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特表2023-553345直流/直流コンバータおよびその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】直流/直流コンバータおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H02M3/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532185
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2021011656
(87)【国際公開番号】W WO2022114464
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0160979
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】パク ホ キョン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ウォン ソク
(72)【発明者】
【氏名】イ チョン ヒョン
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB57
5H730CC01
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
5H730XX42
(57)【要約】
実施例によると、インバータから要求電力値および基準電圧値が入力され、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される入力部と、上記基準電圧値および上記要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算し、上記リンク電圧値と上記基準電圧値との差分を上記傾きに代入して出力電力値を演算し、上記出力電力値による目標電流値を演算する制御部と、を有することができる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータから要求電力値が入力される段階と、
前記インバータから基準電圧値が入力される段階と、
前記基準電圧値および前記要求電力値によりドループ(droop)制御カーブの傾きを演算する段階と、
前記基準電圧値および前記要求電力値により充電、放電モードを判断する臨界電圧を演算する段階と、
直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される段階と、
前記リンク電圧値と前記基準電圧値との差分を前記傾きに代入して出力電力値を演算する段階と、
前記出力電力値による目標電流値を演算する段階と、を有する、直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項2】
前記ドループ制御カーブの傾きを演算する段階は、
前記基準電圧値を基準として右側傾きを演算する段階と、
前記基準電圧値を基準として左側傾きを演算する段階と、を有する、請求項1に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項3】
前記右側傾きを演算する段階は、下記の数式1により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの右側傾きを演算し、
<数式1>
【数1】
前記数式1において、Slope1は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの右側傾きであり、PH,Limitは最大充電電力値であり、VH,Limitは最大充電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項2に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項4】
前記左側傾きを演算する段階は、下記の数式2により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの左側傾きを演算し、
<数式2>
【数2】
前記数式2において、Slope2は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの左側傾きであり、PL,Limitは最大放電電力値であり、VL,Limitは最大放電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項2に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項5】
前記目標電流値を前記バッテリに出力する段階をさらに有する、請求項1に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項6】
インバータから要求電力値および基準電圧値が入力され、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される入力部と、
前記基準電圧値および前記要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算し、前記リンク電圧値と前記基準電圧値との差分を前記傾きに代入して出力電力値を演算し、前記出力電力値による目標電流値を演算する制御部と、を有する、直流/直流コンバータ。
【請求項7】
前記制御部は、前記基準電圧値を基準として右側傾きを演算し、前記基準電圧値を基準として左側傾きを演算する、請求項6に記載の直流/直流コンバータ。
【請求項8】
前記制御部は、下記の数式3により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの右側傾きを演算し、
<数式3>
【数3】
前記数式3において、Slope1は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの右側傾きであり、PH,Limitは最大充電電力値であり、VH,Limitは最大充電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項7に記載の直流/直流コンバータ。
【請求項9】
前記制御部は、下記の数式4により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの左側傾きを演算し、
<数式4>
【数4】
前記数式4において、Slope2は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの左側傾きであり、PL,Limitは最大放電電力値であり、VL,Limitは最大放電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項7に記載の直流/直流コンバータ。
