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特表2023-553335カンナビノイド誘導体、及び、炎症、疼痛又は肥満の治療におけるそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】カンナビノイド誘導体、及び、炎症、疼痛又は肥満の治療におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 39/23 20060101AFI20231214BHJP
   C07C 39/19 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 31/09 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
C07C39/23 CSP
C07C39/19
A61K31/05
A61K31/09
A61K31/085
A61P29/00
A61P3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531699
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 IL2021051398
(87)【国際公開番号】W WO2022113071
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/117,465
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592024572
【氏名又は名称】イッサム・リサーチ・ディベロップメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシティ・オブ・エルサレム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャリリー、ルース
(72)【発明者】
【氏名】メショラム、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ブリュワー、アヴィヴァ
(72)【発明者】
【氏名】コーガン、ナタリヤ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ、ヤーデン
(72)【発明者】
【氏名】イェヒティン、ジャンナ
【テーマコード(参考)】
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206CA19
4C206CA27
4C206CA34
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA08
4C206ZA70
4C206ZB11
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB22
4H006AC13
4H006FC52
4H006FC74
4H006FC76
4H006FE13
(57)【要約】
本発明は、炎症及び/又は疼痛及び/又は肥満の治療における、カンナビノイド誘導体、それらの調製方法、それらを含む組成物、及びそれらの使用を提供する。
【代表図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩。
式中、
が単結合又は二重結合であり、
R1がCH3及びCH2から選択され、
R2及びR3が、OH、O(C1~C3アルキル)、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、
R4が直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルであり、
R5が、OH、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、
R6が、H、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルから選択される。
ただし、
が二重結合である場合、R2及びR3のうちの少なくとも1つがOHとは異なるか、又はR6がHとは異なるものとし;R3及びR5が両方ともOHである場合、R2がC5アルキルであり、かつR4がC1~C5アルキルであるものとする。
【請求項2】
が単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が単結合であり、
R2及びR3が両方ともOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R2及びR3が、それぞれO(C1~C3アルキル)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2が直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R3及びR5が両方ともOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R3及びR5が両方ともOHであり、
R2が直線又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、
R4が直線又は分岐鎖C1~C5アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R4及びR6が、それぞれC1~C5アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
(1'S,2'S)-2'-イソプロピル-3,5'-ジメチル-4-ペンチル-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(HUM-217)、
(1R,2R)-2',6'-ジメトキシ-3',5-ジメチル-4'-ペンチル-2-(プロプ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,1'-ビフェニル(HUM-219)、
(1'R,2'R)-5,5'-ジメチル-6-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,4-ジオール(HUM-229)、
(1'R,2'R)-3,5,5'-トリメチル-4-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(HUM-236)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
下記の一般式(II)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩。
式中、
R7及びR8が、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)、OC(=O)R16から選択され、
R9が、H、又はC1~C3アルキルから選択され、
R10が直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、
R16がモルホリノ(O(CH2CH2)2NH)のうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである。
ただし、R7及びR8の両方がOHである場合、R9がC1アルキルとは異なるものとする。
【請求項11】
R7及びR8のうちの少なくとも1つがO(C1~C3アルキル)である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R7及びR8のうちの少なくとも1つがOC(=O)R16であり、
式中、R16が、モルホリノのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
R7及びR8の両方がO(C1~C3アルキル)である、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-4-メチル-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオール(HUM-218)、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-(2-メチルオクタン-2-イル)フェノール(HUM-223)、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェニル3-モルホリノプロパノエート(HUM-233)、
(E)-4-(3-(2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェノキシ)-3-オキソプロピル)モルホリン-4-イウム(Z)-3-カルボキシアクリレート(HUM-234)、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-1,3-ジメトキシ-4-メチル-5-ペンチルベンゼン(HUM-235)から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
下記の一般式(III)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩。
式中、R13、R14及びR15は、それぞれ、H、直鎖又は分岐鎖C1~C10アルキルから選択される。
ただし、R13がCH3である場合、R15はHとは異なるものとする。
【請求項16】
R13がCH3である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R13がHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
R15がCH3である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
R15がHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
R14が直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
下記の一般式(IV)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩。
式中、R27及びR30が、それぞれOH、O(C1~C3アルキル)から選択され、
R28及びR29が、それぞれ直鎖又は分岐鎖C1~C10アルキルから選択される。
【請求項22】
R27及びR30のうちの少なくとも1つがOHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
R27及びR30が両方ともOHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項25】
炎症に関連する状態、疾患、又は障害を治療する方法であって、
治療有効量の請求項1~23のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
