(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】多層球状粒子の製造方法及びそれにより製造された多層球状粒子を含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
B01J 13/22 20060101AFI20231214BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/88 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20231214BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B01J13/22
A61K8/11
A61K8/92
A61K8/31
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/65
A61K8/85
A61K8/88
A61K8/86
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532234
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 KR2021017466
(87)【国際公開番号】W WO2022114802
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161247
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519051964
【氏名又は名称】エイチ アンド エー ファーマケム カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】H&A PHARMACHEM CO., LTD
【住所又は居所原語表記】48, Bucheon-ro 186beon-gil, Wonmi-gu Bucheon-si Gyeonggi-do 14558, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ホン グン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン ア
(72)【発明者】
【氏名】カン,ユ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン オク
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ ギョン
【テーマコード(参考)】
4C083
4G005
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
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4C083AC072
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC331
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC582
4C083AD042
4C083AD051
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
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4C083AD151
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4C083AD162
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4C083AD212
4C083AD222
4C083AD241
4C083AD252
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4C083AD262
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4C083AD352
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4C083AD431
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4C083AD532
4C083AD622
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4C083BB26
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4G005AA01
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4G005CA02
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4G005DB12X
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4G005DB13Z
4G005DB19Y
4G005DB19Z
4G005DB22X
4G005EA03
(57)【要約】
本発明は、多層球状粒子の製造方法に関し、より詳しくは、(i)有効成分を含むコア(core)成分及び第1のポリマー成分を含むシェル(shell)溶液を製造する工程;(ii)前記工程(i)のコア成分及びシェル溶液を電気共押出によってコア-シェル粒子を形成する工程;(iii)前記工程(ii)で得られたコア-シェル粒子を乾燥する工程;(iv)前記工程(iii)の乾燥したコア-シェル粒子を第2のポリマーでカプセル化する工程;を含む多層球状粒子の製造方法に関する。また、本発明は、前記方法によって製造された多層球状粒子を含む化粧料組成物に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)有効成分を含むコア(core)成分及び第1のポリマー成分を含むシェル(shell)溶液を製造する工程;
(ii)前記工程(i)のコア成分及びシェル溶液を電気共押出によりコア-シェル粒子を形成する工程;
(iii)前記工程(ii)で得られたコア-シェル粒子を乾燥する工程;及び