【請求項10】
前記制御部は、前記目標電流値を前記バッテリに出力する、請求項6に記載の直流/直流コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施例は、直流/直流コンバータおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギは、変換および伝送が容易であるため広く使われている。このような、電気エネルギを効率的に使うためにエネルギ貯蔵システム(Energy Storage System、ESS)を使う。エネルギ貯蔵システムは、電力が供給されてバッテリに充電する。また、エネルギ貯蔵システムは、電力が必要な場合、バッテリから充電された電力を放電して電力を供給する。これを通じて、エネルギ貯蔵システムは、電力を流動的に供給できるようにする。
【0003】
具体的には、電力供給システムがエネルギ貯蔵システムを含む場合、次のように動作する。エネルギ貯蔵システムは、負荷または系統が過負荷である場合、バッテリに貯蔵された電気エネルギを放電する。また、負荷または系統が軽負荷である場合、エネルギ貯蔵システムは、発電装置または系統から電力が供給されてバッテリに充電する。
【0004】
また、電力供給システムとは無関係にエネルギ貯蔵システムが独立して存在する場合、エネルギ貯蔵システムは、外部の電力供給源からアイドル電力が供給されてバッテリに充電する。また、系統または負荷が過負荷である場合、エネルギ貯蔵システムは、バッテリから充電された電力を放電して電力を供給する。
【0005】
このようなエネルギ貯蔵システムは、バッテリの充電または放電動作時の安定度を向上させるためにドループ制御を行う。特に、エネルギ貯蔵システムは、バッテリの充電状態(SOC)に応じてドループ制御を行った。しかしながら、既存のドループ制御方式は、充放電電圧およびドループカーブ(Droop curve)が固定されているため、定められたドループカーブに沿ってのみ直流/直流コンバータの動作点が変更されるという短所がある。また、アイドル(Idle)区間で電力の出力が0に固定されているため、電圧降下時または上昇時に未応答区間が発生するという問題がある。また、リンク電圧が充電電圧区間内に位置する場合には放電およびアイドル運転が不可であり、放電電圧区間内に位置する場合には充電およびアイドル運転が不可であり、アイドル区間では充電および放電が不可であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が達成しようとする技術的課題は、ドループ制御カーブおよび動作点を能動的に変更することができる直流/直流コンバータおよびその制御方法を提供するところにある。
【0007】
また、動作領域が異なる多様なメーカのインバータとマッチングされて互換性および制御安全性が向上した直流/直流コンバータおよびその制御方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施例によると、インバータから要求電力値が入力される段階と、インバータから基準電圧値が入力される段階と、基準電圧値および要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算する段階と、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される段階と、リンク電圧値と基準電圧値との差分を傾きに代入して出力電力値を演算する段階と、出力電力値による目標電流値を演算する段階と、を有する直流/直流コンバータ制御方法を提供する。
【0009】
ドループ制御カーブの傾きを演算する段階は、基準電圧値を基準として右側傾きを演算する段階と、基準電圧値を基準として左側傾きを演算する段階と、を有することができる。
【0010】
右側傾きを演算する段階は、下記の数式1により基準電圧値および要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの右側傾きを演算することができ、
【0011】
<数式1>
【数1】
【0012】
数式1において、Slope1は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの右側傾きであり、PH,Limitは最大充電電力値であり、VH,Limitは最大充電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である。
【0013】
左側傾きを演算する段階は、下記の数式2により基準電圧値および要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの左側傾きを演算することができ、
【0014】
<数式2>
【数2】
【0015】
数式2において、Slope2は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの左側傾きであり、PL,Limitは最大放電電力値であり、VL,Limitは最大放電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である。
【0016】
目標電流値をバッテリに出力する段階をさらに有することができる。
【0017】
実施例によると、インバータから要求電力値および基準電圧値が入力され、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される入力部と、基準電圧値および要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算し、リンク電圧値と基準電圧値との差分を傾きに代入して出力電力値を演算し、出力電力値による目標電流値を演算する制御部と、を有することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明である直流/直流コンバータおよびその制御方法は、直流/直流コンバータの動作点を変更することができる。
【0019】
また、モード変更時の物理的な電圧変動によるディレイ(遅延)を除去することができる。
【0020】
また、動作電圧の全区間で充電、放電、アイドル運転が可能である。
【0021】
また、動作電圧の全区間において電圧変動による応答安定性が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例に係る電力供給システムの概略的な構成を説明する図である。
図2】実施例に係るエネルギ貯蔵システムを説明する図である。
図3】実施例に係る直流/直流コンバータを説明する図である。
