は完全に防止するように構成される。その結果、補助材の構造的完全性は、そうでなければ繊維をほつれさせるか、又は互いから分離させるであろう力にさらされたときに、維持されることができる。1つ以上の仕上げ済み縁部はまた、従来の補助材(例えば、仕上げ済み縁部を有さない補助材)と比較して、本補助材の構造及び付随する特性の両方において審美的効果を提供する、かつ/又は変動性を減少させることができる。
【0065】
1つ以上の仕上げ済み縁部は、様々な方法で形成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、追加繊維(複数可)(例えば、補助材の本体を形成するために使用されるものとは異なる繊維)が使用され、補助材の対向する層の末端縁部を互いに相互接続することができる(
図8A~
図10D参照)。そのような実施形態では、追加繊維(複数可)は、様々な構成で(例えば、オーバーキャストステッチ、オーバーエッジステッチ、ジグザグステッチなどとして)末端縁部に編まれるか又は織られることができる。
【0066】
図8A~
図8Bは、ステープルカートリッジ802と、ステープルカートリッジ802の上面又はデッキ面803上に配設された編み補助材804とを含むステープル留めアセンブリ800の例示的な一実施形態を示す。ステープルカートリッジ802は、
図1~
図2Cのステープルカートリッジ200と同様であり、したがって、共通の特徴は、ここでは詳細に説明されない。
【0067】
この図示された実施形態では、
図8Bにより詳細に示されるように、補助材804は、少なくとも第1の繊維808から形成された上部層806(例えば、組織接触層)と、少なくとも第2の繊維812から形成された下部層810(例えば、カートリッジ接触層)と、上部層806及び下部層810と絡み合ってそれらの間に延び、それによって上部層806と下部層810とを互いに接続するスペーサ繊維814とを含む。この図示された実施形態では、スペーサ繊維814は、第1の繊維808の周り及び第2の繊維812の周りに多重にループされている。上部層806と下部層810との間に延びるスペーサ繊維814の部分は、補助材804の中間層又はコア層816を形成する。簡略化のために、1つの第1の繊維808、第2の繊維812、及びスペーサ繊維814のみが
図8Bに示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0068】
上部層806及び下部層810は、様々な構造的構成を有することができる。示されるように、上部層806は、2つの最外長手方向末端縁部806a、806bを有し、下部層は、2つの最外長手方向末端縁部810a、810bを有する。いくつかの実施形態では、上部層806の第1の繊維808は、第1の所定のパターンに編まれるか若しくは織られることができ、かつ/又は下部層810の第2の繊維812は、第2の所定のパターンに編まれるか若しくは織られることができる。特定の実施形態では、第1及び第2の所定のパターンは、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができ、他の実施形態では、第1及び第2の所定のパターンは、異なることができる。第1の繊維808及び第2の繊維812は、様々なパターンで編まれる又は織られることができるが、特定の実施形態では、第1の繊維808は、第1のラッセル編みパターンに編まれることができ、第2の繊維812は、第1のラッセル編みパターンと同じ又は異なる第2のラッセル編みパターンに編まれることができる。更に、いくつかの実施形態では、上部層806の繊維密度は、下部層810の繊維密度とは異なることができる。当業者であれば、第1の繊維808及び第2の繊維812は、それぞれ上部層806及び下部層810内でランダムに又は繰り返して編まれ又は織られ得ることができることを理解するであろう。したがって、簡略化のために、上部層806及び下部層810が一般的に示されており、したがって、上部層806及び下部層810の特定の構造的構成は、図に示されているものに限定されない。
【0069】
第1の繊維808、第2の繊維812、及びスペーサ繊維814は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の繊維808、第2の繊維812、及びスペーサ繊維814は、材料及び/又は構造的構成において概ね同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができる。他の実施形態では、第1の繊維808及び第2の繊維812は、互いに対して材料及び/又は構造的構成が概ね同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができ、スペーサ繊維814は、それらに対して異なることができる。例えば、特定の実施形態では、第1の繊維808及び第2の繊維812はマルチフィラメント繊維であることができ、スペーサ繊維814はモノフィラメント繊維であることができる。したがって、一般的な全体形状は別として、第1の繊維808、第2の繊維812、及びスペーサ繊維814の各々の特定の構造的構成は示されていない。
【0070】
補助材804は様々な構成を有することができるが、
図8Bに示される実施形態では、補助材804は、第1の繊維808、第2の繊維812、及びスペーサ繊維814を含む最内セグメント820と、最内セグメント820の両側(例えば、長手方向側)に、補助材の長手方向軸L
Aに沿って(例えば、z方向に)位置付けされた第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824とを含む。その結果、補助材804がステープルカートリッジ802の上面又はデッキ面803に解放可能に連結されるとき、第1の最外セグメント822は、上面803の第1の最外長手方向縁部805aに隣接し、それに沿って延び、第2の最外セグメント824は、カートリッジ802の上面803の第2の最外長手方向縁部805bに隣接し、それに沿って延びる。
【0071】
第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824は、異なる構造的構成を有することができるが、この図示された実施形態では、第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824は、概して同一である(例えば、製造公差内で名目上同一である)。第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824は各々、第1の繊維808及び第2の繊維812のみを含み、したがって、上部層806の部分及び下部層810の部分のみを含む。すなわち、この図示された実施形態では、スペーサ繊維814は、第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824内に存在せず、その結果、補助材804の機械的挙動は、最内セグメント820によって、したがってスペーサ繊維814の機械的挙動によって主に制御されることができる。他の実施形態では、第1の最外セグメント822及び/又は第2の最外セグメント824は、スペーサ繊維814を含むことができる。更に、示されるように、第1の最外セグメント822は、上部層806及び下部層810の第1の最外長手方向末端縁部806a、810aを含み、その各々は、第1の繊維808及び第2の繊維812の自由端の一部分を含む。同様に、第2の最外セグメント824は、上部層806及び下部層810の第2の最外長手方向末端縁部806b、810bを含み、その各々は、第1の繊維808及び第2の繊維812の自由端の一部分を含む。
【0072】
図8Bにより詳細に示されるように、最内セグメント820内の上部層806及び下部層810の部分は、補助材804の長手方向軸L
Aに沿って互いに平行に延び(例えば、z方向に延びる)、それぞれの距離Dだけ離間している。同様に、第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824内の上部層806及び下部層810のそれぞれの部分は、補助材804の長手方向軸L
Aに沿って互いに平行に延び(例えば、z方向に延びる)、それぞれの距離D
1、D
2だけ離間している。したがって、第1の最外セグメント822内の上部層806及び下部層810の部分は、互いに少なくとも部分的に重なり合い、第2の最外セグメント824内の上部層806及び下部層810の部分は、互いに少なくとも部分的に重なり合う。特定の実施形態では、距離D、D
1、D
2は全て同じ又は全て異なることができ、この図示された実施形態では、距離Dは距離D
1及び距離D
2とは異なり、距離D
1及び距離D
2は概して同一である(製造公差内で名目上同一である)。
【0073】
距離Dと距離D1、D2との間の差は、第1の中間セグメント826及び第2の中間セグメント828を介した補助材804の最内セグメント820と第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824との間のテーパ状の遷移によるものである。第1の中間セグメント826は、最内セグメント820から第1の最外セグメント822まで延び、第2の中間セグメント828は、最内セグメント820から第2の最外セグメント824まで延びる。第1の中間セグメント826及び第2の中間セグメント828は、上部層806のそれぞれの部分が下部層810のそれぞれの部分に対して角度をつけて延びるテーパ状になっている。示されるように、上部層806のそれぞれの部分は、第1の中間セグメント826及び第2の中間セグメント828内の下部層810のそれぞれの部分に向かって延びる。その結果、最内セグメント820の上部層806の部分と下部層810の部分との間の距離Dは、それぞれ、第1の最も外側のセグメント及び第2の最外セグメントの上部層806の部分と下部層810の部分との間の距離D1、D2よりも大きい。距離Dと距離D1、D2との間のこの関係は、補助材804の全体的な機械的挙動に悪影響を及ぼすことなく、第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832のような追加繊維(複数可)を使用して、上部層806及び下部層810の1つ以上の末端縁部を相互接続することを可能にすることができる。
【0074】
更に示されるように、補助材804は、第1の追加繊維830(
図8B)及び第2の追加繊維832(
図8A~
図8B)を含む。第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は、それぞれの第1の仕上げ済み縁部834及び第2の仕上げ済み縁部836を形成し、各仕上げ済み縁部は、それに沿った上部層806及び下部層810のほつれ、したがって第1の繊維808及び第2の繊維812のほつれ及び/又は繊維分離を防止するように構成される。
【0075】
第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は、組成構成(例えば、同じ材料(複数可)から形成される)、寸法(複数可)(例えば、高さ及び/又は直径)、及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)において概して同一(製造公差内で名目上同一)であることができる。特定の実施形態では、第1の追加繊維830及び/又は第2追加繊維832は、モノフィラメント繊維であることができる。他の実施形態では、第1の追加繊維830及び/又は第2の追加繊維832は、マルチフィラメント繊維であることができる。したがって、一般的な全体形状は別として、第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832の特定の構造的構成は示されていない。更に、1つの第1の追加繊維及び1つの第2の追加繊維のみが
図8A~
図8Bに示されているが、当業者であれば、2つ以上の第1の追加繊維及び/又は2つ以上の第2の追加繊維及び/又は他の追加繊維(複数可)を使用して補助材の仕上げ済み縁部を形成することができることを理解するであろう。
【0076】
第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は、様々な方法で補助材804に組み込まれて、第1の仕上げ済み縁部834及び第2の仕上げ済み縁部836を形成することができる。この図示された実施形態では、第1の追加繊維830は、上部層806及び下部層810をそれらの第1の最外長手方向末端縁部806a、810aに沿って相互接続して、第1の仕上げ済み縁部834を形成する。その結果、第1の仕上げ済み縁部834は、第1の繊維808、第2の繊維812、及び第1の追加繊維830から形成され、補助材804の第1の最外長手方向縁部838の少なくとも一部分に沿って位置付けられ、したがってそれを画定する。第2の追加繊維832は、上部層806及び下部層810をそれらのそれぞれの第2の最外長手方向末端縁部806b、810bに沿って相互接続して、第2の仕上げ済み縁部836を形成する。その結果、第2の仕上げ済み縁部836は、第1の繊維808、第2の繊維812、及び第2の追加繊維832から形成され、補助材804の第2の最外長手方向縁部840の少なくとも一部分に沿って位置付けられ、したがってそれを画定する。したがって、補助材の最外周の少なくとも一部分は、第1の仕上げ済み縁部834及び第2の仕上げ済み縁部836によって画定される。
【0077】
更に、第1の追加繊維830及び/又は第2の追加繊維832は、オーバーキャストステッチとして構成されることができる。例えば、
