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特表2023-553357イタコネートモノマーに基づく接着剤二成分組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】イタコネートモノマーに基づく接着剤二成分組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/16 20060101AFI20231214BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20231214BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C09J175/16
C09J4/02
C09J11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532280
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 FR2021052127
(87)【国際公開番号】W WO2022117940
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】2012462
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040FA131
4J040FA291
4J040JA13
4J040KA03
4J040KA05
4J040KA21
4J040KA42
4J040LA06
4J040NA15
4J040NA19
(57)【要約】
本発明は、
- 少なくとも2個の(メタ)アクリレート末端官能基を含む少なくとも1種のポリウレタンP;
- 少なくとも1種の還元剤;および
- 以下の式(I):
[式中、RおよびRの各々は互いに独立に有機ラジカルを表す]
の少なくとも1種のイタコネートモノマー;
- 少なくとも1種のコアシェル耐衝撃性改良剤
を含む成分Aと、
- 少なくとも1種の酸化剤;および
- 場合により少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーM1
を含む成分Bと
を含む、二成分接着剤組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも2個の(メタ)アクリレート末端官能基を含む少なくとも1種のポリウレタンP;
- 少なくとも1種の還元剤;および
- 以下の式(I):
[式中、RおよびRの各々は互いに独立に有機ラジカルを表す]
の少なくとも1種のイタコネートモノマー;
- 少なくとも1種のコアシェル耐衝撃性改良剤
を含む成分Aと、
- 少なくとも1種の酸化剤;および
- 場合により少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーM1
を含む成分Bと
を含む、二成分接着剤組成物。
【請求項2】
23℃でのBrookfield粘度が20000mPa.s~150000mPa.s、好ましくは30000mPa.s~100000mPa.s、さらにより優先的には40000~80000mPa.sの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
式(I)において、RおよびRの各々が、互いに独立に、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、またはアルキルヘテロシクロアルキルを表し、前記基が場合により置換されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
およびRの各々が、互いに独立に、C~C15アルキル、C~C15アルケニル、ハロ(C~C15)アルキル、C~C12シクロアルキルもしくはハロ(C~C12)シクロアルキル基、複素環、アリール、ヘテロアリール、またはアルコキシ(C~C15)アルキルを表し、その各々が以下のラジカル:C~C15アルキル、ハロ(C~C15アルキル)、C~C12シクロアルキル、ハロ(C~C12シクロアルキル)、複素環、アリール、ヘテロアリール、C~C15アルコキシ、C~C15アルキルチオ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシルオキシ、カルボキシ、またはエステルのうちの少なくとも1つにより置換されていてもよいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
式(I)のイタコネートが、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジ-n-ブチルイタコネート、ジ-イソブチルイタコネート、ジシクロヘキシルイタコネート、ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)イタコネート、ジフェニルイタコネート、ジベンジルイタコネート、エチルイソボルニルイタコネート、エチルシクロヘキシルイタコネート、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
成分Aにおける式(I)のイタコネートモノマーの全含有量が、成分Aの全重量に対して40重量%を超え、好ましくは45重量%以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
ポリウレタンPが、700g/mol以上、好ましくは900g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
ポリウレタンPが、少なくとも3個の(メタ)アクリレート官能基、好ましくは6個の(メタ)アクリレート官能基を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
成分AにおけるポリウレタンPの全含有量が、成分Aの全重量に対して50重量%以下、好ましくは40重量%以下であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
成分Aが、2個の(メタ)アクリレート末端官能基を含むポリウレタンP1、および2個を超える(メタ)アクリレート末端官能基を含むポリウレタンP2(P1とは異なる)を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
コアシェル耐衝撃性改良剤のコアが、イソプレンホモポリマー、ブタジエンホモポリマー、イソプレン-ブタジエンのコポリマー、イソプレンとビニルモノマーとのコポリマー、およびブタジエンとビニルモノマーとのコポリマーから選択されるポリマーL1を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
コアシェル耐衝撃性改良剤のシェルが、(メタ)アクリル系モノマーから得られるポリマーL2、例えばC~C12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるものなどを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
本発明の組成物中の成分A/成分Bの体積比が、20/1~1/1、優先的には10/1~1/1の範囲であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
2つの別々の区画にパッケージされた、請求項1から13のいずれか一項に記載の成分Aおよび請求項1から13のいずれか一項に記載の成分Bの両方を備える、使用準備済みキット。
【請求項15】