炎症に関連する前記医学的状態、疾患、又は障害が、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス、乾癬、I型糖尿病(IDDM)、シェーグレン病、自己免疫性甲状腺疾患、後天性免疫不全症候群(AIDS)、サルコイドーシス、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性肝炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、遅発型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、又は関節リウマチ若しくは他の炎症性疾患に関連するILD)、強皮症、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、特発性両側性進行性感音難聴、再生不良性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、グレーブス眼症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性胆汁性肝硬変、回腸炎、慢性炎症性腸疾患、セリアック病、アルツハイマー病、プリオン関連疾患、及びがん転移からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記医学的状態、疾患又は障害が、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、クローン病及び多発性硬化症からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記治療が、乱用性がない治療である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
疼痛の治療を必要とする対象において疼痛を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~23のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記治療が、乱用性がない治療である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
肥満に関連する状態、疾患、又は障害を治療する方法であって、
治療有効量の請求項1~23のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項32】
前記治療が、乱用性がない治療である、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド誘導体及びその使用、炎症及び/又は疼痛及び/又は肥満の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビジオール(CBD)は、ハシッシュ及びマリファナ等のほとんどの大麻抽出物中の主要な非向精神性カンナビノイドである。しかしながら、CBDは既知のカンナビノイド受容体CB1又はCB2に結合せず、したがってこれらの受容体によって媒介される中心又は末梢効果を引き起こさないため、CBDはΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)に典型的な向精神作用のいずれももたらさない。それにもかかわらず、CBDは、インビトロアッセイ、並びに動物及び一部のヒト予備試験のインビボアッセイにおいて、数多くの薬理学的効果をもたらし、そのうちのいくつかは高い潜在的治療価値を有することが示されている。
【0003】
したがって、例えば、CBDは、神経学的疾患を有する患者と同様に、動物モデルにおいて、不安及び精神障害におけるいくつかの潜在的治療効果をもたらすことが見出されている。CBDはまた、神経保護抗酸化剤であることも分かった。
【0004】
マウス腹腔マクロファージによる一酸化窒素(NO)産生の阻害、並びにヒト末梢血単核細胞によるTNF-α、IL-1α及びIFNγの抑制等の、免疫細胞に対するCBDのインビトロ効果について記載する報告もある。
【0005】
これらのインビトロ試験は、動物におけるCBDの鎮痛効果及び抗炎症効果に関する以前の報告を裏付けるものである。CBDは、標準的な鎮痛活性アッセイにおけるマウスのフェニルベンゾキノンによるライジング試験で、アスピリンよりもはるかに強力であることが判明した。テトラデカノイルホルボ酢酸塩(TPA)誘発性のマウス耳の紅斑(標準的な抗炎症活性アッセイ)において、CBDによって100pg/ml溶液を塗布すると炎症応答の92%の抑制がもたらされた。
【0006】
いくつかの試験は、広範な適応を有するCBD、レゾルシノール及び他のカンナビノイド誘導体を提供した[1-24]。米国特許第3,661,919号は、殺菌及び抗真菌活性を示すレゾルシノール誘導体を提供した。米国特許第4,018,777号は、鎮静剤、鎮痛剤、鎮静催眠剤及び抗けいれん剤として有用なレゾルシノール誘導体を提供した。米国特許第6,274,635号は、免疫系の疾患を治療するための5-アルキル-レゾルシノール誘導体、カンナビノール誘導体、カンナビジオール誘導体、及びカンナビゲロール誘導体を提供した。米国特許出願第2002/0137802号は、血小板の活性化及び/又は凝集を阻害するためのカンナビノイド又はレゾルシノール誘導体を提供した。米国特許第6,566,560号は、新生物の増殖を減衰させるためのレゾルシノール誘導体を提供した。米国特許出願第2003/0232101号は、HIVの伝播を予防するためのカンナビノール誘導体、Δ9-THC誘導体、カンナビクロメン誘導体、カンナビジオール誘導体、及びカンナビゲロール誘導体を提供した。米国特許第7,105,685号及び米国特許出願第2007/0179135号は、カンナビノール誘導体及びその医薬調製物を提供した。米国特許出願第2004/0034108号、WO2004/016246、及び英国特許第GB2392093号は、ポンプ式スプレーを介した投与のためのカンナビノイド誘導体を提供した。米国特許第7,179,800号及び同第7,285,687号、並びにWO2003/091189は、疼痛、炎症、及び自己免疫疾患の治療に有用なカンナビジオール誘導体を提供した。米国特許第6,630,507号及びWO1999/53917は、抗酸化剤及び神経保護剤としてカンナビノイド誘導体を提供した。
【0007】
米国特許第4,282,248号及び同第6,410,588号、米国特許出願第2003/0166727号及び同第2007/0082954号、並びに本明細書に完全に記載されているかのようにそれらの全体が組み込まれるWO2005/023741及びWO2001/095899は、カンナビジオール誘導体を教示し、そのうちのいくつかは合成され、生物学的に評価されており[25,21]、そのうちのいくつかは抗炎症活性を有することが示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の一般式(I)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
式中、
【化2】
【0011】
は、単結合又は二重結合であり、R1は、CH3及びCH2から選択され、R2及びR3は、OH、O(C1~C3アルキル)、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、R4は、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルであり、R5は、OH、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、R6は、H、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルから選択される。ただし、
【0012】
【化3】
【0013】
が二重結合である場合、R2及びR3のうちの少なくとも1つがOHとは異なるか、又はR6がHとは異なるものとし;R3及びR5が両方ともOHである場合、R2がC5アルキルであり、かつR4がC1~C5アルキルであるものとする。
【0014】
いくつかの実施形態において
【0015】
【化4】
【0016】
は単結合である。
【0017】
いくつかの実施形態において
【0018】
【化5】
【0019】
は単結合であり、R2及びR3は両方ともOHである。
【0020】
いくつかの実施形態において、R2及びR3は、それぞれO(C1~C3アルキル)である。
【0021】
いくつかの実施形態において、R2は、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルである。
【0022】
いくつかの実施形態において、R3及びR5は両方ともOHである。
【0023】
いくつかの実施形態において、R3及びR5は両方ともOHであり、R2は直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、R4は直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルである。
【0024】
いくつかの実施形態において、R4及びR6は、それぞれC1~C5アルキルである。
【0025】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、
(1'S,2'S)-2'-イソプロピル-3,5'-ジメチル-4-ペンチル-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(HUM-217)、
【0026】
【化6】
【0027】
(1R,2R)-2',6'-ジメトキシ-3',5-ジメチル-4'-ペンチル-2-(プロプ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,1'-ビフェニル(HUM-219)、
【0028】
【化7】
【0029】
(1'R,2'R)-5,5'-ジメチル-6-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,4-ジオール(HUM-229)、
【0030】
【化8】
【0031】
(1'R,2'R)-3,5,5'-トリメチル-4-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(HUM-236)
【0032】
【化9】
【0033】
から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、一般式(I)の化合物は、一般式(I')の化合物であり、置換基R1~R6は、上記のように定義される。
【0035】
【化10】
【0036】
本発明は更に、下記の一般式(V)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を提供する。
【0037】
【化11】
【0038】
式中、
【0039】
【化12】
【0040】
は、単結合又は二重結合であり、R16は、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキル、直鎖又は分岐鎖C2~C8アルケニルから選択され、R17~R21は、それぞれ、H、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキル、直鎖又は分岐鎖C2~C8アルケニル、直鎖又は分岐鎖C2~C8アルキニル、アミン、ハロ、ハロアルキル、OH、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボキシ、アミド、チオアミド、チオイミド、CNから選択され、R22及びR26は、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)から選択され、R23、R24及びR25は、それぞれ、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキル、Hから選択される。ただし、
【0041】
【化13】
【0042】
が二重結合である場合、R22及びR26のうちの少なくとも1つがOHとは異なり、かつR25がHとは異なるものとし;R18~R21のうちの少なくとも1つがHとは異なるものとし;R24及びR26が両方ともOHである場合、R22がC5アルキルであり、かつR23がC1~C5アルキルであるものとする。
【0043】
いくつかの実施形態において、式(V)の化合物は、一般式(V')の化合物であり、
【0044】
【化14】
【0045】
式中、R16~R26のそれぞれは、上記のように定義される。
【0046】
本発明は更に、下記の一般式(II)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を提供する。
【0047】
【化15】
【0048】
