(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】UV-C光への曝露の悪影響から有機ポリマー系材料を保護するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20231214BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20231214BHJP
C08K 5/524 20060101ALI20231214BHJP
C08K 5/5393 20060101ALI20231214BHJP
C08K 5/18 20060101ALI20231214BHJP
C08K 5/134 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/13
C08K5/524
C08K5/5393
C08K5/18
C08K5/134
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532168
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 US2021060781
(87)【国際公開番号】W WO2022115578
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517318182
【氏名又は名称】サイテック インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エン, ジェリー モン-ヘイ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, ラム ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, シン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジアン-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】オコナー, カイル
(72)【発明者】
【氏名】サンタマリア, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ミン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002AB011
4J002AC011
4J002BB001
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB121
4J002BB181
4J002BC031
4J002BG041
4J002BG051
4J002CH001
4J002CK021
4J002CL001
4J002CM041
4J002CN031
4J002EJ016
4J002EJ026
4J002EJ027
4J002EJ036
4J002EJ046
4J002EJ066
4J002EJ067
4J002EU077
4J002EU087
4J002EU177
4J002EW066
4J002EW086
4J002EW116
4J002FD047
4J002FD057
4J002FD076
(57)【要約】
UV-C(190~280nm)光への曝露の際の変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響に耐性を有する、安定化されたポリマー物品を製造するためのポリマー組成物が本明細書で提供され、前記ポリマー組成物は、(i)有機ポリマー系材料;並びに(ii)バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、を含む安定剤組成物;を含む。UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つは、光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。有機ポリマー系材料に酸化防止剤及び光安定剤を添加することによって、UV-C光の悪影響に対して有機ポリマー系材料を安定化する方法も提供される。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV-C(190~280nm)光への曝露の際の変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響に耐性を有する、安定化されたポリマー物品を製造するためのポリマー組成物であって、
i)有機ポリマー系材料;並びに
ii)バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、
ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と、
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、
を含む安定剤組成物;
を含むポリマー組成物。
【請求項2】
UV-C光への曝露の際に、前記光安定剤の不存在下での前記酸化防止剤と比較して低減される変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つが、前記光安定剤を前記酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記有機ポリマー系材料が、ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然及び合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、セルロースアセテートブチレート、セルロースポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、アミノ樹脂架橋ポリアクリレート及びポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステル及びポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂若しくは尿素樹脂若しくはイソシアネート若しくはイソシアヌレート若しくはカルバメート若しくはエポキシ樹脂で架橋されたアクリレート樹脂、無水物若しくはアミンで架橋された脂肪族及び脂環式及び複素環式及び芳香族のグリシジルエーテルから誘導された架橋エポキシ樹脂、ポリシロキサン、マイケル付加ポリマー、アミン若しくはブロックアミンと活性化不飽和及び活性化メチレン化合物との付加ポリマー、ケチミンと活性化不飽和及び活性化メチレン化合物との付加ポリマー、不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、コーティング組成物、放射硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、有機染料、化粧品、セルロースベースの紙、写真フィルム紙、繊維、ワックス、又はインクのうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記有機ポリマー系材料が、(i)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト-1-エン、又はポリ-4-メチルペント-1-エン;(ii)ポリイソプレン又はポリブタジエン;(iii)シクロペンテン又はノルボルネン;(iv)任意選択的に架橋されたポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、又は超低密度ポリエチレン(ULDPE);(v)熱可塑性オレフィン(TPO);又は(vi)モノオレフィン、ジオレフィン、若しくはシクロオレフィンのうちの少なくとも1つのコポリマー;のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記有機ポリマー系材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は熱可塑性オレフィンである、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記酸化防止剤が、前記ポリマー組成物の総重量を基準として0.001~5.0重量%、好ましくは0.005~3.0重量%、より好ましくは0.01~1.0重量%で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記光安定剤が、前記ポリマー組成物の総重量を基準として0.005~5.0重量%、好ましくは0.01~2.0重量%で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記酸化防止剤が、式(IVa)、(IVb)、又は(IVc):
【化1】
(式中、
【化2】
は、親化合物に対する分子フラグメントの(炭素-炭素単結合を介した)結合点を示し;
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR
18は、水素又はC
1~C
12ヒドロカルビルであり;
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR
19及びR
20は、それぞれ独立して、水素又はC
1~C
20ヒドロカルビルであり;
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR
37は、C
1~C
12ヒドロカルビルである)による少なくとも1つの基を有するヒンダードフェノールを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR
18及びR
37が、それぞれ独立してメチル又はtert-ブチルである、請求項8に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記ヒンダードフェノールが、
1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(CYANOX(商標)1790)、
1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(IRGANOX(商標)3114)、
1,1,3-トリス(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ブタン、
トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
4,4’-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
2,2’-チオジエチレンビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシル-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
オクタデシル3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、
ペンタエリスリトール(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、
N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオンアミド]、
ジ(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)チオジプロピオネート、
ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(商標)1010)、
オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(商標)1076)、又は
N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニル)ヒドラジン(IRGANOX(商標)1024)、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記ヒンダードフェノールが、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(商標)1010)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(商標)1076)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(IRGANOX(商標)3114)、又はN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニル)ヒドラジン(IRGANOX(商標))1024)のうちの少なくとも1つを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記酸化防止剤がホスファイト又はホスホナイトを含み、前記ホスファイト又はホスホナイトが以下:
i)式(1)~(7)のいずれかによる化合物:
【化3】
(式中、
添え字は整数であり、nは2、3、又は4であり;pは1又は2であり;qは2又は3であり;yは1、2、又は3であり;zは1~6であり;
A
1は、n又はqが2である場合、C
2~C
18アルキレン;酸素、硫黄、若しくは-NR
4-が挟まれたC
2~C
12アルキレン;式:
【化4】
のラジカル、又はフェニレンであり;
A
1は、n又はqが3の場合、式-C
rH
2r-1-の二価のラジカルであり、rは4~12の整数であり;
A
1は、nが4である場合、
【化5】
であり、
Bは、直接結合、-CH
2-、-CHR
4-、-CR
1R
4-、硫黄、C
5~C
7シクロアルキリデン、又は3、4、及び/若しくは5位で1~4つのC
1~C
4アルキルラジカルで置換されているシクロヘキシリデンであり;
D
1は、pが1である場合、C
1~C
4アルキルであり、pが2である場合、-CH
2OCH
2-であり;
D
2は、C
1~C
4アルキルであり;
Eは、yが1である場合、C
1~C
18アルキル、-OR
1、又はハロゲンであり;
Eは、yが2である場合、-O-A
2-O-であり、A
2は、nが2である場合のA
1について定義されている通りであり;
Eは、yが3である場合、式R
4C(CH
2O)
3又はN(CH
2CH
2O-)
3のラジカルであり;
Qは、少なくともz価のモノ又はポリアルコール又はフェノールのラジカルであり、このラジカルは、モノ又はポリアルコール又はフェノールのOH基の酸素原子を介してリン原子に結合しており;
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、無置換であるか又はハロゲン、-COOR
4、-CN、若しくは-CONR
4R
4で置換されているC
1~C
18アルキル;酸素、硫黄、若しくは-NR
4-が挟まれたC
2~C
18アルキル;C
7~C
9フェニルアルキル;C
5~C
12シクロアルキル、フェニル、若しくはナフチル;ハロゲン、合計1~18個の炭素原子を有する1~3つのアルキルラジカル若しくはアルコキシラジカルで又はC
7~C
9フェニルアルキルで置換されたナフチル若しくはフェニル;或いは式
【化6】
のラジカル
(式中、mは、範囲3~6からの整数である)であり;
R
4は、水素、C
1~C
8アルキル、C
5~C
12シクロアルキル、又はC
7~C
9フェニルアルキルであり;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
8アルキル、又はC
5~C
6シクロアルキルであり;
R
7及びR
8は、qが2である場合、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであるか、一緒になって2,3-デヒドロペンタメチレンラジカルであり;R
7及びR
8は、qが3の場合、それぞれメチルであり;
R
14の各例は、水素、C
1~C
9アルキル、又はシクロヘキシルから独立して選択され;
R
15の各例は、独立して水素又はメチルであり;
X及びYは、それぞれ、直接結合又は酸素であり;
Zは、直接結合、メチレン、-C(R
16)
2-、又は硫黄であり、
R
16は、C
1~C
8アルキルである);又は
ii)式8によるトリスアリールホスファイト:
【化7】
(式中、
R
17は、式8の芳香環の0~5個の場合に存在する置換基であり、各例においては、独立して、C
1~C
20アルキル、C
3~C
20シクロアルキル、C
4~C
20アルキルシクロアルキル、C
6~C
10アリール、又はC
7~C
20アルキルアリールから選択される)のうちの少なくとも1つである、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記ホスファイト又はホスホナイトが以下:
トリフェニルホスファイト、
ジフェニルアルキルホスファイト、
フェニルジアルキルホスファイト、
トリラウリルホスファイト、
トリオクタデシルホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS(商標)168)、
トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、
式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(J)、(K)、又は(L)の化合物:
【化8】
【化9】
【化10】
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールホスファイト、
ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール2,4-ジ-クミルフェノールホスファイト、
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールホスファイト、又は
ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチル-フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記ホスファイト又はホスホナイトが、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS(商標)168)、トリフェニルホスファイト、トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(DOVERPHOS(商標)S9228)、又はテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジホスホナイト(IRGAFOS(商標)P-EPQ)のうちの少なくとも1つを含む、請求項12又は13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記光安定剤が、式(II)による少なくとも1つの官能基:
【化11】
(式中、
R
31は、水素、OH、C
1~C
20ヒドロカルビル、-CH
2CN、C
1~C
12アシル、又はC
1~C
18アルコキシであり;
R
38は、水素又はC
1~C
8ヒドロカルビルであり;
R
29、R
30、R
32、及びR
33は、それぞれ独立して、C
1~C
20ヒドロカルビルであるか、又はR
29及びR
30並びに/若しくはR
32及びR
33は、それらが結合している炭素と一緒になって、C
5~C
10シクロアルキルを形成している);或いは
式(IIa)による少なくとも1つの官能基::
【化12】
(式中、
mは1~2の整数であり;
R
39は、水素、OH、C
1~C
20ヒドロカルビル、-CH
2CN、C
1~C
12アシル、又はC
1~C
18アルコキシであり;
G
1~G
4は、それぞれ独立して、C
1~C
20ヒドロカルビルである);
を含むヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が以下:
ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;
ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;
ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート(TINUVIN(商標)123);
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート;
1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物(TINUVIN(商標)622);
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルステアレート;
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルドデカネート;
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルステアレート;
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルドデカネート;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)944);
トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;
4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CYASORB(商標)UV-3346);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンのメチル化縮合物(CYASORB(商標)UV-3529);
2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物(CHIMASSORB(商標)119);
2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノエタン)との縮合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンと、ジ-n-ブチルアミンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)2020);
4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物(CYASORB(商標)UV-3853);
4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンの混合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;
1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンと、4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;
テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;
テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸,2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-4-イルトリデシルエステル;