輸送機関、自動車(乗用車、バス、またはトラック)、船舶、組立体、電子機器、電池、または建築分野の材料の、修復用および/または構造用もしくは半構造用接着剤接合における、請求項1から13のいずれか一項に記載の接着剤組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分のイタコネート-モノマー系接着剤組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、輸送機関、自動車(乗用車、バス、またはトラック)、船舶、組立体、電子機器、電池、または建築分野の材料の、修復用、および/または構造用もしくは半構造用接着剤接合における、前記組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
アクリル系組成物はラジカル重合により架橋する既知の反応系である。それらは接着剤、マスチック、およびコーティングとして使用される。ラジカル重合は典型的には、酸化還元反応によりラジカルの生成をもたらすレドックス系によって開始される。
【0004】
大部分のアクリル系は二成分系である。第1の成分は、従来還元剤および反応性モノマーを含有し、第2の成分は酸化剤を含有する。2つの成分が混合されると、還元剤は例えば有機過酸化物のO-O結合の開裂を誘発し、重合を開始させる。
【0005】
アクリレートおよびメタクリレート、特にアルキルラジカルを有するものは、高い蒸気圧を有するモノマーである。その結果として、それらは塗布されると臭気がある。
【0006】
これらの成分の代替物が開発されてきた。しかし、これらの代替組成物では良好な接着特性および/または機械的特性を得ることができるようにならない。
【0007】
したがって、低臭気性および良好な機械的特性(例えば、良好な接着特性など)の両方を有する新しい組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の明細書において、別段指示がない限り、以下の通りである:
- パーセントの形態で表される量は重量/重量パーセントに相当する;
- アルコール系化合物のヒドロキシル価は製品1グラム当たりのヒドロキシル官能基の数を表し、これは製品1グラム当たりのヒドロキシル官能基の定量において使用される水酸化カリウム(mg KOH/g)のミリグラムの当量数の形態で表される;
- 23℃(または100℃)における粘度測定は、Brookfield粘度計を使用し規格ISO 2555に従って行うことができる。典型的には、23℃(または100℃)における測定は、粘度範囲に適したスピンドルを有するBrookfield RVT粘度計を使用して毎分20回転(rpm)の回転速度で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
組成物
本発明は、
- 少なくとも2個の(メタ)アクリレート末端官能基を含む少なくとも1種のポリウレタンP;
- 少なくとも1種の還元剤;および
- 以下の式(I):
[式中、RおよびRの各々は互いに独立に有機ラジカルを表す]
の少なくとも1種のイタコネートモノマー;
- コアシェル型構造を有する少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(またはコアシェル耐衝撃性改良剤)
を含む成分Aと、
- 少なくとも1種の酸化剤;および
- 場合により少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーM1
を含む成分Bと
を含む、二成分接着剤組成物に関する。
【0010】
成分A
ポリウレタンP
ポリウレタンPは、700g/mol以上、好ましくは以上900g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有していてもよい。
【0011】
ポリウレタンPは、30000g/mol以下、優先的には10000g/mol以下、さらにより優先的には5000以下g/molの数平均分子量(Mn)を有していてもよい。
【0012】
1つの好ましい実施形態によれば、ポリウレタンPは、700g/mol~30000g/mol、優先的には900g/mol~20000g/mol、さらにより優先的には900g/mol~10000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0013】
ポリウレタンのMnはPS参照との比較によりGPCによって測定される。
【0014】
ポリウレタンPは、
- E1)
- i)少なくとも1種のポリイソシアネート;および
- ii)少なくとも1種のポリオール
の重付加反応を含む、少なくとも2個のNCO末端基を含むポリウレタンを調製する工程と、
- E2)工程E1)の最後に形成される生成物と少なくとも1個のヒドロキシル官能基を含む少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーM2とを反応させる工程と
を含む方法により得ることができる。
【0015】
ポリイソシアネート
使用することができるポリイソシアネートは、順次に加えられてもよく、または混合物の形態で反応させてもよい。
【0016】
ポリイソシアネートは、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートから選択できる。
【0017】
ポリイソシアネートは、モノマー、オリゴマー、またはポリマーであってもよい。
【0018】
ポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(2,4’-H6MDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-H6MDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン(MPDI)、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン(TMDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,5-NBDI)、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,6-NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6-XDI)(特に1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6-XDI))、キシリレンジイソシアネート(XDI)(特にm-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、トルエンジイソシアネート(特にトルエン-2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)および/またはトルエン-2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI))、ジフェニルメタンジイソシアネート(特にジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI)および/またはジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(2,4’-MDI))、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(特にテトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート)、HDIアロファネート、例えば以下の式(Y):
[式中、pは1~2の範囲の整数であり、qは0~9、好ましくは2~5の範囲の整数であり、Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは6~14個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、環状または非環式、直鎖または分岐の炭化水素系鎖を表し、Rは、2~4個の炭素原子を有する直鎖または分岐の二価のアルキレン基、好ましくは二価のプロピレン基を表す]