式中、R7及びR8は、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)、OC(=O)R16から選択され、R9は、H、又はC1~C3アルキルから選択され、R10は、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、R16は、モルホリノ(O(CH2CH2)2NH)誘導体のうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである。ただし、R7及びR8の両方がOHである場合、R9がC1アルキルとは異なるものとする。
【0049】
いくつかの実施形態において、R7及びR8のうちの少なくとも1つは、O(C1~C3アルキル)である。
【0050】
いくつかの実施形態において、R7及びR8のうちの少なくとも1つは、OC(=O)R16であり、式中、R16は、モルホリノ(O(CH2CH2)2NH)誘導体のうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである。
【0051】
いくつかの実施形態において、R7及びR8の両方は、O(C1~C3アルキル)である。
【0052】
いくつかの実施形態において、一般式(II)の化合物は、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-(2-メチルオクタン-2-イル)フェノール(HUM-223)、
【0053】
【化16】
【0054】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェニル3-モルホリノプロパノエート(HUM-233)、
【0055】
【化17】
【0056】
(E)-4-(3-(2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェノキシ)-3-オキソプロピル)モルホリン-4-イウム(Z)-3-カルボキシアクリレート(HUM-234)、
【0057】
【化18】
【0058】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-1,3-ジメトキシ-4-メチル-5-ペンチルベンゼン(HUM-235)
【0059】
【化19】
【0060】
から選択される。
【0061】
本発明は更に、下記の一般式(III)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を提供する。
【0062】
【化20】
【0063】
式中、R13、R14及びR15は、それぞれ、H、直鎖又は分岐鎖C1~C10アルキルから選択される。ただし、R13がCH3である場合、R15はHとは異なるものとする。
【0064】
いくつかの実施形態において、R13はCH3である。
【0065】
いくつかの実施形態において、R13はHである。
【0066】
いくつかの実施形態において、R15はCH3である。
【0067】
いくつかの実施形態において、R15はHである。
【0068】
いくつかの実施形態において、R14は、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルである。
【0069】
いくつかの実施形態において、一般式(III)の化合物は、2,8-ジメチル-2-(4-メチルペンタ-3-エン-1-イル)-7-ペンチル-2H-クロメン-5-オール(HUM-238)である。
【0070】
【化21】
【0071】
本発明は更に、下記の一般式(IV)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を提供する。
【0072】
【化22】
【0073】
式中、R27及びR30は、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)から選択され、R28及びR29は、それぞれ独立して、直鎖又は分岐鎖C1~C10アルキルである。
【0074】
いくつかの実施形態において、R27及びR30のうちの少なくとも1つはOHである。他の実施形態において、R27及びR30は両方ともOHである。
【0075】
いくつかの実施形態において、任意の立体異性体、溶媒和物又は塩を含む、一般式(IV)の化合物は、一般式(IV')の化合物である。
【0076】
【化23】
【0077】
いくつかの実施形態において、一般式(IV)の化合物は、
4-メチル-5-ペンチル-2-((2R)-4,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エン-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオール(HUM-231)から選択される。
【0078】
【化24】
【0079】
本発明は更に、下記の一般式(IV)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩の化合物を提供する。式中、R27及びR30は、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)、C1~C10アルキルから選択され、R28及びR29は、それぞれ独立して、直鎖又は分岐鎖のOH、C1~C10アルキルである。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、4-メチル-5-ペンチル-6-((2R)-4,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-3-エン-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオール(HUM-332)である。
【0081】
【化25】
【0082】
本発明は、上記及び下記で本明細書に開示される一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)のうちの少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0083】
本発明は更に、炎症に関連する状態、疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の上記及び下記で本明細書に開示される一般式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のうちの少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0084】
いくつかの実施形態において、炎症に関連する上記医学的状態、疾患又は障害は、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス、乾癬、I型糖尿病(IDDM)、シェーグレン病、自己免疫性甲状腺疾患、後天性免疫不全症候群(AIDS)、サルコイドーシス、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性肝炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、遅発型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、又は関節リウマチ若しくは他の炎症性疾患に関連するILD)、強皮症、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、特発性両側性進行性感音難聴、再生不良性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、グレーブス眼症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性胆汁性肝硬変、回腸炎、慢性炎症性腸疾患、セリアック病、アルツハイマー病、プリオン関連疾患、及びがん転移からなる群から選択される。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記医学的状態、疾患又は障害は、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、クローン病及び多発性硬化症からなる群から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明の少なくとも1つの化合物による上記治療は、乱用性がない治療である。
【0087】
本発明は更に、疼痛の治療を必要とする対象において疼痛を治療する方法であって、治療有効量の上記及び下記で本明細書に開示される一般式(I)、(II)及び(III)のうちの少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0088】
「疼痛」に言及する場合、一時的、持続的、慢性、急性、特発性疼痛等を含む任意のタイプの疼痛を指すと理解されるべきである。治療される疼痛は、任意の状態、疾患又は障害によって、例えば、有害な刺激が除去されるまで、又は根底にある損傷若しくは病理が治癒するまで引き起こされるものや、関節リウマチ、末梢ニューロパチー、がん、任意のタイプの外傷、手術、炎症、出産等のいくつかの痛みを伴う状態などを含む。
【0089】
本発明は更に、肥満に関連する状態、疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の上記及び下記で本明細書に開示される一般式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のうちの少なくとも1つの化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0090】
本発明は、炎症、疼痛、肥満、及びそれらの任意の組み合わせに関連する状態、疾患、又は障害を治療する方法であって、下記の一般式(I)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0091】
【化26】
【0092】
式中、
【化27】
【0093】
は、単結合又は二重結合であり、R1は、CH3及びCH2から選択され、
R2及びR3は、OH、O(C1~C3アルキル)、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、R4は、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルであり、R5は、OH、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、R6は、H、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルから選択される。
【0094】
本発明は、炎症、疼痛、肥満、及びそれらの任意の組み合わせに関連する状態、疾患、又は障害を治療する方法であって、下記の一般式(II)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0095】
【化28】
【0096】
式中、R7及びR8は、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)、OC(=O)R16から選択され、R9は、H、又はC1~C3アルキルから選択され、R10は、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、R16は、モルホリノ、及び、(O(CH2CH2)2NH)誘導体のうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである。
【0097】
本発明は、炎症、疼痛、肥満、及びそれらの任意の組み合わせに関連する状態、疾患、又は障害を治療する方法であって、下記の一般式(III)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0098】
【化29】
【0099】
