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特表2023-553374位置特定可能な保護スリーブ及びその構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】位置特定可能な保護スリーブ及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231214BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20231214BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H02G3/04 062
H02G3/04 068
F16L57/00 A
B60R16/02 623U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532796
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 US2021062330
(87)【国際公開番号】W WO2022125615
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/544,577
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/122,797
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガランバ、スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ゴリンスキー、ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ロウコツキー、ダン
(72)【発明者】
【氏名】シューメイカー、マーク
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AC03
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD10
5G357DE08
5G357DE10
5G357DG01
5G357DG02
(57)【要約】

電気部材とそこを通って延びるワイヤハーネスとを保護するための保護スリーブアセンブリ及びその構築方法が提供される。スリーブアセンブリは、対向端部間の軸線に沿って長手方向に延びる多層管を含む。端部キャップは、対向端部のうちの一方の上に配置される。端部キャップは開口部を有し、この開口部を通ってワイヤハーネスが延びて、ワイヤハーネスに沿ってかつ電気部材の周りでの保護スリーブアセンブリの組立及び分解を可能にする。多層管は、内側管と外側管とを含む。内側管は、電気部材への衝撃力の伝達を最小限に抑えるために、半径方向に延びるエネルギー消散機構を含む半剛性管状壁を有する。外側管は、内側管の周りに配置されたテキスタイル管である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部材とそこを通って延びるワイヤハーネスとを保護するための保護スリーブアセンブリであって、
対向端部間の軸線に沿って長手方向に延びる半剛性多層管と、
前記対向端部のうちの一方の上に配置された端部キャップであって、前記端部キャップは、前記軸線にほぼ向かって半径方向内方に延びる少なくとも1つのフィンガを有し、前記少なくとも1つのフィンガは、前記ワイヤハーネスに沿ってかつ前記電気部材の周りでの前記保護スリーブアセンブリの組立及び分解を可能にするように、反対の軸方向に弾性的に可撓性である、端部キャップと、
内側管と外側管とを含む半剛性多層管であって、前記内側管は、前記電気部材への衝撃力の伝達を最小限に抑えるために半径方向に延びるエネルギー消散機構を含む半剛性管状壁を有し、前記外側管は、前記内側管の周りに配置されたテキスタイル管である、半剛性多層管と、を備える保護スリーブアセンブリ。
【請求項2】
前記内側管は、中実の不浸透性ポリマー壁である、請求項1に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項3】
前記半径方向に延びるエネルギー消散機構は、半径方向外方に延びる複数のリブを含む、請求項2に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項4】
前記複数のリブは、複数の個別のポケットを形成する、請求項3に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項5】