を有するもの;ならびにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0019】
使用することができるポリイソシアネートは、トリイソシアネートであってもよく、例えばイソシアヌレート、ビウレット、ならびにジイソシアネートおよびトリオールの付加体から選択される。
【0020】
イソシアヌレートは、70重量%以上のイソシアヌレートの純度を有する(ポリ)イソシアヌレートの技術的混合物の形態で使用することができる。
【0021】
本発明に従って使用できるジイソシアネートイソシアヌレートは、以下の一般式(W):
[式中、Rは、4~9個の炭素原子を含む直鎖または分岐、環状、脂肪族、アリール脂肪族、または芳香族のアルキレン基を表すが、ただし、NCO基は、芳香族炭化水素系環、例えばフェニル基の一部を形成する炭素原子へ共有結合により接続されていないものとする]
に対応していてもよい。
【0022】
使用することができるジイソシアネートトリマーの例として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートトリマーを挙げることができる。
【0023】
本発明に従って使用できるジイソシアネートおよびトリオールの付加体の例として、下記で表されるような、メタ-キシリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパンの付加体を挙げることができる。この付加体は、例えば、三井化学株式会社によりTakenate(登録商標)D-110Nという名称で販売されている。
【0024】
使用可能なポリイソシアネートは通常は市販されている。例として、約95%の純度を有する2,4-TDIに相当する、Vencorexにより販売されるScuranate(登録商標)TX、99重量%を超える純度を有する2,4-TDIに相当する、Vencorexにより販売されるScuranate(登録商標)T100を挙げることができる。
【0025】
ポリオール
ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(エーテル-カーボネート)ポリオール、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0026】
使用できるポリオールは、芳香族ポリオール、脂肪族ポリオール、アリール脂肪族ポリオール、およびこれらの化合物の混合物から選択することができる。
【0027】
使用できるポリオールは、200g/mol~20000g/mol、好ましくは400g/mol~18000g/molの範囲内の数平均分子量(Mn)を有するものから選択することができる。
【0028】
ポリオールの数平均分子量は、KOH/gで表されるヒドロキシル価(OHN)およびポリオールの官能性から計算するか、または当業者に良く知られている方法により、例えばPEG(ポリエチレングリコール)標準を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(またはSEC)により決定することができる。
【0029】
ポリエステルポリオールの中で、例えば、ヒマシ油などの天然由来のポリエステルポリオール;
- 1種または複数の脂肪族(直鎖、分岐、または環状)または芳香族ポリオール、例えば、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ブテンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエーテルポリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、スクロース、グルコース、ソルビトール、ペンタエリトリトール、マンニトール、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、脂肪アルコールダイマー、脂肪アルコールトリマー、およびそれらの混合物などと、
- 1種または複数のポリカルボン酸、またはそれらのエステルもしくは無水物誘導体、例えば、1,6-ヘキサン二酸(アジピン酸)、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、1,18-オクタデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、脂肪酸ダイマー、脂肪酸トリマー、およびこれらの酸の混合物、不飽和無水物、例えば無水マレイン酸もしくは無水フタル酸など、またはラクトンなどと
の重縮合から得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
【0030】
上記のポリエステルポリオールは、従来通り調製されてもよく、大部分は市販されている。
【0031】
本発明に従って使用することができるポリエーテルポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオールから選択することができ、その直鎖または分岐アルキレン部分は1~4個の炭素原子、より優先的には2~3個の炭素原子を含む。
【0032】
本発明に従って使用できるポリオキシアルキレンジオールまたはトリオールの例として、300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)ジオールまたはトリオールとも表される);300~12000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシエチレンジオールまたはトリオール(ポリエチレングリコール(PEG)ジオールまたはトリオールとも表される);およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0033】
ポリエステルジオールの例として、1020g/mol付近の数平均分子量(Mn)およびおよそ110mgKOH/gであるヒドロキシル価を有する、Dowにより販売されるVoranol(登録商標)P1010を挙げることができる。ポリエーテルトリオールの例として、450g/mol付近の数平均分子量(Mn)および370~396mgKOH/gの範囲であるヒドロキシル価を有する、Voranol(登録商標)CP450の名称でDowにより販売されるポリオキシプロピレントリオールを挙げることができる。
【0034】
ポリエンポリオールの例として、場合によりエポキシ化されている、ヒドロキシル末端基を含む飽和または不飽和ブタジエンホモポリマー、例えばPoly BD(登録商標)またはKrasol(登録商標)の名称でCray Valleyにより販売されるものなど、さらに、ヒドロキシル末端基を含む飽和または不飽和イソプレンホモポリマー、例えばPoly IP(商標)またはEPOL(商標)の名称で出光興産株式会社により販売されるものなども挙げることができる。
【0035】
ポリカーボネートジオールの例として、相当するそれぞれの数平均分子量(M)が1000および2000g/molに等しく、それぞれ112および56mg KOH/gであるヒドロキシル価を有する、Novomerにより販売されるConverge(登録商標)ポリオール212-10およびConverge(登録商標)ポリオール212-20を挙げることができる。
【0036】
モノマーM2
(メタ)アクリレートモノマーM2は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択することができる。
【0037】
好ましくは、(メタ)アクリレートモノマーM2は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)(例えばSartomerまたはBASFより入手可能)から選択される。
