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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】クリーマー
(51)【国際特許分類】
   A23C 11/10 20210101AFI20231214BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20231214BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231214BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231214BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20231214BHJP
   A23F 5/24 20060101ALI20231214BHJP
   A23G 1/56 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A23C11/10
A23L29/00
A23L5/00 L
A23L2/52
A23F3/16
A23F5/24
A23G1/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531650
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2021084480
(87)【国際公開番号】W WO2022128596
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215284.9
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ド ボワシェベール, ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】ロブソン, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】テラザス, コリーナ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B027
4B035
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001AC05
4B001AC15
4B001AC46
4B001BC02
4B001EC01
4B001EC99
4B014GB05
4B014GG14
4B014GK07
4B014GL10
4B014GL11
4B014GP01
4B027FB13
4B027FB24
4B027FK04
4B027FK06
4B035LC03
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG19
4B035LG22
4B035LK13
4B035LP21
4B117LG17
4B117LK10
4B117LK13
4B117LL06
4B117LP20
(57)【要約】
テンサイペクチンと、植物油と、増量剤と、を含むクリーマー組成物、そのようなクリーマーを含む飲料カプセル、そのようなクリーマーを含む飲料システム、そのようなクリーマーを含む飲料組成物、及びそのようなクリーマーの製造方法。更に、クリーマー組成物における乳化剤としてのテンサイペクチンの使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンサイペクチンと、植物油と、増量剤と、を含むクリーマー組成物。
【請求項2】
前記組成物が、粉末クリーマー又は液体クリーマーの形態であり、好ましくは粉末クリーマーの形態である、請求項1に記載のクリーマー組成物。
【請求項3】
前記クリーマー組成物が、約0.1重量%~約2.5重量%、約0.3重量%~約1.5重量%、又は約0.7重量%~約1重量%の量の前記ペクチンを含む、請求項1又は2に記載のクリーマー組成物。
【請求項4】
前記ペクチン及び前記油が、
約1:500~約1:4、又は約1:250~約1:10、又は約1:100~約1:20、又は約1:25~約1:20のペクチン:油の重量比で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項5】
前記クリーマー組成物のpHが、少なくとも約pH5、少なくとも約pH6、少なくとも約pH6.5、又は約pH6.5~約pH8である、請求項1~4のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項6】
前記クリーマー組成物が塩基を更に含み、任意選択的に、前記塩基が、炭酸塩、重炭酸塩(炭酸水素塩)、若しくは水酸化物塩のうちの1つ以上、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項7】
前記クリーマー組成物が、約10重量%~約50重量%、約25重量%~約50重量%、又は約35重量%~約50重量%の量の前記油を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項8】
前記油が、ココナッツ油、大豆油、菜種油、ひまわり油、キャノーラ油、ベニバナ油、パーム油、パーム核油、藻類油、綿実油、又はコーン油、及びオリーブ油のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項9】
前記クリーマー組成物が、約10重量%~約80重量%の量の前記増量剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項10】
前記クリーマー組成物が発泡助剤を更に含み、任意選択的に、前記発泡助剤が、植物性タンパク質及び/又はサポニンを含む、又はそれらからなる、請求項1~9のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のクリーマー組成物を含む飲料カプセル。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載のクリーマー組成物を含む飲料システム。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載のクリーマー組成物を含む飲料組成物であって、任意選択的に、コーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料である、飲料組成物。
【請求項14】
クリーマー組成物、好ましくはコーヒークリーマー、茶クリーマー、又はココアクリーマーなどの飲料クリーマー組成物における乳化剤としてのテンサイペクチンの使用。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載のクリーマー組成物を製造するための方法であって:
(i)テンサイペクチンを含む水相と、植物油を含む油相と、増量剤と、を用意する工程と、
(ii)前記水相と、前記油相と、前記増量剤と、を混合して、プレエマルションを形成する工程と、
(iii)前記プレエマルションを均質化してエマルション濃縮物を形成する工程と、
(iv)任意選択的に、前記エマルション濃縮物を乾燥させて、粉末クリーマー組成物を形成する工程と、
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンサイペクチンと、植物油と、増量剤と、を含むクリーマー組成物に関する。本発明は、クリーマー組成物における唯一の又は主要な水中油型乳化剤としてのテンサイペクチンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーマーは、白色付与剤として、並びに温飲料及び冷飲料、例えば、コーヒー、ココア、茶などのテクスチャー/口当たり調整剤として、広く使用されている。クリーマーは、乳又は乳クリームの代わりに一般的に使用される。クリーマーは、様々な風味をもたらし、白色付与効果、口当たり、こく(body)、及びより滑らかなテクスチャーを提供することができ、液体又は粉末の形態とすることができ得る。
【0003】
クリーマーは、水を用いて作られた食品及び飲料に添加されたとき、物理的に安定である必要がある。クリーマーが飲料中で良好に機能するためには、飲料に加えられたときに及び飲料が完全に消費されるまでクリーマーが安定しており、凝集体又は塊を含まないことが必要とされる。
【0004】
食品産業において、ヴィーガン代替物及び植物ベースの代替物に対する需要が増大している。しかしながら、市場に出回っているヴィーガンクリーマーの大半は、安定性を保つために高価な植物タンパク質又は及び/又はクリーンラベルではない乳化剤の使用に依存する。
【0005】
植物タンパク質(例えば、エンドウマメ、ジャガイモ、コメ)は、マスキングを必要とする強いマメ風味を付与することが多い。植物タンパク質に関する更なる問題は、溶解性を増加させるために一般に加水分解段階を経る必要があることであり、この段階を経ることで不安定なエマルションがもたらされ得る。植物タンパク質の加水分解はまた、「使用した野菜水(used vegetable water)」風味と関連付けられることが多い。更に、おそらく大豆由来の植物性タンパク質が最も高機能性であるが、大豆タンパク質はGMOに由来することが多く、大豆は主要なアレルゲンであり、かつ大豆風味の受容性は現在限られている。更なる解決策は、通常、ココナッツミルク又はアーモンドミルクをベースとしたものであり、これらの官能特性は特段汎用性が高いわけではない。
【0006】
乳製品を含まないその他のクリーマーは、消費者の認識に基づいて一般的に望まれない非クリーンな乳化剤及び/又はE番号を使用するものである。
【0007】
したがって、クリーンラベルのヴィーガンクリーマー組成物に対する需要がある。
【0008】
[発明の概要]
本発明者らは、驚くべきことに、水中油型エマルションの唯一の乳化剤として使用した場合に、テンサイペクチンが優れた乳化特性を与えることを見出した。
【0009】
現在、植物性タンパク質は、目標とする脂肪滴サイズを達成することができず、その結果、乾燥プロセス中の十分な脂肪封入が課題となる場合がある。本発明者らは、驚くべきことに、テンサイペクチンエマルションが1マイクロメートル未満の中央粒径からなり、かかるエマルションは、優れた乳化を保持する一方で、容易に噴霧乾燥して、良好な再水和特性を有する粉末を形成することができることを見出した。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、共乳化剤が必要とされないこと、並びにテンサイペクチンエマルションがある範囲のpHにわたって安定であることを見出した。
【0011】
本発明の一態様によれば、ペクチン、好ましくはテンサイペクチンと、油成分、好ましくは植物油と、増量剤と、を含むクリーマー組成物が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物は、粉末クリーマー又は液体クリーマーの形態であり、好ましくは粉末クリーマーの形態である。