前記個別のポケットは、前記内側管と前記外側管との間に封入チャンバを形成する、請求項4に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項6】
前記リブは、前記外側管と当接するように延びる、請求項5に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項7】
前記半径方向に延びるエネルギー消散機構は、半径方向内方に延びるリブを含む、請求項3に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項8】
前記端部キャップは、中実で半剛性の非金属材料である、請求項2に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項9】
前記外側管は、編まれている、織られている、又は編組されている、請求項2に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項10】
前記半径方向に延びるエネルギー消散機構は、半径方向内方に延びるリブを含む、請求項2に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項11】
前記半径方向内方に延びるリブは、前記軸線にほぼ平行に延びる、請求項10に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項12】
電気部材とそこを通って延びるワイヤハーネスとを保護するための保護スリーブアセンブリであって、
対向端部間の軸線に沿って長手方向に延びる半剛性多層管と、
前記対向端部のうちの一方の上に配置された端部キャップであって、前記ワイヤハーネスを受け入れるための開口部を有し、前記ワイヤハーネスに沿ってかつ前記電気部材の周りでの前記保護スリーブアセンブリの組立及び分解を可能にする、端部キャップと、
内側管と外側管とを含む半剛性多層管であって、前記内側管は、前記内側管と前記外側管との間に複数の封入チャンバを形成するために前記外側管と当接するように延びる複数の半径方向外方に延びるリブを含む中実の不浸透性ポリマー壁である、半剛性多層管と、を備える、保護スリーブアセンブリ。
【請求項13】
前記外側管は、テキスタイル管である、請求項12に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項14】
前記内側管は、半径方向外方に延びる複数のリブを有する、請求項13に記載の保護スリーブアセンブリ。
【請求項15】
保護スリーブアセンブリを通って延びる細長い部材を保護するための保護スリーブアセンブリを構築する方法であって、
対向端部間の軸線に沿って長手方向に延びる半剛性多層管を形成することと、
前記端部のうちの一方の上に配置された、前記軸線にほぼ向かって半径方向内方に延びる少なくとも1つのフィンガを有する端部キャップを提供することであって、前記少なくとも1つのフィンガは、反対の軸方向に弾性的に可撓性である、ことと、
内側管と外側管とを含む前記半剛性多層管を構築し、半径方向外方に延びるリブを含む半剛性管状ポリマー不浸透性壁を有する前記内側管を構築することと、
前記外側管を、前記内側管の周りに配置されたテキスタイル管として構築することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記内側管と前記外側管との間に個別の封入チャンバを境界付けるように前記半径方向外方に延びるリブを構築することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記個別の封入チャンバに固形物を残さない状態にし、それによって空気のみで充填された前記封入チャンバを提供することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
固体材料で充填された前記封入チャンバを提供することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
半径方向内方に延びるリブを有する前記内側管を形成することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記軸線にほぼ平行に延びる前記半径方向内方に延びるリブを形成することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/122,797号、及び2021年12月7日に出願された米国実用特許出願第17/544,577号の利益を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1.技術分野