(iv)前記工程(iii)の乾燥したコア-シェル粒子を第2のポリマーでカプセル化する工程;
を含む多層球状粒子の製造方法。
【請求項2】
前記工程(i)の有効成分が、油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、エステル及びそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項3】
前記工程(i)の有効成分が、共有結合性有機構造体(COF)と複合体を形成することを特徴とする請求項2に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項4】
前記工程(i)の第1のポリマーが、ナノセルロース、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、キサンタンガム、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アカシアガム、グアーガム(guar gum)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、ヒアルロン酸、コラーゲン、プルラン、ポリグリコリド(PGA)、寒天(agar)、アラビアガム、カラギーナンガム、ジェランガム(gellan gum)、カラヤガム(karaya gum)、メチルセルロース、ローカストビーンガム(locust bean gum)、アルギネート、アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、スクシニルキトサン、プルランラクチド、キトサン、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体、ポロキサーマ407、アセチルヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項5】
前記工程(i)のシェル溶液中の第1のポリマーの濃度が、1~50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項6】
前記工程(ii)におけるコア成分の電気共押出が、0.1~10mL/分の流速で行われることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項7】
前記工程(ii)におけるシェル溶液の電気共押出が、0.5~20mL/分の流速で行われることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項8】
前記工程(ii)における電気共押出が、1,000~5,000ボルト(V)で行われることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項9】
前記工程(ii)における電気共押出において、硬化剤として塩化カルシウム溶液が用いられることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項10】
前記工程(iii)の乾燥が、60~90℃で行われることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項11】
前記工程(iv)の第2のポリマーが、コラーゲン、ヒアルロン酸、プルラン、プロテオグリカン、ベータグルカン、グルカン、ポリグルタミン酸、キトサン及びそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項12】
前記製造された多層球状粒子の直径が、200~1,500μmであることを特徴とする請求項1に記載の多層球状粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法によって製造された多層球状粒子を含む化粧料組成物。
【請求項14】
多層球状粒子を0.1~50重量%で含むことを特徴とする請求項13に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層球状粒子の製造方法に関し、より詳しくは、(i)有効成分を含むコア(core)成分及び第1のポリマー成分を含むシェル(shell)溶液を製造する工程;(ii)前記工程(i)のコア成分及びシェル溶液を電気共押出によりコア-シェル粒子を形成する工程;(iii)前記工程(ii)で得られたコア-シェル粒子を乾燥する工程;
(iv)前記工程(iii)の乾燥したコア-シェル粒子を第2のポリマーでカプセル化する工程;を含む多層球状粒子の製造方法に関するものである。
また、本発明は、前記方法に従って製造された多層球状粒子を含む化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧品の多様化に伴い、化粧品には効能だけでなく美容機能も求められるようになった。このように、化粧品開発者は、審美性に優れた製品だけでなく、多機能で使いやすく効果的な製品を生み出すために努力している。
一方、有効成分をより安定的に送達するための一つの方法としてカプセル化(encapsulation)技術がある。カプセル化とは、ポリマーでできた小さい構造体に機能性物質を閉じ込め、物理化学的安定性、揮発性及び臭気の抑制、分散性の向上及び固化による適用範囲の拡大、放出制御による毒性の低減及び機能性効果の向上を実現する技術である。このようなカプセル化構造体は、通常、コア-シェル(core-shell)からなるカプセル形態又はコア-マトリックス(core-matrix)からなる粒子形態を有する。このようなカプセル化技術は、化粧品分野ではまだ積極的に適用されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の技術的課題は、美容成分を安定した形態で効率的に皮膚に送達し、優れた審美感を付与することができる多層球状粒子の製造方法を提供することである。
また、本発明の別の技術的課題は、前記方法に従って製造された多層球状粒子を含む化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために本発明は、
(i)有効成分を含むコア(core)成分及び第1のポリマー成分を含むシェル(shell)溶液を製造する工程;
(ii)前記工程(i)のコア成分及びシェル溶液を電気共押出によりコア-シェル粒子を形成する工程;