図8Bにより詳細に示されるように、第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は、ループの形態で(例えば、螺旋型又はジグザグ構成で)、第1の最外長手方向末端縁部806a、810a及び第2の最外長手方向末端縁部806b、810bの周りにそれぞれ巻き付けられる。その結果、第1の最外長手方向末端縁部806a、810aにおける第1の繊維808及び第2の繊維812の自由端の部分は、第1の追加繊維830によって互いに固定され、第2の最外長手方向末端縁部806b、810bにおける第1の繊維808及び第2の繊維812の自由端の部分は、第2の追加繊維832によって互いに固定される。他の実施形態では、第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は、他の好適なステッチ形態として構成されることができる。更に、特定の実施形態では、第1の追加繊維830及び第2の追加繊維832は、異なるステッチ形態として構成されることができる。
【0078】
図9A~
図9Bは、それぞれの追加繊維によって形成された1つ以上の仕上げ済み縁部を有する編み補助材900の別の例示的な実施形態を示す。以下に論じられる相違点以外、補助材900は、
図8A~
図8Bの補助材804と同様であり、したがって、共通の特徴はここでは詳細に説明しない。
【0079】
補助材900は、第1の繊維908から形成された上部層906(例えば、組織接触層)と、第2の繊維912から形成された下部層910(例えば、カートリッジ接触層)と、上部層906及び下部層910と絡み合ってそれらの間に延び、それによって上部層906と下部層910とを互いに接続するスペーサ繊維914とを含む。
図9Aに示されるように、上部層906は、少なくとも2つの最外長手方向末端縁部906a、906bと、少なくとも2つの最外横方向末端縁部906c、906dとを有する。下部層910は、少なくとも2つの最外長手方向末端縁部(
図9Aには1つの最外長手方向末端縁部910bのみが示されている)と、少なくとも2つの最外横方向末端縁部910c、910dとを有する。
【0080】
図8A~
図8Bの第1の最外セグメント822及び第2の最外セグメント824と同様の第1の最外セグメント915及び第2の最外セグメント916(
図9A参照)に加えて、補助材900は、第3の最外セグメント918及び第4の最外セグメント920(
図9B参照)を含む。第3の最外セグメント918及び第4の最外セグメント920は、最内セグメント922の両側(例えば、横方向側部)に位置付けられ、(例えば、z方向に延びる)補助材の長手方向軸L
Aに対して直交して(例えば、z方向に)延びる。補助材900内のそれらの位置以外、第3の最外セグメント918及び第4の最外セグメント920は、第1の最外セグメント915及び第2の最外セグメント916と構造的に同様である。
【0081】
更に、
図8A~
図8Bの第1の中間セグメント826及び第2の中間セグメント828と同様の第1の中間セグメント924及び第2の中間セグメント926(
図9A参照)に加えて、補助材900は、第3の中間セグメント928及び第4の中間セグメント930(
図9B参照)を含む。示されるように、第3の中間セグメント928は、最内セグメント922から第3の最外セグメント918まで延び、第4の中間セグメント930は、最内セグメント922から第4の最外セグメント920まで延びる。補助材900内のそれらの位置以外、第3の中間セグメント928及び第4の中間セグメント930は、第1の中間セグメント924及び第2の中間セグメント926と構造的に同様である。
【0082】
図9A~
図9Bに更に示されるように、補助材900は、第1、第2、第3、及び第4の追加繊維932、934、936、938を含み、これらの繊維は、それぞれ第1、第2、第3、及び第4の仕上げ済み縁部940、942、944、946を形成し、これらの仕上げ済み縁部は、それらに沿った上部層906及び下部層910のほつれ、したがって第1の繊維908及び第2の繊維912のほつれ及び/又は繊維分離を防止するように構成される。各追加繊維932、934、936、938は、様々な方法で補助材に組み込まれて、それぞれの仕上げ済み縁部940、942、944、946を形成することができる。第1の仕上げ済み縁部940及び第2の仕上げ済み縁部942は、
図8A~
図8Bの第1の仕上げ済み縁部834及び第2の仕上げ済み縁部836と同様であり、したがって、ここでは詳細に説明しない。
【0083】
第3及び第4の追加繊維936、938は、様々な方法で補助材900に組み込まれて、第3及び第4の仕上げ済み縁部944、946を形成することができる。この図示された実施形態では、第3の追加繊維936は、上部層906及び下部層910をそれらの第1の最外横方向末端縁部906c、910cに沿って相互接続して、第3の仕上げ済み縁部944を形成する。その結果、第3の仕上げ済み縁部944は、第1の繊維908、第2の繊維912、及び第3の追加繊維936から形成され、補助材900の第1の最外横方向縁部948の少なくとも一部分に沿って位置付けられ、したがってそれを画定する。第4の追加繊維938は、上部層906及び下部層910をそれらのそれぞれの第2の最外横方向末端縁部906d、910dに沿って相互接続して、第4の仕上げ済み縁部946を形成する。その結果、第4の仕上げ済み縁部946は、第1の繊維908、第2の繊維912、及び第4の追加繊維938から形成され、補助材900の第2の最外横方向縁部950の少なくとも一部分に沿って位置付けられ、したがってそれを画定する。したがって、補助材900の最外周の少なくとも一部分は、第1、第2、第3、及び第4の仕上げ済み縁部940、942、944、946によって画定される。特定の実施形態では、例えば、
図9Aに示されるように、補助材900の最外周は、仕上げ済み縁部によって完全に画定されることができる。
【0084】
更に、第3の追加繊維936及び/又は第4の追加繊維938は、オーバーキャストステッチとして構成することができる。例えば、示されるように、第3の追加繊維936及び第4の追加繊維938は、ループの形態で(例えば、螺旋型構成で)、第1の最外横方向末端縁部906c、910c及び第2の最外横方向末端縁部906d、910dの周りにそれぞれ巻き付けられる。その結果、第1の最外横方向末端縁部906c、910cにおける第1の繊維908及び第2の繊維912の自由端の部分は、第3の追加繊維936によって互いに固定され、第2の最外横方向末端縁部906d、910dにおける第1の繊維908及び第2の繊維912の自由端の部分は、第4の追加繊維938によって互いに固定される。他の実施形態では、第3の追加繊維936及び第4の追加繊維938は、他の好適なステッチ形態として構成されることができる。更に、特定の実施形態では、第3の追加繊維936及び第4の追加繊維938は、異なるステッチ形態として構成されることができる。
【0085】
代替的に、又は追加的に、補助材は、その最外長手方向末端縁部に対して最内長手方向末端縁部(複数可)(例えば、
図8A~
図8Bの第1及び第2の最外長手方向末端縁部806a、806b、810a、810b)を含むことができる。そのような実施形態では、補助材は、補助材に組み込まれる追加繊維を含むことができ、仕上げ済み縁部(複数可)もまた、最内長手方向末端縁部(複数可)の少なくとも一部分に沿って形成され、したがってこれを画定することができる。例えば、補助材は、ステープルカートリッジの、
図2A~
図2Cの長手方向スロット210のような長手方向スロットを境界付けるように構成された、最内長手方向末端縁部を含むことができる。そのような実施形態では、補助材は、補助材の離間した部分(例えば、補助材がカートリッジに連結されたときに長手方向スロットの両側に位置付けられるように構成された部分)の間に延び、それらを互いにつなぎ合わせる少なくとも1つのブリッジ要素を含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのブリッジ要素は、補助材の切断線の少なくとも一部分、したがって長手方向スロットの少なくとも一部分と重なるように設計されることができる。その結果、少なくとも1つのブリッジ要素は、長手方向スロットを通る切断要素の前進によって切断される。
【0086】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのブリッジ要素は、補助材の部分間に別個の取り付け部を提供するために互いに対して離間された2つ以上のブリッジ要素を含むことができる。そのような部分がカートリッジの長手方向スロットの両側に位置付けられるように構成される実施形態では、別個の取り付け部は、切断要素の前進経路内に位置付けられる補助材料の量を低減させることができる。この材料の低減は、切断要素の前進に対する補助材の抵抗を最小にするのに役立つことができ、とりわけ、切断要素の寿命を改善し、かつ/又は補助材を通って切断要素を前進させるのに必要な力を低減することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのブリッジ要素は、補助材の上部層及び下部層のうちの少なくとも1つの一部分から形成されることができるが、他の実施形態では、少なくとも1つのブリッジ要素は、別個の材料から形成されることができる。代替的に、少なくとも1つのブリッジ要素のうちの1つ以上は、切断要素の前進経路の外側に位置付けられることができ、したがって、切断要素が長手方向スロットを通って前進した後に、補助材の部分を繋ぎ続けることができる。
【0087】
図10A~
図10Dは、ステープルカートリッジ1002と、ステープルカートリッジ1002の上面又はデッキ面1003上に配設され、かつ1つ以上の仕上げ済み縁部を有する編み補助材1004とを有するステープル留めアセンブリ1000の別の例示的な実施形態を示す。ステープルカートリッジ1002は、
図1~
図2Cのステープルカートリッジ200と同様であり、したがって、共通の特徴はここでは詳細に説明されない。更に、以下に記載される相違点以外、補助材1004は、
図8A~
図8Bの補助材804と同様であり、したがって、共通の特徴はここでは詳細に説明しない。
【0088】
補助材1004は、様々な構成を有することができる。例えば、この図示された実施形態では、補助材1004は、第1の長手方向部分1006及び第2の長手方向部分1008を含み、各々が、第1の繊維1014から形成されたそれぞれの上部層1010、1012(例えば、組織接触層)と、第2の繊維1020から形成された下部層1016、1018(例えば、カートリッジ接触層)と、それぞれの上部層1010、1012及び下部層1016、1018と絡み合ってそれらの間に延び、それによって上部層と下部層とを接続するスペーサ繊維1022とを含む。上部層及び下部層1010、1012は、
図8A~
図8Bの上部層806及び下部層810と構造が同様であり、スペーサ繊維1022は、
図8A~
図8Bのスペーサ繊維814と同様であり、したがって、コメントの(comment)特徴はここでは詳細に説明されない。更に、第1の長手方向部分1006の繊維の少なくとも一部分は、第2の長手方向部分1008の繊維の少なくとも一部分と同じ又は異なることができる。この図示された実施形態では、第1及び第2の長手方向部分1006、1008内の第1の繊維1014は同じタイプの繊維であり、第1及び第2の長手方向部分1006、1008内の第2の繊維1020は同じタイプの繊維であり、第1及び第2の長手方向部分1006、1008内のスペーサ繊維1022は同じタイプの繊維である。
【0089】
第1の長手方向部分1006及び第2の長手方向部分1008は各々、それに沿ったそれぞれの上部層及び下部層1010、1012のほつれ、したがって第1の繊維1014及び第2の繊維1020のほつれ及び/又は繊維分離を防止するように構成されたそれぞれの仕上げ済み縁部を形成する追加繊維を含むことができる。
図10Bにより詳細に示されるように、第1の長手方向部分1006は、8つの追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024hを含み、第2の長手方向部分1008は、8つの追加の第4の繊維1026a、1026b、1026c、1026d、1026e、1026f、1026g、1026hを含む。その結果、第1の長手方向部分1006は、仕上げ済み縁部1028a、1028b、1028c、1028d、1028e、1028f、1028g、1028hを含み、第2の長手方向部分1008は、仕上げ済み縁部1030a、1030b、1030c、1030d、1030e、1030f、1030g、1030hを含む。第1の長手方向部分1006及び第2の長手方向部分1008は各々、8つの追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024h、及び第4の繊維1026a、1026b、1026c、1026d、1026e、1026f、1026g、1026hをそれぞれ有するように示されており、したがって、8つのそれぞれの仕上げ済み縁部1028a、1028b、1028c、1028d、1028e、1028f、1028g、1028h、1030a、1030b、1030c、1030d、1030e、1030f、1030g、1030hを有するように示されているが、当業者であれば、追加繊維の量は、補助材が適用されるステープルカートリッジ及び/又はアンビルのサイズ及び形状に少なくとも依存することができ、したがって、第1の長手方向部分1006及び第2の長手方向部分1008は、図に示される追加繊維の数に限定されないことを理解するであろう。