図4】実施例に係る制御システムブロックダイアグラムである。
図5】実施例に係る制御部を説明する図である。
図6】実施例に係るエネルギ貯蔵システムのドループ制御カーブを説明する図である。
図7】実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
図8】実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
図9】実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
図10】実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
図11】実施例に係る直流/直流コンバータ制御方法の動作フローチャートである。
図12】既存ドループ制御と対比される提案したドループ制御に関する動作領域拡大の利点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0024】
ただし、本発明の技術思想は、説明される一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想範囲内であれば、実施例間でその構成要素のうちの一つまたは複数を選択的に結合、置き換えて使うことができる。
【0025】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0026】
また、本発明の実施例で使われた用語は、実施例を説明するためのものであり本発明を制限しようとするものではない。
【0027】
本明細書において、単数形は、文面で特に言及しない限り複数形も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうちの少なくとも一つ(または、一つまたは複数)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせることができるすべての組み合わせのうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0028】
また、本発明の実施例の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。
【0029】
このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などは限定されない。
【0030】
そして、或る構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素との間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含むことができる。
【0031】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されるものと記載される場合、上(うえ)または下(した)は、二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つまたは複数のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」で表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含むことができる。
【0032】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素には同一の参照番号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。
【0033】
図1は、実施例に係る電力供給システムの概略的な構成を説明する図である。図1を参照すると、実施例に係る電力供給システム1は、発電装置10、エネルギ貯蔵システム20、インバータ30、交流フィルタ40、交流/交流コンバータ50、系統60、システム制御部80、負荷70を含むことができる。
【0034】
発電装置10は、電気エネルギを生産することができる。発電装置10が太陽光発電システムである場合、発電装置10は、太陽電池アレイであり得る。太陽電池アレイは、複数の太陽電池モジュールを結合したものである。太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルを直列または並列に連結(接続)して(connecting)太陽エネルギを電気エネルギに変換して所定の電圧および電流を発生させる装置であり得る。したがって、太陽電池アレイは、太陽エネルギを吸収して電気エネルギに変換することができる。
【0035】
また、発電装置10が風力発電システムである場合、発電装置10は、風力エネルギを電気エネルギに変換するファンであり得る。
【0036】
一方、上記発電装置10は、これに限定されず、上記太陽光発電システムおよび風力発電システム以外にも潮力発電システムで構成され得る。しかしながら、これは例示的なものに過ぎず、上記発電装置10は、上記言及した種類に限定されるものではなく、太陽熱や地熱など、新再生エネルギを利用して電気エネルギを生成する発電システムをすべて含むことができる。
【0037】
また、電力供給システム1は、発電装置10なしでエネルギ貯蔵システム20のみを通じて電力を供給することができる。
【0038】
この場合、電力供給システム1は、発電装置10を含まなくてもよい。
【0039】
インバータ30は、直流電力を交流電力に変換することができる。より具体的には、発電装置10が供給した直流電力またはエネルギ貯蔵システム20が放電した直流電力を交流電力に変換することができる。
【0040】
交流フィルタ40は、交流電力に変換された電力のノイズをフィルタリングすることができる。また、実施例によって交流フィルタ40は省略され得る。
【0041】
交流/交流コンバータ50は、交流電力を系統60または負荷70に供給できるようにノイズがフィルタリングされた交流電力の電圧の大きさを変換し、変換された交流電力を系統60または負荷70に供給することができる。また、実施例によって、交流/交流コンバータ50は省略され得る。
【0042】
系統60とは、多くの発電所、変電所、送配電線および負荷が一体になって電力の発生および利用がなされるシステムである。
【0043】
負荷70は、発電装置10などの発電システムまたはエネルギ貯蔵システム20から電気エネルギの供給を受けて電力を消費(消耗)することができる。
【0044】