【0013】
ペクチンは、高エステルペクチンであってもよく、任意選択的に、ペクチンは、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は約50%~約60%、又は約55%のエステル化度(DE)を有する。
【0014】
ペクチンは、少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%のアセチル化度(DAc)を有してもよく、任意選択的に、ペクチンは、約10%~約30%、又は約14%~約26%、又は約20%~約25%のDAcを有する。
【0015】
クリーマー組成物は、約0.1重量%~約2.5重量%、約0.3重量%~約1.5重量%、又は約0.7重量%~約1重量%の量のペクチンを含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、ペクチン及び油は、約1:500~約1:4、又は約1:250~約1:10、又は約1:100~約1:20、又は約1:25~約1:20のペクチン:油の重量比で存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物のpHは、少なくとも約pH3、少なくとも約pH4、少なくとも約pH5、少なくとも約pH6、又は少なくとも約pH6.5、又は約pH6.5~約pH8である。
【0018】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、塩基を更に含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、塩基は、炭酸塩、重炭酸塩(炭酸水素塩)、若しくは水酸化物塩のうちの1つ以上、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる。
【0020】
いくつかの実施形態では、塩基は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムのうちの1つ以上、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる。
【0021】
いくつかの実施形態では、塩基は、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸カルシウム、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる。
【0022】
クリーマー組成物は、約10重量%~約50重量%、約25重量%~約50重量%、又は約35重量%~約50重量%の量の油を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、油は、ココナッツ油、大豆油、菜種油、ひまわり油、キャノーラ油、ベニバナ油、パーム油、パーム核油、藻類油、綿実油、又はコーン油、及びオリーブ油のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる。
【0024】
いくつかの実施形態では、油は、非水添植物油、水添植物油、エステル交換植物油、及び/又は中鎖トリグリセリド(MCT)植物油を含む、又はそれらからなる。
【0025】
いくつかの実施形態では、油は、ココナッツ油、水添ココナッツ油、及び/又はMCT油を含む、又はそれらからなり、好ましくは、MCT油は、ココナッツ油及び/又はパーム核油由来である。
【0026】
クリーマー組成物は、約10重量%~約80重量%の量の増量剤を含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、増量剤は、シロップ;可溶性/不溶性繊維、好ましくはコーン、コムギ、エンドウマメ、コメ、オート麦、ココナッツ、オオムギ、及び/又はタピオカに由来するもの;フラクトオリゴ糖及びガラクトオリゴ糖;並びに加水分解穀粉のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる。
【0028】
いくつかの実施形態では、増量剤は、グルコースシロップ、粉末グルコース、デンプン、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、及びデキストリンのうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、増量剤は、グルコースシロップを含む、又はそれからなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、約0.1重量%~約2.5重量%の量のペクチンと、約10重量%~約50重量%の量の油と、約10重量%~約80重量%の量の増量剤と、を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、発泡性クリーマーである。
【0031】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、発泡助剤を更に含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、発泡助剤は、植物性タンパク質であって、任意選択的に、ソラマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、コメタンパク質、オート麦タンパク質、大豆タンパク質のうちの1つ以上から選択される、植物性タンパク質;多糖類;及びサポニンのうちの1つ以上を含み、又はそれらからなり、任意選択的に、サポニンは、キラヤ由来である。
【0033】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、緩衝剤及び/又は安定剤を実質的に含まない。
【0034】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物中の唯一の乳化剤はペクチンである。
【0035】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、ヴィーガンクリーマーである。
【0036】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、飲料クリーマー、好ましくはコーヒークリーマー、茶クリーマー、又はココアクリーマーである。好ましくは、クリーマー組成物は、コーヒークリーマーである。
【0037】
本発明の別の態様によれば、本発明のクリーマー組成物を含む飲料カプセルが提供される。
【0038】
本発明の別の態様によれば、本発明のクリーマー組成物を含む飲料システムが提供される。
【0039】
本発明の別の態様によれば、本発明のクリーマー組成物を含む飲料組成物であって、任意選択的に、コーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料である飲料組成物が提供される。
【0040】
いくつかの実施形態では、飲料組成物は、レディ・トゥ・ドリンク飲料又はレディ・トゥ・ユーズ飲料である。
【0041】
本発明の別の態様によれば、クリーマー組成物、好ましくはコーヒークリーマー、茶クリーマー、又はココアクリーマーなどの飲料クリーマー組成物における乳化剤としてのペクチン、好ましくはテンサイペクチンの使用が提供される。
【0042】
本発明の別の態様によれば、クリーマー組成物(例えば、本発明のクリーマー組成物)を製造するための方法であって、
(i)ペクチン、好ましくはテンサイペクチンを含む水相と、油成分、好ましくは植物油を含む油相と、増量剤と、を用意する工程と、
(ii)水相と、油相と、増量剤と、を混合して、プレエマルションを形成する工程と、
(iii)プレエマルションを均質化してエマルション濃縮物を形成する工程と、
(iv)任意選択的に、エマルション濃縮物を乾燥させて、粉末クリーマー組成物を形成する工程と、
を含む、方法が提供される。
【0043】
いくつかの実施形態では、水相及び油相は、増量剤の添加前に混合される。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法は、熱処理工程を更に含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、方法は、発泡工程を更に含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、クリーマー組成物を冷却する工程及び/又はクリーマー組成物を包装する更なる工程を更に含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、乾燥は噴霧乾燥である。
【0048】
本発明の別の態様によれば、飲料組成物を調製する方法であって、
(i)飲料組成物ベースを用意する工程と、
(ii)本発明のクリーマー組成物を飲料組成物ベースに添加する工程と、
を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A】テンサイペクチン乳化クリーマーの安定性 (A)均質化後の濃縮物(左)及びPSD測定のために希釈されたもの(右)。 (B)安定性を評価するためにコーヒーに添加された濃縮物。
図1B】テンサイペクチン乳化クリーマーの安定性 (A)均質化後の濃縮物(左)及びPSD測定のために希釈されたもの(右)。 (B)安定性を評価するためにコーヒーに添加された濃縮物。
図2】テンサイペクチン乳化クリーマーのPSD コメタンパク質-レシチン基準と比較したペクチン系エマルションのPSD。タンパク質-レシチン基準の9.6μmと比較して、ペクチン系エマルションは約1.3μmのd(4,3)を有する。
図3A】テンサイペクチン乳化クリーマーのレオロジー (A)75℃で600s-1の剪断速度までのペクチン系クリーマーのレオロジー。 (B)75℃で600s-1の剪断速度までのコメタンパク質-レシチン基準のレオロジー。
図3B】テンサイペクチン乳化クリーマーのレオロジー (A)75℃で600s-1の剪断速度までのペクチン系クリーマーのレオロジー。 (B)75℃で600s-1の剪断速度までのコメタンパク質-レシチン基準のレオロジー。
図4A】試験29805.070及び29805.075からのエマルション濃縮物のPSD (A)試験29805.070からのエマルション濃縮物のPSD。 (B)試験29805.075からのエマルション濃縮物のPSD。
図4B】試験29805.070及び29805.075からのエマルション濃縮物のPSD (A)試験29805.070からのエマルション濃縮物のPSD。 (B)試験29805.075からのエマルション濃縮物のPSD。
図5】コメタンパク質-レシチン基準クリーマーと比較した再構成した試験29805.075。
図6A】試験32069.014及び32069.015からのエマルション濃縮物のPSD (A)試験32069.014からのエマルション濃縮物のPSD。 (B)試験32069.015からのエマルション濃縮物のPSD。