【0038】
工程E1)
重付加反応E1)は、好ましくは95℃未満の温度でおよび/または好ましくは無水条件下で行うことができる。重付加反応は少なくとも1種の触媒の存在下または非存在下で行うことができる。重付加反応の際に使用できる反応触媒は、少なくとも1種のポリイソシアネートを少なくとも1種のポリオールと反応させることによりポリウレタンの形成を触媒するための、当業者に既知の任意の触媒であってもよい。重付加反応E1)は、少なくとも1種の溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。溶媒は、工程E1)で使用される成分の反応性官能基と反応しない溶媒から選択することができる。これは、例えば、メチルメタクリレート、トルエン、酢酸エチル、キシレン、およびそれらの混合物であってもよい。
【0039】
工程E2)
工程E2)は、好ましくは80℃未満、優先的には60℃以下の温度で、および/または好ましくは無水条件下で行うことができる。工程E2)は、少なくとも1種の触媒の存在下または非存在下で行うことができる。これは工程E1)で使用されるのと同じ触媒であってもよい。工程E2)は、少なくとも1種の溶媒の存在下または非存在下で行うことができる。溶媒は、工程E2)で使用される成分の反応性官能基と反応しない溶媒から選択することができる。これは、例えば、メタクリル酸メチル、トルエン、酢酸エチル、キシレン、およびそれらの混合物であってもよい。好ましくは、工程E2)は、工程E1)で形成される生成物を単離せずに、モノマーM2を工程E1)の反応媒体に添加することにより行われる。
【0040】
本発明によるポリウレタンPは市販されている場合もある。例えば、Sartomerにより販売されるCN(登録商標)981(2200g/molのMnおよび2個のアクリレート官能基を有する、ポリウレタン-アクリレート)、CN(登録商標)9210(1500g/molのMnおよび6個のアクリレート官能基を有する、ポリウレタン-アクリレート)、CN(登録商標)9165A(900g/molのMnおよび6個のアクリレート官能基を有するポリウレタン-アクリレート)を挙げることができる。
【0041】
一実施形態によれば、ポリウレタンPは少なくとも3個の(メタ)アクリレート官能基、好ましくは6個の(メタ)アクリレート官能基を含む。
【0042】
一実施形態によれば、ポリウレタンPはいかなるエポキシ官能基を含まない。
【0043】
一実施形態によれば、成分Aは少なくとも2個の(メタ)アクリレート末端官能基を含む少なくとも2種のポリウレタンPを含む。好ましくは、成分Aは、2個の(メタ)アクリレート末端官能基を含むポリウレタンP1、および2個を超える(メタ)アクリレート末端基(より優先的には6個の(メタ)アクリレート末端基)を含むポリウレタンP2(P1とは異なる)を含む。
【0044】
成分AにおけるポリウレタンPの全含有量は50重量%以下、好ましくは40重量%以下であってもよい。
【0045】
成分AにおけるポリウレタンPの全含有量は、成分Aの全重量に対して5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらにより優先的には20重量%以上であってもよい。
【0046】
還元剤
還元剤は、第3級アミン、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、遷移金属、アルファ-アミノスルホン、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0047】
還元剤は上記のポリウレタンPに含有されていてもよい。この実施形態は、例えば、上記の工程E1)において、ポリオールおよびポリイソシアネートが、側鎖ヒドロキシル官能基を有する第3級アミン、例えばGEO Speciality Chemicalsにより販売されるbisomer(登録商標)PTEあるいはN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアニリンあるいはN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-p-トルイジンなどと反応する場合に可能である。
【0048】
アルファ-スルホンの中で、例えばビス(トリルスルホニルメチル)ベンジルアミンを挙げることができる。
【0049】
第3級アミンの中で、例えばジイソプロパノール-p-トルイジン(DIIPT);ジメチル-p-トルイジン;ジプロポキシ-p-トルイジン;ジメチルアニリン;N,N-ジメチルアミノメチルフェノール;N,N-ジイソプロパノール-p-クロロアニリン;N,N-ジイソプロパノール-p-ブロモアニリン;N,N-ジイソプロパノール-p-ブロモ-m-メチルアニリン;N,N-ジメチル-p-クロロアニリン;N,N-ジメチル-p-ブロモアニリン;N,N-ジエチル-p-クロロアニリン;N,N-ジエチル-p-ブロモアニリン;以下の式(B)または(C):
[式中、
- mおよびnは、互いに独立に、1~150、好ましくは1~100、優先的には1~72、有利には1~36、より有利には1~18の範囲の整数であり;
- rは1~200、好ましくは1~104、優先的には1~72、有利には1~36の範囲の整数であり;
- Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を含む、飽和または不飽和および直鎖または分岐アルキル;6~12個の炭素原子を含む(ヘテロ)アリール;3~12個の炭素原子を含むシクロアルキルからなる群から選択されるラジカルを表し;
- vは0~5の範囲の整数を表し;
- RおよびRは、互いに独立に、ハロゲン原子、水素原子、または1~12個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基を表し、前記アルキル基は場合により少なくとも1つの酸素原子が間に入っており;
- Rは、水素原子、アリールアルキル基、または1~20個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐アルキル基、好ましくは1~12個の炭素原子、有利には1~6個の炭素原子を含むアルキル基を表し;
- ただし、m+n>2、好ましくはn+m≧2.5である]
のアミンを挙げることができる。
【0050】
式(B)のアミンの中で、例えば、Geo Speciality Chemicalsにより販売されるBisomer(登録商標)PTE(CAS番号:878391-30-1)、Lanxessにより販売される促進剤PT25E(CAS番号:878391-30-1)、Biosynthより入手可能なN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-アニリン(CAS番号:3077-13-2)、BASFにより販売されるN,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン(CAS番号:38668-48-3)、Ethox Chemicalより入手可能なEthox ANA-10(CAS番号:36356-83-9)を挙げることができる。
【0051】
式(C)のアミンの中で、例えば、Sigma-Aldrichより入手可能なN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルアニリン(CAS番号:93-90-3)、およびParchemより入手可能なN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-p-トルイジン(MHPT、CAS番号:2842-44-6)を挙げることができる。
【0052】
好ましくは、成分Aは、少なくとも1種の第3級アミン、さらにより優先的には上記の式(B)のアミンを含む。
【0053】