【0090】
追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024h、及び第4の繊維1026a、1026b、1026c、1026d、1026e、1026f、1026g、1026hは、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、追加繊維のうちの2つ以上は、組成構成(例えば、同じ材料(複数可)から形成される)、寸法(複数可)(例えば、高さ及び/又は直径)、及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)において概して同一(製造公差内で名目上同一)であることができる。特定の実施形態では、追加繊維の少なくとも1つは、モノフィラメント繊維であることができる。代替的に、又は追加的に、追加繊維の少なくとも1つはマルチフィラメント繊維であることができる。一実施形態では、追加繊維の一部分はモノフィラメント繊維であり、他の部分はマルチフィラメント繊維である。したがって、一般的な全体形状は別として、追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024h、及び第4の繊維1026a、1026b、1026c、1026d、1026e、1026f、1026g、1026hの各々の特定の構造的構成は示されていない。
【0091】
更に、示されるように、追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024hは、構造及びステッチ形態において、追加の第4の繊維1026a、1026b、1026c、1026d、1026e、1026f、1026g、1026hと同様であり、したがって、簡略化のために、以下の説明は、追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024hに関する。しかしながら、当業者は、以下の説明が追加の第4の繊維1026a、1026b、1026c、1026d、1026e、1026f、1026g、1026hにも適用可能であることを理解するであろう。
【0092】
追加の第3の繊維1024a、1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024hは、様々な方法で第1の長手方向部分1006に組み込まれて、それぞれの仕上げ済み縁部1028a、1028b、1028c、1028d、1028e、1028f、1028g、1028hを形成することができる。この図示された実施形態では、
図10Cにより詳細に示されるように、第1の追加の第3の繊維1024aは、オーバーキャストステッチとして構成され、上部層1010及び下部層1016をそれらの第1の最外長手方向末端縁部1010a、1016aに沿って相互接続して、第1の仕上げ済み縁部1028aを形成する。その結果、第1の長手方向部分1006の第1の仕上げ済み縁部1028aは、第1の繊維1014、第2の繊維1020、及び第1の追加の第3の繊維1024aから形成され、第1の長手方向部分1006の最外長手方向縁部1032の少なくとも一部分に沿って位置付けられ、したがってそれを画定する。残りの各々の追加の第3の繊維1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024hもまた、オーバーキャストステッチとして構成され、上部層1010及び下部層1016の第2の最外長手方向末端縁部1010b、1014bのそれぞれの部分に沿って上部層1010及び下部層1016を相互接続して、それぞれの別個の仕上げ済み縁部1028b、1028c、1028d、1028e、1028f、1028g、1028hを形成する。その結果、残りの各仕上げ済み縁部1028b、1028c、1028d、1028e、1028f、1028g、1028hは、第1の繊維1014、第2の繊維1020、及びそれぞれの追加の第3の繊維1024b、1024c、1024d、1024e、1024f、1024g、1024hから形成され、第1の長手方向部分1006の最内長手方向縁部1034のそれぞれの部分に沿って位置付けられ、したがってそれを画定する。
【0093】
更に示されるように、補助材1004は、補助材1004の第1の長手方向部分1006及び第2の長手方向部分1008との間に延び、それらを互いに接続するブリッジ要素1036a、1036b、1036c、1036d、1036e、1036fを含む。補助材1004は、6つのブリッジ要素1036a、1036b、1036c、1036d、1036e、1036fを有するものとして示されているが、当業者であれば、補助材のブリッジ要素(複数可)の数及び構造的構成は、少なくとも、補助材が適用されるステープルカートリッジ及び/若しくはアンビルのサイズ及び形状、並びに/又はカートリッジ内の長手方向スロット(例えば、ナイフスロット)のサイズ及び形状に依存することができ、したがって、補助材1004は、図に示されるブリッジ要素の数及び/又は構造的構成に限定されないことを理解するであろう。
【0094】
ブリッジ要素1036a、1036b、1036c、1036d、1036e、1036fは、様々な構成を有することができる。例えば、図示された実施形態において、第1の繊維1014及び第2の繊維1020の別個の部分は、第1の長手方向部分1006と第2の長手方向部分1008との間に延び、その結果、これらの部分は、ブリッジ要素1036a、1036b、1036c、1036d、1036e、1036fとして機能する。これにより、第1の繊維1014及び第2の繊維1020のみから形成される中央ゾーン1040が補助材内に作られる。この結果、補助材の他の部分と比較して、補助材の切断線に沿った材料の量が少なくなる。いくつかの実施形態では、スペーサ繊維の一部分は、中央ゾーン内に存在することができる(例えば、中央ゾーン内のスペーサ繊維密度は、補助材の他の部分内のスペーサ繊維密度よりも低い)。
【0095】
図10A~
図10Dに示されるように、補助材1004がカートリッジ1002に解放可能に固定されるとき、第1の長手方向部分1006は、カートリッジ1002の長手方向スロット1007の第1の側に位置付けられ、第2の長手方向部分1008は、長手方向スロット1007の反対側の第2の側に位置付けられる。第1の長手方向部分1006に関して、第1の仕上げ済み縁部1028aは、カートリッジ1002の上面1003の第1の最外長手方向縁部1005aの一部分に近接して、かつそれに沿って位置付けられ、残りの仕上げ済み縁部1028b、1028c、1028d、1028e、1028f、1028g、1028hの各々は、長手方向スロット1007の第1のスロット縁部1007aのそれぞれの一部分に近接して、かつそれに沿って位置付けられる。同様に、第2の長手方向部分1008に関して、第1の仕上げ済み縁部1030aは、カートリッジ1002の上面1003の第2の最外長手方向縁部1005bの一部分に近接して、かつそれに沿って位置付けられ、残りの仕上げ済み縁部1030b、1030c、1030d、1030e、1030f、1030g、1030hの各々は、長手方向スロット1007の第2のスロット縁部1007bのそれぞれの一部分に近接して、かつそれに沿って位置付けられる。更に、
図10B及び
図10Dにより詳細に示されるように、ブリッジ要素は、カートリッジ1002の長手方向スロット1007と少なくとも部分的に重なる。
【0096】
図10A~
図10Dには示されていないが、特定の実施形態では、補助材はまた、補助材の長さに沿って少なくとも部分的に延び(例えば、z方向に延び)、ステープルカートリッジに係合し、それによってステープル配備前に補助材をカートリッジ上に保持するように構成された、1つ以上の取り付け特徴を含むことができる。1つ以上の取り付け特徴は、様々な構成を有することができる。例えば、1つ以上の取り付け特徴は、ステープルカートリッジ内の対向する長手方向スロット縁部の間に形成された長手方向スロット(例えば、ナイフスロット)と係合する(例えば、圧入又はスナップ嵌めする)ように構成されたチャネル取り付け部であることができる。
【0097】
他の実施形態では、補助材の1つ以上の仕上げ済み縁部を作るために補助材に追加繊維(複数可)(例えば、
図8A~
図8Bの追加繊維830、832)を組み込む代わりに、補助材の既存の繊維(例えば、
図11A~
図11Bの第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106)を互いに絡み合わせることができる。代替的に、又は追加的に、熱が既存の繊維の少なくとも一部分に加えられることができる。例えば、ホットブレードが使用され、既存の繊維の少なくとも一部分を、例えば、補助材の周囲の少なくとも一部分に沿って溶融し、したがって融着させることができる。これにより、追加の材料(例えば、補助材の上部層、下部層、及びコア層を形成するために必要とされる繊維以外の追加繊維(複数可))の必要性を回避でき、したがって、とりわけ、補助材の全体的な材料コスト及び/又は製造コストを低減することができる。
【0098】
図11A~
図11Bは、補助材の他の部分も形成する繊維から形成された少なくとも1つの仕上げ済み縁部を有する、編み補助材1100の1つの例示的な一実施形態である。この図示された実施形態では、補助材1100は、上部層1110(例えば、組織接触層)、下部層1112(例えば、カートリッジ接触層)、及び上部層1110と下部層1112との間に延びる少なくとも1つの仕上げ済み縁部(3つの仕上げ済み縁部1114a、1114b、1114cのみが図示されている)を形成するように絡み合わされた第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106を含む。簡略化のために、1つの第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106のみが
図11Bに示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0099】
第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106は、組成構成(例えば、同じ材料(複数可)から形成される)、寸法(複数可)(例えば、高さ及び/又は直径)、及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)において概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、それらは異なることができる。特定の実施形態では、第1の繊維1102及び第2の繊維1104は、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができ、スペーサ繊維1106は、異なることができる。例えば、特定の実施形態では、第1の繊維1102及び第2の繊維1104はマルチフィラメント繊維であり、スペーサ繊維1106はモノフィラメント繊維である。したがって、一般的な全体形状は別として、第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106の各々の特定の構造的構成は示されていない。
【0100】
上部層1110及び下部層1112は様々な形態を有することができる。
図11Bにより詳細に示されるように、第1の繊維1102及びスペーサ繊維1106は、上部層1110を形成するように絡み合わされ、第2の繊維1104及びスペーサ繊維1106は、下部層1112を形成するように絡み合わされる。したがって、この図示された実施形態では、第1の繊維1102は下部層1112に存在せず、第2の繊維1104は上部層1110に存在しない。他の実施形態では、第1の繊維1102の少なくとも一部分は、下部層1112内に存在することができ、かつ/又は第2の繊維1104の少なくとも一部分は、上部層1110内に存在することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、上部層1110の第1の繊維1102及び/又は下部層1112の第2の繊維1104は、それぞれの所定のパターンで編まれることができる。特定の実施形態では、上部層1110内の第1の繊維1102の所定のパターン及び下部層1112の第2の繊維1104の所定のパターンは、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、所定のパターンは異なることができる。上部層1110の第1の繊維1102及び下部層1112の第2の繊維1104は各々、様々なパターンで編まれることができるが、特定の実施形態では、第1の繊維1102は第1のラセル編みパターンに編まれることができ、第2の繊維1104は第1のラッセル編みパターンと同じ又は異なる第2のラッセル編みパターンに編まれることができる。更に、いくつかの実施形態では、上部層1110の繊維密度は、下部層1112の繊維密度とは異なることができる。当業者であれば、第1の繊維1102及び第2の繊維1104は、それぞれ上部層1110及び下部層1112内でランダムに又は繰り返して編まれ得る又は織られ得ることを理解するであろう。したがって、簡略化のために、上部層1110及び下部層1112が一般的に示されており、したがって、上部層1110及び下部層1112の特定の構造的構成は、図に示されているものに限定されない。