図6B】試験32069.014及び32069.015からのエマルション濃縮物のPSD (A)試験32069.014からのエマルション濃縮物のPSD。 (B)試験32069.015からのエマルション濃縮物のPSD。
図7】再構成した試験32069.014及び32069.015。 試料を以下のように再構成した。9gのクリーマー、1.7gのコーヒー、200mLの水(85℃)。
図8】試験35761.011からのエマルション濃縮物のPSD
図9A】テンサイペクチン系コーヒークリーマーの調製及び加水分解コメタンパク質系コーヒークリーマーの調製 (A)試験37964.005(テンサイペクチン)のプロセスフローチャート。 (b)試験37964.006(加水分解コメタンパク質)のプロセスフローチャート。
図9B】テンサイペクチン系コーヒークリーマーの調製及び加水分解コメタンパク質系コーヒークリーマーの調製 (A)試験37964.005(テンサイペクチン)のプロセスフローチャート。 (b)試験37964.006(加水分解コメタンパク質)のプロセスフローチャート。
図10A】試験37964.005及び37964.006からのエマルション濃縮物のPSD (A)テンサイペクチン試験、(B)加水分解コメタンパク質試験、の濃縮物における脂肪球サイズ分布は、同等の均質化条件(180/50bar)及び脂肪含有量(35%)でのテンサイペクチン試験について、エマルション品質がはるかに良好(はるかに小さいサイズ)であることを示している。
図10B】試験37964.005及び37964.006からのエマルション濃縮物のPSD (A)テンサイペクチン試験、(B)加水分解コメタンパク質試験、の濃縮物における脂肪球サイズ分布は、同等の均質化条件(180/50bar)及び脂肪含有量(35%)でのテンサイペクチン試験について、エマルション品質がはるかに良好(はるかに小さいサイズ)であることを示している。
図11A】実施例4-3及び実施例4-4からの再構成した粉末のPSD (A)実施例4-3からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-4からの再構成した粉末のPSD
図11B】実施例4-3及び実施例4-4からの再構成した粉末のPSD (A)実施例4-3からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-4からの再構成した粉末のPSD
図12A】実施例4-7及び実施例4-11からの液体クリーマーのPSD (A)実施例4-7からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-8からの再構成した粉末のPSD (C)実施例4-6からの再構成した粉末のPSD (D)実施例4-9からの再構成した粉末のPSD (E)実施例4-10からの再構した成粉末のPSD (F)実施例4-11からの再構成した粉末のPSD
図12B】実施例4-7及び実施例4-11からの液体クリーマーのPSD (A)実施例4-7からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-8からの再構成した粉末のPSD (C)実施例4-6からの再構成した粉末のPSD (D)実施例4-9からの再構成した粉末のPSD (E)実施例4-10からの再構した成粉末のPSD (F)実施例4-11からの再構成した粉末のPSD
図12C】実施例4-7及び実施例4-11からの液体クリーマーのPSD (A)実施例4-7からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-8からの再構成した粉末のPSD (C)実施例4-6からの再構成した粉末のPSD (D)実施例4-9からの再構成した粉末のPSD (E)実施例4-10からの再構した成粉末のPSD (F)実施例4-11からの再構成した粉末のPSD
図12D】実施例4-7及び実施例4-11からの液体クリーマーのPSD (A)実施例4-7からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-8からの再構成した粉末のPSD (C)実施例4-6からの再構成した粉末のPSD (D)実施例4-9からの再構成した粉末のPSD (E)実施例4-10からの再構した成粉末のPSD (F)実施例4-11からの再構成した粉末のPSD
図12E】実施例4-7及び実施例4-11からの液体クリーマーのPSD (A)実施例4-7からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-8からの再構成した粉末のPSD (C)実施例4-6からの再構成した粉末のPSD (D)実施例4-9からの再構成した粉末のPSD (E)実施例4-10からの再構した成粉末のPSD (F)実施例4-11からの再構成した粉末のPSD
図12F】実施例4-7及び実施例4-11からの液体クリーマーのPSD (A)実施例4-7からの再構成した粉末のPSD (B)実施例4-8からの再構成した粉末のPSD (C)実施例4-6からの再構成した粉末のPSD (D)実施例4-9からの再構成した粉末のPSD (E)実施例4-10からの再構した成粉末のPSD (F)実施例4-11からの再構成した粉末のPSD
図13】植物性タンパク質を添加したペクチン安定化エマルションにおけるフォームのオーバーラン。 フォームのオーバーランは、Nespresso Cappuccinatoreでのフォーミング後に測定した。
図14】エステル化及びアセチル化を示すペクチン鎖の概略図
【発明を実施するための形態】
【0050】
次に、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を記載する。当業者は、開示される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を組み合わせることができることを理解されたい。
【0051】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことについて留意する必要がある。
【0052】
本明細書で用いる用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」及び「で構成される(comprised of)」は、「含んている(including)」、「含む(includes)」と同義である、又は「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義で、包括的又はオープンエンドのものであり、追加の、明記されていないメンバー、要素又は方法工程を除外するものではない。用語「含んでいる(comprising)」、「含む(comprises)」及び「で構成される(comprised of)」はまた、用語「からなる(consisting of)」を含む。
【0053】
特に指示がない限り、数値範囲は、その範囲を画定する数を含む。
【0054】
本明細書で論じられる刊行物は、単に本出願の出願日より前にそれらが開示されていたがために提供されている。本明細書において引用されるいかなる文献も、これらの刊行物が本明細書に添付の特許請求の範囲に対する先行技術を構成するものであると認めるものとして解釈されるべきではない。
【0055】
クリーマー組成物
本発明の一態様によれば、クリーマー組成物が提供される。
【0056】
「クリーマー組成物」とは、色(例えば、白色付与効果)、増粘、風味、テクスチャー、及び/又は他の所望の特性などの特定の特性を付与するために、例えば、コーヒー、茶、ココア、又はスープなどの飲料組成物又は食品組成物に添加されることが意図される組成物を意味する。クリーマー組成物は、そのような飲料又は食品組成物中のミルク又はクリームの代替品を意図し得る。
【0057】
本発明のクリーマー組成物は、粉末又は液体形態、好ましくは粉末形態であってもよい。好適には、液体クリーマー組成物は、約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%の量の水を含んでもよい。好適には、粉末クリーマー組成物は、約5重量%以下、又は約3重量%以下の量の水を含んでもよい。
【0058】
好ましくは、クリーマー組成物は非乳製品である。「非乳製クリーマー組成物」は、乳製品に由来する物質(例えば、カゼイン)を含有しないクリーマー組成物であってもよい。
【0059】
好ましくは、クリーマー組成物はヴィーガン用である。「ヴィーガンクリーマー組成物」は、動物由来の物質(例えば、卵又は乳製品由来の物質を含む)を含有しないクリーマー組成物であってもよい。
【0060】
好ましい実施形態では、クリーマー組成物は、飲料クリーマーである。「飲料クリーマー」は、コーヒー、茶、ココア、又は他の飲料中のミルク又はクリームの代替品を意図したクリーマー組成物であってもよい。好適には、クリーマー組成物は、コーヒークリーマー、茶クリーマー、及び/又はココアクリーマーである。好ましくは、クリーマー組成物は、コーヒークリーマーである。
【0061】
ペクチン
本発明のクリーマー組成物はペクチンを含み、好ましくは本発明のクリーマー組成物はテンサイペクチンを含む。
【0062】
クリーマー組成物は、任意の好適な量のペクチンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、又は少なくとも約0.7重量%の量のペクチンを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、約0.1重量%~約2.5重量%、約0.3重量%~約1.5重量%、又は約0.7重量%~約1重量%の量のペクチンを含む。
【0064】
ペクチン多糖類としても知られるペクチンは、ガラクツロン酸が豊富である。ペクチンは、ホモガラクツロナン、ラムノガラクツロナン-I、及びラムノガラクツロナン-IIの構造要素を含み得る。ホモガラクツロナンは、最も豊富なペクチンであり、α(1-4)結合D-ガラクツロン酸の最大200単位のホモポリマーである。ラムノガラクツロナン-Iペクチンは、反復二糖:4)-α-D-ガラクツロン酸-(1,2)-α-L-ラムノース-(1の骨格を含有する。ラムノガラクツロナン-IIは、頻度の低い、複雑な、高度に分枝した多糖である。
【0065】
ガラクツロン酸のC6カルボキシル基は、図14に示すように、メタノールでエステル化することができる。エステル化度(DE)は、メタノールでエステル化されるガラクツロン酸の割合であり、100%の最大値を有する(各ガラクツロン酸が1回エステル化を受けることができるため)。
【0066】
ガラクツロン酸のO2及び/又はO3ヒドロキシル基は、図14に示されるように、アセチル化することができる。アセチル化度(DAc)は、アセチル化されるガラクツロン酸の割合であり、100%超の値を有し得る(各ガラクツロン酸は2回以上アセチル化を受けることができるため)。
【0067】