エネルギ貯蔵システム(20;ESS;Energy Storage System)は、発電装置10から電気エネルギの供給を受けて充電し、系統60または負荷70の電力需給状況によって、充電された電気エネルギを放電することができる。より具体的には、系統60または負荷70が軽負荷である場合、エネルギ貯蔵システム20は、発電装置10からアイドル電力の供給を受けて充電することができる。系統60または負荷70が過負荷である場合、エネルギ貯蔵システム20は、充電された電力を放電して系統60または負荷70に電力を供給することができる。また、エネルギ貯蔵システム20は、発電装置10と電気的に連結され、インバータ30と電気的に連結され得るように、発電装置10とインバータ30との間に連結され得る。
【0045】
システム制御部80は、エネルギ貯蔵システム20、インバータ30、交流/交流コンバータ50の動作を制御することができる。より具体的には、システム制御部80は、エネルギ貯蔵システム20の充電および放電を制御することができる。系統60または負荷70が過負荷である場合、システム制御部80は、エネルギ貯蔵システム20が電力を供給して系統60または負荷70に電力を伝達できるように制御することができる。系統60または負荷70が軽負荷である場合、システム制御部80は、外部の電力供給源または発電装置10が電力を供給してエネルギ貯蔵システム20に伝達できるように制御することができる。
【0046】
図2は、実施例に係るエネルギ貯蔵システムを説明する図である。
【0047】
図2を参照すると、実施例に係るエネルギ貯蔵システム20は、直流/直流コンバータ100、バッテリ200および充電制御部300を含むことができる。エネルギ貯蔵システム20は、直流リンクキャパシタ90を通じてインバータ30と連結され得る。すなわち、直流リンクキャパシタ90は、エネルギ貯蔵システム20とインバータ30との間に配置され得る。このため、エネルギ貯蔵システム20は、充電モードで直流リンクキャパシタ90の直流電圧Vdc(の入力)を受け、放電モードで直流リンクキャパシタ90に直流電圧Vdcを提供することができる。
【0048】
バッテリ200は、充電モードで直流/直流コンバータ100から充電電力を受信し、受信した電力によって充電動作を行うことができる。また、バッテリ200は、放電モードで予め貯蔵された電力を直流/直流コンバータ100に出力することができる。また、バッテリ200は、充電動作および放電動作を行うために多数のバッテリセルを含むことができる。
【0049】
充電制御部300は、バッテリ管理システム(BMS;Battery Management System)を含むことができる。充電制御部300は、バッテリ200の状態に関するバッテリ状態情報をシステム制御部80に提供することができる。例えば、充電制御部300は、バッテリ200の電圧、電流、温度、残余電力量、充電状態のうちの少なくとも一つをモニタリングし、モニタリングされたバッテリ200の状態情報をシステム制御部80に伝達することができる。また、充電制御部300は、充電または放電しながら多数のバッテリセルが適切な電圧を維持できるようにすることができる。また、充電制御部300は、システム制御部80の制御信号に基づいて動作することができる。また、充電制御部300は、モニタリングされたバッテリ200の状態情報により直流/直流コンバータ100を制御することができる。また、充電制御部300は、充電モードまたは放電モードにより直流/直流コンバータ100を制御することができる。より具体的には、充電制御部300は、直流/直流コンバータ100を制御するための充電制御信号または放電制御信号を直流/直流コンバータ100のコンバータ制御部に提供し、直流/直流コンバータ100のコンバータ制御部は、充電制御信号または放電制御信号に基づいてPWM信号を直流/直流コンバータ100のスイッチに提供することができる。また、充電制御部300は、バッテリ200の放電モードで直流リンクキャパシタ90の初期充電のために直流/直流コンバータ100を制御することができる。すなわち、充電制御部300は、直流/直流コンバータ100を制御するための初期充電制御信号を直流/直流コンバータ100のコンバータ制御部に提供し、直流/直流コンバータ100のコンバータ制御部は、初期充電制御信号に基づいて初期充電スイッチ信号を直流/直流コンバータ100のスイッチに提供することができる。また、充電制御部300は、直流/直流コンバータ100の電力変換効率を増加させるために、直流/直流コンバータ100を制御することができる。より具体的には、充電制御部300は、直流/直流コンバータ100の電力変換効率を上げることができる電力変換効率制御信号を直流/直流コンバータ100のコンバータ制御部に提供し、直流/直流コンバータ100のコンバータ制御部は、電力変換効率制御信号に基づいてPWM信号を直流/直流コンバータ100のスイッチに提供することができる。
【0050】
直流/直流コンバータ100は、エネルギ貯蔵システム20が充電モードで供給されたり放電モードで供給する直流電力の大きさを変換することができる。より具体的には、直流/直流コンバータ100は、発電装置10またはインバータ30から直流リンクキャパシタ90に提供される直流電力をバッテリ200の充電のための電圧の大きさに変換してバッテリ200に提供することができる。また、直流/直流コンバータ100は、バッテリ200で提供する直流電力をインバータ30が利用できる電圧の大きさに変換して直流リンクキャパシタ90に提供することができる。
【0051】
図3は、実施例に係る直流/直流コンバータを説明する図である。
【0052】
図3を参照すると、直流/直流コンバータ100は、エネルギ貯蔵システム20が充電モードで供給されたり放電モードで供給する直流電力の大きさを変換することができる。すなわち、直流/直流コンバータ100は、両方向直流/直流コンバータであり得る。より具体的には、直流/直流コンバータ100は、発電装置10またはインバータ30から直流リンクキャパシタ90に提供される直流電力をバッテリ200の充電のための電圧の大きさに変換してバッテリ200に提供することができる。また、直流/直流コンバータ100は、バッテリ200で提供する直流電力をインバータ30が利用できる電圧の大きさに変換して直流リンクキャパシタ90に提供することができる。また、直流/直流コンバータ100は、直流リンクキャパシタ90で提供される電圧に基づいて、充電モード、アイドル動作モード、放電モードで動作することができる。すなわち、直流/直流コンバータ100は、充電制御部300の制御信号の提供がなくても、直流リンクキャパシタ90で提供される電圧をモニタリングして、充電モード、アイドル動作モードおよび放電モードの動作の有無を決定し動作することができる。
【0053】
直流/直流コンバータ100は、過電流保護回路部110、ブリッジ回路部120、制御部130、直流安定化回路部140およびセンシング部150を含むことができる。
【0054】