成分Aは、成分Aの全重量に対して重量で0.5%~5%、好ましくは0.5%~3%の範囲の還元剤の全含有量を含んでいてもよい。
【0054】
イタコネートモノマー
本発明による成分Aは、以下の式(I):
[式中、RおよびRの各々は互いに独立に、有機ラジカルを表す]
の少なくとも1種のイタコネートモノマーを含む。
【0055】
上記の式(I)において、RおよびRの各々は、互いに独立に、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリール、またはアルキルヘテロシクロアルキルを表してもよく、前記基は場合により置換されている。
【0056】
上記の置換基は、アルキル、ハロゲン、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシルオキシ、カルボキシ、またはエステルから選択することができる。
【0057】
本発明の文脈において、「アルキル」という用語は、好ましくは1~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐ラジカルを意味すると理解される。
【0058】
本発明の文脈において、「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分岐炭化水素系ラジカルを意味すると理解され、前記ラジカルは好ましくは2~20個の炭素原子を含む。例として、プロペニル、ブテニルを挙げることができる。
【0059】
本発明の文脈において、「アリールアルキル」という用語は、アリール基で置換されているアルキル基、好ましくは7~20個の炭素原子を含むアリールアルキル基を意味すると理解される。アリールアルキル基としては、例えば、ベンジルを挙げることができる。
【0060】
本発明の文脈において、「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール基により置換されているアルキル基、好ましくは7~20個の炭素原子を含むヘテロアリールアルキル基を意味すると理解される。
【0061】
本発明の文脈において、「アルキルヘテロアリール」という用語は、アルキル基により置換されているヘテロアリール基を意味すると理解され、前記アルキルヘテロアリール基は好ましくは7~20個の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0062】
本発明の文脈において、「アルキルヘテロシクロアルキル」という用語は、アルキル基により置換されているヘテロシクロアルキル基を意味すると理解され、前記アルキルヘテロシクロアルキル基は好ましくは4~20個の炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0063】
本発明の文脈において、「アリール」という用語は、好ましくは6~12個の炭素原子を含む単環式または二環式芳香族ラジカルを意味すると理解される。例えば、フェニルを挙げることができる。
【0064】
本発明の文脈において、「ヘテロアリール」という用語は、例えばO、S、またはNなどの少なくとも1つのヘテロ原子を含み、好ましくは4~12個の炭素原子を含む、単環式または二環式芳香族ラジカルを意味すると理解される。例えば、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピリジニル、インドリル、またはイミダゾリルラジカルを挙げることができる。
【0065】
本発明の文脈において、「シクロアルキル」という用語は、好ましくは3~12個の炭素原子を含む、飽和の単環式または多環式、好ましくは単環式または二環式の系、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、あるいはノルボルニル基などを意味すると理解され、環は場合により対で架橋または縮合している。
【0066】
本発明の文脈において、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、好ましくは3~12個の炭素原子および例えばOまたはNなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和の単環式または多環式、好ましくは単環式または二環式の系を意味すると理解され、環は場合により対で架橋または縮合している。
【0067】
1つの好ましい実施形態によれば、上記の式(I)において、RおよびRの各々は、互いに独立に、C~C15アルキル、C~C15アルケニル、ハロ(C~C15)アルキル、C~C12シクロアルキルもしくはハロ(C~C12)シクロアルキル基、複素環、アリール、ヘテロアリール、またはアルコキシ(C~C15)アルキルを表し、その各々は以下のラジカル:C~C15アルキル、ハロ(C~C15アルキル)、C~C12シクロアルキル、ハロ(C~C12シクロアルキル)、複素環、アリール、ヘテロアリール、C~C15アルコキシ、C~C15アルキルチオ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、シアノ、アシルオキシ、カルボキシ、またはエステルのうちの少なくとも1つにより置換されていてもよい。
【0068】
好ましくは、上記の式(I)において、RおよびRの各々は、互いに独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、フェニル、ベンジル、2-フェニルエチル、およびイソボルニルを表す。
【0069】
好ましくは、式(I)のイタコネートは、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジ-n-ブチルイタコネート、ジ-イソブチルイタコネート、ジシクロヘキシルイタコネート、ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)イタコネート、ジフェニルイタコネート、ジベンジルイタコネート、エチルイソボルニルイタコネート、エチルシクロヘキシルイタコネート、およびそれらの混合物から選択される。さらにより優先的には、式(I)のイタコネートは、ジメチルイタコネートまたはジブチルイタコネートである。
【0070】
本発明によれば、成分Aにおける式(I)のイタコネートモノマーの全含有量は、成分Aの全重量に対して40重量%を超えてもよく、好ましくは45重量%以上であってもよい。
【0071】
式(I)のモノマーは、特に発酵プロセスである、例えば国際公開第2015181310号に記載されるようなプロセスによって得ることができる。
【0072】
式(I)のモノマーは有利には生物を原料とする。
【0073】
コアシェル型構造を有する耐衝撃性改良剤
コアシェル型構造を有する耐衝撃性改良剤は、典型的には「コアシェル耐衝撃性改良剤」として知られている。
【0074】
耐衝撃性改良剤は当業者に良く知られており、特にコアシェル耐衝撃性改良剤を含む。
【0075】
コアシェル耐衝撃性改良剤は球状粒子の形態であってもよい。重量平均粒径(直径)は、40nm~900nm、好ましくは80~500nmの範囲であってもよい。粒径はZetasizer(Malvern)により測定することができる。
【0076】
コアシェル耐衝撃性改良剤は、当業者に既知の任意のプロセス、例えば仏国特許第3052169号または欧州特許第2465884号に記載のような多段階プロセスにより得ることができる。特に、ポリマーはエマルション重合により調製される。
【0077】
耐衝撃性改良剤のコアは、イソプレンホモポリマー、ブタジエンホモポリマー、イソプレン-ブタジエンコポリマー、ビニルモノマーとのイソプレンコポリマー、およびビニルモノマーとのブタジエンコポリマーから選択されるポリマーL1を含んでいてもよい。ビニルモノマーは、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、ブタジエン、またはイソプレンから選択することができる。
【0078】