エステル化度及びアセチル化度は、当業者に公知の任意の方法によって決定することができる。例えば、エステル化度及びアセチル化度は、以下の式を用いて決定することができる:
エステル化度=(メタノールミリモル/ウロン酸ミリモル)×100
アセチル化度=(酢酸ミリモル/ウロン酸ミリモル)×100
【0068】
式中、ウロン酸の含有量は比色分析法を用いて測定され、メタノール及び酢酸の含有量はペクチン試料のアルカリ処理後にHPLCによって測定される。例えば、Melton,L.D.and Smith,B.G.,2001Current Protocols in Food Analytical Chemistry,(1),E3-3 and E3-4に記載されるとおりである。
【0069】
ペクチンの量、構造及び化学組成は、植物間で、経時的に植物内で、及び植物の様々な部位において異なる。例えば、エステル化度は約10%以下~約80%以上の範囲であり得、アセチル化度は約2%以下~約20%以上の範囲で変化し得る。
【0070】
低DE(<50%)を有するペクチンは、酸性条件及び糖の存在下で、水素結合及び疎水性相互作用を介してゲルを形成し得る。このゲル化には一般に60%超の固体含有量を必要とする。高DE(>50%)を有するペクチンは、Ca2+などの二価カチオンの存在下でゲル化する。このゲル化は、はるかに低い総固体含有量(10~70%)で起こり得る。
【0071】
本発明で使用されるペクチンは、高DEペクチンであってもよい。好適には、ペクチンは、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は約50%~約60%、又は約55%のエステル化度(DE)を有する。
【0072】
高DAc(例えば、>10%)を有するペクチンは、低減されたゲル化能力を有し得るが、乳化能力を改善し得る。アセチル化基の疎水性は、油界面をコーティングし、界面張力を低下させることができ、一方、炭水化物鎖は粘度を増加させ、エマルションを安定化させる。炭水化物鎖の水和は、水和層を形成して立体安定性を増加させることによって寄与すると考えられる。
【0073】
本発明で使用されるペクチンは、高DAcペクチンであってもよい。好適には、ペクチンは、少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%のアセチル化度(DAc)を有する。好適には、ペクチンは、約10%~約30%、又は約14%~約26%、又は約20%~約25%のアセチル化度(DAc)を有する。
【0074】
本発明で使用されるペクチンは、高DE及び高DAcペクチンであってもよい。例えば、ペクチンは、好適には、少なくとも約50%のエステル化度(DE)及び少なくとも約10%のアセチル化度(DAc)を有する。
【0075】
好適には、ペクチンは、少なくとも約30,000Da、少なくとも約40,000Da、少なくとも約50,000Da、又は少なくとも約60,000Daの分子量を有する。
【0076】
好適には、ペクチンは、2重量%溶液中で約10cps~約150cpsの粘度を有する。
【0077】
テンサイペクチン
いくつかの実施形態では、本発明で使用されるペクチンは、テンサイペクチンを含む、又はそれからなる。好ましい実施形態では、本発明で使用されるペクチンは、テンサイペクチンである。
【0078】
テンサイペクチンは、当業者に公知の任意の方法によってテンサイパルプから抽出することができる。例えば、Thibault et al..,1985.Journal of Food Science,50(5),pp.1499-1500により記載されるとおりである。任意の市販のテンサイペクチンのを使用してもよい。
【0079】
テンサイペクチンは、リンゴペクチン及びシトラスペクチンと比較してゲル化能力が低いため、テクスチャライザーとして使用されることはほとんどない。ゲル化能力の低減は、ガラクツロン酸のアセチル化に起因する。この低減は天然ペクチンでは稀であるが、乳化特性の改善のために望ましい。
【0080】
更に、テンサイペクチンは、他のペクチンと比較して比較的高いタンパク質含有量を有し得、このことは乳化能力に影響し得る。このタンパク質含有量は、油滴の表面上に有利に吸着する油-水界面を活性化する能力を増加させる。
【0081】
テンサイペクチンは、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は約50%~約60%、又は約55%のエステル化度(DE)を有し得る。テンサイペクチンは、約10%~約30%、又は約14%~約26%、又は約20%~約25%のアセチル化度(DAc)を有し得る。
【0082】
他のペクチン
テンサイペクチンと同じ特性(例えば、DE及びDAc)を有する他のペクチンを使用してもよい。
【0083】
例えば、修飾ペクチンを使用してもよい。低DE及び/又は低DAcを有するペクチンは、当業者に公知の任意の方法を使用してエステル化及び/又はアセチル化されて、テンサイペクチンと同様の特性を有するペクチンに到達し得る。例えば、Renard,C.M.G.C.and Jarvis,M.C.,1999.Carbohydrate Polymers,39(3),pp.201-207に記載される方法を使用する。
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、テンサイペクチン以外のいかなるペクチンも含まない。
【0084】
本発明は、クリーマー組成物、好ましくはコーヒークリーマー、茶クリーマー、又はココアクリーマーなどの飲料クリーマー組成物における乳化剤としてのペクチン(例えば、テンサイペクチン)の使用を提供する。
【0085】
油成分
ペクチンに加えて、本発明のクリーマー組成物は、油成分、好ましくは植物油を含む。
【0086】
クリーマー組成物は、任意の好適な量の油成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペクチン及び油成分は、少なくとも約1:500、少なくとも約1:250、少なくとも約1:200、少なくとも約1:100、少なくとも約1:50、又は少なくとも約1:25のペクチン:油の重量比で存在する。いくつかの実施形態では、ペクチン及び油成分は、約1:500~約1:4、又は約1:250~約1:10、又は約1:100~約1:20、又は約1:25~約1:20のペクチン:油の重量比で存在する。
【0087】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、又は少なくとも約35重量%の量の油成分を含む。いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、約10重量%~約50重量%、約15重量%~約50重量%、約20重量%~約50重量%、約25重量%~約50重量%、又は約35重量%~約50重量%の量の油成分を含む。
【0088】
クリーマーに好適な任意の油を油成分として使用してもよい。好ましくは、油成分は植物油、例えば果実又は野菜の種子又は他の部分から抽出された油である。好適には、油成分は、ココナッツ油、大豆油、菜種油、ひまわり油、キャノーラ油、ベニバナ油、パーム油、パーム核油、藻類油、綿実油、又はコーン油、及びオリーブ油のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、油成分は、ココナッツ油を含む、又はそれからなる。
【0089】
油成分は、加工油、例えば水添油、エステル交換油、及び/又は分留油であってもよい。例えば、油成分は、非水添植物油、水添植物油、エステル交換植物油、及び/又は中鎖トリグリセリド(MCT)植物油を含む、又はそれらからなってもよい。
【0090】
「水添油」は、不飽和脂肪酸の一部が水素添加によって飽和脂肪酸に変換された油である。例示的な水添油としては、水添ココナッツ油、水添パーム油、水添パーム核油などが挙げられる。「非水添油」は、水素添加を受けていない油である。例示的な水添油としては、非水添ココナッツ油などが挙げられる。
【0091】
「エステル交換油」は、脂肪酸鎖をグリセロールに結合するエステル結合が破壊され、再形成されて脂肪酸の混合物を提供する化学的プロセス又は酵素的プロセスであるエステル交換を受けた油である。例示的なエステル交換油としては、エステル交換パーム油などが挙げられる。
【0092】
「MCT油」は、C4~C14、好ましくはC8~C12飽和脂肪酸鎖を含む飽和トリグリセリドで構成される油である。MCT油は、例えばココナッツ油及び/又はパーム核油から分留によって分離することができる。いくつかの実施形態では、油はMCT油を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、油成分は、ココナッツ油(例えば、水添及び/又は非水添ココナッツ油)及び/又はMCT油を含む、又はそれらからなる。
【0094】
増量剤
ペクチン及び油成分に加えて、本発明のクリーマー組成物は増量剤を含む。
【0095】
クリーマー組成物は、任意の好適な量の増量剤を含んでもよい。クリーマー組成物は、約10重量%~約80重量%の量の増量剤を含んでもよい。例えば、クリーマー組成物は、約0.1重量%~約2.5重量%の量のペクチンと、約10重量%~約50重量%の量の油と、約10重量%~約80重量%の量の増量剤と、を含んでもよい。
【0096】
増量剤は、その味覚に有意に影響を及ぼすことなく、かつその有用性及び機能性を損なわずに維持しながら、組成物のかさ(体積又は重量)を増加させる添加剤である。
【0097】
任意の好適な増量剤が使用されてもよく、当該技術分野で周知である。好適には、増量剤は、シロップ;可溶性/不溶性繊維、好ましくはコーン、コムギ、エンドウマメ、コメ、オート麦、ココナッツ、オオムギ、及び/又はタピオカに由来するもの;フラクトオリゴ糖及びガラクトオリゴ糖;並びに加水分解穀粉のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる。
【0098】
いくつかの実施形態では、増量剤は、グルコースシロップ、粉末グルコース、デンプン、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、及びデキストリンのうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる。
【0099】
いくつかの実施形態では、増量剤は、グルコースシロップを含む、又はそれからなる。
【0100】
pH調整剤
クリーマー組成物のpHは、少なくとも約pH3、少なくとも約pH4、少なくとも約pH5、少なくとも約pH6、又は少なくとも約pH6.5、又は約pH6.5~約pH8であってもよい。
【0101】
テンサイペクチンのpHは典型的には低く、クリーマー組成物のpHを(例えば、少なくとも約pH5に)調整することにより、再構成されたときの渋味を少なくし、かつマウスコーティングをより多くすることができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物のpHは、少なくとも約pH5、少なくとも約pH6、又は少なくとも約pH6.5、又は約pH6.5~約pH8である。