式中、R13、R14及びR15は、それぞれ、H、直鎖又は分岐鎖C1~C10アルキルから選択される。
【0100】
本発明は、炎症、疼痛、肥満、及びそれらの任意の組み合わせに関連する状態、疾患、又は障害を治療する方法であって、下記の一般式(IV)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0101】
【化30】
【0102】
式中、R27及びR30は、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)から選択され、R28及びR29は、それぞれ、直鎖又は分岐鎖C1~C10アルキルから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に特許請求されている。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、及び利点とともに、構成及び操作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれた場合に、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0104】
図1A】CBDと比較して、様々な用量のHUM-216の腫脹(1A)及び疼痛(1B)の結果を示す。
図1B】CBDと比較して、様々な用量のHUM-216の腫脹(1A)及び疼痛(1B)の結果を示す。
図2A】CBD及びCBGと比較して、様々な用量のHUM-223及びHUM-219の腫脹(2A)及び疼痛(2B)の結果を示す。
図2B】CBD及びCBGと比較して、様々な用量のHUM-223及びHUM-219の腫脹(2A)及び疼痛(2B)の結果を示す。
図3A】CBDと比較して、様々な用量のHUM-216のTNF-αの結果、並びにCBGと比較して、様々な用量のHUM-218及びHUM-223の結果を示す。
図3B】CBDと比較して、様々な用量のHUM-216のTNF-αの結果、並びにCBGと比較して、様々な用量のHUM-218及びHUM-223の結果を示す。
図4】CBDとHUM-216との間で比較した、罹患膝の体重負荷の変化を示す。大きい量はより多くの疼痛を意味し、小さい量はより少ない疼痛を意味する。
【0105】
図の簡略化及び明確さのために、図に示される要素は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確さのために他の要素に対して誇張されている場合がある。更に、適切であると考えられる場合、対応する又は類似する要素を示すために、図の間で参照番号が繰り返されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0106】
以下の詳細な説明では、本発明の徹底的な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることを理解するであろう。他の例では、本発明を曖昧にしないように、周知の方法、手順、及び構成要素は詳細に説明されていない。
【0107】
本発明の実施形態は、本明細書に記載の化合物の任意の立体異性体、プロドラッグ、溶媒和物、水和物及び/又は薬学的に許容される塩を更に包含する。
【0108】
本明細書で使用される場合、「立体異性体」という用語は、同一の構成を有するが、空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体を指す。本発明の文脈では、この用語は、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、非ラセミ混合物、(+)/(-)-異性体、(D)/(L)-異性体、(R)/(S)-異性体、シス-トランス異性体、E/Z-異性体、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0109】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで活性化合物(活性親薬物)に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、典型的には、親薬物の投与を促進するのに有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物中の親薬物と比較して改善された溶解度を有し得る。プロドラッグはまた、インビボで活性化合物の持続放出を達成するためにしばしば使用される。プロドラッグの例は、限定されないが、エステル(「プロドラッグ」)として投与される、1つ以上のカルボン酸部分を有する、本明細書に記載の化合物であろう。そのようなプロドラッグはインビボで加水分解され、それによって遊離化合物(親薬物)を提供する。選択されたエステルは、プロドラッグの溶解度特性及び加水分解率の両方に影響を及ぼし得る。
【0110】
「溶媒和物」という用語は、可変化学量論の複合体(例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-等)を指し、これは溶質(本発明の化合物)及び溶媒によって形成され、それによって溶媒は溶質の生物学的活性を妨げない。好適な溶媒として、例えば、エタノール、酢酸等が挙げられる。
【0111】
「水和物」という用語は、溶媒が水である、上記で定義されるような溶媒和物を指す。
【0112】
「薬学的に許容される塩」という句は、親化合物及びその対イオンの荷電種を指し、これは、典型的には、親化合物の溶解度特性を修飾するため、及び/又は親化合物による生物への任意の大きな刺激を低減するために使用される一方で、投与される化合物の生物学的活性及び特性を無効にしない。薬学的に許容される塩の例は、限定されないが、カルボキシレートアニオン及びカチオン、例えば、アンモニウム、ナトリウム、カリウム等であるが、これらに限定されない。
【0113】
当該技術分野で周知であるように、「酸付加塩」という句は、特定の化学量論的割合で、好適な条件下で相互作用すると、塩基部分の1つ以上のカチオン及び酸部分の1つ以上のアニオンを含む塩を形成する、塩基及び酸の2つのイオン化可能な部分の複合体を説明する。本明細書で使用される場合、「酸付加塩」という句は、塩が、アミンのカチオン形態(アンモニウム)及び酸のアニオン形態を含むように、塩基部分がアミンである複合体を指す。
【0114】
塩複合体中の塩基と酸との化学量論的割合に応じて、以下に詳述されるように、酸付加塩は、モノ付加塩又はポリ付加塩のいずれかであり得る。
【0115】
「モノ付加塩」という句は、本明細書で使用される場合、酸付加塩が1モル当量のコンジュゲート当たり1モル当量の酸を含むように、酸アニオンとアミンカチオンとの化学量論的割合が1:1である塩複合体を指す。
【0116】
「ポリ付加塩」という句は、本明細書で使用される場合、酸付加塩15が、1モル当量のコンジュゲート当たり2モル当量以上の酸を含むように、酸アニオンとアミンカチオンとの化学量論的割合が1:1よりも大きい、例えば、2:1、3:1、4:1等である塩複合体を指す。
【0117】
塩複合体の塩基と酸との間の化学量論的割合は、本発明のいくつかの実施形態によれば、6:1~1:6の塩基:酸当量、4:1~1:4の塩基:酸当量、3:1~1:3の塩基:酸当量、又は1:1~1:3の塩基:酸当量の範囲である。
【0118】
したがって、本発明による化学的コンジュゲートの酸付加塩は、化合物の1つ以上のアミノ基と、1以上の当量の酸との間に形成される複合体である。したがって、酸付加塩は、限定されないが、塩酸付加塩(並びに臭化物及びヨウ化物の塩)を提供する塩酸等のハロゲン酸、酢酸付加塩を提供する酢酸、アスコルビン酸付加塩を提供するアスコルビン酸、安息香酸付加塩(安息香酸塩)を提供する安息香酸、ベンゼンスルホン酸付加塩を提供するベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸付加を提供するカンファースルホン酸、ナフチルスルホン酸付加塩を提供するナフチルスルホン酸、トルエンスルホン酸付加塩(トシル酸塩)を提供するトルエンスルホン酸(p-トルエンスルホン酸)、トリフルオロ酢酸付加塩を提供するトリフルオロ酢酸、クエン酸付加塩を提供するクエン酸、マレイン酸付加塩(マレイン酸塩)を提供するマレイン酸、メタンスルホン酸(メシル酸塩又はメタンスルホン酸塩)付加塩を提供するメタンスルホン酸、ナプシル酸付加塩を提供するナフタレンスルホン酸、シュウ酸付加塩を提供するシュウ酸、リン酸付加塩を提供するリン酸、コハク酸付加塩(コハク酸塩)を提供するコハク酸、硫酸付加塩を提供する硫酸、及び酒石酸付加塩を提供する酒石酸等の、様々な有機酸及び無機酸を含むことができる。これらの酸付加塩の各々は、これらの用語が上記で定義されるようなモノ酸付加塩又はポリ酸付加塩のいずれかであり得る。
【0119】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖基及び分岐鎖基を含む脂肪族炭化水素を説明する。いくつかの実施形態によれば、アルキル基は、1~10個の炭素原子を有し、他の実施形態によれば、1~5個の炭素原子を有し、更に他の実施形態によれば、6~10個の炭素原子を有し、更に他の実施形態によれば、4~6個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば、「1~10」が本明細書に記載される場合、それは、基、この場合はアルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子等、最大10個の炭素原子を含有し得ることを意味する。アルキルは、置換又は非置換であり得る。置換される場合、置換基は、例えば、これらの用語が本明細書で定義されるように、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン(ハロ)、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ハロアルキル、アミン、カルボニル、カルボキシル、アミド、チオアミド、シアノ、及びカルバメートであり得る。
【0120】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、飽和又は不飽和の炭化水素も包含し、したがって、この用語は、アルケニル及びアルキニルを更に包含する。
【0121】
「アルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、本明細書で定義されるような不飽和アルキルを説明する。アルケニルは、アルキルについて前述したように、非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0122】
「アルキニル」という用語は、本明細書で定義される場合、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和アルキルである。アルキニルは、アルキルについて前述したように、非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0123】
本明細書で使用される場合、「アミン」という用語は、R'及びR"のそれぞれが、これらの用語が本明細書で定義されるように、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式、アリール、又はヘテロアリールである、-NR'R"基を説明する。
【0124】
本明細書で使用される場合、本明細書で互換的に言及される「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハロゲン化物」という用語は、本明細書においてフッ化物、臭化物、及びヨウ化物とも称される、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素の原子を説明する。
【0125】
「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン化物で更に置換された、上記で定義されるようなアルキル基を説明する。