シェルは、(メタ)アクリル系モノマーから得られるポリマーL2、例えばC~C12アルキル(メタ)アクリレートから選択されるものなどを含んでいてもよい。特に、シェルは、C~Cアルキルメタクリレートモノマーおよび/またはC~Cアルキルアクリレートモノマーから得られるポリマーL2を含む。
【0079】
好ましくは、シェルは、メチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびそれらの混合物から得られるポリマーL2を含む。
【0080】
一実施形態によれば、コアシェル耐衝撃性改良剤は、
- ブタジエン-スチレンコポリマーであるポリマーL1を含むコアと;
- ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)であるポリマーL2を含むシェルと
を含む。
【0081】
コアシェル耐衝撃性改良剤は市販のものであってもよい。例えば、Arkemaより販売されるClearstrength(登録商標)(例えばClearstrength(登録商標)XT100)またはDurastrength(登録商標)製品を挙げることができる。Dow Corningより販売されるParaloids(Paraloid 2650A、Paraloid 2691A)も挙げることができる。
【0082】
本発明によれば、成分Aにおけるコアシェル型構造を有するポリマーの全含有量は、成分Aの全重量に対して2重量%~20重量%、好ましくは5重量%~20重量%、さらにより優先的には10重量%~18重量%の範囲であってもよい。
【0083】
成分B
酸化剤
酸化剤は、過酸化物、遷移金属の有機塩、不安定な塩素を含有する化合物、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0084】
過酸化物は、有機過酸化物、無機過酸化物、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0085】
無機過酸化物の中で、ペルオキソ二硫酸およびその塩、例えばペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、およびペルオキソ二硫酸カリウムなどを挙げることができる。
【0086】
有機過酸化物の中で、クメンヒドロペルオキシド、パラ-メンタンヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジアセチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシアセテート、クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサ-3-イン、4-メチル-2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ペンタン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0087】
好ましくは、成分Bは過酸化ベンゾイルを含む。
【0088】
成分Bは、成分Bの全重量に対して、20重量%以上、好ましくは30重量%以上、有利には35重量%以上の還元剤の全含有量を含んでいてもよい。
【0089】
本発明による組成物は、典型的には、A部に含まれる還元剤およびB部に含まれる酸化剤である、レドックス系を含む。例えば、以下の組み合わせ:
過硫酸塩(酸化剤)/(メタ重亜硫酸ナトリウムおよび/または重亜硫酸ナトリウム)(還元剤);
有機過酸化物(酸化剤)/第3級アミン(還元剤);
有機ヒドロペルオキシド(酸化剤)/遷移金属(還元剤);
(酸化剤)/鉄(還元剤)
を挙げることができる。
【0090】
(メタ)アクリレートモノマーM1
成分Bは、場合により少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーM1を含んでいてもよい。
【0091】
(メタ)アクリレートモノマーM1は、1個(単官能性)またはそれを超える(多官能性)(メタ)アクリレート官能基を含んでいてもよい。
【0092】
(メタ)アクリレートモノマーM1は、
- 以下の式(II):
CH=C(R)-COOR(II)
[式中、
- Rは、水素原子、または1~4個の炭素原子を含むアルキル基を表し;
- Rは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキル、およびアリールからなる群から選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールは、場合により置換されていること、および/または少なくとも1個のシラン、1個のシリコーン、1個の酸素、1個のハロゲン、1個のカルボニル、1個のヒドロキシル、1個のエステル、1個の尿素、1個のウレタン、1個のカーボネート、1個のアミン、1個のアミド、1個の硫黄、1個のスルホネート、もしくは1個のスルホンが間に入っていることが可能である]
を有する化合物;
- ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
- テトラヒドロフラン(メタ)アクリレート;
- ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
- ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;
- トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
- ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
- トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
- テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;
- ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;
- ジ(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート;
- ジグリセリルテトラ(メタ)アクリレート;
- テトラメチレンジ(メタ)アクリレート;
- エチレンジ(メタ)アクリレート;
- ビスフェノールAモノ-およびジ(メタ)アクリレート;
- ビスフェノールFモノ-およびジ(メタ)アクリレート;ならびに
- それらの混合物
からなる群から選択することができる。
【0093】
一実施形態によれば、(メタ)アクリレートモノマーM1は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-tert-ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3-イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5-メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2-メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5-メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5-イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5-エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3-イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、2,4,5-トリ-t-ブチル-3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5-テトラ-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から選択される。