【0103】
クリーマー組成物のpHは、当業者に公知の任意の方法によって調整することができる。例えば、クリーマー組成物は、1つ以上のpH調整剤を含んでもよい。
【0104】
クリーマー組成物は、任意の好適な量の1つ以上のpH調整剤を含んでもよい。好適には、クリーマー組成物は、少なくとも約0.01重量%、又は少なくとも約0.1重量%の量の1つ以上のpH調整剤を含んでもよい。好適には、クリーマー組成物は、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の量の1つ以上のpH調整剤を含んでもよい。
【0105】
本明細書で使用される場合、「pH調整剤」は、組成物のpHを変更又は維持するために使用される添加剤であり、塩基、酸、中和剤、及び緩衝剤を含む。任意の好適なpH調整剤は、例えば塩基を使用してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は塩基を含む。塩基は、任意の好適な有機塩基若しくは無機塩基、又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、塩基は、炭酸塩若しくはその溶液、重炭酸塩(炭酸水素塩)若しくはその溶液、又は水酸化物塩若しくはその溶液、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムのうちの1つ以上から選択される塩基;又はそれらの溶液を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムのうちの1つ以上から選択される塩基;又はそれらの溶液を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、炭酸水素ナトリウム及び/若しくは炭酸カルシウム、又はそれらの溶液を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は緩衝剤を含む。緩衝剤は、コーヒーなどの高温環境、酸性環境及び/又は高ミネラル環境に添加したときのクリーマーの望ましくないクリーミング又は沈殿を防止することができる。緩衝剤は、例えば、クエン酸塩、一リン酸塩、二リン酸塩、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び重炭酸カリウム、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、クエン酸塩であり、例えば、重炭酸ナトリウム及びクエン酸の添加によってin situで作製される。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、リン酸カリウム又はリン酸二カリウムなどの塩である。
【0111】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、緩衝剤を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、添加リン酸塩を実質的に含まない。添加リン酸塩とは、例えば緩衝効果を得るために、及び/又はクリーマー組成物を安定化させる目的で、実質的に純粋な化合物として添加されるリン酸塩を意味する。用語「添加リン酸塩」は、クリーマー組成物の他の原材料に元々含まれている成分として少量存在するリン酸塩を含むことを意味するものではない。
【0112】
発泡剤
本発明のクリーマー組成物は、発泡性クリーマー、すなわち、液体に溶解されたときにフォームを生成するクリーマーであってもよい。発泡性クリーマー及びそれらを製造するための方法は、当該技術分野において周知である。発泡性クリーマーは、例えば、粉末クリーマー組成物であってもよく、当該クリーマーの粉末粒子は多孔質であり、溶解時にこの細孔から気体が放出されて、フォームを生成する。
【0113】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、1つ以上の発泡剤を含む。
【0114】
クリーマー組成物は、任意の好適な量の1つ以上の発泡剤を含んでもよい。好適には、クリーマー組成物は、少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約1重量%の量の1つ以上の発泡剤を含んでもよい。好適には、クリーマー組成物は、約0.1重量%~10重量%、又は約1重量%~約10重量%の量の1つ以上の発泡剤を含んでもよい。
【0115】
本明細書で使用される場合、「発泡剤」(「発泡助剤」とも呼ばれる)は、フォームの形成を促進する添加剤である。例えば、発泡剤は、液体の表面張力を低下させる、又は気泡の合体を阻害することによってコロイド安定性を増加させる界面活性剤を含むことができる。任意の好適な発泡剤は、任意の好適な量で使用され得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、植物性タンパク質であって、任意選択的に、ソラマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、コメタンパク質、オート麦タンパク質、大豆タンパク質のうちの1つ以上から選択される、植物性タンパク質;多糖類;及びサポニンのうちの1つ以上を含み、又はそれらからなり、任意選択的に、サポニンはキラヤ由来である。
【0117】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、植物性タンパク質を含み、又はそれからなり、任意選択的に、植物性タンパク質は、ソラマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、コメタンパク質、オート麦タンパク質、大豆タンパク質のうちの1つ以上から選択される。植物性タンパク質は、植物性タンパク質分離物及び/又は加水分解植物性タンパク質であってもよい。いくつかの実施形態では、発泡剤は、植物性タンパク質分離物及び/又は加水分解植物性タンパク質を含む。
【0118】
他の追加の作用剤
クリーマー組成物は、任意の他の好適な追加の作用剤を含んでもよい。クリーマー組成物は、香味料、甘味料、着色剤、酸化防止剤、安定剤又はそれらの組み合わせなどの1つ以上の追加の作用剤を更に含んでもよい。
【0119】
既知の香味剤のリストには、当該技術分野で周知の数千の分子化合物が含まれる。甘味料は、限定されるものではないが、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトールなどの糖アルコール、及び加水分解水添デンプンなどを単独で又は組み合わせて含み得る。着色剤としては、組成物に色を付与する任意の物質が挙げられる。香味料、甘味料、着色剤、及び酸化防止剤の使用量は非常に様々であり、甘味料の効力、製品に所望される甘味、使用される香味料のレベル及び種類、並びにコストの考慮などの因子によって決まる。
【0120】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、任意の添加された香味料、甘味料、着色剤、及び/又は酸化防止剤を実質的に含まない。
【0121】
安定剤としては、乳化剤、増粘剤及びゲル化剤、フォーム安定剤、保湿剤、固化防止剤、並びにコーティング剤を挙げることができる。例えば、安定剤は、組成物の物理的粘度を増加させるのに役立つ化合物である親水コロイドを含み得る。好適な親水コロイドは、カッパカラギーナン、イオタカラギーナン、及び/又はラムダカラギーナンなどのカラギーナン;デンプン、例えば、加工デンプン;セルロース、例えば、微結晶セルロース、メチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース;寒天;ゼラチン;ジェラン(例えば、高アシル、低アシル);グアーガム;アラビアガム;コンニャク(kojac);ローカストビーンガム;ペクチン;アルギン酸ナトリウム;マルトデキストリン;トラガカント;キサンタン;又はこれらの組み合わせを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物中に存在する唯一の安定剤はペクチンである。いくつかの実施形態では、クリーマー組成物中に存在する唯一の安定剤は、ペクチン及び発泡剤(例えば、植物性タンパク質)である。
【0123】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物中に存在する唯一の乳化剤はペクチンである。いくつかの実施形態では、クリーマー組成物中に存在する唯一の乳化剤は、ペクチン及び発泡剤(例えば、植物性タンパク質)である。好ましくは、クリーマー組成物は、低分子量乳化剤などの任意の追加の乳化剤を含まない。低分子量乳化剤とは、1500g/mol未満の分子量を有する乳化剤を意味する。例えば、クリーマー組成物は、モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ナトリウムステアロイルラクチレート、カルシウムステアロイルラクチレート、グリセロールソルビタンモノパルミテート、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、モノグリセリド及び/又はジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及び/又はジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のスクロースエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される乳化剤を含まなくてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、ペクチン(例えば、テンサイペクチン)と、油成分(例えば、植物油)と、増量剤と、を含み、任意の追加の作用剤を実質的に含まない。
【0125】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、ペクチン(例えば、テンサイペクチン)と、油成分(例えば、植物油)と、増量剤と、pH調整剤(例えば、塩基)を含み、任意の他の追加の作用剤を実質的に含まない。
【0126】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、ペクチン(例えば、テンサイペクチン)と、油成分(例えば、植物油)と、増量剤と、発泡剤(例えば、植物性タンパク質)と、を含み、任意の他の追加の作用剤を実質的に含まない。
【0127】
いくつかの実施形態では、クリーマー組成物は、ペクチン(例えば、テンサイペクチン)と、油成分(例えば、植物油)と、増量剤と、pH調整剤(例えば、塩基)と、発泡剤(例えば、植物性タンパク質)と、を含み、任意の他の追加の作用剤を実質的に含まない。
【0128】