制御部130は、ブリッジ回路部120を制御することができる。一例として、制御部130は、充電制御部300から提供された制御信号に基づいてPWM信号を生成してスイッチを含むブリッジ回路部120に提供することができる。他の例として、制御部130は、直流リンクキャパシタ90で提供される電圧の大きさにより動作モードおよび出力電力を決定することができる。また、制御部130は、決定された出力電力に基づいてPWM信号を生成してスイッチを含むブリッジ回路部120に提供することができる。他の例に関する具体的な説明は後述する。
【0055】
過電流保護回路部110は、エネルギ貯蔵システム20の内部に流入したり外部に流出されるEOSまたは過電流を防止することができる。過電流保護回路部110は、直流リンクキャパシタ90が連結された第1段Naとブリッジ回路部120との間に配置され得る。また、過電流保護回路部110は、遮断器(Circuit Breaker)を含むことができる。この場合、過電流保護回路部110は、エネルギ貯蔵システム20の内部にEOSまたは過電流が流入すると、第1段Naとブリッジ回路部120との間をオープン(open)させることができる。これにより、過電流保護回路部110は、エネルギ貯蔵システム20への/からの外部電流の入出力を遮断することができる。
【0056】
ブリッジ回路部120は、過電流保護回路部110と直流安定化回路部140との間に配置されて各構成と電気的に連結され得る。ブリッジ回路部120は、ステップダウンモードで、過電流保護回路部110から入力された直流電力の直流電圧を電圧降下させて直流安定化回路部140に出力することができる。また、ブリッジ回路部120は、ステップアップモードで、直流安定化回路部140から入力された直流電力の直流電圧を電圧上昇させて過電流保護回路部110に出力することができる。ブリッジ回路部120は、一つまたは複数のスイッチを含むことができる。一例として、ブリッジ回路部120は、絶縁型フルブリッジ回路であり得る。他の例として、ブリッジ回路部120は、非絶縁型フルブリッジ回路であり得る。これに制限されるものではなく、ブリッジ回路部120は、ハーフブリッジ回路で構成され得る。ブリッジ回路部120は、制御部130のPWM信号に基づいて動作することができる。
【0057】
直流安定化回路部140は、ブリッジ回路部120のステップアップモードで直流電圧上昇となるように動作し、ステップダウンモードで直流電圧降下となるように動作することができる。また、直流安定化回路部140は、LCフィルタであり得る。直流安定化回路部140は、第2段Nbに連結され得る。
【0058】
センシング部150は、第1段Naの電圧をセンシングして制御部130に提供することができる。第1段Naの電圧は、直流リンクキャパシタ90が提供する直流電圧であり得る。また、センシング部150は、制御部130により制御され得る。
【0059】
したがって、さらに他の実施例では、バッテリの充電または放電の動作モードを速かに決定することができる。また、さらに他の実施例では、バッテリの充電または放電時にドループ制御のために別途の通信線および通信部が不要である。また、さらに他の実施例では、バッテリの充電または放電時に迅速なドループ制御が可能である。
【0060】
図4および図5は、実施例に係る制御部を説明する図であり、図6は、実施例に係るエネルギ貯蔵システムのドループ制御カーブを説明する図であり、図7は、図5の目標電流決定部を説明する図であり、図8は、図5の電流制御部を説明する図である。
【0061】
図4および図5を参照すると、実施例に係る直流/直流コンバータ100の制御部130は、入力部131、動作モード決定部132、傾き演算部133、出力電力値演算部134、目標電流演算部135、電流制御部136を含むことができる。
【0062】
入力部131は、インバータから要求電力値および基準電圧値が入力され、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力され得る。
【0063】
動作モード決定部132は、インバータから入力された要求電力値および基準電圧値を基準として動作モードを決定することができる。より具体的には、制御部130は、要求電力値および基準電圧値が入力されると新しい動作点を設定することになり、動作モード決定部132は、新しく設定された動作点により動作モードを設定することができる。例えば、動作モード決定部132は、基準電圧値および要求電力値により充電、放電モードを判断する臨界(threshold、境界)電圧を演算し、臨界電圧により動作モードを決定することができる。動作モード決定部132は、動作点に対応する電圧値を臨界電圧に設定して、臨界電圧を基準として右側方向の領域を充電領域とし、左側方向は放電領域に決定することができる。すなわち、入力部131および動作モード決定部132は、インバータからインバータ動作領域を受信して動作範囲の設定および判断を行うことができる。また、リンク電圧およびインバータから要求電力値を受信し、これを通じて充電、放電動作モードを決定して出力することができる。
【0064】
例えば、制御部130は、新しく設定された動作点を基準としたドループ制御カーブの傾きを新しく演算し、動作モード決定部132は、以後に入力されるリンク電圧値と動作点とを比較して、充電モード、放電モードまたはアイドル動作モードを決定することができる。例えば、動作モード決定部132は、リンク電圧値が基準電圧値以上であれば、充電モードに決定することができる。または、動作モード決定部132は、リンク電圧値が基準電圧値以下であれば、放電モードに決定することができる。または、動作モード決定部132は、リンク電圧値が基準電圧値と同一であれば、アイドルモードに決定することができる。図6では、インバータの要求電力値が0[W]であり、それによる基準電圧値がデフォルトに設定されている場合を図示した。しかしながら、後述するように、実施例に係る直流/直流コンバータ100は、インバータから要求電力値および基準電圧値が入力されると新しい動作点を設定することになり、動作モード決定部132は、新しく設定された動作点により動作モードを設定することになる。
【0065】
また、図6において、ドループ制御カーブは、最大電力を含んで出力電力が最大電力に制限され得る。具体的には、最大電力は、最大充電電力(PCMax)および最大放電電力(PDMax)を含むことができる。最大充電電力(PCMax)は、動作モードが充電モードで出力電力が最大となり得る電力値であり得る。最大放電電力(PDMax)は、動作モードが放電モードで出力電力が最大となり得る電力値であり得る。
【0066】
また、動作モード決定部132は、バッテリ200の電圧状態により動作モードを決定することができる。より具体的には、動作モード決定部132は、バッテリ200の電圧が所定の電圧以上であれば充電モードで動作することができる。
【0067】