iii)前記工程(ii)で得られたコア-シェル粒子を乾燥する工程;及び
iv)前記工程(iii)の乾燥したコア-シェル粒子を第2のポリマーでカプセル化する工程;
を含む多層球状粒子の製造方法を提供する。
また、別の目的を達成するために、本発明は、前記方法に従って製造された多層球状粒子を含む化粧料(cosmetic)組成物を提供する。
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の一側面によれば、(i)有効成分を含むコア(core)成分及び第1のポリマー成分を含むシェル(shell)溶液を製造する工程;(ii)前記工程(i)のコア成分及びシェル溶液を電気共押出によりコア-シェル粒子を形成する工程;(iii)前記工程(ii)で得られたコア-シェル粒子を乾燥する工程;及び(iv)前記工程(iii)の乾燥したコア-シェル粒子を第2のポリマーでカプセル化する工程;を含む多層球状粒子の製造方法が提供される。
【0006】
本発明による多層球状粒子の製造方法の工程(i)では、有効成分を含むコア成分及び第1のポリマー成分を含むシェル溶液が製造される。
本発明による一実施形態において、前記有効成分は、例えば、油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、エステル及びそれらの混合物からなる群から選ばれるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記油は、例えば、マカダミアナッツ油、オリーブ油、ホホバ油、ひまわり種子油、アルガン油、ツバキ油、アボカド油、大豆油、ブドウ種子油、ヒマシ油、ヌカ油などが使用されるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記ワックスは、例えば、カルナバ・ワックス、カンデリラワックス、ホホバ油、蜜ろう、ラノリン(lanolin)などが使用されるが、これらに限定されない。
本発明による他の実施形態において、前記炭化水素は、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン(登録商標)(petroleum jelly)、セレシン(ceresin)、微晶質ワックス(microcrystalline wax)、スクアランなどが使用されるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記高級脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸などが使用されるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記高級アルコールは例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデシルアルコール、リンゴ酸ジイソステアリルなどが使用されるが、これらに限定されない。
【0007】
本発明による別の実施形態において、前記シリコーンは、例えば、ジメチコン(ポリジメチルシロキサン)、シクロジメチコン類、シリコーン高分子類、シリコーン油などが使用されるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記エステルは、例えば、エチルヘキサン酸セチル、PEG-20グルセリルトリイソステアレート、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、グルセリルトリ(2-エチルシヘキサノエート)、イソノニルイソノナノエート、イソノナン酸エチルヘキシル、エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールジエチルヘキサノエート、オクチルドデシルミリステート、ペンタエリトリトールテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリトリトールテトライソステアレート、イソトリデシルイソノナノエート、トリメチロールプロパントリイソステアレート、スクアラなどが使用されるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記有効成分として油溶性の美容成分、例えば、レチノール、レチナール、グリシルリジン酸、シカパウダー(cica powder)、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、イデベノン(idebenone)、共役リノール酸(CLA)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンD、リノレン酸、ビオチンなどを使用することができる。
本発明による別の実施形態において、前記有効成分は、共有結合性有機構造体(COF)と複合体を形成することができる。共有結合性有機構造体は、拡張構造を有する2次元又は3次元の有機固体であり、構成要素(building blocks)が強い共有結合によって連結されている。本発明による別の実施形態では、前記有効成分は、例えば、シクロデキストリン(cyclodextrin)ベースの共有結合性有機構造体と複合体を形成することができる。
【0008】
本発明による別の実施形態において、前記第1のポリマーは、ナノセルロース、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、キサンタンガム、カルボマー、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー、アカシアガム、グアーガム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、ヒアルロン酸、コラーゲン、プルラン、ポリグリコリド(PGA)、寒天(agar)、アラビアガム、カラギーナンガム、ジェランガム、カラヤガム、メチルセルロース、ローカストビーンガム、アルギネート、アルギン酸ナトリウム、グルコマンナン、スクシニルキトサン、プルランラクチド、キトサン、ポリエチレングリコール(PEG)-ポリカプロラクトン(PCL)-ポリエチレングリコール(PEG)のトリブロック共重合体、ポロキサーマ407(Pluronic(登録商標)、MF-127)、アセチルヒドロキシプロピルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選ばれるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記第1のポリマーとして2種以上のポリマーの混合物を使用することができる。