【0094】
組成物
本発明による二成分組成物は、フィラー、抗酸化剤、光安定剤/UV吸収剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、防曇剤、起泡剤、殺生物剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、レオロジー剤、耐衝撃性改良剤、接着促進剤、蛍光増白剤、難燃剤、防露剤、核剤、溶媒、およびそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の添加剤を含んでいてもよい。
【0095】
これらの添加剤は、本発明による組成物の成分Aおよび/または成分Bに存在してもよい。
【0096】
使用されてもよい可塑剤の例として、接着剤の分野で通常使用される任意の可塑剤、例えばフタレート、ベンゾエート、トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールエタンエステル、トリメチロールメタンエステル、グリセリンエステル、ペンタエリトリトールエステル、ナフテン系鉱油、アジペート、シクロヘキシルジカルボキシレート、液体パラフィン、天然油(エポキシ化されていてもよい)、ポリプロピレン、ポリブチレン、水素化ポリイソプレン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0097】
好ましくは、
- ジイソデシルフタレート、例えば、Palatinol(商標)DIDPの名称でBASFにより販売されるものなど、
- アルキルスルホン酸およびフェノールのエステル、例えば、Mesamoll(登録商標)の名称でLanxessにより販売されるものなど、
- ジイソノニル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、例えば、Hexamoll Dinch(登録商標)の名称でBASFにより販売されるものなど、
- ペンタエリトリトールテトラバレート、例えば、Pevalen(商標)という名称でPerstorpにより販売されるものなど、
- エポキシ化大豆油、例えば、Vikoflex(登録商標)7170という名称でArkemaにより販売されるものなど
が利用される。
【0098】
組成物中に存在する場合、可塑剤の含有量は、前記組成物の全重量に対して、1重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらにより優先的には5重量%以上であってもよい。
【0099】
1つの好ましい実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の可塑剤を含み、さらにより優先的には少なくとも成分B中に含む。
【0100】
使用されてもよい(チキソトロピー性の)レオロジー剤の例として、接着剤組成物の分野で慣例的に使用される任意のレオロジー剤を挙げることができる。
【0101】
好ましくは、チキソトロープ剤は、以下から選択される:
- 60℃~ 80℃の範囲の温度まで加熱することによりin situで得られる、PVCと混和性である可塑剤中のPVCの懸濁液に相当する、PVCプラスチゾル。これらのプラスチゾルは、特に出版物Polyurethane Sealants、Robert M.Evans、ISBN 087762-998-6に記載されるものなどであってもよい、
- ヒュームドシリカ、例えば、HDK(登録商標)N20の名称でWackerにより販売されるものなど;
- 4,4’-MDIなどの芳香族ジイソシアネートモノマーとブチルアミンなどの脂肪族アミンとの反応から得られる尿素誘導体。そのような尿素誘導体の調製は、特に仏国特許出願第1591172号に記載されている;
- 微細化アミドワックス、例えばArkemaにより販売されるCrayvallac SLTなど。
【0102】
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機および/または無機フィラーも含んでいてもよい。
【0103】
使用されてもよい無機フィラーは、架橋した状態にある本発明による組成物の機械的性能を改善するように有利に選択される。
【0104】
使用されてもよい無機フィラーの例として、接着剤組成物の分野で通常使用される任意の無機フィラーを利用することができる。これらのフィラーは、典型的には多様な形状の粒子の形態である。それらは、例えば、球状もしくは繊維状であってもよく、または不規則形状を有していてもよい。
【0105】
フィラーは、粘土、石英、炭酸塩フィラー、カオリン、石膏、粘土、およびそれらの混合物からなる群から選択することができ;優先的には、フィラーは、炭酸塩フィラー、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩など、より優先的には炭酸カルシウムまたはチョークから選択される。
【0106】
これらのフィラーは未処理であってもよく、例えばステアリン酸などの有機酸、またはステアリン酸から主になる有機酸の混合物を使用して処理されてもよい。
【0107】
中空ガラスミクロスフィアなどの中空無機ミクロスフィア、より詳細にはホウケイ酸カルシウムナトリウムまたはアルミノケイ酸塩カルシウムナトリウムでできているものも利用することができる。
【0108】
溶媒、特に揮発性溶媒が組成物中に存在する場合、その含有量は組成物の全重量に対して好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
【0109】
好ましくは、組成物中の溶媒の含有量は0重量%~5重量%である。
【0110】
組成物は、重量で0.1%~3%、好ましくは1%~3%、の量の少なくとも1種のUV安定化剤または抗酸化剤を含んでいてもよい。これらの化合物は、典型的には、熱または光の作用により形成されることになる不安定な酸素との反応から生じる劣化から組成物を保護するために導入される。これらの化合物は、フリーラジカルを捕捉する一次酸化防止剤を含んでいてもよい。一次酸化防止剤は、単独でまたは他の二次酸化防止剤もしくはUV安定化剤と組み合わせて使用されてもよい。例えば、BASFにより販売される、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)B561、Irganox(登録商標)245、Irgafos(登録商標)168、Tinuvin(登録商標)328、またはTinuvin(商標)770を挙げることができる。
【0111】
一実施形態によれば、上記の接着剤組成物はいかなる光開始剤も含まない。
【0112】
一実施形態によれば、本発明の組成物中の成分A/成分Bの体積比は、20/1~1/1、優先的には10/1~1/1の範囲である。
【0113】
上記の接着剤組成物は、23℃で20000mPa.s~150000mPa.s、好ましくは30000mPa.s~100000mPa.s、さらにより優先的には40000~80000mPa.sの範囲のBrookfield粘度を有していてもよい。
【0114】
1つの好ましい実施形態によれば、上記の組成物は、
- 成分Aの全重量に対して、
- 5重量%以上の全含有量の上記のポリウレタンP;
- 0.5重量%~5重量%の還元剤;
- 40重量%以上、好ましくは45重量%以上の全含有量の式(I)のイタコネートモノマー;
- 5重量~20重量%の範囲の全含有量のコアシェル耐衝撃性改良剤
を含む、成分Aと、
- 成分Bの全重量に対して、
- 20重量%以上の全含有量の酸化剤;および
- 40重量%以上の全含有量の可塑剤
を含む、成分Bと
を含む。
【0115】
使用準備済みキット
本発明は、2つの別々の区画にパッケージされた、上記で定義される成分Aおよび上記で定義される成分Bの両方を含む、使用準備済みキットにも関する。これは例えば二成分カートリッジであってもよい。