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸,1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルトリデシルエステル;
ホルムアミド,N,N’-1,6-ヘキサンジイルビス[N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)(UVINUL(商標)4050);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)944);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(プロピルオキシ)-ピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと、N-ブチル-1-プロピルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンと、ジ-n-ブチルアミンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(TINUVIN(商標)NORHALS371);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとのポリマー、3-ブロモ-1-プロペンと、ジ-n-ブチルアミンと、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物、酸化、水素化(TINUVIN(商標)XT200);
TINUVIN(商標)XT-850/XT-855);又は
N
1,N
1’-1,2-エタンジイルビス(1,3-プロパンジアミン)、シクロヘキサンと過酸化N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの反応生成物(FLAMESTAB(商標)NOR116)
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記光安定剤が、少なくとも1種の2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン、2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、又はベンゾオキサジノンを含むUV吸収剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記光安定剤が式(I):
【化13】
(式中、R
34及びR
35のそれぞれは独立して、C
6~C
10アリール基、モノ-若しくはジ-C
1~C
12ヒドロカルビル置換アミノ、C
2~C
12アルカノイル、C
1~C
12アルキル、C
1~C
10アシル、又はC
1~C
10アルコキシルであり、
C
6~C
10アリール基は、1~3か所の置換可能な位置で、OH、ハロゲン、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
1~
12アルコキシエステル、C
2~
12アルカノイル、又はフェニルのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換され、前記フェニルは、1~3か所の置換可能な位置で、OH、ハロゲン、C
1~
12アルキル、C
1~
12アルコキシ、C
1~
12アルコキシエステル、又はC
2~
12アルカノイルのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換され;
各R
36は独立して、OH、ハロゲン、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
1~C
12アルコキシエステル、C
2~C
12アルカノイル、フェニル、又はC
1~C
12アシルである)
による少なくとも1種の2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンを含む、請求項17に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
前記2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンが、以下:
4,6-ジフェニル-2-(4-ヘキシルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(商標)1577)、
4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン(CYASORB(商標)1164)、
2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)-s-トリアジンと4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)-s-トリアジンとの混合物(TINUVIN(商標)400)、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4(3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(商標)405)、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4(3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル)-s-トリアジン、
2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)479)、
2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン、
2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)1600)、
2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-s-トリアジン(TRIAZINE(商標)460)、
2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-sec-ブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-フェニル]-s-トリアジン、又は
2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)477)
のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
前記光安定剤が、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-9)、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-24)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB((商標)UV-531)、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジ-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジエトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジプロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジブトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-エトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,3’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,5’-トリメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,6’-トリブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-4’,5’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-2’,4’-ジブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-4’,6’-ジクロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-4’,6’-ジブロモベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-プロピルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-tert-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-クロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-3-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-2’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,5’-トリメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロピルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジエトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、又は2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブロモベンゾフェノンのうちの少なくとも1つを含む2-ヒドロキシベンゾフェノンを含む、請求項17に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
前記光安定剤が、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)P)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-メチル-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(CYASORB(商標)UV-5411)、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CYASORB(商標)UV-2337)、2-(3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)900)、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール]、2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300のエステル交換生成物(TINUVIN(商標)1130)、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(α,α-ジメチルベンジル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)326)、2-(3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-ドデシル-5’-メチル)-2’-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、又は2-(5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールのうちの少なくとも1つを含む2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールを含む、請求項17に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記光安定剤が、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(1-又は2-ナフチル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(4-ビフェニル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-m-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ベンゾイルフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-メトキシフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-O-メトキシフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-シクロヘキシル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-(又はm-)フタルイミドフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、N-フェニル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N-ベンゾイル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、N-ベンゾイル-N-メチル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)-アニリン、2-[p-(N-フェニルカルバモニル)フェニル]-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-[p-(N-フェニルN-メチルカルバモイル)フェニル]-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-デカメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(CYASORB(商標)UV-3638)、2,2’-m-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(4,4’-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2,6-又は1,5-ナフタレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-メチル-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-ニトロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン)-4-オン)、2,2’-(2-クロロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(1,4-シクロヘキシレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン)-4-オン)、N-p-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フェニル、4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N-p-(3,1-ベンゾオキサジン)-4-オン-2-イル)ベンゾイル、4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレン、又は2,4,6-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンのうちの少なくとも1つを含むベンゾオキサジノンを含む、請求項17に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
前記光安定剤が、式(VI):
【化14】
(式中、
R
21及びR
22のそれぞれは、独立して、C
1~C
12アルキルであり;
Tは、O又はNR
24であり、R
24は、H又はC
1~C
30ヒドロカルビルであり;
R
23は、H又はC
1~C
30ヒドロカルビルである)
によるヒンダードベンゾエートを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
前記ヒンダードベンゾエートが、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(TINUVIN(商標)120)、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(CYASORB(商標)UV-2908)、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、デシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ドデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、テトラデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ベヘニリル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、又はブチル3-[3-tert-ブチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)フェニル]プロピオネートのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-(3-ドデシルチオプロピオネート)、テトラアルキルチオエチルチオジスクシネート、2,12-ジヒドロキシ-4,10-ジチア-7-オキサトリデカメチレンビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、又はジオクタデシルジスルフィドうちの少なくとも1つを含むチオ相乗剤を更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項26】
二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、又は酸化セリウム(IV)のうちの少なくとも1つを含む無機化合物を更に含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
バリウム化合物を含まない、請求項1~25のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載のポリマー組成物を含む、UV-C(190~280nm)光への曝露の際の変色、クラッキング、及び/又はクレージングに対して耐性を有する安定化されたポリマー物品。
【請求項29】
UV-C光への曝露の際に前記光安定剤の不存在下での前記酸化防止剤と比較して低減される変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つが、前記光安定剤を前記酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している、請求項28に記載の安定化されたポリマー物品。
【請求項30】
請求項28に記載の安定化されたポリマー物品の製造方法であって、
ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と;
を含む安定剤組成物を前記有機ポリマー系材料に添加すること;並びに
前記安定剤組成物を含有する前記有機ポリマー系材料を安定化されたポリマー物品へと成形すること;
を含む方法。
【請求項31】
UV-C(190~280nm)光の悪影響に対して有機ポリマー系材料を安定化する方法であって、
ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と、
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、を含む安定剤組成物を前記有機ポリマー系材料に添加することを含み;
UV-C光への曝露の際に、前記光安定剤の不存在下での前記酸化防止剤と比較して低減される変色又は低減されるクラッキング若しくはクレージングのうちの少なくとも1つが、前記光安定剤を前記酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している、方法。
【請求項32】
前記酸化防止剤の合計量が0.001~5.0重量%であり、前記光安定剤の合計量が0.01~2.0重量%であり、共に前記ポリマー組成物の総重量基準である、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年11月27日に出願された米国仮特許出願第63/118,809号(整理番号CYT2020-006-US-PSP)及び2021年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/190,443号(整理番号2020-006-US-PSP2)に基づく優先権を主張するものであり、これらそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、主題及び所有権において、2020年11月27日に出願された米国仮特許出願第63/118,807号(整理番号CYT2020-005-US-PSP)及び2021年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/190,431号(整理番号CYT2020-005-US-PSP2)にも関連する。
【0002】
本開示は、概して、有機ポリマー系材料及びそれから製造された安定化されたポリマー物品を、UV-C(190~280nm)光への曝露の悪影響から保護することに関する。悪影響には、変色、クラッキング、及び/又はクレージングが含まれる。より具体的には、本開示は、酸化防止剤及び光安定剤を有する安定剤組成物に関し、安定剤組成物は、殺菌性UV-C光に繰り返し又は長期間曝露された際の有機ポリマー系材料の変色、クラッキング、又はクレージングの低減に有効である。
【背景技術】
【0003】