本発明による別の実施形態において、前記第1のポリマーとして3種以上のポリマーの混合物を使用することができる。
本発明による別の実施形態において、前記シェル溶液中の第1のポリマーの濃度は、1~50重量%、2~45重量%又は5~40重量%であってもよい。
【0009】
本発明による多層球状粒子の製造方法の(ii)工程では、有効成分を含むコア成分及び第1のポリマー成分を含むシェル溶液を電気共押出によりコア-シェル粒子を形成する。
電気共押出では、電場下で2本の同軸キャピラリーから異なる物質が押し出され、コア-シェルカプセルを形成される(
図1)。捕集しようする芯材(コア)の特性による影響が小さいため、各種機能性物質又はその混合物の捕集に容易に適用でき、捕集効率が非常に優れている。
本発明による別の実施形態において、前記コア成分の電気共押出は、0.1~10mL/分、0.2~8mL/分又は0.5~5mL/分の流速で行うことができる。
本発明による別の実施形態において、前記シェル溶液の電気共押出は、0.5~20mL/分、1~15mL/分又は3~12mL/分の流速で行うことができる。
本発明による別の実施形態において、前記電気共押出成形が、1,000~5,000ボルト(V)、1,500~4,000ボルト(V)又は2,000~3,000ボルト(V)で行うことができる。
本発明による別の実施形態において、塩化カルシウム溶液を前記電気共押出における硬化剤として使用することができる。
【0010】
本発明による多層球状粒子の製造方法の工程(iii)では、工程(ii)で得られたコア-シェル粒子を乾燥する。
本発明による別の実施形態において、前記コア-シェル粒子の乾燥は、60~90℃で行うことができる。
本発明による多層球状粒子の製造方法の工程(iv)では、工程(iii)で得られた乾燥したコア-シェル粒子を第2のポリマーでカプセル化して、多層球状粒子を製造する。
前記第2のポリマーによるカプセル化は、当該技術分野において公知の方法で行うことができ、特に限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記第2のポリマーは、美容成分として作用できるポリマー、例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、プルラン、プロテオグリカン、ベータグルカン、グルカン、ポリグルタミン酸、キトサン及びそれらの混合物からなる群から選ばれるが、これらに限定されない。
本発明による別の実施形態において、前記方法に従って製造された多層球状粒子の直径は、200~1,500μmである。
【0011】
本発明の別の側面によれば、前記方法で製造された多層球状粒子を含む化粧料(cosmetic)組成物が提供される。
本発明において、化粧料組成物は、化粧水、乳液、ボディーローション、クリーム、エッセンス、アンプル、BB(blemish balm)クリームなどの各種製品に剤形化されるが、これらに限定されない。本発明において、化粧料組成物は、製剤の必要に応じて様々な量の多層球状粒子を含むことができ、例えば、多層球状粒子は0.1~50重量%の量で含まれ得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、捕集効率に優れ、各種有効成分の生産効率が高い多層球状粒子を製造することができる。本発明により製造された多層球状粒子は、有効成分を皮膚内に効率的に安定して送達することができるだけでなく、外観が良好であり、優れた審美感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施例1で製造された多層球状粒子の拡大写真である。
【
図3】実施例1で製造された多層球状粒子の粒径を測定した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明の保護範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0015】
実施例1:ゼラチン/アカシアガム/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表1の組成に従って成分Aからシェル溶液を製造し、成分Bのコア成分及び硬化剤として1%塩化カルシウムを精製水に溶解することによって製造した。次にエンカプスレーター B-390(Buchi社製、スイス)を使用して、以下の条件で電気共押出を行ってコア-シェル粒子を得た。
-ノズル:150μm(コア)、400μm(シェル)
-流速:1.5mL/min(コア)、10mL/min(シェル)
-周波数:600Hz
-圧力:0.5bar
-振幅:3
-電荷:2,300V
【0016】
得られたコア-シェル粒子を80℃で12時間乾燥した後、乾燥したコア-シェル粒子を容器に入れ、成分Cをゆっくりと加えた。その後、羽根付き分散機で10分間混合してカプセル化して、多層の球状粒子を製造した。
【表1】
【0017】
実施例2:アルギネート/ナノセルロース/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表2の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表2】
【0018】
実施例3:アルギネート/アカシアガム/カラギーナンガムを用いた多層球状粒子の製造
下記表3の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表3】
【0019】
実施例4:キサンタンガム/PVA/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表4の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表4】
【0020】
実施例5:PVP/グアーガム/アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表5の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表5】
【0021】
実施例6:アラビアガム/ジェランガム/ローカストビーンガムを用いた多層球状粒子の製造