「実質的に含まない」とは、追加の作用剤そのものが組成物に添加されないこと、かつ存在する任意の追加の作用剤が微量で存在すること又は他の成分中に存在する不純物に由来することを意味する。
【0129】
飲料、カプセル、及びシステム
飲料組成物
本発明は、本明細書に記載されるクリーマー組成物を含む飲料組成物を提供する。飲料は、コーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料などの任意の好適な飲料であってもよい。飲料組成物は、レディ・トゥ・ドリンク飲料又はレディ・トゥ・ユーズ飲料であってもよい。
【0130】
本発明は更に、可溶性のコーヒー、茶、又はココアと、本発明による粉末クリーマー組成物と、を含む、粉末コーヒー飲料組成物、粉末茶飲料組成物、又粉末ココア飲料組成物を提供する。粉末コーヒー飲料組成物、粉末茶飲料組成物、又粉末ココア飲料組成物とは、液体、好ましくは水に溶解することによって、コーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料を提供するのに好適な、インスタントコーヒー、インスタント茶、又はインスタントココアなどの粉末組成物を意味する。粉末状のクリーマーと組み合わせた可溶性のコーヒー、茶、又はココアを含む粉末状のコーヒー飲料組成物、茶飲料組成物、又はココア飲料組成物は、当該技術分野において周知である。粉末状のコーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料は、甘味料、例えば、砂糖、及び香味料を更に含んでもよい。好ましい実施形態では、本発明は、可溶性コーヒーと本発明による粉末クリーマー組成物とを含む粉末コーヒー飲料に関する。別の好ましい実施形態では、本発明は、可溶性茶及び本発明による粉末クリーマー組成物を含む粉末茶飲料に関する。
【0131】
本発明は更に、飲料組成物を調製する方法であって、(i)飲料組成物ベースを用意する工程と、(ii)本明細書に記載のクリーマー組成物を飲料組成物ベースに添加する工程と、を含む方法を提供する。
【0132】
飲料組成物ベースは、コーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料などの任意の好適な飲料であってもよい。クリーマー組成物は、粉末又は液体形態で飲料組成物ベースに添加してもよい。クリーマー組成物は、例えば、ミルク又はクリームの代替として、飲料組成物への添加剤として、色(例えば、白色付与効果)、増粘、風味、テクスチャー、及び/又は他の所望の特性などの特定の特性を付与し得る。
【0133】
飲料カプセル
本発明は、本明細書に記載されるクリーマー組成物を含む飲料カプセルを提供する。飲料カプセルは、本発明の粉末クリーマー組成物を含んでもよい。
【0134】
飲料カプセルは当該技術分野において周知であり、任意の好適なカプセルが使用され得る。本発明の範囲では、カプセルという用語は、小さい可撓性及び/又は剛性の容器、例えばパウチを含む。好適なカプセルは、例えば、国際公開第03059778号パンフレット及び欧州特許第0512468号に開示されている。カプセルの構造は、使用が意図される具体的な飲料マシン(複数可)によって異なる。カプセルから飲料を調製するよう構成されたこのような飲料マシンがいくつか存在しており、当該技術分野において周知である。飲料カプセルは、本発明の粉末クリーマー組成物が存在するチャンバを含む。チャンバは気密封止されてもよく、又は周囲に対して部分的に開放されてもよい。飲料カプセルは、飲料調製装置においてカプセルから飲料を調製するときに、本発明の粉末クリーマー組成物が存在しているチャンバに、水、若しくは別の好適な液体を注入して、当該粉末クリーマー組成物を溶解できるように構成される。溶解したクリーマーを含む液体は、カプセルからカップ又は他の好適な容器へと誘導される。
【0135】
飲料システム
本発明は、本明細書に記載されるクリーマー組成物を含む飲料システムを提供する。飲料システムは、本発明の粉末クリーマー組成物を含んでもよい。
【0136】
飲料システムは当該技術分野において周知であり、広く市販されている。任意の好適な飲料システムが使用され得る。飲料システムは、飲料調製マシン、及び飲料を分配するための自動システム(例えば、飲料自動販売機)などを含む。ポーション化された飲料の飲料調製システムは、当該技術分野において周知である。それらは、通常、1つ以上の原材料容器(例えば、飲料カプセル)が内部に挿入されるマシンを含む。マシンは、飲料を製造するために、容器内に収容された原材料に流体、典型的には熱水を通過させることができる。
【0137】
製造方法
本発明は、クリーマー組成物を製造する方法であって、
(i)テンサイペクチンを含む水相と、植物油を含む油相と、増量剤と、を用意する工程と、
(ii)水相と、油相と、増量剤と、を混合して、プレエマルションを形成する工程と、
(iii)プレエマルションを均質化してエマルション濃縮物を形成する工程と、
(iv)任意選択的に、エマルション濃縮物を乾燥させて、粉末クリーマー組成物を形成する工程と、
を含む、方法を提供する。
【0138】
方法の工程(i)において、水溶液が調製される。水溶性原材料、例えばペクチン、植物性タンパク質、塩基をこの段階で水溶液に添加してもよい。水相を高撹拌下で例えば10~15分間混合してもよく、及び/又は例えば70℃に加熱して、原材料、例えばペクチンの十分な溶解を確保してもよい。
【0139】
方法の工程(i)において、油成分及び油溶性原材料を含む油相も調製される。油相は混合されて、例えば60~70℃に加熱されてもよい。
【0140】
方法の工程(ii)において、水相、油相、及び増量剤は混合される。油相及び増量剤は、例えば5分間の高撹拌下で水相に組み込まれてもよく、及び/又は例えば60~70℃に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、水相及び油相は、増量剤の添加前に混合される。いくつかの実施形態では、水相及び増量剤は、油相の添加前に混合される。
【0141】
工程(iii)において、プレエマルションは均質化される。「均質化する」又は「均質化された」又は「均質化」という用語は、液-液分散体中の液滴のサイズを減じることを目的とするホモジナイザーと呼ばれる部類の処理装置を使用する単位操作である。ホモジナイザーの例としては、高速ブレンダー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、高剪断分散器、超音波破壊器、膜ホモジナイザーを挙げることができる。均質化は、例えば、180/50bar又は250/50barで行われてもよい。
【0142】
熱処理工程
いくつかの実施形態では、方法は、熱処理工程を更に含む。熱処理工程は、均質化の前又は後に行われてもよい。熱処理工程は、プレエマルション又はエマルション濃縮物を、パスチャライズ又は商業的に滅菌する工程であってもよい。
【0143】
好適な熱処理工程は、当該技術分野で周知である。パスチャライズ工程は、81℃の最低温度で少なくとも5秒間行われてもよい。パスチャライズ工程後に得られた組成物を、レディ・トゥ・ドリンク飲料の製造に使用することができる。
【0144】
方法は、直接プロセス又は間接プロセスのいずれかを使用した、HTST(高温短時間殺菌)又はUHT(超高温殺菌処理)の工程、及びクリーン充填、超クリーン充填(ESL)又は無菌充填で充填する工程、を含んでもよい。
【0145】
フォーミング工程又はガス処理工程
いくつかの実施形態では、方法は、フォーミング工程及び/又はガス処理工程を更に含む。特に、クリーマー組成物が発泡性クリーマーである場合、方法はそのような工程を含み得る。
【0146】
好適なフォーミング工程及びガス処理工程は、当該技術分野において周知である。例えば、工程は、プレエマルション又はエマルション濃縮物を、例えば4.0NL/分でガス処理することを含んでもよい。
【0147】
乾燥工程
いくつかの実施形態では、方法は、乾燥工程(工程(iv))を更に含む。特に、クリーマー組成物が粉末クリーマーである場合、方法はそのような工程を含み得る。
【0148】
好適な乾燥工程は、当該技術分野において周知である。乾燥工程は、噴霧乾燥、真空バンド乾燥、ローラー乾燥、又は凍結乾燥によって実施してもよい。いくつかの実施形態では、乾燥工程は噴霧乾燥によって行われる。好適な噴霧乾燥条件は、当該技術分野において周知である。
【0149】
乾燥工程後に得られる粉末クリーマーは、飲料業界において、例えば飲料用途(例えば、コーヒー、茶、ココア)又は料理用途(例えば、スープ、ソース)のミルク添加物として使用するための、粉末クリーマーを製造するために使用され得る。このような粉末クリーマーはまた、飲料ディスペンサで使用されるカプセルの調製にも使用され得る、又は飲料システムにも使用され得る。
【0150】
冷却工程及び包装工程
いくつかの実施形態では、方法は、クリーマー組成物を冷却する工程及び/又は包装する工程を更に含む。
【0151】
好適な冷却工程及び包装工程は、当該技術分野において周知である。例えば、アフタードライヤーアフタークーラーの工程を使用してクリーマー組成物を冷却してもよく、充填工程及び封止工程を使用してクリーマー組成物を包装してもよい。
【実施例
【0152】
次に、実施例により本発明を更に説明するが、これらの実施例は、当業者が本発明を実施するのに役立てるために提供することを意味するものであり、本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない。
【0153】
実施例1-テンサイペクチン乳化クリーマー
使用されるペクチンは、CPKelcoから市販されているテンサイペクチン、GENU BETAペクチンである。これは、果実風味飲料用に提案されたテンサイパルプ由来の高エステルペクチンである。製造者の仕様を表1に示す。
表1:CPKelcoからのGENU BETAペクチンの仕様
【0154】
【表1】
【0155】
非水添ココナッツ油の12%溶液を用いて水中油型エマルションを調製した。ペクチン対脂肪の比はおよそ1:20(重量/重量)であった。ペクチンを水に希釈し、70℃で20分間混合した。油を添加し、濃縮物の温度を60℃に低下させ、更に10分間混合した。グルコースシロップを添加し、更に10分間混合した後、濃縮物を手持ち式ミキサーを用いて中程度の剪断で2分間予備混合し、その後、約250/50barで均質化した。質量試験処方を表2に示す。
【0156】
【表2】
【0157】
均質化後、エマルションは、低粘度の淡白色であった。PSD測定のために濃縮物を水に希釈した場合(すなわち、より低いTS)、より大きな光散乱があり、明るい白色が得られた(図1B参照)。
【0158】
10~15mLの濃縮物を200mLのRVRFコーヒーに添加して、フェザリング/脂肪滴/等を調べた。飲料は経時的に(2~3時間)極めて安定であった。表面上に脂肪は見られず、凝集、クリーミング、又は沈降は見られなかった(図1A参照)。
【0159】
試料は味見もした。異質な風味は明らかに検出されず、その味覚は、植物性タンパク質と関連付けられることの多い豆味とは対照的に、全くクセがなかった。