ほとんどのポリマー系有機材料は、UV放射に曝露されると光分解を受け、不可逆的な化学変化が生じる。これらの変化は、ポリマー系有機材料の物理的特性に悪影響を及ぼす。UV放射への曝露は人間の皮膚にも悪影響を及ぼし、日焼け及び皮膚がんを引き起こす。紫外線は100~400nmの範囲であり、100~280nm(UV-C)、280~320nm(UV-B)、及び320~400nm(UV-A)の3つの部分領域に分類される。UV放射の主な発生源は太陽光である。UV-C範囲の太陽光放射は、成層圏のオゾン層とその上の層の酸素に吸収されるため、地表には到達しない。したがって、有機ポリマー系材料及び人間の皮膚を、UV-B放射及びUV-A放射の悪影響から保護する安定剤を開発するために、過去60年超にわたって多大な努力がなされてきた。UV-C光に対する安定化は全く問題にされてこなかったため、これについてほとんど無視されてきたのは驚くべきことではない。しかしながら、新型コロナウイルスCOVID-19の世界的な流行に伴い、科学者達は殺菌効果のあるUV-C放射で様々な物体や持ち物を消毒するなど、様々な方法で感染を減らすことに努めてきた。短期間のうちに、主に屋内用途での消毒ツールとして、UV-C光照射の利用が急激に増加した。様々なUV-Cデバイスが製造され、例えば医療施設/病院の消毒;飛行機、電車、自動車、バス(駅及び空港を含む)などの様々な交通機関;小売店、レストラン、バーを含む商業及び住宅の内装;家具、塗料、個人用保護具(PPE)、カーペット及び繊維製品、並びに電気及び電子機器などの屋内設備等の屋内用途に使用されている。
【0004】
消毒に好ましいUV-Cの波長範囲は200~280nmであると考えられており、特に好ましい範囲は222~254nmである。UV-Cへの曝露は、COVID-19ウイルスを含む微生物を効果的且つ効率的に不活性化することが実証されている。しかしながら、UV-Cへの曝露が有機ポリマー系材料又はこれらの材料を用いて製造された物品にどのような悪影響を及ぼすかについては、より深い理解が不足しているようである。屋内での太陽光からのUV-A及びUV-Bへの曝露は限定的であるため、屋内用途や製品に使用されるポリマー系有機材料は、通常はUV-A及びUV-B放射から保護するための安定剤を必要としない。その代わりに、屋内物品に使用されるポリマー系有機材料は、ポリマー製品の加工及び形成に必要な高温にさらされる間の劣化及び色の発生を防止するために、加工添加剤、特に酸化防止剤、例えば有機ホスファイトやヒンダードフェノールが一般的に使用されている。しかしながら、UV-C殺菌光の屋内使用では、有機ポリマー系材料から製造されたポリマー物品と加工に使用される酸化防止剤がUV-C曝露による悪影響を及ぼさないかどうかについて対処することが重要である。特に懸念されることは、UV-C放射がUV-A及びUV-Bよりもエネルギーが高く、有機ポリマー系材料にとってより有害である可能性があるという事実である。また、UV-Cへの曝露に対する安定性や、ポリマー系有機材料自体をUV-A及びUV-B光から保護するために使用される酸化防止剤にUV-C曝露がどのような影響を及ぼすかについても理解が不足している。
【0005】
中国特許第111286116号明細書には、UV-C照射に耐性を有するポリプロピレン/ポリエチレン耐候性複合材料が開示されているものの、これはこの解決策のコストを不必要に増加させる多数の原料から構成されているため、様々な用途で広く工業的に使用するには実用的ではない。
【0006】
中国特許第112778730号明細書は、加工助剤の中でも、ポリカーボネート、SAN、ASAゴム粉末、トリアジン系UV吸収剤、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、ホスファイト、及びチオジプロピオネート、及び金属不活性化剤を含むUV-C放射耐性ポリカーボネート組成物に関する。
【0007】
したがって、ポリマー系有機材料及びそれから製造される製品をUV-C放射への曝露から保護するための安定剤組成物が緊急に必要とされている。特に、UV-C光への曝露による有機ポリマー系材料の変色、クラッキング、及び/又はクレージングを低減する安定剤組成物が必要とされている。そのような安定剤組成物は、当該技術分野において有用な進歩となり、産業界に急速に受け入れられるであろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、UV-C(190~280nm)光への繰り返しの又は長期的な曝露の際の変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つに耐性を有する、安定化されたポリマー物品を製造するためのポリマー組成物を提供し、このポリマー組成物は、限定するものではないが、(i)有機ポリマー系材料;並びに(ii)バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、を有する安定剤組成物;を含む。UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下の酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つは、光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0009】
本開示は、UV-C(190~280nm)光への曝露の際の変色、クラッキング、又はクレージングに対して耐性を有する安定化されたポリマー物品も提供し、このポリマー物品は本明細書に記載のポリマー組成物を含む。UV-C光への繰り返しの又は長期的な曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つは、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0010】
更に、UV-C(190~280nm)光の悪影響に対して有機ポリマー系材料を安定化する方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の安定剤組成物を有機ポリマー系材料に添加することを含む。UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つは、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0011】
安定化されたポリマー物品を製造する方法も提供され、そのような方法は、バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、酸化防止剤と光安定剤とを有する安定剤組成物を有機ポリマー系材料に添加すること、及び安定剤組成物を含有する有機ポリマー系材料を安定化されたポリマー物品へと成形することを含む。
【0012】
この概要には、全ての特徴又は要素が列挙されていない可能性があり、要素の部分的な組み合わせも本発明を構成し得る。本発明のこれら及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の実施例及び図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】UV-C照射を250時間行った後の、安定化されていない実施例5、サンプル6-1のポリプロピレンプラークの顕微鏡写真であり、顕著な表面クラッキング及び/又はクレージングを示している。
【
図1B】UV-C照射を250時間行った後の、0.08%のCYANOX(商標)2777を含有する実施例5、サンプル6-2のポリプロピレンプラークの顕微鏡写真である。表面に若干のクラッキング及び/又はクレージングがみられるが、サンプル6-1よりも少ない。
【
図1C】UV-C照射を250時間行った後の、0.08%のIRGANOX(商標)1076を含有する実施例5、サンプル6-4のポリプロピレンプラークの顕微鏡写真である。表面のクラッキング及び/又はクレージングが非常に少ないことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、酸化防止剤と光安定剤の両方を含む(ただしこれらに限定されない)安定剤組成物が、UV-C光への繰り返しの又は長期的な曝露の悪影響に対する耐性をポリマー物品に持たせるために特に有用であることを発見した。バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択され;光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。有利には、UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つは、光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0015】
定義
本明細書で使用される以下の用語は、読者を支援するために提供される。特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語、表記法及び他の科学専門用語は、化学技術の当業者によって一般に理解される意味を有することを意図する。
【0016】
本明細書の全体にわたって、用語及び置換基は、それらの定義を保持する。有機化学者(すなわち当業者)によって利用される省略形の包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各巻の巻頭に登場する。「Standard List of Abbreviations(省略形の標準リスト)」という表題の表に典型的に提示されている、このリストは、参照により本明細書に援用される。
【0017】
用語「ヒドロカルビル」は、別段の明記がない限り、全て炭素の骨格を有し、そして炭素原子と水素原子とからなる脂肪族、脂環式、及び芳香族基を包含する総称である。本明細書で定義される特定の場合には、炭素骨格を構成する1つ以上の炭素原子は、特定の原子又は原子団によって置換されていてもよい。ヒドロカルビル基の例としては、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、炭素環式アリール、アルケニル、アルキニル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、及び炭素環式アラルキル、アルカリール、アラルケニル、及びアラルキニル基が挙げられる。そのような基は、本明細書で定義されるような1つ以上の置換基で任意選択的に置換されることができる。したがって、本明細書及びクレームで考察される化学基又は部位は、置換若しくは無置換形態を含むと理解されるべきである。以下に表される例及び好ましさは、特に文脈が明記しない限り本明細書に記載される式の化合物に関する置換基の様々な定義において言及されるヒドロカルビル置換基又はヒドロカルビル含有置換基のそれぞれにも適用される。
【0018】
好ましい非芳香族ヒドロカルビル基は、アルキル及びシクロアルキル基などの飽和基である。一般に、及び例として、ヒドロカルビル基は、特に文脈が要求しない限り、50個までの炭素原子を有することができる。1~30個の炭素原子のヒドロカルビル基が好ましい。1~30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基のサブセット内で、具体的な例は、C1~12ヒドロカルビル基(例えばC1~6ヒドロカルビル基又はC1~4ヒドロカルビル基)などの、C1~20ヒドロカルビル基であり、具体的な例は、C1~C30ヒドロカルビル基から選択される任意の個々の値又は値の組み合わせである。
【0019】
アルキルは、直鎖、分岐、若しくは環式の炭化水素構造及びそれらの組み合わせを含むことを意図する。低級アルキルは、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子のアルキル基を意味する。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s-及びt-ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はシクロヘキシルなどが挙げられる。好ましいアルキル基は、C30以下のものである。
【0020】
アルコキシ又はアルコキシアルキルは、酸素によって親構造に結合した直鎖、分岐状、環式構造及びそれらの組み合わせの1~20個の炭素原子の基を意味する。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0021】
アシルは、ホルミル基を、及びカルボニル官能性によって親構造に結合した、直鎖、分岐状、環式構造の、飽和、不飽和及び芳香族並びにそれらの組み合わせの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12個の炭素原子の基を意味する。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。低級アシルは、1~6個の炭素を含むアシル基を意味する。
【0022】
本明細書で使用される「炭素環式」又は「シクロアルキル」基への言及には、文脈から別段の指示がない限り、芳香族環系と非芳香族環系の両方が含まれるものとする。したがって、例えば、この用語は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和及び完全飽和の炭素環式環系を含む。一般に、そのような基は、単環式であっても二環式であってもよく、例えば、3~12環員、より通常は5~10環員を含有してもよい。単環式基の例は、3、4、5、6、7、及び8環員、より通常は3~7、好ましくは5又は6環員を含有する基である。二環式基の例は、8、9、10、11及び12環員、より通常は9又は10環員を含有するものである。非芳香族炭素環/シクロアルキル基の例としては、c-プロピル、c-ブチル、c-ペンチル、c-ヘキシルなどが挙げられる。C7~C10多環式炭化水素の例としては、ノルボルニル及びアダマンチルなどの環系が挙げられる。
【0023】
アリール(炭素環式アリール)は、二環式9-若しくは10-員環芳香環系;又は三環式13-若しくは14-員環芳香環系を含有する5-若しくは6-員環芳香族炭素環を意味する。芳香族6-~14-員環炭素環式環には、例えば、置換若しくは無置換フェニル基、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、及びフルオレンが含まれる。
【0024】
置換されたヒドロカルビル、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルコキシなどは、各残基において3個までのH原子が、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ(アルコキシカルボニルとも言われる)、カルボキサミド(アルキルアミノカルボニルとも言われる)、シアノ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、アシルアミノ、アミジノ、フェニル、ベンジル、ハロベンジル、ヘテロアリール、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ベンゾイル、ハロベンゾイル、又は低級アルキルヒドロキシで置き換えられている特有の置換基を意味する。
【0025】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
【0026】
本出願の説明及び特許請求の範囲全体にわたって使用される「ポリマー」、「ポリマー系材料」、又は「ポリマー組成物」という用語は、モノマー単位の任意の組み合わせを指すが、ポリカーボネート及びポリクロロプレンラテックス組成物は明示的に除外される。
【0027】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分や反応条件などの量を表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうではないとの指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明によって得ようとする望まれる特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは有効桁数及び通常の丸め手法を考慮して解釈されるべきである。
【0028】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。例えば、本明細書で使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、量の限定を意味するものではなく、本明細書で別途指示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0029】
本発明を記載する目的のためには、要素、成分、若しくは特徴が、列挙される要素、成分、若しくは特徴のリストに含まれる及び/又はリストから選択されるとされる場合、当業者は、本明細書に記載される本発明の関連実施形態では、要素、成分、若しくは特徴が、個別の列挙される要素、成分、若しくは特徴のいずれか1つであることもでき、或いは明確にリストアップされた要素、成分、若しくは特徴の任意の2つ若しくはそれ以上を含む群から選択することもできることを十分理解するであろう。加えて、そのようなリストに列挙された任意の要素、成分、若しくは特徴はまた、そのようなリストから削除され得る。ポリマー組成物の任意選択的な成分、安定化されたポリマー物品、又は変色を低減する方法は、明示的に除外することができる。
【0030】
リストに関連して本明細書で使用される「少なくとも1つの」は、リストが各要素を個別に含むこと、並びにリストの2つ以上の要素の組み合わせ、及びリストの少なくとも1つの要素と名前のない同様の要素との組み合わせを含むことを意味する。
【0031】
当業者は、終点による数値範囲の本明細書でのいかなる列挙も、明確に列挙されてもされなくも、(分数を含めて)列挙される範囲内に包含される全ての数、並びに範囲の終点及び等価物を含むことを更に理解するであろう。したがって、(1~5の記述は、例えば、例えば要素の数を指す場合には、1、2、3、4、5を含み、また例えば測定値を指す場合には、1.5、2、2.75、3.8を含み得る)。より広い範囲又はより大きい群に加えてより狭い範囲又はより具体的な群の開示は、より広い範囲又はより大きい群を排除するものではない。
【0032】
本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。
【0033】
好ましい実施形態を以下でより詳細に説明するが、当業者であれば、ポリマー組成物、安定化されたポリマー物品、及びUV-C光の悪影響に対してポリマーを安定化する方法の複数の実施形態が本発明の範囲内にあると考えられることを理解するであろう。したがって、本発明の一態様又は一実施形態に関して記載されるいかなる特徴も、特に明記しない限り本発明の別の態様又は実施形態と互換性があることが指摘されるべきである。当業者であれば、本発明のいずれの説明も、特定の実施形態又は図面に関連して説明されているとしても、本発明の別の実施形態に適用可能であり、また交換可能であることを理解するであろう。
【0034】
したがって、一態様では、本発明は、UV-C(190~280nm)光への繰り返しの又は長期的な曝露の際の変色、クラッキング、及び/又はクレージングに耐性を有する安定化されたポリマー物品を製造するためのポリマー組成物を提供する。任意の又は全ての実施形態では、ポリマー組成物は、限定するものではないが、(i)有機ポリマー系材料;並びに(ii)バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、を有する安定剤組成物;を含有する。ポリマー組成物の任意の又は全ての実施形態では、UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つは、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0035】
変色の低減は、本実施例で示されるように、254nmで1200μW/cm2の平均放射照度でUV-C光に24時間曝露した後のデルタE及び/又はデルタ黄色度(YI)を比較することによって測定される。デルタEはASTM D2244-16に準拠して測定され、デルタYIはASTM E313-20に準拠して測定される。変色の低減を判定するためには、光安定剤と酸化防止剤との組み合わせに関連する色の変化を、光安定剤が存在しない同じ量の同じ酸化防止剤と比較する。
【0036】
クレージングとは、ポリマー系有機材料の表面に微細なクラックのネットワーク(クレーズ)が形成されることである。クレーズは、表面で触覚的に感じることができず、クレーズを有する物品が荷重を支え続けることができるという点でクラックとは異なる。クラッキング又はクレージングの低減を判定するためには、光安定剤と酸化防止剤との組み合わせに関連するクラッキング又はクレージングを、光安定剤が存在しない同じ量の同じ酸化防止剤に関連するクラッキング又はクレージングと比較する。特に、クラッキング又はクレージングは、本実施例5~10、及び
図1A~Cで示されているように、目視検査、又は254nmで1200μW/cm
2の平均放射照度でUV-C光に24時間曝露した後の倍率20倍のデジタル実体顕微鏡を使用した検査によって判定される。
【0037】
本実施例では、酸化防止剤(例えばヒンダードフェノール及びホスファイト又はホスホナイト)の合計量は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.08重量%、0.10重量%、又は0.15重量%である。しかしながら、酸化防止剤のタイプ、ポリマー系有機材料、及び望まれる安定化の程度に応じて、酸化防止剤は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.001~5.0重量%、好ましくは0.005~3.0重量%、より好ましくは0.01~1.0重量%で存在することができる。
【0038】
本実施例では、光安定剤(例えばHALS、UVA、ヒンダードベンゾエート)の合計量は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.40重量%、0.60重量%、0.80重量%、又は1.6重量%である。しかしながら、光安定剤のタイプ、ポリマー系有機材料、及び望まれる安定化の程度に応じて、光安定剤は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.005~5.0重量%、好ましくは0.01~2.0重量%で存在することができる。
【0039】
任意の又は全ての実施形態では、安定剤組成物の量(例えば特定の実施形態における酸化防止剤及び光安定剤の合計量)は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.001~10.0重量%、好ましくは0.005~5.0重量%、より好ましくは0.01~3.0重量%である。
【0040】
有機ポリマー系材料は、UV-C(190~280nm)光に曝露されたときに変色しやすい任意のポリマー系有機材料であってよい。例えば、有機ポリマー系材料は、ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然及び合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、セルロースアセテートブチレート、セルロースポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、アミノ樹脂架橋ポリアクリレート及びポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステル及びポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂若しくは尿素樹脂若しくはイソシアネート若しくはイソシアヌレート若しくはカルバメート若しくはエポキシ樹脂で架橋されたアクリレート樹脂、無水物若しくはアミンで架橋された脂肪族及び脂環式及び複素環式及び芳香族のグリシジルエーテルから誘導された架橋エポキシ樹脂、ポリシロキサン、マイケル付加ポリマー、アミン若しくはブロックアミンと活性化不飽和及び活性化メチレン化合物との付加ポリマー、ケチミンと活性化不飽和及び活性化メチレン化合物との付加ポリマー、不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、コーティング組成物、放射硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、有機染料、化粧品、セルロースベースの紙、写真フィルム紙、繊維、ワックス、又はインクのうちの少なくとも1つであってよい。