【0102】
上部層1110と下部層1112との間に延びるスペーサ繊維1106の部分は、中間層1116を形成することができ、したがって、上部層1110と下部層1112との間に位置付けられる。これらの部分は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、
図11Bに示されるように、起立繊維1118を形成するように配置される。起立繊維1118は、補助材1100に加えられる力に応じて屈曲又は圧縮するように構成されることができる。
【0103】
起立繊維1118は、中間層内で様々な配向を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、
図11Bに示されるように、起立繊維1118は、概して柱状構成を有し、このことは、それらが概して隣接する列に配向されることを意味する。他の実施形態では、起立繊維1118は、補助材に加えられた力(複数可)(例えば、上部層1110に対して位置付けられた組織(T)を通る圧縮力)に応答して第1の方向にまとまった圧壊又は屈曲に有利に働くように傾斜又は斜行されることができる。代替的に、起立繊維1118は、加えられた力(複数可)に反応して第1の方向とは反対の第2の方向におけるまとまった圧壊に有利に働くように傾斜又は斜行されることができる。代替的に、起立繊維1118は、第1の方向における屈曲を有利に働くように傾斜又は斜行された第1の群と、第2の方向における屈曲を有利に働くように傾斜又は斜行された第2の群の起立繊維とを含むことができる。
【0104】
図11A~
図11Bに更に示されるように、補助材1100は、4つの仕上げ済み縁部(3つの仕上げ済み縁部1114a、1114b、1114cのみが示されている)を含み、各仕上げ済み縁部は、上部層1110と下部層1112との間に延びる。更に、仕上げ済み縁部1114a、1114b、1114cのうちの1つ以上は、少なくとも部分的に補助材1100の外縁部に沿って位置付けられ、したがって少なくとも部分的にその外縁部を画定することができる。例えば、この図示された実施形態では、補助材1100は、4つの最外縁部(3つの最外縁部1120a、1120b、1120cのみ)を有し、第1の仕上げ済み縁部1114aは、第1の最外縁部1120aに完全に沿って位置付けられ、第2の仕上げ済み縁部1114bは、第2の最外縁部1120bに完全に沿って位置付けられ、第3の仕上げ済み縁部1114cは、第3の最外縁部1120cに完全に沿って位置付けられ、第4の仕上げ済み縁部(遮られている)は、第4の最外縁部(遮られている)に完全に沿って位置付けられる。その結果、4つの仕上げ済み縁部は、補助材1100の最外周全体を画定する。
【0105】
各仕上げ済み縁部は、第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106のそれぞれの部分から形成される。第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106は、仕上げ済み縁部を実現するために様々な方法で相互作用することができる。この図示された実施形態では、各仕上げ済み縁部は、構造的に同様であり、互いに絡み合わされた第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維のそれぞれの部分を含む。第1及び第2の仕上げ済み縁部のみが詳細に示されているが、当業者は、以下の説明が第3の仕上げ済み縁部1114c及び第4の仕上げ済み縁部にも適用可能であることを理解するであろう。
【0106】
図11Bにより詳細に示されるように、第1の仕上げ済み縁部1114aは、互いに絡み合わされた第1の繊維1102の第1の部分1122aと、第2の繊維1104の第1の部分1124aと、スペーサ繊維1106の第1の部分1126aとを含む。加えて、第1の繊維1102の第1の部分1122aの自由端1128a、第2の繊維1104の第1の部分1124aの自由端1130a、及びスペーサ繊維1106の第1の部分1126aの自由端1132aは、
図11Bに示されるように、互いに結び付けられることができる。同様に、
図11Bに示されるように、第2の仕上げ済み縁部1114bは、互いに絡み合わされた第1の繊維1102の第2の部分1122bと、第2の繊維1104の第2の部分1124bと、スペーサ繊維1106の第2の部分1126bとを含む。加えて、第1の繊維1102の第2の部分1122bの自由端1128b、第2の繊維1104の第2の部分1124bの自由端1130b、及びスペーサ繊維1106の第2の部分1126bの自由端1132bは、
図11Bに示されるように、互いに結び付けられることができる。
【0107】
図示されていないが、特定の実施形態では、補助材1100はまた、補助材が解放可能に取り付けられることが意図されるカートリッジ内に形成された長手方向スロットのそれぞれのスロット縁部に隣接して、かつそれに沿って位置付けられるように構成された追加の仕上げ済み縁部(複数可)を含むことができる。このような実施形態では、例えば、少なくとも1つの追加の仕上げ済み縁部は、第1の繊維1102、第2の繊維1104、及びスペーサ繊維1106のそれぞれの部分から形成されることができる。
【0108】
図8A~
図10Dの補助材804、900、1004は各々、追加繊維によって形成される仕上げ済み縁部を含み、
図11A~
図11Bの補助材1100は、既存の繊維によって形成される仕上げ済み縁部を含むが、他の実施形態では、補助材は、異なるタイプの仕上げ済み縁部の組み合わせを有することができる。例えば、特定の実施形態では、補助材は、追加繊維(複数可)によって形成される少なくとも1つの仕上げ済み縁部(例えば、
図8Bの第1の仕上げ済み縁部34)と、補助材内に別様に存在する既存の繊維の一部分によって形成される少なくとも1つの仕上げ済み縁部(例えば、
図11A~
図11Bの第1の仕上げ済み縁部1114a)とを有することができる。
【0109】
代替的に、又は追加的に、補助材は、外側層及び/又は内側層の組織に面する表面の少なくとも一部分の上に配設された吸収性フィルムを含むことができる。吸収性フィルムは、下にある層(複数可)の繊維を実質的に保護することができる。吸収性フィルムがなければ、ほつれ、引っ張り、及び/又は分離につながるであろう力にさらされることになる。例えば、特定の実施形態では、吸収性フィルムを使用して、補助材の1つ以上の仕上げ済み縁部の少なくとも一部分を形成することができる。更に、吸収性フィルムは、組織が補助材を横切って摺動する間に、組織が補助材をカートリッジから時期尚早に分離させることを実質的に防止することができる。すなわち、吸収性フィルムは、縁部状態を最小限に抑えることができ、したがって、そうでなければ補助材の組織接触面(複数可)上に存在するであろう摩擦を減少させることができる。
【0110】
吸収性フィルムは、様々な構成を有することができる。いくつかの実施形態では、吸収性フィルムは、約15ミクロン以下、例えば、約5ミクロン~15ミクロン、又は約8ミクロン~11ミクロンの厚さを有することができる。一実施形態では、吸収性フィルムは、ポリジオキサノンから形成されることができる。吸収性フィルムは、様々な方法で編み構造に取り付けられることができる。例えば、一実施形態では、吸収性フィルムは、フィルムを加熱し(例えば、フィルム材料のガラス転移温度以上)、次いでフィルムを編み構造上に押し付け、それによってフィルムと編み構造との間に結合を作り出すことによって取り付けられることができる。あるいは、編み構造の少なくとも一部分(例えば、下部層の繊維の一部分)は、加熱され(例えば、85℃超)、次いでフィルムに対して押圧されることができる。
【0111】
図12は、ステープルカートリッジ1202と、カートリッジ1202の上面又はデッキ面1203上に配設された編み補助材1204とを含むステープル留めアセンブリ1200の例示的な一実施形態を示す。ステープルカートリッジ1202は、
図1~
図2Cのステープルカートリッジ200と同様であり、したがって、共通の特徴はここでは詳細に説明されない。
【0112】
補助材1204は、少なくともその一部分に配設された吸収性フィルム1208を有する編み構造1206を含む。編み構造は、上部層1210、下部層1212、及び上部層と下部層との間に延びるコア層1214とを含む。上部層1210、下部層1212、及びコア層1214は、
図11A~
図11Bの上部層1110、下部層1112、及び中間層1116と同様であり、したがって、共通の特徴はここでは説明されない。示されるように、吸収性フィルム1208は、編み構造1206の全ての組織に面する表面上に配設され、この図示された実施形態では、上部組織に面する表面1216(例えば、YZ平面に延びる)、第1の長手方向側面1218a(例えば、XZ平面に延びる)、第2の対向する長手方向側面1218b、第1の横方向側面1220a(例えば、XY平面に延びる)、及び第2の対向する横方向側面(遮られている)を含む。他の実施形態では、吸収性フィルムは、編み構造の全ての組織に面する表面、例えば、第1の横方向側面及び/又は第2の横方向側面に配設されない。
【0113】
取り付け特徴
一般に、本明細書に記載される編み補助材は、ステープル留め手順で使用するためのステープルカートリッジの上に設計され、位置付けられる。ステープルがカートリッジから発射(配備)されると、ステープルは補助材を貫通して組織内に入る。補助材がステープルによって貫通される前に、補助材は、ステープルカートリッジから外れたり、又は位置ずれしたりする可能性がある。すなわち、ステープルカートリッジが定位置に配置されているとき、補助材は、手術部位の一部分と接触することによって外れる可能性がある。ステープルを発射する前に、補助材をステープルカートリッジ上に位置合わせして固定するために、1つ以上の表面特徴が補助材内に配置されてもよい。1つ以上の表面特徴(例えば、1つ以上の凹部)は、補助材内に織られても、熱成形されても、又は機械的に位置付けられてもよい。
【0114】
上述したように、編み補助材は、互いに編まれた又は織られた繊維から形成される。特定の実施形態では、補助材は、1つ以上の表面特徴が補助材内に形成されることができるように設計されることができる。1つ以上の表面特徴は、ステープル配備前に補助材をカートリッジデッキに実質的に又は完全に位置合わせして固定するように構成される。その結果、そうでなければ、組織に補助材をステープル留めする前に補助材をカートリッジデッキから分離させるであろう力にさらされた場合でも、補助材を、カートリッジデッキに固定されたままにしておくことができる。1つ以上の表面特徴はまた、従来の補助材(例えば、1つ以上の表面特徴を有さない補助材)と比較して、ステープル留め前の補助材の位置ずれの可能性を低減することができる。
【0115】
1つ以上の表面特徴は、様々な方法で形成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、表面特徴は、製造後に補助材内に作られることができる。例えば、溶媒、編み作業、熱作業、型抜き作業、レーザー切断作業、超音波切断作業、スタンピング若しくはパンチング作業(例えば、機械的プレス)、又はこれらの技術の組み合わせを使用する。いくつかの実施形態では、表面特徴は、補助材の最下部層(例えば、カートリッジ接触層)に編まれることができる。他の実施形態では、表面特徴は、加熱された金型を使用して補助材内で熱成形されることができる。代替的に、又は追加的に、表面特徴は、ステープル留めカートリッジを加熱し、補助材を加熱されたカートリッジデッキ上に位置決めすることによって、補助材内に熱成形されることができ、これにより、補助材は、カートリッジデッキの任意の1つ以上の取り付け特徴(例えば、突起)を含むカートリッジデッキの形状に適合する。
【0116】
いくつかの実施形態では、1つ以上の表面特徴は、ステープル脚部の直径よりも小さい最小直径を有することができる。代替的に、又は追加的に、1つ以上の表面特徴は、摩擦又は圧入を形成するために、カートリッジの1つ以上の取り付け特徴の円周(例えば、外径)より大きい最大直径を有することができる。特定の実施形態では、1つ以上の表面特徴は、カートリッジの2つ以上の取り付け特徴を受容するように寸法決めされることができる。
【0117】
図13Aは、ステープルカートリッジ1304の上面又はデッキ面1306上に配設された編み補助材1302を含むステープル留めアセンブリ1300の別の例示的な実施形態の一部分を示しており、
図13Bは、解放可能に互いに連結される前の補助材及びカートリッジを示している。補助材1302は、少なくとも第1の繊維1310から形成された第1の編み層1308(例えば、上部層又は組織接触層)と、少なくとも第2の繊維1314から形成された第2の編み層1312(例えば、下部層又はカートリッジ接触層)と、第1の編み層1308及び第2の編み層1312と絡み合ってそれらの間に延び、それによって第1の編み層1308及び第2の編み層1312を互いに接続するスペーサ繊維1316とを含む。第1の編み層1308と第2の編み層1312との間に延びるスペーサ繊維1316の部分は、補助材1302のコア層1318を形成する。簡略化のために、1つの第1の繊維1310、第2の繊維1314、及びスペーサ繊維1316のみが図示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0118】