【0160】
濃縮物のpHを周囲温度で測定した。約10~15mLを200mLのコーヒー(1.7gのRVRF150)に添加した。pHは表3に示す。
【0161】
【表3】
【0162】
均質化の直後に粒度分布を測定した。比較として、コメタンパク質-レシチンクリーマーのPSDを比較用の対照として使用する。差は非常に大きく、9.6μmと比較して約1.3μmのd(4,3)と、はるかに低い(図2参照)。
【0163】
粘度及びレオロジー挙動を調べるために試験を繰り返した。処方の小さな変更は、再構成した脱水グルコースシロップを濃縮物の代わりに使用することであった。
【0164】
0~600s-1の剪断速度を、75℃の温度にて粘度計で測定した。粘度は、90mPaにて50~600s-1で非常に一定であった(図3A参照)。
【0165】
比較として、0~300s-1の間ではより大きなずり減粘を示すが、300~600s-1の間では非常に安定した60mPaのままである、コメタンパク質-レシチンクリーマーを示す(図3B参照)。この試料のTSは約62%であった。
【0166】
唯一の乳化剤としてのテンサイペクチンは、ペクチン対脂肪の比が1:20の12%o/wエマルションで安定なエマルションを作製した。PSDの結果は、エマルションが1.3μmのd(4,3)を有する小さな液滴直径を有することを示した。エマルション濃縮物をコーヒーに添加した場合、白色付与及び安定性は十分であった。濃縮物の粘度に関して問題は認められなかった。クリーマーの風味は、植物性タンパク質からのクリーマーよりも目立たなかった。
【0167】
実施例2-パイロットプラント開発:テンサイペクチン乳化クリーマー
実験室での開発に続いて、製造のために処方をスケールアップした。
試験29805.070及び074
最初の試験は、実験室処方(20%脂肪含有量)のスケールアップであり、以下の粉末組成物を作製した(表4)。
【0168】
【表4】
【0169】
60%TSの濃縮物50kgを調製し、噴霧乾燥した。2つの変形例を生成した-主な違いは、ガス処理である-29805.070(ガス処理なし)及び29805.075(ガス処理あり)。濃縮物は容易に噴霧乾燥され、粉末は途切れることなく又は問題なく流れた。オンライン及びオフラインでの測定値は以下のとおりであった(表5)。
【0170】
【表5】
【0171】
粉末は、ガス処理なしでも低いタップ密度を達成した。遊離脂肪は少なく、これはこれまでの植物性タンパク質安定化粉末の問題点であった。エマルション濃縮物は安定であるように見え、PSDは、実験室試料と同様の小さい液滴サイズを示し、それぞれ1.92及び1.96μmのd(4,3)であった。エマルションのd(0.5)は、それぞれ0.65μm及び0.64μmであった(図4参照)。
【0172】
再構成したとき、粉末は良好な白色付与を与え、沈降、軟凝集、フェザリング、脂肪滴などは観察されなかった。ペクチン変形例の色は、(より低い脂肪、かつ基準におけるCaCO及びコメ粉の添加にもかかわらず)基準よりも実際に薄かった(図5参照)。
【0173】
クリーマーは、水中で再構成されると、クリーンで、強い白色の外観を有する。味覚には全くクセがない。
【0174】
試験32049.014及び32049.015
第2の試験は、脂肪含有量の増加及び炭酸カルシウムの添加を使用して、クリーマーからの白色付与及び口当たりを更に増加させた。表6は、粉末の組成を示す。60%TSの濃縮物500kgを調製した。噴霧乾燥は再び問題なく行われた。
【0175】
【表6】
【0176】
測定値を表7に記録し、PSDを図6に示す。
【表7】
【0177】
試験32049.015は、試験32049.014よりも高い濃縮物pHを有する。低pHは、テンサイペクチンに由来するヒドロニウムイオンによるものである。炭酸カルシウムとの相互作用は、中性pHへのシフトを誘導する。pHの変化はエマルション安定性に影響を及ぼさないようである。
【0178】
粉末はどちらも、良好な再構成及び良好な白色付与を示した。試験32049.015は、32049.014よりも色が薄く見えた(図7参照)。
【0179】
炭酸カルシウムの添加は、飲料により大きな白色度及び口当たりをもたらすことが認められた。試料32049.015は、よりまろやかな口当たりを有していた。
【0180】
試験35761.011
冷可溶性ヴィーガンクリーマーとしての利用可能性を調査するために、MCT油(低融点)と並行してテンサイペクチンを使用して試験を行った。口当たりを更に向上させるために、脂肪含有量も24%に増加させた。
【0181】
試験では、以下の粉末組成を有する粉末を作製した(表8)。60%TSの濃縮物50kgを調製し、噴霧乾燥した。
【0182】
【表8】
【0183】
濃縮物は、再び、容易に噴霧乾燥され、粉末は途切れることなく又は問題なく流れた。オンライン及びオフラインの測定値は以下のとおりであった(表9)。
【0184】
【表9】
【0185】
前述のように、エマルション濃縮物は、0.990μmのd(4,3)及び0.632μmのd(0,5)を有する最適に近い粒度分布の脂肪滴を含有した(図8参照)。
【0186】
実施例3-粉末クリーマー中の乳化剤としてのテンサイペクチンと加水分解コメタンパク質との比較
乳化剤/共乳化剤として加水分解コメタンパク質及びレシチンを有する配合物を、唯一の乳化剤としてテンサイペクチンを有する配合物と直接比較するために、2つの試験を行った。表10は、両方とも35%の総脂肪含有量を有する試験用処方組成物を示す。
【0187】
【表10】
【0188】
図9は、クリーマーベースの簡略化されたプロセスフローチャートを示す。試験の濃縮物特性、粉末特性、及び飲料特性を以下の表11に示す。
【表11】
【0189】
85℃で150mLのFolgers中の8.1gのクリーマー(450ppmで1.5リットルの水及び40gのFolgers Colombian Roast R&Gを用いて調製)。
【0190】
試験37964.005(テンサイペクチン)では、噴霧乾燥前のエマルションは非常に安定であり、中央粒径は1.1マイクロメートルであった(図10A参照)。飲料がわずかに酸性であるにもかかわらず、再構成された粉末の官能特性はクリーンであった。対照的に、試験37964.006(加水分解コメタンパク質)では、結果は、図10Bに示されるように安定性が不十分なエマルションであり、このエマルションは噴霧乾燥中に重度の堆積を引き起こした。これは、同等の均質化条件(180/50bar)及び脂肪含有量(35%)でのテンサイペクチン試験について、エマルション品質がはるかに良好(はるかに小さいサイズ)であることを示す。
【0191】
更に、試験37964.005(テンサイペクチン)は、試験37964.006(加水分解コメタンパク質)と比較して、同等の温度及びTSではるかに粘性が高かった。
【0192】
Mr.Coffeeマシンで、1.5LのVittelウォーター及び40grのFolgers Classic Roast R&Gを用いて調製した100mLのブラックコーヒーにおいて5.4grのクリーマーを使用して、官能評価を行った。
【0193】
試料37964.005(テンサイペクチン)は、試料37964.006(加水分解コメタンパク質)よりもはるかに白色であり、より良好なエマルションらしいことが判明した。いずれの試料の口当たりも許容できるものであった。
【0194】
試料37964.005は、乾燥混合物に重曹を0.1%添加すると、酸性度が改善され、よりまろやかなプロファイルを提供することが分かった。それはまた、口当たりを改善し、テクスチャーは37964.006よりも更に濃厚であった。
【0195】
実施例4-例示的なクリーマー組成物
実施例4-1:テンサイペクチンで安定化させたヴィーガン粉末コーヒークリーマー
・ペクチンの水和:4kgのテンサイペクチンを、60~70℃で10~15分間連続的に撹拌しながら134kgの逆浸透水に添加する。
・植物性脂肪:92.8kgのココナッツ油及び15.4の中鎖トリグリセリド油を、60~70℃まで加熱する。
・充填剤:250.5kgのグルコースシロップの添加を前述の混合物(streams)と合わせ、5分間撹拌する。
・液体供給物は、熱処理、均質化、噴霧乾燥、アフタードライヤーアフタークーラー、充填及び包装に送られる(図9Aに示すように)。
【0196】
実施例4-2:コメタンパク質及びひまわりレシチンで安定化させたヴィーガン粉末クリーマー
6.7kgの緩衝塩を142kgの逆浸透水に添加する。9.3kgのコメタンパク質を高剪断で混合した後、231.7kgのグルコースシロップを添加する。
【0197】
一方、15.5kgのMCTと混合した92.8kgのココナッツ油を溶融させ、これに1.9kgのひまわりレシチンを添加する。その後、この油-レシチン混合物を糖-タンパク質混合物に添加し、図9Bに示すように調製する。
【0198】
実施例4-3:ヴィーガン粉末クリーマー
3.4kgのテンサイペクチンを125.9kgの逆浸透水で水和した。その後、これを296.3kgのグルコースシロップと混合し、最後に74.4kgのココナッツ油を添加した。
【0199】
その後、実施例4-1に記載したものと同じプロセスを用いて粉末クリーマーを調製した。
【0200】
再構成された粉末は、0.7マイクロメートルの中央粒径を示し(図11A参照)、優れた白色付与をもたらした。
【0201】
実施例4-4:炭酸塩でpHを調整したヴィーガン粉末クリーマー
9.5kgの炭酸カルシウムを添加して、実施例4-3と同様に粉末クリーマーを調製した。その後、噴霧乾燥の前にエマルションがpH7に達するように測定した。
【0202】
結果として、訓練を受けた試食パネルは、かかる生成物を再構成すると、実施例4-3と比較して渋味が少なくかつマウスコーティングを多くすることを見出した。再構成した粉末について測定された粒径は実施例4-3と同一であった(図11B参照)。
【0203】
実施例4-5:重炭酸塩でpHを調整した液体クリーマー
15.4kgの逆浸透水で水和した0.4kgのテンサイペクチンから液体クリーマーを調製した。この混合物に、34.6kgのグルコースシロップ及び8.9kgのココナッツ油を添加した。最後に、0.1kgの重炭酸ナトリウムを濃縮物に混合し、pHを3.3~6.6にした。加工工程は図9Aに記載したとおりとしたが、乾燥段階は行わなかった(均質化後に終了)。
【0204】
液体クリーマーは良好な白色付与及び口当たりをもたらした。エマルションは経時的に安定であり、エマルションの液滴サイズの中央値は1.2マイクロメートルであった。
【0205】
実施例4-6:低テンサイペクチン濃度の液体クリーマー
0.04kgのテンサイペクチン、36kgのグルコースシロップ、及び8.9kgのココナッツ油を用いて、実施例4-5に記載のように、液体クリーマーを調製した。
【0206】
安定性は実施例4-1~4-4よりも低く、エマルションの液滴サイズは3.8マイクロメートルと測定された(図12C参照)。
【0207】