【0041】
任意の又は全ての実施形態では、有機ポリマー系材料はポリオレフィンである。ポリオレフィンは、(i)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト-1-エン、又はポリ-4-メチルペント-1-エン;(ii)ポリイソプレン又はポリブタジエン;(iii)シクロペンテン又はノルボルネン;(iv)任意選択的に架橋されたポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、又は超低密度ポリエチレン(ULDPE);(v)熱可塑性オレフィン(TPO);又は(vi)モノオレフィン、ジオレフィン、若しくはシクロオレフィンのうちの少なくとも1つのコポリマー;のうちの少なくとも1つであってよい。
【0042】
酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。任意の又は全ての実施形態では、酸化防止剤にはヒンダードフェノールが含まれる。ヒンダードフェノールは、式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)による少なくとも1つの基を有することができる:
【化1】
(式中、
【化2】
は、親化合物に対する分子フラグメントの(炭素-炭素単結合を介した)結合点を示し;各式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)中のR
18は、水素又はC
1~12ヒドロカルビルであり;式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)中の各R
19及びR
20は、独立して、水素又はC
1~C
20ヒドロカルビルであり;各式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)中のR
37は、C
1~C
12ヒドロカルビルである)。任意の又は全ての実施形態では、式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)における各R
18及びR
37は、独立して、メチル又はtert-ブチルから選択される。
【0043】
本明細書で開示される本発明での使用に適したヒンダードフェノールの例を、化学的な分類でまとめて以下に示す:
a)アルキル化モノフェノール、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジ-シクロペンチル-4-メチルフェノール、2-α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-オクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリ-シクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、又は2,6-ジノニル-4-メチルフェノール。
b)アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、又は2,6-ジ-ドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール。
c)ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、又はビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート。
d)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、又は4,4’-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド。
e)アルキリデンビスフェノール、例えば2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3-ビス(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、又は1,1,5,5-テトラ-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン。
f)O-、N-、及びS-ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、又はイソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
g)ヒドロキシベンジル化マロネート、例えばジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、又はビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート。
h)芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、又は2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール。
i)トリアジン化合物、例えば2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、又は1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
j)ベンジルホスホネート、例えばジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
k)アシルアミノフェノール、例えば4-ヒドロキシラウラニリド、4-ヒドロキシステアラニリド、オクチルN-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート。
l)[5-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、n-オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、又は4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
m)β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、n-オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、又は4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;又は3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとのエステル。
n)β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシ(hvdroxy)フェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、又は4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
o)3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとの、例えばメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、又は4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
p)[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、又はN,N’-ビス[2-(3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド。
【0044】
本明細書に記載のポリマー組成物の任意の又は全ての実施形態では、ヒンダードフェノールは、以下のうちの少なくとも1つである:
1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(CYANOX(商標)1790)、
1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(IRGANOX(商標)3114)、
1,1,3-トリス(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ブタン、
トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
4,4’-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
2,2’-チオジエチレンビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシル-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
オクタデシル3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、
ペンタエリスリトール(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、
N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオンアミド]、
ジ(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)チオジプロピオネート、
ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(商標)1010)、
オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(商標)1076)、又は
N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニル)ヒドラジン(IRGANOX(商標)1024)。
【0045】
ポリマー組成物の任意の又は全ての実施形態では、ヒンダードフェノールは、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(商標)1010)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(商標)1076)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(IRGANOX(商標)3114)、又はN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニル)ヒドラジン(IRGANOX(商標)1024)のうちの少なくとも1つであってよい。
【0046】
同じ又は別の実施形態では、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。任意の又は全ての実施形態では、酸化防止剤にはホスファイト又はホスホナイトが含まれる。ホスファイト又はホスホナイトは、以下のうちの少なくとも1つであってよい:
i)式(1)~(7)のいずれかによる化合物:
【化3】
(式中、
添え字は整数であり、nは2、3、又は4であり;pは1又は2であり;qは2又は3であり;yは1、2、又は3であり;zは1~6であり;
A
1は、n又はqが2である場合、C
2~C
18アルキレン;酸素、硫黄、若しくは-NR
4-が挟まれたC
2~C
12アルキレン;式
【化4】
のラジカル、又はフェニレンであり;
A
1は、n又はqが3の場合、式-C
rH
2r-1-の二価のラジカルであり、rは4~12の整数であり;
A
1は、nが4である場合、
【化5】
であり;
Bは、直接結合、-CH
2-、-CHR
4-、-CR
1R
4-、硫黄、C
5~C
7シクロアルキリデン、又は3、4、及び/若しくは5位で1~4つのC
1~C
4アルキルラジカルで置換されているシクロヘキシリデンであり;
D
1は、pが1である場合、C
1~C
4アルキルであり、pが2である場合、-CH
2OCH
2-であり;
D
2は、C
1~C
4アルキルであり;
Eは、yが1である場合、C
1~C
18アルキル、-OR
1、又はハロゲンであり;
Eは、yが2である場合、-O-A
2-O-であり、A
2は、nが2である場合のA
1について定義されている通りであり;
Eは、yが3である場合、式R
4C(CH
2O-)
3又はN(CH
2CH
2O-)
3のラジカルであり;
Qは、少なくともz価のモノ又はポリアルコール又はフェノールのラジカルであり、このラジカルは、モノ又はポリアルコール又はフェノールのOH基の酸素原子を介してリン原子に結合しており;
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、無置換であるか又はハロゲン、-COOR
4、-CN、若しくは-CONR
4R
4で置換されているC
1~C
18アルキル;酸素、硫黄、若しくは-NR
4-が挟まれたC
2~C
18アルキル;C
7~C
9フェニルアルキル;C
5~C
12シクロアルキル、フェニル、若しくはナフチル;ハロゲン、合計1~18個の炭素原子を有する1~3つのアルキルラジカル若しくはアルコキシラジカルで又はC
7~C
9フェニルアルキルで置換されたナフチル若しくはフェニル;或いは式
【化6】
のラジカル(mは、3~6の整数である)であり;
R
4は、水素、C
1~C
8アルキル、C
5~C
12シクロアルキル、又はC
7~C
9フェニルアルキルであり;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
8アルキル、又はC
5~C
6シクロアルキルであり;
R
7及びR
8は、qが2である場合、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであるか、又は一緒になって2,3-デヒドロペンタメチレンラジカルであり;R
7及びR
8は、qが3の場合、それぞれメチルであり;
R
14の各例は、水素、C
1~C
9アルキル、又はシクロヘキシルから独立して選択され;
R
15の各例は、独立して、水素又はメチルであり;
X及びYは、それぞれ直接結合又は酸素であり;
Zは、直接結合、メチレン、-C(R
16)
2-、又は硫黄であり;
R
16は、C
1~C
8アルキルである);又は
ii)式8:
【化7】
(式中、
R
17は、式8の芳香環の0~5個の場合に存在する置換基であり、各例において、独立して、C
1~C
20アルキル、C
3~C
20シクロアルキル、C
4~C
20アルキルシクロアルキル、C
6~C
10アリール、又はC
7~C
20アルキルアリールである)によるトリスアリールホスファイト化合物。
【0047】
任意の又は全ての実施形態では、ホスファイト又はホスホナイトは、例えば以下のうちの少なくとも1つであってよい:
トリフェニルホスファイト、
ジフェニルアルキルホスファイト、
フェニルジアルキルホスファイト、
トリラウリルホスファイト、
トリオクタデシルホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS(商標)168)、
トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、
式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(J)、(K)、又は(L)の化合物:
【化8】
【化9】
【化10】
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールホスファイト、
ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール2,4-ジ-クミルフェノールホスファイト、
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールホスファイト、又は
ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチル-フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト。
【0048】
任意の又は全ての実施形態では、ホスファイト又はホスホナイトは、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS(商標)168)、トリフェニルホスファイト、トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(DOVERPHOS(商標)S9228)、又はテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジホスホナイト(IRGAFOS(商標)P-EPQ)のうちの少なくとも1つである。
【0049】
本発明によるポリマー組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤も含む。任意の又は全ての実施形態では、光安定剤には、UV吸収剤又は他の光安定剤が存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードアミン系光安定剤が含まれる。ヒンダードアミン系光安定剤は、式(II)による少なくとも1つの官能基:
【化11】
(式中、
R
31は、水素、OH、C
1~C
20ヒドロカルビル、-CH
2CN、C
1~C
12アシル、又はC
1~C
18アルコキシであり;
R
38は、水素又はC
1~C
8ヒドロカルビルであり;
R
29、R
30、R
32、及びR
33は、それぞれ独立して、C
1~C
20ヒドロカルビルであるか、又はR
29及びR
30並びに/若しくはR
32及びR
33は、それらが結合している炭素と一緒になって、C
5~C
10シクロアルキルを形成している);或いは
式(IIa)による少なくとも1つの官能基:
【化12】
(式中、
mは1~2の整数であり;
R
39は、水素、OH、C
1~C
20ヒドロカルビル、-CH
2CN、C
1~C
12アシル、又はC
1~C
18であり;
G
1~G
4は、それぞれ独立して、C
1~C
20ヒドロカルビルである)
を含み得る。
【0050】
任意の又は全ての実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、例えば以下のうちの少なくとも1つであってよい:
ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;
ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;
ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート(TINUVIN(商標)123);
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート;
1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物(TINUVIN(商標)622);
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルステアレート;
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルドデカネート;
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルステアレート;
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルドデカネート;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)944);
トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;
4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CYASORB(商標)UV-3346);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンのメチル化縮合物(CYASORB(商標)UV-3529);
2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)119);
2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノエタン)との縮合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンと、ジ-n-ブチルアミンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)2020);
4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物(CYASORB(商標)UV-3853);
4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンの混合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;
1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンと、4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;
テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;
テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸,2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-4-イルトリデシルエステル;
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸,1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルトリデシルエステル;