本発明は、衝撃力、摩耗、及び切断に対して保護されるべき細長い物品に沿ってスリーブを位置特定可能かつ解放可能に固定可能にする一体的な位置特定特徴を有する保護スリーブ、及びそのための構築方法に関する。
【0003】
2.関連技術
エンジンの動作及び性能を制御するためのデータを提供する酸素センサなど、自動車用途で使用されるセンサは、車両のエンジン室内に取り付けられることが多く、そこでは、強い輻射熱、衝撃源、摩耗源、及び車両動作中の定常振動を含む過酷な環境に更される。過酷な環境を考慮すると、振動を減衰させ、衝撃力及び摩耗から保護し、放射熱を反射及び遮蔽することができる保護スリーブで、比較的繊細なセンサ及びそれに接続されたワイヤハーネスなどの電気部材を覆うことが有利である。このようなスリーブは、多くの場合、不織材料、例えばポリエステルフェルトの内側減衰層を有する細長い可撓性の比較的軟質のテキスタイル管を含む。内側減衰層は、典型的には、ポリマーフィラメントの織スクリム又はポリマーシート材料などの補強層と共に積層されたアルミニウム箔層の反射層によって囲まれる。
【0004】
保護スリーブの性質及びその環境のせいで、スリーブが所望の位置に確実に固定され、かつセンサの設置及び保守のために容易に取り外し可能であるように、スリーブをセンサに取り付けることは困難である。接着剤、テープ、及び摩擦嵌合が取付けを行うために使用されるが、これらの方法はすべて種々の欠点を有する。接着剤によるセンサへの取付けは、ほぼ確実であるが、スリーブを永久的に取り付ける。その結果、この方法では、センサの修理又はスリーブの再使用のためにスリーブを容易に取り外すことができない。更に、センサ及びその保護スリーブがエンジン室内で受ける熱及び振動を考慮すると、テープ及び摩擦嵌合は、信頼性が低く、実現不可能である可能性がある。更に、管の性質が比較的柔らかいため、衝撃力に対する保護及び切断に対する抵抗は一般に低い。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、保護スリーブアセンブリを通って延びる電気部材を汚染、衝撃力、摩耗、及び振動に晒されないように保護するための保護スリーブアセンブリを提供する。保護スリーブアセンブリは、対向端部間の軸線に沿って長手方向に延びる半剛性多層管と、端部の一方の上に配置された端部キャップと、を含む。端部キャップは、軸線にほぼ向かって半径方向内方に延びる少なくとも1つのフィンガを含む。少なくとも1つのフィンガは、保護される電気部材の周りでの保護スリーブアセンブリの組立及び分解を可能にするように、反対の軸方向に弾性的に可撓性である。半剛性多層管は、内側管と外側管とを含む。内側管は、電気部材への衝撃力の伝達を最小限に抑えるように作用するエネルギー散逸特徴部を含む半剛性管状壁を有する一方で、耐切断性及び汚染侵入に対する保護も強化する。外側管は、内側管の周りに配置されたテキスタイル管であり、保護スリーブアセンブリに耐切断性及び耐摩耗性を提供する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、端部キャップは、内側管及び/又は外側管の少なくとも一方に締結される別個の部材として提供することができる。
【0007】
本発明の別の態様によれば、端部キャップは、ステープル、ねじ締結具、又はリベットなどの締結具によって管に締結することができる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、締結具は、接着剤の形態であってもよい。
【0009】
本発明の別の態様によれば、締結具は、溶接継手の形態とすることができる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、溶接継手は、超音波溶接継手の形態とすることができる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、内側管は、中実の不浸透性管状ポリマー壁から形成される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、内側管は、エネルギー散逸を高めるためのリブを有することができる。
【0013】
本発明の別の態様によれば、内側管のリブは、内側管と外側管との間に、間隙とも称される開放ポケットを形成して、エネルギー散逸、耐衝撃性、振動低減、及び保護スリーブアセンブリによって境界付けられた中央空隙への汚染の侵入に対する保護を強化することができる。
【0014】