実施例4-7:低脂肪濃度の液体クリーマー
0.15kgのテンサイペクチン、42.8kgのグルコースシロップ、及び3.7kgのココナッツ油を用いて、実施例4-5に記載のように液体クリーマーを調製した。白色付与は実施例4-5よりも低かった。エマルションの液滴サイズは、約1マイクロメートル以下であった(図12A参照)。
【0208】
実施例4-8:高脂肪濃度の液体クリーマー
0.75kgのテンサイペクチン、24.7kgのグルコースシロップ、及び16.7kgのココナッツ油を用いて、実施例4-5に記載のように液体クリーマーを調製した。
【0209】
エマルション安定性は優れていた。白色付与は先の実施例と比較して増加した。エマルションの液滴サイズは、約1マイクロメートルであった(図12B参照)。
【0210】
実施例4-9:植物性タンパク質を添加した液体発泡性クリーマー
水酸化ナトリウムは除外し、実施例4-5に記載したように液体クリーマーを調製した。均質化後、エマルションに植物性タンパク質、すなわち(i)0.75kgのソラマメタンパク質分離物(ii)エンドウマメタンパク質分離物(iii)加水分解コメタンパク質を富化させた。これら3つの濃縮物を15分間水和させた。
【0211】
エマルションの液滴サイズは、約1マイクロメートルであった(図12D参照)。
【0212】
次いで、Nespresso Cappuccinatoreでのフォーミングにより、3つのエマルションのフォームを調製した。計算によるフォームのオーバーランを図13に示す。エマルションのpHは低いにもかかわらず、タンパク質軟凝集は観察されなかった。
【0213】
実施例4-10:pHを調整し、植物性タンパク質を添加した、液体発泡性クリーマー
液体クリーマーを実施例4-5に記載のように調製した。次いで、植物性タンパク質の変形例を、実施例4-9に記載のように添加した。
【0214】
エマルションの液滴サイズは、約1マイクロメートルであった(図12E参照)。
【0215】
次いで、Nespresso Cappuccinatoreでのフォーミングにより、3つのエマルションのフォームを調製した。計算によるフォームのオーバーランを図13に示す。
【0216】
実施例4-11:柑橘類の皮のペクチンを用いた液体クリーマー
水酸化ナトリウムを添加せず、テンサイペクチンの代わりに柑橘類の皮のペクチンを用いて、実施例4-5に記載のように液体クリーマーを調製した。エマルション安定性は低く、貯蔵タンク内での沈降が観察され、タンクの底には高粘度の液相があった。エマルションの液滴サイズは、他の実施例よりも高かった(図12F参照)。
【0217】
実施形態
本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を、以下の番号付けしたパラグラフ(段落)を参照して説明する。
1.テンサイペクチンと、植物油と、増量剤と、を含むクリーマー組成物。
2.組成物が、粉末クリーマー又は液体クリーマーの形態であり、好ましくは粉末クリーマーの形態である、段落1に記載のクリーマー組成物。
3.ペクチンが、高エステルペクチンであり、任意選択的に、ペクチンが、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%、又は約50%~約60%、又は約55%のエステル化度(DE)を有する、段落1又は段落2に記載のクリーマー組成物。
4.ペクチンが、少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%のアセチル化度(DAc)を有し、任意選択的に、ペクチンが、約10%~約30%、又は約14%~約26%、又は約20%~約25%のDAcを有する、段落1~3のいずれかに記載のクリーマー組成物。
5.クリーマー組成物が、約0.1重量%~約2.5重量%、約0.3重量%~約1.5重量%、又は約0.7重量%~約1重量%の量のペクチンを含む、段落1~4のいずれかに記載のクリーマー組成物。
6.ペクチン及び油が、約1:500~約1:4、又は約1:250~約1:10、又は約1:100~約1:20、又は約1:25~約1:20のペクチン:油の重量比で存在する、段落1~5のいずれかに記載のクリーマー組成物。
7.クリーマー組成物のpHが、少なくとも約pH3、少なくとも約pH4、少なくとも約pH5、少なくとも約pH6、又は少なくとも約pH6.5、又は約pH6.5~約pH8である、段落1~6のいずれかに記載のクリーマー組成物。
8.クリーマー組成物が塩基を更に含む、段落1~7のいずれかに記載のクリーマー組成物。
9.塩基が、炭酸塩、重炭酸塩(炭酸水素塩)、若しくは水酸化物塩のうちの1つ以上、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる、段落8に記載のクリーマー組成物。
10.塩基が、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムのうちの1つ以上、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる、段落8又は段落9に記載のクリーマー組成物。
11.塩基が、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸カルシウム、若しくはそれらの溶液を含む、又はそれらからなる、段落8~10のいずれか1つに記載のクリーマー組成物。
12.クリーマー組成物が、約10重量%~約50重量%、約25重量%~約50重量%、又は約35重量%~約50重量%の量の油を含む、段落1~11のいずれかに記載のクリーマー組成物。
13.油が、ココナッツ油、大豆油、菜種油、ひまわり油、キャノーラ油、ベニバナ油、パーム油、パーム核油、藻類油、綿実油、又はコーン油、及びオリーブ油のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる、段落1~12のいずれかに記載のクリーマー組成物。
14.油が、非水添植物油、水添植物油、エステル交換植物油、及び/又は中鎖トリグリセリド(MCT)植物油を含む、又はそれらからなる、段落1~13のいずれかに記載のクリーマー組成物。
15.油が、ココナッツ油、水添ココナッツ油、及び/又はMCT油を含む、又はそれらからなり、好ましくは、MCT油は、ココナッツ油及び/又はパーム核油に由来する、段落1~14のいずれかに記載のクリーマー組成物。
16.クリーマー組成物が、約10重量%~約80重量%の量の増量剤を含む、段落1~15のいずれかに記載のクリーマー組成物。
17.増量剤が、シロップ;可溶性/不溶性繊維、好ましくはコーン、コムギ、エンドウマメ、コメ、オート麦、ココナッツ、オオムギ、及び/又はタピオカに由来するもの;フラクトオリゴ糖及びガラクトオリゴ糖;並びに加水分解穀粉のうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる、段落1~16のいずれかに記載のクリーマー組成物。
18.増量剤が、グルコースシロップ、粉末グルコース、デンプン、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、及びデキストリンのうちの1つ以上を含む、又はそれらからなる、段落1~17のいずれかに記載のクリーマー組成物。
19.クリーマー組成物が、
約0.1重量%~約2.5重量%の量のペクチンと、
約10重量%~約50重量%の量の油と、
約10重量%~約80重量%の量の増量剤と、を含む、段落1~18のいずれかに記載のクリーマー組成物。
20.クリーマー組成物が、発泡性クリーマーである、段落1~19のいずれかに記載のクリーマー組成物。
21.クリーマー組成物が、発泡助剤を更に含む、段落1~20のいずれかに記載のクリーマー組成物。
22.発泡助剤が、植物性タンパク質(例えば、植物性タンパク質分離物及び/又は加水分解植物性タンパク質)であって、任意選択的に、ソラマメタンパク質、エンドウマメタンパク質、コメタンパク質、オート麦タンパク質、大豆タンパク質の1つ以上から選択される、植物性タンパク質;多糖類;及びサポニンの1つ以上を含み、又はそれらからなり、任意選択的に、サポニンはキラヤ由来である、段落21に記載のクリーマー組成物。
23.クリーマー組成物が、緩衝剤及び/又は安定剤を実質的に含まない、段落1~22のいずれかに記載のクリーマー組成物。
24.クリーマー組成物中の唯一の乳化剤がペクチンである、段落1~23のいずれかに記載のクリーマー組成物。
25.クリーマー組成物が、ヴィーガンクリーマーである、段落1~24のいずれかに記載のクリーマー組成物。
26.クリーマー組成物が、飲料クリーマー、好ましくはコーヒークリーマー、茶クリーマー、又はココアクリーマーである、段落1~25のいずれかに記載のクリーマー組成物。
27.段落1~26のいずれか1つに記載のクリーマー組成物を含む飲料カプセル。
28.段落1~26のいずれか1つに記載のクリーマー組成物を含む飲料システム。
29.段落1~26のいずれか1つに記載のクリーマー組成物を含む飲料組成物であって、任意選択的に、コーヒー飲料、茶飲料、又はココア飲料である、飲料組成物。
30.クリーマー組成物、好ましくはコーヒークリーマー、茶クリーマー、又はココアクリーマーなどの飲料クリーマー組成物における乳化剤としてのテンサイペクチンの使用。
31.段落1~26のいずれか1つに記載のクリーマー組成物を製造するための方法であって:
(i)テンサイペクチンを含む水相と、植物油を含む油相と、増量剤と、を用意する工程と、
(ii)水相と、油相と、増量剤と、を混合して、プレエマルションを形成する工程と、
(iii)プレエマルションを均質化してエマルション濃縮物を形成する工程と、
(iv)任意選択的に、エマルション濃縮物を乾燥させて、粉末状のクリーマー組成物を形成する工程と、
を含む、方法。
32.水相及び油相が、増量剤の添加前に混合される、段落31に記載の方法。
33.方法が、熱処理工程を更に含む、段落31又は段落32に記載の方法。
34.方法が、フォーミング工程を更に含む、段落31~34のいずれか1つに記載の方法。
35.方法が、クリーマー組成物を冷却する工程及び/又はクリーマー組成物を包装する更なる工程を更に含む、段落31~34のいずれか1つに記載の方法。
36.乾燥が噴霧乾燥である、段落31~35のいずれか1つに記載の方法。
37.飲料組成物を調製する方法であって、
(i)飲料組成物ベースを用意する工程と、
(ii)段落1~26のいずれか1つに記載のクリーマー組成物を飲料組成物ベースに添加する工程と、
を含む方法。
【0218】
上記明細書で言及した全ての刊行物は、参照により本明細書に援用される。本発明の開示される方法、組成物及び使用の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本発明を実施するために開示された様式の種々の改変は、当業者には自明であり、以下の特許請求の範囲の範囲内であることを意図している。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13
図14
【国際調査報告】