ホルムアミド,N,N’-1,6-ヘキサンジイルビス[N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)(UVINUL(商標)4050);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)944);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(プロピルオキシ)-ピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと、N-ブチル-1-プロピルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンと、ジ-n-ブチルアミンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(TINUVIN(商標)NOR HALS 371);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとのポリマー、3-ブロモ-1-プロペンと、ジ-n-ブチルアミンと、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物、酸化、水素化(TINUVIN(商標)XT 200);
TINUVIN(商標)XT-850/XT-855);又は
N1,N1’-1,2-エタンジイルビス(1,3-プロパンジアミン)、シクロヘキサンと過酸化N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの反応生成物(FLAMESTAB(商標)NOR 116)。
【0051】
本発明によるポリマー組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤を含むと記載されている。任意の又は全ての実施形態では、光安定剤は、(HALS又は他の光安定剤が存在しない場合であっても)UV吸収剤、すなわち、少なくとも1種の2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン、2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、又はベンゾオキサジノンを含む。
【0052】
任意の又は全ての実施形態では、光安定剤は少なくとも1種の2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンを含む。2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンは、式(I)による化合物であってよい:
【化13】
(式中、R
34及びR
35のそれぞれは、C
6~C
10アリール基、モノ-若しくはジ-C
1~C
12ヒドロカルビル置換アミノ、C
2~C
12アルカノイル、C
1~C
12アルキル、C
1~C
10アシル、又はC
1~C
10アルコキシルから独立して選択され、
C
6~C
10アリール基は、1~3か所の置換可能な位置で、OH、ハロゲン、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
1~
12アルコキシエステル、C
2~
12アルカノイル、又はフェニルのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換され、フェニルは、1~3か所の置換可能な位置で、OH、ハロゲン、C
1~
12アルキル、C
1~
12アルコキシ、C
1~
12アルコキシエステル、又はC
2~
12アルカノイルのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換され;
各R
36は、OH、ハロゲン、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
1~C
12アルコキシエステル、C
2~C
12アルカノイル、フェニル、又はC
1~C
12アシルから独立して選択される)。
【0053】
任意の又は全ての実施形態では、2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンは、以下のうちの少なくとも1つであってよい:
4,6-ジフェニル-2-(4-ヘキシルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(商標)1577)、
4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン(CYASORB(商標)1164)、
2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)-s-トリアジンと4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)-s-トリアジンとの混合物(TINUVIN(商標)400)、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4(3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(商標)405)、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4(3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル)-s-トリアジン、
2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)479)、
2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン、
2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)1600)、
2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-s-トリアジン(TRIAZINE(商標)460)、
2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-sec-ブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-フェニル]-s-トリアジン、又は
2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)477)。
【0054】
本発明によるポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、光安定剤は2-ヒドロキシベンゾフェノンを含む。2-ヒドロキシベンゾフェノンは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-9)、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-24)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-531)、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジ-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジエトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジプロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジブトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-エトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,3’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,5’-トリメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,6’-トリブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-4’,5’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-2’,4’-ジブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-4’,6’-ジクロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-4’,6’-ジブロモベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-プロピルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-tert-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-クロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-3-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-2’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,5’-トリメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロピルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジエトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、又は2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブロモベンゾフェノンのうちの少なくとも1つであってよい。
【0055】
本発明によるポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、光安定剤は2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールを含む。2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールは、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)P)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-メチル-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(CYASORB(商標)UV-5411)、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CYASORB(商標)UV-2337)、2-(3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)900)、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール]、2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300のエステル交換生成物(TINUVIN(商標)1130)、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(α,α-ジメチルベンジル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)326)、2-(3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-ドデシル-5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、又は2-(5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールのうちの少なくとも1つであってよい。
【0056】
本発明によるポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、光安定剤はベンゾオキサジノンを含む。ベンゾオキサジノンは、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(1-又は2-ナフチル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(4-ビフェニル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-m-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ベンゾイルフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-メトキシフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-O-メトキシフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-シクロヘキシル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-(又はm-)フタルイミドフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、N-フェニル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N-ベンゾイル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、N-ベンゾイル-N-メチル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)-アニリン、2-[p-(N-フェニルカルバモニル)フェニル]-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-[p-(N-フェニルN-メチルカルバモイル)フェニル]-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-デカメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(CYASORB(商標)UV-3638)、2,2’-m-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(4,4’-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2,6-又は1,5-ナフタレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-メチル-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-ニトロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-クロロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(1,4-シクロヘキシレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、N-p-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フェニル、4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N-p-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゾイル、4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレン、又は2,4,6-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンのうちの少なくとも1つであってよい。
【0057】
本発明によるポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、光安定剤はヒンダードベンゾエートを含む。特定の実施形態では、ヒンダードベンゾエートは、HALS又はUV吸収剤が存在しない場合であっても存在することができる。ヒンダードベンゾエートは、式(VI)による化合物であってよい:
【化14】
(式中、
R
21及びR
22のそれぞれは、独立して、C
1~C
12アルキルであり;
Tは、O又はNR
24であり、R
24は、H又はC
1~C
30ヒドロカルビルであり;
R
23は、H又はC
1~C
30ヒドロカルビルである)。
【0058】
ヒンダードベンゾエートは、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(TINUVIN(商標)120)、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(CYASORB(商標)UV-2908)、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、デシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ドデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、テトラデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ベヘニリル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、又はブチル3-[3-tert-ブチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)フェニル]プロピオネートのうちの少なくとも1つであってよい。
【0059】
本明細書に記載のポリマー組成物は、チオ相乗剤を更に含むことができる。チオ相乗剤は、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-(3-ドデシルチオプロピオネート)、テトラアルキルチオエチルチオジスクシネート、2,12-ジヒドロキシ-4,10-ジチア-7-オキサトリデカメチレンビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、又はジオクタデシルジスルフィドうちの少なくとも1つであってよい。
【0060】
本発明によるポリマー組成物は、無機化合物を更に含むことができる。任意の又は全ての実施形態では、無機化合物は、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、又は酸化セリウム(IV)のうちの少なくとも1つであってよい。ポリマー組成物はバリウム化合物を含まなくてもよい。バリウム化合物としては、例えば硫酸バリウムなどのバリウム塩が挙げられる。「含まない」とは、本明細書に記載のポリマー組成物が、ポリマー組成物の総重量を基準として1重量%未満、0.1重量%未満、0.01重量%未満、又は0.001重量%未満のバリウム化合物を有することを意味する。
【0061】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載のポリマー組成物を含む安定化されたポリマー物品を提供し、この物品は、UV-C(190~280nm)光に曝露された際の変色、クラッキング、及び/又はクレージングに対して耐性を有する。UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つは、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0062】
本実施例から分かるように、UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、又は低減されたクラッキング及び/若しくはクレージングのうちの少なくとも1つは、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。したがって、本明細書に記載の安定剤組成物は、有利には、酸化防止剤のみを含むポリマー組成物と比較して、UV-C(190~280nm)光に曝露された際の有機ポリマー系材料の変色を低減するために及び/又はクラッキング若しくはクレージングを低減するために使用される。したがって、UV-C(190~280nm)光の影響に対して有機ポリマー系材料を安定化する方法は、バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と;を有する安定剤組成物を、有機ポリマー系材料に添加すること、を含む。UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つは、光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0063】
上述したように、変色の低減を判定するためには、光安定剤と酸化防止剤との組み合わせに関連する色の変化を、光安定剤が存在しない同じ量の同じ酸化防止剤と比較する。特に、変色の低減は、本実施例で示されるように、254nmで1200μW/cm2の平均放射照度でUV-C光に24時間曝露した後のデルタE及び/又はデルタ黄色度(YI)を比較することによって測定される。デルタEはASTM D2244-16に準拠して測定され、デルタYIはASTM E313-20に準拠して測定される。
【0064】
同様に、クラッキング又はクレージングの低減を判定するためには、光安定剤と酸化防止剤との組み合わせに関連するクラッキング又はクレージングの量が、光安定剤が存在しない同じ量の同じ酸化防止剤と比較される。特に、クラッキング又はクレージングは、本実施例5~10、及び
図1A~Cで示されているように、目視検査、又は254nmで1200μW/cm
2の平均放射照度でUV-C光に24時間曝露した後の20×倍のデジタル実体顕微鏡を使用した検査によって判定される。
【0065】
本明細書に記載のポリマー組成物の全ての実施形態は、有機ポリマー系材料を安定化する方法に同様に適用される。したがって、ポリマー系有機材料を安定化する方法において、酸化防止剤の合計量は0.001~5.0重量%であり、光安定剤の合計量は0.01~2.0重量%であり、共にポリマー組成物の総重量基準である。
【0066】
酸化防止剤、光安定剤、及び任意選択的な他の添加剤は、当業者に公知の任意の適切な方法によって、例えば直接混合、乾式混合、溶融によって、又は押出、ペレット化、粉砕、及び成形によってポリマー系有機材料に添加することができる。添加剤はそのままで、すなわち溶媒又はポリマー担体の不存在下で添加することができる。添加剤は、溶媒中の溶液又は分散液として添加することもでき、任意選択的には続いて溶媒が留去される。添加剤はマスターバッチとして、すなわちポリマー系有機材料の濃縮物として添加することもできる。粒子形態の添加剤は、ポリマー系有機材料に添加するために、ワックス、オイル、又はポリマーによってカプセル化することもできる。
【0067】
本明細書に記載のポリマー組成物は、キットに含めることができる。キットは、単一の又は複数の成分を有することができ、各成分は、有機ポリマー系材料、酸化防止剤、光安定剤、及び本明細書に記載の他の添加剤、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。したがって、ポリマー組成物の1つ以上の成分は第1の容器内に存在することができ、ポリマー組成物の1つ以上の他の成分は任意選択的に第2又はそれ以上の容器内に存在することができる。容器は一緒に包装することができ、キットは、ラベル又はキットに含められる挿入物に投与又は混合の説明を含むことができ、任意選択的には追加の情報のためのウェブアドレス又はバーコードを含むことができる。ポリマー組成物の成分に加えて、キットは、溶媒を含む成分を投与又は混合するための追加の機能部分又は手段を含むことができる。