さらに他の例として、動作モード決定部132は、使用者の制御により動作モードおよび出力電力を決定することができる。この場合、使用者は、直接または通信を利用して動作モードおよび出力電力を決定することができる。
【0068】
また、動作モード決定部132は、一例として、他の例およびさらに他の例のうちのいずれか一つの例を選択して動作モードおよび出力電力を決定することができる。
【0069】
傾き演算部133は、基準電圧値および要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算することができる。傾き演算部133は、基準電圧値を基準として右側傾きを演算し、基準電圧値を基準として左側傾きを演算することができる。
【0070】
傾き演算部133は、下記の数式1により基準電圧値を動作点としたドループ制御カーブの右側傾きを演算することができる。
【0071】
<数式1>
【数3】
【0072】
数式1において、Slope1は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの右側傾きであり、PH,Limitは最大充電電力値であり、VH,Limitは最大充電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である。
【0073】
また、傾き演算部133は、下記の数式2により基準電圧値を動作点とした左側傾きを演算することができる。
【0074】
<数式2>
【数4】
【0075】
数式2において、Slope2は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの左側傾きであり、PL,Limitは最大放電電力値であり、VL,Limitは最大放電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である。
【0076】
実施例において、ドループ制御カーブの右側傾きは充電電力傾きであり得、左側傾きは放電電力傾きを意味し得る。充電電力傾きと放電電力傾きとは互いに異なり得、これに制限されるものではなく、互いに同一であってもよい。
【0077】
出力電力値演算部134は、リンク電圧値と基準電圧値との差分を傾きに代入して出力電力値を演算することができる。出力電力値演算部134は、目標電流生成値およびフィードバック電流を利用してデューティ値補償を行うことができる。出力電力値演算部134は、放電モードで、リンク電圧値から基準電圧値を差し引いた差分をドループ制御カーブの左側傾きに積算演算して出力電力値を演算することができる。または、出力電力値演算部134は、充電モードでは、基準電圧値からリンク電圧値を差し引いた差分をドループ制御カーブの右側傾きに積算演算して出力電力値を演算することができる。また、出力電力値演算部134は、演算された傾きによって新しく生成されたドループ制御カーブに目標電力値を反映して電流指令を生成することができる。すなわち、リンク電圧による電力指令を生成し、インバータの要求電力値および基準電圧値による電力指令値を互いに補償して電流指令を生成することができる。目標電流決定部135は、決定された動作モードおよび出力電力に基づいて目標電流を決定することができる。目標電流決定部135は、入出力電圧による基本デューティ値および電流補償デューティ値で最終デューティを決定することができる。目標電流決定部135は、動作モード出力を受信して電流指令をモードに従ってスイッチングすることができる。
【0078】
電流制御部136は、目標電流値をバッテリに出力することができる。電流制御部136は、充電電流制御部1361、放電電流制御部1363およびアイドル制御部1362を含み、出力された動作モードに従って各制御部1361~1363が動作することができる。電流制御部136は、決定された目標電流に基づいてスイッチング信号であるPWM信号を生成することができる。
【0079】
図7は、実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。図7を参照すると、実施例に係る制御部は、インバータから要求電力値および基準電圧値が入力されると新しい動作点を設定することになり、新しく設定した動作点によりドループ制御カーブの傾きを演算する。演算された傾きは、ドループ制御カーブに反映され、新しいドループ制御カーブを生成することになり、制御部は、リンク電圧値を新しいドループ制御カーブに代入して出力電力および目標電流を演算することができる。
【0080】
図8は、実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
【0081】
図8を参照すると、制御部は、インバータから要求電力値0[W]が入力され得る。また、入力部は、直流リンクキャパシタからリンク電圧値400[V]が入力され得る。
【0082】
制御部は、入力された要求電力値により基準電圧値を基準としてドループ制御カーブの右側傾きおよび左側傾きを演算することができる。実施例において、要求電力値が0[W]として入力されたので、ドループ制御カーブの傾きは、初期にセッティング(設定)された350として演算され得る。
【0083】
次に、制御部は、セッティング値である基準電圧値410[V]とリンク電圧値400[V]との差分を演算し、演算された差分をその前に演算された傾きに代入して要求電力値と合算することによって出力電力値を演算することができる。制御部は、放電モードである場合には差分を左側傾きに代入して出力電力値を演算し、充電モードである場合には差分を右側傾きに代入して出力電力値を演算することができる。実施例において、制御部は、差分を演算された傾きに代入した値-3500[W]と要求電力値0[W]とを合算して、出力電力値-3500[W]を算出することができる。
【0084】
次に、制御部は、出力電力値をバッテリ電圧で割って目標電流値を演算することができる。実施例において、制御部は、出力電力値-3500[W]をバッテリ電圧100[V]で割って目標電流値-35[A]を算出することができる。
【0085】
図9は、実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
【0086】
図9を参照すると、入力部は、インバータから要求電力値-4500[W]が入力され得る。また、入力部は、直流リンクキャパシタからリンク電圧値425[V]が入力され得る。
【0087】
制御部は、入力された要求電力値により基準電圧値425[V]を基準としてドループ制御カーブの右側傾きおよび左側傾きを演算することができる。実施例において、要求電力値および基準電圧値により動作点が変更され、変更された動作点によりドループ制御カーブの左側傾きが初期セッティング値である350から71.42に変更されて反映され得る。
【0088】