いくつかの実施形態では、第1の編み層1308の第1の繊維1310は、第1の所定のパターンに編まれるか若しくは織られることができ、かつ/又は第2の編み層1312の第2の繊維1314は、第2の所定のパターンに編まれるか若しくは織られることができる。特定の実施形態では、第1及び第2の所定のパターンは、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、第1及び第2の所定のパターンは、異なることができる。更に、いくつかの実施形態では、第1の編み層1308の繊維密度は、第2の編み層1312の繊維密度とは異なることができる。第1の繊維1310及び第2の繊維1314は、様々なパターンで編まれる又は織られることができるが、特定の実施形態では、第1の繊維1310は、第1のラッセル編みパターンに編まれることができ、第2の繊維1314は、第1のラッセル編みパターンと同じ又は異なる第2のラッセル編みパターンに編まれることができる。当業者であれば、第1の繊維1310及び第2の繊維1314は、それぞれ第1の編み層1308及び第2の編み層1312内でランダムに又は繰り返して編まれ又は織られ得ることを理解するであろう。したがって、簡略化のために、第1の編み層1308及び第2の編み層1312が一般的に図示されており、したがって、第1の編み層1308及び第2の編み層1312の特定の構造的構成は、図に示されているものに限定されない。
【0119】
第1の繊維1310、第2の繊維1314、及びスペーサ繊維1316は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の繊維1310、第2の繊維1314、及びスペーサ繊維1316は、組成構成(例えば、同じ材料(複数可)から形成される)、寸法(複数可)(例えば、高さ及び/又は直径)、及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)において概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、それらは異なる。他の実施形態では、第1の繊維1310及び第2の繊維1314は概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができ、スペーサ繊維1316は異なることができる。例えば、特定の実施形態では、第1の繊維1310及び第2の繊維1314はマルチフィラメント繊維であることができ、スペーサ繊維1316はモノフィラメント繊維であることができる。したがって、一般的な全体形状は別として、第1の繊維1310、第2の繊維1314、及びスペーサ繊維1316の各々の特定の構造的構成は示されていない。
【0120】
図13Bに更に示されるように、補助材は、第2の編み層1312内に形成された1つ以上の表面特徴を含み、この図示された実施形態では、凹部の形態である(2つの凹部1322a、1322bのみが図示されている)。1つ以上の凹部は、
図13Aに示されるように、カートリッジ1304のそれぞれの取り付け特徴を受容して係合するように構成され、この図示された実施形態では、各々がカートリッジ1304の上面又はデッキ面1306から外向きに延びる突起1324a、1324bの形態である。凹部1322a、1322bは、第2の編み層1312内の第2の繊維1314の部分を加工すること(例えば、溶融又は更なる編み)によって形成することができる。この図示された実施形態では、凹部1322a、1322bの周囲は、第2の繊維1314の溶融部分によって画定される。
【0121】
凹部1322a、1322b及び突起1324a、1324bは、様々な構成を有することができる。例えば、この図示された実施形態では、凹部1322a、1322bは、逆円錐形状を有し、したがって、凹部1322a、1322bが第2の編み層1312内に延びるにつれて減少する、変動する直径を有する。したがって、各凹部1322a、1322bは、最大直径X1a、X2aから最小直径X1b、X2bまで延びる。更に、突起1324a、1324bは、突起1324a、1324bが上面又はデッキ面1306から外向きに延びるにつれて減少する、変動する直径を伴う円錐形状を有する。したがって、各突起1324a、1324bは、最大直径X1c、X1cから最小直径X2c、X2dまで延びる。凹部1322a、1322b及び突起1324a、1324bは、相補的な円錐形状を有するものとして図示されているが、当業者であれば、凹部が、正方形、半円、三角形などの他の相補的な形状を有することができることを理解するであろう。更に、凹部1322a、1322bは、概して均一である(例えば、製造公差内で均一である)ものとして図示されているが、他の実施形態では、凹部の少なくとも一部分が異なることができる。
【0122】
最大直径X1a、X1bと最大直径X2a、X2bとの間の差は、凹部1322a、1322bと突起1324a、1324bとの間に摩擦嵌合が形成されることを可能にすることができる。この図示された実施形態では、凹部1322a、1322bの最大直径は、係合前の突起1324a、1324bの最大直径よりも小さい。その結果、突起1324a、1324bに接触する第2の繊維1314の部分の間に締まり嵌めを生じさせることができる。この摩擦力は、補助材1302をステープルカートリッジ1304に固定するのに役立つことができる。他の実施形態では、凹部1322a、1322bの最大直径は、係合前の突起1324a、1324bの最大直径よりも大きくすることができる。
【0123】
更に、図示されていないが、補助材1302内の凹部1322a、1322bの最小直径X
1a、X
1bは、ステープルカートリッジ1304内に少なくとも部分的に配設されたステープル脚部の直径(例えば、ステープル脚部を形成するワイヤの最大直径)よりも小さくすることができる。その結果、補助材1302がカートリッジ1304に解放可能に連結され、凹部1322a、1322bも、
図2A~
図2Cのステープルキャビティ212、214のようなカートリッジ1304のステープルキャビティと重なるように構成されるとき、カートリッジ1304の上面又はデッキ面1306を越えて延びるステープル脚部の部分も、補助材1302の凹部に係合することができる。また、これにより、間に摩擦嵌合が生じ、ステープル配備前に補助材をステープルカートリッジに更に固定することができる。
【0124】
図13Bに更に示されるように、第2の編み層1312における凹部1322aと凹部1322bとの離間配置により、凹部1322aと凹部1322bとの間に最大直径D
1の突起1326が形成される。加えて、カートリッジ1304の上面1306上の突起1324aと突起1324bとの離間配置により、最大直径D
2の相補的凹部1328が突起1326aと突起1326bとの間に形成される。
図13Aに示されるように、突起1326は、補助材1302がカートリッジ1304に連結されるとき、凹部1328内に受容され、それに係合する。この図示された実施形態では、突起1326の最大直径D
1は、係合前の凹部1328の最大直径D
2より大きい。その結果、これにより、補助材1302とカートリッジ1304との間に追加の締まり嵌めを生じさせることができる。直径の違いにより、凹部1322a、1322bの周囲にある第2の繊維1314が、突起1324a、1324bに更に向かって、かつ突起1324a、1324bに対して(例えば、y方向に)押し付けられることになるので、これにより、凹部1322a、1322bと突起1324a、1324bとの間の摩擦を増加させることもできる。
【0125】
特定の実施形態では、凹部は、凹部の所望の形状の逆形状である金型特徴を有する加熱された金型上で第2の編み層を熱成形することによって、補助材の第2の編み層に形成される。金型特徴は、取り付け特徴と形状が同様であるが、取り付け特徴の寸法よりも大きくても小さくてもよい。金型特徴が取り付け特徴よりも小さい寸法を有する場合、これにより、補助材とステープルカートリッジとの間のぴったりとした摩擦嵌合を確実にする。
【0126】
補助材に凹部を形成するために、加熱された金型は、特定の温度(例えば、第2の編み層の第2の繊維のガラス転移温度以上)に加熱され、次いで、補助材は、加熱された金型上に、金型内に、及び/又は金型に対して押圧される。いくつかの実施形態では、金型特徴は、互いに比較して同じ又は異なることができる。
【0127】
加熱された金型と係合すると、補助材は、加熱された型の金型特徴の中に形成又は成形され、第2の編み層内に凹部を作る。加熱された金型の金型特徴と接触する第2の編み層の部分は、金型特徴の形状に熱成形される。加熱された金型が第2の編み層から解放されると、第2の編み層は金型特徴の形状を保持する。凹部は、ステープルカートリッジからの補助材の漸進的な解放を可能にするように構成されている。熱成形凹部の1つの利点には、例えば、より単純な製造プロセスを維持しながら、対応するステープルカートリッジとぴったりと適合するより複雑な形状を伴う補助材を有することが含まれ得る。特定の実施形態では、カートリッジデッキ及び金型特徴は、ステープルカートリッジの取り付け特徴の形状に対応する。
【0128】
他の実施形態では、補助材の熱成形は、ステープルカートリッジデッキを加熱することによって行うことができる。カートリッジは、補助材の下部層(例えば、カートリッジ接触層)の1つ以上の材料のガラス転移温度より高い、ガラス転移温度と同等、又はガラス転移温度に近い温度に加熱されることができる。次に、補助材は、ステープルカートリッジ及びその内部に配設されたステープルの上に置かれ、押し下げられることができる。補助材は、補助材が形成される材料のガラス転移温度より高い、ガラス転移温度と同等、又はガラス転移温度よりわずかに低い温度に加熱されるので、補助材は、ステープルカートリッジの取り付け特徴の周り、かつ/又はカートリッジの上面から延びるステープル脚部のいずれかの周りで、新しい永久形状をとることができる。
【0129】
例えば、ステープルカートリッジは、カートリッジデッキから延びる突起を含むことができ、補助材が加熱されたカートリッジデッキ及び取り付け特徴上に押し付けられると、補助材は、取り付け特徴の周囲で永久的に変形されることができる。そのような場合、補助材は、補助材がステープルによって取り付け特徴から押し出されるまで、取り付け特徴をしっかりと把持する。同様に、補助材は、加熱されたステープル脚部を囲むように永久的に変形し、加熱されたステープル脚部をしっかりと担持することができる。一実施形態では、補助材内に新たに形成された凹部の最小直径は、ステープル脚部の直径よりも小さくてもよい。凹部の形成プロセス中、圧力は、ステープルカートリッジ、ステープル、及び/又は補助材の温度が、補助材を含む材料のガラス転移温度をはるかに下回るか、又は少なくともその温度未満になるまで補助材に加えられる。あるいは、ステープル留めアセンブリの温度が、補助材を構成する材料のガラス転移温度以上であるときに、圧力が外されることができる。
【0130】
他の実施形態では、補助材は、ステープルカートリッジの1つ以上の取り付け特徴を受容して係合するように構成された、編み凹部を含むことができる。例えば、補助材が編まれているとき、第2の編み層の第2の繊維の部分は、第2の編み層内の凹部の周囲を画定するように編まれることができる。代替的に、又は追加的に、凹部の周囲を少なくとも部分的に画定するように、追加繊維を下部層に組み込むことができる。
【0131】
繊維相互接続性及び補助材圧縮性
補助材は、様々なステープル留め条件(例えば、組織の厚さ、成形されたステープルの高さ、組織内圧力)の下で、組織にステープル留めされる。ステープル留めの状態に応じて、補助材が組織に適用されて組織が裂けることや漏れることを防止できるのに必要である、有効量の応力を判定することができる。例えば、一実施形態では、有効量の応力は、少なくとも約3gf/mm2である。補助材が組織に有効量の応力を与えるために、補助材は、様々なステープル留めの条件を効果的に補うように設計することができる。したがって、補助材は、組織にステープル留めされたときに異なる圧縮高さをとるように調整されることができる。
【0132】
したがって、補助材の圧縮性プロファイルは、少なくとも繊維の構造的構成及び繊維間の相互接続性によって制御することができる。その結果、繊維の構造的構成が調整されることで、組織をステープル留めするための望ましい機械的特性を有する補助材を実現することができる。組織内圧力、組織の厚さ及び成形されたステープル高さの有限範囲があるため、ある範囲のステープル留め条件にわたって、所与の時間(例えば、少なくとも3日間)にわたって、補助材が組織にステープル留めされたときに、実質的に連続的な所望の応力(例えば、3gf/mm2)を組織に加えるのに有効であることができる、補助材にとって適切な材料及び/又は幾何学的構造を決定することができる。すなわち、以下でより詳細に記載されるように、本補助材は、圧縮性材料で形成され、組織にステープル留めされたときに補助材が所定の平面の様々な高さに圧縮し得るように、幾何学的に構成されている。更に、補助材はこのように異なる応答ができるため、補助材が組織にステープル留めされたときに生じ得る組織内圧力の変動(例えば、血圧のスパイク)にさらされたときにも、補助材が組織への連続的な所望の応力を加え続けることを可能にすることができる。
【0133】