【0068】
酸化防止剤、光安定剤、及び任意選択的な他の添加剤は、重合によるモノマーからの有機ポリマー系材料の形成前若しくは形成中、又はポリマー系有機材料の架橋前に添加することができる。添加剤は、ポリマー系有機材料に添加する前に、予め混合又は予めブレンドすることができる。溶融物、又は溶媒中の溶液若しくは分散液の形態の添加剤をポリマー系有機材料上に噴霧することもできる。
【0069】
本明細書で定義されるポリマー組成物は、安定化されたポリマー物品を製造するための工業的製造プロセスに利用することができる。したがって、安定化されたポリマー物品を製造する方法は、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と;を有する安定剤組成物を有機ポリマー系材料に添加すること;並びに安定剤組成物を含有する有機ポリマー系材料を安定化されたポリマー物品へと成形すること;を含む。成形は、例えば成形、押出、ブロー、キャスト、熱成形、圧縮、又はそれらの変形若しくは組み合わせによって行うことができる。成形は、例えば射出成形、回転成形、ブロー成形、オープンリール式成形、金属射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、ディップ成形、ガスアシスト成形、インサート射出成形、微小成形、反応射出成形、ツーショット射出成形、又はそれらの変形若しくは組み合わせであってよい。
【0070】
本明細書に記載のポリマー組成物は、例えば消毒用(殺菌用)光源からのUV-C(190~280nm)光に曝露された際に、他のヒンダードフェノール及び有機ホスファイトを含むポリマー組成物と比較して、変色、クラッキング、又はクレージングに対してより耐性を有する、安定化されたポリマー物品を製造するために有利に使用される。したがって、UV-C(190~280nm)光への曝露の際の変色、クラッキング、又はクレージングに対して耐性を有する安定化されたポリマー物品は、バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と;を有するポリマー組成物を含む。UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つは、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。本明細書に記載のポリマー組成物の全ての実施形態は、そのような組成物を含む安定化されたポリマー物品に同様に適用される。したがって、変色、クラッキング、又はクレージングに対して耐性を有する安定化されたポリマー物品では、酸化防止剤の合計量は0.001~5.0重量%であってよく、光安定剤の合計量は0.01~2.0重量%であってよく、共にポリマー組成物の総重量基準である。
【0071】
本明細書に記載の通り、本開示には少なくとも以下の実施形態が含まれる:
UV-C(190~280nm)光への曝露の際の変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響に対して耐性を有する安定化されたポリマー物品を製造するためのポリマー組成物であって、
i)有機ポリマー系材料;並びに
ii)安定剤組成物であって
バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、
ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;
ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、を含有する安定剤組成物と
を含有するポリマー組成物。
【0072】
ポリマー組成物の同じ(すなわち前述した)又は実施形態では、UV-C光への曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減された変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響は、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0073】
ポリマー組成物の前述の又は別の実施形態のいずれか1つにおいて、有機ポリマー系材料は、ポリオレフィン、熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリアミド、天然及び合成ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、セルロースアセテートブチレート、セルロースポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、アミノ樹脂架橋ポリアクリレート及びポリエステル、ポリイソシアネート架橋ポリエステル及びポリアクリレート、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂若しくは尿素樹脂若しくはイソシアネート若しくはイソシアヌレート若しくはカルバメート若しくはエポキシ樹脂で架橋されたアクリレート樹脂、無水物若しくはアミンで架橋された脂肪族及び脂環式及び複素環式及び芳香族のグリシジルエーテルから誘導された架橋エポキシ樹脂、ポリシロキサン、マイケル付加ポリマー、アミン若しくはブロックアミンと活性化不飽和及び活性化メチレン化合物との付加ポリマー、ケチミンと活性化不飽和及び活性化メチレン化合物との付加ポリマー、不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と組み合わされたポリケチミン、コーティング組成物、放射硬化性組成物、エポキシメラミン樹脂、有機染料、化粧品、セルロースベースの紙、写真フィルム紙、繊維、ワックス、又はインクのうちの少なくとも1つを含む。
【0074】
ポリマー組成物の前述の又は別の実施形態のいずれか1つにおいて、有機ポリマー系材料は、(i)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト-1-エン、又はポリ-4-メチルペント-1-エン;(ii)ポリイソプレン又はポリブタジエン;(iii)シクロペンテン又はノルボルネン;(iv)任意選択的に架橋されたポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、又は超低密度ポリエチレン(ULDPE);(v)熱可塑性オレフィン(TPO);又は(vi)モノオレフィン、ジオレフィン、若しくはシクロオレフィンのうちの少なくとも1つのコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
ポリマー組成物の前述の又は別の実施形態のいずれか1つにおいて、酸化防止剤は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.001~5.0重量%、好ましくは0.005~3.0重量%、より好ましくは0.01~1.0重量%で存在する。
【0076】
ポリマー組成物の前述の又は別の実施形態のいずれか1つにおいて、光安定剤は、ポリマー組成物の総重量を基準として0.005~5.0重量%、好ましくは0.01~2.0重量%で存在する。
【0077】
ポリマー組成物の前述の又は別の実施形態のいずれか1つにおいて、酸化防止剤は、式(IVa)、(IVb)、又は(IVc):
【化15】
(式中、
【化16】
は、親化合物に対する分子フラグメントの(炭素-炭素単結合を介した)結合点を示し;
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR
18は、水素又はC
1~
12ヒドロカルビルであり;
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)中の各R
19及びR
20は、独立して、水素又はC
1~C
20ヒドロカルビルであり;
式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR
37は、C
1~C
12ヒドロカルビルである)による少なくとも1つの基を有するヒンダードフェノールを含む。
【0078】
同じ又は別の実施形態では、式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)のR18及びR37は、それぞれ独立して、メチル又はtert-ブチルである。
【0079】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、ヒンダードフェノールには以下のうちの少なくとも1つが含まれる:
1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(CYANOX(商標)1790)、
1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(IRGANOX(商標)3114)、
1,1,3-トリス(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ブタン、
トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
4,4’-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
2,2’-チオジエチレンビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシル-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
オクタデシル3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、
ペンタエリスリトール(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、
N,N’-ヘキサメチレンビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオンアミド]、
ジ(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)チオジプロピオネート、
ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(商標)1010)、
オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(商標)1076)、又は
N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニル)ヒドラジン(IRGANOX(商標)1024)。
【0080】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、ヒンダードフェノールは、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(IRGANOX(商標)1010)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX(商標)1076)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン(IRGANOX(商標)3114)、又はN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニル)ヒドラジン(IRGANOX(商標)1024)のうちの少なくとも1つを含む。
【0081】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、酸化防止剤は、ホスファイト又はホスホナイトを含み、ホスファイト又はホスホナイトには以下のうちの少なくとも1つが含まれる:
i)式(1)~(7)のいずれかによる化合物:
【化17】
(式中、
添え字は整数であり、nは2、3、又は4であり;pは1又は2であり;qは2又は3であり;yは1、2、又は3であり;zは1~6であり;
A
1は、n又はqが2である場合、C
2~C
18アルキレン;酸素、硫黄、若しくは-NR
4-が挟まれたC
2~C
12アルキレン、式:
【化18】
のラジカル、又はフェニレンであり;
A
1は、n又はqが3の場合、式-C
rH
2r-1-の二価のラジカルであり、rは4~12の整数であり;
A
1は、nが4である場合、
【化19】
であり;
Bは、直接結合、-CH
2-、-CHR
4-、-CR
1R
4-、硫黄、C
5~C
7シクロアルキリデン、又は3、4及び/若しくは5位に1~4つのC
1~C
4アルキルラジカルで置換されているシクロヘキシリデンであり;
D
1は、pが1である場合、C
1~C
4アルキルであり、pが2である場合、-CH
2OCH
2-であり;
D
2は、C
1~C
4アルキルであり;
Eは、yが1である場合、C
1~C
18アルキル、-OR
1、又はハロゲンであり;
Eは、yが2である場合、-O-A
2-O-であり、A
2は、nが2である場合のA
1について定義されている通りであり;
Eは、yが3である場合、式R
4C(CH
2O-)
3又はN(CH
2CH
2O-)
3のラジカルであり;
Qは、少なくともz価のモノ又はポリアルコール又はフェノールのラジカルであり、このラジカルは、モノ又はポリアルコール又はフェノールのOH基の酸素原子を介してリン原子に結合しており;
R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して、無置換であるか又はハロゲン、-COOR
4、-CN、若しくは-CONR
4R
4で置換されているC
1~C
18アルキル;酸素、硫黄、若しくは-NR
4-が挟まれたC
2~C
18アルキル;C
7~C
9フェニルアルキル;C
5~C
12シクロアルキル、フェニル、若しくはナフチル;ハロゲン、合計1~18個の炭素原子を有する1~3つのアルキルラジカル若しくはアルコキシラジカルで又はC
7~C
9フェニルアルキルで置換されたナフチル若しくはフェニル;或いは式
【化20】
のラジカル(式中、mは、範囲3~6からの整数である)であり;
R
4は、水素、C
1~C
8アルキル、C
5~C
12シクロアルキル又はC
7~C
9フェニルアルキルであり;
R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素、C
1~C
8アルキル、又はC
5~C
6シクロアルキルであり、
R
7及びR
8は、qが2である場合、それぞれ独立して、C
1~C
4アルキルであるか、又は一緒になって2,3-デヒドロペンタメチレンラジカルであり;R
7及びR
8は、qが3の場合、それぞれメチルであり;
R
14の各例は、水素、C
1~C
9アルキル、又はシクロヘキシルから独立して選択され;
R
15の各例は、独立して、水素又はメチルであり;
X及びYは、それぞれ、直接結合又は酸素であり;
Zは、直接結合、メチレン、-C(R
16)
2-、又は硫黄であり、
R
16は、C
1~C
8アルキルである);又は
ii)式8:
【化21】
(式中、R
17は、式8の芳香環の0~5個の場合に存在する置換基であり、各例において、独立して、C
1~C
20アルキル、C
3~C
20シクロアルキル、C
4~C
20アルキルシクロアルキル、C
6~C
10アリール、又はC
7~C
20アルキルアリールである)によるトリスアリールホスファイト。
【0082】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、ホスファイト又はホスホナイトには、以下のうちの少なくとも1つが含まれる:
トリフェニルホスファイト、
ジフェニルアルキルホスファイト、
フェニルジアルキルホスファイト、
トリラウリルホスファイト、
トリオクタデシルホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS(商標)168)、
トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、
式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(J)、(K)、又は(L)の化合物:
【化22】
【化23】
【化24】
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールホスファイト、
ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール2,4-ジ-クミルフェノールホスファイト、
2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールホスファイト、又は
ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチル-フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト。
【0083】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、ホスファイト又はホスホナイトには、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS(商標)168)、トリフェニルホスファイト、トリス(4-ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(DOVERPHOS(商標)S9228)、又はテトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレン-ジホスホナイト(IRGAFOS(商標)P-EPQ)のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0084】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、光安定剤は、式(II)による少なくとも1つの官能基:
【化25】
(式中、
R
31は、水素、OH、C
1~C
20ヒドロカルビル、-CH
2CN、C
1~C
12アシル、又はC
1~C
18アルコキシであり;
R
38は、水素又はC
1~C
8ヒドロカルビルであり;
R
29、R
30、R
32、及びR
33は、それぞれ独立して、C
1~C
20ヒドロカルビルであるか、又はR
29及びR
30並びに/若しくはR
32及びR
33は、それらが結合している炭素と一緒になって、C
5~C
10シクロアルキルを形成している);或いは
式(IIa)による少なくとも1つの官能基:
【化26】
(式中、
mは1~2の整数であり;
R
39は、水素、OH、C
1~C
20ヒドロカルビル、-CH
2CN、C
1~C
12アシル、又はC
1~C
18アルコキシであり;
G
1~G
4は、それぞれ独立して、C
1~C
20ヒドロカルビルである)
を含むヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含む。
【0085】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、以下のうちの少なくとも1つである:
ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)スクシネート;
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)セバケート;
ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)スクシネート;
ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート(TINUVIN(商標)123);
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)n-ブチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート;
1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物(TINUVIN(商標)622);
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルステアレート;
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルドデカネート;
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルステアレート;
1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルドデカネート;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)944);
トリス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ニトリロトリアセテート;
4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CYASORB(商標)UV-3346);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンのメチル化縮合物(CYASORB(商標)UV-3529);
2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)119);
2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス-(3-アミノプロピルアミノエタン)との縮合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンと、ジ-n-ブチルアミンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)2020);
4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物(CYASORB(商標)UV-3853);
4-ヘキサデシルオキシ-及び4-ステアリルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンの混合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;
1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンと、4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合物;
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物;
テトラキス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;
テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸,2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-4-イルトリデシルエステル;