【0126】
本明細書で互換的に使用される「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を指す。
【0127】
「アルコキシ」という用語は、-OR'基を説明し、式中、R'は本明細書で定義される通りである。
【0128】
「アリールオキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、-OR"基を指し、式中、R"はアリールである。
【0129】
「チオヒドロキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、-SH基を指す。
【0130】
「チオアルコキシ」という用語は、-SR'基を説明し、式中、R'は本明細書で定義される通りである。
【0131】
「チオアリールオキシ」という用語は、-SR'基を説明し、式中、R"はアリールである。
【0132】
「カルボニル」又は「ケトン」という用語は、本明細書で使用される場合、-(C=O)H又は-(C=O)-R基を指し、式中、Rは本明細書で定義される通りである。例示的なカルボニルは、R'が水素であるホルミル基である。別の例示的なカルボニルは、R'はメチルであるアセチル基である。
【0133】
「オキソ」という用語は、炭素置換基の場合にはカルボニルを構成する、(=O)基、すなわち二重結合によって結合された酸素を指す。
【0134】
「カルボキシ」、「カルボキシル」、又は「カルボン酸塩」という用語は、本明細書で使用される場合、(カルボン酸アニオンの場合のように)Rが不在であり得るか、又はこれらの用語が本明細書で定義されるように、水素(例えば、カルボン酸)、アルキル(例えば、エステル)、シクロアルキル、ヘテロ脂環式、アリール、若しくはヘテロアリールからなる群から選択され得る、-C(=O)-O-Rを互換的に指す。
【0135】
「アミド」という用語は、-C(=O)-NRR"を説明し、式中、Rは本明細書で定義される通りである。
【0136】
「チオアミド」という用語は、-C(=S)-NRR"を説明し、式中、Rは本明細書で定義される通りである。
【0137】
「チオイミド」という用語は、-C(=NR)-SR"を説明し、式中、R及びR''は本明細書で定義される通りである。
【0138】
「シアノ」という用語は、本明細書で使用される場合、-C=N基を指す。
【0139】
「カルバメート」という用語は、-OC(=O)-NR'R"を説明し、R'及びR"は本明細書で定義される通りである。
【0140】
特定の例示的なカルバメートは、アミンがBoc保護基で保護される場合に得られ、tert-ブチルカルバメートが得られる。
【0141】
別の例示的なカルバメートは、アミンがFmoc保護基で保護される場合に得られ、(9H-フルオレン-9-イル)メチルカルバメートが得られる。
【0142】
更に、これらのカンナビノイド誘導体化合物は、例えば、
(1'R,2'R)-3,5'-ジメチル-4-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオ-ル(HUM-216)
【0143】
【化31】
【0144】
(1'S,2'S)-2'-イソプロピル-3,5'-ジメチル-4-ペンチル-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオ-ル(HUM-217)
【0145】
【化32】
【0146】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-4-メチル-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオ-ル(HUM-218)
【0147】
【化33】
【0148】
(1R,2R)-2',6'-ジメトキシ-3',5-ジメチル-4'-ペンチル-2-(プロプ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,1'-ビフェニル(HUM-219)
【0149】
【化34】
【0150】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-(2-メチルオクタン-2-イル)フェノール(HUM-223)
【0151】
【化35】
【0152】
(1'R,2'R)-5,5'-ジメチル-6-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,4-ジオ-ル(HUM-229)
【0153】
【化36】
【0154】
(E)-4-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-6-メチル-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオ-ル(HUM-330)
【0155】
【化37】
【0156】
4-メチル-5-ペンチル-2-((2R)-4,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]へプタ-3-エン-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオ-ル(HUM-231)
【0157】
【化38】
【0158】
2,6-ジメチル-2-(4-メチルペンタ-3-エン-1-イル)-7-ペンチル-2H-クロメン-5-オ-ル
【0159】
【化39】
【0160】
(E)-4-(3-(2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェノキシ)-3-オキソプロピル)モルホリン-4-イウム-3-イド(HUM-233)
【0161】
【化40】
【0162】
を含む化合物の群の一部である。
【0163】
したがって、本発明の別の態様によれば、本明細書に提示される治療有効量の化合物のうちの1つ以上、及び上記で定義されるようなそのエナンチオマー、水和物、溶媒和物、プロドラッグ又は任意の薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することによって影響を受ける、炎症に関連する医学的状態、疾患、又は障害を治療する方法が提供される。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態によれば、炎症に関連する医学的状態、疾患、又は障害を治療する方法が提供され、これは、後述の実施例の項に提示される表Iに示される治療有効量の化合物のうちのいずれか1つ、及び上記で定義されるようなそのエナンチオマー、水和物、溶媒和物、プロドラッグ又は任意の薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つ以上を、それを必要とする対象に投与することによってもたらされる。
【0165】
本明細書で使用される場合、「治療する」及び「治療」という用語は、状態の進行を抑止すること、実質的に阻害すること、遅延若しくは逆転させること、状態の臨床的若しくは審美的症状を実質的に改善すること、又は状態の臨床的若しくは審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0166】
したがって、本発明の別の態様は、本明細書で提示される化合物のうちの1つ以上、及び上記で定義されるようなそのエナンチオマー、水和物、溶媒和物、プロドラッグ又は任意の薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の、薬物の調製における使用を提供する。
【0167】
本発明のいくつかの実施形態によれば、薬物は、炎症に関連する医学的状態、疾患又は障害の治療のためのものである。
【0168】
本発明のいくつかの実施形態によれば、後述の実施例の項に提示される表Iに示される化合物のうちのいずれか1つ、及び上記で定義されるようなその任意のエナンチオマー、水和物、溶媒和物、プロドラッグ又は任意の薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つ以上の、炎症に関連する医学的状態、疾患、又は障害の治療のための薬物の調製における使用が提供される。
【0169】
炎症は損傷に対する身体の保護反応である。本明細書で使用される場合、「炎症」という用語は、炎症に関連する医学的状態、疾患及び障害を含むが、これらに限定されない。
【0170】
したがって、炎症に関連する疾患又は障害の代表的な例であって、本発明に記載の化合物のうちの1つ以上を使用することによって治療可能なものとしては、限定されないが、以下に詳述されるような、特発性炎症性疾患又は障害、慢性炎症性疾患又は障害、急性炎症性疾患又は障害、自己免疫疾患又は障害、感染性疾患又は障害、炎症性悪性疾患又は障害、炎症性移植関連疾患又は障害、炎症性変性疾患又は障害、過敏症に関連する疾患又は障害、炎症性心血管疾患又は障害、炎症性脳血管疾患又は障害、末梢血管疾患又は障害、炎症性腺疾患又は障害、炎症性胃腸疾患又は障害、炎症性皮膚疾患又は障害、炎症性肝疾患又は障害、炎症性神経疾患又は障害、炎症性筋骨格疾患又は障害、炎症性腎疾患又は障害、炎症性生殖疾患又は障害、炎症性全身疾患又は障害、炎症性結合組織疾患又は障害、炎症性腫瘍、壊死、炎症性インプラント関連疾患又は障害、炎症性加齢プロセス、免疫不全性疾患又は障害、増殖性疾患又は障害、例えばがん、及び炎症性肺疾患又は障害が挙げられる。
【0171】
過敏症の非限定的な例としては、I型過敏症、II型過敏症、III型過敏症、IV型過敏症、即時型過敏症、抗体媒介過敏症、免疫複合体媒介過敏症、Tリンパ球媒介過敏症、遅延型過敏症、ヘルパーTリンパ球媒介過敏症、細胞毒性Tリンパ球媒介過敏症、THlリンパ球媒介過敏症、及びTH2リンパ球媒介過敏症が挙げられる。
【0172】
炎症性心血管疾患又は障害の非限定的な例としては、閉塞性疾患又は障害、アテローム性動脈硬化症、心臓弁膜症、狭窄、再狭窄、ステント内狭窄、心筋梗塞、冠動脈疾患、急性冠症候群、うっ血性心不全、狭心症、心筋虚血、血栓症、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、川崎症候群、抗第VIII因子自己免疫疾患又は障害、壊死性小型血管炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ・ストラウス症候群、微量免疫型巣状壊死性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、抗リン脂質抗体症候群、抗体誘導性心不全、血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、心臓自己免疫、シャーガス病又は疾患、及び抗ヘルパーTリンパ球自己免疫が挙げられる。
【0173】
狭窄は血管系の閉塞性疾患であり、一般的にはアテローム性プラーク及び強化された血小板活性によって引き起こされ、冠血管系に最も重大な影響を及ぼす。
【0174】
再狭窄は、狭窄血管系における閉塞の減少に続いて起こることが多い進行性の再閉塞である。血管系の開存性がステントの機械的支持を必要とする場合、ステント内狭窄が起こり、治療された血管を再閉塞する場合がある。
【0175】
脳血管疾患又は障害の非限定的な例としては、脳卒中、脳血管炎症、脳出血及び椎骨動脈不全が挙げられる。
【0176】
末梢血管疾患又は障害の非限定的な例としては、壊疽、糖尿病性血管障害、虚血性腸疾患、血栓症、糖尿病性網膜症及び糖尿病性腎症が挙げられる。
【0177】
自己免疫疾患又は障害の非限定的な例としては、自己抗原に対する自己抗体又は細胞媒介免疫等の免疫応答によって引き起こされる全ての疾患が挙げられる。代表的な例としては、慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織疾患、結節性多発動脈炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、橋本病、乾癬、原発性粘液水腫、悪性貧血、重症筋無力症、慢性活動性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、ブドウ膜炎、血管炎、及びヘパリン起因性血小板減少症等が挙げられる。