上述したように、スペーサ繊維は、上部層及び下部層の第1及び第2の繊維とそれぞれ絡み合わされ、それによって上部層及び下部層を離間した関係で接続している。したがって、スペーサ繊維は、第1の相互接続部において第1の繊維と相互接続され、第2の相互接続部において第2の繊維と相互接続される。それによって、上部層と下部層との間に延びるスペーサ繊維の部分は、補助材の中間層を形成する。これらの部分は様々な構成を有することができるが、これらの部分は、起立繊維を形成するように配置されることができる。起立繊維は、補助材に加えられる力に応じて屈曲又は圧縮するように構成されることができる。その結果、スペーサ繊維が第1及び第2の繊維(例えば、第1及び第2の相互接続部)と相互作用する方法は、起立繊維の剛性又は圧縮下で曲がる能力を少なくとも部分的に制御することができ、これにより、次に、補助材の全体的な圧縮性を少なくとも部分的に制御する。したがって、いくつかの実施形態では、相互接続部の数、位置、及び緊密性は、補助材内で異なる剛性を実現するために、補助材の横方向、長手方向、又は厚さを通して変化させることができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の相互接続部は、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、第1の相互接続部と第2の相互接続部は、異なることができる。第1及び第2の相互接続部は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の相互接続部及び/又は第2の相互接続部は、単一ループの結び目であることができる。他の実施形態では、第1の相互接続部及び/又は第2の相互接続部は、例えば、
図14A~
図17Bに示されるように、多重ループの結び目であることができる。特定の実施形態では、第1の相互接続部は、単一ループの結び目であることができ、第2の相互接続部は、多重ループの結び目であることができる(
図20参照)。
【0135】
第1の相互接続部及び/又は第2の相互接続部は、任意の適切な結び目タイプの形態であることができる。使用される結び目のタイプにより、中間層の剛性、したがって補助材の圧縮挙動に影響を及ぼす可能性がある。例えば、疎な結び目が用いられる場合、中間層は、剛性が低くなるか、又はより低い弾性率を有することができる。代替的に、密な結び目が用いられる場合、中間層は、剛性がより高くなるか、又はより高い弾性率を有することができる。中間層は、任意の好適なタイプの結び目を利用することができる。
【0136】
図14A~
図14Bは、第1の繊維1402、第2の繊維1404、及びスペーサ繊維1406を含む、編み補助材1400の別の例示的な実施形態である。簡略化のために、1つの第1の繊維1402、第2の繊維1404、及びスペーサ繊維1406のみが図示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0137】
スペーサ繊維1406及び第1の繊維1402は、第1の相互接続部1408で相互接続されて、上部層1410を形成する。スペーサ繊維1406及び第2の繊維1404は、第2の相互接続部1412で相互接続されて、下部層1414を形成する。第1の相互接続部1408及び第2の相互接続部1412は様々な形態を有することができる。例えば、図示されるように、第1の相互接続部1408は、第1の繊維1402の周りに多重にループされたスペーサ繊維1406を有する第1の結び目の形態であり、第2の相互接続部1412は各々、第2の繊維1404の周りに多重にループされたスペーサ繊維1406を有する第2の結び目の形態である。第1の結び目1408及び第2の結び目1412は、構造的に同様であるように図示されているが、他の実施形態では、第1の結び目と第2の結び目は異なることができる。更に、以下でより詳細に説明するように、第1の結び目1408及び第2の結び目1412は、疎な結び目構成を有するものとして概略的に図示されている。
【0138】
更に、上部層1410と下部層1414との間に延びるスペーサ繊維1406の部分は、上部層1410と下部層1414との間に位置付けられる中間層1418を形成する。これらの部分は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、起立繊維1416を形成するように配置される。起立繊維1416は、中間層1418内で様々な配向を有することができ、例えば、図示されるように、概して柱状構成であり、このことは、それらが概して隣接する列に配向されていることを意味する。起立繊維1416は、
図14Bに概略的に示されるように、補助材1400に加えられる力に応答して屈曲又は圧縮するように構成されることができる。
【0139】
図14Bに示されるように、所与の力Fが補助材1400に(例えば、x方向に)加えられると、スペーサ繊維1406は、第1の繊維1402及び第2の繊維1404に沿って(例えば、±y方向に)摺動する。この摺動作用は、第1の結び目1408及び第2の結び目1412の疎な結び目構成によるものである。その結果、起立繊維1416は摺動し、上部層1410を下部層1414に向かって移動させる。その結果、補助材1400は、未圧縮高さH
1を有する未圧縮状態(
図14A)から、第1の圧縮高さH
2を有する第1の圧縮状態(
図14B)に圧縮される。したがって、所与の力の下で、スペーサ繊維1406、したがって起立繊維1416の摺動は、主に、未圧縮高さHから第1の圧縮高さH
2への補助材1400の圧縮を実現する。
【0140】
いくつかの実施形態では、例えば、
図15A~
図15Bに示されるように、スペーサ繊維を第1の繊維及び第2の繊維と相互接続するために、より密な結び目が使用されることによって、起立繊維の剛性、したがって補助材の剛性を高められることができる。補助材1500は、第1の結び目1508及び第2の結び目1512がより密な結び目構成を有することを除いて、
図14A~
図14Bの補助材1400と同様であり、したがって、共通の特徴はここでは詳細に説明されない。
【0141】
図15Bに示されるように、所与の力Fが補助材1500に(例えば、x方向に)加えられると、結び目1508、1512のより密な構成により、スペーサ繊維1506が第1の繊維1502及び第2の繊維1504に沿って摺動することを抑制し、したがって、起立繊維1516がそれぞれ摺動することを防止する。これにより、起立繊維1516に剛性が付与され、それによってそれらの剛性が高められる。その結果、起立繊維1516は、
図14A~
図14Bの起立繊維1416と比較してより剛性であり、したがって、これにより、
図14A~
図14Bの補助材1400と比較したときにより剛性の補助材1500をもたらす。例えば、同じ量の力が補助材1500に加えられると、補助材1500は、補助材1400の未圧縮高さH
1と同様の未圧縮高さH
3を有する未圧縮状態(
図14A)から、補助材1400の第1の圧縮高さH
2よりも大きい第2の圧縮高さH
4を有する第2の圧縮状態(
図14B)まで圧縮される。これは、結び目の緊密性が補助材の圧縮に及ぼし得る影響を示している。
【0142】
同様に、結び目の緊密性は、より細いスペーサ繊維に部分的な剛性を付与することができ、したがって、
図16A~
図16Cの補助材1600のような補助材の全体的な剛性を高めることができる。補助材1600は、スペーサ繊維1606がスペーサ繊維1506と比較して薄いことを除いて、
図15A~
図15Bの補助材1500と同様である。
【0143】
いくつかの実施形態では、補助材の中間層は、起立繊維と相互接続された強化繊維を含むことができ、このことは、例えば、
図17A~
図17Bに示されるように、補助材の剛性を更に高めることができる。補助材1700は、
図15A~
図15Bの補助材1500と同様であるが、ただし、起立繊維1716は、第3の相互接続部1722において強化繊維1720の周りを多重にループしており、強化繊維1720は各々、中間層1718の中間に延びる(例えば、y方向に延びる)。その結果、所与の量の力Fに対して、
図17Bに示すように、補助材1700は、補助材1500の未圧縮高さH
3と同様の未圧縮高さH
5を有する未圧縮状態(
図17A)から、補助材1500の第2の圧縮高さH
4よりも大きい第3の圧縮高さH
6を有する第2の圧縮状態(
図17B)まで圧縮される。
【0144】
図18A~
図18Bは、編み補助材1800の別の例示的な実施形態を示す。補助材1800は、少なくとも第1の繊維1808から形成された層1802と、層1802と絡み合い、そこから延びるスペーサ繊維1804から形成されたコア層とを含む。層1802は、補助材1800の上部層(例えば、組織接触層)又は下部層(例えば、カートリッジ接触層)とすることができ、スペーサ繊維1804の一部分が、上部層と下部層との間に配置されたコア層を形成する。この例示的な実施形態では、コア層を形成するスペーサ繊維1804の部分は、概して柱状構成で上部層と下部層との間に延び、このことは、それらが概して隣接する列に配向されていることを意味する。簡略化のために、第1の繊維1808及びスペーサ繊維1804の一部分のみが図示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0145】
図18A~
図18Bに示されるように、スペーサ繊維1804は、中心軸CAに沿って層1802から外向きに延びる。層1802は、スペーサ繊維1804及び第1の繊維1808に結び付けられた強化繊維1806を含む。強化繊維1806の結び目は、各スペーサ繊維1804の中心軸CAからのスペーサ繊維1804の横方向移動LMを制限することができる。スペーサ繊維1804と強化繊維1806との間のこの相互作用は、補助材1800の剛性に影響を及ぼす。スペーサ繊維1804は、制限された横方向移動LMを有するので、スペーサ繊維1804は、補助材1800が圧縮されたときに制限された変形能力を有する。
【0146】
図19A~
図19Bは、編み補助材1900の別の例示的な一実施形態を示す。補助材1900は、ステープルカートリッジの上面又はデッキ面上に配設されることができる。補助材1900は、少なくとも第1の繊維1908から形成された層1902と、層1902と絡み合い、そこから延びるスペーサ繊維1904から形成されたコア層とを含む。層1902は、補助材1900の上部層(例えば、組織接触層)又は下部層(例えば、カートリッジ接触層)とすることができ、スペーサ繊維1904は、上部層と下部層との間に配置されたコア層を形成する。この図示された実施形態では、コア層を形成するスペーサ繊維1904の部分は、概して柱状構成で上部層と下部層との間に延び、このことは、それらが概して隣接する列に配向されていることを意味する。簡略化のために、第1の繊維1908及びスペーサ繊維1904の一部分のみが図示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0147】
図19A~
図19Bに示されるように、スペーサ繊維1904は、中心軸CAに沿って層1902から外向きに延びる。層1902は、スペーサ繊維1904と接触する強化繊維をなにも含まない。強化繊維がないため、スペーサ繊維は、
図18Aの補助材1800と比較した場合、各スペーサ繊維1904の中心軸CAからの横方向移動LMの制限が少ない。スペーサ繊維1904と第1の繊維1908との間のこの相互作用は、任意の強化繊維と共に、補助材1900の剛性に影響を及ぼす。スペーサ繊維1904は、拡張された横方向移動LMを有するので、スペーサ繊維1904は、補助材1900が圧縮されたときに、
図18Aの補助材1800と比較してより大きな変形能力を有する。
【0148】
図20は、編み補助材2000の別の例示的実施形態を示す。補助材2000は、少なくとも第1の繊維2008から形成された上部層2002(例えば、組織接触層)と、少なくとも第2の繊維2012及び第3の繊維2014から形成された下部層2004(例えば、カートリッジ接触層)と、上部層2002及び下部層2004と絡み合ってそれらの間に延び、それによって上部層2002と下部層2004とを接続するスペーサ繊維2016とを含む。上部層2002と下部層2004との間に延びるスペーサ繊維2016の部分は、コア層2006を形成する。簡略化のために、1つの第1の繊維2008、第2の繊維2012、第3の繊維2014、及びスペーサ繊維2016のみが図示されている。当業者であれば、以下の説明が補助材の残りの第1の繊維、第2の繊維、第3の繊維、及びスペーサ繊維にも適用可能であることを理解するであろう。
【0149】
上部層2002及び下部層2004は様々な形態を有することができる。例えば、
図20に示されるように、下部層2004は、上部層2002の繊維密度よりも高い繊維密度を有する。他の実施形態では、上部層2002は、下部層2004よりも高い繊維密度を有することができる。いくつかの実施形態では、上部層2002の第1の繊維2008は、第1の所定のパターンに編まれるか又は織られることができ、かつ/又は下部層2004の第2の繊維2012及び第3の繊維2014は、第2の所定のパターンに編まれるか又は織られることができる。特定の実施形態では、第1及び第2の所定のパターンは、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、第1及び第2の所定のパターンは、異なることができる。当業者であれば、第1の繊維2008並びに第2の繊維2012及び第3の繊維2014は、それぞれ上部層2002及び下部層2004内でランダムに又は繰り返して編まれ又は織られ得ることができることを理解するであろう。したがって、簡略化のために、上部層2002及び下部層2004が一般的に示されており、したがって、上部層2002及び下部層2004の特定の構造的構成は、図に示されているものに限定されない。
【0150】