下記表6の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表6】
【0022】
実施例7:グルコマンナン/ジェランガム/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表7の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表7】
【0023】
実施例8:スクシニルキトサン/プルランラクチド/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表8の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表8】
【0024】
実施例9:スクシニルキトサン/PEG-PCL-PEG/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表9の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表9】
【0025】
実施例10:スクシニルキトサン/ナノセルロース/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表10の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表10】
【0026】
実施例11:スクシニルキトサン/アセチルヒドロキシプロピルセルロース/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表11の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表11】
【0027】
実施例12:スクシニルキトサン/ポロキサーマ407/カルボマーを用いた多層球状粒子の製造
下記表12の組成で、実施例1と同様の方法で多層球状粒子を製造した。
【表12】
【0028】
実施例13及び比較例:多層球状粒子含有及び未含有ローションの製造
下記表13の組成で、各成分を容器に入れ、80℃で溶解後、ホモミキサーで5分間混合し、冷却し、脱気してローションを得た。
【表13】
【0029】
実施例14:多層球状粒子含有ボディーローションの製造
下記表14の組成で、各成分を容器に入れ、80℃で溶解後、ホモミキサーで5分間混合し、冷却、脱気してボディーローションを得た。
【表14】
【0030】
実施例15:多層球状粒子含有クリームの製造
下記表15の組成で、各成分を容器に入れ、80℃で溶解し、ホモミキサーで5分間混合後し、冷却し、脱気してクリームを得た。
【表15】
【0031】
実施例16:多層球状粒子含有エッセンスの製造
下記表16の組成で、各成分を容器に入れ、80℃で溶解し、ホモミキサーで5分間混合後し、冷却し、脱気してエッセンスを得た。
【表16】
【0032】
実施例17:多層球状粒子含有透明エッセンスの製造
下記表17の組成で、各成分を容器に入れ、80℃で溶解し、ホモミキサーで5分間混合後し、冷却し、脱気して透明なエッセンスを得た。
【表17】
【0033】
実施例18:多層球状粒子含有BBクリームの製造
成分Aは、3本ローラー分散混合装置を用いた3回の処理により製造された。成分Bを製造部に入れて75~80℃に加熱し、3本ローラー分散混合装置で処理した成分Aを加えて分散させた。別途の容器に成分Cを溶解し、ホモミキサーで撹拌しながら80~85℃で加熱した。前記で製造した成分に加え、10分間乳化させた。乳化終了後、撹拌機で撹拌しながら45℃まで冷却し、再度25℃まで冷却し、容器に入れて熟成させた。
【表18】
【0034】
実験例1:多層球状粒子の粒径測定
実施例1で製造された多層球状粒子の粒径を粒径測定器(Mastersizer 2000、 MLAVERN社製、UK)を利用して測定して結果を
図3に示した。測定結果から、測定結果粒子の粒径は438~1,092μmであることが分かった。
【0035】
実験例2:レチノール含量の変化の測定
実施例13及び比較例のローションについて、25℃の遮光条件及び40℃の光露光に保ち、7日間隔で1カ月間のレチノールの含量の変化を定量分析した。装置としては、HPLC(Waters社製、USA)を使用し、分析条件は以下の通りである。分析された結果を表19に示し、括弧内に40℃での露光条件を示す。。
-検出器:UV-分光光度計(325nm)
-カラム: C18 (3.9×150 mm)
-流速:1.0 mL/分
-移動相: メタノール:H2O(90:10)
【0036】
【0037】
実験例3:経皮吸収促進効果実験
人工皮膚Neodermを(Tego Science, Korea)をフランツ型拡散セル(Lab Fine Instruments, Korea)に取り付けた。フランツ型拡散セルのレセプターセル(5mL)に50mMリン酸塩バッファー(pH7.4、0.1M NaCl)を加えた。次いで、拡散セルを混合し、32℃、600rpmで拡散させ、実施例13のローション及び比較例のローション50μLをそれぞれドナーセルに加えた。所定の時間に従って吸収及び拡散を行い、吸収及び拡散行われた皮膚の面積は0.64cm2であった。有効成分の吸収・拡散終了後、吸収されずに皮膚に残った残留物を乾燥キムワイプ(登録商標)又は10mLのエタノールで洗浄した。有効成分が吸収・拡散した皮膚をチップ型ホモジナイザーを用いて均質化し、皮膚に吸収されたレチノールを4mLのジクロロメタンで抽出した。次いで、抽出液を0.45μmのナイロン膜でろ過した。レチノールの含量は、以下の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、その結果を表20に示した。
【0038】
【0039】
前記表20から分かるように、本発明によるローションは、一般的なローションに比べて経皮吸収性に優れたいることが確認された。
【0040】
実験例4:皮膚保湿力の測定
実施例13及び比較例のローションを塗布した後、Corneometer CM850(Courage + Khazaka electronic GmbH, Germany)により保湿力を測定し、その結果を表21に示した。表21から分かるように、多層球状粒子を含有したローションは、それを含まないローションに比べて保湿力に優れていることがわかる。
【0041】
【国際調査報告】