次に、制御部は、セッティング値である基準電圧値425[V]とリンク電圧値425[V]との差分を演算し、演算された差分をその前に演算された傾きに代入して要求電力値と合算することによって出力電力値を演算することができる。制御部は、放電モードである場合には差分を左側傾きに代入して出力電力値を演算し、充電モードである場合には差分を右側傾きに代入して出力電力値を演算することができる。実施例において、制御部は、差分を演算された傾きに代入した値0[W]と要求電力値-4500[W]とを合算して出力電力値-4500[W]を算出することができる。
【0089】
次に、制御部は、出力電力値をバッテリ電圧で割って目標電流値を演算することができる。実施例において、制御部は、出力電力値-4500[W]をバッテリ電圧100[V]で割って目標電流値-45[A]を算出することができる。
【0090】
制御部は、演算された目標電流値をバッテリに出力することができる。
【0091】
このように、実施例に係る直流/直流コンバータは、インバータから要求電力値が入力されてドループ制御カーブの傾きを新しく算出し、新しく算出された傾きが反映されたドループ制御カーブによりバッテリに出力される電流を算出することによって、直流/直流コンバータの動作点を変更することができる。また、物理的電圧変動なしで速やかな応答が可能であり、全動作区間で充電、放電、アイドル区間運転を行うことが可能である。
【0092】
図10は、実施例に係る制御部の動作領域を説明するための電圧-電力平面を示す図である。
【0093】
図10を参照すると、入力部は、インバータから要求電力値-4500[W]が入力され得る。また、入力部は、直流リンクキャパシタからリンク電圧値425[V]が入力され得る。
【0094】
制御部は、入力された要求電力値により基準電圧値395[V]を基準としてドループ制御カーブの右側傾きおよび左側傾きを演算することができる。実施例において、要求電力値および基準電圧値により動作点が変更され、変更された動作点によりドループ制御カーブの左側傾きが初期セッティング値である350から100に変更されて反映され得る。
【0095】
次に、制御部は、セッティング値である基準電圧値395[V]とリンク電圧値425[V]との差分を演算し、演算された差分をその前に演算された傾きに代入して要求電力値と合算することによって出力電力値を演算することができる。制御部は、放電モードである場合には差分を左側傾きに代入して出力電力値を演算し、充電モードである場合には差分を右側傾きに代入して出力電力値を演算することができる。実施例において、制御部は、差分30[V]を演算された傾き100に代入した値3000[W]と要求電力値-4500[W]とを合算して出力電力値-1500[W]を算出することができる。
【0096】
次に、制御部は、出力電力値をバッテリ電圧で割って目標電流値を演算することができる。実施例において、制御部は、出力電力値-1500[W]をバッテリ電圧100[V]で割って目標電流値-15[A]を算出することができる。
【0097】
制御部は、演算された目標電流値をバッテリに出力することができる。
【0098】
このように、実施例に係る直流/直流コンバータは、インバータから要求電力値が入力されてドループ制御カーブの傾きを新しく算出し、新しく算出された傾きが反映されたドループ制御カーブによりバッテリに出力される電流を算出することによって、直流/直流コンバータの動作点を変更することができる。また、物理的電圧変動なしで速やかな応答が可能であり、全動作区間で充電、放電、アイドル区間運転を行うことが可能である。
【0099】
図11は、実施例に係る直流/直流コンバータ制御方法の動作フローチャートである。図11を参照すると、まず、入力部は、インバータから要求電力値が入力され得る(S1101)。
【0100】
次に、入力部は、インバータから基準電圧値が入力され得る(S1102)。
【0101】
次に、動作モード決定部は、基準電圧値および要求電力値により充電、放電モードを判断する臨界電圧を演算することができる(S1103)。
【0102】
次に、制御部は、臨界電圧を中心に、基準電圧値および要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算することができる(S1104)。
【0103】
次に、入力部は、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力され得る(S1105)。
【0104】
次に、制御部は、リンク電圧値と基準電圧値との差分を傾きに代入して出力電力値を演算することができる(S1106)。
【0105】
次に、制御部は、出力電力値による目標電流値を演算することができる(S1107)。
【0106】
次に、制御部は、目標電流値をバッテリに出力することができる(S1108)。
【0107】
図12は、既存ドループ制御と比較した提案したドループ制御に関する動作領域拡大の利点を説明する図である。
【0108】
図12を参照すると、既存の直流/直流コンバータの場合、充電電圧、放電電圧がインバータ別に固定されており、これに伴い、充電動作領域と放電動作領域とが事前に定められた範囲内に限定されるという短所があった。これに比べて、実施例に係る直流/直流コンバータの場合、動作点によりリアルタイムでドループ制御カーブを新しく演算して適用することによって、動作領域が互いに異なる多様なメーカのインバータとマッチング可能であるので、互換性および制御安全性を向上させることができる。
【0109】
本実施例で使われる「~部」という用語は、ソフトウェアまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)もしくはASICなどのハードウェア構成要素を意味し、「~部」は、何らかの役割を行う。しかしながら、「~部」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「~部」は、アドレッシングできる記憶(保存)媒体にあるように構成されてもよく、一つまたは複数のプロセッサを再生させるように構成されてもよい。したがって、一例として「~部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト(客体)指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素などの構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ、および変数を含む。構成要素および「~部」内で提供される機能は、さらに小さい数の構成要素および「~部」に結合されたり、追加的な構成要素および「~部」にさらに分離され得る。それだけでなく、構成要素および「~部」は、デバイスまたはセキュリティマルチメディアカード内の一つまたは複数のCPUを再生させるように具現されてもよい。