【0178】
炎症性腺疾患又は障害の非限定的な例としては、膵臓疾患又は障害、I型糖尿病、甲状腺疾患又は障害、グレーブス病、甲状腺炎、自発性自己免疫性甲状腺炎、橋本甲状腺炎、特発性粘液腫、卵巣自己免疫、自己免疫性抗精子不妊症、自己免疫性前立腺炎及びI型多腺性自己免疫症候群が挙げられる。
【0179】
炎症性胃腸疾患又は障害の非限定的な例としては、大腸炎、回腸炎、クローン病、慢性炎症性腸疾患、炎症性腸症候群、慢性炎症性腸疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、潰瘍、皮膚潰瘍、褥瘡、胃潰瘍、消化管潰瘍、頬潰瘍、鼻咽頭潰瘍、食道潰瘍、十二指腸潰瘍、及び消化性潰瘍が挙げられる。
【0180】
炎症性皮膚疾患又は障害の非限定的な例としては、にきび、及び自己免疫性水疱性皮膚疾患が挙げられる。
【0181】
炎症性肝疾患又は障害の非限定的な例としては、自己免疫性肝炎、肝硬変、及び胆道肝硬変が挙げられる。
【0182】
炎症性神経疾患又は障害の非限定的な例としては、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、重症筋無力症、運動ニューロパチー、ギラン・バレー症候群、自己免疫性ニューロパチー、ランバート・イートン筋無力症候群、傍腫瘍性神経疾患又は障害、傍腫瘍性小脳萎縮症、非傍腫瘍性全身硬直症候群、進行性小脳萎縮症、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデナム舞踏病、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、自己免疫性多腺性内分泌不全症、免疫不全性ニューロパチー、後天性神経性筋強直症、多発性関節拘縮症、ハンチントン病、AIDS関連認知症、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症、脳卒中、炎症性網膜疾患又は障害、炎症性眼疾患又は障害、視神経炎、海綿状脳症、片頭痛、頭痛、群発性頭痛、及び全身硬直症候群が挙げられる。
【0183】
炎症性結合組織疾患又は障害の非限定的な例としては、自己免疫性筋炎、原発性シェーグレン症候群、平滑筋自己免疫疾患又は障害、筋炎、腱炎、靭帯炎症、軟骨炎、関節炎、滑膜炎、手根管症候群、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、骨格炎症、自己免疫性耳疾患又は障害、及び内耳の自己免疫疾患又は障害が挙げられる。
【0184】
炎症性腎疾患又は障害の非限定的な例としては、自己免疫性間質性腎炎及び/又は腎がんが挙げられる。
【0185】
炎症性生殖疾患又は障害の非限定的な例としては、反復性胎児喪失、卵巣嚢胞、又は月経関連疾患又は障害が挙げられる。
【0186】
炎症性全身疾患又は障害の非限定的な例としては、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、敗血症性ショック、毒素性ショック症候群、及び悪液質が挙げられる。
【0187】
感染性疾患又は障害の非限定的な例としては、慢性感染性疾患又は障害、亜急性感染性疾患又は障害、急性感染性疾患又は障害、ウイルス性疾患又は障害、細菌性疾患又は障害、原虫疾患又は障害、寄生虫疾患又は障害、真菌性疾患又は障害、マイコプラズマ疾患又は障害、壊疽、敗血症、プリオン病又は障害、インフルエンザ、結核、マラリア、後天性免疫不全症候群、及び重症急性呼吸器症候群が挙げられる。
【0188】
炎症性移植関連疾患又は障害の非限定的な例としては、移植片拒絶、慢性移植片拒絶、亜急性移植片拒絶、急性移植片拒絶、超急性移植片拒絶、及び移植片対宿主疾患又は障害が挙げられる。例示的なインプラントとしては、人工インプラント、乳房インプラント、シリコーンインプラント、歯科インプラント、陰茎インプラント、心臓インプラント、人工関節、骨折修復デバイス、骨置換インプラント、薬物送達インプラント、カテーテル、ペースメーカー、人工心臓、人工心臓弁、薬物放出インプラント、電極、及び呼吸器チューブが挙げられる。
【0189】
炎症性腫瘍の非限定的な例としては、悪性腫瘍、良性腫瘍、固形腫瘍、転移性腫瘍、及び非固形腫瘍が挙げられる。
【0190】
炎症性肺疾患又は障害の非限定的な例としては、喘息、アレルギー性喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患又は障害、サルコイドーシス及び気管支炎が挙げられる。
【0191】
本発明のいくつかの実施形態によれば、炎症に関連する例示的な医学的状態、疾患、及び障害は、多発性硬化症、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚エリテマトーデス、乾癬、I型糖尿病(IDDM)、シェーグレン病、自己免疫性甲状腺疾患、後天性免疫不全症候群(AIDS)、サルコイドーシス、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性肝炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、遅発型過敏症、間質性肺疾患(ILD)(例えば、特発性肺線維症、又は関節リウマチ若しくは他の炎症性疾患に関連するILD)、強皮症、皮膚炎(アトピー性皮膚炎及び湿疹性皮膚炎を含む)、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、特発性両側性進行性感音難聴、再生不良性貧血、赤芽球癆、特発性血小板減少症、多発性軟骨炎、グレーブス眼症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性胆汁性肝硬変、回腸炎、慢性炎症性腸疾患、セリアック病、アルツハイマー病、プリオン関連疾患、及びがん転移を含む。
【0192】
本発明のいくつかの実施形態によれば、炎症性障害は、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、クローン病、多発性硬化症、アルツハイマー病、プリオン関連疾患、及びがん転移を含む。
【0193】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という句は、治療される状態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和するであろう、投与される化合物の量を説明する。
【0194】
後述の実施例の項で実証されるように、本発明の化合物の例示的な治療有効量は、約0.1mg/体重kgと約100mg/体重kgとの間の範囲である。
【0195】
本明細書に記載される方法及び使用のいずれかにおいて、本発明の実施形態のカンナビノイド誘導体化合物は、それ自体で利用され得るか、又はいくつかの実施形態によれば、薬学的に許容される担体を更に含む医薬組成物の一部として利用され得る。
【0196】
したがって、本発明の更なる態様によれば、上記で定義されるような一般式Iを有する1つ以上の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0197】
本発明のいくつかの実施形態によれば、以下の実施例の項に提示される表Iに示される化合物のうちのいずれか1つ、及び薬学的に許容される担体、並びに上記で定義されるようなその任意のエナンチオマー、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、又は任意の薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む医薬組成物が提供される。
【0198】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、本明細書で提示される化合物と、薬学的に許容される、好適な担体及び賦形剤等の他の化学成分との調製物を指す。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
【0199】
これ以降、「薬学的に許容される担体」という用語は、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物学的活性及び特性を無効にしない担体又は希釈剤を指す。担体の例は、限定されないが、プロピレングリコール、生理食塩水、エマルジョン、及び有機溶媒と水との混合物、並びに固体(例えば、粉末化された)及び気体担体である。
【0200】
本明細書では、「賦形剤」という用語は、化合物の投与を更に容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類及び様々な種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、及びポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
薬物の配合及び投与のための技術は、参照により本明細書に組み込まれる「Remington's Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co.,Easton,PA,最新版に見出され得る。
【0202】
したがって、本発明に従って使用するための医薬組成物は、化合物を薬学的に使用することができる調製物に処理するのを容易にする賦形剤及び補助剤を含む1つ以上の薬学的に許容される担体を使用して、従来の方法で製剤化され得る。適切な配合は、選択される投与経路に依存する。投与量は、用いられる剤形及び利用される投与経路に応じて変化し得る。正確な配合、投与経路、及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る(例えば、Fingl et al.,1975,"The Pharmacological Basis of Therapeutics",Ch.Ip.I)を参照されたい。医薬組成物は、局所的若しくは全身的治療又は投与が選択されるかどうか、及び治療される領域に応じて、経路のうちのいずれか1つ以上での投与のために製剤化され得る。投与は、経口的に、吸入によって、又は非経口的に、例えば、点滴若しくは腹腔内、皮下、筋肉内若しくは静脈内注射によって、又は局所的に(点眼によって、経膣的に、直腸内に、鼻腔内に等)行われ得る。
【0203】
局所投与のための製剤には、限定されないが、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、坐剤、点滴、液剤、噴霧剤、及び散剤が含まれ得る。
【0204】
従来の薬学的担体、水性、粉末又は油性塩基、増粘剤等が必要であり得るか又は望ましい場合がある。
【0205】
経口投与のための組成物は、粉末又は顆粒、水又は非水性媒体中の懸濁液若しくは溶液、サシェ、丸薬、カプレット、カプセル又は錠剤を含む。増粘剤、希釈剤、香料、分散助剤、乳化剤又は結合剤が望ましい場合がある。
【0206】
非経口投与のための製剤は、限定されないが、緩衝液、希釈剤、及び他の好適な添加剤を含有し得る滅菌溶液を含み得る。徐放組成物が、治療のために想定される。
【0207】
投与される組成物の量は、当然のことながら、治療される対象、疾患の重症度、投与様式、処方医師の判断等に依存するであろう。
【0208】
本発明の組成物は、必要に応じて、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得る、FDA(米国食品医薬品局)承認のキット等のパック又はディスペンサーデバイスで提供され得る。パックは、例えば、ブリスターパック又は加圧容器(吸入用)等の金属又はプラスチック箔を含み得るが、これらに限定されない。パック又はディスペンサーデバイスは、投与のための指示を伴う場合がある。パック又はディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用又は販売を規制する行政機関によって規定された形式で容器に関連付けられた通知を伴う場合があり、その通知は、ヒト又は動物への投与のための組成物の形態に関する該機関による承認を反映している。そのような通知は、例えば、処方薬のために米国食品医薬品局によって承認されたラベルであり得るか、又は承認された製品の挿入物であり得る。