第1の繊維2008、第2の繊維2012、第3の繊維2014、及びスペーサ繊維2016は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の繊維2008、第2の繊維2012、第3の繊維2014、及びスペーサ繊維2016は、材料及び/又は構造的構成において概ね同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができる。他の実施形態では、第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014は、互いに対して材料及び/又は構造的構成が概ね同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができ、スペーサ繊維2016は、それらに対して異なることができる。例えば、特定の実施形態では、第1の繊維2008、第2の繊維2012、第3の繊維2014はマルチフィラメント繊維であることができ、スペーサ繊維2016はモノフィラメント繊維であることができる。したがって、一般的な全体形状は別として、第1の繊維2008、第2の繊維2012、第3の繊維2014、及びスペーサ繊維2016の各々の特定の構造的構成は示されていない。
【0151】
特定の実施形態では、第1の繊維2008は、組織が補助材2000を横切って摺動するとき、例えば、補助材2000がステープル留め部位に配置されているとき、カートリッジ上の上面又はデッキ面上に補助材2000を保持するのを助けるために、実質的に滑らかなパターンを実現するように編まれた又は織られた低摩擦繊維(例えば、モノフィラメント繊維)から形成されることができる。したがって、補助材の上部層(例えば、組織接触層)内に低摩擦繊維を採用することにより、ステープル配備前に組織が補助材を横切って摺動するときに、そうでなければ組織と補助材との間に生じるであろう摩擦を最小限に抑えることができる。
【0152】
更に示されるように、下部層2004は、補助材2000とカートリッジの上面又はデッキ面との間の摩擦を増加させるように構成されることができる第4の繊維2019を含む。このことは、ステープル配備前に補助材2000をカートリッジに保持するのに役立つことができる。第4の繊維2019は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第4の繊維はマルチフィラメント繊維であることができる。したがって、一般的な全体形状は別として、第4の繊維2019の特定の構造的構成は示されていない。更に、簡略化のために、1つの第4の繊維2019のみが図示されている。
【0153】
スペーサ繊維2016は、上部層2002内の第1の相互接続部2018及び第2の相互接続部2022において第1の繊維2008内で相互接続され、スペーサ繊維2016は、下部層2004内の第3の相互接続部2020及び第4の相互接続部2024において少なくとも第2の繊維2012及び第3の繊維2014と相互接続される。したがって、この上部層2002と下部層2004との間の相互作用は、コア層2006との相互作用と共に、上部層2002を下部層2004に固定する。更に、コア層2006を形成するスペーサ繊維の部分は、起立繊維2026を形成するように配置される。起立繊維2026は、コア層2006内で様々な配向を有することができ、例えば、図示されるように、概して柱状構成であり、このことは、それらが概して隣接する列に配向されていることを意味する。起立繊維2026は、補助材2000に加えられる力に応じて屈曲又は圧縮するように構成されることができる。
【0154】
図20に示されるように、相互接続部2018、2020、及び2022、2024は、上部層2002と下部層2004との間で同一であることができる。相互接続部2018、2020は、密な結び目として表され、スペーサ繊維2016が、上部層2002の第1の繊維2008の周りに複数回巻き付いており、同時に下部層2004の第2の繊維2012及び第3の繊維2014の周りにも巻き付いている。いくつかの実施形態では、相互接続部2018、2020は、第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014の周りにスペーサ繊維2016を巻き付けることによって形成された密な結び目として示されているが、スペーサ繊維2016が第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014に沿って摺動するのを防止する任意の結び目など、相互接続部2018、2020のための他のタイプの密な結び目が使用されることができる。
【0155】
加えて、相互接続部2022、2024は、疎な結び目として表され、スペーサ繊維2016は、上部層2002の第1の繊維2008を1回だけ通過し、同時に下部層2004の第2の繊維2012及び第3の繊維2014も1回だけ通過する。いくつかの実施形態では、相互接続部2022、2024は、第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014の周りにスペーサ繊維2016を巻き付けることによって形成された疎な結び目として示されているが、スペーサ繊維2016が第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014に沿って摺動するのを防止する任意の結び目など、相互接続部2022、2024のための他のタイプの疎な結び目が使用されることができる。
【0156】
2つの異なるタイプの相互接続部が存在するため、補助材2000は、第1の圧縮ゾーン2028及び第2の圧縮ゾーン2030を有することができる。両方の圧縮ゾーンが同じ繊維から製造されている場合でも、各圧縮ゾーンは、圧縮されたときに異なる剛性を有することができる。これは、補助材2000が圧縮されると、相互接続部2018、2020は、スペーサ繊維2016が第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014に沿って摺動するのを抑制するが、対照的に、相互接続部2022、2024は、スペーサ繊維2016が第1の繊維2008、第2の繊維2012、及び第3の繊維2014に沿って摺動するのを可能にするためである。したがって、各異なる圧縮ゾーン2028、2030は、補助材2000が、例えばその幅に沿って(例えばy方向に)可変圧縮強度を有することができるように、それぞれの剛性を有する。
【0157】
特定の実施形態では、スペーサ繊維は、補助材が圧縮されたときにスペーサ繊維が残りの繊維を越えて(例えば、ループの形態で)延びることを可能にするように、補助材の下部層(例えば、カートリッジ接触層)の残りの繊維の少なくとも一部分と相互作用することができる。代替的に、又は追加的に、スペーサ繊維は、補助材が圧縮されたときにスペーサ繊維が残りの繊維を越えて(例えば、ループの形態で)延びることを可能にするように、補助材の上部層(例えば、組織接触層)の残りの繊維の少なくとも一部分と相互作用することができる。
【0158】
繊維接続性に加えて、補助材の全体的な圧縮挙動は、少なくとも部分的に、内部に組み込まれたスペーサ繊維のタイプに依存することができる。したがって、補助材の所望の圧縮挙動は、特定の構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)及び/若しくは寸法(例えば、直径)、並びに/又は特定の組成構成(例えば、低弾性率を有する第1のポリマー材料、高弾性率を有する第2のポリマー材料、又は2つ以上のポリマー材料のブレンド)を有するスペーサ繊維を少なくとも組み込むことによって実現されることができる。更に、圧縮挙動は、補助材のコア層又は中間層内のスペーサ繊維の部分の配向(例えば、起立繊維が補助材の長手方向軸に対して延びる方向)の関数であることができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、補助材内の異なる圧縮ゾーンを実現するために、異なるスペーサ繊維を補助材内の異なる部分に組み込むことができる。例えば、第1のタイプのスペーサ繊維(例えば、第1のスペーサ繊維)が選択され第1の圧縮ゾーンを作成することができ、第1のタイプのスペーサ繊維とは異なる第2のタイプのスペーサ繊維(例えば、第2のスペーサ繊維)を選択して第2の圧縮ゾーンを作ることができる。第1のタイプの繊維は、構造(例えば、構造タイプ、例えば、モノフィラメント若しくはマルチフィラメント、並びに/又は寸法、例えば、高さ及び/若しくは直径)、及び/又は組成において、第2のタイプの繊維とは異なることができる。したがって、第1の圧縮ゾーンは第1の圧縮強度を有し、第2の圧縮ゾーンは、第2の圧縮強度とは異なる第2の圧縮強度を有する。その結果、補助材は様々な圧縮強度を有する。
【0160】
例えば、第1の圧縮ゾーンは、第2の圧縮ゾーンよりも大きな圧縮強度を有することができ、したがって、第1の圧縮ゾーンはより剛性であることができる。使用中、第1の圧縮ゾーンは、切断部材を受容するように構成されたカートリッジ内に形成された長手方向スロットと少なくとも部分的に重なることができ、第2の圧縮ゾーンは、カートリッジ内に画定されたステープルキャビティと少なくとも部分的に重なることができる。そのような配列は、補助材の切断を促進する一方で、組織に対して補助材を捕捉するステープル内における所望の組織の厚さの補償特性をもたらすことができる。特定の事例では、第2の圧縮はまた、長手方向スロットの1つ以上の部分と部分的に重なることができる。一実施形態では、第2の圧縮ゾーンは、長手方向スロットの始点及び/又は終点に最も近いゾーンであることができる。
【0161】
図21A~
図21Bは、2つの異なるタイプのスペーサ繊維を有する編み補助材2100の例示的な実施形態である。補助材2100は、上部層2110(例えば、組織接触層)、下部層2112(例えば、カートリッジ接触層)、及び上部層2110と下部層2112との間に位置付けられた中間層2114を形成するように絡み合わされた第1の繊維2102、第2の繊維2104、第1のスペーサ繊維2106、及び第2の異なるスペーサ繊維2108を含む。
図21Aに示されるように、第1のスペーサ繊維2106は、中間層2114の中心部分(点線のボックス2114aとして表される)内に集中し、補助材2100の第1の圧縮ゾーンを画定する。第2のスペーサ繊維2108は、中間層2114の残りの部分に集中し、補助材2100内に第2の圧縮ゾーンを画定する。
【0162】
第1の繊維2102、第2の繊維2104、第1のスペーサ繊維2106、及び第2のスペーサ繊維2108は、様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の繊維2102及び第2の繊維2104は、組成構成(例えば、同じ材料(複数可)から形成される)、寸法(複数可)(例えば、高さ及び/又は直径)、及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)において概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができる。他の実施形態では、第1の繊維2102及び第2の繊維2104は、異なることができる。更に、第1の繊維及び/又は第2の繊維は、第1のスペーサ繊維又は第2のスペーサ繊維と同じであることができる。いくつかの実施形態では、第1の繊維2102、第2の繊維2104、第1のスペーサ繊維2106、及び/又は第2のスペーサ繊維2108は、モノフィラメント繊維であることができる。他の実施形態では、第1の繊維2102、第2の繊維2104、第1のスペーサ繊維2106、及び/又は第2のスペーサ繊維2108は、モノフィラメント繊維であることができる。特定の実施形態では、第1の繊維2102、第2の繊維2104、及び第1のスペーサ繊維2106は、モノフィラメント繊維であることができ、第2のスペーサ繊維2108は、マルチフィラメント繊維である。したがって、一般的な全体形状は別として、第1の繊維2102、第2の繊維2104、第1のスペーサ繊維2106、及び第2のスペーサ繊維2108の特定の構造的構成は示されていない。
【0163】
いくつかの実施形態では、上部層2110の第1の繊維2102及び/又は下部層2112の第2の繊維2104は、それぞれの所定のパターンで編まれることができる。特定の実施形態では、上部層2110内の第1の繊維2102の所定のパターン及び下部層2112の第2の繊維2104の所定のパターンは、概して同一(例えば、製造公差内で名目上同一)であることができるが、他の実施形態では、所定のパターンは異なることができる。更に、いくつかの実施形態では、上部層2110の繊維密度は、下部層2112の繊維密度とは異なることができる。上部層2110の第1の繊維2102及び下部層2112の第2の繊維2104は各々、様々なパターンで編まれることができるが、特定の実施形態では、第1の繊維2102は、第1のラッセル編みパターンに編まれることができ、第2の繊維2104は、第1のレイチェル(Rachel)編みパターンと同じか又は異なる第2のラッセル編みパターンに編まれることができる。当業者であれば、第1の繊維2102及び第2の繊維2104は、それぞれ上部層2110及び下部層2112内でランダムに又は繰り返して編まれ又は織られ得ることを理解するであろう。したがって、簡略化のために、上部層2110及び下部層2112が一般的に示されており、したがって、上部層2110及び下部層2112の特定の構造的構成は、図に示されているものに限定されない。
【0164】
図21A~