【0110】
上記では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることを理解できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図4および図5は、実施例に係る制御部を説明する図であり、図6は、実施例に係るエネルギ貯蔵システムのドループ制御カーブを説明する図であり、図7は、図5の目標電流演算部を説明する図であり、図8は、図5の電流制御部を説明する図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
出力電力値演算部134は、リンク電圧値と基準電圧値との差分を傾きに代入して出力電力値を演算することができる。出力電力値演算部134は、目標電流生成値およびフィードバック電流を利用してデューティ値補償を行うことができる。出力電力値演算部134は、放電モードで、リンク電圧値から基準電圧値を差し引いた差分をドループ制御カーブの左側傾きに積算演算して出力電力値を演算することができる。または、出力電力値演算部134は、充電モードでは、基準電圧値からリンク電圧値を差し引いた差分をドループ制御カーブの右側傾きに積算演算して出力電力値を演算することができる。また、出力電力値演算部134は、演算された傾きによって新しく生成されたドループ制御カーブに目標電力値を反映して電流指令を生成することができる。すなわち、リンク電圧による電力指令を生成し、インバータの要求電力値および基準電圧値による電力指令値を互いに補償して電流指令を生成することができる。目標電流演算部135は、決定された動作モードおよび出力電力に基づいて目標電流を決定することができる。目標電流演算部135は、入出力電圧による基本デューティ値および電流補償デューティ値で最終デューティを決定することができる。目標電流演算部135は、動作モード出力を受信して電流指令をモードに従ってスイッチングすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータから要求電力値が入力される段階と、
前記インバータから基準電圧値が入力される段階と、
前記基準電圧値および前記要求電力値によりドループ(droop)制御カーブの傾きを演算する段階と、
前記基準電圧値および前記要求電力値により充電、放電モードを判断する臨界電圧を演算する段階と、
直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される段階と、
前記リンク電圧値と前記基準電圧値との差分を前記傾きに代入して出力電力値を演算する段階と、
前記出力電力値による目標電流値を演算する段階と、を有する、直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項2】
前記ドループ制御カーブの傾きを演算する段階は、
前記基準電圧値を基準として右側傾きを演算する段階と、
前記基準電圧値を基準として左側傾きを演算する段階と、を有する、請求項1に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項3】
前記右側傾きを演算する段階は、下記の数式1により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの右側傾きを演算し、
<数式1>
【数1】
前記数式1において、Slope1は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの右側傾きであり、PH,Limitは最大充電電力値であり、VH,Limitは最大充電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項2に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項4】
前記左側傾きを演算する段階は、下記の数式2により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの左側傾きを演算し、
<数式2>
【数2】
前記数式2において、Slope2は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの左側傾きであり、PL,Limitは最大放電電力値であり、VL,Limitは最大放電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項2または3に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項5】
前記目標電流値をバッテリに出力する段階をさらに有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流/直流コンバータ制御方法。
【請求項6】
インバータから要求電力値および基準電圧値が入力され、直流リンクキャパシタからリンク電圧値が入力される入力部と、
前記基準電圧値および前記要求電力値によってドループ制御カーブの傾きを演算し、前記リンク電圧値と前記基準電圧値との差分を前記傾きに代入して出力電力値を演算し、前記出力電力値による目標電流値を演算する制御部と、を有する、直流/直流コンバータ。
【請求項7】
前記制御部は、前記基準電圧値を基準として右側傾きを演算し、前記基準電圧値を基準として左側傾きを演算する、請求項6に記載の直流/直流コンバータ。
【請求項8】
前記制御部は、下記の数式3により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの右側傾きを演算し、
<数式3>
【数3】
前記数式3において、Slope1は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの右側傾きであり、PH,Limitは最大充電電力値であり、VH,Limitは最大充電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項7に記載の直流/直流コンバータ。
【請求項9】
前記制御部は、下記の数式4により前記基準電圧値および前記要求電力値を動作点とするドループ制御カーブの左側傾きを演算し、
<数式4>
【数4】
前記数式4において、Slope2は基準電圧値を基準としたドループ制御カーブの左側傾きであり、PL,Limitは最大放電電力値であり、VL,Limitは最大放電電力開始電圧値であり、Psetはインバータから入力された要求電力値であり、Vrefはインバータから入力された基準電圧値である、請求項7または8に記載の直流/直流コンバータ。
【請求項10】
前記制御部は、前記目標電流値をバッテリに出力する、請求項6~9のいずれか一項に記載の直流/直流コンバータ。
【国際調査報告】