本発明の別の態様によれば、端部キャップは、中実の半剛性非金属材料から製造することができる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、フィンガは、略三角形であってもよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、外側管は、任意の数のモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントで編まれ、織られ、又は編組され得る。
【0017】
本発明の別の態様によれば、モノフィラメント及び/又はマルチフィラメントは、耐切断性を高めるためにワイヤを含むことができる。
【0018】
本発明の別の態様によれば、保護スリーブアセンブリを通って延びる電気部材を汚染、衝撃力、摩耗、及び振動への暴露に晒されないように保護するための保護スリーブアセンブリを構築する方法が提供される。本方法は、対向端部間で軸線に沿って長手方向に延びる半剛性多層管を形成することと、端部の一方の上に配置された、軸線にほぼ向かって半径方向内方に延びる少なくとも1つのフィンガを有する端部キャップを提供することとを含み、少なくとも1つのフィンガは、保護される電気部材の周りで保護スリーブアセンブリの組立及び分解を可能にするように反対の軸方向に弾性的に可撓性である。この方法は更に、内側管と外側管とを含む半剛性多層管を構築することと、エネルギーを散逸させて電気部材への衝撃力の伝達を最小限に抑えるように作用するエネルギー消散機構を含む半剛性管状壁を有する内側管を構築する一方で、耐切断性及び汚染侵入に対する保護も強化することと、を含む。本方法は更に、保護スリーブアセンブリに耐切断性及び耐摩耗性を提供するように、内側管の周囲に配置されるテキスタイル管として外側管を構築することを含む。
【0019】
本発明の別の態様によれば、本方法は、内側管を中実の管状ポリマー不浸透性壁として構築することを更に含む。
【0020】
本発明の別の態様によれば、本方法は、エネルギー散逸を強化するためにリブを有する内側管を構築することを更に含む。
【0021】
本発明の別の態様によれば、本方法は、更に、内側管のリブを、不浸透性壁から半径方向外方に延在して、間隙とも称される、半径方向外方に面する周方向に境界付けられたポケットを形成し、それによって、内側管と外側管との間に封入チャンバを形成して、エネルギー散逸、耐衝撃性、振動低減、及び保護スリーブアセンブリによって境界付けられた中央空隙への汚染物質の侵入に対する保護を強化するように構築することを含む。
【0022】
本発明の別の態様によれば、本方法は、更に、封入チャンバに固形物を残さない状態にし、それによって、保護スリーブアセンブリの重量を低減しながら、衝撃力に対する個々のクッションとして作用し、保護スリーブアセンブリの空洞を通って延びる電気部材に対する熱保護を強化するために、空気のみで充填された封入チャンバを提供することを含む。
【0023】
本発明の別の態様によれば、本方法は、任意の適切な連続気泡若しくは独立気泡発泡体、エラストマー、ゴム、ゲル、又は不織布材料を含む固体材料で開放ポケットを充填することを更に含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、方法は更に、不浸透性壁から半径方向内方に延びるように内側管のリブを構築することを含む。
【0025】
本発明の別の態様によれば、本方法は、内側管の対向端部間で長さ方向に延びるように半径方向内方に延びるリブを構築することを更に含む。
【0026】
本発明の別の態様によれば、本方法は、任意の数及び材料タイプのモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントの外側管を編むこと、織ること、又は編組することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、現在好ましい実施形態及び最良の形態の以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、並びに添付の図面に関連して考慮されると、より容易に理解されるであろう。
図1】本発明の現在好ましい一実施形態による、電気部材を保護するための保護スリーブアセンブリの概略側面図である。
図2】本発明の1つの現在好ましい実施形態による保護スリーブアセンブリの組立斜視図である。
図2A】保護スリーブアセンブリの中心軸に対して横方向に切り取られ、中心軸の方向に沿って見た保護スリーブアセンブリの概略部分断面図である。
図2B】本開示の別の実施形態による態様を示す、図2Aと同様の図である。
図3図2の保護スリーブアセンブリの内側管及び端部キャップの斜視図である。
図4】対向端部に向かって見た図3と同様の図である。
図5】本明細書で企図される端部キャップの様々な非限定的な形態の斜視図である。