【0209】
適合性のある薬学的担体に配合された本発明の化合物を含む組成物はまた、上記に詳述されるように、炎症に関連する医学的状態、疾患又は障害の治療のために調製され、適切な容器に入れられ、ラベル貼付され得る。
【0210】
したがって、本発明の一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、上記で定義されるような、炎症に関連する医学的状態、疾患、又は障害の治療に使用するために、包装材料に包装され、該包装材料の中又は上の印刷で識別される。
【0211】
本明細書に提示される方法、使用、及び組成物のいずれかの更なる実施形態によれば、本発明の化合物は、炎症関連疾患及び障害を治療するために一般的に使用される他の活性成分と組み合わせることができる。
【0212】
「乱用性がない治療」に言及する場合、個体又は他者に有害な方法によって投与される任意の量で、上記化合物を投与された患者を物質乱用、薬物乱用に供しない、少なくとも1つの化合物による治療に関連すると理解されるべきである。
【0213】
本発明の更なる目的、利点、及び新規特徴は、限定することを意図していない以下の実施例を調べると、当業者に明らかとなるであろう。加えて、本明細書上で説明され、後述の特許請求の範囲の項で特許請求される本発明の様々な実施形態及び態様のそれぞれは、以下の実施例において実験的支持を見出す。
【実施例
【0214】
次に、上記の説明とともに、本発明を非限定的な様式で説明する以下の実施例を参照する。
【0215】
実施例1 化学合成
【0216】
材料及び方法:
【0217】
AU化学試薬はSigma-Aldrichから購入した。
【0218】
有機溶媒はBio-Labから購入した。
【0219】
カンナビノイド(カンナビジオール等)は、以前に記載されたように[Gaoni,Y.and Mechoulam,R.(1971)J.Amer.Chem.Soc.93,217-224]、大麻植物から抽出した。
【0220】
標準的なカルボキシル化反応
【0221】
Ben-Zviら[26]による手順に基づく。20mmolのカンナビノイド化合物を、DMF(60mmol)中2Mの炭酸メチルマグネシウム(MMC)溶液30mLに溶解した。凝縮器を取り付け、反応物を120℃まで2時間加熱し、TLCによりモニタリングした。
【0222】
氷冷した10%w/vのHCl溶液に注ぐことによって反応のワークアップを行った。水相をジエチルエーテル(EtO)で3回抽出した。次いで、有機相を無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させ、蒸発させて、暗紫色のシロップ状粗製物を得た。石油エーテル中の酢酸エチル(EA):メタノール:酢酸(それぞれ10%:2%:1%)を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCBDAを精製した(おおよその収率:35%)。
【0223】
カルボン酸のメチル基への標準的な還元
【0224】
H.Ederyら[27]によって以前に公開された方法に基づく。3.04mmolのカルボン酸を、窒素下で乾燥THFに溶解した。次いで、乾燥THF(30mL、-20℃に冷却)中79.01mmolのLiAlHの事前冷却懸濁液を含有するフラスコに、その溶液をゆっくり加えた。凝縮器を取り付け、反応物を3時間加熱還流させ、TLCによりモニタリングした。出発物質が完全に消費されてから、ワークアップのために反応物を-20℃に冷却した。酢酸エチルを滴加して残りのLiAlHを中和し、続いてフラスコ中でLiAlHの目に見える反応がなくなるまでエタノール、メタノール及び氷を加えた。反応懸濁液を10%w/vのHCl溶液で洗浄してpH1にした。水相を酢酸エチルで3回抽出し、飽和NaHCOで洗浄してpH10にし、鹹水で洗浄して中性pHにした。有機相をMgSOで乾燥させ、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した(およその収率95%)。
【0225】
H2-CBDの調製:5グラム(15.92mmol)のカンナビジオール及び250mg(1.1mmol、5%w/w)の酸化白金を耐圧フラスコに加え、酢酸エチルに溶解した。次いで、反応フラスコを真空にし、水素ガスで15psiに加圧した。反応フラスコを自動振とう機上に置き、圧力を1.5分間維持した。次いで、真空により水素を除去した。混合物を重力濾過し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中0~3%のEt2O)により精製した。
【0226】
【化41】
【0227】
HUM-216の合成2gのLiAlHを窒素雰囲気で-15℃の乾燥THF100mlに少しずつ加えた後、50mlの乾燥THFに溶解した700mgのCBDAをゆっくりと加えた。反応物を室温まで加温させてから、5時間還流させた。次いで、反応物を再び-15℃に冷却し、LiAlHが反応を停止するまで酢酸エチルをゆっくりと内部に滴下し、次いで、数滴のエタノール、メタノール及び水を滴下して、LiAlHがもはや活性でないことを確実にした。生成物(収率98%)を5回に分けた酢酸エチルによって抽出し、中性になるまで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、石油エーテル中5%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
【0228】
HUM-217の合成:HUM-217は、H2-CBDから、CBDからのHUM-216と同じ方法で、全く同じ収率(約30%)で調製された。
【0229】
CBGの調製:200mlの乾燥ジクロロメタンに溶解した2gのオリベトールに、80mgのパラトルエンスルホン酸をN雰囲気下で加え、反応物を0℃まで冷却した。100mlの乾燥DCMに溶解した3gのゲラニオールを10分間かけてゆっくり加えた。反応物を室温まで加温させ、30分間攪拌した。次いで、反応懸濁液を10%w/vのNaHCO溶液で中性になるまで洗浄し、水相をDCMで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。生成物(収率30%)を、石油エーテル中7%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0230】
HUM-218の合成:HUM-218は、CBGから、CBDからのHUM-216と同じ方法で、全く同じ収率(約30%)で調製された。
【0231】
HUM-219の合成:10mlの乾燥DMF中の280mgのHUM-216(0.85mmol)及び0.75gのKCOに、N雰囲気下で500ulの過剰なヨウ化メチル(約7.5mmol)を滴加した。反応物を一晩攪拌した。反応懸濁液を10%w/vのHCl溶液で中性になるまで洗浄した。水相を酢酸エチルで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。生成物(収率約90%)を、石油エーテル中3%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0232】
CBG-DMHの調製:100mlの乾燥ジクロロメタンに溶解した1.84gのジメチルヘプチルレゾルシノール(DMHR)に、80mgのパラトルエンスルホン酸をN雰囲気下で加え、反応物を0℃まで冷却した。50mlの乾燥DCMに溶解した1.2gのゲラニオールを10分間かけてゆっくり加えた。反応物を室温まで加温させ、30分間攪拌した。次いで、反応懸濁液を10%w/vのNaHCO溶液で中性になるまで洗浄し、水相をDCMで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。生成物(収率30%)を、石油エーテル中5%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0233】
HUM-223の合成:20mlの乾燥DMF中の2.4gのCBG-DMH及び1.34gのKCOに、N雰囲気下で406.1ulのヨウ化メチル(1当量)を滴加した。反応物を一晩攪拌した。反応懸濁液を10%w/vのHCl溶液で中性になるまで洗浄した。水相を酢酸エチルで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。生成物(収率約40%)を、石油エーテル中3%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0234】
このプロジェクトの間に開発された方法
【0235】
【化42】
【0236】
シトラルカップリングによる(+-)CBC誘導体の調製[28]:0.5グラムのオリベトールアルデヒド(2.4mmol)及び0.5mLのシトラル(2.9mmol)を、室温で窒素雰囲気下、無水トルエンに溶解した。86mgのエチレンジアミンジアセテート(EDDA)を、なおも室温で溶液に加えた。次いで、水凝縮器を取り付け、反応物を還流させ、TLC(PE中5%EA)によりモニタリングした。4時間後、反応物を氷浴上で室温まで冷却した。溶媒を真空蒸発により除去して、暗橙色の油性粗製物を得た。生成物を、Et2O:PE勾配を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。1.25%Et2Oで生成物を溶出。生成物を明黄色の油として得た。
【0237】
オリベトールホルミル化反応[29]:15mLの塩化ホスホリル(0.123mol)を、窒素雰囲気下で、氷冷無水DMF(43mL)にゆっくりと滴下して溶解した。無水DMF中の8.8g(0.05mol)のオリベトールの24mL溶液を滴加した。反応物を室温までゆっくりと加温させ、一晩攪拌した。反応物を氷上で冷却し、それを72mLの氷冷水に滴加した。まだ氷上に置かれている間に、水酸化ナトリウムの20%溶液を、pH10に達するまで反応物に加えた。次いで、反応物を10分間還流させた。次いで、濃塩酸を用いて、pH1に達するまで反応物を酸性化した。反応水溶液を酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。原油をシリカゲル上に乾式充填し、EA:PE勾配を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を15%EA:PEで溶出した。出発物質を30%EA:PEで溶出した。生成物を淡黄色の固体として得た。NMRスペクトル(CDCl3)は、以前に公開された文献と一致していた。
【0238】
アルデヒド還元反応[30]:0.1グラムのアルデヒド(0.48mmol)を窒素雰囲気下で無水トルエンに溶解し、氷浴上で5分間冷却した。冷懸濁液に、トルエン中60%のRed-Al(登録商標)溶液0.5mLを加えた。次いで、反応物を一晩還流させた。反応物を氷浴上で冷却し、あふれるのを避けるために5mLの鹹水を滴加した。混合物をエーテルと水に分配し、20%硫酸溶液を使用して水相をpH1に酸性化した。次いで、今や酸性となった水相をエーテルで3回抽出した。合わせた抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム及び鹹水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。蒸発した粗製物を、EA:PE勾配を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。収率:75%。NMRスペクトル(CDCl3)は、以前に公開された文献と一致していた。
【0239】