【0116】
実際には、本発明による組成物は、例えば使用準備済みキット内に、例えば計量ポンプを使用した2つの成分の直接的な混合に適した割合で、第1の区画またはドラムにある成分Aおよび第2の区画またはドラムにある成分Bの両方を備える、二成分の形態であってもよい。
【0117】
本発明の一実施形態によれば、キットは成分AおよびBの混合を可能にする1つまたは複数の手段をさらに備える。好ましくは、混合手段は、計量ポンプまたは使用量に適した直径を有するスタティックミキサーから選択される。
【0118】
組成物の使用
本発明はまた、接着剤、マスチック、またはコーティングとしての、好ましくは接着剤としての、上記で定義される組成物の使用にも関する。
【0119】
本発明は、本発明はまた、輸送機関、自動車(乗用車、バス、またはトラック)、組立体、船舶、電子機器、電池、または建築分野の材料の、修復用、および/または構造用もしくは半構造用接着剤接合における、前記組成物の使用にも関する。
【0120】
本発明はまた、接着剤接合により2つの基材を組み立てるための方法であって、
- 組み立てようとする2つの基材の少なくとも1つに、上記で定義される成分AおよびBを混合することにより得られる組成物をコーティングすること;次いで
- 2つの基材を有効に接触させることと;
- 組成物を架橋させることと
を含む、方法にも関する。
【0121】
架橋工程は、0℃~200℃、好ましくは10℃~150℃、好ましくは23℃~80℃、に20℃~25℃の温度で行うことができる。
【0122】
架橋は電磁波を使用して誘発させることもできる。
【0123】
適切な基材は、例えば、無機基材、例えばコンクリート、金属、または合金(アルミニウム合金、鋼、非鉄金属、および亜鉛めっき金属など)など;あるいは有機基材、例えば木材、プラスチックなど、例えばPVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂など;金属および塗料でコーティングされた複合材でできている基材である。
【0124】
本発明による組成物は有利なことに、架橋後に、半構造または構造特性を有する接着シールをもたらす。
【0125】
本発明による組成物は有利なことに、架橋後に、低臭気またはさらには無臭でありながら、良好な接着特性を示す。
【0126】
組成物はまた、有利なことに、特に通常のアクリル系よりも毒性が低い式(I)のイタコネートモノマーの使用に起因して、通常のアクリル系組成物と比較して毒性が低い、
【0127】
上記のすべての実施形態は互いに組み合わせてもよい。特に、組成物の様々な上記の構成成分、およびとりわけ組成物の好ましい実施形態は、互いに組み合わせてもよい。
【0128】
本発明の文脈において、「x~yの間」または「x~yの範囲」という用語は、境界値xおよびyが含まれる区間を意味すると理解される。例えば、「0%~25%の間」という範囲はとりわけ0%および25%の値を含む。
【0129】
ここで本発明は以下の例示的な実施形態において説明され、これは純粋に例証として示され、その範囲を限定するためと解釈されるべきではない。
【実施例
【0130】
以下の成分を使用した:
- Aldrichより販売されるジメチルイタコネート;
- Aldrichより販売されるジブチルイタコネート;
- GEO Specialty Chemicalsより販売されるBisomer PTE(CAS番号:103671-44-9);
- Sartomerより販売されるSR9054(CAS番号:1628778-81-3):二官能性アクリル酸接着促進剤;
- Evonikより販売される、100±20m/gに等しい比表面積(BET)を有するAerosil(登録商標)R202(CAS番号:67762-90-7):疎水性ヒュームドシリカ(PDMSによる処理後);
- Arkemaより販売されるMBS Clearstrength(登録商標)XT100:MMA-ブタジエン-スチレンに基づくコアシェル耐衝撃性改良剤;
- Arkemaより販売されるVikoflex(登録商標)7170:可塑剤として使用されるエポキシ化大豆油;
- Arkemaより販売されるCrayvallac(登録商標)SLT:レオロジー剤として使用される微細化アミドワックス;
- CN(登録商標)981:Arkemaより販売される、官能基2個および2200g/molのMnを有するウレタン-アクリレート;
- CN(登録商標)9210:Arkemaより販売される、官能基6個および1500g/molのMnを有するウレタン-アクリレート;
- CN(登録商標)9165A:Arkemaより販売される、官能基6個および900g/molのMnを有するウレタン-アクリレート;
- Mesamoll(登録商標):Lanxessより販売される、アルキルスルホン酸およびフェノールのエステル;
- Aldrichより販売されるメタクリル酸;
- Perganより販売されるPeroxan BP 50:50%過酸化ベンゾイルペースト。
【0131】
実施例1
組成物No.1およびNo.2の調製
絶えず撹拌され窒素下で維持される反応器中で、23℃の温度で、成分Aを構成する様々な成分を以下の表に占めす割合で混合する。
【0132】
絶えず撹拌され窒素下で維持される反応器中で、23℃の温度で、成分Bを構成する様々な成分を以下の表に占めす割合で混合する。
【0133】
上記の成分Aおよび成分B(各々の組成物について)を10:1の体積比(A:B)で混合した。
【0134】
所定の体積比に従い、スタティックミキサーによりおよそ23℃の温度で混合を行う。
【0135】
実施例2
結果
引張試験による破断強度の測定:
引張試験による強度(引張強度)の測定を下記の手順に従って行った。
【0136】
測定の原理は、可動ジョーが200mm/分に等しい一定の速度で動く引張試験デバイスにおいて、架橋組成物からなる標準試験片を引っ張ること、ならびに試験片が破断する瞬間における印加された引張応力(MPa)およびまた試験片の伸び(%)を記録することにある。標準試験片は、2011年の国際規格ISO 37に示されるようなダンベル形である。使用されるダンベルの狭い部分は、20mmの長さ、4mmの幅、および500μmの厚さを有する。
【0137】
接着剤接合試験
Rochollのアルミニウム(陽極酸化または6060)でできている試験片について接着剤接合を行う。テフロンでできている250μmの厚さを有するくさびを使用して試験片上に25×12.5mmの面積の境界を定めた。この面積に試験組成物を満たし、次いで同じ材料の第2の試験片を積層させた。クランプにより結合体を保持し、万能試験機での引張試験前に23℃または100℃および50% RH(相対湿度)の環境制御されたチャンバー内に1週間置いた。万能試験機での引張試験の目的は、集合体を分離させるために集合体に与えられることになる最大の力(MPa)を評価することである。引張試験デバイスを用いることは、集合体の表面に平行かつ試験片の主軸に平行に支持体に対して張力を与えることにより、2つの硬い支持体の間に置かれた単純な重ね継手を破壊するまでせん断応力にさらすことを可能にする。記録されるべき結果は破断荷重または応力である。せん断応力は、引張試験デバイスの可動ジョーにより5mm/minの速度での変位量で印加される。この引張試験法は2009年の規格EN 1465により規定される通りに行われる。
【0138】
調製された組成物について得られる特性を下記の表にまとめる。
【0139】
本発明による組成物No.1およびNo.2は有利なことに、架橋後に高い引張強度(それぞれ12および25MPa)を有する接着剤シールをもたらす。
【0140】
さらに、組成物No.1およびNo.2では有利なことに、陽極酸化アルミニウムにおける接着剤接合についてそれぞれ9および11MPaの破断点力が得られ、良好な接着性を実証する。
【国際調査報告】