図6】本明細書で企図される端部キャップの様々な非限定的な形態の斜視図である。
図7】本明細書で企図される端部キャップの様々な非限定的な形態の斜視図である。
図8】本明細書で企図される端部キャップの様々な非限定的な形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面をより詳細に参照すると、図1は、ここでは例えば耐衝撃性、耐切断性、耐摩耗性、音響減衰、振動減衰、熱保護シールドとして表され、以下では例えば多層管又はスリーブアセンブリ12と呼ばれる第1の細長い部材を、(例えば、限定ではなく、車両のエンジン室に見られるような)センサ14などの電気部材及びそれに接続されたワイヤハーネス16と呼ばれる第1の細長い部材の上に位置決めする、維持する、又は保持するために使用される1つの現在好ましい構造による保護スリーブアセンブリ10の概略側面図を示す。この例では、スリーブアセンブリ12は、本明細書では内側管18(図3及び図4)とも呼ばれる内側管状シールドを含む細長い管アセンブリを備え、内側管状シールドは、ボア19とも呼ばれる中央空隙を有し、中央空隙は、その中にセンサ14を少なくとも部分的に受け入れるようなサイズに設定されている。ボア19は、スリーブアセンブリ12の一方の開放端部20から反対側の開放端部22まで中心軸Aに沿って延びる。内側管18は、半剛性の管状内壁24として構築されており、この管状内壁24は、電気部材14、16への衝撃力の伝達を最小限に抑えるように作用するとともに、耐切断性及び汚染侵入に対する保護を強化するエネルギー散逸特徴部(以下でより詳細に説明する)を含む。スリーブアセンブリ12は、本明細書では外側管26(図2)とも称される外側管状シールドを更に備える。外側管26は、内側管18の周りに配置された外側壁28とも呼ばれるテキスタイル管として構築され、強化された切断抵抗及び強化された耐摩耗性を保護スリーブアセンブリ10に提供する。スリーブアセンブリ12は、端部の一方22の上に配置された端部キャップ30を更に備える。端部キャップ30は、複数のフィンガ32として示される少なくとも1つのフィンガを含み、フィンガは、中心軸Aにほぼ向かって自由端34まで半径方向内方に延在し、自由端34は、ワイヤハーネス16を受け入れるようにサイズ設定される開口部35を境界付け、開口部35は、好ましくは、ワイヤハーネス16がわずかに締まり嵌めされるようにサイズ設定される。フィンガ32は、保護される電気部材14、16に沿ってかつその周りでの保護スリーブアセンブリ10の組立及び分解を可能にするように、反対の軸方向に弾性的に可撓性である。
【0029】
センサ14(例えば、酸素センサ)は、ワイヤハーネス16を介してマイクロプロセッサ(図示せず)に接続され、このワイヤハーネス16を介して、センサ14は、エンジンの動作及び性能を制御するためにマイクロプロセッサによって使用されるデータを提供する。好ましくは、ワイヤハーネス16は、例えばワイヤハーネス16の長さにほぼ沿って延びる細長い保護ハーネススリーブ36のような第2の細長い部材によって覆われる。ハーネススリーブ36は、ポリマー材料などの任意の材料又は織物から押出成形、成形、又は他の方法で製造することができ、ここでは例として、ハーネススリーブ36の周りに円周方向に延在して半径方向剛性及び曲げ可撓性を与える環状波形Cを有するように示されている。
【0030】
使用時には、ハーネススリーブ36は、開口部35を通って、好ましくはわずかな締まり嵌めで配置され、保護スリーブアセンブリ10のボア19内に受け入れられる。保護スリーブアセンブリ10は、ハーネススリーブ36に沿って長手方向に移動させられ、センサ14及びワイヤハーネス16を取り囲むように位置決めされて、センサ14及びワイヤハーネス16に対する保護、例えば、衝撃、摩耗、熱及び他の遮蔽保護を提供する。位置決め装置とも呼ばれる端部キャップ30は、ハーネススリーブ36と、例えば、限定ではなく例としてフィンガ32の自由端34によって画定されるような開口部35の内周との間のわずかな締まり嵌めに打ち勝つのに十分な軸方向の力を加えることによって、保護スリーブアセンブリ10をハーネススリーブ36の外面に沿って長さ方向に摺動させることによって移動させられる。位置決め装置30は、わずかな締まり嵌めの結果として、スリーブアセンブリ12をハーネススリーブ36に沿った所定の位置に維持する。位置決め装置30は、プロセス中の任意の時点でセンサスリーブ12に固定することができ、したがって、端部キャップ30は、スリーブアセンブリをハーネススリーブ36及びセンサ14の周りに位置決めした後に、又は一部には、位置決め装置30がスリーブアセンブリ12にどのように固定されるかに応じて、位置決めする前に、例えば、締結具、すなわちステープル又はリベット、接着剤、及び/又は溶接継手を利用することなどによって、端部22に固定することができることを認識されたい。したがって、保護スリーブアセンブリ10は、意図された用途に望まれるように、単一のアセンブリとして、又は別個の構成要素として組み立てられることが意図される。締結具又は溶接継手が使用される場合、理想的には、保護スリーブアセンブリ10は、単一アセンブリとして組み立てられるように意図される。