HUM-216の代替方法と異常な誘導体HUM-229の合成:1.5gのメチル-オリベトール及び1.2gのパラメンタジエノールを50mlの乾燥DCMに溶解し、1gの乾燥MgSOをN雰囲気下で加えた。反応物を0℃まで冷却し、50ulのBFエーテラートを加えた。反応物を1.5時間混合し、10%w/vのNaHCO溶液で中性になるまで洗浄し、水相をDCMで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。粗製物を、石油エーテル中5%→30%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。HUM-216を45%の収率で得、HUM-229を35%の収率で得た。
【0240】
HUM-218の代替方法と異常な誘導体HUM-230の合成:25mlの乾燥ジクロロメタンに溶解した1.51gのメチル-オリベトールに、パラトルエンスルホン酸140mgをN雰囲気下で加え、反応物を0℃まで冷却した。20mlの乾燥DCMに溶解した1.2gのゲラニオールを10分間かけてゆっくり加えた。反応物を室温まで加温させ、30分間攪拌した。次いで、反応懸濁液を10%w/vのNaHCO溶液で中性になるまで洗浄し、水相をDCMで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。粗製物を、石油エーテル中5%→30%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。HUM-218を45%の収率で得、HUM-229を30%の収率で得た。
【0241】
HUM-231及びHUM-229の合成:70mlの乾燥ジクロロメタンに溶解した500mgのメチル-オリベトールに、パラトルエンスルホン酸40mgをN雰囲気下で加え、反応物を0℃まで冷却した。15mlの乾燥DCMに溶解した242mgのベルベノールを、10分間かけてゆっくり加えた。反応物を0℃で1時間攪拌した。次いで、反応懸濁液を10%w/vのNaHCO溶液で中性になるまで洗浄し、水相をDCMで3回抽出し、MgSOで乾燥させた。粗製物を、石油エーテル中5%→30%のジエチルエーテルを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。HUM-231を45%の収率で得、HUM-229を25%の収率で得た。
【0242】
実施例2 生物学的活性
【0243】
抗炎症活性測定アッセイのためのマウスマクロファージの調製本発明のいくつかの実施形態による例示的なカンナビジオール誘導体の抗炎症活性を、マウスマクロファージを用いて試験した。8週齢~9週齢のC57BL/6雌マウスの腹腔浸出液マクロファージを、1.5mlの3%チオグリコレート培地の注射の4日後に採取した。腹腔マクロファージを96マイクロウェルの平底プレート中で培養した。2時間後、細胞をすすぎ、付着していない細胞を除去し、その後、LPS(1pg/ml)で活性化した。例示的なカンナビノイド誘導体を、DMEMで様々な濃度に希釈し、細胞調製物に加えた。24時間のインキュベーション後、上清を収集し、TNF-α及びNOについてアッセイするまで-20℃で保存した。
【0244】
内毒血症マウスにおける血漿TNF-αレベルの決定:カンナビジオール誘導体を、1部のDMSO、1部のTWEEN(登録商標)80、及び4部のPBSに溶解し、対照を同じビヒクルで処理した。雄C57B16/Jマウスを、1mg/kg LPSの腹腔内注射の45分前に、示された例示的なカンナビジオール誘導体で前処理した。更に90分後、マウスを断頭し、TNF-αレベルを決定するために体幹血を採取した。
【0245】
活性酸素中間体(ROI)アッセイ:フェノールレッドを含まないHBSSに懸濁したRAW264.7細胞を、プラスチック製の輝度計のチューブ内に分布させた。カンナビジオール誘導体を試料に加え、続いて10μlのルミノール及び30μlのザイモサンを加えた。次いで、化学発光ピークを光度計で記録した。
【0246】
一酸化窒素(NO)測定アッセイ:一酸化窒素レベルは、前述のように調製した、カンナビジオール誘導体で処理した腹腔マクロファージの上清中に蓄積された亜硝酸塩を測定することによって測定した。
【0247】
TNF-α決定アッセイ:細胞培養上清又はマウス血漿中のTNF-α(pg/ml)を、「サンドイッチ」ELISA技術によって決定した。ELISA試薬を、製造業者のプロトコル(R&D Systems)に従って使用した。
【0248】
結果
【0249】
生物学的活性アッセイの結果を図1図4に示す。
【0250】
図1図4に見ることができるように、本発明の実施形態による例示的な化合物、HUM-216、HUM-217、HUM-218、及びHUM-223は全て、顕著な抗炎症活性を示した。
【0251】
明確さのために、別々の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で簡潔に説明される本発明の様々な特徴も、別々に又は任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0252】
本発明は、その特定の実施形態と併せて説明されてきたが、当業者には、多くの代替案、修正、及び変形が明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の主旨及び広い範囲内に属する全てのそのような代替案、修正及び変形を包含することが意図される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、それらの全体が本明細書に参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本出願における任意の参考文献の引用又は識別は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0253】
参考文献:
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【0254】
本発明の特定の特徴が本明細書に示され、説明されてきたが、多くの修正、置換、変更、及び等価物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の主旨の範囲に属する全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩。
式中、
が単結合又は二重結合であり、
R1がCH3及びCH2から選択され、
R2及びR3が、OH、O(C1~C3アルキル)、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、
R4が直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルであり、
R5が、OH、直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルから選択され、
R6が、H、直鎖又は分岐鎖C1~C5アルキルから選択される。
ただし、
が二重結合である場合、R2及びR3のうちの少なくとも1つがOHとは異なるか、又はR6がHとは異なるものとし;R3及びR5が両方ともOHである場合、R2がC5アルキルであり、かつR4がC1~C5アルキルであるものとする。
【請求項2】
が単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が単結合であり、
R2及びR3が両方ともOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R2及びR3が、それぞれO(C1~C3アルキル)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R2が直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R3及びR5が両方ともOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R3及びR5が両方ともOHであり、
R2が直線又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、
R4が直線又は分岐鎖C1~C5アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R4及びR6が、それぞれC1~C5アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
(1'S,2'S)-2'-イソプロピル-3,5'-ジメチル-4-ペンチル-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(HUM-217)、
(1R,2R)-2',6'-ジメトキシ-3',5-ジメチル-4'-ペンチル-2-(プロプ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,1'-ビフェニル(HUM-219)、
(1'R,2'R)-5,5'-ジメチル-6-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,4-ジオール(HUM-229)、
(1'R,2'R)-3,5,5'-トリメチル-4-ペンチル-2'-(プロプ-1-エン-2-イル)-1',2',3',4'-テトラヒドロ-[1,1'-ビフェニル]-2,6-ジオール(HUM-236)から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
下記の一般式(II)で表される化合物、またはその立体異性体、溶媒和物、若しくは塩。
式中、
R7及びR8が、それぞれ、OH、O(C1~C3アルキル)、OC(=O)R16から選択され、
R9が、H、又はC1~C3アルキルから選択され、
R10が直鎖又は分岐鎖C3~C10アルキルであり、
R16がモルホリノ(O(CH2CH2)2NH)のうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである。
ただし、R7及びR8の両方がOHである場合、R9がC1アルキルとは異なるものとする。
【請求項11】
R7及びR8のうちの少なくとも1つがO(C1~C3アルキル)である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
R7及びR8のうちの少なくとも1つがOC(=O)R16であり、
式中、R16が、モルホリノのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されたC1~C5アルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
R7及びR8の両方がO(C1~C3アルキル)である、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-4-メチル-5-ペンチルベンゼン-1,3-ジオール(HUM-218)、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-(2-メチルオクタン-2-イル)フェノール(HUM-223)、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェニル3-モルホリノプロパノエート(HUM-233)、
(E)-4-(3-(2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-3-メトキシ-5-ペンチルフェノキシ)-3-オキソプロピル)モルホリン-4-イウム(Z)-3-カルボキシアクリレート(HUM-234)、
(E)-2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)-1,3-ジメトキシ-4-メチル-5-ペンチルベンゼン(HUM-235)から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含む、医薬組成物。
【国際調査報告】