1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸,1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イルトリデシルエステル;
ホルムアミド,N,N’-1,6-ヘキサンジイルビス[N-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)(UVINUL(商標)4050);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(CHIMASSORB(商標)944);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(プロピルオキシ)-ピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミンと、N-ブチル-1-プロピルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンと、ジ-n-ブチルアミンと、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物(TINUVIN(商標)NOR HALS 371);
N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとのポリマー、3-ブロモ-1-プロペンと、ジ-n-ブチルアミンと、N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物、酸化、水素化(TINUVIN(商標)XT 200);
TINUVIN(商標)XT-850/XT-855);又は
N1,N1’-1,2-エタンジイルビス(1,3-プロパンジアミン)、シクロヘキサンと過酸化N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンとの反応生成物(FLAMESTAB(商標)NOR 116)。
【0086】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、光安定剤は、UV吸収剤、すなわち、少なくとも1種の2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン、2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、又はベンゾオキサジノンを含む。
【0087】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、光安定剤は、式(I):
【化27】
(式中、R
34及びR
35のそれぞれは、独立して、C
6~C
10アリール基、モノ-若しくはジ-C
1~C
12ヒドロカルビル置換アミノ、C
2~C
12アルカノイル、C
1~C
12アルキル、C
1~C
10アシル、又はC
1~C
10アルコキシルであり、
C
6~C
10アリール基は、1~3か所の置換可能な位置で、OH、ハロゲン、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
1~
12アルコキシエステル、C
2~
12アルカノイル、又はフェニルのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されていてもよく、フェニルは、1~3か所の置換可能な位置で、OH、ハロゲン、C
1~
12アルキル、C
1~
12アルコキシ、C
1~
12アルコキシエステル、又はC
2~
12アルカノイルのうちの少なくとも1つで任意選択的に置換されていてもよく;
各R
36は、独立して、OH、ハロゲン、C
1~C
12アルキル、C
1~C
12アルコキシ、C
1~C
12アルコキシエステル、C
2~C
12アルカノイル、フェニル、又はC
1~C
12アシルである)による少なくとも1種の2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンを含む。
【0088】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、2-(2’-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジンには、以下のうちの少なくとも1つが含まれる:
4,6-ジフェニル-2-(4-ヘキシルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(商標)1577)、
4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン(CYASORB(商標)1164)、
2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)-s-トリアジンと4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4-(3-トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)-s-トリアジンとの混合物(TINUVIN(商標)400)、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4(3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル)-s-トリアジン(TINUVIN(商標)405)、
4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-2-(2-ヒドロキシ-4(3-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル)-s-トリアジン、
2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)479)、
2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン、
2,4-ビス(4-ビフェニリル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)1600)、
2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチルオキシフェニル)-s-トリアジン(TRIAZINE(商標)460)、
2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-sec-ブチルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-フェニル]-s-トリアジン、又は
2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル]-s-トリアジン(TINUVIN(商標)477)。
【0089】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、光安定剤は、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-9)、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-24)、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(商標)UV-531)、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジ-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジエトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジプロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジブトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-エトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,3’-ジヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,5’-トリメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,6’-トリブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ブトキシ-4’,5’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-2’,4’-ジブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-4’,6’-ジクロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-4’,6’-ジブロモベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-プロピルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-tert-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-クロロベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-3-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-2’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’,5’-トリメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-エチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロピルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4,4’-ジエトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-プロポキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、又は2-ヒドロキシ-4-エトキシ-4’-ブロモベンゾフェノンのうちの少なくとも1つを含む2-ヒドロキシベンゾフェノンを含む。
【0090】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、光安定剤は、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)P)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-メチル-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(CYASORB(商標)UV-5411)、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CYASORB(商標)UV-2337)、2-(3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)900)、2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール]、2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300のエステル交換生成物(TINUVIN(商標)1130)、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(α,α-ジメチルベンジル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(TINUVIN(商標)326)、2-(3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-ドデシル-5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、又は2-(5’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールのうちの少なくとも1つを含む2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールを含む。
【0091】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、光安定剤は、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(1-又は2-ナフチル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(4-ビフェニル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-m-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ベンゾイルフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-メトキシフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-O-メトキシフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-シクロヘキシル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-(又はm-)フタルイミドフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、N-フェニル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N-ベンゾイル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、N-ベンゾイル-N-メチル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)-アニリン、2-[p-(N-フェニルカルバモニル)フェニル]-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-[p-(N-フェニルN-メチルカルバモイル)フェニル]-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-デカメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)(CYASORB(商標)UV-3638)、2,2’-m-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(4,4’-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2,6-又は1,5-ナフタレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-メチル-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-ニトロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(2-クロロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-(1,4-シクロヘキシレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、N-p-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フェニル、4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N-p-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゾイル、4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレン、又は2,4,6-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンのうちの少なくとも1つを含むベンゾオキサジノンを含む。
【0092】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、光安定剤は、式(VI)によるヒンダードベンゾエートを含む:
【化28】
(式中、
R
21及びR
22のそれぞれは、独立して、C
1~C
12アルキルであり;
Tは、O又はNR
24であり、R
24は、H又はC
1~C
30ヒドロカルビルであり;
R
23は、H又はC
1~C
30ヒドロカルビルである)。
【0093】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態では、ヒンダードベンゾエートは、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(TINUVIN(商標)120)、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(CYASORB(商標)UV-2908)、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、デシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ドデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、テトラデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ベヘニリル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、又はブチル3-[3-tert-ブチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)フェニル]プロピオネートのうちの少なくとも1つを含む。
【0094】
同じ又は別の実施形態のいずれかでは、ポリマー組成物は、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-(3-ドデシルチオプロピオネート)、テトラアルキルチオエチルチオジスクシネート、2,12-ジヒドロキシ-4,10-ジチア-7-オキサトリデカメチレンビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、又はジオクタデシルジスルフィドうちの少なくとも1つを含むチオ相乗剤を更に含む。
【0095】
同じ又は別の実施形態のいずれかでは、ポリマー組成物は、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、又は酸化セリウム(IV)のうちの少なくとも1つを含む無機化合物を更に含む。
【0096】
ポリマー組成物の同じ又は別の実施形態のいずれかでは、ポリマー組成物は、バリウム化合物を含まない。
【0097】
本発明は、本明細書に記載の前述した実施形態のいずれか1つのポリマー組成物を含む、UV-C(190~280nm)光への繰り返しの又は長期的な曝露の際の変色、クラッキング、及び/又はクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響に耐性を有する安定化されたポリマー物品も提供する。
【0098】
安定化されたポリマー物品の同じ又は別の実施形態では、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して、UV-C光への曝露の際に低減される変色、クラッキング、又はクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響は、安定剤組成物中にバリウム化合物(バリウム塩など)が存在しない場合であっても光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0099】
本明細書の実施形態のいずれか1つに記載の安定化されたポリマー物品を製造する方法も本発明によって提供され、そのような方法は:
ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と、
バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、
を含む安定剤組成物を、有機ポリマー系材料に添加すること;及び
安定剤組成物を含有する有機ポリマー系材料を安定化されたポリマー物品へと成形すること
を含む。
【0100】
同様に、UV-C(190~280nm)光への繰り返しの又は長期的な曝露の悪影響に対して有機ポリマー系材料を安定化する方法も提供され、そのような方法は:
ヒンダードフェノール、ホスファイト、及びホスホナイト、並びにそれらの混合物からなる群から選択される酸化防止剤と;
バリウム化合物(バリウム塩など)が安定剤組成物に存在しない場合であっても、HALSがビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)単独ではないことを条件として、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、UV吸収剤(UVA)、ヒンダードベンゾエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される光安定剤と、を含む安定剤組成物を、有機ポリマー系材料に添加することを含み;
UV-C光への繰り返しの又は長期的な曝露の際の、光安定剤の不存在下での酸化防止剤と比較して低減される変色又は低減されるクラッキング若しくはクレージングのうちの少なくとも1つの悪影響は、光安定剤を酸化防止剤と組み合わせて使用することに関連している。
【0101】
UV-C光の悪影響に対して有機ポリマー系材料を安定化するための同じ又は別の実施形態では、酸化防止剤の合計量は0.001~5.0重量%に含まれ、光安定剤の合計量は0.01~2.0重量%に含まれ、共にポリマー組成物の総重量基準である。
【実施例】
【0102】
以下の実施例は、当業者が本明細書で定義される特定の実施形態を更に理解するのを助けるために提供される。これらの実施例は、例示目的を意図しており、特許請求の範囲によって定義される様々な実施形態の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0103】
UV-Cにより生じる変色及び光劣化からポリマーを保護することに関し、様々な個々の添加剤材料及びそれらの特定の組み合わせの性能が評価される。LyondellBasellのポリプロピレンホモポリマー(PRO-FAX(商標)6301 NT)が、実施例における耐候性調査のためのポリマーマトリックスとして選択される。実施例の処方における様々な添加剤材料の供給業者、商品名、及び化学名に関する情報を表1に示す。場合によっては、これらの同じ化学物質が別の商品名で他の供給業者から入手可能なこともある。全ての添加剤材料は受け取ったままの状態で使用される。