【0031】
内側管18は、中実、不浸透性、半剛性(「使用時に構築された形状」を維持するために有意な構造的完全性を有することを意味する)管状ポリマー内壁24として形成することができる。内側管18の壁24は、強度及びエネルギー散逸を高めるために軸Aから離れて壁24から半径方向外方に延びる外側リブ40と、強度を高めるために軸Aに向かって壁24から半径方向内方に延びる内側リブ38とを有することができ、内側リブ38は強度及びエネルギー散逸を更に高める。内側リブ38は、対向端部20、22の間で軸Aとほぼ平行な関係で延びるように示されており、一方の端部20から反対側の端部22まで延びることができる。外側リブ40は、長さ方向に延びるリブ40aと円周方向に延びるリブ40bとを提供するように示されている。長手方向に延びるリブ40aは、対向端部20、22の間で軸Aとほぼ平行な関係で延びるものとして示されており、一方の端部20から対向端部22まで延びることができ、円周方向に延びるリブ40bは、長手方向に延びるリブ40aと相互接続された関係で、長手方向に延びるリブ40aの間に延びる。したがって、内側管18の外側リブ40a、40bは、間隙とも呼ばれる、半径方向外方に面する開放された周方向に境界付けられたポケット42を形成し、ポケット42は、内側管18と外側管26との間に複数の封入チャンバ44(図2A)を形成して、エネルギー散逸、耐衝撃性、振動低減、及び保護スリーブアセンブリ10によって境界付けられた中心空洞19への汚染の侵入に対する保護を強化する。図2Aに示されるように、封入チャンバ44は、固形物を残さないようにすることができ、それによって、空気のみで充填された封入チャンバを提供して、衝撃力に対する個々のクッションとして作用し、保護スリーブアセンブリ10の重量を低減しながら、保護スリーブアセンブリ10の空洞19を通りかつその中に延びる電気部材14、16に対する熱保護を強化する。そうでなければ、図2Bに示されるように、本開示の別の態様によれば、開放ポケット42は、意図される用途のための強化された緩衝及び熱保護を達成するために、チャンバ44を閉鎖及び封入するように、内側管18の周囲に外側管26を形成又は配置する前に、所望に応じて、任意の好適な連続気泡又は独立気泡発泡体、エラストマー、ゴム、ゲル、若しくは不織布材料、ホットメルト材料、又は他のタイプの接着剤(外側管26を内側管18に固定するために使用されるものなど)を含む、固体材料43で充填することができる。
【0032】
内側管18は、熱可塑性材料又は熱硬化性材料(例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート)を含む耐高温性及び高強度ポリマー材料を含む、意図された用途に適した任意の所望のポリマー材料から形成することができる。内側管18は、費用効率のために任意の好適な成形技術によって成形することができるが、機械加工作業を含む他の製造方法も本明細書では企図される。
【0033】
端部キャップ30は、内側管18と一体の材料片として、又は内側管18及び/又は外側管26の少なくとも一方に締結された別個の部材として提供することができ、内側管18に締結されているように図示されている。端部キャップ30は、ステープル、ねじ締結具、又はリベットなどの締結具によって内側管18に締結することができる。本開示の更なる態様によれば、締結具は、接着剤又は超音波溶接継手などの溶接継手の形態とすることができる。端部キャップ30は、例えば、内側管18について上述した材料を含む耐熱性ポリマーなどの可撓性の弾性材料から形成される。図2及び図3に示すフィンガ32は、単なる例として、くさび形又は略パイ形であり、直接隣接するフィンガ32は互いに異なる長さを有する。1つおきのフィンガ32は、同じ長さで示されている。したがって、1つおきのフィンガ32aは第1の長さを有し、中間フィンガ32bは第2の長さを有し、第1の長さは第2の長さよりも長い。もちろん、フィンガ32は、用途に応じて、任意の適切な数で設けることができ、矩形、曲線、又はその他の形状など、略パイ形状以外の形状にすることができることを認識されたい。
【0034】