図21Bに示されるように、上部層2110と下部層2112との間に延びる第1のスペーサ繊維2106の部分及び第2のスペーサ繊維2108の部分は、中間層2114を形成する。これらの部分は様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、それらは概して柱状構成で配置されており、すなわち、それらは概して隣接する列に配向されている。したがって、補助材2100の圧縮挙動は、第1のスペーサ繊維2106及び第2のスペーサ繊維2108の座屈特性によって主に駆動され得る。
【0165】
更に示されるように、第1の圧縮ゾーン2114aは、第2の圧縮ゾーンによって完全に境界付けられ、したがって、補助材2100の意図された切断線CLは、第1及び第2の圧縮ゾーンにわたって、かつ補助材2100の長手方向軸LAに沿って画定される。この図示された実施形態では、意図される切断線CLの大部分は、第1の圧縮ゾーン2114aによって画定され、したがって、第2の圧縮ゾーンと比較して、より剛性であり、したがって、圧縮に対してより高い抵抗を呈するように構成されることができる。例えば、第1のスペーサ繊維2106はモノフィラメント繊維であることができ、第2のスペーサ繊維2108はマルチフィラメント繊維であることができる。したがって、得られる補助材2100は、補助材2100の切断線CLに対して横方向(例えば、y方向)に可変圧縮強度を有することができる。更に、切断線CLの開始及び終了は、第2の圧縮ゾーンによって画定され、したがって、補助材2100の切断をより容易にすることができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、下部層2112はまた、
図21Bにより詳細に示されるように、1つ以上の追加繊維2116から形成されることができる。1つ以上の追加繊維2116は、様々な構成を有することができるが、この図示された実施形態では、1つ以上の追加繊維は、カートリッジの上面又はデッキ面に対して牽引力を提供するループ(例えば、牽引ループ)を形成し、それによってステープル配備前に補助材をカートリッジに保持するのを助けるように、下部層2112内で相互接続される。代替的に、又は追加的に、1つ以上の追加繊維2116は、補助材をカートリッジに熱成形又は結合する目的で、補助材に組み込まれることができる。1つ以上の追加繊維2116は、マルチフィラメント、又はモノフィラメント繊維であることができる。一実施形態では、1つ以上の追加繊維2116はマルチフィラメント繊維である。特定の実施形態では、1つ以上の追加繊維2116は、少なくとも2つの第1及び第2の追加繊維を含むことができ、第1の追加繊維は、組成構成(例えば、同じ材料(複数可)から形成される)、寸法(複数可)(例えば、高さ及び/又は直径)及び/又は構造的構成(例えば、モノフィラメント又はマルチフィラメント)において第2の追加繊維とは異なる。
【0167】
本明細書に開示されるデバイスは、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回の使用後に、再使用のために再調整することができる。再調整には、デバイスの分解ステップ、それに続く洗浄ステップ又は特定の部品の交換ステップ、及びその後の再組み立てステップの任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、デバイスは分解することができ、デバイスの任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、デバイスを後の使用のために、再調整施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによってのいずれかで再度組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0168】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。追加的に、開示されるシステム、デバイス、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される限りにおいて、そのような寸法は、そのようなシステム、デバイス、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、そのような直線寸法及び円寸法に相当する寸法を、任意の幾何学的形状について容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及びデバイス、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及びデバイスが内部で使用される対象の解剖学的構造、システム及びデバイスが使用される構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及びデバイスが使用される方法及び手術に依存し得る。
【0169】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、デバイスのハンドルを握っている臨床医などのユーザを基準として使用されることが理解されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、デバイスは、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0170】
値又は範囲は、本明細書では、「約」及び/又は「約」1つの特定の値から別の特定の値までとして表すことができる。そのように値又は範囲が表される場合、開示される他の実施形態は、列挙された特定の値、及び/又は1つの特定の値から別の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」の使用によって値が近似の形式で表現された場合、開示される多くの値が列挙され、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。開示される多くの値が存在し、各値は、本明細書においては、その特定の値自体に加えて「約」が付く値として開示されることも更に理解されるであろう。一部の実施形態では、「約」は、例えば、列挙された値の10%以内、列挙された値の5%以内、又は列挙された値の2%以内を意味するために使用され得る。
【0171】
本教示を説明及び定義する目的で、別途記載のない限り、用語「実質的に」は、本明細書では、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用されることに留意されたい。用語「実質的に」はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、記述された基準から変化し得る程度を表すためにも利用される。
【0172】
当業者には、上で説明される実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。参照によって全体又は一部が本明細書に組み込まれるとされる任意の特許、公開又は情報は、組み込まれる資料は、この文書に記載されている既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない程度のみである。したがって、本明細書に明確に示した開示内容は、本明細書に援用されるいかなる矛盾する文献にも優先するものとする。
【0173】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
内部に配設された複数のステープルを有するカートリッジであって、前記複数のステープルが、組織内に配備されるように構成されている、カートリッジと、
前記カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成された編み補助材であって、前記補助材が、前記カートリッジ内の前記複数のステープルによって組織に取り付けられることができ、前記補助材が、第1の繊維、第2の繊維、及びスペーサ繊維を含み、前記第1の繊維及び前記スペーサ繊維が、絡み合って前記補助材の上部層を形成し、前記第2の繊維及び前記スペーサ繊維が、絡み合って前記補助材の下部層を形成し、前記第1の繊維、前記第2の繊維、及び前記スペーサ繊維が、絡み合って前記上部層と前記下部層との間に延びる少なくとも1つの仕上げ済み縁部を形成し、前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部がほつれを実質的に防止する、編み補助材と、を備える、ステープル留めアセンブリ。
(2) 前記スペーサ繊維が、前記上部層から前記下部層まで延びて、前記上部層と前記下部層との間に中間層を形成する、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
(3) スペーサ繊維のみが前記中間層内に存在する、実施態様2に記載のステープル留めアセンブリ。
(4) 前記スペーサ繊維が、前記上部層内で前記第1の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
(5) 前記スペーサ繊維が、前記下部層内で前記第2の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
【0174】
(6) 前記第1の繊維及び前記第2の繊維のうちの少なくとも1つが、マルチフィラメント繊維である、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
(7) 前記スペーサ繊維がモノフィラメント繊維である、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
(8) 前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、前記補助材の最外縁部の少なくとも一部分に沿って位置付けられている、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
(9) 前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、前記補助材の最外周全体を画定している、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
(10) 前記カートリッジが、前記カートリッジの内部に形成され、前記カートリッジの長手方向軸の少なくとも一部分に沿って延びるスロットを含み、前記スロットが、対向する第1のスロット縁部と第2のスロット縁部との間に画定され、切断要素を受容するように構成されている、実施態様1に記載のステープル留めアセンブリ。
【0175】
(11) 前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、第1の仕上げ済み縁部及び第2の仕上げ済み縁部を含み、前記第1の仕上げ済み縁部が、前記第1のスロット縁部に隣接してそれに沿って位置付けられており、前記第2の仕上げ済み縁部が、前記第2のスロット縁部に隣接してそれに沿って位置付けられている、実施態様10に記載のステープル留めアセンブリ。
(12) 外科用ステープラと共に使用するためのステープル留めアセンブリであって、
内部に配設された複数のステープルを有するカートリッジであって、前記複数のステープルが、組織内に配備されるように構成されている、カートリッジと、
前記カートリッジ上に解放可能に保持されるように構成された編み補助材であって、前記補助材が、前記カートリッジ内の前記複数のステープルによって組織に取り付けられることができ、前記補助材が、組織接触面と、前記組織接触面の反対側のカートリッジ接触面とを有し、前記補助材が、
スペーサ繊維と絡み合った第1の繊維から形成された上部層であって、前記組織接触面の少なくとも一部分を画定する、上部層と、
前記スペーサ繊維と絡み合った第2の繊維から形成された下部層であって、前記上部層に対向しており、前記カートリッジ接触面の少なくとも一部分を画定する、下部層と、
前記上部層と前記下部層との間に位置付けられた中間層であって、前記上部層と前記下部層との間に延びる前記スペーサ繊維の部分から形成され、前記スペーサ繊維の前記部分が、前記編み補助材に加えられた力に応じて屈曲するように構成された起立繊維を形成するように配置されている、中間層と、
互いに絡み合い、前記補助材の最外周の少なくとも一部分に沿って位置付けられることによって、それに沿った前記繊維のほぐれを防止する前記第1の繊維、前記第2の繊維、及び前記スペーサ繊維を含む少なくとも1つの仕上げ済み縁部とを含む、編み補助材と、を備える、ステープル留めアセンブリ。
(13) 前記スペーサ繊維が、前記上部層内で前記第1の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、実施態様12に記載のステープル留めアセンブリ。
(14) 前記スペーサ繊維が、前記下部層内で前記第2の繊維と繰り返しパターンで絡み合っている、実施態様12に記載のステープル留めアセンブリ。
(15) 前記第1の繊維及び前記第2の繊維のうちの少なくとも1つが、マルチフィラメント繊維である、実施態様12に記載のステープル留めアセンブリ。
【0176】
(16) 前記スペーサ繊維がモノフィラメント繊維である、実施態様12に記載のステープル留めアセンブリ。
(17) 前記少なくとも1つの仕上げ済み縁部が、組み合わされて、前記補助材の前記最外周全体を画定する複数の仕上げ済み縁部を含む、実施態様12に記載のステープル留めアセンブリ。
【国際調査報告】