【0104】
【0105】
【0106】
添加剤を含むプラークを作製するための基本手順は次の通りである。添加剤をポリプロピレン樹脂と乾式ブレンドすることによって、1,000グラムの各処方の粉末混合物を調製する。次いで、混合物を、Werner&Pfleiderer二軸押出機を用いて230℃で混錬する。押出後、Auburg射出成形機を用いて、標準の長方形プラーク(2×2.5×0.125インチ)を、200℃で長方形プラークへと射出成形する。
【0107】
UV-C耐候性調査のために、UV-C耐候性装置が社内で開発され組み立てられた。この装置は、プラーク表面で約1200μW/cm2(254nm)の平均放射照度を有する2つの低圧狭帯域UV-Cランプ(254nm)と、試験温度を40℃未満に維持するための自動ファンコントローラーとを含む。UV-C耐候性試験中、プラークを装置内に入れ、全てのサンプルが同じ量の放射を受けるように、頻繁に位置を変える。
【0108】
表面の変色を評価するために、UV-C曝露後のプラーク表面の色の変化(デルタE)と黄色度指数(デルタYI)が使用される。色及びYIの測定は、共にHunter L,a,bカラースケール(カラー用)を使用するX-Rite Color i7分光光度計を使用して行われる。デルタEはASTM D2244-16に準拠して測定され、デルタYIはASTM E313-20に準拠して測定される。 デルタEは、UV-Cへの曝露を指定された時間行った後の色の読み取り値から、最初の色の読み取り値(時間=0時間)を差し引くことによって計算される。デルタYIは、UV-Cへの曝露を指定された時間行った後のYIの読み取り値から、最初のYIの読み取り値(時間=0時間)を差し引くことによって計算される。例えば、時間は24時間、42時間、又は250時間であってよい。24時間が好都合な時間スケールである。
【0109】
光劣化を評価するために、UV-C曝露後のポリマー物品表面におけるクラック及び/又はクレージングの発生が使用される。ポリプロピレンプラークは、目視とLeica S9iデジタル実体顕微鏡(倍率20倍)の両方で、クラック又はクレージングについて各試験間隔で検査される。写真は顕微鏡に組み込まれたカメラを使用して撮影される。
【0110】
実施例1-ホスファイトと他の添加剤とを含むポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
【0111】
【0112】
表2のデータは、一般的なホスファイト系酸化防止剤を配合したポリプロピレンが、そのままの安定化されていないポリプロピレンと比較して、UV-Cに曝露された際に著しく変色することを示している。(サンプル2-2をサンプル2-1と比較のこと)。しかしながら、表2(サンプル2-2~2-8)に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ホスファイトと組み合わせられた特定の光安定剤は、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する。
【0113】
実施例2-ヒンダードフェノールと他の添加剤とを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
【0114】
【0115】
表3のデータは、一般的なヒンダードフェノールを配合したポリプロピレンが、UV-Cに曝露された際に著しく変色することを示している。(サンプル3-2をサンプル3-1と比較のこと)。しかしながら、表3(サンプル3-3~3-7)に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ヒンダードフェノールと組み合わせられた特定の光安定剤は、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する。
【0116】
実施例3-ホスファイトと他の添加剤とを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
【0117】
【0118】
表4のデータは、一般的なホスファイト系酸化防止剤を配合したポリプロピレンが、UV-Cに曝露された際に著しく変色することを示している。(サンプル4-2をサンプル4-1と比較のこと)。しかしながら、表4(サンプル4-3~4-6)に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ホスファイトと組み合わせて使用された、UV吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードベンゾエートとの特定の組み合わせは、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する。
【0119】
実施例4-ヒンダードフェノールと他の添加剤とを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
【0120】
【0121】
表5のデータは、一般的なヒンダードフェノール系酸化防止剤を配合したポリプロピレンが、UV-Cに暴露された際に著しく変色することを示している。(サンプル5-2をサンプル5-1と比較のこと)。しかしながら、表5(サンプル5-3~5-6)に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ヒンダードフェノールと組み合わせて使用された、UV吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードベンゾエートとの特定の組み合わせは、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する。
【0122】
実施例5-酸化防止剤のみを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE、デルタYI、及びクラッキング/クレージング)
【0123】
【0124】
表6のサンプル6-1のデータは、
図1Aで示される著しい表面のクラック及び/又はクレージングの発生から明らかなように、安定化されていないポリプロピレンがUV-C照射された際にかなり光劣化したことを示している。サンプル6-2~6-4は、酸化防止剤のみ(ヒンダードフェノール単独、又はヒンダードフェノールとホスファイトの組み合わせ)を含むポリプロピレンが、深刻な表面変色(デルタE及びデルタYIの結果から明らか)、光劣化(表6並びに
図1B及び
図1Cで示される表面のクラック/クレージングから明らか)、又は変色と光劣化の両方の組み合わせを受けることを示している。
【0125】
実施例6-酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤との組み合わせを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE、デルタYI、及びクラッキング/クレージング)
【0126】
【0127】
表7で示されているデルタE及びデルタYIの結果から明らかなように、サンプル7-3及び7-4は、酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤の両方を含むポリプロピレンが、酸化防止剤のみを含むサンプル7-2よりもUV-C照射された際に少ない変色を示すことを示している。表7における表面のクラック/クレージングの観察から明らかなように、サンプル7-5、7-6、及び7-7は、酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤の両方を含むポリプロピレンが、安定化されていないポリプロピレン(サンプル7-1)及び酸化防止剤のみを含むポリプロピレン(サンプル7-2)の両方よりも、UV-C照射後に少ない表面光劣化を示すことを示している。
【0128】
実施例7-酸化防止剤とUV吸収剤との組み合わせを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE、デルタYI、及びクラッキング/クレージング)
【0129】
【0130】
表8で示されているデルタE及びデルタYIの結果から明らかなように、サンプル8-3~8-9は酸化防止剤とUV吸収剤(ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、又はトリアジン)の両方を含むポリプロピレンが、安定化されていないポリプロピレン(サンプル8-1)及び酸化防止剤のみを含むポリプロピレン(サンプル8-2)の両方よりも、UV-C照射された際に少ない変色を示すことを示している。加えて、表面のクラック/クレージングの観察から明らかなように、処方8-3~8-9は、酸化防止剤とUV吸収剤の両方を含むポリプロピレンが、安定化されていないポリプロピレン(サンプル8-1)と酸化防止剤のみを含むポリプロピレン(サンプル8-2)の両方よりも少ない光劣化を示すことを示している。
【0131】
実施例8-酸化防止剤とヒンダードベンゾエートとの組み合わせを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE、デルタYI、及びクラッキング/クレージング)
【0132】
【0133】
表9のデルタE及びデルタYIの結果から明らかなように、サンプル9-3及び9-4は、酸化防止剤とヒンダードベンゾエートの両方を含有するポリプロピレンが、酸化防止剤のみを含むポリプロピレン(サンプル9-2)よりもUV-C照射された際に少ない変色を示すことを示している。表9の表面のクラック/クレージングの観察から明らかなように、サンプル9-4は、酸化防止剤とヒンダードベンゾエートの両方を含有するポリプロピレンが、安定化されていないポリプロピレン(サンプル9-1)と酸化防止剤のみを含有するポリプロピレン(サンプル9-2)の両方よりも、UV-C照射された際に少ない表面光劣化を示すことを示している。
【0134】
実施例9-酸化防止剤とUV吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤との組み合わせを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE、デルタYI、及びクラッキング/クレージング)
【0135】
【0136】
表10のデルタE及びデルタYIの結果、並びに表面クラック/クレージングの発生についての観察から明らかなように、サンプル10-3~10-8は、酸化防止剤をUV吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤と組み合わせて含むポリプロピレンが、安定化されていないポリプロピレン(サンプル10-1)と酸化防止剤のみを含むポリプロピレン(サンプル10-2)の両方よりも、UV-C照射された際に少ない変色と表面光劣化を示すことを示している。
【0137】
実施例10-酸化防止剤と、UV吸収剤と、ヒンダードベンゾエートと、ヒンダードアミン系光安定剤との組み合わせを含むポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE、デルタYI、及びクラッキング/クレージング)
【0138】
【0139】
【0140】
表11のデルタE及びデルタYIの結果、並びに表面クラック/クレージングの発生についての観察から明らかなように、サンプル11-3~11-10は、酸化防止剤をUV吸収剤、ヒンダードベンゾエート、及びヒンダードアミン系光安定剤と組み合わせて含むポリプロピレンが、安定化されていないポリプロピレン(サンプル11-1)と酸化防止剤のみを含むポリプロピレン(サンプル11-2)の両方よりも、UV-C照射された際に少ない変色と光劣化を示すことを示している。
【0141】
実施例11-酸化防止剤と他の添加剤とを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
結果を下の表12に示す。
【0142】
【0143】
表12は、WESTON(商標)618がUV-C曝露後のポリプロピレンで最小限の変色を示すことを示している(サンプル12-2(WESTON(商標)618)をサンプル2-2(IRGAFOS(商標)168)と比較のこと)。サンプル12-3及び12-4によって示されるように、様々なUV安定剤を添加すると、初期のYIは増加するものの、UV-C曝露による色の変化(デルタE)は維持される/減少する。IRGANOX(商標)1010を処方に追加すると、プラークはUV-C曝露によってより変色しやすくなる(サンプル12-5及び12-6を参照)。
【0144】
実施例12-ヒンダードフェノールと他の添加剤とを含有するポリプロピレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
この調査は概して上の実施例2に基づいているが、UV添加量(重量%)が多い。結果を下の表13に示す。
【0145】
【0146】
表3のデータと同様に、表13のデータは、一般的なヒンダードフェノールを配合したポリプロピレンがUV-Cに曝露された際に変色することを示している。(サンプル13-2及び3-2をサンプル13-1及び3-1と比較のこと)。しかしながら、表13に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ヒンダードフェノールと組み合わせられた特定の光安定剤は、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する(サンプル13-3~13-6を参照)。より高いUV添加量は、デルタYIに関してわずかに利点があるようである(サンプル13-2~13-6を3-2~3-6と比較のこと)。
【0147】
実施例13-ホスファイトと他の添加剤とを含有するポリエチレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
UV-Cにより生じる変色及び光劣化からポリマーを保護することに関し、様々な個々の添加剤材料及びそれらの特定の組み合わせの性能が評価される。これらの実施例では、耐候性調査のためのポリマーマトリックスとしてNOVA Chemicalsの高密度ポリエチレン(SCLAIR(登録商標)2909)が選択される。これらの実施例の処方における様々な添加剤材料の供給業者、商品名、及び化学名に関する情報は上の表1に示されている。全ての添加剤材料は受け取ったままの状態で使用される。
【0148】
添加剤を含むプラークを調製するための基本手順は次の通りである。添加剤をポリエチレン樹脂と乾式ブレンドすることによって、各処方の1,000グラムの粉末混合物を調製する。次いで、混合物を、Werner&Pfleiderer二軸押出機を用いて190℃で混錬する。押出後、Engel射出成形機を用いて、標準の長方形プラーク(2×2.5×0.125インチ)を、190℃で長方形プラークへと射出成形する。
【0149】
UV-C耐候性調査は、前述したUV-C耐候性装置を使用して、先の実施例で詳述した通りに行われる。UV-C曝露後のプラーク表面の色の変化(デルタE)と黄色度指数(デルタYI)も、同じ方法で決定される。ホスファイトと他の添加剤とを含有するポリエチレンのUV-C耐候性の結果を下の表12に示す。
【0150】
【0151】
表14のデータは、一般的なホスファイト系酸化防止剤を配合したポリエチレンが、そのままの安定化されていないポリエチレンと比較して、UV-Cに曝露された際に著しく変色することを示している。(例えばサンプル14-2をサンプル14-1と比較のこと)。しかしながら、表14に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ホスファイトと組み合わせられた特定の光安定剤は、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する(サンプル14-2~14-6を参照)。
【0152】
実施例14-ヒンダードフェノールと他の添加剤とを含有するポリエチレンのUV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
結果を以下の表15に示す。
【0153】
【0154】
表15のデータは、一般的なヒンダードフェノールを配合したポリエチレンが、UV-Cに曝露された際に著しく変色することを示している。(サンプル15-2をサンプル15-1と比較のこと)。しかしながら、表15(サンプル15-3~15-5)に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ヒンダードフェノールと組み合わせられた特定の光安定剤は、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する。
【0155】
実施例15-ホスファイトと他の添加剤とを含有するポリエチレンの222nm UV-C耐候性能(デルタE及びデルタYI)
実施例13について実施した調査を繰り返すが、254nmでUV-C耐候性を行う代わりに、耐候性装置を改造して、プラーク表面で約190μW/cm2(222nm)の平均放射照度を有する3つのKrClエキシマーUV-Cランプ(222m)と、試験温度を40℃未満に維持するための自動ファンコントローラーとを含むようにする。UV-C耐候性試験中、プラークを装置内に入れ、全てのサンプルが同じ量の放射を受けるように、頻繁に位置を変える。
【0156】
UV-C曝露後のプラーク表面の色の変化(デルタE)と黄色度指数(デルタYI)は、先の実施例と同じ方法で決定される。ホスファイトと他の添加剤とを含有するポリエチレンのUV-C耐候性の結果を下の表16に示す。
【0157】
【0158】
表16のデータは、一般的なホスファイトを配合したポリエチレンが、UV-Cに曝露された際に変色することを示している。(サンプル16-2をサンプル16-1と比較のこと)。しかしながら、表16(サンプル16-3~16-6)に示すより低いデルタYI及びデルタEの値から示されるように、ホスファイトと組み合わせられた特定の光安定剤は、UV-Cに曝露された際の変色を軽減する。
【0159】
前述した実施例で示されたこれらの結果は、概して、本明細書に開示のポリマー物品を製造するための安定剤組成物が、UV-C(190~280nm)消毒用(殺菌用)光源にポリマー物品が繰り返し又は長期間曝露されたときの、変色、クラッキング、及び/又はクレージングの悪影響に対する耐性を提供することにおいて有効であることを示している。HALSビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(TINUVIN(商標)770)の使用に関するデータは、UV-C照射への曝露の際のポリマー組成物の悪影響に対抗する添加剤としての使用を完全には裏付けてはおらず、したがって出願人は本発明からこれを放棄している。そうではあるものの、このデータは、UV-A及び/又はUV-Bへの曝露の際のポリマー組成物の悪影響を防止するのに有益又は有用な安定剤添加剤が、UV-C曝露によるポリマー組成物へのそのような悪影響を防止するのにも有益又は有用であると単に推論することはできないことを示すために提供されている。UV-A/UV-B用の安定剤添加剤の使用がUV-Cに有用であるとは推論できないという概念を更に裏付けるために、UV-C曝露の際のポリカーボネートに対する様々なUV安定剤及び酸化防止剤の影響の調査を以下に示す。
【0160】
実施例16-254nm UV-C露光後のポリカーボネート系材料に対する標準のUV安定剤/酸化防止剤の影響
ポリカーボネートは、限定するものではないが、コンパクトディスク、安全ヘルメット、防弾ガラス、安全メガネ、及び車のヘッドランプレンズなど、様々な用途に使用される高性能エンジニアリング熱可塑性プラスチックとして知られている。カーボネート基(-O-(C=O)-O-)によって一体に連結されたポリマーをポリカーボネートとみなすことができるものの、最も広く使用されているものはビスフェノールA(BPA)に基づくものである。ポリカーボネートは、高い衝撃強さ、高い靱性、光学的透明性、耐薬品性、耐熱性、高い寸法安定性、優れた電気特性、及び軽量性など多くの有利な特性を備えている。ポリカーボネートは、当業者に周知の様々な安定剤組成物により、UV-A及び/又はUV-B照射の悪影響から保護されることが知られている。したがって、ポリカーボネート系材料が300nm未満の波長でのUV照射による変色に対して耐性を有することが望ましいであろう。
【0161】
この実験の目的は、上で例示したポリプロピレンの調査からも同様の傾向が観察されるか否かを確認することである。
【0162】
この実施例の調査は、ベース樹脂としてLUPOY(商標)1201 10P天然ポリカーボネート(LG Chemical)(PC)を使用して行った。PC中で使用される添加剤の量は重量パーセント(重量%)で記載されており、それらは全体を通してこの方法で記載される。押出は、Killion単軸で550°F(約290℃)の溶融温度で行われる。温度ゾーンはノズルで480°F、525°F、550°F、及び550°Fであった。射出成形は、Engel機で295℃で行われる。温度ゾーンはノズルで275℃、285℃、295℃、及び295℃であった。全てのサンプルは真空オーブンで最低4時間乾燥させ、密封したガラス瓶の中で1時間冷却した後、添加剤と混合して押出機の中に入れる。サンプルを準備し、2×2×0.125インチのプラークとして曝露される。
【0163】
254nmでのUVC曝露は、2つの低圧水銀光源と経時的な放射照度を測定するための校正済み放射計とを備えた社内チャンバーを用いて行われる。曝露されたサンプルの平均放射照度は約1.5mW/cm2である。平均温度は約30℃である。色は、Hunter LABスケールで校正されたCi7800分光光度計で、10°の視野角でD65光源を使用して測定した。色は、Hunter LABスケールで校正されたCi7800分光光度計で、10°の視野角でD65光源を使用して測定される。
【0164】
表17に、調査で検討した様々な処方を示す。
【0165】
【0166】
試験のために多種多様なサンプルが集められたものの、結果からは、評価した全ての安定剤が254nm UV-C曝露後のポリカーボネートの変色の軽減に比較的小さい影響を有することが示された。興味深いことに、UV-1164を含む処方は、特にAO-618と組み合わせた処方17-6において、PCサンプルに更に色を付加するようであった。UV-1164をAO-168と組み合わせると(処方17-23)、初期の変色はより少なかった。この変色はUV-1577でもみられたものの、概して程度は低かった。AO-618と組み合わせたUV-3346でも、より高い初期黄色度が観察された。ポリカーボネートは塩基性種の影響を受けやすいため、UV-Cに曝露される前にUV-3346がPCの初期劣化を引き起こした可能性がある。
【0167】
全体の色の変化に関しては、処方17-6(UV-1164+AO-618)が技術的に最も低い変化を示した。しかしながら、この処方では初期色が最も高かったため、UV-C曝露による変色が高い初期色によってマスクされた可能性がある。試験した残りの処方は、12時間後に4単位(±0.5単位)近くの色の変化を示し、12時間から30時間までの色の増加は最小限のみであった。
【国際調査報告】