端部キャップ30は、外側リブ40から半径方向外方に延びる縁部46を提供することができる。縁部46は、製造中及び使用中に外側管26を内側管18上に組み立てるときなどに、外側管26が縁部46を越えて軸方向に押されるのを防止するために外側管26に対するポジティブストップとして作用し、したがって、内側管18の周りのその意図された位置に外側管26を維持するように作用する。
【0035】
フィンガ32は、自由端34とは反対側の端部において、端部キャップ30の環状外側部分に片持ちばねとして固定されている。片持ち梁作用は、フィンガ端部34が中心軸Aの方向にほぼ沿って軸方向反対方向に弾性的に撓むことを可能にして、端部キャップ30がワイヤハーネス16に対してその長さに沿って軸方向反対方向に移動することを可能にするために有利である。いずれの実施形態についても、端部キャップ30を移動させるために加えられる力は、フィンガ32と、ワイヤハーネス16の周りに設けられたときにワイヤハーネス16又はハーネススリーブ36など、フィンガ32が係合する任意の細長い構成要素との間の抵抗に打ち勝つのに十分でなければならない。フィンガ32によって加えられる撓みに対する抵抗は、フィンガの長さ、サイズ、数、並びに材料のタイプ及び/又は厚さを調整することによって変更することができる。
【0036】
図5は、端部キャップ30と実質的に同様であるが、フィンガ132が端部キャップ130の円周の周りに互いに離間した関係で配置されてそれらの間にくさび形空間48を画定する、端部キャップ132の代替実施形態を示す。図示された実施形態におけるくさび形空間48は、くさび形フィンガ132とサイズ及び形状が同様であるものとして表されているが、意図された用途に対する所望の性能基準に応じて、より大きくても小さくてもよい。この実施形態は更に、内側管18の内部又は周囲に密着するようなサイズに設定することができる略円筒形部分49を示す。
【0037】
図6は、端部キャップ30と実質的に同様であるが、フィンガ232が互いに隣接して配置され、したがって隣接するフィンガ232間の空間が実質的に省略されている、端部キャップ230の代替実施形態を示す。代わりに、隣接するフィンガ232は、それらの長さに沿ってほぼ均一な幅を有するスリット50によって互いから円周方向に離間される。
【0038】
図7は、端部キャップ330の別の代替実施形態を示す。端部キャップ330は、複数のフィンガ332が取り付けられた細長い円筒形又はテーパ型バンド52を備える。フィンガ332は、図6のように互いに隣接してバンド52の周りに円周方向に配置されているが、図5の実施形態のように間隔を置いて配置することもできる。
【0039】
図8は、端部キャップ430の別の代替実施形態を示す。端部キャップ430は、端部キャップ130について説明したように、フィンガ432を有するが、略円筒形の部分を有さず、むしろ平坦なディスクとして形成される。フィンガ432は、互いに離間した関係で示されているが、図6に示すように、互いに隣接して形成することもできる。端部キャップ430は、好ましくは、上述の固定機構のうちの1つを介して内側管18の端部22に固定される。
【0040】
外側管26は、任意の数及びタイプのモノフィラメント及び/又はマルチフィラメントで編まれ(図2の例示的なパッチにおいて例としてKで示され、外側管26全体が編まれていることが理解されるべきである)、織られ(図2の例示的なパッチにおいて例としてWで示され、外側管26全体が織られていることが理解されるべきである)、又は編組され(図2の例示的なパッチにおいて例としてBで示され、外側管26全体が編組されていることが理解されるべきである)得る。モノフィラメント及び/又はマルチフィラメントは、耐切断性を向上させるために、並びに電磁干渉(EMI)、無線周波数干渉(RFI)、及び/又は静電放電(ESD)に対する保護を提供するために、ワイヤを含むことができる。モノフィラメント及び/又はマルチフィラメントは、天然有機繊維及び/又は無機繊維を更に含むことができる。外側管26は、機械的締結具、接着剤、及び/又は溶接継手を含む、任意の好適な締結機構を介して、内側管18に対して固定することができる。
【0041】
明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能である。そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、すべての特許請求の範囲及びすべての実施形態のすべての特徴を互いに組み合わせることができることが企図される。したがって、添付の特許請求の範囲内では、本発明は、具体的に説明されたもの以外に実施され得ることを理解されたい。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】